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  • 特許-搬送物の撮影情報記録システム 図1
  • 特許-搬送物の撮影情報記録システム 図2
  • 特許-搬送物の撮影情報記録システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】搬送物の撮影情報記録システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20231003BHJP
   G06Q 10/08 20230101ALI20231003BHJP
【FI】
B65G1/137 F
G06Q10/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021008855
(22)【出願日】2021-01-22
(65)【公開番号】P2022112855
(43)【公開日】2022-08-03
【審査請求日】2022-08-12
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】矢野 秀和
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-052649(JP,A)
【文献】特開2009-298556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
G06Q 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物流センターにおける搬送ライン上を搬送される搬送物の出荷前の梱包場所の近傍に設けられ、前記搬送ラインの起動信号を発する信号源からの前記起動信号が発すると起動する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された搬送物の搬送過程における前記搬送ライン上に来る出荷箱の出荷仕分け直前の上方からの出荷梱包前の前記出荷箱の中身の荷姿に係る映像情報である搬送物情報を記録する情報記録部と、
出荷前には、当該搬送物について前記搬送物について破損及び/もしくは欠品を含むイレギュラーな状態は存在しなかったとする無責性を担保するための無責性担保部と
を具備することを特徴とする搬送物の撮影情報記録システム。
【請求項2】
位置情報および/または時間情報を取得する情報取得手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の搬送物の撮影情報記録システム。
【請求項3】
前記撮影部は、前記搬送ラインより信号を受信し、該信号により前記搬送物情報を記録することを特徴とする請求項1もしくは2に記載の搬送物の撮影情報記録システム。
【請求項4】
前記撮影部は、人手による手動動作により取得された映像に係る信号を受信し、該信号により前記搬送物情報を記録することを特徴とする請求項1もしくは2に記載の搬送物の撮影情報記録システム。
【請求項5】
前記物流センターに係る物流センターシステムの出荷記録データと、前記搬送物情報と、を照合する照合部をさらに具備することを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の搬送物の撮影情報記録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はたとえば搬送物の撮影情報記録システムに係り、特に、ドライブレコーダー活用による出荷オリコン内容確認装置を備えた搬送物の撮影情報記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、立体倉庫に一時保管された物品を出荷する場合の基本動作は、棚に保管されている物品に対し、倉庫管理システム(WMS)から出荷対象物品に対する出荷命令が発せられ、これを物流センター内の立体倉庫、コンベヤ、ソータなどの各種マテハン機器を制御している倉庫制御システム(WCS)に伝わり、立体倉庫内に保管されている出荷対象物品のうち、立体倉庫から出荷するためのスループットの高い物品をピックアップし、出荷動作を開始する。すなわち、物流センターの出荷計画に従い、物品保管庫からその日の出荷計画に従って対象物品が順次出荷されて荷揃え作業用立体倉庫内に保管される。
【0003】
従来、例えば、特許文献1に開示されているように、端末20a~20cと情報処理装置10とを有するシステムであって、情報処理装置10は、商品の商品識別コード及び該商品識別コードに関連付けて商品情報が格納される商品基本情報データベース50と、商品識別コードに関連付けられた商品基本情報データベース50に格納された商品情報を用いて商品に対する検品すべき項目の一覧である検品項目リストを自動生成する検品項目リスト生成部60と、検品項目リストを端末に送信する送信部とを有し、端末20は、送信部から受信した検品項目リストを画面上の情報表示領域に表示する検品作業の高効率化を図る検品リスト自動生成に関するシステムが存在する。
【0004】
また、特許文献2に開示されているように、検品処理装置は、1つまたは複数の検品物品の候補を撮像した検品対象画像と、物品を複数の方向から撮像して得られた各方向ごとのマスタ画像とを照合し、前記検品対象画像に含まれる物品を特定する物品特定部と、前記物品特定部が特定した物品が、伝票データに含まれる検品物品か否かを判定する物品判定部と、前記物品判定部による判定結果に基づく検品作業支援情報を表示する表示制御部と、を備えた検品作業の効率を高める検品作業支援情報を表示する検品処理装置なる技術思想が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-5471号公報
【文献】特開2017-88345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示される技術思想では、例えば医薬品関係等の客先にて営業所からの出荷商品の破損/欠品についてクレームがあった場合、出荷前(物流センター内)で起こったものなのか、出荷後(物流センター外)に起こったものかの判断が難しく、現状はほとんどが物流センター内へのクレームとなってしまっている。
【0007】
本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、出荷商品の破損/欠品についてクレームがあった場合に、出荷前(物流センター内)で起こったものなのか、出荷後(物流センター外)に起こったものかの判断を容易にする搬送物の撮影情報記録システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に解決にあたり、本発明者はまず、クレーム内容が出荷後に発生したものなのか、センター内で発生したものなのかを切り分ける為、出荷仕分け直前でオリコン内容を確認できる仕組みが構築できないかについて考察した。
【0009】
その結果、出荷直前の商品状態を記録していれば、クレームがあった商品について事後確認することができる、という点に想い至った。しかし、現実的に、そのための予算を取っていない場合には、本格的な記録システムの導入は経済的にできない可能性があるが、その場合には、撮影部を活用することで安価な出荷商品簡易記録システムを構築でき、1週間程度のデータ記録が可能となる搬送物の撮影情報記録システムが実現できるという点に想到した。
【0010】
したがって、上述した課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る搬送物の撮影情報記録システムは、物流センターにおける搬送ライン上を搬送される搬送物の出荷前の梱包場所の近傍に設けられた撮影部と、前記撮影部によって撮影された搬送物の搬送過程における映像情報である搬送物情報を記録する情報記録部と、出荷前には、当該搬送物について前記搬送物について破損及び/もしくは欠品を含むイレギュラーな状態は存在しなかったとする無責性を担保するための無責性担保部とを具備することを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の態様に係る搬送物の撮影情報記録システムとして、第1の態様において、前記撮影部は、位置情報および/または時間情報を取得する情報取得手段をさらに備えることを特徴としてもよい。
【0012】
本発明の第3の態様に係る搬送物の撮影情報記録システムとして、第1の態様および第2の態様において、前記搬送物情報は、搬送物の商品名、数量、出荷先、出荷梱包前の荷姿のうち少なくともひとつを指標する情報であることを特徴としてもよい。
【0013】
本発明の第4の態様に係る搬送物の撮影情報記録システムとして、第1の態様から第3の態様のいずれかにおいて、前記撮影部は、前記搬送ラインより信号を受信し、該信号により搬送物情報を記録することを特徴としてもよい。
【0014】
本発明の第5の態様に係る搬送物の撮影情報記録システムとして、第1の態様から第4の態様のいずれかにおいて、前記撮影部は、人手による手動動作により取得された映像に係る信号を受信し、該信号により搬送物情報を記録することを特徴としてもよい。
【0015】
本発明の第6の態様に係る搬送物の撮影情報記録システムとして、第1の態様から第5の態様のいずれかにおいて、前記物流センターシステムの出荷記録データと、前記搬送物情報とを照合する照合部をさらに具備することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の各態様によれば、撮影部を活用し安価な出荷商品簡易記録システムを構築でき、1週間程度のデータ記録が可能となる搬送物の撮影情報記録システムが提供され、撮影部によって撮影された搬送物情報を記録する情報記録部と、位置情報および/または時間情報を取得する情報取得手段とを連携し、また、物流センターシステムの出荷記録データと、前記搬送物情報とを照合することによって、出荷商品の破損/欠品についてクレームがあった場合に無責性、すなわち、出荷前(物流センター内)で起こったものではないこと、即ち出荷商品の破損/欠品について出荷前(物流センター内)側には責任がないことの立証性、換言すれば、すくなくとも出荷前(物流センター内)の状態においては、当該搬送物について破損及び/もしくは欠品を含むイレギュラーな状態は存在しなかった事実の立証性を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの全体構成図である。
図2】本発系の一実施形態に係るシステムのブロック構成図である。
図3】本発明の一実施形態に係るシステムのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係るシステムについて詳細に説明する。
【0019】
本実施形態における搬送物の撮影情報記録システムは、物流センターシステムSにおける搬送物Pの出荷前の梱包場所に設けられた撮影部1と、撮影部1によって撮影された搬送物情報を記録する情報記録部2とを備え、責任を担保する無責性担保部3(無責性担保手段3としてもよい)を有する。
【0020】
すなわち、図1図2に示すように、物流センターシステムSにおける搬送ラインコンベアKによる搬送物Pの出荷前の梱包場所に設けられたドライブレコーダー(撮影部)1により、上方からオリコンの中身を記録可能に撮影し、ドライブレコーダー1によって撮影された情報を情報記録部2により記録する。
【0021】
搬送物の撮影情報記録システムのドライブレコーダー1は、搬送物Pの商品名、数量、出荷先のうち少なくとも1つの出荷情報と、搬送物Pの出荷梱包前の荷姿情報とを撮影し、情報記録部2により記録し、情報記録部2は、ドライブレコーダー1により撮影された、出荷情報と荷姿情報とによる無責性担保部3を有する。この無責性担保部3とは、仮にある出荷商品について破損/欠品があった旨のクレームがあった場合に、無責性、すなわち、出荷前(物流センター内)で起こったものではないこと、即ち出荷商品の破損/欠品について出荷前(物流センター内)側には責任がないことの立証を容易にするものである。換言すれば、すくなくとも出荷前(物流センター内)の状態においては、当該搬送物について破損及び/もしくは欠品を含むイレギュラーな状態は存在しなかった事実の立証性を担保するものであるといえる。
【0022】
ドライブレコーダー(撮影部)1は、GPSデータを基に位置情報および時間情報を取得する情報取得手段7を備え、情報取得手段7が取得した位置情報および時間情報を情報記録部2に記録する。
【0023】
また、ドライブレコーダー(撮影部)1は、搬送ラインより信号を受信し、該信号により搬送物情報を記録する。搬送物情報は、搬送物の商品名、数量、出荷先、出荷梱包前の荷姿の少なくともひとつである。
【0024】
物流センターシステムSの出荷記録データと、搬送物情報とを照合する。すなわち、無責性担保部3は、営業所からの出荷商品の破損/欠品についてクレームの対応があった場合に、物流センターシステムSの出荷記録データと、ドライブレコーダー1により撮影された、出荷情報と荷姿情報と、情報取得手段7が取得した位置情報および時間情報とを照合することで、破損/欠品などのクレームがあった商品について事後確認する。
【0025】
搬送物の撮影情報記録システムの具体的な仕組みとしては、図1に示すように、搬送ラインコンベアKの上方に配した、例えば256GBのSDカード(情報記録部2)搭載可能なドライブレコーダー1と、ドライブレコーダー1に接続された電源制御用のリレー4(該当するコンベアが稼働しているときのみドライブレコーダーに電源供給)と、ドライブレコーダー1電源供給用のパワーサプライ5(例えば、AC100VからDC12Vに変換)と、リレー4に接続されて搬送ラインコンベアKの起動信号(例えば、DC24V)を受けて発信する信号源6とから構成される。
【0026】
ドライブレコーダー1は、リレー4を介して搬送ラインコンベアKのモータ起動信号を発する信号源6と接続され、大容量のSDカード2とリンクさせる。すなわち、搬送ラインコンベアKの信号源6からモータ起動信号が発すると、リレー4を介してドライブレコーダー1が起動し、搬送ラインコンベアK上に来る出荷商品の荷姿情報を撮影し、このとき撮影した商品毎にSDカード(情報記録部2)に順次記録していく。
【0027】
また、ドライブレコーダー1は、リレー4を使用しない場合には、人手による手動動作によりОN信号を受信し、搬送物情報を記録する。
【0028】
なお、ドライブレコーダー1は車内の大きな温度変化にも耐久可能に設計されているため、物流センター内の温度の違いにも対応できる利点もある。
【0029】
次に、以上のように構成された形態についての使用・動作の一例について、図3に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0030】
まず、ステップ10では、物流センターシステムSの出荷記録データを作成し、ステップ20でこの情報を記録する。
【0031】
ステップ30では、搬送物Pが搬送ラインコンベアK上で撮影位置に現れたか否かを判定し、この判定が満たされるまでループ待機する。撮影位置に現れたら信号源6からモータ起動信号が発せられる、
【0032】
ステップ40では、リレー4を介してドライブレコーダー1が起動する。
【0033】
ステップ50で搬送ラインコンベアK上の撮影位置に来た搬送物Pを上方から撮影する。
【0034】
ステップ60では、ドライブレコーダー1によって撮影された情報は、SDカード(情報記録部2)により記録される。
【0035】
ステップ70で、出荷商品の破損/欠品についてクレームの対応があったか否かを判定し、この判定が満たされるまでループ待機する。
【0036】
ステップ80で、クレームの対応があった場合に、物流センターシステムSの出荷記録データと、ドライブレコーダー1により撮影されSDカード(情報記録部2)により記録された出荷情報と荷姿情報とを照合することで、責任を担保できる。
【0037】
また、ステップ10とステップ20は、ステップ60までの間であれば、どのタイミングでもよい。
【0038】
以上、説明したように、本実施形態では、汎用のドライブレコーダー1を活用し安価な出荷商品簡易記録システムを構築でき、大容量のSDカード(情報記録部2)及び該当搬送ラインコンベアKのモータ起動信号とリンクさせることで、1週間程度のデータ記録が可能となる搬送物Pの撮影記録システムを提供することができる。
【0039】
また、一実施例としてドライブレコーダー1やSDカード(情報記録部2)を使用した実施例を説明したが、ビデオカメラなどの画像撮影装置を使用して記録、取得した搬送物情報と、物流センターシステムの出荷記録データとを照合することによっても、容易に責任を担保することができる。
【0040】
あるいは、スマートフォンなどのスマートデバイスの撮影機能で撮影、取得した搬送物情報と、スマートデバイスのGPS機能で取得した位置情報や時間情報と、物流センターシステムの出荷記録データとを照合することによっても、容易に無責性を担保することができる。
【符号の説明】
【0041】
S 物流センターシステム
P 搬送物
K 搬送ラインコンベア
1 ドライブレコーダー(撮影部)
2 SDカード(情報記録部)
3 無責性担保部
4 リレー
5 パワーサプライ
6 信号源
7 情報取得手段
図1
図2
図3