(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性接着剤組成物及びその積層体
(51)【国際特許分類】
C09J 167/00 20060101AFI20231003BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20231003BHJP
C09J 4/06 20060101ALI20231003BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20231003BHJP
C09J 157/02 20060101ALI20231003BHJP
C09J 175/16 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
C09J167/00
B32B27/00 D
C09J4/06
C09J11/06
C09J157/02
C09J175/16
(21)【出願番号】P 2022152176
(22)【出願日】2022-09-26
【審査請求日】2023-04-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592057961
【氏名又は名称】マツイカガク株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今川 拓昌
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 郁美
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-520787(JP,A)
【文献】特表2020-525620(JP,A)
【文献】特開2011-113088(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105925238(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/00
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)樹脂、
(B)ウレタン(メタ)アクリレート、
(C)エチレン性不飽和モノマー、
(D)光開始剤
を含む
、紙基材及びプラスチックフィルム基材用活性エネルギー線硬化性接着剤組成物であって、
(A)樹脂は、ポリエステル樹脂および常温(23℃)で固体状の石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物総質量中に10~40質量%含み、
(B)ウレタン(メタ)アクリレートは、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が30℃未満であり、
(D)光開始剤は、波長365nmにおけるグラム吸光係数が0.5L・g
-1・cm
-1以上である活性エネルギー線硬化性接着剤組成物。
【請求項2】
(B)ウレタン(メタ)アクリレートが、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートである請求項
1に記載の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物。
【請求項3】
ウエットラミネート方式に用いられる請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物。
【請求項4】
請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を、基材に印刷してなる印刷物。
【請求項5】
基材上に、請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を硬化してなる接着剤層と、ラミネート材とを有する積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子材料等の接着に適した活性エネルギー線硬化性接着剤組成物及びそれを用いた積層体に関する。詳しくは、優れた作業性、塗工・印刷適性を有し、薄膜かつ低エネルギー量で接着性を有する活性エネルギー線硬化性接着剤組成物及びそれを用いる積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に接着剤組成物は、包装材料やラベル等の表示材料、建築材料、電子部品、光学部品等の様々な分野において広く利用されている。従来の溶剤乾燥型接着剤組成物は、溶剤の乾燥に時間を要するため生産性に劣り、VOC(揮発性有機化合物)の発生やCO2排出等の環境負荷の課題があることから、電子線や紫外線等の活性エネルギー線で硬化する接着剤組成物が利用されるようになっている。この活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、一般に無溶剤で使用でき、短時間に少ないエネルギーでの硬化が可能であることから、生産性向上や環境負荷低減の観点において優れた特性を有している。
【0003】
一方で、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物が利用される分野や用途の拡大及び高性能化、コスト削減が進むにつれ、接着剤組成物の膜厚が薄く、低エネルギー量で硬化させ、十分な接着性が得られることが要求されている。
【0004】
活性エネルギー線硬化性接着剤組成物として、例えば、数平均分子量が5000~15000のウレタン(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドおよびジイソプロピルアクリルアミドから選ばれる化合物およびフェノキシポリエチレングリコール(PEG=1~5) アクリレートを含有する液状硬化性粘・接着剤組成物がPVCやPETに対して優れた接着性を有することが報告されている(特許文献1参照)。また、分子量4000以下のウレタン(メタ)アクリレート5~30質量%、ラジカル重合性化合物60~95質量%、光重合開始剤0.1~10質量%を含有する接着剤用放射線硬化性液状組成物がPET等の光学特性を要求されるフィルムに対して光学特性への悪影響なく、優れた接着性を有することが報告されている(特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1,2の組成物は、薄膜かつ低エネルギー量の条件では十分な接着性が得られない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平7-311067号公報
【文献】特開2007-169580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、薄膜かつ低エネルギー量の条件で優れた接着性を有する活性エネルギー線硬化性接着剤組成物及びそれを用いる積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す活性エネルギー線硬化性接着剤組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、(A)樹脂、(B)ウレタン(メタ)アクリレート、(C)エチレン性不飽和モノマー、(D)光開始剤を含む活性エネルギー線硬化性接着剤組成物であって、
(B)ウレタン(メタ)アクリレートは、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が30℃未満であり、
(D)光開始剤は、波長365nmにおけるグラム吸光係数が0.5L・g-1・cm-1以上である活性エネルギー線硬化性接着剤組成物に関する。
【0010】
また、(A)樹脂が、ポリエステル樹脂および/または石油樹脂を含む上記活性エネルギー線硬化性接着剤組成物に関する。
【0011】
また、(B)ウレタン(メタ)アクリレートが、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートである上記活性エネルギー線硬化性接着剤組成物に関する。
【0012】
また、ウエットラミネート方式に用いられる上記活性エネルギー線硬化性接着剤組成物に関する。
【0013】
また、上記活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を、基材に印刷してなる印刷物に関する。
【0014】
また、基材上に、上記記載の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を硬化してなる接着剤層と、ラミネート材とを有する積層体に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、薄膜かつ低エネルギー量の条件で優れた接着性を有する活性エネルギー線硬化性接着剤組成物及びそれを用いる積層体を提供することができた。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0017】
以下の説明において、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル、メタ(アクリル)は、それぞれメタクリレートおよび/またはアクリレート、メタクリロイルおよび/またはアクリロイル、メタクリルおよび/またはアクリルを意味する。
【0018】
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、(A)樹脂、(B)ウレタン(メタ)アクリレート、(C)エチレン性不飽和モノマー、(D)光開始剤を含むものであって、(B)ウレタン(メタ)アクリレートが、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が30℃以下であり、(D)光開始剤が、波長365nmにおけるグラム吸光係数が0.5L・g-1・cm-1以上である。(B)ウレタン(メタ)アクリレートのホモポリマーのTgが30℃未満であることで接着性が良好となる。
【0019】
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物に含有する(A)樹脂は、インキ・塗料・粘接着剤業界において通常使用されている樹脂を例示することができる。具体的には、(メタ)アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ふっ素樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、テルペン樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂、アミン樹脂、ケチミン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を単独で用いても良く、2種以上組み合わせて用いても良い。
これらの中でも、(C)エチレン性不飽和モノマーへの溶解性や接着性、価格等の観点からポリエステル樹脂、石油樹脂が好ましく、これら樹脂は単独でも2種類以上を併用しても良い。また、樹脂は、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物総質量中に10~40質量%含むことが好ましく、15~35質量%含むことがより好ましい。(A)樹脂のTgは特に限定されないが、接着性及び粘度の調整が容易であることから、0~100℃が好ましい。
【0020】
ポリエステル樹脂は、多塩基酸とポリオールとの反応等の公知の反応で合成できる。
【0021】
ポリエステル樹脂の原料である多塩基酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式二塩基酸、3官能以上の多価カルボン酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸、ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸は、例えば、(無水)コハク酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ハイミック酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等が挙げられる。
脂環式二塩基酸は、例えば、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、および1,2-シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
3官能以上の多価カルボン酸は、例えば、(無水)ピロメリット酸、エチレングリコールビストリメリテート二無水物等が挙げられる。
これら多塩基酸は、単独でも2種類以上を併用しても良い。
【0022】
ポリエステル樹脂の原料であるポリオールとしては、二価アルコール、3官能以上の多価アルコールが好ましい。
二価アルコールは、例えば、1,2-ブチレングリコール(別名、1,2-ブタンジオール)、1,3-ブチレングリコール(別名、1,3-ブタンジオール)、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(別名、オクタンジオール)、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、2-ヒドロキシシクロヘキシル-メタノール、3-ヒドロキシシクロヘキシル-メタノール、4-ヒドロキシシクロヘキシル-メタノール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAP、水素化ビスフェノールF、水素化ビスフェノールS、水素化ビフェノール、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(2~8モル付加)、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加物(2~8モル付加)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール(別名、1,2-プロピレングリコール)、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ビスフェノールAもしくはビスフェノールFにエチレンオキサイドを付加したもの、キシレングリコール、又バーサチック酸グリシジルエステル、εカプロラクトン等が挙げられる。
3官能以上の多価アルコールは、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトール、α-メチルグルコシド等が挙げられる。
これらポリオールは、単独でも2種類以上を併用しても良い。
【0023】
ポリエステル樹脂としては、市販品でいうと、例えば、東洋紡社製:バイロンGK-640、バイロン296、バイロンGK-880、バイロンGK-888、バイロンGK-130、バイロンGK-590、バイロン-GK680、バイロンGK-810。ユニチカ社製:エリーテルUE-3600、エリーテルUE-9600、エリーテルUE-9800、エリーテルUE-3690、エリーテルUE-9900、エリーテルUE-3300、エリーテルUE-3320、エリーテルUE-9820、エリーテルUE-3350、エリーテルUE-3380。SKケミカル社製:スカイボンES403、スカイボンES460M、スカイボンES601、スカイボンES710、スカイボンES750、スカイボンES812、スカイボンES850、スカイボンES900、スカイボンES960等が挙げられる。
【0024】
石油樹脂は、常温(23℃)で固体状のものが好ましく、その具体例としては、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5系/C9系石油樹脂、脂環族系石油樹脂等の石油樹脂が挙げられ、これらは単独でも2種類以上を併用しても良い。
【0025】
C5系石油樹脂としては、市販品でいうと、例えば、エクソンモービル社製:エスコレッツ1202、エスコレッツ1304、エスコレッツ1401、グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー者製:ウイングタック95、日本ゼオン社製:クイントンK100、クイントンR100、クイントンF100、ピコタック95、理化ハーキュレス社製:ピコペール100等が挙げられる。
【0026】
C9系石油樹脂としては、市販品でいうと、例えば、ENEOS社製:日石ネオポリマーL-90、日石ネオポリマー120、日石ネオポリマー130、日石ネオポリマー140、日石ネオポリマー150、日石ネオポリマー170S、日石ネオポリマー160、日石ネオポリマーE-100、日石ネオポリマーE-130、日石ネオポリマー130S、日石ネオポリマーS、東ソー社製:ペトコール等が挙げられる。
【0027】
C5系/C9系石油樹脂としては、C5系石油樹脂と、C9系石油樹脂との共重合体を使用することができ、市販品でいうと、例えば、エクソンモービル社製:エスコレッツ2101、日本ゼオン社製:クイントンG115、理化ハーキュレス社製:ハーコタック1149等が挙げられる。
【0028】
脂環族系石油樹脂としては、C9系石油樹脂に水素添加して得ることができ、市販品でいうと、例えば、エクソンモービル社製:エスコレッツ5300、荒川化学工業社製:アルコンP-100、理化ハーキュレス社製:リガライトR101等が挙げられる。
【0029】
(B)ウレタン(メタ)アクリレートは、そのホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が、接着性の点で30℃未満であることが好ましく、Tgが0℃未満であることがより好ましい。
【0030】
(B)ウレタン(メタ)アクリレートのホモポリマーのTgは、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート及び光開始剤、希釈溶剤から調製した組成物をガラス板上に塗布・乾燥した後、メタルハライド灯にて紫外線を照射して得られた重合物のTgを測定することで得られる。
【0031】
Tgは、例えば、示差走査熱量計(DSC)により測定され、-60℃から200℃まで20℃/分で昇温し、その後-100℃/分で冷却し、再び-60℃から200℃まで20℃/分で昇温したときに検出したピークから求められる。
【0032】
(B)ウレタンアクリレートは、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物総質量中に5~30質量%含むことが好ましく、10~25質量%含むことがより好ましい。
【0033】
(B)ウレタン(メタ)アクリレートは、以下のような方法で合成できる。例えば、
(1)(メタ)アクリロイル基を有しないジオール成分とジイソシアネート成分とを水酸基過剰の条件下に反応させてなるポリウレタン中の水酸基を、水酸基と反応し得る官能基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物と反応させる。
(2)(メタ)アクリロイル基を有しないジオール成分とジイソシアネート成分とをイソシアネート基過剰の条件下に反応させてなるポリウレタン中のイソシアネート基を、イソシアネート基と反応し得る官能基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物と反応させる。
(3)(メタ)アクリロイル基を有しないジオール成分と(メタ)アクリロイル基を有するジオール成分とジイソシアネート成分とを反応させる。
【0034】
上記(1)~(3)の場合において、(B)ウレタン(メタ)アクリレートの原料として使用される(メタ)アクリロイル基を有しないジオール成分としては、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のいわゆるプレポリマーや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,9-ナノンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等が挙げられ、これらは単独でも、2種類以上を併用しても良い。
(メタ)アクリロイル基を有しないジオール成分としては、接着性の点からポリエルテル構造を有することが好ましい。
【0035】
上記(1)~(3)の場合において、(B)ウレタン(メタ)アクリレートの原料として使用されるジイソシアネート成分としては、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられ、これらは単独でも2種類以上を併用しても良い。
【0036】
上記(1)の場合において、(B)ウレタン(メタ)アクリレートの原料として使用される水酸基と反応し得る官能基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられ、これらは単独でも2種類以上を併用しても良い。
【0037】
上記(2)の場合において、(B)ウレタン(メタ)アクリレートの原料として使用されるイソシアネート基と反応し得る官能基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオール(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ビス(アクリロイルオキシメチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独でも2種類以上を併用しても良い。
【0038】
上記(3)の場合において、(B)ウレタン(メタ)アクリレートの原料として使用される(メタ)アクリロイル基を有するジオール成分としては、プロピレングリコールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、エチレングリコールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、1,5-ペンタンジオールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、1,9-ノナンジオールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ネオペンチルグリコー
ルジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、等が挙げられ、これらは単独でも、2種類以上を併用しても良い。
【0039】
本発明における(B)ウレタン(メタ)アクリレートは、原料を無溶剤下で反応させて製造しても、有機溶剤中で反応させて製造しても良い。
有機溶剤としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル系化合物、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系化合物、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族化合物、塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物等の各種溶剤を使用することができる。
また、必要に応じて触媒を添加することができ、たとえばジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレート等金属系触媒;1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン-5、6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7等の3級アミン;トリエタノールアミンのような反応性3級アミン等が挙げられ、これらは単独でも、2種類以上を併用しても良い。
【0040】
(B)ウレタン(メタ)アクリレートとしては、市販品でいうと、例えば、三菱ケミカル社製:紫光UV-3300B(Tg-32℃,ポリエーテル系)、紫光U-V3310B(Tg22℃,ポリカーボネート系)、紫光-UV3700B(Tg-5℃,ポリエーテル系)、紫光UV-6640B(Tg12℃,ポリエーテル系)、根上工業社製:アートレジンUN-1255(Tg-15℃,ポリエステル系)、アートレジンUN-7700(Tg-40℃、ポリエステル系)、アートレジンUN-350(Tg-60℃,ポリエステル系)、アートレジンUN-6200(Tg-55℃,ポリエーテル系)、アートレジンUN-6304(Tg-75℃,ポリエーテル系)、アートレジンUN-9000PEP(Tg-10℃,ポリカーボネート系)等が挙げられる。
【0041】
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物に含有する(C)エチレン性不飽和モノマーは、ラジカル重合性化合物が用いられ、分子中にα,β-不飽和二重結合を有する単官能のモノマーおよびもしくは2官能以上の多官能モノマー、ビニルモノマー、アリルモノマー、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー等のラジカル重合性モノマー等を挙げることができる。これらは単独でも2種類以上を併用しても良い。
【0042】
単官能エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のカーボン数が1~18の(アルキル)(メタ)アクリレートがあり、さらにベンジル(メタ)アクリレート、ブチルフェノール、オクチルフェノールまたはノニルフェノールまたはドデシルフェノールのようなアルキルフェノール、エチレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノメチロール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、アクリオロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
単官能エチレン性不飽和モノマーは、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の粘度を著しく低減させる効果があり、塗工・印刷皮膜の平滑性を向上させるため好ましい。単官能エチレン性不飽和モノマーは、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物総質量中に30~75質量%含むことが好ましく、35~70質量%含むことがより好ましい。
【0043】
2官能以上のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、その他のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート(数字は分子量を表す)、ポリエチレングリコール300ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール600ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール1000ジ(メタ)アクリレート、その他のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)クリレート、ポリプロピレングリコール400ジ(メタ)クリレート、ポリプロピレングリコール700ジ(メタ)クリレート、その他のポリプロピレングリコールジ(メタ)クリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールのアルキレンオキシド(2モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンのエチレンオキシド(3モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンのプロピレンオキシド(3モル)付加物のジ(メタ)アクリレート等の2官能モノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)クリレート、トリメチロールプロパントリカプロラクトネートトリ(メタ)アクリレート、グリセリンのエチレンオキシド(3モル)付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンのプロピレンオキシド(3モル)付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド(3モル)付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド(3モル)付加物のトリ(メタ)アクリレート等の3官能モノマー、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上のモノマーが挙げられる。2官能以上のエチレン性不飽和モノマーは、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物総質量中に10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
【0044】
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物に含有する(D)光開始剤は、電子線や紫外線、可視光線等の活性エネルギー線照射によってラジカルを発生し、(B)ウレタン(メタ)アクリレートや(C)エチレン性不飽和モノマーの(メタ)アクリレート基の架橋反応および重合反応を開始させる。光開始剤としては、例えば、アセトフェノン系光開始剤、アルキルフェノン系光開始剤、ベンゾイン系光開始剤、ベンゾフェノン系光開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光開始剤等が挙げられる。光開始剤は活性エネルギー線硬化性接着剤組成物総質量中に0.1~10質量%含むことが好ましく、0.3~5質量%含むことがより好ましい。光開始剤は単独でも2種以上を併用しても良い。
【0045】
光開始剤は、波長365nmにおけるグラム吸光係数が0.5L・g-1・cm-1以上であることが、硬化性や接着性の点で好ましい。なお、本発明でいうグラム吸光係数とは、単に吸光係数とも呼ばれるものであって、吸光度を(As)、試料厚み(セル内部の厚み)をb(cm)、試料の濃度をc(g/l)としたときに、グラム吸光係数(as)=(As)/(b・c)で定義されるものである(化学大辞典1、p.950、昭和46年2月5日発行、共立出版(株)参照)。例えば、セルとしては、セル内部の厚みが1cmの石英セルを用いるのが好ましく、その測定方法としては、例えば機器分析のてびき(1)(p.97~p.115、1989年、4月1日発行、(株)化学同人)に記載されているような方法で測定することができる。
【0046】
波長365nmにおけるグラム吸光係数が0.5L・g-1・cm-1以上である光開始剤として、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(1.3L・g-1・cm-1)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(5.0L・g-1・cm-1)、2,4-ジエチルチオキサントン(16.4L・g-1・cm-1)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(26.9L・g-1・cm-1)等が挙げられる。
【0047】
[オリゴマー]
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物には、(A)樹脂、(B)ウレタン(メタ)アクリレート、(C)エチレン性不飽和モノマー、(D)光開始剤の他に、オリゴマーとして、公知のものを適宜含有することができる。例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアクリル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、アミノ樹脂(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0048】
[添加剤]
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物には、(A)樹脂、(B)ウレタン(メタ)アクリレート、(C)エチレン性不飽和モノマー、(D)光開始剤の他に、添加剤として、公知のものを適宜含有することができる。例えば、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、増感剤、蛍光増白剤、硬化剤、カップリング剤、可塑剤、レベリング剤、表面調整剤、消泡剤、基材湿潤剤、接着付与剤、帯電防止剤、着色顔料、体質顔料、顔料分散剤、有機溶剤、水等が挙げられる。
【0049】
[溶剤]
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、有機溶剤や水を実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有せずとは、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の総質量に対して、3%以下、より好ましくは1%以下である。
【0050】
[粘度]
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の25℃における粘度は、100~3000mPa・sであり、好ましくは200~2000mPa・sである。25℃における粘度が上記範囲内にあると、塗工・印刷適性と接着性とのバランスに優れる。なお、粘度は、コーンプレート型粘度計(コーン直径20mm、コーン角度1度)を用いて、25℃環境下、せん断速度100s-1で測定できる。
【0051】
[塗工・印刷方法]
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を塗工・印刷する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、スプレー、シャワー、ディッピング、ロールコーター、ダイコーター、スピンコーター、ディスペンサー、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等のウエットコーティング法が挙げられる。
【0052】
[硬化方法]
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を硬化する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光線または赤外線等を照射することで硬化することができる。中でも、紫外線、電子線が好ましく、より好ましくは紫外線である。紫外線のピーク波長は、150~450nmであることが好ましい。
【0053】
[紫外線での硬化方法]
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を紫外線で硬化する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。150~450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を用いることができる。積算光量として10~3000mJ/cm2、好ましくは30~1000mJ/cm2を照射すれば良い。紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って接着性向上を図ることもできる。
【0054】
[積層体]
積層体は、本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を基材上に塗工・印刷により層形成し、活性エネルギー線を照射して硬化したのち、ラミネート材を貼り合わせて接着するドライラミネート方式、または活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を基材上に塗工・印刷により層形成し、ラミネート材を貼り合わせたのち、活性エネルギー線を照射して硬化・接着するウエットラミネート方式、等により得られる。積層体を得る方法としては、接着性の点でウエットラミネート方式が好ましい。活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を塗工・印刷する際の膜厚としては、通常1~50μmであることが好ましく、1~10μmであることがより好ましい。
【0055】
[基材]
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を塗工・印刷する基材は、特に限定されるものではなく、公知の材料を使用することができる。例えば、紙、段ボール、アート紙、コート紙、合成紙等の紙類やPET(ポリエチレンテレフタレート)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PC(ポリカーボネート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)等のプラスチックフィルム類が挙げられる。基材の膜厚としては特に指定されるものではなく、塗工・印刷する表面がコロナ処理されていても良い。また、意匠性を付与させる目的で表面がアルミ等の金属で蒸着処理されていても良く、さらにアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂やその他の樹脂等で表面コート処理を施されていても良く、さらにコロナ処理等の表面処理が施されていても良い。
【0056】
[ラミネート材]
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を用いて貼り合わせるラミネート材は、特に限定されるものではなく、公知の材料を使用することができる。例えば、紙、段ボール、アート紙、コート紙、合成紙等の紙類やPET(ポリエチレンテレフタレート)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PC(ポリカーボネート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)等のプラスチックフィルム類が挙げられる。ラミネート材の膜厚としては特に指定されるものではなく、接着剤組成物に貼り合わせる表面がコロナ処理されていても良い。また、意匠性を付与させる目的で表面がアルミ等の金属で蒸着処理されていても良く、さらにアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂やその他の樹脂等で表面コート処理を施されていても良く、さらにコロナ処理等の表面処理が施されていても良い。ラミネート材としては、接着性や積層体の外観の点で、PETやPCが好ましい。
【0057】
[インキ組成物]
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を塗工・印刷する前の基材に、公知のインキ組成物を印刷しても良い。例えば、インクジェットインキ組成物、グラビアインキ組成物、フレキソインキ組成物、スクリーンインキ組成物等が挙げられる。また、インキ組成物は水系、有機溶剤系、紫外線硬化系等が挙げられるが、活性エネルギー線硬化性を有する紫外線硬化系が活性エネルギー線硬化性接着剤組成物接着剤組成物との層間での接着性が向上するため、好ましい。
【実施例】
【0058】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0059】
[活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の作製:実施例1]
(A)樹脂として、YSレジンPX1250(テルペン樹脂)を28質量%、(B)ウレタン(メタ)アクリレートとして紫光-UV3700B(ホモポリマーTg-6℃,ポリエーテル系)を15質量%、(C)エチレン性不飽和モノマーとして、ACMO(4-アクリロイルモルフォリン)を18質量%、SR217NS(4-t-ブチルシクロヘキシルアクリレート)を24質量%、NKエステルL-Aを12質量%、(D)光開始剤として、SB-PI799(2,4-ジエチルチオキサントン(365nmにおけるグラム吸光係数16.4L・g-1・cm-1)を2質量%、Omnirad TPO(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド,365nmにおけるグラム吸光係数1.3L・g-1・cm-1)1質量%とを混合し、80℃で加温しながら、ディスパー撹拌(1000rpm)により溶解・混合し、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を作製した。
【0060】
[活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の作製:実施例2~15、比較例1~5]
表1に記載した原料と量を変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例2~15、比較例1~5を得た。なお、表1中の数字は質量%を示し、「-」は配合していないことを表す。
なお、実施例1~6は参考例である。
【0061】
【0062】
表1中の各原料の情報は、下記の通りである。
(A)樹脂
・YSレジンPX1250:ヤスハラケミカル社製、テルペン樹脂、Tg約70℃
・ニカノールHP-100:フドー社製、キシレン樹脂、Tg約60℃
・バイロンGK-680:東洋紡社製、ポリエステル樹脂、Tg10℃
・バイロン220:東洋紡社製、ポリエステル樹脂、Tg53℃
・ネオポリマーS :ENEOS社製、石油樹脂、Tg40℃
・ペトコールLX :東ソー社製、石油樹脂、Tg44℃
(B)ウレタン(メタ)アクリレート
・紫光UV-3700B:三菱ケミカル社製、ホモポリマーTg-6℃、ポリエーテル系
・アートレジンUN-9000PEP:根上工業社製、ホモポリマーTg-10℃、ポリカーボネート系
・アートレジンUN-7700:根上工業社製、ホモポリマーTg-40℃、ポリエステル系
・紫光UV-6630B:三菱ケミカル社製、ホモポリマーTg39℃
・アートレジンUN-2701:根上工業社製、ホモポリマーTg55℃、アダクトタイプ
(C)エチレン性不飽和モノマー
・ACMO:KJケミカル社製、4-アクリロイルモルフォリン、ホモポリマーTg145℃
・SR217NS:SARTOMER社製、4-t-ブチルシクロヘキシルアクリレート、ホモポリマーTg35℃
・NKエステルL-A:新中村化学工業社製、n-ラウリルアクリレート、ホモポリマーTg-23℃
・IBXA:大阪有機化学工業社製、イソボルニルアクリレート、ホモポリマーTg97℃
・アロニックスM-101A:東亞合成社製、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、ホモポリマーTg-8℃
(D)光開始剤
・SB-PI799:ソート社製、2,4-ジエチルチオキサントン、365nmにおけるグラム吸光係数16.4L・g-1・cm-1
・Omnirad TPO:BASF社製、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド,365nmにおけるグラム吸光係数1.3L・g-1・cm-1
・SB-PI711:ソート社製、2-ベンゾイル安息香酸メチル、365nmにおけるグラム吸光係数0.2L・g-1・cm-1
・DAIDO UV-CURE174:大同化成工業社製、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、365nmにおけるグラム吸光係数0.0L・g-1・cm-1
【0063】
得られた活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を以下の方法により評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0064】
【0065】
[粘度]
得られた活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の粘度を、コーンプレート型粘度計(コーン直径20mm、コーン角度1度)を用いて、25℃環境下、せん断速度100s-1で測定した。
【0066】
[積層体1の作製方法]
得られた活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を、基材である易接着PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA4360)にバーコーター#3を用いて塗工した(接着剤膜厚約5μm)。その後、ラミネート材であるコロナ処理PETフィルム(フタムラ化学社製、FE2001)をラミネート用ハンドローラーを用いて貼り合わせた。さらに、コンベア式UV照射装置(アイグラフィックス社製、高圧水銀灯、出力80W/cm、コンベア速度30m/分、ランプ高さ11cm)を用いて、ラミネート材側から紫外線を照射し、接着剤組成物を硬化させ、積層体1を作製した。EIT社製UV POWER PUCK IIにて測定したUVA領域の積算光量は55mJ/cm2である。
【0067】
[積層体2の作製方法]
得られた活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を、基材である易接着PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA4360)にバーコーター#3を用いて塗工した(接着剤膜厚約5μm)。その後、ラミネート材であるコロナ処理PETフィルム(フタムラ化学社製、FE2001)をラミネート用ハンドローラーを用いて貼り合わせた。さらに、コンベア式UV照射装置(アイグラフィックス社製、高圧水銀灯、出力160W/cm、コンベア速度5m/分、ランプ高さ11cm)を用いて、ラミネート材側から紫外線を照射し、接着剤組成物を硬化させ、積層体2を作製した。EIT社製UV POWER PUCK IIにて測定したUVA領域の積算光量は660mJ/cm2である。
【0068】
[積層体3の作製方法]
得られた活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を、基材であるポリエステル系合成紙(東洋紡社製、クリスパーK2411)にフレキソ印刷試験機(松尾産業社製、アニロックスロール200L/INCH、印刷速度30m/分)を用いて印刷した(接着剤膜厚約4μm)。その後、ラミネート材であるコロナ処理PETフィルム(フタムラ化学社製、FE2001)をラミネート用ハンドローラーを用いて貼り合わせた。さらに、コンベア式UV照射装置(アイグラフィックス社製、高圧水銀灯、出力80W/cm、コンベア速度30m/分、ランプ高さ11cm)を用いて、ラミネート材側から紫外線を照射し、接着剤組成物を硬化させ、積層体3を作製した。EIT社製UV POWER PUCK IIにて測定したUVA領域の積算光量は55mJ/cm2である。
【0069】
[積層体4の作製方法]
得られた活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を、基材であるポリエステル系合成紙(東洋紡社製、クリスパーK2411)にフレキソ印刷試験機(松尾産業社製、アニロックスロール200L/INCH、印刷速度30m/分)を用いて印刷した(接着剤膜厚約4μm)。その後、ラミネート材であるコロナ処理PETフィルム(フタムラ化学社製、FE2001)をラミネート用ハンドローラーを用いて貼り合わせた。さらに、コンベア式UV照射装置(アイグラフィックス社製、高圧水銀灯、出力160W/cm、コンベア速度5m/分、ランプ高さ11cm)を用いて、ラミネート材側から紫外線を照射し、接着剤組成物を硬化させ、積層体4を作製した。EIT社製UV POWER PUCK IIにて測定したUVA領域の積算光量は660mJ/cm2である。
【0070】
[接着性]
作製した積層体を100mm×25mmの大きさに裁断し、5枚の試験片を作製した。JIS K6854-3の試験法に準じ、引張り試験機(剥離速度200mm/分、25℃、60%RH)を用いて、T型剥離試験を行った。5枚の試験片から得られた剥離強度の平均値より、接着性を評価した。評価基準は下記の通りである。
5:剥離強度の平均値10.0N/25mm以上
4:剥離強度の平均値7.5~10.0N/25mm
3:剥離強度の平均値5.0~7.5N/25mm
2:剥離強度の平均値2.5~5.0N/25mm
1:剥離強度の平均値2.5N/25mm未満
【0071】
表2に示す通り、薄膜かつ低エネルギー量の条件において、実施例1~15の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を用いる積層体は優れた接着性を得ることができた。
【要約】
【課題】薄膜かつ低エネルギー量の条件で優れた接着性を有する活性エネルギー線硬化性接着剤組成物及びそれを用いる積層体を提供することである。
【解決手段】(A)樹脂、(B)ウレタン(メタ)アクリレート、(C)エチレン性不飽和モノマー、(D)光開始剤を含む活性エネルギー線硬化性接着剤組成物であって、(B)ウレタン(メタ)アクリレートは、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が30℃未満であり、(D)光開始剤は、波長365nmにおけるグラム吸光係数が0.5L・g-1・cm-1以上である活性エネルギー線硬化性接着剤組成物及びそれを用いる積層体。
【選択図】なし