(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】電子機器及びその制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 9/02 20060101AFI20231003BHJP
G05B 19/042 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G05B9/02 B
G05B19/042
(21)【出願番号】P 2019119954
(22)【出願日】2019-06-27
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】今井 知史
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 綺
(72)【発明者】
【氏名】吉本 洋
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-129663(JP,A)
【文献】特開2003-263205(JP,A)
【文献】特開2008-062542(JP,A)
【文献】特開2002-320066(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0074435(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 9/02
G05B 19/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のハードウェアコンポーネントと、
1以上の機能拡張アプリケーションごとに、前記機能拡張アプリケーションの動作に必須である前記ハードウェアコンポーネント
と、
前記機能拡張アプリケーションごとに、動作に必須である前記ハードウェアコンポーネントに故障が生じた場合に、当該ハードウェアコンポーネントを使用しないことを許容するか否かを示す故障時許容情報と、
を記憶する記憶部と、
前記ハードウェアコンポーネントのいずれかに故障があることを検知し、
故障を検知した前記ハードウェアコンポーネントを動作に必須とする前記機能拡張アプリケーションの有無を判断し、
必須とする前記機能拡張アプリケーションがない場合に、検知した前記ハードウェアコンポーネントを使用せず、残りの前記ハードウェアコンポーネントを使用する第1の縮退モードに、動作モードを切り替えるように制御
し、
必須とする前記機能拡張アプリケーションがある場合に、当該機能拡張アプリケーションの前記故障時許容情報に基づいて使用しないことを許容しない前記機能拡張アプリケーションの有無を判断し、
許容しない前記機能拡張アプリケーションがない場合に、当該機能拡張アプリケーションの動作を停止させた上で前記第1の縮退モードに、前記動作モードを切り替えるように制御する
制御部
を具備する
電子機器。
【請求項2】
請求項
1に記載の電子機器であって、
前記制御部は、
故障を検知した前記ハードウェアコンポーネントを動作に必須とする前記機能拡張アプリケーションがあり、かつ、使用しないことを許容しない前記機能拡張アプリケーションがある場合に、故障を検知した前記ハードウェアコンポーネントと、他の前記ハードウェアコンポーネントとを使用しない第2の縮退モードに、前記動作モードを切り替えるように制御する
電子機器。
【請求項3】
複数のハードウェアコンポーネントを具備する電子機器の制御回路に、
1以上の機能拡張アプリケーションごとに、前記機能拡張アプリケーションの動作に必須である前記ハードウェアコンポーネントを記憶させる制御と、
前記機能拡張アプリケーションごとに、動作に必須である前記ハードウェアコンポーネントに故障が生じた場合に、当該ハードウェアコンポーネントを使用しないことを許容するか否かを示す故障時許容情報を記憶させる制御と、
前記ハードウェアコンポーネントのいずれかに故障があることを検知する制御と、
故障を検知した前記ハードウェアコンポーネントを動作に必須とする前記機能拡張アプリケーションの有無を判断する制御と、
必須とする前記機能拡張アプリケーションがない場合に、検知した前記ハードウェアコンポーネントを使用せず、残りの前記ハードウェアコンポーネントを使用する第1の縮退モードに、動作モードを切り替える
制御と、
必須とする前記機能拡張アプリケーションがある場合に、当該機能拡張アプリケーションの前記故障時許容情報に基づいて使用しないことを許容しない前記機能拡張アプリケーションの有無を判断する制御と、
許容しない前記機能拡張アプリケーションがない場合に、当該機能拡張アプリケーションの動作を停止させた上で前記第1の縮退モードに、前記動作モードを切り替える制御と、
を実行させるための電子機器の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。本発明は、さらに、その電子機器の制御回路に実行させるための制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プリンターやMFP(Multi-Functional Peripheral)といった電子機器の置き換え(以下、「リプレース」と呼ぶ場合がある)において、リプレース作業を簡素化するための技術が記載されている。一般的に、電子機器のダウンタイム(ユーザーが電子機器を使用することができない期間)は短ければ短いほどよく、特許文献1は作業の簡素化によりリプレースに伴うダウンタイムを短縮している。リプレースに伴うダウンタイムのほかには、ハードウェアの故障が原因のダウンタイムがある。ハードウェア故障によるダウンタイムの短縮も望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、機能拡張アプリケーションを追加インストールする機能を有する電子機器においては、あるハードウェアに故障が発生すると、当該ハードウェアを利用する機能拡張アプリケーションがインストールされている可能性を考慮して、電子機器の全機能を停止するようにソフトウェア側で制御していた。
【0005】
本発明は、機能拡張アプリケーションを追加インストールする機能を有する電子機器において、ハードウェア故障時のダウンタイムを削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成する本発明の一形態は、
複数のハードウェアコンポーネントと、
1以上の機能拡張アプリケーションごとに、前記機能拡張アプリケーションの動作に必須である前記ハードウェアコンポーネントを記憶する記憶部と、
前記ハードウェアコンポーネントのいずれかに故障があることを検知し、
故障を検知した前記ハードウェアコンポーネントを動作に必須とする前記機能拡張アプリケーションの有無を判断し、
必須とする前記機能拡張アプリケーションがない場合に、検知した前記ハードウェアコンポーネントを使用せず、残りの前記ハードウェアコンポーネントを使用する第1の縮退モードに、動作モードを切り替えるように制御する
制御部
を具備する
電子機器である。
【0007】
本実施形態では、機能拡張アプリケーションを追加インストールする機能を有する電子機器において、機能拡張アプリケーションごとに、その動作に必須であるハードウェアコンポーネントを記憶し、ハードウェアコンポーネントに故障が発生した場合は、それを動作に必須とする機能拡張アプリケーションの有無を判断し、動作に必須とする機能拡張アプリケーションがない場合はハードウェアコンポーネントを使用しない(「故障切り離し」)。これにより、可用性を高め、ハードウェア故障時のダウンタイムを削減することができる。
【0008】
(2)本実施形態において、前記記憶部は、
前記機能拡張アプリケーションごとに、動作に必須である前記ハードウェアコンポーネントに故障が生じた場合に、当該ハードウェアコンポーネントを使用しないことを許容するか否かを示す故障時許容情報を記憶し、
前記制御部は、
故障を検知した前記ハードウェアコンポーネントを動作に必須とする前記機能拡張アプリケーションがある場合に、当該機能拡張アプリケーションの前記故障時許容情報に基づいて使用しないことを許容しない前記機能拡張アプリケーションの有無を判断し、
許容しない前記機能拡張アプリケーションがない場合に、当該機能拡張アプリケーションの動作を停止させた上で前記第1の縮退モードに、前記動作モードを切り替えるように制御する。
【0009】
本実施形態では、機能拡張アプリケーションごとに、動作に必須とするが故障した場合はアプリケーションの動作を停止させてもよいという故障時許容情報を記憶し、ハードウェアコンポーネントに故障が発生した場合であって動作に必須とする機能拡張アプリケーションがある場合は、故障したハードウェアコンポーネントを使用しないことを許容するか否かを判断し、許容する場合は上記故障切り離しをする。これにより、さらに可用性を高め、ハードウェア故障時のダウンタイムを削減することができる。
【0010】
(3)本実施形態において、前記制御部は、
故障を検知した前記ハードウェアコンポーネントを動作に必須とする前記機能拡張アプリケーションがあり、かつ、使用しないことを許容しない前記機能拡張アプリケーションがある場合に、故障を検知した前記ハードウェアコンポーネントと、他の前記ハードウェアコンポーネントとを使用しない第2の縮退モードに、前記動作モードを切り替えるように制御する。
【0011】
本実施形態では、故障したハードウェアコンポーネントについて、動作に必須であり、使用しないことも許容しない機能拡張アプリケーションがある場合に、そのハードウェアコンポーネントを含む複数のハードウェアコンポーネントを使用しない動作モードに入る。これにより、発生しうる不具合を防ぐことができる。
【0012】
(4)本発明の他の実施形態は、
複数のハードウェアコンポーネントを具備する電子機器の制御回路に、
1以上の機能拡張アプリケーションごとに、前記機能拡張アプリケーションの動作に必須である前記ハードウェアコンポーネントを記憶させる制御と、
前記ハードウェアコンポーネントのいずれかに故障があることを検知する制御と、
故障を検知した前記ハードウェアコンポーネントを動作に必須とする前記機能拡張アプリケーションの有無を判断する制御と、
必須とする前記機能拡張アプリケーションがない場合に、検知した前記ハードウェアコンポーネントを使用せず、残りの前記ハードウェアコンポーネントを使用する第1の縮退モードに、動作モードを切り替えるように制御
を実行させるための電子機器の制御プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、機能拡張アプリケーションを追加インストールする機能を有する電子機器において、ハードウェア故障時のダウンタイムを削減することができる。
【0014】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本発明中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子機器のハードウェア構成を示す。
【
図2】電子機器の機能構成を説明するための概念図である。
【
図3】記憶装置の記憶内容を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0017】
1.電子機器
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器のハードウェア構成を示す。
【0019】
電子機器10は、制御回路11を備える。制御回路11は、プロセッサーであるCPU11a(Central Processing Unit)、RAM11b(Random Access Memory)、メモリーであるROM11c(Read Only Memory)及び専用のハードウェア回路等から構成され、電子機器10の全体的な動作制御を司る。CPU11aは、ROM11cが記憶する情報処理プログラムをRAM11bにロードして実行する。ROM11cは、CPU11aが実行するプログラムやデータなどを固定的に記憶する。ROM11cは、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記録媒体の一例である。
【0020】
制御回路11は、画像読取部12(イメージスキャナ)、画像処理部14(GPU(Graphics Processing Unit)を含む)、画像メモリー15、画像形成部16(プリンター)、表示部17aを備える操作部17(タッチパネル)、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の大容量の不揮発性の記憶装置18、ファクシミリ通信部19及びネットワーク通信インタフェース13等と接続されている。制御回路11は、接続されている上記各部の動作制御や、各部との間での信号又はデータの送受信を行う。操作部17(タッチパネル)は、入力装置の一形態であり、入力装置として、マイクロフォンを含む音声入力装置が設けられてもよい。
【0021】
2.電子機器の機能構成
【0022】
図2は、電子機器の機能構成を説明するための概念図である。
【0023】
電子機器10は、一例として、プリンターやスキャナーの機能を複合的に有するMFPとして構成されている。これらの機能を提供するために、電子機器10は、複数のハードウェアコンポーネント110を有するように構成される。
【0024】
例えば、画像形成部16は、複数のハードウェアコンポーネントを有するように構成されており、本実施形態では「フィニッシャー」と、「画像形成コア」を有する。その他に「給紙装置」を有していてもよい。画像読取部12は、「スキャナー」を有する。記憶装置18は、「HDD(ハードディスクドライブ)」を有する。
【0025】
さらに電子機器10は、上記情報処理プログラムとして、オペレーティング・システム11d、機能拡張用環境11e、機能提供アプリケーション11f、1つ以上の機能拡張アプリケーション11xを有する。
【0026】
オペレーティング・システム11dは、電子機器10の基本入出力を行うためのソフトウェアである。機能提供アプリケーション11fは、電子機器10の基本機能を提供するためのアプリケーションである。これらは、電子機器10に標準搭載されているソフトウェアプログラムである。
【0027】
機能拡張用環境11eは本体に持っていない機能を実現する機能拡張アプリケーション11xを追加インストールする機能を有している。これにより、電子機器10のユーザーは、自由に所望の機能を電子機器10に追加することができる。
【0028】
機能拡張アプリケーション11xは、開発者が自由に設計することができる。代表的な機能拡張アプリケーション11xの一つに、表示部17aの表示画面をカスタマイズできる「スキン変更アプリ」がある。
【0029】
そのほかには、「ユーザー認証アプリ」がある。これは、アプリがローカルエリアネットワーク内の認証サーバーと連携するなどして認証を行い、誰が何を行ったのかを記録することで課金などに利用する。
【0030】
3.記憶装置の記憶内容
【0031】
図3は、記憶装置の記憶内容を説明するための概念図である。
【0032】
記憶装置18は、機能拡張アプリケーション11xごとに、その動作に必須とするハードウェアコンポーネント11を「故障時ハードウェア情報181」として記憶している。なお、故障時ハードウェア情報181の記憶場所は、記憶装置18に限定される必要はなく、RAM11bやROM11cでもよい。
【0033】
例えば、「スキン変更アプリ」は、「フィニッシャー」や「HDD」が動作に必須でないと設定されており、「液晶画面」は動作に必須であると設定されている。また例えば、「ユーザー認証アプリ」は、「液晶画面」が動作に必須でないと設定されており、「フィニッシャー」や「HDD」は動作に必須であると設定されている。
【0034】
さらに記憶装置18は、故障時ハードウェア情報181において、動作に必須とするハードウェアコンポーネント110が故障した場合に、その機能拡張アプリケーション11xの動作の停止を許容するか否かの設定を「故障時許容情報182」として記憶している。
【0035】
例えば、「スキン変更アプリ」は、「液晶画面」が動作に必須であるが、故障時に使用しないことを「許容する」ように設定されている。また例えば、「ユーザー認証アプリ」は、「フィニッシャー」「HDD」が動作に必須であるが、故障時に使用しないことを「許容する」ように設定されている一方で、「HDD」は「許容しない」ように設定されている。
【0036】
「スキン変更アプリ」は表示装置17aの液晶画面に映し出されるユーザーインターフェースのスキンを変更するものであるので、液晶画面が動作に必須ではある。この液晶画面を使用しないことにより「スキン変更アプリ」も機能停止するが、これにより電子機器10の全体動作に悪い影響が及ぶものではない。
【0037】
「ユーザー認証アプリ」は、ユーザーごとに用紙排出トレイを設定するような場合に「フィニッシャー」が正常動作しないとその機能を十全に発揮できないものの、ユーザーごとに仕分けできなくてもよいと考えるユーザーもいる。他方で、ハードディスクドライブが故障した場合は、ユーザーの認証情報や誰にどの程度課金したのか記録が残せない状態でコピー等のHDDを使わない機能を利用できるようになると、適切ではない。HDDの故障時にはユーザー認証アプリを機能停止させた上、他のハードウェアコンポーネント110も使い続けられるようにはしないほうがよい。そのため、「故障切り離し」を許容しないものと設定されている。
【0038】
4.電子機器の動作フロー
【0039】
【0040】
(ST101)
制御回路11は、各種モジュールから通知信号により、ハードウェアコンポーネント110のいずれかに故障や不具合などの異常があることを検知する。
【0041】
(ST102)
この場合、制御回路11は、故障したハードウェアコンポーネント110を動作に必須とする機能拡張アプリケーション11xの有無を、上記故障時ハードウェア情報181に基づいて、判断する。そのような機能拡張アプリケーション11xがない場合は、ST104へ進む。
【0042】
(ST103)
動作に必須とする機能拡張アプリケーション11xがある場合、制御回路11は、その機能拡張アプリケーション11xが、故障したハードウェアコンポーネント110を使用しないこと(動作させないこと)を許容するか否かを、上記故障時許容情報182に基づいて判断する。機能拡張アプリケーション11xが複数ある場合はそのすべてが許容するか否かを判断する。
【0043】
(ST104)
動作に必須とする機能拡張アプリケーション11xがない場合や、そのような機能拡張アプリケーション11xがあってもそれらが故障したハードウェアコンポーネント110を使用しないことを許容する場合、制御回路11は、故障したハードウェアコンポーネント110を使用しない作動を継続する動作モードに移行する。このような動作モードを「第1の縮退モード」と呼ぶ。
【0044】
具体的には、制御回路11は、各ハードウェアコンポーネント110の状態(正常/故障)を保持しているシステムステータス保持部(不図示)に、その値の変更を要求する。その後、各機能がその値の変化通知を受け取り、振る舞いを変更する。これによりハードウェアコンポーネント110の「故障切り離し」が実現する。
【0045】
(ST105)
動作に必須とする機能拡張アプリケーション11xのうち機能停止を許容しない機能拡張アプリケーション11xが1つでもある場合、制御回路11は、故障したハードウェアコンポーネント110のみならず、これを含む複数のハードウェアコンポーネント110の作動を停止させる動作モードに入るように制御する。この動作モードを「第2の縮退モード」と呼ぶ。この動作モードにおいては、例えば、「故障しているのでサービスパーソンを呼んでください」などのエラー画面が表示される一方で、プリンターやファクシミリ送信などの機能など多くの機能が制限されるように構成される。
【0046】
ハードウェアコンポーネント110のいずれかに故障が発生した場合に、これを利用する機能拡張アプリケーション11xのいずれかに影響が出ることを恐れて、電子機器10の全機能を停止するようにソフトウェア側で制御するのは過剰な対応となるケースも多い。フィニッシャーが壊れたときにシステムの全停止を望むケースは多くない。そこで本実施形態は、機能拡張アプリケーション11xの開発者が、動作のために必須とするハードウェア情報と、そのハードウェアの「故障切り離し」を許容するのか否かを、あらかじめ指定しておくものとした。
【0047】
上記故障切り離しに関する設定は、機能拡張アプリケーション11xに付属するプロファイルに記載された状態で配布され、電子機器10に機能拡張アプリケーション11xがインストールされる際に、記憶装置18に記憶されるように構成される。
【0048】
本実施形態によれば、従来よりも多くのケースで故障時に故障切り離しを実施して、縮退運転(第1の縮退モードで作動)で使用することができるようになる。これにより、ユーザーの業務ストップのリスクを最小限に抑えることができる。
【0049】
なお、同一のアプリケーションであってもユーザーによって使用方法や機能に対する優先度の考え方は異なるため、故障時ハードウェア情報181と故障時許容情報182は、インストール時にユーザー(電子機器10の管理者)が変更できるように構成されてもよい。たとえユーザー認証アプリが使えなくなっても、電子機器10の横に紙とペンを置いておき、自己申告により課金することで代替できるのであれば、ハードディスクドライブが故障したときであっても電子機器10を第1の縮退モードで作動を継続させてもよい。
【0050】
6.結語
【0051】
(1)本実施形態では、機能拡張アプリケーションを追加インストールする機能を有する電子機器において、機能拡張アプリケーションごとに、その動作に必須であるハードウェアコンポーネントを記憶し、ハードウェアコンポーネントに故障が発生した場合は、それを動作に必須とする機能拡張アプリケーションの有無を判断し、動作に必須とする機能拡張アプリケーションがない場合はハードウェアコンポーネントを使用しない(「故障切り離し」)。これにより、可用性を高め、ハードウェア故障時のダウンタイムを削減することができる。
【0052】
(2)本実施形態では、機能拡張アプリケーションごとに、動作に必須とするが故障した場合はアプリケーションの動作を停止させてもよいという故障時許容情報を記憶し、ハードウェアコンポーネントに故障が発生した場合であって動作に必須とする機能拡張アプリケーションがある場合は、故障したハードウェアコンポーネントを使用しないことを許容するか否かを判断し、許容する場合は上記故障切り離しをする。これにより、さらに可用性を高め、ハードウェア故障時のダウンタイムを削減することができる。
【0053】
(3)本実施形態では、故障したハードウェアコンポーネントについて、動作に必須であり、使用しないことも許容しない機能拡張アプリケーションがある場合に、そのハードウェアコンポーネントを含む複数のハードウェアコンポーネントを使用しない動作モードに入る。これにより、発生しうる不具合を防ぐことができる。
【0054】
本技術の各実施形態及び各変形例について上に説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0055】
10…画像形成装置
11…制御回路
18…記憶装置
181…故障時ハードウェア情報
182…故障時許容情報