(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】発熱体を有する電気光学システム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20231002BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20231002BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20231002BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
(21)【出願番号】P 2021543594
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(86)【国際出願番号】 IB2019001075
(87)【国際公開番号】W WO2020070554
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-30
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519094710
【氏名又は名称】イノヴィズ テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アルパーン,ヤイール
(72)【発明者】
【氏名】ガーゲル,マイケル
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-229517(JP,A)
【文献】特開平09-197334(JP,A)
【文献】特表2007-522529(JP,A)
【文献】特開2016-080890(JP,A)
【文献】国際公開第2012/147167(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
G02B 26/08-26/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小電気機械システム(MEMS)ミラーアセンブリであって、
MEMSミラーと、
フレームと、
前記MEMSミラーアセンブリと一体的に形成され、前記MEMSミラーを前記フレームに対して動かすように構成された少なくとも1つの圧電アクチュエータであって、前記少なくとも1つの圧電アクチュエータは本体と、電界に曝されると前記本体を曲げるように構成される圧電要素とを含み、それにより前記MEMSミラーを動かす、少なくとも1つの圧電アクチュエータと、
電流が少なくとも1つの発熱抵抗体を流れるときに前記圧電要素を加熱するように構成された前記少なくとも1つの発熱抵抗体と
を備え
、
前記フレーム、前記少なくとも1つの圧電アクチュエータ及び前記少なくとも1つの発熱抵抗体は、単一の共通のウェーハ上に備えられる、ミラーアセンブリ。
【請求項2】
前記圧電要素の温度に関連する情報に応答して、前記電流を前記少なくとも1つの発熱抵抗体に流すように構成されたコントローラを更に備える、請求項1に記載のミラーアセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの発熱抵抗体は、前記
共通のウェーハの金属層上に実装される、請求項1または2に記載のミラーアセンブリ。
【請求項4】
前記電界を前記圧電要素に印加するために使用される少なくとも1つの電極は、前記金属層上に実装される、請求項3に記載のミラーアセンブリ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの発熱抵抗体は、前記共通のウェーハのシリコン系層のドープ領域上に実装される、請求項1または2に記載のミラーアセンブリ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの発熱抵抗体は、前記圧電アクチュエータの少なくとも1つの上に実装される、請求項1または2に記載のミラーアセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの発熱抵抗体は、前記フレーム上に実装される、請求項1または2に記載のミラーアセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの発熱抵抗体は、前記圧電アクチュエータの前記少なくとも1つに隣接した前記フレームのエッジ上に実装される、請求項1、2、および7のいずれか1項に記載のミラーアセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの発熱抵抗体は、前記圧電アクチュエータの少なくとも1つに隣接した前記
MEMSミラーアセンブリの非可動部分上に実装される、請求項1~8のいずれか1項に記載のミラーアセンブリ。
【請求項10】
前記
MEMSミラーアセンブリの少なくとも1つのコンポーネントの温度を検出するように構成されたセンサと、
前記少なくとも1つの発熱抵抗体の活性化を制御するように構成されたコントローラとを更に備える、請求項1~9のいずれか1項に記載のミラーアセンブリ。
【請求項11】
前記センサは較正された抵抗である、請求項10に記載のミラーアセンブリ。
【請求項12】
前記MEMSミラーを作動させるための電圧に応答して、前記温度を示す前記情報を生成するようにプログラムされたプロセッサを更に備える、請求項2に記載のミラーアセンブリ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの発熱抵抗体は、1/4~5キロオームの間の全抵抗を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載のミラーアセンブリ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの発熱抵抗体は、5~500ミリワットの間の範囲を有する熱量を放出する、請求項1~13のいずれか1項に記載のミラーアセンブリ。
【請求項15】
コントローラを更に備え、
前記少なくとも1つの発熱抵抗体は、第1の発熱抵抗体と第2の発熱抵抗体とを含み、
かつ
前記コントローラは、前記圧電要素の前記温度に関連する前記受信した情報に基づき、第1の電流の前記第1の発熱抵抗体への印加および第2の電流の前記第2の発熱抵抗体への印加を制御するように構成され、前記第1の電流は前記第2の電流とは異なる、
請求項1~
14のいずれか1項に記載のミラーアセンブリ。
【請求項16】
単一の共通のウェーハ上に備えられた、フレーム、少なくとも1つの圧電アクチュエータ及び少なくとも1つの発熱抵抗体を有する、微小電気機械システム(MEMS)ミラーアセンブリを操作するための方法であって、
電界を前
記圧電アクチュエータの圧電要素に印加し、それにより前記圧電アクチュエータに結合されているMEMSミラーを動かすことと、
前記圧電要素を加熱するために、前
記少なくとも1つの発熱抵抗体に電流を流すことと
を含む、方法。
【請求項17】
前記MEMSミラーアセンブリからの温度読取りに基づいて、前記電流を選択的に流すことを更に含む、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記温度読取りが閾値温度よりも低い温度を示す場合に、前記電流を選択的に流すことを更に含む、請求項
16または
17に記載の方法。
【請求項19】
前記閾値温度は露点であり、前記露点はその温度を下回ると水滴が凝結し始めて露を形成する大気温度であり、前記大気温度は圧力及び湿度に応じて変化する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの発熱抵抗体は、第1の発熱抵抗体と第2の発熱抵抗体とを含み、
かつ
前記方法は、第1の電流を前記第1の発熱抵抗体に流すことと、第2の電流を前記第2の発熱抵抗体に流すこととを更に含み、前記第1の電流は前記第2の電流と異なる、
請求項
16~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記加熱することは、前記圧電要素を、前記MEMSミラーアセンブリ周辺の周囲温度より少なくともセ氏5度だけ高い温度まで加熱することを含む、請求項
16~20のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年10月4日に出願された、米国仮特許出願第62/741,034号に対する優先権を主張し、それは、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に、周囲環境をスキャンするための技術に関し、例えば、LIDAR技術を用いて周囲環境内の物体を検出するシステム及び方法に関する。
【0003】
運転者支援システム及び自律走行車の出現によって、自動車は、車両のナビゲーションに影響を及ぼし得る障害物、危険、物体、及び他の物理パラメータを識別することを含めて、周囲の状況を信頼性高く検知し解釈できるシステムを搭載することが必要となっている。この目的のため、単独で又は冗長的に動作するレーダ、LIDAR、カメラベースのシステムを含む多くの異なる技術が提案されている。
【0004】
運転者支援システム及び自律走行車に伴う1つの検討すべき事項は、雨、霧、暗さ、明るい光、及び雪を含む様々な条件においてシステムが周囲の状況を判断する能力である。光検出と測距(LIDAR:light detection and ranging system、LADARとしても知られている)は、物体に光を照射して反射したパルスをセンサで測定することで物体までの距離を測定することによって、様々な条件で良好に機能することができる技術の一例である。レーザは、LIDARシステムにおいて使用できる光源の一例である。あらゆる検知システムと同様、LIDARベースの検知システムが自動車業界によって充分に導入されるため、システムは、遠方の物体の検出を可能とする信頼性の高いデータを提供しなければならない。しかしながら、現在、LIDARシステムを目に安全なものにする(すなわち、投影光放出が目の角膜及びレンズに吸収されて網膜に熱損傷を与える場合に生じ得る人の目に対する損傷を与えないようにする)必要によって、LIDARシステムの最大照射パワーは制限されている。
【0005】
本開示のシステム及び方法は、目の安全の規制に従いながらLIDARシステムの性能を向上させることを対象とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示に従った実施形態は、ユーザの環境からの画像を自動的にキャプチャ及び処理するための装置及び方法、ならびにユーザの環境からキャプチャされた画像に関連した情報を処理するためのシステム及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、微小電気機械システム(MEMS)ミラーアセンブリが開示される。MEMSミラーアセンブリは、フレーム及びフレームに結合されたMEMSミラーを含む。MEMSミラーアセンブリは、本体及び圧電要素を含む少なくとも1つの圧電アクチュエータも含み得る。電界に曝されると、圧電要素は本体を曲げるように構成され得、それによりMEMSミラーをフレームの平面に関して動かす。MEMSミラーアセンブリは、電流が少なくとも1つの発熱抵抗体を流れるときに圧電要素を加熱するように構成された少なくとも1つの発熱抵抗体を更に含み得る。
【0008】
一実施形態において、微小電気機械システム(MEMS)ミラーアセンブリを操作するための方法が開示される。方法は、圧電アクチュエータの本体を曲げるためにMEMSミラーアセンブリの圧電アクチュエータの圧電要素に電界を印加することを含む。方法は、圧電要素を加熱するために、MEMSミラーアセンブリの少なくとも1つの発熱抵抗体に電流を流すことも含み得る。
【0009】
一実施形態において、ソリッドステート光検出器が開示される。ソリッドステート光検出器は、感光性フォトダイオードに衝突する光を示す出力信号を生成するように構成された少なくとも1つの感光性フォトダイオードを含む集積回路を含み得る。ソリッドステート光検出器は、電流が少なくとも1つの発熱抵抗体を流れるときにソリッドステート光検出器を加熱するように構成された少なくとも1つの発熱抵抗体も含み得る。電気光学システムは、電流源の電流を少なくとも1つの発熱抵抗体に送るための回路を更に含み得る。
【0010】
一実施形態において、電気光学システムを操作するための方法が開示される。方法は、感光性フォトダイオードを加熱するために電気光学システムの少なくとも1つの発熱抵抗体に電流を流すことを含み得る。少なくとも1つの発熱抵抗体は、感光性フォトダイオードが実装されているチップ上に実装され得る。方法は、電気光学システムの感光性フォトダイオードによって電気光学システムの視野(FOV)から光を検出することも含み得る。
【0011】
他の開示される実施形態に従って、非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体はプログラム命令を記憶することができ、この命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行され、本明細書に記載される方法の任意のものを実施する。
【0012】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、単なる例示及び説明であり、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0013】
本開示に組み込まれてその一部を構成する添付図面は、開示される様々な実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】開示される実施形態に従った例示的なLIDARシステムを示す図である。
【
図1B】開示される実施形態に従った、車両上に搭載されたLIDARシステムの単一スキャンサイクルの例示的な出力を示す画像である。
【
図1C】開示される実施形態に従ったLIDARシステムの出力から決定されたポイントクラウドモデルの表現を示す別の画像である。
【
図2A】本開示の実施形態に従った投影ユニットの構成を示す図である。
【
図2B】本開示の実施形態に従った投影ユニットの構成を示す図である。
【
図2C】本開示の実施形態に従った投影ユニットの構成を示す図である。
【
図2D】本開示の実施形態に従った投影ユニットの構成を示す図である。
【
図2E】本開示の実施形態に従った投影ユニットの構成を示す図である。
【
図2F】本開示の実施形態に従った投影ユニットの構成を示す図である。
【
図2G】本開示の実施形態に従った投影ユニットの構成を示す図である。
【
図3A】本開示の実施形態に従ったスキャンユニットの構成を示す図である。
【
図3B】本開示の実施形態に従ったスキャンユニットの構成を示す図である。
【
図3C】本開示の実施形態に従ったスキャンユニットの構成を示す図である。
【
図3D】本開示の実施形態に従ったスキャンユニットの構成を示す図である。
【
図4A】本開示の実施形態に従った検知ユニットの構成を示す図である。
【
図4B】本開示の実施形態に従った検知ユニットの構成を示す図である。
【
図4C】本開示の実施形態に従った検知ユニットの構成を示す図である。
【
図4D】本開示の実施形態に従った検知ユニットの構成を示す図である。
【
図4E】本開示の実施形態に従った検知ユニットの構成を示す図である。
【
図5A】視野の単一部分の単一フレーム時間における放出パターンを示す4つの例示的な図を含む。
【
図5B】視野全体の単一フレーム時間における放出スキームを示す3つの例示的な図を含む。
【
図5C】視野全体の単一フレーム時間中に投影された実際の光放出及び受光された反射を示す図である。
【
図6A】本開示の実施形態に従った第1の例示的な実施を示す図である。
【
図6B】本開示の実施形態に従った第1の例示的な実施を示す図である。
【
図6C】本開示の実施形態に従った第1の例示的な実施を示す図である。
【
図6D】本開示の実施形態に従った第2の例示的な実施を示す図である。
【
図7A】本開示のいくつかの実施形態に従った例示的なMEMSミラーアセンブリを示す図である。
【
図7B】本開示のいくつかの実施形態に従った例示的なMEMSミラーアセンブリを示す図である。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態に従った例示的なMEMSミラーアセンブリを示す図である。
【
図9】本開示のいくつかの実施形態に従ったMEMSミラーアセンブリを操作するための例示的なプロセスのフローチャートである。
【
図10A】本開示のいくつかの実施形態に従った例示的な電気光学システムを示す図である。
【
図10B】本開示のいくつかの実施形態に従った例示的な電気光学システムを示す図である。
【
図10C】本開示のいくつかの実施形態に従った例示的な電気光学システムを示す図である。
【
図11A】本開示のいくつかの実施形態に従った例示的な電気光学システムを示す図である。
【
図11B】本開示のいくつかの実施形態に従った例示的な電気光学システムを示す図である。
【
図12】本開示のいくつかの実施形態に従った例示的な電気光学システムを操作するための例示的なプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明は添付図面を参照する。可能な限り、図面及び以下の記載では同一の参照番号を用いて同一又は同様の部分を指し示す。本明細書ではいくつかの例示的な実施形態を記載するが、変更、適合、及びその他の実施も可能である。例えば、図面に示されたコンポーネントに対する置換、追加、又は変更を行うことができ、開示される方法に対するステップの置換、並べ替え、除去、又は追加によって本明細書に記載される例示的な方法を変更することができる。従って、以下の詳細な説明は開示される実施形態及び例に限定されない。適正な範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0016】
用語の定義
開示される実施形態は光学システムを含み得る。本明細書で用いる場合、「光学システム」という用語は、光の発生、検出、及び/又は操作のために使用される任意のシステムを広く含む。単に一例として、光学システムは、光を発生、検出、及び/又は操作するための1つ以上の光学コンポーネントを含み得る。例えば、光源、レンズ、ミラー、プリズム、ビームスプリッタ、コリメータ、偏光光学系、光学変調器、光学スイッチ、光学増幅器、光学検出器、光学センサ、光ファイバ、半導体光学コンポーネントは、それぞれ必ずしも必須ではないが、光学システムの一部となり得る。1つ以上の光学コンポーネントに加えて、光学システムは、電気的コンポーネント、機械的コンポーネント、化学反応コンポーネント、及び半導体コンポーネントのような、他の非光学コンポーネントも含み得る。非光学コンポーネントは、光学システムの光学コンポーネントと協働することができる。例えば光学システムは、検出された光を分析するための少なくとも1つのプロセッサを含み得る。
【0017】
本開示に従って、光学システムはLIDARシステムとすることができる。本明細書で用いる場合、「LIDARシステム」という用語は、反射光に基づいて1対の有形物体(tangible object)間の距離を示すパラメータの値を決定することができる任意のシステムを広く含む。一実施形態において、LIDARシステムは、LIDARシステムが放出した光の反射に基づいて1対の有形物体間の距離を決定できる。本明細書で用いる場合、「距離を決定する」という用語は、1対の有形物体間の距離を示す出力を発生することを広く含む。決定された距離は、1対の有形物体間の物理的寸法を表すことができる。単に一例として、決定された距離は、LIDARシステムとLIDARシステムの視野内の別の有形物体との間の飛行距離線を含み得る。別の実施形態において、LIDARシステムは、LIDARシステムが放出した光の反射に基づいて1対の有形物体間の相対速度を決定することができる。1対の有形物体間の距離を示す出力の例には、有形物体間の標準的な長さ単位の数(例えばメートル数、インチ数、キロメートル数、ミリメートル数)、任意の長さ単位の数(例えばLIDARシステム長の数)、距離と別の長さとの比(例えばLIDARシステムの視野内で検出された物体の長さに対する比)、時間量(例えば標準的な単位、任意の単位又は比、例えば有形物体間を光が移動するのに要する時間として与えられる)、1つ以上のロケーション(例えば承認された座標を用いて規定される、既知のロケーションに対して規定される)、及びその他のものが含まれる。
【0018】
LIDARシステムは、反射光に基づいて1対の有形物体間の距離を決定することができる。一実施形態において、LIDARシステムは、光信号の放出とセンサによるその検出の時点との間の時間期間を示す時間情報を生成するセンサの検出結果を処理することができる。この時間期間は時として光信号の「飛行時間(time of flight)」と称される。一例において、光信号は短いパルスであり、受信の際にその立ち上がり時間及び/又は立ち下がり時間を検出することができる。関連する媒体(通常は空気)中における光の速度に関する既知の情報を用いて、光信号の飛行時間に関する情報を処理することで、放出と検出との間で光信号が移動する距離を提供できる。別の実施形態において、LIDARシステムは、周波数位相シフト(又は多周波数位相シフト)に基づいて距離を決定することができる。具体的には、LIDARシステムは、光信号の(例えば最終的な測度を与えるためいくつかの連立方程式を解くことによって)1つ以上の変調位相シフトを示す情報を処理することができる。例えば、放出された光学信号を1つ以上の一定周波数によって変調できる。放出された信号と検出された反射との間の変調の少なくとも1つの位相シフトは、放出と検出との間で光が移動した距離を示すことができる。変調は、連続波光信号、準連続波光信号、又は別のタイプの放出される光信号に適用され得る。距離を決定するため、LIDARシステムによって追加情報を使用できることに留意するべきである。追加情報は例えば、信号の投影ロケーションと検出ロケーションとの間のロケーション情報(例えば相対位置)(特に、相互に距離が離れている場合)、及びその他のものである。
【0019】
いくつかの実施形態において、LIDARシステムは、LIDARシステムの環境内の複数の物体を検出するために使用できる。「LIDARシステムの環境内の物体を検出する」という用語は、LIDARシステムに関連付けられた検出器の方へ光を反射した物体を示す情報を発生することを広く含む。2つ以上の物体がLIDARシステムによって検出された場合、異なる物体に関して発生された情報、例えば、自動車が道路を走行している、鳥が木にとまっている、人が自転車に触れる、ライトバン(van)が建物の方へ移動するといった情報は、相互に連絡することができる。LIDARシステムが物体を検出する環境の寸法は、実施に伴って変動し得る。例えばLIDARシステムは、LIDARシステムが搭載されている車両の環境内で、最大で100m(又は200m、300m等)の水平方向距離まで、及び最大で10m(又は25m、50m等)の垂直方向距離まで、複数の物体を検出するために使用できる。別の例においてLIDARシステムは、車両の環境内で、又は既定の水平方向範囲内(例えば25°、50°、100°、180°等)で、及び既定の垂直方向高さ(例えば±10°、±20°、+40°~20°、±90°、又は0°~90°)まで、複数の物体を検出するため使用できる。
【0020】
本明細書で用いる場合、「物体を検出する」という用語は、物体の存在を決定することを広く指すことができる(例えば、物体はLIDARシステムに対して及び/又は別の基準ロケーションに対して特定の方向に存在し得る、又は、物体は特定の空間体積内に存在し得る)。これに加えて又はこの代わりに、「物体を検出する」という用語は、物体と別のロケーション(例えばLIDARシステムのロケーション、地球上のロケーション、又は別の物体のロケーション)との間の距離を決定することを指す可能性がある。これに加えて又はこの代わりに、「物体を検出する」という用語は、物体を識別すること(例えば自動車、木、道路のような物体の種類を分類すること、特定の物体(例えばワシントン記念塔)を認識すること、自動車登録番号を判定すること、物体の組成(例えば固体、液体、透明、半透明)を明らかにすること、物体の運動パラメータ(例えば移動中であるか、その速度、移動方向、物体の膨張)を決定することを指す可能性がある。これに加えて又はこの代わりに、「物体を検出する」という用語は、ポイントクラウドマップを発生することを指す可能性がある。ポイントクラウドマップの1つ以上のポイントの各々は、物体内のロケーション又は物体面上のロケーションに対応する。一実施形態において、視野のポイントクラウドマップ表現に関するデータ解像度は、視野の0.1°×0.1°又は0.3°×0.3°に関連付けることができる。
【0021】
本開示に従って、「物体」という用語は、その少なくとも一部から光を反射することができる有限の組成物を広く含む。例えば物体は、少なくとも部分的に固体である(例えば自動車、木)、少なくとも部分的に液体である(例えば道路の水たまり、雨)、少なくとも部分的に気体である(例えば煙、雲)、多数の別個の粒子から成る(例えば砂あらし、霧、スプレー)、例えば~1ミリメートル(mm)、~5mm、~10mm、~50mm、~100mm、~500mm、~1メートル(m)、~5m、~10m、~50m、~100mのような1つ以上の大きさであり得る。また、より小さいか又は大きい物体、及びこれらの例の間の任意の大きさも検出できる。様々な理由から、LIDARシステムは物体の一部のみを検出する場合があることに留意するべきである。例えば、場合によっては、光は物体のいくつかの側面のみから反射される(例えば、LIDARシステムに対向する側面のみが検出される)。他の場合、光は物体の一部のみに投影される(例えば、レーザビームが道路又は建物に投影される)。また他の場合、物体は、LIDARシステムと検出された物体との間の別の物体によって部分的に遮られる。また他の場合、LIDARのセンサは物体の一部から反射された光のみを検出し得る。これは例えば、周囲光又は他の干渉が物体のいくつかの部分の検出を妨害するからである。
【0022】
本開示に従って、LIDARシステムは、LIDARシステムの環境をスキャンすることで物体を検出するように構成できる。「LIDARシステムの環境をスキャンする」という用語は、LIDARシステムの視野又は視野の一部を照射することを広く含む。一例において、LIDARシステムの環境をスキャンすることは、光偏向器を移動又は枢動させて、視野の様々な部分へ向かう様々な方向に光を偏向させることによって達成できる。別の例において、LIDARシステムの環境をスキャンすることは、視野に対するセンサの位置決め(すなわちロケーション及び/又は向き)を変えることによって達成できる。別の例において、LIDARシステムの環境をスキャンすることは、視野に対する光源の位置決め(すなわちロケーション及び/又は向き)を変えることによって達成できる。更に別の例において、LIDARシステムの環境をスキャンすることは、少なくとも1つの光源及び少なくとも1つのセンサが視野に対して固定して(rigidly)移動するようにそれらの位置を変えることによって達成できる(すなわち、少なくとも1つのセンサ及び少なくとも1つの光源の相対的な距離及び向きは維持される)。
【0023】
本明細書で用いる場合、「LIDARシステムの視野」という用語は、物体を検出することができるLIDARシステムの観察可能な環境の範囲を広く含み得る。LIDARシステムの視野(FOV)は様々な条件によって影響を受け得ることに留意するべきである。様々な条件は、限定ではないが、LIDARシステムの向き(例えばLIDARシステムの光軸の方向)、環境に対するLIDARシステムの位置(例えば地面、及び隣接地形、及び障害物からの距離)、LIDARシステムの動作パラメータ(例えば放出パワー、計算設定、規定の動作角度)等である。LIDARシステムの視野は、例えば立体角を用いて規定することができる(例えばφ、θ角を用いて規定される。φ及びθは、例えばLIDARシステム及び/又はそのFOVの対称軸に対する垂直面において規定される)。一例において、視野は、特定の範囲内(例えば最大で200m)で規定することができる。
【0024】
同様に、「瞬時視野(instantaneous field of view)」という用語は、任意の所与の瞬間にLIDARシステムによって物体を検出することができる観察可能な環境の範囲を広く含み得る。例えばスキャンLIDARシステムでは、瞬時視野はLIDARシステムの全FOVよりも狭く、LIDARシステムのFOVの他の部分における検出を可能とするためLIDARシステムのFOV内で移動させることができる。LIDARシステムのFOV内での瞬時視野の移動は、LIDARシステムへの光ビーム及び/又はLIDARシステムからの光ビームを異なる方向に偏向させるようにLIDARシステムの(又はLIDARシステム外部の)光偏向器を移動させることによって達成できる。一実施形態において、LIDARシステムは、LIDARシステムが動作している環境内のシーン(scene)をスキャンするように構成できる。本明細書で用いる場合、「シーン」という用語は、LIDARシステムの視野内の物体のいくつか又は全てを、LIDARシステムの動作期間中の相対位置で及び現在の状態で広く含み得る。例えばシーンは、地上の要素(例えば土、道路、草、歩道、路面標識)、空、人工物体(例えば車両、建物、標識)、植物、人物、動物、光投影要素(例えば懐中電灯、太陽、他のLIDARシステム)等を含み得る。
【0025】
開示される実施形態は、再構築3次元モデルの生成に使用される情報を取得することを含み得る。使用できるタイプの再構築3次元モデルの例には、ポイントクラウドモデル及びポリゴンメッシュ(Polygon Mesh)(例えば三角形メッシュ)が含まれる。「ポイントクラウド」及び「ポイントクラウドモデル」という用語は、当技術分野において周知であり、ある特定の座標系に空間的に位置付けられるデータポイントセットを含むものと解釈するべきである(すなわち、各座標系によって記述される空間内に識別可能ロケーションを有する)。「ポイントクラウドポイント」という用語は、空間(無次元であるか、又は例えば1cm3のような微小セル空間である場合がある)内のポイントを指し、そのロケーションは座標セットを用いたポイントクラウドモデルによって記述できる(例えば(X、Y、Z)、(r、φ、θ))。単に一例として、ポイントクラウドモデルは、そのポイントのいくつか又は全てのための追加情報を記憶することができる(例えば、カメラ画像から生成されたポイントのための色情報)。同様に、他のいずれのタイプの再構築3次元モデルも、その物体のいくつか又は全てのための追加情報を記憶することができる。同様に、「ポリゴンメッシュ」及び「三角形メッシュ」という用語は当技術分野において周知であり、とりわけ、1つ以上の3D物体(多面体等)の形状を画定する頂点(vertex)、稜線(edge)、及び面(face)のセットを含むように解釈するべきである。面は、レンダリングを簡略化できるという理由から、三角形(三角形メッシュ)、四角形、又は他の単純な凸多角形のうち1つ以上を含み得る。また、面は、より一般的な凹多角形、又はくぼみ(hole)を有する多角形を含み得る。ポリゴンメッシュは、頂点-頂点メッシュ、面-頂点メッシュ、ウイングドエッジメッシュ(Winged-edge mesh)、及びレンダーダイナミックメッシュ(Render dynamic mesh)のような様々な技法を用いて表現できる。ポリゴンメッシュの様々な部分(例えば頂点、面、稜線)は、直接的に及び/又は相対的に、ある特定の座標系に空間的に位置付けられる(すなわち、各座標系によって記述される空間内に識別可能ロケーションを有する)。再構築3次元モデルの生成は、任意の標準的な、専用の、及び/又は新規の写真測量技法を用いて実施することができ、それらの多くは当技術分野において既知である。LIDARシステムによって他のタイプの環境モデルも生成できることに留意するべきである。
【0026】
開示される実施形態に従って、LIDARシステムは、光を投影するように構成された光源を用いる少なくとも1つの投影ユニットを含み得る。本明細書で用いる場合、「光源」という用語は、光を放出するように構成された任意のデバイスを広く指す。一実施形態において、光源は、固体レーザ、レーザダイオード、高出力レーザのようなレーザ、又は発光ダイオード(LED)ベースの光源のような代替的な光源とすればよい。更に、図面全体を通して示されている光源112は、光パルス、連続波(CW)、準CW等、異なるフォーマットの光を放出することができる。例えば、使用できる光源の1つのタイプは、垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL:vertical-cavity surface-emitting laser)である。使用できる別のタイプの光源は、外部キャビティダイオードレーザ(ECDL:external cavity diode laser)である。いくつかの例では、光源は約650nmから1150nmの間の波長の光を放出するように構成されたレーザダイオードを含み得る。あるいは、光源は、約800nmから約1000nm、約850nmから約950nm、又は約1300nmから約1600nmの波長の光を放出するように構成されたレーザダイオードを含み得る。別段の指示がない限り、数値に関する「約」という用語は、言及された値に対して最大5%の分散として規定される。投影ユニット及び少なくとも1つの光源についての更なる詳細は、
図2Aから
図2Cを参照して以下で説明する。
【0027】
開示される実施形態に従って、LIDARシステムは、視野をスキャンするため光源からの光を偏向させるように構成された少なくとも1つの光偏向器を用いる少なくとも1つのスキャンユニットを含み得る。「光偏向器」という用語は、光を最初の経路から逸脱させるように構成されている任意の機構又はモジュールを広く含み、例えば、ミラー、プリズム、制御可能レンズ、機械的ミラー、機械的スキャンポリゴン(scanning polygon)、アクティブ回折(例えば制御可能LCD)、リスレープリズム(Risley prism)、非機械電子光学ビームステアリング(Vscentにより作製されるもの等)、偏光格子(Boulder Non-Linear Systemsにより提供されるもの等)、光学フェーズドアレイ(OPA:optical phased array)、及びその他のものである。一実施形態において、光偏向器は、少なくとも1つの反射要素(例えばミラー)、少なくとも1つの屈折要素(例えばプリズム、レンズ)等、複数の光学コンポーネントを含み得る。一例において、光偏向器は、光を様々な角度数に(例えば別々の角度数に、又は連続的な角度数範囲に)逸脱させるように、可動性であり得る。光偏向器は、任意選択的に、様々なやり方で制御可能であり得る(例えば、α度に偏向させる、偏向角をΔαだけ変える、光偏向器のコンポーネントをMミリメートル移動させる、偏向角が変わる速度を変化させる)。更に光偏向器は、任意選択的に、単一の面(例えばθ座標)内で偏向の角度を変えるように動作可能であり得る。光偏向器は、任意選択的に、2つの非平行の面(例えばθ及びφ座標)内で偏向の角度を変えるように動作可能であり得る。この代わりに又はこれに加えて、光偏向器は任意選択的に、所定の設定間で(例えば所定のスキャンルートに沿って)又はその他で偏向の角度を変えるように動作可能であり得る。LIDARシステムにおける光偏向器の使用に関して、光偏向器をアウトバウンド方向(送信方向すなわちTXとも称される)で用いて、光源からの光を視野の少なくとも一部へ偏向できることに留意するべきである。しかしながら、光偏向器をインバウンド方向(受信方向すなわちRXとも称される)で用いて、視野の少なくとも一部からの光を1つ以上の光センサへ偏向させることも可能である。スキャンユニット及び少なくとも1つの光偏向器についての更なる詳細は、
図3Aから
図3Cを参照して以下で説明する。
【0028】
開示される実施形態は、視野をスキャンするために光偏向器を枢動することを含み得る。本明細書で用いる場合、「枢動する(pivot)」という用語は、物体(特に固体の物体)を、回転中心を実質的に固定したままに維持しながら、1つ以上の回転軸を中心として回転させることを広く含む。一実施形態において、光偏向器の枢動は、固定軸(例えばシャフト)を中心として光偏向器を回転させることを含み得るが、必ずしもそうとは限らない。例えばいくつかのMEMSミラー実施では、MEMSミラーは、ミラーに接続された複数の曲げ部(bender)の作動によって動くことができ、ミラーは回転に加えてある程度の空間並進を生じ得る。それにもかかわらず、このようなミラーは実質的に固定された軸を中心として回転するように設計できるので、本開示に従って、枢動すると見なされる。他の実施形態において、あるタイプの光偏向器(例えば非機械電子光学ビームステアリング、OPA)は、偏向光の偏向角を変えるために移動コンポーネントも内部移動も必要としない。光偏向器の移動又は枢動に関する検討は、必要な変更を加えて、光偏向器の偏向挙動を変化させるように光偏向器を制御することにも適用できることに留意するべきである。例えば光偏向器を制御することで、少なくとも1つの方向から到達する光ビームの偏向角を変化させることが可能となる。
【0029】
開示される実施形態は、光偏向器の単一の瞬時位置に対応する視野の部分に関連した反射を受信することを含み得る。本明細書で用いる場合、「光偏向器の瞬時位置」(「光偏向器の状態」とも称される)という用語は、ある瞬間的な時点に又は短い時間期間にわたって光偏向器の少なくとも1つの制御されたコンポーネントが位置している空間内のロケーション又は位置を広く指す。一実施形態において、光偏向器の瞬時位置は基準系(frame of reference)に対して測定することができる。基準系はLIDARシステム内の少なくとも1つの固定点に関連し得る。又は、例えば基準系はシーン内の少なくとも1つの固定点に関連し得る。いくつかの実施形態において、光偏向器の瞬時位置は、光偏向器(例えばミラー、プリズム)の1つ以上のコンポーネントのある程度の移動を含み得るが、この移動は通常、視野のスキャン中の最大変化度に対して限られた程度のものである。例えばLIDARシステムの視野全体のスキャンは、光の偏向を30°の範囲にわたって変化させることを含み得る。また、少なくとも1つの光偏向器の瞬時位置は、光偏向器の0.05°内の角度シフトを含み得る。他の実施形態において、「光偏向器の瞬時位置」という用語は、LIDARシステムによって生成されるポイントクラウド(又は別のタイプの3Dモデル)の単一ポイントのデータを与えるために処理される光の取得中の光偏向器の位置を指し得る。いくつかの実施形態において、光偏向器の瞬時位置は、偏向器がLIDAR視野の特定の小領域(sub-region)の照射中に短時間停止する固定の位置又は向きに一致し得る。他の場合、光偏向器の瞬時位置は、光偏向器がLIDAR視野の連続的又は半連続的なスキャンの一部として通過する、光偏向器の位置/向きのスキャン範囲に沿った特定の位置/向きと一致し得る。いくつかの実施形態では、LIDAR FOVのスキャンサイクル中に光偏向器が複数の異なる瞬時位置に位置付けられるように光偏向器を移動させることができる。言い換えると、スキャンサイクルが発生する時間期間中、偏向器を一連の異なる瞬時位置/向きに移動させることができ、偏向器は、スキャンサイクル中の異なる時点でそれぞれ異なる瞬時位置/向きに到達できる。
【0030】
開示される実施形態に従って、LIDARシステムは、視野内の物体からの反射を検出するように構成された少なくとも1つのセンサを用いる少なくとも1つの検知ユニットを含み得る。「センサ」という用語は、電磁波の特性(例えば電力、周波数、位相、パルスタイミング、パルス持続時間)を測定することができ、測定された特性に関する出力を生成するための任意のデバイス、要素、又はシステムを広く含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのセンサは、複数の検出要素から構築された複数の検出器を含み得る。少なくとも1つのセンサは、1つ以上のタイプの光センサを含み得る。少なくとも1つのセンサは、他の特性(例えば感度、大きさ)が異なる同じタイプの複数のセンサを含み得ることに留意するべきである。他のタイプのセンサを用いてもよい。例えば、ある距離範囲(特に近距離)における検出の向上、センサのダイナミックレンジの向上、センサの時間的応答の向上、及び、様々な環境条件(例えば大気温度、雨等)における検出の向上のような様々な理由から、いくつかのタイプのセンサを組み合わせて使用することも可能である。
【0031】
一実施形態において、少なくとも1つのセンサは、一般的なシリコン基板上で検出要素として機能する、アバランシェフォトダイオード(APD:avalanche photodiode)、単一光子アバランシェダイオード(SPAD:single photon avalanche diode)から構築された固体単一光子検知デバイスであるSiPM(Silicon photomultiplier、シリコン光電子増倍管)を含む。一例において、SPAD間の典型的な距離は約10μmから約50μの間であり、各SPADは約20nsから約100nsの間の回復時間を有し得る。他の非シリコン材料による同様の光電子増倍管も使用できる。SiPMデバイスはデジタル/スイッチングモードで動作するが、全ての微小セルが並列に読み出されて、異なるSPADによって検出される単一の光子から数百及び数千の光子までのダイナミックレンジ内で信号を発生することを可能とするので、SiPMはアナログデバイスである。異なるタイプのセンサ(例えばSPAD、APD、SiPM、PINダイオード、光検出器)からの出力が組み合わされて単一の出力になり、これをLIDARシステムのプロセッサによって処理できることに留意するべきである。検知ユニット及び少なくとも1つのセンサについての更なる詳細は、
図4Aから
図4Cを参照して以下で説明する。
【0032】
開示される実施形態に従って、LIDARシステムは、様々な機能を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを含むか又は少なくとも1つのプロセッサと通信することができる。少なくとも1つのプロセッサは、1つ又は複数の入力に対して論理動作を実行する電気回路を有する任意の物理デバイスを構成し得る。例えば少なくとも1つのプロセッサは、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロチップ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)の全体又は一部、グラフィック処理ユニット(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は命令の実行もしくは論理動作の実行に適した他の回路を含む、1つ以上の集積回路(IC)を含み得る。少なくとも1つのプロセッサによって実行される命令は、例えば、コントローラに一体化されているか又は埋め込まれたメモリに予めロードするか、又は別個のメモリに記憶することができる。メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、ハードディスク、光学ディスク、磁気媒体、フラッシュメモリ、他の永久メモリ、固定メモリ、もしくは揮発性メモリ、又は命令を記憶することができる他の任意の機構を含み得る。いくつかの実施形態において、メモリは、LIDARシステムの環境内の物体に関するデータを表す情報を記憶するように構成されている。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロセッサは2つ以上のプロセッサを含み得る。各プロセッサは同様の構成を有するか、又は、それらのプロセッサは相互に電気的に接続されるかもしくは切断された異なる構成とすることができる。例えばプロセッサは、別々の回路とするか、又は単一の回路に一体化することができる。2つ以上のプロセッサを用いる場合、これらのプロセッサは、独立して又は協働して動作するように構成できる。これらのプロセッサは、電気的に、磁気的に、光学的に、音響的に、機械的に、又はそれらの相互作用を可能とする他の手段によって、結合することができる。処理ユニット及び少なくとも1つのプロセッサについての更なる詳細は、
図5Aから
図5Cを参照して以下で説明する。
【0033】
システムの概要
図1Aは、投影ユニット102、スキャンユニット104、検知ユニット106、及び処理ユニット108を含むLIDARシステム100を示す。LIDARシステム100は車両110上に搭載可能である。本開示の実施形態に従って、投影ユニット102は少なくとも1つの光源112を含み、スキャンユニット104は少なくとも1つの光偏向器114を含み、検知ユニット106は少なくとも1つのセンサ116を含み、処理ユニット108は少なくとも1つのプロセッサ118を含み得る。一実施形態において、少なくとも1つのプロセッサ118は、視野120をスキャンするため、少なくとも1つの光源112の動作と少なくとも1つの光偏向器114の移動を連携させるように構成できる。スキャンサイクル中、少なくとも1つの光偏向器114の各瞬時位置を視野120の特定の部分122に関連付けることができる。更に、LIDARシステム100は、視野120の方へ投影される光を誘導する及び/又は視野120内の物体から反射された光を受光するための少なくとも1つの任意選択的な光学ウィンドウ124を含み得る。任意選択的な光学ウィンドウ124は、投影光のコリメーション及び反射光の集束のような異なる目的に供することができる。一実施形態において、任意選択的な光学ウィンドウ124は、開口、平坦なウィンドウ、レンズ、又は他の任意のタイプの光学ウィンドウとすればよい。
【0034】
本開示に従って、LIDARシステム100は、自律走行又は半自律走行の道路車両(例えば自動車、バス、ライトバン、トラック、及び他の任意の地上車)において使用することができる。LIDARシステム100を備えた自律走行道路車両は、環境をスキャンし、人の入力なしで目的地車両まで運転することができる。同様に、LIDARシステム100は、自律型/半自律型航空機(例えばUAV、ドローン、クワッドコプター、及び他の任意の航空機もしくは飛行デバイス)、又は自律型もしくは半自律型の水上船(例えばボート、船、潜水艦、及び他の任意の船舶)においても使用され得る。LIDARシステム100を備えた自律型航空機及び水上船は、環境をスキャンし、自律的に又は遠隔の人のオペレータを用いて目的地までナビゲートすることができる。一実施形態に従って、車両110(道路車両、航空機、又は水上船)は、車両110が動作している環境の検出及びスキャンに役立てるためLIDARシステム100を使用することができる。
【0035】
LIDARシステム100またはそのコンポーネントのいずれも、本明細書で開示される実施形態例及び方法のいずれとも一緒に使用され得ることに留意すべきである。更に、LIDARシステム100のいくつかの態様は例示的な車両ベースのLIDARプラットフォームに関連して説明されるが、LIDARシステム100、そのコンポーネントのいずれか、または本明細書で説明するプロセスのいずれかは、他のプラットフォームタイプのLIDARシステムに適用可能であり得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、LIDARシステム100は、車両110の周りの環境をスキャンするための1つ以上のスキャンユニット104を含み得る。LIDARシステム100は、車両110の任意の部分に取り付けるか又は搭載することができる。検知ユニット106は、車両110の周囲からの反射を受信し、視野120内の物体から反射した光を示す反射信号を処理ユニット108に転送することができる。本開示に従って、スキャンユニット104は、車両110のバンパー、フェンダー、サイドパネル、スポイラ、屋根、ヘッドライトアセンブリ、テールライトアセンブリ、バックミラーアセンブリ、フード、トランク、又はLIDARシステムの少なくとも一部を収容できる他の任意の適切な部分に搭載するか又は組み込むことができる。場合によっては、LIDARシステム100は車両110の環境の完全な周囲ビューをキャプチャする。このため、LIDARシステム100は360°の水平方向視野を有し得る。一例において、
図1Aに示されているように、LIDARシステム100は車両110の屋根に搭載された単一のスキャンユニット104を含み得る。あるいはLIDARシステム100は、それぞれ視野を有する複数のスキャンユニット(例えば2、3、4、又はそれ以上のスキャンユニット104)を含み、これらの視野を合わせると車両110の周りの360度のスキャンによって水平方向視野をカバーすることができる。LIDARシステム100は任意のやり方で配置された任意の数のスキャンユニット104を含み、使用されるユニット数に応じて各ユニットが80°から120°又はそれ未満の視野を有し得ることは、当業者に認められよう。更に、各々が単一のスキャンユニット104を備えた複数のLIDARシステム100を車両110上に搭載することによって、360°の水平方向視野を得ることも可能である。それにもかかわらず、1つ以上のLIDARシステム100が完全な360°の視野を与える必要はないこと、及び、いくつかの状況ではより狭い視野が有用であり得ることに留意するべきである。例えば車両110は、車両の前方に75°の視野を有する第1のLIDARシステム100と、場合によっては後方に同様のFOVを有する(任意選択的に、より小さい検出範囲を有する)第2のLIDARシステム100と、を必要とする可能性がある。また、様々な垂直方向視野角も実施され得ることに留意するべきである。
【0037】
図1Bは、開示される実施形態に従った、車両110上に搭載されたLIDARシステム100の単一のスキャンサイクルからの例示的な出力を示す画像である。この例において、スキャンユニット104は車両110の右ヘッドライトアセンブリに組み込まれている。画像における全ての灰色ドットは、検知ユニット106によって検出された反射から決定された車両110の周りの環境内のロケーションに対応する。ロケーションに加えて、各灰色ドットは、例えば強度(例えばそのロケーションからどのくらいの量の光が戻るか)、反射率、他のドットに対する近接、及びその他のもの等、様々なタイプの情報に関連付けることも可能である。一実施形態において、LIDARシステム100は、視野の複数のスキャンサイクルで検出された反射から複数のポイントクラウドデータエントリを生成して、例えば車両110の周りの環境のポイントクラウドモデルの決定を可能とすることができる。
【0038】
図1Cは、LIDARシステム100の出力から決定されたポイントクラウドモデルの表現を示す画像である。開示される実施形態に従って、車両110の周りの環境の生成されたポイントクラウドデータエントリを処理することにより、ポイントクラウドモデルから周囲ビュー画像を生成できる。一実施形態において、ポイントクラウドモデルは、ポイントクラウド情報を処理して複数のフィーチャを識別するフィーチャ抽出モジュールに提供することができる。各フィーチャは、ポイントクラウド及び/又は車両110の周りの環境内の物体(例えば自動車、木、人物、及び道路)の様々な様相(aspect)に関するデータを含み得る。フィーチャは、同一の解像度のポイントクラウドモデルを有する(すなわち、任意選択的に同様の大きさの2Dアレイに配置された同数のデータポイントを有する)、又は異なる解像度を有し得る。フィーチャは、任意の種類のデータ構造内に記憶することができる(例えばラスタ、ベクトル、2Dアレイ、1Dアレイ)。更に、車両110の表現、境界線、又は(例えば
図1Bに示されているような)画像内の領域もしくは物体を分離する境界ボックス、及び1つ以上の識別された物体を表すアイコンのような仮想フィーチャを、ポイントクラウドモデルの表現の上に重ねて、最終的な周囲ビュー画像を形成できる。例えば、周囲ビュー画像の中央に車両110の記号を重ねることができる。
【0039】
投影ユニット
図2Aから
図2Gは、LIDARシステム100における投影ユニット102の様々な構成及びその役割を示す。具体的には、
図2Aは単一の光源を備えた投影ユニット102を示す図であり、
図2Bは共通の光偏向器114に照準を合わせた複数の光源を備えた複数の投影ユニット102を示す図であり、
図2Cは一次及び二次光源112を備えた投影ユニット102を示す図であり、
図2Dは投影ユニット102のいくつかの構成で使用される非対称偏向器を示す図であり、
図2Eは、非スキャンLIDARシステムの第1の構成を示す図であり、
図2Fは、非スキャンLIDARシステムの第2の構成を示す図であり、
図2Gは、アウトバウンド方向においてスキャンし、インバウンド方向においてスキャンしないLIDARシステムを示す図である。投影ユニット102の図示される構成は多くの変形及び変更を有し得ることは当業者に認められよう。
【0040】
図2Aは、投影ユニット102が単一の光源112を含むLIDARシステム100のバイスタティック構成の一例を示す。「バイスタティック構成(bi-static configuration)」という用語は、LIDARシステムから出射する投影光及びLIDARシステムに入射する反射光が実質的に異なる光路を通るLIDARシステム構成を広く指す。いくつかの実施形態では、LIDARシステム100のバイスタティック構成は、完全に異なる光学コンポーネントの使用によるか、平行であるが、完全には分離されていない光学コンポーネントの使用によるか、または光路の一部だけに対して同一の光学コンポーネントの使用による、光路の分離を含み得る(光学コンポーネントは、例えば、ウィンドウ、レンズ、ミラー、ビームスプリッタ等を含み得る)。
図2Aに示される例において、バイスタティック構成は、アウトバウンド光及びインバウンド光が単一の光学ウィンドウ124を通過するが、スキャンユニット104は2つの光偏向器を含む構成を含んでいる。第1の光偏向器114Aはアウトバウンド光用であり、第2の光偏向器114Bはインバウンド光用のものである(LIDARシステムのインバウンド光は、シーン内の物体から反射した放出光を含み、更に、他のソースから到達する周囲光も含み得る)。
図2E及び
図2Gに示される例において、バイスタティック構成は、アウトバウンド光が第1の光学ウィンドウ124Aを通過し、インバウンド光は第2の光学ウィンドウ124Bを通過する構成を含んでいる。前述の全ての構成例において、インバウンド光路及びアウトバウンド光路は相互に異なる。
【0041】
この実施形態において、LIDARシステム100の全てのコンポーネントは、単一の筐体200内に収容するか、又は複数の筐体間に分割することができる。図示のように、投影ユニット102は、光(投影光204)を放出するように構成されたレーザダイオード202A(又は共に結合された1つ以上のレーザダイオード)を含む単一の光源112に関連付けられている。1つの非限定的な例では、光源112によって投影される光は、約800nmから約950nmの間の波長であり、約50mWから約500mWの間の平均パワーを有し、約50Wから約200Wの間のピークパワーを有し、約2nsから約100nsの間のパルス幅を有し得る。更に、光源112は任意選択的に、レーザダイオード202Aによって放出された光の操作のため(例えばコリメーションや集束等のため)に使用される光学アセンブリ202Bに関連付けることができる。他のタイプの光源112も使用可能であり、本開示はレーザダイオードに限定されないことに留意するべきである。更に、光源112は、光パルス、変調周波数、連続波(CW)、準CW、又は使用される特定の光源に対応した他の任意の形態のように、様々なフォーマットで光を放出することができる。投影フォーマット及び他のパラメータは、処理ユニット108からの命令のような異なるファクタに基づいて、時々光源によって変更されることがある。投影光は、視野120に投影光を誘導するためのステアリング要素として機能するアウトバウンド偏向器114Aの方へ投影される。この例において、スキャンユニット104は、視野120内の物体208から反射して戻った光子(反射光206)をセンサ116の方へ誘導する枢動可能帰還偏向器114Bも含む。反射光はセンサ116によって検出され、物体に関する情報(例えば物体212までの距離)は処理ユニット118によって決定される。
【0042】
この図において、LIDARシステム100はホスト210に接続されている。本開示に従って、「ホスト」という用語は、LIDARシステム100とインタフェースで接続する任意のコンピューティング環境を指し、車両システム(例えば車両110の一部)、試験システム、セキュリティシステム、調査システム、交通制御システム、都会モデリングシステム、又はその周囲を監視する任意のシステムであり得る。そのようなコンピューティング環境は、少なくとも1つのプロセッサを含む、及び/又はクラウドを介してLIDARシステム100に接続され得る。いくつかの実施形態において、ホスト210は、カメラや、ホスト210の様々な特徴(例えば加速度、ハンドルの偏向、車の後退等)を測定するように構成されたセンサのような外部デバイスに対するインタフェースも含み得る。本開示に従って、LIDARシステム100は、ホスト210に関連付けられた静止物体(例えば建物、三脚)、又はホスト210に関連付けられた携帯型システム(例えば携帯型コンピュータ、ムービーカメラ)に固定することができる。本開示に従って、LIDARシステム100をホスト210に接続することで、LIDARシステム100の出力(例えば3Dモデル、反射率画像)をホスト210に提供できる。具体的には、ホスト210はLIDARシステム100を用いて、ホスト210の環境又は他の任意の環境の検出及びスキャンに役立てることができる。更に、ホスト210は、LIDARシステム100の出力を、他の検知システム(例えばカメラ、マイクロフォン、レーダシステム)の出力と一体化するか、同期するか、又は他の方法で共に使用することができる。一例において、LIDARシステム100はセキュリティシステムによって使用され得る。
【0043】
また、LIDARシステム100は、LIDARシステム100内で情報を転送するためサブシステム及びコンポーネントを相互接続するバス212(又は他の通信機構)も含み得る。任意選択的に、バス212(又は別の通信機構)は、LIDARシステム100をホスト210と相互接続するため使用することができる。
図2Aの例において、処理ユニット108は、少なくとも部分的にLIDARシステム100の内部フィードバックから受信した情報に基づいて、投影ユニット102、スキャンユニット104、及び検知ユニット106の動作を連携させて規制するための2つのプロセッサ118を含む。言い換えると、処理ユニット108は、LIDARシステム100を閉ループ内で動的に動作させるように構成できる。閉ループシステムは、要素のうち少なくとも1つからのフィードバックを有し、受信したフィードバックに基づいて1つ以上のパラメータを更新することによって特徴付けられる。更に、閉ループシステムは、フィードバックを受信し、少なくとも部分的にそのフィードバックに基づいてそれ自体の動作を更新することができる。動的システム又は要素は、動作中に更新できるものである。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、LIDARシステム100の周りの環境をスキャンすることは、視野120を光パルスで照射することを含み得る。光パルスは、パルス持続時間、パルス角分散、波長、瞬時パワー、光源112からの異なる距離における光子密度、平均パワー、パルスパワー強度、パルス幅、パルス繰り返し率、パルスシーケンス、パルスデューティサイクル、波長、位相、偏光、及びその他のもののようなパラメータを有し得る。また、LIDARシステム100の周りの環境をスキャンすることは、反射光の様々な様相を検出し特徴付けることを含み得る。反射光の特徴は、例えば飛行時間(すなわち放出から検出までの時間)、瞬時パワー(例えばパワーシグネチャ(power signature))、帰還パルス全体の平均パワー、及び帰還パルス期間における光子分布/信号を含み得る。光パルスの特徴を対応する反射の特徴と比較することによって、距離を推定し、場合によっては物体212の反射強度のような物理特性も推定することができる。このプロセスを、所定のパターン(例えばラスタ、リサジュー、又は他のパターン)で複数の隣接部分122に繰り返すことによって、視野120の全体的なスキャンを達成できる。以下で更に詳しく検討するように、いくつかの状況においてLIDARシステム100は、各スキャンサイクルにおいて視野120の部分122の一部にのみ光を誘導することができる。これらの部分は相互に隣接している場合があるが、必ずしもそうとは限らない。
【0045】
別の実施形態において、LIDARシステム100は、ホスト210(例えば車両コントローラ)と通信を行うためのネットワークインタフェース214を含み得る。LIDARシステム100とホスト210との間の通信は破線の矢印によって表されている。一実施形態においてネットワークインタフェース214は、総合デジタル通信網(ISDN:integrated services digital network)カード、ケーブルモデム、衛星モデム、又は対応するタイプの電話線にデータ通信接続を与えるモデムを含み得る。別の例として、ネットワークインタフェース214は、コンパチブルなローカルエリアネットワーク(LAN)にデータ通信接続を与えるLANカードを含み得る。別の実施形態において、ネットワークインタフェース214は、無線周波数受信器及び送信器及び/又は光学(例えば赤外線)受信器及び送信器に接続されたイーサネットポートを含み得る。ネットワークインタフェース214の具体的な設計及び実施は、LIDARシステム100及びホスト210が動作するように意図された1又は複数の通信ネットワークに依存する。例えば、ネットワークインタフェース214を用いて、3DモデルやLIDARシステム100の動作パラメータのようなLIDARシステム100の出力を外部システムに提供することができる。他の実施形態では、通信ユニットを用いて、例えば外部システムから命令を受信し、検査された環境に関する情報を受信し、別のセンサからの情報を受信することができる。
【0046】
図2Bは、複数の投影ユニット102を含むLIDARシステム100のモノスタティック構成の一例を示す。「モノスタティック構成(monostatic configuration)」という用語は、LIDARシステムから出射する投影光及びLIDARシステムに入射する反射光が実質的に同一の光路を通るLIDARシステム構成を広く指す。一例において、アウトバウンド光ビーム及びインバウンド光ビームは、アウトバウンド光ビーム及びインバウンド光ビームの両方が通る少なくとも1つの光学アセンブリを共有し得る。別の例では、アウトバウンド光は光学ウィンドウ(図示せず)を通過し、インバウンド光放射は同一の光学ウィンドウ(図示せず)を通過し得る。モノスタティック構成は、スキャンユニット104が単一の光偏向器114を含み、これが投影光を視野120の方へ誘導すると共に反射光をセンサ116の方へ誘導する構成を含み得る。図示のように、投影光204及び反射光206は双方とも非対称偏向器216に入射する。「非対称偏向器」という用語は、2つの側を有する任意の光学デバイスであって、一方の側から入射する光ビームを第2の側から入射する光ビームを偏向させるのとは異なる方向に偏向させ得るものを指す。一例において、非対称偏向器は投影光204を偏向させず、反射光206をセンサ116の方へ偏向させる。非対称偏向器の一例は偏光ビームスプリッタを含み得る。別の例において、非対称216は、光を一方向にのみ通過させることができる光アイソレータを含み得る。非対称偏向器216の概略図が
図2Dに示されている。本開示に従って、LIDARシステム100のモノスタティック構成は、反射光が光源112に入射するのを防止すると共に全ての反射光をセンサ116の方へ誘導することで検出感度を増大させる非対称偏向器を含み得る。
【0047】
図2Bの実施形態において、LIDARシステム100は、共通の光偏向器114に照準を合わせた単一の光源112をそれぞれ備える3つの投影ユニット102を含む。一実施形態において、複数の光源112(2つ以上の光源を含む)は実質的に同じ波長で光を投影することができ、各光源112は概ね、視野の異なるエリア(120A、120B、120Cとして図に示されている)に関連付けられている。これによって、1つの光源112で達成され得るよりも広い視野のスキャンが可能となる。別の実施形態では、複数の光源102は異なる波長で光を投影することができ、全ての光源112を視野120の同じ部分(又は重複部分)に誘導することができる。
【0048】
図2Cは、投影ユニット102が一次光源112A及び二次光源112Bを含むLIDARシステム100の例を示す。一次光源112Aは、SNR及び検出範囲を最適化するため、人の目に感知されるよりも長い波長の光を投影することができる。例えば一次光源112Aは、約750nmから1100nmの間の波長の光を投影できる。これに対して二次光源112Bは、人の目に見える波長の光を投影することができる。例えば二次光源112Bは、約400nmから700nmの間の波長の光を投影できる。一実施形態において、二次光源112Bは、一次光源112Aによって投影される光と実質的に同じ光路に沿って光を投影できる。双方の光源は時間同期することができ、同時に又は交互のパターンで光放出を投影できる。交互のパターンは、光源が同時にアクティブにならないことを意味し、相互干渉を軽減することができる。波長範囲及び活性化スケジュールの他の組み合わせも実施され得ることは当業者に認められよう。
【0049】
いくつかの実施形態に従って、二次光源112BがLIDAR光学出力ポートに近すぎる場合、人はまばたきする可能性がある。これによって、近赤外スペクトルを利用する典型的なレーザ源では実現できない目に安全な機構を保証し得る。別の実施形態において、二次光源112Bは、POS(point of service:サービス提供時点管理)における較正及び信頼性のため使用することができる。これは、車両110に対して地面から特定の高さの特別なリフレクタ/パターンを用いて行われるヘッドライトの較正と多少類似した方法で行われる。POSのオペレータは、LIDARシステム100から指定距離にある試験パターンボード等の特徴的なターゲット上のスキャンパターンを単に目視検査することで、LIDARの較正を調べることができる。更に、二次光源112Bは、LIDARがエンドユーザのため動作しているという動作信頼性のための手段を提供できる。例えばシステムは、光偏向器114の前に人が手を置いてその動作を試すことができるように構成され得る。
【0050】
また、二次光源112Bは、一次光源112Aが故障した場合にバックアップシステムとして兼用できる非可視要素も有し得る。この特徴は、高い機能的安全性ランクを有するフェイルセーフデバイスに有用であり得る。二次光源112Bが可視であることを踏まえ、更にコスト及び複雑さの理由から、二次光源112Bは一次光源112Aよりも小さいパワーを伴い得る。従って、もし一次光源112Aが故障した場合、システムの機能性は二次光源112Bの機能及び能力セットへ低下することになる。二次光源112Bの能力は一次光源112Aの能力よりも劣る場合があるが、LIDARシステム100のシステムは、車両110が目的地に安全に到着できるように設計され得る。
【0051】
図2Dは、LIDARシステム100の一部となり得る非対称偏向器216を示す。図示されている例において、非対称偏向器216は、反射面218(ミラー等)及び一方向偏向器220を含む。必ず当てはまるわけではないが、非対称偏向器216は任意選択的に静電型偏向器(static deflector)とすることができる。非対称偏向器216は、例えば
図2B及び
図2Cに示すように、少なくとも1つの偏向器114を介した光の送信及び受信に共通の光路を可能とするため、LIDARシステム100のモノスタティック構成において使用できる。しかしながら、ビームスプリッタのような典型的な非対称偏向器は、特に送信路よりもパワー損失に敏感である可能性のある受信路において、エネルギ損失によって特徴付けられる。
【0052】
図2Dに示されているように、LIDARシステム100は送信路に位置決めされた非対称偏向器216を含むことができる。非対称偏向器216は、送信光信号と受信光信号とを分離するための一方向偏向器220を含む。任意選択的に、一方向偏向器220は送信光に対して実質的に透明であり、受信光に対して実質的に反射性であり得る。送信光は投影ユニット102によって生成され、一方向偏向器220を通ってスキャンユニット104へ進むことができる。スキャンユニット104は送信光を光アウトレットの方へ偏向させる。受信光は光インレットを通って少なくとも1つの偏向要素114に到達し、偏向要素114は反射信号を光源から離れて検知ユニット106へ向かう別の経路に偏向させる。任意選択的に、非対称偏向器216は、一方向偏向器220と同一の偏光軸で直線偏光される偏光光源112と組み合わせてもよい。特に、アウトバウンド光ビームの断面は反射信号の断面よりも著しく小さい。従って、LIDARシステム100は、放出された偏光ビームを非対称偏向器216の寸法まで集束させるか又は他の方法で操作するための1つ以上の光学コンポーネント(例えばレンズ、コリメータ)を含み得る。一実施形態において、一方向偏向器220は、偏光ビームに対して事実上透明である偏光ビームスプリッタとすることができる。
【0053】
いくつかの実施形態に従って、LIDARシステム100は、放出光の偏光を変えるための光学系222(例えば4分の1波長位相差板)を更に含み得る。例えば、光学系222は放出光ビームの直線偏光を円偏光に変えることができる。視野から反射してシステム100に戻った光は、偏向器114を通って光学系222に到達し、送信光とは逆回りの円偏光である。次いで光学系222は、受信した反対回りの偏光を、偏光ビームスプリッタ216と同一の軸でない直線偏光に変換する。上記のように、ターゲットまでの距離を伝達するビームの光学分散のため、受信光部分は送信光部分よりも大きい。
【0054】
受信光の一部は一方向偏向器220に入射し、一方向偏向器220は、いくらかのパワー損失を伴って光をセンサ106の方へ反射する。しかしながら、受信光の別の部分は、一方向偏向器220を取り囲む反射面218(例えば偏光ビームスプリッタのスリット)に入射する。反射面218は、実質的にパワー損失なしで光を検知ユニット106の方へ反射する。一方向偏向器220は、様々な偏光軸及び方向から構成された光を反射し、これは最終的には検出器に到達する。任意選択的に、検知ユニット106は、レーザ偏光に依存せず、主に特定波長範囲の入射光子量に対する感度が高いセンサ116を含むことができる。
【0055】
提案される非対称偏向器216は、貫通孔を備えた単純なミラーに比べてはるかに優れた性能を提供することに留意するべきである。孔を備えたミラーでは、孔に到達した反射光は全て検出器から失われる。しかしながら偏向器216では、一方向偏向器220がその光のかなりの部分(例えば約50%)を各センサ116の方へ偏向させる。LIDARシステムにおいて、遠隔距離からLIDARに到達する光子数は極めて限られるので、光子捕獲率の向上は重要である。
【0056】
いくつかの実施形態に従って、ビーム分割及びステアリングのためのデバイスが記載される。第1の偏光を有する光源から偏光ビームを放出することができる。放出されたビームは偏光ビームスプリッタアセンブリを通過するように誘導できる。偏光ビームスプリッタアセンブリは、第1の側の一方向スリット及び反対側のミラーを含む。一方向スリットによって、放出された偏光ビームを4分の1波長位相差板の方へ伝達することができる。4分の1波長位相差板は、放出された信号を偏光信号から線形信号へ(又はその逆に)変化させることで、後に反射ビームが一方向スリットを通過できないようにする。
【0057】
図2Eは、スキャンユニット104のないLIDARシステム100のバイスタティック構成の例を示す。視野全体(または実質的に視野全体)を偏向器114なしで照射するために、投影ユニット102は任意選択的に光源のアレイ(例えば、112A~112F)を含み得る。一実施形態において、光源のアレイは、プロセッサ118によって制御される光源の線形アレイを含み得る。例えば、プロセッサ118は、光源の線形アレイに平行レーザビームを第1の任意選択的な光学ウィンドウ124Aに向かって連続的に投影させ得る。第1の任意選択的な光学ウィンドウ124Aは、投影光を拡散させて、水平に広くて垂直に狭いビームを連続して形成するためのディフューザレンズを含み得る。任意選択的に、システム100の少なくとも1つの光源112の一部または全部は、光を同時に投影し得る。例えば、プロセッサ118は、光源のアレイに、複数の非隣接の光源112からの光ビームを同時に投影させ得る。図示例では、光源112A、光源112D、及び光源112Fは、レーザビームを第1の任意選択的な光学ウィンドウ124Aに向かって同時に投影し、それにより視野を3つの狭い垂直ビームで照射する。第4の光源112Dからの光ビームは、視野内の物体に到達し得る。物体から反射した光は、第2の光学ウィンドウ124Bによってキャプチャされ得、センサ116へ方向転換され得る。投影光及び反射光の光路は実質的に異なるので、
図2Eに示される構成は、バイスタティック構成であると考えられる。投影ユニット102は、2次元アレイ等の非線形構成に、6角形タイルに、または任意の他の方法で、配置された複数の光源112も含み得ることに留意されたい。
【0058】
図2Fは、スキャンユニット104のないLIDARシステム100のモノスタティック構成の一例を示す。
図2Eに示されている実施形態例と同様、偏向器114なしで視野全体を照射するために、投影ユニット102は光源のアレイ(例えば、112A~112F)を含み得る。しかし、
図2Eとは対照的に、LIDARシステム100のこの構成は、投影光及び反射光の両方のための単一の光学ウィンドウ124を含み得る。非対称偏向器216を使用すると、反射光はセンサ116へ方向転換され得る。投影光及び反射光の光路は実質的に相互に類似しているので、
図2Eに示される構成は、モノスタティック構成であると考えられる。投影光及び反射光の光路の文脈における「実質的に類似(substantially similar)」という用語は、その2つの光路の間の重なりが80%以上、85%以上、90%以上、または95%以上であり得ることを意味する。
【0059】
図2Gは、LIDARシステム100のバイスタティック構成の一例を示す。この図におけるLIDARシステム100の構成は、
図2Aに示される構成と類似している。例えば、両方の構成はアウトバウンド方向における投影光を視野の方へ誘導するためのスキャンユニット104を含む。しかし、
図2Aの実施形態とは対照的に、この構成では、スキャンユニット104はインバウンド方向における反射光を方向転換しない。代わりに、反射光は第2の光学ウィンドウ124Bを通過してセンサ116に入る。投影光及び反射光の光路は実質的に相互に異なるので、
図2Gに示される構成は、バイスタティック構成であると考えられる。投影光及び反射光の光路の文脈における「実質的に異なる(substantially different)」という用語は、その2つの光路の間の重なりが10%未満、5%未満、1%未満、または0.25%未満であり得ることを意味する。
【0060】
スキャンユニット
図3Aから
図3Dは、LIDARシステム100におけるスキャンユニット104の様々な構成及びその役割を示す。具体的には、
図3AはMEMSミラー(例えば方形)を備えたスキャンユニット104を示す図であり、
図3BはMEMSミラー(例えば円形)を備えたスキャンユニット104を示す図であり、
図3CはモノスタティックスキャンLIDARシステムで使用されるリフレクタのアレイを備えたスキャンユニット104を示す図であり、
図3DはLIDARシステム100の周りの環境を機械的にスキャンする例示的なLIDARシステム100を示す図である。スキャンユニット104の図示されている構成は単なる例示であり、本開示の範囲内で多くの変形及び変更を有し得ることは、当業者に認められよう。
【0061】
図3Aは、単一軸の方形MEMSミラー300を備えた例示的なスキャンユニット104を示す。この例において、MEMSミラー300は少なくとも1つの偏向器114として機能する。図示のように、スキャンユニット104は1つ以上のアクチュエータ302(具体的には302A及び302B)を含み得る。一実施形態において、アクチュエータ302は、半導体(例えばシリコン)で作製することができ、作動コントローラによって印加された電気信号に応答して寸法を変える圧電層(例えばPZT、チタン酸ジルコン酸鉛、窒化アルミニウム)と、半導体層と、ベース層と、を含む。一実施形態において、アクチュエータ302の物理特性は、電流が流れた場合にアクチュエータ302に加わる機械的応力を決定し得る。圧電材料が活性化されると、これがアクチュエータ302に力を加えてアクチュエータ302を曲げる。一実施形態において、ミラー300が特定の角度位置に偏向した場合のアクティブ状態の1つ以上のアクチュエータ302の抵抗率(Ractive)を測定し、休止状態の抵抗率(Rrest)と比較することができる。Ractiveを含むフィードバックは、予想角と比べられる実際のミラー偏向角を決定するための情報を与え、必要に応じてミラー300の偏向を補正することができる。RrestとRactiveとの差を、ループを閉じるように機能し得る角度偏向値へのミラー駆動に相関付けることができる。この実施形態は、実際のミラー位置の動的追跡のために使用され、線形モード及び共振モードの双方のMEMSミラースキームにおいて応答、振幅、偏向効率、及び周波数を最適化することができる。この実施形態については
図32から
図34を参照して以下で更に詳しく説明する。
【0062】
スキャン中、接点304Aから接点304Bまで(アクチュエータ302A、ばね306A、ミラー300、ばね306B、及びアクチュエータ302Bを介して)電流が流れ得る(図では破線で表されている)。絶縁ギャップ310のような半導体フレーム308の絶縁ギャップによって、アクチュエータ302A及び302Bは、ばね306及びフレーム308を介して電気的に接続された2つの別個のアイランドとなり得る。電流、又は任意の関連付けられた電気的パラメータ(電圧、電流周波数、容量、比誘電率等)を、関連した位置フィードバックによって監視することができる。コンポーネントのうち1つが損傷する機械的故障の場合、構造を流れる電流が変わり、機能的な較正値から変化する。極端な状況では(例えば、ばねが破損した場合)、故障した要素による電気チェーンの回路遮断のため、電流は完全に中断する。
【0063】
図3Bは、二軸円形MEMSミラー300を備えた別の例示的なスキャンユニット104を示す。この例において、MEMSミラー300は少なくとも1つの偏向器114として機能する。一実施形態において、MEMSミラー300は約1mmから約5mmの間の直径を有し得る。図示のように、スキャンユニット104は、それぞれ異なる長さである可能性がある4つのアクチュエータ302(302A、302B、302C、及び302D)を含み得る。図示する例において、電流(図では破線で表されている)は接点304Aから接点304Dへ流れるが、他の場合、電流は接点304Aから接点304Bへ、接点304Aから接点304Cへ、接点304Bから接点304Cへ、接点304Bから接点304Dへ、又は接点304Cから接点304Dへ流れ得る。いくつかの実施形態に従って、二軸MEMSミラーは、水平方向及び垂直方向に光を偏向させるように構成できる。例えば二軸MEMSミラーの偏向角は、垂直方向に約0°から30°の間であり、水平方向に約0°から50°の間とすることができる。ミラー300の図示されている構成は多くの変形及び変更を有し得ることは当業者に認められよう。一例において、少なくとも偏向器114は、二軸方形ミラー又は単一軸円形ミラーを有することも可能である。円形ミラー及び方形ミラーの例は、単に一例として
図3A及び
図3Bに示されている。システム仕様に応じて任意の形状を採用できる。一実施形態においては、アクチュエータ302を少なくとも偏向器114の一体的な部分として組み込んで、MEMSミラー300を移動させるためのパワーを直接与えられるようになっている。更に、MEMSミラー300は1つ以上の剛性支持要素によってフレーム308に接続され得る。別の実施形態では、少なくとも偏向器114は静電又は電磁MEMSミラーを含み得る。
【0064】
上述のように、モノスタティックスキャンLIDARシステムは、投影光204の放出及び反射光206の受光のために同じ光路の少なくとも一部を利用する。アウトバウンド経路の光ビームはコリメートされて細いビームに集束され得るが、帰還経路の反射は分散のためより大きい光部分に広がる。一実施形態において、スキャンユニット104は帰還経路において大きい反射エリアを有し、反射(すなわち反射光206)をセンサ116へ方向転換する非対称偏向器216を有し得る。一実施形態において、スキャンユニット104は、大きい反射エリアを備えたMEMSミラーを含むことができ、視野及びフレームレート性能に対する影響は無視できる程度である。非対称偏向器216についての更なる詳細は
図2Dを参照して以下に与えられる。
【0065】
いくつかの実施形態において(例えば
図3Cに例示されているように)、スキャンユニット104は、小型の光偏向器(例えばミラー)を備えた偏向器アレイ(例えばリフレクタアレイ)を含み得る。一実施形態においては、同期して動作する個別の小型の光偏向器のグループとして光偏向器114を実施することで、光偏向器114は、より大きな偏向角及び高いスキャンレートで実行可能となる。偏向器アレイは事実上、有効エリアに関して大型の光偏向器(例えば大型のミラー)として機能できる。偏向器アレイは、共有ステアリングアセンブリ構成を用いて動作させることができる。この構成によって、センサ116は、光源112によって同時に照射される視野120の実質的に同じ部分からの反射光子を収集できる。「同時に」という用語は、2つの選択された機能が、一致するか又は重複する時間期間中に発生することを意味する。この場合、一方が他方の持続期間中に開始及び終了するか、又は後のものが他方の完了前に開始する。
【0066】
図3Cは、小型のミラーを有するリフレクタアレイ312を備えたスキャンユニット104の一例を示す。この実施形態において、リフレクタアレイ312は少なくとも1つの偏向器114として機能する。リフレクタアレイ312は、(個別に又は一緒に)枢動し、光パルスを視野120の方へ向かわせるように構成された複数のリフレクタユニット314を含み得る。例えばリフレクタアレイ312は、光源112から投影された光のアウトバウンド経路の一部であり得る。具体的には、リフレクタアレイ312は、投影光204を視野120の一部へ誘導することができる。また、リフレクタアレイ312は、視野120の照射部分内に位置する物体の表面から反射した光の帰還経路の一部であり得る。具体的には、リフレクタアレイ312は、反射光206をセンサ116の方へ又は非対称偏向器216の方へ誘導することができる。一例において、リフレクタアレイ312の面積は約75から約150mm
2の間であり得る。ここで、各リフレクタユニット314は約10μmの幅を有し、支持構造は100μmよりも低くすることができる。
【0067】
いくつかの実施形態によれば、リフレクタアレイ312は、操縦可能(steerable)偏向器の1つ以上のサブグループを含み得る。電気的に操縦可能な偏向器の各サブグループは、リフレクタユニット314のような1つ以上の偏向器ユニットを含み得る。例えば、各操縦可能偏向器ユニット314は、MEMSミラー、反射面アセンブリ、及び電気機械アクチュエータのうち少なくとも1つを含むことができる。一実施形態において、各リフレクタユニット314は、1つ以上の別個の軸の各々に沿って特定の角度に傾斜するように個々のプロセッサ(図示せず)によって個別に制御することができる。あるいは、リフレクタアレイ312は、リフレクタユニット314の少なくとも一部が同時に枢動してほぼ同じ方向を指し示すようにリフレクタユニット314の移動を同期して管理するよう構成された共通コントローラ(例えばプロセッサ118)に関連付けることができる。
【0068】
更に、少なくとも1つのプロセッサ118は、アウトバウンド経路用の少なくとも1つのリフレクタユニット314(以降、「送信用ミラー」と称する)、及び、帰還経路用のリフレクタユニット314のグループ(以降、「受信用ミラー」と称する)を選択することができる。本開示に従って、送信用ミラーの数を増やすと、反射光子ビームの広がりが増大する可能性がある。更に、受信用ミラーの数を減らすと、受信フィールドが狭くなり、周囲光条件(雲、雨、霧、極端な熱、及び他の環境条件)が補償され、信号対雑音比が改善する可能性がある。また、上記のように、放出光ビームは典型的に反射光部分よりも細いので、偏向アレイの小さい部分によって充分に検出できる。更に、送信に使用される偏向アレイの部分(例えば送信用ミラー)から反射した光がセンサ116に到達するのを阻止し、これによって、システム動作に対するLIDARシステム100の内部反射の効果を低減できる。また、少なくとも1つのプロセッサ118は、1つ以上のリフレクタユニット314を枢動させて、例えば熱的効果及び利得効果による機械的障害及びドリフトを克服することができる。一例において、1つ以上のリフレクタユニット314は、意図されるもの(周波数、レート、速度等)とは異なるように移動する可能性があるが、それらの移動は偏向器を適切に電気的に制御することによって補償され得る。
【0069】
図3Dは、LIDARシステム100の環境を機械的にスキャンする例示的なLIDARシステム100を示す。この例において、LIDARシステム100は、LIDARシステム100の軸を中心として筐体200を回転させるためのモータ又は他の機構を含み得る。あるいは、モータ(又は他の機構)は、1つ以上の光源112及び1つ以上のセンサ116が搭載されているLIDARシステム100の剛性構造を機械的に回転させ、これによって環境をスキャンすることができる。上述のように、投影ユニット102は、光放出を投影するように構成された少なくとも1つの光源112を含み得る。投影された光放出はアウトバウンド経路に沿って視野120の方へ進むことができる。具体的には、投影光204が任意選択的な光学ウィンドウ124の方へ進む場合、投影された光放出は偏向器114Aによって反射されて出射アパーチャ314を通ることができる。反射された光放出は、物体208から帰還経路に沿って検知ユニット106の方へ進むことができる。例えば、反射光206が検知ユニット106の方へ進む場合、反射光206は偏向器114Bによって反射される。1つ以上の光源又は1つ以上のセンサを同期して回転させるための回転機構を備えたLIDARシステムは、内部光偏向器を操縦する代わりに(又はそれに加えて)この同期させた回転を用い得ることは、当業者によって認められよう。
【0070】
視野120のスキャンが機械的である実施形態において、投影された光放出は、投影ユニット102をLIDARシステム100の他の部分から分離する壁316の一部である出射アパーチャ314へ誘導できる。いくつかの例において、壁316は、偏向器114Bを形成するため反射性材料で覆われた透明な材料(例えばガラス)で形成することができる。この例において、出射アパーチャ314は、反射性材料で覆われていない壁316の部分に相当し得る。これに加えて又はこの代わりに、出射アパーチャ314は壁316の孔又は切断部を含み得る。反射光206は、偏向器114Bによって反射され、検知ユニット106の入射アパーチャ318の方へ誘導され得る。いくつかの例において、入射アパーチャ318は、特定の波長範囲内の波長を検知ユニット106に入射させると共に他の波長を減衰させるように構成されたフィルタウィンドウを含み得る。視野120からの物体208の反射は、偏向器114Bによって反射されてセンサ116に入射することができる。反射光206のいくつかの特性を投影光204と比較することによって、物体208の少なくとも1つの様相を決定できる。例えば、投影光204が光源112によって放出された時点とセンサ116が反射光206を受光した時点とを比較することによって、物体208とLIDARシステム100との間の距離を決定できる。いくつかの例では、物体208の形状、色、材料のような他の様相も決定され得る。
【0071】
いくつかの例において、LIDARシステム100(又は、少なくとも1つの光源112及び少なくとも1つのセンサ116を含むその一部)を、少なくとも1つの軸を中心として回転させて、LIDARシステム100の周囲の3次元マップを決定することができる。例えば、視野120をスキャンするため、矢印320で示されているように実質的な垂直軸を中心としてLIDARシステム100を回転させることができる。
図3Dは、矢印320で示されているように軸を中心として時計回りにLIDARシステム100を回転させることを示すが、これに加えて又はこの代わりに、LIDARシステム100を反時計回りに回転させてもよい。いくつかの例において、LIDARシステム100は垂直軸を中心として360度回転させることができる。他の例において、LIDARシステム100は、LIDARシステム100の360度よりも小さいセクタに沿って前後に回転させ得る。例えば、LIDARシステム100を、完全な回転を行うことなく軸を中心として前後に揺れるプラットフォーム上に搭載することができる。
【0072】
検知ユニット
図4Aから
図4Eは、LIDARシステム100における検知ユニット106の様々な構成及びその役割を示す。具体的には、
図4Aは、検出器アレイを備えた例示的な検知ユニット106を示す図であり、
図4Bは、2次元センサを用いたモノスタティックスキャンを示す図であり、
図4Cは、2次元センサ116の一例を示す図であり、
図4Dは、センサ116に関連付けられたレンズアレイを示す図であり、
図4Eは、レンズ構造を示す3つの図を含む。図示されている検知ユニット106の構成は単なる例示であり、本開示の原理と一致する多くの代替的な変形及び変更を有し得ることは、当業者に認められよう。
【0073】
図4Aは、検出器アレイ400を備えた検知ユニット106の一例を示す。この例において、少なくとも1つのセンサ116は検出器アレイ400を含む。LIDARシステム100は、LIDARシステム100から異なる距離に位置する(数メートル又はそれ以上であり得る)視野120内の物体(例えば自転車208A及び雲208)を検出するように構成されている。物体208は、固体の物体(例えば道路、木、自動車、人物)、流体の物体(例えば霧、水、大気中の粒子)、又は別のタイプの物体(例えばほこり又は照射された粉末状物体)であり得る。光源112から放出された光子が物体208に当たると、光子は反射、屈折、又は吸収される。典型的には、図に示されているように、物体208Aから反射した光子のうち一部分のみが任意選択的な光学ウィンドウ124に入射する。距離の15cmまでの変化によって1nsの移動時間差が生じるので(光子は物体208との間で光の速度で移動するので)、異なる物体に当たった異なる光子の移動時間の時間差は、充分に迅速な応答で光時間センサによって検出可能であり得る。
【0074】
センサ116は、視野120から反射して戻ってきた光子パルスの光子を検出するための複数の検出要素402を含む。検出要素は全て、(例えば図示されているような)矩形配列又は他の任意の配列を有し得る検出器アレイ400に含まれ得る。検出要素402は同時に又は部分的に同時に動作することができる。具体的には、各検出要素402はサンプリング期間ごとに(例えば1ナノ秒ごとに)検出情報を提供し得る。一例において、検出器アレイ400は、共通のシリコン基板上の単一光子アバランシェダイオード(SPAD、検出要素402として機能する)のアレイから構築された固体単一光子検知デバイスであるSiPM(シリコン光電子増倍管)とすることができる。他の非シリコン材料による同様の光電子増倍管も使用できる。SiPMデバイスはデジタル/スイッチングモードで動作するが、全ての微小セルが並列に読み出されて、異なるSPADによって検出される単一の光子から数百及び数千の光子までのダイナミックレンジ内で信号を発生することを可能とするので、SiPMはアナログデバイスである。上述のように、2つ以上のタイプのセンサが実施され得る(例えばSiPM及びAPD)。場合によっては、検知ユニット106は、別個の又は共通のシリコン基板上に、SiPMアレイに一体化された少なくとも1つのAPD及び/又はSiPMに隣接して配置された少なくとも1つのAPD検出器を含む。
【0075】
一実施形態において、検出要素402を複数の領域404にグループ化することができる。これらの領域は、センサ116内の(例えば検出器アレイ400内の)幾何学的ロケーション又は環境であり、様々な形状に形成できる(例えば図示のような矩形、方形、環状等、又は他の任意の形状)。ある領域404の幾何学的エリア内に含まれる個々の検出器の全てがその領域に属するわけではないが、ほとんどの場合、領域間の境界にある程度の重複が望ましい場合を除いて、それらの検出器は、センサ310の他のエリアをカバーする他の領域404には属さない。
図4Aに示されているように、これらの領域は非重複領域404であり得るが、重複する場合もある。全ての領域に、その領域に関連した領域出力回路406を関連付けることができる。領域出力回路406は、対応する検出要素402のグループの領域出力信号を提供できる。例えば、出力回路406の領域は加算回路であり得るが、他の形態の各検出器の出力の単一出力への組み合わせも採用され得る(スカラー、ベクトル、又は他の任意のフォーマットにかかわらず)。任意選択的に、各領域404は単一のSiPMであるが、必ずしもそうとは限らず、1つの領域は、単一のSiPMの小部分、いくつかのSiPMのグループ、又は異なるタイプの検出器の組み合わせとしてもよい。
【0076】
図示されている例において、処理ユニット108は、(例えば車両110内の)ホスト210(の内部又は外部の)分離された筐体200Bに配置され、検知ユニット106は、反射光を分析するための専用プロセッサ408を含み得る。あるいは、反射光206を分析するために処理ユニット108を使用してもよい。LIDARシステム100は、図示されている例とは異なるやり方で複数の筐体に実装できることに留意するべきである。例えば、光偏向器114を、投影ユニット102及び/又は検知モジュール106とは異なる筐体に配置してもよい。一実施形態において、LIDARシステム100は、電気ワイヤ接続、無線接続(例えばRF接続)、光ファイバケーブル、及び上記のものの任意の組み合わせのような異なるやり方で相互に接続された複数の筐体を含むことができる。
【0077】
一実施形態において、反射光206の分析は、異なる領域の個々の検出器の出力に基づいて反射光206の飛行時間を決定することを含み得る。任意選択的に、プロセッサ408は、複数の領域の出力信号に基づいて反射光206の飛行時間を決定するように構成できる。飛行時間に加えて、処理ユニット108は反射光206を分析して帰還パルス全体の平均パワーを決定することができ、帰還パルス期間における光子分布/信号(「パルス形状」)を決定できる。図示されている例において、任意の検出要素402の出力は直接プロセッサ408に送信されず、領域404の他の検出器の信号と組み合わされ(例えば加算され)た後にプロセッサ408に渡すことができる。しかしながら、これは単なる例示であり、センサ116の回路は検出要素402からの情報を他のルートで(領域出力回路406を介することなく)プロセッサ408に送信することも可能である。
【0078】
図4Bは、2次元センサ116を用いてLIDARシステム100の環境をスキャンするように構成されたLIDARシステム100を示す図である。
図4Bの例において、センサ116は、4×6の検出器410(「画素」とも称される)の行列である。一実施形態において、画素サイズは約1×1mmとすることができる。センサ116は、2つの非平行な軸(例えば、図示の例に示されているような直交軸)において検出器410の2つ以上のセット(例えば行、列)を有するという意味で2次元である。センサ116内の検出器410の数は、例えば所望の分解能、信号対雑音比(SNR)、所望の検出距離等に応じて、様々な実施において変動し得る。例えば、センサ116は5から5,000までのいずれかの数の画素を有し得る。別の例(図には示していない)では、センサ116を1次元行列としてもよい(例えば1×8画素)。
【0079】
各検出器410は複数の検出要素402を含み得る。検出要素402は、例えばアバランシェフォトダイオード(APD)、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)、アバランシェフォトダイオード(APD)と単一光子アバランシェダイオード(SPAD)の組み合わせ、又は、レーザパルス送信イベントから受信イベントまでの飛行時間及び受信光子の強度の双方を測定する検出要素である。例えば各検出器410は、20から5,000までのいずれかの数のSPADを含み得る。各検出器410内の検出要素402の出力を、加算、平均化、又は他の方法で組み合わせて、一体的な画素出力を与えることができる。
【0080】
図示されている例において、検知ユニット106は、LIDARシステム100の視野120よりも小さい視野を有する2次元センサ116(又は複数の2次元センサ116)を含み得る。この考察において、視野120(いずれの方向にも移動、回転、又は横揺れすることなくLIDARシステム100によってスキャンできる全視野)を「第1のFOV412」と表記し、より小さいセンサ116の視野を「第2のFOV412」(「瞬時FOV」と言い換え可能である)と表記する。第1のFOV412に対する第2のFOV414の対象範囲は、LIDARシステム100の具体的な用途に応じて異なり、例えば0.5%から50%の間とすることができる。一例において、第2のFOV412は垂直方向に細長い0.05°から1°の間とすればよい。LIDARシステム100が2つ以上の2次元センサ116を含む場合であっても、それらのセンサアレイの視野の組み合わせは依然として第1のFOV412よりも小さく、例えば少なくとも5分の1、少なくとも10分の1、少なくとも20分の1、少なくとも50分の1であり得る。
【0081】
第1のFOV412をカバーするため、スキャンユニット106は、異なる時点で環境の異なる部分から到達する光子をセンサ116へ誘導することができる。図示されているモノスタティック構成では、投影光204を視野120の方へ誘導すると共に、少なくとも1つの偏向器114が瞬時位置に配置された場合、スキャンユニット106は反射光206をセンサ116へ誘導することができる。典型的に、第1のFOV412のスキャン中の各時点で、LIDARシステム100によって放出される光ビームは、(角度開口で)第2のFOV414よりも大きい環境の部分をカバーし、スキャンユニット104及びセンサ116によって集光される環境の部分を含む。
【0082】
図4Cは2次元センサ116の一例を示す図である。この実施形態において、センサ116は8×5の検出器410の行列であり、各検出器410は複数の検出要素402を含む。一例において、検出器410Aはセンサ116の第2の行(「R2」と表記されている)及び第3の列(「C3」と表記されている)に位置し、4×3の検出要素402の行列を含む。別の例において、検出器410Bはセンサ116の第4の行(「R4」と表記されている)及び第6の列(「C6」と表記されている)に位置し、3×3の検出要素402の行列を含む。従って、各検出器410内の検出要素402の数は一定であるか又は異なる場合があり、共通アレイ内の異なる検出器410は異なる数の検出要素402を有し得る。各検出器410内の全ての検出要素402の出力を、加算、平均化、又は他の方法で組み合わせて、単一の画素出力値を提供することができる。
図4Cの例における検出器410は矩形の行列(直線の行及び直線の列)に配列されているが、例えば円形の配列又はハニカム配列のような他の配列を用いてもよい。
【0083】
いくつかの実施形態によれば、各検出器410からの測定によって、光パルス放出イベントから受信イベントまでの飛行時間及び受信光子の強度を決定することが可能となる。受信イベントは、光パルスが物体208から反射された結果であり得る。飛行時間は、反射物体から任意選択的な光学ウィンドウ124までの距離を表すタイムスタンプ値であり得る。飛行時間値は、時間相関単一光子計数(TCSPC:Time Correlated Single Photon Counter)のような光子検出及び計数方法、信号積分及び検定(signal integration and qualification)のようなアナログの光子検出方法(アナログ-デジタル変換又は簡素な比較器による)、又は他の方法によって認識することができる。
【0084】
いくつかの実施形態において、また
図4Bを参照すると、スキャンサイクル中、少なくとも1つの光偏向器114の各瞬時位置を視野120の特定の部分122に関連付けることができる。センサ116の設計によって、視野120の単一部分からの反射光と複数の検出器410との関連付けが可能となる。従って、LIDARシステムのスキャン解像度は、(1スキャンサイクル当たりの)瞬時位置の数にセンサ116内の検出器410の数を乗算することによって表され得る。各検出器410(すなわち各画素)からの情報は、3次元空間においてキャプチャされた視野が構築される基本データ要素を表す。これは例えば、ポイントクラウド表現の基本要素を含み、空間位置及び関連付けられた反射強度値を有する。一実施形態において、複数の検出器410によって検出された視野120の単一部分からの反射は、視野120のその単一部分内に位置する様々な物体から戻ってきた可能性がある。例えば、視野120の単一部分は遠視野で50×50cmよりも大きい場合があり、相互に部分的に重なった2つ、3つ、又はそれ以上の物体を容易に含み得る。
【0085】
図4Dは、ここに開示される主題の例に従ったセンサ116の一部の横断面図である。センサ116の図示されている部分は、4つの検出要素402(例えば4つのSPAD、4つのAPD)を含む検出器アレイ400の一部を含む。検出器アレイ400は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)で実現された光検出器センサとすればよい。検出要素402の各々は、基板周囲内に位置決めされた検知エリアを有する。必ずしもそうとは限らないが、センサ116は、狭い視野を有するモノスタティックLiDARシステムにおいて使用することができる(例えば、スキャンユニット104が異なる時点で異なる視野部分をスキャンするので)。入射光ビームのための狭い視野は、実施された場合、焦点外の撮像の問題を解消する。
図4Dに例示されているように、センサ116は複数のレンズ422(例えばマイクロレンズ)を含むことができ、各レンズ422は入射光を異なる検出要素402の方へ(例えば検出要素402のアクティブエリアの方へ)誘導することができ、これは焦点外の撮像が問題でない場合に使用可能であり得る。センサ116に到達する光のほとんどを検出要素402のアクティブエリアの方へ偏向させ得るので、レンズ422を用いて検出器アレイ400の開口率(optical fill factor)及び感度を増大することができる。
【0086】
図4Dに例示されているような検出器アレイ400は、様々な方法(例えばインプラント)によってシリコン基板内に埋め込まれたいくつかの層を含むことができ、この結果、検知エリア、金属層に対する接点要素、及び絶縁要素(例えばシャロートレンチインプラント(STI)、ガードリング、光学トレンチ等)が得られる。検知エリアは、CMOS検出器における体積測定要素(volumetric element)であり、デバイスに適正な電圧バイアスが印加された場合に、入射する光子の電流への光学的変換を可能とする。APD/SPADの場合、検知エリアは、電界の組み合わせによって、光子吸収により生じた電子を増倍エリアの方へ引っ張り、このエリアで光子誘起電子が増幅されて、増倍された電子のアバランシェ破壊を引き起こす。
【0087】
前側の照射された検出器(例えば
図4Dに示されているような)は、半導体(シリコン)の上にある金属層と同じ側に入力光ポートを有する。金属層は、個々の光検出器要素(例えばアノード及びカソード)と、バイアス電圧、クエンチング/バラスト要素、及び共通アレイ内の他の光検出器のような様々な要素との電気的接続を実現する必要がある。光子が検出器の検知エリアに入射する際に通過する光学ポートは、金属層を介した通路で構成されている。この通路を介したいくつかの方向からの光の通過は、1つ以上の金属層(例えば
図4Dの最も左側の検出器要素402に図示されている金属層ML6)によって阻止され得ることに留意するべきである。このような阻止は、検出器の全体的な光吸収効率を低下させる。
【0088】
図4Eは、ここに開示される主題の例に従った、それぞれにレンズ422が関連付けられた3つの検出要素402を示す。402(1)、402(2)、及び402(3)と表記された
図4Eの3つの検出要素の各々は、センサ116の検出要素402の1つ以上に関連付けて実施され得るレンズ構成を示している。これらのレンズ構成の組み合わせも実施できることに留意するべきである。
【0089】
検出要素402(1)に関して図示されているレンズ構成では、関連付けられたレンズ422の焦点は半導体表面よりも上に位置することができる。任意選択的に、検出要素の異なる金属層の開口は、関連付けられたレンズ422によって生じる集束光の円錐形と整合した様々な大きさを有し得る。このような構造は、デバイス全体としてアレイ400の信号対雑音比及び分解能を改善することができる。パワーの伝送及び接地シールドのために大きい金属層が重要であり得る。この手法は例えば、入射光ビームが平行光線で構成され、撮像焦点が検出信号に対して何の影響も及ぼさない場合、狭い視野を有するモノスタティックLiDAR設計において有用であり得る。
【0090】
検出要素402(2)に関して図示されているレンズ構成では、スイートスポットを識別することによって、検出要素402による光子検出の効率を改善することができる。具体的には、CMOSで実装される光検出器は、検知体積エリア内に、光子がアバランシェ効果を生じる確率が最も高いスイートスポットを有し得る。従って、検出要素402(2)で例証されるように、レンズ422の焦点を検知体積エリア内部のスイートスポットロケーションに位置決めすることができる。レンズ形状及び焦点からの距離は、レンズから半導体材料内に埋め込まれた検知スイートスポットロケーションまでの経路に沿ってレーザビームが通過する全ての要素の屈折率を考慮に入れることができる。
【0091】
図4Eの右側の検出要素に関して図示されているレンズ構成では、拡散器及び反射要素を用いて、半導体材料における光子吸収の効率を改善することができる。具体的には、近IR波長は、シリコン材料の著しく長い経路によって、この経路を進む光子の高い吸収確率を達成する必要がある。典型的なレンズ構成では、光子は検知エリアを横断することがありし、吸収されて検出可能電子にならない可能性がある。光子が電子を生じる確率を改善する長い吸収経路によって、検知エリアの大きさは、典型的な製造プロセスで製造されるCMOSデバイスにとって実用的でない寸法(例えば数十um)になる。
図4Eの最も右側の検出器要素は、入射光子を処理するための技法を示している。関連付けられたレンズ422は入射光を拡散器要素424上に集束する。一実施形態において、光センサ116は、検出器のうち少なくともいくつかの外面から離れたギャップ内に位置する拡散器を更に含み得る。例えば拡散器424は、光ビームを横方向へ(例えばできる限り垂直方向に)検知エリア及び反射性光学トレンチ426の方へ向けることができる。拡散器の位置は、焦点、焦点よりも上方、又は焦点よりも下方である。この実施形態において、入射光は、拡散器要素が配置されている特定のロケーション上に集束され得る。任意選択的に、検出器要素422は、光子誘起電子が失われて有効検出効率を低下させ得る非アクティブエリアを光学的に回避するように設計される。反射性光学トレンチ426(又は他の形態の光学的に反射性の構造)は、光子を検知エリア内で往復させ、これによって検出の可能性が増大する。理想的には、光子が吸収されて電子/ホール対を生成するまで無制限に、光子は、検知エリア及び反射性トレンチから成るキャビティ内でトラップされる。
【0092】
本開示に従って、入射する光子を吸収して高い検出確率に寄与するため、長い経路が生成される。また、検出要素422において、他の検出器に漏れて誤検出イベントを発生する可能性のあるなだれ中の寄生光子のクロストーク効果を低減するため、光学トレンチも実施することができる。いくつかの実施形態によれば、より高い歩留まりの受信信号を利用する、つまり、できるだけ多くの受信信号を受信し、信号の内部劣化で失われる信号が少なくなるように、光検出器アレイを最適化することができる。光検出器アレイは、(a)任意選択的に基板の上にある金属層を適切に設計することによって、半導体表面よりも上のロケーションに焦点を移動させること、(b)基板の最も応答性の高い/感度の高いエリア(すなわちは「スイートスポット」)に焦点を誘導すること、(c)基板よりも上方に拡散器を追加して信号を「スイートスポット」の方へ誘導すること、及び/又は反射性材料をトレンチに追加して、偏向された信号を反射して「スイートスポット」に戻すことによって、改善することができる。
【0093】
いくつかのレンズ構成において、レンズ422は、対応する検出要素402の中心の上方に焦点があるように位置決めされ得るが、必ずしもそうとは限らないことに留意するべきである。他のレンズ構成では、対応する検出要素402の中心に対するレンズ422の焦点の位置は、検出アレイ400の中心からの各検出要素402の距離に基づいてシフトされる。これは、中心から遠い検出器要素の方が軸から大きく外れた角度で光を受光する比較的大きい検出アレイ400において有用であり得る。焦点のロケーションを(例えば検出アレイ400の中心の方へ)シフトさせると、入射角の補正が可能となる。具体的には、焦点のロケーションを(例えば検出アレイ400の中心の方へ)シフトさせると、検出器の表面に対して同一角度に位置決めされた全ての検出要素で実質的に同じレンズ422を用いながら、入射角の補正が可能となる。
【0094】
検出要素402のアレイにレンズ422のアレイを追加することは、視野の小さい部分のみをカバーする比較的小さいセンサ116を用いる場合に有用であり得る。そのような場合、シーンからの反射信号は実質的に同じ角度から検出器アレイ400に到達するので、全ての光を個々の検出器上に容易に集束できるからである。また、一実施形態においては、空間的な区別性(distinctiveness)を犠牲にして、アレイ400全体の検出確率の増大を促進する(検出器/サブ検出器間の無効エリアで光子が「無駄になる」ことを防止する)ため、LIDARシステム100でレンズ422を用いることができる。この実施形態は、空間的な区別性を優先するCMOS RGBカメラのような従来の実施(すなわち、検出要素Aの方向に伝搬する光をレンズによって検出要素Bの方へ誘導することはできない、つまり、アレイの別の検出要素に「流す(bleed)」ことはできない)とは対照的である。任意選択的に、センサ116は、各々が対応する検出要素402に相関付けられたレンズ422のアレイを含むが、レンズ422のうち少なくとも1つは、第1の検出要素402へ伝搬する光を第2の検出要素402の方へ偏向させる(これによってアレイ全体の検出確率を増大することができる)。
【0095】
具体的には、本開示のいくつかの実施形態に従って、光センサ116は光検出器のアレイ(例えば検出器アレイ400)を含むことができ、各光検出器(例えば検出器410)は、各検出器の外面を光が通過した場合に電流を流すように構成されている。更に、光センサ116は、光検出器のアレイの方へ光を誘導するように構成された少なくとも1つのマイクロレンズを含むことができ、少なくとも1つのマイクロレンズは焦点を有する。光センサ116は更に、少なくとも1つのマイクロレンズと光検出器のアレイとの間に介在すると共に少なくとも1つのマイクロレンズからアレイへ光を通過させるギャップを有する導電性材料の少なくとも1つの層を含むことができ、少なくとも1つの層は、少なくとも1つのマイクロレンズとアレイとの間に空間を維持するような大きさに形成され、ギャップ内で、光検出器のアレイの検出表面から離間したロケーションに焦点(例えば焦点は平面であり得る)を位置付ける。
【0096】
関連する実施形態において、各検出器は複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)又は複数のアバランシェフォトダイオード(APD)を含み得る。導電性材料は多層金属狭窄部(constriction)とすることができ、導電性材料の少なくとも1つの層はアレイ内の検出器に電気的に接続することができる。一例において、導電性材料の少なくとも1つの層は複数の層を含む。更に、ギャップは、少なくとも1つのマイクロレンズから焦点の方へ収束し、かつ、焦点の領域からアレイの方へ発散するような形状とすることができる。他の実施形態において、光センサ116は、各光検出器に隣接した少なくとも1つのリフレクタを更に含み得る。一実施形態において、レンズアレイに複数のマイクロレンズを配置し、検出器アレイに複数の検出器を配置することができる。別の実施形態において、複数のマイクロレンズは、アレイ内の複数の検出器へ光を投影するように構成された単一のレンズを含み得る。
【0097】
非限定的な例として
図2E、
図2F及び
図2Gを参照すると、システム100の1つ以上センサ116は、光を、スキャン偏向器114から、またはスキャンなしでFOVから直接、受信し得ることが分かる。たとえFOV全体からの光が少なくとも1つのセンサ116に同時に到着しても、いくつかの実施態様において、1つ以上のセンサ116は、任意の所定の時間における検出出力のためにFOVの部分だけをサンプリングし得る。例えば、投影ユニット102の照射がFOVの異なる部分を異なる時に(偏向器114を使用するかどうか、及び/または異なる光源112を異なる時に作動させることにより)照射する場合、光は検知ユニット106の全ての画素またはセンサ116に到着し得、そしてLIDAR照射を検出すると予期される画素/センサだけが検出出力のために活発にデータを収集し得る。このように、画素/センサの残りは、不必要に周囲雑音を収集しない。スキャン-アウトバウンドまたはインバウンド方向における-に言及すると、実質的に異なるスケールのスキャンが実装され得ることが分かる。例えば、いくつかの実施態様において、スキャンされる領域はFOVの1%または0.1%をカバーし得、他方、他の実施態様において、スキャンされる領域はFOVの10%または25%をカバーし得る。FOV値の他の全ての相対部分も、言うまでもなく、実装され得る。
【0098】
処理ユニット
図5Aから
図5Cは、本開示のいくつかの実施形態に従った処理ユニット108の様々な機能を示している。具体的には、
図5Aは視野の単一の部分の単一のフレーム時間内の放出パターンを示す図であり、
図5Bは視野全体の単一のフレーム時間内の放出スキームを示す図であり、
図5Cは単一のスキャンサイクル中に視野の方へ投影された実際の光放出を示す図である。
【0099】
図5Aは、少なくとも1つの光偏向器114の瞬時位置に関連付けられた視野120の単一の部分122の単一のフレーム時間内の放出パターンの4つの例を示す。本開示の実施形態に従って、処理ユニット108は、視野120のスキャンにおいて光束を変動させ得るように、少なくとも1つの光源112及び光偏向器114を制御する(又は、少なくとも1つの光源112及び少なくとも1つの光偏向器114の動作を連携させる)ことができる。他の実施形態に従って、処理ユニット108は少なくとも1つの光源112のみを制御し、光偏向器114は固定の既定パターンで移動又は枢動させることができる。
【0100】
図5Aの
図AからDは、視野120の単一の部分122の方へ放出された光のパワーを経時的に示す。
図Aにおいて、プロセッサ118は、視野120のスキャン中に初期光放出が視野120の部分122の方へ投影されるように光源112の動作を制御することができる。投影ユニット102がパルス光光源を含む場合、初期光放出は1つ以上の初期パルス(「パイロットパルス」とも称される)を含み得る。処理ユニット108は、初期光放出に関連付けられた反射についてのパイロット情報をセンサ116から受信することができる。一実施形態において、パイロット情報は、1つ以上の検出器(例えば1つ以上のSPAD、1つ以上のAPD、1つ以上のSiPM等)の出力に基づく単一の信号として、又は複数の検出器の出力に基づく複数の信号として表現され得る。一例において、パイロット情報はアナログ及び/又はデジタル情報を含み得る。別の例において、パイロット情報は単一の値及び/又は(例えば異なる時点及び/又はセグメントの異なる部分の)複数の値を含み得る。
【0101】
初期光放出に関連付けられた反射についての情報に基づいて、処理ユニット108は、この後に視野120の部分122の方へ投影される光放出のタイプを決定するように構成できる。視野120の特定部分について決定されたこの後の光放出は、同一のスキャンサイクル中に(すなわち同一のフレーム内で)、又は後続のスキャンサイクルで(すなわち後続のフレーム内で)実施され得る。
【0102】
図Bにおいて、プロセッサ118は、視野120のスキャン中に異なる強度の光パルスが視野120の単一の部分122の方へ投影されるように光源112の動作を制御することができる。一実施形態において、LIDARシステム100は、1つ以上の異なるタイプの深度マップを生成するように動作可能であり得る。深度マップのタイプは例えば、ポイントクラウドモデル、ポリゴンメッシュ、深度画像(画像の各画素もしくは2Dアレイの深度情報を保持する)、又はシーンの他の任意のタイプの3Dモデルのうちいずれか1つ以上である。深度マップのシーケンスは、異なる深度マップが異なる時点で生成される時系列であり得る。スキャンサイクル(「フレーム」と言い換え可能である)に関連付けられたシーケンスの各深度マップは、対応するその後のフレーム時間の期間内に生成できる。一例において、典型的なフレーム時間は1秒未満持続し得る。いくつかの実施形態において、LIDARシステム100は、固定フレームレート(例えば毎秒10フレーム、毎秒25フレーム、毎秒50フレーム)を有するか、又はフレームレートは動的であり得る。他の実施形態において、シーケンス内の異なるフレームのフレーム時間は同一でない場合がある。例えばLIDARシステム100は、毎秒10フレームのレートを実施し、(平均)100ミリ秒で第1の深度マップ、92ミリ秒で第2のフレーム、142ミリ秒で第3のフレームを生成する等とすることができる。
【0103】
図Cにおいて、プロセッサ118は、視野120のスキャン中に異なる持続時間に関連付けられた光パルスが視野120の単一の部分122の方へ投影されるように光源112の動作を制御することができる。一実施形態において、LIDARシステム100は、各フレームにおいて異なる数のパルスを発生するように動作可能であり得る。パルスの数は0から32の間のパルス(例えば1、5、12、28、又はそれ以上のパルス)で変動する可能性があり、以前の放出から得られた情報に基づき得る。光パルス間の時間は所望の検出範囲に依存し、500nsから5000nsまでの間とすることができる。一例において、処理ユニット108は、各光パルスに関連付けられた反射についての情報をセンサ116から受信することができる。この情報(又は情報の欠如)に基づいて、処理ユニット108は追加の光パルスが必要であるか否かを判定できる。
図AからDにおける処理時間及び放出時間の期間は縮尺どおりでないことに留意するべきである。具体的には、処理時間は放出時間よりも著しく長い場合がある。
図Dにおいて、処理ユニット102は連続波光源を含み得る。一実施形態において、初期光放出は光が放出される時間期間を含み、後続の放出は初期光放出に連続しているか、又は不連続であり得る。一実施形態において、連続的な放出の強度は経時的に変化し得る。
【0104】
本開示のいくつかの実施形態に従って、放出パターンは、視野120の各部分ごとに決定することができる。言い換えると、プロセッサ118は、視野120の異なる部分の照射の差別化を可能とするように光放出を制御できる。一例において、プロセッサ118は、同一スキャンサイクル(例えば初期放出)からの反射光の検出に基づいて、視野120の単一の部分122に対する放出パターンを決定することができる。これによってLIDARシステム100は極めて動的となる。別の例において、プロセッサ118は、以前のスキャンサイクルからの反射光の検出に基づいて、視野120の単一の部分122に対する放出パターンを決定することができる。後続の放出について、以下のうちいずれか1つのような光源パラメータの異なる値を決定することによって、後続の放出のパターンに差が生じ得る。
a.後続の放出の全体的なエネルギ
b.後続の放出のエネルギプロファイル
c.1フレーム当たりの光パルス繰り返し数
d.持続時間、レート、ピーク、平均パワー、及びパルス形状等の光変調特性
e.偏光や波長等、後続の放出の波動特性
【0105】
本開示に従って、後続の放出の差別化を異なる用途に供することができる。一例において、安全性が検討事項である視野120の部分では放出パワーレベルを制限すると共に、視野120の他の部分ではより高いパワーレベルを放出することができる(これによって信号対雑音比及び検出範囲を改善する)。これは目の安全に関連するが、更に、皮膚の安全、光学システムの安全、検知材料の安全、及びそれ以外のものにも関連し得る。別の例では、同一フレーム又は以前のフレームからの検出結果に基づいて、より有益である視野120の部分(例えば関心領域、遠くにあるターゲット、低反射ターゲット等)の方へ、より大きいエネルギを誘導すると共に、視野120の他の部分への照射エネルギを制限することができる。処理ユニット108は、単一のスキャンフレーム時間内で単一の瞬時視野からの検出信号を数回処理できることに留意するべきである。例えば、各パルスの放出後、又はある数のパルスの放出後に、後続の放出を決定できる。
【0106】
図5Bは、視野120の単一のフレーム時間における放出スキームの3つの例を示す。本開示の実施形態に従って、少なくとも処理ユニット108は、取得情報を用いて、動的にLIDARシステム100の動作モードを調整する及び/又はLIDARシステム100の特定のコンポーネントのパラメータ値を決定できる。取得情報は、視野120でキャプチャされた処理データから決定するか、又はホスト210から(直接的又は間接的に)受信することができる。処理ユニット108は、取得情報を用いて、視野120の異なる部分をスキャンするためのスキャンスキームを決定できる。取得情報は、現在の光条件、現在の気候条件、ホスト車両の現在の運転環境、ホスト車両の現在のロケーション、ホスト車両の現在の軌道、ホスト車両の周りの道路の現在の地形、又は光反射によって検出できる他の任意の条件もしくは物体を含み得る。いくつかの実施形態において、決定されるスキャンスキームは以下のうち少なくとも1つを含み得る。(a)スキャンサイクルの一部としてアクティブにスキャンされる視野120内の部分の指定、(b)視野120の異なる部分における光放出プロファイルを規定する投影ユニット102の投影プラン、(c)例えば偏向方向、周波数を規定し、リフレクタアレイ内のアイドル要素を指定するスキャンユニット104の偏向プラン、及び(d)検出器の感度又は応答パターンを規定する検知ユニット106の検出プラン。
【0107】
更に処理ユニット108は、少なくとも部分的に、視野120内の少なくとも1つの関心領域及び視野120内の少なくとも1つの非関心領域の識別を得ることによって、スキャンスキームを決定できる。いくつかの実施形態において処理ユニット108は、少なくとも部分的に、視野120内の少なくとも1つの高い関心領域及び視野120内の少なくとも1つの低い関心領域の識別を得ることによって、スキャンスキームを決定できる。視野120内の少なくとも1つの関心領域の識別は、例えば、視野120内でキャプチャされた処理データから、別のセンサ(例えばカメラ、GPS)のデータに基づいて、ホスト210から(直接的に又は間接的に)受信して、又は上記のもののいずれかの組み合わせによって決定され得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの関心領域の識別は、監視することが重要である視野120内の部分、エリア、セクション、画素、又は物体の識別を含み得る。関心領域として識別される可能性のあるエリアの例は、横断歩道、移動する物体、人物、付近の車両、又は車両ナビゲーションに役立ち得る他の任意の環境条件もしくは物体を含み得る。非関心領域(又は低関心領域)として識別される可能性のあるエリアの例は、静的な(移動していない)遠くの建物、スカイライン、地平線よりも上のエリア、及び視野内の物体であり得る。視野120内の少なくとも1つの関心領域の識別を取得したら、処理ユニット108は、スキャンスキームを決定するか又は既存のスキャンスキームを変更することができる。(上述したように)光源パラメータを決定又は変更することに加えて、処理ユニット108は、少なくとも1つの関心領域の識別に基づいて検出器リソースを割り当てることができる。一例においては、ノイズを低減するため、処理ユニット108は、関心領域に相当すると予想される検出器410を活性化し、非関心領域に相当すると予想される検出器410を無効にすることができる。別の例において、処理ユニット108は、例えば反射パワーが低い長距離検出に対するセンサ感度を増大するように、検出器感度を変更できる。
【0108】
図5Bの
図AからCは、視野120をスキャンするための異なるスキャンスキームの例を示す。視野120内の方形はそれぞれ、少なくとも1つの偏向器114の瞬時位置に関連付けられた異なる部分122を表している。説明文500に、方形の充填パターンによって表される光束レベルが記載されている。
図Aは、全ての部分が同じ重要度/優先度を有し、それらにデフォルト光束が割り当てられている第1のスキャンスキームを示す。第1のスキャンスキームは、始動段階で利用するか、又は別のスキャンスキームと周期的に交互に用いて予想外の物体/新しい物体について全視野を監視することができる。一例において、第1のスキャンスキームの光源パラメータは、一定振幅で光パルスを発生するように構成できる。
図Bは、視野120の一部に高光束が割り当てられ、視野120の残り部分にデフォルト光束及び低光束が割り当てられている第2のスキャンスキームを示す。最も関心の低い視野120の部分に低光束を割り当てることができる。
図Cは、視野120内で小型車両及びバス(シルエットを参照)が識別されている第3のスキャンスキームを示す。このスキャンスキームでは、車両及びバスの輪郭を高いパワーで追跡し、車両及びバスの中央部分に低レベルの光束を割り当てる(又は光束を割り当てない)ことができる。このような光束割り当てによって、光学予算の多くを識別された物体の輪郭に集中させ、重要度の低い中央部には少なくすることができる。
【0109】
図5Cは、単一のスキャンサイクル中に視野120の方へ向かう光の放出を示している。図示の例において、視野120は8×9の行列によって表現され、72のセルの各々は、少なくとも1つの光偏向器114の異なる瞬時位置に関連付けられた別個の部分122に対応する。この例示的なスキャンサイクルにおいて、各部分は、その部分の方へ投影された光パルスの数を表す1つ以上の白いドットを含み、いくつかの部分は、センサ116によって検出されたその部分からの反射光を表す黒いドットを含む。図示されているように、視野120は、視野120の右側のセクタI、視野120の中央のセクタII、及び視野120の左側のセクタIIIという3つの部分に分割されている。この例示的なスキャンサイクルにおいて、セクタIは最初に1部分当たり単一の光パルスが割り当てられ、過去に関心領域として識別されたセクタIIは最初に1部分当たり3つの光パルスが割り当てられ、セクタIIIは最初に1部分当たり2つの光パルスが割り当てられる。図示のように、視野120のスキャンによって4つの物体208が明らかとなっている。すなわち、近視野(例えば5から50メートルの間)における2つの自由形状の物体、中視野(例えば50から150メートルの間)における角の丸い方形の物体、及び、遠視野(例えば150から500メートルの間)における三角形の物体である。
図5Cの検討では光束の割り当ての例としてパルス数を使用するが、視野の異なる部分に対する光束の割り当ては他のやり方で実施できることに留意するべきである。例えば、パルス持続時間、パルス角分散、波長、瞬時パワー、光源112からの異なる距離における光子密度、平均パワー、パルスパワー強度、パルス幅、パルス繰り返し率、パルスシーケンス、パルスデューティサイクル、波長、位相、偏光、及びその他のものを使用できる。
図5Cの単一のスキャンサイクルのような光放出の説明は、LIDARシステム100の様々な機能を例証している。第1の実施形態において、プロセッサ118は、2つの光パルスを用いて第1の距離にある第1の物体(例えば角の丸い方形の物体)を検出し、3つの光パルスを用いて第1の距離よりも遠い第2の距離にある第2の物体(例えば三角形の物体)を検出するように構成されている。第2の実施形態において、プロセッサ118は、関心領域が識別されている視野の部分に多くの光を割り当てるように構成されている。具体的には、この例において、セクタIIは関心領域として識別され、従って3つの光パルスが割り当てられたのに対し、視野120の残り部分には2つ以下の光パルスが割り当てられた。第3の実施形態において、プロセッサ118は、最初に1部分当たり2つの光パルスが割り当てられたセクタIIIの一部である
図5Cの部分B1、B2、及びC1に対し、単一の光パルスだけが投影されるように光源112を制御するよう構成されている。これを行う理由は、処理ユニット108が第1の光パルスに基づいて近視野の物体を検出したからである。また、他の検討すべき事項の結果として、最大より少ないパルス量の割り当ても実行できる。例えば、少なくともいくつかの領域において、第1の距離の物体(例えば近視野の物体)が検出されると、視野120のこの部分へ放出する全体的な光量を低減することができる。
【0110】
LIDARシステム100の様々なコンポーネント及びそれらに関連した機能についての更なる詳細及び例は、2016年12月28日に出願された本出願人の米国特許出願第15/391,916号、2016年12月29日に出願された本出願人の米国特許出願第15/393,749号、2016年12月29日に出願された本出願人の米国特許出願第15/393,285号、2016年12月29日に出願された本出願人の米国特許出願第15/393,593号に含まれる。これらは援用により全体が本願に含まれる。
【0111】
例示的な実施:車両
図6Aから
図6Cは、車両(例えば車両110)におけるLIDARシステム100の実施を示す。上述した又は以下に記載するLIDARシステム100の態様はいずれも、車両110に組み込んで距離検知車両を提供することができる。具体的には、この例においてLIDARシステム100は、複数のスキャンユニット104と、場合によっては複数の投影ユニット102とを、単一の車両内に一体化している。一実施形態において、車両はそのようなLIDARシステムを利用して、重複ゾーン内及び重複ゾーンを超えた所でのパワー、範囲、及び精度の向上、更に、FOVの感度の高い部分(例えば車両の前方移動方向)における冗長性の向上が可能となる。
図6Aに示されているように、車両110は、視野120Aのスキャンを制御するための第1のプロセッサ118Aと、視野120Bのスキャンを制御するための第2のプロセッサ118と、これら2つの視野のスキャンの同期を制御するための第3のプロセッサ118Cと、を含み得る。一例において、プロセッサ118Cは車両コントローラとすることができ、第1のプロセッサ118Aと第2のプロセッサ118との間の共有インタフェースを有し得る。共有インタフェースは、時間的及び/又は空間的スペースにおける重複を形成するため、中間処理レベルでのデータ交換及び組み合わせ視野のスキャンの同期を可能とする。一実施形態において、共有インタフェースを用いて交換されるデータは、(a)重複した視野及び/又はその近傍の画素に関連付けられた受信信号の飛行時間、(b)レーザステアリング位置ステータス、(c)視野内の物体の検出ステータスとすることができる。
【0112】
図6Bは、視野120Aと視野120Bとの間の重複領域600を示す。図示する例において、重複領域は、視野120Aからの24の部分122及び視野120Bからの24の部分122に関連している。重複領域が規定されてプロセッサ118A及び118に既知であると仮定すると、各プロセッサは、複数の光源の光を対象とした目の安全の限度に従うため、又は光学予算を維持するといった他の理由から、重複領域600に放出される光の量を制限するように設計できる。更に、プロセッサ118A及び118は、スキャンユニット104Aとスキャンユニット104Bとの間のゆるい同期によって、及び/又はレーザ伝送タイミングの制御によって、及び/又は検出回路を有効にするタイミングによって、2つの光源が放出する光の干渉を回避できる。
【0113】
図6Cは、視野120Aと視野120Bとの間の重複領域600をどのように用いて車両110の検出距離を増大させ得るかを示している。本開示に従って、重複ゾーン内に公称光放出を投影する2つ以上の光源112を利用することで、有効検出範囲を増大できる。「検出範囲」という用語は、LIDARシステム100が物体を明瞭に検出できる車両110からのおおよその距離を含み得る。一実施形態において、LIDARシステム100の最大検出範囲は約300メートル、約400メートル、又は約500メートルである。例えば200メートルの検出範囲では、LIDARシステム100は、車両110から200メートル(又はそれ以下)に位置する物体を、時間のうち95%超、99%超、99.5%超で検出し得る。物体の反射率が50%未満(例えば20%未満、10%未満、又は5%未満)である場合も。更に、LIDARシステム100は1%未満の誤警報率を有し得る。一実施形態において、時間的及び空間的スペースに配置された2つの光源からの投影光を用いて、SNRを改善し、従って重複領域に位置する物体の範囲及び/又はサービス品質を向上させることができる。プロセッサ118Cは、視野120A及び120Bにおける反射光から高レベルの情報を抽出できる。「情報を抽出する」という用語は、当業者に既知の任意の手段によって、キャプチャした画像データ内で、物体、個体、ロケーション、イベント等に関連した情報を識別する任意のプロセスを含み得る。更に、プロセッサ118A及び118Bは、物体(道路の区切り、背景、歩行者、車両等)や運動ベクトルのような高レベル情報を共有することで、各プロセッサがもうすぐ関心領域になりそうな周辺領域に注意を向けることを可能とする。例えば、視野120A内の移動中の物体が間もなく視野120B内に入ることを判定できる。
【0114】
例示的な実施:調査システム
図6Dは、調査システムにおけるLIDARシステム100の実施を示している。上述のように、LIDARシステム100は静止物体650に固定することができ、静止物体650は、より広い視野を得るためLIDARシステム100の筐体を回転させるためのモータ又は他の機構を含み得る。あるいは、調査システムが複数のLIDARユニットを含むことも可能である。
図6Dに示す例では、調査システムは単一の回転可能LIDARシステム100を用いて、視野120を表す3Dデータを取得すると共に、この3Dデータを処理して、人物652、車両654、環境の変化、又は他の任意の形態のセキュリティにとって重要なデータを検出することができる。
【0115】
本開示のいくつかの実施形態に従って、3Dデータは、小売業プロセスを監視するため分析することができる。一実施形態において、3Dデータは、物理的なセキュリティを必要とする小売業プロセスで使用できる(例えば、小売施設内への侵入、小売施設の内部又は周囲での破壊行為、保護エリアへの不正アクセス、及び駐車場内の自動車の周囲での不審な行動の検出)。別の実施形態において、3Dデータは、公共の安全のために使用できる(例えば、店舗敷地で滑って転ぶ人、店舗の床に危険な液体をこぼすこと又はそれによる通行妨害、店舗の駐車場での襲撃又は誘拐、火災非常口の通行妨害、及び店舗エリア内又は店舗外での混雑の検出)。別の実施形態において、3Dデータはビジネス機密データ収集のために使用できる(例えば、店舗エリアを通る人を追跡して、何人が通過するか、どこで立ち止まるか、どのくらいの間立ち止まるか、彼らの買い物習慣がどのように購買習慣と比較されるかを明らかにする)。
【0116】
本開示の他の実施形態に従って、3Dデータは、交通違反の取り締まりのために分析し使用することができる。具体的には、3Dデータを用いて、法定最高速度又は何らかの他の道路交通法の要件を超えて走行している車両を識別できる。一例では、LIDARシステム100を用いて、信号が赤である時に一時停止線又は指定の停止位置を超えている車両を検出できる。別の例では、LIDARシステム100を用いて、公共交通機関用に確保された車線を走行している車両を識別できる。更に別の例では、LIDARシステム100を用いて、赤信号では特定の方向転換が禁止されている交差点で方向転換している車両を識別できる。
【0117】
組込み発熱抵抗体を備えたMEMSミラーアセンブリ
【0118】
可動コンポーネントを含む微小電気機械システム(MEMS)、及び特にMEMSミラーまたは他の大きな表面が低温で動作するのを可能にするために、新規のMEMSシステムが以下で説明され、それは、1つ以上の組込み発熱抵抗体を含む。MEMSシステムの1つ以上のコンポーネント(例えば、アクチュエータ)を加熱するように構成された1つ以上の組込み発熱体を有することは、MEMSシステムが動作する最適環境を維持するのに役立ち得る。
【0119】
本開示は、スキャンLIDARシステムの一部であり得るMEMSシステムのMEMSミラーアセンブリの例を提供するが、本開示の態様はそれらの最も広い意味において、LIDARシステムのためのMEMSアセンブリに制限されないことに留意すべきである。むしろ、前述の原理は他のタイプの電気光学システム(例えば、カメラ、距離計、電子顕微鏡)にも適用され得ることが企図される。
【0120】
図3A~
図3Dは、例示的なMEMSスキャンデバイス104を示す。加えて、本開示はMEMSミラーを含むMEMSシステムを説明するが、ピストンまたはバルブ等の、MEMS機能表面を含む他のタイプのMEMSシステムも企図される。例えば、MEMSミラーを含む代わりに、MEMSシステムは光を誘導する表面を枢動させるように構成された圧電的に活性化されるコンポーネント(例えば、ピストン、バルブ)を含み得る。一例として、MEMSシステムは圧電的に活性化される枢動表面を含み得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、例示的なMEMSシステムは、少なくとも1つの軸の周りを動くように構成されたMEMSミラー及びMEMSミラーの動きを引き起こすように構成された少なくとも1つのアクチュエータを含むMEMSアセンブリを含み得る。MEMSミラーアセンブリは、電流が発熱体を流れるときにアクチュエータの少なくとも一部を加熱するように構成された少なくとも1つの発熱体も含み得る。いくつかの実施形態では、MEMSミラーアセンブリは、単一のウェーハダイから作られ得る。他の実施形態では、MEMSミラーアセンブリは、一緒に固定された2つ以上のウェーハダイ(例えば、密閉されたコンパートメントを形成するために一緒に接着されているガラスウェーハ及びシリコンウェーハ)から作られ得る。
【0122】
図7A、
図7B及び
図8は、本開示のいくつかの実施形態に従った、例示的なMEMSミラーアセンブリ700A、700B、及び800を示す。MEMSミラーアセンブリ700A、700B、及び800は、ある場合には個別に説明されているが、1つのMEMSミラーアセンブリの1つ以上のコンポーネントは他のMEMSミラーアセンブリで使用され得る。MEMSミラーアセンブリ700Aは、フレーム711、MEMSミラー701、1つ以上のアクチュエータ(例えば、アクチュエータ721、722、723、724)、1つ以上の相互接続要素741、742、743、744、及び1つ以上の発熱体(例えば、発熱抵抗体751、752、753、754)を含み得る。フレーム711は、MEMSミラー701がフレーム711に対して1つ以上の回転軸の周りを枢動するのを可能にしながら、MEMSミラーを構造的に支持し得る。MEMSミラー701は、反射面を含み得る。MEMSミラー701は、フレーム711に対して平行移動可能であり得、かつ/またはフレーム711に対して1つ以上の軸の周りを回転可能であり得る、という点においてMEMSミラー701は可動MEMSミラーであり得る。相互接続要素741、742、743、及び744はMEMSミラー701に結合されて、MEMSミラー701が少なくとも1つの回転軸の周りを回転するのを促進するように構成され得る。アクチュエータ721、722、723、及び724は、相互接続要素741、742、743、及び744の1つ以上に機械力を印加して、MEMSミラーのフレームに対する平行移動または回転移動を引き起こし得る。発熱抵抗体751、752、753、及び754は、アクチュエータ721、722、723、及び724の1つ以上を加熱するように構成され得る。必ずしもそうとは限らないが、MEMSミラーアセンブリ700Aは、スキャンユニット104及び/または光偏向器114に関して(例えば、
図3A及び
図3Bに関して)説明した任意の構造または機能性を実装し得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、MEMSミラーアセンブリ700Aは、コントローラ761、電源771、及び1つ以上のセンサ(図示せず)も含み得る。コントローラ761は、発熱抵抗体の1つ以上の活性化を制御するように構成され得る。例えば、コントローラ761は、発熱抵抗体751への電流の印加を制御し得、それにより近くのアクチュエータ(例えば、アクチュエータ721)を加熱する。いくつかの実施形態では、コントローラ761は、1つ以上のアクチュエータの活性化を制御するようにも構成され得る。電源771は、加熱のために電力を供給するように構成され得る。いくつかの実施形態では、電源771は、コントローラ761にも電力を供給し得る。1つ以上のセンサは、MEMSミラーアセンブリ700Aが動作する条件を監視するように構成され得る。例えば、MEMSミラーアセンブリ700Aは、MEMSミラーアセンブリ700Aの1つ以上のコンポーネントの温度を監視するように構成された1つ以上の温度センサを含み得る。センサは、それが監視する条件(複数可)に関連した信号及び/または情報をコントローラ761に送信するようにも構成され得る。
【0124】
フレーム711は、MEMSミラーがフレームに対して回転及び/または平行移動するのが可能であり得るように、MEMSミラーが取り付けられ得る任意の支持構造を含み得る。例えば、フレーム711は、MEMSミラーがフレームに対して1つ以上の回転軸の周りを枢動するのを可能にしながらMEMSミラーを構造的に支持し得るMEMSミラーを製造するために使用されたウェーハダイの一部を含み得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、フレーム711は、1つ以上のアクチュエータ(例えば、アクチュエータ721、722、723、及び724)及び/または相互接続要素(例えば、相互接続要素741、742、743、744)を除いて、MEMSミラー701のアクティブエリア(フレーム711の平面から、またはそうでなければフレーム711に関してもっと、動くことができる任意の部分)から間隔を空けられ得る。フレーム711は、連続フレームまたは2つ以上の別個の部分から成るフレームを含み得る。例えば、フレームは、1つ以上のシリコン層を含むウェーハ層から作られ得、1つ以上のシリコン層は恐らくは、MEMSミラーの一部である少なくとも1つのシリコン層を含む。シリコン以外の材料の層も使用され得る。
【0126】
MEMSミラー701は、光がその最初の経路から逸脱するのを可能にするように構成され得る。MEMSミラー701は、フレーム711に対して平行移動可能であり得、かつ/またはフレーム711に対して1つ以上の軸の周りを回転可能であり得る、という点においてMEMSミラー701は可動MEMSミラーであり得る。例えば、MEMSミラー701は、
図7Aに示されるように、平行移動可能、または例示的な軸781、782、及び/もしくは783の周りを回転可能であり得る(図の平面に入る)。例えば、MEMSミラー701は、フレーム711の平面内で回転され得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、MEMSミラー701は、ウェーハの平面(またはフレーム711)に関して回転する回転可能部分を備えたMEMS構造を含み得る。代替または追加として、MEMSミラー701は、ウェーハの平面(またはフレーム711)に関して平行移動する平行移動可能部分を備えたMEMS構造を含み得る。いくつかの例示的な実施形態では、回転可能部分(及び/または平行移動可能部分)は、光源からの光を反射または偏向させることが可能なMEMSミラーを形成するために反射コーティングもしくは表面を含み得る。MEMSミラー701は、
図7A(及び
図B)では円形を有しているとして示されているが、MEMSミラー701は、正方形、多角形(例えば、八角形)、楕円形、またはMEMSアセンブリとの使用に適した任意の他の幾何形状を有し得ることが企図される。本開示はMEMSミラー及びフレームの例を説明しているが、本開示の態様はその最も広い意味において、MEMSミラー及び/またはフレームの開示される例に制限されないことに留意すべきである。
【0128】
MEMSミラーアセンブリ700Aは、MEMSミラー701が少なくとも1つの軸(例えば、軸781、782、及び/または783)の周りを枢動するのを引き起こすように構成された1つ以上のアクチュエータを含み得る。アクチュエータ(例えば、アクチュエータ721、722、723、724)は、MEMSミラーのフレームに対する平行移動及び/または回転移動を引き起こすことが可能である得るMEMSミラーアセンブリの1つ以上の可動構造部材を含み得る。開示されるアクチュエータは、MEMSミラーアセンブリの一体的な部分であり得るか、またはMEMSミラーアセンブリから分かれて別個であり得る。開示されるアクチュエータは、開示されるMEMSミラーに直接または間接的に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、ミラーアセンブリ700Aの1つ以上のアクチュエータは、2018年11月28日に出願された「LIDAR SYSTEMS AND METHODS」というタイトルの国際出願第PCT/IB2018/001467号に開示されているアクチュエータの1つ以上であり得、その国際出願は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0129】
いくつかの実施形態では、アクチュエータは、アクチュエータ本体(例えば、シリコンで作られた)及び圧電要素を含み得る。例として、アクチュエータ721は、本体(その部品番号は示されていない)及び圧電要素731を含み得る。同様に、アクチュエータ722、723、及び724の各々は、本体及び対応する圧電要素732、733、または734を含み得る。圧電要素は、電界に曝されると、本体を曲げてアクティブエリアを動かすように構成され得る。
【0130】
いくつかの実施形態では、MEMSミラーアセンブリ700Aは、2つ以上のタイプのアクチュエータを含み得る。異なるタイプのアクチュエータは、アクティブエリアの異なる方向における動きを可能にする。アクチュエータ721及び722は、異なるタイプのアクチュエータであり得る。圧電要素731は、第1の電界に曝されると、アクチュエータ721の本体を曲げて、MEMSミラー701を第1の方向に動かすように構成され得、圧電要素732は、第2の電界に曝されると、アクチュエータ722の本体を曲げて、MEMSミラー701を第2の方向に動かすように構成され得る。
【0131】
MEMSミラーアセンブリ700Aは、1つ以上のアクチュエータがそれを介してMEMSミラー701に結合される1つ以上の相互接続要素(例えば、相互接続要素741、742、743、744)も含み得る。例えば、相互接続要素741は、アクチュエータ721の1つ以上の作動アーム、作動アームと関連付けられたばね(図示せず)、及びMEMSミラー701の間に電気的及び/または機械的接続を提供し得る。いくつかの例示的な実施形態では、相互接続要素は、作動アームの1つ以上、ばね、及び/またはMEMSミラー701に直接的に取り付けられ得る。代替または追加として、相互接続要素は、相互に結合され得、かつ1つ以上の作動アーム、ばね、及び/またはMEMSミラー701に取り付けられ得る、2つ以上のコネクタ部材を含み得る。いくつかの実施形態では、相互接続要素741は、2018年11月28日に出願された「LIDAR SYSTEMS AND METHODS」というタイトルの国際出願第PCT/IB2018/001467号に開示されている1つ以上のコネクタを含み得、その国際出願は参照により全体として本明細書に組み込まれる。相互接続要素は、シリコン、金属、またはMEMSミラーアセンブリ700Aにおいて使用される任意の他の材料から作られ得る。相互接続要素は、アクチュエータ内、MEMSミラー701内、またはその両方に存在する1つ以上のウェーハ層の延長として作られ得る。
【0132】
MEMSミラーアセンブリ700Aは、MEMSミラーアセンブリの1つ以上のコンポーネント(またはその部分)を加熱するように構成された1つ以上の発熱体(例えば、発熱抵抗体751、752、753、及び754)を更に含む。例えば、発熱体は、電流が発熱抵抗体751を流れるときにアクチュエータ721の圧電要素731を加熱するように構成された発熱抵抗体751であり得る。同様に、発熱抵抗体752、753、及び754は、電流が対応する発熱抵抗体を流れるときにそれぞれ、圧電要素732、733、及び734を加熱するように構成され得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、例えば、
図7Aに示されるように、MEMSミラーアセンブリは、複数の発熱抵抗体を含み得、その各々はMEMSミラーアセンブリの1つのコンポーネントを加熱するように構成され得る。代替または追加として、MEMSミラーアセンブリは、1つのコンポーネントを加熱するために2つ以上の発熱抵抗体を含み得る。例えば、MEMSミラーアセンブリ700Aは、圧電要素731を加熱するために発熱抵抗体751及び別の発熱抵抗体(図示せず)を含み得る。コントローラ761は、本開示の別の箇所で記載されるとおり、圧電要素731を加熱するために発熱抵抗体を制御し得る。例えば、コントローラ761は、圧電要素731の温度が閾値を下回る場合、発熱抵抗体を活性化することを決定し得る。コントローラ761はまた、回路を介して発熱抵抗体の各々に電流を流すために電源771も制御し得る。発熱抵抗体は、コンポーネント上に(または近接して)均一的に実装され得る。代替として、発熱抵抗体は、コンポーネント上に(または近接して)均一的に実装されない可能性がある。例えば、第1の発熱抵抗体は相互接続要素741(すなわち、アクチュエータ721のフレーム711への接続)の近くに実装され得、第2の発熱抵抗体751はアクチュエータ721のアーム上に(または近接して)実装され得る。いくつかの実施形態では、第1及び第2の発熱抵抗体は同じタイプまたは異なるタイプであり得る。代替または追加として、コントローラ761は、同じ電流または異なる電流を第1及び第2の発熱抵抗体に供給するために電源771を制御し得る。
【0134】
いくつかの実施形態では、コントローラ761は、異なる電流を異なる発熱抵抗体に供給するために電源771を制御し得る。例えば、電源771は、第1の電流を発熱抵抗体751に、及び第1の電流とは異なる(例えば、もっと大きいか、または小さい電流)、第2の電流を発熱抵抗体751に供給し得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、MEMSミラーアセンブリは、2つ以上のコンポーネントを加熱するように構成された1つの発熱体を含む。例として、
図7Bに示されるように、MEMSミラーアセンブリ700Bは、電流が発熱抵抗体756を流れるときにアクチュエータ721、722、723、及び724(または圧電要素731、732、733、及び734)を加熱するように構成された発熱抵抗体756を含み得る。いくつかの実施形態では、発熱抵抗体751、752、753、及び/または754は、コンポーネントの温度を示す情報に応答してMEMSミラーアセンブリ700Aの1つ以上のコンポーネント(例えば、そのアクチュエータ721及び/または圧電要素731)を加熱するように構成され得る。例えば、コントローラ761は、圧電要素731の温度が閾値を下回っていることを示す情報を受信し得る。コントローラ761はまた、圧電要素731を加熱するために電源771を制御して電流を発熱抵抗体751に供給し得る。
【0136】
いくつかの実施形態では、MEMSミラーアセンブリ700Aの発熱抵抗体は同じタイプであり得る。代替として、MEMSミラーアセンブリ700Aは、2つ以上の異なるタイプの発熱抵抗体を含み得る。例えば、発熱抵抗体751は、発熱抵抗体752(または他の発熱抵抗体)とは異なる全抵抗、発熱量、もしくは同様のもの、またはそれらの組み合わせを有し得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、発熱抵抗体(例えば、発熱抵抗体751、752、753、754、及び756の1つ)は、全抵抗を1/4~5キロオームの範囲で有し得る。いくつかの実施形態では、発熱抵抗体の全抵抗は、1/4~1オーム、1~10オーム、10~50オーム、50~100オーム、100~500オーム、500~1000オーム、1~2キロオーム、及び2~5キロオームの部分範囲に制限され得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、発熱抵抗体(例えば、発熱抵抗体751、752、753、754、及び756)は、発熱量を5~5000ミリワットの範囲で有し得る。いくつかの実施形態では、発熱抵抗体の発熱量は、5~10ミリワット、10~50ミリワット、50~100ミリワット、及び100~500ミリワットの部分範囲に制限され得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、MEMSミラーアセンブリ700Aは、MEMSミラーアセンブリ700Aが動作する条件を監視するように構成された様々なセンサ(図示せず)を含み得る。例えば、MEMSミラーアセンブリ700Aは、MEMSミラーアセンブリ700Aの1つ以上のコンポーネントの温度を監視するように構成された1つ以上の温度センサを含み得る。例えば、温度センサ(例えば、抵抗温度センサ)は、アクチュエータ721(及び/または圧電要素731)の温度を測定するように構成され得る。代替または追加として、温度センサはMEMSミラーアセンブリ700Aの周囲温度を監視するように構成され得る。
【0140】
センサは、それが監視する条件(複数可)に関連した信号及び/または情報をコントローラ761に送信するように構成され得る。例えば、センサは、圧電要素731の温度を示す情報をコントローラ761に送信し得、コントローラ761は、受信した情報に基づいて圧電要素731を加熱するために1つ以上の発熱抵抗体を活性化させるかどうかを判断し得る。センサによる温度の測定(または監視)は、連続的または断続的であり得る。代替または追加として、センサは、コントローラ761から制御信号を受信して、温度を測定し、それが取得する温度情報をコントローラ761に送信し得る。センサは、例えば、MEMSミラーアセンブリの1つ以上のコンポーネントの動作への変化する温度の影響を測定することにより、温度を直接または間接的に測定し得る。例として、コントローラ761は、アクチュエータ721によってMEMSミラー701を作動させるための電圧を示す情報を受信して、センサに送信される制御信号を生成し得る。コントローラ761は、温度を示すデータを生成するために他のセンサからのデータも使用し得る。例えば、MEMSミラーを動かすために必要な電圧に関する情報は、温度を評価するためにアクチュエータによって引き起こされた動きの程度を示す動きフィードバックデータと一緒に使用され得る。制御信号を受信後、センサはアクチュエータ721(または圧電要素731)の温度を測定し、温度情報をコントローラ761に送信し得る。
【0141】
いくつかの実施形態では、センサは、MEMSミラーアセンブリ700Aの一部として実装され得る。例えば、センサは、MEMSミラーアセンブリ700Aのコンポーネント上に(または近接して)実装され得る。例として、センサは、フレーム711、MEMSミラー701、アクチュエータ721、722、723、及び724(またはその圧電要素)の1つ、コントローラ761、もしくは同様のもの、またはその組み合わせ上に実装され得る。他の実施形態では、センサは、MEMSミラーアセンブリ700Aの外部に実装され得る(例えば、MEMSミラーアセンブリ700Aの周りの周囲温度を測定するように構成されたMEMSミラーアセンブリ700Aの外部の温度センサ)。
【0142】
いくつかの実施形態では、MEMSミラーアセンブリ700Aは、コントローラ761及び電源771も含み得る。コントローラ761は、1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、もしくは同様のもの、またはそれらの組み合わせを含み得る。コントローラ761は、1つ以上の発熱抵抗体751、752、753、及び754の活性化を制御するように構成され得る。例えば、コントローラ761は、発熱抵抗体の1つ以上に電流を供給するために電源771を制御し得る。代替または追加として、コントローラ761は、1つ以上のアクチュエータ721、722、723、及び724の作動を制御し得る。例えば、コントローラ761は、アクチュエータに印加される電界を制御し、それによりアクチュエータの作動を活性化(または非活性化)し得る。いくつかの実施形態では、コントローラ761は、アクチュエータ、発熱抵抗体、及び電源771の少なくとも1つと同じチップ上に実装され得る。他の実施形態では、コントローラ761は、MEMSミラーアセンブリの外部コンポーネントとして(例えば、LIDARシステムのプロセッサ118の部分として)実装され得る。
【0143】
電源771は、加熱のために1つ以上の発熱抵抗体に電力を供給するように構成され得る。電源771は、電池、AC電源、DC電源、充電可能コンデンサ、もしくは同様のもの、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、電源771は、MEMSミラーアセンブリ700Aの部分である電源(例えば、内部電源)を含み得る。代替または追加として、電源771は、MEMSミラーアセンブリ700Aの外部の電源を含み得る。
【0144】
いくつかの実施形態では、電源771は、MEMSミラーアセンブリ700Aの様々なコンポーネント(例えば、アクチュエータ、発熱抵抗体、コントローラ、様々なセンサ)に電気的に結合され得る。電源771は、コントローラ761の外部であり得る。代替として、電源771及びコントローラ761は、単一のユニットとして一体化され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ761及び電源771は、MEMSミラーアセンブリに電気的に結合され得るが、MEMSミラーアセンブリの外部であり得る。例えば、コントローラ761(及び/または電源771)は、MEMSミラーアセンブリ700Aの外部に(例えば、MEMSミラーアセンブリを含むLIDARシステムの別の部分として)実装され得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、コントローラ761は、MEMSミラーアセンブリ(またはそのコンポーネント)からの温度読取りに基づき、選択的に電源771に発熱抵抗体を通る電流を印加させ得る。例えば、コントローラ761は、MEMSミラーアセンブリ700Aからの温度読取り(例えば、圧電要素731からの温度読取り)に基づき、選択的に電流を発熱抵抗体751に供給する(しかし、発熱抵抗体752、753、または754には供給しない)ために電源771を制御するように構成され得る。例として、コントローラ761は、温度読取りが閾値温度よりも低い場合、選択的に電源771に発熱抵抗体751を通る電流を印加させ得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、MEMSミラーアセンブリ700Aの2つ以上のコンポーネント(例えば、フレーム711、MEMSミラー701、アクチュエータ721、発熱抵抗体751の1つ以上)は、単一のウェーハ上に製造され得、共通の層(例えば、共通のシリコン層、共通のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)層)を共有し得る。例えば、発熱抵抗体751、752、753、及び754の1つ以上は、MEMSミラーアセンブリ700Aのウェーハの金属層上に実装され得る。代替または追加として、発熱抵抗体751、752、753、及び754の1つ以上は、MEMSミラーアセンブリ700Aのウェーハのシリコン系層のドープ領域上に実装され得る。シリコン系層は、シリコン、ポリシリコン、ドープ(または一部ドープ)シリコン、ドープ(または一部ドープ)ポリシリコン、またはシリサイド等の任意の他のシリコン系材料で作られ得る。別の例として、電界を圧電要素に印加するために使用される少なくとも1つの電極は、MEMSミラーアセンブリ700Aのウェーハの金属層上に実装され、発熱抵抗体751、752、753、及び754の1つ以上は、圧電作動のために使用される電極と同じ金属層上に実装され得る。
【0147】
MEMSミラーアセンブリ700Aは、追加のコンポーネント、例えば、コントローラ761、電源771、センサ(例えば、温度センサ)、光学コンポーネント、構造要素、ケーシング等、も含み得る。かかる追加のコンポーネントは、MEMSミラーと同じウェーハ上、別のウェーハ上に実装され得るか、または別の方法でMEMSミラー701のウェーハと一体化され得る。
【0148】
いくつかの実施形態では、1つ以上の発熱抵抗体は、MEMSミラーアセンブリのコンポーネント上に実装され得る。例えば、1つ以上の発熱抵抗体はアクチュエータ上に実装され得る。代替または追加として、1つ以上の発熱抵抗体はフレーム上に実装され得る。例として、1つ以上の発熱抵抗体は、アクチュエータに隣接したフレームのエッジ上に実装され得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、1つ以上の発熱抵抗体は、MEMSミラーアセンブリの非可動部分上に、例えば、アクチュエータに隣接して、実装され得る。例えば、MEMSミラーアセンブリは、1つ以上の固定シリコン片を含み得、1つ以上の発熱抵抗体は、固定シリコン片の少なくとも1つの上に実装され得る。
【0150】
図8は、4つの固定シリコン片を含む例示的なMEMSミラーアセンブリ800を示す。
図7Aに示されるMEMSミラーアセンブリ700Aと同様、
図8の例示的なMEMSミラーアセンブリ800は、MEMSミラー802、フレーム804、ならびにアクチュエータ812A、814A、816A、及び818Aを含み得る。
図8のMEMSミラーアセンブリ800のアクチュエータ812Aは、作動アーム824及びシリコン片825を含み得る。シリコン片825は固定で、MEMSミラーアセンブリ800に対して非可動であり得る。シリコン片825は、作動アーム824に隣接して配置され得、作動アーム824から間隙828によって分離され得る。作動アーム824は、相互接続要素830を用いてMEMSミラー802に結合され得る。しかし、シリコン片825は、MEMSミラー802に機械的にも電気的にも結合されていない可能性がある。MEMSミラーアセンブリ800のシリコン片825は、作動アーム824とMEMSミラー802との間に配置されて、作動アーム824とMEMSミラー802から間隔を空けられ得る。更に、シリコン片825は、MEMSミラー802に結合されていない場合、MEMSミラーアセンブリ800の第2の作動アーム826に類似し得る。
【0151】
同様に、アクチュエータ814A、816A、及び818Aの各々は、それぞれ、1つの作動アーム834、844、及び854を含み得る。同様に
図8に示されるように、アクチュエータ814A、816A、及び818Aは、それぞれ、シリコン片835、845、及び855を、それぞれ、間隙838、848、及び858によってそれぞれの作動アーム834、844、及び854から分離されて、含み得る。追加として、作動アーム834、844、及び854は、それぞれ、相互接続要素840、850、及び860を用いてMEMSミラー802に結合され得る。シリコン片835、845、及び855は、作動アーム836、846、及び856がMEMSミラー802に結合されていない場合、それぞれ、作動アーム836、846、及び856に類似し得る。いくつかの実施形態では、シリコン片825、835、845、及び855の1つ以上は、アクチュエータ及びミラーが実装されているシリコン層に属し得る。
【0152】
1つ以上の発熱抵抗体(例えば、発熱抵抗体862、864、866、及び868)は、シリコン片825、835、845、及び855の各々上に実装され得、それらは固定であり得る。発熱抵抗体は、電流が流れるときに対応するアクチュエータ(及び/またはその圧電要素)を加熱するように構成され得る。
【0153】
図9は、開示される実施形態に従った例示的な加熱プロセス900のフローチャートである。加熱プロセス900の1つ以上のステップは、コントローラ761(及び/または、本明細書で説明されるコントローラの他の実施形態、例えば、LIDARシステムのプロセッサ118)によって実行され得る。加熱プロセスは、本明細書では、
図7Aに示されるMEMSミラーアセンブリ700Aのコンポーネントを使用して説明されるが、それは、本開示で説明される他の例示的なMEMSミラーアセンブリに適用され得る。
【0154】
ステップ901で、温度情報が受信され得る。いくつかの実施形態では、ステップ901は、コントローラ(例えば、コントローラ761、プロセッサ118)によって実行され得る。例えば、コントローラ761は温度情報を受信し得る。いくつかの実施形態では、コントローラ761は、MEMSミラーアセンブリ700Aのコンポーネントを示す情報を温度センサから受信し得る。例えば、アクチュエータ721に近接したセンサは、アクチュエータ721(または圧電要素731)の温度を測定し、温度を示す情報をコントローラ761に送信し得る。別の例として、コントローラ761は、MEMSミラーアセンブリ700Aの周辺の周囲温度を示す情報を、MEMSミラーアセンブリ700Aの外部のセンサから受信し得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、センサは、1つ以上のコンポーネント(例えば、1つ以上のアクチュエータまたはその圧電要素)の温度を継続的に測定し、情報をコントローラ761に継続的に送信し得る。代替または追加として、センサは、温度を断続的に測定し、コントローラ761が利用可能であれば、温度情報をコントローラ761に送信し得る。例えば、センサは、事前に決定された期間にわたって一度、温度を測定するように構成され得、その期間は、0.1秒~10分の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、その期間は0.1~1秒、1~10秒、10~60秒、及び1~10分の部分範囲に制限され得る。代替または追加として、センサは、要求に応じて温度を測定するように構成され得る。例えば、センサは、制御信号をコントローラ761から受信し得る。それに応じて、センサは温度を(継続的または断続的に)測定し、温度情報をコントローラ761に送信し得る。いくつかの実施形態では、センサは、測定を停止するための第2の制御信号を受信するまで、温度の測定を継続し得る。
【0156】
ステップ903で、1つ以上の発熱体を活性化(または非活性化)するかどうかが判断され得る。いくつかの実施形態では、ステップ903は、コントローラ(例えば、コントローラ761、プロセッサ118)によって実行され得る。例えば、コントローラ761は、受信した温度情報に基づいて、MEMSミラーアセンブリ700Aの1つ以上のコンポーネントを加熱するために発熱抵抗体751、752、753、及び754の1つ以上を活性化(または非活性化)するかどうかを判断するように構成され得る。例えば、コントローラ761は、圧電要素731の温度が活性化閾値を下回っているかどうかを判断し得、活性化閾値は、コンポーネント(複数可)が最適に動作する温度範囲の下限であり得る。そうであれば、コントローラ761は、圧電要素731を加熱するために発熱抵抗体751を活性化することを決定し得る。他方、コントローラ761が、圧電要素731の温度は活性化閾値以上であると判断する場合、コントローラ761は、発熱抵抗体751の活性化は必要ないと決定し得る(すなわち、何の措置も取らない)。別の例として、コントローラ761は、第1のコンポーネントの温度を示す情報を第1のセンサから受信し、第2のコンポーネントの温度を示す情報を第2のセンサから受信し得る。例として、コントローラ761は、MEMSミラー701の温度を示す情報を第1のセンサから受信し、アクチュエータ721の温度を示す情報を第2のセンサから受信し得る。コントローラ761はまた、MEMSミラー701の温度が第1の活性化閾値を上回っていて、他方、圧電要素731の温度は第2の活性化閾値を下回っていることを判断し得る(第2の活性化閾値は、第1の閾値と同一であるか、または異なり得る)。コントローラ761は更に、発熱抵抗体752を活性化するが、MEMSミラー701(
図7Aには示さず)に近接した発熱抵抗体は活性化しないことを決定し得る。更なる例として、コントローラ761は、コンポーネントの温度の1つが、特定のコンポーネントに対応する活性化閾値(コンポーネントに対して同一であるか、または異なり得る)を下回っていると判断して、一部または全部の発熱抵抗体751、752、753、及び754を活性化することを決定し得る。
【0157】
いくつかの実施形態では、活性化温度閾値は電気光学システム(またはMEMSミラーアセンブリ)が動作する露点に関連し得る。露点は、その温度を下回ると水滴が凝結し始めて露を形成し得る大気温度を指し、それは、圧力及び湿度に応じて変化し得る。例えば、コントローラ761は、電気光学システム(またはMEMSミラーアセンブリ)が動作する露点を受信し得る(または圧力、湿度等の様々な要因に基づいて判断し得る)。コントローラ761は、露点を活性化閾値として設定し得る。代替として、コントローラ761は、露点を下回るか、または上回るあるセ氏温度を活性化閾値として設定し得る。例として、コントローラ761は、露点を下回る(または上回る)3℃を活性化閾値として設定し得る。
【0158】
いくつかの実施形態では、活性化温度閾値は、MEMSミラーアセンブリの動作条件に関連し得る。例えば、コントローラ761は、MEMSミラーアセンブリ(及び/または電気光学システム)の温度を動作範囲内に維持するために十分に高い活性化温度を設定するように構成され得る。例として、活性化温度は、コントローラ761により、それを下回るとミラーの動きの程度が制限され、動作のための電圧が高過ぎ、1つ以上の圧電要素が損傷するか、異常に動作するか、もしくは同様であるか、またはそれらの組み合わせである、温度として設定され得る。代替または追加として、コントローラ761は、低温のためにコンポーネント(複数可)が準最適な状態であることを示すMEMSミラーアセンブリの1つ以上のコンポーネントからのエラー信号を受信し得る。コントローラ761は、本開示の別の箇所で記載されるとおり、1つ以上の発熱抵抗体を活性化し得る。
【0159】
コントローラ761は、非活性化条件が満足される場合、発熱抵抗体751、752、753、及び754の1つ以上を非活性化するようにも構成され得る。例えば、コントローラ761は、受信した温度情報に基づき発熱抵抗体751を非活性化し得る。例えば、コントローラ761は、(本開示の別の箇所で記載されるとおり)圧電要素731を加熱するために発熱抵抗体751が活性化された後、圧電要素731の温度を示す情報をセンサから受信し得る。コントローラ761は、圧電要素731の温度は非活性化閾値以上であると判断し得る。コントローラ761は、発熱抵抗体751を非活性化することを決定し得る。コンポーネントの非活性化閾値は、その活性化閾値以上であり得る。いくつかの実施形態では、非活性化閾値は、MEMSミラーアセンブリの周囲温度に関連し得る(例えば、周囲温度よりもセ氏5、10、または15度高い)。代替または追加として、コントローラ761は、所定の加熱期間(例えば、1、5、または10分)の後、発熱抵抗体を非活性化し得る。いくつかの実施形態では、非活性化閾値は、電気光学システム(またはMEMSミラーアセンブリ)が動作する露点に関連し得る。例えば、コントローラ761は、電気光学システム(またはMEMSミラーアセンブリ)が動作する露点を受信し得る(または圧力、湿度等の様々な要因に基づいて判断し得る)。コントローラ761は、露点を上回るあるセ氏温度を非活性化閾値として設定し得る。例として、コントローラ761は、露点を上回る5~20℃の間の任意の数を非活性化閾値として設定し得る。
【0160】
いくつかの実施形態では、コントローラ761は、非活性化条件が満足されるまで発熱抵抗体の活性化を制御し得る。例えば、コントローラ761は、圧電要素731を加熱するために発熱抵抗体751を活性化し得、発熱抵抗体751は、活性化されると圧電要素731を加熱するように構成され得る。コントローラ761は、加熱の後、圧電要素731の温度を示す情報をセンサから受信し得る。コントローラ761は、圧電要素731の温度がMEMSミラーアセンブリ周辺の周囲温度よりも温度差(例えば、セ氏5または10度)だけ高いと判断し得る。コントローラ761は次いで、発熱抵抗体751を非活性化し得る。温度差はセ氏1~30度の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、温度差は、セ氏1~5度、セ氏5~10度、セ氏10~20度、及びセ氏20~30度の部分範囲に制限され得る。いくつかの実施形態では、発熱抵抗体を非活性化するための条件は、加熱後に非活性化温度閾値に達していること、発熱抵抗体によって加熱するための期間に達していること、もしくは同様のもの、またはそれらの組み合わせに関連し得る。
【0161】
いくつかの実施形態では、コントローラ761は、コンポーネントの温度及び基準温度に基づいてコンポーネントを加熱するために発熱抵抗体を活性化(及び/または非活性化)することを決定し得る。基準温度は別のコンポーネントの温度であり得る。例えば、コントローラ761は、圧電要素731の温度を示す情報を第1のセンサから受信し得、MEMSミラー701の温度を示す情報を第2のセンサから受信し得、それは基準温度として役立つ。コントローラ761は、圧電要素731の温度と基準温度との間の比較に基づき、圧電要素731を加熱する発熱抵抗体751を活性化(及び/または非活性化)することを決定し得る。例として、コントローラ761は、圧電要素731の温度が基準温度よりもセ氏5度低い場合、発熱抵抗体751を活性化することを決定し得る。
【0162】
ステップ905で、1つ以上の発熱体が活性化(または非活性化)され得る。いくつかの実施形態では、ステップ905は、コントローラ(例えば、コントローラ761、プロセッサ118)によって実行され得る。例えば、コントローラ761は、それが活性化(または非活性化)することを決定した発熱体(例えば、発熱抵抗体751、752、753、及び754の1つ以上)を活性化(または非活性化)するように構成され得る。例えば、コントローラ761は、発熱抵抗体への電流の印加を引き起こすように構成され得る。例として、コントローラ761は、電源771を(例えば、制御信号を電源771に送信することにより)制御して発熱抵抗体に電流を供給し得、発熱抵抗体は電流がそれを流れるときに1つ以上のコンポーネントを加熱し得る。
【0163】
いくつかの実施形態では、コントローラ761は、発熱抵抗体が加熱するコンポーネント(複数可)の温度に基づき、電流を発熱抵抗体に印加させ得る。例えば、コントローラ761は、電源771を制御して、圧電要素731が第1の温度である場合に第1の電流を発熱抵抗体751に供給し、圧電要素731が第1の温度よりも低い第2の温度である場合に第1の電流よりも大きい第2の電流を発熱抵抗体751に供給し得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、コントローラ761は、発熱抵抗体が加熱するコンポーネントの温度間の差に基づいて、異なる電流を異なる発熱抵抗体に印加させ得る。例えば、コントローラ761は、発熱抵抗体751及び752を活性化することを決定し得る。コントローラ761は、電源771を制御して、第1の電流を発熱抵抗体751に供給し、第2の電流を発熱抵抗体752に供給し得、それは第1の電流と異なり得る(例えば、第1の電流よりも大きいか、または小さい)。代替または追加として、コントローラ761は、発熱抵抗体のタイプに基づき、異なる電流を異なる発熱抵抗体に印加させ得る。
【0165】
電源771は、電流を1つ以上の発熱抵抗体に様々な方法で(コントローラ761の指示下または勝手に)供給し得る。例えば、電源771は、パルス電流を発熱抵抗体に供給し得る。代替または追加として、電源771は、電流を発熱抵抗体に継続的に供給し得る。代替または追加として、電源771は、電流を発熱抵抗体に断続的に供給し得る。例えば、電源771は、発熱抵抗体への電流の供給を第1の期間継続し、供給を第2の期間停止し、次いで、供給を第3の期間再開し得る、等と続く。供給するため及び供給を中止するための期間は同一または異なり得る。
【0166】
電源771は、コントローラ761の指示下または勝手に、発熱抵抗体に同じ量の熱を放散させ得る(または同じ熱量を持たせ得る)電流を2つ以上の発熱抵抗体に供給し得る。発熱抵抗体の熱放散量(熱量)は、発熱抵抗体を流れる電流の生成及び発熱抵抗体の電圧に比例し得る。例えば、電源771は、発熱抵抗体751及び752に同じ熱量を放散させる電流を発熱抵抗体751及び752に供給し得る。例として、発熱抵抗体を通る電流は同じ流れを有し得、発熱抵抗体の電圧は同じである。代替として、電源771は、発熱抵抗体に異なる熱量を放散させ得る電流を2つ以上の発熱抵抗体に供給し得る。例えば、電源771は、第1の電流を発熱抵抗体751に供給し得る。電源771はまた、第1の電流とは異なり得る、第2の電流を発熱抵抗体752に供給し得る。例として、第2の電流は、第1の電流よりも大きい(または小さい)流れを有し得る。代替または追加として、電源771は、発熱抵抗体751の電圧を発熱抵抗体752の電圧とは異なるようにさせ得る。
【0167】
そのソリッドステート光検出器のための加熱機構を備えた電気光学システム
【0168】
電気光学システムが動作する最適環境を維持するために、システムの1つ以上のコンポーネントの温度を動作範囲内に保つためにシステムに組み込まれた1つ以上の発熱抵抗体を含めることは望ましくあり得る。集積回路を含み得る、新しいソリッドステート光検出器が、以下で説明される。ソリッドステート光検出器は、電気光学システムの一部であり得、それはLIDARシステム(例えば、LIDARシステム100)の一部であり得る。前述の原理はさらに他のタイプの電気光学システム(例えば、カメラ、距離計、電子顕微鏡)に適用され得ることも企図される。電気光学システムは、光を電気光学システムの視野(FOV)からソリッドステート光検出器に向かわせるための光学系も含み得る。いくつかの実施形態では、電気光学システムは、ソリッドステート光検出器の1つ以上のコンポーネント(例えば、1つ以上の発熱抵抗体)に電流を供給するための電流源も含み得る。
【0169】
集積回路は、感光性フォトダイオード(複数可)に衝突する光を示す出力信号を生成するように構成された1つ以上の感光性フォトダイオードを含み得る。集積回路は、ソリッドステート光検出器の1つ以上のコンポーネントを加熱するように構成された1つ以上の発熱体(例えば、発熱抵抗体)も含み得る。集積回路は、電流を発熱体(複数可)に送るための回路を更に含み得る。
【0170】
図10A、
図10B、及び
図10Cは、本開示される主題の例に従った、例示的なソリッドステート光検出器を示す。ソリッドステート光検出器1000A、1000B、及び1000C(ならびに
図11A及び
図11Bに示されるソリッドステート光検出器1100A及び1100B)はある場合には個別に説明されているが、1つのソリッドステート光検出器の1つ以上のコンポーネントは本明細書で説明される他のソリッドステート光検出器で使用され得る。
【0171】
図10Aに示されるように、ソリッドステート光検出器1000Aは、とりわけ、集積回路1001Aを含み得、それは感光性フォトダイオード1011、発熱体(例えば、発熱抵抗体1021)、及び電流を電源(電流源とも呼ばれる)から発熱体へ送るための回路を含み得る。感光性フォトダイオード1011は、光を感知して、その感光性フォトダイオードに衝突する光を示す出力信号を生成するように構成され得る。発熱抵抗体1021は、ソリッドステート光検出器(またはその1つ以上のコンポーネント)を加熱するように構成され得る。例えば、発熱抵抗体1021は、電流が発熱抵抗体1021を流れるときに、感光性フォトダイオード1011を加熱するように構成され得る。
【0172】
集積回路は、ソリッドステート光検出器(またはその1つ以上のコンポーネント)の温度を監視するように構成されたセンサも含み得る。
図10Bは、集積回路1001Bを含む例示的なソリッドステート光検出器1000Bを示しており、集積回路1001Bはソリッドステート光検出器及び/または感光性フォトダイオード1012の温度を監視するように構成されたセンサ1032を含み得る。集積回路1001Bは、ソリッドステート光検出器及び/または感光性フォトダイオード1012の監視された温度に基づき、感光性フォトダイオード1012を加熱するための発熱抵抗体1022も含み得る。
【0173】
集積回路は、1つ以上の発熱体の活性化を制御するように構成されたコントローラ及び回路を介して電流を発熱体に供給するように構成された電源を更に含み得る。
図10Cは、集積回路1001Cを含む例示的なソリッドステート光検出器1000Cを示しており、集積回路1001Cはコントローラ1043、電源(図示せず)、センサ1033、感光性フォトダイオード1013、1014、1015、1016、1017、及び1018、ならびに発熱抵抗体1023を含み得る。センサ1033は、ソリッドステート光検出器(及び/またはその1つ以上のコンポーネント)の温度を監視するように構成され得る。コントローラ1043は、ソリッドステート光検出器及び/または1つ以上のコンポーネント(例えば、感光性フォトダイオード1013、1014、1015、1016、1017、及び1018の1つ以上)の監視された温度に基づき、発熱抵抗体1023の活性化を制御するように構成され得る。例えば、コントローラ1043は、感光性フォトダイオード1013の温度を示す情報をセンサ1033から受信し得る。コントローラ1043は、温度が閾値を下回っていることも判断し得る。コントローラ1043は、電源を制御して電流を発熱抵抗体1023に供給するように更に構成され得、それにより感光性フォトダイオード1013(及び/または1つ以上の他のコンポーネント)を加熱する。
【0174】
感光性フォトダイオードは、電気光学システムのFOV内の物体からの反射を検出するように構成され得る。感光性フォトダイオードはまた、その感光性フォトダイオードに衝突する光(例えば、強度、タイミング、もしくは同様のもの、またはそれらの組み合わせ)に基づいて、出力信号も生成し得る。電気光学システムは、1つ以上の感光性フォトダイオードを含み得、その各々は1つ以上の検出器を含み得る。検出器(例えば、感光性フォトダイオード1011の検出器、感光性フォトダイオード1012の1つ以上の検出器、1つ以上の感光性フォトダイオード1013、1014、1015、1016、1017、及び1018)は、感光ダイオードセンサ、例えば、アバランシェ光検出器(APD)、単一光子アバランシェ検出器(SPAD)、シリコン光電子増倍検出器(SiPM)、PINフォトダイオード等、であり得る。
【0175】
いくつかの実施形態では、ソリッドステート光検出器は、検出器を含む感光性フォトダイオードを含み得る。例えば、
図10Aに示されるように、電気光学システム1000Aは、電気光学システムのFOV内で光を検出するように構成された検出器を含む感光性フォトダイオード1011を含み得る。他の実施形態では、電気光学システムは、複数の検出器を含む感光性フォトダイオードを含み得る。例えば、感光性フォトダイオードは、検出器の行または列を含み得る。別の例として、
図10Bに示されるように、ソリッドステート光検出器(すなわち、ソリッドステート光検出器1000B)は、4×8検出器(「画素」または「検出セル(detection cell)」とも呼ばれる)の行列を含む感光性フォトダイオード1012を含み得る。いくつかの実施形態では、画素の各々は、FOVの一部から光を検出するように構成され得る。画素のサイズは異なり得る。例えば、画素サイズは、約100×100μm
2または1×1mm
2であり得る。感光性フォトダイオード1012は1つ以上の出力も含み得、その各々は、感光性フォトダイオード1012の異なる部分(画素)に対応し得る。感光性フォトダイオード1012は、検出器の2つ以上のセット(例えば、行、列)を2つの非平行軸において有するという意味において2次元であり得る。感光性フォトダイオード1012内の検出器の数は、異なる実施態様間で(例えば、所望の解像度、信号対雑音比(SNR)、所望の検出距離に応じて)異なり得る。例えば、感光性フォトダイオード1012は5~5,000画素の間のいずれかを有し得る。もっと少ないか、またはもっと多い画素カウント(例えば、メガピクセル単位)も実装できる。
【0176】
感光性フォトダイオードの検出器は、同じタイプであり得るか、または異なるタイプを含み得る。代替または追加として、同じタイプの検出器は、異なる特性(例えば、感度、サイズ)を有し得る。異なるタイプの検出器の組み合わせは、例えば、距離範囲(例えば、近距離)にわたる検出の向上、検出器のダイナミックレンジの向上、検出器の時間的応答の向上、及び/または様々な環境条件(例えば、大気温度、雨等)における検出の向上等の、様々な理由から使用できる。
【0177】
いくつかの実施形態では、電気光学システムは、複数の感光性フォトダイオードを含み得、その各々は1つ以上の検出器を含み得る。例えば、
図10Cに示されるように、電気光学システム1000Cは、感光性フォトダイオード1013、1014、1015、1016、1017、及び1018を含み得る。感光性フォトダイオード1013、1014、1015、1016、1017、及び1018の各々は、複数の検出器を含み得る。いくつかの実施形態では、ソリッドステート光検出器は、感光性フォトダイオード(及び/または検出器)と関連付けられた読出し回路も含み得る。
【0178】
ソリッドステート光検出器は、1つ以上の発熱体(例えば、
図10A、
図10B、及び
図10Cにそれぞれ示される発熱抵抗体1021、1022、及び1023)を含み得る。発熱抵抗体は、ソリッドステート光検出器の1つ以上のコンポーネント(例えば、感光性フォトダイオード、透明層、コントローラ、もしくは同様のもの、またはそれらの組み合わせ)を加熱するように構成され得る。例えば、
図10Aに示されるように、発熱抵抗体1021は、感光性フォトダイオード1011を加熱するように構成され得る。代替または追加として、ソリッドステート光検出器は、1つのコンポーネントを加熱するために2つ以上の発熱抵抗体を含み得る。例えば、ソリッドステート光検出器1000Aは、感光性フォトダイオード1011を加熱するために発熱抵抗体1021および別の発熱抵抗体(図示せず)を含み得る。代替または追加として、ソリッドステート光検出器は、2つ以上の感光性フォトダイオードを加熱するように構成された発熱抵抗体を含み得る。例えば、
図10Cに示されるように、ソリッドステート光検出器1000Cは発熱抵抗体1023を含み得、それは、感光性フォトダイオード1013、1014、1015、1016、1017、及び1018を加熱するように構成され得る。発熱抵抗体は、コンポーネント上に、またはコンポーネントに近接して実装され得る。例えば、発熱抵抗体は、感光性フォトダイオードに近接して、その感光性フォトダイオードが実装されている基板上に実装され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の発熱抵抗体は、集積回路のポリシリコンまたは金属層上に実装され得る。
【0179】
いくつかの実施形態では、ソリッドステート光検出器は、1つ以上のコンポーネントを加熱するために1つ以上の発熱抵抗体を制御するように構成されたコントローラを含み得る。例えば、
図10Cに示されるように、ソリッドステート光検出器1000Cは集積回路1001Cを含み得、それは、発熱抵抗体1023の活性化を制御するように構成されたコントローラ1043を含み得る。コントローラ761は発熱抵抗体1023を制御して、感光性フォトダイオード1013、1014、1015、1016、1017、及び1018の少なくとも1つを加熱し得る。例として、コントローラ1043は、感光性フォトダイオードの温度が閾値を下回っている場合、発熱抵抗体1023を活性化することを決定し得る。コントローラ1043は、発熱抵抗体に電流を通すために電源(図示せず)も制御し得る。
【0180】
いくつかの実施形態では、ソリッドステート光検出器は、1つ以上のコンポーネントを加熱するように構成された2つ以上の発熱抵抗体を含み得る。発熱抵抗体は、コンポーネント上に(または近接して)均一的に実装され得る。代替として、発熱抵抗体は、コンポーネント上に(または近接して)均一的に実装されない可能性がある。いくつかの実施形態では、発熱抵抗体は同じタイプまたは異なるタイプであり得る。代替または追加として、コントローラは、同じ電流または異なる電流を発熱抵抗体に供給するために電源を制御し得る。
【0181】
いくつかの実施形態では、異なる電流を異なる発熱抵抗体に供給するために電源を制御し得る。例えば、電源は第1の電流を第1の発熱抵抗体に、および、第1の電流とは異なる(例えば、もっと大きいか、または小さい電流)、第2の電流を第2の発熱抵抗体に供給し得る。
【0182】
いくつかの実施形態では、ソリッドステート光検出器は、2つ以上のコンポーネントを加熱するように構成された1つの発熱体を含み得る。例として、
図10Cに示されるように、ソリッドステート光検出器1000Cは、電流が発熱抵抗体1023を流れるときに感光性フォトダイオード1013、1014、1015、1016、1017、及び1018を加熱するように構成された発熱抵抗体1023を含み得る。
【0183】
いくつかの実施形態では、発熱体は、ソリッドステート光検出器(及び/またはその1つ以上のコンポーネント)の温度を示す情報に応答して、ソリッドステート光検出器(及び/またはその1つ以上のコンポーネント)を加熱するように構成され得る。例として、コントローラ1043は、感光性フォトダイオード1013の温度が閾値を下回っていることを示す情報を受信し得る。コントローラ1043は、感光性フォトダイオード1013を加熱するために、電源を制御して電流を発熱抵抗体1023に供給し得る。
【0184】
いくつかの実施形態では、発熱抵抗体は同じタイプであり得る。代替として、電気光学システムは、2つ以上の異なるタイプの発熱抵抗体を含み得る。例えば、発熱抵抗体は、別の発熱抵抗体(または他の発熱抵抗体)とは異なる全抵抗、発熱量、もしくは同様のもの、またはそれらの組み合わせを有し得る。
【0185】
いくつかの実施形態では、発熱抵抗体(例えば、発熱抵抗体1021、1022、及び/または1023)は、全抵抗を1/4~5キロオームの範囲で有し得る。いくつかの実施形態では、発熱抵抗体の全抵抗は、1/4~1オーム、1~10オーム、10~50オーム、50~100オーム、100~500オーム、500~1000オーム、1~2キロオーム、及び2~5キロオームの部分範囲に制限され得る。
【0186】
いくつかの実施形態では、発熱抵抗体(例えば、発熱抵抗体751、752、753、754、及び756)は、発熱量を5~5000ミリワットの範囲で有し得る。いくつかの実施形態では、発熱抵抗体の発熱量は、5~10ミリワット、10~50ミリワット、50~100ミリワット、100~500ミリワット、500~1000ミリワット、1000~1500ミリワット、1500~2500ミリワット、及び2500~5000ミリワットの部分範囲に制限され得る。
【0187】
いくつかの実施形態では、ソリッドステート光検出器は、そのソリッドステート光検出器が動作する条件を監視するように構成された様々なセンサ(図示せず)を含み得る。例えば、ソリッドステート光検出器の集積回路は、ソリッドステート光検出器(及び/またはその1つ以上のコンポーネント)の温度を監視するように構成された1つ以上の温度センサを含み得る。例えば、温度センサ(例えば、抵抗温度センサ)は、ソリッドステート光検出器またはその感光性フォトダイオードの温度を測定するように構成され得る。代替または追加として、温度センサはソリッドステート光検出器(またはそのソリッドステート光検出器を含む電気光学システム)の周囲温度を監視するように構成され得る。センサは、帰還抵抗、ダイオード、トランジスタ、もしくは同様のもの、またはそれらの組み合わせの少なくとも1つを含み得る。センサは、例えば、ソリッドステート光検出器の1つ以上のコンポーネントの動作への変化する温度の影響を測定することにより、温度を直接または間接的に測定し得る。
【0188】
センサは、それが監視する条件(複数可)に関連した信号及び/または情報をソリッドステート光検出器のコントローラに送信するように構成され得る。例えば、センサは、感光性フォトダイオード1013、1014、1015、1016、1017、及び1018の1つ以上の温度を示す情報をコントローラ1043に送信し得、コントローラ1043は、受信した情報に基づいて、感光性フォトダイオード1013、1014、1015、1016、1017、及び1018の1つ以上を加熱するために1つ以上の発熱抵抗体を活性化させるかどうかを判断し得る。センサによる温度の測定(または監視)は、連続的または断続的であり得る。代替または追加として、センサは、コントローラ1043から制御信号を受信して、温度を測定し、それが取得する温度情報をコントローラ1043に送信し得る。例として、コントローラ1043は、1つ以上の感光性フォトダイオードの動作状態を示す情報を受信して、センサに送信される制御信号を生成し得る。制御信号を受信後、センサは感光性フォトダイオードの温度を測定し、その温度情報をコントローラ1043に送信し得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、センサは、ソリッドステート光検出器の一部として実装され得る。例えば、センサは、集積回路上のソリッドステート光検出器のコンポーネント上に(または近接して)実装され得る。例として、センサは、感光性フォトダイオードまたはコントローラ1043が実装されている基板上に実装され得る。別の例として、センサは、透明層(例えば、
図1Aに示されるウィンドウ124、
図11Aに示されるウィンドウ1131、
図11Bに示されるマイクロレンズ1152、
図4Dに示されるマイクロレンズ422)に近接して実装され得る。他の実施形態では、センサは、ソリッドステート光検出器または電気光学システムの外部に実装され得る(例えば、電気光学システムの周りの周囲温度を測定するように構成された電気光学システムの外部の温度センサ)。
【0190】
いくつかの実施形態では、ソリッドステート光検出器はコントローラ(例えば、コントローラ1043)および電源も含み得る。コントローラ1043は、1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、もしくは同様のもの、またはそれらの組み合わせを含み得る。コントローラ1043は、1つ以上の発熱抵抗体の活性化を制御するように構成され得る。例えば、コントローラ1043は、電源(図示せず)を制御して電流を発熱抵抗体の1つ以上に供給し得る。
【0191】
電源は、加熱のために1つ以上の発熱抵抗体に電力を供給するように構成され得る。電源は、電池、AC電源、DC電源、充電可能コンデンサ、もしくは同様のもの、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、電源は、ソリッドステート光検出器または電気光学システムの部分である電源(例えば、内部電源)を含み得る。代替または追加として、電源は、ソリッドステート光検出器または電気光学システムの外部の電源を含み得る。
【0192】
いくつかの実施形態では、電源は、ソリッドステート光検出器の様々なコンポーネント(例えば、感光性フォトダイオード、発熱抵抗体、コントローラ、様々なセンサ)に電気的に結合され得る。電源は、コントローラ1043の外部であり得る。代替として、電源及びコントローラ1043は、単一のユニットとして一体化され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ1043及び電源は、電気光学システムに電気的に結合され得るが、電気光学システムの外部であり得る。例えば、コントローラ1043(及び/または電源)は、電気光学システムの外部に(例えば、電気光学システムを含むLIDARシステムの別の部分として)実装され得る。
【0193】
いくつかの実施形態では、コントローラ1043は、ソリッドステート光検出器(またはそのコンポーネント)からの温度読取りに基づき、選択的に電源に発熱抵抗体を通る電流を印加させ得る。例えば、コントローラ1043は、ソリッドステート光検出器1000Cからの温度読取り(例えば、感光性フォトダイオード1013からの温度読取り)に基づき、選択的に電流を発熱抵抗体1023に供給する(しかし、もしあれば、他の発熱抵抗体(複数可)には供給しない)ために電源を制御するように構成され得る。例として、コントローラ1043は、温度読取りが閾値温度よりも低い場合、選択的に電源に発熱抵抗体1023を通る電流を印加させ得る。
【0194】
いくつかの実施形態では、電気光学システムはLIDARシステムであり、それは、FOV内の少なくとも1つの物体までの距離を判断するために、感光性フォトダイオード(複数可)の検出を処理するようにプログラムされたプロセッサを更に含み得る。他のタイプの電気光学システム(例えば、カメラ、電気光学顕微鏡)も企図され得る。
【0195】
いくつかの実施形態では、ソリッドステート光検出器は、そのソリッドステート光検出器に結合された透明層を更に含み得、ソリッドステート光検出器は、その透明層上への氷(または霜)の蓄積を減らすか、または防ぐように構成された発熱抵抗体を含み得る。透明層は、例えば、ウィンドウ、ウェッジ(wedge)、マイクロレンズのアレイ、プリズム、プリズムのアレイ、光学フィルタ、もしくは同様のもの、またはそれらの組み合わせであり得る。透明層は、透明、一部透明、または半透明であり得る。
【0196】
図11Aは、感光性フォトダイオード1111ならびに発熱抵抗体1121および1122を含む例示的なソリッドステート光検出器1100Aを示す。感光性フォトダイオード1111は、本開示の別の箇所で記載されるような感光性フォトダイオードに類似し得る。発熱抵抗体1121および1122は、本開示の別の箇所で記載されるような発熱抵抗体に類似し得る。ソリッドステート光検出器1100Aは、感光性フォトダイオード1111に結合されたウィンドウ1131も含み得る。氷または霜(例えば、氷1141)は、ある条件下で(例えば、電気光学システムを含むLIDARシステムの外部及び/または内部が、湿気または蒸気の存在下で氷点を下回り得る)ウィンドウ1131上に蓄積し得る。氷または霜は光学ブロック(またはフィルタ)を形成し、かつ/またはウィンドウ1131の光学特性を変え得る(例えば、レンズの光強度を変える)。氷の蓄積を減らすか、または防ぐために、発熱抵抗体1122(及び/または発熱抵抗体1121)はウィンドウ1131(及び/または感光性フォトダイオード1111)を加熱するように構成され得る。加熱プロセスは、本開示の別の箇所で(例えば、プロセス1200に従って)記載される加熱プロセスに類似し得る。
図11Bは、感光性フォトダイオード1111ならびに発熱抵抗体1121および1124を含む例示的なソリッドステート光検出器1100Bを示す。感光性フォトダイオード1111は、本開示の別の箇所で記載されるような感光性フォトダイオードに類似し得る。発熱抵抗体1123および1124は、本開示の別の箇所で記載されるような発熱抵抗体に類似し得る。ソリッドステート光検出器1100Bは、感光性フォトダイオード1112に結合されたマイクロレンズ1152のアレイも含み得る。氷または霜(例えば、氷1142)は、ある条件下で(例えば、ソリッドステート光検出器を含むLIDARシステムの外部及び/または内部が、湿気または蒸気の存在下で氷点を下回り得る)マイクロレンズ1152(またはその1つ以上のマイクロレンズ)上に蓄積し得る。氷または霜は光学ブロック(またはフィルタ)を形成し、かつ/またはマイクロレンズ1152の光学特性を変え得る(例えば、レンズの光強度を変える)。氷の蓄積を減らすか、または防ぐために、発熱抵抗体1124(及び/または発熱抵抗体1123)はマイクロレンズ1152(及び/または感光性フォトダイオード1112)を加熱するように構成され得る。加熱プロセスは、本開示の別の箇所で(例えば、プロセス1200に従って)記載される加熱プロセスに類似し得る。
【0197】
いくつかの実施形態では、ソリッドステート光検出器の2つ以上のコンポーネント(例えば、感光性フォトダイオード、発熱抵抗体、コントローラ、電源の1つ以上)は、単一チップ(または回路)上に製造され得る。例えば、発熱抵抗体1023ならびに感光性フォトダイオード1013、1014、1015、1016、1017、及び1018の1つ以上(および電流を発熱抵抗体1023に送るための回路)は、集積回路上に実装され得る。代替または追加として、発熱抵抗体および感光性フォトダイオードの電極は、集積回路の同じ金属層上に実装され得る。代替または追加として、発熱抵抗体は、集積回路のシリコン系層のドープ領域上に実装され得る。いくつかの実施形態では、発熱抵抗体および感光性フォトダイオードは、たとえ同じ金属層上に(例えば、同じ金属塗布(metal application)プロセスで)実装されても、機械的及び/または電気的に相互に分離され得る。他の実施形態では、発熱抵抗体および感光性フォトダイオードは機械的及び/または電気的に結合され得る。
【0198】
ソリッドステート光検出器は、追加のコンポーネント、例えば、コントローラ、電源、センサ(例えば、温度センサ)、光学コンポーネント、構造要素、透明層等、も含み得る。追加のコンポーネントの1つは、発熱抵抗体及び/または感光性フォトダイオードと同じチップ上、別のチップ上に実装され得るか、または別の方法で一体化され得る。
【0199】
いくつかの実施形態では、1つ以上の発熱抵抗体は、ソリッドステート光検出器のコンポーネントに近接した位置上に実装され得る。例として、1つ以上の発熱抵抗体は、感光性フォトダイオードに近接して実装され得る。
【0200】
図12は、開示される実施形態に従った例示的な加熱プロセス1200のフローチャートである。加熱プロセス1200の1つ以上のステップは、ソリッドステート光検出器のコントローラまたはソリッドステート光検出器の外部のコントローラ(例えば、プロセッサ118)によって実行され得る。加熱プロセスは本明細書では、
図10Cに示されるソリッドステート光検出器1000Cのコンポーネントを使用して説明されるが、それは本開示で説明される他の例示的なソリッドステート光検出器に適用され得る。
【0201】
ステップ1201で、温度情報が受信され得る。ステップ1201は、ソリッドステート光検出器のコントローラ及び/またはプロセッサ118によって実行され得る。例えば、コントローラ1043は温度情報を受信し得る。いくつかの実施形態では、コントローラ1043は、ソリッドステート光検出器1000C(またはその1つ以上のコンポーネント、例えば、1つ以上の感光性フォトダイオード、透明層、もしくは同様のもの、またはそれらの組み合わせ等)を示す情報を温度センサから受信し得る。例えば、感光性フォトダイオード1013に近接したセンサは、感光性フォトダイオード1013の温度を測定し、温度を示す情報をコントローラ1043に送信し得る。別の例として、コントローラ1043は、ソリッドステート光検出器1000Cの周辺の周囲温度を示す情報を、ソリッドステート光検出器1000Cの外部のセンサから受信し得る。
【0202】
いくつかの実施形態では、センサは、ソリッドステート光検出器(または、その1つ以上のコンポーネント、例えば、1つ以上の感光性フォトダイオード、透明層、もしくは同様のもの、またはそれらの組み合わせ等)の温度を継続的に測定し、情報をコントローラ1043に継続的に送信し得る。代替または追加として、センサは、温度を断続的に測定し、コントローラ1043が利用可能であれば、温度情報をコントローラ1043に送信し得る。例えば、センサは、事前に決定された期間にわたって一度、温度を測定するように構成され得、その期間は、0.1秒~10分の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、その期間は0.1~1秒、1~10秒、10~60秒、及び1~10分の部分範囲に制限され得る。代替または追加として、センサは、要求に応じて温度を測定するように構成され得る。例えば、センサは、制御信号をコントローラ1043から受信し得る。それに応じて、センサは温度を(継続的または断続的に)測定し、温度情報をコントローラ1043に送信し得る。いくつかの実施形態では、センサは、測定を停止するための第2の制御信号を受信するまで、温度の測定を継続し得る。
【0203】
ステップ1203で、発熱抵抗体の1つ以上を活性化(または非活性化)するかどうかが判断され得る。ステップ1203は、ソリッドステート光検出器のコントローラ及び/またはプロセッサ118によって実行され得る。例えば、コントローラ1043は、受信した温度情報に基づいて、ソリッドステート光検出器またはソリッドステート光検出器の1つ以上のコンポーネント(例えば、集積回路、1つ以上の感光性フォトダイオード、センサ、コントローラ、透明層、もしくは同様のもの、またはそれらの組み合わせ)を加熱するために発熱抵抗体(例えば、発熱抵抗体1023を含む)の1つ以上を活性化(または非活性化)するかどうかを判断するように構成され得る。例えば、コントローラ1043は、感光性フォトダイオード1013、1014、1015、1016、1017、および1018の1つ以上の温度が活性化閾値を下回っているかどうかを判断し得、活性化閾値は、コンポーネント(複数可)が最適に動作する温度範囲の下限であり得る。そうであれば、コントローラ1043は、感光性フォトダイオード(複数可)を加熱するために発熱抵抗体1023を活性化することを決定し得る。他方、コントローラ1043が、感光性フォトダイオードの温度は活性化閾値以上であると判断する場合、コントローラ1043は、発熱抵抗体1023の活性化は必要ないと決定し得る(すなわち、何の措置も取らない)。別の例として、コントローラ1043は、第1のコンポーネントの温度を示す情報を第1のセンサから受信し、第2のコンポーネントの温度を示す情報を第2のセンサから受信し得る。例として、コントローラ1043は、感光性フォトダイオード1013の温度を示す情報を第1のセンサから受信し、感光性フォトダイオード1014の温度を示す情報を第2のセンサから受信し得る。コントローラ1043はまた、感光性フォトダイオード1013の温度が第1の活性化閾値を上回っていて、他方、感光性フォトダイオード1014の温度は第2の活性化閾値を下回っていることも判断し得る(第2の活性化閾値は、第1の閾値と同一であるか、または異なり得る)。コントローラ1043は更に、感光性フォトダイオード1014に近接した発熱抵抗体を活性化するが、感光性フォトダイオード1013(
図10Aには示さず)に近接した発熱抵抗体は活性化しないことを判断し得る。更なる例として、コントローラ1043は、コンポーネントの温度の1つが、特定のコンポーネントに対応する活性化閾値(コンポーネントに対して同一であるか、または異なり得る)を下回っていると判断して、一部または全部の発熱抵抗体を活性化することを決定し得る。
【0204】
いくつかの実施形態では、活性化温度閾値は電気光学システム(またはソリッドステート光検出器)が動作する露点に関連し得る。例えば、コントローラ1043は、電気光学システム(またはソリッドステート光検出器)が動作する露点を受信し得る(または圧力、湿度等の様々な要因に基づいて判断し得る)。コントローラ1043は、露点を活性化閾値として設定し得る。代替として、コントローラ1043は、露点を下回るか、または上回るあるセ氏温度を活性化閾値として設定し得る。例として、コントローラ761は、露点を下回る(または上回る)3℃を活性化閾値として設定し得る。
【0205】
いくつかの実施形態では、コントローラ1043は、感光性フォトダイオードが実装されているチップからの温度読取りに基づいて、発熱抵抗体を活性化することを判断するように構成され得る。例えば、コントローラ1043は、感光性フォトダイオードが実装されているチップからの温度読取りを受信して、温度が閾値を下回っていることを判断するように構成され得る。コントローラ1043は、感光性フォトダイオードを加熱するために発熱抵抗体を選択的に活性化することを判断するように構成され得る。
【0206】
コントローラ1043は、非活性化条件が満足される場合、1つ以上の発熱抵抗体を非活性化するようにも構成され得る。例えば、コントローラ1043は、受信した温度情報に基づき発熱抵抗体を非活性化し得る。例として、コントローラ1043は、(本開示の別の箇所で記載されるとおり)感光性フォトダイオード1013を加熱するために発熱抵抗体1023が活性化された後、感光性フォトダイオード1013の温度を示す情報をセンサから受信し得る。コントローラ1043は、感光性フォトダイオード1013の温度は非活性化閾値以上であると判断し得る。コントローラ1043は、発熱抵抗体1023を非活性化することを決定し得る。コンポーネントの非活性化閾値は、その活性化閾値以上であり得る。いくつかの実施形態では、非活性化閾値は、ソリッドステート光検出器の周囲温度に関連し得る(例えば、周囲温度よりもセ氏5、10、または15度高い)。代替または追加として、コントローラ1043は、所定の加熱期間(例えば、1、5、または10分)の後、発熱抵抗体を非活性化し得る。
【0207】
いくつかの実施形態では、コントローラ1043は、非活性化条件が満足されるまで発熱抵抗体の活性化を制御し得る。例えば、コントローラ1043は、感光性フォトダイオード1013を加熱するために発熱抵抗体1023を活性化し得、発熱抵抗体1023は、活性化されると感光性フォトダイオード1013を加熱するように構成され得る。コントローラ1043は、加熱の後、感光性フォトダイオード1013の温度を示す情報をセンサから受信し得る。コントローラ1043は、感光性フォトダイオード1013の温度がソリッドステート光検出器(またはその感光性フォトダイオード)周辺の周囲温度よりも温度差(例えば、セ氏5または10度)だけ高いと判断し得る。コントローラ1043は次いで、発熱抵抗体1023を非活性化し得る。温度差はセ氏1~30度の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、温度差は、セ氏1~5度、セ氏5~10度、セ氏10~20度、またはセ氏20~30度の部分範囲に制限され得る。いくつかの実施形態では、発熱抵抗体を非活性化するための条件は、加熱後に非活性化温度閾値に達していること、発熱抵抗体によって加熱するための期間に達していること、もしくは同様のもの、またはそれらの組み合わせに関連し得る。
【0208】
いくつかの実施形態では、非活性化閾値は、電気光学システム(またはソリッドステート光検出器)が動作する露点に関連し得る。例えば、コントローラ1043は、電気光学システム(またはソリッドステート光検出器)が動作する露点を受信し得る(または圧力、湿度等の様々な要因に基づいて判断し得る)。コントローラ1043は、露点を上回るあるセ氏温度を非活性化閾値として設定し得る。例として、コントローラ1043は、露点を上回る5~20℃の間の任意の数を非活性化閾値として設定し得る。
【0209】
いくつかの実施形態では、コントローラ1043は、コンポーネントの温度及び基準温度に基づいてコンポーネントを加熱するために発熱抵抗体を活性化(及び/または非活性化)することを決定し得る。基準温度は別のコンポーネントの温度であり得る。例えば、コントローラ1043は、感光性フォトダイオード1013の温度を示す情報を第1のセンサから受信し得、感光性フォトダイオード1014の温度を示す情報を第2のセンサから受信し得、それは基準温度として役立つ。コントローラ1043は、感光性フォトダイオード1013の温度と基準温度との間の比較に基づき、感光性フォトダイオード1013を加熱する発熱抵抗体1023を活性化(及び/または非活性化)することを決定し得る。例として、コントローラ1043は、感光性フォトダイオード1013の温度が基準温度よりもセ氏5度低い場合、発熱抵抗体1023を活性化することを決定し得る。
【0210】
ステップ1205で、1つ以上の発熱体が活性化(または非活性化)され得る。ステップ1205は、ソリッドステート光検出器のコントローラまたはソリッドステート光検出器の外部のコントローラによって実行され得る。例えば、コントローラ1043は、それが活性化(または非活性化)することを決定した発熱体を活性化(または非活性化)するように構成され得る。例えば、コントローラ1043は、回路によって発熱抵抗体への電流の印加を引き起こすように構成され得る。例として、コントローラ1043は、電源を(例えば、制御信号を電源に送信することにより)制御して回路によって発熱抵抗体に電流を供給し得、発熱抵抗体は電流がそれを流れるときに1つ以上のコンポーネントを加熱し得る。いくつかの実施形態では、加熱は、感光性フォトダイオード及び/もしくはソリッドステート光検出器の透明層上への氷の蓄積を減らすか、または防ぎ得る。
【0211】
いくつかの実施形態では、感光性フォトダイオードが低温でより良好に動作し得る(例えば、より低雑音である)と仮定すると、感光性フォトダイオードを加熱することは、感光性フォトダイオードの性能に影響を及ぼし得る。例えば、感光性フォトダイオードを加熱することは、電源の感度を低下させ得る。コントローラ1043は、加熱が感光性フォトダイオードの性能に悪影響を及ぼし得る場合、感光性フォトダイオードを加熱する発熱抵抗体を非活性化し得る。例えば、コントローラ1043は、感光性フォトダイオードが加熱されたか、または加熱されている後に、感光性フォトダイオードの性能に関連する情報を受信し得る。コントローラ1043は、受信した情報に基づいて、発熱抵抗体を非活性化するかどうかを判断し得る。コントローラ1043はまた、加熱が感光性フォトダイオードの性能に悪影響を及ぼしていると判断する場合、発熱抵抗体を非活性化し得る。別の例として、コントローラ1043は、感光性フォトダイオードが加熱されたか、または加熱されている後に、感光性フォトダイオードの温度に関連する情報を受信し得る。コントローラ1043は、温度は非活性化閾値以上であると判断し得る。コントローラ1043は、感光性フォトダイオードが最適温度で動作し得るように、発熱抵抗体を非活性化することを更に決定し得、それによりFOVから感光性フォトダイオードへの経路の光透過性または光学効率を維持する。
【0212】
いくつかの実施形態では、コントローラ1043は、発熱抵抗体に感光性フォトダイオードを、ソリッドステート光検出器(または感光性フォトダイオード)周辺の周囲温度よりも少なくともあるセ氏温度だけ高い温度まで、加熱させるように構成され得る。例えば、コントローラ1043は、発熱抵抗体に感光性フォトダイオードを、ソリッドステート光検出器(または感光性フォトダイオード)周辺の周囲温度よりも少なくともセ氏5~20度の間の任意の数だけ高い温度まで、加熱させるように構成され得る。
【0213】
いくつかの実施形態では、コントローラ1043は、発熱抵抗体が加熱するコンポーネント(複数可)の温度に基づき、電流をその発熱抵抗体に印加させ得る。例えば、コントローラ1043は、電源を制御して、感光性フォトダイオード1013が第1の温度である場合に第1の電流を発熱抵抗体1023に供給し、感光性フォトダイオード1013が、第1の温度よりも低い第2の温度である場合に、第1の電流よりも大きい第2の電流を発熱抵抗体1023に供給し得る。
【0214】
いくつかの実施形態では、コントローラ1043は、発熱抵抗体が加熱するコンポーネントの温度間の差に基づいて、異なる電流を異なる発熱抵抗体に印加させ得る。例えば、コントローラ1043は、第1の発熱抵抗体及び第2の発熱抵抗体を活性化することを決定し得る。コントローラ1043は、電源を制御して、第1の電流を第1の発熱抵抗体に供給し、第2の電流を第2の発熱抵抗体に供給し得、それは第1の電流と異なり得る(例えば、第1の電流よりも大きいか、または小さい)。代替または追加として、コントローラ1043は、発熱抵抗体のタイプに基づき、異なる電流を異なる発熱抵抗体に印加させ得る。
【0215】
電源は、電流を1つ以上の発熱抵抗体に様々な方法で(コントローラ1043の指示下または勝手に)供給し得る。例えば、電源は、パルス電流を発熱抵抗体に供給し得る。代替または追加として、電源は、電流を発熱抵抗体に継続的に供給し得る。代替または追加として、電源は、電流を発熱抵抗体に断続的に供給し得る。例えば、電源は、発熱抵抗体への電流の供給を第1の期間継続し、供給を第2の期間停止し、次いで、供給を第3の期間再開し得る、等と続く。供給するため及び供給を中止するための期間は同一または異なり得る。
【0216】
電源は、コントローラ1043の指示下または勝手に、発熱抵抗体に同じ量の熱を放散させ得る(または同じ熱量を持たせ得る)電流を2つ以上の発熱抵抗体に供給し得る。発熱抵抗体の熱放散量(熱量)は、発熱抵抗体を流れる電流の生成及び発熱抵抗体の電圧に比例し得る。例えば、電源は、発熱抵抗体に同じ熱量を放散させる電流を第1の発熱抵抗体及び第2の発熱抵抗体に供給し得る。例として、発熱抵抗体を通る電流は同じ流れを有し得、発熱抵抗体の電圧は同じである。代替として、電源は、発熱抵抗体に異なる熱量を放散させ得る電流を2つ以上の発熱抵抗体に供給し得る。例えば、電源は、第1の電流を第1の発熱抵抗体に供給し得る。電源はまた、第1の電流とは異なり得る、第2の電流を第2の発熱抵抗体に供給し得る。例として、第2の電流は、第1の電流よりも大きい(または小さい)流れを有し得る。代替または追加として、電源は、第1の発熱抵抗体の電圧を第2の発熱抵抗体の電圧とは異なるようにさせ得る。
【0217】
いくつかの実施形態では、電気光学システムは、(1つ以上の発熱抵抗体からの加熱の後及び/または前)感光性フォトダイオードによって電気光学システムのFOVから光を検出するように構成され得る。例えば、感光性フォトダイオード(または透明層)を加熱する少なくとも1つのインスタンスは、光の検出に先行し得る。いくつかの実施形態では、検出は(例えば、ソリッドステート光検出器のFOVをスキャンするために)継続的に実行され得、他方、加熱は、加熱条件が満足される場合(例えば、温度が閾値温度を下回る場合)に実行される。
【0218】
前述の記載は例示の目的で提示されている。これは網羅的でなく、開示される厳密な形態又は実施形態に限定されない。本明細書の検討及び開示される実施形態の実施から、当業者には変更及び適合が明らかであろう。更に、開示される実施形態の態様はメモリに記憶されているものとして記載されるが、これらの態様は、例えばハードディスク又はCD ROM、又は他の形態のRAM又はROM、USBメディア、DVD、ブルーレイ、又は他の光学ドライブ媒体のような二次記憶デバイス等、他の形態のコンピュータ読み取り可能媒体にも記憶できることは当業者には認められよう。
【0219】
記載された説明及び開示された方法に基づくコンピュータプログラムは、経験豊かな開発者のスキル内である。様々なプログラム又はプログラムモジュールを、当業者に既知の技法のいずれかを用いて生成するか、又は、既存のソフトウェアに関連付けて設計することができる。例えばプログラムセクション又はプログラムモジュールは、.Netフレームワーク、.Netコンパクトフレームワーク(及びVisual BasicやC等の関連言語)、Java、C++、Objective-C、HTML、HTML/AJAXの組み合わせ、XML、又はJavaアプレットを含むHTMLにおいて又はこれらによって、設計することができる。
【0220】
更に、例示的な実施形態を本明細書に記載したが、均等の要素(equivalent elements)、変更、省略、(例えば様々な実施形態にわたる態様の)組み合わせ、適合、及び/又は変形を有する任意の及び全ての実施形態の範囲は、本開示に基づいて当業者によって認められよう。特許請求の範囲における限定は、特許請求の範囲で使用される言語に基づいて広義に解釈され、本明細書において又は本出願の審査中に記載される例に限定されない。これらの例は非排他的に(non-exclusive)解釈されるものとする。更に、開示される方法のステップは、ステップの順序を変えること及び/又はステップを挿入又は削除することを含めて、任意に変更され得る。従って、本明細書及び例は単に例示と見なされ、真の範囲及び精神は以下の特許請求の範囲及び均等物(equivalents)の全範囲によって示されることが意図される。