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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】構造物保持装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/26 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
B66C23/26 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019159788
(22)【出願日】2019-09-02
(65)【公開番号】P2021038053
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】高岡 大輔
(72)【発明者】
【氏名】市川 靖生
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-024813(JP,A)
【文献】特開2016-222373(JP,A)
【文献】特開2003-002581(JP,A)
【文献】特開2018-127319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びるように配置される第1構造物と、
前記第1構造物に上下方向に重ねられ、前後方向に延びるように配置される第2構造物と、
前記第1構造物に設けられる第1ブラケットと、
前記第2構造物に設けられる第2ブラケットと、
前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとを接続するための接続ピンと、
締結部材と、
を備え、
前記第1ブラケットは、
前記接続ピンを差し込み可能な孔部を備える第1抜止部と、
前記第1抜止部と一体的に設けられた第1荷重受け部と、
を備え、
前記第2ブラケットは、
前記接続ピンを差し込み可能な孔部を備える第2抜止部と、
前記第1荷重受け部に接触可能であり、前記第2抜止部と一体的に設けられた第2荷重受け部と、
を備え、
前記第1抜止部および前記第2抜止部は、前記第1荷重受け部と前記第2荷重受け部とが接触した状態のときに、前記第1抜止部と前記第2抜止部とに前記接続ピンを着脱可能に配置され、
前記締結部材は、前記第1構造物に対して前記第1ブラケットを前後方向に位置調整可能に締結する、または、前記第2構造物に対して前記第2ブラケットを前後方向に位置調整可能に締結する、
構造物保持装置。
【請求項2】
前後方向に長い構造物であり、前後方向に延びるように配置される第1構造物と、
前記第1構造物に上下方向に重ねられ、前後方向に長い構造物であり、前後方向に延びるように配置される第2構造物と、
前記第1構造物の前後方向における中央よりも一方側の部分に設けられる第1ブラケットと、
前記第2構造物の前後方向における中央よりも前記一方側の部分に設けられる第2ブラケットと、
前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとを接続するための接続ピンと、
を備え、
前記第1ブラケットは、
前記接続ピンを差し込み可能な孔部を備える第1抜止部と、
前記第1抜止部と一体的に設けられた第1荷重受け部と、
を備え、
前記第2ブラケットは、
前記接続ピンを差し込み可能な孔部を備える第2抜止部と、
前記第1荷重受け部に接触可能であり、前記第2抜止部と一体的に設けられた第2荷重受け部と、
を備え、
前記第1抜止部および前記第2抜止部は、前記第1荷重受け部と前記第2荷重受け部とが接触した状態のときに、前記第1抜止部と前記第2抜止部とに前記接続ピンを着脱可能に配置され、
前記第1ブラケットおよび前記第2ブラケットは、前後方向ガイド部を備え、
前記前後方向ガイド部は、前記第1荷重受け部と前記第2荷重受け部とが近づいたときに、前記第1抜止部に対する前記第2抜止部の前後方向における位置のずれを減らす向きにガイドし、
前記前後方向ガイド部は、前記第1抜止部よりも、前後方向における前記第1構造物の中央部に近い側に配置される、
構造物保持装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の構造物保持装置であって、
前記第1抜止部および前記第2抜止部の少なくともいずれかの前記孔部は、前後方向に長い長孔である、
構造物保持装置。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の構造物保持装置であって、
前記第1構造物は、クレーンのフロントストラットであり、
前記第2構造物は、前記クレーンのリアストラットである、
構造物保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物どうしを保持する構造物保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1などに、長手方向を有する構造物どうしを重ねた状態で保持する装置が記載されている(同文献の図面を参照)。この装置では、構造物の荷重を受けるブラケット(同文献における位置合わせ具、図4参照)と、構造物どうしを接続するための接続ピンが差し込まれるブラケット(同文献における連結器具、図3参照)と、が設けられる。荷重を受けるブラケットにより構造物の荷重が受けられた状態で、構造物どうしを接続するためのブラケットに接続ピンが差し込まれることで、構造物どうしが接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-24813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同文献に記載の技術では、構造物の荷重を受けるブラケット(同文献の図4参照)と、ピンが差し込まれるブラケット(同文献の図3参照)と、が個別のブラケットとして設けられる。そのため、ピンが差し込まれるブラケットのピン孔の位置が合うように、構造物の荷重を受けるブラケットに対して、ピンが差し込まれるブラケットを精度良く配置する必要がある。構造物へのブラケットの取付位置に関する寸法管理を行う必要のある箇所が多いと、構造物へのブラケットの取付作業に手間がかかる。
【0005】
そこで、本発明は、構造物へのブラケットの取付位置に関する寸法管理の必要箇所を削減することができる、構造物保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
構造物保持装置は、第1構造物と、第2構造物と、第1ブラケットと、第2ブラケットと、接続ピンと、を備える。前記第1構造物は、前後方向に延びるように配置される。前記第2構造物は、前記第1構造物に上下方向に重ねられ、前後方向に延びるように配置される。前記第1ブラケットは、前記第1構造物に設けられる。前記第2ブラケットは、前記第2構造物に設けられる。前記接続ピンは、前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとを接続するためのものである。前記第1ブラケットは、第1抜止部と、第1荷重受け部と、を備える。前記第1抜止部は、前記接続ピンを差し込み可能な孔部を備える。前記第1荷重受け部は、前記第1抜止部と一体的に設けられている。前記第2ブラケットは、第2抜止部と、第2荷重受け部と、を備える。前記第2抜止部は、前記接続ピンを差し込み可能な孔部を備える。前記第2荷重受け部は、前記第1荷重受け部に接触可能であり、前記第2抜止部と一体的に設けられている。前記第1抜止部および前記第2抜止部は、前記第1荷重受け部と前記第2荷重受け部とが接触した状態のときに、前記第1抜止部と前記第2抜止部とに前記接続ピンを着脱可能に配置される。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、構造物へのブラケットの取付位置に関する寸法管理の必要箇所を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】クレーン1を横から見た図である。
図2図1に示すリアストラット21およびフロントストラット22を含む構造物保持装置20を横から見た図である。
図3図2に示す前側装置30の斜視図である。
図4図3に示す第1ブラケット40と第2ブラケット60とが離れた状態を示す前側装置30の斜視図である。
図5図3に示す第2ブラケット60を上側Z1から見た図である。
図6図3に示す前側装置30を横方向外側Y2から見た図であり、図5のF6-F6矢視断面図である。
図7図3に示す前側装置30を後側X2から見た図であり、図5のF7-F7矢視断面図である。
図8図2に示す後側装置130の斜視図である。
図9図8に示す第1ブラケット140と第2ブラケット160とが離れた状態を示す後側装置130の斜視図である。
図10図2に示すリアストラット21が吊り上げられた状態を横方向Yから見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図10を参照して、図1に示す構造物保持装置20を備えるクレーン1について説明する。
【0010】
クレーン1は、作業を行う作業機械であり、例えば建設作業を行う建設機械であり、例えばブーム13などを用いて作業を行う機械である。クレーン1は、下部走行体11と、上部旋回体12と、ブーム13と、ブーム起伏装置14と、ジブ15と、ジブ起伏装置16と、構造物保持装置20と、を備える。
【0011】
下部走行体11は、クレーン1を走行させる。下部走行体11は、クローラを備えてもよく、ホイールを備えてもよい。クレーン1は、クローラクレーンでもよく、ホイールクレーンでもよい。上部旋回体12は、下部走行体11に旋回可能に搭載される。
【0012】
ブーム13は、上部旋回体12に起伏可能に取り付けられる。ブーム13は、下部ブーム13aと、中間ブーム13bと、上部ブーム13cと、を備える。下部ブーム13aは、ブーム13の基端部(上部旋回体12側の端部)に配置される。中間ブーム13bは、下部ブーム13aの先端部(上部旋回体12側とは反対側の端部)に連結される。複数の中間ブーム13bが連結されてもよく、中間ブーム13bが1つのみ設けられてもよい。上部ブーム13cは、中間ブーム13bの先端部に連結され、ブーム13の先端部に配置される。
【0013】
ブーム起伏装置14は、上部旋回体12に対してブーム13を起伏させる装置である。ブーム起伏装置14は、マスト14aを備える。マスト14aは、上部旋回体12に起伏可能に取り付けられる。マスト14aが上部旋回体12に対して起伏すると、ブーム13が上部旋回体12に対して起伏する。
【0014】
ジブ15は、ブーム13に起伏可能に取り付けられる。ジブ15は、ジブ15の長手方向に分解可能である。ジブ15は、下部ジブ15aと、中間ジブ15bと、上部ジブ15cと、を備える。下部ジブ15aは、ジブ15の基端部(ブーム13側の端部)に配置される。中間ジブ15bは、下部ジブ15aの先端部(ブーム13側とは反対側の端部)に連結される。上部ジブ15cは、中間ジブ15bの先端部に連結され、ジブ15の先端部に配置される。
【0015】
ジブ起伏装置16は、ブーム13に対してジブ15を起伏させる装置である。ジブ起伏装置16は、リアストラット21(第1構造物)と、フロントストラット22(第2構造物)と、ストラットガイライン16cと、ジブガイライン16dと、ジブ起伏ロープ16eと、を備える。リアストラット21およびフロントストラット22は、ジブ起伏装置16の構成要素であり、構造物保持装置20の構成要素でもある。リアストラット21およびフロントストラット22の詳細は後述する。ストラットガイライン16cは、リアストラット21の先端部とブーム13とに接続される。ジブガイライン16dは、フロントストラット22の先端部とジブ15の先端部とに接続される。ジブ起伏ロープ16eは、リアストラット21に設けられたシーブと、フロントストラット22に設けられたシーブとに掛けられる。ジブ起伏ロープ16eが、図示しないウインチにより巻き取りおよび繰り出しされる。すると、リアストラット21とフロントストラット22との間隔が変わる。すると、ブーム13に対してフロントストラット22が起伏する。フロントストラット22の先端部とジブ15の先端部とがジブガイライン16dで接続されているので、フロントストラット22がブーム13に対して起伏すると、ジブ15がブーム13に対して起伏する。
【0016】
構造物保持装置20は、図2に示すように、フロントストラット22に対してリアストラット21を保持する装置である。構造物保持装置20は、リアストラット21と、フロントストラット22と、前側装置30と、後側装置130と、を備える。
【0017】
リアストラット21(第1構造物)は、ブーム13(図1参照)の先端部に回転可能に取り付けられる。リアストラット21は、長手方向を有する構造物である。リアストラット21は、パイプを組み合わせたラチス構造を有してもよく、板状部材を備えてもよく、箱型構造を有してもよい(フロントストラット22も同様)。
【0018】
フロントストラット22(第2構造物)は、ブーム13の先端部に回転可能に取り付けられてもよく、ジブ15の基端部に回転可能に取り付けられてもよい。フロントストラット22は、長手方向を有する構造物である。図1に示すように、フロントストラット22は、クレーン1が作業可能な姿勢(作業姿勢)のときに、ジブ15とリアストラット21との間に配置される。クレーン1が分解されて輸送されるときに、図2に示すように、リアストラット21とフロントストラット22とは、一体的に輸送される。以下では、主に、リアストラット21とフロントストラット22とが一体的に輸送される姿勢(輸送姿勢)について説明する。リアストラット21とフロントストラット22とは、上下方向Z(方向の詳細は後述)に重ねられる(積み重ねられる、重ね置きされる)。フロントストラット22は、リアストラット21よりも下側Z2に配置される。フロントストラット22は、リアストラット21の長手方向に延びるように配置され、リアストラット21と平行または略平行に延びるように配置される。なお、リアストラット21と、フロントストラット22と、下部ジブ15a(図1参照)と、が一体的に輸送されてもよい。この場合は、下部ジブ15aにフロントストラット22が載せられ、フロントストラット22にリアストラット21が載せられる。
【0019】
(方向)
輸送姿勢のときのリアストラット21の長手方向を、前後方向Xとする。輸送姿勢のとき、リアストラット21とフロントストラット22とが平行または略平行であるため、フロントストラット22の長手方向は、前後方向Xと一致または略一致する。前後方向Xにおいて、リアストラット21の基端側(ブーム13(図1参照)に取り付けられる側)から先端側に向かう側を前側X1とし、その逆側を後側X2とする。輸送姿勢のときにリアストラット21とフロントストラット22とが対向する方向を上下方向Zとする。上下方向Zにおいて、フロントストラット22からリアストラット21に向かう側を上側Z1とし、その逆側を下側Z2とする。輸送姿勢のときには、上下方向Zは、鉛直方向または略鉛直方向となる。前後方向Xおよび上下方向Zのそれぞれに直交する方向を、横方向Yとする。横方向Yにおいて、リアストラット21の横方向Yにおける中央に近づく側を横方向内側Y1(図3参照)とし、リアストラット21の横方向Yにおける中央から離れる側を横方向外側Y2(図3参照)とする。
【0020】
前側装置30は、リアストラット21およびフロントストラット22の前側X1部分(さらに詳しくは、前後方向Xにおける中央よりも前側X1部分)に配置される。前側装置30は、リアストラット21およびフロントストラット22の、例えば前側X1の端部の近傍に配置される。前側装置30は、リアストラット21およびフロントストラット22の、横方向Yにおける両側(左右)に配置される(後側装置130も同様)。以下では、横方向Y片側(例えば右側)の前側装置30について説明する(後側装置130も同様)。図3に示すように、前側装置30は、第1ブラケット40と、締結部材50と、第2ブラケット60と、接続ピン70と、を備える。
【0021】
第1ブラケット40は、図2に示すように、リアストラット21に設けられ、例えばリアストラット21の下側Z2部分に設けられる。図4に示すように、第1ブラケット40は、例えば1枚の板状などである。第1ブラケット40は、第1板部41と、第1抜止部43と、凹部45と、締結部材取付部47と、第1前後方向ガイド部45b(前後方向ガイド部)と、第1横方向ガイド部49と、を備える。
【0022】
第1板部41は、板状の部材である。第1板部41は、リアストラット21の前側X1部分に固定される(図2参照)。第1板部41は、リアストラット21の、横方向外側Y2部分(側面部分)に固定されてもよく、下側Z2部分(底面部分)に固定されてもよい。第1板部41は、締結部材50によってリアストラット21に固定されてもよく、溶接などによってリアストラット21に固定されてもよい。第1板部41は、リアストラット21の下側Z2部分よりも下側Z2に突出する。第1板部41は、上下方向Zおよび前後方向Xに延びるように配置される。
【0023】
第1抜止部43は、接続ピン70(図3参照)を介して第2抜止部63に接続される。第1抜止部43は、接続ピン70を差し込み可能な孔部43a(ピン孔)を備える。孔部43aは、第1板部41に形成された孔(さらに詳しくは孔の内面)である。孔部43aは、上下方向Zに直交する方向(例えば横方向Y)に第1板部41を貫通する。孔部43aは、リアストラット21の下側Z2の面よりも下側Z2に配置される。孔部43aは、前後方向Xに長い長孔である。これにより、孔部43aの中心位置(横方向Yから見た孔部43aの図心)に対して、第2抜止部63の孔部63a(後述)の中心位置が前後方向Xにずれていても、孔部43aおよび孔部63aに接続ピン70(図3参照)を差し込むことができる。
【0024】
凹部45は、後述する荷重受け部材65が差し込まれる(入り込む)部分である。凹部45は、第1板部41の下側Z2端部から上側Z1に凹む。凹部45は、例えば、横方向Yから見て、U字状、略U字状、V字状、または略V字状などである。凹部45は、第1荷重受け部45aと、第1前後方向ガイド部45bと、を備える。
【0025】
第1荷重受け部45aは、第2荷重受け部65a(後述)に接触することで、リアストラット21の荷重(質量による荷重)を受ける。第1荷重受け部45aおよび第2荷重受け部65aがリアストラット21の荷重を受けることで、リアストラット21の荷重が接続ピン70(図3参照)に作用せず、孔部43aおよび孔部63aに対して接続ピン70を着脱することが可能になる。第1荷重受け部45aと第1抜止部43とは、一体的に設けられる。第1ブラケット40は、第1荷重受け部45aと第1抜止部43とを一体化したブラケット(一体化ブラケット)である。第1荷重受け部45aと第1抜止部43とは、共通の第1ブラケット40に設けられ、共通の第1板部41に設けられる。第1抜止部43と一体的に設けられる点については、第1前後方向ガイド部45b、締結部材取付部47、および第1横方向ガイド部49も同様である。第1荷重受け部45aは、第1抜止部43よりも後側X2に配置されることが好ましく(後述)、第1抜止部43よりも前側X1に配置されてもよい。第1荷重受け部45aは、リアストラット21の下側Z2の面よりも下側Z2に配置される。第1荷重受け部45aは、凹部45の上側Z1部分に配置される。第1荷重受け部45aは、下側Z2を向いた面であり、前後方向Xおよび横方向Yに延びるように配置される面(例えば平面)である。
【0026】
第1前後方向ガイド部45b(前後方向ガイド部)は、第2ブラケット60の一部に接触することで、凹部45に対する荷重受け部材65の前後方向Xの位置をガイドする。第1前後方向ガイド部45bは、第1抜止部43に対する第2抜止部63の、前後方向X位置(前後方向Xにおける位置)のずれを減らす向きにガイドする。第1前後方向ガイド部45bは、凹部45の前側X1部分および後側X2部分に配置される。第1前後方向ガイド部45bは、第1荷重受け部45aよりも前側X1および後側X2に配置される。第1前後方向ガイド部45bは、2か所の傾斜部45b1・45b1を備える。2か所の傾斜部45b1・45b1どうしの前後方向Xにおける間隔は、上側Z1ほど狭い。さらに詳しくは、図6に示すように、前側X1の傾斜部45b1は、上側Z1ほど後側X2に配置されるように上下方向Zに対して傾斜する。前側X1の傾斜部45b1は、横方向Yから見たとき、例えば直線状に延び、曲線状に延びてもよい(後側X2の傾斜部45b1も同様)。後側X2の傾斜部45b1は、上側Z1ほど前側X1に配置されるように上下方向Zに対して傾斜する。なお、第1前後方向ガイド部45bは、第1荷重受け部45aよりも前側X1および後側X2のうち、一方側にのみ設けられてもよい。
【0027】
締結部材取付部47は、図4に示すように、締結部材50が取り付けられる部分である。締結部材取付部47は、第1板部41に設けられ、第1板部41のうちリアストラット21と横方向Yに対向する部分に配置される。例えば図6に示すように、締結部材50がボルト50b(後述)である場合は、締結部材取付部47は、ボルト50bを差し込み可能な孔47aを備える。孔47aは、第1板部41を横方向Yに貫通する。孔47aは、前後方向Xに長い長孔である。
【0028】
第1横方向ガイド部49は、図4に示すように、第2ブラケット60に対する第1ブラケット40の横方向Yにおける位置(横方向Y位置)をガイドする。第1横方向ガイド部49は、次のように構成される。第1ブラケット40の下側Z2端部が、第2ブラケット60の上側Z1端部に近づき、接触したときに、2枚の第2板部61・61の間に第1板部41が差し込まれるように、第1横方向ガイド部49は、ガイドを行う。第1横方向ガイド部49は、第1ブラケット40の(第1板部41の)下側Z2端部に配置される。例えば、図7に示すように、第1横方向ガイド部49は、前後方向Xから見て、U字状、略U字状、V字状、または略V字状などである。具体的には例えば、第1横方向ガイド部49は、2か所の傾斜部49a・49aを備える。2か所の傾斜部49a・49aどうしの前後方向Xにおける間隔は、下側Z2ほど狭い。傾斜部49aは、前後方向Xから見て直線状に延びてもよく、曲線状に延びてもよい。
【0029】
締結部材50は、図6に示すように、リアストラット21に対して第1ブラケット40を前後方向Xに位置調整可能に締結する。締結部材50は、例えば複数(図6に示す例では6本)のボルト50bを備える。締結部材50による締結が緩められた状態では、第1ブラケット40がリアストラット21に対して前後方向Xに移動可能である。締結部材取付部47の孔47aが長孔であるため、締結部材50による締結が緩められた状態では、第1ブラケット40は、リアストラット21に対して前後方向Xに移動可能である(位置を調整可能である)。第1抜止部43の孔部43aおよび第2抜止部63の孔部63aに接続ピン70を差し込むことができるように、リアストラット21に対する第1ブラケット40の位置が調整される。図4に示す締結部材50が締結された状態では、リアストラット21に対して第1ブラケット40が固定される。
【0030】
第2ブラケット60は、図2に示すように、フロントストラット22に設けられ、例えばフロントストラット22の上側Z1部分に設けられる。図4に示すように、第2ブラケット60は、例えば2枚の板状などである。第2ブラケット60は、第2板部61と、第2抜止部63と、荷重受け部材65と、第2横方向ガイド部69と、を備える。
【0031】
第2板部61は、板状の部材であり、2枚設けられる。2枚の第2板部61・61(メス板)の間に、1枚の第1ブラケット40(第1板部41)(オス板)が配置可能となるように(図3参照)、2枚の第2板部61・61は、互いに横方向Yに間隔をあけて配置される。第2板部61は、フロントストラット22の上側Z1部分(具体的には例えばパイプなど)に固定されてもよく、フロントストラット22の横方向外側Y2部分(側面部分)に固定されてもよい。第2板部61は、フロントストラット22の上側Z1の面よりも上側Z1に突出する。第2板部61は、上下方向Zおよび前後方向Xに延びるように配置される。第2板部61は、溶接によりフロントストラット22に固定されてもよく、締結部材50と同様の部材によりフロントストラット22に固定されてもよい。
【0032】
第2抜止部63は、接続ピン70(図3参照)を介して第1抜止部43に接続される。第2抜止部63は、孔部63aと、筒部63bと、取付ピン孔63cと、を備える。孔部63aは、接続ピン70(図3参照)を差し込み可能な孔(さらに詳しくは孔の内面)である。図5に示すように、孔部63aは、2枚の第2板部61・61のそれぞれに設けられる。図4に示すように、孔部63aは、上下方向Zに直交する方向(例えば横方向Y)に第2板部61を貫通する。孔部63aは、例えば横方向Yから見て円形である。孔部63aは、前後方向Xに長い長孔(孔部43aを参照)でもよい。孔部63aは、フロントストラット22の上側Z1の面よりも上側Z1に配置される。筒部63bは、接続ピン70(図3参照)を差し込み可能な筒状部分である。筒部63bの内部は、孔部63aの内部と横方向Yに連通する。筒部63bは、横方向外側Y2の第2板部61から、横方向外側Y2に突出する。取付ピン孔63cは、第2ブラケット60から接続ピン70が抜けることを防ぐ取付ピン(図示なし)が差し込まれる孔である。取付ピン孔63cは、筒部63bに形成され、筒部63bの径方向に筒部63bを貫通する。
【0033】
荷重受け部材65は、凹部45に差し込まれる部材である。図5に示すように、荷重受け部材65は、2枚の第2板部61・61に固定され、例えば溶接により固定される(常設される)。荷重受け部材65は、2枚の第2板部61・61どうしをつなぐように配置され、横方向Yに延びるように配置される。荷重受け部材65は、フロントストラット22の上側Z1の面よりも上側Z1に配置される。荷重受け部材65は、柱状であり、例えば円柱状(ピン)でもよく、多角柱状(四角柱状など)でもよい。荷重受け部材65は、第2荷重受け部65aと、第2前後方向ガイド部65b(前後方向ガイド部)と、を備える。
【0034】
第2荷重受け部65aは、図6に示すように、第1荷重受け部45aに接触することで、リアストラット21の荷重を受ける。第2荷重受け部65aは、第1荷重受け部45aを下側Z2から支持する。図4に示すように、第2荷重受け部65aと第2抜止部63とは、一体的に設けられる。第2ブラケット60は、第2荷重受け部65aと第2抜止部63とを一体化したブラケット(一体化ブラケット)である。第2荷重受け部65aと第2抜止部63とは、共通の第2ブラケット60に設けられる。第2抜止部63と一体的に設けられる点については、第2前後方向ガイド部65b、および第2横方向ガイド部69も同様である。第2荷重受け部65aは、第2抜止部63よりも後側X2に配置されることが好ましく(後述)、第2抜止部63よりも前側X1に配置されてもよい。第2荷重受け部65aは、フロントストラット22の上側Z1の面よりも上側Z1に配置される。第2荷重受け部65aは、荷重受け部材65の上側Z1部分に配置される。荷重受け部材65が円柱状の場合は、第2荷重受け部65aは、荷重受け部材65の外周面の上側Z1端部である。第2荷重受け部65aは、上側Z1を向いた平面などでもよい。
【0035】
第2前後方向ガイド部65b(前後方向ガイド部)は、第1ブラケット40の一部に接触することで、荷重受け部材65に対する凹部45の前後方向Xの位置をガイドする。第2前後方向ガイド部65bは、第1抜止部43に対する第2抜止部63の、前後方向X位置のずれを減らす向きにガイドする。第2前後方向ガイド部65bは、荷重受け部材65の上側Z1部分の、前側X1部分および後側X2部分に配置される。第2前後方向ガイド部65bは、第2荷重受け部65aよりも前側X1および後側X2に配置される。具体的には例えば、図6に示すように、第2前後方向ガイド部65bは、2か所の傾斜部65b1・65b1を備える。2か所の傾斜部65b1・65b1どうしの前後方向Xにおける幅は、上側Z1ほど狭い。さらに詳しくは、前側X1の傾斜部65b1は、上側Z1ほど後側X2に配置されるように上下方向Zに対して傾斜する。前側X1の傾斜部45b1は、横方向Yから見たとき、曲線状(図6に示す例では円弧状)に延び、直線状に延びてもよい(後側X2の傾斜部65b1も同様)。後側X2の傾斜部65b1は、上側Z1ほど前側X1に配置されるように上下方向Zに対して傾斜する。なお、第1前後方向ガイド部45bおよび第2前後方向ガイド部65bのうち一方のみが、傾斜部(傾斜部45b1または傾斜部65b1)を備えてもよい。
【0036】
第2横方向ガイド部69は、図7に示すように、第2ブラケット60に対する第1ブラケット40の横方向Yにおける位置(横方向Y位置)をガイドする。第2横方向ガイド部69は、次のように構成される。第1ブラケット40の下側Z2端部が、第2ブラケット60の上側Z1端部に近づき、接触したときに、2枚の第2板部61・61の間に第1板部41が差し込まれるように、第2横方向ガイド部69はガイドを行う。第2横方向ガイド部69は、第2ブラケット60の上側Z1端部に配置され、2枚の第2板部61・61の上側Z1端部に設けられる。具体的には例えば、第2横方向ガイド部69は、2か所の傾斜部69a・69aを備える。2か所の傾斜部69a・69aどうしの横方向Yにおける間隔は、下側Z2ほど狭い。さらに詳しくは、横方向外側Y2の傾斜部69aは、下側Z2ほど横方向内側Y1に配置されるように、上下方向Zに対して傾斜する。横方向内側Y1の傾斜部69aは、下側Z2ほど横方向外側Y2に配置されるように、上下方向Zに対して傾斜する。傾斜部69aは、前後方向Xから見て直線状に延びても、曲線状に延びてもよい。なお、第1横方向ガイド部49および第2ブラケット60のうち一方のみが、傾斜部(傾斜部49aまたは傾斜部69a)を備えてもよい。
【0037】
接続ピン70は、第1ブラケット40と第2ブラケット60とを接続することで、フロントストラット22とリアストラット21(図2参照)とを接続する。接続ピン70は、第1抜止部43の孔部43a、ならびに、第2抜止部63の孔部63aおよび筒部63bに差し込まれる。このように接続ピン70を差し込むことが可能となるように、第1ブラケット40および第2ブラケット60が構成される。さらに詳しくは、図6に示すように、第1荷重受け部45aと第2荷重受け部65aとが接触した状態のときに、第1抜止部43と第2抜止部63とに接続ピン70を着脱可能(差込可能、引抜可能)となるように、第1抜止部43と第2抜止部63とが配置される。このとき、第1抜止部43の孔部43aの位置と、第2抜止部63の孔部63aの位置と、が合う。このとき、第1抜止部43の孔部43aの中心位置(横方向Yから見た図心)と、第2抜止部63の孔部63aの中心位置と、が一致する(芯が合う)、または略一致する。孔部43aが長孔の場合は、横方向Yから見た孔部63aの内側の領域の全体が、横方向Yから見た孔部43aの内側の領域に含まれる。
【0038】
後側装置130は、図2に示すように、前側装置30よりも後側X2に配置され、リアストラット21およびフロントストラット22の後側X2部分(前後方向Xにおける中央よりも後側X2の部分)に配置される。後側装置130は、例えばリアストラット21の後側X2の端部の近傍に配置され、フロントストラット22の前後方向Xにおける中央と後側X2端部との間の部分に配置される。後側装置130は、図8および図9に示す例では前側装置30(図3および図4参照)に対して、上下方向Zにほぼ逆に設けられ、前後方向Xにほぼ逆に設けられる。図9に示すように、後側装置130は、第1ブラケット140と、第2ブラケット160と、接続ピン170と、を備える。
【0039】
第1ブラケット140は、図4に示す前側装置30の第2ブラケット60を、上下方向Zおよび前後方向Xのそれぞれに逆にしたように構成される。具体的には例えば、図9に示すように、第1ブラケット140は、2枚の第1板部141・141と、第2抜止部63(図4参照)と同様の第1抜止部143と、荷重受け部材65(図4参照)と同様の荷重受け部材145と、を備える。荷重受け部材145は、荷重受け部材65(図4参照)と同様(但し上下方向Zに逆)の、第1荷重受け部145aと、第1前後方向ガイド部145bと、を備える。第1ブラケット140は、第2横方向ガイド部69(図4参照)と同様(但し上下方向Zに逆)の第1横方向ガイド部149を備える。
【0040】
第2ブラケット160は、図4に示す前側装置30の第1ブラケット40を上下方向Zおよび前後方向Xのそれぞれに逆にしたように構成される。具体的には例えば、図9に示すように、第2ブラケット160は、1枚の第2板部161と、第1抜止部43(図4参照)と同様の第2抜止部163と、凹部45(図4参照)と同様(但し上下方向Zに逆)の凹部165と、を備える。凹部165は、凹部45(図4参照)と同様(但し上下方向Zに逆)の、第2荷重受け部165aと、第2前後方向ガイド部165bと、を備える。第2ブラケット160は、第1横方向ガイド部49と同様(但し上下方向Zに逆)の第2横方向ガイド部169を備える。
【0041】
接続ピン170は、図3に示す接続ピン70と同様に、図8に示す第1ブラケット140と第2ブラケット160とを接続する。接続ピン170は、第1抜止部143と第2抜止部163(図9参照)とに差し込まれる。
【0042】
(作動)
図1に示すクレーン1は、以下のように作動するように構成される。
【0043】
(リアストラット21とフロントストラット22との接続)
図2に示すリアストラット21とフロントストラット22との接続は、次のように行われる。以下では、作業の手順に沿って説明する。なお、作業の手順は、変更されてもよい。
【0044】
フロントストラット22の長手方向が水平方向または略水平方向となるように、フロントストラット22が配置される。リアストラット21が、例えば補助クレーン(クレーン1の組立分解用の機械)により吊り上げられた状態で、フロントストラット22の上側Z1の面に近づくように下ろされる。すると、前側装置30の第1ブラケット40と第2ブラケット60とが近づけられ、また、後側装置130の第1ブラケット140と第2ブラケット160とが近づけられる。以下では、前側装置30について説明する。
【0045】
図4に示すように、第1ブラケット40と第2ブラケット60とが近づけられたとき、第1板部41の下側Z2端部と、第2板部61の上側Z1端部と、が接触する場合がある。このとき、第1横方向ガイド部49の傾斜部49a(図7参照)と、第2横方向ガイド部69の傾斜部69aと、が接触する場合がある。この状態で、リアストラット21が下げられると、2枚の第2板部61・61の間に第1板部41が差し込まれるように、第1板部41が、横方向Yにガイドされる。
【0046】
凹部45と荷重受け部材65とが近づけられたとき、凹部45の下側Z2端部(入口部分)と、荷重受け部材65の上側Z1部分と、が接触する場合がある。このとき、凹部45の後側X2の下側Z2端部と、第2前後方向ガイド部65bの後側X2の傾斜部65b1と、が接触する場合がある。または、凹部45の前側X1の下側Z2端部と、第2前後方向ガイド部65bの前側X1の傾斜部65b1と、が接触する場合がある。この状態で、リアストラット21が下げられると、凹部45の内側に荷重受け部材65が差し込まれるように、凹部45が、前後方向Xにガイドされる。
【0047】
凹部45と荷重受け部材65とが近づけられたとき、凹部45の第1前後方向ガイド部45bの傾斜部45b1と、荷重受け部材65と、が接触する場合がある。この状態で、リアストラット21が下げられると、第1荷重受け部45aに対する第2荷重受け部65aの前後方向Xのずれが減るように、凹部45が、前後方向Xにガイドされる。
【0048】
リアストラット21が下げられると、第1荷重受け部45aが、第2荷重受け部65aに接触する。すると、リアストラット21の荷重(自重)が、荷重受け部材65によって受けられる。このとき、第1抜止部43の孔部43aと第2抜止部63の孔部63aとに接続ピン70(図6参照)を着脱可能となるように、第1抜止部43と第2抜止部63との位置が合う。この状態で、図6に示すように、接続ピン70が、第1抜止部43と第2抜止部63とに差し込まれる。このとき、リアストラット21を補助クレーンで吊り上げながら、第1抜止部43と第2抜止部63との位置を合わせ、接続ピン70を差し込む必要がない。よって、第1抜止部43と第2抜止部63との位置合わせの作業、および接続ピン70の差し込みの作業を容易に行うことができる。
【0049】
第1抜止部43と第2抜止部63とに接続ピン70が差し込まれた状態で、取付ピン(図示なし)が、取付ピン孔63c(図5参照)に取り付けられる。すると、図3に示す接続ピン70が、第1ブラケット40と第2ブラケット60とに固定される。図2に示す前側装置30と同様に、後側装置130でも、第1ブラケット140と第2ブラケット160とが、接続ピン170(図8参照)により接続される。その結果、リアストラット21が、フロントストラット22に対して接続され、保持される。
【0050】
(リアストラット21とフロントストラット22との切り離し)
上記のリアストラット21とフロントストラット22との接続の手順とは逆の手順、または略逆の手順により、リアストラット21とフロントストラット22との切り離しが行われる。
【0051】
(リアストラット21とフロントストラット22との接続および切り離しの例)
クレーン1(図1参照)の輸送時には、リアストラット21とフロントストラット22とが、互いに接続された状態で(一体的に)輸送される。次に、一体となったリアストラット21とフロントストラット22とが、図示しない輸送車両(トレーラなど)から降ろされる。このとき、補助クレーンが、一体となったリアストラット21とフロントストラット22とを吊り上げる。このとき、リアストラット21とフロントストラット22とが互いに接続されているので、補助クレーンがリアストラット21を吊り上げると、フロントストラット22も吊り上げられる。次に、フロントストラット22が、ブーム13(図1参照)の先端部に取り付けられる。なお、図1に示すようにフロントストラット22が下部ジブ15aに直接接続されている場合は、下部ジブ15aがブーム13に取り付けられる結果、フロントストラット22が下部ジブ15aを介してブーム13に取り付けられてもよい。次に、図2に示すリアストラット21が、フロントストラット22から切り離される。次に、リアストラット21が、補助クレーンで吊り上げられ、ブーム13(図1参照)の先端部に取り付けられる。この手順とは逆の手順により、リアストラット21およびフロントストラット22が、ブーム13(図1参照)から取り外され、輸送される。
【0052】
(リアストラット21が単独で吊り上げられた状態について)
図10に示すように、第1前後方向ガイド部45bは、第1抜止部43よりも、リアストラット21の長手方向(前後方向X)内側に配置されることが好ましい。その理由は次の通りである。
【0053】
リアストラット21とフロントストラット22とが互いに切り離された状態で、リアストラット21の前後方向X中央部が吊り上げられる場合がある。この場合、リアストラット21は、リアストラット21の自重によって、上側Z1に凸にたわむ。さらに詳しくは、リアストラット21の前後方向X中央部に対して、リアストラット21の前後方向X外側部分(前側X1部分および後側X2部分)が、下側Z2にたわむ。すると、リアストラット21の前後方向X中央部を基準とした、第1ブラケット40の位置(さらに詳しくは、前後方向X位置、および前後方向Xに対する角度)が変化する。以下、この変化を単に「第1ブラケット40の位置の変化」などという(第1前後方向ガイド部45bについても同様)。ここで、リアストラット21の下側Z2へのたわみの量は、リアストラット21の前後方向X中央部から外側(前側X1、後側X2)に離れるほど大きい。そのため、第1ブラケット40が、リアストラット21の前後方向X内側(前後方向X中央部に近い側)に配置されるほど、リアストラット21がたわんだときの第1ブラケット40の位置の変化を小さくできる。
【0054】
第1ブラケット40のうち、リアストラット21が吊り上げられた状態で用いられる部分は、第1前後方向ガイド部45bである。そこで、第1前後方向ガイド部45b(凹部45)は、リアストラット21のできるだけ前後方向X内側に配置されることが好ましい。これにより、リアストラット21がたわんでいない状態に対して、リアストラット21がたわんだときの第1前後方向ガイド部45bの位置の変化を小さくできる。よって、荷重受け部材65が、凹部45に入りやすくなり、第1前後方向ガイド部45bに接触しやすくなり、ガイドを適切に行える。また、荷重受け部材65が凹部45に入りやすくなるので、第1前後方向ガイド部45bを(凹部45を)小さくできる。さらに詳しくは、図4に示す傾斜部45b1・45b1どうしの前後方向Xの間隔を狭くすることができる。その結果、第1ブラケット40を小型化することができる。
【0055】
リアストラット21がフロントストラット22に向かって下げられると、第1荷重受け部45aおよび第2荷重受け部65aによりリアストラット21の荷重が受けられる。すると、図10に示すリアストラット21の、上側Z1に凸のたわみが、なくなる(図2参照)。この状態で、接続ピン70(図3参照)が、第1抜止部43に差し込まれる。そのため、第1抜止部43は、リアストラット21の前後方向X内側に配置される必要はない。
【0056】
したがって、第1前後方向ガイド部45bは、第1抜止部43よりも、リアストラット21の長手方向内側(具体的には後側X2)に配置されることが好ましい。前側装置30の第2ブラケット60では、第2前後方向ガイド部65bは、第2抜止部63よりもフロントストラット22の長手方向内側(具体的には後側X2)に配置されることが好ましい。後側装置130の第1ブラケット140では、第1前後方向ガイド部145bは、第1抜止部143よりも前側X1に配置されることが好ましい。後側装置130の第2ブラケット160では、第2前後方向ガイド部165bは、第2抜止部163よりも前側X1に配置されることが好ましい。
【0057】
(寸法管理)
荷重受け部(図4に示す第1荷重受け部45aを参照)と抜止部(図4に示す第1抜止部43を参照)とが別々のブラケット(以下、「個別ブラケット」という)に設けられる場合について検討する。これらの個別ブラケットが、図2に示すリアストラット21の前後方向Xの両側(前後)の、横方向Yの両側(左右)に、溶接により固定される(製缶される)とする。この場合、個別ブラケットが、リアストラット21の前後4か所、左右合計で8か所に固定される。そのため、個別ブラケットの取付位置の公差(製缶公差)の積み上げにより、各個別ブラケットの位置合わせが難しい。具体的には、フロントストラット22の荷重受け部(図4に示す第2荷重受け部65aを参照)に対する、リアストラット21の荷重受け部の、前後方向Xのずれが生じやすい。また、フロントストラット22の抜止部(図4に示す第2抜止部63を参照)に対する、リアストラット21の抜止部の、前後方向Xのずれが生じやすい。そのため、リアストラット21への個別ブラケットの固定位置の寸法管理を厳密にする必要があり(公差の精度要求が高く)、個別ブラケットの取付作業が難しい。
【0058】
また、リアストラット21の荷重受け部とフロントストラット22の荷重受け部との前後方向Xのずれが大きい場合、リアストラット21(またはフロントストラット22)と荷重受け部との溶接部を切り離し、溶接をやり直す必要が生じ得る。また、リアストラット21の抜止部とフロントストラット22の抜止部との前後方向Xのずれが大きく、接続ピン70を着脱できない場合も、リアストラット21(またはフロントストラット22)と抜止部との溶接部を切り離し、溶接をやり直す必要が生じ得る。また、リアストラット21の抜止部とフロントストラット22の抜止部との前後方向Xのずれが大きくても接続ピン70を着脱できるようにするために、抜止部の長孔(図4に示す孔部43aを参照)を前後方向Xに長くすることが考えられる。しかし、この場合、リアストラット21とフロントストラット22とが互いに接続された状態のときに(例えば輸送時に)、フロントストラット22に対するリアストラット21のガタツキが大きくなるおそれがある。
【0059】
一方、本実施形態の構造物保持装置20では、図4に示すように、第1荷重受け部45aと第1抜止部43とが、一体の(共通の)第1ブラケット40に設けられる。そのため、荷重受け部と抜け止め部とが別々の個別ブラケットに設けられる場合に比べ、ブラケット(第1ブラケット40など)の数を半分にできる。具体的には例えば、図2に示すように、リアストラット21の前側X1部分に第1ブラケット40が固定され、リアストラット21の後側X2部分に第1ブラケット140が固定される。この場合、リアストラット21の前後2か所、左右合計で4か所にブラケットが固定される。そのため、個別ブラケットが設けられる場合に比べ、ブラケットの取付位置の公差の精度要求が半分になる。よって、各ブラケット(第1ブラケット40など)の位置合わせが容易になる。具体的には、図4に示す第2荷重受け部65aに対する第1荷重受け部45aの位置が合いやすい。また、第2抜止部63に対する第1抜止部43の位置が合いやすい。よって、ブラケットの溶接をやり直す必要性を抑制することができる。また、第2抜止部63に対する第1抜止部43の位置が合いやすいので、孔部43aの前後方向Xの長さを短くすることができる。よって、リアストラット21とフロントストラット22とが互いに接続された状態のときの(例えば輸送時の)、フロントストラット22に対するリアストラット21のガタツキを抑制することができる。なお、構造物保持装置20では、上記の作用の一部のみが得られてもよい。
【0060】
(効果)
図2に示す構造物保持装置20による効果は次の通りである。
【0061】
(第1の発明の効果)
構造物保持装置20は、リアストラット21(第1構造物)と、フロントストラット22(第2構造物)と、第1ブラケット40と、第2ブラケット60と、接続ピン70(図3参照)と、を備える。リアストラット21は、前後方向Xに延びるように配置される。フロントストラット22は、リアストラット21に上下方向Zに重ねられ、前後方向Xに延びるように配置される。第1ブラケット40は、リアストラット21に設けられる。第2ブラケット60は、フロントストラット22に設けられる。図3に示すように、接続ピン70は、第1ブラケット40と第2ブラケット60とを接続するためのものである。
【0062】
[構成1]図4に示すように、第1ブラケット40は、第1抜止部43と、第1荷重受け部45aと、を備える。第1抜止部43は、接続ピン70を差し込み可能な孔部43aを備える。第1荷重受け部45aは、第1抜止部43と一体的に設けられている。第2ブラケット60は、第2抜止部63と、第2荷重受け部65aと、を備える。第2抜止部63は、接続ピン70(図3参照)を差し込み可能な孔部63aを備える。第2荷重受け部65aは、第1荷重受け部45aに接触可能であり、第2抜止部63と一体的に設けられている。図6に示すように、第1抜止部43および第2抜止部63は、第1荷重受け部45aと第2荷重受け部65aとが接触した状態のときに、第1抜止部43と第2抜止部63とに接続ピン70を着脱可能に配置される。
【0063】
上記[構成1]による効果は、次の通りである。荷重受け部と抜止部とが個別のブラケット(個別ブラケット)として、図2に示すリアストラット21に設けられる場合は、リアストラット21への荷重受け部の取付位置に対する、リアストラット21への抜止部の取付位置の寸法管理が必要である。フロントストラット22への個別ブラケットの取付位置についても同様である。一方、上記[構成1]では、図4に示すように、第1荷重受け部45aと第1抜止部43とが一体的に第1ブラケット40に設けられ、第2荷重受け部65aと第2抜止部63とが一体的に第2ブラケット60に設けられる。よって、リアストラット21への第1荷重受け部45aの取付位置に対する、リアストラット21への第1抜止部43の取付位置の寸法管理は不要である。また、フロントストラット22への第2荷重受け部65aの取付位置に対する、フロントストラット22への第2抜止部63の取付位置の寸法管理は不要である。よって、荷重受け部と抜止部とが個別ブラケットとして設けられる場合に比べ、次の効果が得られる。構造物保持装置20により、構造物(リアストラット21、フロントストラット22)へのブラケット(第1ブラケット40、第2ブラケット60)の取付位置に関する寸法管理の必要箇所を削減する(無くす、または減らす)ことができる。その結果、リアストラット21およびフロントストラット22を含む構造物保持装置20の製造を容易に行うことができる。
【0064】
上記[構成1]では、第1荷重受け部45aと第1抜止部43とが共通の第1ブラケット40に設けられるので、荷重受け部と抜止部とが個別ブラケットとされる場合に比べ、第1荷重受け部45aと第1抜止部43との相対位置の精度を高くすることができる。同様に、第2荷重受け部65aと第2抜止部63との相対位置の精度を高くすることができる。よって、第1荷重受け部45aと第2荷重受け部65aとが接触したときに、第1抜止部43と第2抜止部63との位置を容易に合わせることができる。よって、第1抜止部43と第2抜止部63とに接続ピン70(図3参照)を容易に差し込むことができる。
【0065】
上記構成により、次の効果が得られてもよい。複数の荷重受け部、および複数の抜止部のそれぞれが個別ブラケットとしてリアストラット21に取り付けられる場合は、個別ブラケットの数が多いほど、寸法管理の必要箇所が増える。フロントストラット22に個別ブラケットが取り付けられる場合も同様である。一方、上記[構成1]の第1ブラケット40がリアストラット21に複数設けられ、第2ブラケット60がフロントストラット22に複数設けられる場合は、複数の第1ブラケット40どうしの寸法、および複数の第2ブラケット60どうしの寸法を管理すればよい。よって、第1ブラケット40および第2ブラケット60のそれぞれが複数設けられる場合でも、荷重受け部および抜止部のそれぞれが複数の個別ブラケットとして設けられる場合に比べ、寸法管理が必要な箇所を削減することができる。
【0066】
(第2の発明の効果)
[構成2]第1ブラケット40は、第1前後方向ガイド部45bを備える。第2ブラケット60は、第2前後方向ガイド部65bを備える。第1前後方向ガイド部45bおよび第2前後方向ガイド部65bは、第1荷重受け部45aと第2荷重受け部65aとが近づいたときに、第1抜止部43に対する第2抜止部63の、前後方向Xにおける位置のずれを減らす向きにガイドする。
【0067】
上記[構成2]により、第1荷重受け部45aと第2荷重受け部65aとを近づけたときに、第1抜止部43に対する第2抜止部63の、前後方向Xにおける位置のずれが減る。よって、第1抜止部43と第2抜止部63とに、より確実に接続ピン70(図3参照)を差し込むことができる。
【0068】
(第3の発明の効果)
[構成3]図10に示すように、第1前後方向ガイド部45bは、第1抜止部43よりも、前後方向Xにおけるリアストラット21の中央部に近い側に配置される。
【0069】
上記[構成3]により次の効果が得られる。リアストラット21が吊り上げられ、上側Z1に凸にたわむ場合がある。このとき、リアストラット21の前後方向X中央部を基準とした下側Z2へのたわみの量は、リアストラット21の前後方向X中央部に近い側ほど小さい。そこで、上記[構成3]では、リアストラット21の下側Z2へのたわみができるだけ小さい位置に、第1前後方向ガイド部45bが配置される。よって、リアストラット21がたわんでいない状態に対する、リアストラット21がたわんだ状態のときの、第1前後方向ガイド部45bの位置の変化を抑制できる。よって、リアストラット21が吊り上げられ、上側Z1に凸にたわんだ場合でも、図4に示す第1前後方向ガイド部45bによるガイド(上記[構成2]を参照)を確実に行える。
【0070】
(第4の発明の効果)
[構成4]構造物保持装置20は、締結部材50を備える。締結部材50は、リアストラット21に対して第1ブラケット40を前後方向Xに位置調整可能に締結する。
【0071】
上記[構成4]により、リアストラット21に対する第1ブラケット40の前後方向Xの位置を容易に調整することができる。その結果、第1抜止部43と第2抜止部63との相対位置を容易に調整することができる。よって、第1抜止部43と第2抜止部63とに、確実に接続ピン70(図3参照)を差し込むことができる。また、仮に第1抜止部43と第2抜止部63とに接続ピン70を差し込めない程度に、第1抜止部43と第2抜止部63とがずれていても、接続ピン70を差し込めるように、第1抜止部43と第2抜止部63との相対位置を容易に調整できる。
【0072】
なお、締結部材50は、フロントストラット22に対して第2ブラケット60を前後方向Xに位置調整可能に締結してもよい。この場合も、上記[構成4]によって得られる効果と同様の効果が得られる。
【0073】
(第5の発明の効果)
[構成5]図6に示すように、第1抜止部43の孔部43aは、前後方向Xに長い長孔である。
【0074】
上記[構成5]により、第1抜止部43の孔部43aの中心(横方向Yから見た図心)と第2抜止部63の孔部63aの中心とがずれていても、第1抜止部43と第2抜止部63とに接続ピン70を差し込みやすい。
【0075】
ここで、上記[構成1]では、個別ブラケットが設けられる場合に比べ、第1抜止部43と第2抜止部63とに接続ピン70を容易に差し込むことができる。よって、個別ブラケットが設けられる場合に比べ、上記[構成5]の孔部43aの前後方向Xの長さを短くしても、第1抜止部43と第2抜止部63とに接続ピン70を容易に差し込むことができる。よって、孔部43aの前後方向Xの長さを短くした場合、第1ブラケット40と第2ブラケット60とが接続ピン70により接続された状態での、第1ブラケット40と第2ブラケット60とのガタツキを抑制できる。その結果、フロントストラット22とリアストラット21とが接続された状態での、フロントストラット22に対するリアストラット21のガタツキを抑制できる。
【0076】
なお、第2抜止部63の孔部63aが、前後方向Xに長い長孔でもよい。この場合も、上記[構成5]によって得られる効果と同様の効果が得られる。
【0077】
(第6の発明の効果)
[構成6]「第1構造物」および「第2構造物」の一方は、図1に示すクレーン1のフロントストラット22である。「第1構造物」および「第2構造物」のうちフロントストラット22とは異なる方は、クレーン1のリアストラット21である。
【0078】
上記[構成6]により、リアストラット21およびフロントストラット22を製造するときに、ブラケット(第1ブラケット40、第2ブラケット60)の取付位置に関する寸法管理の必要箇所を削減することができる。
【0079】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、上記実施形態の各構成要素の配置や形状が変更されてもよい。例えば、構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、構成要素どうしの固定や連結などは、直接的でも間接的でもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。
【0080】
図2に示す構造物保持装置20が設けられる構造物は、図1に示すリアストラット21およびフロントストラット22以外の、クレーン1の起伏部材でもよい。構造物保持装置20が設けられる構造物は、ブーム13の少なくとも一部でもよく、ジブ15の少なくとも一部でもよく、マスト14aでもよく、ガントリ(図示なし)でもよい。具体的には例えば、構造物保持装置20が設けられる構造物は、複数の中間ブーム13bでもよく、複数の中間ジブ15bでもよい。例えば、ブーム13(またはジブ15)が分解された状態で保管されるときに、複数の中間ブーム13b(または中間ジブ15b)が上下に重ねられた状態とされる場合があるところ、この場合に構造物保持装置20を用いることができる。構造物保持装置20が設けられる構造物は、クレーン1の起伏部材以外の構造物でもよく、クレーン1以外の作業機械の構造物でもよく、作業機械以外の構造物でもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 クレーン
20 構造物保持装置
21 リアストラット(第1構造物)
22 フロントストラット(第2構造物)
40、140 第1ブラケット
43、143 第1抜止部
43a、63a 孔部
45a、145a 第1荷重受け部
45b、145b 第1前後方向ガイド部(前後方向ガイド部)
50 締結部材
60、160 第2ブラケット
63、163 第2抜止部
65a、165a 第2荷重受け部
65b、165b 第2前後方向ガイド部(前後方向ガイド部)
70 接続ピン
X 前後方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10