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特許7358489ラジアントチューブ熱交換器付バーナアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】ラジアントチューブ熱交換器付バーナアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F23C 3/00 20060101AFI20231002BHJP
   F23C 9/08 20060101ALI20231002BHJP
   F23L 15/04 20060101ALI20231002BHJP
【FI】
F23C3/00 301
F23C9/08 401
F23L15/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021545663
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 IB2020050603
(87)【国際公開番号】W WO2020161559
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】102019000001633
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519160738
【氏名又は名称】イーエスエー ソチエタ ペル アチオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000095
【氏名又は名称】弁理士法人T.S.パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(74)【代理人】
【識別番号】100181331
【弁理士】
【氏名又は名称】金 鎭文
(74)【代理人】
【識別番号】100183597
【弁理士】
【氏名又は名称】比企野 健
(74)【代理人】
【識別番号】100161997
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 大一郎
(72)【発明者】
【氏名】バイオ アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ダルフォーヴォ ミルコ
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-199610(JP,A)
【文献】中国実用新案第201582821(CN,U)
【文献】中国実用新案第202350082(CN,U)
【文献】国際公開第2018/083559(WO,A1)
【文献】特開平05-157212(JP,A)
【文献】特開昭63-238308(JP,A)
【文献】特表2012-502254(JP,A)
【文献】特開昭51-150734(JP,A)
【文献】特開2012-247082(JP,A)
【文献】特開平03-011202(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0247300(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23C 3/00
F23C 9/00 - 9/08
F23L 15/04
F23D 14/12
F23D 14/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器(13)とバーナ(11)とを備えるラジアントチューブ熱交換器付バーナアセンブリであって、
当該熱交換器(13)は、第1の内管(15)と、前記第1の管(15)と同軸かつその外側に位置する第2の伝熱管(16)と、前記第2の管(16)と同軸かつその外側に位置する第3の管(24)と、前記第1の管(15)に対して垂直に配置された第4の管(35)と、前記第4の管(35)と同軸かつその内側に位置する第5の管(36)と、前記第5の管(36)の内部に配置された排ガス出口通路(27)と、前記第1の管(15)と前記第2の管(16)との間にある第1の隙間(17)と、前記第3の管(24)と前記第2の管(16)との間にある第2の隙間(25)と、前記第4の管(35)と前記第5の管(36)との間にある第6の隙間(40)と、前記第5の管(36)を横切って配置されたベンチュリ管(41、52)とを含み、
前記第1の隙間(17)は、前記第6の隙間(40)と連通しており、前記第2の隙間(25)は、前記排ガス出口通路(27)と連通しており、前記ベンチュリ管(41、52)の入口は、前記第6の隙間(40)と連通しており、前記ベンチュリ管(41、52)の出口は、前記排ガス出口通路(27)と連通しており、
前記熱交換器(13)と前記バーナ(11)との間に接続パイプ(42)をさらに備える、ラジアントチューブ熱交換器付バーナアセンブリ。
【請求項2】
燃焼用空気が前記第1の管(15)に入ることを可能にする円形穴(21)を中央に備えた円形形状のプレート(20)と、前記プレート(20)に対向する第3の隙間(30)とをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のバーナアセンブリ。
【請求項3】
前記プレート(20)に固定されている第1の外側円形構造(22)と、前記第1の円形構造(22)と同軸の第2の内側円形構造(23)と、前記第2の円形構造(23)と前記第1の円形構造(22)との間にある第4の隙間(31)とをさらに備え、
前記第2の管(16)は、前記第1の円形構造(22)に固定されていることを特徴とする、請求項2に記載のバーナアセンブリ。
【請求項4】
前記第3の管(24)は、前記第1の円形構造(22)に固定されていることを特徴とする、請求項3に記載のバーナアセンブリ。
【請求項5】
前記第4の管(35)は、前記第1の外側円形構造(22)に対して垂直に固定されていることを特徴とする、請求項3に記載のバーナアセンブリ。
【請求項6】
前記第5の管(36)は、排ガス出口パイプ(37)を支持していることを特徴とする、請求項5に記載のバーナアセンブリ。
【請求項7】
前記第1の隙間(17)は、前記第3の隙間(30)、前記第4の隙間(31)、及び前記第6の隙間(40)と連通していることを特徴とする、請求項5に記載のバーナアセンブリ。
【請求項8】
前記第2の隙間(25)は、前記第5の隙間(26)及び前記排ガス出口通路(27)と連通していることを特徴とする、請求項5に記載のバーナアセンブリ。
【請求項9】
バーナ(11)の熱交換器(13)であって、当該熱交換器(13)は、接続パイプ(42)を介して前記バーナ(11)に接続されており、
第1の内管(15)と、前記第1の管(15)と同軸かつその外側に位置する第2の伝熱管(16)と、前記第2の管(16)と同軸かつその外側に位置する第3の管(24)と、前記第1の管(15)に対して垂直に配置された第4の管(35)と、前記第4の管(35)と同軸かつその内側に位置する第5の管(36)と、前記第5の管(36)の内部に配置された排ガス出口通路(27)と、前記第1の管(15)と前記第2の管(16)との間にある第1の隙間(17)と、前記第3の管(24)と前記第2の管(16)との間にある第2の隙間(25)と、前記第4の管(35)と前記第5の管(36)との間にある第6の隙間(40)と、前記第5の管(36)を横切って配置されたベンチュリ管(41、52)とを含み、
前記第1の隙間(17)は、前記第6の隙間(40)と連通しており、前記第2の隙間(25)は、前記排ガス出口通路(27)と連通しており、前記ベンチュリ管(41、52)の入口は、前記第6の隙間(40)と連通しており、前記ベンチュリ管(41、52)の出口は、前記排ガス出口通路(27)と連通している熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジアントチューブ熱交換器付バーナアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ラジアントチューブバーナには、火炎が発生して排ガスが循環するダクトが設けられている。このようなバーナは、排ガスと加熱する物質との間に接触があってはならない装置で用いられる。ラジアントチューブは、「I」、「U」、又は「M」等の様々な形状をとることができる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、排ガスと燃焼用空気との間の熱交換効率が高いラジアントチューブ熱交換器付バーナアセンブリを提供することである。
【0004】
別の目的は、熱交換面を増やすことである。
【0005】
さらなる目的は、燃焼用空気の温度を上昇させることである。
【0006】
別の目的は、NOxの生成を減少させることである。
【0007】
本発明によれば、これらの目的及び他の目的は、熱交換器とバーナとを備えるラジアントチューブ熱交換器付バーナアセンブリによって達成される。当該熱交換器は、第1の内管と、上記第1の管と同軸かつその外側に位置する第2の伝熱管と、上記第2の管と同軸かつその外側に位置する第3の管と、上記第1の管に対して垂直に配置された第4の管と、上記第4の管と同軸かつその内側に位置する第5の管と、上記第5の管の内部に配置された排ガス出口通路と、上記第1の管と上記第2の管との間にある第1の隙間と、上記第3の管と上記第2の管との間にある第2の隙間と、上記第4の管と上記第5の管との間にある第6の隙間と、上記第5の管を横切って配置されたベンチュリ管とを含む。上記第1の隙間は、上記第6の隙間と連通しており、上記第2の隙間は、上記排ガス出口通路と連通している。上記ベンチュリ管の入口は、上記第6の隙間と連通しており、上記ベンチュリ管の出口は、上記排ガス出口通路と連通している。ラジアントチューブ熱交換器付バーナアセンブリは、上記熱交換器と上記バーナとの間に接続パイプをさらに備える。
【0008】
本発明のさらなる特徴は、従属請求項に記載されている。
【0009】
本解決手段は、当該分野における従来の解決手段と比較して様々な利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の特徴及び利点は、添付の図面に非限定的な例として示されている実際的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかであろう。
図1】本発明に係るラジアントチューブ熱交換器付バーナアセンブリを示す図である。
図2】本発明に係るラジアントチューブ熱交換器付バーナアセンブリの熱交換器を示す断面側面図である。
図3】本発明に係るラジアントチューブ熱交換器付バーナアセンブリの熱交換器の一部を示す断面上面図である。
図4】本発明に係るラジアントチューブ熱交換器付バーナアセンブリを示す正面図である。
図5】本発明に係るラジアントチューブ熱交換器付バーナアセンブリの別の実施形態の熱交換器を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照すると、本発明に係るラジアントチューブ熱交換器付バーナアセンブリ10は、U字型ラジアントチューブ12の一端に配置されたバーナ11と、ラジアントチューブ12の他端に配置された熱交換器13とを備える。
【0012】
熱交換器13は、第1の内管15と、第1の管15と同軸かつその外側に位置する第2の伝熱管16とを備える。第2の管16は、熱交換を改善するために波形の外面を有する。
【0013】
第1の円環状かつ水平の隙間17は、第1の管15と第2の管16との間に形成される。
【0014】
第1の管15は、その一端がプレート20に固定され、他端が開放されている。当該プレートは、(低温の)燃焼用空気が第1の管15に入ることを可能にする円形穴21を中央に備えた円形形状のプレートである。
【0015】
第1の外側円形構造22は、プレート20に固定されている。第2の管16は、第1の円形構造22と同軸の第2の内側円形構造23を介して、当該円形構造に固定されている。
【0016】
第2の管16と同軸かつその外側に位置する第3の管24は、第1の円形構造22に固定されている。
【0017】
第2の円環状かつ水平の隙間25は、第3の管24と第2の管16との間に形成される。
【0018】
第2の管16は、プレート20から間隔を置いて配置されており、これによって、第1の隙間17と連通している第3の実質的に垂直な隙間30のためのスペースが確保される。
【0019】
プレート20に対向する第3の隙間30は、第2の円形構造23と第1の外側円形構造22との間に形成される第4の円環状かつ水平の隙間31と連通している。
【0020】
第4の隙間31は、第1の円形構造22の全長にわたって延び、この長さは、第2の伝熱管16の全長の約4分の1に相当する。
【0021】
第3の管24は、第1の円形構造22の端部から始まるため、第2の伝熱管16の長さの約4分の3に相当する。
【0022】
第2の隙間25と連通している第5の円環状かつ水平の隙間26は、第2の伝熱管16と第2の内部円形構造23との間に形成される。
【0023】
第1の円形構造22に対して垂直に配置された第4の管35は、第1の外側円形構造22に対して直角に固定されている。
【0024】
排ガス出口パイプ37を支持している第5の管36は、第4の管35と同軸かつその内側に配置されている。
【0025】
したがって、第5の円環状の隙間26は、第4の管35及びパイプ37によって形成される排ガス出口通路27に直接接続されている。
【0026】
第4の隙間31は、第4の管35と第5の管36との間に形成された第6の円環状かつ垂直の隙間40に接続されている。
【0027】
第6の隙間40は、第5の管36を横切って配置されたベンチュリ管41に接続されており、当該ベンチュリ管は、第5の管を通過して、排ガス出口通路27とバーナ11との間、すなわち熱交換器13とバーナ11との間にある接続パイプ42への流れを確保する。
【0028】
ベンチュリ管41の出口の直径は、パイプ42の直径よりも小さい。
【0029】
排ガスと接触する内部構成要素は、高温に耐えることができる鋼でできているため、保護断熱は必要ない。一方、外部構成要素が接触するのは、まだ低温状態の燃焼用空気であるため、高温への耐性が比較的低い、より軽量な材料で作成することができる。
【0030】
いずれの場合も、断熱材は、第4の隙間31の外側、第4の管35の内側、及びパイプ37の内側等に必要に応じて配置される。
【0031】
穴21を通って流れる空気は、遠位端が開放されている第1の管15に入るが、第2の伝熱管16の遠位端が閉じられているため、第1の隙間17に入り、第3の隙間30を通って第4の隙間31に到達する。
【0032】
空気は、第4の隙間31から第6の隙間40を通ってベンチュリ管41に入り、パイプ42内の排ガスと混合される。
【0033】
一方、排ガスは、第2の隙間25に到達し、穴21を通って流れる空気の流れと反対方向に流れて、第5の円環状の隙間26に到達する。これらの気体は、排ガス出口通路27に入って排ガス出口パイプ37へと流れ込む。
【0034】
また、ベンチュリ管41の近くを通過する際、当該管から高い速度で流出する空気によって、排ガスの一部がパイプ42に押し込まれて気体の混合が生じる。
【0035】
このように、バーナ11には、排ガスの一部と混合された加熱された燃焼用空気が供給される。
【0036】
このように予熱された空気の温度は、500℃を超える値に達し得る。本システムでは、コールドスタート段階でも安定しているシステムを用いて、最大40%の排ガスを再循環させることができる。挿入されるベンチュリの寸法は、次のようないくつかのパラメータに関連する。
【0037】
・バーナの最大出力
・再循環された排ガスの割合
・熱交換器で実現可能な燃焼空気圧
本システムの利点は、熱交換器内に統合されたシステムでのNOx排出値が150乃至200mg/Nm未満となることである。
【0038】
第6の円環状かつ垂直の隙間40は、パイプ51を取り囲む第7の隙間50に接続されており、当該パイプは、第5の管36と接続パイプ42との間を接続している。
【0039】
別の実施形態では、第6の隙間40がベンチュリ管41の入口に直接接続される代わりに、第7の隙間50が複数の穴52と連通しており、当該穴は、パイプ51に円環状に配置され、管36から到着する排ガスの流れと同軸の、パイプ42への流れを確保する。
【0040】
複数の穴52は、それらが接続されている隙間よりも小さな断面を有するので、ベンチュリ効果を生み出す。
【0041】
バルブ53をパイプ51内に挿入することができ、これにより、再循環させる排ガスの量を調整することができる。
【0042】
本システムは、パイプ42内で排ガスを常に再循環させ、中心に真空圧を作り出して排ガスを引き込むが、熱交換器を低温状態から加熱する際に排ガスの通路を閉鎖可能なバタフライバルブ53を取り付けることができるという利点がある。
【0043】
低温安定性は、システムが再循環させる排ガスの割合を制限する場合に重要となる。
【0044】
再循環が大きいほど火炎が不安定になるため、専用の始動手順に常に従う必要がある。これにより、初期加熱時間が長くなり、いずれの場合も、排ガス中に顕著なレベルのCOが生成される。
【0045】
したがって、コールドフェーズの必要性と重要視される排出量との間で妥協点を見つける必要がある。
【0046】
通常、排出される排ガスの割合は最大で40%であるが、これは、排出される排ガスがこの割合を超えると、低温状態のバーナが安定した火炎を維持できないためである。
【0047】
バルブ53を用いることにより、低温の排ガスを低減又は遮断することが可能であり、排ガスを再循環させない状態でバーナを始動させることができるため、安定性がはるかに向上する。
【0048】
所定の温度に達した後でバルブ53を開放すると、再循環させる排ガスの量を40%よりも大きな割合にすることができ、システムが高温であるため、いずれの場合も安定した燃焼を行うことができる。
【0049】
構成部材16、23、36及び41の一連の表面は、排ガスとの熱交換が熱交換器16の表面に限定されず、下流のさらなる金属体上でも行われるので、バーナの効率を高める。
【0050】
燃焼用空気を燃焼用ガスで希釈することにより、反応ゾーン内の酸素含有量を制御することができるため、燃焼の温度を下げ、放出されるNOxを減少させることができる。
【0051】
ベンチュリ管41を用いることにより、再循環させる排ガスの量を増加することができる。
【0052】
バルブ53を用いることにより、再循環させる排ガスの量を調節することができる。
【0053】
上記のように、熱交換器に入る利用可能な燃焼用空気の圧力の機能として、50%を超え得る排ガスの再循環を実現可能である。
図1
図2
図3
図4
図5