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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】固定機構を備える脛骨トレイ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/38 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
A61F2/38
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022128863
(22)【出願日】2022-08-12
(62)【分割の表示】P 2018089701の分割
【原出願日】2018-05-08
(65)【公開番号】P2022145952
(43)【公開日】2022-10-04
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】15/590,537
(32)【優先日】2017-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516312682
【氏名又は名称】デピュイ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DEPUY IRELAND UNLIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Loughbeg Industrial Estate, Ringaskiddy, County Cork, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エイ・ヘルドレス
(72)【発明者】
【氏名】ダニー・ダブリュ・ランプル・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】アリッサ・エム・ヘインズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ・ボハノン・メイソン
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04938769(US,A)
【文献】特開2011-156360(JP,A)
【文献】特開2009-082713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位側表面、前記遠位側表面に画定された、遠位側に面した開口部、インサートコンポーネントを受容するよう構成された近位側表面、及び、前記遠位側表面と前記近位側表面との間に延在する湾曲外壁を含む、プレートと、
前記プレートの前記遠位側表面から遠位先端へと延在する、細長いステムと、を備える整形外科用プロテーゼコンポーネントであって、
前記プレートは、前記近位側表面と前記遠位側表面との間に配置された中間壁と、前記遠位側に面した開口部から前記中間壁へと内側に延在して遠位側ポケットを画定する内部壁と、を更に含み、
前記プレートは、前記中間壁に複数の内部ポケットを更に含み、前記内部ポケットはそれぞれ、前記中間壁の近位側に配置された底壁と、前記中間壁の開口部と前記底壁との間に延在する縁壁とにより画定されており、前記内部ポケットはそれぞれ、前記中間壁と前記底壁との間に配置された環状チャネルを含み、
前記遠位側表面及び前記中間壁は、3.5マイクロメートル~6.5マイクロメートルの範囲内の表面粗さ(Ra)を有し、
前記縁壁のそれぞれが、協調して前記環状チャネルを画定する凸状の遠位側表面及び凹状の近位側表面を含み、
前記内部ポケットのそれぞれが、前記縁壁の前記凸状の遠位側表面により画定される、前記内部ポケットの前記底壁に対して平行に延在する最も狭い開口部を含み、前記内部ポケットの前記最も狭い開口部は、前記内部ポケットの前記底壁の表面積よりも小さい表面積を有し、
前記凸状の遠位側表面の仮想線が、前記内部ポケットのそれぞれの前記最も狭い開口部の辺縁を画定し、前記辺縁は、ある辺縁長さを有し、かつ、前記内部ポケットの前記最も狭い開口部の表面積を画定し、前記プレートは、前記複数の内部ポケットの前記辺縁長さの合計に等しい全辺縁長さを有し、前記プレートは、前記複数の内部ポケットの前記最も狭い開口部の表面積の合計に等しい全開口部表面積を有し、
前記全辺縁長さの前記全開口部表面積に対する比は0.20より大きい、整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【請求項2】
前記複数の内部ポケットは、前側ポケットと、前記前側ポケットの後側に配置された後側ポケットとを含む、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【請求項3】
前記前側ポケットは複数の前側ポケットのうちの1つであり、前記後側ポケットは複数の後側ポケットのうちの1つである、請求項2に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【請求項4】
前記細長いステムと前記プレートの前記遠位側表面とに接続され、かつ第1の前側ポケットと第1の後側ポケットとの間に配置された、内側キールと、
前記細長いステムと前記プレートの前記遠位側表面とに接続され、かつ第2の前側ポケットと第2の後側ポケットとの間に配置された、外側キールと、
を更に含む、請求項3に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【請求項5】
前記前側ポケットのそれぞれは、前記後側ポケットのそれぞれよりも大きい、請求項3に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【請求項6】
前記底壁のそれぞれの少なくとも一部が、3.5マイクロメートル~6.5マイクロメートルの範囲内の表面粗さ(Ra)を有する、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【請求項7】
前記プレートの前記近位側表面は、前記インサートコンポーネントと係合するように構成されたバットレスを含む、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【請求項8】
前記遠位側ポケットを画定する前記内部壁は、複数の相互接続された湾曲表面を含む、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【請求項9】
前記細長いステムは、3.5マイクロメートル~6.5マイクロメートルの範囲内の表面粗さ(Ra)を有する外表面を含む、請求項1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して整形外科用プロテーゼに関し、特に、膝関節置換手術において使用される整形外科用プロテーゼに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の一生の間において、例えば疾患又は外傷の結果として患者に関節置換術を行う必要が生じ得る。関節置換術では人工インプラントが使用される場合があり、これは、患者の一つ以上の骨に固定される。膝関節置換術の場合、この人工インプラントは、患者の大腿骨の外科的に準備処置が施された遠位端に取り付けられるように構成された大腿骨コンポーネントと、患者の脛骨の外科的に準備処置が施された近位端に取り付けられる脛骨トレイコンポーネントとを含む、アセンブリ又はシステムであり得る。この人工インプラントアセンブリは更に、脛骨トレイコンポーネントに固定されるインサートコンポーネントを含み得る。大腿骨コンポーネントの湾曲表面がこのインサートコンポーネントと係合し、大腿骨コンポーネントと、インサートコンポーネントと、脛骨トレイコンポーネントとの間の相互作用が、結果として得られる患者の膝の関節可動域に影響する。
【0003】
脛骨トレイコンポーネントと大腿骨コンポーネントは典型的に、骨セメントの使用により、それぞれ患者の脛骨及び患者の大腿骨に固定される。脛骨トレイコンポーネントの場合、骨セメントは、脛骨トレイコンポーネントの一部と、患者の脛骨の近位端の外科的に準備処置が施された表面との間に配置される。移植手術中に、特に脛骨トレイの手術中の動きと組み合わせた場合に、脂質と骨髄が手術中に存在すると、インプラント/セメント界面内への脂質及び骨髄の浸潤が生じ得る。この結果、脛骨トレイと骨セメントとの間の固定強度が顕著に低減する場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様により、脛骨トレイを備える整形外科用プロテーゼが開示される。脛骨トレイは、遠位側に面したポケットと、この遠位側に面したポケット内に配置された複数の内部ポケットとを含む。各内部ポケットは、骨セメントを受容するための大きさにされたチャネルを含む。脛骨トレイはまた、約5.0マイクロメートルの表面粗さ(Ra)を有する、遠位側に面した表面を含む。
【0005】
本開示の別の一態様により、整形外科用プロテーゼコンポーネントが開示される。このプロテーゼコンポーネントは、遠位側表面を備えるプレートと、このプレートの遠位側表面から遠位先端へと延在する細長いステムと、を備える。このプレートはまた、遠位側表面に画定された、遠位側に面した開口部と、インサートコンポーネントを受容するよう構成された近位側表面と、遠位側表面と近位側表面との間に延在する湾曲外壁と、を含む。
【0006】
このプレートは、近位側表面と遠位側表面との間に配置された中間壁と、遠位側に面した開口部から中間壁へと内側に延在して遠位側ポケットを画定する内部壁と、を更に含む。このプレートは、中間壁に複数の内部ポケットを更に含み、内部ポケットはそれぞれ、中間壁の近位側に配置された底壁と、中間壁の開口部と底壁との間に延在する縁壁とにより画定されている。内部ポケットはそれぞれ、中間壁と底壁との間に配置された環状チャネルを含む。遠位側表面及び中間壁は、3.5マイクロメートル~6.5マイクロメートルの範囲内の表面粗さ(Ra)を有する。
【0007】
いくつかの実施形態において、複数の内部ポケットは、前側ポケットと、前側ポケットの後側に配置された後側ポケットとを含み得る。加えて、いくつかの実施形態において、前側ポケットは複数の前側ポケットのうちの1つであってよく、後側ポケットは複数の後側ポケットのうちの1つであってよい。いくつかの実施形態において、前側ポケットのそれぞれは、後側ポケットのそれぞれよりも大きくてよい。
【0008】
いくつかの実施形態において、整形外科用プロテーゼコンポーネントは、細長いステムとプレートの遠位側表面とに接続され、かつ第1の前側ポケットと第1の後側ポケットとの間に配置された、内側キールと、細長いステムとプレートの遠位側表面とに接続され、かつ第2の前側ポケットと第2の後側ポケットとの間に配置された、外側キールと、を更に含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、底壁のそれぞれの少なくとも一部が、約5.0マイクロメートルの表面粗さ(Ra)を有し得る。加えて、いくつかの実施形態において、底壁のそれぞれの少なくとも一部が、3.5マイクロメートル~6.5マイクロメートルの範囲内の表面粗さ(Ra)を有し得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、縁壁のそれぞれが、協調して環状チャネルを画定する凸状の遠位側表面及び凹状の近位側表面を含み得る。加えて、いくつかの実施形態において、内部ポケットのそれぞれが、縁壁の凸状の遠位側表面により画定される、内部ポケットの底壁に対して平行に延在する最も狭い開口部を含み得、内部ポケットの最も狭い開口部は、内部ポケットの底壁の表面積よりも小さい表面積を有し得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、凸状の遠位側表面の仮想線が、各内部ポケットの最も狭い開口部の辺縁を画定する。辺縁は、ある辺縁長さを有し、かつ内部ポケットの最も狭い開口部の表面積を画定し得る。このプレートは、複数の内部ポケットの辺縁長さの合計に等しい全辺縁長さを有してよく、このプレートは、複数の内部ポケットの最も狭い開口部の表面積の合計に等しい全開口部表面積を有してよい。全辺縁長さの全開口部表面積に対する比は0.20より大きくてよい。いくつかの実施形態において、全辺縁長さの全内部開口部表面積に対する比が0.31~0.46の範囲内であり得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、プレートの近位側表面は、インサートコンポーネントと係合するよう構成されたバットレスを含み得る。
【0013】
加えて、いくつかの実施形態において、遠位側ポケットを画定する内部壁は、複数の相互接続された湾曲表面を含み得る。いくつかの実施形態において、細長いステムは、3.5マイクロメートル~6.5マイクロメートルの範囲内の表面粗さ(Ra)を有する外表面を含み得る。
【0014】
別の一態様により、整形外科用プロテーゼは、遠位側表面を含む脛骨トレイを備え、その遠位側表面内に開口部が画定されている。脛骨トレイは、開口部から中間壁へと内側に延在して脛骨トレイ内に第1のポケットを画定する内部壁を含む。中間壁は複数の第2の開口部を含み、縁壁は、第2の開口部のそれぞれから底壁へと内側に延在して脛骨トレイ内に複数の内部ポケットを画定する。内部ポケットのそれぞれは、中央陥凹部と、アンダーカット形状チャネルとを含む。遠位側表面及び中間壁は3.5マイクロメートル以上の表面粗さ(Ra)を有する。
【0015】
いくつかの実施形態において、この整形外科用プロテーゼは、大腿骨コンポーネントの対応する凸状の湾曲表面と共に関節をなすよう構成された、一対の凹状の湾曲表面を有するインサートコンポーネントを更に備え得る。脛骨トレイは、インサートコンポーネントに係合するよう構成された近位バットレスを含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、脛骨トレイは、細長いステムと、遠位側表面から延出する一対のキールとを含み得る。加えて、いくつかの実施形態において、一対のキールのうちの第1のキールは、複数の内部ポケットのうち第1の前側内部ポケットと第1の後側内部ポケットとの間に配置されてよく、一対のキールの第2のキールは、複数の内部ポケットのうち第2の前側内部ポケットと第2の後側内部ポケットとの間に配置されてよい。いくつかの実施形態において、第1の前側内部ポケット及び第2の前側内部ポケットはそれぞれ、第1及び第2の後側内部ポケットのいずれかよりも大きくてよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、縁壁のそれぞれは、協調してアンダーカット形状チャネルを画定する凸状の遠位側表面及び凹状の近位側表面を含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、遠位側表面及び中間壁は約5.0マイクロメートルの表面粗さ(Ra)を有し得る。加えて、いくつかの実施形態において、この遠位側表面及び中間壁は6.5マイクロメートル未満の表面粗さ(Ra)を有し得る。
【0019】
別の一態様により、整形外科用プロテーゼコンポーネントは、遠位側表面を備える脛骨トレイを含み、遠位側表面に開口部が画定されている。脛骨トレイは、開口部から第2の壁へと内側に延在して、脛骨トレイに第1のポケットを画定する、第1の壁を含む。この第2の壁は複数の第2の開口部を含み、第3の壁が、第2の開口部のそれぞれから第4の壁へと内側に延在して、脛骨トレイに複数の内部ポケットを画定する。内部ポケットのそれぞれは、アンダーカット形状チャネルを含む。遠位側表面及び第2の壁は、3.5マイクロメートル以上の表面粗さ(Ra)を有する。いくつかの実施形態において、遠位側表面及び第2の壁は、約5.0マイクロメートルの表面粗さ(Ra)を有し得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、第4の壁のそれぞれの少なくとも一部は、3.5マイクロメートル以上の表面粗さ(Ra)を有し得る。加えて、いくつかの実施形態において、第4の壁のそれぞれは、約5.0マイクロメートルに等しい表面粗さ(Ra)を有し得る。いくつかの実施形態において、第4の壁のそれぞれは、6.5マイクロメートル以下の表面粗さ(Ra)を有し得る。
【0021】
加えて、いくつかの実施形態において、第3の壁のそれぞれは、協調してアンダーカット形状チャネルを画定する凸状の遠位側表面及び凹状の近位側表面を含み得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、内部ポケットはそれぞれ、第3の壁の仮想線により画定された内側辺縁を有してよく、内側辺縁はある辺縁長さを有し得る。プレートは、複数の内部ポケットの辺縁長さの合計に等しい全辺縁長さを有してよく、プレートは、複数の内部ポケットの最も狭い開口部の表面積の合計に等しい全開口部表面積を有してよい。この全辺縁長さの全開口部表面積に対する比は、0.20より大きく、かつ0.46より小さくてよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
詳細な説明では、特に次の図面を参照する。
図1】整形外科用プロテーゼの斜視図である。
図2図1の整形外科用プロテーゼの脛骨トレイコンポーネントの遠位斜視図である。
図3図1図2の脛骨トレイコンポーネントの遠位平面図であり、見やすくするために表面処理が除去されている。
図4図3の線4-4に沿った、図1図3の脛骨トレイコンポーネントの部分的立断面図であり、遠位側表面が図の下辺側を向くように配向されている図である。
図5】外科的に準備処置が施された患者の脛骨内に移植するように配置された、図1図4の脛骨トレイコンポーネントを示す斜視図である。
図6】外科的に準備処置が施された患者の脛骨の上に配置されたときの、脛骨トレイコンポーネントの部分的立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の概念には様々な改変及び代替的形態が考えられるが、その特定の例示的な実施形態を図面に例として示し、本明細書において詳細に述べる。しかしながら、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲において定義される発明の趣旨及び範囲に包含されるすべての改変、等価物、並びに代替物を網羅することを意図するものであることを理解されたい。
【0025】
解剖学的基準を表す、前、後、内側、外側、上、下などの用語は、本明細書全体を通じて、本明細書において述べられる整形外科用インプラント又はプロテーゼ及び整形外科用手術器具に関して、並びに患者の自然の解剖学的構造に関して使用されてよい。これらの用語は、解剖学の研究及び整形外科学の分野のいずれにおいても広く理解された意味を有するものである。本明細書及び特許請求の範囲におけるこれらの解剖学的基準を表す用語の使用は、特に断らない限り、それらの十分に理解されている意味と一貫性を有するものとする。
【0026】
ここで図1を参照すると、固定軸受膝プロテーゼ10が示されている。膝プロテーゼ10は、大腿骨コンポーネント12、脛骨トレイコンポーネント14、及びインサートコンポーネント16を含む。脛骨トレイ14は、プレート又はプラットフォーム18と、プラットフォーム18の遠位側表面22から延出する細長いステム20と、を含む。内側キール26及び外側キール24は、プラットフォーム18の遠位側表面22に取り付けられており、細長いステム20の一部に沿って延在する。細長い脛骨ステム20及びキール24、26は、患者の脛骨150の外科的に準備処置が施された近位側表面152内に移植されるように構成されている(図5を参照)。1つ以上の短いペグ又は柱等の他の固定部材が、細長いステム20の代わりに使用し得ることが理解されよう。図示の実施形態において、細長いステムは、3.5マイクロメートル~6.5マイクロメートルの範囲内の表面粗さ(Ra)を有する外表面を含む。
【0027】
インサートコンポーネント16は、スナップ嵌めにより脛骨トレイ14に固定可能である。かかる方法によって、インサート16は、脛骨トレイ14に対して固定される(すなわち、前方/後方又は内側/外側方向に回転可能又は移動可能ではない)。インサート16は、外側ベアリング表面30及び内側ベアリング表面32を含む。ベアリング表面30、32は凹状であり、大腿骨コンポーネント12の凸状湾曲外側顆表面34及び凸状湾曲内側顆表面36とそれぞれ関節をなすように湾曲している。
【0028】
大腿骨コンポーネント12は、患者の大腿骨の外科的に準備処置が施された末端部(図示せず)に移植されるように構成されており、患者の自然の大腿骨顆の形態を模して構成されている。このため、外側顆表面34及び内側顆表面36は、自然の大腿骨の関節顆を模すように構成されている(例えば、湾曲している)。外側顆表面34及び内側顆表面36は互いに離間しており、それによって、それらの間に顆間切痕を画定する。
【0029】
大腿骨コンポーネント12及び脛骨トレイ14等の、膝プロテーゼ10の自然の骨に係合するコンポーネントは、コバルトクロム合金等の生体適合性金属で構成され得るが、他の材料も使用し得る。これらのコンポーネントの骨係合面は、下記に詳しく述べるように、コンポーネントを骨にセメント接合するのを容易にするように、非平滑化されてもよい。かかる表面は多孔質コーティングされて、永久的な固定を行うために骨の内部成長が促進されてよい。
【0030】
インサート16は、軸受16と大腿骨コンポーネント12との間の円滑な関節を可能にする、高分子材料等の材料で構成され得る。こうした高分子材料の1つに、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などのポリエチレンがある。
【0031】
図1に示すように、脛骨トレイ14は、遠位側表面22に対向して配置される近位側表面40と、表面22、40の間に延在する湾曲外壁42とを含む。近位側表面40はインサート16を受容するよう構成されており、かつ、図示の実施形態において、インサート16のタブ又はフランジ(図示なし)と係合するよう構成されたバットレス44、46を含む。図1に示すように、バットレス44は一対のアーム50、52を有し、これらは脛骨トレイのプラットフォーム18の外周部の後方部分に沿って延在する。アーム50、52はそれぞれ、インサート16のタブのうち1つを受容するアンダーカット54を含む。バットレス44の第3のアーム56は、外側アーム50及び内側アーム52の交点から前方に(即ち、プラットフォーム18の中心に向かう方向に)延出する。
【0032】
次に図2を参照すると、脛骨トレイ14は遠位側表面22に遠位側ポケット60を含む。図示の実施形態において、ポケット60はキール24、26及び細長いステム20の周りに延在し、これにより、1つの前方部分62及び2つの後方部分64を有する。他の実施形態では、ポケット60は複数の遠位側ポケットに分割できることが理解されよう。ポケット60は、遠位側表面22に画定される遠位側に面した開口部66を有する。内部壁70は、開口部66から脛骨トレイの中間壁72へと内側に(又は近位側に)延在して、ポケット60を画定する。内部壁70は、相互に接続されかつポケット60を取り囲む複数の湾曲表面を含む。
【0033】
図示の実施形態において、中間壁72は、トレイ14の遠位側表面22に対して平行に延在する、遠位側に面した表面74を含む。表面22、74はそれぞれ、実質的に平坦な表面である。本明細書で使用されるとき、用語「実質的に平坦」とは、典型的な製造プロセスで達成可能な許容度内で平らである特徴を記述するものであることが理解されよう。表面22、74もそれぞれ、3.5マイクロメートル~6.5マイクロメートルの範囲内の表面粗さ(Ra)を有する。他の実施形態において、表面粗さ(Ra)は、3.5マイクロメートル以上、かつ6.5マイクロメートル以下であり得る。更に他の実施形態において、表面粗さは約5マイクロメートルであり得る。本明細書で使用されるとき、用語「約」とは、典型的な製造プロセスで達成可能な許容度内にある測定値を指すものであることが理解されよう。例えば、表面粗さ(Ra)の場合、典型的な製造許容度は1.5マイクロメートルであり得る。
【0034】
図2に示すように、脛骨トレイ14は複数の内部ポケット80を含み、これらは中間壁72内にて画定されている。ポケット80はそれぞれ遠位側ポケット60に流体連通されており、これにより、下記で詳しく述べるように、移植中に骨セメントがポケット60、80内に入ることができる。ポケット80はそれぞれ、中間壁72に画定された、遠位側に面した開口部82を有する。縁壁84は、下記で詳しく述べるように、開口部82から底壁86へと内側に(又は近位側に)延在して、ポケット80をそれぞれ画定する。底壁86は実質的に平坦であり、図示の実施形態において、遠位側表面22及び中間壁72に対して平行に延在している。
【0035】
図3に示すように、内部ポケット80は、一対の前側ポケット90、92(これらはそれぞれキール24、26の前側に配置される)と一対の後側ポケット94、96(これらはそれぞれキール24、26の後側、よってすなわちそれぞれポケット90、92の後側に配置される)とを含む。図3に示すように、前側ポケット90の構成は、前側ポケット92の構成の鏡像になっている。同様に、後側ポケット94の構成は、後側ポケット96の鏡像になっている。図示の実施形態において、前側ポケット90、92は後側ポケット94、96よりも大きい。他の実施形態において、ポケットの構成は、特に、ステム20、キール26、24、及びプラットフォーム18の位置及び形状に依存して異なり得ることが理解されよう。
【0036】
図示の実施形態において、内部ポケット80はそれぞれ、中央陥凹部100と、陥凹部100の外周部104(図4を参照)の周りに延在する環状アンダーカット又はチャネル102(図3に破線で示す)とを有する。中央陥凹部100を画定するポケット80それぞれの底壁86の一部は、3.5マイクロメートル~6.5マイクロメートルの範囲内の表面粗さ(Ra)を有する。他の実施形態において、表面粗さ(Ra)は、3.5マイクロメートル以上、かつ約6.5マイクロメートル未満であり得る。ポケット80それぞれの底壁86及び縁壁84の他の部分もまた、3.5マイクロメートル~6.5マイクロメートルの範囲内の表面粗さ(Ra)を有し得ることが理解されよう。
【0037】
上述のように、脛骨トレイの遠位側ポケット60は、プラットフォーム18の遠位側表面22に画定された、遠位側に面した開口部66を有する。図4に示すように、内部壁70は、開口部66から中間壁72へと内側に(又は近位側に)延在して、ポケット60を画定する。内部ポケット80はそれぞれ、中間壁72に画定された、遠位側に面した開口部82を有する。ポケット80それぞれの縁壁84は、開口部82から底壁86へと内側に(又は近位側に)延在する。
【0038】
図示の実施形態において、ポケット80それぞれの縁壁84は、開口部82から内側に延在する凸状の表面110を含む。縁壁84はまた、凸状の表面110及び底壁86に接続されている凹状の表面112を含む。図4に示すように、凸状の表面110は、脛骨トレイ14を遠位側表面22に対して垂直に伸びる切断面で見たときに、直線に沿って延在する遠位側部分114を含む。遠位側部分114は、辺縁118で湾曲表面部分116に接続されている。
【0039】
湾曲表面部分116は、図示の実施形態において、一定の曲率半径R1を有する。曲率半径R1は約0.15ミリメートルに等しいが、他の実施形態において、増減してもよい。更に他の実施形態において、曲率半径は変動し得る。下記で詳しく述べるように、縁壁84それぞれの湾曲表面部分116は、その内部ポケット80の最も内側の辺縁122(図4に破線で示す)を画定する。湾曲表面部分116は、辺縁120で縁壁84の近位側部分124に接続されている。
【0040】
図4に示すように、近位側縁壁部分124は、脛骨トレイ14を遠位側表面22に対して垂直に伸びる切断面で見たときに、直線に沿って延在する。縁壁部分124は別の辺縁126に向かって近位側に延在し、この辺縁で、縁壁84の凹状の表面112に接続されている。凹状の表面112は、辺縁128でポケット80それぞれの底壁86に接続されている。図示の実施形態において、底壁86の湾曲表面部分116、近位側縁壁部分124、凹状の表面112、及び外側部分130は、協調して、ポケット80のそれぞれのアンダーカット形状チャネル102を画定する。アンダーカット形状チャネル102は、移植中に骨セメントを受容するような大きさにされ、これにより、脛骨トレイ14と骨セメントとの間の連結を形成して、患者の脛骨への脛骨トレイ14の固定を支援する。
【0041】
図示の実施形態において、凹状の表面112は一定の曲率半径R2を有する。曲率半径R2は約0.25ミリメートルであるが、他の実施形態において、増減してもよい。更に他の実施形態において、曲率半径は変動し得る。図4の断面図に示すように、角αは、遠位側縁壁部分114と、遠位側表面22に平行に延在する仮想面134との間に画定される。図示の実施形態において、角αは約60度に等しい。他の実施形態において、角αは約45度であり得ることが理解されよう。角βは、近位側縁壁部分124と面134との間に画定される。図示の実施形態において、角βは約45度に等しい。加えて、図示の実施形態において、湾曲表面部分116は、辺縁118、120の間で約75度の弧に沿って延在する。
【0042】
上述のように、縁壁84それぞれの湾曲表面部分116は、その内部ポケット80の最も内側の辺縁122を含む。図示の実施形態において、最も内側の辺縁122は、湾曲表面部分116の弧に沿って約60度に配置され、曲率半径R1の中心140を通って延在する面134内にある。最も内側の辺縁122は、内部ポケット80それぞれの最も狭い開口部142の辺縁を画定し、内部ポケットのそれぞれは、図示の実施形態において、中央陥凹部100の外周部104を含む。各辺縁122は、陥凹部100の外側外周部の周りのある長さ144にわたって延在し、各開口部142の表面積146を画定する。下記の表1~表2は、一実施形態におけるポケット90、92、94、96の長さ144及び表面積146を示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
図示の実施形態において、すべての長さ144の合計は114.94mmに等しく、すべての表面積146の合計は251.84mmに等しい。すべての長さ144の合計の、全表面積146に対する比は、0.46に等しい。他の実施形態において、この比は0.20より大きくてもよい。更に他の実施形態において、この比は0.31~0.46の範囲内であってもよい。この比は、内部ポケット80の縁壁84の下に捕捉される骨セメントの剪断強度と、内部ポケット80の最も狭い開口部82に形成されるセメントの「島」の引張強度との間のバランスに影響することが見出された。例えば、この比が大きすぎる場合(例えば、面積の合計が、長さ144の合計よりわずかに大きいだけである場合)、縁壁84の下に骨セメントを捕捉することによって適用される連結固定の効果は、最も狭い開口部82に形成される骨セメントの「島」に対する面積/骨固定面積が小さくなることによって、制限されることになる。この比が小さすぎる場合(例えば、面積の合計が、長さ144の合計よりもはるかに大きい場合)、縁壁84との連結固定の潜在能力が得られない可能性がある。
【0046】
上述のように、ポケット80それぞれの底壁86は辺縁128を有し、ここで縁壁84に接続されている。底壁86は、辺縁128内に画定された表面積を有し、これは、ポケット80の最も狭い開口部142の表面積146よりも大きい。図示の実施形態において、辺縁128内に画定された表面積は約261.65mmである。他の実施形態において、これは261.65mm~1670.00mmの範囲内であり得る。
【0047】
次に図5を参照すると、脛骨トレイ14は、患者の脛骨150内への移植のために配置されて示されている。外科的処置中に、整形外科医は1つ以上の器具を使用して、脛骨トレイ14のプラットフォーム18を受容するための、外科的に準備処置が施された近位側表面152を画定することができる。整形外科医はまた、脛骨トレイの細長いステム20及びキール24、26を受容するような大きさにされた近位側穴154を画定する。表面152の準備処置を行った後、外科医は、骨セメントの層156を表面152に適用してから、図5に示すように脛骨トレイ14を配置することができる。加えて、図示の実施形態において、脛骨トレイ14の近位側表面は、移植中に嵌合機構を保護するための保護コーティング158で覆われている。
【0048】
トレイ14が図5に示すように配置されることで、外科医はトレイ14を遠位側に前進させて、ステム20及びキール24、26を近位側穴154内に挿入することができる。プラットフォーム18は前進されてセメント層156に接触し、このセメントは、脛骨トレイ14のポケット60、80内へと上向き又は近位側に移動する。図6に示すように、トレイ14が静置され、セメント160がポケット60、80(アンダーカット形状チャネル102を含む)を満たし、これによって、トレイ14とセメント160との間の連結、及び、ポケット80の最も狭い開口部82に骨セメントの「島」が形成される。加えて、遠位側表面22、中間壁72、及び底壁86の表面粗さは、予想外に、手術中の脂質/骨髄の浸潤を妨げることが示され、これによって、脛骨トレイ14とセメント160との間の初期固定の強化がもたらされる。
【0049】
図面及び上記の説明において本開示を詳細に例証及び説明してきたが、このような例証及び説明は、その性質上、あくまで例示的なものであって限定的なものとは見なすべきではなく、あくまで代表的な実施形態を示しかつ説明してきたのにすぎず、本開示の趣旨の範囲内に含まれるすべての変更及び改変は保護されることが望ましいことが理解される。
【0050】
本開示は、本明細書において述べた方法、装置、及びシステムの様々な特徴に基づく複数の利点を有するものである。本開示の方法、装置、及びシステムの代替的実施形態は、ここで述べた特徴のすべてを含むわけではないが、こうした特徴の利点の少なくとも一部から利益を享受するものであることに留意されよう。当業者であれば、本発明の1つ以上の特徴を取り入れた、添付の特許請求の範囲において定義される本開示の趣旨及び範囲に包含される方法、装置、及びシステムを独自に容易に実施することが可能である。
【0051】
〔実施の態様〕
(1) 遠位側表面、前記遠位側表面に画定された、遠位側に面した開口部、インサートコンポーネントを受容するよう構成された近位側表面、及び、前記遠位側表面と前記近位側表面との間に延在する湾曲外壁を含む、プレートと、
前記プレートの前記遠位側表面から遠位先端へと延在する、細長いステムと、を備える整形外科用プロテーゼコンポーネントであって、
前記プレートは、前記近位側表面と前記遠位側表面との間に配置された中間壁と、前記遠位側に面した開口部から前記中間壁へと内側に延在して遠位側ポケットを画定する内部壁と、を更に含み、
前記プレートは、前記中間壁に複数の内部ポケットを更に含み、前記内部ポケットはそれぞれ、前記中間壁の近位側に配置された底壁と、前記中間壁の開口部と前記底壁との間に延在する縁壁とにより画定されており、前記内部ポケットはそれぞれ、前記中間壁と前記底壁との間に配置された環状チャネルを含み、
前記遠位側表面及び前記中間壁は、3.5マイクロメートル~6.5マイクロメートルの範囲内の表面粗さ(Ra)を有する、整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(2) 前記複数の内部ポケットは、前側ポケットと、前記前側ポケットの後側に配置された後側ポケットとを含む、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(3) 前記前側ポケットは複数の前側ポケットのうちの1つであり、前記後側ポケットは複数の後側ポケットのうちの1つである、実施態様2に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(4) 前記細長いステムと前記プレートの前記遠位側表面とに接続され、かつ第1の前側ポケットと第1の後側ポケットとの間に配置された、内側キールと、
前記細長いステムと前記プレートの前記遠位側表面とに接続され、かつ第2の前側ポケットと第2の後側ポケットとの間に配置された、外側キールと、
を更に含む、実施態様3に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(5) 前記前側ポケットのそれぞれは、前記後側ポケットのそれぞれよりも大きい、実施態様3に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【0052】
(6) 前記底壁のそれぞれの少なくとも一部が、3.5マイクロメートル~6.5マイクロメートルの範囲内の表面粗さ(Ra)を有する、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(7) 前記縁壁のそれぞれが、協調して前記環状チャネルを画定する凸状の遠位側表面及び凹状の近位側表面を含む、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(8) 前記内部ポケットのそれぞれが、
前記縁壁の前記凸状の遠位側表面により画定される、前記内部ポケットの前記底壁に対して平行に延在する最も狭い開口部を含み、
前記内部ポケットの前記最も狭い開口部は、前記内部ポケットの前記底壁の表面積よりも小さい表面積を有する、実施態様7に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(9) 前記凸状の遠位側表面の仮想線が、前記内部ポケットのそれぞれの前記最も狭い開口部の辺縁を画定し、前記辺縁は、ある辺縁長さを有し、かつ、前記内部ポケットの前記最も狭い開口部の表面積を画定し、
前記プレートは、前記複数の内部ポケットの前記辺縁長さの合計に等しい全辺縁長さを有し、前記プレートは、前記複数の内部ポケットの前記最も狭い開口部の表面積の合計に等しい全開口部表面積を有し、
前記全辺縁長さの前記全開口部表面積に対する比は0.20より大きい、実施態様8に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(10) 前記全辺縁長さの前記全内部開口部表面積に対する前記比が0.31~0.46の範囲内である、実施態様9に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
【0053】
(11) 前記プレートの前記近位側表面は、前記インサートコンポーネントと係合するように構成されたバットレスを含む、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(12) 前記遠位側ポケットを画定する前記内部壁は、複数の相互接続された湾曲表面を含む、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(13) 前記細長いステムは、3.5マイクロメートル~6.5マイクロメートルの範囲内の表面粗さ(Ra)を有する外表面を含む、実施態様1に記載の整形外科用プロテーゼコンポーネント。
(14) 遠位側表面を含む脛骨トレイを備え、前記遠位側表面内に開口部が画定されている、整形外科用プロテーゼであって、
前記脛骨トレイは、前記開口部から中間壁へと内側に延在して前記脛骨トレイ内に第1のポケットを画定する内部壁を含み、
前記中間壁は複数の第2の開口部を含み、縁壁は、前記第2の開口部のそれぞれから底壁へと内側に延在して前記脛骨トレイ内に複数の内部ポケットを画定し、前記内部ポケットのそれぞれは、中央陥凹部と、アンダーカット形状チャネルとを含み、
前記遠位側表面及び前記中間壁は3.5マイクロメートル以上の表面粗さ(Ra)を有する、整形外科用プロテーゼ。
(15) 大腿骨コンポーネントの対応する凸状の湾曲表面と共に関節をなすよう構成された、一対の凹状の湾曲表面を有するインサートコンポーネントを更に備え、
前記脛骨トレイは、前記インサートコンポーネントに係合するよう構成された近位バットレスを含む、実施態様14に記載の整形外科用プロテーゼ。
【0054】
(16) 前記脛骨トレイは、細長いステムと、前記遠位側表面から延出する一対のキールとを含む、実施態様14に記載の整形外科用プロテーゼ。
(17) 前記一対のキールのうちの第1のキールは、前記複数の内部ポケットのうち第1の前側内部ポケットと第1の後側内部ポケットとの間に配置され、かつ
前記一対のキールの第2のキールは、前記複数の内部ポケットのうち第2の前側内部ポケットと第2の後側内部ポケットとの間に配置されている、実施態様16に記載の整形外科用プロテーゼ。
(18) 前記第1の前側内部ポケット及び前記第2の前側内部ポケットはそれぞれ、前記第1及び第2の後側内部ポケットのいずれかよりも大きい、実施態様17に記載の整形外科用プロテーゼ。
(19) 前記底壁のそれぞれの少なくとも一部は3.5マイクロメートル以上の表面粗さ(Ra)を有する、実施態様14に記載の整形外科用プロテーゼ。
(20) 前記縁壁のそれぞれは、協調して前記アンダーカット形状チャネルを画定する凸状の遠位側表面及び凹状の近位側表面を含む、実施態様14に記載の整形外科用プロテーゼ。
【0055】
(21) 前記内部ポケットはそれぞれ、その縁壁の仮想線により画定された内側辺縁を有し、前記内側辺縁はある辺縁長さを有し、
前記プレートは、前記複数の内部ポケットの前記辺縁長さの合計に等しい全辺縁長さを有し、前記プレートは、前記複数の内部ポケットの前記最も狭い開口部の表面積の合計に等しい全開口部表面積を有し、
前記全辺縁長さの前記全開口部表面積に対する比は0.20より大きい、実施態様14に記載の整形外科用プロテーゼ。
(22) 前記全辺縁長さの前記全開口部表面積に対する前記比が0.31~0.46の範囲内である、実施態様21に記載の整形外科用プロテーゼ。
(23) 前記遠位側表面及び前記中間壁は6.5マイクロメートル以下の表面粗さ(Ra)を有する、実施態様14に記載の整形外科用プロテーゼ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6