(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】ステッチボンド生地の基層を備えた積荷拘束ストリップ
(51)【国際特許分類】
B32B 5/26 20060101AFI20231003BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20231003BHJP
B32B 27/02 20060101ALI20231003BHJP
B65D 63/10 20060101ALI20231003BHJP
D04H 1/46 20120101ALI20231003BHJP
D04H 1/593 20120101ALI20231003BHJP
【FI】
B32B5/26
B32B27/00 M
B32B27/02
B65D63/10 L
D04H1/46
D04H1/593
(21)【出願番号】P 2019568655
(86)(22)【出願日】2018-05-11
(86)【国際出願番号】 US2018032191
(87)【国際公開番号】W WO2018231391
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-04-23
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501466684
【氏名又は名称】ブロック マシュー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロック マシュー
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-537993(JP,A)
【文献】特開平10-245534(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0176155(US,A1)
【文献】特表2011-519989(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0043988(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0182407(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
D04H 1/00-18/04
C09J 7/00- 7/50
B65D 61/00-63/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基層であって、前記基層の全体にわたって延在するステッチボンド生地であって、前記ステッチボンド生地は不織マットを含み、前記不織マットは、前記不織マットを貫通するステッチ糸によって形成されたステッチによって、互いに隔てられた複数の不織領域を含む、ステッチボンド生地を有する、基層と、
前記基層に対して固定された補強層であって、前記補強層の材料が、前記ステッチボンド生地とは異なって
おり、
前記補強層の前記材料は、積荷拘束ストリップの長さの方向に延在する実質的に平行な複数本の撚り糸を含む、補強層と、
前記補強層に対して固定された接着剤層と
を備え、
前記補強層が、前記接着剤層と前記基層との間に配置されている、
貨物コンテナ内で貨物を固定するための積荷拘束ストリップ。
【請求項2】
前記積荷拘束ストリップが、第1の端部から第2の端部までの長さと、前記長さより短い幅と、前記第1の端部から前記第1の端部と前記第2の端部との間の場所まで延在する取付け領域とを有し、前記接着剤層が前記取付け領域に限定されている、請求項1に記載の積荷拘束ストリップ。
【請求項3】
前記長さが少なくとも9フィート(約274センチメートル)であり、前記幅が10インチ(254ミリメートル)~20インチ(508ミリメートル)の間である、請求項2に記載の積荷拘束ストリップ。
【請求項4】
前記長さが少なくとも9フィート(約274センチメートル)であり、前記幅が24インチ(約610ミリメートル)~50インチ(1270ミリメートル)の間である、請求項2に記載の積荷拘束ストリップ。
【請求項5】
前記長さが少なくとも9フィート(約274センチメートル)であり、前記幅が少なくとも36インチ(約914ミリメートル)である、請求項2に記載の積荷拘束ストリップ。
【請求項6】
前記積荷拘束ストリップが、第1の端部から第2の端部までの長さと、前記長さより短い幅とを有し、前記長さの方向に沿った前記補強層の引張り強度が、前記長さの前記方向に沿った前記基層の引張り強度より大きい、請求項1から5の何れか一項に記載の積荷拘束ストリップ。
【請求項7】
前記接着剤層に付着させられたライナシートをさらに備え、前記接着剤層を露出させるために前記ライナシートを非破壊的に取り除くことができる、請求項1から6の何れか一項に記載の積荷拘束ストリップ。
【請求項8】
前記ステッチボンド生地がMaliwattステッチボンド生地である、請求項1に記載の積荷拘束ストリップ。
【請求項9】
前記不織マットが、繊維当たり1.5デニールのカード処理されたポリエステル繊維を含み、前記不織マットが、1平方メートル当たり65グラム~1平方メートル当たり300グラムの間の目付けを有する、請求項8に記載の積荷拘束ストリップ。
【請求項10】
前記不織マットが、1平方メートル当たり115グラム~1平方メートル当たり300グラムの間の目付けを有する、請求項8に記載の積荷拘束ストリップ。
【請求項11】
前記ステッチボンド生地が、接着プライマ剤、帯電抑制剤、およびサイジング剤を含む群から選択される少なくとも1つの薬剤を含む、請求項1から10の何れか一項に記載の積荷拘束ストリップ。
【請求項12】
前記積荷拘束ストリップが、第1の端部から第2の端部までの長さと、前記長さより短い幅とを有し、
前記撚り糸が、実質的に前記積荷拘束ストリップの幅全体にわたって分布しており、前記幅の方向に1インチ(25.4ミリメートル)当たり撚り糸5~25本の間である分布密度を有する、請求項1から11の何れか一項に記載の積荷拘束ストリップ。
【請求項13】
前記積荷拘束ストリップは、前記接着剤層を含む取付け領域がコンテナに貼り付けられると、前記積荷拘束ストリップの尾部は、前記取付け領域から片持ち梁の方式で延在するように構成されている、請求項1に記載の積荷拘束ストリップ。
【請求項14】
前記積荷拘束ストリップは、前記積荷拘束ストリップがロールから巻き出されたとき、前記積荷拘束ストリップはカールしたままにされるように構成されている、請求項1に記載の積荷拘束ストリップ。
【請求項15】
第1の積荷拘束ストリップの第1の取付け領域を貨物コンテナの第1の内壁に貼り付ける段階であって、前記第1の積荷拘束ストリップが、前記第1の取付け領域に、第1の基層と、前記第1の基層に固定された第1の補強層と、露出した第1の接着剤層とを含む、段階であって、前記第1の基層のステッチボンド生地が前記第1の基層の全体にわたって延在し、前記第1の基層の前記ステッチボンド生地は第1の不織マットを有し、前記第1の不織マットは、前記第1の不織マットを貫通する第1のステッチ糸によって形成された第1のステッチによって、互いに隔てられた複数の第1の不織領域を含み、前記第1の補強層は前記第1の接着剤層と前記第1の基層との間に配置されて
おり、
前記第1の補強層の材料は、前記第1の積荷拘束ストリップの長さの方向に延在する実質的に平行な複数本の第1の撚り糸を含む、段階と、
第2の積荷拘束ストリップの第2の取付け領域を前記貨物コンテナの第2の内壁に貼り付ける段階であって、前記第2の積荷拘束ストリップが、前記第2の取付け領域に、第2の基層と、前記第2の基層に固定された第2の補強層と、露出した第2の接着剤層とを含む、段階であって、前記第2の基層のステッチボンド生地が前記第2の基層の全体にわたって延在し、前記第2の基層の前記ステッチボンド生地は第2の不織マットを有し、前記第2の不織マットは、前記第2の不織マットを貫通する第2のステッチ糸によって形成された第2のステッチによって、互いに隔てられた複数の第2の不織領域を含み、前記第2の補強層は前記第2の接着剤層と前記第2の基層との間に配置されて
おり、
前記第2の補強層の材料は、前記第2の積荷拘束ストリップの長さの方向に延在する実質的に平行な複数本の第2の撚り糸を含む、段階と、
前記第1の取付け領域を前記第1の内壁に貼り付ける前記段階および前記第2の取付け領域を前記第2の内壁に貼り付ける前記段階の後、前記第1の積荷拘束ストリップおよび前記第2の積荷拘束ストリップの尾部を前記貨物コンテナ内に配置された貨物の周りに巻き付ける段階と、
前記尾部を互いに固着させる段階と
を備える、方法。
【請求項16】
前記第1の積荷拘束ストリップおよび前記第2の積荷拘束ストリップのそれぞれが、少なくとも9フィート(約274センチメートル)である第1の端部から第2の端部までの長さと、少なくとも36インチ(914.4ミリメートル)である幅とを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の不織マットは、1平方メートル当たり115グラム~1平方メートル当たり300グラムの間の目付けを有し、前記第2の不織マットは、1平方メートル当たり100グラム~1平方メートル当たり300グラムの間の目付けを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の取付け領域を前記第1の内壁に貼り付ける前記段階の後であって、前記第1の積荷拘束ストリップおよび前記第2の積荷拘束ストリップの前記尾部を前記貨物コンテナ内に配置された前記貨物の周りに巻き付ける前記段階の前に、前記第1の積荷拘束ストリップの尾部は、前記第1の取付け領域から片持ち梁の方式で延在する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の積荷拘束ストリップをロールから巻き出す段階をさらに備え、巻き出す前記段階の後、前記第1の積荷拘束ストリップは、カールしたままになる、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[相互参照]
本出願は、2017年6月13日出願の米国特許出願第15/621,424号の利益を主張し、この出願を参考として本明細書に全体として援用する。
【背景技術】
【0002】
国内で、かつ/または国際的に貨物を輸送するとき、インターモーダルコンテナが一般に使用されている。こうしたコンテナは、海または他の水域を越えて輸送するために、貨物船に積載することができる。陸上輸送においては、これらのコンテナをトレーラの上に載せ、次いでトラックによって陸路で運搬することができる。こうしたコンテナは、鉄道フラットカーに積載して輸送することもできる。
【0003】
輸送コンテナは、箱、クレート、ドラム缶、補強バッグ、プラスチック包装された束、ケース貨物、金属コイル、特殊厚紙ロール、パレットにマウントされたプラスチックまたは金属のコンテナ、および/または多くの他の形態の貨物で積載される場合がある。海上輸送および陸上輸送の規則では、こうした積荷の横方向の移動を抑制することが必要とされる。特に、輸送コンテナは、コンテナが船舶または他の輸送機関によって運搬されるとき、かなりの運動にさらされる場合がある。インターモーダルコンテナ内の貨物が拘束されていない場合、貨物が移動し、コンテナの壁またはコンテナのドアと衝突する恐れがある。コンテナ内の貨物の質量はかなり大きい場合があるので、こうした移動および/または衝突は、輸送作業者および一般の人々にとって悲惨な結果をもたらす恐れがある。たとえば、移動している貨物はコンテナの壁と衝突したときに損傷する恐れがあり、かつ/または移動している他の貨物によって潰される恐れがある。貨物が損傷すると製品が放出される恐れがあり、その製品が有毒または有害である場合がある。別の例として、移動した貨物により輸送コンテナ自体の重心が変わり、それによってコンテナを運搬している船、トラック、または他の車両に重大な問題が生じる恐れがある。
【0004】
輸送コンテナ内に貨物を固定するために、積荷拘束ストリップが使用される場合がある。それぞれのストリップは柔軟であり、コンテナの内側側壁と接触するように押圧される、接着剤でコーティングされた端部を有することができる。次いで、各ストリップの他方の端部を貨物の周りに巻き付け、締め付けることができる。巻き付けられた端部は、米国特許第6,981,827号に記載のようなツールおよび方法を使用して締め付けることができ、この特許は参考として本明細書に援用される。次いで、裏面に接着剤が付いた3枚目のストリップを締め付けられた端部の上に貼って、これらの端部を互いに固着させることができる。この手順は、単一の輸送コンテナの中で何度も繰り返される場合がある。
【0005】
種々の知られているタイプの拘束ストリップが存在する。こうしたストリップは、通常、バッキングおよび何らかの形態の補強材を含む。知られているストリップの例が、米国特許第6,089,802号、米国特許第6,227,779号、米国特許第6,607,337号、米国特許第6,896,459号、米国特許第6,923,609号、米国特許第7,018,151号、米国特許第7,066,698号、米国特許第7,290,969号、米国特許第7,329,074号、米国特許第8,113,752号、米国特許第8,128,324号、米国特許第8,403,607号、米国特許第8,403,608号、米国特許第8,403,609号、米国特許第8,408,852号、米国特許第8,419,329号、米国特許第8,979,449号、および米国特許第9,090,194号のうちの1つまたは複数に記載されている。
【発明の概要】
【0006】
この概要は、詳細な説明において以下でさらに説明される様々な概念を、単純化した形態で導入するために提供されている。この概要は、本発明の重要な特徴または不可欠な特徴を特定することを意図したものではない。
【0007】
いくつかの実施形態では、積荷拘束ストリップは、インターモーダルコンテナ、または別のタイプの貨物コンテナ内で貨物を固定する際に使用されるように構成され得る。積荷拘束ストリップは、ステッチボンド生地を備える基層を有することができる。別個の補強層は、引張り強度を向上させるために、補強撚り糸または他のタイプの材料を備えることができる。接着剤層はコンテナ壁に取り付けられるように構成することができ、こうした取付けの前に剥ぎ取ることができる剥離紙ライナを含むことができる。
【0008】
添付図面の図において、限定のためではなく一例としていくつかの実施形態を図示する。これらの図において、同様の参照符号は同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】少なくともいくつかの実施形態による積荷拘束ストリップの内側面を示す部分概略平面図である。
【0010】
【
図1B】
図1Aの積荷拘束ストリップの外側面を示す部分概略平面図である。
【0011】
【
図1C】剥離紙ライナが取り除かれた後の
図1Aの積荷拘束ストリップの外側面を示す部分概略平面図である。
【0012】
【
図2】
図1Bに示した場所から取った部分概略区域断面図である。
【0013】
【
図3】
図2に示した場所から、部分概略区域断面図の一部を拡大した図である。
【0014】
【
図4】
図1Bに示した場所から取った部分概略区域断面図である。
【0015】
【
図5】
図4に示した場所から、部分概略区域断面図の一部を拡大した図である。
【0016】
【
図6】
図1Cに示した場所から取った部分概略区域断面図である。
【0017】
【
図7】
図6に示した場所から、部分概略区域断面図の一部を拡大した図である。
【0018】
【
図8A】いくつかの実施形態による積荷拘束ストリップの使用を示す図である。
【
図8B】いくつかの実施形態による積荷拘束ストリップの使用を示す図である。
【
図8C】いくつかの実施形態による積荷拘束ストリップの使用を示す図である。
【
図8D】いくつかの実施形態による積荷拘束ストリップの使用を示す図である。
【
図8E】いくつかの実施形態による積荷拘束ストリップの使用を示す図である。
【0019】
【
図9A】ステッチボンド生地の基層のない積荷拘束ストリップが貨物の周りに巻き付けられた、貨物コンテナの背面図である。
【
図9B】ステッチボンド生地の基層のない積荷拘束ストリップが貨物の周りに巻き付けられた、貨物コンテナの背面図である。
【0020】
【
図9C】ステッチボンド生地の基層を有する積荷拘束ストリップが貨物の周りに巻き付けられた、貨物コンテナの背面図である。
【
図9D】ステッチボンド生地の基層を有する積荷拘束ストリップが貨物の周りに巻き付けられた、貨物コンテナの背面図である。
【0021】
【
図10】いくつかの実施形態による積荷拘束ストリップの取付け領域をコンテナ壁に貼り付けた後の、そのストリップを示す図である。
【0022】
【
図11】いくつかの実施形態による方法におけるステップを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書により詳細に記載されるように、少なくともいくつかの実施形態による新規な積荷拘束ストリップは、ステッチボンド生地から形成されるバッキング層を含む。ステッチボンド生地のバッキングを組み込んだ積荷拘束ストリップは、これまでに知られている積荷拘束ストリップに勝る利点を提供することができる。たとえば、ステッチボンド生地のバッキングを使用して、積荷拘束ストリップを補剛することができる。これにより、いくつかの実施形態では、またこれまでに知られている積荷拘束ストリップと比較して、装着中に所望の配向にとどまりやすい積荷拘束ストリップが提供され得る。たとえば、いくつかの実施形態による積荷拘束ストリップを装着している間、締付けツールを使用する準備として、装着者が2枚の積荷拘束ストリップの尾部を単一の場所で把持する場合がある。これら2つの尾部をこの単一の場所で把持している間、装着者が締付けツールを尾部に設置し得る前にこれらの尾部の固着されていない部分が定位置から動きにくくなる。
【0024】
ステッチボンド生地のバッキングにより積荷拘束ストリップをより剛性の高いものにすることができるが、こうした材料は、やはりストリップの剛性を向上させ得る他のタイプのバッキング材料を使用したストリップに比べて、ストリップの引張り強度または引張り弾性率に目立って影響しない。たとえば、積荷拘束ストリップのバッキング層または補強層として、特定のタイプの絡み織り材料が使用される場合がある。こうした絡み織り材料は、積荷拘束ストリップを補剛する傾向にある場合がある。しかし、これらは積荷拘束ストリップの引張り強度も著しく向上させる傾向にある。驚くことに、これは必ずしも望ましいとは限らない。
【0025】
具体的には、またこれはやや直感に反するが、積荷拘束ストリップは、引張り強度が大きくなりすぎた場合、効果的でなくなる場合がある。これは、引張り強度の増加に通常伴う、引張り弾性の低下の結果であると考えられている。ストリップの弾性が不十分である場合、コンテナ壁にストリップを取り付ける接着剤が、高いG荷重を受けてはがれる場合がある。バッキング材料としてステッチボンド生地を使用し、引張り補強を提供するために異なるタイプの材料を使用することにより、積荷拘束ストリップの引張り強度および引張り弾性と、積荷拘束ストリップの剛性とを別々に制御することができる。
【0026】
図1Aは、少なくともいくつかの実施形態による積荷拘束ストリップ100の内側面151を示す部分概略平面図である。
図1Bは、積荷拘束ストリップ100の外側面150を示す部分概略平面図である。積荷拘束ストリップの外側面は、ストリップのうち、ストリップがコンテナ壁に取り付けられるときにその壁に接触する接着剤を含む面である。概して、また締付け中に別のストリップの端部とともに巻かれるストリップの端部の部分を除いて、積荷拘束ストリップの外側面は、ストリップが装着されると、貨物から離れた方に向く。積荷拘束ストリップの要素の外側面または外側は、その要素のうち、ストリップが(
図1A~
図1Cの場合のように)平らに置かれたときに接着剤と同じ方向に向く側または面である。積荷拘束ストリップの内側面は、外側面とは逆側にあり、かつ、締付け中に別のストリップの端部とともに巻かれるストリップの端部の部分を除いて、ストリップが装着されると概して貨物の方に向く、面である。積荷拘束ストリップの要素の内側面または内側は、その要素のうち、ストリップが平らに置かれたときにストリップの内側面と同じ方向に向く側または面である。
【0027】
便宜上、ストリップ100の一部が
図1A~
図1Cから省略されていることを概略的に示すために、波状の表示がこれらの図に加えられているが、実際のストリップにはこの部分が存在する。これらの表示は、ストリップ100の構造における実際の断絶を表すものではない。むしろ、これら表示のそれぞれは、任意の長さにわたって連続的に途切れなく延在し、かつ、この表示にすぐ隣接する領域の構造と同一の構造を有する、ストリップ100の一部を表す。
【0028】
図1Aには、ストリップ100の基層を形成する、ステッチボンド生地の帯115も見て取ることができる。以下により詳細に説明するように、帯115のステッチボンド生地は不織マットを備えることができ、その不織マットを編込み糸が貫通する。便宜上、
図1Aでは、比較的粗いグリッドを使用して帯115のステッチボンド生地を概略的に表している。いくつかの実施形態では、帯115の材料はそこに形成されたグリッド状パターンを有する場合があるが、そのグリッドは、実際には
図1Aによって提案されているものより実質的に細かくてもよい。
【0029】
図1Aに示すように、ストリップ100は実用部分131を有する。ストリップ100のこの実施形態では、実用部分131は、第1のストリップ端部103から第2のストリップ端部104まで、ストリップ100の長さ全体に延在する。しかし、他の実施形態では、積荷拘束ストリップの実用部分は、そのストリップの全長より短くてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、複数のストリップ100が互いに接合され、ロール上に巻かれてもよい。ミシン目の線により、そのロール上の隣接するストリップ100の端部104と端部103とを隔てることができる。ストリップ100は、ミシン目の線に沿って破る、または切り取ることによってロールから取り除くことができる。
【0031】
図1Bには、積荷拘束ストリップ100の外側面150がライナ付き構成で示してある。具体的には、また以下により詳細に説明するように、取付け領域132の接着剤層を覆うために、剥離紙ライナ101が取り付けられる。
図1Cは、外側面150を示す別の部分概略平面図であるが、剥離紙ライナ101が取り除かれて接着剤層106が露出している。接着剤層106は、ライナ101を取り除くことによって露出させられると、貨物コンテナの内壁に押圧されることで、ストリップ100の取付け領域132をそのコンテナ壁に固着させることができる。この場合、ストリップ100の尾部133は、取付け領域132から離れて延在することができる。取付け領域132を固着させた後、この尾部133は、最初はコンテナ壁に沿って延在することができる。以下により詳細に説明するように、その後、尾部133は貨物の周りに巻き付けられ、次いで別のストリップの尾部とともに締め付けられ、それと固着され得る。
【0032】
ストリップ100のこの実施形態では、接着剤層106は取付け領域132の全体にわたって延在する。接着剤層106および取付け領域132の第1の端部107は、ストリップ100および実用部分131の第1の端部103と位置合わせされている。接着剤層106および取付け領域132の第2の端部108は、ストリップ100および実用部分131の第1の端部103と第2の端部104との間に配置されている。
図1Cに示すように、実用部分131は長さL
Wおよび幅W
Wを有する。取付け領域132は長さL
Aおよび幅W
Aを有し、ストリップ100のこの実施形態ではW
A=W
Wである。いくつかの実施形態では、L
Wは9~14フィート(約274~427センチメートル)の間(たとえば12フィート(約366センチメートル))であり、L
Aは2~6フィート(約61~183センチメートル)の間(たとえば5フィート(約152センチメートル))であり、W
Wは10~20インチ(254~508ミリメートル)の間(たとえば16インチ(約406ミリメートル))である。いくつかの実施形態では、L
Wは9~14フィート(約274~427センチメートル)の間(たとえば12フィート(約366センチメートル))であり、L
Aは2~6フィート(約61~183センチメートル)の間(たとえば5フィート(約152センチメートル))であるが、W
Wは実質的により幅広であり、24~50インチ(約610~1270ミリメートル)の間(たとえば32インチ(約813ミリメートル)、36インチ(約914ミリメートル)、または40インチ(1016ミリメートル))であってもよい。いくつかの実施形態では、W
AはW
Wより短くてもよい。
【0033】
図1Bおよび
図1Cから分かるように、また以下でより詳しく論じるように、ストリップ100は、補強層110に複数の補強撚り糸111を含む。撚り糸111は、外側面150の黒い線として示してある。不必要な詳細で
図1Bおよび
図1Cを不明瞭にすることを避けるために、黒い線の数は、実際のストリップ100に存在し得る補強撚り糸の数より著しく少ない。さらに、撚り糸111は、白でもオフホワイトでもよく、またはその他の色で薄く着色されても、半透明でも透明でもよい。いくつかの実施形態では、また
図1Bおよび
図1Cに示すように、補強撚り糸は、積荷拘束ストリップ100の長さL
Wに対して平行な方向にのみ延在する。
【0034】
図2は、
図1Bに示した場所から取った、ストリップ100の部分概略区域断面図である。
図3は、
図2に示した場所から、この部分概略区域断面図の一部を拡大した図である。
図3には、積荷拘束ストリップ100がライナ付き構成のとき、すなわち剥離紙ライナ101を定位置に有するときの取付け領域132の要素が示してある。接着剤層106および補強層110に加えて、ストリップ100は基層114を含む。補強層110および基層114はストリップ100の実用部分131の長さ全体にわたって延在するが、接着剤層106は取付け領域132に限定される。
【0035】
基層114は、ステッチボンド生地の帯115によって形成される。布帛の技術分野で知られているように、ステッチボンド生地は、不織材料をステッチで機械的に結合することによって作製される。ステッチボンド(stitchbond)生地は、「ステッチボンド(stitch bond)」生地、「ステッチボンド(stich-bond)」生地、「ステッチボンドされた(stitchbonded)」生地、「ステッチボンドされた(stitch bonded)」生地、および「ステッチボンドされた(stitch-bonded)」生地としても知られている。ステッチボンド生地は、ステッチボンディング(stitchbonding)(または「ステッチボンディング(stitch bonding)」など)と呼ばれることのあるプロセスによって作製されるが、ステッチボンド生地は、他のプロセスによって形成される生地構造とは異なる特定のタイプの生地構造を有する。具体的には、ステッチボンド生地は、その基材を貫通する編み目によって不織繊維基材材料が補強されかつ構造的に画定されたハイブリッド材料である。いくつかのタイプのステッチボンド生地では、基材は不織繊維のマットまたはウェブであってもよく、ステッチはその基材を貫通する別個の糸であってもよく、これらの糸は編み込まれて、ステッチ糸によって隔てられたあるパターンの不織領域を作り出す。他のタイプのステッチボンド生地では、ステッチは、不織マットから取られた繊維によって作成されてもよい。
【0036】
多くのタイプのステッチボンド生地が存在する。Maliwattステッチボンド生地は、バットを貫通するステッチ糸によって互いに編み込まれた不織バットのマットを備える。Malivliesステッチボンド生地は、Maliwattに類似しているが、別個のステッチ糸を使用しない。むしろ、バットから取られた繊維を使用して、バットにステッチを形成する。他のタイプのステッチボンド生地には、Kunit生地、Multiknit生地、Malipol生地、Voltex生地、およびMalimo生地が含まれるが、これらに限定はされない。
【0037】
図3に概略的に示されるように、帯115は、不織繊維バットのマット181を備える。編込み糸長182がマット181を貫通し、ステッチ183を形成する。話を簡単にするために、帯115のステッチ183は、
図3、
図5、および
図7では、互いに隣接して位置する2つの異なる糸長の一部として示されている。しかし、これらのステッチは、これらの糸長を互いに機械的にリンクさせる、これらの糸長のループも含むことになる。種々のタイプのステッチを使用することができ、異なる実施形態においては、ステッチの密度および配置は異なっていてよい。いくつかの実施形態では、帯115の材料は、繊維当たり1.5デニールのカード処理されたポリエステル繊維のマットから形成され、かつ、流れ方向に走るステッチ糸を有する、Maliwatt生地であってもよく、この生地は、1平方メートル当たり65グラム(gsm)~300gsmの間の目付けを有する。表1には、いくつかの実施形態において帯115の材料に使用することができる、1つのタイプのステッチボンド生地の特性が列挙してある。
【表1】
【0038】
表1の目付けは、ASTM規格D3776によって説明される方法による測定値を表す。表1の厚みは、ASTM規格D1777によって説明される方法による測定値を表す。表1のグラブ引張り強度は、ASTM規格D5034によって説明される方法による測定値を表す。いくつかの実施形態では、帯115の材料として使用されるステッチボンド生地は、表1の特性のうちの1つまたは複数に関して、表1に示されるように、たとえば表1に示した値の+/-約5%の範囲に収まる値を有してもよい。たとえば、帯115の材料として使用されるステッチボンド生地は、いくつかの実施形態では、4.4オンス/平方ヤード(約149グラム/平方メートル)~4.8オンス/平方ヤード(約163グラム/平方メートル)の間の目付け、および/または24ミル(約0.61ミリメートル)~26ミル(約0.66ミリメートル)の間の厚み、および/または78ポンド(約35キログラム)~86ポンド(約39キログラム)の間の流れ方向のグラブ引張り強度、および/または76ポンド(約34キログラム)~84ポンド(約38キログラム)の間の横方向のグラブ引張り強度、および/または15%~17%の間の流れ方向の伸び、および/または7.6%~8.4%の間の横方向の伸び、および/または61ポンド(約28キログラム)~67ポンド(約30キログラム)の間のモジュラスを有してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、帯115の材料として使用されるステッチボンド生地は、浸漬または他の技法によって生地に塗布された1つまたは複数の薬剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ステッチボンド生地は接着プライマ剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ステッチボンド生地は帯電抑制剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ステッチボンド生地はデンプンなどのサイジング剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ステッチボンド生地は、これらの薬剤のうちのいくつかまたはすべての組合せを含んでもよい。
【0040】
補強層110は、基層114に対して固定される。具体的には、補強撚り糸111が、ラミネート接着剤118によって帯115の外側に結合される。ストリップ100のこの実施形態では、撚り糸111は互いに対して、また実用部分131の長さL
Wの方向に対して平行であり、他の方向に配向された撚り糸111は存在しない。いくつかの実施形態では、撚り糸111のそれぞれは1本または複数本のポリマー繊維を備え、約1400~約1650の間のデニール(すなわち9000メートル当たりのグラム単位の線密度)を有する。特定の実施形態では、撚り糸111は約1450~約1600の間のデニールを有してもよい。いくつかの実施形態では、撚り糸111のデニールは約1479~約1547の間であってもよく、目標デニールは約1513である。いくつかの実施形態では、補強層110は、16インチ(約406ミリメートル)の幅W
Wを有する積荷拘束ストリップにおいて約100~約320本の間の補強撚り糸111を含み、したがって、(幅W
Wの方向に、また長さL
Wに対して垂直な方向に)1インチ(25.4ミリメートル)当たり撚り糸6.25~20本の間の撚り糸分布密度になる。いくつかの実施形態では、積荷拘束ストリップは(幅W
Wにかかわらず)、(幅W
Wの方向に、また長さL
Wに対して垂直な方向に)1インチ(25.4ミリメートル)当たり撚り糸5~25本の間の撚り糸分布密度を有してもよい。撚り糸111の例示的な材料にはポリエステルが含まれる。表2には、いくつかの実施形態におけるポリエステル撚り糸111の例示的な特性が示してある。
【表2】
【0041】
表2の範囲は、単に例示を目的としたものである。実施形態には、補強撚り糸が表2に示された範囲を著しく外れた1つまたは複数の特性を有する積荷拘束ストリップが含まれる。実施形態には、補強層がガラス、ポリプロピレン、カーボン、または何らかの他の材料から形成された補強撚り糸を備える積荷拘束ストリップも含まれる。少なくともいくつかの実施形態では、補強層110は、長さLWに対して平行な方向ではバッキング層114より大きい引張り強度を有する。
【0042】
少なくともいくつかの実施形態では、ラミネート接着剤118は、約2900センチポアズ(cps)(約2.9Pa・s)~約3200cps(約3.2Pa・s)の間の粘度を有する、透明なエチレン酢酸ビニル水性共重合体接着剤である。実施形態には、ラミネート接着剤がこの範囲を著しく外れた粘度を有し、かつ/または異なるタイプの接着剤を含む積荷拘束ストリップが含まれる。上に示したように、接着剤118は、帯115の外側に補強繊維111を結合するために使用される。加えて、または別法として、いくつかの他の実施形態では、補強繊維は基層材料の内側に結合されてもよい。
【0043】
接着剤層106は、補強層110および基層114に対して固定される。しかし、補強層110および基層114とは異なり、また
図1Cから分かるように、接着剤層106は、取付け部分132に限定されている。積荷拘束ストリップ100のこの実施形態では、接着剤層106は第1の接着剤サブ層121と、第2の接着剤サブ層119と、基材サブ層120とを備える。基材サブ層120により、接着剤サブ層121と接着剤サブ層119とが少なくとも部分的に隔てられる。しかし、いくつかの実施形態では、基材120は、接着剤サブ層121と接着剤サブ層119との間の直接的な接触を可能にする穴または他のミシン目を特定の領域に含む場合がある。ストリップ100がライナ付き構成であるとき、剥離紙ライナ101が接着剤サブ層121の外側に貼り付けられている。ライナ101は、たとえば層121の接着剤の影響を受けないように処理された紙製品から形成することができる。こうした製品には、ワックス、シリコーン、または他の非粘着材料でコーティングまたはその他の方法で含浸された紙が含まれる。
【0044】
少なくともいくつかの実施形態では、接着剤サブ層121と接着剤サブ層119とは同じタイプの接着剤を含有する。少なくともいくつかのこうした実施形態では、接着剤サブ層121および接着剤サブ層119は、約50psi(約345キロパスカル)~約100psi(約689キロパスカル)の間のせん断強度を有するアクリル系接着剤を含有する。実施形態には、接着剤層の接着剤がこの範囲を著しく外れた特性を有し、かつ/または異なるタイプの接着剤を含む積荷拘束ストリップが含まれる。いくつかの実施形態では、接着剤層106は約3ミル(0.0762ミリメートル)(1ミル=0.001インチ(0.0254ミリメートル))の厚みを有するが、実施形態には、実質的に異なる厚みを有する接着剤層を備えた積荷拘束ストリップが含まれる。
【0045】
基材サブ層120は、ポリエチレンテレフタラート(PET)または他のポリマーのフィルムを備えてもよく、約0.5ミル(約0.0127ミリメートル)~約1.0ミル(約0.0254ミリメートル)の間の厚みを有することができる。基材サブ層が存在するとき、これはストリップ100の積荷拘束強度にほとんどまたは全く寄与し得ず、単に接着剤サブ層121および接着剤サブ層119の支持体として機能し得る。具体的には、接着剤層106は、最初は、接着剤サブ層119と接着剤サブ層121とによって挟まれた基材サブ層120を有する両面接着テープの形を取ることができる。このテープの片面にライナ101を取り付けることができる。製造プロセス中、この両面テープの一部をより大きいロールから切り取り、部分的に完成したストリップ100の一部に貼ることができる。いくつかの実施形態では、基材サブ層が存在しない場合がある。接着剤層の基材がないいくつかのこうした実施形態では、サブ層121と実質的に同様のアクリル系接着剤の層を、転写テープを使用して、部分的に完成したストリップ100に貼ることができる。
【0046】
他の実施形態では、サブ層121とサブ層119とは異なるタイプの接着剤を含んでもよい。以下により詳細に説明するように、ストリップ100が装着されるとき、接着剤サブ層121は輸送コンテナ壁に付着させられる。多くの用途では、サブ層121とコンテナ壁との間の接着結合が非永続的であることが必要とされる。コンテナがその目的地に到着し、ストリップ100が取り除かれるとき、接着剤残渣がコンテナ壁にほとんどまたは全く残らないことが望ましい。上記その他の理由から、サブ層121は、大きい温度勾配に対応することができる、せん断強度が高い感圧アクリル系接着剤であることがしばしば望まれる。しかし、接着剤サブ層119はコンテナ壁に接触しないので、この層に関しては、接着剤残渣は問題にならない。したがって、サブ層119は、サブ層121に使用される接着剤とは異なる特性を有する他のタイプの接着剤を含んでもよい。たとえば、サブ層119の接着剤は、ストリップ100がコンテナ壁から取り除かれるとき、基材サブ層120がストリップ100から分離しないことを確実とするために、サブ層121の接着剤より大きいせん断強度および剥離強度を有するように選択されてもよい。いくつかのこうした実施形態では、サブ層119の接着剤はゴムを主成分とするタイプの接着剤であってもよいし、サブ層121の接着剤とは異なる配合を有するアクリル系接着剤であってもよい。
【0047】
図4は、
図1Bに示した別の場所から取った、ストリップ100の別の部分概略区域断面図である。
図5は、
図4に示した場所から、この部分概略区域断面図の一部を拡大した図である。
図5から分かるように、尾部133におけるストリップ100の構造は領域132の構造と類似しているが、接着剤層106およびライナ101が存在しない。
【0048】
図6は、
図1Cに示した場所から取った、ストリップ100の部分概略区域断面図である。
図7は、
図6に示した場所から、この部分概略区域断面図の一部を拡大した図である。
図7は
図3に類似しているが、ライナ101が剥ぎ取られた後の取付け領域132の構造を示している。少なくともいくつかの実施形態では、ライナが付いた状態の複数のストリップ100が端部同士を連結され、ロールに巻かれる。個々のストリップをロールから巻き出し、(たとえばストリップの間のミシン目に沿って)分離させることができる。次いで剥離紙ライナを取り除き、その後、取付け領域をコンテナ壁に取り付けることができる。
【0049】
図8A~
図8Eには、いくつかの実施形態による積荷拘束ストリップの使用法が示してある。不必要な詳細でこれらの図が分かりにくくなることを避けるために、帯115を表すグリッド(
図1Aを参照)と、撚り糸111を表す線(
図1Bおよび
図1Cを参照)とは、
図8A~
図8E、
図9C、
図9D、および
図10では省略されている。
図8Aには、上壁201および右側壁202の一部が切り取られた輸送コンテナ200が示してある。
図8Aには、第1の積荷拘束ストリップ100(1)および第2の積荷拘束ストリップ100(2)も示してある。ストリップ100(1)およびストリップ100(2)のそれぞれは、
図1A~
図7に関連して上に述べたストリップ100と同様の構造を有する。ストリップ100(1)およびストリップ100(2)は、これまでに知られている積荷拘束ストリップの幅より広い(たとえば36インチ(約914ミリメートル)以上の)幅W
Wを有する。
【0050】
ストリップ100(1)は、コンテナ200の左側壁203の内側表面に取り付けられている。具体的には、ライナ100(
図1Bおよび
図3)と同様の剥離紙ライナが取付け領域132(1)から取り除かれて、接着剤層106(
図1Cおよび
図7)と同様の接着剤層を露出させている。次いで、この接着剤層を壁203の内側に押圧して、壁203の波形内側表面に形を沿わせ、そこに付着させた。同様の方式で、ストリップ100(2)の剥離紙ライナを取り除き、接着剤層106(2)を露出させた。次いで、接着剤層106(2)を壁202の内側に押圧して、壁202の波形内側表面に形を沿わせ、そこに付着させた。ストリップ100(2)の付着させた取付け領域132(2)が
図8A~
図8Eに示されているが、付着させた先の壁202の内側表面は省略されている。
【0051】
図8Aでは、ストリップ100(1)およびストリップ100(2)の尾部133(1)および尾部133(2)も見ることができる。ストリップ100(1)およびストリップ100(2)のバッキング層のステッチボンド生地により、尾部133(1)および尾部133(2)のたわみは、従来のバッキング材料が使用される場合に起きるはずのたわみよりはるかに少ない。少なくともいくつかの実施形態では、また
図8Aから分かるように、積荷拘束ストリップの尾部は、取付け領域がコンテナ壁に貼り付けられた後、またこれらの尾部を互いに巻き付けて固着させる前、これらの取付け領域から片持ち梁の方式で延在するのに十分に剛性があり得る。これにより、ストリップ100(1)およびストリップ100(2)を装着する作業員による取扱いが簡単になる。たとえば、また尾部133(1)および尾部133(2)がより剛性があるので、これらの部分を貨物の周りに巻き付けて締付けツールを取り付けるとき、一人の作業者が両方の尾部を保持することがより容易になる。
【0052】
このように取扱いが簡単になると、より大きい幅WWを有する拘束ストリップを使用することも容易になる。一般に、またその他の点では同一の構造である2枚の積荷拘束ストリップにおいては、より幅広の積荷拘束ストリップの方が、より細い積荷拘束ストリップより強い貨物拘束能力を有することになる。より幅広のストリップを使用すると、場合によっては、必要とされるストリップの総数を減らすことができ、それにより、輸送のために貨物を固定することに関連する材料および人件費が削減される。しかし、従来のバッキング材料が使用される場合、より幅広のストリップは、より細いストリップより取扱いが煩雑になり得る。たとえば締付けツールを取り付けようとするとき、従来通りにバッキングされたストリップの尾部を一人の作業者が位置合わせしたままにすることは困難な場合がある。これらの尾部の把持されていない部分が容易に動く場合、以下でさらに論じられるように、締付けツールを取り付けることはより困難になり得る。より剛性がある尾部の方が、作業者が締付けツールを取り付けている間、定位置にとどまりやすい。
【0053】
図8Bには、貨物ユニット210が積載された後のコンテナ200が示してある。この後、また
図8Cに示すように、尾部133(1)および尾部133(2)は貨物ユニット210の後方の周りに巻き付けられる。
図8Dに示すように、次いで、締付けツール170をこれらの尾部の上に設置することができる。ツール170は、スロットを画定する1対の挟み具171を含む。
図8Dには、挟み具171のうちの一方のみが見えている。ツール170の挟み具171を尾部133(1)および尾部133(2)の重なり合った端部の上に滑らせて、挟み具171の間のスロットにこれらの重なり合った端部を保持することができる。
図8Dから分かるように、尾部133(1)および尾部133(2)は、この時点で、締付けのための十分なたるみを残すように貨物ユニット210の後方にゆるく移動させられ得る。ツール170を設置した後、ハンドル172は固定して保持され、ハンドル173は示されている方向に回転される。これにより挟み具171が回転し、尾部133(1)と尾部133(2)とが互いに引き寄せられ、それによってストリップ100(1)およびストリップ100(2)が貨物ユニット210の周りに締め付けられる。次いで、これらが締め付けられている間に尾部133(1)および尾部133(2)の端部の上に連結パッチが貼り付けられ、次いでツール170が取り外される。
図8Eには、連結パッチ211が貼り付けられた状態の端部133(1)および端部133(2)が示してある。
【0054】
図8A~
図8Eにはより幅広のストリップが使用される実施形態が示してあるが、ステッチボンド生地の基部は、より細いストリップの場合にも利点を提供することができる。
図9Aは、貨物コンテナ200aの背面図である。積荷拘束ストリップ10(1)および積荷拘束ストリップ10(2)は、
図8A~
図8Eのストリップ100(1)およびストリップ100(2)の幅と同様の幅を有するが、剛性がない従来のバッキング材料を有する。ストリップ10(1)およびストリップ10(2)の尾部の端部の上に締付けツールを設置する準備として、装着者が、矢印で示した場所において各端部を把持する場合がある。ストリップ10(1)およびストリップ10(2)のバッキング層はステッチボンド生地の剛性を欠いているので、また
図9Aから分かるように、尾部の他の部分は、微風または他の妨害によって容易に乱される場合がある。
【0055】
図9Bは、貨物コンテナ200bの背面図である。積荷拘束ストリップ10(3)および積荷拘束ストリップ10(4)は、これまでに知られている積荷拘束ストリップの幅と同様の比較的細い幅を有する。さらに、ストリップ10(3)およびストリップ10(4)は、剛性がない従来のバッキング材料を有する。ストリップ10(3)およびストリップ10(4)の尾部の端部の上に締付けツールを設置する準備として、装着者が、矢印で示した場所において各端部を把持する場合がある。
図9Aに示したより幅広のストリップの場合のように、尾部のうち、装着者が保持していない部分は容易に乱される場合がある。
【0056】
図9Aおよび
図9Bに示したような状況が発生したとき、装着者は、ストリップを再配置してからでないと締付けツールを定位置に置くことができない。わずか数組のストリップを装着している場合、再配置の必要性は軽微な不都合であり得る。しかし、多くのコンテナを積載しなければならないとき、散発的な不都合が積み重なり、積載時間および人件費が著しく増加する恐れがある。
【0057】
図9Cおよび
図9Dには、少なくともいくつかの実施形態による積荷拘束ストリップが、いかにして
図9Aおよび
図9Bに示した課題を軽減する助けとなるかが示してある。
図9Cは、ストリップ100(1)およびストリップ100(2)の尾部133(1)および尾部133(2)にツール170を設置する直前の貨物コンテナ200の背面図である。装着者は、矢印で示した場所において尾部133(1)および尾部133(2)を把持する場合がある。尾部133(1)および尾部133(2)の剛性により、また平均的な微風または他の妨害の間、尾部133(1)および尾部133(2)の残りの部分は、ツール170を設置するための所定の位置にとどまりやすくなる。
【0058】
図9Dは貨物コンテナ200の背面図であるが、積荷拘束ストリップ100(1)および積荷拘束ストリップ100(2)が積荷拘束ストリップ100(3)および積荷拘束ストリップ100(4)に置き換えられている。ストリップ100(3)およびストリップ100(4)は約12インチ(約305ミリメートル)の幅を有し、ストリップ100(1)およびストリップ100(2)より細い。その他の点では、ストリップ100(3)およびストリップ100(4)の構造は、ストリップ100、ストリップ100(1)、およびストリップ100(2)の構造と同様である。具体的には、ストリップ100(3)およびストリップ100(4)は、ステッチボンド生地のバッキングを含む。
【0059】
図9Dでは、積荷拘束ストリップ100(3)および積荷拘束ストリップ100(4)の取付け領域はコンテナ200の壁に貼り付けられており、ストリップ100(3)およびストリップ100(4)の尾部133(3)および尾部133(4)は、締付けツールを設置する準備として貨物ユニット210の後方の周りに巻き付けられている。装着者は、矢印で示した場所において尾部133(3)および尾部133(4)を保持している。尾部133(3)および尾部133(4)の剛性により、また平均的な微風または他の妨害の間、尾部133(3)および尾部133(4)の残りの部分は、締付けツールを設置するための所定の位置にとどまりやすくなる。
【0060】
種々の実施形態による積荷拘束ストリップのステッチボンド生地のバッキングにより、これらのストリップの剛性が向上するが、これらのストリップは依然として曲げやすく、一人の装着者の手の力を使用する従来の締付けツールを用いて締め付けることができる。いくつかの実施形態では、ステッチボンド生地のバッキングによってもたらされる剛性により、ストリップがストリップのロールから巻き出されたとき、積荷拘束ストリップがカールしたままになる場合がある。必要に応じて、手の力を使用して、または巻出し中にストリップの裏面にテンションバーを使用することによって、このカールを除去することができる。しかし、いくつかの実施形態では、巻き出されたストリップの残ったカールが有利に使用される場合がある。
【0061】
従来の積荷拘束ストリップをコンテナ壁に取り付けるとき、尾部を一時的に壁にテープ留めしなければならないことが多い。そうしないと、貨物の積載中、尾部が引っ掛かり、かつ/または損傷する恐れがある。しかし、
図10に示すように、カールが残ることにより、尾部を一時的に壁にテープ留めする必要性を無くすことができる。
図10では、積荷拘束ストリップ100(5)の取付け領域132(5)が、壁203の内側面に取り付けられている。積荷拘束ストリップ100(5)は、積荷拘束ストリップ100(3)および積荷拘束ストリップ100(4)の構造と同様の構造を有する。積荷拘束ストリップ100(5)がロールから取り除かれたときに残されたカールが尾部133(5)に残っていることにより、尾部133(5)はコンテナ200の床から離れたままになる。
【0062】
図11は、いくつかの実施形態による方法におけるステップを示すブロック図である。ステップ301では、第1の積荷拘束ストリップの第1の外側面の第1の取付け領域を、貨物コンテナの第1の内壁に取り付ける。第1の積荷拘束ストリップは、第1の取付け領域に、ステッチボンド生地の第1の基層と、第1の基層に固定された第1の補強層と、露出した第1の接着剤層とを備える。ステップ301の一例は、
図8Aに関連して上で論じたように、ストリップ100(1)を壁203の内側に取り付けることである。
【0063】
ステップ302では、第2の積荷拘束ストリップの第2の外側面の第2の取付け領域を、貨物コンテナの第2の内壁に取り付ける。第2の積荷拘束ストリップは、第2の取付け領域に、ステッチボンド生地の第2の基層と、第2の基層に固定された第2の補強層と、露出した第2の接着剤層とを備える。ステップ302の一例は、やはり
図8Aに関連して上で論じたように、ストリップ100(2)を壁202の内側に取り付けることである。
【0064】
ステップ303では、また第1の取付け領域を第1の内壁に貼り付け、第2の取付け領域を第2の内壁に貼り付けた後、第1の積荷拘束ストリップおよび第2の積荷拘束ストリップの尾部を貨物コンテナに配置された貨物の周りに巻き付ける。ステップ303の一例は、
図8Cおよび
図8Dに関連して上で論じたように、尾部133(1)および尾部133(2)を貨物ユニット210の周りに巻き付けることである。
【0065】
ステップ304では、各積荷拘束ストリップの巻き付けられた尾部の端部を互いに固着させる。ステップ304の一例は、
図8Eに関連して上で論じたように、連結パッチ211を貼り付けることである。
【0066】
例示および説明の目的で、実施形態の前述の説明を提示してきた。前述の説明は、網羅的であること、または本明細書に明示的に記載もしくは言及したまさにその形態に実施形態を限定することを意図するものではない。修正および変更が上記の教示に照らして可能であり、または種々の実施形態の実施から得られる場合もある。本明細書に論じた実施形態は、当業者が、企図される特定の使用法に適した種々の修正を用いて上記その他の実施形態を作製および使用することを可能にするために、種々の実施形態の原理および性質、ならびにそれらの現実的な用途を説明するために選択および記載された。上に述べた実施形態の特徴のあらゆる置換は、本発明の範囲内である。