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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】変換器構成
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20231002BHJP
   H03H 7/06 20060101ALI20231002BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20231002BHJP
【FI】
H02M7/48 M
H03H7/06
H05K9/00 B
H05K9/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022507510
(86)(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 EP2019071032
(87)【国際公開番号】W WO2021023369
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュローダー,アルネ
(72)【発明者】
【氏名】コッテ,ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】ピアセツキ,ボイチェフ
(72)【発明者】
【氏名】グレツキ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ブンシュ,ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン,トルステン
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-080647(JP,U)
【文献】国際公開第2014/064807(WO,A1)
【文献】特開昭55-162880(JP,A)
【文献】国際公開第2011/136232(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H03H 7/06
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変換器構成(10A;10B;)であって、
電気的に相互接続されたモジュール(12A,14A,16A,18A,20A,22A;12B,14B,16B,18B,20B,22B;CE1,CE2,CE3,CE4,CE5,CE6,CE7,CE8,CE9,CE10,CE11,CE12;12A’,14A’,16A’,18A’,20A’,22A’)の少なくとも1つの第1のストリングと、第1のスクリーンおよび第2のスクリーン(24A,26A;24B,26B;FR1,FR2;42A,44A)とを備え、前記第1のスクリーン(24A;24B;FR1;42A)は、第1の規定電位に接続されており、少なくとも1つの第1のモジュール(14A;14B;CE1;16A’)を備える前記第1のストリング内の第1のモジュールグループ(G1A;G1B;G1A’)に隣接して配置されており、前記第2のスクリーン(26A;26B;FR2;44A)は、第2の規定電位に接続されており、少なくとも1つの第2のモジュール(18A;18B;CE3;18A’)を備える前記第1のストリング内の第2のモジュールグループ(G2A,G2B;G2A’)に隣接して配置されており、前記変換器構成の動作中、共振ループ(RL;RL1;RL’)が、前記第1のモジュール(14A;14B;CE1;16A’)から前記第1のスクリーンおよび前記第2のスクリーン(24A,26A,24B,26B;FR1;FR2;42A,44A)ならびに前記第2のモジュール(18A,18B,CE3;18A’)を介して前記第1のモジュール(14A;14B;CE1;16A’)に戻るように作成され、前記変換器構成は、
前記共振ループ内の減衰ユニット(32A;32B;32C;38A;38B;D1;D12;48A)をさらに備え、前記減衰ユニットは、半導電性の前記スクリーンとして実現される抵抗を備え、前記規定電位を提供する前記グループの前記モジュールと前記電位が提供される前記スクリーン(24A;24B;FR1;42A)との間に配置された第1の減衰ユニット(32A;32B;32C;D1;48A)、および、前記第1のスクリーンおよび前記第2のスクリーン(24A,26A;24B,26B;FR1,FR2)との間に接続された第2の減衰ユニット(38A;38B;D12)を含み
前記減衰ユニットは、前記共振ループの前記浮遊容量および浮遊インダクタンスによって規定される周波数で電磁ノイズを減衰またはフィルタリングするように設定される、変換器構成(10A;10B;)。
【請求項2】
前記第1の減衰ユニット(32A;32B;D1)が、インダクタの形態のフィルタ構成要素を備える、請求項1に記載の変換器構成。
【請求項3】
前記減衰ユニット(38A;38B;D12)が、キャパシタの形態のフィルタリング構成要素を備える、請求項1に記載の変換器構成。
【請求項4】
前記減衰ユニット(32C)は、規定電位を提供するモジュールと前記電位が提供される対応する前記スクリーンとの間の接続部(30A)を取り囲む磁性材料のコア(60)を備える、請求項1に記載の変換器構成。
【請求項5】
前記減衰ユニット(32C)が、前記磁性材料のコアの周りに巻かれたコイル(62)を備える、請求項4に記載の変換器構成。
【請求項6】
前記抵抗が、インダクタである場合には前記フィルタ構成要素と並列に、またはキャパシタである場合には前記フィルタ構成要素と直列に接続される、請求項2または3に記載の変換器構成。
【請求項7】
前記減衰ユニットが、帯域通過フィルタリングまたは帯域阻止フィルタリングなどのフィルタリングの増強を可能にするための少なくとも1つのさらなるフィルタ構成要素を備える、請求項6に記載の変換器構成。
【請求項8】
前記第1のストリングが、互いに平行に配置された、第1および第2の電気的に相互接続され、水平に整列したスタックを備え、前記第1のモジュールグループおよび前記第2のモジュールグループ(G1A’,G2A’)が、それぞれ前記第1のスタックおよび前記第2のスタックに含まれる、請求項1~7のいずれか1項に記載の変換器構成。
【請求項9】
前記変換器構成が、ACとDCとの間で変換するように構成され、前記第1のスクリーンおよび前記第2のスクリーンが、前記第1のストリング内の隣接するモジュールグループのために設けられたコロナシールドである、請求項1~8のいずれか1項に記載の変換器構成(10A)。
【請求項10】
ACシステムの相間に接続された3つのストリングを備え、前記第1のスクリーンおよび前記第2のスクリーンが、隣接する第1のモジュールグループおよび第2のモジュールグループのためのエンクロージャである、請求項1~8のいずれか1項に記載の変換器構成(10B)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、電気的に相互接続されたモジュールの少なくとも1つのストリングを備える変換器構成に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
今日、高電圧直流(HVDC)およびフレキシブル交流伝送システム(FACTS)用途のための変換変電所は、典型的には、多くの直列接続スイッチングセルを含む電圧形変換器(VSC)に基づいている。半導体スイッチを含むスイッチングセルは、いわゆるPEBB(パワーエレクトロニクスビルディングブロック)またはいわゆるバルブ構造(バルブタワーとも)に構成することができ、典型的にはいわゆるバルブホールに構成される。複数の理由から、PEBBまたはセルスタックは、スイッチングセルと同じまたは同様の電位に接続された導電性構造によって取り囲まれ得る。これらの周囲構造は、以下の可能な機能を有する。
【0003】
高電圧変換器では、周囲構造は、電場成形要素またはコロナシールドとして作用する。電場成形があまり重要でない中電圧変換器では、PEBBエンクロージャは主に機械的支持機能を有する。
【0004】
バルブ構造とコロナシールドとの間に抵抗器が接続されていることが知られており、例えば、国際公開第2018/177515号パンフレットおよび米国特許出願公開第2009/0266605号明細書を参照されたく、いずれの場合も、抵抗器の使用はコロナ放電に関連する。
【0005】
セル内のパワー半導体のスイッチング事象が、高周波電流を発生させ、相当の広帯域の電磁ノイズをもたらす。このノイズは、バルブホールから伝播する可能性があり、変電所付近の二次電子システムと干渉する可能性があり、これによって、電磁両立性(EMC)の問題を引き起こす可能性がある。
【0006】
スイッチングによって発生する電磁ノイズは、典型的には、変電所のACまたはDCヤードにフィルタ回路を導入することによって、または主変換器電流経路に高周波減衰装置を導入することによって、システムレベルでフィルタリングされる。
【0007】
そのような電磁干渉(EMI)フィルタリング構成要素は、典型的には、かさばり、重く、高価であり、しばしば追加の空間を必要とする。そのようなフィルタに使用される構成要素は、所与の要件に適合するように特別に設計されており、それらは棚から取り出されない。したがって、材料および工作のコストも大きくなり得る。
【0008】
主電流経路内の減衰装置は、完全な低周波電流を搬送しながら高周波フィルタリングを提供するように設計されなければならない。したがって、磁性材料の使用は、全電流負荷下での飽和を回避するために、非常に慎重な設計および典型的には大きいコアを必要とする。
【0009】
したがって、EMI減衰に関して改善を提供する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
したがって、本発明の1つの目的は、変換器構成の外部の追加の減衰またはフィルタリング機器を必要とせずに、変換器構成における電磁ノイズの減衰を提供することである。
【0011】
この目的は、変換器構成であって、電気的に相互接続されたモジュールの少なくとも1つの第1のストリングと、第1のスクリーンおよび第2のスクリーンとを備え、第1のスクリーンは、第1の規定電位に接続されており、少なくとも1つの第1のモジュールを備える第1のストリング内の第1のモジュールグループに隣接して配置されており、第2のスクリーンは、第2の規定電位に接続されており、少なくとも1つの第2のモジュールを備える第1のストリング内の第2のモジュールグループに隣接して配置されており、変換器構成の動作中、共振ループが、第1のモジュールから第1のスクリーンおよび第2のスクリーンならびに第2のモジュールを介して第1のモジュールに戻るように作成され、変換器構成は、電磁ノイズを減衰させるように設定されている、共振ループ内の減衰ユニットをさらに備える、変換器構成を通じて達成される第1の態様によるものである。
【0012】
各モジュールは、スイッチおよび少なくとも1つのキャパシタを含む構成要素を備える。第1の規定電位は、第1のモジュールと第1のスクリーンとの間の第1の電気接続部を介してさらに提供されてもよく、第2の規定電位は、第2のモジュールと第2のスクリーンとの間の第2の電気接続部を介して提供されてもよい。第1のスクリーンと第2のスクリーンとは、互いに隣接して配置され、それらの間の浮遊容量を規定する間隙によって分離されてもよい。
【0013】
共振ループが浮遊容量および浮遊インダクタンスを含むことは明らかである。したがって、減衰ユニットは、例えばフィルタリングによって、9kHz~6GHzの範囲の電磁ノイズを減衰させることができる。このため、減衰ユニットは、共振ループの浮遊容量および浮遊インダクタンスによって規定される周波数で電磁ノイズを減衰またはフィルタリングするように設定することができる。
【0014】
第1の変形例によれば、減衰ユニットは、規定電位を提供するグループのモジュールと、当該電位が提供されるスクリーンとの間に配置された第1の減衰ユニットであってもよい。
【0015】
モジュールのグループは第1のモジュールグループであり、スクリーンは第1のスクリーンであることが可能である。この場合、第1の減衰ユニットは、第1のモジュールと第1のスクリーンとの間の第1の電気接続部に配置または接続されてもよい。同様に、減衰ユニットが、第2のモジュールと第2のスクリーンとの間の第2の電気接続部に配置されることも可能である。
【0016】
第2の変形例によれば、減衰ユニットは、第1のスクリーンと第2のスクリーンとの間に配置される。減衰ユニットは、より詳細には、第1のスクリーンと第2のスクリーンとの間に接続されてもよい。
【0017】
第1の変形例による減衰ユニット配置により、規定電位を提供するモジュールと、この規定電位を受け取ることになるスクリーン、すなわちこの電位が提供されるスクリーンとの間の電気接続部を囲む磁性材料のコアを使用して第1の減衰ユニットを実現することが可能である。さらに、この減衰ユニットは、磁性材料のコアの周りに巻かれたコイルと、場合によってはコイルに接続された抵抗器とを備えることが可能である。
【0018】
第1の変形例による減衰ユニット配置では、減衰ユニットは、インダクタの形態のフィルタリング構成要素を備えることができる。
【0019】
第2の変形例による減衰ユニット配置では、減衰ユニットは、キャパシタの形態のフィルタリング構成要素を備えることができる。
【0020】
両方の変形例による減衰ユニットは、実際に抵抗を含むことができる。抵抗は、減衰ユニットの唯一の要素であってもよい。代替として、減衰ユニットは、インダクタおよび/またはキャパシタを備えてもよい。そのような場合、減衰ユニットは、抵抗および別のフィルタ構成要素を含むフィルタであってもよく、抵抗は、第1のフィルタ構成要素を使用して実装されてもよく、前述のインダクタまたは前述のキャパシタのいずれかである他のフィルタ構成要素が、第2のフィルタ構成要素であってもよい。
【0021】
第2のフィルタ構成要素がインダクタである場合、第1のフィルタ構成要素は第2のフィルタ構成要素と並列に接続されてもよい。これは、第1の変形例の場合に特に当てはまる。第2のフィルタ構成要素がキャパシタである場合、第1のフィルタ構成要素は第2のフィルタ構成要素と直列に接続されてもよい。これは、第2の変形例の場合に特に当てはまる。
【0022】
これはさらに、帯域通過フィルタリングおよび帯域阻止フィルタリングなどのフィルタリングの増強を可能にするための、減衰ユニット内の少なくとも1つのさらなるフィルタ構成要素によって可能である。したがって、フィルタは、所望のフィルタリング機能を得るための複数の構成要素を含むことができる。
【0023】
スクリーンは、典型的には導電性であり、一例として、アルミニウムまたは銅から作成されてもよい。この場合、減衰ユニットの抵抗は、構成要素として、すなわち抵抗器として実現されてもよい。しかしながら、代替として、減衰ユニットの抵抗は、半導電性であるスクリーンを通じて実現されてもよい。スクリーンは、一例として、カーボンブラックなどの導電性フィラーを含む、熱可塑性または熱硬化性材料などの複合材を使用して実現されてもよい。これはまた、抵抗性コーティングを有する非導電性材料から作成されてもよく、この場合、電気接続部はコーティング層に対して行われる。
【0024】
第1のストリングは、互いに平行に配置された、第1および第2の電気的に相互接続され、水平に整列したスタックを含むことができ、第1のモジュールグループおよび第2のモジュールグループは、それぞれ第1のスタックおよび第2のスタックに含まれる。さらに、第1のモジュールグループおよび第2のモジュールグループが互いに垂直に整列されることが可能である。
【0025】
変換器構成は、交流電流ACと直流電流DCとの間で変換するように構成されてもよい。この場合、変換器構成は、2つの極の間または極と接地との間に接続された3つの相脚内のモジュールの3つのストリングを含んでもよく、中間点は3相ACシステムの相に接続される。モジュールは、この場合、セルまたはサブモジュールであってもよい。この場合、第1のスクリーンおよび第2のスクリーンは、第1のストリング内の隣接するモジュールグループのために設けられたコロナシールドであってもよく、第1のモジュールグループおよび第2のモジュールグループは、2つのそのような隣接するグループである。
【0026】
別の例として、変換器構成は、ACシステムにおける無効電力補償のために設けられてもよい。このために、変換器構成は、ACシステムの相間に3つのストリングまたは相脚を備えることができる。ストリングは、相間にデルタまたはスター接続されてもよい。この場合、モジュールは、パワーエレクトロニクスビルディングブロック(PEBB)であってもよい。この変換器構成では、第1のスクリーンおよび第2のスクリーンは、隣接する第1のモジュールグループおよび第2のモジュールグループのためのエンクロージャである。スクリーンは、この場合、セルまたはサブモジュールの形態のモジュールグループを含むPEBBのエンクロージャまたはフレームであってもよい。
【0027】
本発明は、いくつかの利点を有する。それは高周波電流を減衰させ、したがって外部フィルタおよび減衰回路を必要とせずにEMIを低減する。さらに、減衰ユニットは、多くの場合、変換器構成内の既存の空間に構成されてもよく、したがって、変換器構成のサイズを保持することができ、またはわずかに増加するだけとすることができる。減衰ユニットは、さらに、単純かつ経済的な方法で実現されてもよい。減衰ユニットは、主電流経路内に配置されず、したがって、低ジュール加熱、磁気飽和なしなどの高い電流搬送能力のために寸法決めされる必要はない。
【0028】
図面の簡単な説明
本発明は、添付の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1のタイプの変換器構成の第1の変形例の相脚およびその中に現れる共振ループの概略図である。
図2】第2のタイプの変換器構成の第1の変形例の相脚およびその中に生じる共振ループの概略図である。
図3】並列のセルスタックを有する第1のタイプの変換器構成の第2の変形例に生じる共振ループの概略図である。
図4】ジグザグ構成に構成されたセルのストリングを有する第2のタイプの変換器構成の第2の変形例に生じる共振ループの概略図である。
図5】EMIフィルタリングを提供するための第1のタイプの変換器構成の第1の変形例において接続された第1のタイプの減衰ユニットの概略図である。
図6】EMIフィルタリングを提供するための第2のタイプの変換器構成の第1の変形例において接続された第1のタイプの減衰ユニットを示す図である。
図7】第2のタイプの変換器構成の第2の変形例において接続された第1のタイプの減衰ユニットを示す図である。
図8】EMIフィルタリングを提供するための第1のタイプの変換器構成の第1の変形例において接続された第2のタイプの減衰ユニットを示す図である。
図9】EMIフィルタリングを提供するための第2のタイプの変換器構成の第1の変形例において接続された第2のタイプの減衰ユニットを示す図である。
図10】第2のタイプの変換器構成の第2の変形例において接続された第2のタイプの減衰ユニットを示す図である。
図11】並列のセルスタックを有する第1のタイプの変換器構成の第2の変形例において接続された追加のスクリーンおよび減衰ユニットを示す図である。
図12a】第1のタイプの減衰ユニットの第1の実現形態を示す図である。
図12b】第1のタイプの減衰ユニットの第2の実現形態を示す図である。
図12c】第2のタイプの減衰ユニットの実現形態を示す図である。
図13】減衰されていない共振、ならびに、第1のタイプの減衰ユニットおよび第2のタイプの減衰ユニットを使用して減衰されている共振を示す図である。
図14】第1のタイプの減衰ユニットを有する等価EMI低減回路を示す図である。
図15】第2のタイプの減衰ユニットを有する等価EMI低減回路を示す図である。
図16】第1のタイプの減衰ユニットとして使用され得るフィルタ変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明を実施するための形態
本発明は、高電力用途における変換器構成であり得る変換器構成に関する。変換器構成は、80kV以上などの高電圧で動作する高電圧直流(HVDC)変換器を備えることができる。変換器構成はさらに、変換器構成の異なる個々の構成要素とは異なる電位を有するバルブホールなどのエンクロージャ内に封入されてもよい。例えば、変換器構成が+1500kVもしくは-1500kVの電圧レベルまたはそれらの間の何らかの高電圧で動作している間、エンクロージャが接地されることが可能である。他の実現可能な電圧レベルは±800kVである。変換器構成は、例えば、電圧形変換器(VSC)などの交流電流(AC)と直流電流(DC)との間で変換する変換器であってもよい。さらに、電圧形変換器は、モジュラーマルチレベル変換器(MMC)として提供されてもよく、MMCにおいて、いくつかのカスケード接続された変換器サブモジュールまたはセルがAC波形を形成するために使用され、セルはスイッチおよびキャパシタを含む。これらのセルは、2つのDC極間または1つのDC極と接地との間に延伸する3つの平行な相脚に接続されてもよく、相脚の中点は対応するAC相に接続される。このタイプの変換器構成が、第1のタイプの変換器構成である。
【0031】
代替として、変換器構成は、ACシステムの相間にデルタまたはスター接続されたいくつかの相脚を備えることができる。このタイプの変換器構成が、無効電力補償を目的として設けられ得る第2のタイプの変換器構成である。また、この第2のタイプの変換器構成は、スイッチおよびキャパシタを含むセルまたはサブモジュールを含み、セルは、いわゆるパワーエレクトロニクスビルディングブロック(PEBB)に設けられてもよい。セルは、より詳細には、スイッチおよび少なくとも1つのキャパシタを含む構成要素を備えるモジュールである。
【0032】
図1は、第1のタイプの変換器構成10Aの第1の変形例の相脚内のストリングを概略的に示し、ストリング内で、いくつかのセルがカスケード接続されている。ここでは、上から下に、第1のセル12A、第2のセル14A、第3のセル16A、第4のセル18A、第5のセル20Aおよび第6のセル22Aがあり、第1のセル12Aおよび第2のセル14Aは共に第1のセルグループG1Aを形成し、第3のセル16Aおよび第4のセル18Aは共に第2のセルグループG2Aを形成し、第5のセル20Aおよび第6のセル22Aは共に第3のセルグループG3Aを形成する。グループ内のセルの数は、より多くてもよく、またより少なくてもよいことを理解されたい。
【0033】
複数の異なるグループのセルまたはむしろセルの構成要素をコロナ放電から保護するために、第1のセルグループG1Aは第1のコロナシールド24Aに接続されており、第2のセルグループG2Aは第2のコロナシールド26Aに接続されており、第3のセルグループG3Aは第3のコロナシールド28Aに接続されている。第1のコロナシールド24Aは、より詳細には、第1のセルグループG1Aに隣接して配置され、第2のコロナシールド26Aは、第2のセルグループG2Aに隣接して配置され、第3のコロナシールド28Aは、第3のセルグループG3Aに隣接して配置される。コロナシールドは、ここではまた、典型的には銅またはアルミニウムなどの導電性材料から作成されたスクリーンである。保護は、ここでは、典型的には、バルブホールの壁などの環境からのコロナ放電からの保護であり、この壁は接地電位に維持され得る。コロナシールドは、規定電位に配置される。一例として、第1のセルグループG1Aの第2のセル14Aは、ここでは、第1のコロナシールド24Aに第1の規定電位を提供するために、第1のコロナシールド24Aへの第1の電気接続部30Aを有し、第2のセルグループG2Aの第4のセル18Aは、第2のコロナシールド26Aに第2の規定電位を提供するために、第2のコロナシールド26Aへの第2の電気接続部を有し、第3のセルグループG3Aの第6のセル22Aは、第3のコロナシールド28Aに第3の規定電位を提供するために、第3のコロナシールド28Aへの第3の電気接続部を有する。規定電位は、この場合、ストリング内の特定のセルの電位または局所接地であり得る。したがって、電位は、細胞ごとに異なり得る。説明した第2のセル14A、第4のセル18Aおよび第6のセル22Aの代わりに、グループ内の別のセルがコロナシールドに規定電位を提供することが可能であることを理解されたい。
【0034】
同様に、図2は、第2のタイプの変換器構成10Bの第1の変形例の相脚内のストリングを概略的に示し、ストリング内で、いくつかのセルがカスケード接続されている。ここでは、上から下に、第1のセル12B、第2のセル14B、第3のセル16B、第4のセル18B、第5のセル20Bおよび第6のセル22Bがあり、第1のセル12Bおよび第2のセル14Bは共に第1のセルグループG1Bを形成し、第3のセル16Bおよび第4のセル18Bは共に第2のセルグループG2Bを形成し、第5のセル20Bおよび第6のセル22Bは共に第3のセルグループG3Bを形成する。
【0035】
この第2のタイプの変換器構成10Bでは、第1のセル12Bおよび第2のセル14Bは、第1のPEBBフレーム24Bの形態のエンクロージャ内に封入され、第3のセル16Bおよび第4のセル18Bは、第2のPEBBフレーム26Bの形態のエンクロージャ内に封入され、第5のセル20Bおよび第6のセル22Bは、第3のPEBBフレーム28Bの形態のエンクロージャ内に封入される。第1のPEBBフレーム24Bは第1のセルグループG1Bに隣接して配置され、この場合はまた、第1のセルグループG1Bを封入し、第2のPEBBフレーム26Bは第2のセルグループG2Bに隣接して配置され、この場合はまた、第2のセルグループG2Bを封入し、第3のPEBBフレーム28Bは第3のセルグループG3Bに隣接して配置され、この場合はまた、第3のセルグループG3Bを封入する。PEBBフレームはまた、典型的には銅またはアルミニウムなどの導電性材料から作成されたスクリーンである。第1のセルグループG1Bの第2のセル14Bは、ここでは、第1のPEBBフレーム24Bに第1の規定電位を提供するために、第1のPEBBフレーム24Bへの第1の電気接続部30Bを有し、第2のセルグループG2Bの第4のセル18Bは、第2のPEBBフレーム26Bに第2の規定電位を提供するために、第2のPEBBフレーム26Bへの第2の電気接続部を有し、第3のセルグループG3Bの第6のセル22Bは、第3のPEBBフレーム28Bに第3の規定電位を提供するために、第3のPEBBフレーム28Bの第3の電気接続部を有する。この場合、これらの電位のうちの1つは接地電位であってもよい。ここで、グループ内の別のセルが規定電位をPEBBフレームに提供することも可能である。
【0036】
図3は、第1のタイプの変換器構成の第2の変形例10A’を示す。相脚のセルのストリングは、2つの平行な垂直スタックに配置されてもよい。このとき、前述の第1のセル12’、第2のセル14A’および第3のセル16A’を第1のスタックに配置することができ、一方、第4のセル18A’、第5のセル20A’および第6のセル22A’を第2のスタックに配置することができる。第1のセル12’、第2のセル14A’および第3のセル16A’が、この場合、第1のセルグループG1A’であってもよく、第4のセル18A’、第5のセル20A’および第6のセル22A’が、第2のセルグループG2A’を形成してもよい。したがって、スタックは垂直に配向され、互いに平行である。セルはさらに、水平に整列されてもよい。図3から分かるように、第3のセル16A’は、第4のセル18A’と水平に整列されてもよく、第2のセル14A’は、第5のセル20A’と水平に整列されてもよく、第1のセル12A’は、第6のセル22A’と水平に整列されてもよい。
【0037】
図4は、第2のタイプの変換器構成の第2の変形例を示す。この場合、第1ストリングは、互いに直列に接続された第1のセルCE1、第2のセルCE2、第3のセルCE3、第4のセルCE4、第5のセルCE5、第6のセルCE6、第7のセルCE7、第8のセルCE8、第9のセルCE9、第10のセルCE10、第11のセルCE11および第12のセルCE12を含む。第1のセルCE1および第2のセルCE2は、第1のPEBBフレームFR1に封入され、第3のセルCE3および第4のセルCE4は、第2のPEBBフレームFR2に封入され、第5のセルCE5および第6のセルCE6は、第3のPEBBフレームFR3に封入され、第7のセルCE7および第8のセルおよびCE8は、第4のPEBBフレームFR4に封入され、第9のセルCE9および第10のセルCE10は、第5のPEBBフレームFR5に封入され、第11のセルCE11および第12のセルCE12は、第6のPEBBフレームFR6に封入されている。ここで、第1のセルCE1は、第1のPEBBフレームFR1への第1の電気接続部を有し、第3のセルCE3は、第2のPEBBフレームFR2への第2の電気接続部を有し、第6のセルCE6は、第3のPEBBフレームFR3への第3の電気接続部を有し、第8のセルCE8は、第4のPEBBフレームFR4への第4の電気接続部を有し、第9のセルCE9は、第5のPEBBフレームFR5への第5の電気接続部を有し、第11のセルCE11は、第6のPEBBフレームFR6への第6の電気接続部を有する。ストリングは蛇行またはジグザグ構成を有し、この場合、第1のフレームFR1および第2のフレームFR2が第1のスタック内にあり、第3のフレームおよび第4のフレームFR3およびFR4が第2のスタック内にあり、第5のフレームFR5および第6のフレームFR6が第3のスタック内にあることを意味し、これらのスタックは互いに平行である。これにより、第1のフレームFR1が第2のフレームFR2および第4のフレームFR4に隣接して配置され、第2のフレームFR2が第1のフレームFR1および第3のフレームFR3に隣接して配置され、第3のフレームFR3が第2のフレームFR2、第4のフレームFR4および第6のフレームFR6に隣接して配置され、第4のフレームFR4が第1のフレームFR1、第3のフレームFR3および第5のフレームFR5に隣接して配置される。結果として、これにより、第5のフレームFR5が第4のフレームFR4および第6のフレームFR6に隣接して配置され、第6のフレームFR6が第3のフレームFR3および第5のフレームFR5に隣接して配置されることも明らかとなる。
【0038】
使用時に、上述の変換器構成は、様々な電磁干渉(EMI)要件を満たすために除去しなければならない電磁ノイズを生成する。このEMIは、従来、変換器構成に接続されたACまたはDCヤードにフィルタ回路を導入することによって、または主変換器電流経路に高周波減衰装置を導入することによって、システムレベルでフィルタリングされてきた。
【0039】
そのようなEMIフィルタリング構成要素は、典型的には、かさばり、重く、高価であり、しばしば追加の空間を必要とする。さらに、そのようなフィルタは、所与の要件に適合するように特別に設計されており、それらは棚から取り出されない。したがって、材料および工作のコストが大きくなり得る。
【0040】
主電流経路内の減衰装置は、完全な低周波電流を搬送しながら高周波フィルタリングを提供するように設計されなければならない。したがって、磁性材料の使用は、全電流負荷下での飽和を回避するために、非常に慎重な設計および典型的には大きいコアを必要とする。
【0041】
したがって、EMI減衰を実現するためのかさが少なく単純な方法が必要とされている。
【0042】
本発明者らは、変換器構成におけるEMIの1つの主な原因が、浮遊インダクタンスおよび浮遊容量を通じて形成される共振ループであることを認識した。
【0043】
シールドとPEBB素子との間に浮遊容量が存在し、ならびに相脚内のセル間の浮遊インダクタンスが存在することになる。したがって、図1および図2において、第1の浮遊容量CSTR1Aが第1のコロナシールド24Aと第2のコロナシールド26Aとの間に発生し、第1の浮遊容量CSRTR1Bが第1のPEBBフレーム24Bと第2のPEBBフレーム26Bとの間に発生することが分かる。第2のコロナシールド26Aと第3のコロナシールド28Aとの間に第2の浮遊容量CSTR2Aも存在し、ならびに第2のPEBBフレーム26Bと第3のPEBBフレーム28Bとの間に第2の浮遊容量CSRTR1Bも存在する。コロナシールドおよびPEBBフレームはスクリーンであるため、第1のスクリーンおよび第2のスクリーンが互いに隣接して配置され、それらの間の浮遊容量を規定するギャップによって分離されており、第2のスクリーンおよび第3のスクリーンが互いに隣接して配置され、それらの間の浮遊容量を規定するギャップによって分離されていることが分かる。第1のセルグループG1Aと第2のセルグループG2Aとの間に第1の浮遊インダクタンスLSTR1Aも存在し、ならびに、第1のセルグループG1Bと第2のセルグループG2Bとの間に第1の浮遊インダクタンスLSTR1Bも存在する。第2のセルグループG2Aと第3のセルグループG3Aとの間に第2の浮遊インダクタンスLSTR2Aも存在し、ならびに、第1のセルグループG2Bと第2のセルグループG3Bとの間に第2の浮遊インダクタンスLSTR2Bも存在する。
【0044】
図3において、2つのスタック内の垂直に整列したセル間に浮遊容量が存在することが分かる。したがって、第3のセル16A’と第4のセル18A’との間に第3の浮遊容量CSTR3Aがあり、第2のセル14A’と第5のセル20A’との間に第4の浮遊容量CSTR4Aがあり、第1のセル12A’と第6のセル22A’との間に第5の浮遊容量CSTR5Aがある。2つのスタック間に浮遊インダクタンスLSTRも存在する。
【0045】
図4において、互いに隣接して配置されたフレーム間に浮遊容量が存在することが分かる。したがって、第1のフレームFR1と第2のフレームFR2との間に浮遊容量C12が存在し、第1のフレームFR1と第4のフレームFR4との間に浮遊容量C14が存在し、第2のフレームFR2と第3のフレームFR3との間に浮遊容量C23が存在し、第3のフレームFR3と第4のフレームFR4との間に浮遊容量C34が存在し、第3のフレームFR3と第6のフレームFR6との間に浮遊容量C36が存在し、第4のフレームFR4と第5のフレームFR5との間に浮遊容量C45が存在し、および、第5のフレームFR5と第6のフレームFR6との間に浮遊容量C56が存在する。
【0046】
フレーム間の電気経路にも浮遊インダクタンスがある。したがって、第1のフレームFR1と第2のフレームFR2との間に浮遊インダクタンスL12が存在し、第2のフレームFR2と第3のフレームFR3との間に浮遊インダクタンスL23が存在し、第3のフレームFR3と第4のフレームFR4との間に浮遊インダクタンスL34が存在し、第4のフレームFR4と第5のフレームFR5との間に浮遊インダクタンスL45が存在し、および第5のフレームFR5と第6のフレームFR6との間に浮遊インダクタンスL56が存在する。
【0047】
上記に見られるように、PEBBまたはバルブセルの周囲構造は非常に大きくなり得る。これにより、浮遊容量が大きくなり得る。セル浮遊インダクタンス、すなわちストリング内の浮遊インダクタンスと組み合わせて、浮遊容量はLC共振回路を形成し得、これはEMC臨界周波数範囲に高いピークを引き起こし、これはステーションの外部に伝播して放射する可能性がある。可能な伝播経路は、接地への容量結合、バスバーへの誘導結合などを含む。
【0048】
この例として、図1に見られるように、第2のセル14Aから第1の接続部30A、第1のコロナシールド24、第2のコロナシールド26A、第4のセル18Aおよび第3のセル16Aを介して第2のセル14Aに戻る第1の共振ループRLが形成され、第1のループRLは、第1の浮遊容量CSTR1Aおよび第1の浮遊インダクタンスLSTR1Aを含む。上述したように、セルはモジュールである。このため、セルグループはモジュールグループでもある。第2のセル14Aは、ここでは、第1の共振ループRL内の第1のモジュールグループの第1のモジュールであり、第4のセル18Aは、共振ループRL内の第2のモジュールグループの第2のモジュールである。これにより、第1の共振ループRLはまた、第1のモジュールから第1のスクリーンおよび第2のスクリーンおよび第2のモジュールを介して第1のモジュールに戻って延伸するループでもある。ループRLはまた、第1のモジュールと第2のモジュールとの間に電気的に接続された任意のモジュールを通過し、この場合、モジュールは第3のセル16Aを通じて実装される。
【0049】
同様に、図2において、第2のセル14Bから第1の接続部30B、第1のPEBBフレーム24B、第2のPEBBフレーム26B、第4のセル18B、および第3のセル16Bを介して第2のセル14Bに戻る第1の共振ループRLが形成され、第1のループRLは、同様に第1の浮遊容量CSTR1Bおよび第1の浮遊インダクタンスLSTR2Bを含むことが分かる。この場合、第2のセル14Bはまた、第1の共振ループRL内の第1のモジュールグループの第1のモジュールでもあり、第4のセル18Bは、共振ループRL内の第2のモジュールグループの第2のモジュールであり、図2から分かるように、第1の共振ループRLは、第1のモジュールから第1のスクリーンおよび第2のスクリーンならびに第2のモジュールを介して第1のモジュールに戻って延伸するループである。また、この場合、ループRLは、この場合には第3のセル16Bを通じて実装されるモジュールである、第1のモジュールと第2のモジュールとの間の任意のモジュールも通過する。
【0050】
次に、図3は、浮遊容量および浮遊インダクタンスLSTRを通過する垂直に整列したセルスタック間の1つまたは複数の共振ループを示す。この場合、第3のセル16A’は、第1の共振ループ内の第1のモジュールグループの第1のモジュールとして見ることができ、第4のセル18A’は、第1の共振ループ内の第2のモジュールグループの第2のモジュールとして見ることができる。第3のセル16A’は、第2の共振ループ内の第1のモジュールグループの第1のモジュールとして見ることができ、第5のセル20A’は、第2の共振ループ内の第2のモジュールグループの第2のモジュールとして見ることができる。最後に、第1のセル12A’は、第3の共振ループ内の第1のモジュールグループの第1のモジュールとして見ることができ、第6のセル22A’は、第3の共振ループ内の第2のモジュールグループの第2のモジュールとして見ることができる。また、この場合、各ループは、第1のモジュールと第2のモジュールとの間の任意のモジュールの構成要素も通過するとともに、浮遊インダクタンスLSTRを含む。これらの並列ループは、1つの共振ループRL’と考えることもできる。
【0051】
図4にも複数の共振ループがある。第1のセルCE1から第1の電気接続を介して第1のフレームFR1に至り、第1のフレームFR1からキャパシタンスC12を介して第2のフレームFR2に至り、第2のフレームF2から第2の電気接続を介して第3のセルCE3に至り、第3のセルCE3からインダクタンスL12および第2のセルC2を介して第1のセルCE1に戻る第1の共振ループRL1が存在する。第8のセルCE8から第4の電気接続を介して第4のフレームFR4に至り、第4のフレームFR4から容量C45を介して第5のフレームFR5に至り、第5のフレームFR5から第5の電気接続を介して第9のセルCE9に至り、第9のセルCE9からインダクタンスL45を介して第8のセルCE8に戻る第2共振ループRL2が存在する。最後に、第6のセルCE6から第3の電気接続を介して第3のフレームFR3に至り、第3のフレームFR3からキャパシタンスC36を介して第6のフレームFR6に至り、第6のフレームFR6から第6の電気接続を介して第11のセルCE11に至り、第11のセルCE11からインダクタンスL56を介して第10のセルに至り、第10のセルCE10から第9のセルCE9、インダクタンスL45、第8のセルCE8、第7のセルCE7およびインダクタンスL34を介して第6のセルCE6に戻る第3の共振ループRL3が存在する。
【0052】
図4から分かるように、共振ループは、3つ以上のフレームからなるセルを含んでもよい。したがって、共振ループが浮遊容量を介して間を通過する2つのフレームの間に、フレーム内のセルが存在し得る。したがって、共振ループの第1のモジュールおよび第2のモジュールよりも多くのモジュールが存在してもよく、これらの追加のモジュールは、第1のモジュールと第2のモジュールとの間に接続される。
【0053】
本発明の態様は、EMI低減を得るために、上述のLCループ内に局所減衰ユニットを配置することに関する。これにより、個々の減衰ユニットは、中央減衰および/またはフィルタリングが使用される場合よりも小さくすることができる。それらはまた、他の目的のために任意の様態で必要とされる場所に配置されてもよい。コロナスクリーンは、例えば、保護するセルのグループから一定の空間を必要とし得る。減衰ユニットがこの空間内に構成される場合、変換器構成の体積は、減衰ユニットの追加に伴って変化しないままである。これにより、減衰ユニットは、変換器構成のかさを増大させなくてもよい。減衰ユニットはまた、より単純な実現形態を有してもよい。場合によっては、減衰ユニットは、単に適切な寸法の抵抗器を使用して実現されてもよい。
【0054】
したがって、本開示の態様は、共振ピークを減衰させるために共振ループ内に減衰ユニットまたは消散要素を導入することを対象とする。フィルタリングまたは減衰は、9kHz~6GHzの周波数範囲、有利には9kHz~2GHzの周波数範囲、好ましくは9kHz~1GHzの周波数範囲、より好ましくは9kHz~30MHzの周波数範囲内で行われてもよい。
【0055】
これは、以下で論じるいくつかの手段によって達成することができる。
図5から分かるように、第1のタイプの変換器構成10Aの第1の変形例では、減衰は、理想的にはセルがコロナシールドに接続されている明確に規定された位置で、第1の共振ループRL内に第1の減衰ユニット32Aを実装することによって達成される。したがって、減衰ユニットは、この例では第2のセル14Aと第1のコロナシールド24Aとの間の第1の電気接続部30Aである、第1のコロナシールド24Aの規定電位を提供するために使用される第1の電気接続部に配置することができる。この第1の減衰ユニット32Aは、第1の共振ループRL内の浮遊容量CSTR1Aおよび浮遊インダクタンスLSTR1Aと直列に接続されており、第1の浮遊インダクタンスLSTR1Aおよび第1の浮遊容量CSTR1Aとともに、第2のセル14A、第3のセル16Aおよび第4のセル18Aによって形成されるこの第1の共振ループRL内の共振を減衰させる。同様の減衰ユニット34Aおよび36Aが、第4のセル18Aと第2のコロナシールド26Aとの間、および第6のセル22Aと第3のコロナシールド28Aとの間に、すなわち、セルと対応するコロナシールドとの間に接続されてもよく、コロナシールドの規定電位を提供する。減衰ユニットはすべて第1のタイプである。
【0056】
図6から分かるように、第2のタイプの変換器構成10Bの第1の変形例では、減衰は、理想的にはセルがPEBBフレームに接続されている明確に規定された位置で、ループRL内に第1の減衰ユニット32Bを実装することによって達成される。したがって、第1の減衰ユニット32Bは、第2のセル14B、第3のセル16B、および第4のセル18B、ならびに第1の浮遊インダクタンスLSTR1Bおよび第1の浮遊容量CSTR1Bによって形成される第1の共振ループRL内の共振を減衰させるために、第2のセル14Bと第1のPEBBフレーム24Bとの間の第1の電気接続30B内に配置することができる。同様の減衰ユニット34B,36Bが、第4のセル18Bと第2のPEBBフレーム26Bとの間、および、第6のセル22Bと第3のPEBBフレーム28Bとの間に接続されてもよい。これらの減衰ユニットはすべて第1のタイプのものである。
【0057】
図7から分かるように、第2のタイプの変換器の第2の変形例においても、セルとフレームとの間の接続において第1のタイプの減衰ユニットを接続することが同様に可能である。したがって、第1のセルCE1と第1のフレームFR1との間の第1の電気接続部は減衰ユニットD1を備え、第3のセルCE3と第2のフレームFR2との間の第2の電気接続部は減衰ユニットD2を備え、第6のセルCE6と第3のフレームFR3との間の第3の電気接続部は減衰ユニットD3を備え、第8のセルCE8と第4のフレームFR4との間の第4の電気接続部は減衰ユニットD4を備え、第9のセルCE9と第5のフレームFR5との間の第5の電気接続部は減衰ユニットD5を備え、第11のセルCE11と第6のフレームFR6との間の第6の電気接続部は減衰ユニットD6を備え、すべての減衰ユニットは第1のタイプである。
【0058】
第1のタイプの減衰ユニットは、図12aに示すように、抵抗器Rとして実現されてもよく、または、図12bに見られるように、インダクタンスLと並列の抵抗器Rとして実現されてもよく、後者の場合、第1のタイプの減衰ユニットは実際には第1のフィルタであってもよい。
【0059】
減衰ユニットの別の可能な配置は、共振ループの浮遊容量と並列である。第1のタイプの変換器構成の第1の変形例を開示している図8から分かるように、第1のコロナシールド24Aと第2のコロナシールド26Aとの間に第2の減衰ユニット38Aを接続することが可能であり、これは実効的に第1の浮遊容量CSTR1Aと並列である。さらなる減衰ユニット39Aが、同様の方法で、第2のコロナシールド26Aと第3のコロナシールド28Aとの間に、すなわち実効的に第2の浮遊容量CSTR2Aと並列に接続されてもよい。両方の減衰ユニットは、この場合、第2のタイプである。
【0060】
図9から分かるように、この手法は、第2のタイプの変換器構成の第1の変形例にも適用することができる。したがって、第2の減衰ユニット38Bを第1のPEBBフレーム24Bと第2のPEBBフレーム26Bとの間に接続することができ、これは実効的に第1の浮遊容量CSTR1Bと並列である。さらなる減衰ユニット39Bが、同様の方法で、第2のPEBBフレーム26Bと第3のPEBBフレーム28Bとの間に、すなわち実効的に第2の浮遊容量CSTR2Bと並列に接続されてもよい。この場合も、両方の減衰ユニットは第2のタイプである。
【0061】
図10から分かるように、同様に、第2のタイプの変換器の第2の変形例において、隣接するフレーム間の浮遊容量と並列に第2のタイプの減衰ユニットを接続することが可能である。したがって、第1のフレームFR1と第2フレームFR2との間に浮遊容量C12と並列に接続された減衰ユニットD12、第1のフレームFR1と第4のフレームFR4との間に浮遊容量C14と並列に接続された減衰ユニットD14、第2のフレームFR2と第3のフレームFR3との間に浮遊容量C23と並列に接続された減衰ユニットD23、第3のフレームFR3と第4のフレームFR4との間に浮遊容量C34と並列に接続された減衰ユニットD34、第3のフレームFR3と第6のフレームFR6との間に浮遊容量C36と並列に接続された減衰ユニットD36、第4のフレームFR4と第5のフレームFR5との間に浮遊容量C45と並列に接続された減衰ユニットD45、および、第5のフレームFR5と第6のフレームFR6との間に浮遊容量C56と並列に接続された減衰ユニットD56が存在し、すべての減衰ユニットが第2のタイプである。
【0062】
この場合、第2のタイプの減衰ユニット38は、図12Cに示されるようにキャパシタCと直列の抵抗器Rとして実現されてもよく、この場合、減衰ユニットは実効的に第2のフィルタである。
【0063】
第1のタイプの変換器構成の並列スタック間に形成された共振ループに関する減衰は、図11に見ることができる。この場合、第1のスタック内のセル12A’、14A’および16A’を含む第1のセルグループG1A’に隣接して第1の垂直に配向された導電性シェル42Aが導入され、第2のスタック内のセル18A’、20A’および22A’を含む第2のセルグループG2A’に隣接して第2の垂直に配向された導電性シェル44Aが導入される。この場合、導電性シェル42Aおよび44Aは、構造内に導入された、例えば銅またはアルミニウムなどから作成された金属製の第1のスクリーンおよび第2のスクリーンである。これにより、各共振ループは、第1のモジュールから第1のスクリーンおよび第2のスクリーンおよび第2のモジュールを介して第1のモジュールに戻って延伸する。このようにして、2つのスタック間に明確に規定された浮遊容量CSTRが得られる。次いで、スタックのセルと対応する導電性シェルとの間に減衰ユニットを接続することが可能である。これは、減衰ユニットを備える共振ループが、第1のモジュールと第1のスクリーンとの間に第1のタイプの第1の減衰ユニットを備え、第2のスクリーンと第2のモジュールとの間に第1のタイプの別の減衰ユニットを備え得ることを意味する。一例として、第3のセル16A’および第4のセル18A’は、例えば抵抗器のみを含む第1のタイプの減衰ユニット48Aおよび52Aによって、それぞれ導電性シェル42Aおよび44Aに接続されており、一方、第1のセル12A’および第6のセル22A’は、キャパシタと直列の抵抗器を含むさらなる減衰ユニット46Aおよび50Aによって、それぞれ導電性シェル42Aおよび44Aに接続される。さらなる減衰ユニットは、典型的には、第1の減衰ユニットのバイパスを回避するために、シールドへの接続部にキャパシタを必要とする。さらに、2つの導電性シェルの間に第2のタイプの減衰ユニットを接続することが可能である。さらなる減衰ユニット46Aおよび50Aを取り外すことも可能である。
【0064】
減衰の原理は、図13図14、および図15から理解することができる。図13は、フィルタリングされていないノイズ曲線54、第1のフィルタを使用してフィルタリングされたノイズ曲線56、および第2のフィルタを使用してフィルタリングされたノイズ曲線58を示す。図14は、第1のタイプの減衰ユニット32と共に、ノイズ源、浮遊容量および浮遊インダクタンスの等価回路を示す。図15は、ノイズ源、浮遊容量、および浮遊インダクタンスを、第2のタイプの減衰ユニット38と共に示す。
【0065】
相脚内のセルの動作は、浮遊容量CSTRと直列、浮遊インダクタンスLSTRに給電するノイズ源Vを提供するものと見なすことができ、第1のフィルタ32がループ内の浮遊容量CSTRと直列に接続されており、第2のフィルタ38がループの浮遊容量CSTRと並列に接続されている。いずれの場合も、共振が大幅に低減され得、それによってEMIも低減されることが図13から分かる。
【0066】
上記で分かるように、減衰ユニットは、セルとスクリーンとの間の低オーミック金属接続に配置されてもよく、減衰ユニットは、単一の抵抗器または個別のRおよびL要素(コイルおよび抵抗器)の並列接続によって実現することができる。抵抗の値は、十分な減衰効果が達成され、同時に、シールドの定常状態電位が変化せず、シールドまたはエンクロージャの高周波過渡電位変化がステーションの誘電設計に影響を与えないように選択される必要があり得る。これは、抵抗が10Ω~10kΩの範囲内にある場合に得られる。インダクタは、存在する場合、1μH~10mHの範囲内にあってもよい。
【0067】
キャパシタは、含まれる場合、1~100nFの範囲内であってもよい。
帯域通過および帯域停止フィルタリングなどの増強されたフィルタリングを得るために、さらなるインダクタおよび/またはキャパシタなどのさらなる構成要素をフィルタに追加することが可能であることを理解されたい。
【0068】
第1の減衰ユニットの代替として、代わりに、コロナシールドまたはPEBBフレームをセルと接続する導体上に配置された鉄またはHF磁性材料(フェライト/ナノ結晶またはアモルファステープ)などの磁性材料のコアを使用することが可能である。導体上に位置するこのような磁気コアは、LとRとの並列接続の等価回路によって表され、Rはコアの損失を表す。最適なフィルタ設計は、一次導体を2回以上巻くことを必要とする場合があり、これによって、実効インダクタンスが増加し、ただし、コアが飽和する最大電流は低減する。コアは、減衰抵抗器が接続される二次巻線をさらに備えてもよい。これにより、等価回路における並列Rの値を最適化することができ、結果、最適な減衰効果が得られる。二次巻線および抵抗器の機能は、抵抗端子および短絡端子によって、またはコア上の抵抗コーティング(またはポッティング)によって達成することができる。
【0069】
図16は、第1の接続部30の周囲にコア60を有するこのような減衰ユニット32Cを概略的に示しており、コイル62がこのコア60の周りに巻かれ、さらなる抵抗器Rfに接続されている。
【0070】
上述のコアは、付加的に、2つの半部、すなわち半分に切断されたトロイドコアから形成されてもよく、その結果、「クランプオン」適用が可能である。適用されるクランプは、フィルタリングRL要素が配置されるべき導体が開く(取り外す)ことが不可能または困難である場合に特に有用である。それにより、これは後付けの状況においても有用である。
【0071】
上記では、スクリーンを、アルミニウムまたは銅スクリーンなどの金属として開示した。しかしながら、抵抗性(半導電性)材料(例えば、カーボンブラックのような導電性フィラーを含む熱可塑性材料)から製造された、非金属コロナシールド要素を使用することによっても、減衰ユニットを実装することが可能であることを理解されたい。別の代替案は、電気接続が実現される抵抗性コーティングを有する、例えば熱可塑性材料から作成された非導電性スクリーンを使用することである。この場合、シールド材料またはシールドコーティングの有限の導電率が、高周波電流経路に抵抗減衰を導入する。これを、PEBBフレームに対して実行される減衰に関連して使用することも可能である。
【0072】
本発明の利点は、以下のように要約することができる。
・変換器変電所の高周波ノイズを大幅に低減することができる。
【0073】
・減衰ユニットが、主電流経路内に配置されず、したがって、低ジュール加熱、磁気飽和なしなどの高い電流搬送能力のために寸法決めされる必要がないため、減衰ユニットをコンパクトかつ軽量にすることができる。
【0074】
・コンパクトかつ軽量な減衰ユニット設計によって材料コストが低くなる。
・この手法は、高価なEMI設計の適応をさらに妨げ得る。
【0075】
・変換器の機械的再設計はほとんど必要ではなく、減衰ユニットは十分な余裕を持って設計することができる。
【0076】
・この手法は、試運転後にEMIの必要性を満たすための便利で安価な解決策を潜在的に提供する。
【0077】
・提案された手法は、変換器変電所のEMノイズを制御するための追加の技法である。
上記の説明から、本発明が多数の方法で変更され得ることは明らかである。
【0078】
結果として、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきであることが理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図12c
図13
図14
図15
図16