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特許7358813フィールド機器システム、測定値変換方法、端末装置、及び端末プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】フィールド機器システム、測定値変換方法、端末装置、及び端末プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20231003BHJP
   G05B 19/042 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G05B23/02 Z
G05B19/042
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019133857
(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公開番号】P2021018603
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】皆川 優大
(72)【発明者】
【氏名】落合 覚
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-206301(JP,A)
【文献】特開2003-029807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
G05B 19/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに通信可能に接続されるフィールド機器と通信装置とを備えるフィールド機器システムであって、
前記フィールド機器は、測定対象の検出を行うセンサの検出値から、予め規定された第1単位における前記測定対象の測定値であって前記フィールド機器から出力される第1測定値を求める演算部と、
前記第1単位を示す情報が含まれる第1情報と、前記通信装置から出力させるべき前記測定対象の測定値の単位である第2単位を示す情報が含まれる第2情報とを記憶する記憶部と、を備え、
前記通信装置は、前記フィールド機器から前記第1情報及び前記第2情報と、前記第1測定値とを取得する取得部と、
取得した前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、前記第1測定値を前記第2単位における前記測定対象の測定値である第2測定値に変換する変換部と、を備える、
フィールド機器システム。
【請求項2】
前記変換部は、前記第1測定値を同じ物理量であって値が異なる第2測定値に変換する第1変換と、前記第1測定値を物理量が異なる第2測定値に変換する第2変換と、の少なくとも一方を行う、請求項1記載のフィールド機器システム。
【請求項3】
前記通信装置は、前記フィールド機器を識別する識別情報に対応づけられた変換式を格納する格納部を備えており、
前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも一方には、前記変換式で用いられるパラメータが含まれ、
前記変換部は、前記取得部によって取得される前記フィールド機器の前記識別情報に対応づけられた前記変換式を前記格納部から読み出し、読み出した前記変換式と前記パラメータとを用いて、前記第1測定値を前記第2測定値に変換する、
請求項1又は請求項2記載のフィールド機器システム。
【請求項4】
互いに通信可能に接続されるフィールド機器と通信装置とを備えるフィールド機器システムにおける測定値変換方法であって、
前記フィールド機器から、測定対象の検出を行うセンサの検出値から前記フィールド機器によって求められた、予め規定された第1単位における前記測定対象の測定値であって前記フィールド機器から出力される第1測定値と、前記第1単位を示す情報が含まれる第1情報と、自装置から出力させるべき前記測定対象の測定値の単位である第2単位を示す情報が含まれる第2情報とを取得する取得ステップと、
取得した前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、前記第1測定値を前記第2単位における前記測定対象の測定値である第2測定値に変換する変換ステップと、
を有する測定値変換方法。
【請求項5】
フィールド機器と通信可能に接続される端末装置であって、
前記フィールド機器から、測定対象の検出を行うセンサの検出値から前記フィールド機器によって求められた、予め規定された第1単位における前記測定対象の測定値であって前記フィールド機器から出力される第1測定値と、前記第1単位を示す情報が含まれる第1情報と、自装置から出力させるべき前記測定対象の測定値の単位である第2単位を示す情報が含まれる第2情報とを取得する取得部と、
取得した前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、前記第1測定値を前記第2単位における前記測定対象の測定値である第2測定値に変換する変換部と、
を備える端末装置。
【請求項6】
コンピュータを、フィールド機器と通信可能に接続される端末装置として機能させる端末プログラムであって、
前記コンピュータを、前記フィールド機器から、測定対象の検出を行うセンサの検出値から前記フィールド機器によって求められた、予め規定された第1単位における前記測定対象の測定値であって前記フィールド機器から出力される第1測定値と、前記第1単位を示す情報が含まれる第1情報と、自装置から出力させるべき前記測定対象の測定値の単位である第2単位を示す情報が含まれる第2情報とを取得する取得手段と、
取得した前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、前記第1測定値を前記第2単位における前記測定対象の測定値である第2測定値に変換する変換手段と、
して機能させる端末プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィールド機器システム、測定値変換方法、端末装置、及び端末プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
フィールド機器システムは、フィールド機器と、フィールド機器と通信可能に接続される通信装置(例えば、サーバ装置、端末装置、制御装置等)とを備えるシステムである。従来、フィールド機器システムは、例えば分散制御システム(DCS:Distributed Control System)等のようにプラントや工場等の内部に構築されることが殆どであった。近年では、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)技術やIIoT(産業用IoT)技術の進展によって、プラント等の外部に構築されるフィールド機器システムも増えている。
【0003】
このようなフィールド機器システムで用いられるフィールド機器は、設置後に機能の追加や変更が必要になることがある。例えば、フィールド機器で取得した測定値の表示方法を変更したい場合(測定値の単位が新たに追加されたり、別の物理量に変換して出力したりする場合)、フィールド機器の機能の変更が必要になる。フィールド機器の機能の追加や変更は、例えば、作業者がフィールド機器の設置場所に赴き、端末装置をフィールド機器に接続してフィールド機器のファームウェアを更新することによって行われる。以下の特許文献1には、ホスト・コンピュータからフィールド機器に機器情報(各種プログラムや設定データ等)をダウンロードすることで、フィールド機器の機能の追加や変更を行う発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-295299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した端末装置を用いてフィールド機器の機能の追加や変更を行う場合には、端末装置を携帯した作業者が、各フィールド機器の設置場所に赴いてファームウェアの更新作業を行う必要がある。このため、フィールド機器の数が多くなるほど、ファームウェアの更新作業に要する時間が長くなるとともに、作業者の負担が増加するという問題がある。
【0006】
上述した特許文献1に開示された発明を用いれば、作業者が各フィールド機器の設置場所に赴いてファームウェアの更新作業を行う必要はない。しかしながら、フィールド機器の数が多くなるほど、又は、ホスト・コンピュータとフィールド機器との間の通信速度が遅くなるほど、ダウンロードに要する時間が長くなるという問題がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、フィールド機器のファームウェアを更新することなく、必要となる測定値を得ることができるフィールド機器システム、測定値変換方法、端末装置、及び端末プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様によるフィールド機器システムは、互いに通信可能に接続されるフィールド機器(10)と通信装置(20、30)とを備えるフィールド機器システム(1)であって、前記フィールド機器が、測定対象の検出を行うセンサ(SN)の検出値から、予め規定された第1単位における前記測定対象の測定値である第1測定値(MD1)を求める演算部(12)と、前記第1単位を示す情報が含まれる第1情報(CD1)と、前記通信装置から出力させるべき前記測定対象の測定値の単位である第2単位を示す情報が含まれる第2情報(CD2)とを記憶する記憶部(13)と、を備え、前記通信装置が、前記フィールド機器から前記第1情報及び前記第2情報と、前記第1測定値とを取得する取得部(35)と、取得した前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、前記第1測定値を前記第2単位における前記測定対象の測定値である第2測定値(MD2)に変換する変換部(34)と、を備える。
【0009】
また、本発明の一態様によるフィールド機器システムは、前記変換部が、前記第1測定値を同じ物理量であって値が異なる第2測定値に変換する第1変換と、前記第1測定値を物理量が異なる第2測定値に変換する第2変換と、の少なくとも一方を行う。
【0010】
また、本発明の一態様によるフィールド機器システムは、前記通信装置が、前記フィールド機器を識別する識別情報(ID)に対応づけられた変換式を格納する格納部(33)を備えており、前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも一方には、前記変換式で用いられるパラメータが含まれ、前記変換部が、前記取得部によって取得される前記フィールド機器の前記識別情報に対応づけられた前記変換式を前記格納部から読み出し、読み出した前記変換式と前記パラメータとを用いて、前記第1測定値を前記第2測定値に変換する。
【0011】
本発明の一態様による測定値変換方法は、互いに通信可能に接続されるフィールド機器(10)と通信装置(20、30)とを備えるフィールド機器システム(1)における測定値変換方法であって、前記フィールド機器から、測定対象の検出を行うセンサ(SN)の検出値から前記フィールド機器によって求められた、予め規定された第1単位における前記測定対象の測定値である第1測定値(MD1)と、前記第1単位を示す情報が含まれる第1情報(CD1)と、自装置から出力させるべき前記測定対象の測定値の単位である第2単位を示す情報が含まれる第2情報(CD2)とを取得する取得ステップ(S22、S23)と、取得した前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、前記第1測定値を前記第2単位における前記測定対象の測定値である第2測定値に変換する変換ステップ(S24)と、を有する。
【0012】
本発明の一態様による端末装置は、フィールド機器(10)と通信可能に接続される端末装置(30)であって、前記フィールド機器から、測定対象の検出を行うセンサ(SN)の検出値から前記フィールド機器によって求められた、予め規定された第1単位における前記測定対象の測定値である第1測定値(MD1)と、前記第1単位を示す情報が含まれる第1情報(CD1)と、自装置から出力させるべき前記測定対象の測定値の単位である第2単位を示す情報が含まれる第2情報(CD2)とを取得する取得部(35)と、取得した前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、前記第1測定値を前記第2単位における前記測定対象の測定値である第2測定値(MD2)に変換する変換部(34)と、を備える。
【0013】
本発明の一態様による端末プログラムは、コンピュータを、フィールド機器(10)と通信可能に接続される端末装置(30)として機能させる端末プログラムであって、前記コンピュータを、前記フィールド機器から、測定対象の検出を行うセンサ(SN)の検出値から前記フィールド機器によって求められた、予め規定された第1単位における前記測定対象の測定値である第1測定値(MD1)と、前記第1単位を示す情報が含まれる第1情報(CD1)と、自装置から出力させるべき前記測定対象の測定値の単位である第2単位を示す情報が含まれる第2情報(CD2)とを取得する取得手段(35)と、取得した前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、前記第1測定値を前記第2単位における前記測定対象の測定値である第2測定値(MD2)に変換する変換手段(34)と、して機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フィールド機器のファームウェアを更新することなく、必要となる測定値を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態によるフィールド機器システムの全体構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態によるフィールド機器システムで用いられるフィールド機器の要部構成を示すブロック図である。
図3】発明の一実施形態によるフィールド機器システムで用いられる端末装置の要部構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態によるフィールド機器システムの動作例を示すフローチャートである。
図5】統一単位テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態によるフィールド機器システム、測定値変換方法、端末装置、及び端末プログラムについて詳細に説明する。
【0017】
〔概要〕
本発明の実施形態は、フィールド機器のファームウェアを更新することなく、必要となる測定値を得ることができるようにするものである。従来、フィールド機器で得られた測定値を変更する場合(例えば、測定値の単位が新たに追加される場合)には、フィールド機器のファームウェアの変更が必要であった。本発明の実施形態は、従来、測定値を変更する場合に必要であったファームウェアの更新を行わずとも、必要となる測定値を得ることができるようにするものである。
【0018】
現在、物理量の単位としてSI単位(国際単位)用いられることが多いが、SI単位以外の単位が用いられている国や地域もある。また、ミリ(m)、キロ(k)、メガ(M)等の接頭辞を含めると、同一の物理量に対して膨大な数の単位が存在する。更に、同じ単位でも、温度によって物体の密度が異なるものは、温度ごと固有の単位がある。
【0019】
例えば、圧力のSI単位としては、Pa(パスカル)、kPa(キロ・パスカル)、MPa(メガ・パスカル)等が挙げられる。圧力のSI単位以外の単位としては、mmHg(水銀柱ミリメートル)、bar(バール)、torr(トール)、mmHO(水柱ミリメートル)等が挙げられる。尚、水柱ミリメートルについては、温度毎に規定され、例えば、mmHO(68degF)、mmHO(4℃)等が存在する。
【0020】
従来のフィールド機器は、測定値を設定された単位に換算する機能を持っているため、想定される全ての単位換算をフィールド機器のファームウェアで実装する必要があった。このため、圧力の単位のように、膨大な単位が存在する場合には、単位換算機能だけでも様々な種類の圧力伝送器の開発工数がかかり、品質保証するための検証工数が膨大になっていた。また、新しい単位を追加する場合は、特別なファームウェアを提供しなければならず、同様に開発工数が必要になっていた。
【0021】
本発明の実施形態では、互いに通信可能に接続されるフィールド機器と通信装置とによってフィールド機器システムを構成している。フィールド機器は、測定対象の検出を行うセンサの検出値から第1測定値を求める演算部と、第1測定値及び第2測定値(通信装置から出力させるべき測定値)の単位がそれぞれ含まれる第1情報及び第2情報を記憶する記憶部と、を備えている。通信装置は、フィールド機器から第1情報及び第2情報と、第1測定値とを取得する取得部と、取得した第1情報及び第2情報に基づいて、第1測定値を第2測定値に変換する変換部と、を設けている。これにより、フィールド機器のファームウェアを更新することなく、必要となる測定値を得ることができる。
【0022】
〔実施形態〕
〈フィールド機器システム〉
図1は、本発明の一実施形態によるフィールド機器システムの全体構成を示す図である。図1に示す通り、本実施形態のフィールド機器システム1は、フィールド機器10、上位システム20、及び端末装置30を備えており、フィールド機器10の測定値を、上位システム20が収集するとともに、端末装置30が取得可能である。
【0023】
フィールド機器10は、測定対象又はその近傍に設置され、各種物理量(例えば、温度、湿度、圧力、振動、磁気、腐食等)を測定する。尚、測定対象は、特に制限されることはなく、任意のものであって良い。また、図1では、フィールド機器10を1つのみ図示しているが、フィールド機器10の数は任意である。フィールド機器10は、ネットワークN1を介して上位システム20と通信可能に接続される。
【0024】
ネットワークN1は、有線のネットワークであっても良く、無線のネットワークであっても良い。本実施形態では、ネットワークN1は、低消費電力長距離無線通信(LPWA:Low Power Wide Area)が可能なネットワークであるとする。この低消費電力長距離無線通信は、例えば、LoRa(登録商標)、SigFox(登録商標)、NB-IoT等であって良い。尚、フィールド機器10の詳細については後述する。
【0025】
上位システム20は、ゲートウェイ21、アプリケーションサーバ22、及びクラウドシステム23を備える。これらゲートウェイ21、アプリケーションサーバ22、及びクラウドシステム23は、ネットワークN2を介して接続される。ネットワークN2は、ネットワークN1と同様に、有線のネットワークであっても良く、無線のネットワークであっても良い。
【0026】
ゲートウェイ21は、ネットワークN1とネットワークN2とを接続し、ネットワークN1を介して送受信される各種データと、ネットワークN2を介して送受信される各種データの中継を行う。このゲートウェイ21を設けることで、セキュリティを維持しつつ、ネットワークN1とネットワークN2とを相互に接続することができる。ゲートウェイ21は、フィールド機器10から送信される無線信号を受信することが可能な任意の場所に設置される。
【0027】
アプリケーションサーバ22は、ゲートウェイ21を介して送信されてくるフィールド機器10からの測定値を収集して蓄積する。アプリケーションサーバ22は、蓄積した測定値を解析したり、解析結果をユーザが見やすい形式で表示したりする。尚、解析結果の表示は、アプリケーションサーバ22が備える表示装置に表示しても良く、ネットワークN2を介して(或いは、ネットワークN1,N2を介して)アプリケーションサーバ22と通信可能に接続された他の装置(図示省略)が備える表示装置に表示しても良い。
【0028】
クラウドシステム23は、インターネット等のネットワークを介して、各種サービスを提供するシステムである。このクラウドシステム23は、インターネット等のネットワークに接続された各種のサーバ装置から構成される。クラウドシステム23は、例えば、アプリケーションサーバ22からアップロードされたフィールド機器10の測定値やアプリケーションサーバ22で行われた解析結果を、ネットワークを介してユーザに提供するサービスを提供する。
【0029】
端末装置30は、ネットワークN3を介してフィールド機器10と通信可能に接続される。ネットワークN3は、有線のネットワークであっても良く、無線のネットワークであっても良い。本実施形態では、ネットワークN3は、近距離無線通信が可能なネットワークであるとする。この近距離無線通信は、通信距離が数[cm]~数[m]程度の無線通信であり、例えば、NFC(Near Field Communication)、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信等であって良い。
【0030】
端末装置30は、ネットワークN4を介してインターネット等のネットワークに接続される。ネットワークN4は、有線のネットワークであっても良く、無線のネットワークであっても良い。本実施形態では、ネットワークN4は、Wi-Fi(登録商標)によるネットワーク、又は、3G方式、4G方式、LTE(登録商標)方式等の移動体通信方式のネットワークであって良い。尚、端末装置30の詳細については後述する。
【0031】
〈フィールド機器〉
図2は、本発明の一実施形態によるフィールド機器システムで用いられるフィールド機器の要部構成を示すブロック図である。図2に示す通り、フィールド機器10は、センサ信号処理部11、演算部12、記憶部13、通信部14、通信部15、及び電源部16を備えており、センサSNから出力される検出信号(アナログ信号)から、測定対象における物理量(例えば、温度、圧力、振動、pH等)の測定値(以下、「測定対象の測定値」という)を求める。尚、センサSNは、例えば、温度センサ、圧力センサ、振動センサ、pHセンサ等である。
【0032】
センサ信号処理部11は、センサSNから出力される検出信号に対して所定の処理を行う。具体的に、センサ信号処理部11は、A/D(アナログ/ディジタル)変換部やセンサ制御回路を備えており、センサSNから出力される検出信号をディジタル信号(検出値)に変換する処理、センサSNから出力される検出信号に重畳されているノイズを除去する処理等を行う。
【0033】
演算部12は、センサ信号処理部11から出力される検出値から、予め規定された単位(第1単位)における測定対象の測定値(第1測定値)を求める。例えば、予め規定された単位が[℃]である場合には、演算部12は、センサ信号処理部11から出力される検出値から摂氏温度を求める。演算部12が行う演算(センサ信号処理部11から出力される検出値から測定対象の測定値を求める演算)の演算式は、不図示のファームウェアに格納されている。演算部12は、記憶部13に記憶された機器設定データCD1(詳細は後述)を読み込むことで、上記の予め規定された単位を取得する。演算部12は、例えばCPU(中央処理装置)によって実現される。尚、演算式は、演算部12において演算式を実行するための演算式処理プログラムであってもよい。
【0034】
記憶部13は、フィールド機器10で用いられる各種情報、各種設定データ、各種測定値、各種プログラム等を記憶する。例えば、記憶部13は、識別情報ID、機器設定データCD1(第1情報)、ユーザ設定データCD2(第2情報)、及び測定値MD1を記憶する。尚、記憶部13は、上記のファームウェアを記憶しても良い。記憶部13は、例えば、揮発性又は不揮発性のメモリによって実現される。
【0035】
識別情報IDは、フィールド機器10に設定された、フィールド機器10を一意に識別するための情報である。この識別情報IDとしては、フィールド機器10を一意に識別することができれば任意の情報を用いることができる。例えば、フィールド機器10の出荷前に設定される機器固有情報や、フィールド機器10の出荷後に設定されるタグ情報を識別情報IDとして用いることができる。
【0036】
機器設定データCD1は、フィールド機器10に関する情報が設定されるデータである。この機器設定データCD1には、上記の予め規定された単位(例えば、[℃])を示す情報が含まれる。つまり、機器設定データCD1には、フィールド機器10から出力される測定値の単位を示す情報が含まれる。この機器設定データCD1は、例えば出荷前に記憶部13に記憶される。
【0037】
ユーザ設定データCD2は、ユーザによって設定されるデータである。このユーザ設定データCD2には、例えば端末装置30から出力される測定対象の測定値(第2測定値)の単位(第2単位)を示す情報が含まれる。例えば、ユーザが端末装置30から華氏温度を出力させたい場合には、ユーザ設定データCD2には、単位[°F]を示す情報が含まれる。このユーザ設定データCD2は、例えば運転初期化時に記憶部13に記憶される。ユーザ設定データCD2は、例えば、端末装置30を用いてフィールド機器10に個別に記憶させても良く、上位システム20が一括して各フィールド機器10に記憶さても良い。尚、機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2の具体例については後述する。測定値MD1は、演算部12によって求められた測定値である。また、機器設定データCD2には、接続されているセンサの種類、地域・国情報等の情報が含まれていても良い。
【0038】
通信部14は、図2に示すネットワークN1を介した通信(低消費電力長距離無線通信)を行う。例えば、LoRa(登録商標)、SigFox(登録商標)、NB-IoT等の通信規格に準拠した無線通信を行う。通信部15は、外部機器である端末装置30と近距離無線通信を行う。例えば、通信部15は、NFC、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信等の通信規格に準拠した無線通信を行う。
【0039】
電源部16は、電池や電源回路を備えており、フィールド機器10の各部(センサ信号処理部11、演算部12、記憶部13、通信部14、及び通信部15)に対して、電力の供給を行う。電源部16は、電池を交換可能に構成されている。電池としては、例えば、塩化チオニルリチウム電池等の自己放電が極めて少ない一次電池や二次電池、燃料電池等を用いることができる。
【0040】
〈端末装置〉
図3は、発明の一実施形態によるフィールド機器システムで用いられる端末装置の要部構成を示すブロック図である。図3に示す通り、端末装置30は、操作部31、表示部32、格納部33、変換部34(変換手段)、通信部35(取得部、取得手段)、及び通信部36を備える。このような端末装置30は、例えばスマートフォン、タブレット端末、ノート型のコンピュータ等で実現される。尚、端末装置30の機能は、例えば、クラウドシステム23のダウンロードサイトから、通信部36を介してダウンロードしたプログラムを読み出してインストールすることによりソフトウェア的に実現される。
【0041】
操作部31は、例えばタッチパネル、キーボード、ポインティングデバイス等の入力装置を備えており、端末装置30を使用する作業者の操作に応じた指示(端末装置30に対する指示)を変換部34に出力する。表示部32は、例えば液晶表示装置等の表示装置を備えており、変換部34から出力される各種情報を表示する。尚、操作部31及び表示部32は、物理的に分離されたものであっても良く、表示機能と操作機能とを兼ね備えるタッチパネル式の液晶表示装置のように物理的に一体化されたものであっても良い。
【0042】
格納部33は、例えば不揮発性のメモリ、又は、HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)等の補助記憶装置を備えており、各種データを格納する。例えば、格納部33は、変換部34で用いられる変換式テーブルTBが格納されている。また、図3に示す通り、測定値MD2(変換部34で測定値MD1を変換して得られた測定値)を格納部33に格納しても良い。
【0043】
変換式テーブルTBは、変換部34で用いられる変換式が格納されるテーブルである。この変換式テーブルTBには、フィールド機器10を識別する識別情報IDに対応づけられた1つ又は複数の変換式が格納されている。この変換式は、変換部34で測定値MD1を測定値MD2に変換する際に必要となるフィールド機器10の種類毎の固有の変換式である。また、変換式テーブルTBには、同一の物理量を異なる値に変換する変換式(例えば、[℃]を[°F]に変換する変換式)も格納されている。尚、変換式テーブルTBの具体例については後述する。尚、変換式は、変換部34において変換式を実行するための変換式処理プログラムであってもよい。
【0044】
変換部34は、フィールド機器10から取得された機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2に基づいて、フィールド機器10から取得された測定値MD1を変換する。具体的に、変換部34は、測定値MD1を、ユーザ設定データCD2に含まれる単位(第2単位)における測定値MD2(第2測定値)に変換する。変換部34は、例えばCPU(中央処理装置)によって実現される。ここで、変換部34は、測定値MD1を、同じ物理量であって値が異なる測定値MD2に変換する変換(第1変換)、測定値MD1を物理量が異なる測定値MD2に変換する変換(第2変換)との少なくとも一方を行う。
【0045】
変換部34は、機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2に含まれている単位を示す情報が同じ物理量を示すものである場合には、それらの単位に応じた変換式(同一の物理量を異なる値に変換する変換式)を変換式テーブルTBから読み出す。そして、変換部34は、読み出した変換式を用いて、測定値MD1を測定値MD2に変換する(第1変換)。
【0046】
変換部34は、フィールド機器10から取得された識別情報IDが変換式テーブルTBに格納されている場合には、その識別情報IDに対応づけられた変換式を変換式テーブルTBから読み出す。そして、変換部34は、読み出した変換式と機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2に含まれている単位を示す情報やパラメータ(変換式で用いられるパラメータ)とを用いて、測定値MD1を測定値MD2に変換する(第2変換)。
【0047】
通信部35は、図1に示すネットワークN3を介してフィールド機器10と近距離無線通信を行う。例えば、通信部35は、NFC、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信等の通信規格に準拠した無線通信を行う。通信部35は、ネットワークN3を介してフィールド機器10と近距離無線通信を行って、記憶部13に記憶された識別情報ID、機器設定データCD1、ユーザ設定データCD2、及び測定値MD1を取得する。
【0048】
通信部36は、図1に示すネットワークN4を介してインターネット等のネットワークに接続された各種サーバ、機器等と通信を行う。例えば、通信部36は、Wi-Fi(登録商標)の通信規格、又は、3G方式、4G方式、LTE(登録商標)方式等の移動体通信方式の通信規格に準拠した無線通信を行う。通信部36は、ネットワークN4を介して端末装置30の機能を実現するプログラム等を取得する。
【0049】
〈フィールド機器システムの動作〉
図4は、本発明の一実施形態によるフィールド機器システムの動作例を示すフローチャートである。図4(a)は、フィールド機器システム1に設けられるフィールド機器10の動作例を示すフローチャートであり、図4(b)は、フィールド機器システム1に設けられる端末装置30の動作例を示すフローチャートである。図4(a)に示すフローチャートは、一定周期で繰り返し行われる。図4(b)に示すフローチャートは、図4(a)と同様に、一定の周期で繰り返し行われても良く、端末装置30に対するユーザの指示があったときに行われても良い。
【0050】
以下では、理解を容易にするために、以下の3つの動作例について順に説明する。尚、以下の第1~第3動作例は何れも、基本的には、図4に示すフローチャートに従って動作が行われる。
・第1動作例…フィールド機器10が温度を測定する機器である場合の動作例
・第2動作例…フィールド機器10がセンサSNとして熱電対を用いて温度を測定する機器である場合の動作例
・第3動作例…フィールド機器10が差圧式流量計である場合の動作例
【0051】
《第1動作例》
本動作例において、機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2の各々に含まれる情報は、以下の通りであるとする。
機器設定データCD1 :単位[℃]
ユーザ設定データCD2:単位[°F]
【0052】
図4(a)に示すフローチャートの処理が開始されると、まず、センサSNから出力される検出信号を検出値(ディジタル信号)に変換する処理がセンサ信号処理部11で行われる(ステップS11)。尚、このステップでは、センサSNから出力される検出信号を検出値(ディジタル信号)に変換する前に、検出信号に重畳されているノイズを除去する処理が行われても良い。
【0053】
次に、記憶部13に記憶された機器設定データCD1を読み出し、機器設定データCD1に含まれる単位を示す情報(単位[℃]を示す情報)を取得する処理が演算部12で行われる(ステップS12)。尚、演算部12は、取得した情報(機器設定データCD1に含まれる単位を示す情報)を記憶するようにしても良い。このようにすることで、2回目以降におけるステップS12の処理を省略することができる。
【0054】
続いて、ステップS11で変換された検出値から、ステップS12で取得した単位における測定値MD1を算出する処理が演算部12で行われる(ステップS13)。尚、検出値から上記の測定値MD1を算出する処理は、不図示のファームウェアに格納されている演算式を用いて行われる。ここで、例えば、上記の測定値MD1として「25」が算出されたとする。これは、測定対象の温度の測定値が摂氏25度(25[℃])であることを意味する。以上の処理が終了すると、算出した測定値MD1を記憶部13に記憶させる処理が演算部12によって行われる(ステップS14)。
【0055】
図4(b)に示すフローチャートの処理が開始されると、まず、フィールド機器10から識別情報IDを取得する処理が、端末装置30によって行われる(ステップS21)。この処理が行われることで、端末装置30は、通信可能に接続されているフィールド機器10を特定することができる。これにより、端末装置30は、フィールド機器10の種類(どのようなフィールド機器であるのか)や接続されているセンサの種類等の測定値の変換処理に必要な情報を知ることができる。
【0056】
次に、フィールド機器10から機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2を取得する処理が、端末装置30によって行われる(ステップS22:取得ステップ)。具体的には、端末装置30の通信部35とフィールド機器10の通信部15との間で近距離無線通信が行われ、フィールド機器10から端末装置30に機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2が送信される。
【0057】
尚、端末装置30は、取得した機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2を格納部33に格納するようにしても良い。このようにすることで、2回目以降におけるステップS22の処理を省略することができる。ステップS22の処理が省略されると、端末装置30がフィールド機器10から機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2を取得するための通信が行われなくなるため、フィールド機器が送信する回数が減り、フィールド機器10の消費電力を低減することができる。これにより、電池寿命を延ばすことができる。
【0058】
続いて、フィールド機器10から測定値MD1を取得する処理が端末装置30によって行われる(ステップS23:取得ステップ)。具体的には、端末装置30の通信部35とフィールド機器10の通信部15との間で近距離無線通信が行われ、フィールド機器10から端末装置30に測定値MD1が送信される。尚、図4(b)では、理解を容易にするために、フィールド機器10から機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2を取得する処理(ステップS22)と、フィールド機器10から測定値MD1を取得する処理(ステップS23)とを分けて図示しているが、これらの処理は1つにまとめられていても良い。
【0059】
続いて、取得した機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2に基づいて、測定値MD1を測定値MD2に変換する処理が変換部34で行われる(ステップS24:変換ステップ)。ここで、取得した機器設定データCD1には、単位[℃]を示す情報が含まれており、取得したユーザ設定データCD2には、単位[°F]を示す情報が含まれている。このため、変換部34は、格納部33に格納された変換式テーブルTBに含まれる単位[℃]を単位[°F]に変換する変換式を用いて、測定値MD1を測定値MD2に変換する。
【0060】
例えば、測定値MD1が「25」である場合には、変換部34は、「77」なる測定値MD2に変換する。つまり、変換部24は、フィールド機器10で測定された測定対象の温度の測定値(摂氏25度)を、華氏77度に変換する。以上の処理が終了すると、算出した測定値MD2を出力する処理が行われる(ステップS25)。例えば、算出した測定値MD2を不図示の液晶表示装置に表示する(出力する)処理が表示部32によって行われる。尚、算出した測定値MD2を端末装置30の外部に送信する(出力する)処理が通信部35によって行われても良い。
【0061】
《第2動作例》
本動作例において、機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2の各々に含まれる情報は、以下の通りであるとする。
機器設定データCD1 :単位[mV]、端子台の電圧値(0.798)
ユーザ設定データCD2:単位[°F]、センサの種類(Type K)
【0062】
上記「端子台の電圧値」は、冷接点補償演算に必要となるパラメータである。上記「センサの種類」は、センサSNの種類(熱電対の種類)を示す情報であって、フィールド機器10の測定値MD1(単位[mV])を、温度(単位[°F])に変換する変換式で必要になるパラメータの一種である。
【0063】
図4(a)に示すフローチャートの処理が開始されると、まず、センサSNから出力される検出信号を検出値(ディジタル信号)に変換する処理がセンサ信号処理部11で行われる(ステップS11)。次に、記憶部13に記憶された機器設定データCD1を読み出し、機器設定データCD1に含まれる単位を示す情報(単位[mV]を示す情報)を取得する処理が演算部12で行われる(ステップS12)。
【0064】
続いて、ステップS11で変換された検出値から、ステップS12で取得した単位における測定値MD1を算出する処理が演算部12で行われる(ステップS13)。ここで、例えば、上記の測定値MD1として「1.0」が算出されたとする。これは、センサSNである熱電対の熱起電力が1.0[mV]であることを意味する。以上の処理が終了すると、算出した測定値MD1を記憶部13に記憶させる処理が演算部12によって行われる(ステップS14)。
【0065】
図4(b)に示すフローチャートの処理が開始されると、まず、フィールド機器10から識別情報IDを取得する処理が、端末装置30によって行われる(ステップS21)。次に、フィールド機器10から機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2を取得する処理が、端末装置30によって行われる(ステップS22)。続いて、フィールド機器10から測定値MD1を取得する処理が端末装置30によって行われる(ステップS23)。
【0066】
続いて、取得した機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2に基づいて、測定値MD1を測定値MD2に変換する処理が変換部34で行われる(ステップS24)。ここで、取得した機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2には、単位を示す情報に加えて、変換式で用いられるパラメータに関する情報が含まれている。このため、変換部34は、格納部33に格納された変換式テーブルTBから、識別情報IDに対応付けられている変換式を読み出す。
【0067】
本動作例においては、フィールド機器10の測定値MD1(単位[mV])を、温度(単位[°F])に変換する変換式に加えて、冷接点補償演算に用いられる演算式が、フィールド機器10の識別情報IDに対応づけられている。このため、ステップS24の処理では、上記変換式に加えて、冷接点補償演算に用いられる演算式が変換部34に読み出される。変換部34は、読み出した演算式を用いて、ステップS23で取得した測定値MD1に対する冷接点補償演算を行った後に、読み出した変換式を用いて測定値MD2を求める。
【0068】
例えば、測定値MD1が「1.0」である場合には、変換部34は、冷接点補償演算として、測定値MD1に機器設定データCD1に含まれるパラメータ(端子台の電圧値:0.798)を加算する演算を行う。つまり、1.0[mV]+0.798[mV]=1.798[mV]なる演算を行う。そして、変換部34は、冷接点補償演算を行って得られた値(1.798[mV])を、変換式テーブルTBから読み出した変換式と、ユーザ設定データCD2に含まれるセンサの種類(Type K)を示す情報とを用いて華氏温度(例えば、77[°F])に変換する処理を行う。以上の処理が終了すると、算出した測定値MD2を出力する処理が行われる(ステップS24)。尚、センサの種類を示す情報は、例えば、センサの種類に応じた変換式で用いられる係数である。
【0069】
《第3動作例》
本動作例において、機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2の各々に含まれる情報は、以下の通りであるとする。
機器設定データCD1 :単位[kPa]、レンジ情報(0~200[kPa])
ユーザ設定データCD2:単位[MPa]、単位[m/h]、差圧を流量に変換する変換係数
【0070】
上記「レンジ情報」は、フィールド機器10に設定された圧力の下限値と上限値とを示す情報である。本動作例において、ユーザ設定データCD2には、圧力の単位[MPa]と流量の単位[m/h]とが含まれている。これは、差圧の測定結果と流量の測定結果とを得るためである。上記「差圧を流量に変換する変換係数」は、差圧を流量に変換する変換式で用いられるパラメータである。尚、差圧とは、配管に設けられたオリフィスの上流側の圧力と下流側の圧力との圧力差である。
【0071】
図4(a)に示すフローチャートの処理が開始されると、まず、センサSNから出力される検出信号を検出値(ディジタル信号)に変換する処理がセンサ信号処理部11で行われる(ステップS11)。次に、記憶部13に記憶された機器設定データCD1を読み出し、機器設定データCD1に含まれる単位を示す情報(単位[kPa]を示す情報)を取得する処理が演算部12で行われる(ステップS12)。
【0072】
続いて、ステップS11で変換された検出値から、ステップS12で取得した単位における測定値MD1を算出する処理が演算部12で行われる(ステップS13)。ここで、例えば、上記の測定値MD1として「100.0」が算出されたとする。これは、測定対象の流体の差圧が100.0[kPa]であることを意味する。以上の処理が終了すると、算出した測定値MD1を記憶部13に記憶させる処理が演算部12によって行われる(ステップS14)。
【0073】
図4(b)に示すフローチャートの処理が開始されると、まず、フィールド機器10から識別情報IDを取得する処理が、端末装置30によって行われる(ステップS21)。次に、フィールド機器10から機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2を取得する処理が、端末装置30によって行われる(ステップS22)。続いて、フィールド機器10から測定値MD1を取得する処理が端末装置30によって行われる(ステップS23)。
【0074】
続いて、取得した機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2に基づいて、測定値MD1を測定値MD2に変換する処理が変換部34で行われる(ステップS24)。ここで、取得したユーザ設定データCD2には、2つの単位を示す情報(単位[MPa],[m/h]を示す情報)に加えて、変換式で用いられるパラメータが含まれている。このため、変換部34は、格納部33に格納された変換式テーブルTBから、識別情報IDに対応付けられている変換式を読み出す。
【0075】
ユーザ設定データCD2に含まれる単位[MPa]を示す情報と、機器設定データCD1に含まれる単位[kPa]を示す情報とは、同じ物理量(圧力)の単位を示す情報である。このため、変換部34は、格納部33に格納された変換式テーブルTBに含まれる単位[kPa]を単位[MPa]に変換する変換式を用いて、測定値MD1を測定値MD2に変換する。
【0076】
また、ユーザ設定データCD2に含まれる単位[m/h]を示す情報と、機器設定データCD1に含まれる単位[kPa]を示す情報とは、異なる物理量(流量、圧力)の単位を示す情報である。このため、変換部34は、格納部33に格納された変換式テーブルTBから読み出した変換式(識別情報IDに対応づけられた変換式)と、ユーザ設定データCD2に含まれるパラメータ(差圧を流量に変換する変換係数)とを用いて、測定値MD1を異なる物理量を示す測定値MD2に変換する。
【0077】
例えば、測定値MD1が「100.0」である場合には、変換部34は、単位[kPa]を単位[MPa]に変換する変換式を用いて、100.0[kPa]を0.1[MPa]に変換する処理を行う。また、変換部34は、識別情報IDに対応付けられた変換式を用いて、100.0[kPa]を、例えば20.0[m/h]に変換する処理を行う。以上の処理が終了すると、算出した測定値MD2を出力する処理が行われる(ステップS24)。
【0078】
以上の通り、本実施形態では、フィールド機器10が、測定対象の検出を行うセンサSNの検出値から、予め規定された単位における測定対象の測定値MD1を求める。そして、端末装置30が、フィールド機器10から機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2と、測定値MD1とを取得し、取得した機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2に基づいて、測定値MD1を測定値MD2に変換している。
【0079】
測定値MD1を測定値MD2に変換する処理は、端末装置30で行われるため、端末装置30で用いられるプログラム(アプリケーション)をアップデートして、端末装置30で行われる変換処理を追加又は変更すれば、必要となる測定値MD2を得ることができる。このため、本実施形態では、フィールド機器10のファームウェアを更新することなく、必要となる測定値を得ることができる。
【0080】
ここで、フィールド機器10は、低消費電力長距離無線通信が可能なネットワークN1を介して上位システム20に接続されている。このため、仮に、上位システム20がフィールド機器10のファームウェアを更新しようとすると、通信速度が遅すぎるため、ファームウェアのダウンロードに膨大な時間が必要になる。これに対し、本実施形態では、ネットワークN4を介して端末装置30で用いられるプログラム(アプリケーション)を端末装置30にダウンロードしているため、端末装置30で用いられるプラグラム(アプリケーション)を短時間でダウンロードすることができる。
【0081】
また、本実施形態では、機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2を、端末装置30ではなく、フィールド機器10に記憶させるようにしている。これにより、フィールド機器10に通信可能に接続される端末装置30が変わっても、端末装置30には同じ単位の同じ測定値を表示させることができる。
【0082】
以上、本発明の一実施形態によるフィールド機器システム、測定値変換方法、端末装置、及び端末プログラムについて説明したが、本発明は上記実施形態に制限される訳ではなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、端末装置30が、フィールド機器10から機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2と測定値MD1とを取得し、機器設定データCD1及びユーザ設定データCD2に基づいて測定値MD1を測定値MD2に変換する例について説明した。しかしながら、端末装置30の機能と同様の機能を上位システム20(例えば、アプリケーションサーバ22)に設け、上位システム20にてフィールド機器10から取得した測定値MD1を測定値MD2に変換するようにしても良い。
【0083】
また、上述した実施形態では、ネットワークN1が、低消費電力長距離無線通信(LPWA)が可能なネットワークであり、フィールド機器10と上位システム20とが、LoRa(登録商標)等の通信規格に準拠した無線通信を行う例について説明した。しかしながら、ネットワークN1は、低消費電力長距離無線通信(LPWA)が可能なネットワークに制限されることはなく、任意のネットワークであって良い。また、フィールド機器10と上位システム20とが、ISA100.11aやWirelessHART(登録商標)等の通信規格に準拠した無線通信を行っても良い。
【0084】
また、上述した実施形態において、単位の取り扱いを容易にするために、複数の物理量の単位を統一した統一単位テーブルを用いることが好ましい。図5は、統一単位テーブルの一例を示す図である。図5に示す通り、統一単位テーブルは、一意に定まる単位番号に対して、各種の物理単位が対応づけられたテーブルである。
【0085】
統一単位テーブルでは、同じ物理量を示す単位であっても、接頭辞が異なる単位は、単位番号が異なるように対応づけられている。圧力の単位である[Pa],[kPa],[MPa]を例に挙げると、[Pa]は単位番号「1」に対応づけられ、[kPa]は単位番号「2」に対応づけられ、[MPa]は単位番号「3」に対応づけられている。このような統一単位テーブルを用いることで、複数種類のセンサが混在する状況であっても単位の取り扱いが容易になる。また、新たな単位が増えた場合であっても、容易に追加を行うことができる。
【0086】
また、上記実施形態における第2動作例では、端末装置30の変換部34で行われる変換処理に付随して冷接点補償演算が行われる例について説明した。しかしながら、変換処理に付随して行われる演算処理は、冷接点補償演算に限られる訳ではなく、任意の演算処理であって良い。例えば、フィルタリング処理、スケーリング処理、その他の処理を行うことができる。
【符号の説明】
【0087】
1 フィールド機器システム
10 フィールド機器
12 演算部
13 記憶部
20 上位システム
30 端末装置
33 格納部
34 変換部
35 通信部
CD1 機器設定データ
CD2 ユーザ設定データ
ID 識別情報
MD1 測定値
MD2 測定値
SN センサ
図1
図2
図3
図4
図5