(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】回収基材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29B 17/02 20060101AFI20231003BHJP
C08J 11/06 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B29B17/02 ZAB
C08J11/06
(21)【出願番号】P 2022094181
(22)【出願日】2022-06-10
【審査請求日】2022-06-20
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004436
【氏名又は名称】東洋インキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】早坂 結科
(72)【発明者】
【氏名】敷地 渉
(72)【発明者】
【氏名】山上 朋恵
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-114930(JP,A)
【文献】国際公開第2021/192749(WO,A1)
【文献】特開2022-080724(JP,A)
【文献】特開2010-012636(JP,A)
【文献】米国特許第05143308(US,A)
【文献】特開2009-288419(JP,A)
【文献】国際公開第2020/059516(WO,A1)
【文献】特開2021-107159(JP,A)
【文献】特許第7100750(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 17/02
C08J 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、基材、及び印刷層を備えた積層体を、界面活性剤(a1)
、塩基性化合物及び水を含有する脱離液に浸漬し、印刷層を基材から脱離させて基材を回収する工程を含み、
前記界面活性剤(a1)の含有率が、脱離液100質量%中、0.001~10質量%であり、
前記印刷層が、着色剤と顔料誘導体とを含む層であり、
かつ、印刷層が、ポリウレタン樹脂
溶液と塩化ビニル-酢酸ビニル共重樹脂
溶液、
及び、ポリアミド樹脂溶液とニトロセルロース樹脂溶
液からなる群より選ばれるいずれかの樹脂の組み合わせを含む層であり、
顔料誘導体の含有量が、着色剤全体に対して0.01~10質量%である、
前記回収基材の製造方法。
【請求項2】
少なくとも、基材、及び印刷層を備えた積層体を、界面活性剤(a1)
、塩基性化合物及び水を含有する脱離液に浸漬し、印刷層を基材から脱離させて基材を回収する工程を含み、
前記界面活性剤(a1)の含有率が、脱離液100質量%中、0.001~10質量%であり、
前記印刷層が、着色剤と樹脂型分散剤とを含む層であり、
かつ、印刷層が、ポリウレタン樹脂
溶液と塩化ビニル-酢酸ビニル共重樹脂
溶液、
及び、ポリアミド樹脂溶液とニトロセルロース樹脂溶
液からなる群より選ばれるいずれかの樹脂の組み合わせを含む層であり、
樹脂型分散剤の含有量が、着色剤全体に対して0.01~30質量%である、
前記回収基材の製造方法。
【請求項3】
界面活性剤(a1)が、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含む、請求項1または2に記載の回収基材の製造方法。
【請求項4】
界面活性剤(a1)が、アルキレンオキサイド付加物を含む、請求項1または2に記載の回収基材の製造方法。
【請求項5】
界面活性剤(a1)が、ノニオン系界面活性剤を含む、請求項3に記載の回収基材の製造方法。
【請求項6】
基材が、プラスチック基材である、請求項1または2に記載の回収基材の製造方法。
【請求項7】
基材が、ポリオレフィン基材である、請求項6に記載の回収基材の製造方法。
【請求項8】
さらに、請求項1または2に記載の積層体の回収基材の製造方法で回収された基材を溶融混練する工程を含むことを特徴とする、成形用材料の製造方法。
【請求項9】
さらに、請求項8に記載の製造方法により製造されてなる成形用材料を、加熱成形する工程を含むことを特徴とする、成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも基材層、及び基材層に接して脱離層を備える積層体から、基材を回収する、回収基材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックフィルムを原料とするパッケージ、プラスチックボトル、その他プラスチック製品は、海洋にゴミとして廃棄・投棄され環境汚染問題となっている。これらのプラスチック製品は海水中で分解されてサブミクロンサイズの破片(マイクロプラスチック)となり海水中に浮遊する。当該マイクロプラスチックは、魚類等の海洋生物に摂取されることで生物体内中に濃縮され、当該海洋生物を食料として摂取する海鳥や人間の健康にも影響することが懸念されている。
【0003】
上記プラスチック製品としては、プラスチックフィルムを使用した複層構成の食品包装パッケージ等が挙げられ、このような食品包装パッケージでは、フィルム基材としてポリエステル基材、ナイロン基材(NY)、ポリプロピレン基材(PP)、ポリエチレン基材(PE)等、種々のプラスチック基材が使用されている。これらフィルム基材は、印刷インキにより印刷が施され、接着剤等を介して他のフィルム基材や熱溶融樹脂基材と貼り合わされた後に、カットされ熱融着されてパッケージとなる。しかしながら、このような複層構成の食品包装パッケージは、相溶しない異種の材料が複数混合しているため、このままではマテリアルリサイクルができないという問題がある。
【0004】
このような複層構成の包装材のマテリアルリサイクルについて、例えば、特許文献1には、所定の酸価を有するポリウレタン樹脂を含む脱離層を備える積層体をアルカリ水溶液で処理することで、表刷り構成だけでなく複層構成の積層体から印刷層を脱離する技術が開示されている。
特許文献2には、所定の酸価を有するポリエステルポリオール系接着剤を備える積層体をアルカリ水溶液で処理することで、複層構成の積層体から接着剤層を脱離する技術が開示されている。
【0005】
また特許文献3には、塩基性pHであり、且つカチオン系又はアニオン系の界面活性剤を含む洗浄溶液を用いて、フィルムからインクを除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-090627号公報
【文献】特開2020-084130号公報
【文献】特表2015-520684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の脱離工程において、生産性を向上させるために、アルカリ水溶液に対する包装材の処理量を増やすと、脱離性が低下し、さらに、脱離した印刷層や接着剤層が細かく分散されて基材に再付着してしまうという課題が発生する。そしてこのような基材をリサイクルして得られる成形用材料は、着色による外観低下や物理性状の低下を引き起こす。
【0008】
また、脱離液に、特許文献3に記載の界面活性剤を含有させると、脱離液に浸漬し脱離層を脱離する工程で泡が生じる。そして発生した泡は、脱離層より脱離した成分(特に親油性の高い成分)を抱込みミセルを形成し、脱離液の液面に浮上する。一方、基材として、比重が小さいポリオレフィン素材等を使用した場合は特に、基材も同様に脱離液の液面に浮上するため、脱離層より脱離した成分と比重の小さい基材とが脱離液の液面に密集し、さらに回収基材へ再付着が悪化するという課題がある。なお、「再付着」とは、基材から脱離した印刷層や接着剤層といった脱離層が、撹拌により細かく分散されて基材に再度付着することであり、回収される基材の着色や再生材料の性状低下を引き起こす原因となる。
【0009】
したがって本発明の課題は、印刷層や接着剤層の脱離性に優れ、さらに、脱離層より脱離した成分の再付着が抑制された、プラスチックリサイクルに適した回収基材の製造を提供することにある。さらに、回収した基材を加熱成形して得られる高品位な成形用材料の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、少なくとも、基材、及び印刷層を備えた積層体を、界面活性剤(a1)、塩基性化合物及び水を含有する脱離液に浸漬し、印刷層を基材から脱離させて基材を回収する工程を含み、前記界面活性剤(a1)の含有率が、脱離液100質量%中、0.001~10質量%であり、
前記印刷層が、着色剤と顔料誘導体とを含む層であり、
かつ、印刷層が、ポリウレタン樹脂溶液と塩化ビニル-酢酸ビニル共重樹脂溶液、及び、ポリアミド樹脂溶液とニトロセルロース樹脂溶液からなる群より選ばれるいずれかの樹脂の組み合わせを含む層であり、
顔料誘導体の含有量が、着色剤全体に対して0.01~10質量%である、
前記回収基材の製造方法に関する。
また、本発明は、少なくとも、基材、及び印刷層を備えた積層体を、界面活性剤(a1)、塩基性化合物及び水を含有する脱離液に浸漬し、印刷層を基材から脱離させて基材を回収する工程を含み、
前記界面活性剤(a1)の含有率が、脱離液100質量%中、0.001~10質量%であり、
前記印刷層が、着色剤と樹脂型分散剤とを含む層であり、
かつ、印刷層が、ポリウレタン樹脂溶液と塩化ビニル-酢酸ビニル共重樹脂溶液、及び、ポリアミド樹脂溶液とニトロセルロース樹脂溶液からなる群より選ばれるいずれかの樹脂の組み合わせを含む層であり、
樹脂型分散剤の含有量が、着色剤全体に対して0.01~30質量%である、
前記回収基材の製造方法に関する。
【0011】
また、本発明は、界面活性剤(a1)が、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含む、上記回収基材の製造方法に関する。
【0012】
また、本発明は、界面活性剤(a1)が、アルキレンオキサイド付加物を含む、上記回収基材の製造方法に関する。
【0013】
また、本発明は、界面活性剤(a1)が、ノニオン系界面活性剤を含む、上記回収基材の製造方法に関する。
【0014】
また、本発明は、界面活性剤(a1)の含有率が、脱離液の質量を基準として、0.001~10質量%である、上記回収基材の製造方法に関する。
【0015】
また、本発明は、分散剤(b1)が、顔料誘導体および/または樹脂型分散剤である、上記回収基材の製造方法に関する。
【0016】
また、本発明は、分散剤(b1)が、顔料誘導体を含む、上記回収基材の製造方法に関する。
【0017】
また、本発明は、顔料誘導体の含有量が、着色剤全体に対して0.01~10質量%である、上記回収基材の製造方法に関する。
【0018】
また、本発明は、基材が、プラスチック基材である、上記回収基材の製造方法に関する。
【0019】
また、本発明は、
基材が、ポリオレフィン基材である、上記回収基材の製造方法に関する。
【0020】
また、本発明は、さらに、上記製造方法で回収された基材を溶融混練する工程を含むことを特徴とする、成形用材料の製造方法に関する。
【0021】
また、本発明は、さらに、上記製造方法により製造されてなる成形用材料を、加熱成形する工程を含むことを特徴とする、成形体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、印刷層の脱離性に優れ、さらに、未脱離の印刷層や脱離した印刷層の再付着等による回収基材の着色が抑制された、リサイクルに適した回収基材の製造方法を提供することができる。さらに、回収した基材を加熱成形して得られる高品位な成形用材料の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する実施形態又は要件の説明は、本発明の実施形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
【0024】
本発明の回収基材の製造は、少なくとも、基材、及び印刷層を備えた積層体を、界面活性剤(a1)を含有する脱離液に浸漬し、印刷層を基材から脱離させて基材を回収する工程を含み、
前記印刷層が、着色剤と分散剤(b1)とを含む層であることを特徴とする。
【0025】
当該脱離液は、界面活性剤(a1)を含有することで、印刷層と脱離液の親和性が高くなり、印刷層の基材からの脱離を促進し、さらに、界面活性剤(a1)が、脱離後に脱離液中に細かく分散した印刷層を含んでミセル化することによって、微細な印刷層が回収基材へ再付着することを防ぐ効果がある。
また、当該印刷層は、着色剤と分散剤とを含有することで、印刷インキの分散安定性が良好となるだけでなく、印刷層が分散剤(b1)を含むことによって脱離液との親和性が向上するため、脱離液が印刷層によく浸透して基材と印刷層界面の剥離を促進する効果があると同時に、基材と脱離して微細化したインキ層は脱離液中で分散安定化し、回収基材への再付着は抑制される。
脱離液が界面活性剤(a1)を含み、印刷層が着色剤と分散剤(b1)とを含むことにより、印刷層と脱離液との親和性が高くなり、
脱離液に対して積層体の処理量を増やした条件においても、
印刷層の基材からの脱離を促進し、さらに回収基材への再付着を防ぐことができ、着色の少ない高品位な成型用材料にリサイクルすることが可能となる。
【0026】
<回収基材の製造>
本発明の回収基材の製造は、少なくとも基材層、及び基材層に接して印刷層を備える積層体を、界面活性剤を含有する脱離液に浸漬し、印刷層を脱離させて基材層を回収する工程を含む。
本発明において「脱離」とは、印刷層が脱離液により溶解することなく剥離することにより、基材が積層体から脱離することを指す。
【0027】
本発明は、脱離後の基材を、リサイクル基材・再生基材として回収することを目的としているため、基材から、印刷層等をできる限り多く除去した態様が好適である。具体的には、印刷層100質量%のうち、面方向や膜厚方向において少なくとも50質量%以上が脱離していることが好ましい。より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上が脱離している態様が好ましい。
【0028】
<脱離液>
脱離液は、界面活性剤(a1)を含有し、印刷層を完全に溶解しないものであればよく、適宜選択することができる。このような脱離液としては、例えば、水、塩基性水溶液、酸性水溶液、フッ素系溶剤が挙げられる。環境面及び回収されたポリオレフィン基材を用いた再生材料の性状維持の観点から、好ましくは水溶液である。これらの脱離液は加温されていてもよい。
【0029】
[界面活性剤(a1)]
界面活性剤(a1)は、印刷層の脱離性を向上させる役割を担う。これは、界面活性剤の作用により脱離液の表面張力が下がり印刷層、及び印刷層と基材界面に浸透しやすくなり、剥離が促進するためと考えられる。また、脱離して細かく分散された印刷層成分を含んでミセル化することにより、基材への再付着を防止すると考えられる。また、分離回収において脱離液に対する積層体の量を増やしていくと、積層体及び分離した基材は脱離した印刷層のインキ片を巻き込んだ状態でカールする傾向にあり、脱離液に浸漬したとしても、カールに巻き込まれたインキ片等をきれいに除去することは困難である。しかしながら、脱離液が界面活性剤を含むことで、積層体及び分離した基材表面に界面活性剤が吸着し、カールが抑制される。その結果、脱離性が向上し再付着を抑えることができる。界面活性剤のHLB値は7以上であることが好ましい。
【0030】
HLB値とは界面活性剤の水及び油への親和性に関する指標値であり、親水基を持たない物質のHLB値を0、親水基のみを有する物質のHLB値を20として等分したものである。HLBの概念は1949年にAtlas Powder Companyのウィリアム・グリフィンによって提唱され、計算によって決定する方法がいくつか提案されているが、本発明においてHLB値は、グリフィン法により次式から求めることができる。
式) HLB=20×[(界面活性剤中に含まれる親水基の分子量)/(界面活性剤の分子量)]
界面活性剤中に含まれる親水基としては、例えば、水酸基及びエチレンオキシ基が挙げられる。
【0031】
本発明における界面活性剤(a1)のHLB値は、7以上であることが好ましい。HLBが7以上であることで、より優れた脱墨性と再付着性とを発揮する。界面活性剤のHLB値は、より好ましくは10以上である。また界面活性剤のHLB値は、好ましくは20以下、より好ましくは19以下、さらに好ましくは17以下である。HLB値が20以下であると、消泡性に優れるため好ましい。
【0032】
界面活性剤(a1)の種類としては、例えば、ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性が挙げられ、要求特性に応じて適宜好適な種類、配合量を選択して使用することができる。脱離性や発泡性の観点から、好ましくは、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
また、界面活性剤(a1)は、アルキレンオキサイド(以下、AOともいう)を付加した構造であることで、脱墨性や再付着性が良好となるため好ましい。
【0033】
(ノニオン性界面活性剤)
ノニオン性界面活性剤としては、特に制限されないが、好ましくは、アルキレンオキサイドが付加したアルキレンオキサイド付加物である。より好ましくは、活性水素を有するアルコール類にアルキレンオキサイドを付加して得られる化合物、アミン類にアルキレンオキサイドを付加して得られる化合物若しくは脂肪酸類にアルキレンオキサイドを付加して得られる化合物である。上記付加は、ランダム付加又はブロック付加のいずれであってもよい。また、アルキレンオキサイドの炭素数は、好ましくは炭素数2~4である。
ノニオン性界面活性剤としてより好ましくは、アルコール類に炭素数2~4のアルキレンオキサイドを付加したアルコール系ノニオン性界面活性剤である。
【0034】
〔アルコール系ノニオン性界面活性剤〕
アルコール系ノニオン性界面活性剤としては、例えば、総炭素数8~24の第1級若しくは第2級アルコールのアルキレンオキサイド付加物、又は、総炭素数8~12のアルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。上記総炭素数8~24の第1級若しくは第2級アルコールは、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよい。
上記総炭素数8~24の第1級若しくは第2級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ドデシルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコール、ミリスチルアルコール等が挙げられる。
また、アルコール類に付加するアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられ、エチレンオキサイドを必須とするのが好ましい。アルキレンオキサイドの付加モル数は、アルコール類又はアルキルフェノール1モルに対し、好ましくは1~100モル、より好ましくは2~50モルである。上記範囲であると、特に脱離性に優れるため好ましい。
【0035】
〔脂肪酸系ノニオン性界面活性剤〕
脂肪酸系ノニオン性界面活性剤としては、構造は特に制限されないが、例えば、総炭素数10~24の高級脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物や、前記した総炭素数が10~24の飽和若しくは不飽和の高級脂肪酸とグリセリンとのエステルからなる油脂、さらには、前記した油脂と2~10の多価アルコールとの混合物のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。上記総炭素数10~24の高級脂肪酸は、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよい。
上記総炭素数10~24の高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸等の飽和高級脂肪酸;パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、リシノール酸等の不飽和高級脂肪酸;が挙げられる。2~10価の多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、ソルビタン、ショ糖等が挙げられる。アルキレンオキサイドの種類及び付加モル数は、上述する〔アルコール系ノニオン性界面活性剤〕の項の記載と同様である。
【0036】
〔アミン系ノニオン性界面活性剤〕
アミン系ノニオン性界面活性剤としては、総炭素数8~36の飽和又は不飽和の第1級又は第2級アミンのAO付加物が挙げられる。アミンとしては、2-エチルヘキシルアミン、ジ2-エチルヘキシルアミン、ラウリルアミン、ジラウリルアミン、テトラデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、ジステアリルアミン、オレイルアミン、ジオレイルアミン等が挙げられる。また、AOの種類及び付加モル数は上記と同様である。
【0037】
(アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤として好ましくは非石鹸系であり、例えば、スルホン酸系アニオン性界面活性剤、硫酸エステル系アニオン性界面活性剤、カルボン酸系アニオン性界面活性剤、リン酸エステル系アニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0038】
〔スルホン酸系アニオン性界面活性剤〕
上記スルホン酸系アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、アルキルメチルタウリン、スルホコハク酸ジエステル、スルホン酸のアルキレンオキサイド付加物、およびこれらの塩が挙げられる。具体例としては、ヘキサンスルホン酸、オクタンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジニトロベンゼンスルホン酸、およびラウリルドデシルフェニルエーテルジスルホン酸等を用いることができる。
【0039】
〔硫酸エステル系アニオン性界面活性剤〕
上記硫酸エステル系アニオン性界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル(アルキルエーテル硫酸エステル)、硫酸エステルのアルキレンオキサイド付加物、及びこれらの塩が挙げられる。具体例としては、ラウリル硫酸、ミリスチル硫酸、およびポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸等を用いることができる。
【0040】
〔カルボン酸系アニオン性界面活性剤〕
上記カルボン酸系アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルカルボン酸、アルキルベンゼンカルボン酸、カルボン酸のアルキレンオキサイド付加物、及びこれらの塩が挙げられる。具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、およびポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸等を用いることができる。
【0041】
〔リン酸エステル系アニオン性界面活性剤〕
上記リン酸エステル系アニオン性界面活性剤としては、例えば、リン酸エステル(アルキルエーテルリン酸エステル)、リン酸エステルのアルキレンオキサイド付加物、及びこれらの塩が挙げられる。具体例としては、オクチルリン酸エステル、ラウリルリン酸エステル、トリデシルリン酸エステル、ミリスチルリン酸エステル、セチルリン酸エステル、ステアリルリン酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル等を用いることができる。
【0042】
アニオン性界面活性剤は、炭素数2~24のアルキル基又は炭素数2~24のアルケニル基を有することが好ましく、より好ましくは、炭素数8~18のアルキル基を有するものである。当該アルキル基又は当該アルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
また、アニオン性界面活性剤がアルキレンオキサイド付加物である場合、該アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられ、エチレンオキサイドが好ましい。アルキレンオキサイドの付加モル数は、アルコール類又はアルキルフェノール1モルに対し、好ましくは1~12モル、より好ましくは1~8モルである。上記範囲であると、特に脱離性に優れるため好ましい。
【0043】
上述するアニオン性界面活性剤を構成する塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の金属塩が挙げられる。これらの塩は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でもアニオン性界面活性剤として好ましくは、脱離性及び再付着性の観点から、スルホン酸塩タイプ、リン酸塩タイプであり、より好ましくは、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩等である。
【0044】
(カチオン性界面活性剤)
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類が挙げられる。具体的にはステアリルアミンアセテート、トリメチルヤシアンモニウムクロリド、トリメチル牛脂アンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、メチルオレイルジエタノールクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムブロマイド、ラウリルピリジニウムジサルフェート、セチルピリジニウムブロマイド、4-アルキルメルカプトピリジン、ポリ(ビニルピリジン)-ドデシルブロマイド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等を用いることができる。
【0045】
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体が挙げられる。
【0046】
これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。脱離液中のHLB値が7以上の界面活性剤の含有量は、脱離液の質量を基準として、好ましくは0.001~10質量%の範囲であり、より好ましくは0.005~7質量%の範囲であり、さらに好ましくは0.03~5質量%であり、なお好ましくは0.05~3質量%である。0.001質量%以上であると脱墨性や再付着性に優れるため好ましく、10質量%以下であると消泡性の観点で好ましい。
【0047】
[その他成分]
脱離液は、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤以外の成分を含有してもよい。そのようなその他成分としては、例えば、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、消泡剤、酸性化合物、塩基性化合物等が挙げられ、要求特性に応じて適宜好適な種類、配合量を選択して使用することができる。
【0048】
(消泡剤)
消泡剤は一般的に親油性が極めて高く、HLB値が1~3の範囲であるものを指す。上述の界面活性剤と組み合わせて用いることで、脱離性及び再付着性を低下させることなく良好な消泡性を発現し、界面活性剤による発泡を抑制することができる。
上記消泡剤としては、例えば、シリコーン系化合物、非シリコーン系化合物が挙げられる。
【0049】
(シリコーン系化合物)
上記シリコーン系化合物としては、例えば、エマルジョン型、自己乳化型、オイル型、オイルコンパウンド型、溶剤型が挙げられる。
エマルジョン型は、シリコーンオイルコンパウンドを活性剤で乳化させてO/W型のエマルジョンとしたシリコーン系消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KM-89」、「KM-98」、旭化成ワッカーシリコーン製の「FC2913」、「SILFOAM SE47」、ビックケミー・ジャパン製の「BYK-015」、「BYK-1640」が挙げられる。
自己乳化型は、水で希釈、混合することでエマルション状態となる有効成分100%のシリコーン系消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KS-540」、「X-50-1176」、旭化成ワッカーシリコーン製の「SILFOAM SD670」、「SILFOAM SD850」が挙げられる。
オイル型は、溶剤や添加剤を含まない100%シリコーンオイルの消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KM-89」、「KM-98」、旭化成ワッカーシリコーン製「AK350」、「AK12500」、ビックケミー・ジャパン製の「BYK-1770」が挙げられる。
オイルコンパウンド型とは、シリコーンオイルにシリカ粒子を配合したシリコーン系消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KM-89」、「KM-98」、旭化成ワッカーシリコーン製「SILFOAM SC370」、「PULPSIL22274VP」、ビックケミー・ジャパン製の「BYK-017」、「BYK-018」が挙げられる。
溶剤型は、シリコーンオイルを溶剤に溶解させたシリコーン系消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KM-89」、「KM-98」、ビックケミー・ジャパン製の「BYK-019」、「BYK-025」が挙げられる。
【0050】
(非シリコーン系化合物)
上記非シリコーン系化合物としては、例えば、脂肪酸エステル系化合物、ウレア樹脂系化合物、パラフィン系化合物、ポリオキシアルキレングリコール系化合物、アクリルエステル共重合物、エステル系重合物、エーテル系重合物、アミド系重合物、ミネラルオイルの乳化タイプ、ポリシロキサンアダクト、フッ素系化合物、ビニル系重合物、アセチレンアルコール、アクリル系ポリマー、特殊ビニル系ポリマー、エチレングリコール、高級アルコール(オクチルアルコール、シクロヘキサノール等)が挙げられる。
【0051】
消泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。脱離液中の消泡剤の含有量は、脱離液の質量を基準として、好ましくは0.01~5質量%の範囲であり、より好ましくは0.03~3質量%の範囲である。0.01質量%以上であると発泡抑制に優れ、5質量%以下であると脱墨性や再付着性に優れる。
【0052】
[塩基性化合物]
本発明に用いる脱離液は、包装材で通常用いられるウレタン系接着剤層を脱離する観点で塩基性化合物を含む塩基性水溶液が好適に用いられる。
上記塩基性化合物は特に制限されず、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、アンモニア、水酸化バリウム(Ba(OH)2)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)が好適に用いられる。より好ましくは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
塩基性水溶液中の塩基性化合物の含有量は、塩基性水溶液の質量を基準として、好ましくは0.5~20質量%、より好ましくは1~15質量%、さらに好ましくは3~15質量%の範囲である。
【0053】
脱離液は、積層体の端部分から浸透して印刷層と基材との界面を剥離する。したがって効率的に脱離工程を進めるために、積層体は、裁断又は粉砕され、脱離液に浸漬する際に、断面に印刷層と基材の界面が露出している状態であることが好ましい。このような場合、より短時間で基材層を脱離することができる。
【0054】
積層体を浸漬する時の脱離液の温度は、好ましくは25~120℃、より好ましくは30~120℃、特に好ましくは30~80℃の範囲である。脱離液への浸漬時間は、好ましくは1分間~24時間、より好ましくは1分間~12時間、好ましくは1分間~6時間の範囲である。脱離液の使用量は、積層体の質量に対して、好ましくは5~10万倍量、より好ましくは10~1万倍の範囲であり、脱離効率を向上させるために、脱離液の撹拌又は循環等を行うことが好ましい。回転速度は、好ましくは80~5000rpm、より好ましくは80~4000rpmである。
【0055】
積層体から、脱離層が脱離し、基材を回収した後、得られた基材を水洗・乾燥する工程を経て、リサイクル基材を得ることができる。基材の表面における脱離層の除去率は、脱離前の脱離層の面積に対して、好ましくは70面積%以上、より好ましくは80面積%以上、特に好ましくは90面積%以上である。
また、得られたリサイクル基材は、押出機等によりペレット状に加工し、再生樹脂として再利用することができる。
【0056】
<積層体>
本発明に用いる積層体は、少なくとも基材層、及び基材層に接した印刷層を備える。基材に接した印刷層が上述する脱離液により剥離することで、基材を回収しリサイクルすることが可能となる。
【0057】
<印刷層>
本発明における印刷層は、基材に接して設けられた層であり、装飾、美感の付与、内容物、賞味期限、製造者又は販売者の表示等を目的とした、任意の印刷模様を形成する層であり、ベタ印刷層も含む。印刷層は、従来公知の着色剤を用いて形成することができ、顔料や染料を含む印刷インキを用いて形成してもよく、その形成方法は特に限定されない。印刷層は、単層あるいは複数の層から形成されていてもよい。
印刷層の厚さは、好ましくは0.1μm以上100μm以下、より好ましくは0.1μm以上10μm以下、さらに好ましくは1μm以上5μm以下である。
【0058】
印刷層を形成するために用いる印刷インキ(以下、インキ組成物ともいう)は、少なくとも、着色剤、分散剤を、バインダー樹脂あるいは溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができ、必要に応じて、その他成分を含有してもよい。
溶剤としては、トルエン、キシレンのような芳香族系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチルのようなエステル系有機溶剤;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノールのようなアルコール系有機溶剤;エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル系溶剤;水など公知の溶剤が挙げられ、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0059】
[着色剤]
印刷層は、着色剤を含む。印刷層は有色であっても無色であってもよく、一般に印刷インキや塗料で使用できる各種の無機顔料や有機顔料を含むことができる。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、ベンガラ、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛などの有色顔料、および、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等の体質顔料を挙げることができる。また有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾキレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料などが好適である。なおこれらに限らず、前記顔料はカラーインデックスのジェネリックネームで記載のものが適宜使用可能である。中でも、アルカリ水溶液に溶けださない、すなわちアルカリ耐性を有する顔料が好ましい。アルカリ水溶液で包装材を処理する際に、溶けだした顔料成分によりアルカリ水溶液が着色するのを防ぐことで、アルカリ水溶液の再利用が容易となり、リサイクルの生産性を向上できるからである。顔料のアルカリ耐性は、概ね顔料骨格・構造で推定でき、アルカリ水溶液に溶解する染料由来のものや、アルカリ水溶液で分解するものは、アルカリ耐性を有しないといえる。例えば、アルカリ耐性のある顔料としては、無機顔料、P.B.15(ピグメントブルー15)、P.Y.83(ピグメントイエロー83)等が挙げられる。これらの顔料の含有量としては、インキ組成物総量中に0.5~50質量%が好ましい。
なお、本発明でいう顔料は、視覚的あるいは光学的効果を意図する場合は、金属光沢を与える金属粉や、近赤外吸収材料、紫外線吸収材料も含む。
【0060】
[分散剤(b1)]
印刷層は、分散剤(b1)を含む。分散剤(b1)として、顔料誘導体および/または樹脂型分散剤を含有することが好ましく、分散剤(b1)を用いることで、脱墨性が向上する。これらは単独で用いても良いが、併用することで、さらに脱墨性が良好となるため、好ましい。
【0061】
(顔料誘導体)
顔料誘導体は、顔料の骨格に置換基を導入した化合物である。印刷インキ中では、顔料誘導体の顔料の骨格が印刷インキ中の顔料表面に吸着し、顔料誘導体の置換基部分が印刷インキ中の溶媒に配向することで、印刷インキ中で顔料を分散させる作用を有する。顔料誘導体の置換基部分は脱離液に含まれる活性剤と親和するため、顔料誘導体が含まれていることによって印刷層の脱離性が向上し、再付着防止の効果を示す。
顔料誘導体としては、例えば、フタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等の顔料の骨格に、カルボキシル基、スルホン酸基、カルボニル基、スルホニル基等の官能基を付加したもの、及びその塩等を好ましく使用することができる。これらは単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0062】
顔料誘導体の市販品としては、ソルスパース5000、ソルスパース12000(日本ルーブリゾール社製)、BYK-SYNERGIST2100、BYK-SYNERGIST2105(ビッグケミー・ジャパン社製)、エフカ6745、エフカ6750(BASF社製)等を好ましく使用することができる。これらは単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0063】
顔料誘導体は、インク中の顔料と同じ、または類似した色を呈することが好ましい。例えば、黒インクやシアンインクに添加する場合は、顔料誘導体としてフタロシアニン顔料誘導体を好ましく使用することができる。
【0064】
顔料誘導体の総量は、着色剤全体に対して0.01~10質量%であることが好ましく、0.05~6質量%であることがより好ましく、0.1~4質量%であることがさらに好ましい。0.01質量%以上であると印刷層の基材からの脱離性が良化する。また、10質量%以下であると、アルカリ水溶液中で脱離した印刷層が細かく砕かれて、回収基材に再付着することによる基材着色を抑制し、高品位なリサイクル成形用材料に再生することができる。
【0065】
(樹脂型分散剤)
樹脂型分散剤は、顔料組成物に吸着する性質を有する顔料組成物への親和性部位と、顔料組成物担体と相溶性のある部位とを有し、顔料組成物に吸着して顔料組成物担体への分散を安定化する働きをするものである。顔料組成物担体と相溶性のある部位は、脱離液に含まれる活性剤と親和するため、樹脂型分散剤が含まれていることによって印刷層の脱離性が向上し、再付着防止の効果を示す。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0066】
樹脂型分散剤の総量は、着色剤全体に対して0.01~30質量%であることが好ましく、0.05~20質量%であることがより好ましく、0.1~10質量%であることがさらに好ましい。0.01質量%以上であると、基材からの脱離性も良化する。また、30質量%以下であると印刷層の耐水性が良好となる。
【0067】
[バインダー樹脂]
印刷層のバインダー樹脂としては、例えば、ニトロセルロース系、セルロースアセテート・プロピオネート等の繊維素材、塩素化ポリプロピレン系、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン樹脂系及びアクリルウレタン系、ポリアミド系、ポリブチラール系、環化ゴム系、塩化ゴム系あるいはそれらを適宜併用したバインダーを用いることができる。
【0068】
印刷インキ中の固形分濃度は、好ましくは5~60質量%であり、より好ましくは10~50質量%である。更に印刷インキ中のバインダー樹脂固形分の含有量は、好ましくは0.5~50質量%であり、より好ましくは5~40質量%である。上記範囲であることによって最適な印刷適性を得ることができる。
印刷インキの粘度は、印刷工程において適切な印刷適性が得られるため、好ましくは20~500mPa・sであり、より好ましくは30~300mPa・sである。印刷インキの粘度は、バインダー樹脂の含有量等によって適宜調整することができる。
【0069】
印刷インキの塗工方法は特に限定されず、グラビアコート法、フレキソコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スピンコート法、インクジェット法等の方法により塗布することができる。これを放置するか、必要により送風、加熱、減圧乾燥、紫外線照射等を行うことにより印刷層を形成することができる。
【0070】
<基材>
基材は、包装材に一般的に用いられるフィルム状又はシート状のプラスチック基材、金属箔等のガスバリア基材、紙等が挙げられ、これらが積層された積層体であってもよい。
プラスチック基材としては、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のフィルムが挙げられ、好ましくは熱可塑性樹脂のフィルムである。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、繊維素系プラスチックが挙げられる。
【0071】
より詳細には、ポリエチレン(PE)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)のようなポリオレフィン樹脂フィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)のようなポリエステル樹脂フィルム;ポリスチレン樹脂フィルム;ナイロン6、ポリ-p-キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)のようなポリアミド樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリアクリルニトリル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;これらの複層体(例えば、ナイロン6/MXD6/ナイロン6、ナイロン6/エチレン-ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体;等が用いられる。中でも、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。
また、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、酸変性ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン(CPP)、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン-ビニルアセテート共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマー等のシーラント性を有するシーラント基材も好適に用いられる。
プラスチックフィルムの厚さは、好ましくは5μm以上200μm以下、より好ましくは10μm以上100μm以下、さらに好ましくは10μm以上50μm以下である。
【0072】
ガスバリア基材は、例えば、アルミニウム箔;アルミニウム、シリカ、アルミナ等の無機蒸着層を有するプラスチック基材;ポリビニルアルコール等の有機層を有するプラスチック基材;等が挙げられる。アルミニウム箔の場合は、経済的な面から3~50μmの範囲の厚みが好ましい。無機蒸着層を有するプラスチック基材の市販品としては、例えば、プラスチック基材上に、アルミナ等の無機蒸着層が積層された、「GL FILM」(凸版印刷社製)や、IB-FILM(大日本印刷社製)等が挙げられる。なお、アルミニウムやアルミナは、塩基性水溶液への溶解性を有するため、後述の脱離工程において溶解し、プラスチック基材のみをリサイクルすることが可能である。
【0073】
リサイクル基材として再利用する観点から、基材は、ポリエチレン、二軸延伸ポリプロピレンのようなポリオレフィン樹脂フィルムを含むことが好ましい。
【0074】
基材が積層体である場合、基材同士は接着剤層を介して積層されていることが好ましい。該接着剤層の形成方法は制限されず、公知の接着剤を用いて公知の方法で形成することができる。
基材は、必要に応じて帯電防止剤、紫外線防止剤等の添加剤を含有してもよく、基材表面が、コロナ処理又は低温プラズマ処理されていてもよい。
【0075】
<積層体の構成>
本発明における積層体は、少なくとも基材、及び前記基材に接して設けられた印刷層を備える部分構成を有していればよく、さらに他の層を有していてもよい。
積層体は、バリア性やシール性等の機能を付与するために、基材は、複数の基材を有する基材層であってもよく、このような基材としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、繊維素系プラスチック、アルミニウム箔、アルミニウム等の金属蒸着層、シリカやアルミナ等の金属酸化物蒸着層が挙げられる。また、複数の基材を積層させるための接着剤層や溶融樹脂層などを有していてもよい。
【0076】
以下に、本発明の積層体構成の一例を挙げるが、これらに限定されない。また下記の構成において、「基材」とは、単層である必要はなく、複数の基材が積層された基材層であってもよい。
・基材/印刷層
・基材/印刷層/コーティング層
・基材/印刷層/接着剤層/基材層
・基材/印刷層/溶融ポリエチレン層/基材層
・基材/印刷層/接着剤層/金属蒸着層/基材層
【0077】
<成形用材料の製造方法>
上述した回収基材の製造により回収されたポリオレフィン基材を溶融混練することで、成形用材料を製造することができる。本発明の成形用材料の製造方法は、好ましくは下記工程1~3を含む。成形用材料がマスターバッチを含む場合、さらに下記工程4を含んでもよい。
(工程1)上記積層体を破砕し、脱離液に浸漬させて、該積層体からポリオレフィン基材を脱離する工程
(工程2)工程1で得られたポリオレフィン基材を水洗浄する工程
(工程3)工程2で得られたポリオレフィン基材を溶融混錬し、再生樹脂を得る工程
(工程4)工程3で得られた再生樹脂に、マスターバッチを混合する工程
【0078】
工程1における包装材の破砕方法は、特に制限されず、例えば、ジョークラッシャー、インパクトクラッシャー、カッターミル、スタンプミル、リングミル、ローラーミル、ジェットミル、ハンマーミルを用いる方法が挙げられる。
工程2は、必要に応じて乾燥工程をさらに含んでもよい。工程2により、リサイクル後の基材(再生プラスチック基材ともいう)を得ることができる。
【0079】
工程3における溶融混錬工程は、必要に応じて各種添加剤等を加え、ヘンシェルミキサーやタンブラー、ディスパー等で混合した後、ニーダー、ロールミル、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、シュギミキサー、バーティカルグラニュレーター、ハイスピードミキサー、ファーマトリックス、ボールミル、スチールミル、サンドミル、振動ミル、アトライター、バンバリーミキサーのような回分式混練機、二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機等を用いて、混合や分散することを指す。これにより樹脂組成物である再生樹脂が得られる。再生樹脂の形状は、特に制限されず、ペレット状、粉体状、顆粒状、ビーズ状であってもよい。溶融混錬工程は、二軸押出機を用いるのが好ましい。
【0080】
[マスターバッチ]
本発明の成形用材料は、さらにマスターバッチを含有することができる。マスターバッチは、再生樹脂に対して相溶性を有するものであれば特に制限されず、一般的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂と着色剤とを混練したものを使用できる。マスターバッチに含まれる熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明におけるマスターバッチは、本発明の効果を阻害しない範囲で、アルカリ金属やアルカリ土類金属又は亜鉛の金属石けん、ハイドロタルサイト、ノニオン系界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、帯電防止剤、ハロゲン系、リン系又は金属酸化物等の難燃剤、エチレンビスアルキルアマイド等の滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤を含有してもよい。
【0081】
<成形体>
上述する製造方法により得られる成形用材料を加熱成形することで、成形体を得ることができる。加熱成形方法は特に制限されず、例えば、射出成形、押出し成形、ブロー成形、圧縮成形が挙げられる。
本発明の回収基材の製造方法により回収されたポリオレフィン基材を用いて製造された成形用材料は、印刷層や接着剤層が脱離され、さらに脱離成分の再付着が抑制されているため高品位であり、家電製品や文房具、自動車用のパーツ、おもちゃやスポーツ用品、医療用や建築・建設資材の材料等、様々な分野に用いることができる。
【実施例】
【0082】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部及び%は、特に注釈の無い場合、質量部及び質量%を表す。
【0083】
<インキの製造>
[インキ製造例1](印刷インキR1)
ポリウレタン樹脂溶液(荒川化学社製 KL-593:ポリエステルポリエーテル併用系ポリウレタン樹脂 固形分濃度30% 酢酸エチルとイソプロパノールの混合溶液)30部、塩化ビニル-酢酸ビニル共重樹脂溶液(日信化学社製 ソルバインTAO:固形分濃度30% 酢酸エチル溶液)10部、顔料(トーヨーカラー社製 リオノールブルーFG7330)10部、顔料誘導体(ビックケミー・ジャパン製 BYK-SYNERGIST2100)0.3部、
及び酢酸ノルマルプロピルとイソプロパノールの混合溶剤20部を撹拌混合して、サンドミルを用いて20分間分散処理を行った。その後、酢酸ノルマルプロピルとイソプロパノールの混合溶剤30部を撹拌混合して印刷インキR1を得た。
[インキ製造例2~5、インキ比較製造例](印刷インキR2~R6)
表1に示した原料及び配合比率を使用した以外は、インキ製造例1と同様の手法により、印刷インキR2~R6を得た。
以下に表1の略称を示す。
ポリアミド樹脂溶液:ダイマー酸由来構造を有するポリアミド樹脂 固形分濃度30%溶液
ニトロセルロース樹脂溶液:窒素含有量11.5% Mw50,000のニトロセルロース 固形分濃度30%溶液
顔料:トーヨーカラー社製 リオノールブルーFG7330
顔料誘導体:ビックケミー・ジャパン製 BYK-SYNERGIST2100
樹脂型分散剤:ビックケミー・ジャパン製 DISPERBYK-142
【0084】
【0085】
<積層体の製造>
[積層体製造例1](積層体S1)
印刷インキR1を、各々、EA/IPAの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、粘度が15秒(25℃、ザーンカップ#3(離合社製))になるように希釈した。
OPP(コロナ処理延伸ポリプロピレンフィルム 膜厚20μm)に対し、希釈した印刷インキR1を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いてこの順で印刷し、50℃で乾燥して、基材(OPP)/印刷層(R1)の構成である積層体S1を得た。
【0086】
[積層体製造例2~6、積層体比較製造例1](積層体S1~S7)
表2に記載の材料を用いた以外は積層体S1と同様の手法により、積層体S1~S7を得た。
以下に表2の略称を示す。
PET:コロナ処理PETフィルム 膜厚12μm
【0087】
【0088】
<脱離液の調整>
[脱離液調整例1](脱離液A1)
水97部、POEステアリルエーテル(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)1部、水酸化ナトリウム2部を混合攪拌し、脱離液A1を得た。
【0089】
[脱離液調整例2~6、脱離液比較調整例1](脱離液A2~A7)
表3に記載の材料を用いた以外は、脱離液A1と同様に手法により、脱離液A2~A7を得た。
【0090】
【0091】
以下に、表3中の略称を示す。
POEステアリルエーテル(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)、POE付加数;12、HLB;13.9
POEアセチレンジオール(ポリオキシエチレンアセチレンジオール)、POE付加数;30,HLB;17
ラウリル硫酸ナトリウム、HLB;>20
POEラウリルエーテルリン酸(ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸)、POE付加数;4、HLB;10.0
【0092】
<基材の分離回収>
[実施例1]
1000mlステンレスフラスコに脱離液A1を200g、積層体S1を1cm×1cmの大きさに切り出したサンプル6g、60℃、1500rpmの条件で攪拌した。積層体の分離回収状態について以下の評価を行った。
【0093】
[実施例2-11、比較例1-3]
表4に記載の材料を用いた以外は実施例1と同様の手法により、積層体の分離回収状態について以下の評価を行った。結果を表4に示す。
【0094】
【0095】
<積層体の評価>
(消泡性)
撹拌開始10分後に撹拌を一時中断し、液面(気泡上部)の高さを目視で観察し、以下の基準で評価した。高さ500mLとは、ビーカーに記載の容量目盛りを指し、数値が大きいほど、液面が高い、即ち泡が多く発生していることを表す。
A(優):撹拌中の液面(気泡上部)の高さが500mL未満
B(良):撹拌中の液面(気泡上部)の高さが500mL以上、700mL未満
C(可):撹拌中の液面(気泡上部)の高さが700mL以上、900mL未満
D(不可):撹拌中の液面(気泡上部)の高さが900mL以上
【0096】
(印刷層の脱離性)
撹拌開始15分、30分、1時間経過時に、各々、基材をサンプリングし、水洗・乾燥した。得られた基材から、基材を10枚サンプリングし、印刷層の除去率を目視で確認し、以下の基準で評価した。
A(優):撹拌開始10分後の基材において、印刷層の90%以上が剥離する。
B(良):撹拌開始20分後の基材において、印刷層の90%以上が剥離する。
C(可):撹拌開始40分後の基材において、印刷層の90%以上が剥離する。
D(不可):撹拌開始40分後の基材において、印刷層の90%以上が剥離しない。
【0097】
<再生材の製造、及び透過率評価>
攪拌開始2時間後に基材を回収し、水洗、乾燥した後、基材を単軸押し出し機にて200℃で押し出し、ペレタイズ工程を経て、再生樹脂のペレットを得た。再生樹脂をTダイフィルム成形機にて200℃で押し出し、厚み150μmの再生を作製した。
再生材の着色について、ヘイズメーター(日本電子工業(株)製、SH7000)を用いて全光線透過率を測定し、以下の基準で評価した。
A(優):全光線透過率が70%以上
B(良):全光線透過率が50%以上70%未満
C(可):全光線透過率が30%以上50%未満
D(不可):全光線透過率が30%未満
【0098】
上記の評価結果より、本発明の処理液であれば、包装材の処理量が多い場合でも、包装材から印刷層や接着剤層を容易に脱離させ、印刷層や接着剤層の再付着が少ない良質なリサイクル基材が得られ、さらには着色の少ない高品位な成形用材料が得られることが示された。
【要約】
【課題】本発明の課題は、印刷層や接着剤層の脱離性に優れ、さらに、脱離層より脱離した成分の再付着が抑制された、プラスチックリサイクルに適した回収基材の製造を提供することにある。さらに、回収したポリオレフィン基材を加熱成形して得られる高品位な成形用材料の製造方法を提供することにある。
【解決手段】少なくとも、基材、及び印刷層を備えた積層体を、界面活性剤(a1)を含有する脱離液に浸漬し、印刷層を基材から脱離させて基材を回収する工程を含み、
前記印刷層が、着色剤と分散剤(b1)とを含む層である、回収基材の製造方法。
【選択図】なし