(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】配達支援システムおよび配達支援プログラム
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
B65G61/00 540
(21)【出願番号】P 2019164338
(22)【出願日】2019-09-10
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大河戸 一央
(72)【発明者】
【氏名】山村 洋市
(72)【発明者】
【氏名】積 俊之
(72)【発明者】
【氏名】坪井 豊英
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/158863(WO,A1)
【文献】特開2017-105593(JP,A)
【文献】特開2009-211477(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0174087(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
B65G 1/137
G06Q 50/28
G06Q 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配達車両が備える荷室に取り付けられ、前記荷室に積載された荷物が存在する3次元的な領域を検出する荷物センサの出力信号に基づいて、荷物を積載可能な空間である空きスペースを検出する空きスペース検出部と、
追加する荷物の寸法に基づいて、前記空きスペースに前記追加する荷物を積載可能であるか否か判定する判定部と、
積載可能であるか否かの判定結果を出力する出力部と、
を備
え、
前記空きスペース検出部は、
前記荷室に対する荷積み作業が完了したか否か判定する完了判断部を備え、
前記空きスペースの検出は、
前記配達車両の現在地が、前記荷積み作業を行うべき目的地の直後の経路上であることにより、当該完了判断部が前記荷室に対する前記荷積み作業が完了したと判定した場合に実行される、
配達支援システム。
【請求項2】
配達車両が備える荷室に取り付けられ、前記荷室に積載された荷物が存在する3次元的な領域を検出する荷物センサの出力信号に基づいて、荷物を積載可能な空間である空きスペースを検出する空きスペース検出部と、
追加する荷物の寸法に基づいて、前記空きスペースに前記追加する荷物を積載可能であるか否か判定する判定部と、
積載可能であるか否かの判定結果を出力する出力部と、
を備え、
前記空きスペース検出部は、
前記荷室からの荷卸し作業が完了したか否か判定する完了判断部を備え、
前記空きスペースの検出は、
前記配達車両の現在地が、前記荷卸し作業を行うべき目的地の直後の経路上であることにより、当該完了判断部が前記荷室からの前記荷卸し作業が完了したと判定した場合に実行される、
配達支援システム。
【請求項3】
前記空きスペース検出部は、
前記荷室からの荷卸し作業が完了したか否か判定する完了判断部を備え、
前記空きスペースの検出は、
当該完了判断部が前記荷室からの荷卸し作業が完了したと判定した場合に実行される、
請求
項1に記載の配達支援システム。
【請求項4】
前記配達車両に取り付けられた振動センサの出力信号に基づいて、前記配達車両における振動を検出する振動検出部をさらに備え、
前記空きスペースの検出は、
基準を超える前記振動が検出された場合に実行される、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の配達支援システム。
【請求項5】
前記荷物センサは、
前記配達車両が備え
る前記荷室の内壁に取り付けられ、前記荷物センサから荷物までの距離を検出する、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の配達支援システム。
【請求項6】
前記荷物センサは、
赤外線センサである、
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の配達支援システム。
【請求項7】
コンピュータを、
配達車両が備える荷室に取り付けられ、前記荷室に積載された荷物が存在する3次元的な領域を検出する荷物センサの出力信号に基づいて、荷物を積載可能な空間である空きスペースを検出する空きスペース検出部、
追加する荷物の寸法に基づいて、前記空きスペースに前記追加する荷物を積載可能であるか否か判定する判定部、
積載可能であるか否かの判定結果を出力する出力部、として機能さ
せ、
前記空きスペース検出部は、
前記荷室に対する荷積み作業が完了したか否か判定する完了判断部を備え、
前記空きスペースの検出は、
前記配達車両の現在地が、前記荷積み作業を行うべき目的地の直後の経路上であることにより、当該完了判断部が前記荷室に対する前記荷積み作業が完了したと判定した場合に実行される、
配達支援プログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
配達車両が備える荷室に取り付けられ、前記荷室に積載された荷物が存在する3次元的な領域を検出する荷物センサの出力信号に基づいて、荷物を積載可能な空間である空きスペースを検出する空きスペース検出部、
追加する荷物の寸法に基づいて、前記空きスペースに前記追加する荷物を積載可能であるか否か判定する判定部、
積載可能であるか否かの判定結果を出力する出力部、として機能させ、
前記空きスペース検出部は、
前記荷室からの荷卸し作業が完了したか否か判定する完了判断部を備え、
前記空きスペースの検出は、
前記配達車両の現在地が、前記荷卸し作業を行うべき目的地の直後の経路上であることにより、当該完了判断部が前記荷室からの前記荷卸し作業が完了したと判定した場合に実行される、
配達支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配達支援システムおよび配達支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配達車両における配達を支援するシステムが知られている。例えば、特許文献1においては、製品の大きさ、重量、および上積み可否情報に基づいて、複数種別の輸送手段から運賃が一番低くなる輸送手段の種別を抽出する技術が開示されている。また、特許文献1においては、輸送手段の積載空き状況として、3次元的にどのような空間が空いているのか確認することができる3次元的な表示が行われることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術においては、配達車両に対して実際に荷物を積載可能であるか否かを特定することが困難であった。すなわち、特許文献1においては、製品の大きさが登録されていることが開示されているが、荷室に荷物を積載可能であるか否かは、製品の大きさのみでは決定されない。例えば、同じ大きさの荷物であっても、荷物の並べ方によって空きスペースは変化してしまう。従来の技術においては、荷室内での実際の荷物の状況が未知であるため、荷物が実際に積載可能であるか正確にはわからない。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、荷室に荷物を積載可能であるか否かが正確に判定される可能性を高めることが可能なシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、配達支援システムは、配達車両が備える荷室に取り付けられ、荷室に積載された荷物が存在する3次元的な領域を検出する荷物センサの出力信号に基づいて、荷物を積載可能な空間である空きスペースを検出する空きスペース検出部と、追加する荷物の寸法に基づいて、空きスペースに追加する荷物を積載可能であるか否か判定する判定部と、積載可能であるか否かの判定結果を出力する出力部と、を備え、前記空きスペース検出部は、前記荷室に対する荷積み作業が完了したか否か判定する完了判断部を備え、前記空きスペースの検出は、前記配達車両の現在地が、前記荷積み作業を行うべき目的地の直後の経路上であることにより、当該完了判断部が前記荷室に対する前記荷積み作業が完了したと判定した場合に実行される。
また、配達支援システムは、配達車両が備える荷室に取り付けられ、前記荷室に積載された荷物が存在する3次元的な領域を検出する荷物センサの出力信号に基づいて、荷物を積載可能な空間である空きスペースを検出する空きスペース検出部と、追加する荷物の寸法に基づいて、前記空きスペースに前記追加する荷物を積載可能であるか否か判定する判定部と、積載可能であるか否かの判定結果を出力する出力部と、を備え、前記空きスペース検出部は、前記荷室からの荷卸し作業が完了したか否か判定する完了判断部を備え、前記空きスペースの検出は、前記配達車両の現在地が、前記荷卸し作業を行うべき目的地の直後の経路上であることにより、当該完了判断部が前記荷室からの前記荷卸し作業が完了したと判定した場合に実行される。
【0006】
また、配達支援プログラムは、コンピュータを、配達車両が備える荷室に取り付けられ、荷室に積載された荷物が存在する3次元的な領域を検出する荷物センサの出力信号に基づいて、荷物を積載可能な空間である空きスペースを検出する空きスペース検出部、追加する荷物の寸法に基づいて、空きスペースに追加する荷物を積載可能であるか否か判定する判定部、積載可能であるか否かの判定結果を出力する出力部、として機能させ、前記空きスペース検出部は、前記荷室に対する荷積み作業が完了したか否か判定する完了判断部を備え、前記空きスペースの検出は、前記配達車両の現在地が、前記荷積み作業を行うべき目的地の直後の経路上であることにより、当該完了判断部が前記荷室に対する前記荷積み作業が完了したと判定した場合に実行される。
また、配達支援プログラムは、コンピュータを、配達車両が備える荷室に取り付けられ、前記荷室に積載された荷物が存在する3次元的な領域を検出する荷物センサの出力信号に基づいて、荷物を積載可能な空間である空きスペースを検出する空きスペース検出部、追加する荷物の寸法に基づいて、前記空きスペースに前記追加する荷物を積載可能であるか否か判定する判定部、積載可能であるか否かの判定結果を出力する出力部、として機能させ、前記空きスペース検出部は、前記荷室からの荷卸し作業が完了したか否か判定する完了判断部を備え、前記空きスペースの検出は、前記配達車両の現在地が、前記荷卸し作業を行うべき目的地の直後の経路上であることにより、当該完了判断部が前記荷室からの荷卸し作業が完了したと判定した場合に実行される。
【0007】
すなわち、配達支援システム、配達支援プログラムにおいては、荷室に取り付けられた荷物センサによって、荷物が存在する3次元的な領域を実測することによって空きスペースを特定する。この結果、荷室に荷物を積載可能であるか否かが正確に判定される可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】
図3Aは空きスペース取得処理のフローチャート、
図3Bは配達支援処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)配達支援システムの構成:
(2)空きスペース取得処理:
(3)配達支援処理:
(4)他の実施形態:
【0010】
(1)配達支援システム構成:
図1は、本発明にかかる配達支援システム10の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、複数の配達車両を管理する管理会社に属する管理者が、各配達車両の配達予定を作成し、配達車両に対して配達予定を指示する。本実施形態において、各配達車両は、配達予定を示す予定情報が示す経路に従って走行し、走行の過程で荷物の配達場所に荷物を配達し、集荷場所で荷物を積載する。なお、経路は、予め決められた巡回経路であってもよいし、荷物に応じて決められる経路であってもよい。
【0011】
また、本実施形態においては、配達車両の走行過程で配達予定が変更され得る。すなわち、管理会社の管理者は、荷主から荷物の配達依頼を随時受け付ける。また、管理会社の管理者は、受け付けた荷物を荷室に積載可能な配達車両を選択し、選択した配達車両の予定情報を変更し、配達車両を運転する配達者に通知する。この結果、配達者は配達車両を運転して新たな荷物の集荷場所に行き、当該荷物を荷室に追加し、新たな配達予定に従って配達を行う。
【0012】
以上のようなシステムを運営するためには、配達途中の配達車両のそれぞれにおいて荷室に荷物を追加可能であるか否かを特定する必要がある。配達支援システム10は、荷室に荷物の追加が可能であるか否かの特定を行うシステムであり、管理端末200および配達車両内の構成要素(配達支援端末100や荷物センサ112等)と協働する。
【0013】
管理端末200は、管理者が利用する端末であり、例えば、据置型の汎用コンピュータや携帯端末等によって構成される。管理端末200は、図示しない制御部によって図示しないプログラムを実行可能である。本実施形態において管理端末200は、当該プログラムとして管理プログラムを実行可能であり、当該管理プログラムが実行された状態で管理端末200は、配達車両の予定情報の生成や更新等を行う。管理端末200は、通信部201とユーザI/F部202とを備えている。
【0014】
通信部201は、他の装置と通信を行う回路を備えている。本実施形態において、管理端末200は、通信部201を介して配達支援システム10と通信することが可能である。ユーザI/F部202は、管理者に各種の情報を提供し、管理者の指示を入力するためのインタフェース部であり、例えば、ディスプレイやスピーカ等の出力部と、キーボードやマウス等の入力部とによって構成される。管理端末200は、出力部を制御して各種の情報を表示させることが可能である。また、管理者は、入力部によって各種の入力を行うことが可能であり、管理端末200は、当該入力に基づいて管理者の指示を取得することができる。
【0015】
配達車両は、荷室を有する車両(例えば、トラック)である。配達車両を運転する配達者は、予定情報に従うための経路を配達者に通知する配達支援端末100を利用可能である。配達支援端末100は、車載端末であってもよいし、携帯端末であってもよい。配達支援端末100は、図示しない制御部によって図示しないプログラムを実行することにより、配達予定を示す予定情報に従うための経路を案内する。すなわち、予定情報には、配達車両の目的地とその順番と当該順番通りに目的地を訪問するための経路とが含まれている。配達支援端末100は、目的地を順番に訪問するための経路と、各目的地における荷役の種類(荷卸し、荷積みまたは積み卸し)と荷役の対象となる荷物とを示す情報を案内する。
【0016】
配達支援端末100は、通信部101,現在地取得部102,ユーザI/F部103を備えている。通信部101は、他の装置と通信を行う回路を備えている。本実施形態において、配達支援端末100は、通信部101を介して荷室内に備えられた通信部111および配達支援システム10と通信することが可能である。
【0017】
現在地取得部102は、配達支援端末100の現在地(配達車両の現在地と同等)を取得するセンサである。現在地取得部102は、例えば、航法衛星の出力信号に基づいて現在地を取得するGNSS信号受信部や、配達車両の移動軌跡を特定する車速センサおよびジャイロセンサ等によって構成可能である。むろん、これらの全てによって構成されても良いし、他の手法で現在地が特定されるセンサであってもよい。
【0018】
ユーザI/F部103は、配達車両を運転する配達者に各種の情報を提供し、配達者の指示を入力するためのインタフェース部であり、本実施形態においては、タッチパネルディスプレイである。すなわち、配達支援端末100は、タッチパネルディスプレイを制御して各種の情報を表示させることが可能である。また、配達者はタッチ操作によって各種の入力を行うことが可能であり、配達支援端末100は、当該入力に基づいて配達者の指示を取得することができる。
【0019】
配達車両の荷室LCには、通信部111,荷物センサ112,振動センサ113が備えられている。通信部111は、配達支援端末100の通信部101と通信することが可能であり、荷物センサ112の検出結果および振動センサ113の検出結果を配達支援端末100に送信することが可能である。荷物センサ112は、荷室LCに取り付けられており、荷室LCに積載された荷物が存在する3次元的な領域を検出するセンサである。本実施形態において、荷物センサ112は、荷室LCの内壁に取り付けられている。また、荷物センサ112は赤外線センサであり、本実施形態においては荷物センサ112から荷物までの距離を検出する。すなわち、荷物センサ112は、既定の検出範囲に向けて赤外線を出力することが可能であり、荷物によって反射された赤外線を検出することで荷物センサ112と荷物との距離を測定する。むろん、センサの方式は種々の方式であってよい。
【0020】
図2Aは、荷室LCと荷物センサ112との関係を例示した図である。
図2Aにおいては、荷室LCの内壁である天面の3カ所に荷物センサ112が取り付けられている。破線は荷物センサ112からの赤外線の照射範囲を示しており、荷物センサ112は照射範囲内に存在する荷物と荷物センサ112との距離を検出することができる。荷室LCの内部空間の高さは既知であるため、荷物と荷物センサ112との距離が特定されれば、荷室LC内に存在する荷物について、底面からの高さを特定することができる。
【0021】
図2Aにおいては、検出された荷物の高さの例を実線によって模式的に示している。なお、荷物センサ112の検出範囲外の部分においては、荷物の高さが特定されないが、当該部分においては、検出範囲の内外で荷物の高さが不変でみなされてもよいし、異なる荷物センサ112の検出結果に基づいて補間されてもよい。
図2Aにおいては、隣接する荷物センサ112の検出結果から得られた高さの部位を特定の方向(例えば荷室LCの前後方向(
図2Aの左右方向))に延びる直線で結んだ結果得られた補間結果を一点鎖線によって示している。
【0022】
以上のように、荷物センサ112においては、荷物センサ112から荷物までの距離を検出することができ、これにより、荷室内における荷物の高さによって荷物が存在する3次元的な領域を検出することができる。むろん、荷物センサ112の位置や数は限定されず、必要な精度等に応じて種々の値とすることができる。例えば、
図2Bに示されるように、荷物センサ112が天面および側面に取り付けられる構成等であってもよい。
【0023】
振動センサ113は、配達車両における振動を検出するセンサであり、本実施形態においては荷室LCに取り付けられている。振動センサ113は、振動を検出することが可能なセンサであれば良く、本実施形態においては荷室LCに作用する加速度を検出するセンサである。本実施形態において振動センサ113は、荷室LCに作用する加速度を3軸方向において検出するセンサである。配達車両が走行している過程で荷室LCに過度の大きさの加速度が作用し、振動が生じると、荷室LC内で荷物の位置等が変化し得る。本実施形態においては、荷物の積載状況が変化し得る状況を特定するために振動センサ113が設けられている。従って、荷物の積載状況が変化し得る状況を特定できるのであれば、振動センサ113の態様や取付位置は限定されない。また、他の用途を有する加速度センサが振動センサ113として流用されてもよいし、加速度センサ以外の振動センサが使用されてもよい。
【0024】
配達支援システム10は、以上のような管理端末200、配達支援端末100、荷物センサ112等と協働して配達の予定情報を更新することが可能である。配達支援システム10は、制御部20、記録媒体30、通信部40を備えている。通信部40は、他の装置と通信を行う回路を備えている。制御部20は、通信部40を介して管理端末200および配達支援端末100と通信を行うことが可能である。
【0025】
記録媒体30には、各種の情報を記録することができる。本実施形態においては、配達支援システム10の運用過程において空きスペース情報30aが記録される。また、記録媒体30には、管理者が予め生成した予定情報30bが記録される。予定情報30bは、各配達車両の配達予定を示す情報である。本実施形態において、予定情報30bは、配達車両のID毎に定義され、配達車両のIDに対して、配達の際に走行すべき経路が対応づけられている。各配達車両の経路には複数の目的地と訪問する順番とが含まれ、各目的地での荷役の種類(荷卸し、荷積みまたは積み卸し)と荷役の対象となる荷物とが含まれている。
【0026】
当該予定情報30bは、各配達車両における配達開始前に各配達車両に送信され、配達支援端末100は、当該予定情報30bが示す経路を案内する。なお、本実施形態において、予定情報30bは、管理者が管理端末200のユーザI/F部202を操作するなどして予め作成され、配達支援システム10に送信されて記録媒体30に記録される。
【0027】
制御部20は、図示しないCPU,RAM,ROM等を備えており、記録媒体30等に記録されたプログラムを実行可能である。本実施形態においては、このプログラムに配達支援プログラム21が含まれている。配達支援プログラム21は、空きスペース検出部21a、判定部21b、出力部21cを備えている。空きスペース検出部21aは、配達車両が備える荷室に取り付けられ、荷室に積載された荷物が存在する3次元的な領域を検出する荷物センサの出力信号に基づいて、荷物を積載可能な空間である空きスペースを検出する機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。
【0028】
本実施形態において、荷物センサ112は、配達車両の荷室LCに取り付けられているため、制御部20は、配達支援端末100に対して送信要求を行うことによって荷物センサ112の検出結果を取得する。すなわち、制御部20は、通信部40を介して配達車両に対して荷物センサ112の検出結果の送信要求を出力する。配達支援端末100が、通信部101を介して当該送信要求を取得すると、配達支援端末100は通信部101を介して荷物センサ112の制御信号を出力する。通信部111は当該制御信号を取得し、荷物センサ112を駆動して検出結果を取得し、通信部101に送信する。配達支援端末100は、通信部101を介して当該検出結果を配達支援システム10に対して送信する。
【0029】
制御部20は、通信部40を介して当該検出結果を取得する。荷物センサ112の検出結果は、荷物と荷物センサ112との距離を示しているため、制御部20は、荷室LCの内部空間の既知の高さに基づいて、荷室の底面からの荷物の高さを取得する。荷室の底面から天面までの荷物の高さが特定されていると、空の荷室の空間から当該高さ以下の部分を除外した残りを空きスペースとみなすことができる。そこで、制御部20は、当該空きスペースを示す情報を空きスペース情報30aとして記録媒体30に記録する。なお、本実施形態においては、予め決められたトリガに応じて各配達車両の荷物センサ112が駆動され、空きスペース情報30aが取得される。トリガとしては種々のトリガがあり得る。例えば、管理者の指示等によって人為的にトリガが生成されてもよいし、配達支援システム10や配達支援端末100、管理端末200等によって既定の条件に基づいてトリガが生成されてもよい。後者のトリガの少なくとも一部を生成するため、本実施形態において、空きスペース検出部21aは、完了判断部21a1を備えている。完了判断部21a1の詳細は後述する。
【0030】
判定部21bは、追加する荷物の寸法に基づいて、空きスペースに追加する荷物を積載可能であるか否か判定する機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。本実施形態においては、運用過程で複数の配達車両が同時に運行され得るため、新規に荷物の配達依頼を受けた場合、複数の配達車両から当該荷物を積み込む車両が選択される。このために、制御部20は、配達依頼を受けた荷物の情報を管理端末200から取得する。すなわち、新規に配達依頼が受け付けられた場合、管理端末200の管理者は、荷主から荷物の集荷場所と配達場所を取得し、さらに荷物の寸法を取得する。
【0031】
荷物の寸法は荷物を荷室に積載する際に最低限必要な3次元方向の大きさを示していればよく、本実施形態においては、荷物が積載される状態で荷物に外接する最小の長方形の幅、高さ、奥行きによって特定される。荷物が積載される状態には、種々の状態が存在し得る。例えば、天面が開口した長方形の箱に車両のバンパーのような複雑な形状の物が乗せられた状態等であってもよい。なお、荷物の上部には他の荷物を積載不可能である場合があり得る。この場合、荷物を示す情報に上積み禁止等の情報が含まれる。いずれにしても、制御部20は、判定部21bの機能により、管理端末200から配達依頼を受けた荷物の情報(集荷場所、配達場所、荷物の寸法)を取得する。
【0032】
さらに、制御部20は、記録媒体30に記録された予定情報30bを参照し、新たな荷物を積み込む候補となる配達車両を、予め決められた条件に基づいて特定する。当該条件は種々の条件であってよく、例えば、新たな荷物の集荷場所から既定範囲内の距離に存在する配達車両を候補とする条件であってもよいし、配達予定の荷物が少ないなどの理由で時間に余裕がある配達車両を候補とする条件であってもよい。
【0033】
候補の配達車両が特定されると、制御部20は、候補の配達車両の現在の空きスペースを示す空きスペース情報30aを取得する。そして、制御部20は、各空きスペース情報30aと、新たな荷物の寸法とを比較し、空きスペース内に当該寸法の空間が含まれる場合に当該空きスペースに新たな荷物を積載可能であると判定する。積載可能であると判定された場合、制御部20は、積載可能な配達車両が、新たな荷物を積載可能な車両であると特定する。むろん、上積み禁止等の情報に基づいて、空きスペースとみなされる空間は制限されてよい。
【0034】
出力部21cは、積載可能であるか否かの判定結果を出力する機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。本実施形態において、制御部20は、判定部21bの判定によって新たな荷物を積載可能であると特定された配達車両を、管理者に対して通知する。このために、制御部20は、通信部40を介して、新たな荷物を積載可能であると特定された配達車両を示す情報を管理端末200に対して送信する。
【0035】
この結果、管理端末200は、ユーザI/F部202の出力部に、新たな荷物を積載可能であると特定された配達車両を表示する。なお、配達車両を出力する際には、少なくとも配達車両を示す情報(ID等)が出力されればよいが、出力態様としてはこれに限定されず種々の態様が採用されてよい。例えば、配達支援端末100や配達支援システム10から、配達車両のそれぞれにおける空きスペース情報30aや、荷物の高さを示す情報が管理端末200に送信され、表示されてもよい。また、配達支援端末100や配達支援システム10から、各配達車両の現在地や、各配達車両の予定情報30bが管理端末200に送信され、表示されてもよい。
【0036】
いずれにしても管理者は、ユーザI/F部202の出力部における表示に基づいて、新たな荷物を積載する配達車両を指定する。配達車両が指定されると、管理端末200は、通信部201を介して、指定された配達車両を示す情報を配達支援システム10に送信する。配達支援システム10は、通信部40を介して、当該配達車両を示す情報を取得し、当該配達車両の予定情報30bを更新する。
【0037】
具体的には、制御部20は、配達車両の現在地以後の目的地として、新たな荷物の集荷場所および配達場所を追加し、図示しない地図情報に基づいて当該目的地を含む経路を探索する。そして、制御部20は、探索された経路を、配達車両のIDに対して対応づけ、各目的地を訪問する順番と各目的地での荷役の種類と荷役の対象となる荷物とを対応づけて予定情報30bを更新する。予定情報30bが更新されると、制御部20は、通信部40を介して予定情報30bが更新された配達車両の配達支援端末100に対して予定情報30bを送信する。当該配達支援端末100は、送信された予定情報30bを取得し、当該予定情報30bが示す経路を案内する。なお、以上のような予定情報30bの再設定は管理端末200や配達支援端末100で実行されてもよい。
【0038】
以上のような本実施形態において、配達車両の荷室LCにおける空きスペースは、配達車両の荷室LCに取り付けられた荷物センサ112によって実測される。従って、荷室LCに荷物を積載可能であるか否かが正確に判定される可能性が高い。このため、新たな荷物を配達する配達車両によって荷物の集荷場所を訪問し、荷物を受け取った後に荷室LCに荷物を積載できないことが判明するなどの不都合が発生することを防止できる可能性が高い。
【0039】
(2)空きスペース取得処理:
次に、制御部20が空きスペース検出部21aの機能によって実行する空きスペース取得処理を説明する。本実施形態においては、種々のトリガによって荷物センサ112を駆動し、空きスペースの検出を行うことができる。具体的には、管理端末200の管理者からスキャン指示が行われた場合、荷室LCに対する荷積み作業が完了した場合、荷室LCからの荷卸し作業が完了した場合、車両において基準を超える振動が検出された場合に実行される。
【0040】
制御部20は、
図3Aに示す空きスペース取得処理を実行することにより、これらのトリガによる空きスペースの検出を行う。具体的には、制御部20は、通信部40を監視し、スキャン指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS100)。すなわち、管理端末200の管理者は、所望のタイミングにおいてユーザI/F部202の入力部に対して操作を行って、所望の配達車両における空きスペースを取得する指示を行うことができる。当該指示が行われた場合、管理端末200は、通信部201を介して配達車両のIDとともにスキャン指示を送信する。制御部20は、通信部40における通信を監視し、当該スキャン指示を受け付けたか否か判定する。
【0041】
ステップS100において、スキャン指示を受け付けたと判定された場合、制御部20は、指示された配達車両を対象としてステップS130以降の処理を実行する。一方、ステップS100において、スキャン指示を受け付けたと判定されなかった場合、制御部20は、完了判断部21a1による判定を行う。本実施形態において、完了判断部21a1は、荷室に対する荷積み作業または荷卸し作業(荷役)が完了したか否かを判定する機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。制御部20は、完了判断部21a1の機能により、各配達車両の現在地および予定情報を取得する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、通信部40を介して、各配達車両に対して現在地の送信要求を行う。配達支援端末100が、通信部101を介して当該送信要求を取得すると、配達支援端末100は、現在地取得部102に基づいて配達車両の現在地を取得する。配達支援端末100は、当該現在地に対して配達車両のIDを対応付け、通信部101を介して送信する。制御部20は、通信部40を介して各配達車両の現在地を取得する。さらに、制御部20は、記録媒体30を参照し、各配達車両の予定情報30bを取得する。
【0042】
次に、制御部20は、完了判断部21a1の機能により、配達車両が荷役後に出発したか否かを判定する(ステップS110)。すなわち、配達車両において、荷役(荷卸し、荷積みまたは積み卸しの作業)が完了すると、荷役が行われる前と比較して空きスペースが変化している可能性が高い。そこで、制御部20は、ステップS105で取得された現在地が、各配達車両において荷役を行うべき目的地の直後の経路上であるか否かを予定情報30bに基づいて判定する。そして、現在地が、荷役を行うべき目的地の直後の経路上である場合、制御部20は、配達車両が荷役後に出発した(荷役が完了した)と判定する。制御部20は、以上の判定を各配達車両について実施する。ステップS110において、配達車両が荷役後に出発したと判定された場合、制御部20は、荷役後に出発したと判定された配達車両のそれぞれを対象としてステップS130以降の処理を実行する。
【0043】
一方、ステップS110において、配達車両が荷役後に出発したと判定されない場合、制御部20は、配達車両の採用する振動の検出結果を取得する(ステップS115)。すなわち、制御部20は、通信部40を介して、各配達車両に対して振動の検出結果の送信要求を行う。配達支援端末100が、通信部101を介して当該送信要求を取得すると、配達支援端末100は、振動センサ113における履歴を参照する。
【0044】
すなわち、振動センサ113は、継続的に配達車両に作用する振動(加速度)を検出しており、閾値より大きい振動が作用した場合、閾値より大きい振動が作用したことを示す情報が通信部111から配達支援端末100に送信される。閾値より大きい振動が作用したことを示す情報が送信されると、配達支援端末100は、現在地取得部102の出力信号に基づいて配達車両の現在地を取得する。そして、配達支援端末100は、閾値より大きい振動が作用したことを示す情報に、現在地を対応付け、図示しない記録媒体に履歴として記録する。
【0045】
振動の検出結果の送信要求が取得されると、配達支援端末100は、通信部101を介して当該履歴に記録された情報を配達支援システム10に送信する。制御部20は、通信部40を介して、当該情報を振動の検出結果として取得する。制御部20は、以上のような振動の検出結果の取得処理を、各配達車両について実行する。
【0046】
次に、制御部20は、振動が閾値以上である配達車両が存在するか否かを判定する(ステップS120)。すなわち、制御部20は、ステップS115において、少なくとも1台の配達車両において検出結果が取得された場合、振動が閾値以上である配達車両が存在すると判定する。ステップS120において、振動が閾値以上である配達車両が存在すると判定されない場合、制御部20は、ステップS100以降の処理を繰り返す。
【0047】
ステップS120において、振動が閾値以上である配達車両が存在すると判定された場合、当該配達車両に閾値以上の振動が作用した地点が荷役地点であったか否かを判定する(ステップS125)。すなわち、制御部20は、配達車両の予定情報30bを参照し、経路上の目的地と、ステップS115で取得された振動の検出結果に対応づけられた現在地と、が一致する場合には、閾値以上の振動が作用した地点が荷役地点であると判定する。制御部20は、閾値以上の振動が作用した配達車両のそれぞれについて以上の判定を行う。
【0048】
荷役地点においては、荷物の積み卸し等によって配達車両や荷室LCに大きい振動が作用し得る。また、荷物の積み卸しに伴う空きスペースの変化はステップS110の判定によって考慮される。そこで、制御部20は、ステップS125において、閾値以上の振動が作用した地点が荷役地点であったと判定された場合、ステップS100以降の処理を実行する。
【0049】
一方、ステップS125において、閾値以上の振動が作用した地点が荷役地点であったと判定されない場合、配達車両の走行過程等で路面の凹凸や急ブレーキ、急ハンドル等によって配達車両に振動が作用したと推定される。この場合、空きスペースが変化している可能性がある。そこで、制御部20は、閾値以上の振動が作用した地点が荷役地点であったと判定されなかった配達車両を対象としてステップS130移行を実行する。
【0050】
ステップS130以降において、制御部20は、空きスペースを取得するための処理を行う。具体的には、制御部20は、通信部40を介して、対象となった配達車両に対して荷物センサ112の検出結果の送信要求を行う。配達支援端末100が、通信部101を介して当該送信要求を取得すると、配達支援端末100は、通信部101を介して荷物センサ112の制御信号を出力する。当該制御信号は通信部111によって取得され、この結果、荷物センサ112が駆動される。
【0051】
荷物センサ112が駆動されると、荷物センサ112は、荷室LC内に存在する荷物について、荷物センサ112と荷物との距離を示す検出結果を取得する。検出結果は、通信部111によって配達支援端末100に送信される。また、配達支援端末100は、通信部101を介して当該検出結果を配達支援システム10に対して送信する。制御部20は、通信部40を介して、当該検出結果を取得する。
【0052】
制御部20が、当該検出結果を取得すると、制御部20は、荷物が存在する領域を取得する(ステップS135)。すなわち、荷物センサ112の検出結果は、荷物と荷物センサ112との距離を示しているため、制御部20は、荷室LCの既知の高さに基づいて、荷室LCの底面からの荷物の高さを取得する。荷室LCの底面からの荷物の高さが荷室LCの底面全体について特定されることにより、荷物が存在する領域が取得された状態になる。
【0053】
次に、制御部20は、空きスペースを取得する(ステップS140)。すなわち、制御部20は、空の荷室LCの空間から荷物が存在する領域を除外した残りを空きスペースみなす。そして、制御部20は、当該空きスペースを示す情報を空きスペース情報30aとして記録媒体30に記録する。以上のような処理が、対象となった配達車両のそれぞれにおいて実施されることにより、各配達車両の空きスペースに変化が生じたとしても、変化後の空きスペースが実測された状態が維持される。
【0054】
(3)配達支援処理:
次に、配達支援処理を、
図3Bに示すフローチャートに沿って説明する。本実施形態において配達支援処理は、新規に荷物の配達依頼を受け付けた管理端末200から、配達依頼を受けた荷物の情報が送信された場合に実行開始される。配達支援処理が開始されると、制御部20は、判定部21bの機能により、追加する荷物の情報を取得する(ステップS200)。すなわち、制御部20は、通信部40を介して、配達依頼を受けた荷物の情報を取得する。なお、当該情報には荷物の寸法(荷物を荷室LCに積載する際に最低限必要な3次元方向の大きさ)と、集荷場所と配達場所とが含まれる。
【0055】
次に、制御部20は、判定部21bの機能により、積載可能な配達車両を取得する(ステップS205)。本実施形態においては、新規に依頼された荷物を積載する候補となる配達車両を絞り込む。例えば、制御部20は、記録媒体30に記録された予定情報30bを参照し、新たな荷物の集荷場所から既定範囲内の距離に存在する配達車両を候補として取得する。さらに、制御部20は、候補の配達車両の現在の空きスペースを示す空きスペース情報30aを取得する。そして、制御部20は、各空きスペース情報30aと、新たな荷物の寸法とを比較し、当該寸法が空きスペースに含まれる場合に当該空きスペースに新たな荷物を積載可能であると判定し、積載可能な配達車両を取得する。
【0056】
次に、制御部20は、出力部21cの機能により、積載可能な配達車両を出力する(ステップS210)。すなわち、制御部20は、ステップS205において取得された配達車両を示す情報を、通信部40を介して管理端末200に送信する。この結果、管理端末200は、ユーザI/F部202の出力部に、新たな荷物を積載可能な配達車両を表示する。管理者は、ユーザI/F部202の出力部における表示に基づいて、新たな荷物を積載する配達車両を指定し、指定された配達車両を示す情報が配達支援システム10に送信される。制御部20は、当該情報を受け付けることにより、新たな荷物を積載すべき配達車両の指定を受け付ける(ステップS215)。
【0057】
そして、制御部20は、当該配達車両に新しい予定情報を送信する(ステップS220)。すなわち、制御部20は、指定された配達車両の現在地以後の目的地として、新たな荷物の集荷場所および配達場所を追加した経路を探索する。そして、制御部20は、探索された経路を、配達車両のIDに対して対応づけ、各目的地を訪問する順番と各目的地での荷役の種類と荷役の対象となる荷物とを対応づけて予定情報30bを更新する。予定情報30bが更新されると、制御部20は、予定情報30bが更新された配達車両の配達支援端末100に対して、通信部40を介して予定情報30bを送信する。当該配達支援端末100は、送信された予定情報30bを取得し、当該予定情報30bが示す経路を案内する。
【0058】
(4)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、荷室に取り付けられたセンサによって空きスペースを検出する限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、荷室LC内を撮影可能なカメラ(カラーカメラや赤外線カメラ等)が荷室LCに取り付けられ、撮影された画像が配達支援システム10や管理端末200に送信される構成であってもよい。管理端末200に送信され、表示されれば、管理者は、荷室内の画像に基づいて荷物を追加する配達車両を選択することができる。
【0059】
上述の実施形態を構成する各システムは、機能を共有したより少ない装置で構成されても良い。このような例としては、
図1に示す少なくとも1台のシステムが、他の1台以上のシステムと同一の装置で構成される例が挙げられる。例えば、配達支援システム10と配達支援端末100とが一体の装置で構成されていても良いし、配達支援システム10と管理端末200とが一体の装置で構成されても良い。また、配達支援システム10の一部(例えば、空きスペース検出部21a等)の機能が配達支援端末100で実現されても良い。さらに、
図1に示すシステムがより多数のシステムで構成されても良い。例えば、配達支援システム10がクラウドサーバで構成されても良い。
【0060】
また、配達支援システム10を構成する各部(空きスペース検出部21a、判定部21b、出力部21c)の少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在していても良い。さらに、上述の実施形態の一部の構成が省略される構成や、処理が変動または省略される構成も想定し得る。
【0061】
空きスペース検出部は、配達車両が備える荷室に取り付けられ、荷室に積載された荷物が存在する3次元的な領域を検出する荷物センサの出力信号に基づいて、荷物を積載可能な空間である空きスペースを検出することができればよい。すなわち、空きスペース検出部は、荷物センサによって荷物を検出することにより、荷物が存在しない空間である空きスペースを検出することができればよい。
【0062】
配達車両は、荷物を積載可能な車両であればよく、荷室の構成や積載態様は限定されない。例えば、配達車両はトラックであってもよいし、ワンボックスやバン等の商用車であってもよいし、乗用車であってもよい。荷物センサは、荷室に積載された荷物が荷室内で占める領域を3次元的に検出することができればよい。この限りにおいて、荷物センサは上述の実施形態のような赤外線センサに限定されない。例えば、超音波センサであってもよいし、各種の光センサであってもよく、種々の構成を採用可能である。
【0063】
荷物が存在する3次元的な領域は、荷室内が荷物によって埋められた領域である。従って、例えば、荷室内に荷物が積載されている状況において、最外面に露出した部分が特定されるなどして当該領域が特定可能である。なお、荷物が存在する3次元的な領域の検出は、空きスペースを検出するために実施される。従って、荷物が存在する3次元的な領域は、他の荷物を追加で積載可能であるか否か判定できるように特定されていればよく、荷物を追加で積載不可能な空間は検出されなくてもよい。例えば、複数の荷物によって、荷物を積載不可能な程度の間隔が形成されている場合に、当該間隔が検出されず荷物によって埋められていると検出されてもよい。
【0064】
空きスペースは、荷物を積載可能な空間であれば良く、空間に荷物が存在しないことによって当該空間に荷物が積載できる場合に、当該空間が空きスペースとして検出されればよい。従って、荷物を積載可能であれば、荷物上の空間であってもよいし、荷物の側面に広がる空間であってもよい。
【0065】
判定部は、追加する荷物の寸法に基づいて、空きスペースに追加する荷物を積載可能であるか否か判定することができればよい。すなわち、空きスペースは、荷物を積載可能な空間を示しているため、荷物の寸法が特定されれば、判定部は空きスペースの空間と荷物の寸法とを比較することによって、追加する荷物を空きスペースに積載できるか否か判定することができる。荷物を積載可能であるか否かの判定は、追加する荷物が占める空間や荷物に外接する立体を収容可能な部分が空きスペース内に含まれるか否かの判定であってもよい。
【0066】
出力部は、積載可能であるか否かの判定結果を出力することができればよい。判定結果の出力態様は、種々の態様であってよく、積載可否に加えて積載可能な場所等が出力されてもよい。また、荷物の集荷場所や集荷すべき時間帯、配達場所や配達すべき時間帯等が出力されてもよい。さらに、出力先は、管理者端末のユーザI/F部に限定されず、配達者が利用する配達者端末のユーザI/F部等であってもよい。
【0067】
さらに、本発明のように、荷室に取り付けられたセンサによって空きスペースを検出する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0068】
10…配達支援システム、20…制御部、21…配達支援プログラム、21a…空きスペース検出部、21b…判定部、21c…出力部、30…記録媒体、30a…空きスペース情報、30b…予定情報、40…通信部、100…配達支援端末、101…通信部、102…現在地取得部、103…ユーザI/F部、111…通信部、112…荷物センサ、113…振動センサ、200…管理端末、201…通信部、202…ユーザI/F部、LC…荷室