(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】振動機能を備えた発声装置
(51)【国際特許分類】
H04R 9/06 20060101AFI20231002BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20231002BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20231002BHJP
H04R 9/00 20060101ALI20231002BHJP
【FI】
H04R9/06 Z
H04R1/00 310G
H04R1/02 105B
H04R9/00 C
(21)【出願番号】P 2022199663
(22)【出願日】2022-12-14
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】202220794463.X
(32)【優先日】2022-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(73)【特許権者】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】金▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】肖波
(72)【発明者】
【氏名】令狐栄林
(72)【発明者】
【氏名】張帆
(72)【発明者】
【氏名】宋威
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113794972(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/00- 3/04
G10K 9/12- 9/22
H04R 1/00- 1/08
H04R 1/12- 1/14
H04R 1/42- 1/46
H04R 9/00
H04R 9/02- 9/10
H04R 9/18
H04R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動機能を備えた発声装置であって、
ハウジングと、前記ハウジング内に収容される発声単体とを備え、
前記発声単体は、振動部材と、前記振動部材を第1方向に沿って振動発声させるように駆動する磁気回路部材とを含み、
前記振動部材は、第1リングおよび前記第1リングの内側に固定される振動膜を含み、
前記磁気回路部材は、主磁鋼と、前記主磁鋼から間隔をおいて磁気ギャップを形成する副磁鋼とを含み、
前記
振動機能を備えた発声装置は、前記ハウジングに固定されて前記発声単体を前記ハウジング内に懸架する弾性部材と、前記ハウジングに固定されて前記第1リングに周設される第2リングと、前記第1リングおよび前記第2リングの間に連接される柔軟性封止膜と、前記ハウジングに固定されて前記発声単体を第2方向に沿って振動させるように駆動する駆動コイルとをさらに備え、
前記第2方向は前記第1方向と垂直であり、
前記駆動コイルは、第1側面と、前記第1側面と対向する第2側面とを含み、
前記第1方向において、前記第1側面は前記主磁鋼と間隔をおいて対向し、前記第2側面は前記副磁鋼と間隔をおいて対向し、前記振動膜、前記第1リング、前記柔軟性封止膜および前記第2リングは一体的に形成されることを特徴とする、
振動機能を備えた発声装置。
【請求項2】
前記発声単体は、前記振動部材および前記磁気回路部材を収容する筐体をさらに含み、前記筐体は、前記発声単体の長軸方向に延びる第1固定壁と、前記発声単体の短軸方向に延びる第2固定壁とを含み、前記第1固定壁は、前記第1リングの外側に固定され、前記第2固定壁は、前記第1リングの内側に固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の
振動機能を備えた発声装置。
【請求項3】
前記磁気回路部材は、前記主磁鋼と前記副磁鋼とを固定的に連接する底板と、前記主磁鋼に取り付けられる主磁極コアと、前記副磁鋼に取り付けられる環形副磁極コアとをさらに含み、前記環形副磁極コアは、前記第1固定壁に延びる延長壁を有し、前記第1固定壁は、前記磁気回路部材に屈曲して延びる第1フランジを含み、前記第1フランジは、前記延長壁に連結される、
ことを特徴とする請求項2に記載の
振動機能を備えた発声装置。
【請求項4】
前記振動部材は、前記振動膜と間隔をおいて対向する弾性支持部材と、前記振動膜と前記弾性支持部材との間に連接された骨格と、前記骨格に固定されたボイスコイルとをさらに含み、前記ボイスコイルは、前記磁気ギャップ内に懸架され、前記第1固定壁には、前記振動部材に屈曲して延びる第2フランジが設けられ、前記弾性支持部材は、前記第2フランジに連結される、
ことを特徴とする請求項3に記載の
振動機能を備えた発声装置。
【請求項5】
前記
筐体には、前記第1方向に凹んで形成される第1凹部と、前記第2方向に凹んで形成される第2凹部とが設けられ、前記駆動コイルは、少なくとも一部が前記第1凹部に収容され、前記弾性部材は、少なくとも一部が前記第2凹部に収容される、
ことを特徴とする請求項2に記載の
振動機能を備えた発声装置。
【請求項6】
前記主磁鋼の前記駆動コイルの端部に向かう極性は、前記副磁鋼の前記駆動コイルの端部に向かう極性とは逆である、
ことを特徴とする請求項1に記載の
振動機能を備えた発声装置。
【請求項7】
前記第1方向において、前記駆動コイルの巻線孔は、前記磁気ギャップと正対して設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の
振動機能を備えた発声装置。
【請求項8】
前記発声単体は、前記主磁鋼および前記副磁鋼のそれぞれの前記駆動コイルの一側に向けて貼り付けられた通気性アイソレータをさらに含み、前記通気性アイソレータは、前記磁気ギャップを覆う、
ことを特徴とする請求項3に記載の
振動機能を備えた発声装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の技術分野に関し、特に多機能発声装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子技術の発展に伴い、スマートフォン、携帯型ゲーム機、タブレット端末など、携帯型の家電製品が求められるようになってきた。これらの電子機器は、一般に音声の再生や振動の感知を通じてユーザとインターフェースが実現される。
【0003】
従来技術では、電子機器の音声の再生および振動の感知は、それぞれスピーカやモータを介して行われ、ここでスピーカやモータは独立のデバイスである。デバイスの数が増えれば増えるほど、電子機器の組み立てに不利になるとともに、電子機器のより多くの内部スペースを占有する必要がある。
【0004】
従って、上記技術的課題を解決するため、新たな多機能発声装置を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記技術的課題を解決し、音声の再生と振動の感知という二つの機能を実現することが可能である多機能発声装置を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、多機能発声装置を提供する。この多機能発声装置は、ハウジングと、前記ハウジング内に収容される発声単体とを備え、前記発声単体は、振動部材と、前記振動部材を第1方向に沿って振動発声させるように駆動する磁気回路部材とを含み、前記振動部材は、第1リングおよび前記第1リングの内側に固定される振動膜を含み、前記磁気回路部材は、主磁鋼と、前記主磁鋼から間隔をおいて磁気ギャップを形成する副磁鋼とを含み、前記多機能発声装置は、前記ハウジングに固定されて前記発声単体を前記ハウジング内に懸架する弾性部材と、前記ハウジングに固定されて前記第1リングに周設される第2リングと、前記第1リングおよび前記第2リングの間に連接される柔軟性封止膜と、前記ハウジングに固定されて前記発声単体を第2方向に沿って振動させるように駆動する駆動コイルとをさらに備え、前記第2方向は前記第1方向と垂直であり、前記駆動コイルは、第1側面と、前記第1側面と対向する第2側面とを含み、前記第1方向において、前記第1側面は前記主磁鋼と間隔をおいて対向し、前記第2側面は前記副磁鋼と間隔をおいて対向し、ここで、前記振動膜、前記第1リング、前記柔軟性封止膜および前記第2リングは一体的に形成される。
【0007】
好ましくは、前記発声単体は、前記振動部材および前記磁気回路部材を収容する筐体をさらに含み、前記筐体は、前記発声単体の長軸方向に延びる第1固定壁と、前記発声単体の短軸方向に延びる第2固定壁とを含み、前記第1固定壁は、前記第1リングの外側に固定され、前記第2固定壁は、前記第1リングの内側に固定される。
【0008】
好ましくは、前記磁気回路部材は、前記主磁鋼と前記副磁鋼とを固定的に連接する底板と、前記主磁鋼に取り付けられる主磁極コアと、前記副磁鋼に取り付けられる環形副磁極コアとをさらに含み、前記環形副磁極コアは、前記第1固定壁に延びる延長壁を有し、前記第1固定壁は、前記磁気回路部材に屈曲して延びる第1フランジを含み、前記第1フランジは、前記延長壁に連結される。
【0009】
好ましくは、前記振動部材は、前記振動膜と間隔をおいて対向する弾性支持部材と、前記振動膜と前記弾性支持部材との間に連接された骨格と、前記骨格に固定されたボイスコイルとをさらに含み、前記ボイスコイルは、前記磁気ギャップ内に懸架され、前記第1固定壁には、前記振動部材に屈曲して延びる第2フランジが設けられ、前記弾性支持部材は、前記第2フランジに連結される。
【0010】
好ましくは、前記ハウジングには、前記第1方向に凹んで形成される第1凹部と、前記第2方向に凹んで形成される第2凹部とが設けられ、前記駆動コイルは、少なくとも一部が前記第1凹部に収容され、前記弾性部材は、少なくとも一部が前記第2凹部に収容される。
【0011】
好ましくは、前記主磁鋼の前記駆動コイルの端部に向かう極性は、前記副磁鋼の前記駆動コイルの端部に向かう極性とは逆である。
【0012】
好ましくは、前記第1方向において、前記駆動コイルの巻線孔は、前記磁気ギャップと正対して設けられる。
【0013】
好ましくは、前記発声単体は、前記主磁鋼および前記副磁鋼のそれぞれの前記駆動コイルの一側に向けて貼り付けられた通気性アイソレータをさらに含み、前記通気性アイソレータは、前記磁気ギャップを覆う。
【0014】
本発明の多機能発声装置は、音声の再生と振動の感知という二つの機能を実現することができ、さらに、一体成形により、振動膜、第1リング、柔軟性封止膜、第2リングの同心性を確保し、接着幅要件を回避してスペースを解放することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明に係る実施形態における技術的解決策をより明確に説明するため、以下、実施形態の説明で使用する必要がある添付図面について簡単に説明する。もちろん、以下の説明に関する添付図面は、発明のいくつかの実施形態に過ぎず、該当発明領域の当業者にとって、創作的な作業を行わずにこれらの添付図面から他の図面を得られることが可能である。
【
図1】本発明が提供する多機能発声装置の立体構成の模式図である。
【
図2】
図1に示される多機能発声装置の部分立体構成の分解の模式図である。
【
図3】
図1に示される多機能発声装置の発声単体の立体構成の分解の模式図である。
【
図6】
図1に示される多機能発声装置のハウジングを取り除いた際の立体構成の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態の技術的解決策を添付図面と併せて明確かつ完全に説明する。もちろん、以下に説明する実施形態は、本発明の実施形態の一部に過ぎず、これには限定されない。本発明における実施形態に基づき、本発明領域の当業者が創造的な作業を行わずに得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に含まれる。
【0017】
図1ないし
図6を参照すると、本発明は、多機能発声装置100を提供し、この多機能発声装置100は、ハウジング1と、ハウジング1内に収容される発声単体2とを備える。本実施形態において、前記ハウジング1は、相互に連結された上部ハウジング11および下部ハウジング12を含む。
【0018】
前記発声単体2は、振動部材21と、前記振動部材21を第1方向Xに沿って振動発声させるように駆動する磁気回路部材22と、前記振動部材21と前記磁気回路部材22とを収容する筐体23とを含む。
【0019】
前記振動部材21は、第1リング211と、前記第1リング211の内側に固定される振動膜212と、前記振動膜212と間隔をおいて対向する弾性支持部材213と、前記振動膜212と前記弾性支持部材との間に連接された骨格214と、前記骨格214に固定されたボイスコイル215とを含む。
【0020】
前記磁気回路部材22は、主磁鋼221と、前記主磁鋼221から間隔をおいて磁気ギャップ220を形成する副磁鋼222と、前記主磁鋼221及び前記副磁鋼222に固定的に取り付けられた底板223と、前記主磁鋼221に取り付けられる主磁極コア224と、前記副磁鋼222に取り付けられる環形副磁極コア225とを含む。前記ボイスコイル215は、前記磁気ギャップ220内に懸架される。
【0021】
前記筐体23は、前記発声単体2の長軸方向に延びる第1固定壁231と、前記発声単体2の短軸方向に延びる第2固定壁232とを含み、前記第1固定壁231は前記第1リング211の外側に固定され、前記第2固定壁232は前記第1リング211の内側に固定される。
【0022】
前記環形副磁極コア225には、前記第1固定壁231に延びる延長壁2251が設けられ、前記第1固定壁231には、前記磁気回路部材22に屈曲して延びる第1フランジ2311が設けられ、前記第1フランジ2311は、前記延長壁2251に連結される。
【0023】
前記第1固定壁231には、前記振動部材21に屈曲して延びる第2フランジ2312がさらに設けられ、前記弾性支持部材213は、前記第2フランジ2312に連結される。
【0024】
前記多機能発声装置100は、前記ハウジング1(下部ハウジング12)に固定され、前記発声単体2を前記ハウジング1内に懸架する弾性部材3と、前記ハウジング1(上部ハウジング11)に固定され、前記第1リング211に周設される第2リング4と、前記第1リング211と前記第2リング4との間に連接される柔軟性封止膜5と、前記ハウジング1(下部ハウジング12)に固定され、前記発声単体2を第2方向Yに振動させるように駆動する駆動コイル6とをさらに備え、ここで前記第2方向Yは、前記第1方向Xと垂直であり。前記振動膜212、前記第1リング211、前記柔軟性封止膜5および前記第2リング4は、一体的に形成され、ここで一体形成の手段にはホットプレスや射出成形が含まれるが、これに限定されない。前記振動膜212と前記柔軟性封止膜5は、さまざまな設計要求に応じて異なる材料を選択することができ、前記第1リング211は、前記振動膜212を前記柔軟性封止膜5から分離し、両側の膜体が独立される状態を維持することができる。
【0025】
前記駆動コイル6は、第1側面61と、前記第1側面61に対向する第2側面62とを含み、前記第1方向Xにおいて、前記第1側面61は前記主磁鋼221と間隔をおいて対向し、前記第2側面62は、前記副磁鋼222と間隔をおいて対向し、前記主磁鋼221の前記駆動コイル6の端部に向かう極性は、前記副磁鋼222の前記駆動コイル6の端部に向かう極性とは逆である。好ましくは、前記第1方向Xにおいて、前記駆動コイル6の巻線孔60は、前記磁気ギャップ220に正対して設けられる。
【0026】
前記筐体23は、前記第1方向Xに凹んで形成された第1凹部2301と、前記第2方向Yに凹んで形成された第2凹部2302とを含み、前記駆動コイル6は、少なくとも一部が前記第1凹部2301に収容され、前記弾性部材3は、少なくとも一部が前記第2凹部2302に収容される。前記第1凹部2301と前記第2凹部2302を配置することにより、全体の構造をよりコンパクトにし、スペースを節約することができる。
【0027】
前記発声単体2は、前記主磁鋼221および前記副磁鋼222のそれぞれの前記駆動コイル6の一側に向けて貼り付けられた通気性アイソレータ24をさらに含み、前記通気性アイソレータ24は、前記磁気ギャップ220を覆う。
【0028】
本発明の多機能発声装置は、音声の再生と振動の感知という二つの機能を実現することができ、さらに、一体成形により、振動膜、第1リング、柔軟性封止膜、第2リングの同心性を確保し、接着幅要件を回避してスペースを解放することも可能である。
【0029】
なお、上記は本発明の実施形態に過ぎず、本発明領域の当業者にとって、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の改良などを行うことが可能であるが、これらは本発明の保護範囲に含まれる。
【要約】 (修正有)
【課題】音声の再生と振動の感知という二つの機能を実現する多機能発声装置を提供する。
【解決手段】多機能発声装置は、発声単体を備える。発声単体は、振動部材(第1リング211、振動膜212、弾性支持部材213、骨格214、ボイスコイル215)と、磁気回路部材(主磁鋼、221、副磁鋼222、底板223、主磁極コア224、環形副磁極コア225)と、を含む。振動部材は、第1方向Xに沿って振動する。多機能発声装置は、発声単体を懸架する弾性部材3と、発声単体を第2方向に沿って振動させるように駆動する駆動コイル6と、をさらに含む。第1方向X及び第2方向Yは垂直であり、駆動コイルは、第1方向において主磁鋼及び副磁鋼にそれぞれ対向する第1側面61及び第2側面62を含む。
【選択図】
図4