(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】電装品モジュール
(51)【国際特許分類】
F24F 1/24 20110101AFI20231003BHJP
【FI】
F24F1/24
(21)【出願番号】P 2019039284
(22)【出願日】2019-03-05
【審査請求日】2021-11-30
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100083404
【氏名又は名称】大原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】畠山 幸子
(72)【発明者】
【氏名】比嘉 保志
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-232526(JP,A)
【文献】特開2011-099577(JP,A)
【文献】特開2016-109314(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0231008(US,A1)
【文献】特開2016-125734(JP,A)
【文献】特開2016-138721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機の室外機の機械室内に配置される電装品モジュールにおいて、
パワーデバイスが搭載されているパワー基板と、上記パワー基板と上記機械室内の液側冷媒配管とを熱的に結合するヒートシンクと、上記ヒートシンクの配管固定面側を覆う大きさを有し上記液側冷媒配管のうちの第1冷却用配管部と第2冷却用配管部を上記ヒートシンクに固定する押さえカバーとを備え、
上記押さえカバーは、上記ヒートシンクの一側端に係合する第1係合部と上記ヒートシンクの他側端に係合する第2係合部とを備え、上記ヒートシンクの他側端には、上記パワー基板側に向けて傾斜する傾斜面が形成されているとともに、上記第2係合部にも係合時において上記傾斜面と平行になる傾斜部が設けられており、
上記第2係合部の上記傾斜部の端部には、上記ヒートシンクの他側端の縁に変形を伴って回り込むようにして係合する爪鉤が形成されており、上記押さえカバーは、上記第1係合部を軸支点として回転可能であり、上記第2係合部は、上記押さえカバーの回転に伴って上記ヒートシンクの他側端に係合することを特徴とする電装品モジュール。
【請求項2】
上記押さえカバーはばね弾性を有し、上記第1係合部を上記ヒートシンクの一側端に係合した状態で、上記第2係合部は上記ヒートシンクの他側端に弾性変形しながら係合することを特徴とする請求項
1に記載の電装品モジュール。
【請求項3】
空気調和機の室外機の機械室内に配置される電装品モジュールにおいて、
パワーデバイスが搭載されているパワー基板と、上記パワー基板と上記機械室内の液側冷媒配管とを熱的に結合するヒートシンクと、上記ヒートシンクの配管固定面側を覆う大きさを有し上記液側冷媒配管のうちの第1冷却用配管部と第2冷却用配管部を上記ヒートシンクに固定する押さえカバーとを備え、
上記押さえカバーは、上記ヒートシンクの一側端に係合する第1係合部と上記ヒートシンクの他側端に係合する第2係合部とを備え、上記第1係合部を軸支点として回転可能であり、上記第2係合部は、上記押さえカバーの回転に伴って上記ヒートシンクの他側端に係合するとともに、
上記ヒートシンクには、溝深さが上記冷却用配管部の外径よりも浅い、上記第1冷却用配管部が収納される第1収納溝と上記第2冷却用配管部が収納される第2収納溝とが形成されており、上記押さえカバーにより、上記第1冷却用配管部が上記第1収納溝内に押し付けられるとともに、上記第2冷却用配管部が上記第2収納溝内に押し付けられ、
上記押さえカバーの上記第1係合部側で上記第1冷却用配管部に作用する第1押圧部と上記第2係合部側で上記第2冷却用配管部に作用する第2押圧部との間に段差が設けられ、上記第1押圧部に対して上記第2押圧部が上記ヒートシンクの配管固定面側に一段低くなるように形成されていることを特徴とする電装品モジュール。
【請求項4】
上記第1押圧部と上記第2押圧部との間に、V字もしくはU字溝が形成されていることを特徴とする請求項
3に記載の電装品モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室外機の機械室内に配置される電装品モジュールに関し、さらに詳しく言えば、パワーデバイスを冷却する冷却器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な空気調和機は、
図19に示すように、室外に設置される室外機10と室内に設置される室内機20を備えている。室外機10と室内機20は、冷媒配管30によって接続され、蒸気圧縮式冷凍サイクルを形成している。
【0003】
室外機10には、室外空気と冷媒を熱交換する室外熱交換器11、送風ファン11F、冷媒を圧縮する圧縮機12、圧縮機12から吐き出された潤滑油及び冷媒の混合流体から潤滑油を分離する油分離器13、流入した冷媒を膨張させて所定の圧力に減圧させる膨張弁14、流入した冷媒を気液分離するアキュムレータ15、暖房運転と冷房運転を切り替える四方弁16等が設けられている。
【0004】
また、室内機20には、室内空気と冷媒を熱交換する室内熱交換器21、送風ファン21F等が設けられている。そして、冷媒配管30は、これら室外熱交換器11、圧縮機12、油分離器13、膨張弁14、アキュムレータ15、四方弁16および室内熱交換器21を接続している。冷媒配管30は、液側冷媒配管30Lとガス側冷媒配管30Gとを含む。
【0005】
室外機10は、
図20に示すように、仕切板171によって、筐体17の内部が左右方向に熱交換器室10Aと機械室10Bに区画され、熱交換器室10Aには室外熱交換器11と送風ファン11Fが配置されている。
【0006】
機械室10Bには、圧縮機12、油分離器13、膨張弁14、アキュムレータ15、四方弁16等が収容され、これらは
図16に示すように筐体17の前面の図示しないサービスパネルを取り外すことにより、外部から視認可能となっている。
【0007】
機械室10Bには、さらに、その上下方向のほぼ中間位置に電装品モジュール40が配置されている。電装品モジュール40は、空気調和機の全体の動作を制御する制御回路、空気調和機の各種設定を行うための設定回路、空気調和機の状態を表示する表示回路、外部から供給される交流電力を直流電力に変換して出力するコンバータ回路、コンバータ回路から出力された直流電力を交流電力に変換して出力するインバータ回路、その他の回路等を搭載したモジュールであり、プリント基板41にそれらの回路を実現するための複数の電子部品が搭載されている。プリント基板41は、機械室10Bの奥側に配管スペースを確保できるように、1枚で構成されている。
【0008】
図21に電装品モジュール40の正面を示す。プリント基板41は、機械室10B内に起立した姿勢で取り付けられている。プリント基板41は上下方向に弱電領域41Aと強電領域41Bとなるように領域分割されている。
【0009】
弱電領域41Aには、上記した制御回路の一部を構成するマイコン等の電子部品、設定回路を構成するスイッチ41A1やプラグを抜き差しする小電力用コネクタ41A2等の操作のための電子部品、表示回路を構成するLED41A3等の弱電系の電子部品が搭載される。
【0010】
また、強電領域41Bには、上記した制御回路の残りを構成する電力変換を行うための強電系の複数の電子部品、例えばコンバータ回路のIC、インバータ回路のICなどのパワーデバイス41B1、平滑用の大容量電解コンデンサ41B2、大電力用コネクタ41B3などの部品が搭載される。
【0011】
強電領域41Bには、さらに、パワーデバイス41B1で発生する熱を冷却するための冷却器50が配置されている。
図20および
図22を参照して、冷却器50は、液側冷媒配管30Lとパワーデバイス41B1とを熱的に結合する例えばアルミニウム材からなるヒートシンク51を備えている。
【0012】
液側冷媒配管30LのうちのU字状に折り曲げられて上下方向に平行に延在する2本の配管部分を冷却用配管部30L1,30L2として、ヒートシンク51は、パワーデバイス41B1に密着するように押さえカバー52により冷却用配管部30L1,30L2に取り付けられる。
【0013】
この従来例において、押さえカバー52は、左右の両側に、一方の冷却用配管部30L1に対する押さえ部521と他方の冷却用配管部30L2に対する押さえ部522とを有し、ヒートシンク51はそれらの間にある取付基部523にネジ止めされて、冷却用配管部30L1,30L2に取り付けられる。
【0014】
冷却用配管部30L1,30L2には、冷房運転時には室外熱交換器11で凝縮した冷媒が流れ、暖房運転時には室内熱交換器21で凝縮され膨張弁14で減圧された冷媒が流れるので、その冷媒温度によって冷却器50のヒートシンク51が冷却され、パワーデバイス41B1の温度が所定値以下に保持される。以上説明した空気調和機については、特許文献1に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記従来例によると、
図22に示されているように、押さえカバー52は、押さえ部521と押さえ部522との間の中間にある取付基部523がヒートシンク51のネジ止め部となっていることから、そのネジ止め作業の都合上、冷却器50は、プリント基板41の正面側において図示しないサービスパネル側に向けて配置され、その配置箇所が限定されていた。
【0017】
すなわち、冷却器50をプリント基板41の裏面側(機械室10Bの奥側)に配置すると、プリント基板41が邪魔になって、サービスパネル側(筐体17の正面側)からでは手がそこまで届かず、押さえカバー52をヒートシンク51にネジ止めすることができなくなる。
【0018】
したがって、本発明の課題は、空気調和機の室外機の機械室内に配置される電装品モジュールにおいて、パワーデバイスを冷却するヒートシンク(冷却器)を冷却用配管部等に取付けやすくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、第1の発明は、空気調和機の室外機の機械室内に配置される電装品モジュールにおいて、
パワーデバイスが搭載されているパワー基板と、上記パワー基板と上記機械室内の液側冷媒配管とを熱的に結合するヒートシンクと、上記ヒートシンクの配管固定面側を覆う大きさを有し上記液側冷媒配管のうちの第1冷却用配管部と第2冷却用配管部を上記ヒートシンクに固定する押さえカバーとを備え、
上記押さえカバーは、上記ヒートシンクの一側端に係合する第1係合部と上記ヒートシンクの他側端に係合する第2係合部とを備え、上記ヒートシンクの他側端には、上記パワー基板側に向けて傾斜する傾斜面が形成されているとともに、上記第2係合部にも係合時において上記傾斜面と平行になる傾斜部が設けられており、上記第2係合部の上記傾斜部の端部には、上記ヒートシンクの他側端の縁に変形を伴って回り込むようにして係合する爪鉤が形成されており、上記押さえカバーは、上記第1係合部を軸支点として回転可能であり、上記第2係合部は、上記押さえカバーの回転に伴って上記ヒートシンクの他側端に係合することを特徴としている。
【0021】
また、第1の発明は、上記押さえカバーは弾性を有し、上記第1係合部を上記ヒートシンクの一側端に係合した状態で、上記第2係合部は上記ヒートシンクの他側端に弾性変形しながら係合することを特徴としている。
【0022】
第2の発明は、空気調和機の室外機の機械室内に配置される電装品モジュールにおいて、
パワーデバイスが搭載されているパワー基板と、上記パワー基板と上記機械室内の液側冷媒配管とを熱的に結合するヒートシンクと、上記ヒートシンクの配管固定面側を覆う大きさを有し上記液側冷媒配管のうちの第1冷却用配管部と第2冷却用配管部を上記ヒートシンクに固定する押さえカバーとを備え、
上記押さえカバーは、上記ヒートシンクの一側端に係合する第1係合部と上記ヒートシンクの他側端に係合する第2係合部とを備え、上記第1係合部を軸支点として回転可能であり、上記第2係合部は、上記押さえカバーの回転に伴って上記ヒートシンクの他側端に係合するとともに、
上記ヒートシンクには、溝深さが上記冷却用配管部の外径よりも浅い、上記第1冷却用配管部が収納される第1収納溝と上記第2冷却用配管部が収納される第2収納溝とが形成されており、上記押さえカバーにより、上記第1冷却用配管部が上記第1収納溝内に押し付けられるとともに、上記第2冷却用配管部が上記第2収納溝内に押し付けられ、
上記押さえカバーの上記第1係合部側で上記第1冷却用配管部に作用する第1押圧部と上記第2係合部側で上記第2冷却用配管部に作用する第2押圧部との間に段差が設けられ、上記第1押圧部に対して上記第2押圧部が上記ヒートシンクの配管固定面側に一段低くなるように形成されていることを特徴としている。
【0024】
また、第2の発明は、上記第1押圧部と上記第2押圧部との間にV字もしくはU字溝が形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、パワーデバイスを冷却するヒートシンク(冷却器)を冷却用配管部等に取付けやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係る室外機を示す斜視図。
【
図2】上記室外機のサービスパネルを取り外した状態を示す斜視図。
【
図3】機械室から電装品モジュールを取り外した状態を示す斜視図。
【
図4】電装品モジュールを冷却器を含めて展開した斜視図。
【
図5】上フレームと下フレームを仕切板へ取り付ける態様を示す斜視図。
【
図8】実質的に冷却器を構成するヒートシンクの好ましい形態を示す斜視図。
【
図9】(a)
図8のA-A線断面図、(b)
図8のB-B線断面図。
【
図10】別の態様の押さえカバーを有する冷却器を示す断面図。
【
図12】(a)上記押さえカバーの作用の一態様を示す概略的な断面図、(b)上記押さえカバーの作用の別態様を示す概略的な断面図。
【
図13】室外機から天面パネルを取り外した状態を示す平面図。
【
図14】室外機から右側面パネルを取り外した状態を示す右側面図。
【
図15】メイン基板やパワー基板が取り付けられる固定板が機械室内のメンテナンス時以外の通常位置に支持されている状態を示す斜視図。
【
図16】メンテナンス時に上記固定板を機械室内のフレームに仮止め(仮固定)した状態を示す斜視図。
【
図17】(a)上記仮止め手段の一例を示す斜視図、(b)上記仮止め手段の他の例を示す斜視図。
【
図18】仮止め時の下フレームによる支えを示す斜視図。
【
図20】従来の室外機のサービスパネルを取り外した状態を示す正面図。
【
図22】従来の電装品モジュールが備える冷却器を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、
図1ないし
図18を参照して、本発明のいくつかの実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
まず、
図1~
図3および
図13,
図14を参照して、本発明の電装品モジュール200が適用される室外機100について説明する。
【0029】
室外機100の筐体110は、前面パネル111、その前面パネル111の右横のサービスパネル112、右側面パネル113、左側面パネル114、天面パネル115、背面パネル116、底面パネル117を備え、底面パネル117にはスタンド118が取り付けられている。
【0030】
筐体110は仕切板119によって、正面パネル111の奥側が熱交換器室110Aになり、サービスパネル112の奥側が機械室110Bになるように、左右方向に区画されている。仕切板119は機械室110Bの壁面一部を構成している。
【0031】
熱交換器室110Aに前述した室外熱交換器11や送風ファン11Fが配置されている。また、機械室110Bに、前述した冷媒配管30、圧縮機12、膨張弁14、アキュムレータ15、サブアキュムレータ15A、四方弁16等が収容されている。機械室110Bは、サービスパネル112を取り外すことにより、室外機100の前面側から視認可能となっている。
【0032】
特に
図4を参照して、電装品モジュール200は、正面がサービスパネル112の裏面と対面するよう機械室110Bに配置される固定板210と、固定板210の上部が取り付けられる長尺形状の上フレーム220と、固定板210の下部が取り付けられる長尺形状の下フレーム230と、上フレーム220を仕切板119に取り付ける取付金具240と、下フレーム230を仕切板119に取り付ける取付金具250と、制御回路の一部を構成する電子部品やその他の電子部品が搭載されるメイン基板260と、制御回路の残りの部分を構成する電子部品やその他の電子部品、後記する複数のパワーデバイス274が搭載されるパワー基板270を備える。
【0033】
このように、この実施形態においては、電装品モジュール200のプリント基板はメイン基板260とパワー基板270に分割されていて、メイン基板260はその裏面260bが固定板210の正面211aに対面するように固定板210に搭載され、パワー基板270はその裏面270bが固定板210の裏面211bに対面するよう固定板210に搭載される。
【0034】
パワー基板270の正面270a側(
図4においてパワー基板270の後ろ側)にパワーデバイス274を冷却する冷却器300が配置されている。冷却器300は、液側冷媒配管30LのU字折曲部31に取り付けられた状態で上フレーム220と下フレーム230に跨るように、その上フレーム220と下フレーム230に取り付けられる。
【0035】
液側冷媒配管30LのU字折曲部31には、上下方向に互いに平行に延在する2本の配管が含まれ、この実施形態では、この配管部分をパワーデバイス274を冷却する冷却用配管部30L1,30L2として用いている。冷却用配管部30L1,30L2には同じ温度の冷媒が流れる。
【0036】
固定板210は、正面211aにメイン基板260が搭載され裏面211bにパワー基板270が搭載される本体部211と、その本体部211の上端から裏面211bの方向に90度に折り曲げられた補強用の上横片212と、その折曲片212の後端から上方に90度に折り曲げられた取付用の上縦片213を備える。
【0037】
また、本体部211の下端から正面211aの方向に90度に折り曲げられた補強用の下横片214と、その下横片214の前端から下方に90度に折り曲げられた下縦片215とを備える。その下縦片215の両端には下方に突出させた取付部215aが形成されている。
【0038】
上フレーム220は、固定板210の上縦片213にネジ止めされる縦片221と、その縦片221の上端から後方に90度に折り曲げられた補強用の上横片222と、縦片211の左端から前方に向けて45度に折り曲げられた取付片223とを備える。224は冷却器300が取り付けられる端部である。
【0039】
下フレーム230は、固定板210の下縦片215にネジ止めされる下縦片231と、下縦片231の上端から後方に90度に折り曲げられた上横片232と、上横片232の奥端から上方に90度に折り曲げられた補強用の上縦片233と、下縦片231の左端から前方に向けて45度に折り曲げられた取付片234とを備える。そして、下縦片231の正面側には端子板400が取り付けられる。235は冷却器300が取り付けられる端部である。
【0040】
図6および
図7を参照して、冷却器300は、パワー基板270の正面270aに搭載されている複数のパワーデバイス274に熱的に結合されるアルミニウム製のヒートシンク310を備えている。
【0041】
ヒートシンク310には、断面が半円形状の2個の収納溝311,311が形成されており、この収納溝311,311に冷却用配管部30L1,30L2が嵌め込まれる。収納溝311,311の深さは冷却用配管部30L1,30L2の外径よりも浅く、冷却用配管部30L1,30L2は、板金製の押さえカバー320によってヒートシンク310に固定される。
【0042】
この実施形態において、パワーデバイス274は、その複数個が冷却用配管部30L1,30L2に沿ってパワーデバイス群として上下方向に並べられ、ヒートシンク310は、そのパワーデバイス群の上下方向の長さと同じ長さ、もしくはその長さよりも長い長さを有する。なお、パワーデバイス274が一つである態様も本発明に含まれる。
【0043】
また、ヒートシンク310は、配管の収納溝311に加えて、パワーデバイス274に押し付けられて熱的に結合する厚板部312と、厚板部312の両側に形成されたカバー取付部313、314を有する。
【0044】
押さえカバー320は、冷却用配管部30L1,30L2を押圧する中央の押え部321と、その押え部321の一端から折り曲げられたフック部322と、押え部321の他端からフック部322と向き合うように折り曲げられた取付部323とを備える。
【0045】
冷却器300を組み立てるには、まず、
図6に示すように、上フレーム220の縦片221の端部224と下フレーム230の上部縦片233の端部235の間に跨るように、ヒートシンク310をネジB1,B2で取り付ける。
【0046】
そして、
図7に示すように、ヒートシンク310の収納溝311,311に冷却用配管部30L1,30L2をはめ込み、押さえカバー320のフック部322をヒートシンク310の一方のカバー取付部313に係合し、押え部323をヒートシンク310の他方のカバー取付部314に押し付けて、押え部323をカバー取付部314にネジB3、B4で固着する。
【0047】
次に、
図8,
図9により、結露防止対策を講じた別の実施形態に係る冷却器300Aについて説明する。
【0048】
上記実施形態におけるヒートシンク310は、その全体がアルミニウム製であるが、この別の実施形態に係る冷却器300Aにおいて、ヒートシンク310Aは、高熱伝導性の例えばアルミニウム材からなる熱伝導体330と、断熱性の高い例えば合成樹脂材からなる断熱体340の2種類の部材よりなる。
【0049】
熱伝導体330は、パワーデバイス274と接触する部分にのみに配置され、残余の部分は断熱体340により形成されている。
【0050】
ヒートシンク310Aは、好ましくは、熱伝導体330を図示しない成型金型内に配置して合成樹脂を注入するインサート成型によって作製される。熱伝導体330は、その一端がヒートシンク310Aのパワー基板270側の一方の面に露出し、他端が冷却用配管部30L1,30L2側の他方の面に露出するように断熱体340内に設けられる。
【0051】
この別の実施形態においても、ヒートシンク310A(冷却器300A)の他方の面には、冷却用配管部30L1,30L2の収納溝311,311が熱伝導体330の部分を含めて形成されており、
図9(a)に示すように、収納溝311,311内において、熱伝導体330と冷却用配管部30L1,30L2とが接している。
【0052】
このように、パワーデバイス274と接触する部分のみに熱伝導体330を配置し、残余の部分を断熱体340としたことにより、ヒートシンク310Aの表面に結露が生じ難くなるため、結露を生じさせないように冷媒の温度をコントロールする必要がなくなる。
【0053】
また、ヒートシンク310A(冷却器300A)自体に排水用の導水路を形成する必要もないことから、小型化が可能となり、設計の自由度が向上する。さらには、断熱体340にアルミニウム材よりも安価な合成樹脂材を用いることができるため、低コスト化が可能となる。
【0054】
次に、
図10ないし
図12により、冷却器を
図7に示すように正面側(サービスパネル側)から見てパワー基板270の後ろ側に配置した場合においても、組立およびメンテナンス性が良好である冷却器300Bについて説明する。
【0055】
この冷却器300Bにおいても、ヒートシンク310は、押さえカバー320Aを取り付けるための、左側の一側端に一方のカバー取付部313を、また、右側の他側端に他方のカバー取付部314を備えているが、一方のカバー取付部313がほぼ直角の角部として形成されているのに対して、他方のカバー取付部314には、パワー基板270側に向けて傾斜する傾斜面314aが形成されている。傾斜面314aのパワー基板270に対する傾斜角は例えば30~60゜程度が好ましい。
【0056】
また、ヒートシンク310Bの配管固定面側(パワーデバイス274と接する反対側)には、冷却用配管部30L1,30L2の収納溝311,311の他に、それらの間に凹部315が形成されている。
【0057】
ここで使用する押さえカバー320Aは弾性を有する板金製で、その一端にヒートシンク310の一側端側のカバー取付部313に係合する第1係合部としてのフック322を備えている。このフック322を第1フックとして、押さえカバー320Aは、その他端にヒートシンク310の他側端側のカバー取付部314に係合する第2係合部としての第2フック324を備えている。
【0058】
第1フック322の下縁には、カバー取付部313の角部と同じ角度(この例では、90゜)に折り曲げられたフランジ322aが一体に形成されている。また、第2フック324は、カバー取付部314の傾斜面314aと同じ角度の傾斜角を有し、第2フック324の端部には、カバー取付部314の縁に変形を伴って回り込むようにして係合する爪鉤324aが設けられている。
【0059】
図11を参照して、爪鉤324aは、第2フック324の端部から
図11において下向きにほぼ直角に折り曲げられた第1折曲げ部324bと、第1折曲げ部324bの端部から同じく
図11において右向きにほぼ直角に折り曲げられた第2折曲げ部324cとを有し、第1折曲げ部324bと第2折曲げ部324cとによりほぼ直角の角部324dが形成されている。また、第2フック324の端部には、爪鉤324aに対する補強片324eが設けられている。
【0060】
押さえカバー320Aは、冷却用配管部の押さえ手段として、収納溝311,311内に収納(嵌合)されている冷却用配管部30L1,30L2のうちの一方の冷却用配管部30L1を押圧する第1押圧部325と、他方の冷却用配管部30L2を押圧する第2押圧部326とを備えている。
【0061】
この冷却器300Bによれば、押さえカバー320Aの一端側の第1フック322をヒートシンク310の一方の一側端側のカバー取付部313に係合し、その係合箇所を軸(支点)として、押さえカバー320Aの他端側を
図11において時計方向に回転させると、爪鉤324aの角部324dがヒートシンク310の他方の他側端側のカバー取付部314の傾斜面314aに載る。
【0062】
そして、第2フック324をカバー取付部314に向けて押圧すると、爪鉤324aが押し広げられるように弾性変形し、角部324dがカバー取付部314の縁を乗り越えて係合する。これにより、ヒートシンク310に冷却用配管部30L1,30L2を確実に固定することができる。
【0063】
なお、
図10に示すように、最終的に押さえカバー320Aの第2フック324はカバー取付部314にネジB7にてネジ止めされるため、必ずしも爪鉤323bを弾性変形させながらカバー取付部314の縁に係合させる必要はない。
【0064】
第2フック324をカバー取付部314にネジ止めするにあたって、そのネジ止め部であるカバー取付部314と第2フック324には、パワー基板270側に向けて傾斜が付けられているため、機械室110Bの正面側(サービスパネル112側)から手を回し込んでネジ止め作業を行うことができる。
【0065】
また、収納溝311,311に入れ込む順序としては、左側の冷却用配管部30L1→右側の冷却用配管部30L2の順となるが、
図12(a)に示すように、右側の冷却用配管部30L2に位置ずれがあっても、押さえカバー320Aの第2フック324が斜めに形成されているため、右側の冷却用配管部30L2を対応する収納溝311に向けて押し込むことができ、組立易くなっている。
【0066】
図12(b)を参照して、第2押圧部326により右側の冷却用配管30L2を押さえ込もうとする際、先に第1押圧部325が左側の冷却用配管30L1に当接しているため、第2押圧部326が右側の冷却用配管30L2に強く当接しないことがある。
【0067】
そこで、この実施形態では、
図11に示すように、第1押圧部325の押圧面325aと第2押圧部326の押圧面326aとの間に段差(高低差)dを設け、第2押圧部326を第1押圧部325よりも段差dだけ低くして、第1押圧部325,第2押圧部326により冷却用配管部30L1,30L2をほぼ均等に押さえ込めるようにしている。
【0068】
また、第1押圧部325と第2押圧部326との間に、凹部315側に向けて突出するV字状(U字状であってもよい)の溝327を形成することが好ましく、これによれば、冷却用配管部30L1,30L2に対する押圧力を分散することができる。
【0069】
なお、押さえカバー320,320Aは、必ずしも板金製である必要はなく、弾性を有する合成樹脂板より構成されてもよい。また、パワーデバイス冷却用の冷却器は実質的にヒートシンクであることから、本明細書において、冷却器とヒートシンクは同義語として使用している。
【0070】
次に、
図15ないし
図18により、メンテナンス時に電装品収納部の背面側(奥側)へのアクセスを容易とするため、固定板210(メイン基板260とパワー基板270が取り付けられる基板)を外して仮止め(仮固定、仮置きとも言う)しておく構成について説明する。
【0071】
図15に示すように、メンテナンス時を除く通常時、固定板210は、電装品収納部の正面(サービスパネル112と対向する前面)を覆うように、上フレーム220と下フレーム230に取り付けられる。
【0072】
この実施形態において、上フレーム220の縦片221には係止爪225が設けられており、これに対して、固定板210の上縦片213(
図4参照)には係止爪225の相手方としての係止孔216が形成されている。
【0073】
係止爪225は、
図17(a)に示すように、上フレーム220の縦片221の一部分を切り起こすことにより形成され、上端225aおよび両側端225b,225bが切り開かれている。係止爪225は、縦片221の複数箇所(この例では2箇所)に設けられている。係止孔216は係止爪225が入り込む大きさの四角い孔で、係止爪225に対応して固定板210の上縦片213の複数箇所(この例では2箇所)に設けられている。
【0074】
固定板210は、係止孔216を係止爪225に引っ掛けるようにして上フレーム220と下フレーム230との間に配置され、最終的に上フレーム220と下フレーム230にネジ止めされる。
【0075】
固定板210は、メンテナンス時に電装品収納部の背面側へのアクセスを容易とするため外されるが、この実施形態によれば、電装品収納部の正面を開いた状態で、固定板210を上フレーム220と下フレーム230に仮止めすることができる。
【0076】
そのため、固定板210の上縦片213の一端(
図15において左端)に耳片217が設けられ、
図17(a)に示すように、耳片217には係止爪225に係合する係止孔218が形成されている。
【0077】
耳片217は、固定板210の上縦片213の一端からサービスパネル112側に向けてほぼ90゜折り曲げられており、係止孔218は、固定板210の上縦片213に設けられている係止孔216と同形・同大の係止孔である。
【0078】
これによれば、メンテナンス時には、固定板210を上フレーム220と下フレーム230からネジを緩めて取外し、
図16に示すように、耳片217の係止孔218を上フレーム220の縦片221に設けられている係止爪225に引っ掛けることにより、固定板210を電装品収納部の正面(上フレーム220と下フレーム230を含む垂直面)に対してほぼ直交する状態(ほぼ全開状態)に仮止め(仮固定)することができる。
【0079】
なお、変形例として、
図17(b)に示すように、上フレーム220の縦片221側に係止孔218を形成し、固定板210の耳片217側に係止爪225を設けるようにしてもよい。この場合、係止爪225は、下端225cおよび両側端225b,225bが切り開かれるように耳片217の一部分を切り起こして形成することができる。
【0080】
また、固定板210の仮止め状態を安定させるため、
図18に示すように、固定板210の下辺側の角に、下フレーム230の上横片232に係合するL字状の切欠凹部217を形成することが好ましい。
【0081】
この仮止め構造は、固定板210の一側縁側(
図4において例えば左辺側)を軸として回転させる開閉式に比べて構成が簡素であり、また、図示しないが、固定板210に電気配線が接続されている場合、開閉式のように、その配線長を長くしておく必要がなく、配線長をより短くすることができる。
【符号の説明】
【0082】
30L:液側冷媒配管、31:U字折曲部、31L1,L2:冷却用配管部
100:室外機、110:筐体、110A:熱交換器室、110B:機械室、111:正面パネル、112:サービスパネル、113:右側面パネル、114:左側面パネル、115:天面パネル、116:背面パネル、117:下面パネル、118:スタンド、119:仕切板
200:電装品モジュール、210:固定板、211:本体部、211a:正面、211b:裏面、212:上横片、213:上縦片、214:下横片、215:下縦片
220:上フレーム、221:縦片、222:横片、223:取付片
230:下フレーム、231:下縦片、232:上横片、233:上縦片、234:取付片
240:取付金具、250:取付金具
260:メイン基板、260a:正面、260b:裏面
270:パワー基板、270a:正面、270b:裏面、274:パワーデバイス
300,300A,300B:冷却器、310,310A:ヒートシンク、320,320A:押さえカバー、325:第1押圧部、326:第2押圧部、327:V字溝、330:熱伝導部、340:断熱部
400:端子板