(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】モータ制御システム及びモータ制御装置
(51)【国際特許分類】
H02P 29/00 20160101AFI20231002BHJP
【FI】
H02P29/00
(21)【出願番号】P 2022540350
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(86)【国際出願番号】 CN2020131510
(87)【国際公開番号】W WO2021135739
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】201911409307.6
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】杜智勇
(72)【発明者】
【氏名】徐▲魯▼▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ゆ▼▲い▼▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼阿喜
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼▲広▼明
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-199166(JP,A)
【文献】特開2016-123202(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104199370(CN,A)
【文献】特開2019-110697(JP,A)
【文献】特開2018-14798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主制御モジュールと、駆動モジュールと、監視モジュールとを含み、
前記主制御モジュールは、低電圧駆動信号を前記駆動モジュールに出力し、前記駆動モジュールは、前記低電圧駆動信号を高電圧駆動信号に変換してパワーユニットに出力し、前記パワーユニットは、前記高電圧駆動信号に基づいて高電圧電池から提供された電源駆動信号を出力し、前記電源駆動信号により、前記パワーユニットに接続されたモータを回転させるように駆動し、
前記監視モジュールは、前記主制御モジュール及び前記駆動モジュールに電気的に接続され、前記低電圧駆動信号を収集し、かつ前記低電圧駆動信号が異常である場合、故障信号を前記主制御モジュールに出力して、前記主制御モジュールが前記低電圧駆動信号の出力を停止するように制御し、前記監視モジュールは、前記主制御モジュールから独立して、前記監視モジュールに動作電源を供給する補助電源を含むことを特徴とする、モータ制御システム。
【請求項2】
前記監視モジュールは、安全論理ユニット及び監視ユニットをさらに含み、
前記安全論理ユニットは、前記駆動モジュールに電気的に接続され、故障信号を受信すると、第3のディスエーブル信号を前記駆動モジュールに出力して、前記駆動モジュールが電気的に遮断されるように制御し、前記駆動モジュールは、第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットを含み、前記主制御モジュールから出力された第1のレベルのイネーブル信号に基づいて起動し、前記低電圧駆動信号を高電圧駆動信号に変換し、かつ前記高電圧駆動信号を前記パワーユニットに出力し、
前記監視ユニットは、前記安全論理ユニット及び制御ユニットに電気的に接続され、前記制御ユニットから出力されたモータ制御信号を受信し、前記監視ユニットが前記モータ制御信号が異常であると判定する場合、第2のディスエーブル信号を前記主制御モジュールに出力して、前記主制御モジュールが前記低電圧駆動信号の出力を停止するように制御することを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御システム。
【請求項3】
前記主制御モジュールは、前記制御ユニットと、信号処理ユニットと、駆動信号処理ユニットとを含み、
前記制御ユニットは、前記信号処理ユニット、前記駆動信号処理ユニット、主制御電源、及び前記監視ユニットに電気的に接続され、受信された第1の駆動電圧に基づいて第1のデューティ比信号を前記信号処理ユニットに出力し、前記モータ制御信号が異常である場合、第1のディスエーブル信号を前記駆動信号処理ユニットに出力して、前記駆動信号処理ユニットが電気的に遮断されるように制御し、
前記信号処理ユニットは、前記駆動信号処理ユニット及び前記駆動モジュールに電気的に接続され、受信された第1のデューティ比信号を処理した後、第2のデューティ比信号を前記駆動信号処理ユニットに出力して、前記駆動信号処理ユニットが前記低電圧駆動信号を出力するように制御し、
前記駆動信号処理ユニットは、前記駆動モジュールに電気的に接続され、受信された前記第2のデューティ比信号に基づいて第1のレベルの駆動信号を前記駆動モジュールに出力して、前記駆動モジュールが前記高電圧駆動信号を出力するように制御することを特徴とする、請求項2に記載のモータ制御システム。
【請求項4】
前記制御ユニットは、情報収集ユニットにより収集されたモータ動作信号に基づいて、論理処理を行った後に前記モータ制御信号を出力し、
前記情報収集ユニットは、前記制御ユニット及び前記信号処理ユニットに電気的に接続され、前記モータが正常に動作する場合、収集された前記モータ動作信号を前記制御ユニット及び前記信号処理ユニットに入力し、前記モータ動作信号が異常である場合、前記制御ユニットは、迅速対応信号を前記信号処理ユニットに出力して、前記駆動モジュールが前記高電圧駆動信号の出力を停止するように制御することを特徴とする、請求項3に記載のモータ制御システム。
【請求項5】
前記制御ユニットは、自体の異常を検出した場合、第1の制御信号を前記主制御電源に出力して、前記主制御電源が前記第1の駆動電圧の出力を停止するように制御し、前記主制御電源は、独立した動作電源を前記制御ユニットに供給し、
前記駆動信号処理ユニットは、前記第1のディスエーブル信号又は前記第2のディスエーブル信号を受信した場合、第2のレベルの駆動イネーブル信号を前記駆動モジュールに出力して、前記駆動モジュールが電気的遮断状態にあるように制御することを特徴とする、請求項3に記載のモータ制御システム。
【請求項6】
前記監視ユニットが異常である場合、前記監視ユニットは、第3の故障信号を前記安全論理ユニットに出力し、前記安全論理ユニットは、前記第3のディスエーブル信号を前記駆動モジュールに出力して、前記駆動モジュールが電気的遮断状態にあるように制御し、
前記安全論理ユニットが第3のイネーブル信号を出力し、かつ駆動信号処理ユニットが第1のレベルの駆動イネーブル信号を出力する場合、前記駆動モジュールは、前記
高電圧駆動信号を出力することを特徴とする、請求項2に記載のモータ制御システム。
【請求項7】
主制御電源、前記補助電源、及び前記監視ユニットのうちの少なくとも1つの機能ユニットが故障する場合、前記安全論理ユニットは、前記第3のディスエーブル信号を前記駆動モジュールに出力して、前記駆動モジュールが電気的遮断状態にあるように制御することを特徴とする、請求項6に記載のモータ制御システム。
【請求項8】
前記主制御電源は、前記制御ユニット及び前記安全論理ユニットに電気的に接続され、受信された駆動電源を第1の駆動電圧に変換して前記制御ユニットに出力し、前記主制御電源が故障する場合、第1の故障信号を前記安全論理ユニットに出力し、前記安全論理ユニットが前記第3のディスエーブル信号を出力するように制御して、前記駆動モジュールが電気的遮断状態にあるように制御することを特徴とする、請求項7に記載のモータ制御システム。
【請求項9】
前記第1の駆動ユニット及び前記第2の駆動ユニットが故障する場合、前記信号処理ユニットは、第2の制御信号を前記駆動モジュールに出力して、前記駆動モジュールが前記高電圧駆動信号の出力を停止するように制御し、かつ前記第1の駆動ユニットが電気的に遮断され、前記第2の駆動ユニットが電気的に導通されるように制御するか、又は、前記第2の駆動ユニットが電気的に遮断され、前記第1の駆動ユニットが電気的に導通されるように制御することを特徴とする、請求項3に記載のモータ制御システム。
【請求項10】
前記制御ユニットが第1のイネーブル信号を前記駆動信号処理ユニットに出力し、かつ前記監視ユニットが第2のイネーブル信号を前記駆動信号処理ユニットに出力する場合、前記駆動信号処理ユニットは、前記低電圧駆動信号を前記駆動モジュールに出力することを特徴とする、請求項9に記載のモータ制御システム。
【請求項11】
前記主制御電源と前記補助電源とは、互いに独立し、かつ両方とも外部電源ユニットに電気的に接続され、前記外部電源ユニットは、駆動電源を前記主制御電源と前記補助電源に出力し、前記主制御電源は、第1の駆動電圧を前記制御ユニットに出力し、前記補助電源は、第2の駆動電圧を前記監視ユニットに出力することを特徴とする、請求項10に記載のモータ制御システム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のモータ制御システムを含む、モータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、2019年12月31日に提出された出願番号201911409307.6、名称「モータ制御システム及びモータ制御装置」の中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、モータ制御の分野に関し、特に、モータ制御システム及びモータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0003】
科学技術の継続的な発展及び時代の進歩に伴い、電気自動車への応用などのモータ応用は、社会のあらゆる場面に密接に関連している。電気自動車は、省エネルギーで環境に優しく、大気汚染が少ないため、ますます注目されている。電気自動車は、純電気自動車とハイブリッド電気自動車に分けられるが、両方ともモータ駆動システムによりモータを駆動して電気自動車を制御する。
【0004】
モータ制御システムにおいて、モータ制御に対する機能及び性能を考慮するだけでなく、安全性及び信頼性を考慮する必要がある。しかしながら、現在のモータ制御システムの安全性に対する設計が不十分であるため、モータ制御システムの安全性が低く、信頼性が低く、予期せぬ故障をタイムリーかつ効果的に処理することができない。
【発明の概要】
【0005】
前述の課題を解決するために、安全で信頼性の高いモータ制御システム及びモータ制御装置を提供する。
【0006】
本開示の実施例に係るモータ制御システムは、主制御モジュールと、駆動モジュールと、監視モジュールとを含む。前記主制御モジュールは、低電圧駆動信号を前記駆動モジュールに出力し、前記駆動モジュールは、前記低電圧駆動信号を高電圧駆動信号に変換してパワーユニットに出力し、前記パワーユニットは、前記高電圧駆動信号に基づいて高電圧電池から提供された電源駆動信号を出力し、前記電源駆動信号により、前記パワーユニットに接続されたモータを回転させるように駆動する。前記監視モジュールは、前記主制御モジュール及び前記駆動モジュールに電気的に接続され、前記低電圧駆動信号を収集し、かつ前記低電圧駆動信号が異常である場合、故障信号を前記主制御モジュールに出力して、前記主制御モジュールが前記低電圧駆動信号の出力を停止するように制御し、前記監視モジュールは、前記主制御モジュールから独立して、前記監視モジュールに動作電源を供給する補助電源を含む。
【0007】
本開示の一実施例に係るモータ制御装置は、前述のモータ制御システムを含む。
【0008】
従来の技術に比べて、本開示の実施例に係るモータ制御システムは、モータ制御ユニットに対する多層監視処理、独立した安全な切り替え経路、及び制御ユニットと監視ユニットのそれぞれに独立して給電する電源により、モータ制御システムの安全レベルを向上させ、モータ制御システムの安全動作を保障するだけでなく、制御ユニット自体が予期せぬ故障を正常に検出できない状況を回避し、モータ制御システムの安全動作時間及び動作信頼性を効果的に向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の実施例における技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかに、以下に説明される図面は、本開示のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働をしない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0010】
【
図1】本開示の実施例のモータ制御装置の概略構成図である。
【
図2】
図1に示す概略構成図におけるモータ制御システムの回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施例における図面を参照しながら、本開示の実施例における技術手段を明確かつ完全に説明し、明らかに、説明される実施例は、本開示の実施例の一部であり、全てではない。本開示の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をしない前提で得られる他の全ての実施例は、いずれも本開示の保護範囲に属するものである。
【0012】
図1は、本開示の一実施例におけるモータ制御装置10の概略構成図であり、
図1に示すように、モータ制御装置10は、モータ制御システム100、高電圧電池200、パワーユニット300、モータモジュール400、及びハウジング500を含む。モータ制御システム100は、低電圧駆動信号をパワーユニット300に出力し、かつパワーユニット300から出力されたフィードバック信号に基づいて、低電圧駆動信号の出力をリアルタイムに制御する。
【0013】
さらに、モータが故障する場合、モータ制御システム100は、受信された、パワーユニット300から出力されたフィードバック信号に基づいて論理演算を行った後、モータモジュール400が異常であるか否かを判断し、モータモジュール400が異常である場合、予め設定されたプログラムに従って低電圧駆動信号のパワーユニット300への出力を停止する。モータ制御システム100は、出力されたモータ制御信号をセルフチェックすることができ、モータ制御信号にエラーが発生する場合、モータ制御信号の出力を迅速に停止できることにより、モータ制御システムの安全レベルを向上させ、モータ制御システムの安全動作時間及び動作信頼性を向上させる。
【0014】
パワーユニット300は、高電圧電池200及びモータモジュール400に電気的に接続され、モータ制御システム100から出力された低電圧駆動信号の制御作用により、高電圧電池200から提供された電源駆動信号をモータモジュール400に出力する。モータモジュール400は、1つの交流モータ又は直流モータを少なくとも含み、電源駆動信号により、交流モータ又は直流モータを回転させるように駆動する。
【0015】
モータモジュール400は、受信された電源駆動信号に基づいて交流モータ又は直流モータを回転させるように駆動し、かつフィードバック信号をモータ制御システム100に出力する。モータモジュール400は、モータ保護モジュール(図示せず)をさらに含み、取得されたモータ動作データに基づいてモータモジュール400を保護する。
【0016】
さらに、モータ保護モジュールは、モータモジュール400に短絡が発生する場合、取得された短絡電流に基づいてモータとパワーユニット300との間の電気的接続を迅速に遮断し、モータモジュールへの損傷を回避する。
【0017】
ハウジング500の形状は、モータ制御装置10の実際の応用に合わせて設計することができる。さらに、モータ制御装置10は、電気自動車に応用することができ、モータの運転を制御することにより、電気自動車の安全動作時間を増加させ、電気自動車のモータの信頼性及び安定性を向上させる。
【0018】
図2は、本開示の実施例における
図1に示すモータ制御システム100の回路ブロック図である。
図2に示すように、モータ制御システム100は、外部電源ユニット110、主制御モジュール120、駆動モジュール130、及び監視モジュール140を含む。本実施例では、モータ制御システム100は、モータ制御信号を出力して、モータが動作するように駆動し、かつモータ制御信号をリアルタイムに監視し、モータのデータ情報を収集することにより、モータ制御故障信号の出力を減少させ、モータ制御システムの性能及びモータ動作の安全レベルを向上させる。
【0019】
モータ制御信号は、モータ入力電流信号、モータ入力電圧信号、モータトルク信号、及びモータパルス幅変調(Pulse Width Modulation、PWM)デューティ比信号などを含む。
【0020】
外部電源ユニット110は、主制御モジュール120、監視モジュール140、及び駆動モジュール130に電気的に接続され、モータ制御システム100に駆動電源VDDを供給する。外部電源ユニット110は、第1の外部電源1101、第2の外部電源1102、電圧変換ユニット1103、第1のダイオードD1、及び第2のダイオードD2を含む。さらに、第1の外部電源1101と第2の外部電源1102とは、機能が互いに独立し、単独又は同時に電圧を出力することができることにより、外部電源ユニット110の故障でモータ制御システムに給電できないことを防止する。電圧変換ユニット1103は、第2の外部電源1102に電気的に接続され、受信された電圧を変換し、駆動電源VDDを出力する。第1のダイオードD1のアノードは、第1の外部電源1101に電気的に接続され、第1のダイオードD1のカソードは、主制御モジュール120、監視モジュール140、及び駆動モジュール130に電気的に接続される。第2のダイオードD2のアノードは、電圧変換ユニット1103に電気的に接続され、第2のダイオードD2のカソードは、主制御モジュール120、監視モジュール140、及び駆動モジュール130に電気的に接続される。
【0021】
本実施例では、第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2は、出力電圧又は異常電圧の逆入力を防止し、外部電源ユニット110の安全性を保護する。外部電源ユニット110の給電過程において、第1の外部電源1101から出力された第1の出力電圧が電圧変換ユニット1103から出力された第2の出力電圧よりも大きい場合、第2のダイオードD2は、第1の外部電源1101から出力された第1の出力電圧が電圧変換ユニット1103に逆入力されることを防止することができ、電圧変換ユニット1103から出力された第2の出力電圧が第1の外部電源1101から出力された第1の出力電圧よりも大きい場合、第1のダイオードD1は、第2の出力電圧が第1の外部電源1101に逆入力されることを防止することができる。主制御モジュール120、監視モジュール140、及び駆動モジュール130の全て又はいずれか1つに、異常が発生して電圧が大きすぎる場合、第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2は、異常電圧が外部電源ユニット110に逆入力されることを防止することができる。
【0022】
本実施例では、第1の外部電源1101は、電池又は電池パックであってもよく、モータ制御システム100に必要な駆動電源VDDを直接出力する。第2の外部電源1102は、高圧直流電源であってもよく、電圧変換を行った後にモータ制御システム100に必要な駆動電源VDDを出力する。
【0023】
主制御モジュール120は、駆動モジュール130及び監視モジュール140に電気的に接続され、受信された駆動電源VDDに基づいて、モータ制御信号を駆動モジュール130に出力して、モータが動作するように駆動する。主制御モジュール120は、第1の電源1201、情報収集ユニット1202、制御ユニット1203、信号処理ユニット1204、及び駆動信号処理ユニット1205を含む。
【0024】
第1の電源1201は、制御ユニット1203、及び監視モジュール140に電気的に接続され、受信された駆動電源VDDに基づいて第1の駆動電圧VCC1を制御ユニット1203に出力し、第1の電源1201が故障する場合、第1の故障信号FS1を監視モジュール140に出力して、駆動ユニット130が高電圧駆動信号の出力を停止するように制御する。モータ制御システムの給電の独立性及び安全性を向上させるために、第1の電源1201は、主制御モジュール120のみに第1の駆動電圧VCC1を提供し、かつ自体の故障を検出する機能を有する。第1の電源1201に何らかの異常がない場合、第1のレベルの第1の故障信号FS1を監視モジュール140に出力し、第1の電源1201が異常であり、例えば、出力電流又は出力電圧が大きすぎる場合、第2のレベルの第1の故障信号FS1を監視モジュール140及び制御ユニット1203に出力する。第1の電源1201は、主制御電源であってもよい。
【0025】
情報収集ユニット1202は、制御ユニット1203及び信号処理ユニット1204に電気的に接続され、収集されたモータ動作信号を制御ユニット1203及び信号処理ユニット1204に入力する。さらに、情報収集ユニット1202は、復号ユニット、電流収集ユニット、電圧収集ユニット、及び他の位置センサユニットを含む。復号ユニットは、受信された他の位置センサユニットにより収集されたモータ位置データ情報に基づいて、論理演算を行った後にモータ位置信号angleを得て、制御ユニット1203に出力する。電流収集ユニットは、モータの入力電流を収集し、電流センサを含み、電圧収集ユニットは、モータの入力電圧を収集し、電圧センサを含む。
【0026】
本実施例では、他の位置センサユニットは、レゾルバセンサ、エンコーダ、及びホールセンサを含む。モータ動作信号は、モータ位置信号angle、モータ入力電流Ic、及びモータ入力電圧Vcを含み、モータ位置信号angleは、モータ回転角度を含む。
【0027】
制御ユニット1203は、信号処理ユニット1204及び駆動信号処理ユニット1205に電気的に接続され、受信された第1の駆動電圧VCC1に基づいて第1のデューティ比信号を信号処理ユニット1204に出力すると同時に、第1のイネーブル信号EN1を駆動信号処理ユニット1205に出力し、駆動信号処理ユニット1205が低電圧駆動信号を駆動モジュール130に出力するように制御する。さらに、制御ユニット1203は、受信されたモータ位置信号angle、モータ入力電流Ic、及びモータ入力電圧Vcに対して論理演算を行った後、モータ入力電圧又は電流が異常であると判断する場合、第1のディスエーブル信号dis1を駆動信号処理ユニット1205に出力して、駆動信号処理ユニット1205が低電圧駆動信号の出力を停止するように制御する。
【0028】
制御ユニット1203が故障する場合、制御ユニット1203は、第1の制御信号DS1を第1の電源1201に送信し、第1の電源1201は、第1の制御信号DS1を受信した後、第1の駆動電圧VCC1の出力を停止することにより、モータ及び制御ユニット1203の安全性及び信頼性を向上させる。より具体的には、監視モジュール140は、制御ユニット1203から出力されたモータトルク値Mt、重要な変数、及び制御シーケンスをリアルタイムに監視する。異常が発生すれば、例えば、制御ユニット1203から出力された制御信号が異常であれば、駆動モジュール130をオフにして、モータの動作を停止するように制御する。
【0029】
第1のデューティ比信号は、6つのデューティ比制御信号を含み、各デューティ比制御信号は、1つの信号のみを出力し、第1のデューティ比信号における各制御信号は、同じ制御信号であってもよく、異なる制御信号であってもよく、例えば、第1のデューティ比信号における1つは、電流制御信号であってもよく、他のいくつかは、電圧制御信号及び多種類の制御信号であってもよく、電流制御信号であってもよい。モータトルク値Mtは、モータパワー及びモータ回転速度により得ることができ、重要な変数は、制御ユニット1203から出力されたモータ入力電流値、モータ入力電圧値、及びモータ位置信号である。
【0030】
信号処理ユニット1204は、駆動信号処理ユニット1205及び駆動モジュール130に電気的に接続され、受信された第1のデューティ比信号に対してデッドゾーン検出処理を行い、かつ第2のデューティ比信号を駆動信号処理ユニット1205に出力し、さらに受信されたモータ制御情報に基づいて異常信号情報を検出し、モータ制御情報が異常である場合、第2の制御信号を駆動モジュール130に出力して、駆動モジュール130が電気的遮断状態にあるように制御する。モータ制御システム100において、短絡又は過電圧などの迅速対応する必要がある異常が発生する場合、信号処理ユニット1204は、過電流信号OC及び過電圧信号OVを検出した後、異常信号を制御ユニット1203に入力し、制御ユニット1203は、第1の迅速対応信号P1を信号処理ユニット1204に出力し、信号処理ユニット1204は、第2の制御信号P2を駆動信号処理ユニット1205に出力し、駆動信号処理ユニット1205が駆動モジュール130に対してオフウェーブ処理及び三相短絡処理を行うように制御して、駆動モジュール130が高電圧駆動信号の出力を停止するように制御する。
【0031】
第2のデューティ比信号は、第1のデューティ比信号を含み、具体的には、信号処理ユニット1204は、入力された第1のデューティ比信号のデッドゾーンが予め設定されたPWMデューティ比信号のデッドゾーンよりも小さいことを検出する場合、予め設定されたPWMデューティ比信号のデッドゾーンを用いて第1のデューティ比信号を設定し、入力された第1のデューティ比信号のデッドゾーンが予め設定されたPWMデューティ比信号のデッドゾーンよりも大きいことを検出する場合、第1のデューティ比信号を出力する。
【0032】
第1の迅速対応信号P1が第1のデューティ比信号に含まれ、第2の制御信号P2が第2のデューティ比信号に含まれ、第2のデューティ比信号も、6つの制御信号を含み、各制御信号は、1つの信号のみを出力し、第2のデューティ比信号における各制御信号は、同じ制御信号であってもよく、異なる制御信号であってもよい。
【0033】
本実施例では、オフウェーブ処理は、モータ制御システム100におけるPWM信号の出力をオフにすることである。三相短絡処理は、駆動モジュール130における一部の駆動ユニットのスイッチを全てオフにし、かつ他の一部の駆動ユニットのスイッチを全てオンにするように制御することである。三相短絡処理は、モータの回転中に、モータ制御が突然停電することにより電流が駆動モジュール130に逆入力され、駆動モジュール130における駆動ユニットに損傷を与えることを防止し、モータ制御システムの安全性及び信頼性を向上させることができる。
【0034】
駆動信号処理ユニット1205は、駆動モジュール130に電気的に接続され、得られた第2のデューティ比信号に基づいて低電圧駆動信号を出力すると同時に、受信されたイネーブル制御信号に基づいて駆動イネーブル信号を駆動モジュール130に出力する。低電圧駆動信号は、第1の駆動信号PWM1及び第2の駆動信号PWM2を含み、駆動イネーブル信号は、第1の駆動イネーブル信号T1及び第2の駆動イネーブル信号T2を含む。さらに、駆動信号処理ユニット1205は、受信された第2のデューティ比信号を処理した後、第1の駆動信号PWM1及び第2の駆動信号PWM2を出力することにより、駆動モジュール130における異なる駆動ユニットをそれぞれ制御する。
【0035】
モータ制御システムが故障するか又は回路が異常である場合、制御ユニット1203は、第1のディスエーブル信号dis1を駆動信号処理ユニット1205に出力し、このときに、駆動信号処理ユニット1205は、第1の駆動信号PWM1及び第2の駆動信号PWM2の出力を停止する。駆動信号処理ユニット1205は、第2の制御信号P2を受信した後、駆動モジュール130に対してオフウェーブ処理及び三相短絡処理を行う。
【0036】
本実施例では、駆動信号処理ユニット1205は、監視モジュール140から出力された第2のイネーブル信号EN2及び第2のディスエーブル信号dis2を同時に受信する。駆動信号処理ユニット1205は、第1のイネーブル信号EN1及び第2のイネーブル信号EN2を同時に受信する場合、第2のレベルの第1の駆動信号PWM1及び第2のレベルの第2の駆動信号PWM2を駆動モジュール130に出力する。第1のレベルは、ローレベル及びハイレベルを含み、第2のレベルは、ローレベル及びハイレベルを含む。
【0037】
駆動モジュール130は、主制御モジュール120、監視モジュール140、及びパワーユニット300に電気的に接続され、受信されたイネーブル信号及び低電圧駆動信号に基づいて、低電圧駆動信号を高電圧駆動信号に変換し、かつ高電圧駆動信号をパワーユニット300に出力する。駆動モジュール130は、第1の駆動ユニット1301、第3の電源1302、第2の駆動ユニット1303、及び第4の電源1304を含む。
【0038】
第1の駆動ユニット1301は、信号処理ユニット1204に電気的に接続され、第1のモータ駆動信号PT1をパワーユニット300に出力し、第1の駆動ユニット1301が故障する場合、第1の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)信号を信号処理ユニット1204に出力して、信号処理ユニット1204が迅速対応信号を出力するように制御し、第1の駆動ユニット1301がオフウェーブ処理及び三相短絡処理を行うように制御する。第1の駆動ユニット1301が導通されるとき、監視モジュール140から出力された第3のイネーブル信号EN3又は第3のディスエーブル信号dis3をリアルタイムに受信する。第1の駆動ユニット1301は、三相上アーム駆動ユニット又は三相下アーム駆動ユニットを含む。
【0039】
第3の電源1302は、第1の駆動ユニット1301に電気的に接続され、受信された駆動電源VDDに基づいて駆動電圧VCCを第1の駆動ユニット1301に出力する。
【0040】
第2の駆動ユニット1303は、信号処理ユニット1204に電気的に接続され、第2のモータ駆動信号PT2をパワーユニット300に出力し、第2の駆動ユニット1303が故障する場合、第2のIGBT信号を信号処理ユニット1204に出力して、信号処理ユニット1204が迅速対応信号を出力するように制御し、第2の駆動ユニット1303がオフウェーブ処理及び三相短絡処理を行うように制御する。第2の駆動ユニット1303が導通されるとき、監視モジュール140から出力された第3のイネーブル信号EN3又は第3のディスエーブル信号dis3をリアルタイムに受信する。第2の駆動ユニット1303は、三相上アーム駆動ユニット又は三相下アーム駆動ユニットを含む。
【0041】
第4の電源1304は、第2の駆動ユニット1303に電気的に接続され、受信された駆動電源VDDに基づいて駆動電圧VCCを第2の駆動ユニット1303に出力する。第4の電源1304及び第3の電源1302は、機能が互いに独立した給電モジュールであることにより、駆動ユニットへの給電が同時に停止することを防止し、駆動モジュールの出力信号の信頼性を向上させる。
【0042】
本実施例では、第1の駆動ユニット1301及び第2の駆動ユニット1303は、それぞれ第1のIGBT信号及び第2のIGBT信号を信号処理ユニット1204に出力し、第1の駆動ユニット1301又は第2の駆動ユニット1303におけるIGBTモジュールが故障すれば、信号処理ユニット1204は、受信されたIGBT故障信号に基づいて、第2の制御信号P2を第1の駆動ユニット1301及び第2の駆動ユニット1303に出力し、駆動モジュール130がオフウェーブ処理及び三相短絡処理を行うように制御する。
【0043】
監視モジュール140は、主制御モジュール120から出力された制御信号にエラーが発生するか又は制御シーケンスにエラーが発生することを検出すれば、監視モジュール140は、第3のディスエーブル信号dis3を出力することにより、第1の駆動ユニット1301と第2の駆動ユニット1303をそれぞれオフにするか、又は第1の駆動ユニット1301と第2の駆動ユニット1303を同時にオフにする。
【0044】
監視モジュール140は、主制御モジュール120及び駆動モジュール130に電気的に接続され、主制御モジュール120から出力された低電圧駆動信号を収集し、低電圧駆動信号が異常である場合、故障信号を主制御モジュール120に出力して、主制御モジュール120が低電圧駆動信号の出力を停止するように制御する。監視モジュール140は、第2の電源1401、監視ユニット1402、安全論理ユニット1403、及び信号収集ユニット1404を含む。
【0045】
第2の電源1401は、監視ユニット1402及び安全論理ユニット1403に電気的に接続され、受信された駆動電源VDDに基づいて第2の駆動電圧VCC2を監視ユニット1402に出力し、第2の電源1401が異常であるか又は故障する場合、第2のレベルの第2の故障信号FS2を安全論理ユニット1403に出力すると同時に、安全論理ユニット1403は、第3のディスエーブル信号dis3を駆動モジュール130に出力する。第2の電源1401は、補助電源であってもよい。
【0046】
本実施例では、第1の電源1201及び第2の電源1401は、機能が互いに独立し、主制御モジュール120又は監視モジュール140が故障する場合、第1の電源1201又は第2の電源1401をオフにするだけでよく、他の機能モジュールへの給電需要に影響を与えず、モータ制御システムの安全レベルを向上させる。
【0047】
監視ユニット1402は、安全論理ユニット1403、制御ユニット1203、及び駆動信号処理ユニット1205に電気的に接続され、モータ制御信号を受信かつ検出し、モータ制御信号が異常である場合、第2のディスエーブル信号dis2を駆動信号処理ユニット1205に出力し、監視ユニット1402が異常であるか又は故障する場合、第2のレベルの第3の故障信号FS3を安全論理ユニット1403に出力する。
【0048】
本実施例では、監視ユニット1402により監視された、制御ユニット1203から出力されたモータ制御信号は、制御トルク値N1、重要な変数信号、及び制御ユニット1203から出力された制御シーケンスを含む。重要な変数信号は、モータを制御するために入力された電流、電圧、及びモータ位置信号を含む。
【0049】
外部センサによりモータが動作するときの三相電流値、三相電圧値、及びモータ回転速度情報を収集し、監視ユニット1402により論理演算を行った後、モータの実際の出力トルク値N2を得て、かつ制御ユニット1203から出力された制御トルク値N1と比較する。監視ユニット1402は、式(1)又は式(2)に基づいてモータの実際の出力トルク値N2を得ることができ、式は、以下のとおりである。
【0050】
N2=3p(iqψf+(Ld-Lq)idiq)/2 (1)
ここで、idは、モータ回転子の磁界方向の電流を表し、ψfは、モータ回転子の鎖交磁束を表し、Ldは、モータ回転子の磁界方向の座標を表し、Lqは、モータ回転子の磁界方向に垂直な座標を表し、iqは、モータ回転子の磁界方向に垂直な電流を表し、pは、モータの極対数を表す。
【0051】
N2=3p(iβψα-iαψβ)/2 (2)
ここで、pは、モータの極対数を表し、iβは、モータの三相巻線におけるβ軸の電流を表し、ψαは、モータ静止座標系でのα軸の鎖交磁束値を表し、iαは、モータの三相巻線におけるα軸の電流を表し、ψβは、モータ静止座標系でのβ軸の鎖交磁束値を表す。
【0052】
実際の出力トルク値N2と制御トルク値N1との偏差範囲が予め設定されたトルク値Nよりも大きい場合、監視ユニット1402は、制御ユニット1203から出力されたモータ制御信号が異常であると判定すると同時に、第2のディスエーブル信号dis2を駆動信号処理ユニット1205に出力する。駆動信号処理ユニット1205は、第2のディスエーブル信号dis2を受信した後、第1のレベルの第1の駆動イネーブル信号T1及び第1のレベルの第2の駆動イネーブル信号T2を出力して、第1の駆動ユニット1301及び第2の駆動ユニット1303がオフウェーブ処理及び三相短絡処理を行うようにそれぞれ制御する。
【0053】
本実施例では、監視ユニット1402は、信号収集ユニット1404によりモータに必要な電流、電圧、及び位置などのモータデータ信号をリアルタイムに収集すると同時に、収集されたモータデータ信号を制御ユニット1203から出力されたモータ制御信号と比較し、モータデータ信号とモータ制御信号との間の偏差が予め設定された偏差範囲内にあれば、監視ユニット1402は、制御ユニット1203から出力されたモータ制御信号に異常がないと判定し、第2のイネーブル信号EN2を駆動信号処理ユニット1205に出力し続ける。モータデータ信号とモータ制御信号との間の偏差が予め設定された偏差範囲よりも大きければ、監視ユニット1402は、制御ユニット1203から出力されたモータ制御信号に異常が発生したと判定し、第2のディスエーブル信号dis2を駆動信号処理ユニット1205に出力し続ける。
【0054】
さらに、異なる制御信号の予め設定された偏差範囲が異なり、予め設定された偏差範囲は、モータ動作の実際の環境に応じて設定され、モータの動作環境が異なり、同じ信号の予め設定された偏差範囲も異なる。例えば、電気自動車において、モータ電流偏差信号の範囲は、[-5%~5%]の間にあり、モータ電圧偏差信号の範囲は、[0~10%]の間にあり、窓の昇降を制御するモータ電流偏差信号は、[-1%~1%]の間にある。
【0055】
本実施例では、監視ユニット1402は、さらに、制御ユニット1203から出力された制御シーケンスの順序を監視することができ、予め設定された時間T内に、制御ユニット1203から出力された制御シーケンスの順序が予め設定されたシーケンス偏差内にあれば、監視ユニット1402は、第2のイネーブル信号EN2を駆動信号処理ユニット1205に出力し続け、制御ユニット1203から出力された制御シーケンスの順序が予め設定された偏差範囲外にあれば、監視ユニット1402は、第2のディスエーブル信号dis2を駆動信号処理ユニット1205に出力し続けて、駆動信号処理ユニット1205が低電圧駆動信号の出力を停止するように制御する。
【0056】
予め設定された時間Tは、モータの実際の操作に応じて設定される。異なる制御シーケンスの優先度が異なり、異なる優先度の制御シーケンスに対応するフォールトトレランス率が異なり、優先度が高いほど、フォールトトレランス率が低く、優先度が低いほど、フォールトトレランス率が高い。例えば、制御シーケンスの優先度が1であれば、フォールトトレランス率は、1%であり、他の制御シーケンスの優先度が10であれば、フォールトトレランス率は、10%であり、優先度の数字が小さいほど、優先度が高く、複数回のシーケンスの実行過程において、優先度が1の制御シーケンスは、100回のシーケンスの実行中に2回以上の制御シーケンスの偏差が発生すれば、監視ユニット1402は、予め設定された偏差範囲を超えると判定するが、優先度が10の制御シーケンスは、100回のシーケンスの実行中に11回以上の制御シーケンスの偏差が発生すれば、監視ユニット1402は、予め設定された偏差範囲を超えると判定する。
【0057】
安全論理ユニット1403は、第1の駆動ユニット1301及び第2の駆動ユニット1303に電気的に接続され、受信された故障信号FSに基づいて第3のディスエーブル信号dis3を第1の駆動ユニット1301及び第2の駆動ユニット1303に出力する。安全論理ユニット1403は、第1の電源1201、第2の電源1401、及び監視ユニット1402が故障するか否かを監視し、第1の電源1201、第2の電源1401、及び監視ユニット1402のうちの1つ又は複数が故障信号FSを安全論理ユニット1403に出力する場合、安全論理ユニット1403は、第3のディスエーブル信号dis3を出力して、第1の駆動ユニット1301及び第2の駆動ユニット1303における全てのスイッチデバイスをオフにするように制御する。故障信号FSは、第1の故障信号FS1、第2の故障信号FS2、及び第3の故障信号FS3を含む。
【0058】
本実施例では、安全論理ユニット1403が第3のイネーブル信号EN3を出力し、かつ駆動信号処理ユニット1205が第2のレベルの第1の駆動イネーブル信号T1及び第2のレベルの第2の駆動イネーブル信号T2を出力する場合、第1の駆動ユニット1301及び第2の駆動ユニット1303は、モータ駆動信号を出力する。
【0059】
信号収集ユニット1404は、監視ユニット1402に電気的に接続され、モータデータ信号をリアルタイムに収集し、かつ監視ユニット1402に入力する。信号収集ユニット1404は、モータが動作するとき、外部センサによりモータ電流、電圧及びモータ位置を取得する。外部センサは、レゾルバセンサ、エンコーダ、及びホールセンサを含む。
【0060】
モータ制御システムにおいて、第1の外部電源1101及び第2の外部電源1102は、それぞれ独立して、主制御モジュール120、駆動モジュール130、及び監視モジュール140に給電する。モータが正常に動作するように制御する場合、監視ユニット1402は、制御ユニット1203から出力されたモータ制御信号をリアルタイムに検出し、制御ユニット1203は、第1のデューティ比信号を信号処理ユニット1204に出力し、信号処理ユニット1204は、第2のデューティ比信号を駆動信号処理ユニット1205に出力し、駆動信号処理ユニット1205は、第1の駆動信号PWM1及び第2の駆動信号PWM2を出力し、それぞれ第1の駆動ユニット1301及び第2の駆動ユニット1303を制御する。実施例では、監視ユニット1402及び制御ユニット1203は、それぞれ機能が互いに独立した第1の電源1201及び第2の電源1401により給電される。
【0061】
モータ制御システムにおいて、監視ユニット1402は、制御ユニット1203から出力されたモータ制御信号が異常であると検出すれば、第2のディスエーブル信号dis2を出力して、駆動信号処理ユニット1205が第1のレベルの第1の駆動イネーブル信号T1及び第1のレベルの第2の駆動イネーブル信号T2を出力するように制御し、さらに、第1の駆動ユニット1301及び第2の駆動ユニット1303がオフウェーブ処理及び三相短絡処理を行うように制御する。情報収集ユニット1202により収集されたモータ入力電流Ic及びモータ入力電圧Vcが異常である場合、及び第1の駆動ユニット1301が第1のIGBT故障信号を、又は第2の駆動ユニット1303が第2のIGBT故障信号を、信号処理ユニット1204に出力する場合、信号処理ユニット1204が第1のイネーブル信号EN1を出力して、駆動信号処理ユニット1205が第1の駆動信号PWM1及び第2の駆動信号PWM2の出力を停止するように制御する。
【0062】
第1の電源1201、第2の電源1401、及び監視ユニット1402のうちのいずれか1つのユニット又は複数のユニットが同時に故障する場合、即ち、1つの故障信号FSを少なくとも出力する場合、安全論理ユニット1403は、第3のディスエーブル信号dis3を駆動モジュール130に出力する。
【0063】
モータの主制御モジュールに対する多層監視処理、及び独立した安全な切り替え経路により、モータ制御システムは、故障を診断するメカニズムを改善すると同時に、制御機能を最適化かつ統合し、モータ駆動モジュールの制御方法を複数増加させることにより、モータ制御システムの安全レベル及びモータの安全動作を向上させ、モータ制御ユニットが予期せぬ故障を正常に検出できない状況を回避し、モータ制御システムの安全動作時間及び動作信頼性を効果的に向上させる。
【0064】
以上、本開示の実施例のモータ制御システムの1つの回路ブロック図を詳細に説明し、本明細書において具体的な例を用いて本開示の原理及び実施形態を解説したが、以上の実施例の説明は、本開示の方法及びその核心思想の理解を助けるためのものに過ぎず、また、当業者にとって、本開示の思想によって、具体的な実施形態及び適用範囲において変更することもあり、以上のように、本明細書の内容は、本開示を限定するものと理解されるべきではない。