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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】線形電気機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/03 20060101AFI20231002BHJP
   H02K 41/02 20060101ALI20231002BHJP
   B25D 13/00 20060101ALI20231002BHJP
【FI】
H02K41/03 A
H02K41/02 C
B25D13/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021515160
(86)(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 FI2019050576
(87)【国際公開番号】W WO2020058565
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-05-23
(31)【優先権主張番号】20185790
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】521109040
【氏名又は名称】レカテック オサケユイチア
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】ユリ ペルトラ
(72)【発明者】
【氏名】トゥオモ ペルトラ
(72)【発明者】
【氏名】ユハ ピュルホーネン
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-104091(JP,A)
【文献】特開2013-251992(JP,A)
【文献】特開2011-166880(JP,A)
【文献】特開2009-060730(JP,A)
【文献】国際公開第2008/013053(WO,A1)
【文献】特表2015-523225(JP,A)
【文献】特表2008-544871(JP,A)
【文献】特開2006-280061(JP,A)
【文献】特開2011-174569(JP,A)
【文献】特開2006-015484(JP,A)
【文献】特開2002-192482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 41/03
H02K 41/02
B25D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線形電気機械(100、300)であって:
前記線形電気機械の長手方向に連設された永久磁石(103,104)を収容する能動部(102)を備える可動子(101,201,301)と、
電流を伝導するための強磁性コア構造(106)及び巻線(107)を備えるステータ(105,305)と、
前記線形電気機械の長手方向において前記ステータの強磁性コア構造の両側に、前記線形電気機械の長手方向において前記ステータに関して直線移動が可能となるように前記可動子を支持する第1及び第2の支持構造と、を備え、
前記可動子の能動部(102)は、前記線形電気機械の長手方向において、前記ステータの強磁性コア構造よりも長く、前記第1の支持構造は、中実の金属からなるフレーム部(110、210)を備え、
前記第1の支持構造は、更に、前記可動子を前記フレーム部の中実の金属から距離(D)離すように配置され、かつ前記可動子に対向する摺動面(112、212)を備える支持要素(111、211)を備え、前記可動子は前記摺動面上を摺動するように構成され、
前記支持要素は、導電率が前記フレーム部の中実の金属の電気伝導率の半分以下である材料を含み、
前記支持要素(111)は管状であり、前記可動子の端部(113)を取り囲むように配置され、前記端部は前記可動子の端面を有し、前記支持要素によって取り囲まれることを特徴とする、線形電気機械。
【請求項2】
第1の支持構造(108)の端部(114)は閉鎖され、前記支持要素内に位置する可動子の端部(113)は、第1の支持構造の閉鎖端部に向かう可動子の移動に応答してガスを圧縮するピストンとして動作するように構成される、請求項1に記載の線形電気機械。
【請求項3】
前記支持要素はポリマー材料を含む、請求項1又は2に記載の線形電気機械。
【請求項4】
前記支持要素は可動子に当接する摺動面を構成するコーティング(115)を含む。請求項1~3のうちいずれか1項に記載の線形電気機械。
【請求項5】
前記支持要素が、前記第1の支持構造の前記フレーム部(210)に向けられる磁気浮遊磁束を低減する強磁性材料(219)と、前記強磁性材料の表面上に形成され、前記可動子に対向する前記摺動面を構成するコーティング(215)とを有し、
前記強磁性材料の電気伝導率は、前記第1の支持構造のフレーム部の中実の金属の電気伝導率の半分以下である、請求項1~3のうちいずれか1項に記載の線形電気機械。
【請求項6】
前記コーティング(115、215)がクロムの層である、請求項4又は5に記載の線形電気機械。
【請求項7】
前記線形電気機械は、前記ステータの強磁性コア構造(106)が前記可動子(101)を取り囲むように配置され、前記ステータの巻線(107)が前記可動子を取り囲み、周方向に電流を流すように配置された管状の線形電気機械である、請求項1~6のうちいずれか1項に記載の線形電気機械。
【請求項8】
前記可動子(101)は、長手方向に前記永久磁石(103、104)と交互に配置された強磁性体コア要素(118)を含み、
永久磁石の磁化方向は、長手方向と平行であり、長手方向に隣り合う永久磁石は、互いに反対の磁化方向を有する、請求項7に記載の線形電気機械。
【請求項9】
前記可動子(101)は、前記長手方向に平行な幾何学的線(117)に関して回転対称である、請求項7又は8に記載の線形電気機械。
【請求項10】
前記可動子(101)は、前記永久磁石に囲まれたセンターロッド(116)を備える、請求項7~9のうちいずれか1項に記載の線形電気機械。
【請求項11】
前記センターロッドが非強磁性体からなる、請求項10に記載の線形電気機械。
【請求項12】
前記距離(D)が少なくとも5mmである、請求項1~11のうちいずれか1項に記載の線形電気機械。
【請求項13】
前記支持要素の材料の電気伝導率は、前記第1の支持構造のフレーム部の中実の金属の電気伝導率の10%以下である、請求項1~12のうちいずれか1項に記載の線形電気機械。
【請求項14】
フレーム(330)であって、前記フレームが作業機械から非破壊的に取り外し可能であるように前記作業機械に接続するための素子(331)を含むフレーム(330)と、
前記フレームに支持され、前記フレームに関して直線移動可能なハンマリングヘッド(332)と、
線形電気機械(300)とを備えるハンマー装置(350)であって、
前記線形電気機械のステータ(305)の強磁性コア構造が前記フレームに取り付けられ、前記線形電気機械の可動子(301)が前記ハンマリングヘッドを移動させるように配置されており、
前記線形電気機械は、請求項1~13のうちいずれか1項に記載の線形電気機械であることを特徴とする、ハンマー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、線形電気機械(linear electric machine)に関する。さらに、本開示は、線形電気機械を備えるハンマー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
線形電気機械は、ステータ(stator)と、線形電気機械の長手方向にステータに対して直線移動可能な可動子(mover)とを備える。可動子及びステータには、線形電気機械がリニアモータとして動作する場合には電気エネルギーを可動子の直線運動に変換し、線形電気機械がリニア発電機として動作する場合には可動子の直線運動を電気エネルギーに変換するための磁気的動作手段が設けられている。磁気的動作手段は、例えば、交流電流が多相巻線に供給されるときに、多相巻線に対して移動する磁界を生成するための多相巻線を含んでもよい。更に、磁気的動作手段は、多相巻線で生成される移動磁界に反応して力を生成する装置を備えることができる。力の生成装置は、例えば、永久磁石、電磁石、導電性構造、及び/又は空間的なリラクタンス変化量を提供する機械的構造を含んでもよい。多相巻線はステータ内に配置することができ、力の生成装置は可動子内に配置することができる。また、多相巻線が可動子内に位置し、力の生成装置がステータ内に位置することも可能である。
【0003】
往復直線運動を発生させるための線形電気機械が可動子内に永久磁石を含む場合には、永久磁石を含む可動子の能動的な部分(active part)は、線形電気機械の全長に関する往復直線運動に対して十分な範囲を達成するためにステータの強磁性コア構造よりも長いことが有利である。この場合、可動子の永久磁石の少なくとも一部は、ステータの強磁性コア-構造によって覆われた領域の外側に一時的に存在する。ステータの強磁性コア構造によって覆われた領域の外側に一時的に存在する可動永久磁石に関連する固有の課題は、可動子が線形電気機械の長手方向にステータに対して直線的に可動となるように当該可動子を当該ステータに対して支持する支持構造等の導電性材料に渦電流を誘起しやすい変化する磁束を引き起こすことである。上記の渦電流は損失を生じさせ、それによって線形電気機械の効率を低下させる。原理的には、前述の支持構造の導電性材料を永久磁石から離すことができるように、可動子の能動的な部分から離れて、線形電気機械のフレーム(frame)に可動式に支持される、永久磁石のない端部を可動子に設けることができる。しかし、これは、可動子の往復直線移動の範囲を対応して増加させることなく、線形電気機械の全長を増加させることになる。
【発明の概要】
【0004】
以下は、様々な発明の実施形態のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された概要を提示する。この概要は、本発明の広範な概要ではない。これは、本発明の重要な又は重要な要素を同一のものとみなすことも、本発明の範囲を細部にわたって表すことも意図するものではない。以下の概要は、単に、本発明の例示的な実施形態のより詳細な説明の前置きとして、本発明のいくつかの概念を簡略化された形態で提示する。
【0005】
本書では、接頭語として使用される場合、「幾何学的」という語は、必ずしも対象物の一部ではない幾何学的概念を意味する。幾何学的概念は、例えば、幾何学的点、直線又は曲線の幾何学的線、幾何学的平面、非平面の幾何学的表面、幾何学的間隔、又はゼロ、1、2、もしくは3次元である任意の他の幾何学的実体であり得る。
【0006】
本発明によれば、以下を含む新規の線形電気機械が提供される:
- 線形電気機械の長手方向に連設された永久磁石を収容する能動部を備える可動子と、
- 強磁性コア構造と、電流を伝導するための巻線とを含むステータ、及び
- 前記線形電気機械の長手方向における前記ステータの強磁性コア構造の両側における第1及び第2の支持構造とを備えるものであって、
前記第1及び第2の支持構造は、前記線形電気機械の長手方向において前記ステータに対して直線移動可能となるように前記可動子を支持する。
【0007】
可動子の上述の能動部は、線形電気機械の長手方向において、ステータの強磁性コア-構造よりも長く、第1の支持構造は、中実の金属、例えば中実の鋼からなるフレーム部を含む。第1の支持構造は、さらに、可動子をフレーム部の中実の金属から距離を隔てるように配置され、可動子に対向する摺動面を備える支持要素を備える。支持要素は、その電気伝導率、S/mがフレーム部の中実の金属の電気伝導率よりも小さく、例えば、中実の金属の電気伝導率の高々半分である。支持要素は、管状であって、可動子の端部を取り囲むように配置され、該端部は、可動子の端面を有する支持要素によって取り囲まれる。
【0008】
可動子が第1支持構造のフレーム部の中実の金属から上述の距離だけ離されるため、可動子の永久磁石によって固体金属に誘導される渦電流が低減される。従って、線形電気機械の損失が低減され、それによって線形電気機械の効率が改善される。
【0009】
本発明による線形電気機械は、例えば、必ずしもそうであるわけではないが、ステータの強磁性コア構造が可動子を取り囲むように配置され、ステータの巻線が可動子を取り囲み、周方向に電流を伝導するように配置された管状の線形電気機械であってもよい。
【0010】
本発明によれば、以下を含む新規のハンマー装置(hammer device)も提供される:
- 作業機械から非破壊的に着脱可能に、作業機械に接続する要素を備えるフレームと、
- フレームに支持され、フレームに関して直線的に移動可能なハンマリングヘッドと、
- 本発明に係る線形電気機械とを備えるものであって、前記線形電気機械の前記ステータの強磁性コア-構造が前記フレームに取り付けられ、前記線形電気機械の可動子が前記ハンマリングヘッドを移動させるように配置されている。
【0011】
例えば、掘削機のような作業機械は、通常、オフロード機(off-road machine)と呼ばれる。しかしながら、オフロード動作の能力は可能であるが、必要ではないことを強調するために、本文書ではより広範な用語「作業機械」(working machine)を使用する。
【0012】
各種例示的かつ非限定的な実施形態が、添付の従属請求項に記載されている。
【0013】
構成及び動作方法の両方に関する各種例示的かつ非限定的な実施形態は、その追加の目的及び利点とともに、添付の図面と併せて読むことによって、特定の例示的かつ非限定的な実施形態の以下の説明から最もよく理解されるであろう。
【0014】
「から成るべき」及び「含むべき」という動詞は、本文書中では、非列挙の特徴の存在を除外又は要求しない、開いた制限として使用されている。従属請求項中に列挙された特徴は、別段の明示的な記載がない限り、相互に自由に組み合わせることができる。さらに、本文書全体を通して、「a」又は「an」、すなわち単数形の使用は、複数を除外するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
例示的かつ非限定的な実施形態及びそれらの利点は、実例の意味で、及び添付の図面を参照して、以下においてより詳細に説明される:
【0016】
図1a図1aは、例示的及び非限定的な実施形態による線形電気機械を図示し、
図1b図1bは、例示的及び非限定的な実施形態による線形電気機械を図示し、
図1c図1cは、例示的及び非限定的な実施形態による線形電気機械を図示し、
図2図2は、別の例示的及び非限定的な実施形態による線形電気機械の詳細を図示し、
図3図3は、例示的及び非限定的な実施形態による線形電気機械を含むハンマー装置を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[例示的な実施形態の説明]
以下に記載される明細書に提供される具体的な実施例は、添付の特許請求の範囲の範囲及び/又は利用可能性を制限するものと解釈されるべきではない。以下の説明で提供される例のリスト及びグループは、特に明記しない限り、網羅的ではない。
【0018】
図1aは、例示的かつ非限定的な実施形態による線形電気機械100の断面図を示す。この断面は、座標系199のyz平面と平行である。図1bは、図1aの部分180の拡大図を示し、図1cは、図1aの部分181の拡大図を示す。線形電気機械は、可動子101とステータ105とを備える。図1aは、明確にするために、可動子101の一部も別個に示している。可動子101は、線形電気機械の長手方向に次々に設けられた永久磁石を収容する能動部102を備える。縦方向は、座標系199のz軸と平行である。図1a及び図1bでは、2つの永久磁石が符号103及び104で示されている。ステータ105は、強磁性コア構造と、巻線に電流を供給することに応答して可動子101に作用する磁力を発生させるための巻線とを備える。図1bにおいて、ステータの強磁性コア-構造は、符号106で示され、巻線の2つのコイルの断面は、符号107で示される。図1bに示すように、強磁性コア構造106は、巻線のコイルのためのステータスロットを構成する。通常、巻線は、例えば3相巻線のような多相巻線を構成するように配置され、例えば、各ステータスロットが、巻線の1つの相に属する単一のコイルのみを含むように、巻線を実装することができる。しかしながら、各ステータスロットは、例えば、巻線の異なる位相又は巻線の同じ位相に属し得る2つのコイルを含むことも可能である。
【0019】
線形電気機械100は、線形電気機械の長手方向におけるステータの強磁性コア構造の両側に、第1及び第2の支持構造108及び109を備える。第1及び第2の支持構造108,109は、線形電気機械の長手方向にステータ105に関して直線移動可能となるように可動子101を支持するように配置されている。図1aに示すように、可動子101の能動部102は、線形電気機械の長手方向においてステータ105の強磁性コア-構造よりも長い。これにより、可動子101の往復直線移動中に、可動子101の永久磁石の一部が支持構造108のフレーム部110の内部に一時的に入る。フレーム部110は、中実の金属、例えば中実の鋼からなり、十分な機械的強度を達成する。支持構造108は、可動子101をフレーム部110の中実の金属から遠ざけるように配置された支持要素111をさらに備える。図1cにおいて、上述した距離はDと表記されており、支持要素111は、可動子に対向して、可動子101を横断方向、すなわち線形電気機械の長手方向に垂直な方向に支持する摺動面112を構成している。支持要素111は、その電気伝導率S/mがフレーム部110の中実の金属のそれよりも小さい材料を含む。支持要素111の材料の電気伝導率は、例えば、フレーム部110の中実の金属の電気伝導率の50%、40%、30%、20%、10%、又は5%未満であり得る。可動子101がフレーム部110の中実の金属から距離D離れて保たれているので、可動子の可動の永久磁石によって中実の金属に誘導される渦電流が低減される。結論として、線形電気機械の損失が低減され、それによって線形電気機械の効率が改善される。距離Dは、例えば、少なくとも5mm、少なくとも10mm、少なくとも15mm、少なくとも20mm、少なくとも25mm、又は少なくとも30mmとすることができる。
【0020】
支持要素111は、例えば、ポリマー材料、又は低い導電率及び適切な機械的特性を有する他の何らかの適切な材料を含むことができる。ポリマー材料は、例えば、テフロン(登録商標)として知られるポリテトラフルオロエチレンとすることができる。例示的かつ非限定的な実施形態による線形電気機械では、支持要素111は、可動子101に当接する摺動面を構成するコーティングを備える。図1cでは、コーティングは符号115で示されている。このコーティングは、支持要素111の摺動面の耐摩耗性を向上させる。コーティングは、例えばクロムの層とすることができる。コーティングが導電性材料からなる場合には、コーティングは、有利には、薄くて、コーティングにおける渦電流損失を低減する。図1cでは、コーティング115の厚さは、明確にするために誇張されている。
【0021】
図1a~図1cに示す例示的な線形電気機械は、ステータ105の強磁性コア構造106が可動子101を取り囲むように配置され、ステータの巻線107が可動子101を取り囲み、周方向に電流を流すように配置された管状の線形電気機械である。可動子101は、例えば、必ずしもそうではないが、図1bに示す幾何学的線117に関して実質的に回転対称であり得る。可動子101は、可動子の長手方向において永久磁石と交互になっている強磁性コア要素を含む。図1bでは、可動子101の2つの強磁性コア要素には、符号118が付されている。この例示的な場合において、可動子101の永久磁石の磁化方向は、長手方向と平行であり、長手方向に隣接する永久磁石は、互いに反対の磁化方向を有する。図1bでは、永久磁石の磁化方向が矢印で示されている。例示的な磁束線は、曲線の破線で示される。この例示的な場合、可動子101は、可動子の永久磁石及び強磁性コア要素を機械的に支持する中心ロッド116を備える。センターロッド116は、可動子101の永久磁石によって生成される磁束の可能な限りの量がステータ105を介して流れるようにするために、非強磁性材料で作られることが有利である。センターロッド116は、例えばオーステナイト鋼又は他の十分に強い非強磁性材料から作ることができる。
【0022】
図1a~図1cに示す例示的な線形電気機械では、支持要素111は管状であり、可動子101の端部113を取り囲むように配置されている。支持構造108の端部114は閉鎖され、可動子101の端部113は、可動子101が支持構造108の閉鎖端部114に向かって移動するときに、ガス、例えば空気を圧縮するためのピストンとして動作するように配置される。管状支持要素111、支持構造108の端部114、及び可動子101の端部113によって規定される空間内のガスは、座標系199の負のz方向への可動子101の動きを強めるガススプリングとして作用し、座標系199の正のz方向への可動子101の動きに対して作用する。
【0023】
図2は、例示的かつ非限定的な実施形態による線形電気機械の一部の断面図を示す。この断面は、座標系299のyz平面と平行である。図2は、線形電気機械の支持構造208の一部と、線形電気機械の可動子201の一部とを図示している。支持構造208は、図1a~図1cに示す線形電気機械100において可動子101を支持するように支持構造108が配置されているのと同様に可動子201を支持するように配置されている。支持構造208は、支持構造208のフレーム部210を構成する中実の金属の導電率よりも小さい導電率を有する材料を含む支持要素211を備える。この例示的な線形電気機械において、支持要素211は、フレーム部210を構成する中実の金属よりも電気伝導率が小さい強磁性材料219を備えており、例えば、中実の金属の電気伝導率の高々半分である。強磁性材料219は、可動子201の永久磁石によって生成される磁束のための低リラクタンス経路を提供し、それによって強磁性材料219は、支持構造208のフレーム部210に向けられる磁気浮遊磁束を低減する。さらに、強磁性体材料219は、永久磁石内で生じる磁束の変化量を減少させ、それによって強磁性体材料は、永久磁石の損失を減少させる。強磁性材料219は、例えば、フェライト又は例えばSOMALOY(登録商標)軟磁性複合材料のような鉄粉末複合材料とすることができる。支持要素211はさらに、強磁性材料の表面上にコーティング215を含み、可動子201に接する摺動面を構成する。コーティング215は、例えば、クロムの層とすることができる。
【0024】
図3は、例示的かつ非限定的な実施形態によるハンマー装置350の断面図を示す。この断面は、座標系399のyz平面と平行である。ハンマー装置は、フレーム330が作業機械から非破壊的に取り外し可能であるように、例えば掘削機のような作業機械に接続するための素子331を備えるフレーム330を有する。ハンマー装置350は、フレーム330に支持され、フレームに対して直線移動可能なハンマーヘッド332を備える。ハンマー装置350は、本発明の一実施形態による線形電気機械300を含む。線形電気機械300のステータ305がフレーム330に取り付けられ、線形電気機械300の可動子301がハンマリングヘッド332を移動させるように配置されている。線形電気機械300は、例えば、図1a~1cに図示されているようなものであっても、図2に図示されているようなものであってもよい。
【0025】
しかしながら、上述した種類のハンマー装置は、本発明の実施形態による線形電気機械の1つの例示的な用途に過ぎず、本発明の実施形態による線形電気機械は、多くの他の用途にも使用することができることに留意する価値がある。
【0026】
上述の説明で提供された具体的な例は、添付の特許請求の範囲の利用可能性及び/又は解釈を制限するものと解釈されるべきではない。上記の説明で提供される例のリスト及びグループは、特に明記しない限り、網羅的ではない。
図1a
図1b
図1c
図2
図3