(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】押出成形および/または引抜成形デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
B21C 23/14 20060101AFI20231002BHJP
B29C 55/30 20060101ALI20231002BHJP
B21C 3/08 20060101ALI20231002BHJP
【FI】
B21C23/14
B29C55/30
B21C3/08 A
(21)【出願番号】P 2021560931
(86)(22)【出願日】2020-05-05
(86)【国際出願番号】 SE2020050451
(87)【国際公開番号】W WO2020226556
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-12-08
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】521448341
【氏名又は名称】リリーフド アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャンソン クラフ,マーク
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03394431(US,A)
【文献】特開昭49-034461(JP,A)
【文献】特表平11-512669(JP,A)
【文献】特表2003-522647(JP,A)
【文献】実開昭57-049009(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 23/00 - 35/06
B29C 55/30
B21C 1/00 - 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造方向(Y)にプロファイル製品(2)を成形するための押出成形及び/又は引抜成形デバイス(1)であって、
径(R)方向及び幅方向(X)に延伸し、2つの対向した第1及び第2の側壁(5、6)並びにその間で前記幅方向(X)に延伸する外周面(4)を有する回転ダイ(3)であって、前記第1の側壁(5)に接続する第1の側部(23)及び前記第2の側壁(6)に接続する第2の側部(25)並びに前記第1及び第2の側部(23、25)の間で延伸する中間部(22)を備える、回転ダイ(3)と、
前記製造方向(Y)と一致する長手方向(Y)、高さ方向(Z)及び前記高さ方向(Z)に垂直な前記幅方向(X)を有するプロファイル画定ゾーン(7)であって、前記製造方向(Y)に関して第1のチャネル区間(9)の下流に第2のチャネル区間(10)が後続している前記第1のチャネル区間(9)を備える貫通チャネル(8)を備え、前記回転ダイ(3)は、前記製造方向(Y)を横切って延伸する軸を中心として回転可能であり、前記回転ダイ(3)が回転する間に、前記プロファイル画定ゾーン(7)を通って供給された場合の材料の表面に前記外周面(4)が圧力をかけることを可能とするように配置される、プロファイル画定ゾーン(7)と、を備え、
前記第1のチャネル区間(9)は、1つ又は複数の壁(11)によって周方向に範囲を定められ、
前記第2のチャネル区間(10)は、前記回転ダイ(3)の前記周面(4)と、前記回転ダイ(3)に対向したカウンターベアリング(14)及び前記回転ダイ(3)と前記カウンターベアリング(14)との間の対向する第1及び第2のチャネル部側壁(15、16)を備えるチャネル部(13)と、によって周方向に範囲を定められる、押出成形及び/又は引抜成形デバイス(1)において、
前記第1のチャネル区間(9)の幅(D3)が、少なくともその長さの一部分に沿って、かつ少なくともその高さの一部分に沿って、前記回転ダイ(3)の前記2つの対向した側壁(5、6)の間の距離(D4)よりも小さいことを特徴とする、押出成形及び/又は引抜成形デバイス(1)。
【請求項2】
前記第1及び第2のチャネル区間(9、10)の幾何学的差異に起因して、前記第1及び第2の側壁(5、6)に関して局所的な圧力低減が実現される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記1つ又は複数の壁(11)は、前記第1のチャネル区間(9)の端部において第1の断面(12)を画定し、
前記第2のチャネル区間(10)は、前記周面(4)と前記カウンターベアリング(14)との間の距離が最小となる位置において第2の断面(17)を画定し、
前記第1のチャネル区間(9)の幾何学的形状は、前記第1のチャネル区間(9)を通過する前記材料が前記第2のチャネル区間(10)に入ったときに形態を変化させるように、前記第2のチャネル区間(10)と異なる、請求項1又は2に記載のデバイス(1)。
【請求項4】
前記第2の断面(17)における前記周面(4)と前記カウンターベアリング(14)との間の前記高さ方向(Z)の前記最小距離は、前記第1の断面(12)における前記高さ方向の最大距離よりも小さい、請求項3に記載のデバイス(1)。
【請求項5】
前記第1及び第2のチャネル区間(9、10)の幾何学的差異は、前記材料が前記回転ダイの圧痕を含めて前記第2のチャネル区間(10)を飽和させるのに十分に速く変形するようなレベルに増大又は維持される圧力を前記第2のチャネル区間(10)においてもたらすように配置される、請求項1~4の何れか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項6】
前記第1のチャネル区間(9)は、前記幅方向(X)に延伸する第3の側部(24)を備え、前記第3の側部(24)は、押出成形される前記材料における圧力が、前記第3の側部(24)に関してよりも前記第1の側部(23)に関して小さくなるように、前記第1の側部(23)に対して配置され、
及び/又は、
前記第1のチャネル区間(9)は、前記幅方向(X)に延伸する第4の側部(26)を備え、前記第4の側部(26)は、押出成形される前記材料における圧力が、前記第4の側部(26)に関してよりも前記第2の側部(25)に関して小さくなるように、前記第2の側部(25)に対して配置される、請求項1~5の何れか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項7】
前記第1のチャネル区間(9)は、前記幅方向(X)に垂直な前記高さ方向(Z)における前記第1のチャネル区間(9)の空間を減少させるように配置される、前記第3及び/又は第4の側部(24、26)に接続する
前記貫通チャネル(8)内を向く隆起を備える、請求項6に記載のデバイス(1)。
【請求項8】
前記第1のチャネル区間(9)は、前記幅方向(X)における前記第1のチャネル区間(9)の空間を減少させるように配置される、前記第3及び/又は第4の側部(24、26)に接続する
前記貫通チャネル(8)内を向く隆起を備える、請求項6又は7に記載のデバイス(1)。
【請求項9】
前記第2のチャネル区間(10)は、前記径方向と一致する前記高さ方向(Z)に取った前記第1のチャネル区間(9)の最も遠い部分の間の所定の第1の距離(D1)よりも小さい、前記回転ダイ(3)の前記周面(4)の径方向の最も外側の部分と前記チャネル部(13)における前記カウンターベアリング(14)との間の所定の第2の距離(D2)を有するように、前記第1のチャネル区間(9)に対して配置され、
及び/又は、
前記第2のチャネル区間(10)は、前記第1のチャネル区間(9)からの出口エリアにおいて前記幅方向(X)に取った前記第1のチャネルにおける側壁の間の所定の第3の距離(D3)よりも大きい、前記幅方向(X)における前記チャネル部(13)の最も内側の最も狭い部分の間の所定の第4の距離(D4)を有するように、前記第1のチャネル区間(9)に対して配置される、請求項1~
8の何れか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項10】
前記第1及び第2の側壁(5、6)は、前記第1及び第2の側壁(5、6)が、製品材料並びに前記第1及び第2のチャネル区間(9、10)の間の幾何学的関係に応じて配置されるゆとりを有して前記第1及び第2のチャネル部側壁(15、16)に回転可能に接続されるように、前記第1及び第2のチャネル部側壁(15、16)に対して位置付けられる、請求項1~
9の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1の側部(23)は、前記中間部(22)の少なくとも一部の径方向の延伸長さを超える前記径方向(R)への延伸長さで前記幅方向(X)及び前記径方向(R)に延伸する第1のフランジ部(18)を備え、
前記第2の側部(25)は、前記中間部(22)の少なくとも一部の径方向の延伸長さを超える前記径方向(R)への延伸長さで前記幅方向(X)及び前記径方向(R)に延伸する第2のフランジ部(19)を備える、請求項1~
10の何れか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項12】
前記第1のフランジ部(18)は、前記回転方向(R)において前記第1のフランジ部(18)の範囲を定める第1の外周面(20)を備え、
前記第2のフランジ部(19)は、前記回転方向において前記第2のフランジ部(19)の範囲を定める第2の外周面(21)を備える、請求項
11に記載のデバイス(1)。
【請求項13】
前記第1及び第2の外周面(20、21)は、前記中間部(22)の外形に従う、請求項
11又は12に記載のデバイス(1)。
【請求項14】
前記第1及び第2のフランジ部(18、19)は、前記回転ダイ(3)の軸を中心として回転対称である、請求項
11~13の何れか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項15】
前記第1及び/又は第2の側部(23、25)は、前記中間部(22)の少なくとも一部の径方向の延伸長さよりも小さい前記径方向への延伸長さで前記幅方向(X)及び前記径方向(R)に延伸する1つまたは複数の凹部(29)を備える、請求項1~
14の何れか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項16】
前記凹部(29)は、前記中間部(22)の外形に従う、請求項
15に記載のデバイス(1)。
【請求項17】
前記凹部(29)は、前記回転ダイ(3)の前記回転軸を中心として回転対称である、請求項
15又は16に記載のデバイス(1)。
【請求項18】
前記凹部(29)は、前記回転ダイ(3
)の他の部分よりも小さい径方向の延伸長さを有する前記回転ダイ(3)の一部
分である、請求項
15~17の何れか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項19】
前記周面(4)は、テクスチャ付き部分(30)を備える、請求項1~
18の何れか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項20】
前記第1の側部(23)は、前記第1の側壁(5)と前記テクスチャ付き部分(30)との間で延伸するテクスチャ無し部分(31)を備え、
前記第2の側部(25)は、前記第2の側壁(6)と前記テクスチャ付き部分(30)との間のテクスチャ無し部分(32)を備える、請求項
19に記載のデバイス(1)。
【請求項21】
前記テクスチャ無し部分(31、32)は、前記テクスチャ付き部分30の圧痕深さまでの半径よりも小さい半径を有する、請求項
20に記載のデバイス(1)。
【請求項22】
前記周面(4)は、テクスチャ無しである、請求項1~
18の何れか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項23】
前記チャネル部(13)は、前記第1の回転ダイ(3)に対向して配置される第2の回転ダイ(33)を備える、請求項1~
22の何れか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項24】
前記チャネル部(13)は、前記第1の回転ダイ(3)に対して角度を付けて配置される第3の回転ダイ(34)を備える、請求項1~
23の何れか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項25】
前記チャネル部(13)は、前記第3の回転ダイ(34)に対向して配置される第4の回転ダイ(35)を備える、請求項
24に記載のデバイス(1)。
【請求項26】
2つ以上の回転ダイ(3、33、34、35)が同期される、請求項
23~25の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
テクスチャ付き及びテクスチャ無しの回転ダイ(3、33、34、35)の組合せを備える、請求項
23~26の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記第1のチャネル区間(9)は、静止した壁(11)によって周方向に範囲を定められる、請求項1~
27の何れか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項29】
請求項1~
28の何れか一項に記載のデバイス(1)を用いることによりプロファイル製品(2)を製造するための方法であって、
材料を第1のチャネル区間(9)に供給し、前記材料を前記第1のチャネル区間(9)において成形することと、
前記材料をさらに第2のチャネル区間(10)に供給し、前記材料を前記第2のチャネル区間(10)において成形することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造方向にプロファイル製品を成形するための押出成形および/または引抜成形デバイスに関し、前記デバイスは、
径方向および幅方向に延伸し、2つの対向した第1および第2の側壁ならびにその間で幅方向に延伸する外周面を有する回転ダイであって、第1の側壁に接続する第1の側部および第2の側壁に接続する第2の側部ならびに第1および第2の側部の間で延伸する中間部を備える、回転ダイと、
製造方向と一致する長手方向、高さ方向および高さ方向に垂直な幅方向を有するプロファイル画定ゾーンであって、製造方向に関して第1のチャネル区間の下流に第2のチャネル区間が後続している第1のチャネル区間を備える貫通チャネルを備え、回転ダイは、製造方向を横切って延伸する軸を中心として回転可能であり、回転ダイが回転する間に、プロファイル画定ゾーンを通って供給された場合の材料の表面に外周面が圧力をかけることを可能とするように配置される、プロファイル画定ゾーンと、を備え、
第1のチャネル区間は、1つまたは複数の壁によって周方向に範囲を定められ、
第2のチャネル区間は、回転ダイの周面と、回転ダイに対向したカウンターベアリングおよび回転ダイとカウンターベアリングとの間の対向する第1および第2のチャネル部側壁を備えるチャネル部と、によって周方向に範囲を定められる。
【0002】
本発明はまた、そのようなデバイスを用いてプロファイル製品を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
押出成形および/または引抜成形デバイスの分野において、固定のまたは静止した壁を用いたより従来的な押出成形および/または引抜成形デバイスのすぐ下流で回転ダイを用いることが知られている。回転ダイを有するこのタイプの押出成形は、以下3D押出成形と称され、デバイスのより従来的な押出成形および/または引抜成形部分に接続する加圧ゾーンにおいて回転ダイが動作することに関し、この点で3D押出成形はカレンダー成形と異なる。第1のチャネル区間における静止した壁と第2のチャネル区間における回転ダイとの組合せは、形状および圧痕の高い品質を維持しつつ、非常に高速にプロファイル製品を製造するという利点をもたらす。よって、これは、押出成形を用いて成形可能なほとんどの材料、すなわち、例えばプラスチックからアルミニウムに及ぶあらゆるものに用いることが可能な、効果的かつ比較的安価な製造方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景技術に関して、回転ダイの第1および第2の側壁が第2のチャネル区間における対向する第1および第2のチャネル部側壁に繋がるデバイスの部分における漏出防護の改善の必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、製造方向にプロファイル製品を成形するための押出成形および/または引抜成形デバイスに関し、前記デバイスは、
径方向および幅方向に延伸し、2つの対向した第1および第2の側壁ならびにその間で幅方向に延伸する外周面を有する回転ダイであって、第1の側壁に接続する第1の側部および第2の側壁に接続する第2の側部ならびに第1および第2の側部の間で延伸する中間部を備える、回転ダイと、
製造方向と一致する長手方向、高さ方向および高さ方向に垂直な幅方向を有するプロファイル画定ゾーンであって、製造方向に関して第1のチャネル区間の下流に第2のチャネル区間が後続している第1のチャネル区間を備える貫通チャネルを備え、回転ダイは、製造方向を横切って延伸する軸を中心として回転可能であり、回転ダイが回転する間に、プロファイル画定ゾーンを通って供給された場合の材料の表面に外周面が圧力をかけることを可能とするように配置される、プロファイル画定ゾーンと、を備え、
第1のチャネル区間は、1つまたは複数の壁によって周方向に範囲を定められ、
第2のチャネル区間は、回転ダイの周面と、回転ダイに対向したカウンターベアリングおよび回転ダイとカウンターベアリングとの間の対向する第1および第2のチャネル部側壁を備えるチャネル部と、によって周方向に範囲を定められ、
第1のチャネル区間の幅は、少なくともその長さの一部分に沿って、かつ少なくともその高さの一部分に沿って、回転ダイの2つの対向した側壁の間の距離よりも小さい。ゆえに、第1のチャネル区間は、少なくとも、第2のチャネル区間における対向する第1および第2のチャネル部側壁の間の距離よりも幅が小さい必要がある。第1のチャネル区間と第2のチャネル区間との間における幅の差は、第1および第2の側部の特徴、および回転ダイとそれぞれの対向する第1および第2のチャネル部側壁との間のゆとりに依存する。第1のチャネル区間の幅は、対向する第1および第2のチャネル部側壁の間の距離である距離から、ゆとりの和、すなわち第2のチャネル区間における回転ダイ側壁とそれぞれの対向する第1および第2のチャネル部側壁との間の間隙の和を引いたものよりも小さい必要がある。第1および第2の側部がフランジ部を備える場合、さらなる説明については下記を参照されたく、第1のチャネル区間の幅は、少なくともその長さの一部分に沿って、かつ少なくともその高さの一部分に沿って、2つのフランジ部の間の距離よりも小さい。
【0006】
ここで、1つの利点は、第1および第2のチャネル区間の幾何学的差異に起因して、第1および第2の外縁部に関して局所的な圧力低減が実現されることである。
【0007】
デバイスをより簡単に説明するために、回転ダイについては円筒座標系を用い、デバイス全体の三次元空間については直交カーテシアン座標系を用いた。したがって、回転ダイは、回転ダイが回転する中心線すなわち回転軸と一致する、端部から端部までの幅方向、および幅方向に直行する径方向における厚さを有するものとして説明されている。外周面は、幅方向に垂直な回転方向に軸を中心としてさらに延伸する。ここで回転対称とは、回転軸を中心として対称な配置または回転ダイの物質の回転の均衡が取れた配置を指す。デバイス全体、すなわち例えばプロファイル画定ゾーン、第1および第2のチャネル区間は、幅方向、高さ方向および長手方向を有するものとして説明されており、長手方向は、全体的な製造方向と一致する。
【0008】
回転ダイは、軸を中心として回転可能であるように配置され、軸は、第1および第2のチャネル部側壁に直接的または間接的に格納され、回転可能に結合されてよい。
【0009】
上述の座標系に関して、回転ダイの軸は、長手方向に対して、すなわちデバイス全体の製造方向に対して垂直に配置されてもよく、または角度を付けて配置されてもよいことに留意されたい。
【0010】
一例によれば、回転ダイの軸は、製造方向に実質的に垂直に方向付けられ、外周面は、その幅方向に製造方向を横切って延伸する。
【0011】
一例によれば、回転ダイの軸は、デバイス全体の幅方向と一致し、回転ダイの幅方向は、デバイス全体の幅方向と一致する。長手方向は、製造方向、すなわち製造中に材料が進む主方向と一致する。
【0012】
一例によれば、回転ダイの軸はデバイス全体の幅方向と一致しないが、回転ダイの軸および回転ダイの幅方向は、長手方向に対して90°よりも小さいまたは大きい角度を付けて配置される。しかしながら、回転ダイの軸は、外周面がその幅方向に製造方向を横切って延伸するように配置される。
【0013】
上記の2つの例のいずれに関しても、回転ダイの軸に対する法線は、デバイス全体の高さ方向と一致する。ここで、法線は、回転ダイの径方向と一致する。ここで、回転ダイの軸がデバイス全体の幅方向と一致するか否かに関わらず、回転ダイの軸は、製造方向の法線に垂直に方向付けられる。しかしながら、一例によれば、回転ダイの軸に対する法線は、デバイス全体の高さ方向に対して角度を付けて配置されてよい。しかしながら、回転ダイの軸は、外周面がその幅方向に製造方向を横切って、しかし製造方向に角度を付けて延伸するように配置される。
【0014】
一例によれば、1つまたは複数の壁は、第1のチャネル区間の端部において第1の断面を画定し、第2のチャネル区間は、周面とカウンターベアリングとの間の距離が最小となる位置において第2の断面を画定する。上記で述べたように、第1のチャネル区間の幾何学的形状は、第1のチャネル区間を通過する材料が第2のチャネル区間に入ったときに形態を変化させるように、第2のチャネル区間と異なる。形態の変化は、材料が回転ダイの圧痕を含めて第2の断面を飽和させるのに十分に速く材料の内部抵抗(せん断応力)に打ち勝つような度合いに圧力レベルを増大または維持するために不可欠である。
【0015】
一例によれば、第2の断面における周面とカウンターベアリングとの間の高さ方向の最小距離は、第1の断面における高さ方向の最大距離よりも小さい。これは、材料が回転ダイの圧痕を含めて第2のチャネル区間を飽和させるのに十分に速く変形するようなレベルに圧力が増大または維持されるように、第2のチャネル区間に入った材料が第2のチャネル区間において圧縮されるという利点を有する。
【0016】
ゆえに、圧力は、材料が回転ダイの圧痕を含めて第2のチャネル区間を飽和させるのに十分に速く変形するようなレベルに増大または維持される。この圧力は、周面のパターンの圧痕深さとポアソン効果との組合せ、および/または第1の断面と第2の断面との間の幾何学的形状の差異に起因する形状移行とポアソン効果との組合せによって実現される。
【0017】
局所的な圧力低減は、第1および第2のチャネル区間の幾何学的差異、および第1および/または第2の側部に関する第1のチャネル区間の下流での後流効果に起因して、第1および/または第2の側部に関して実現される。
【0018】
一例によれば、第1のチャネル区間は、幅方向に延伸する第3の側部を備え、第3の側部は、押出成形される材料における圧力が、第3の側部に関してよりも第1の側部に関して小さくなるように、第1の側部に対して配置され、
および/または、
第1のチャネル区間は、幅方向に延伸する第4の側部を備え、第4の側部は、押出成形される材料における圧力が、第4の側部に関してよりも第2の側部に関して小さくなるように、第2の側部に対して配置される。1つの利点は、第3および第4の側部が後流効果を形成し、よって、回転ダイの第1および第2の側部における局所的圧力をさらに減少させる第3および第4の側部の下流での局所的な圧力減少を形成することである。
【0019】
一例によれば、第1のチャネル区間は、幅方向に垂直な高さ方向における第1のチャネル区間の空間を減少させるように配置される、第3および/または第4の側部に接続する風下手段を備える。
【0020】
一例によれば、第1のチャネル区間は、幅方向における第1のチャネル区間の空間を減少させるように配置される、第3および/または第4の側部に接続する風下手段を備える。風下手段の組合せも可能である。
【0021】
一例によれば、風下手段は、貫通チャネル内を向く隆起である。隆起は、第1のチャネル区間において最上部から最下部まで配置されてもよく、または第1のチャネル区間の最上部から最下部までの間の距離に沿って一部またはいくつかの部分として配置されてもよい。風下手段は、有利には、回転ダイの第1および第2の側部に接続するように位置付けられる。
【0022】
風下手段による1つの利点は、第3および第4の側部が、回転ダイの第1および第2の側部における凹部および/またはフランジ部に関して局所的圧力をさらに減少させることであり、下記を参照されたい。
【0023】
一例によれば、第2のチャネル区間は、径方向と一致する高さ方向に取った第1のチャネル区間の最も遠い部分の間の所定の第1の距離よりも小さい、回転ダイの周面の径方向の最も外側の部分とチャネル部におけるカウンターベアリングとの間の所定の第2の距離を有するように、第1のチャネル区間に対して配置され、
および/または、
第2のチャネル区間は、第1のチャネル区間からの出口エリアにおいて幅方向に取った第1のチャネル区間の側壁の間の所定の第3の距離よりも大きい、幅方向におけるチャネル部の最も内側の最も狭い部分の間の所定の第4の距離を有するように、第1のチャネル区間に対して配置される。
【0024】
1つの利点は、より狭い第1のチャネル区間は、第2のチャネル区間がより広いことに起因して、第1のチャネル区間における下流において、および回転ダイの第1および第2の側部に関して、減少した圧力による後流効果を形成する。
【0025】
さらなる漏出防止対策との組合せで、局所的な圧力低減のためのさらなる対策が可能である。
【0026】
1つの例示的実施形態によれば、第1の側部は、中間部の少なくとも一部の径方向の延伸長さを超える径方向への延伸長さで幅方向および径方向に延伸する第1のフランジ部を備え、第2の側部は、中間部の少なくとも一部の径方向の延伸長さを超える径方向への延伸長さで幅方向および径方向に延伸する第2のフランジ部を備える。
【0027】
1つの利点は、材料が回転ダイの第1および第2の側壁まで、そしてそれにより第1および第2のチャネル部側壁までの全体にわたって流れることをフランジ部が物理的に妨げることである。
【0028】
一例によれば、第1のフランジ部は、回転方向において第1のフランジ部の範囲を定める第1の外周面を備え、第2のフランジ部は、回転方向において第2のフランジ部の範囲を定める第2の外周面を備える。
【0029】
第1および/または第2の側部は、異なる態様で第1のフランジ部および/または第2のフランジ部を備える場合があることに留意されたい。
【0030】
一例によれば、第1および/または第2の側部は、第1および第2の側部においてフランジ部のみを備える。ここで、中間部から第1および第2の側部の各々への移行部と一致する、中間部からそれぞれのフランジ部への移行部が存在する。
【0031】
別の例によれば、第1および第2の側部は、それぞれ第1および第2のフランジ部を備え、第1および第2の側部の各々は、回転ダイの幅方向に延伸する第1の追加部分を備える。
【0032】
一例によれば、第1の追加部分は、中間部に直接隣接して配置され、中間部から第1および第2の側部の各々への移行部と一致する、中間部から第1の追加側部への移行部が存在する。よって、第1の側部における第1の追加部分は、第1のフランジ部から中間部までの間で延伸し、よって第2の側部における第1の追加部分は、第2のフランジ部から中間部までの間で延伸する。第1の追加部分は、例えば、以下で説明する例に係る凹部、または中間部と同じ径方向の延伸長さを有するが特徴が異なる部分を備える場合がある。
【0033】
一例によれば、第1および/または第2のフランジ部は、中間部に直接隣接して配置され、中間部から第1および第2の側部の各々への移行部と一致する、中間部から第1および/または第2のフランジ部への移行部が存在する。ここで、第1の側部における第1の追加側部は、第1の側壁と第1のフランジ部との間に配置され、第2の側部における第1の追加側部は、第2の側壁と第2のフランジ部との間に配置される。
【0034】
一例によれば、第1および/または第2の側部は、中間部から離隔して配置された第1および第2のフランジ部を備え、第2の追加部分が中間部と第1の追加側部との間で回転ダイの幅方向に延伸し、中間部から第1および第2の側部の各々への移行部と一致しない、中間部からフランジ部の各々への移行部が存在する。いくつかの態様において、第2の追加部分は、中間部の類似の態様とは異なり、例えば、第2の追加部分は、テクスチャ付きまたはテクスチャ無しである、または材料が中間部とは異なる場合がある。
【0035】
一例によれば、第1および/または第2の側部は、上述および後述の第1および第2のフランジ部、複数の環状凹部、ならびに第1および第2の追加部分の組合せを備える。
【0036】
一例によれば、第1および第2の外周面は、中間部の外形に従う、すなわち同じ幾何学的形状または形態を有するが、径方向の延伸長さが異なる。1つの利点は、プロファイル製品の全体形状が均一になることである。
【0037】
一例によれば、第1および/または第2の外周面は、波状に配置される、すなわち、第1および/または第2のフランジ部は、はめば歯車状に配置される。一例によれば、第1および/または第2の外周面は、滑らかな環状に配置される、すなわち、第1および/または第2のフランジ部は、円形または長円形に配置される。
【0038】
一例によれば、第1および第2のフランジ部は、回転ダイの軸を中心として回転対称である。1つの利点は、回転ダイが高速で回転する場合に振動の問題がより小さくなることである。
【0039】
上述のフランジ部と組み合わせて、および/または第1および第2の外縁部に関する上述の局所的な圧力低減と組み合わせて、追加の漏出低減または解消対策を用いることがさらに可能である。
【0040】
一例によれば、第1および/または第2の側部は、中間部の少なくとも一部の径方向の延伸長さよりも小さい径方向への延伸長さで幅方向および径方向に延伸する1つまたは複数の凹部を備える。
【0041】
デバイスによる1つの利点は、1つまたは複数の凹部が、軸方向すなわち幅方向において1つまたは複数の凹部よりも回転ダイの中心の近くに位置する回転ダイの他の部分と比較して圧力の減少した空間を第1および/または第2の側部に形成することである。処理される材料は第1および第2の側壁に向かって流れ得るが、材料に対する圧力の減少は本質的に流れを減速させるので、圧力の減少により、回転ダイの第1および第2の側壁が第2のチャネル区間における対向する第1および第2のチャネル部側壁に繋がる位置での漏出の問題が抑制および/または解消される。設計に応じて、材料の流れは、回転ダイの第1および第2の側壁に達する前に停止され得る、または、第1および第2のチャネル部側壁に当たるように、しかし回転ダイの第1および第2の側壁と第1および第2のチャネル部側壁との間に漏出を妨げる所定の適切なゆとりを空けて、制御された速さで流されてよい。このゆとりは、加工される材料が何であるかにも依存し、より流動性の高い材料は、小さいゆとり、すなわち回転ダイと第1および第2のチャネル部側壁との間の小さい距離を要し、より流動性の低い材料は、より大きいゆとり、すなわちより大きい距離を許容し得る。材料の流れは、第1のチャネル区間の形状および形態に関連するとともに、回転ダイの形状および形態ならびに回転ダイの位置にも依存する。例えば、側方よりも中間が径方向に厚い回転ダイは、側方よりも中間が径方向に小さい回転ダイと比較して、中心向きのより大きい圧力を、よって回転ダイの第1および第2の側壁に向かうより大きい流れを形成する。
【0042】
第1および第2の側壁は、第1および第2の側壁が第1および第2のチャネル部側壁に回転可能に接続されるように、第1および第2のチャネル部側壁に対して位置付けられ、これは、第1のチャネル区間の幅が、少なくともその長さの一部分に沿って、かつ少なくともその高さの一部分に沿って、回転ダイの2つの対向した側壁の間の距離よりも小さい漏出対策、および/または1つまたは複数の凹部を用いること、および/または1つまたは複数のフランジ部を用いることに起因して、ゆとりをより大きくできる可能性の利点を有する。
【0043】
ゆえに、凹部のサイズは、複数のパラメータに依存し、例えば処理対象の材料、回転ダイの形状および形態、ならびに第1のチャネル区間および第2のチャネル区間の形状および形態の間の関係に応じて設計される必要がある。
【0044】
凹部のサイズ、すなわち凹部の幅方向、回転方向すなわち幅方向に垂直な周方向、および深さにおける延伸長さは、材料が流れ込み得る空間のサイズをもたらし、したがって、どれだけの圧力が中間部の少なくとも一部分と比較して凹部において低減されるかを決定する可能性をもたらす。法則は、空間が大きいほど圧力の減少が大きくなることであるが、凹部の形状も圧力差の勾配に影響を及ぼす。例えば、段差、すなわち90°の降下は、傾斜面よりも速やかな圧力降下をもたらす。
【0045】
第1および第2の側部の一方または両方が凹部を備えることに留意されたい。一例によれば、凹部は、環状凹部、すなわち回転軸を中心として周方向に延伸するものである。一例によれば、第1および/または第2の側部は、環状でなく1つまたは多数の単一凹部として配置される1つまたは複数の凹部を備える。各単一凹部は、幅方向、回転方向すなわち幅方向に垂直な周方向、および径方向における延伸長さを有する。それら単一凹部は、同様のまたは異なる形状を有してよく、有利には。それら単一凹部は、回転軸を中心として周方向に延伸する異なるパターンで配置されてよい。それら単一凹部は、回転軸を中心として周方向に延伸する凹部の1本の単一線で配置されてもよく、または、幅方向において互いに隣接して配置される凹部の2つ以上の線として配置されてもよい。凹部の2つ以上の線は、1つまたは複数の凹部が幅方向において互いに隣接してまたは周方向において互いにずらして配置されるように、配置されてよい。単一凹部の異なる線は、同じまたは異なる数の凹部を有してよい。
【0046】
第1および/または第2の側部は、異なる態様で凹部を備える場合があることに留意されたい。
【0047】
一例によれば、第1および/または第2の側部は、第1および第2の側部において1つまたは複数の凹部のみを備える。ここで、中間部から第1および第2の側部の各々への移行部と一致する、中間部から凹部への移行部が存在する。
【0048】
別の例によれば、第1および第2の側部は、1つまたは複数の凹部および回転ダイの幅方向に延伸する第1の追加部分を備える。一例によれば、凹部は、中間部に直接隣接して配置され、中間部から第1および第2の側部の各々への移行部と一致する、中間部から凹部への移行部が存在する。よって、第1の追加部分は、凹部と回転ダイのそれぞれ第1および/または第2の側壁との間で延伸する。第1の追加部分は、例えば、上述の一例に係るフランジ、または中間部と同じ径方向の延伸長さを有する部分を備える場合がある。
【0049】
一例によれば、1つまたは複数の凹部は、中間部から離隔して配置され、第2の追加部分は、中間部と凹部との間で回転ダイの幅方向に延伸し、中間部から第1および第2の側部の各々への移行部と一致しないが第2の追加部分と凹部との間の移行部と一致する、中間部から凹部への移行部が存在する。いくつかの態様において、第2の追加部分は、中間部の類似の態様とは異なり、例えば、第2の追加部分は、テクスチャ付きまたはテクスチャ無しである、または材料が中間部とは異なる場合がある。
【0050】
一例によれば、第1および/または第2の側部は、上述の凹部ならびに第1および第2の追加部分の組合せを備える。
【0051】
一例によれば、1つまたは複数の凹部は、中間部の外形に従う、すなわち同じ幾何学的形状または形態を有するが、径方向の延伸長さが異なる。1つの利点は、プロファイル製品の全体形状が均一になることである。
【0052】
一例によれば、複数の凹部または複数の凹部は、回転ダイの軸を中心として回転対称である。1つの利点は、回転ダイが高速で回転する場合に振動の問題がより小さくなることである。
【0053】
ゆえに、凹部は、回転ダイの窪み、または回転ダイの他の部分よりも小さい径方向の延伸長さを有する回転ダイの一部分のいずれかである。
【0054】
1つの例示的実施形態において、凹部は、フランジ部に密接して接続するように位置付けられ、第1および第2のチャネル部側壁に向かう材料の流れをさらに低減するように局所的に圧力を減少させる。
【0055】
一例によれば、周面は、テクスチャ付き部分を備える。周面の全体がテクスチャ付きであってよいが、代替としては、一部分のみがテクスチャ付きであってよい。
【0056】
一例によれば、第1の側部は、第1の側壁とテクスチャ付き部分との間で延伸するテクスチャ無し部分を備え、第2の側部は、第2の側壁とテクスチャ付き部分との間のテクスチャ無し部分を備える。
【0057】
上述のフランジ部を有する例示的実施形態に関する一例によれば、第1の側部は、第1のフランジ部とテクスチャ付き部分との間で延伸するテクスチャ無し部分を備え、第2の側部は、第2のフランジ部とテクスチャ付き部分との間のテクスチャ無し部分を備える。
【0058】
上述の凹部を有する例示的実施形態に関する一例によれば、凹部はテクスチャ無し部分であり、および/または、第1の側部は、凹部とテクスチャ付き部分との間で延伸するテクスチャ無し部分を備える。
【0059】
テクスチャ無し部分は、有利には、テクスチャ付き部分の圧痕深さまでの半径よりも小さい半径を有する。
【0060】
一例によれば、周面は、テクスチャ無しであるか、または、人間の眼に可視または不可視であり得る微小な圧痕のみをプロファイル製品に残す微細パターンを有する。
【0061】
一例によれば、チャネル部は、上述の第1の回転ダイに対向して配置される第2の回転ダイを備える。第2の回転ダイは、カウンターベアリングの全体を置き換えてもよく、または静止したカウンターベアリングの一部であってもよい。第2の回転ダイは、プロファイル製品の2つの面に同じまたは異なるパターンを形成するように、上述の第1の回転ダイと同様に配置されてよい。第2の回転ダイは、第1の回転ダイの凹部および/またはフランジ部と協働するように配置され得る凹部および/またはフランジ部を備えてよい。
【0062】
一例によれば、チャネル部は、第1の回転ダイに対して角度を付けて配置される第3の回転ダイを備える。この回転ダイは、対向する第1または第2のチャネル部側壁を全体的にまたは部分的に置き換える。第3の回転ダイは、第1の回転ダイのみと共に、または第1および第2の回転ダイの両方と共に配置されてよい。
【0063】
一例によれば、チャネル部は、第3の回転ダイに対向して配置される第4の回転ダイを備える。第3の回転ダイは、第1の回転ダイのみと共に、または第1および第2の回転ダイの両方と共に配置されてよい。
【0064】
第3および/または第4の回転ダイは、プロファイル製品の2つの面に同じまたは異なるパターンを形成するように、上述の第1の回転ダイと同様に配置されてよい。第2の回転ダイは、第1の回転ダイの凹部および/またはフランジ部と協働するように配置され得る凹部および/またはフランジ部を備えてよい。
【0065】
一例によれば、2つ以上の回転ダイが同期される。これは、同じ速度で材料を供給する利点を有する。しかしながら、摩擦および/または特別なパターンを形成するため、および/または材料の差異を補正するために、非同期の回転ダイを用いることも可能な場合がある。
【0066】
上記の例のいずれにおいても、テクスチャ付きおよびテクスチャ無しの回転ダイの組合せを用いることが可能である。
【0067】
本発明はまた、前出の請求項のいずれか一項に記載のデバイスを用いることによりプロファイル製品を製造するための方法に関連し、当該方法は、
材料を第1のチャネル区間に供給し、材料を第1のチャネル区間において成形することと、
材料をさらに第2のチャネル区間に供給し、材料を第2のチャネル区間において成形することと、
を含む。
【0068】
プロファイル製品を成形するためにデバイスに供給される材料は、1つの均質な材料または2つ以上の材料の混合物の形態であってよい。材料は、種々の比率で混和されてよく、均質な混合または材料内で勾配を有する混合となるように混和されてよい。1つの材料は固体であってよく、別の材料は成形可能なもの、例えば石片およびゴムであってよい。材料は、同じまたは異なる材料の2つ以上の層を含む層状の材料であってもよい。材料は、押出成形または引抜成形プロセスの全体を通して続く1つまたは複数の糸状の固体材料、例えばワイヤまたは別の補強材料を含んでよい。
【0069】
材料の少なくとも一部は、第1および/または第2のチャネル区間において印加される圧力を受けた場合に塑性変形可能である必要がある。そのような材料はしばしば、粘弾性および/または粘塑性材料と表記される。
【0070】
さらに、ここで、押出成形は、材料が圧力により第1のチャネル区間に供給されて、第1および第2のチャネル区間において成形されるプロセスに関する。引抜成形は、成形対象の材料がデバイスに供給され、第1および第2のチャネル区間を通して引き抜かれる場合に関する。デバイスは、純粋に押出成形用に、もしくは純粋に引抜成形用に、または2つの組合せで構成されてよいことに留意されたい。
【0071】
デバイスは、第1のチャネル区間に接続する1つまたは複数の入口チャネルによる共押出成形用に構成されてよい。ゆえに、1つまたは複数の材料が、1つのチャネルを介して第1のチャネル区間に供給される場合があるが、2つ以上の材料が、1つの入口チャネルまたは複数のチャネル入口を介して第1のチャネル区間に供給されてよい。複数の入口チャネルは、数が材料の数と同じであってよく、または、2つ以上の材料が1つの入口チャネルを介して供給される場合、複数の入口チャネルは、材料の数よりも少なくてよい。
【0072】
さらに、プロファイル製品とは、三次元形態、すなわち長さ、幅および高さを有する製品を指す。プロファイル製品は、長さに沿った全体が同様である、幅および高さの平面で切った断面を有してもよく、または長さ位置に応じて異なっていてもよい。当該断面は、任意の適当な二次元形状、例えば円形、長円形、楕円形、すなわち2つの面、波状、3つ以上の面またはその組合せを有してよい。1つまたは複数の面にパターンが付けられてよい、すなわち1つまたは複数のパターンを有するテクスチャが付けられてよい。パターン/テクスチャは、回転ダイによって形成される。
【0073】
本発明は、特許請求の範囲内において変更されてよく、上記および下記で説明される例は、本発明を限定するものと見なされるべきでないことに留意されたい。
【0074】
例えば、材料が本発明に係るデバイスにより押出成形または引抜成形され得る限りにおいて、第1のチャネル区間は、静止した壁によって周方向に範囲を定められる場合もあり、または、1つまたは複数の動的な壁と共に配置される場合もある。静止した壁は、安価かつ堅牢という利点を有する。
【0075】
一例によれば、第1のチャネル部は、第2のチャネルに中心を合わせて配置されてよい。これは、第2のチャネルに入る材料の流れが均一に分布するという利点を有する。第1および第2の側部は、第1のチャネル区間に対して中心を合わせて配置されてよく、これは回転ダイにわたって圧力の減少が均一に分布するという利点を有する。
【0076】
例えば、デバイスは、横並びに配置されるいくつかの回転デバイスを備える場合があり、すなわち回転デバイスは、共通の回転アクセルを有する2つ以上の回転デバイスを備える場合がある。異なる回転デバイスは、独立した第2のチャネルに配置される場合もあり、または共通の独立したチャネルに配置される場合もある。異なる回転デバイスは、プロファイル製品に同じまたは異なるパターンを形成するように、同じまたは異なるテクスチャを有する場合がある。よって、プロファイル製品は、製造方向に沿って延び、異なる回転デバイスによって生成される内部プロファイルの1つまたは複数の連なりを含む場合がある。異なる連なりは、異なる回転デバイスの分離と一致する場合がある所定の分離線で独立した製品に分離可能である場合がある。しかしながら、1つの独立した回転ダイは、製造方向に沿って延びる内部プロファイルの1つまたは複数の連なりをプロファイル製品が含むように、同様のまたは異なるパターンを分離するパターン/テクスチャを含む場合がある。また、ここで、それらの連なりは、プロファイル製品において分離可能である場合がある。
【0077】
一例によれば、一方の側部すなわち第1の側部または第2の側部は、フランジを備えるが凹部を備えず、他方の側部すなわち第1の側部または第2の側部は、凹部を備えるがフランジを備えない。
【0078】
回転ダイは、軸に装着されてもよく、または回転ダイ本体に組み込まれた軸を有して配置されてもよい。
【0079】
複数の図面に関して、本発明を以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】本発明の一例に係るデバイスの、
図2の切断面A-Aに沿った模式的な断面図である。
【
図2】本発明に係るデバイスの模式的な断面斜視側面図である。
【
図3a】ロータリーダイの一例の模式的な正面図および入口である。
【
図3b】
図3aのロータリーダイの模式的な斜視図である。
【
図3c】ロータリーダイの一例の模式的な正面図および入口である。
【
図3d】
図3cのロータリーダイの模式的な斜視図である。
【
図4a】本発明に係るデバイスの一例の背面図および出口を模式的に示す図である。
【
図4b】
図4aのデバイスの模式的な斜視図である。
【
図4c】本発明に係るデバイスの背面図および出口を模式的に示す図である。
【
図4d】
図4cのデバイスの模式的な斜視図である。
【
図5】本発明の一例に係るデバイスの模式的な断面側面図である。
【
図6】本発明の一例に係るデバイスの斜視背面図および出口を模式的に示す図である。
【
図7】本発明に係るデバイスの斜視背面図および出口を模式的に示す図である。
【
図8】
図7のデバイスの一部の模式的な拡大図である。
【
図9】ロータリーダイの一例の模式的な正面図および入口である。
【
図10】
図9のロータリーダイの模式的な斜視図である。
【
図11】ロータリーダイの一例の模式的な正面図および入口である。
【
図13】本発明に係るデバイスの、
図2の切断面A-Aに沿った模式的な下面図である。
【
図15】本発明の一例に係るデバイスの、
図2の切断面A-Aに沿った模式的な下面図である。
【
図17】3つのロータリーダイを含むロータリーダイのアセンブリの背面図および出口を模式的に示す図である。
【
図19】4つのロータリーダイを含むロータリーダイのアセンブリの模式的な背面図および入口である。
【
図21】
図1~
図20に関して説明されたものに係るデバイスを用いることによりプロファイル製品を製造するための方法の模式的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0081】
いくつかの図面に関して、本発明を以下で説明する。全ての図面において、同じ特徴は同様の番号で表記する。
【0082】
ここで、入口を伴う正面図および出口を伴う背面図は、製造方向に対する読み手にとっての向きとして用いられ、加工対象の材料が入口に挿入され、プロファイル製品がデバイス内で成形され、次いで出口を介してデバイスから出る。
【0083】
一部の図面において、製造方向は、製造方向を指し示す矢印と共にPDと表記される。
【0084】
図1は、本発明の一例に係るデバイスの、
図2の、すなわち高さ方向Zの切断面A-Aに沿った下面図を模式的に示し、
図2は、
図1のデバイスの断面斜視図を模式的に示す。
図1および
図2は、製造方向Yにプロファイル製品2(
図4a~
図4d参照)を成形するための材料の押出成形または引抜成形のための押出成形または引抜成形デバイス1を示し、前記デバイスは、
径R方向および幅方向Xに延伸し、2つの対向した第1および第2の側壁5、6ならびにその間で幅方向Xに延伸する外周面4を有する回転ダイ3であって、第1の側壁5に接続する第1の側部23および第2の側壁6に接続する第2の側部25ならびに第1および第2の側部23、25の間で延伸する中間部22を備える、回転ダイ3と、
製造方向Yと一致する長手方向Y、高さ方向Zおよび高さ方向Zに垂直な幅方向Xを有するプロファイル画定ゾーン7であって、製造方向に関して第1のチャネル区間9の下流に第2のチャネル区間10が後続している第1のチャネル区間9を備える貫通チャネル8を備え、回転ダイ3は、製造方向Yを横切って延伸する軸を中心として回転可能であり、回転ダイ3が回転する間に、プロファイル画定ゾーン7を通って供給された場合の材料の表面に外周面4が圧力をかけることを可能とするように配置される、プロファイル画定ゾーン7と、を備え、
第1のチャネル区間9は、1つまたは複数の壁11によって周方向に範囲を定められ、
第2のチャネル区間10は、回転ダイ3の周面4と、
図2に示す、回転ダイ3に対向したカウンターベアリング14および回転ダイ3とカウンターベアリング14との間の対向する第1および第2のチャネル部側壁15、16を備えるチャネル部13と、によって周方向に範囲を定められる。
【0085】
図1において、第1のチャネル区間9の幅D3は、少なくともその長さの一部分に沿って、かつ少なくともその高さの一部分に沿って、回転ダイ3の2つの対向した側壁5、6の間の距離D4よりも小さい。ゆえに、第1のチャネル区間9は、少なくとも、第2のチャネル区間10における対向する第1および第2のチャネル部側壁15、16の間の距離よりも幅が小さい必要がある。第1のチャネル区間9と第2のチャネル区間10との間における幅の差は、第1および第2の側部23、25の特徴、および回転ダイ3とそれぞれの対向する第1および第2のチャネル部側壁15、16との間のゆとりに依存する。第1のチャネル区間9の幅D3は、対向する第1および第2のチャネル部側壁15、16の間の距離である距離D4から、ゆとりの和、すなわち第2のチャネル区間10における回転ダイ側壁5、6とそれぞれの対向する第1および第2のチャネル部側壁15、16との間の間隙の和を引いたものよりも小さい必要がある。第1および第2の側部がフランジ部18、19を備える場合、さらなる説明については下記を参照されたく、第1のチャネル区間9の幅D3は、少なくともその長さの一部分に沿って、かつ少なくともその高さの一部分に沿って、2つのフランジ部18、19の間の距離D4よりも小さい。
【0086】
1つの利点は、第1および第2のチャネル区間9、10の幾何学的差異に起因して、第1および第2の外縁部5、6に関して局所的な圧力低減が実現されることである。局所的な圧力低減によって材料の流速が低減し、これにより、第1の側壁5と第1および第1のチャネル部側壁15との間、および第2の側壁6と第2のチャネル部側壁16との間における漏出の問題が解消する。これについて、下記で、また追加の漏出防護対策と組み合わせて、さらに説明する。
図1は、追加の漏出防護対策の一例を示し、
図13および
図15は、漏出防護対策の他の例を示す。
図1に示すように、これらの異なる例が組み合わされてよく、これは上記および下記でさらに説明されている。
【0087】
回転ダイ3は、プロファイル製品の所望のプロファイルに応じて、円筒形または非円筒形のテクスチャが付けられてもよく、またはテクスチャが付けられなくてもよいことに留意されたい。
【0088】
図1において、第1の側部23は、中間部22の少なくとも一部の径方向の延伸長さを超える延伸長さで径方向Rに延伸する第1のフランジ部18を備え、第2の側部25は、中間部22の少なくとも一部の延伸長さを超える径方向への延伸長さで径方向に延伸する第2のフランジ部19を備える。
【0089】
第1のフランジ部18および第2のフランジ部19は、対向する第1および第2のチャネル部側壁15、16に向かう方向における回転ダイ3の外側の材料の動きを防止するように配置される。
【0090】
第1のフランジ部18は、回転方向Rにおいて第1のフランジ部18の範囲を定める第1の外周面18を備え、第2のフランジ部19は、回転方向において第2のフランジ部19の範囲を定める第2の外周面21を備える。第1および第2の外周面20、21は、それぞれ第1の側壁5および第2の側壁6に向かって径方向に拡大するように、それぞれ第1の側壁5および第2の側壁6に対して1~90度の間の角度で配置される。
【0091】
図3aは、ロータリーダイの一例の正面図を模式的に示し、
図3bは、
図3aのロータリーダイの斜視図を模式的に示す。
図3aおよび
図3bは、第1のフランジ部18が、中間部22全体の径方向の延伸長さを超える延伸長さで径方向Rに延伸し、第2のフランジ部19が、中間部22全体の径方向の延伸長さを超える延伸長さで径方向に延伸することを示す。しかしながら、中間部22は、径方向の延伸長さの変動を有してもよく、または
図3aおよび
図3bに示すように変動を有しなくてもよい。
【0092】
図3cは、ロータリーダイの一例の正面図を模式的に示し、
図3dは、
図3cのロータリーダイの斜視図を模式的に示す。
図3cおよび
図3dは、第1のフランジ部18が、中間部22の一部の径方向の延伸長さを超える延伸長さで径方向Rに延伸するが、中間部22のその一部が、第1のフランジ部18の径方向の延伸長さを超える径方向の延伸長さを有することを示す。
図3cおよび
図3dはさらに、第2のフランジ部19が、中間部22の一部の径方向の延伸長さを超える延伸長さで径方向Rに延伸するが、中間部22のその一部が、第2のフランジ部18の径方向の延伸長さを超える径方向の延伸長さを有することを示す。しかしながら、中間部22は、径方向の延伸長さのさらなる変動を有してもよく、または
図3aおよび
図3bに示すようにさらなる変動を有しなくてもよい。
【0093】
第1および第2の外周面20、21が、それぞれ第1の側壁5および第2の側壁6に向かって径方向に拡大するように、それぞれ第1の側壁5および第2の側壁6に対して90度よりも小さい角度で配置されることを示す。
図3a~
図3dは、第1および第2の外周面20、21が、それぞれ第1の側壁5および第2の側壁6に向かって径方向に拡大するように、それぞれ第1の側壁5および第2の側壁6に対して90度の角度で配置されることを示す。
【0094】
図4aは、本発明に係るデバイスの一例の背面図および出口を模式的に示し、
図4bは、
図4aのデバイスの斜視図を模式的に示す。
図4aおよび
図4bは、プロファイル製品の幅が画定され、中間部の幅、すなわち第1および第2のフランジ部18、19の間の距離に等しくなるように、第1および第2のフランジ部18、19が、プロファイル製品2全体を取り囲むのに十分に小さいカウンターベアリング14との距離を空けて配置されることを示す。
【0095】
図4cは、本発明に係るデバイスの一例の背面図および出口を模式的に示し、
図4dは、
図4cのデバイスの斜視図を模式的に示す。
図4cおよび
図4dは、第1および第2のフランジ部18、19が、第2のチャネル部10における材料を第1および第2のフランジ部18、19とカウンターベアリング14との間に受け入れるのに十分に大きいカウンターベアリング14との距離を空けて配置される。ゆえに、第1および第2のフランジ部18、19は、プロファイル製品の一部の幅が画定され、中間部の幅、すなわち第1および第2のフランジ部18、19の間の距離に等しくなるように、プロファイル製品2の一部を取り囲む。この実施形態は、特定の高粘度材料、すなわち流れの遅い材料に適当であるが、第1および第2のフランジ部18、19がさらなる漏出防護対策および手段と組み合わせて用いられる場合には許容されてもよい。
【0096】
図1~
図4において、第1および第2の外周面20、21は、中間部22の外形に従い、第1および第2のフランジ部18、19は、回転ダイ3の軸を中心として回転対称である。製造されるプロファイル製品の設計およびタイプに応じて、フランジ部18、19は、フランジ部18、19が材料の動きを効果的に妨げる限りにおいて、異なる形状を有してよく、非対称に配置されてよい。
【0097】
図1および
図5~
図20は、回転ダイ3の第1および第2の側部23、25における局所的な圧力低減のために配置されるさらなる漏出防護対策および手段を示す。
【0098】
図1は、回転ダイ3が、第1および第2のフランジ部18、19に接続して配置される環状凹部29を備えることを示す。これは、
図5~
図20に関してさらに論じる、圧力低減に起因する材料の動きをさらに妨げるという利点を有する。
図5~
図20では、第1および第2のフランジ部18、19は不図示であることに留意されたい。
図5~
図20では、第1および第2のフランジ部18、19は不図示であることに留意されたい。また、フランジ部18、19は、環状凹部29に不可欠なものではなく、環状凹部29は、フランジ部無しで、ただし第1のチャネル区間9の幅が少なくともその長さの一部分に沿ってかつ少なくともその高さの一部分に沿って回転ダイ3の2つの対向した側壁5、6の間の距離よりも小さい配置に関して、回転ダイ3に配置されてよいことに留意されたい。
【0099】
図5は、本発明の1つの例示的実施形態に係るデバイスの断面側面図を模式的に示し、
図6は、
図5のデバイスの背面図および出口を模式的に示す。
図5および
図6は、第1および/または第2の側部23、25が、中間部22の少なくとも一部の径方向の延伸長さよりも小さい延伸長さで径方向Rに延伸する環状凹部29を備えることを示す。
【0100】
環状凹部29は、材料、回転ダイの設計、第1および第2のチャネル区間の幾何学的形状に応じた深さを有し、材料の流速が低下することに起因して確実に漏出を防止するのに十分に局所的圧力が減少する限りにおいて、数分の1ミリメートルから数センチメートルまでのいくらかの間で変動し得る。
【0101】
図7は、本発明に係るデバイスの背面図および出口を模式的に示し、
図8は、
図7のデバイスの一部の拡大図を模式的に示す。
【0102】
図9は、ロータリーダイの一例の正面図を模式的に示し、
図10は、
図9のロータリーダイの斜視図を模式的に示す。
図9および
図10において、ロータリーダイの中間部22は、直径が第1および第2の側部23、25における環状凹部29よりも大きい。
図9において、凹部29は、回転ダイ3の他の部分よりも小さい径方向の延伸長さ、および中間部22からの凹部29への滑らかな移行部、ならびに中間部22から凹部29全体にわたりそれぞれの第1の側壁5および第2の側壁6に至るまで連続的で滑らかな湾曲を有する。凹部29は、階段関数の形態、または窪み、すなわち環状凹部の形態で配置される場合がある。窪みは、90度の段差の形態で配置される場合があるが、段差は、図示のように斜め部分として配置されてもよく、弧状の形状、例えば凹状の凹部を有してもよい。斜め部分の角度は、それぞれ第1の側壁5および第2の側壁6に向かって径方向に縮小するように、それぞれ第1の側壁5および第2の側壁6に対して1~90度の間であってよい。
【0103】
凹部または窪み29は、隣接する中間部22に関して局所的な圧力の減少をもたらす環状の凹面である場合もある。中間部の少なくとも一部と比較して所望の局所的な圧力低減が実現される限りにおいて、任意の組合せが可能である。
【0104】
図11は、ロータリーダイの別の例の正面図を模式的に示し、
図12は、
図11のロータリーダイの斜視図を模式的に示す。
図11および
図12において、ロータリーダイの中間部22は、第1および第2の側部23、25における環状凹部29よりも直径が小さい部分を有するが、中間部22の他の部分は、第1および第2の側部23、25における環状凹部29よりも大きい直径を有する。
【0105】
図1および
図5~
図20では、第1および第2の側部23、25の両方が環状凹部29を備えることを示しているが、異なる例(不図示)によれば、第1および第2の側部23、25の一方のみが環状凹部29を備える場合もある。
【0106】
図1および
図5~
図20は、中間部22の少なくとも一部/一部分が、環状凹部29の直径すなわち径方向の延伸長さよりも大きい直径すなわち径方向の延伸長さを有することを示す。この直径の差の1つの利点は、第1の側壁5および第2の側壁6に向かう方向に流れる材料が、第1および第2の側部23、25の環状凹部29における圧力の減少に起因して勢いおよび速度を失うことである。
【0107】
図1および
図5~
図20において、凹部29は、中間部22の外形に従い、これは、そのエリアにおける均一な圧力減少の利点を有する。しかしながら、別の例(不図示)においては、中間部とは異なる変動する直径を有する環状凹部、または中間部が回転対称でない部分を有する場合に回転対称な環状凹部を有することが可能である。
【0108】
図1および
図5~
図20は、凹部29が回転ダイ3の軸を中心として回転対称であることを示すが、上記で述べたように他の設計も可能である。
【0109】
図5は、壁11が静止しており、第1のチャネル区間9の端部において第1の断面12を画定し、第2のチャネル区間10が、周面4とカウンターベアリング14との間の距離D2が最小となる位置において第2の断面17を画定し、第1のチャネル区間9を通過する材料が第2のチャネル区間10に入ったときに形態を変化させるように、第1のチャネル区間9の幾何学的形状が第2のチャネル区間10と異なることを示す。
【0110】
第2の断面17における周面4とカウンターベアリング14との間の高さ方向Zの最小距離D2は、第1の断面12における高さ方向の最大距離D1よりも小さい。これは、材料に、形態を変化させ、回転ダイ3の形状および形態ならびに回転ダイ3に対向したカウンターベアリング14の形状および形態に応じて様々な方向に流れ始めさせるという利点を有する。
【0111】
第1のチャネル区間9および第2のチャネル区間10の幾何学的差異に起因して、第2のチャネル区間10における圧力は、材料が回転ダイの圧痕を含めて第2のチャネル区間を飽和させるのに十分に速く変形するようなレベルに増大または維持される。
【0112】
図1および
図5~
図20の説明に関して述べたように、第1および第2のチャネル区間9、10の幾何学的差異に起因して、第1および/または第2の側部23、25に関して局所的な圧力低減が実現される。デバイス1は、フランジ部18、19および環状凹部29無しで配置されてよいが、フランジ部18、19および環状凹部29の両方は、追加の効果をもたらす漏出防護のための相補的な対策である。
【0113】
図1および
図13~
図16は、
図1および
図5~
図20に関して説明した1つまたは複数の環状凹部と組み合わせた局所的な圧力低減のための対策を示す。上記で述べたように、デバイス1がフランジ部18、19および凹部29を備える
図1に示すように、異なる対策が組み合わされてよい。しかしながら、上記で
図1および
図13~
図16に関して説明されている局所的な圧力低減のための対策は、フランジ部および環状凹部無しで配置されてよい。
【0114】
図13は、本発明に係るデバイスのフランジ部無しの、
図2の切断面A-Aに沿った下面図を模式的に示し、
図14は、
図13のデバイスの一部の拡大図を模式的に示す。
図15は、本発明の一例に係るデバイスのフランジ部無しの、
図2の切断面A-Aに沿った下面図を模式的に示し、
図16は、
図15のデバイスの一部の拡大図を模式的に示す。
【0115】
図1および
図13~
図16において、第1のチャネル区間9は、幅方向Xに延伸する第3の側部24を備え、第3の側部24は、押出成形される材料における圧力が、第3の側部24に関してよりも第1の側部23に関して小さくなるように、第1の側部23に対して配置され、
および/または、
第1のチャネル区間9は、幅方向Xに延伸する第4の側部26を備え、第4の側部26は、押出成形される材料における圧力が、第4の側部26に関してよりも第2の側部25に関して小さくなるように、第2の側部25に対して配置される。
【0116】
図1および
図13~
図16は、第1のチャネル区間9が、幅方向Xに垂直な高さ方向Zにおける第1のチャネル区間9の空間を減少させるように配置される第3および/または第4の側部24、26に接続する風下手段27を備え、第1のチャネル区間9が、幅方向Xにおける第1のチャネル区間9の空間を減少させるように配置される第3および/または第4の側部24、26に接続する風下手段28を備えることを示す。
【0117】
図1および
図13~
図16に示すように、風下手段27、28は、貫通チャネル8内を向く隆起を備える。
【0118】
図1~
図16に関して、第2のチャネル区間10は、有利には、径方向と一致する高さ方向Zに取った第1のチャネル区間9の最も遠い部分の間の
図5に示す所定の第1の距離D1よりも小さい、回転ダイ3の周面4の径方向の最も外側の部分とチャネル部13におけるカウンターベアリング14との間の、
図5に示す所定の第2の距離D2を有するように、第1のチャネル区間9に対して配置され、
および/または、
第2のチャネル区間10は、第1のチャネルからの出口エリアにおいて幅方向Xに取った第1のチャネル区間の側壁の間の、
図15に示す所定の第3の距離D3よりも大きい、幅方向Xにおけるチャネル部13の最も内側の最も狭い部分の間の
図15に示す所定の第4の距離D4を有するように、第1のチャネル区間9に対して配置される。高さおよび幅の両方におけるこの変化は、材料を変形させ、より狭い第1のチャネル区間は、チャネル区間に入ったときに、第1および第2の側部が後流になる、すなわち第1のチャネルの側壁の後ろになるので、局所的に減少した圧力をもたらす。
【0119】
さらに、
図1~
図16に関して、第1および第2の側壁5、6は、第1および第2の側壁5、6が、製品材料および第1および第2のチャネル区間9、10の間の幾何学的関係に応じて配置されるゆとりを有して第1および第2のチャネル部側壁15、16に回転可能に接続されるように、第1および第2のチャネル部側壁15、16に対して位置付けられる。
【0120】
周面4は、環状凹部の部分を除く回転ダイの全部をカバーし得るテクスチャ付き部分30を備えてよく、または、第1の側部4は、第1のフランジ部18とテクスチャ付き部分30との間で延伸するテクスチャ無し部分31を備え、第2の側部25は、第2のフランジ部19とテクスチャ付き部分30との間のテクスチャ無し部分32を備える。
【0121】
テクスチャ無し部分31、32は、有利には、特に環状凹部19の部分において、テクスチャ付き部分30の圧痕深さまでの半径よりも小さい半径を有する。
【0122】
しかしながら、一例(不図示)によれば、周面4は、テクスチャが無いが、滑らかな表面または微細パターンが付いていてもよい。テクスチャ無しの回転ダイは、円筒形または波状の形状を有してよい。
【0123】
図17は、3つのロータリーダイ3、33、34を含むロータリーダイ3のアセンブリの背面図および出口を模式的に示し、
図18は、
図14に係るアセンブリの斜視図を模式的に示す。
図1~
図16に関して、チャネル部13は、
図1~
図16のカウンターベアリング14を置き換える、第1の回転ダイ3に対向して配置される第2の回転ダイ33を備える。第2の回転33ダイは、カウンターベアリング14の全体を置き換えてもよく、または静止したカウンターベアリング14(不図示)の一部であってもよい。第2の回転33ダイは、プロファイル製品の2つの面に同じまたは異なるパターンを形成するように、上述の第1の回転ダイ3と同様に配置されてよい。第2の回転ダイ33は、第1の回転ダイ3の環状凹部29および/またはフランジ部18、19と協働するように配置され得る環状凹部および/またはフランジ部を備えてよい。
【0124】
図17および
図18に示す一例によれば、(
図1~
図16に示す)チャネル部13は、第1の回転ダイに対して角度を付けて配置される第3の回転ダイ34を備える。この回転ダイは、対向する第1または第2のチャネル部側壁15、16を全体的にまたは部分的に置き換える。第3の回転ダイ34は、第1の回転ダイのみと共に、または第1および第2の回転ダイの両方と共に配置されてよい。ゆえに、第1の回転ダイ3および第2の対向する回転ダイ33を有する上述の配置は、第3の回転ダイ34無しで組み立てられてよい。
【0125】
図19は、4つのロータリーダイを含むロータリーダイのアセンブリの背面図および出口を模式的に示し、
図20は、
図19に係るアセンブリの斜視図を模式的に示す。
図19および
図20は、(
図1~
図16に示す)チャネル部13が、第3の回転ダイ34に対向して配置される第4の回転ダイ35を備えることを示す。第4の回転ダイ34は、代替として、第1の回転ダイ3のみと共に、または第1および第2の回転ダイ3、33の両方と共に配置されてよい。
【0126】
第3および/または第4の回転ダイ34、35は、プロファイル製品の2つの面に同じまたは異なるパターンを形成するように、上述の第1の回転ダイ3と同様に配置されてよい。第3および/または第4の回転ダイ34、35は、第1の回転ダイ3の環状凹部29および/またはフランジ部18、19と協働するように配置され得る環状凹部および/またはフランジ部を備えてよい。
【0127】
一例によれば、2つ以上の回転ダイが同期される。これは、同じ速度で材料を供給する利点を有する。しかしながら、摩擦および/または特別なパターンを形成するため、および/または材料の差異を補正するために、非同期の回転ダイを用いることも可能な場合がある。
【0128】
デバイスは、テクスチャ付きおよびテクスチャ無しの回転ダイ3、34、35の組合せで配置されてよい。
【0129】
図21は、
図1~
図21に関して説明されたものに係るデバイスを用いることによりプロファイル製品を製造するための方法のフローチャートを模式的に示し、当該方法は、
ボックス101に示す工程、すなわち、材料を第1のチャネル区間に供給し、材料を第1のチャネル区間において成形することと、
ボックス102に示す工程、すなわち、材料をさらに第2のチャネル区間に供給し、材料を第2のチャネル区間において成形することと、
を含む。
【0130】
凹部29を示す図は、第1および第2の側部23、25が環状凹部を備えることを示している。不図示の一例によれば、第1または第2の側部23、25の一方のみが凹部を備える。
図1~
図18において、凹部は、環状凹部、すなわち回転軸を中心として周方向に延伸するものである。不図示の一例によれば、第1および/または第2の側部は、環状でなく1つまたは多数の単一凹部として配置される1つまたは複数の凹部を備える。各単一凹部は、幅方向、回転方向すなわち幅方向に垂直な周方向、および径方向における延伸長さを有する。それら単一凹部は、同様のまたは異なる形状を有してよく、有利には。それら単一凹部は、回転軸を中心として周方向に延伸する異なるパターンで配置されてよい。それら単一凹部は、回転軸を中心として周方向に延伸する凹部の1本の単一線で配置されてもよく、または、幅方向において互いに隣接して配置される凹部の2つ以上の線として配置されてもよい。凹部の2つ以上の線は、1つまたは複数が幅方向において互いに隣接してまたは周方向において互いにずらして配置されるように、配置されてよい。単一凹部の異なる線は、同じまたは異なる数の凹部を有してよい。
【0131】
第1および第2のフランジ部18、19を示す図は、第1および/または第2の外周面20、21が滑らかな環状に配置される、すなわち、第1および/または第2のフランジ部が円形または長円形に配置されることを示しているが、別の例によれば、第1および/または第2の外周面が波状に配置される、すなわち、第1および/または第2のフランジ部がはめば歯車状に配置される。