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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】電気油圧式圧力調整弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
F16K31/06 305A
F16K31/06 305N
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022019009
(22)【出願日】2022-02-09
(65)【公開番号】P2022123863
(43)【公開日】2022-08-24
【審査請求日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】10 2021 103 382.9
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522054374
【氏名又は名称】トーマス マグネト ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュリ バス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ザストラウ
(72)【発明者】
【氏名】イェルク シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】イェンス クラルマン
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102014015559(DE,A1)
【文献】実開平7-6578(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0282191(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104864118(CN,A)
【文献】実開昭55-31029(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06-31/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気油圧式圧力調整弁(1)であって、
機器(6)にフランジ固定するために形成されたフランジ(5)を有する弁ハウジング(4)と、
前記弁ハウジング(4)内に配置され、磁極コア(9)を有する電磁石(2)と、
ここで、前記磁極コア(9)は、前記弁ハウジング(4)の内部に配置され、少なくとも部分的に、前記弁ハウジング(4)の内壁に直接、接しており、
前記磁極コア(9)は、前記弁ハウジング(4)のフランジ側の開口部(21)を閉鎖しており、
前記磁極コア(9)内には、前記機器(6)との流体接続のために設けられた、少なくとも、1つの作業接続部(A)、1つの圧力接続部(P)、及び1つのタンク接続部(T)が形成されており、
前記磁極コア(9)は、前記タンク接続部(T)、前記圧力接続部(P)、及び前記作業接続部(A)を流体接続する複数の孔(15,16,17,18,19)を有しており、
前記複数の孔(15,16,17,18,19)の少なくとも1つには、弁スライダ(8)が案内されており、前記スライダ(8)を介して、前記圧力接続部(P)及び前記タンク接続部(T)を、選択的に、前記作業接続部(A)に接続可能、及び、前記作業接続部(A)から分離可能であり、
前記弁ハウジング(4)の内部に配置され、前記電磁石(2)によって移動可能な磁気アーマチュア(20)であって、前記弁スライダ(8)と移動が連動している磁気アーマチュア(20)と、
前記磁極コア(9)に取り付けられ、前記機器(6)に接合するために形成されたシール部材(7)であって、前記圧力接続部(P)及び/又は前記タンク接続部(T)及び/又は前記作業接続部(A)の前記機器(6)との接続を、互いに対してシールするために、及び/又は、周囲に対してシールするために形成されているシール部材(7)と、
を備えた電気油圧式圧力調整弁(1)において、
前記シール部材(7)は、前記弁ハウジング(4)と前記磁極コア(9)との間の接触領域をシールするように形成されており、それによって、前記磁極コア(9)と前記弁ハウジング(4)との間への流体の侵入が防止される、又は、少なくとも困難になることを特徴とする、電気油圧式圧力調整弁(1)。
【請求項2】
前記磁極コア(9)は、外周部に面取り部(22)又は凹部を有しており、前記面取り部(22)又は前記凹部によって、磁極コア(9)及び弁ハウジング(4)によって画定されている溝(10)が形成されており、
前記シール部材(7)は、少なくとも部分的に前記溝(10)内に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の圧力調整弁(1)。
【請求項3】
前記磁極コア(9)が単一に形成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の圧力調整弁(1)。
【請求項4】
前記シール部材(7)が単一に形成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の圧力調整弁(1)。
【請求項5】
前記磁極コア(9)は、前記作業接続部(A)の周囲に環状に延びる溝状のシールガイド領域(27)を有し、
前記シール部材(7)は、少なくとも部分的に前記シールガイド領域(27)に配置されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の圧力調整弁(1)。
【請求項6】
前記複数の孔(15,16,17,18,19)は、第1の孔(15)、第2の孔(18)、及び第3の孔(19)を有し、
前記第1の孔(15)は、前記弁スライダ(8)を受け入れるために形成され、前記作業接続部(A)に流体接続されており、
前記第2の孔(18)は、前記タンク接続部(T)に流体接続されており、
前記第3の孔(19)は、前記圧力接続部(P)に流体接続されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の圧力調整弁(1)。
【請求項7】
前記第1の孔(15)には、第1のくり抜き部(13)と、前記第1のくり抜き部(13)とは別の第2のくり抜き部(14)とが形成されており、
前記第2の孔(18)は、前記第1のくり抜き部(13)内に達しており、
前記第3の孔(19)は、前記第2のくり抜き部(14)内に達しており、
記第2の孔(18)及び第3の孔(19)は、前記第1の孔(15)に対して斜めに方向付けられていることを特徴とする、請求項6に記載の圧力調整弁(1)。
【請求項8】
前記第2の孔(18)は、9.0mmと15.0mmとの間の長さを有し、及び/又は、前記第1の孔(15)に対して10°と30°との間の角度を有していること、及び/又は、
前記第3の孔(19)は、5.0mmと11.0mmとの間の長さを有し、及び/又は、前記第1の孔(15)に対して、20°と40°との間の角度を有していることを特徴とする、請求項7に記載の圧力調整弁(1)。
【請求項9】
前記複数の孔(15,16,17,18,19)は、前記第1の孔(15)と前記第2の孔(18)とを接続するための第4の孔(16)と、前記第1の孔(15)と前記第3の孔(19)とを接続するための第5の孔(17)と、を有しており、
前記第2の孔(18)及び前記第3の孔(19)は、前記第1の孔(15)と平行に方向付けられていることを特徴とする、請求項6に記載の圧力調整弁(1)。
【請求項10】
前記第4の孔(16)及び前記第5の孔(17)は、前記第1の孔(15)に対して直交する方向に方向付けられており、
前記第4の孔(16)及び前記第5の孔(17)は、前記磁極コア(9)の外側面において、レーザ溶接継手(24)によって密封されており、
前記第4の孔(16)及び第5の孔(17)の密封は、少なくとも1つのレーザ溶接継手(24)によって行われており、このレーザ溶接継手は、前記磁極コア(9)と、前記磁極コア(9)を少なくとも部分的に囲む圧力スリーブ(28)との、材料結合による接続のために形成されていることを特徴とする、請求項9に記載の圧力調整弁(1)。
【請求項11】
前記弁スライダ(8)は、前記作業接続部(A)の、前記タンク接続部(T)又は前記圧力接続部(P)との流体接続を確立するための第1の断面部(11)と、前記作業接続部(A)の、前記タンク接続部(T)又は前記圧力接続部(P)からの流体分離のための第2の断面部(12)と、を有しており、
前記第1の断面部(11)は、2.5mmと5.0mmとの間の流体貫流可能の接続断面を形成していることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の圧力調整弁(1)。
【請求項12】
前記磁極コア(9)は、前記磁極コア(9)と前記磁気アーマチュア(20)との合計長の最大60%の長さを有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の圧力調整弁(1)。
【請求項13】
前記磁気アーマチュア(20)及び/又は前記弁スライダ(8)は、軸方向(100)に沿って移動可能であり、
前記磁極コア(9)は、前記軸方向(100)に関して、前記フランジ(5)を超えて突出していないことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の圧力調整弁(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に係る電気油圧式圧力調整弁に関する。このような圧力調整弁は、例えば建設機械、農業機械、及び林業機械内における方向制御弁(Wegeventil)のパイロット制御に用いられるものとして知られている。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1又は特許文献2に記載されているような一般的な圧力調整弁は、方向制御弁のエンドキャップの受け入れ孔、又は、制御ブロックに挿入される弁スリーブを備えている。これによって、様々な用途に応じた大量の製品が得られる。
【0003】
しかしながら、このような圧力調整弁が、機器にボルトによって固定されフランジ接合可能な小型の制御ブロック内に大量に使用される場合には、圧力調整弁をフランジ接合可能に製作して制御ブロックを割愛することによって、コストを削減することができる。
【0004】
このような弁として、フランジ接合可能な弁が知られており、例えば、市販の固定型油圧装置の方向制御弁は、主にフランジ接合可能に製作されている。これらは通常、マウンティングプレートによって取り付けられている。また、フランジ接合が可能な圧力調整弁も知られており、例えば、特許文献3には、そのような形態のプラスチック射出成形の圧力調整弁が記載されている。この圧力調整弁は、本発明においては、より耐性が高く、より精密なものにするために、さらに発展させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第4423103号明細書
【文献】独国実用新案第202010017049号明細書
【文献】独国特許出願公開第102012010986号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に示されているような、非常に耐性の高い精密な圧力調整弁をベースに、本発明による圧力調整弁は、フランジ接合可能に製作され、ヒステリシスが非常に小さく、且つ、低コストにおいて製造可能である必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、独立請求項の特徴によって解決される。従属請求項は、本発明の有利なさらなる形態を示している。
【0008】
そのため、この課題は、弁ハウジング、磁極コアを有する電磁石、磁気アーマチュア、及びシール部材を備えた電気油圧式圧力調整弁によって解決される。その弁ハウジングは、外部機器へのフランジ接合のために形成されたフランジを有する。有利なことに、外部機器は圧力調整弁のための孔又は凹部を有する必要はなく、圧力調整弁をフランジ接合可能な平らな面があればよい。それによって、圧力調整弁を機器に省スペースにおいて接続することができる。
【0009】
磁極コアは、弁ハウジングの内部に配置され、少なくとも部分的に弁ハウジングの内壁に直接、接している。さらに、磁極コアは、弁ハウジングのフランジ側の開口部を閉鎖している。これによって、磁極コアは、好ましくは、機器への圧力調整弁の流体接続に役立つ。磁極コア内には、機器との流体接続のために設けられた、少なくとも、1つの作業接続部、1つの圧力接続部、及び1つのタンク接続部が形成されている。磁極コアを弁ハウジング内に形成し、また、弁ハウジングのフランジ側に露出させることによって、機器との接続が容易になり、その際、機器は、適切な嵌合部を設けるだけでよい。機器の特別な処理、特に凹部を設ける必要はない。様々な接続部の接続は、特に軸方向に行われる。すなわち、流体の流れは、好ましくは軸方向に、圧力調整弁に入り、圧力調整弁から出る。軸方向は、特に、弁ハウジングの、及び/又は、磁極コアの、及び/又は、磁気アーマチュアの、及び/又は、電磁石の中心軸と同軸に方向付けられている。
【0010】
また、磁極コアは、タンク接続部、圧力接続部、及び作業接続部を流体接続する複数の孔を有する。弁スライダは、少なくとも1つの孔に案内されており、この孔を介して、圧力接続部及びタンク接続部は、選択的に、作業接続部に接続可能であり、及び、作業接続部から分離可能である。この方法によって、異なる流体の流れを調整することができる。
【0011】
同様に、磁気アーマチュアは弁ハウジング内に配置されており、その際、磁気アーマチュアは電磁石によって移動可能である。特に、電磁石は比例磁石である。したがって、電気油圧式圧力調整弁は、好ましくは、比例作動型の電気油圧式圧力調整弁である。磁気アーマチュア及び弁スライダは移動が連動しており、それによって、弁を通る異なる流体の流れを電磁石によって調整することができる。
【0012】
シール部材は磁極コアに取り付けられており、機器に接合するために形成されている。シール部材は、圧力接続部及び/又はタンク接続部及び/又は作業接続部の機器との接続を、互いに対してシールするために、及び/又は、周囲に対してシールするために使用される。したがって、特に有利には、シール部材の少なくとも1つのセクション、特にシール部材の各セクションは、それぞれの場合において、圧力接続部又はタンク接続部又は作業接続部に露出する1つの側部と、別の接続部に、又は、周囲に露出する反対側の側部とを有している。
【0013】
また、シール部材は、弁ハウジングと磁極コアとの間の接触領域をシールするように形成されている。この方法によって、磁極コアと弁ハウジングとの間への流体の侵入が防止される、又は少なくとも困難になる。この方法によって、特に弁ハウジング内の部品を特別な方法によって腐食から守る必要はない。これによって、圧力調整弁の構造が単純になり、圧力調整弁の製造コストが安価になる。
【0014】
好ましくは、磁極コアは、外周部に面取り部又は凹部を有する。磁極コアの外周部は、好ましくは、弁ハウジングに接するような領域である。さらに、面取り部又は凹部は機器に面していることが好ましい。凹部又は面取り部によって溝が形成され、その溝は一方が磁極コアによって、他方が弁ハウジングによって画定されている。シール部材は、少なくとも部分的にその溝内に配置されている。それによって、上記のシール効果が有利に得られる。さらに、圧力調整弁の動作中のシール部材のずれが防止される、又は少なくとも困難になる。その結果、永続的なシール効果が保証される。
【0015】
磁極コアは、好ましくは単一に形成されている。上記のように特別な防食対策が必要ないため、磁極コアと弁ハウジングとの間に追加の要素を挿入する必要がない。むしろ、磁極コアは弁ハウジングに直接、接するのが好ましい。それによって、一方において、磁極コアは、単一部品であるため製造が容易であり、他方においてさらに、圧力調整弁の組み立ては、追加要素なしに磁極コアのみを組み立てられ得るため、簡易化される。
【0016】
好ましくは、さらに、シール部材が単一に形成されていることが提供される。特に、シール部材は、単一部品からなるフラットシールである。これによって、圧力調整弁の組み立てが容易になる。
【0017】
有利な実施形態においては、磁極コアは、作業接続部の周囲に環状に延びる溝状のシールガイド領域を有する。その際、旋削加工(Eindrehung)であると特に有利である。このために、磁極コアを回転部品として製造することが好ましく、作業接続部は、特に回転軸に設けられている。シール部材は、少なくとも部分的にシールガイド領域に配置されている。そのため、シール部材の滑り又はずれが防止される、又は少なくとも困難になる。その結果、シール部材の異なる側面に異なる流体圧力が作用した場合に、シール部材は特に意図した場所に保持される。作業接続部は、選択的にタンク接続部及び圧力接続部に接続でき、又はそのどちらにも接続しないようにできるため、作業接続部は常に変化する圧力が印加される。シールガイド領域によって、変化する圧力にもかかわらず、シール部材のずれが防止される、又は少なくとも困難になる。
【0018】
上記複数の孔は、好ましくは、第1の孔、第2の孔、及び第3の孔を有する。第1の孔は、弁スライダを受け入れるために形成され、作業接続部に流体接続されている。特に好ましくは、第1の孔は、磁極コアの中心軸に沿って延びている。第2の孔は、タンク接続部に流体接続されており、第3の孔は圧力接続部に流体接続されている。弁スライダの移動によって、孔の異なる接続を行うことができ、その結果、個々の接続部間において異なる貫流を確立することができる。
【0019】
特に有利なことに、第1の孔には、第1のくり抜き部(Ausdrehung)と、第1のくり抜き部とは別の第2のくり抜き部とが形成されている。そのため、第1のくり抜き部及び第2のくり抜き部においては、第1の孔の直径が大きくなっている。第2の孔は第1のくり抜き部内に達しており、第3の孔は第2のくり抜き部内に達している。そのため、第2の孔及び第3の孔は、第1の孔に対して斜めに方向付けられていることが好ましい。この方法によって、第1の孔、第2の孔、及び第3の孔は、容易かつ確実に互いに接続される。
【0020】
さらに、第2の孔は、9.0mmと15.0mmとの間の、特に11.5mmの長さを有し、及び/又は、第1の孔に対して10°と30°との間の、特に20°の角度を有していることが特に有利に提供される。第3の孔は、特に有利には、5.0mmと11.0mmとの間の、特に7.5mmの長さを有し、及び/又は、第1の孔に対して、20°と40°との間の、特に30°の角度を有している。このような形態によって、圧力調整弁を通過する流体の流れが最適化され、圧力調整弁内の圧力損失が最適化される。
【0021】
代替の有利な形態においては、上記複数の孔は、第1の孔と第2の孔とを接続するための第4の孔と、第1の孔と第3の孔とを接続するための第5の孔とを有する。そのため、第2の孔及び第3の孔は、好ましくは、第1の孔と平行に方向付けられている。上記のようなくり抜き部の形成は必要ない。
【0022】
第4の孔及び第5の孔は、有利には、第1の孔に対して横に、特に垂直に方向付けられている。第4の孔及び第5の孔は、磁極コアの外周面において、密封されている。そのため、第4の孔及び第5の孔からの流体の望ましくない漏れが回避される。有利なことに、第4の孔及び第5の孔の密封は、それぞれレーザ溶接継手によって行われている。特に、それぞれの孔に対して、個別の、特に有利には、磁極コアの周りを囲むレーザ溶接継手が提供される。さらに、それぞれのレーザ溶接継手は、特に、磁極コアと、磁極コアを周方向に囲む圧力スリーブとの材料結合による接続(stoffschluessigen Verbindung)のために役立つ。この接続は、同時に、磁極コアと圧力スリーブとの間のシールに役立ち、そのため、例えばOリングのような追加シールは必要でない。
【0023】
弁スライダは、特に、作業接続部の、タンク接続部又は圧力接続部との流体接続を確立するための第1の断面部を有している。さらに、弁スライダは、特に、作業接続部の、タンク接続部又は圧力接続部からの流体分離するための第2の断面部を有している。第1の断面部は、好ましくは孔を有し、特に2.5mmと5.0mmとの間の、好ましくは3.2mmの流体貫通可能の接続断面を形成している。流体は、接続断面を介して、作業接続部とタンク接続部との間、及び圧力接続部と作業接続部との間を流れることができる。上記のような接続断面の形態によって、特に、2.7バールの圧力差において、2リットル/分の貫流を達成することができる。このように、第1の断面部は、圧力調整弁を貫通する流体の流れに関して、流体技術的に最適化されている。
【0024】
磁極コアは、好ましくは、磁極コアと磁気アーマチュアとの合計長の最大60%の長さを有する。磁気アーマチュアは、これによって、その長さの適切な形態によって電磁石の磁界から発生する漏れ磁束を最適に集めることができるため、磁気アーマチュアの長さが最適化される。これによって、最大の磁力を発生させることができる。磁気アーマチュアと磁極コアとの全長は、その際、特に弁ハウジングによって制限される。
【0025】
好ましくは、さらに、磁気アーマチュア及び/又は弁スライダは、軸方向に沿って移動可能であることが提供される。その軸方向は、特に圧力調整弁の中心軸と同軸に方向づけられている。磁極コアは、好ましくは、軸方向に関して、フランジを超えて突出していない。そのため、圧力調整弁を機器に接続した場合に、磁極コアが機器内に突出することはない。これは、機器のシンプルな形態を可能にし、その結果、圧力調整弁の接続のために機器の費用のかかる加工又は成形が不要となる。
【0026】
この圧力調整弁は、下流側の方向調整弁のための、又は電気制御信号に従って制御される機械の補助タスクのためのパイロット圧力を調整するために、特に適している。
【0027】
制御信号は、好ましくは調整された電流として存在し、圧力調整弁の一部である電磁石の中において、力に変換される。その力は、磁気アーマチュアの異なる大きさのストロークの場合においても、電磁石の特別な、しかしながら知られた実施のために、特にこの電磁石の磁極の形状によって、有利にも、電流に比例する。
【0028】
その力は、磁気アーマチュアから弁スライダに、特にプランジャによって伝達される。この弁スライダにおいて、磁気アーマチュアの力と油圧力とが比較される。この油圧力は、作業接続部に接続された弁スライダの正面にかかる圧力と、弁スライダの正面の大きさとから生じる。
【0029】
弁の作業接続部における圧力が磁気アーマチュアの力を上回る場合、弁スライダは電磁石の方向にずれ、作業接続部からタンク接続部への流体の流れのための可変断面を解放する。その結果、作業接続部の圧力が低下する。しかしながら、磁気アーマチュアの力が作業接続部の圧力を上回る場合、弁スライダが電磁石から離れる方向にずれ、圧力接続部から作業接続部への流体の流れのための第2の可変断面部を解放する。その結果、作業接続部の圧力が上昇する。磁気アーマチュアの力と圧力の力が均衡している場合、スプリングによって弁スライダの中間位置が設定され、その中間位置においては、作業接続部からの流体の流れの出入りが形成されない。
【0030】
上記の調整機能は、圧力接続部において、十分な供給圧力と適切な圧力流体の流量とが得られた場合に行われる。さらに、タンク接続部の圧力がかなり低く、また、作業接続部に接続された使用物による流量がほんのわずかな場合において、有利である。
【0031】
流体の流れに対する可変断面部の解放は、弁スライダの内部に位置する制御エッジと、弁スライダを囲む磁極において外部に位置する制御エッジとの相互作用によって行われるのが好ましい。好ましくは、2つの可変断面部のうち1つだけが一度に解放されるが、2つの可変断面部が同時に作用する形態も可能であり、これは制御エッジのいわゆるオーバーラップによって形成される。
【0032】
外部に位置する制御エッジは、好ましくは、磁極におけるくり抜き部又は横方向の孔の構成要素であり、これらの空所は、縦孔を介して圧力接続部及びタンク接続部と接続する。くり抜き部を使用する場合、縦孔は、弁スライダ用の孔に対して小さな角度で配置されることが有利であり、これによって、フランジ面内の接続部は、互いに十分に大きな間隔を有する。
【0033】
上位機器における圧力調整弁のフランジ面において、作業接続部、圧力接続部及びタンク接続部が、相互に、また周囲からシールされている。これは、接続部のための通路を有する共通のフラットシール部材によって、又は、適切な円形の溝に挿入されるため、既知の方法によって設けられる少なくとも3つのOリングによって、有利に行われる。
【0034】
本発明による圧力調整弁は、弁部も含み、好ましくは深絞り鉄製の弁ハウジングを有するため、非常に耐性が高く、また、流体の流れを調整するための2つの可変断面部を有するため、圧力制御において非常に正確に動作する。
【0035】
圧力調整弁のヒステリシスは、特に磁気アーマチュアが弁スライダによって磁極に対して非常に正確に案内されるため、非常に小さい。なぜなら、弁スライダと、磁気アーマチュアを保持するプランジャとが有利にも単一に製作されており、弁スライダが磁極内において非常にわずかな遊びを持ってスライドするためである。代替的に、ジョイントヘッドが提供される。その際、この共通部品は、有利にも、例えば、真鍮又はオーステナイト鋼の非常に磁化しにくい材料によって製造されている。そのため、エアギャップを渡るための磁気的な短絡が起こらない。
【0036】
さらに、圧力調整弁はフランジ接合することができる。なぜなら、圧力調整弁の弁部が比例電磁石の弁ハウジングによって完全に囲まれており、それによって、弁ハウジングのフランジは、装置全体の長さを画定するためである。圧力調整弁がフランジ接合される機器には、取り付け用の穿孔は必要ない。
【0037】
これによって、圧力調整弁と上位機器とによって構成される装置においては、機器内の取り付け孔、又は、取り付け孔を有しフランジ接合可能な追加の制御ブロックが不要となり、大幅なコスト削減が可能となる。
【0038】
用途
上記のタイプの圧力調整弁は、比例作動型方向調整弁の電気油圧式パイロット制御、及び、移動式油圧機器における、例えば、農業機械、建設機械、及び林業機械における、副次的機能の制御に使用される。また、静圧ポンプを調整する用途も公知である。
【0039】
本発明のさらなる詳細、利点、及び特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】弁スライダを案内するための孔のくり抜き部を有する第1の実施例による本発明による圧力調整弁を示す図である。
図2】横方向の孔を有する第2の実施例による本発明による圧力調整弁を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
比例作動型の電気油圧式圧力調整弁1は、第1の実施例による図1に示され、弁ハウジング4と、電流を比例した力に変換する電磁石2と、その力を調整された油圧に変換する弁部3とを備える。
【0042】
電磁石2は、コイル、ヨーク及び磁極コア9から形成されており、電磁石2は、リターンヨーク(Eisenrueckschluss)として使用される弁ハウジング4内に配置されている。電磁石2によって、磁気アーマチュア20は移動可能である。また、弁部3は、弁ハウジング4によって完全に囲まれている。
【0043】
弁ハウジング4に成形されたフランジ5は、圧力調整弁1を上位の機器6に接続する。
【0044】
弁部3は、磁極コア9の第1の孔15内において移動可能な弁スライダ8を含む。この弁スライダ8は、一方においては電磁石2から遠ざかる方向を向いた弁スライダ8の端面に作用する圧力を受け、他方においては電磁石2の力を受ける。また、弁スライダ8は、第1の断面部11によって、磁極コア9に形成された作業接続部Aとタンク接続部Tとの間の接続を確立し、及び/又は、磁極コア9に形成された圧力接続部Pと作業接続部Aとの間の接続を確立し、第2の断面部12によって、作業接続部Aを圧力接続部P及び/又はタンク接続部Tから分離する。
【0045】
図1は、タンク接続部Tと作業接続部Aとを接続し、圧力接続部Pと作業接続部Aとの接続を分離した状態を示す。
【0046】
磁極コア9は、可動の弁スライダ8を囲むとともに、弁部3のすべての不動の構成要素、すなわち、作業接続部Aに接続する第1の孔15、第1の断面部11及び第2の断面部12と協働するための、外側に位置する制御エッジ、並びに、タンク接続部Tを第1の孔15に接続するための第2の孔18、及び圧力接続部Pを第1の孔15に接続するための第3の孔19を有している。
【0047】
磁気アーマチュア20は、プランジャによって、又はジョイントヘッド26を介して弁スライダ8に接続されている。その際、プランジャと弁スライダ8とは好ましくは単一に製作され、磁気アーマチュア20は、特に弁スライダ8によってガイドされる。
【0048】
プランジャ及び弁スライダ8の機能を果たす部品は、真鍮又はオーステナイト鋼から製造されていることが好ましい。
【0049】
第1の実施例においては、弁スライダ8の断面部11及び12が、第1の孔15の第1のくり抜き部13及び第2のくり抜き部14と協働して、作業接続部Aからタンク接続部Tへ、又は圧力接続部Pから作業接続部Aへの流体の流れを許可する。
【0050】
第1のくり抜き部13は、第2の孔18を介してタンク接続部Tに接続され、第2のくり抜き部14は、第3の孔19を介して圧力接続部Pに接続されている。
【0051】
磁気アーマチュア20及び弁スライダ8は、圧力調整弁1の中心軸と同軸に方向付けられている軸方向100に沿って移動可能である。第1の孔15は、第1の実施例においては軸方向100に沿って延びており、一方、第2の孔18及び第3の孔19は、第1の孔15に対して角度を有している。第2の孔18は、9.0mmと15.0mmのと間の、特に11.5mmの長さを有している。第3の孔19は、5.0mmと11.0mmとの間の、特に7.5mmの長さを有している。また、第2の孔18は、さらに、第1の孔15に対して10°と30°との間の、特に20°の角度を有している。第3の孔19は、第1の孔15に対して、20°と40°との間の、特に30°の角度を有している。第1の断面部11は、軸方向100に対して直交する方向の孔を有し、2.5mmと5.0mmとの間の、好ましくは3.2mmの流体貫流可能の接続断面を形成している。流体は、作業接続部Aとタンク接続部Tとの間、並びに圧力接続部Pと作業接続部Aとの間を、接続断面を介して流れることができる。上記のような接続断面の形態によって、2.7バールの圧力差において2リットル/分の流量を実現することができる。このような形態によって、圧力調整弁を通る流体の最適な流れを実現し、その際、圧力調整弁内の圧力損失を最適化することができる。
【0052】
磁極コア9は第1の長さL1を有し、磁気アーマチュア20は第2の長さL2を有する。第1の長さL1は、磁極コア9と磁気アーマチュア20との合計長L1+L2の最大60%である。この第2の長さL2によって、磁気アーマチュア20は、電磁石2の磁界に由来する漏れ磁束を大量にとらえることができる。これによって、最大の磁力を発生させることができる。
【0053】
さらに、シール部材7が設けられている。このシール部材7は、単一のシール、特にフラットシールであり、複数の機能を果たしている。一方で、シール部材7は、タンク接続部T、作業接続部A、及び圧力接続部Pの機器6との流体接続部を、互いに対して、及び、周囲に対してシールするために、機器に6に接合するように形成されている。さらに、シール部材7は、磁極コア9と弁ハウジング4との接触領域をシールするために使用される。そのために、磁極コア9には、溝10を形成する面取り部22又は凹部が形成されている。この溝10は、一方において磁極コア9によって確定され、他方において弁ハウジング4によって画定されている。シール部材7は、少なくとも部分的に溝10内に配置されており、これによって、磁極コア9と弁ハウジング4との間の接触領域をシールしている。それによって、弁ハウジング4と磁極コア9との間への流体の侵入が防止される。又は、それによって、弁ハウジング4の内部に特別な防食対策が必要でなくなる。さらに、この方法によって、磁極コア9を単一に形成し、弁ハウジング4に直接、接触させることができる。
【0054】
さらに、作業接続部Aの周囲には、シール部材7を少なくとも部分的に収容するために使用される溝状のシールガイド領域27が設けられている。これによって、シール部材7のずれが困難になる。これは、作業接続部Aには常に変化する圧力が印加されるため、特に有利である。
【0055】
さらに、磁極コア9は、追加のシール23によって、周囲の圧力スリーブ28に対してシールされている。磁極コア9と磁気アーマチュア20との間に配置されたスプリング25は、電磁石2からの磁界が停止したときに、磁気アーマチュア20を、弁スライダ8が作業接続部Aとタンク接続部Tとを接続する初期位置に確実に移動させる。
【0056】
第2の実施例においては、図2に示されるように、圧力調整弁1は、磁極コア9の形態のみが第1の実施例と異なる。第2の実施例においては、第1の孔15、第2の孔18、及び第3の孔19に加えて、第4の孔16及び第5の孔17が設けられている。第1の孔15、第2の孔18及び第3の孔19は、好ましくは互いに平行に、有利には軸方向100に平行に方向付けられている。第4の孔16は、第1の孔15と第2の孔18とを接続する役割を果たし、第5の孔17は、第1の孔15と第3の孔19とを接続する役割を果たす。なお、上記の第1のくり抜き部13及び第2のくり抜き部14は、必ずしも形成されていなくてもよい。好ましくは、第4の孔16及び第5の孔17は、第1の孔15に対して垂直に方向づけられている。
【0057】
磁極コア9から流体が意図せずに漏れるのを防ぐために、第4の孔16及び第5の孔17は、磁極コア9の外周面においてシールされている。好ましくは、このシーリングは、レーザ溶接継手24によってそれぞれ行われる。各レーザ溶接継手24は、好ましくは、磁極コア9の周囲に円周方向に実現され、磁極コア9を圧力スリーブ28に溶接する。それによって、それぞれのレーザ溶接継手24によってシール効果がすでに実現されるため、図2の表記に代えて、追加のシール23を省略することができる。
【0058】
いずれの場合においても、磁極コア9は、軸方向100にフランジ5を超えて突出していない。そのため、機器6に圧力調整弁用の特別な凹部を設けることなく、圧力調整弁1を機器6に直接、接合させることができる。
【0059】
本発明の上記の文章による説明に加えて、補充する開示のために、図1及び図2における本発明の図解を、ここにおいて詳細に参照する。
【符号の説明】
【0060】
1 圧力調整弁
2 電磁石
3 弁部
4 弁ハウジング
5 フランジ
6 機器
7 シール部材
8 弁スライダ
9 磁極コア
10 溝
11 第1の可変断面部
12 第2の可変断面部
13 第1のくり抜き部
14 第2のくり抜き部
15 第1の孔
16 第4の孔
17 第5の孔
18 第2の孔
19 第3の孔
20 磁気アーマチュア
21 弁ハウジングの開口部
22 面取り部
23 追加シール
24 レーザ溶接継手
25 スプリング
26 ジョイントヘッド
27 シールガイド領域
28 圧力スリーブ
A 作業接続部
P 圧力接続部
T タンク接続部
図1
図2