(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】電子ユニット、電子ユニットの製造方法及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20231003BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20231003BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20231003BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20231003BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
H05K7/20 A
H05K5/00 B
H01L23/36 D
H01L23/02 G
G06F1/20 C
(21)【出願番号】P 2019161470
(22)【出願日】2019-09-04
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宗 毅志
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-144233(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0093503(KR,A)
【文献】特開2016-105439(JP,A)
【文献】特開平11-163186(JP,A)
【文献】特開平06-021278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H05K 5/00
H01L 23/36
H01L 23/02
G06F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に半田バンプを介して接合された電子装置と、
前記基板に固定され、前記電子装置を収容するカバーと、
を備え、
前記電子装置は、前記基板と反対側に第一天井部を有し、
前記カバーは、前記第一天井部と対向する第二天井部を有し、
前記第一天井部又は前記第二天井部には、前記第一天井部と前記第二天井部との対向方向に延び、前記第一天井部の周方向に沿って環状を成す環状部材が設けられ、
前記環状部材の内側における前記第一天井部と前記第二天井部との間の隙間には、充填材が充填され、
前記第二天井部には、前記第二天井部の平面視で前記充填材と重なる位置に貫通孔が形成されて
おり、
前記電子装置は、
前記基板に前記半田バンプを介して接合された電子部品と、
前記電子部品に前記基板と反対側から接合され、前記第一天井部を有するヒートシンクと、
を有し、
前記ヒートシンクは、押圧機構によって前記電子部品側に押圧されており、
前記充填材が前記ヒートシンクを前記電子部品側に押圧する押圧力は、前記押圧機構が前記ヒートシンクを前記電子部品側に押圧する押圧力よりも弱い力に設定されている、
電子ユニット。
【請求項2】
前記カバーは、ダクト状である、
請求項1に記載の電子ユニット。
【請求項3】
前記第二天井部には、複数の前記貫通孔が形成されている、
請求項1又は請求項2に記載の電子ユニット。
【請求項4】
基板に半田バンプを介して電子装置を接合し、
前記電子装置における前記基板と反対側の第一天井部、又は、前記基板に固定され、前記電子装置を収容するカバーにおける前記第一天井部と対向する第二天井部に、前記第一天井部と前記第二天井部との対向方向に延び、前記第一天井部の周方向に沿って環状を成す環状部材を設け、
前記第二天井部に形成された貫通孔を通じて前記環状部材の内側における前記第一天井部と前記第二天井部との間の隙間に充填材を充填する、
ことを含み、
前記電子装置は、
前記基板に前記半田バンプを介して接合された電子部品と、
前記電子部品に前記基板と反対側から接合され、前記第一天井部を有するヒートシンクと、
を有し、
前記ヒートシンクは、押圧機構によって前記電子部品側に押圧されており、
前記充填材が前記ヒートシンクを前記電子部品側に押圧する押圧力を、前記押圧機構が前記ヒートシンクを前記電子部品側に押圧する押圧力よりも弱い力に設定する、
電子ユニットの製造方法。
【請求項5】
スロットを有する電子機器本体と、
前記スロットに挿入される電子ユニットと、
を含み、
前記電子ユニットは、
基板と、
前記基板に半田バンプを介して接合された電子装置と、
前記基板に固定され、前記電子装置を収容するカバーと、
を備え、
前記電子装置は、前記基板と反対側に第一天井部を有し、
前記カバーは、前記第一天井部と対向する第二天井部を有し、
前記第一天井部又は前記第二天井部には、前記第一天井部と前記第二天井部との対向方向に延び、前記第一天井部の周方向に沿って環状を成す環状部材が設けられ、
前記環状部材の内側における前記第一天井部と前記第二天井部との間の隙間には、充填材が充填され、
前記第二天井部には、前記第二天井部の平面視で前記充填材と重なる位置に貫通孔が形成されており、
前記電子装置は、
前記基板に前記半田バンプを介して接合された電子部品と、
前記電子部品に前記基板と反対側から接合され、前記第一天井部を有するヒートシンクと、
を有し、
前記ヒートシンクは、押圧機構によって前記電子部品側に押圧されており、
前記充填材が前記ヒートシンクを前記電子部品側に押圧する押圧力は、前記押圧機構が前記ヒートシンクを前記電子部品側に押圧する押圧力よりも弱い力に設定されている、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示する技術は、電子ユニット、電子ユニットの製造方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板と、基板に半田バンプを介して接合された電子装置と、基板に固定され、電子装置を収容するカバーとを備える電子ユニットがある(例えば、特許文献1参照)。この電子ユニットにおいて、電子装置は、基板と反対側に第一天井部を有しており、カバーは、第一天井部と対向する第二天井部を有している。第一天井部と第二天井部との間には、伝熱シートが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-68029号公報
【文献】特開2004-247669号公報
【文献】特開2016-178285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記電子ユニットでは、例えば、伝熱シートの厚さが規定の厚さよりも厚い場合、又は、第一天井部と第二天井部との間の隙間が規定の隙間よりも狭い場合には、伝熱シートによって電子装置が基板側に押圧されることで半田バンプに負荷が加わる虞がある。
【0005】
本願の開示する技術は、一つの側面として、半田バンプに加わる負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願の開示する技術の一観点に係る電子ユニットは、基板と、基板に半田バンプを介して接合された電子装置と、基板に固定され、電子装置を収容するカバーとを備える。電子装置は、基板と反対側に第一天井部を有し、カバーは、第一天井部と対向する第二天井部を有する。第一天井部又は第二天井部には、第一天井部と第二天井部との対向方向に延び、第一天井部の周方向に沿って環状を成す環状部材が設けられている。環状部材の内側における第一天井部と第二天井部との間の隙間には、充填材が充填されている。第二天井部には、第二天井部の平面視で充填材と重なる位置に貫通孔が形成されており、電子装置は、基板に半田バンプを介して接合された電子部品と、電子部品に基板と反対側から接合され、第一天井部を有するヒートシンクと、を有し、ヒートシンクは、押圧機構によって電子部品側に押圧されており、充填材がヒートシンクを電子部品側に押圧する押圧力は、押圧機構がヒートシンクを電子部品側に押圧する押圧力よりも弱い力に設定されている。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する技術によれば、半田バンプに加わる負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本願の開示する技術の一実施形態に係る電子機器の斜視図である。
【
図3】ヒートシンクを電子部品側に押圧する押圧機構の一例を示す縦断面図である。
【
図4】第一例に係る電子ユニットの製造方法を説明する図である。
【
図6】第二例に係る電子ユニットの製造方法を説明する図である。
【
図8】第三例に係る電子ユニットの製造方法を説明する図である。
【
図10】第四例に係る電子ユニットの製造方法を説明する図である。
【
図11】第五例に係る電子ユニットの縦断面図である。
【
図12】比較例に係る電子ユニットの縦断面図である。
【
図13】比較例に係る電子ユニットの製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
はじめに、本願の開示する技術の一実施形態に係る電子機器の構成を説明する。
【0010】
図1は、本願の開示する技術の一実施形態に係る電子機器1の斜視図である。
図1に示されるように、本実施形態に係る電子機器1は、電子ユニット10と、電子機器本体100とを備える。矢印W方向は、電子機器1の幅方向に相当し、矢印L方向は、電子機器1の長さ方向に相当し、矢印H方向は、電子機器1の高さ方向に相当する。
【0011】
電子機器本体100は、筐体102と、マザーボード104と、複数のファン106とを備える。筐体102は、直方体状に形成されており、マザーボード104及び複数のファン106は、筐体102の内側に収容されている。マザーボード104は、筐体102の底部に沿って配置されており、複数のファン106は、筐体102の矢印L方向の一端部に配置されている。複数のファン106は、矢印W方向に並んでいる。
【0012】
筐体102には、矢印W方向に並ぶ複数のスロット108が設けられている。各スロット108は、矢印H方向に縦長で、矢印L方向に延びており、複数のファン106と反対側に向けて開口している。
【0013】
電子ユニット10は、一例として、PCI(Peripheral Component Interconnect)カードである。この電子ユニット10は、後述するように、基板12、電子装置14及びカバー16等を有する。
【0014】
この電子ユニット10は、縦置きの状態でスロット108に挿入される。矢印X方向は、電子ユニット10の幅方向に相当し、矢印Y方向は、電子ユニット10の長さ方向に相当し、矢印Z方向は、電子ユニット10の厚さ方向に相当する。
図1において、矢印X方向は、矢印H方向と同じ方向であり、矢印Y方向は、矢印L方向と同じ方向であり、矢印Z方向は、矢印W方向と同じ方向である。
【0015】
電子ユニット10は、スロット108に挿入された状態で、マザーボード104にコネクタ等を介して電気的に接続される。電子ユニット10がスロット108に挿入された状態で複数のファン106が作動すると、筐体102の内部に矢印L方向に沿って風の流れが生じ、電子ユニット10に風が供給される。
【0016】
次に、電子ユニット10の第一例~第六例を順に説明する。以下の第一例~第六例で説明する各図では、電子ユニット10が横置きで示されている。
【0017】
(第一例)
図2は、電子ユニット10の第一例を示す二面図(縦断面図及び平面図)である。
図2の下側に示される平面図では、切欠線L1によってカバー16の一部が切り欠かれた状態で示されている。
図2に示されるように、電子ユニット10は、基板12と、電子装置14と、カバー16とを備える。
【0018】
基板12は、矢印Z方向を板厚方向として配置されており、矢印X方向及び矢印Y方向に延びている。基板12の板厚方向一方側の面12Aには、電子装置14及びカバー16が設けられている。
図2の下側に示される平面図では、基板12の図示が省略されている。
【0019】
電子装置14は、電子部品18と、ヒートシンク20とを有する。電子部品18は、一例として、半導体チップである。この電子部品18は、複数の半田バンプ22を介して基板12に接合されている。
【0020】
ヒートシンク20は、例えば、アルミニウム等の放熱性の高い金属で形成されている。このヒートシンク20は、ベース部24と、複数のフィン26と、第一天井部28とを有する。ベース部24は、電子部品18に基板12と反対側から接合されている。ベース部24と電子部品18との間には、シート状の伝熱部材30が設けられており、ヒートシンク20は、より具体的には、伝熱部材30を介して電子部品18と接合されている。
【0021】
複数のフィン26は、ベース部24から基板12と反対側に向けて延びている。この複数のフィン26は、矢印X方向に並んでいる。複数のフィン26の間には、矢印Y方向に延びる通風路32が形成されている。
【0022】
第一天井部28は、基板12と反対側に位置しており、複数のフィン26の先端部に接続されている。この第一天井部28は、平面視で四角形の板状に形成されている。第一天井部28は、矢印Z方向を板厚方向として配置されており、矢印X方向及び矢印Y方向に延びている。
【0023】
図3は、
図2のヒートシンク20を電子部品18側に押圧する押圧機構34の一例を示す縦断面図である。
図3において、ヒートシンク20は、
図2とは異なる位置で切断された断面で示されている。
図3では、
図2のカバー16、環状部材52、充填材54及び閉塞部材58の図示が省略されている。
【0024】
図3に示されるように、電子ユニット10は、押圧機構34を備える。ヒートシンク20のベース部24には、矢印X方向の両側に延出する一対の延出部36が形成されている。各延出部36には、矢印Z方向に貫通する孔38が形成されている。また、基板12には、孔38と同軸上にネジ孔40が設けられている。
【0025】
押圧機構34は、複数の押圧部42を有する。各押圧部42は、ボルト44と、バネ46とを有する。孔38には、基板12と反対側からボルト44が挿入されており、ボルト44の先端部は、ネジ孔40に螺入されている。バネ46は、コイルバネであり、ボルト44に装着されている。このバネ46は、ボルト44の頭部44Aと延出部36との間に圧縮状態で設けられている。バネ46は、ヒートシンク20を電子部品18側に押圧している。
【0026】
この押圧機構34では、ネジ孔40へのボルト44の螺入量が調節されることにより、バネ46の圧縮量、ひいては、バネ46の弾性力が調節され、これにより、ヒートシンク20に対する電子部品18側への押圧力F2が調節される。本例では、伝熱部材30を介してヒートシンク20を電子部品18に適切な圧力で押圧しつつ、複数の半田バンプ22に負荷が加わらないように、ヒートシンク20に対する押圧力F2が調節されている。
【0027】
図2に戻り、カバー16は、例えば、アルミニウム等の放熱性の高い金属で形成されている。このカバー16は、一対の側壁部48と、第二天井部50とを有する。一対の側壁部48は、矢印X方向に対向して配置されている。一対の側壁部48の下端部は、基板12に固定されており、第二天井部50は、一対の側壁部48の上端部に接続されている。この第二天井部50は、平面視で四角形の板状に形成されている。第二天井部50は、矢印Z方向を板厚方向として配置されており、矢印X方向及び矢印Y方向に延びている。
【0028】
カバー16の内側には、電子装置14が収容されており、第二天井部50は、矢印Z方向に第一天井部28と対向している。第一天井部28には、第一天井部28と第二天井部50との対向方向に延び、第一天井部28の周方向に沿って環状を成す環状部材52が設けられている。
【0029】
環状部材52は、第一天井部28に対して第二天井部50の側に突出している。この環状部材52は、一例として、第一天井部28の周方向に沿って第一天井部28に環状に巻かれたテープ材である。この環状部材52における第二天井部50側の端部は、第二天井部50に接触している。
【0030】
環状部材52は、テープ材とされることにより、可撓性を有する。環状部材52が可撓性を有することにより、寸法のばらつき等によって第一天井部28と第二天井部50との間の隙間が規定の隙間より狭い場合でも、環状部材52が撓む。したがって、この環状部材52によってヒートシンク20が電子部品18側に押圧されることを抑制できる。
【0031】
環状部材52の内側における第一天井部28と第二天井部50との間の隙間には、充填材54が充填されている。充填材54は、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に充填された状態において、液状及び半液状のいずれでもよい。また、充填材54は、コンパウンドのような高粘度の液体でもよい。充填材54は、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に充填される際には、液状又は半液状とされる。
【0032】
また、充填材54は、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に充填された後に硬化して固体状となってもよい。固体状の充填材54の場合、充填材54は、熱硬化型でもよく、また、常温硬化型でもよい。さらに、充填材54は、一液性でもよく、また、二液性でもよい。充填材54は、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に充填された状態において、第一天井部28及び第二天井部50に接触している。
【0033】
このように、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に充填材54が充填されていると、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に風が流入することを充填材54によって抑制できる。これにより、複数のフィン26の間の通風路32を流れる風の流量を増加させることができるので、ヒートシンク20の冷却効率を向上させることができる。
【0034】
また、この充填材54は、伝熱性を有する熱接合材でもよい。充填材54が伝熱性を有すると、ヒートシンク20の熱がカバー16に伝達され、電子部品18の冷却性を向上させることができる。
【0035】
図2に示される押圧力F1は、充填材54がヒートシンク20を電子部品18側に押圧する押圧力である。後述するように、充填材54がヒートシンク20を電子部品18側に押圧する押圧力F1は、上述の押圧機構34(
図3参照)がヒートシンク20を電子部品18側に押圧する押圧力F2よりも弱い力に設定されている。
【0036】
図2の下図に示されるように、充填材54は、環状部材52の周方向に亘って環状部材52の内周面に接触するように、環状部材52の内側に充填されている。この充填材54を覆う第二天井部50には、複数の貫通孔56が形成されている。複数の貫通孔56は、第二天井部50の平面視で充填材54と重なる位置に形成されている。すなわち、この複数の貫通孔56は、第二天井部50の平面視で充填材54の外周縁54Aよりも内側に位置している。
【0037】
第二天井部50には、一例として、二つの貫通孔56が形成されているが、貫通孔56の数は、三つ以上でもよい。この複数の貫通孔56は、充填材54を注入するための注入孔、及び、充填材54を注入する際の空気抜き孔として機能する。すなわち、複数の貫通孔56のうち一の貫通孔56は、充填材54を注入するための注入孔として機能し、複数の貫通孔56のうち他の貫通孔56は、充填材54を注入する際の空気抜き孔として機能する。
【0038】
一対の側壁部48とヒートシンク20との間の隙間、及び、基板12とヒートシンク20との間の隙間には、閉塞部材58がそれぞれ充填されている。閉塞部材58は、例えば、発泡材又はシート材である。
【0039】
このように、閉塞部材58が用いられていると、一対の側壁部48とヒートシンク20との間の隙間、及び、基板12とヒートシンク20との間の隙間に風が流入することを閉塞部材58によって抑制できる。これにより、複数のフィン26の間の通風路32を流れる風の流量を増加させることができるので、ヒートシンク20の冷却効率を向上させることができる。
【0040】
また、この閉塞部材58は、伝熱性を有していてもよい。閉塞部材58が伝熱性を有すると、ヒートシンク20の熱がカバー16に伝達され、電子部品18の冷却性を向上させることができる。
【0041】
カバー16は、矢印Y方向に対向する一対の開口60を有するダクト状に形成されている。上述の複数のファン106(
図1参照)が作動すると、複数のファン106の側に位置する開口60を通じてカバー16の内側に風が供給される。このカバー16の内側に供給された風は、複数のフィン26の間に形成された通風路32を流れ、複数のファン106と反対側に位置する開口60を通じてカバー16の外側に排出される。通風路32に風が流れることにより、ヒートシンク20が冷却され、これにより、電子部品18が冷却される。
【0042】
続いて、第一例に係る電子ユニット10の製造方法を説明する。
【0043】
図4は、第一例に係る電子ユニット10の製造方法を説明する図である。先ず、
図4の工程Aに示されるように、基板12に半田バンプ22を介して電子部品18が接合されると共に、伝熱部材30を介して電子部品18にヒートシンク20が接合される。この基板12への電子部品18の接合と、電子部品18へのヒートシンク20の接合は、どちらが先でもよい。
【0044】
また、ヒートシンク20は、押圧機構34(
図3参照)によって基板12に固定される。さらに、第一天井部28の周方向に沿って第一天井部28に環状にテープ材が巻かれ、このテープ材によって環状部材52が形成される。
【0045】
そして、
図4の工程Bに示されるように、基板12にカバー16が固定され、このカバー16の内側に電子部品18及びヒートシンク20が収容される。このとき、第一天井部28に設けられた環状部材52における第二天井部50側の端部は、第二天井部50に接触する。
【0046】
なお、
図4では、閉塞部材58(
図2参照)の図示を省略している。閉塞部材58は、カバー16が基板12に固定される前に電子部品18及びヒートシンク20に組み付けられるか、又は、カバー16が基板12に固定された後にカバー16の内側に充填される。
【0047】
次いで、第二天井部50に形成された一の貫通孔56にノズル62が接続される。そして、
図4の工程Bから工程Cに示されるように、このノズル62から一の貫通孔56を通じて環状部材52の内側における第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に充填材54が充填される。
【0048】
第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に充填材54が充填されると、充填材54の一部が空気と共に他の貫通孔56から溢れ出ようとする。充填材54の一部が他の貫通孔56から溢れ出る直前に充填材54の充填が停止される。これにより、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に充填された充填材54の圧力上昇が抑制される。
【0049】
このように、充填材54の圧力上昇が抑制されることにより、充填材54がヒートシンク20を電子部品18側に押圧する押圧力F1を、押圧機構34(
図3参照)がヒートシンク20を電子部品18側に押圧する押圧力F2よりも弱い力に抑えることができる。
【0050】
続いて、第一例に係る電子ユニット10の作用及び効果を説明する。
【0051】
はじめに、第一例に係る電子ユニット10の作用及び効果を明確にするために、
図12、
図13を参照しながら、比較例に係る電子ユニット110を説明する。
【0052】
図12は、比較例に係る電子ユニット110の縦断面図である。
図12に示される比較例に係る電子ユニット110は、上述の第一例に係る電子ユニット10(
図2参照)に対し、環状部材52及び充填材54の代わりに、伝熱シート114が用いられている。伝熱シート114は、例えば、発泡ビニール等の弾性材料で形成されており、第一天井部28と第二天井部50との間に圧縮状態で設けられている。
【0053】
図13は、比較例に係る電子ユニット110の製造方法を説明する図である。
図13に示されるように、比較例に係る電子ユニット110の製造方法では、先ず、
図13の工程Aに示されるように、基板12に半田バンプ22を介して電子部品18が接合されると共に、伝熱部材30を介して電子部品18にヒートシンク20が接合される。
【0054】
また、第二天井部50の下面に伝熱シート114が貼り付けられる。伝熱シート114は、カバー16が基板12に固定されたときの第一天井部28と第二天井部50との間の隙間よりも厚く形成されている。
【0055】
そして、
図13の工程Bに示されるように、基板12にカバー16が固定され、このカバー16の内側に電子部品18及びヒートシンク20が収容される。カバー16が基板12に固定されると、伝熱シート114が弾性圧縮された状態で第一天井部28と第二天井部50とが伝熱シート114を介して接続される。
【0056】
しかしながら、この比較例に係る電子ユニット110の製造方法では、次の問題がある。すなわち、伝熱シート114の厚さが規定の厚さよりも厚い場合、又は、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間が規定の隙間よりも狭い場合には、伝熱シート114によってヒートシンク20が基板12側に押圧される。これにより、半田バンプ22に負荷が加わる虞がある。したがって、半田バンプ22の破損を抑制するためには改良の余地がある。
【0057】
これに対し、
図2~
図4に示される第一例に係る電子ユニット10の製造方法では、第一天井部28に、第一天井部28と第二天井部50との対向方向に延び、第一天井部28の周方向に沿って環状を成す環状部材52が設けられる。そして、第二天井部50に形成された一の貫通孔56を通じて環状部材52の内側における第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に充填材54が充填される。
【0058】
したがって、例えば、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間が規定の隙間よりも狭い場合でも、この隙間の寸法のばらつきを吸収できるので、充填材54によってヒートシンク20が基板12側に押圧されることを抑制できる。これにより、半田バンプ22に負荷が加わることを抑制できるので、半田バンプ22の破損を抑制できる。
【0059】
また、第一例に係る電子ユニット10の製造方法では、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に充填材54が充填され、充填材54の一部が空気と共に他の貫通孔56から溢れ出る直前に充填材54の充填が停止される。したがって、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に充填した充填材54の圧力上昇を抑制できる。これにより、充填材54がヒートシンク20を電子部品18側に押圧する押圧力F1を、押圧機構34(
図3参照)がヒートシンク20を電子部品18側に押圧する押圧力F2よりも弱い力に抑えることができる。
【0060】
また、第一例に係る電子ユニット10では、第一天井部28の周方向に沿って環状を成す環状部材52が第一天井部28に設けられており、充填材54は、環状部材52の内側に充填される。したがって、充填材54が第一天井部28と第二天井部50との間の隙間から流出することを抑制できるので、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間を充填材54で閉塞することができる。これにより、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に風が流入することを充填材54によって抑制できるので、複数のフィン26の間の通風路32を流れる風の流量を増加させることができる。この結果、ヒートシンク20の冷却効率を向上させることができる。
【0061】
また、環状部材52の内側に充填材54を充填することで、第一天井部28に対して第二天井部50の側に突出する環状部材52の形状を保つことができるので、環状部材52の変形を抑制できる。これにより、例えば、充填材54を用いずに環状部材52のみで第一天井部28と第二天井部50との間の隙間を閉塞する場合に比して、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間をより高気密に閉塞することができる。
【0062】
また、第二天井部50には、複数の貫通孔56が形成されている。したがって、充填材54を注入するための貫通孔56と、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間の空気を排出させるための貫通孔56とを別々にできる。これにより、充填材54を注入する貫通孔56から空気が排出されて、この空気と充填材54が干渉して充填材54が飛び散ることを抑制できる。
【0063】
また、環状部材52は、第一天井部28の周方向に沿って第一天井部28に環状に巻かれたテープ材である。したがって、第一天井部28の周方向の長さにばらつきが生じても、このばらつきを吸収して、環状部材52を第一天井部28に取り付けることができる。
【0064】
なお、第一例において、環状部材52は、テープ材以外でもよい。また、環状部材52は、第一天井部28の外周部に設けられるが、第一天井部28よりも小さく形成されて第一天井部28の上面に設けられてもよい。
【0065】
(第二例)
図5は、電子ユニット10の第二例を示す二面図(縦断面図及び平面図)である。
図5の下側に示される平面図では、切欠線L2によってカバー16の一部が切り欠かれた状態で示されている。
図5に示される第二例では、
図2に示される第一例に対し、電子ユニット10の構成が次のように変更されている。すなわち、
図5に示される第二例では、
図2に示される環状部材52の代わりに、環状部材72が用いられている。
【0066】
環状部材72は、例えば、ゴム製であり、弾性を有する。この環状部材72は、一例として、第一天井部28の外周部に装着されたリング部材である。この環状部材72は、第一天井部28と第二天井部50との対向方向に延び、第一天井部28の周方向に沿って環状を成している。環状部材72は、第一天井部28に対して第二天井部50の側に突出している。この環状部材72における第二天井部50側の端部は、第二天井部50に接触している。
【0067】
環状部材72は、例えばゴム製とされることにより、可撓性を有する。環状部材72が可撓性を有することにより、寸法のばらつき等によって第一天井部28と第二天井部50との間の隙間が規定の隙間より狭い場合でも、環状部材72が撓む。したがって、この環状部材72によってヒートシンク20が電子部品18側に押圧されることを抑制できる。
【0068】
図6は、第二例に係る電子ユニット10の製造方法を説明する図である。第二例に係る電子ユニット10の製造方法は、第一天井部28に環状部材72を装着する以外は、上述の第一例に係る電子ユニット10の製造方法と同じである。
【0069】
この第二例に係る電子ユニット10においても、第一例と同様に、環状部材72の内側における第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に充填材54を充填する。したがって、例えば、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間が規定の隙間よりも狭い場合でも、この隙間の寸法のばらつきを吸収できるので、充填材54によってヒートシンク20が基板12側に押圧されることを抑制できる。これにより、半田バンプ22に負荷が加わることを抑制できるので、半田バンプ22の破損を抑制できる。
【0070】
また、この第二例に係る電子ユニット10では、第一天井部28の周方向に沿って環状を成す環状部材72が第一天井部28に設けられており、充填材54は、環状部材72の内側に充填される。したがって、充填材54が第一天井部28と第二天井部50との間の隙間から流出することを抑制できるので、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間を充填材54で閉塞することができる。これにより、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に風が流入することを充填材54によって抑制できるので、複数のフィン26の間の通風路32を流れる風の流量を増加させることができる。この結果、ヒートシンク20の冷却効率を向上させることができる。
【0071】
また、環状部材72の内側に充填材54を充填することで、第一天井部28に対して第二天井部50の側に突出する環状部材72の形状を保つことができるので、環状部材72の変形を抑制できる。これにより、例えば、充填材54を用いずに環状部材72のみで第一天井部28と第二天井部50との間の隙間を閉塞する場合に比して、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間をより高気密に閉塞することができる。
【0072】
また、環状部材72は、弾性を有するリング部材である。したがって、第一天井部28の周方向の長さにばらつきが生じても、このばらつきを吸収して、環状部材72を第一天井部28の外周部に装着することができる。
【0073】
なお、第二例において、環状部材72は、第一天井部28の外周部に装着されるが、例えば、第一天井部28の上面に溝や段部等の環状の装着部が形成される場合には、この環状の装着部に装着されてもよい。
【0074】
(第三例)
図7は、電子ユニット10の第三例を示す二面図(縦断面図及び平面図)である。
図7の下側に示される平面図では、切欠線L3によってカバー16の一部が切り欠かれた状態で示されている。
図7に示される第三例では、
図2に示される第一例に対し、電子ユニット10の構成が次のように変更されている。すなわち、
図7に示される第三例では、
図2に示される環状部材52の代わりに、環状部材82が用いられている。
【0075】
環状部材82は、第二天井部50に設けられている。この環状部材82は、互いに独立した複数の辺部材84を有する枠状体である。複数の辺部材84の個数は、一例として、4個であり、環状部材82は、平面視で四角形状を成している。各辺部材84は、一例として、板状に形成されている。
【0076】
この環状部材82は、第一天井部28と第二天井部50との対向方向に延び、第一天井部28の周方向に沿って環状を成している。環状部材82は、第二天井部50に対して第一天井部28の側に突出している。この環状部材82における第一天井部28側の端部は、第一天井部28の外周部に装着されている。
【0077】
カバー16は、複数の辺部材84と対向する複数の側壁部48、49を有する。一対の側壁部48は、矢印X方向に対向し、一対の側壁部49は、矢印Y方向に対向する。各側壁部49は、カバー16における第二天井部50側に形成されており、一方の側壁部49と基板12との間の隙間、及び、他方の側壁部48と基板12との間の隙間には、それぞれ開口60が形成されている。
【0078】
各辺部材84と側壁部49との間には、弾性を有し、辺部材84を支持する弾性支持部材86が設けられている。この弾性支持部材86は、例えば、コイルバネである。複数の弾性支持部材86が自由状態であるときに、複数の辺部材84は、第一天井部28の外周部に装着(嵌合)し得る大きさ及び形状を有している。
【0079】
各辺部材84の長さ方向の一端部84Aは、環状部材82の環状形状の外側に突出している。この各辺部材84の長さ方向の一端部84Aは、一方に隣接する辺部材84の長さ方向の他端部84Bをスライド可能に支持している。また、各辺部材84の長さ方向の他端部84Bは、他方に隣接する辺部材84の長さ方向の一端部84Aにスライド可能に支持されている。このような構成により、環状部材82は、拡縮可能となっている。
【0080】
図8は、第三例に係る電子ユニット10の製造方法を説明する図である。第三例に係る電子ユニット10の製造方法は、第二天井部50に環状部材82を設ける以外は、上述の第一例に係る電子ユニット10の製造方法と同じである。
【0081】
この第三例に係る電子ユニット10の製造方法では、工程Aに示されるように、カバー16を基板12側に近づけていくと、第二天井部50に設けられた複数の辺部材84における第一天井部28側の端部が第一天井部28に接触する。そして、複数の弾性支持部材86の圧縮変形を伴いながら、環状部材82が拡大する方向に複数の辺部材84がスライドし、環状部材82が第一天井部28の外周部に装着される。
【0082】
この第三例に係る電子ユニット10においても、第一例と同様に、環状部材82の内側における第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に充填材54を充填する。したがって、例えば、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間が規定の隙間よりも狭い場合でも、この隙間の寸法のばらつきを吸収できるので、充填材54によってヒートシンク20が基板12側に押圧されることを抑制できる。これにより、半田バンプ22に負荷が加わることを抑制できるので、半田バンプ22の破損を抑制できる。
【0083】
また、この第三例に係る電子ユニット10では、第一天井部28の周方向に沿って環状を成す環状部材82が第一天井部28の外周部に装着され、充填材54は、環状部材82の内側に充填される。したがって、充填材54が第一天井部28と第二天井部50との間の隙間から流出することを抑制できるので、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間を充填材54で閉塞することができる。これにより、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に風が流入することを充填材54によって抑制できるので、複数のフィン26の間の通風路32を流れる風の流量を増加させることができる。この結果、ヒートシンク20の冷却効率を向上させることができる。
【0084】
また、環状部材82の内側に充填材54を充填することで、環状部材82と第一天井部28との間の隙間、及び、環状部材82と第二天井部50との間の隙間を閉塞することができる。これにより、例えば、充填材54を用いずに環状部材82のみで第一天井部28と第二天井部50との間の隙間を閉塞する場合に比して、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間をより高気密に閉塞することができる。
【0085】
また、環状部材82は、複数の弾性支持部材86によって弾性支持された複数の辺部材84を有する枠状体である。したがって、第一天井部28の周方向の長さにばらつきが生じても、このばらつきを吸収して、環状部材82を第一天井部28の外周部に装着することができる。
【0086】
なお、第四例において、第二天井部50に設けられた環状部材82は、第一天井部28の外周部に装着される。しかしながら、例えば、環状部材82が可撓性を有する場合には、環状部材82が第一天井部28よりも小さく形成されて第一天井部28の上面に接触してもよい。
【0087】
(第四例)
図9は、電子ユニット10の第四例を示す二面図(縦断面図及び平面図)である。
図9の下側に示される平面図では、切欠線L4によってカバー16の一部が切り欠かれた状態で示されている。
図9に示される第四例では、
図2に示される第一例に対し、電子ユニット10の構成が次のように変更されている。すなわち、
図9に示される第四例では、
図2に示される環状部材52の代わりに、環状部材92が用いられている。
【0088】
環状部材92は、第二天井部50に設けられている。この環状部材92は、一例として、発泡材によって形成された枠状を成す枠状部材である。この環状部材92は、平面視で四角形状を成している。
【0089】
この環状部材92は、第一天井部28と第二天井部50との対向方向に延び、第一天井部28の周方向に沿って環状を成している。環状部材92は、第二天井部50に対して第一天井部28の側に突出している。この環状部材92における第一天井部28側の端部は、第一天井部28の外周部に装着されている。
【0090】
図10は、第四例に係る電子ユニット10の製造方法を説明する図である。第四例に係る電子ユニット10の製造方法は、第二天井部50に環状部材92を設ける以外は、上述の第一例に係る電子ユニット10の製造方法と同じである。
【0091】
この第四例に係る電子ユニット10の製造方法では、工程Aに示されるように、カバー16を基板12側に近づけていくと、第二天井部50に設けられた環状部材92における第一天井部28側の端部が第一天井部28に接触する。そして、環状部材92が拡大する方向に変形しながら、この環状部材92が第一天井部28の外周部に装着される。
【0092】
この第四例に係る電子ユニット10においても、第一例と同様に、環状部材52の内側における第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に充填材54を充填する。したがって、例えば、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間が規定の隙間よりも狭い場合でも、この隙間の寸法のばらつきを吸収できるので、充填材54によってヒートシンク20が基板12側に押圧されることを抑制できる。これにより、半田バンプ22に負荷が加わることを抑制できるので、半田バンプ22の破損を抑制できる。
【0093】
また、この第四例に係る電子ユニット10では、第一天井部28の周方向に沿って環状を成す環状部材92が第一天井部28の外周部に装着され、充填材54は、環状部材92の内側に充填される。したがって、充填材54が第一天井部28と第二天井部50との間の隙間から流出することを抑制できるので、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間を充填材54で閉塞することができる。これにより、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間に風が流入することを充填材54によって抑制できるので、複数のフィン26の間の通風路32を流れる風の流量を増加させることができる。この結果、ヒートシンク20の冷却効率を向上させることができる。
【0094】
また、環状部材92の内側に充填材54を充填することで、環状部材92と第一天井部28との間の隙間、及び、環状部材92と第二天井部50との間の隙間を閉塞することができる。これにより、例えば、充填材54を用いずに環状部材92のみで第一天井部28と第二天井部50との間の隙間を閉塞する場合に比して、第一天井部28と第二天井部50との間の隙間をより高気密に閉塞することができる。
【0095】
また、環状部材92は、発泡材によって形成され、枠状を成す枠状部材である。したがって、第一天井部28の周方向の長さにばらつきが生じても、このばらつきを吸収して、環状部材92を第一天井部28の外周部に装着することができる。
【0096】
なお、第五例において、第二天井部50に設けられた環状部材92は、第一天井部28の外周部に装着される。しかしながら、例えば、環状部材92は、第一天井部28よりも小さく形成されて第一天井部28の上面に接触してもよい。
【0097】
(第五例)
図11は、電子ユニット10の第五例を示す縦断面図である。
図11に示される第五例では、
図2に示される第一例に対し、電子ユニット10の構成が次のように変更されている。すなわち、
図11に示される第五例では、貫通孔56を閉止する閉止部材98が用いられている。閉止部材98は、例えば、貫通孔56に嵌合されるキャップ又は逆止弁である。逆止弁は、貫通孔56を通じて充填材54が充填されることを許容しつつ、貫通孔56から充填材54が溢れることを規制する機能を有する。このように、貫通孔56を閉止する閉止部材98が用いられていると、貫通孔56を通じて充填材54が溢れ出すことを抑制できる。
【0098】
次に、本実施形態の変形例を説明する。
【0099】
上記実施形態において、電子ユニット10は、一例として、PCIカードであるが、PCIカード以外でもよい。
【0100】
また、上記実施形態において、第二天井部50には、複数の貫通孔56が形成されているが、例えば、貫通孔56の開口面積を確保することで、充填材54を注入する貫通孔56から空気を排出できる場合には、貫通孔56は一つでもよい。
【0101】
以上、本願の開示する技術の一実施形態について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0102】
なお、上述の本願の開示する技術の一実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0103】
(付記1)
基板と、
前記基板に半田バンプを介して接合された電子装置と、
前記基板に固定され、前記電子装置を収容するカバーと、
を備え、
前記電子装置は、前記基板と反対側に第一天井部を有し、
前記カバーは、前記第一天井部と対向する第二天井部を有し、
前記第一天井部又は前記第二天井部には、前記第一天井部と前記第二天井部との対向方向に延び、前記第一天井部の周方向に沿って環状を成す環状部材が設けられ、
前記環状部材の内側における前記第一天井部と前記第二天井部との間の隙間には、充填材が充填され、
前記第二天井部には、前記第二天井部の平面視で前記充填材と重なる位置に貫通孔が形成されている、
電子ユニット。
(付記2)
前記カバーは、ダクト状である、
付記1に記載の電子ユニット。
(付記3)
前記第二天井部には、複数の前記貫通孔が形成されている、
付記1又は付記2に記載の電子ユニット。
(付記4)
前記電子装置は、
前記基板に前記半田バンプを介して接合された電子部品と、
前記電子部品に前記基板と反対側から接合され、前記第一天井部を有するヒートシンクと、
を有する、
付記1~付記3のいずれか一項に記載の電子ユニット。
(付記5)
前記ヒートシンクを前記電子部品側に押圧する押圧機構を備え、
前記充填材が前記ヒートシンクを前記電子部品側に押圧する押圧力は、前記押圧機構が前記ヒートシンクを前記電子部品側に押圧する押圧力よりも弱い力に設定されている、
付記4に記載の電子ユニット。
(付記6)
前記充填材は、熱接合材である、
付記1~付記5のいずれか一項に記載の電子ユニット。
(付記7)
前記充填材は、液状、半液状又は固体状である、
付記1~付記6のいずれか一項に記載の電子ユニット。
(付記8)
前記環状部材は、前記第一天井部に設けられている、
付記1~付記7のいずれか一項に記載の電子ユニット。
(付記9)
前記環状部材は、前記第一天井部の周方向に沿って前記第一天井部に環状に巻かれたテープ材である、
付記8に記載の電子ユニット。
(付記10)
前記環状部材は、弾性を有し、前記第一天井部の外周部に装着されたリング部材である、
付記8に記載の電子ユニット。
(付記11)
前記環状部材は、可撓性を有する、
付記8~付記10のいずれか一項に記載の電子ユニット。
(付記12)
前記環状部材は、前記第二天井部に設けられている、
付記1~付記7のいずれか一項に記載の電子ユニット。
(付記13)
前記環状部材は、互いに独立した複数の辺部材を有する枠状体であり、
前記カバーは、前記複数の辺部材と対向する複数の側壁部を有し、
前記辺部材と前記側壁部との間には、弾性を有し、前記辺部材を支持する弾性支持部材が設けられている、
付記12に記載の電子ユニット。
(付記14)
前記環状部材は、発泡材によって形成され、枠状を成す枠状部材である、
付記12に記載の電子ユニット。
(付記15)
前記貫通孔を閉止する閉止部材を備える、
付記1~付記14のいずれか一項に記載の電子ユニット。
(付記16)
基板に半田バンプを介して電子装置を接合し、
前記電子装置における前記基板と反対側の第一天井部、又は、前記基板に固定され、前記電子装置を収容するカバーにおける前記第一天井部と対向する第二天井部に、前記第一天井部と前記第二天井部との対向方向に延び、前記第一天井部の周方向に沿って環状を成す環状部材を設け、
前記第二天井部に形成された貫通孔を通じて前記環状部材の内側における前記第一天井部と前記第二天井部との間の隙間に充填材を充填する、
ことを含む電子ユニットの製造方法。
電子ユニットの製造方法。
(付記17)
スロットを有する電子機器本体と、
前記スロットに挿入される電子ユニットと、
を含み、
前記電子ユニットは、
基板と、
前記基板に半田バンプを介して接合された電子装置と、
前記基板に固定され、前記電子装置を収容するカバーと、
を備え、
前記電子装置は、前記基板と反対側に第一天井部を有し、
前記カバーは、前記第一天井部と対向する第二天井部を有し、
前記第一天井部又は前記第二天井部には、前記第一天井部と前記第二天井部との対向方向に延び、前記第一天井部の周方向に沿って環状を成す環状部材が設けられ、
前記環状部材の内側における前記第一天井部と前記第二天井部との間の隙間には、充填材が充填され、
前記第二天井部には、前記第二天井部の平面視で前記充填材と重なる位置に貫通孔が形成されている、
電子機器。
【符号の説明】
【0104】
1 電子機器
10 電子ユニット
12 基板
14 電子装置
16 カバー
18 電子部品
20 ヒートシンク
22 半田バンプ
28 第一天井部
50 第二天井部
52 環状部材
54 充填材
56 貫通孔
58 閉塞部材
72 環状部材
82 環状部材
84 辺部材
86 弾性支持部材
98 閉止部材
100 電子機器本体