IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

特許7358814トナーコンテナの着脱構造および画像形成装置
<>
  • 特許-トナーコンテナの着脱構造および画像形成装置 図1
  • 特許-トナーコンテナの着脱構造および画像形成装置 図2
  • 特許-トナーコンテナの着脱構造および画像形成装置 図3
  • 特許-トナーコンテナの着脱構造および画像形成装置 図4
  • 特許-トナーコンテナの着脱構造および画像形成装置 図5
  • 特許-トナーコンテナの着脱構造および画像形成装置 図6
  • 特許-トナーコンテナの着脱構造および画像形成装置 図7
  • 特許-トナーコンテナの着脱構造および画像形成装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】トナーコンテナの着脱構造および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20231003BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G03G21/16 176
G03G15/08 346
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019134816
(22)【出願日】2019-07-22
(65)【公開番号】P2021018359
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 聡
(72)【発明者】
【氏名】水口 恵介
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-337587(JP,A)
【文献】特開平07-005758(JP,A)
【文献】特開昭63-178271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の内部にトナーを収容したトナーコンテナと、
前記トナーコンテナが着脱可能に配置される装着ユニットと、を備え、
前記トナーコンテナは、
軸周りに回転して前記容器本体に収容されたトナーを攪拌する回転部材と、
前記容器本体の外部に突き出した前記回転部材の軸と同一軸心上に設けられ、前記回転部材に回転力を伝達する1つの動力伝達体と、を含み、
前記装着ユニットは、前記トナーコンテナを着脱する過程で前記動力伝達体に接触する接触体を含み、
前記装着ユニットに対して前記トナーコンテナを着脱する過程において、前記動力伝達体が前記接触体に接触しながら軸周りに回転することで、前記回転部材が軸周りに回転し、
1つの前記動力伝達体は、前記装着ユニットに対する前記トナーコンテナの装着途中で前記接触体に接触する機能と、前記トナーコンテナを前記装着ユニットに装着した状態で、前記接触体から離間し、前記回転部材を回転駆動させる駆動源に連結される機能と、を有していることを特徴とするトナーコンテナの着脱構造。
【請求項2】
前記トナーコンテナは、前記回転部材と前記動力伝達体との間に設けられた断続部を更に含み、
前記断続部は、前記装着ユニットに前記トナーコンテナを装着する過程で前記動力伝達体を前記回転部材に接続し、前記装着ユニットから前記トナーコンテナを離脱させる過程で前記動力伝達体を前記回転部材から切り離すことを特徴とする請求項1に記載のトナーコンテナの着脱構造。
【請求項3】
前記動力伝達体は、ギアであり、
前記接触体は、前記ギアに噛み合うラックであることを特徴とする請求項1または2に記載のトナーコンテナの着脱構造。
【請求項4】
前記動力伝達体は、ローラーであり、
前記接触体は、前記ローラーに押圧される摩擦板であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナーコンテナの着脱構造。
【請求項5】
請求項1ないしのいずれかに記載されたトナーコンテナの着脱構造を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーコンテナの着脱構造および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のトナーボトルは、トナー補給装置への装着時にトナーをほぐすようにトナーに外力を加える粉体ほぐし手段を備えていた。この粉体ほぐし手段は、トナー排出経路部の排出口の近傍に設けられた可撓性部材で構成されていた。トナーボトルの装着動作に連動して、可撓性部材が変形されることで、排出口近傍のトナーがほぐされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-37310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したトナーボトルでは、トナー排出経路部の一部が可撓性部材になっているため、トナーボトルの強度が著しく低下する虞があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するために、装着ユニットに対してトナーコンテナを装着する際にトナーをほぐすことができるトナーコンテナの着脱構造および画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するため、本発明のトナーコンテナの着脱構造は、容器本体の内部にトナーを収容したトナーコンテナと、前記トナーコンテナが着脱可能に配置される装着ユニットと、を備え、前記トナーコンテナは、軸周りに回転して前記容器本体に収容されたトナーを攪拌する回転部材と、前記容器本体の外部に設けられ、前記回転部材に回転力を伝達する動力伝達体と、を含み、前記装着ユニットは、前記トナーコンテナを着脱する過程で前記動力伝達体に接触する接触体を含み、前記装着ユニットに対して前記トナーコンテナを着脱する過程において、前記動力伝達体が前記接触体に接触しながら軸周りに回転することで、前記回転部材が軸周りに回転する。
【0007】
この場合、前記トナーコンテナは、前記回転部材と前記動力伝達体との間に設けられた断続部を更に含み、前記断続部は、前記装着ユニットに前記トナーコンテナを装着する過程で前記動力伝達体を前記回転部材に接続し、前記装着ユニットから前記トナーコンテナを離脱させる過程で前記動力伝達体を前記回転部材から切り離すことが好ましい。
【0008】
この場合、前記動力伝達体は、前記トナーコンテナを前記装着ユニットに装着した状態で、前記接触体から離間し、前記回転部材を回転駆動させる駆動源に連結されることが好ましい。
【0009】
この場合、前記動力伝達体は、ギアであり、前記接触体は、前記ギアに噛み合うラックであることが好ましい。
【0010】
他の場合、前記動力伝達体は、ローラーであり、前記接触体は、前記ローラーに押圧される摩擦板であることが好ましい。
【0011】
上記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、上記のいずれかのトナーコンテナの着脱構造を備えた。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、装着ユニットに対してトナーコンテナを装着する際にトナーをほぐすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンターの内部構造を示す概略図(側面図)である。
図2】本発明の一実施形態に係るプリンターを示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るトナーコンテナを示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係るトナーコンテナの搬送スクリュー等を示す断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るトナーコンテナのラチェット機構等を示す断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る現像装置を示す斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係るトナーコンテナの着脱構造の作用を説明する説明図(側面図)である。
図8】本発明の一実施形態の変形例に係るトナーコンテナの着脱構造17の作用を説明する説明図(側面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、各図に示す「Fr」は「前」を示し、「Rr」は「後」を示し、「L」は「左」を示し、「R」は「右」を示し、「U」は「上」を示し、「D」は「下」を示している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0015】
[プリンターの概要]
図1を参照して、画像形成装置の一例としてのプリンター1について説明する。図1はプリンター1の内部構造を示す概略図(側面図)である。
【0016】
プリンター1は、略直方体状の外観を構成する装置本体2を備えている。装置本体2の下部には、紙製のシートを収容する給紙カセット3が着脱可能に設けられている。装置本体2の上面には、排紙トレイ4が設けられている。なお、シートは、紙製に限らず、樹脂製のシート等であってもよい。
【0017】
プリンター1は、給紙装置5と、作像装置6と、定着装置7と、を装置本体2の内部に備えている。給紙装置5は、給紙カセット3から排紙トレイ4まで延びる搬送路8の上流端部に設けられている。定着装置7は搬送路8の下流側に設けられ、作像装置6は搬送路8において給紙装置5と定着装置7との間に設けられている。
【0018】
作像装置6は、感光体ドラム10と、帯電装置11と、現像装置12と、トナーコンテナ13と、転写ローラー14と、クリーニング装置15と、光走査装置16と、を含んでいる。帯電装置11、現像装置12、転写ローラー14およびクリーニング装置15は、感光体ドラム10の周囲に転写プロセスの順(矢印X参照)に配置されている。
【0019】
感光体ドラム10は、左右方向に長い円筒状に形成され、ギア列等を介して駆動モーター(図示せず)に連結されている。帯電装置11は、感光体ドラム10に接触させながら軸周りに回転する帯電ローラー(図示せず)によって感光体ドラム10の表面を帯電させる(接触帯電方式)。
【0020】
現像装置12は、隙間を挟んで感光体ドラム10に対向した現像ローラー12A(図示せず)を含んでいる。現像ローラー12Aは、電源(図示せず)から現像バイアスを印加され、軸周りに回転しながら感光体ドラム10上にトナーを供給する。トナーコンテナ13は、現像装置12の上面の前方に着脱可能に装着される。トナーコンテナ13の内部には、例えば黒色のトナーが収容されており、トナーコンテナ13から現像装置12にトナーが補給される。なお、トナーは、キャリアを含む二成分現像剤でもよいし、磁性トナーを含む一成分現像剤でもよい。
【0021】
転写ローラー14は、感光体ドラム10に所定の圧力をもって接触し、搬送路8を搬送されてくるシートを感光体ドラム10に押し付ける。クリーニング装置15は、感光体ドラム10の表面にブレード15Aを接触させ、感光体ドラム10の表面に残されたトナーを除去する。
【0022】
光走査装置16は、感光体ドラム10に走査光を照射し、帯電した感光体ドラム10の表面に静電潜像を形成する。
[画像形成処理]
ここで、プリンター1の動作について説明する。プリンター1の制御装置(図示せず)は各装置を適宜制御し、以下のように画像形成処理を実行する。帯電装置11は、感光体ドラム10の表面を所定の電位に帯電させる。感光体ドラム10は、光走査装置16から出射された走査光(図1に示す矢印P参照)を受け、静電潜像を担持する。現像装置12は、トナーコンテナ13から供給されたトナーを用いて感光体ドラム10上の静電潜像をトナー像に現像する。シートは、給紙装置5によって給紙カセット3から搬送路8に送り出される。転写ローラー14は、感光体ドラム10との間を通過するシートに感光体ドラム10上のトナー像を転写する。定着装置7はトナー像をシートに熱定着させる。その後、シートは排紙トレイ4に排出される。クリーニング装置15は感光体ドラム10上に残ったトナーを除去する。
【0023】
[トナーコンテナの着脱構造]
次に、図2ないし図6を参照して、トナーコンテナ13の着脱構造17について説明する。図2はプリンター1を示す斜視図である。図3はトナーコンテナ13を示す斜視図である。図4はトナーコンテナ13の搬送スクリュー21等を示す断面図である。図5はトナーコンテナ13のラチェット機構23等を示す断面図である。図6は現像装置12を示す斜視図である。
【0024】
図2に示すように、装置本体2(排紙トレイ4)は、上部前側の外装カバー(図示せず)を取り外すことができるように構成されている。装置本体2の上部前側にはトナーコンテナ13の着脱構造17が設けられており、装置本体2の上部前側の外装カバーを取り除くとトナーコンテナ13が露出する。これにより、トナーコンテナ13を交換することが可能になる。
【0025】
着脱構造17は、トナーコンテナ13と、現像装置12と、を含んでいる。
【0026】
<トナーコンテナ>
図3および図4に示すように、トナーコンテナ13は、容器本体20と、搬送スクリュー21と、攪拌部材22(回転部材)と、ラチェット機構23(断続部)と、を含んでいる。
【0027】
(容器本体)
容器本体20は、例えば合成樹脂で、左右方向に長い略直方体状(中空箱状)に形成されている。容器本体20は、上面を開放した箱状に形成された収容部20Aと、収容部20Aの上面開口を封止した蓋部20Bと、を有している。容器本体20の内部には、トナーが収容されている。
【0028】
容器本体20(収容部20A)の右後側は略円筒状に形成されており、その円筒状部分の下面にはトナーを排出するための排出口24が形成されている。また、収容部20Aの円筒状部分には、略円筒状のシャッター25が軸周りに回動可能に設けられている。シャッター25は、一方に回動することで排出口24を開放し、他方に回動することで排出口24を閉塞する。なお、詳細な説明は省略するが、シャッター25はユーザー(作業者)によるレバー操作によって開閉される。
【0029】
(搬送スクリュー)
図4に示すように、搬送スクリュー21は、容器本体20(収容部20A)の内部後側に配置されている。搬送スクリュー21は、例えば合成樹脂で左右方向に長い略棒状に形成されている。搬送スクリュー21は、スクリュー軸の外周面に螺旋状の羽根を固定したものである。搬送スクリュー21(スクリュー軸)は、容器本体20の左右両側壁に回転可能に支持されている。搬送スクリュー21のスクリュー軸は、容器本体20の右側壁を貫通して右方に延設されている。スクリュー軸の右端部には、駆動ギア26(平歯車)が固定されている。搬送スクリュー21は、軸周りに回転駆動されて容器本体20に収容されたトナーを右方向(排出口24側)に搬送する機能を有している。
【0030】
(攪拌部材)
図3および図4に示すように、回転部材の一例としての攪拌部材22は、容器本体20(収容部20A)の内部において搬送スクリュー21よりも前方に配置されている。図4に示すように、攪拌部材22は、攪拌軸22Aと、攪拌羽根22Bと、を有している。
【0031】
攪拌軸22Aは、例えば合成樹脂で左右方向に長い略棒状に形成されている。攪拌軸22Aの左右両側は、中間部分よりも細い略円柱状に形成され、収容部20Aの左右両側壁に回転可能に支持されている。正確には、攪拌軸22Aの右端部は、後述するラチェット機構23を介して収容部20Aの右側壁に支持されている。攪拌軸22Aの右端部は、収容部20Aの右側壁を貫通して右方に延設されている。容器本体20(収容部20A)の外部に突き出した攪拌軸22Aの右端部には、攪拌ギア35(動力伝達体)が設けられている。攪拌羽根22Bは、例えば、合成樹脂製のフィルムであり、略長方形状に形成されている。攪拌羽根22Bの基端部は攪拌軸22Aに固定され、攪拌羽根22Bは攪拌軸22Aから径方向外側に延びている。攪拌羽根22Bには、先端から基端に向かって複数のスリットが切り込まれている。攪拌部材22は、軸周りに回転して容器本体20に収容されたトナーを攪拌する機能を有している。
【0032】
(ラチェット機構)
図4および図5に示すように、断続部の一例としてのラチェット機構23は、攪拌部材22と攪拌ギア35との間に設けられている。正確には、攪拌ギア35は、ラチェット機構23の部品と一体に形成されている。ラチェット機構23は、第1筒部材30と、第2筒部材31と、押圧バネ32と、を含んでいる。
【0033】
(第1筒部材)
第1筒部材30は、例えば合成樹脂または金属で略円筒状に形成されている。第1筒部材30は、攪拌軸22Aの右端部の周面を覆うように設けられ、容器本体20の右側壁に回転可能に支持されている。第1筒部材30には、攪拌軸22Aの右端部を貫通させるための第1貫通穴30Aが形成されている(図5参照)。攪拌軸22Aの右端部の根本側(段差部22C側)にはキー溝33Aが凹設され、第1貫通穴30Aの内周面にはキー溝33Aが嵌合するキー33Bが突設されている(図5参照)。なお、キー33Bは攪拌軸22Aの右端部に突設され、キー溝33Aは第1貫通穴30Aの内周面に凹設されてもよい。
【0034】
第1筒部材30の右端面(第2筒部材31との対向面)には、複数の第1爪部34が回転方向に並設されている。各第1爪部34は、回転方向の一方に傾いた突起であって、回転方向の一方に軸方向と平行な起立面34Aを有し、回転方向の他方に軸方向と交差する傾斜面34Bを有している(図4参照)。
【0035】
(第2筒部材)
第2筒部材31は、例えば合成樹脂または金属で略円筒状に形成されている。第2筒部材31は、容器本体20の外部に突き出した攪拌軸22Aの右端部の周面を覆うように設けられ、第1筒部材30の右側に配置されている。第2筒部材31には、攪拌軸22Aの右端部を貫通させるための第2貫通穴31Aが形成されている(図5参照)。第2貫通穴31Aは、攪拌軸22Aの右端部の回転を許容する内径を有している。したがって、第2貫通穴31Aにはキー33Bが形成されておらず、第2貫通穴31Aを貫通する攪拌軸22Aの右端部にはキー溝33Aが形成されていない。なお、第2筒部材31から突き出した攪拌軸22Aの右端部には、抜け止め防止用のストップリング22Dが嵌合している。
【0036】
第2筒部材31の外周面には、攪拌ギア35が一体に形成されている。攪拌ギア35は、いわゆる平歯車であり、第2筒部材31と同一軸心上に設けられている。
【0037】
第2筒部材31の左端面(第1筒部材30との対向面)には、複数の第2爪部36が回転方向に並設されている。各第2爪部36は、回転方向の一方に傾いた突起であって、回転方向の一方に軸方向と平行な起立面36Aを有し、回転方向の他方に軸方向と交差する傾斜面36Bを有している(図4参照)。複数の第2爪部36は、複数の第1爪部34と相補的な形状を有し、複数の第1爪部34に噛み合うように形成されている。
【0038】
(押圧バネ)
押圧バネ32は、圧縮コイルバネであって、攪拌軸22Aの右側の段差部22Cと第1筒部材30の左端面との間に設けられている。押圧バネ32は、第1筒部材30を第2筒部材31に押し付ける機能を有している。
【0039】
<現像装置>
図6に示すように、装着ユニットの一例としての現像装置12は、現像ローラー12A(図6では図示せず)を軸周りに回転可能に支持する筐体40を備えている。筐体40の上面の前部には、トナーコンテナ13を装着するための装着部41が形成されている。装着部41は、トナーコンテナ13(容器本体20)の下部の形状に倣って下方に凹むように湾曲している。また、装着部41の右側には、現像装置12の内部に連通する補給口42が開口している。
【0040】
現像装置12の装着部41の前端の右端には、ラック43(接触体)が起立した姿勢で設けられている。ラック43に形成された複数の歯は、後方(装着部41側)に向けられている。ラック43は、現像装置12(装着部41)に対してトナーコンテナ13を着脱する過程で攪拌ギア35に噛み合う(接触する)ように設けられている。
【0041】
[トナーコンテナの着脱]
次に、図4ないし図7を参照して、トナーコンテナ13の着脱構造17の作用、すなわち、トナーコンテナ13の着脱について説明する。図7はトナーコンテナ13の着脱構造17の作用を説明する説明図(側面図)である。なお、トナーコンテナ13が現像装置12(装着部41)に装着される前の状態では、シャッター25は排出口24を閉塞している。また、装着部41にはトナーコンテナ13が装着されていない状態を初期状態とする。
【0042】
<トナーコンテナの装着>
トナーコンテナ13は、新品のプリンター1を最初に使う場合に装着部41に装着される。また、トナーコンテナ13は、空になった(トナー残量が少なくなった)場合に他のトナーコンテナ13と交換される。ところで、トナーコンテナ13の容器本体20に収容されたトナーは、自重や輸送時の振動等によって固まってしまうことがある(正確には、完全に固まることは少なく、トナーが凝集して塊を形成することが多い。)。トナーが固まったトナーコンテナ13が装着部41に装着され、搬送スクリュー21や攪拌部材22に駆動力が入力されると、固まったトナーによって搬送スクリュー21等の回転が阻害される。このため、搬送スクリュー21等のトルクが異常に増加し、所定量のトナーを現像装置12に補給できない場合があった。そこで、本実施形態に係るトナーコンテナ13の着脱構造17では、現像装置12に対してトナーコンテナ13を装着する過程、つまり、トナーコンテナ13の装着完了前において、容器本体20に収容されたトナーをほぐす構造と成っている。
【0043】
まず、作業者は、装置本体2(排紙トレイ4)の外装カバーを取り外し(図2参照)、現像装置12の装着部41を露出させる。次に、作業者は、トナーコンテナ13を装着部41に装着する。具体的には、作業者は、トナーコンテナ13を装着部41の上方に配置させ、トナーコンテナ13の攪拌ギア35を装着部41のラック43に噛み合わせる。そして、作業者は、トナーコンテナ13を下方(装着部41)に向けて移動させる。すると、図7に示す実線矢印ように、攪拌ギア35はラック43に噛み合いながら下方に向かって転がる(回転する)。すなわち、トナーコンテナ13を下方に移動させる力が攪拌ギア35を回転させる力に変換される。
【0044】
ラチェット機構23は、現像装置12の装着部41にトナーコンテナ13を装着する過程で攪拌ギア35を攪拌部材22に接続している。具体的には、図4に示すように、第1筒部材30の各第1爪部34は、押圧バネ32に押し付けられて第2筒部材31の各第2爪部36に噛み合っている。各第1爪部34の起立面34Aは各第2爪部36の起立面36Aに引っ掛かっており、第1筒部材30と第2筒部材31とは一体となって回転する。攪拌軸22Aは、キー33B等を介して第1筒部材30に係合しているため、第1筒部材30と一体となって回転する。以上のように、攪拌ギア35の回転力は、第2筒部材31および第1筒部材30を介して攪拌部材22に伝達され、攪拌部材22を軸周りに回転させる。なお、攪拌ギア35は連結伝達機構から離れて駆動ギア26との接続が切断されているため、搬送スクリュー21は回転しない。
【0045】
このように、現像装置12に対してトナーコンテナ13を装着する過程において、攪拌部材22が回転することで、容器本体20の内部で固まったトナーがほぐされる。
【0046】
トナーコンテナ13が装着部41に載置(装着)されると、駆動ギア26がギア列等から成る駆動伝達機構(図示せず)を介して駆動源Mに連結される。また、トナーコンテナ13を装着部41に装着した状態で、攪拌ギア35は、ラック43から離間し、ギア列等から成る連結伝達機構(図示せず)を介して駆動ギア26に連結される。つまり、攪拌ギア35は、間接的に駆動源Mに連結される。また、トナーコンテナ13のシャッター25は、装着部41の補給口42に対向している。次に、作業者は、レバー操作してシャッター25を開き、排出口24と補給口42とを連通させる。
【0047】
以上によって、現像装置12の装着部41に対するトナーコンテナ13の装着が完了する。この状態で、容器本体20に収容されたトナーはほぐされているため、トナーコンテナ13から現像装置12への円滑なトナー補給が可能になる。
【0048】
<トナーコンテナの取り外し>
次に、トナーを使い切って空になったトナーコンテナ13を交換する場合等、トナーコンテナ13を現像装置12から取り外す(離脱させる)場合について説明する。
【0049】
まず、作業者は、装置本体2の外装カバーを取り外し、現像装置12の装着部41に装着されたトナーコンテナ13を露出させる。次に、作業者は、レバー操作してシャッター25を閉じ、排出口24を閉塞する。その後、作業者がトナーコンテナ13を引き上げると、駆動ギア26は駆動伝達機構から分離され、攪拌ギア35は連結伝達機構から分離された後にラック43に噛み合う。更に作業者がトナーコンテナ13を引き上げると、図7に示す破線矢印ように、攪拌ギア35はラック43に噛み合いながら上方に向かって転がる(回転する)。すなわち、トナーコンテナ13を上方に移動させる力が攪拌ギア35を回転させる力に変換される。
【0050】
ラチェット機構23は、現像装置12の装着部41からトナーコンテナ13を離脱させる過程で攪拌ギア35を攪拌部材22から切り離す。具体的には、装着時とは逆方向に攪拌ギア35が回転すると、第2筒部材31の各第2爪部36は、押圧バネ32の付勢力に抗して第1筒部材30を押し込みながら各第1爪部34の傾斜面34B上をスライドする(図4参照)。第2爪部36が第1爪部34を乗り越えて傾斜面34Bから離脱すると、第1筒部材30は押圧バネ32を押されて元に戻り、第2爪部36は隣接する第1爪部34に噛み合う。したがって、攪拌ギア35と第2筒部材31との回転力は、第1筒部材30には伝達されず、攪拌部材22は回転しない。なお、攪拌ギア35は連結伝達機構から離れて駆動ギア26との接続が切断されているため、搬送スクリュー21は回転しない。
【0051】
トナーコンテナ13が装着部41から完全に引き出されると、駆攪拌ギア35はラック43から離間する。以上によって、現像装置12の装着部41からのトナーコンテナ13の取り出しが完了する。
【0052】
以上説明した本実施形態に係るトナーコンテナ13の着脱構造17では、現像装置12に対してトナーコンテナ13を装着する過程において、攪拌ギア35がラック43に噛み合いながら(動力伝達体が接触体に接触しながら)軸周りに回転する構成とした。この構成によれば、トナーコンテナ13の装着に連動して、攪拌ギア35に繋がる攪拌部材22を回転させることができる。これにより、現像装置12へのトナーコンテナ13の装着完了前に固まったトナーをほぐすことができる。
【0053】
また、本実施形態に係るトナーコンテナ13の着脱構造17によれば、ラチェット機構23がトナーコンテナ13の装着時にのみ攪拌ギア35を攪拌部材22に接続するため、トナーコンテナ13の装着に連動して攪拌部材22を回転させてトナーをほぐすことができる。また、ラチェット機構23がトナーコンテナ13の離脱時に攪拌ギア35を攪拌部材22から切り離すため、トナーコンテナ13の離脱時には攪拌部材22の回転負荷が攪拌ギア35に伝達されない。これにより、作業者はトナーコンテナ13を小さな力で円滑に取り出すことができる(作業性の向上)。
【0054】
また、本実施形態に係るトナーコンテナ13の着脱構造17では、攪拌ギア35が、トナーコンテナ13の装着後に間接的に駆動ギア26に接続される機能と、トナーコンテナ13の装着途中でラック43に噛み合う機能と、を有していた。このように、攪拌ギア35が2つの用途に兼用されていた。これにより、駆動ギア26に接続されるギアとラック43に噛み合う攪拌ギア35とを別々に設ける必要が無くなるため、着脱構造17を簡易化することができ、製造コストを低減することもできる。
【0055】
また、本実施形態に係るトナーコンテナ13の着脱構造17によれば、攪拌ギア35とラック43とを採用することで、トナーコンテナ13の着脱方向(上下方向)の移動を、効率良く攪拌ギア35(回転部材)の回転運動に変換することができる。
【0056】
なお、以上説明した本実施形態に係るトナーコンテナ13の着脱構造17では、動力伝達体の一例として攪拌ギア35が採用され、接触体の一例としてラック43が採用されていたが、本発明はこれに限定されない。図8に示すように、例えば、変形例に係る着脱構造17では、動力伝達体の他の例として、軸周りに回転するローラー50が採用され、接触体の他の例として、ローラー50に押圧される摩擦板51が採用されてもよい。ローラー50は、回転軸にゴム等の弾性材を積層したゴムローラー等を用いることが好ましい。摩擦板51は、合成樹脂製や金属製の板等、ローラー50(ゴムローラー)との摩擦を考慮して適宜選択することが好ましい。なお、ローラー50は攪拌ギア35に代えて設けられてもよいし、攪拌ギア35を駆動伝達用に残してローラー50を追加で設けてもよい。この変形例に係る構成でも、上記した本実施形態に係るトナーコンテナ13の着脱構造17と同様の作用、効果を得ることができる。
【0057】
なお、本実施形態(変形例も含む。以下同じ。)に係るトナーコンテナ13の着脱構造17では、ラチェット機構23を設け、トナーコンテナ13を装着する場合にのみ攪拌ギア35やローラー50(以下、「攪拌ギア35等」という。)を攪拌部材22に接続していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ラチェット機構23は省略(削除)されてもよい(図示せず)。この場合、現像装置12に対してトナーコンテナ13を着脱(装着と離脱の両方)する過程において、攪拌ギア35等がラック43や摩擦板51(以下、「ラック43等」という。)に接触しながら軸周りに回転することになる。
【0058】
また、本実施形態に係るトナーコンテナ13の着脱構造17では、攪拌ギア35等が連結伝達機構や駆動ギア26を介して間接的に駆動源Mに連結されていたが、これに限らず、攪拌ギア35等が直接に駆動源Mに連結されてもよい(図示せず)。
【0059】
また、本実施形態に係るトナーコンテナ13の着脱構造17では、現像装置12が装着ユニットの一例であったが、本発明はこれに限定されない。トナーコンテナ13を装着するための専用の装着ユニットが、トナーコンテナ13と現像装置12との間に設けられてもよい(図示せず)。
【0060】
また、本実施形態に係るトナーコンテナ13の着脱構造17では、攪拌部材22が回転部材の一例であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、回転部材の他の例として搬送スクリュー21が採用され、動力伝達体の他の例として駆動ギア26が採用されてもよい。つまり、駆動ギア26が、ラック43に噛み合いながら回転して搬送スクリュー21を回転させてもよい。この場合、搬送スクリュー21と駆動ギア26との間にラチェット機構23が設けられることが好ましい(図示せず)。また、他にも、駆動ギア26と攪拌ギア35等の少なくとも一方がラック43等に接触し、攪拌部材22と搬送スクリュー21との両方が回転される構成としてもよい(図示せず)。
【0061】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係るトナーコンテナの着脱構造および画像形成装置における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0062】
1 プリンター(画像形成装置)
2 装置本体
12 現像装置(装着ユニット)
13 トナーコンテナ
22 攪拌部材(回転部材)
23 ラチェット機構(断続部)
35 攪拌ギア(動力伝達体、ギア)
43 ラック(接触体)
50 ローラー(動力伝達体)
51 摩擦板(接触体)
M 駆動源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8