(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】植物栽培方法及び植物栽培システム
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20231003BHJP
A01G 31/00 20180101ALI20231003BHJP
【FI】
A01G7/00 601C
A01G7/00 601A
A01G31/00 601A
A01G31/00 612
(21)【出願番号】P 2019168010
(22)【出願日】2019-09-17
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】下山 真人
(72)【発明者】
【氏名】溝田 陽子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 真一
(72)【発明者】
【氏名】野末 はつみ
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-162757(JP,A)
【文献】国際公開第2010/140632(WO,A1)
【文献】特開2015-033367(JP,A)
【文献】特開2018-126069(JP,A)
【文献】特開平06-105625(JP,A)
【文献】特開2003-204718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
A01G 31/00 - 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を供給しながら、人工光を照射して、可食部を有する植物を生育する植物栽培方法であって、
前記植物の収穫直前の硝酸低減期間において、前記植物の硝酸態窒素を低減させる硝酸低減処理を行ない、
前記植物の収穫直前
における前記硝酸低減期間の開始後の光処理期間において、青色の波長領域の光の強度が他の色の波長領域の光よりも強く、かつ可視光の全体的な波長領域を有した白色の人工光を、前記植物に連続して照射することにより、前記植物を生育することを特徴とする植物栽培方法。
【請求項2】
前記光処理期間は、
前記植物が衰弱しない時間であることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培方法。
【請求項3】
前記硝酸低減処理は、前記硝酸低減期間より前に前記植物に供給していた培養液の代わりに、水を前記植物に供給する処理であって、
前記硝酸低減期間は、4日以上6日以下であることを特徴とする請求項
1又は2に記載の植物栽培方法。
【請求項4】
可食部を有する植物に液体を供給する供給部と、前記植物に人工光を照射する照射部とを備え、前記植物を栽培するシステムであって、
前記供給部は、培養液を用いて前記植物を育てた後、前記植物の収穫直前の硝酸低減期間において、前記植物の硝酸態窒素を低減させる液体を前記植物に供給し、
前記照射部は、前記植物の収穫直前
における前記硝酸低減期間の開始後の光処理期間において、青色の波長領域の光の強度が他の色の波長領域の光よりも強く、かつ可視光の波長領域を全体的に有した白色の人工光を、前記植物に連続して照射することを特徴とする植物栽培システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜等の可食部を有する植物を栽培する植物栽培方法及び植物栽培システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ルテインは、ヒトの網膜の黄斑部にキトサンフィルと共に高濃度に蓄積され、紫外線等及び青色光による酸化障害から網膜の保護、加齢による黄斑変性や白内障の予防に有用な機能性成分として着目されている。ホウレンソウには、このルテインが、他の葉物野菜に比較して多く含まれている。
【0003】
また、ルテインは、光合成システムの構成色素であるカロテノイドの一つである。このカロテノイドは、光化学系における集光装置(LHC)に組み込まれ、光エネルギーの吸収と伝達に関与している。LHCのサイズ及び色素バランスは、生育環境特に光環境の影響を受けて変化する。カロテノイドは、強光に対応する光合成制御システムの防御作用として、青色光によりカロテノイド含有量が増加するという報告がある(例えば、非特許文献1参照。)。この文献には、光波長450nm(青色)の光を照射することで、カロテノイドやポリフェノールが増加することが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】「植物工場における光の重要性 スペクトル(光波長)について」、一般社団法人イノプレックス 2018年2月10日、[online]、[令和1年7月15日検索]、インターネット〈URL:http://innoplex.jp/2018/02/10/plantfactory-lighting/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ルテインは、青色光やUV光の照射により誘導されて生成される。しかしながら、これらの光を照射した場合、植物の形態異常が発生することがある。このため、青色光やUV光の照射以外の方法により、ルテイン等の強化成分を増加させる方法が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する植物栽培方法は、液体を供給しながら、人工光を照射して、可食部を有する植物を生育する植物栽培方法であって、前記植物の収穫直前の光処理期間において、青色の波長領域の光の強度が他の色の波長領域の光よりも強く、かつ可視光の全体的な波長領域を有した白色の人工光を、前記植物に連続して照射することにより、前記植物を生育する。
【0007】
上記課題を解決する植物栽培方法は、液体を供給しながら、可食部を有する植物を生育する植物栽培方法であって、前記植物の収穫直前の硝酸低減期間において、前記植物の硝酸態窒素を低減させる硝酸低減処理を実行して前記植物を生育する。
【0008】
上記課題を解決する植物栽培システムは、可食部を有する植物に液体を供給する供給部と、前記植物に人工光を照射する照射部とを備え、前記植物を栽培するシステムであって、前記供給部は、培養液を用いて前記植物を育てた後、前記植物の収穫直前の硝酸低減期間において、前記植物の硝酸態窒素を低減させる液体を前記植物に供給し、前記照射部は、前記植物の収穫直前の光処理期間において、青色の波長領域の光の強度が他の色の波長領域の光よりも強く、かつ可視光の波長領域を全体的に有した白色の人工光を、前記植物に連続して照射する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、植物に含まれる機能性成分を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1における植物栽培方法を説明する説明図。
【
図2】実施例1に用いた人工光の分光分布を示す説明図。
【
図3】実施例1における植物栽培方法によるルテイン含有量を、他の人工光を用いて生育したホウレンソウのルテイン含有量と比較する図。
【
図4】実施例1における植物栽培方法によるルテイン含有量及び硝酸態窒素含有量を他のホウレンソウと比較した図。
【
図5】実施例2における植物栽培方法を説明する説明図。
【
図6】実施例2における硝酸低減処理を行なった日数に対するルテイン含有量と硝酸態窒素含有量とを示す図。
【
図7】実施例3における植物栽培方法を説明する説明図。
【
図8】実施例3における植物栽培方法によって栽培したホウレンソウと他のホウレンソウとの値を比較する図であって、(a)はルテイン含有量、(b)は硝酸態窒素含有量、(c)は生体重。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1~
図9を用いて、可食部を有する野菜の栽培方法について説明する。本実施形態では、ルテイン(強化成分)が増加したホウレンソウを栽培する場合を想定する。本実施形態では、以下の3つの方法の実施例により行なう。
【0012】
(1)収穫直前に、ホウレンソウに与える人工光の条件を変更して栽培する方法(以下、「WB光栽培方法」と呼ぶ)
(2)収穫直前に、硝酸態窒素を低減させる硝酸低減処理を実行して栽培する方法(以下、「硝酸低減栽培方法」と呼ぶ)
(3)(1)と(2)の両方を行なって栽培した方法(以下、「WB光硝酸低減栽培方法」と呼ぶ)
【0013】
各実施例においては、培養液は、鐘山グリーンテック製の養液配合肥料を使用してEC1.44×100mSm-1、NO3-N560ppmに設定したものを用いる。ここで、鐘山グリーンテック製の養液配合肥料としては、商品名「カネヤマA1号」、商品名「カネヤマM5号」、商品名「硝酸カルシウム」を、ホウレンソウの栽培に適した配合で混合して使用する。また、栽培するホウレンソウは、晩抽サマースカイという品種を使用する。
【0014】
(実施例1)
まず、
図1~
図4を用いて、(1)WB光栽培方法について説明する。
図1に示すように、定植から収穫までの生育期間P1のうち収穫直前の処理期間を除いた成長期間P2においては、定植したホウレンソウを、水耕栽培で、ほぼ収穫可能な大きさになるまで生育する。本実施例では、生育期間P1として17日間~19日間を用い、処理期間として、48時間の光処理期間P3を用いるので、成長期間P2は15日~17日間である。
【0015】
この成長期間P2においては、色温度「5000K」の白色LEDを用いた人工光を16時間照射し、その後8時間消灯する。このように明期16時間、暗期8時間を1サイクル(1日)として、成長期間P2中繰り返して、ホウレンソウを生育する。この場合、上述した培養液をホウレンソウに供給して栽培する。
【0016】
図2に示すように、色温度「5000K」の白色LEDは、一点鎖線で示す光量子束密度(photon flux density,PFD)の波長特性を有する人工光を出力する。この光は、遠赤外線領域FRの波長成分を、通常の白色光よりも多く含む。
【0017】
そして、
図1に示すように、成長期間P2が終了し、収穫直前の光処理期間P3の開始時に、植物に照射する人工光の波長を変更する。この光処理期間P3においては、色温度「6500K」の白色LEDの人工光を、連続照射する。
【0018】
図2に示すように、色温度「6500K」の白色LEDは、実線で示す光量子束密度の波長特性を有する人工光を出力する。この光は、青色の波長成分(波長450~470nmの成分)を多く含み、他の色の可視光(495~650nm)の各成分を満遍なく含む。
そして、光処理期間P3が終了した後、ホウレンソウを収穫する。
【0019】
本実施例における栽培方法は、以下の知見に基づくものである。
図3は、本実施例の「WB光栽培方法」、比較例のホウレンソウに含まれるルテインの含有量を示している。比較例1,2のルテイン含有量は、それぞれ、成長期間P2(光処理期間P3直前まで)は本実施例と同様に育成したホウレンソウである。そして、比較例1のホウレンソウは、光処理期間P3において青色光で連続照射して育成し、比較例2のホウレンソウは、光処理期間P3において色温度「5000K」の白色LEDから出力した光を明期16時間、暗期8時間を収穫時まで繰り返して育成した。また、比較例3は、栽培地の近くの路地で栽培されて市販されていたホウレンソウのルテイン含有量である。
【0020】
図4は、WB光栽培方法で栽培したホウレンソウに含まれるルテインの含有量及び硝酸態窒素の含有量を示している。ここで、比較例4では、比較例2と同様に、色温度「5000K」の白色LEDが出力した人工光で、明期16時間、暗期8時間を収穫時まで繰り返して生育したホウレンソウの値を示している。なお、比較例4と比較例2とは別の生育時期に生育したため、光の照射条件が同じでも、ルテイン含有量が多少違っている。
【0021】
図4に示すように、本実施例による栽培方法では、比較例4の栽培方法よりもホウレンソウに含まれるルテイン含有量が多く、目標値の10(mg/100gFW)を上回った。また、本実施例による栽培方法では、比較例4の栽培方法よりもホウレンソウに含まれる硝酸態窒素の含有量(mg/kgFW)は低くなっていた。
また、光処理期間P3を48時間より長くすると、段々とホウレンソウの葉が萎れて、ホウレンソウが衰弱してくる。
【0022】
本実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1-1)本実施例では、収穫直前の光処理期間P3において、色温度「6500K」の白色LEDの人工光を連続照射して、植物を生育する。これにより、光処理期間P3に青色光を照射して生育したホウレンソウや収穫時まで明期と暗期のサイクルを繰り返して生育したホウレンソウに比べて、ルテイン含有量を増加させることができる。更に、収穫時まで明期と暗期のサイクルを繰り返して生育したホウレンソウに比べて、硝酸態窒素の含有量を低減させることができる。
また、色温度「6500K」の白色LEDの人工光は、青色光の成分が強いとともに、他の波長の光もバランスよく含んでいるため、植物の形態異常が発生し難い。更に、作業者の目の負担を軽減することができる。
【0023】
(実施例2)
次に、
図5及び
図6を用いて、本実施例の(2)硝酸低減栽培方法について説明する。
図5に示すように、本実施例においても、成長期間P2では、実施例1と同様に、色温度「5000K」の白色LEDを用いた人工光で、明期16時間、暗期8時間を繰り返し、上述した培養液を供給して、ホウレンソウを生育する。本実施例では、処理期間として4日~6日の硝酸低減期間P4を用いるので、成長期間P2は11日~15日間である。
【0024】
そして、収穫予定時の直前の硝酸低減期間P4に、植物の硝酸態窒素を低減させる硝酸低減処理を実行する。具体的には、硝酸低減期間P4の開始時に、植物に供給していた培養液を停止し、硝酸が含まれない水を植物に供給する。そして、硝酸低減期間P4では、植物には、水を供給する。この場合、植物は、色温度「5000K」の白色LEDを用いた人工光で明期16時間、暗期8時間を繰り返して育成する。
【0025】
そして、硝酸低減期間P4が終了した後、収穫を行なう。
本実施例における栽培方法は、硝酸態窒素を低減させる硝酸低減処理を行なうことにより、ホウレンソウのルテイン含有量が増加したという以下の知見に基づくものである。
【0026】
図6は、ルテイン含有量及び硝酸態窒素含有量について、植物に供給していた液体を、培養液から水を切り替えてからの硝酸低減期間P4の依存性を示している。この図に示すように、硝酸低減期間P4が「4日」のホウレンソウのルテイン含有量は、硝酸低減処理を行なわずに明期と暗期のサイクルを繰り返して生育したホウレンソウに比べて上昇した。また、硝酸低減期間P4が「6日」のホウレンソウは、硝酸低減期間P4が「4日」のホウレンソウよりも、ルテイン含有量が減少した。また、硝酸低減期間P4が「4日」のホウレンソウの硝酸態窒素は大幅に減少している。更に、硝酸低減期間P4が「6日」のホウレンソウは、硝酸低減期間P4が「4日」としたホウレンソウの硝酸態窒素含有量よりは減少したが、減少量は小さかった。
【0027】
本実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(2-1)本実施例では、収穫直前の硝酸低減期間P4において、培養液の代わりに水を供給して、ホウレンソウを栽培する。これにより、明期と暗期のサイクルを繰り返して生育したホウレンソウに比べて、ルテイン含有量を増加させることができる。
(2-2)本実施例では、4日~6日の硝酸低減期間P4を設けることにより、硝酸態窒素を大幅に低減することができる。
【0028】
(実施例3)
次に、
図7~
図9を用いて、本実施例の(3)WB光硝酸低減栽培方法について説明する。
【0029】
図7に示すように、本実施例においても、成長期間P2では、上記実施例1,2と同様に、色温度「5000K」の白色LEDを用いた人工光で、明期16時間、暗期8時間を繰り返し、培養液を供給して、ホウレンソウを生育する。
【0030】
そして、実施例2と同様に、収穫予定時の直前の硝酸低減期間P4の開始時に、植物に供給していた培養液を停止し、植物への水の供給を開始する。それ以降の硝酸低減期間P4においては、植物に水を供給する。ここでは、硝酸低減期間P4として「4日」を用いる。
【0031】
その後、収穫予定時の直前の光処理期間P3の開始時(収穫予定時の48時間前)に、実施例1と同様に、植物に照射する人工光を、色温度「6500K」の白色LEDを用いた人工光に変更する。そして、この光処理期間P3においては、色温度「6500K」の白色LEDを用いた人工光を連続照射する。
そして、色温度「6500K」の白色LEDを用いた48時間の連続照射が終了した後、収穫を行なう。
【0032】
本実施例における栽培方法は、以下の知見に基づくものである。
図8(a)、(b)、(c)は、本実施例のWB光硝酸低減栽培方法で栽培したホウレンソウのルテイン含有量、硝酸態窒素含有量及び生体重を示している。
図8においては、色温度「5000K」の白色LEDが出力した人工光で、明期16時間、暗期8時間を繰り返して生育したホウレンソウと比較している。
【0033】
図8(a)に示すように、本実施例によるホウレンソウに含まれるルテイン含有量は、明期と暗期のサイクルを繰り返して生育したホウレンソウに比べて14%多かった。
また、
図8(b)に示すように、本実施例によるホウレンソウに含まれる硝酸含有量は、明期と暗期のサイクルを繰り返して生育したホウレンソウに比べて81%低くなっていた。
【0034】
なお、
図8(c)に示すように、本実施例によるホウレンソウの生体重は、明期と暗期のサイクルを繰り返して生育したホウレンソウに比べて16%減少していた。
また、
図9には、本実施形態における各実施例の栽培方法において生育させたホウレンソウの食味試験の結果を示す。明期と暗期のサイクルを繰り返して生育したホウレンソウに比べて、実施例1のWB光栽培方法及び実施例2の4日間硝酸低減栽培方法で生育したホウレンソウは食べやすかった。また、実施例3のWB光硝酸低減栽培方法で生育したホウレンソウは、ほんのり甘く食味が良かった。
【0035】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(3-1)本実施例は、収穫直前の硝酸低減期間P4において、培養液の代わりに水を供給し、収穫直前の光処理期間P3において、色温度「6500K」の白色LEDの人工光を連続照射して、ホウレンソウを育成する。これにより、収穫時まで明期と暗期のサイクルを繰り返して生育したホウレンソウに比べて、ルテイン含有量が増加するとともに、硝酸態窒素の含有量を低減させることができる。また、本実施例の栽培方法で生育したホウレンソウは、実施例1のホウレンソウ及び実施例2のホウレンソウより、ルテインの増加量は多くなかったが、食味を良くすることができた。また、植物の形態異常が発生し難く、作業者の目の負担を軽減することができる。
【0036】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記各実施例では、ホウレンソウを、成長期間P2中、培養液を供給しながら、色温度「5000K」の人工光を用いて、明期16時間暗期8時間の1サイクルを繰り返して生育した。成長期間P2における栽培方法は、これに限られない。暗期や明期の時間、1サイクルの時間等を変更してもよいし、他の人工光を用いてもよい。また、栽培する植物の種類に応じて変更してもよい。
【0037】
・上記実施例1,3においては、収穫直前の光処理期間P3において、色温度が「6500K」の白色LEDの人工光を48時間連続照射した。この光処理期間P3において照射する人工光は、色温度が「6500K」の白色LEDが出力する人工光に限られず、青色の波長領域の光の強度が他の色の波長領域の光よりも強く、かつ可視光の波長領域を全体的に有した白色の人工光であればよい。例えば、成長期間P2に用いた照明に対して、他の照明を追加することにより、青色の波長領域の光の強度が他の色の波長領域の光よりも強く、かつ可視光の波長領域を全体的に有した白色の人工光が植物に照射されるようにしてもよい。
【0038】
・上記実施例2,3においては、硝酸低減処理において、培養液の代わりに水を供給する。ホウレンソウの硝酸性窒素を低減させる処理は、これに限定されない。例えば、硝酸イオンを除いた培養液を供給して、硝酸低減処理を実行してもよい。
【0039】
・上記各実施例の栽培方法は、機能性野菜として、ルテインを有するホウレンソウに適用した。適用対象の機能性植物は、ホウレンソウに限定されない。例えば、レタスやキャベツ等の葉物野菜等、通常状態で機能性成分を含有し、かつ可食部を有する植物に適用することができる。また、野菜に増加させる成分は、ルテインに限らず、ビタミン等、他の栄養成分であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
FR…遠赤外線領域、P1…生育期間、P2…成長期間、P3…光処理期間、P4…硝酸低減期間。