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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
E04H1/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019012701
(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2020122261
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】中原 潤平
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-127780(JP,A)
【文献】特開平11-062277(JP,A)
【文献】特開2008-013966(JP,A)
【文献】特開2009-084892(JP,A)
【文献】特開2005-220562(JP,A)
【文献】特開2002-242461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00-1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室と、前記浴室に隣接する脱衣室と、前記浴室および前記脱衣室に隣接する屋外敷地を備えた住宅であって、
前記脱衣室と前記屋外敷地を仕切る掃出窓である脱衣室窓部と、
前記浴室と前記屋外敷地の間に設けられた浴室窓部と、
前記屋外敷地において前記脱衣室の床レベルと同じ高さで設けられたデッキと、
前記屋外敷地を囲んで立設されたルーバーを備え、
地表面が露出して植物を配置した植栽領域を前記屋外敷地に備え、
前記浴室の開口である浴室窓部に隣接して前記植栽領域が配置され、
前記脱衣室に隣接して前記デッキが設けられており、
前記屋外敷地は、三辺が前記ルーバーで囲まれ、一辺に前記浴室窓部および前記脱衣室窓部が配置されていることを特徴とする住宅。
【請求項2】
請求項1に記載の住宅であって、
前記デッキと前記脱衣室は共通の床材で構成されていることを特徴とする住宅。
【請求項3】
請求項1または2に記載の住宅であって、
前記ルーバーは、前記脱衣室窓部から50~150cmの距離に設けられていることを特徴とする住宅。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一つに記載の住宅であって、
前記ルーバーの羽板は、敷地外から前記屋外敷地に向かって下方に傾斜していることを特徴とする住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅に関し、特に屋外に面した浴室と脱衣室を備える住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、入浴時に快適な時間を過ごせるように、浴室の外部に庭園等の空間を設けて窓から景色を楽しむ間取りの住宅が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このような住宅では、浴室内から外部を視認可能にするとともに、浴室内が敷地外から見えないように隠蔽する必要があり、住宅内での浴室の位置や外壁の配置などの設計を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-364187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、保温性を確保するためと外部からの視線を効果的に遮るためには、浴室に設けられる窓の開口面積を大きくすることには限界があった。そのため、浴室外の空間を浴室から十分に視認できず、確保した空間を有効に利用することが困難であった。また、入浴前後に滞在する脱衣室における時間の過ごし方については考慮されておらず、脱衣から入浴、着衣までの一連の動作での快適さは十分とは言えなかった。
【0005】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、浴室外の空間を有効に利用して入浴に伴う時間全体の快適性を向上させることが可能な住宅を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の住宅は、浴室と、前記浴室に隣接する脱衣室と、前記浴室および前記脱衣室に隣接する屋外敷地を備えた住宅であって、前記脱衣室と前記屋外敷地を仕切る掃出窓である脱衣室窓部と、前記浴室と前記屋外敷地の間に設けられた浴室窓部と、前記屋外敷地において前記脱衣室の床レベルと同じ高さで設けられたデッキと、前記屋外敷地を囲んで立設されたルーバーを備え、地表面が露出して植物を配置した植栽領域を前記屋外敷地に備え、前記浴室の開口である浴室窓部に隣接して前記植栽領域が配置され、前記脱衣室に隣接して前記デッキが設けられており、前記屋外敷地は、三辺が前記ルーバーで囲まれ、一辺に前記浴室窓部および前記脱衣室窓部が配置されていることを特徴とする。
【0007】
このような本発明の住宅では、屋外敷地と脱衣室を掃出窓で仕切り、屋外敷地のデッキと脱衣室とを同じ高さとし、ルーバーで屋外敷地を囲んでいることにより、浴室外の空間を有効に利用して入浴に伴う時間全体の快適性を向上させることが可能となる。
【0008】
また本発明の一態様では、前記デッキと前記脱衣室は共通の床材で構成されている
【0009】
また本発明の一態様では、前記ルーバーは、前記脱衣室窓部から50~150cmの距離に設けられている。
【0010】
また本発明の一態様では、前記ルーバーの羽板は、敷地外から前記屋外敷地に向かって下方に傾斜している。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、浴室外の空間を有効に利用して入浴に伴う時間全体の快適性を向上させることが可能な住宅を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態における住宅の一階部分を模式的に示す平面図である。
図2】脱衣室窓部7を開けた状態で脱衣室2から浴室1方向を視認した様子を模式的に示す図である。
図3】植栽3aを配置した植栽領域について模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。図1は、本実施形態における住宅の一階部分を模式的に示す平面図である。図1に示すように、本実施形態の住宅は一階に浴室1と、脱衣室2と、屋外敷地3と、デッキ4と、ルーバー5と、浴室窓部6と、脱衣室窓部7を備えている。
【0014】
浴室1は、住宅の内部に設けられた区画であり、浴槽やシャワー設備等を備えている。浴室1を囲む壁面の一部には浴室窓部6が設けられており、浴室窓部6から外部の屋外敷地3を視認可能となっている。ここでは浴室1に浴槽やシャワー設備を備えた例を示したが、従来から提案されている浴室としての機能を備えていれば、浴室1内に備えられた設備は限定されない。
【0015】
脱衣室2は、浴室1に隣接した住宅内の区画であり、浴室1の入口ドアを介して浴室1内に移動可能となっている。また、屋外敷地3のうちデッキ4が設けられた領域と脱衣室2とは脱衣室窓部7で仕切られている。脱衣室2は、単に着衣を脱ぐ空間だけを示すものではなく、洗面設備や洗濯設備、排泄設備等を備えていてもよく、用途は限定されない。
【0016】
屋外敷地3は、浴室1および脱衣室2に隣接する位置において住宅の屋外に設けられた空間である。本実施形態では、その一部は地表面が露出しており、一部はデッキ4が敷設されている。また図1に示すように、屋外敷地3は住宅の浴室窓部6および脱衣室窓部7に沿った方向に略矩形状に設けられており、その三辺にはルーバー5が設けられて囲まれている。ここでは屋外敷地3として略矩形状の例を示しているが、浴室1および脱衣室2に隣接して設けられ、ルーバー5で周囲が囲われていれば形状は限定されない。
【0017】
デッキ4は、屋外敷地3のうち屋外用の床材を敷設した略平坦な領域である。図1に示すようにデッキ4は、脱衣室窓部7に隣接して設けられている。デッキ4の高さは脱衣室2の床レベルと同じであり、かつ脱衣室窓部7を介して脱衣室2の床と連続して一体の平面を構成している。デッキ4の構造や材質は限定されないが、脱衣室窓部7に隣接する脱衣室2の床面と同様の仕上げを用いることで、脱衣室2と屋外敷地3との空間の連続性が高まるため好ましい。
【0018】
ルーバー5は、住宅の敷地外から浴室1、脱衣室2および屋外敷地3を視認できないようにするための目隠しであり、後述するように羽板を複数段にわたって配置した構造を有している。またルーバー5は、上述したように屋外敷地3の外周を囲んで設けられており、敷地外から屋外敷地3への立ち入りを妨げる機能を有している。ルーバー5の具体的な構造は限定されないが、敷地外からの視線を有効に遮るためには、2.0m以上の高さを有することが好ましく、住宅一階の天井と同等以上の高さを有することがさらに好ましい。
【0019】
浴室窓部6は、浴室1と屋外敷地3を仕切る壁に設けられた窓である。浴室窓部6には曇りガラスを用いることが一般的であるが、屋外敷地3を浴室1内から鑑賞するためには、直線的に光を透過する透明ガラスを用いてもよい。本実施形態においては、上述したようにルーバー5で屋外敷地3を隠蔽しているため、浴室窓部6として透明ガラスを用いても敷地外から浴室1内への視線を遮ることができる。
【0020】
脱衣室窓部7は、脱衣室2と屋外敷地3を仕切る壁に設けられた窓である。脱衣室窓部7は床と同じ高さにサッシが設けられた掃出窓であり、脱衣室窓部7を開けることで脱衣室2と屋外敷地3との間で移動可能となる。脱衣室窓部7に透明ガラスを用いることで、脱衣室2から屋外敷地3、デッキ4およびルーバー5を見渡すことが可能である。脱衣室窓部7の具体的な大きさや構造は限定されないが、成人の目線高さよりも上方までの開口が設けられていると、屋外敷地3とデッキ4を良好に見渡すことができる。
【0021】
図2は、脱衣室窓部7を開けた状態で脱衣室2から浴室1方向を視認した様子を模式的に示す図である。図2に示すように、脱衣室2内からは、浴室1と、屋外敷地3と、デッキ4と、ルーバー5を見渡すことができる。屋外敷地3には、地表面に植栽3aが植えられており、本願における植栽領域が構成されている。脱衣室2からは植栽3aが設けられた植栽領域も視認可能となっている。また、図2では脱衣室窓部7を開けた状態を示しているが、脱衣室窓部7が掃出窓であることから、脱衣室窓部7を閉めた状態であっても脱衣室窓部7を介して屋外敷地3、植栽3a、デッキ4およびルーバー5を視認可能となっている。
【0022】
図2で示したように、デッキ4は脱衣室窓部7に隣接して設けられ、脱衣室2の床面と同じ高さに形成され、脱衣室2とデッキ4とは連続して一体の平面を構成している。これにより、脱衣室2内と屋外敷地3およびデッキ4との境界が曖昧になり、脱衣室2と屋外敷地3およびデッキ4の空間の連続性と解放感を高めることができる。ここで、脱衣室2の床を構成する床材と、デッキ4に用いられる床材とを共通とすることで、脱衣室2とデッキ4の境界がさらに曖昧になり、空間の連続性をより一層高めることができる。
【0023】
また、屋外敷地3とデッキ4の周囲はルーバー5で囲まれているため、浴室1と脱衣室2と屋外敷地3を一連の空間として認識しやすくなる。また、屋外敷地3の地表面から植栽3aの上端に至るまで鑑賞することができるため、浴室外の空間である屋外敷地3を有効に利用することが可能となる。
【0024】
図3は、植栽3aを配置した植栽領域について模式的に示す断面図である。図3に示したように、浴室1と屋外敷地3とは浴室窓部6で仕切られており、ルーバー5は浴室窓部6および脱衣室窓部7から50~150cmの距離に設けられている。掃出窓である脱衣室窓部7からこの範囲内にルーバー5を設けることで、植栽3aを鑑賞するのに十分な空間を確保しつつ、敷地外からの視線を効果的に遮ることができる。
【0025】
また、図3に示したようにルーバー5は、複数の羽板5aが並べられた構造を有しており、羽板5aは敷地外から屋外敷地3に向かって下方に傾斜している。ルーバー5がこのような構造を有することで、太陽光を羽板5a間の隙間から屋外敷地3内に取り入れることや、通気性を確保することができる。植栽3aが配置された植栽領域において太陽光と外気を取り入れることができると、植栽3aを良好に生育することができる。また、敷地外においてルーバー5に近接して浴室1および脱衣室2方向に視線を向けたとしても、羽板5aの傾斜によって視線が下方に限定されるため、十分に視線を遮ることができる。
【0026】
上述したように本発明の住宅では、屋外敷地3と脱衣室2を掃出窓である脱衣室窓部7で仕切り、デッキ4と脱衣室2の床面を同じ高さとし、ルーバー5で屋外敷地3を囲んでいることにより、浴室1外の空間を有効に利用して入浴に伴う時間全体の快適性を向上させることが可能となる。
【0027】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0028】
1…浴室
2…脱衣室
3…屋外敷地
3a…植栽
4…デッキ
5…ルーバー
5a…羽板
6…浴室窓部
7…脱衣室窓部
図1
図2
図3