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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 513
H01G4/30 516
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019147540
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021028938
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】永井 佑一
(72)【発明者】
【氏名】田村 健寿
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 伸也
(72)【発明者】
【氏名】森田 健
(72)【発明者】
【氏名】武田 篤史
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-215729(JP,A)
【文献】特開2017-073434(JP,A)
【文献】特開2011-124542(JP,A)
【文献】特開平10-284343(JP,A)
【文献】特開2017-191929(JP,A)
【文献】特開2017-120819(JP,A)
【文献】特開2009-200421(JP,A)
【文献】特開2016-072485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/00-4/224
H01G 4/255-4/40
H01G 13/00-13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣り合う側面と端面とを有している素体と、
前記側面及び前記端面に配置されている外部電極と、を備えており、
前記外部電極は、前記側面と前記端面とにわたって設けられていると共に複数の空隙が存在している導電性樹脂層と、前記導電性樹脂層を覆っているめっき層と、を有し、
前記導電性樹脂層は、前記端面上に位置している第一領域と、前記側面上に位置している第二領域と、前記端面と前記側面との間の稜線部上に位置している第三領域とを含み、
前記第一領域の最大厚みがT1(μm)であり、前記第二領域の最大厚みがT2(μm)である場合、前記最大厚みT1と、前記最大厚みT2とは、
T2/T1≧0.11
の関係を満たし、
前記第一領域の厚み方向に沿う断面において、前記第一領域での前記空隙の総面積は、前記第一領域の面積の5.0~36.0%の範囲内であり、
前記第二領域の厚み方向に沿う断面において、前記第二領域での前記空隙の総面積は、前記第二領域の面積の5.0~36.0%の範囲内であり、
前記第三領域の厚み方向に沿う断面において、前記第三領域での前記空隙の総面積は、前記第三領域の面積の3.0~11.0%の範囲内である、電子部品。
【請求項2】
前記最大厚みT1と、前記最大厚みT2とは、
T2/T1≦0.48
の関係を満たす、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記第三領域の最小厚みがT3(μm)である場合、前記最大厚みT1と、前記最小厚みT3とは、
T3/T1≧0.08
の関係を満たす、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記最大厚みT1と、前記最小厚みT3とは、
T3/T1≦0.37
の関係を満たす、請求項3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記側面及び前記端面に直交する断面において、前記第二領域の表面は、前記側面から離れる方向に凸状に湾曲している、請求項1~のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項6】
前記外部電極は、前記側面と前記端面とにわたって設けられていると共に前記導電性樹脂層に覆われている焼結金属層を更に有し、
前記端面を含む面を基準面として、前記端面に直交する方向での前記焼結金属層の端縁から前記第二領域の端縁までの長さは、前記端面に直交する前記方向での前記基準面から前記焼結金属層の前記端縁までの長さより大きい、請求項1~のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項7】
前記側面に直交する方向から見て、前記第二領域の端縁は、湾曲している、請求項1~のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項8】
前記側面は、実装面を構成する、請求項1~のいずれか一項に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに隣り合う側面と端面とを有している素体と、側面及び端面に配置されている外部電極と、を備えている電子部品が知られている(たとえば、特許文献1参照)。外部電極は、側面と端面とにわたって設けられている導電性樹脂層と、導電性樹脂層を覆っているめっき層と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-144665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
導電性樹脂層は、一般に、樹脂と、導電性を有する粒子とを含んでいる。樹脂は、水分を吸収する傾向にある。電子部品が電子機器にはんだ実装される場合、樹脂に吸収された水分がガス化して、体積膨張することがある。この場合、導電性樹脂層に応力が作用して、導電性樹脂層に亀裂が生じ、導電性樹脂層が剥離するおそれがある。導電性を有する粒子は、たとえば、金属からなる。電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。
【0005】
本発明の一つの態様は、導電性樹脂層の剥離を抑制する電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様に係る電子部品は、互いに隣り合う側面と端面とを有している素体と、側面及び端面に配置されている外部電極と、を備えている。外部電極は、側面と端面とにわたって設けられていると共に複数の空隙が存在している導電性樹脂層と、導電性樹脂層を覆っているめっき層と、を有している。導電性樹脂層は、端面上に位置している第一領域と、側面上に位置している第二領域と、端面と側面との間の稜線部上に位置している第三領域とを含んでいる。第一領域の最大厚みがT1(μm)であり、第二領域の最大厚みがT2(μm)である場合、最大厚みT1と、最大厚みT2とは、
T2/T1≧0.11
の関係を満たしている。第一領域の厚み方向に沿う断面において、第一領域での空隙の総面積は、第一領域の面積の5.0~36.0%の範囲内である。第二領域の厚み方向に沿う断面において、第二領域での空隙の総面積は、第二領域の面積の5.0~36.0%の範囲内である。
【0007】
本発明者らの調査研究の結果、以下の事項が判明した。
導電性樹脂層を覆っているめっき層は、導電性樹脂層と密着しやすいものの、素体とは密着しがたい。したがって、めっき層の端縁と素体との間には、間隙が存在する。樹脂に吸収された水分がガス化した場合でも、水分から発生したガスが、複数の空隙から、めっき層の端縁と素体との間の間隙に至ると、ガスは、間隙を通して外部電極外に放出される。水分から発生したガスが外部電極外に放出されるので、導電性樹脂層に応力が作用しがたい。以下、めっき層の端縁と素体との間の間隙は、単に「間隙」と称される。
【0008】
本発明者らは、水分から発生したガスが間隙に確実に至る構成について、更なる調査研究を行った。
導電性樹脂層の第二領域は、間隙に近いので、第二領域が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスは、間隙に至りやすい。これに対し、第一領域は、間隙から離れているので、第一領域が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスは、間隙に至りがたい。したがって、第一領域が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスを外部電極外に放出するためには、第一領域が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが間隙に確実に至る構成の実現が望まれる。第一領域が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが間隙に確実に至るのであれば、第二領域が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスも、間隙に確実に至る。
【0009】
本発明者らは、第一領域が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが間隙に至るまでの経路に着目した。この結果、本発明者らは、第一領域の厚みと第二領域の厚みとが所望の関係を満たす場合に、第一領域が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが間隙に確実に至ることを見出した。すなわち、第一領域の最大厚みT1と、第二領域の最大厚みT2とが、
T2/T1≧0.11
の関係を満たす場合、第一領域が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが、第二領域を経て、間隙に確実に至る。
【0010】
したがって、上記一つの態様では、導電性樹脂層(第一領域)が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスは、間隙に確実に至る。間隙に至ったガスは、外部電極外に放出され、導電性樹脂層に応力が作用しがたい。この結果、上記一つの態様は、導電性樹脂層の剥離を抑制する。
【0011】
上記一つの態様では、第一領域の厚み方向に沿う断面において、第一領域での空隙の総面積は、第一領域の面積の5.0~36.0%の範囲内であると共に、第二領域の厚み方向に沿う断面において、第二領域での空隙の総面積は、第二領域の面積の5.0~36.0%の範囲内である。
上述したように、水分から発生したガスは、複数の空隙から、間隙に至る。
第一領域の厚み方向に沿う断面において、第一領域での空隙の総面積が、第一領域の面積の5.0%より小さい場合、及び、第二領域の厚み方向に沿う断面において、第二領域での空隙の総面積が、第二領域の面積の5.0%より小さい場合、水分から発生したガスが空隙内を移動しがたくなるおそれがある。第一領域の厚み方向に沿う断面において、第一領域での空隙の総面積が、第一領域の面積の36.0%より大きい場合、及び、第二領域の厚み方向に沿う断面において、第二領域での空隙の総面積が、第二領域の面積の36.0%より大きい場合、導電性樹脂層に水分が浸入しやすく、ガスの発生量が増加するおそれがある。
したがって、上記一つの態様では、ガスの発生量の増加を抑制しつつ、第一領域及び第二領域でのガスの移動が阻害されるのを抑制する。
【0012】
上記一つの態様では、最大厚みT1と、最大厚みT2とは、
T2/T1≦0.48
の関係を満たしてもよい。
【0013】
本発明者らの調査研究の結果、以下の事項も判明した。
間隙は、導電性樹脂層が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスの出口であると共に、外部電極内への水分の入口である。第一領域が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが間隙に至るまでの経路は、水分が第一領域に至る経路となるおそれがある。水分が第一領域に至ると、水分は第一領域に吸収される。この場合、ガスの発生量が増加するおそれがある。したがって、水分が第一領域に吸収されるのを抑制するためには、水分が第一領域に至りがたい構成の実現が望まれる。
【0014】
本発明者らは、第一領域の厚み、及び、第二領域の厚みが所望の関係を満たす場合に、水分が第一領域に至りがたいことを見出した。すなわち、最大厚みT1と、最大厚みT2とが、
T2/T1≦0.48
の関係を満たす場合、水分が間隙から浸入する場合でも、水分が第一領域に至りがたい。したがって、本構成は、導電性樹脂層(第一領域)に吸収される水分の増加、及び、水分から発生するガスの増加を抑制する。この結果、本構成は、導電性樹脂層の剥離をより一層抑制する。
【0015】
上記一つの態様では、第三領域の最小厚みがT3(μm)である場合、最大厚みT1と、最小厚みT3とは、
T3/T1≧0.08
の関係を満たしてもよい。
【0016】
本発明者らの調査研究の結果、以下の事項も判明した。
第一領域が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスを、より一層確実に間隙に至らせるためには、ガスが第三領域をより一層移動しやすい構成の実現が望まれる。
【0017】
本発明者らは、第一領域の厚み、及び、第三領域の厚みが、所望の関係を満たす場合に、ガスが第三領域をより一層移動しやすいことを見出した。すなわち、第一領域の最大厚みT1と、第三領域の最小厚みT3とが、
T3/T1≧0.08
の関係を満たす場合、ガスが第三領域を移動しやすい。したがって、本構成では、導電性樹脂層(第一領域)が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが、より一層確実に間隙に至るので、導電性樹脂層に応力がより一層作用しがたい。この結果、本構成は、導電性樹脂層の剥離をより一層抑制する。
【0018】
上記一つの態様では、最大厚みT1と、最小厚みT3とは、
T3/T1≦0.37
の関係を満たしてもよい。
【0019】
本発明者らの調査研究の結果、以下の事項も判明した。
上述したように、第一領域が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが間隙に至るまでの経路は、水分が第一領域に至る経路となるおそれがある。すなわち、第三領域は、水分が通る経路上に位置している。したがって、水分が第一領域に吸収されるのを抑制するためには、水分が、第三領域を経て、第一領域に至りがたい構成の実現が望まれる。
【0020】
本発明者らは、第一領域の厚み、及び、第三領域の厚みが、所望の関係を満たす場合に、水分が第一領域に至りがたいことを見出した。すなわち、最大厚みT1と、上記厚みT3とが、
T3/T1≦0.37
の関係を満たす場合、水分が間隙から浸入する場合でも、水分が、第三領域を経て、第一領域に至りがたい。したがって、本構成は、導電性樹脂層(第一領域)に吸収される水分の増加、及び、水分から発生するガスの増加を抑制する。この結果、本構成は、導電性樹脂層の剥離をより一層抑制する。
【0021】
上記一つの態様では、第三領域の厚み方向に沿う断面において、第三領域での空隙の総面積は、第三領域の面積の3.0~11.0%の範囲内であってもよい。
【0022】
上述したように、水分から発生したガスは、複数の空隙から、間隙に至る。
第三領域の厚み方向に沿う断面において、第三領域での空隙の総面積が、第三領域の面積の3.0%より小さい場合、水分から発生したガスが、第三領域に存在している空隙内を移動しがたくなるおそれがある。第三領域の厚み方向に沿う断面において、第三領域での空隙の総面積が、第三領域の面積の11.0%より大きい場合、第三領域を経て第二領域から第一領域に水分が浸入しやすく、ガスの発生量がより一層増加するおそれがある。
したがって、本構成では、ガスの発生量の増加を確実に抑制しつつ、第三領域でのガスの移動が阻害されるのを確実に抑制する。
【0023】
上記一つの態様では、側面及び端面に直交する断面において、第二領域の表面は、側面から離れる方向に凸状に湾曲していてもよい。
本構成では、第二領域の厚みが局所的に小さくなることはない。したがって、第二領域でのガスの移動経路が、当該移動経路の途中で狭まることはなく、本構成は、ガスが第二領域を移動するのを阻害しない。この結果、導電性樹脂層が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが、より一層確実に間隙に至るので、本構成は、導電性樹脂層の剥離をより一層抑制する。
【0024】
上記一つの態様では、外部電極は、側面と端面とにわたって設けられていると共に導電性樹脂層に覆われている焼結金属層を更に有していてもよい。端面を含む面を基準面として、端面に直交する方向での焼結金属層の端縁から第二領域の端縁までの長さは、端面に直交する方向での基準面から焼結金属層の端縁までの長さより大きくてもよい。
【0025】
本発明者らの調査研究の結果、以下の事項も判明した。
素体と導電性樹脂層との密着度合いは、焼結金属層と導電性樹脂層との密着度合いより低い。したがって、焼結金属層と導電性樹脂層との界面は、ガスの移動経路に寄与しがたいものの、素体と導電性樹脂層との界面は、ガスの移動経路として寄与しやすい。
【0026】
本発明者らは、焼結金属層と導電性樹脂層との界面の長さ、及び、素体と導電性樹脂層との界面の長さに着目した。この結果、本発明者らは、端面に直交する方向での上記基準面から焼結金属層の端縁までの長さ、及び、端面に直交する方向での焼結金属層の端縁から第二領域の端縁までの長さが所望の関係を満たす場合に、ガスの移動経路が増加することを見出した。端面に直交する方向での焼結金属層の端縁から第二領域の端縁までの長さは、端面に直交する方向での上記基準面から焼結金属層の端縁までの長さより大きい場合、ガスの移動経路が増加する。したがって、本構成では、導電性樹脂層が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが、間隙に向けて移動しやすいので、導電性樹脂層に応力がより一層作用しがたい。この結果、本構成は、導電性樹脂層の剥離をより一層抑制する。
【0027】
上記一つの態様では、側面に直交する方向から見て、第二領域の端縁は、湾曲していてもよい。
本構成では、第二領域の端縁が直線状である構成に比して、第二領域の端縁の長さが大きい。したがって、本構成では、ガスが出る領域が大きく、ガスが、外部電極からより一層放出されやすい。この結果、導電性樹脂層に応力がより一層作用しがたい。
【0028】
上記一つの態様では、上記側面は、実装面を構成してもよい。
電子部品が電子機器にはんだ実装されている場合、電子機器から電子部品に作用する外力が、素体に応力として作用することがある。外力は、はんだ実装の際に形成されたはんだフィレットから外部電極を通して素体に作用する。この場合、素体にクラックが発生するおそれがある。外力は、たとえば、素体における、実装面を構成する面に作用する傾向がある。
本構成では、第二領域が、実装面を構成する側面上に位置しているので、電子機器から電子部品に作用する外力が素体に作用しがたい。したがって、本構成は、クラックが素体に発生するのを抑制する。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一つの態様によれば、導電性樹脂層の剥離を抑制する電子部品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】一実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。
図2】本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図3】本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図4】外部電極の断面構成を示す図である。
図5】外部電極の断面構成を示す図である。
図6】素体と第二電極層とを示す平面図である。
図7】素体と第二電極層とを示す平面図である。
図8】各試料における第二電極層での剥離の発生率を示す図表である。
図9】外部電極の断面構成を示す図である。
図10】外部電極の断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0032】
図1図7を参照して、本実施形態に係る積層コンデンサC1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。図2及び図3は、本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。図4及び図5は、外部電極の断面構成を示す図である。図6及び図7は、素体と第二電極層とを示す平面図である。本実施形態では、電子部品は、たとえば、積層コンデンサC1である。
【0033】
積層コンデンサC1は、図1に示されるように、直方体形状を呈している素体3と、複数の外部電極5と、を備えている。本実施形態では、積層コンデンサC1は、一対の外部電極5を備えている。一対の外部電極5は、素体3の外表面に配置されている。一対の外部電極5は、互いに離間している。直方体形状は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。
【0034】
素体3は、互いに対向している一対の主面3aと、互いに対向している一対の側面3cと、互いに対向している一対の端面3eと、を有している。一対の主面3a、一対の側面3c、及一対の端面3eは、長方形状を呈している。一対の主面3aが対向している方向が、第一方向D1である。一対の側面3cが対向している方向が、第二方向D2である。一対の端面3eが対向している方向が、第三方向D3である。積層コンデンサC1は、電子機器にはんだ実装される。電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。積層コンデンサC1では、一方の主面3aが、電子機器と対向する。一方の主面3aは、実装面を構成するように配置される。一方の主面3aは、実装面である。各主面3aは、直方体形状を呈している素体3が有する側面でもある。
【0035】
第一方向D1は、各主面3aに直交する方向であり、第二方向D2と直交している。第三方向D3は、各主面3aと各側面3cとに平行な方向であり、第一方向D1と第二方向D2とに直交している。第二方向D2は、各側面3cに直交する方向であり、第三方向D3は、各端面3eに直交する方向である。本実施形態では、素体3の第二方向D2での長さは、素体3の第一方向D1での長さより大きい。素体3の第三方向D3での長さは、素体3の第一方向D1での長さより大きく、かつ、素体3の第二方向D2での長さより大きい。第三方向D3が、素体3の長手方向である。
【0036】
素体3の第一方向D1での長さは、素体3の高さである。素体3の第二方向D2での長さは、素体3の幅である。素体3の第三方向D3での長さは、素体3の長さである。本実施形態では、素体3の高さは、0.5~2.5mmであり、素体3の幅は、0.5~5.0mmであり、素体3の長さは、1.0~5.7mmである。たとえば、素体3の高さは、2.5mmであり、素体3の幅は、2.5mmであり、素体3の長さは、3.2mmである。
【0037】
一対の側面3cは、一対の主面3aを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面3cは、第三方向D3にも延在している。一対の端面3eは、一対の主面3aを連結するように第一方向D1に延在している。一対の端面3eは、第二方向D2にも延在している。
【0038】
素体3は、四つの稜線部3gと、四つの稜線部3iと、四つの稜線部3jと、を有している。稜線部3gは、端面3eと主面3aとの間に位置している。稜線部3iは、端面3eと側面3cとの間に位置している。稜線部3jは、主面3aと側面3cとの間に位置している。本実施形態では、各稜線部3g,3i,3jは、湾曲するように丸められている。素体3には、いわゆるR面取り加工が施されている。端面3eと主面3aとは、稜線部3gを介して、間接的に隣り合っている。端面3eと側面3cとは、稜線部3iを介して、間接的に隣り合っている。主面3aと側面3cとは、稜線部3jを介して、間接的に隣り合っている。
【0039】
素体3は、第一方向D1に複数の誘電体層が積層されて構成されている。素体3は、積層されている複数の誘電体層を有している。素体3では、複数の誘電体層の積層方向が第一方向D1と一致する。各誘電体層は、たとえば、誘電体材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成されている。誘電体材料は、たとえば、BaTiO系、Ba(Ti,Zr)O系、又は(Ba,Ca)TiO系などの誘電体セラミックを含む。実際の素体3では、各誘電体層は、各誘電体層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。素体3では、複数の誘電体層の積層方向が第二方向D2と一致していてもよい。
【0040】
積層コンデンサC1は、図2及び図3に示されるように、複数の内部電極7と複数の内部電極9とを備えている。各内部電極7,9は、素体3内に配置されている内部導体である。各内部電極7,9は、積層型電子部品の内部電極として通常用いられる導電性材料からなる。導電性材料は、たとえば、卑金属を含む。導電性材料は、たとえば、Ni又はCuを含む。内部電極7,9は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。本実施形態では、内部電極7,9は、Niからなる。
【0041】
内部電極7と内部電極9とは、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。内部電極7と内部電極9とは、素体3内において、第一方向D1に間隔を有して対向するように交互に配置されている。内部電極7と内部電極9とは、互いに極性が異なる。複数の誘電体層の積層方向が第二方向D2である場合、内部電極7と内部電極9とは、第二方向D2において異なる位置(層)に配置される。内部電極7,9の一端は、対応する端面3eに露出している。内部電極7,9は、対応する端面3eに露出している一端を有している。
【0042】
複数の内部電極7と複数の内部電極9とは、第一方向D1で交互に並んでいる。各内部電極7,9は、主面3aと略平行な面内に位置している。内部電極7と内部電極9とは、第一方向D1で互いに対向している。内部電極7と内部電極9とが対向している方向(第一方向D1)は、主面3aと平行な方向(第二方向D2及び第三方向D3)と直交している。複数の誘電体層の積層方向が第二方向D2である場合、複数の内部電極7と複数の内部電極9とは、第二方向D2で交互に並ぶ。この場合、各内部電極7,9は、主面3aと略直交している面内に位置する。内部電極7と内部電極9とは、第二方向D2で互いに対向する。
【0043】
外部電極5は、図1に示されるように、素体3の第三方向D3での両端部にそれぞれ配置されている。各外部電極5は、素体3における、対応する端面3e側に配置されている。外部電極5は、少なくとも、端面3eと、側面でもある主面3aとに配置されている。本実施形態では、各外部電極5は、一対の主面3a、一対の側面3c、及び一つの端面3eに配置されている。外部電極5は、図2図5に示されるように、複数の電極部5a,5c,5eを有している。電極部5aは、主面3a上及び稜線部3g上に配置されている。各電極部5cは、側面3c上及び稜線部3i上に配置されている。電極部5eは、端面3e上に配置されている。外部電極5は、稜線部3j上に配置されている電極部も有している。
【0044】
外部電極5は、一対の主面3a、一つの端面3e、及び一対の側面3cの五つの面、並びに、稜線部3g,3i,3jに形成されている。互いに隣り合う電極部5a,5c,5eは、接続されており、電気的に接続されている。電極部5eは、対応する内部電極7,9の一端をすべて覆っている。電極部5eは、対応する内部電極7,9と直接的に接続されている。外部電極5は、対応する内部電極7,9と電気的に接続されている。外部電極5は、図4及び図5に示されるように、第一電極層E1、第二電極層E2、第三電極層E3、及び第四電極層E4を有している。第四電極層E4は、外部電極5の最外層を構成している。各電極部5a,5c,5eは、第一電極層E1、第二電極層E2、第三電極層E3、及び第四電極層E4を有している。
【0045】
電極部5aの第一電極層E1は、稜線部3g上に配置されており、主面3a上には配置されていない。電極部5aの第一電極層E1は、稜線部3gの全体を覆うように形成されている。第一電極層E1は、主面3aに形成されていない。電極部5aの第一電極層E1は、稜線部3gの全体と接している。主面3aは、第一電極層E1に覆われておらず、第一電極層E1から露出している。電極部5aの第一電極層E1は、主面3a上に配置されていてもよい。この場合、電極部5aの第一電極層E1は、主面3aの一部と稜線部3gの全体とを覆うように形成される。すなわち、電極部5aの第一電極層E1は、主面3aの一部とも接する。主面3aの一部は、たとえば、主面3aにおける端面3e寄りの一部である。
【0046】
電極部5aの第二電極層E2は、第一電極層E1上及び主面3a上に配置されている。電極部5aでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体を覆っている。電極部5aでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体と接している。第二電極層E2は、主面3aの一部と接している。主面3aの一部は、たとえば、主面3aにおける端面3e寄りの一部である。電極部5aは、稜線部3g上では四層構造を有しており、主面3a上では三層構造を有している。電極部5aの第二電極層E2は、稜線部3gの全体と主面3aの一部とを覆うように形成されている。上述したように、主面3aの一部は、たとえば、主面3aにおける端面3e寄りの一部である。電極部5aの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と素体3との間に位置するように、稜線部3gの全体と主面3aの一部とを間接的に覆っている。電極部5aの第二電極層E2は、主面3aの一部を直接覆っている。電極部5aの第二電極層E2は、稜線部3gに形成されている第一電極層E1の全体を直接覆っている。電極部5aの第一電極層E1が、主面3a上に配置されている場合、電極部5aは、主面3a及び稜線部3g上で四層構造を有する。
【0047】
電極部5cの第一電極層E1は、稜線部3i上に配置されており、側面3c上には配置されていない。電極部5cの第一電極層E1は、稜線部3iの全体を覆うように形成されている。第一電極層E1は、側面3cに形成されていない。電極部5cの第一電極層E1は、稜線部3iの全体と接している。側面3cは、第一電極層E1に覆われておらず、第一電極層E1から露出している。電極部5cの第一電極層E1は、側面3c上に配置されていてもよい。この場合、電極部5cの第一電極層E1は、側面3cの一部と稜線部3iの全体とを覆うように形成される。すなわち、電極部5cの第一電極層E1は、側面3cの一部とも接する。側面3cの一部は、たとえば、側面3cにおける端面3e寄りの一部である。
【0048】
電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1上及び側面3c上に配置されている。電極部5cでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体を覆っている。電極部5cでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体と接している。第二電極層E2は、側面3cの一部と接している。側面3cの一部は、たとえば、側面3cにおける端面3e寄りの一部である。電極部5cは、稜線部3i上では四層構造を有しており、側面3c上では三層構造を有している。電極部5cの第二電極層E2は、稜線部3iの全体と側面3cの一部とを覆うように形成されている。上述したように、側面3cの一部は、たとえば、側面3cにおける端面3e寄りの一部である。電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と素体3との間に位置するように、稜線部3iの全体と側面3cの一部とを間接的に覆っている。電極部5cの第二電極層E2は、側面3cの一部を直接覆っている。電極部5cの第二電極層E2は、稜線部3iに形成されている第一電極層E1の全体を直接覆っている。電極部5cの第一電極層E1が、側面3c上に配置されている場合、電極部5cは、側面3c上及び稜線部3i上で四層構造を有する。
【0049】
電極部5cの第二電極層E2は、稜線部3iの一部と側面3cの一部とを覆うように形成されていてもよい。稜線部3iの一部は、たとえば、稜線部3iにおける主面3a寄りの一部である。側面3cの一部は、たとえば、側面3cにおける主面3a及び端面3e寄りの角領域である。この場合、電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と稜線部3iとの間に位置するように、稜線部3iの一部を間接的に覆う。電極部5cの第二電極層E2は、側面3cの一部を直接覆う。電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1における稜線部3iに形成されている部分の一部を直接覆う。すなわち、電極部5cは、第一電極層E1が第二電極層E2から露出している領域と、第一電極層E1が第二電極層E2で覆われている領域と、を有する。電極部5cの第二電極層E2が、稜線部3iの一部と側面3cの一部とを覆うように形成されている場合、上述したように、内部電極7と内部電極9とは、第二方向D2において異なる位置(層)に配置されていてもよい。
【0050】
電極部5eの第一電極層E1は、端面3e上に配置されている。端面3eの全体が、第一電極層E1に覆われている。電極部5eの第一電極層E1は、端面3eの全体と接している。電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1上に配置されている。電極部5eでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体と接している。電極部5eの第二電極層E2は、端面3eの全体を覆うように形成されている。電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と端面3eとの間に位置するように、端面3eの全体を間接的に覆っている。電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1の全体を直接覆っている。電極部5eでは、第一電極層E1は、対応する内部電極7,9の一端と接続されるように端面3eに形成されている。
【0051】
電極部5eの第二電極層E2は、端面3eの一部を覆うように形成されていてもよい。端面3eの一部は、たとえば、端面3eにおける主面3a寄りの一部である。この場合、電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と端面3eとの間に位置するように、端面3eの一部を間接的に覆う。電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1における端面3eに形成されている部分の一部を直接覆う。すなわち、電極部5eは、第一電極層E1が第二電極層E2から露出している領域と、第一電極層E1が第二電極層E2で覆われている領域と、を有する。電極部5cの第二電極層E2が、端面3eの一部を覆うように形成されている場合、上述したように、内部電極7と内部電極9とは、第二方向D2において異なる位置(層)に配置されていてもよい。
【0052】
第一電極層E1は、素体3の表面に付与された導電性ペーストを焼き付けることにより形成されている。第一電極層E1は、一つの端面3e及び稜線部3g,3i,3jを覆うように形成されている。第一電極層E1は、導電性ペーストに含まれる金属成分(金属粉末)が焼結することにより形成されている。第一電極層E1は、焼結金属層である。第一電極層E1は、素体3に形成された焼結金属層である。本実施形態では、第一電極層E1は、Cuからなる焼結金属層である。第一電極層E1は、Niからなる焼結金属層であってもよい。第一電極層E1は、卑金属を含んでいる。導電性ペーストは、たとえば、Cu又はNiからなる粉末、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を含んでいる。各電極部5a,5c,5eが有している第一電極層E1は、一体的に形成されている。
【0053】
第二電極層E2は、第一電極層E1上に付与された導電性樹脂を硬化させることにより形成されている。第二電極層E2は、第一電極層E1上と素体3上とにわたって形成されている。第一電極層E1は、第二電極層E2を形成するための下地金属層である。第二電極層E2は、第一電極層E1を覆う導電性樹脂層である。導電性樹脂は、たとえば、樹脂、導電性材料、及び有機溶媒を含んでいる。樹脂は、たとえば、熱硬化性樹脂である。導電性材料は、たとえば、金属粉末である。金属粉末は、たとえば、Ag粉末又はCu粉末である。熱硬化性樹脂は、たとえば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂である。第二電極層E2は、稜線部3jの一部と接している。各電極部5a,5c,5eが有している第二電極層E2は、一体的に形成されている。
【0054】
第三電極層E3は、第二電極層E2上にめっき法により形成されている。本実施形態では、第三電極層E3は、第二電極層E2上にNiめっきにより形成されている。第三電極層E3は、Niめっき層である。第三電極層E3は、Snめっき層、Cuめっき層、又はAuめっき層であってもよい。第三電極層E3は、Ni、Sn、Cu、又はAuを含んでいる。Niめっき層は、第二電極層E2に含まれる金属よりも耐はんだ喰われ性に優れている。第三電極層E3は、第二電極層E2を覆っている。
【0055】
第四電極層E4は、第三電極層E3上にめっき法により形成されている。第四電極層E4は、はんだめっき層である。本実施形態では、第四電極層E4は、第三電極層E3上にSnめっきにより形成されている。第四電極層E4は、Snめっき層である。第四電極層E4は、Sn-Ag合金めっき層、Sn-Bi合金めっき層、又はSn-Cu合金めっき層であってもよい。第四電極層E4は、Sn、Sn-Ag合金、Sn-Bi合金、又はSn-Cu合金を含んでいる。
【0056】
第三電極層E3と第四電極層E4とは、第二電極層E2に形成されるめっき層PLを構成している。本実施形態では、めっき層PLは、二層構造を有している。めっき層PLは、第二電極層E2を覆っている。第三電極層E3は、最外層を構成する第四電極層E4と、第二電極層E2との間に位置している中間めっき層である。各電極部5a,5c,5eが有している第三電極層E3は、一体的に形成されている。各電極部5a,5c,5eが有している第四電極層E4は、一体的に形成されている。
【0057】
図4に示されるように、第二電極層E2は、端面3e上に位置している領域E2、各主面3a上に位置している領域E2、及び、各稜線部3g上に位置している領域E2を含んでいる。領域E2は、電極部5eの第二電極層E2である。領域E2と領域E2とは、電極部5aの第二電極層E2である。領域E2は、領域E2と領域E2との間に位置している。領域E2は、領域E2と領域E2とを連結している。領域E2と領域E2とが連続していると共に、領域E2と領域E2とが連続している。第二電極層E2は、端面3eと主面3aとにわたって設けられている。たとえば、領域E2が第一領域を構成する場合、領域E2は第二領域を構成し、領域E2は第三領域を構成する。
【0058】
領域E2の最大厚みT1(μm)と、領域E2の最大厚みT2(μm)とは、
T2/T1≧0.11
の関係を満たしている。最大厚みT1と、最大厚みT2とは、
T2/T1≦0.48
の関係を満たしていてもよい。最大厚みT1は、端面3e上での第二電極層E2の最大厚みである。最大厚みT2は、主面3a上での第二電極層E2の最大厚みである。
【0059】
最大厚みT1と、領域E2の最小厚みT3(μm)とは、
T3/T1≧0.08
の関係を満たしていてもよい。最大厚みT1と、最小厚みT3とは、
T3/T1≦0.37
の関係を満たしていてもよい。最小厚みT3は、稜線部3g上での第二電極層E2の最小厚みである。
【0060】
最大厚みT1、最大厚みT2と、最小厚みT3とは、たとえば、以下のようにして求めることができる。
第二電極層E2を含む積層コンデンサC1の断面写真を取得する。断面写真は、たとえば、一対の側面3cに平行であり、かつ、一対の側面3cから等距離に位置している平面で積層コンデンサC1を切断したときの断面を撮影することにより得られる。取得した断面写真上での、第二電極層E2の各厚みT1,T2,T3を算出する。最大厚みT1は、第三方向D3での領域E2の厚みの最大値である。最大厚みT2は、第一方向D1での領域E2の厚みの最大値である。最小厚みT3は、領域E2の厚みの最小値である。領域E2の厚みは、たとえば、稜線部3gの法線方向での厚みである。
【0061】
図5に示されるように、第二電極層E2は、各側面3c上に位置している領域E2、及び、各稜線部3i上に位置している領域E2も含んでいる。領域E2と領域E2とは、電極部5cの第二電極層E2である。領域E2は、領域E2と領域E2との間に位置している。領域E2は、領域E2と領域E2とを連結している。領域E2と領域E2とが連続していると共に、領域E2と領域E2とが連続している。第二電極層E2は、端面3eと側面3cとにわたって設けられている。たとえば、領域E2が第一領域を構成する場合、領域E2は第四領域を構成し、領域E2は第五領域を構成する。
【0062】
領域E2の最大厚みT1(μm)と、領域E2の最大厚みT4(μm)とは、
T4/T1≧0.11
の関係を満たしている。最大厚みT1と、最大厚みT4とは、
T4/T1≦0.48
の関係を満たしていてもよい。最大厚みT4は、側面3c上での第二電極層E2の最大厚みである。
【0063】
最大厚みT1と、領域E2の最小厚みT5(μm)とは、
T5/T1≧0.08
の関係を満たしていてもよい。最大厚みT1と、最小厚みT5とは、
T5/T1≦0.37
の関係を満たしていてもよい。最小厚みT5は、稜線部3i上での第二電極層E2の最小厚みである。本実施形態では、最大厚みT2と最大厚みT4とは同等であり、最小厚みT3と最小厚みT5とは同等である。同等は、必ずしも、値が一致していることだけを意味するのではない。予め設定した範囲での微差、製造誤差、又は測定誤差が値に含まれている場合でも、値が同等であるとしてもよい。
【0064】
最大厚みT4及び最小厚みT5は、たとえば、以下のようにして求めることができる。
第二電極層E2を含む積層コンデンサC1の断面写真を取得する。断面写真は、たとえば、一対の主面3aに平行であり、かつ、一対の主面3aから等距離に位置している平面で積層コンデンサC1を切断したときの断面を撮影することにより得られる。取得した断面写真上での、第二電極層E2の各厚みT4,T5を算出する。最大厚みT4は、第一方向D1での領域E2の厚みの最大値である。最小厚みT5は、領域E2の厚みの最小値である。領域E2の厚みは、たとえば、稜線部3iの法線方向での厚みである。
【0065】
第二電極層E2には、図2図5に示されるように、複数の空隙13が存在している。複数の空隙13は、第二電極層E2内に分散している。複数の空隙13のうちいくつかの空隙13は互いに連通している。互いに連通している空隙13は、少なくとも一つの通路を構成する。互いに連通している空隙13により構成される通路は、第二電極層E2の表面に開口している。第二電極層E2の厚み方向に沿う断面において、空隙13の最大長さは、1~20μmの範囲内である。本実施形態では、空隙13の最大長さは、20μmである。
【0066】
各第二電極層E2は、上述したように、領域E2、一対の領域E2、一対の領域E2、一対の領域E2、及び一対の領域E2を有している。領域E2での空隙13の存在割合は、5.0~36.0%の範囲内である。各領域E2での空隙13の存在割合は、5.0~36.0%の範囲内である。各領域E2での空隙13の存在割合は、3.0~11.0%の範囲内である。各領域E2での空隙13の存在割合は、5.0~36.0%の範囲内である。各領域E2での空隙13の存在割合は、3.0~11.0%の範囲内である。空隙13の存在割合は、第二電極層E2の厚み方向に沿う断面において、第二電極層E2の面積に対する空隙13の総面積の割合である。
【0067】
本実施形態では、たとえば、領域E2では、第二電極層E2の厚み方向は、端面3eに直交する方向と一致する。第二電極層E2の厚み方向は、領域E2では、第三方向D3と一致する。たとえば、領域E2では、第二電極層E2の厚み方向は、主面3aに直交する方向と一致する。第二電極層E2の厚み方向は、領域E2では、第一方向D1と一致する。たとえば、領域E2では、第二電極層E2の厚み方向は、稜線部3gの法線方向と一致する。たとえば、領域E2では、第二電極層E2の厚み方向は、側面3cに直交する方向と一致する。第二電極層E2の厚み方向は、領域E2では、第二方向D2と一致する。たとえば、領域E2では、第二電極層E2の厚み方向は、稜線部3iの法線方向と一致する。
【0068】
領域E2での空隙13の存在割合は、たとえば、第二電極層E2(領域E2)の厚み方向に沿う断面において、領域E2に存在する空隙13の総面積を、領域E2の面積で除し、百分率で表した値である。本実施形態では、領域E2に存在する空隙13の総面積は、1000~16800μmである。領域E2の面積は、0.02~0.048mmである。たとえば、領域E2に存在する空隙13の総面積は、2800μmであり、領域E2の面積は、0.028mmである。この場合、領域E2での空隙13の存在割合は、10%である。領域E2の面積は、領域E2において、第一電極層E1の表面と、第二電極層E2の表面とで画成される領域の面積である。領域E2の面積は、領域E2に存在する空隙13の総面積を含んでいる。
【0069】
各領域E2での空隙13の存在割合は、たとえば、第二電極層E2(各領域E2)の厚み方向に沿う断面において、各領域E2に存在する空隙13の総面積を、各領域E2の面積で除し、百分率で表した値である。本実施形態では、各領域E2に存在する空隙13の総面積は、500~21000μmである。各領域E2の面積は、0.010~0.060mmである。たとえば、各領域E2に存在する空隙13の総面積は、7000μmであり、各領域E2の面積は、0.035mmである。この場合、各領域E2での空隙13の存在割合は、20%である。各領域E2の面積は、各領域E2において、第一電極層E1の表面と、第二電極層E2の表面とで画成される領域の面積である。各領域E2の面積は、各領域E2に存在する空隙13の総面積を含んでいる。
【0070】
各領域E2での空隙13の存在割合は、たとえば、第二電極層E2(各領域E2)の厚み方向に沿う断面において、各領域E2に存在する空隙13の総面積を、各領域E2の面積で除し、百分率で表した値である。本実施形態では、各領域E2に存在する空隙13の総面積は、5~100μmである。各領域E2の面積は、0.0001~0.0050mmである。たとえば、各領域E2に存在する空隙13の総面積は、70μmであり、各領域E2の面積は、0.00175mmである。この場合、各領域E2での空隙13の存在割合は、4%である。各領域E2の面積は、各領域E2において、第一電極層E1の表面と、第二電極層E2の表面とで画成される領域の面積である。各領域E2の面積は、各領域E2に存在する空隙13の総面積を含んでいる。
【0071】
各領域E2での空隙13の存在割合は、たとえば、第二電極層E2(各領域E2)の厚み方向に沿う断面において、各領域E2に存在する空隙13の総面積を、各領域E2の面積で除し、百分率で表した値である。本実施形態では、各領域E2に存在する空隙13の総面積は、500~21000μmである。各領域E2の面積は、0.010~0.060mmである。たとえば、各領域E2に存在する空隙13の総面積は、7000μmであり、各領域E2の面積は、0.035mmである。この場合、各領域E2での空隙13の存在割合は、20%である。各領域E2の面積は、各領域E2において、第一電極層E1の表面と、第二電極層E2の表面とで画成される領域の面積である。各領域E2の面積は、各領域E2に存在する空隙13の総面積を含んでいる。本実施形態では、領域E2での空隙13の存在割合と、領域E2での空隙13の存在割合とは、同等である。
【0072】
各領域E2での空隙13の存在割合は、たとえば、第二電極層E2(各領域E2)の厚み方向に沿う断面において、各領域E2に存在する空隙13の総面積を、各領域E2の面積で除し、百分率で表した値である。本実施形態では、各領域E2に存在する空隙13の総面積は、5~100μmである。各領域E2の面積は、0.0001~0.0050mmである。たとえば、各領域E2に存在する空隙13の総面積は、70μmであり、各領域E2の面積は、0.00175mmである。この場合、各領域E2での空隙13の存在割合は、4%である。各領域E2の面積は、各領域E2において、第一電極層E1の表面と、第二電極層E2の表面とで画成される領域の面積である。各領域E2の面積は、各領域E2に存在する空隙13の総面積を含んでいる。本実施形態では、領域E2での空隙13の存在割合と、領域E2での空隙13の存在割合とは、同等である。
【0073】
空隙13の最大長さは、たとえば、以下のようにして求めることができる。
外部電極5(第二電極層E2)の断面写真を取得する。断面写真は、たとえば、電極部5a及び電極部5eを主面3aに直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。断面写真は、たとえば、互いに対向している一対の面(たとえば、一対の側面3c)に平行であり、かつ、当該一対の面から等距離に位置している平面で切断したときの電極部5a及び電極部5eの断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理を行い、空隙13の境界を判別し、空隙13の最大長さを求める。複数の空隙13の最大長さを求め、複数の空隙13の最大長さの平均値を求めてもよい。この場合、平均値を空隙13の最大長さとする。
【0074】
各領域E2,E2,E2,E2,E2での空隙13の総面積は、たとえば、以下のようにして求めることができる。
外部電極5(電極部5a及び電極部5e)の断面写真を取得する。断面写真は、たとえば、外部電極5を主面3aと端面3eとに直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。断面写真は、たとえば、一対の側面3cに平行であり、かつ、一対の側面3cから等距離に位置している平面で切断したときの外部電極5の断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理を行い、空隙13の境界を判別し、領域E2に存在する空隙13の総面積と、領域E2に存在する空隙13の総面積と、領域E2に存在する空隙13の総面積と、を求める。
外部電極5(電極部5c)の断面写真を取得する。断面写真は、たとえば、外部電極5を側面3cに直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。断面写真は、たとえば、一対の主面3aに平行であり、かつ、一対の主面3aから等距離に位置している平面で切断したときの外部電極5の断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理を行い、空隙13の境界を判別し、領域E2に存在する空隙13の総面積と、領域E2に存在する空隙13の総面積とを求める。
【0075】
各領域E2,E2,E2,E2,E2での第二電極層E2の面積は、たとえば、以下のようにして求めることができる。
外部電極5(電極部5a及び電極部5e)の断面写真を取得する。断面写真は、上述したように、外部電極5を主面3aと端面3eとに直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理を行い、第一電極層E1の表面(第一電極層E1と第二電極層E2との境界)と、第二電極層E2の表面(第二電極層E2と第三電極層E3との境界)と、を判別し、領域E2での第二電極層E2の面積と、領域E2での第二電極層E2面積と、領域E2での第二電極層E2面積と、を求める。
外部電極5(電極部5c)の断面写真を取得する。断面写真は、上述したように、外部電極5を側面3cに直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理を行い、第一電極層E1の表面(第一電極層E1と第二電極層E2との境界)と、第二電極層E2の表面(第二電極層E2と第三電極層E3との境界)と、を判別し、領域E2での第二電極層E2の面積と、領域E2での第二電極層E2の面積とを求める。
【0076】
図4に示されるように、主面3a及び端面3eに直交する断面において、領域E2の表面は、主面3aから離れる方向に凸状に湾曲している。領域E2の厚みは、領域E2の最大厚み位置から領域E2の端縁に向けて徐々に小さくなっている。本実施形態では、領域E2の厚みの変化に起因して、領域E2の表面は湾曲している。
図5に示されるように、側面3c及び端面3eに直交する断面において、領域E2の表面は、側面3cから離れる方向に凸状に湾曲している。領域E2の厚みは、領域E2の最大厚み位置から領域E2の端縁に向けて徐々に小さくなっている。本実施形態では、領域E2の厚みの変化に起因して、領域E2の表面は湾曲している。
【0077】
図6に示されるように、第一方向D1から見て、領域E2の端縁は、湾曲している。本実施形態では、第一方向D1から見て、第三方向D3での領域E2の長さは、第二方向D2での端より第二方向D2での中央で大きくなっている。第三方向D3での領域E2の長さは、第二方向D2での中央で最も大きく、第二方向D2で端に向かうに従って徐々に小さくなっている。
図7に示されるように、第二方向D2から見て、領域E2の端縁は、湾曲している。本実施形態では、第二方向D2から見て、第三方向D3での領域E2の長さは、第一方向D1での端より第一方向D1での中央で大きくなっている。第三方向D3での領域E2の長さは、第一方向D1での中央で最も大きく、第一方向D1で端に向かうに従って徐々に小さくなっている。
【0078】
図4及び図5に示されるように、めっき層PL(第三電極層E3及び第四電極層E4)は、領域E2上に位置している部分PL1と、領域E2上に位置している部分PL2と、を有している。部分PL1は、端縁PL1eを有している。部分PL2は、端縁PL2eを有している。図4に示されるように、端縁PL1eと素体3(主面3a)との間には、間隙G1が存在している。図5に示されるように、端縁PL2eと素体3(側面3c)との間には、間隙G2が存在している。間隙G1,G2の幅は、たとえば、0より大きく3μm以下である。各間隙G1,G2の幅は、同じでもよい。各間隙G1,G2の幅は、異なっていてもよい。
【0079】
ここで、最大厚みT1と最大厚みT2との比率、最大厚みT1と最小厚みT3との比率、領域E2での空隙13の存在割合、領域E2での空隙13の存在割合、及び、領域E2での空隙13の存在割合の関係について詳細に説明する。
本発明者らは、最大厚みT1と最大厚みT2との比率の範囲、最大厚みT1と最小厚みT3との比率の範囲、及び、各領域E2,E2,E2での空隙13の存在割合の範囲を明らかにするために、以下のような試験をおこなった。すなわち、本発明者らは、最大厚みT1、最大厚みT2、最小厚みT3、領域E2での空隙13の存在割合、領域E2での空隙13の存在割合、及び、領域E2での空隙13の存在割合が異なる試料1~13を用意し、各試料1~13における、第二電極層E2での剥離の発生率を確認した。その結果を図8に示す。図8は、各試料における第二電極層での剥離の発生率を示す図表である。
【0080】
各試料1~13は、複数の検体を含むロットである。各試料1~13の検体は、後述するように、厚みT1,T2,T3と空隙13の存在割合とが異なる点を除いて同じ構成を有している積層コンデンサである。各試料1~13の検体では、素体3の高さが2.5mmであり、素体3の幅が2.5mmであり、素体3の長さが3.2mmである。
試料1の各検体では、最大厚みT1が57.0μmであり、最大厚みT2が3.0μmであり、最小厚みT3が1.0μmである。領域E2での空隙13の存在割合が4.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が4.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が1.0%である。
試料2の各検体では、最大厚みT1が57.0μmであり、最大厚みT2が3.0μmであり、最小厚みT3が2.0μmである。領域E2での空隙13の存在割合が4.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が4.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が1.5%である。
試料3の各検体では、最大厚みT1が57.0μmであり、最大厚みT2が5.0μmであり、最小厚みT3が1.0μmである。領域E2での空隙13の存在割合が4.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が4.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が1.0%である。
試料4の各検体では、最大厚みT1が58.0μmであり、最大厚みT2が3.0μmであり、最小厚みT3が1.0μmである。領域E2での空隙13の存在割合が4.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が4.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が1.0%である。
試料5の各検体では、最大厚みT1が58.0μmであり、最大厚みT2が5.0μmであり、最小厚みT3が1.0μmである。領域E2での空隙13の存在割合が4.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が4.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が1.5%である。
試料6の各検体では、最大厚みT1が59.0μmであり、最大厚みT2が6.5μmであり、最小厚みT3が3.0μmである。領域E2での空隙13の存在割合が4.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が4.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が2.0%である。
試料7の各検体では、最大厚みT1が59.0μmであり、最大厚みT2が6.5μmであり、最小厚みT3が5.0μmである。領域E2での空隙13の存在割合が5.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が5.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が3.0%である。
試料8の各検体では、最大厚みT1が60.0μmであり、最大厚みT2が13.0μmであり、最小厚みT3が10.0μmである。領域E2での空隙13の存在割合が8.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が7.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が3.0%である。
試料9の各検体では、最大厚みT1が65.0μmであり、最大厚みT2が17.0μmであり、最小厚みT3が13.0μmである。領域E2での空隙13の存在割合が13.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が12.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が4.0%である。
試料10の各検体では、最大厚みT1が86.0μmであり、最大厚みT2が38.0μmであり、最小厚みT3が24.0μmである。領域E2での空隙13の存在割合が24.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が26.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が5.0%である。
試料11の各検体では、最大厚みT1が94.8μmであり、最大厚みT2が35.9μmであり、最小厚みT3が5.2μmである。領域E2での空隙13の存在割合が30.5%であり、領域E2での空隙13の存在割合が25.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が5.0%である。
試料12の各検体では、最大厚みT1が122.0μmであり、最大厚みT2が54.0μmであり、最小厚みT3が40.0μmである。領域E2での空隙13の存在割合が35.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が35.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が10.0%である。
試料13の各検体では、最大厚みT1が124.0μmであり、最大厚みT2が60.0μmであり、最小厚みT3が46.0μmである。領域E2での空隙13の存在割合が36.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が36.0%であり、領域E2での空隙13の存在割合が11.0%である。
【0081】
第二電極層E2での剥離の発生率は、以下のようにして求めた。
試料1~13ごとに、12個の検体を選び、選んだ検体を恒温恒湿槽に5時間放置した。恒温恒湿槽内では、温度が121℃であり、相対湿度が95%である。その後、検体に、窒素雰囲気中でリフロー試験を3回実施した。リフロー試験では、ピーク温度が260℃である。
リフロー試験後に、端面3eに直交する平面に沿って検体を切断し、切断面での第二電極層E2の剥離の有無を目視にて確認した。第二電極層E2に剥離が発生している検体をカウントし、第二電極層E2での剥離の発生率(%)を算出した。
【0082】
上述した試験の結果、図8に示されるように、試料7~13では、試料1~6に比して、第二電極層E2での剥離の発生率が大幅に低下することが確認された。試料7~10及び12では、第二電極層E2に剥離が発生している検体は確認できなかった。
【0083】
最大厚みT1、最大厚みT4、最小厚みT5、領域E2での空隙13の存在割合、領域E2での空隙13の存在割合、及び、領域E2での空隙13の存在割合の関係の説明は省略する。本実施形態では、最大厚みT2と最大厚みT4とが同等であり、最小厚みT3と最小厚みT5とが同等であり、領域E2での空隙13の存在割合と領域E2での空隙13の存在割合とが同等であり、領域E2での空隙13の存在割合と領域E2での空隙13の存在割合とが同等であるので、最大厚みT1、最大厚みT4、最小厚みT5、領域E2での空隙13の存在割合、領域E2での空隙13の存在割合、及び、領域E2での空隙13の存在割合の関係が、最大厚みT1、最大厚みT2、最小厚みT3、領域E2での空隙13の存在割合、領域E2での空隙13の存在割合、及び、領域E2での空隙13の存在割合の関係と同様であることは明らかである。
【0084】
第二電極層E2を覆っているめっき層PLは、第二電極層E2と密着しやすいものの、素体3とは密着しがたい。したがって、めっき層PLの端縁PL1eと素体3との間には、間隙G1が存在する。第二電極層E2が含む樹脂に吸収された水分がガス化した場合でも、水分から発生したガスが、複数の空隙13から間隙G1に至ると、ガスは、間隙G1を通して外部電極5外に放出される。水分から発生したガスが外部電極5外に放出されるので、第二電極層E2に応力が作用しがたい。
【0085】
積層コンデンサC1では、最大厚みT1(μm)と、最大厚みT2(μm)とが、
T2/T1≧0.11
の関係を満たしているので、領域E2が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが、領域E2を経て、間隙G1に確実に至る。領域E2は、領域E2より間隙G1に近い。したがって、領域E2が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが間隙G1に確実に至るのであれば、領域E2が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスも、間隙G1に確実に至る。
積層コンデンサC1では、第二電極層E2(領域E2)が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスは、間隙G1に確実に至る。間隙G1に至ったガスは、外部電極5外に放出され、第二電極層E2に応力が作用しがたい。したがって、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離を抑制する。
【0086】
積層コンデンサC1では、領域E2での空隙13の存在割合は、5.0~36.0%の範囲内であると共に、領域E2での空隙13の存在割合は、5.0~36.0%の範囲内である。
上述したように、水分から発生したガスは、複数の空隙13から間隙G1に至る。
領域E2での空隙13の存在割合が5.0%より小さい場合、及び、領域E2での空隙13の存在割合が5.0%より小さい場合、水分から発生したガスが空隙13内を移動しがたくなるおそれがある。領域E2での空隙13の存在割合が36.0%より大きい場合、及び、領域E2での空隙13の存在割合が36.0%より大きい場合、第二電極層E2に水分が浸入しやすく、ガスの発生量が増加するおそれがある。
したがって、積層コンデンサC1は、ガスの発生量の増加を抑制しつつ、領域E2及び領域E2でのガスの移動が阻害されるのを抑制する。
【0087】
間隙G1は、第二電極層E2が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスの出口であると共に、外部電極5内への水分の入口である。領域E2が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが間隙G1に至るまでの経路は、水分が領域E2に至る経路となるおそれがある。水分が領域E2に至ると、水分は領域E2が含む樹脂に吸収される。この場合、ガスの発生量が増加するおそれがある。
【0088】
積層コンデンサC1では、最大厚みT1(μm)と最大厚みT2(μm)とは、
T2/T1≦0.48
の関係を満たしているので、水分が間隙G1から浸入する場合でも、水分が領域E2に至りがたい。したがって、積層コンデンサC1は、第二電極層E2(領域E2)が含む樹脂に吸収される水分の増加、及び、水分から発生するガスの増加を抑制する。この結果、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
【0089】
積層コンデンサC1では、最大厚みT1(μm)と、最小厚みT3(μm)とは、
T3/T1≧0.08
の関係を満たしているので、ガスが領域E2を移動しやすい。したがって、積層コンデンサC1では、第二電極層E2(領域E2)が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが、より一層確実に間隙G1に至るので、第二電極層E2に応力がより一層作用しがたい。この結果、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
【0090】
上述したように、領域E2が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが間隙G1に至るまでの経路は、水分が領域E2に至る経路となるおそれがある。
【0091】
積層コンデンサC1では、最大厚みT1(μm)と、最小厚みT3(μm)とは、
T3/T1≦0.37
の関係を満たしているので、水分が間隙G1から浸入する場合でも、領域E2を経て、水分が領域E2に至りがたい。したがって、積層コンデンサC1は、第二電極層E2(領域E2)が含む樹脂に吸収される水分の増加、及び、水分から発生するガスの増加を抑制する。この結果、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
【0092】
積層コンデンサC1では、領域E2での空隙13の存在割合が3.0~11.0%の範囲内である。
上述したように、水分から発生したガスは、複数の空隙13から間隙G1に至る。
領域E2での空隙13の存在割合が3.0%より小さい場合、水分から発生したガスが、領域E2に存在している空隙13内を移動しがたくなるおそれがある。領域E2での空隙13の存在割合が11.0%より大きい場合、領域E2を経て領域E2から領域E2に水分が浸入しやすく、ガスの発生量が増加するおそれがある。
したがって、積層コンデンサC1は、ガスの発生量の増加を確実に抑制しつつ、領域E2でのガスの移動が阻害されるのを確実に抑制する。
【0093】
積層コンデンサC1では、主面3a及び端面3eに直交する断面において、領域E2の表面は、主面3aから離れる方向に凸状に湾曲している。
領域E2の表面が、主面3aから離れる方向に凸状に湾曲している構成では、領域E2の厚みが局所的に小さくなることはない。したがって、領域E2でのガスの移動経路が、当該移動経路の途中で狭まることはなく、積層コンデンサC1は、ガスが領域E2を移動するのを阻害しない。この結果、第二電極層E2が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが、より一層確実に間隙G1に至るので、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
【0094】
積層コンデンサC1では、側面3c及び端面3eに直交する断面において、領域E2の表面は、側面3cから離れる方向に凸状に湾曲している。
領域E2の表面が、側面3cから離れる方向に凸状に湾曲している構成では、領域E2の厚みが局所的に小さくなることはない。したがって、領域E2でのガスの移動経路が、当該移動経路の途中で狭まることはなく、積層コンデンサC1は、ガスが領域E2を移動するのを阻害しない。この結果、第二電極層E2が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが、より一層確実に間隙G2に至るので、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
【0095】
積層コンデンサC1では、第一方向D1から見て、領域E2の端縁が湾曲している。
領域E2の端縁が湾曲している構成では、領域E2の端縁が直線状である構成に比して、領域E2の端縁の長さが大きい。したがって、積層コンデンサC1では、ガスが出る領域が大きく、ガスが、外部電極5からより一層放出されやすい。この結果、第二電極層E2に応力がより一層作用しがたい。
【0096】
積層コンデンサC1では、第二方向D2から見て、領域E2の端縁が湾曲している。
領域E2の端縁が湾曲している構成では、領域E2の端縁が直線状である構成に比して、領域E2の端縁の長さが大きい。したがって、積層コンデンサC1では、ガスが出る領域が大きく、ガスが、外部電極5からより一層放出されやすい。この結果、第二電極層E2に応力がより一層作用しがたい。
【0097】
積層コンデンサC1では、最大厚みT1(μm)と、最大厚みT4(μm)とが、
T4/T1≧0.11
の関係を満たしているので、領域E2が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが、領域E2を経て、間隙G2に確実に至る。領域E2は、領域E2より間隙G2に近い。したがって、領域E2が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが間隙G2に確実に至るのであれば、領域E2が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスも、間隙G2に確実に至る。
積層コンデンサC1では、第二電極層E2(領域E2)が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスは、間隙G2に確実に至る。間隙G2に至ったガスは、外部電極5外に放出され、第二電極層E2に応力が作用しがたい。したがって、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離を抑制する。
【0098】
積層コンデンサC1では、領域E2での空隙13の存在割合が5.0~36.0%の範囲内である。
上述したように、水分から発生したガスは、複数の空隙13から間隙G2に至る。
領域E2での空隙13の存在割合が5.0%より小さい場合、水分から発生したガスが空隙13内を移動しがたくなるおそれがある。領域E2での空隙13の存在割合が36.0%より大きい場合、第二電極層E2に水分が浸入しやすく、ガスの発生量が増加するおそれがある。
したがって、積層コンデンサC1では、ガスの発生量の増加を抑制しつつ、領域E2でのガスの移動が阻害されるのを抑制する。
【0099】
間隙G2は、第二電極層E2が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスの出口であると共に、外部電極5内への水分の入口である。領域E2が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが間隙G2に至るまでの経路は、水分が領域E2に至る経路となるおそれがある。水分が領域E2に至ると、水分は領域E2が含む樹脂に吸収される。この場合、ガスの発生量が増加するおそれがある。
【0100】
積層コンデンサC1では、最大厚みT1(μm)と最大厚みT4(μm)とは、
T4/T1≦0.48
の関係を満たしているので、水分が間隙G2から浸入する場合でも、水分が領域E2に至りがたい。したがって、積層コンデンサC1は、第二電極層E2(領域E2)が含む樹脂に吸収される水分の増加、及び、水分から発生するガスの増加を抑制する。この結果、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
【0101】
積層コンデンサC1では、最大厚みT1(μm)と、最小厚みT5(μm)とは、
T5/T1≧0.08
の関係を満たしているので、ガスが領域E2を移動しやすい。したがって、積層コンデンサC1では、第二電極層E2(領域E2)が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが、より一層確実に間隙G2に至るので、第二電極層E2に応力がより一層作用しがたい。この結果、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
【0102】
上述したように、領域E2が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが間隙G2に至るまでの経路は、水分が領域E2に至る経路となるおそれがある。
【0103】
積層コンデンサC1では、最大厚みT1(μm)と、最小厚みT5(μm)とは、
T5/T1≦0.37
の関係を満たしているので、水分が間隙G2から浸入する場合でも、領域E2を経て、水分が領域E2に至りがたい。したがって、積層コンデンサC1は、第二電極層E2(領域E2)が含む樹脂に吸収される水分の増加、及び、水分から発生するガスの増加を抑制する。この結果、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
【0104】
積層コンデンサC1では、領域E2での空隙13の存在割合が3.0~11.0%の範囲内である。
上述したように、水分から発生したガスは、複数の空隙13から間隙G2に至る。
領域E2での空隙13の存在割合が3.0%より小さい場合、水分から発生したガスが、領域E2に存在している空隙13内を移動しがたくなるおそれがある。領域E2での空隙13の存在割合が11.0%より大きい場合、領域E2を経て領域E2から領域E2に水分が浸入しやすく、ガスの発生量が増加するおそれがある。
したがって、積層コンデンサC1では、ガスの発生量の増加を確実に抑制しつつ、領域E2でのガスの移動が阻害されるのを確実に抑制する。
【0105】
次に、図9及び図10を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの構成を説明する。図9及び図10は、外部電極の断面構成を示す図である。本変形例に係る積層コンデンサは、概ね、上述した積層コンデンサC1と類似又は同じであるが、本変形例は、第一電極層E1の構成に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と本変形例との相違点を主として説明する。
【0106】
本変形例に係る積層コンデンサは、積層コンデンサC1と同じく、素体3と、複数の外部電極5と、を備えている。各外部電極5は、複数の電極部5a,5c,5eを有している。各外部電極5は、第一電極層E1、第二電極層E2、第三電極層E3、及び第四電極層E4を有している。図示は省略するが、本変形例に係る積層コンデンサは、複数の内部電極7及び複数の内部電極9も備えている。
【0107】
図9に示されるように、電極部5aの第一電極層E1は、主面3a上に配置されている。電極部5aの第一電極層E1は、主面3aの一部と稜線部3gの全体とを覆うように形成される。すなわち、第一電極層E1は、主面3aと端面3eとにわたって設けられている。電極部5aの第一電極層E1は、主面3aの一部と接する。主面3aの一部は、たとえば、主面3aにおける端面3e寄りの一部である。
【0108】
第三方向D3での第一電極層E1の端縁から領域E2の端縁までの長さL1は、第三方向D3での基準面RPから第一電極層E1の端縁までの長さL2より大きい。基準面RPは、端面3eを含む面である。
各長さL1,L2は、たとえば、以下のようにして求めることができる。
第一電極層E1及び第二電極層E2を含む積層コンデンサの断面写真を取得する。断面写真は、たとえば、一対の側面3cに平行であり、かつ、一対の側面3cから等距離に位置している平面で積層コンデンサを切断したときの断面を撮影することにより得られる。取得した断面写真上での、各長さL1,L2を算出する。
【0109】
図10に示されるように、電極部5cの第一電極層E1は、側面3c上に配置されている。電極部5cの第一電極層E1は、側面3cの一部と稜線部3iの全体とを覆うように形成される。すなわち、第一電極層E1は、側面3cと端面3eとにわたって設けられている。電極部5cの第一電極層E1は、側面3cの一部と接する。側面3cの一部は、たとえば、側面3cにおける端面3e寄りの一部である。
【0110】
第三方向D3での第一電極層E1の端縁から領域E2の端縁までの長さL3は、第三方向D3での基準面RPから第一電極層E1の端縁までの長さL4より大きい。
各長さL3,L4は、たとえば、以下のようにして求めることができる。
第一電極層E1及び第二電極層E2を含む積層コンデンサの断面写真を取得する。断面写真は、たとえば、一対の主面3aに平行であり、かつ、一対の主面3aから等距離に位置している平面で積層コンデンサを切断したときの断面を撮影することにより得られる。取得した断面写真上での、各長さL3,L4を算出する。
【0111】
素体3と第二電極層E2との密着度合いは、第一電極層E1と第二電極層E2との密着度合いより低い。したがって、第一電極層E1と第二電極層E2との界面は、ガスの移動経路に寄与しがたいものの、素体3と第二電極層E2との界面は、ガスの移動経路として寄与しやすい。
長さL1が長さL2より大きい構成では、長さL1が長さL2以下である構成に比して、ガスの移動経路が多い。したがって、本変形例では、第二電極層E2が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが、間隙G1に向けて移動しやすいので、第二電極層E2に応力がより一層作用しがたい。この結果、本変形例は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
長さL3が長さL4より大きい構成では、長さL3が長さL4以下である構成に比して、ガスの移動経路が多い。したがって、本変形例では、第二電極層E2が含む樹脂に吸収された水分から発生したガスが、間隙G2に向けて移動しやすいので、第二電極層E2に応力がより一層作用しがたい。この結果、本変形例は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
【0112】
本明細書では、ある要素が他の要素上に配置されていると記述されている場合、ある要素は、他の要素上に直接配置されていてもよく、他の要素上に間接的に配置されていてもよい。ある要素が他の要素上に間接的に配置されている場合、介在要素が、ある要素と他の要素との間に存在している。ある要素が他の要素上に直接配置されている場合、介在要素は、ある要素と他の要素との間に存在しない。
本明細書では、ある要素が他の要素上に位置していると記述されている場合、ある要素は、他の要素上に直接位置していてもよく、他の要素上に間接的に位置していてもよい。ある要素が他の要素上に間接的に位置している場合、介在要素が、ある要素と他の要素との間に存在している。ある要素が他の要素上に直接位置している場合、介在要素は、ある要素と他の要素との間に存在しない。
本明細書では、ある要素が他の要素を覆うと記述されている場合、ある要素は、他の要素を直接覆っていてもよく、他の要素を間接的に覆っていてもよい。ある要素が他の要素を間接的に覆っている場合、介在要素が、ある要素と他の要素との間に存在している。ある要素が他の要素を直接覆っている場合、介在要素は、ある要素と他の要素との間に存在しない。
【0113】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0114】
最大厚みT1(μm)と、最大厚みT4(μm)とは、
T4/T1≧0.11
の関係を満たしていなくてもよい。最大厚みT1(μm)と最大厚みT2(μm)とが、
T2/T1≧0.11
の関係を満たしていれば、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離を抑制する。
領域E2での空隙13の存在割合が5.0~36.0%の範囲内でなくてもよい。領域E2での空隙13の存在割合と、領域E2での空隙13の存在割合とが、5.0~36.0%の範囲内であれば、積層コンデンサC1は、ガスの発生量の増加を抑制しつつ、ガスの移動が阻害されるのを抑制する。
【0115】
最大厚みT1(μm)と最大厚みT2(μm)とは、
T2/T1≦0.48
の関係を満たしていなくてもよい。最大厚みT1と、最大厚みT2とが、
T2/T1≦0.48
の関係を満たしていれば、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
最大厚みT1(μm)と、最小厚みT3(μm)とは、
T3/T1≧0.08
の関係を満たしていなくてもよい。最大厚みT1と、最小厚みT3とが、
T3/T1≧0.08
の関係を満たしていれば、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
最大厚みT1(μm)と、最小厚みT3(μm)とは、
T3/T1≦0.37
の関係を満たしていなくてもよい。最大厚みT1と、最小厚みT3とが、
T3/T1≦0.37
の関係を満たしていれば、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
領域E2での空隙13の存在割合は3.0~11.0%の範囲内でなくてもよい。領域E2での空隙13の存在割合は3.0~11.0%の範囲内である場合、積層コンデンサC1は、ガスの発生量の増加を確実に抑制しつつ、領域E2でのガスの移動が阻害されるのを確実に抑制する。
【0116】
一対の主面3aのうち一方の主面3a上に位置している領域E2の最大厚みT1(μm)と、最大厚みT2(μm)とが、
T2/T1≧0.11
の関係を満たしていればよい。各領域E2の最大厚みT1(μm)と、最大厚みT2(μm)とが、
T2/T1≧0.11
の関係を満たしている場合、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
上記一方の主面3a上に位置している領域E2での空隙13の存在割合と、領域E2での空隙13の存在割合とが、5.0~36.0%の範囲内であればよい。各領域E2での空隙13の存在割合と、領域E2での空隙13の存在割合とが、5.0~36.0%の範囲内である場合、積層コンデンサC1は、ガスの発生量の増加をより一層抑制しつつ、ガスの移動が阻害されるのをより一層抑制する。
【0117】
上記一方の主面3a上に位置している領域E2の最大厚みT1(μm)と、最大厚みT2(μm)とが、
T2/T1≦0.48
の関係を満たしていればよい。各領域E2の最大厚みT1(μm)と、最大厚みT2(μm)とが、
T2/T1≦0.48
の関係を満たしている場合、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
【0118】
最大厚みT1(μm)と、上記一方の主面3aと端面3eとの間の稜線部3g上に位置している領域E2の最小厚みT3(μm)とが、
T3/T1≧0.08
の関係を満たしていればよい。最大厚みT1と、各領域E2の最小厚みT3とが、
T3/T1≧0.08
の関係を満たしている場合、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
最大厚みT1(μm)と、上記一方の主面3aと端面3eとの間の稜線部3g上に位置している領域E2の最小厚みT3(μm)とが、
T3/T1≦0.37
の関係を満たしていればよい。最大厚みT1と、各領域E2の最小厚みT3とが、
T3/T1≦0.37
の関係を満たしている場合、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
上記一方の主面3aと端面3eとの間の稜線部3g上に位置している領域E2での空隙13の存在割合が3.0~11.0%の範囲内であればよい。各領域E2での空隙13の存在割合が3.0~11.0%の範囲内である場合、積層コンデンサC1は、ガスの発生量の増加をより一層確実に抑制しつつ、領域E2からのガスの移動が阻害されるのをより一層確実に抑制する。
【0119】
主面3a及び端面3eに直交する断面において、領域E2の表面は、主面3aから離れる方向に凸状に湾曲していなくてもよい。主面3a及び端面3eに直交する断面において、領域E2の表面が、主面3aから離れる方向に凸状に湾曲している場合、上述したように、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
側面3c及び端面3eに直交する断面において、領域E2の表面は、側面3cから離れる方向に凸状に湾曲していなくてもよい。側面3c及び端面3eに直交する断面において、領域E2の表面が、側面3cから離れる方向に凸状に湾曲している場合、上述したように、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離をより一層抑制する。
【0120】
第一方向D1から見て、領域E2の端縁が湾曲していなくてもよい。第一方向D1から見て、領域E2の端縁が湾曲している場合、上述したように、第二電極層E2に応力がより一層作用しがたい。
第二方向D2から見て、領域E2の端縁が湾曲していなくてもよい。第二方向D2から見て、領域E2の端縁が湾曲している場合、上述したように、第二電極層E2に応力がより一層作用しがたい。
【0121】
本実施形態では、電子部品として積層コンデンサC1を例に説明したが、適用可能な電子部品は、積層コンデンサに限られない。適用可能な電子部品は、たとえば、積層インダクタ、積層バリスタ、積層圧電アクチュエータ、積層サーミスタ、もしくは積層複合部品などの積層電子部品、又は、積層電子部品以外の電子部品である。
【符号の説明】
【0122】
3…素体、3a…主面、3e…端面、3g…稜線部、5…外部電極、13…空隙、C1…積層コンデンサ、E1…第一電極層、E2…第二電極層、E2…端面上に位置している領域、E2…主面上に位置している領域、E2…稜線部上に位置している領域、E3…第三電極層、E4…第四電極層、G1,G2…間隙、PL…めっき層、RP…基準面。
図1
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図10