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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】改善された第1段タービンブレード
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/14 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
F01D5/14
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021509895
(86)(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 US2019045162
(87)【国際公開番号】W WO2020040971
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】16/107,363
(32)【優先日】2018-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515253614
【氏名又は名称】クロマロイ ガス タービン エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】パーカー,デービッド・ジー
(72)【発明者】
【氏名】シヤオ,ジェンホワ
(72)【発明者】
【氏名】ユ,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】マートリング,ビンセント・シー
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ウェスリー
(72)【発明者】
【氏名】メドラノ,デービッド
(72)【発明者】
【氏名】エリス,チャールズ・エイ
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-030403(JP,A)
【文献】特開2004-353676(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0071249(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0024168(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0102558(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/14
F01D 5/28
F01D 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンブレードであって、前記タービンブレードが、
ブレード根本と、
前記ブレード根本から延在するプラットフォームと、
前記プラットフォームから延在するエーロフォイルと、を備え、
前記エーロフォイルがエーロフォイル形状を有し、前記エーロフォイルが、表1-1~表1-41に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に従う公称のプロファイルを有し、前記Zの値は0から1までの無次元値であり、前記Zの値にインチ単位の前記エーロフォイルの高さを掛けることによってインチ単位のZ距離へと変換可能であり、前記Xの値およびYの値がインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、各距離Zでのエーロフォイルプロファイル断面を画定し、前記Z距離での前記エーロフォイルプロファイル断面が互いに滑らかに接合され、完全なエーロフォイル形状を形成する、
タービンブレード。
【請求項2】
ガスタービンエンジンの第1段タービンの一部を形成する、請求項1に記載のタービンブレード。
【請求項3】
前記タービンブレードが、前記プラットフォームの中央点から前記エーロフォイルの先端部までで測定される7.3インチのエーロフォイルの高さを有する、請求項1に記載のタービンブレード。
【請求項4】
前記エーロフォイルに加えられるコーティングをさらに備える、請求項1に記載のタービンブレード。
【請求項5】
前記エーロフォイルの向きが前記Zの値に沿って延在する軸を中心として回転可能である、請求項1に記載のタービンブレード。
【請求項6】
前記Xの値および前記Yの値が第1の定数によって変倍可能であり、前記Zの値が第2の定数によって変倍可能である、請求項1に記載のタービンブレード。
【請求項7】
タービンブレードであって、前記タービンブレードが、
ブレード根本と、
前記ブレード根本から延在するプラットフォームと、
前記プラットフォームから延在するエーロフォイルと、を備え、
前記エーロフォイルが、前記エーロフォイルの任意の表面ロケーションに対して垂直な方向において-0.033インチから+0.033インチのエンベロープの範囲内のエーロフォイル形状を有し、前記エーロフォイルが、表1-1~表1-41に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に従う公称のプロファイルを有し、前記Zの値は0から1までの無次元値であり、前記Zの値にインチ単位の前記エーロフォイルの高さを掛けることによってインチ単位のZ距離へと変換可能であり、前記Xの値およびYの値がインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、各距離Zでのエーロフォイルプロファイル断面を画定し、前記Z距離での前記エーロフォイルプロファイル断面が互いに滑らかに接合され、完全なエーロフォイル形状を形成する、
タービンブレード。
【請求項8】
ガスタービンエンジンの第1段タービンの一部を形成する、請求項7に記載のタービンブレード。
【請求項9】
前記タービンブレードが、前記プラットフォームの中央点から前記エーロフォイルの先端部までで測定される7.3インチのエーロフォイルの高さを有する、請求項7に記載のタービンブレード。
【請求項10】
前記エーロフォイルに加えられるコーティングをさらに備える、請求項7に記載のタービンブレード。
【請求項11】
前記Xの値および前記Yの値が第1の定数によって変倍可能であり、前記Zの値が第2の定数によって変倍可能である、請求項7に記載のタービンブレード。
【請求項12】
前記エーロフォイルの向きが前記Zの値に沿って延在する軸を中心として回転可能である、請求項1に記載のタービンブレード。
【請求項13】
タービンであって、前記タービンが、
エンジンの中心線に沿って配置されるタービンホイールと、
前記タービンホイールに固定される複数のタービンブレードと、を備え、
前記複数のタービンブレードの各タービンブレードが、
ブレード根本と、
前記ブレード根本から径方向外側に延在するプラットフォームと、
前記プラットフォームから径方向外側に延在するエーロフォイルであって、前記エーロフォイルがエーロフォイル形状を有し、前記エーロフォイルが、表1-1~表1-41に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に従う公称のプロファイルを有し、前記Zの値は0から1までの無次元値であり、前記Zの値にインチ単位の前記エーロフォイルの高さを掛けることによってインチ単位のZ距離へと変換可能であり、前記Xの値およびYの値がインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、各距離Zでのエーロフォイルプロファイル断面を画定し、前記Z距離での前記エーロフォイルプロファイル断面が互いに滑らかに接合され、完全なエーロフォイル形状を形成する、エーロフォイルと、を備える、
タービン。
【請求項14】
ガスタービンエンジンの第1段の一部を形成する、請求項13に記載のタービン。
【請求項15】
前記タービンブレードが、前記プラットフォームの中央点から前記エーロフォイルの先端部までで測定される7.3インチのエーロフォイルの高さを有する、請求項13に記載のタービン。
【請求項16】
前記タービンブレードが、前記エーロフォイルに加えられるコーティングをさらに備える、請求項13に記載のタービン。
【請求項17】
前記エーロフォイルの向きが前記Zの値に沿って延在する軸を中心として回転可能である、請求項13に記載のタービン。
【請求項18】
前記Xの値および前記Yの値が第1の定数によって変倍可能であり、前記Zの値が第2の定数によって変倍可能である、請求項13に記載のタービン。
【請求項19】
タービンであって、前記タービンが、
エンジンの中心線に沿って配置されるタービンホイールと、
前記タービンホイールに固定される複数のタービンブレードと、を備え、
前記複数のタービンブレードの各タービンブレードが、
ブレード根本と、
前記ブレード根本から径方向外側に延在するプラットフォームと、
前記プラットフォームから径方向外側に延在するエーロフォイルであって、前記エーロフォイルが、前記エーロフォイルの任意の表面に対して垂直な方向において-0.033インチから+0.033インチのエンベロープの範囲内のエーロフォイル形状を有し、前記エーロフォイルが、表1-1~表1-41に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に従う公称のプロファイルを有し、前記Zの値は0から1までの無次元値であり、前記Zの値にインチ単位の前記エーロフォイルの高さを掛けることによってインチ単位のZ距離へと変換可能であり、前記Xの値およびYの値がインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、各距離Zでのエーロフォイルプロファイル断面を画定し、前記Z距離での前記エーロフォイルプロファイル断面が互いに滑らかに接合され、完全なエーロフォイル形状を形成する、エーロフォイルと、を備える、
タービン。
【請求項20】
ガスタービンエンジンの第1段の一部を形成する、請求項19に記載のタービン。
【請求項21】
前記タービンブレードが、前記プラットフォームの中央点から前記エーロフォイルの先端部までで測定される7.3インチのエーロフォイルの高さを有する、請求項19に記載のタービン。
【請求項22】
前記タービンブレードが、前記エーロフォイルに加えられるコーティングをさらに備える、請求項19に記載のタービン。
【請求項23】
前記エーロフォイルの向きが前記Zの値に沿って延在する軸を中心として回転可能である、請求項19に記載のタービン。
【請求項24】
前記Xの値および前記Yの値が第1の定数によって変倍可能であり、前記Zの値が第2の定数によって変倍可能である、請求項19に記載のタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001]本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2018年8月21日に出願した米国非仮特許出願第16/107,363号の優先権を主張するものである。
【0002】
[0002]本開示は、概して、ガスタービンエンジンで使用されるためのタービンブレードに関し、より詳細には、第1段タービンブレードのための表面プロファイルに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]ガスタービエンジンは、通常、軸方向シャフトを介して多段タービンに結合される多段圧縮機を備える。空気が圧縮機を通ってガスタービンエンジンに入り、圧縮機では、空気が圧縮機の後続の段を通過するときに空気の温度および圧力が増大する。次いで、圧縮空気が1つまたは複数の燃焼器まで誘導され、燃焼器で、圧縮空気が燃料源と混合されて燃焼混合物を作る。この混合物が燃焼器内で点火されて高温燃焼ガスの流れを作る。これらのガスがタービンまで誘導され、それによりタービンを回転させ、それにより圧縮機を駆動する。ガスタービンエンジンのこの出力は、タービンからの排気を介する機械的推進力であってもよいか、または軸方向シャフトの回転からの軸動力であってもよく、この場合、軸方向シャフトが発電機を駆動して電気を発生させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]圧縮機およびタービンの各々が、圧縮空気の流れまたは高温燃焼ガスの流れの中まで延在するエーロフォイル(airfoil)を有する複数の回転ブレードおよび固定翼を備える。各ブレードまたは翼が、圧縮機およびタービンを通過する流れに対して必要な仕事を提供するために満たさなければならない特定のセットの設計基準を有する。しかし、タービンにおいて特に一般的であるように動作環境が本質的に過酷であることを理由として、エーロフォイルの性能を最適化することが有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本発明は、ガスタービンエンジンで使用されるための改善されたエーロフォイル構成を有するタービンブレードを開示する。より具体的には、タービンブレードが、大型のガスタービンエンジンで使用されるための第1段タービンブレードを備える。
【0006】
[0006]本発明の実施形態で、タービンブレードが、ブレード根本(blade root)、ブレード根本から延在するプラットフォーム、およびプラットフォームから延在するエーロフォイルを備える。エーロフォイルが、表1-1~表1-41に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に実質的に従う、エーロフォイル形状および公称のプロファイルを有し、Zの値は0から1までの無次元値であり、このZの値にインチ単位のエーロフォイルの高さを掛けることによってインチ単位のZ距離へと変換可能である。Xの値およびYの値はインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、各距離Zでのエーロフォイルプロファイル断面を画定する。Z距離でのこれらのプロファイル断面が互いに滑らかに接合され、完全なエーロフォイル形状を形成する。
【0007】
[0007]本発明の代替的実施形態で、ブレード根本と、ブレード根本から延在するプラットフォームと、プラットフォームから延在するエーロフォイルとを備えるタービンブレードが開示され、エーロフォイルがエーロフォイル形状を有する。エーロフォイルが、表1-1~表1-41に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に実質的に従う公称のプロファイルを有し、Zの値は0から1までの無次元値であり、このZの値にインチ単位のエーロフォイルの高さを掛けることによってインチ単位のZ距離へと変換可能である。Xの値およびYの値はインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、各距離Zでのエーロフォイルプロファイル断面を画定する。Z距離でのこれらのプロファイル断面が互いに滑らかに接合され、完全なエーロフォイル形状を形成する。エーロフォイル形状が、1つの鋳造表面において任意の表面ロケーションに対して垂直な方向において約+/-0.033インチ(0.0838cm)の範囲内のエンベロープ内に位置する。この許容されるプロファイルのエンベロープは、鋳造したエーロフォイルに加えられる熱バリアコーティングを考慮する場合には約+0.063インチ(0.16cm)から-0.033インチ(0.0838cm)だけ増大する。
【0008】
[0008]本発明の別の実施形態で、エンジンの中心線に沿って配置されるタービンホイールを備えるタービンが提供され、タービンホイールがタービンホイールに固定される複数のタービンブレードを有し、各タービンブレードが、ブレード根本と、ブレード根本から径方向外側に延在するプラットフォームと、プラットフォームから径方向外側に延在するエーロフォイルとを備える。エーロフォイルが、表1-1~表1-41に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に実質的に従う、エーロフォイル形状および公称のプロファイルを有し、Zの値は0から1までの無次元値であり、このZの値にインチ単位のエーロフォイルの高さを掛けることによってインチ単位のZ距離へと変換可能である。XおよびYはインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、各距離Zでのエーロフォイルプロファイル断面を画定する。Z距離でのこれらのプロファイル断面が互いに滑らかに接合され、完全なエーロフォイル形状を形成する。
【0009】
[0009]本発明の別の実施形態で、エンジンの中心線に沿って配置されるタービンホイールと、タービンホイールに固定される複数のタービンブレードとを備えるタービンが提供され、各タービンブレードが、ブレード根本と、ブレード根本から径方向外側に延在するプラットフォームと、プラットフォームから径方向外側に延在するエーロフォイルとを備える。エーロフォイルが、表1-1~表1-41に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に実質的に従う、エーロフォイル形状および公称のプロファイルを有し、Zの値は0から1までの無次元値であり、このZの値にインチ単位のエーロフォイルの高さを掛けることによってインチ単位のZ距離へと変換可能である。XおよびYはインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、各距離Zでのエーロフォイルプロファイル断面を画定する。Z距離でのこれらのプロファイル断面が互いに滑らかに接合され、完全なエーロフォイル形状を形成し、エーロフォイル形状が、1つの鋳造表面において、任意の表面ロケーションに対して垂直な方向において+/-0.033インチ(0.0838cm)の範囲内のエンベロープ内に位置する。
【0010】
[0010]以下の記述および特許請求の範囲から本発明のこれらのおよび他の特徴が最良に理解され得る。
【0011】
[0011]添付図面を参照して本発明を以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】[0012]ガスタービンエンジンの一部分を示す側面図である。
図2】[0013]本発明によるエーロフォイルを有するタービンブレード鋳物を示す斜視図である。
図3】[0014]本発明によるエーロフォイルを有するタービンブレードを示す側面図である。
図4】[0015]本発明によるエーロフォイルを有する図3のタービンブレードを示す反対側の側面図である。
図5】[0016]本発明の実施形態によるタービンブレードを示す底面図である。
図6】[0017]本発明によるエーロフォイルを有するタービンブレードを示す上面図である。
図7】[0018]表1-1~表1-41のデカルト座標によって形成される一連のエーロフォイル断面を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0019]本発明は、発電のために使用されるガスタービンなどの、ガスタービエンジンで使用されることが意図されるものである。したがって、本発明は、製造業者に関係なく、多様なタービン動作環境で使用され得る。
【0014】
[0020]当業者には容易に認識されるように、このようなガスタービンエンジンは、エンジンの中心線または軸方向の中心線軸を中心として円周方向に配置される。エンジンが、圧縮機、燃焼セクション、およびタービンを有し、タービンがエンジンシャフトを介して圧縮機に結合される。当技術分野でよく知られているように、圧縮機内で圧縮される空気が燃料と混合されて燃焼セクション内で燃焼してタービン内で膨張する。圧縮機内で圧縮される空気およびタービン内で膨張する燃料混合物は、両方とも、「高温ガスストリームフロー」と称され得る。タービンが、流体の膨張に反応して回転してそれにより圧縮機を駆動するロータを有する。タービンが、翼としばしば称される、交互の列の回転タービンブレードおよび静止エーロフォイルを備える。
【0015】
[0021]本発明の実施形態によるタービンブレードが図1~7に示される。最初に図1を参照すると、ガスタービエンジンの一部分の断面図が描かれている。エンジンのこの一部分が、回転ブレード1および固定エーロフォイル5の交互の段を示す。図2~4を参照すると、本発明によるおよび本発明の実施形態によるタービンブレード10が、図2では鋳造された形態で、図3および4では機械加工された形態で、示されている。タービンブレード10が、ブレード根本12と、ブレード根本12から延在するプラットフォーム14と、プラットフォーム14から延在するエーロフォイル16とを有する。エーロフォイル16が前縁18および反対側にある後縁20を有する。前縁18と後縁20との間でエーロフォイル形状に沿って、概略凹形形状を有する圧力側表面22および概略凸形形状を有する反対側の吸込側表面24が延在する。エーロフォイル16が、プラットフォーム14の反対側に位置するエーロフォイル先端部26まで延在する。
【0016】
[0022]エーロフォイル16が、表1-1~表1-41に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に実質的に従う公称の非被覆プロファイル(uncoated profile)を有し、Zの値は0から1までの無次元値であり、このZの値にインチ単位のエーロフォイルの高さを掛けることによってインチ単位のZ距離へと変換可能である。Xの値およびYの値はインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、図7に示されるように、各距離Zでのエーロフォイルプロファイル断面を画定する。Z距離での図6に描かれるようなこれらのプロファイル断面が互いに滑らかに接合され、完全なエーロフォイル形状を形成する。
【0017】
[0023]本明細書で開示されるタービンブレード10が、好適には、ガスタービンエンジンの第1段タービンの一部であり、プラットフォーム14の中央点付近からエーロフォイル16の先端部26までで測定される約7.3インチ(18.5cm)のエーロフォイル高さを有する。本発明の代替的実施形態で、タービンブレード10が、エーロフォイル16に加えられるコーティングをさらに備える。タービン内でエーロフォイルが受けることになる温度に関してのエーロフォイルの性能を向上させるために多様なコーティングがエーロフォイル16に加えられ得る。1つのこのようなコーティングには、加えられる最大約0.010インチ(0.0254cm)の厚さの拡散アルミニウム化物の被膜層を有する金属MCrAlYがあり、ここでは、熱バリアコーティングの最大厚さが付加的な約0.020インチ(0.0508cm)の厚さである。このような許容されるコーティングは、プラットフォーム14と先端部26との間のエーロフォイル16のすべての表面に加えられる。
【0018】
[0024]タービンブレード10の上面図および底面図が図5および6に示される。タービンブレード10が、根本12から先端部26までエーロフォイル16を通って概して径方向に延在する複数の開口部28を有する。これらの開口部が、冷却流体の流れをタービンブレード10の内部セクションに供給するのに使用され得る。当業者であれば理解するように、その動作温度が非常に高いことを理由として、タービンブレードの特定の段を冷却することが必要である。この冷却を実現するために多様な冷却流体が使用され得る。開口部28が、圧縮空気、蒸気、または他の流体などの、冷却供給源に流体連通されるように設計され、タービンブレード10の全体の有効温度を下げるためにエーロフォイル16に流体を提供する。エーロフォイル16は、蛇行冷却およびシャワーヘッド冷却などの多様な内部冷却構成を組み込むのに十分なサイズを有する。
【0019】
[0025]エーロフォイルのプロファイルを決定するための表1-1~表1-41の値は小数点第3位まで求められて示される。表1-1~表1-41のこれらの値は公称の非被覆のエーロフォイルについてである。しかし、エーロフォイルのプロファイルを表1-1~表1-41の値から変化させ得るような一般的な製造公差も存在し、さらにはそのような変化を生じさせるようなコーティングも存在する。したがって、本発明の代替的実施形態では、上で開示したようなタービンブレード10が提供され、ここでは、鋳造したブレードのエーロフォイル形状が任意の表面ロケーションに対して垂直な方向において+/-0.033インチ(0.0838cm)の範囲内のエンベロープ内に位置する。つまり、タービンブレード10のエーロフォイルの鋳造および機械加工において起こる変化などの多様な製造の問題を理由として、エーロフォイル形状の正確なロケーションは+/-0.033インチ(0.0838cm)で上方に変化し得る。しかし、このようなエーロフォイルプロファイルの変化でも、本発明の範囲内にある第1段タービンブレードの所望の性能の範囲に完全に入るエーロフォイルが得られる。
【0020】
[0026]また、本発明は多様なタービン用途で使用され得る。つまり、エーロフォイル16は、多様なガスタービエンジンでの使用のためにそのプロファイルを変倍可能とするように、設計される。エーロフォイル16を変倍するために、Xの値およびYの値に1.0より大きくてもよいかまたは小さくてもよい第1の定数が掛けられ、Zの値に第2の定数が掛けられる。通常、Xの値およびYの値には等しい定数が掛けられるが、Zの値には第1の定数とは異なっていてもよい第2の定数が掛けられる。
【0021】
[0027]エーロフォイル16を変倍することに加えて、本発明の代替的実施形態においてエーロフォイルの向きも変化し得る。より具体的には、エーロフォイルの向きが、各エーロフォイル断面から径方向外側に延在する軸を基準として回転することができるかまたはZの値に沿う軸を基準として回転することができる。この軸はエーロフォイル16の積み重ね方向の軸(stacking axis)であってもよい。当業者であれば理解するように、エーロフォイル16の向きを回転させることにより、ブレードに対しての空気力学的負荷を再構成することが可能となり、それによりタービンブレード10によって発生する仕事の量を変化させることができ、さらにはブレードに対しての機械的応力を変化させることができる。
【0022】
[0028]本発明のタービンブレード10が、多くの固有の特徴を有するように設計されたエーロフォイル16を有する。より具体的には、タービンブレード10が、従来技術のタービンブレードとは異なる圧力側カットバック後縁(pressure side cutback trailing edge)構成を有する。さらに、エーロフォイル16が、従来技術のタービンブレードより薄い後縁20を有する。つまり、エーロフォイル16が、約0.279インチ(0.709cm)の後縁厚さを有する従来技術のブレードと比較すると、約0.093インチ(0.236cm)の厚さを有する後縁20を有する。このようなより薄い後縁は、他のエーロフォイルの座標との組み合わせで、従来技術のタービンブレードと比較してより低い圧力損失をエーロフォイル16の中間の長さ範囲のところで有するようなエーロフォイル16を生み出すことになる。さらに、エーロフォイル全体にわたっての仕事の径方向分布が最適化されることを理由として、エーロフォイル16での損失が約30%低減される。
【0023】
[0029]本発明の代替的実施形態で、エンジンの中心線に沿って配置されるタービンホイールを有するタービンが開示される。タービンホイールがタービンホイールに固定される複数のタービンブレード10を有し、各タービンブレード10が、ブレード根本12と、ブレード根本12から延在するプラットフォーム14と、プラットフォームから延在するエーロフォイル16とを有する。エーロフォイルが前縁18および反対側の後縁20を有する。前縁18と後縁20との間でエーロフォイル形状に沿って、概略凹形形状を有する圧力側表面22および概略凸形形状を有する反対側の吸込側表面24が延在する。エーロフォイルが、プラットフォーム14の反対側に位置するエーロフォイル先端部26まで延在する。
【0024】
[0030]第1段タービンブレードのこの実施形態では、プラットフォーム14の中央点がエンジンの中心線(ロータ軸)から半径に沿って配置される。エーロフォイル形状を画定するために、このロケーションが0.000である無次元のZの値に一致する。この点から測定されるエーロフォイル16の高さが7.3インチ(約18.5cm)である。
【0025】
[0031]エーロフォイルが、表1-1~表1-41に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に実質的に従う公称の非被覆プロファイルを有し、Zの値は0から1までの無次元値であり、このZの値にインチ単位のエーロフォイルの高さを掛けることによってインチ単位のZ距離へと変換可能である。Xの値およびYの値はインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、各距離Zでのエーロフォイルプロファイル断面を画定する。Z距離でのこれらのプロファイル断面が互いに滑らかに接合され、完全なエーロフォイル形状を形成する。
【0026】
[0032]本発明の別の実施形態で、上で開示したようなタービンが提供され、ここでは、タービン内に固定されるタービンブレード10が、ブレード鋳物における任意の表面ロケーションに対して垂直な方向において+/-0.033インチ(0.0838cm)の範囲内のエンベロープ内に位置するエーロフォイル形状を有する。つまり、タービンブレード10のエーロフォイルの鋳造および機械加工において起こる変化などの多様な製造の問題を理由として、エーロフォイル形状の正確なロケーションは約+/-0.033インチ(0.0838cm)で上方に変化し得る。しかし、このようなエーロフォイルプロファイルの変化でも、本発明の範囲内にある第1段タービンブレードの所望の性能の範囲に完全に入るエーロフォイルが得られる。この許容されるプロファイルのエンベロープは、最大0.030インチ(0.0762cm)の厚さの鋳造したエーロフォイルに加えられる熱バリアコーティングを考慮する場合には約+0.063インチ(0.16cm)から-0.033インチ(0.0838cm)に増大する。
【0027】
[0033]上で考察したように、タービンブレード10は、ガスタービンエンジンのタービンセクションの第1段で使用されるが、このような機能のみに限定されない。むしろ、エーロフォイル16を他の動作環境で利用するのを可能にするためにエーロフォイル16は変倍可能である。つまり、Xの値、Yの値、およびZの値は、異なるガスタービンエンジンで使用されるためであるが等しいエーロフォイル形状を有するより大きいまたはより小さいエーロフォイルを生み出すために等しい定数の関数として変倍され得る。表1-1~表1-41の座標の変倍バージョンは表1-1~表1-41のX、Y、およびZの座標値によって表されるものであり、ここでは無次元のZ座標値がインチに変換されて定数を掛けられるかまたは定数で割られる。
【0028】
[0034]下記の表1-1~表1-41に与えられる座標値が本明細書で開示されるエーロフォイルのための公称のプロファイルのエンベロープを提供する。
【0029】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【表1-18】
【表1-19】
【表1-20】
【表1-21】
【表1-22】
【表1-23】
【表1-24】
【表1-25】
【表1-26】
【表1-27】
【表1-28】
【表1-29】
【表1-30】
【表1-31】
【表1-32】
【表1-33】
【表1-34】
【表1-35】
【表1-36】
【表1-37】
【表1-38】
【表1-39】
【表1-40】
【表1-41】
【0030】
[0035]本発明の好適な実施形態を開示してきたが、当業者であれば、いくつかの変形例が本発明の範囲にあることを認識するであろう。したがって、本発明の真の範囲および内容を決定するためには以下の特許請求の範囲を精読しなければならない。本発明の範囲から逸脱することなく本発明には多くの可能性のある実施形態が作られ得ることから、本明細書に記載されるかまたは添付図面に示されるすべての事項は例示であると解釈され、限定的な意味であると解釈されない、ことを理解されたい。
【0031】
[0036]上記から、本発明が、明白であってその構造に固有のものである他の利点と併せて、本明細書において上に記載されるすべての成果および目的を達成するように良好に適合されるものである、ことが見てとれよう。
【0032】
[0037]特定の特徴および部分的な組み合わせ(subcombination)が有用なものであり、これらが他の特徴および部分的な組み合わせを参照することなく採用されていてもよい、ことが理解されよう。これは特許請求の範囲によって企図され、特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7