(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】渦電流ダンパおよびそれを備えた作業車両
(51)【国際特許分類】
F16F 15/03 20060101AFI20231003BHJP
B66C 13/00 20060101ALI20231003BHJP
H02K 49/10 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
F16F15/03 J
B66C13/00 D
H02K49/10 A
F16F15/03 G
(21)【出願番号】P 2019168491
(22)【出願日】2019-09-17
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】米田 瑞生
(72)【発明者】
【氏名】オソシニスキ マレク
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-531188(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0320963(US,A1)
【文献】登録実用新案第3149327(JP,U)
【文献】特開昭57-151263(JP,A)
【文献】特開昭63-312536(JP,A)
【文献】米国特許第05736798(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00- 15/36
H02K 49/10
H02K 49/02
B66C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気伝導体から構成され、計測機器の取付部を有する回転板と、
電気伝導体から構成され、前記回転板を回転自在に支持する支持部材と、
前記回転板または前記支持部材に設けられた磁石と、を備え
、
起伏可能なブームを有する作業車両の前記ブームに前記支持部材が取り付けられる渦電流ダンパ
であって、
前記磁石は、
前記回転板が回転された際に、前記回転板または支持部材の表面に渦電流を発生させて、非接触で前記回転板の回転を抑制するように前記回転板または前記支持部材と対向して配置され
、
前記回転板は、
前記ブームに取り付けられた前記渦電流ダンパの前記取付部が鉛直下方向に位置付けられた状態で、前記ブームの起伏角度に基づいて決定される所定の中心角度の範囲において、前記磁石によって前記回転板または前記支持部材に発生する渦電流による抵抗力が、他の範囲と異なるように構成される、
渦電流ダンパ。
【請求項2】
請求項1に記載の渦電流ダンパであって
、
前記回転板は、円板状であり、
前記取付部は、
複数の取付部を含み、前記複数の取付部が前記回転板の径方向に並んで設けられている、
渦電流ダンパ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の渦電流ダンパであって、
前記磁石と前記回転板との距離、または前記磁石と前記支持部材との距離が前記回転板の中心角度によって変わるように、前記回転板の厚みが、少なくとも一部で異なる、
渦電流ダンパ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の渦電流ダンパであって、
前記回転板は、
前記磁石と対向する部分の面積が前記回転板の中心角度によって変わるように、孔または切り欠きが設けられている、
渦電流ダンパ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の渦電流ダンパであって、
前記回転板は、円板状であり、
前記取付部は、複数の取付部を含み、複数の取付部は、互いに前記回転板の回転中心からの距離が異なる位置に設けられている、
渦電流ダンパ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の渦電流ダンパであって、
前記磁石は、電磁石であり、
前記電磁石に供給される電圧および電流を変更可能な、
渦電流ダンパ。
【請求項7】
起伏可能なブームを備え、
前記ブームの先端部に請求項1から請求項6のいずれ
か一つに記載の前記渦電流ダンパが
設けられている、
作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渦電流ダンパおよびそれを備えた作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
起伏するブームに吊り荷カメラが設置されたクレーンが知られている。前記吊り荷カメラは、常に鉛直下方向を撮影するように、ブームの先端部等に接続されている。これにより、クレーンは、鉛直下方向の映像を取得することができる。しかしながら、ブームの先端部は、風や前記ブームを移動させるアクチュエータなどの外部からの力を受けやすく、風やブームの移動などによって吊り荷カメラが大きく揺動することがある。このため、取得した映像の撮影範囲が変動して吊り荷が映らない場合や画像が鮮明でない場合があるという問題があった。
【0003】
吊り荷カメラの揺動を緩衝する装置として、特許文献1には、クレーンモニターカメラ用の揺振制御装置が開示されている。前記揺振制御装置は、円筒形の中空部にオイルを封入したハウジングと、中空部内を貫通する軸とからなり、上記中空部内を二室に分割し、二つの部屋の間をオイルの流れに対して抵抗となる可変絞りを設けた外部流路で短絡したロータリーダンパーを有し、前記ハウジングまたは前記軸を、クレーンのブームとモニターカメラとの取付に介在させることで、モニターカメラの揺動を緩衝している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された揺振制御装置を用いると、モニターカメラの揺動を抑制できるものの、前記揺動の抑制は、オイルによる接触抵抗によるもののため、オイルの粘度変化などにより、前記モニターカメラが鉛直下方向を向いていない状態で停止してしまう場合があった。このため、所望の方向の映像が取得できないことがあった。
【0006】
本発明の目的は、吊り荷カメラ等の計測機器の揺動を抑制できるとともに、前記計測機器を所望の方向に向かせることが可能な、渦電流ダンパおよび前記渦電流ダンパを備えた作業車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、第1の発明は、電気伝導体から構成され、計測機器の取付部を有する回転板と、電気伝導体から構成され、前記回転板を回転自在に支持する支持部材と、前記回転板または前記支持部材に設けられた磁石と、を備え、起伏可能なブームを有する作業車両の前記ブームに前記支持部材が取り付けられる渦電流ダンパである。前記磁石は、前記回転板が回転された際に、前記回転板または支持部材の表面に渦電流を発生させて、非接触で前記回転板の回転を抑制するように前記回転板または前記支持部材と対向して配置される。前記回転板は、前記ブームに取り付けられた前記渦電流ダンパの前記取付部が鉛直下方向に位置付けられた状態で、前記ブームの起伏角度に基づいて決定される所定の中心角度の範囲において、前記磁石によって前記回転板または前記支持部材に発生する渦電流による抵抗力が、他の範囲と異なるように構成される。
【0009】
第2の発明は、前記回転板は、円板状である。前記取付部は、複数の取付部を含み、前記複数の取付部が前記回転板の径方向に並んで設けられている、渦電流ダンパである。
【0010】
第3の発明は、前記磁石と前記回転板との距離、または前記磁石と前記支持部材との距離が前記回転板の中心角度によって変わるように、前記回転板の厚みが、少なくとも一部で異なる、渦電流ダンパである。
【0011】
第4の発明は、前記回転板には、前記磁石と対向する部分の面積が前記回転板の中心角度によって変わるように、孔または切り欠きが設けられている、渦電流ダンパである。
【0012】
第5の発明は、前記回転板が、円板状であり、前記取付部は、複数の取付部を含み、複数の取付部は、互いに前記回転板の回転中心からの距離が異なる位置に設けられている、渦電流ダンパである。
【0013】
第6の発明は、前記磁石が、電磁石であり、前記電磁石に供給される電圧および電流を変更可能な、渦電流ダンパである。
【0014】
第7の発明は、前記ブームの先端部に第1の発明から第6の発明のいずれ一つに記載の前記渦電流ダンパが設けられている、作業車両である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
第1の発明においては、回転板は、外力が加わり回転されると、前記回転板または支持部材に設けられた磁石によって、前記支持部材または前記回転板の表面に生じた渦電流によって、前記回転板の回転に対する抵抗力が生じる。これにより、例えば、作業車両のブームに設けられた前記支持部材が、前記ブームの振動や風などの外力を受けることで、前記回転板が回転されようとしても、その回転は抑制される。したがって、上述の構成を有する渦電流ダンパによって、前記回転板の取付部に取り付けられた計測機器の揺動を抑制することができる。
【0017】
また、前記回転板に設けられた磁石と前記支持部材、または、前記支持部材に設けられた磁石と前記回転板は接触しないため、摩擦による抵抗力が生じていない。よって、外力が消失しているときに、重力により回転板を初期位置に復帰させることができる。
【0018】
第2の発明においては、回転板の取付部に計測機器を取り付けると、前記回転板は、前記計測機器の重力で回転して、前記計測機器が回転中心と重心とを結ぶ位置(初期位置)に位置する状態で停止する。すなわち、取付部に取り付けられた計測機器は、外力が消失している状態では、回転板の鉛直真下に位置する。また、回転板は、作業車両のブームの振動や風などの外力を受けても、渦電流によってその回転が抑制される。よって、前記計測機器が、例えば、吊り荷カメラの場合、鉛直真下方向のぶれの少ない映像を取得することができる。すなわち、渦電流ダンパによって、吊り荷カメラ等の計測機器の揺動を抑制できるとともに、前記計測機器を所望の方向に向かせることができる。
【0019】
第3の発明においては、回転板の厚みを異ならせることで、前記回転板の回転に対する抵抗力の大きさを調整することができる。渦電流による抵抗力は、磁石と、回転板または支持部材との距離が小さいほど大きくなる。また、前記抵抗力は、前記磁石が前記支持部材に設けられている場合、渦電流が発生している位置における回転板の厚みが大きいほど大きくなる。したがって、このように、回転板の厚みを異ならせることで、前記回転板の回転に対する抵抗力の大きさを調整することができる。
【0020】
例えば、作業車両のブームに固定された渦電流ダンパでは、前記ブームの起伏角度に応じて、鉛直方向に対して支持部材が延びる方向が変更される。したがって、ブームの起伏角度によって、計測機器の初期位置に対して渦電流が発生する回転板の位置または渦電流が発生する支持部材と対向する回転板の位置が異なってくる。よって、前記回転板の厚みを前記ブームの起伏角度に応じて調整することで、渦電流ダンパは、起伏角度に応じた抵抗力で前記計測機器の揺動をより確実に抑制することができる。
ことができる。
【0021】
第4の発明においては、回転板に孔または切り欠きが設けられた部分では、回転板の表面に発生する渦電流による抵抗力を小さくすることができる。よって、前記回転板の孔または切り欠きの位置を前記ブームの起伏角度に応じて調整することで、渦電流ダンパは、起伏角度に応じた抵抗力で前記計測機器の揺動をより確実に抑制することができる。
【0022】
また、計測機器が取り付けられている取付部の位置と回転中心とを結ぶ直線に対して一方側と他方側とで重量が相違するように孔または切り欠きを設けることで、重心の位置を前記直線上からずらすこともできる。これにより、計測機器の初期位置を鉛直真下方向以外の所望の位置に設定することができる。
【0023】
第5の発明においては、計測機器を、径方向の任意の位置に取り付けることができる。前記計測機器を取り付ける回転板の径方向の位置を変更することで、前記回転板の回転力を調整することができる。したがって、前記回転板に発生する抵抗力を調整することができる。
【0024】
また、前記計測機器を取り付ける位置を変更することで、外力による揺動の周波数と計測機器の振子運動の周波数とをずらすことができる。よって、共振を防止することができるため、吊り荷カメラ等の計測機器の揺動を容易に抑制することができる。
【0025】
第6の発明においては、渦電流は、供給される電圧および電流が変更可能な電磁石によって生じている。このため、回転板の回転に対する抵抗力は、任意に変動させることができる。したがって、前記回転板の回転を抑制する必要がないときは、渦電流ダンパによる回転に対する抵抗力を小さくすることができる一方、前記回転板の回転を確実に抑制したいときには、渦電流ダンパによる回転に対する抵抗力を大きくすることができる。
【0026】
第7の発明においては、測定機器の揺動を抑制可能な渦電流ダンパを、ブームの先端部に有する作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】クレーンの制御構成を示すブロック図である。
【
図3】渦電流ダンパである揺動抑制装置の概略構成を示す図である。
【
図5】実施形態2に係る揺動抑制装置とブームの関係を示す図である。
【
図7】実施形態3に係る揺動抑制装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施形態1)
以下に、
図1と
図2とを用いて、本発明の実施形態1に係る移動式クレーンであるクレーン1について説明する。なお、本実施形態においては、ラフテレーンクレーンついて説明を行うが、オールテレーンクレーン、トラッククレーン、積載型トラッククレーン、高所作業車等でもよい。
【0029】
図1に示すように、クレーン1は、不特定の場所に移動可能な移動式クレーン1である。クレーン1は、車両2、作業装置であるクレーン装置6、制御装置31およびクレーン装置6を遠隔操作可能な遠隔操作端末32(
図2参照)を有する。
【0030】
車両2は、クレーン装置6を搬送する移動体である。車両2は、複数の車輪3を有し、エンジン4を動力源として走行する。車両2には、アウトリガ5が設けられている。車両2は、アウトリガ5を車両2の幅方向に延伸させるとともにジャッキシリンダを接地させることにより、クレーン1の作業可能範囲を広げることができる。
【0031】
クレーン装置6は、荷物Wをワイヤロープによって吊り上げる装置である。クレーン装置6は、旋回台7、ブーム9、ジブ9a、メインフックブロック10、サブフックブロック11、起伏用油圧シリンダ12、メインウインチ13、メインワイヤロープ14、サブウインチ15、サブワイヤロープ16およびキャビン17等を具備する。
【0032】
旋回台7は、クレーン装置6を旋回する装置である。旋回台7は、円環状の軸受の中心を回転中心として回転自在に構成されている。旋回台7には、アクチュエータである油圧式の旋回用油圧モータ8が設けられている。旋回台7は、旋回用油圧モータ8によって一方向と他方向とに旋回可能に構成されている。
【0033】
アクチュエータである旋回用油圧モータ8は、電磁比例切換弁である旋回用バルブ23(
図2参照)によって回転操作される。旋回用バルブ23は、旋回用油圧モータ8に供給される作動油の流量を任意の流量に制御することができる。旋回台7には、旋回台7の旋回位置(角度)と旋回速度とを検出する旋回用センサ27(
図2参照)が設けられている。
【0034】
ブーム9は、荷物Wを吊り上げ可能な状態にワイヤロープを支持する梁部材である。ブーム9は、ベースブーム部材の基端が旋回台7の略中央に揺動可能に設けられている。ブーム9は、各ブーム部材をアクチュエータである図示しない伸縮用油圧シリンダで移動させることで軸方向に伸縮自在に構成されている。また、ブーム9には、ジブ9aが設けられている。
【0035】
アクチュエータである図示しない伸縮用油圧シリンダは、電磁比例切換弁である伸縮用バルブ24(
図2参照)によって伸縮操作される。ブーム9には、ブーム9の長さを検出する伸縮用センサ28や荷物Wの重量を検出する重量センサ等が設けられている。
【0036】
吊り荷カメラ9b(
図2参照)は、荷物Wおよび荷物W周辺の地物を撮影する撮影装置である。吊り荷カメラ9bは、揺動抑制装置41を介してブーム9の先端部に設けられている。吊り荷カメラ9bは、荷物Wの鉛直上方から荷物Wおよびクレーン1周辺の地物や地形を撮影可能に構成されている。揺動抑制装置41の詳細な構成は、後述する。
【0037】
メインフックブロック10とサブフックブロック11とは、荷物Wを吊る部材である。メインフックブロック10には、メインワイヤロープ14が巻き掛けられる複数のフックシーブと、荷物Wを吊るメインフック10aとが設けられている。サブフックブロック11には、荷物Wを吊るサブフック11aが設けられている。
【0038】
起伏用油圧シリンダ12は、ブーム9を起立および倒伏させ、ブーム9の姿勢を保持するアクチュエータである。起伏用油圧シリンダ12は、電磁比例切換弁である起伏用バルブ25(
図2参照)によって起伏操作される。ブーム9には、ブーム9の起伏角度を検出する起伏用センサ29(
図2参照)が設けられている。
【0039】
メインウインチ13とサブウインチ15とは、メインワイヤロープ14とサブワイヤロープ16との繰り入れ(巻き上げ)および繰り出し(巻き下げ)を行う。メインウインチ13は、メインワイヤロープ14が巻きつけられるメインドラムがアクチュエータである図示しないメイン用油圧モータによって回転され、サブウインチ15は、サブワイヤロープ16が巻きつけられるサブドラムがアクチュエータである図示しないサブ用油圧モータによって回転されるように構成されている。
【0040】
メイン用油圧モータは、電磁比例切換弁であるメイン用バルブ26m(
図2参照)によって回転操作される。メインウインチ13は、メイン用バルブ26mによってメイン用油圧モータを制御し、任意の繰り入れおよび繰り出し速度に操作可能に構成されている。同様に、サブウインチ15は、電磁比例切換弁であるサブ用バルブ26s(
図2参照)によってサブ用油圧モータを制御し、任意の繰り入れおよび繰り出し速度に操作可能に構成されている。
【0041】
キャビン17は、旋回台7に搭載されている。図示しない操縦席が設けられている。操縦席には、車両2を走行操作するための操作具やクレーン装置6を操作するための旋回操作具18、起伏操作具19、伸縮操作具20、メインドラム操作具21m、サブドラム操作具21s等が設けられている(
図2参照)。
【0042】
図2に示すように、制御装置31は、各操作弁を介してクレーン1のアクチュエータを制御する装置である。制御装置31は、キャビン17内に設けられている。制御装置31は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。制御装置31は、各アクチュエータや切換え弁、センサ等の動作を制御するために種々のプログラムやデータが格納されている。
【0043】
制御装置31は、吊り荷カメラ9b、旋回操作具18、起伏操作具19、伸縮操作具20、メインドラム操作具21mおよびサブドラム操作具21sに接続され、吊り荷カメラ9bの映像Gを取得し、旋回操作具18、起伏操作具19、メインドラム操作具21mおよびサブドラム操作具21sのそれぞれの操作量を取得することができる。
【0044】
制御装置31は、通信機22に接続され、遠隔操作端末32からの制御信号を取得し、クレーン装置6からの制御情報や吊り荷カメラ9bからの映像G等を送信することができる。
【0045】
制御装置31は、旋回用バルブ23、伸縮用バルブ24、起伏用バルブ25、メイン用バルブ26mおよびサブ用バルブ26sに接続され、旋回用バルブ23、起伏用バルブ25、メイン用バルブ26mおよびサブ用バルブ26sに制御信号を伝達することができる。
【0046】
制御装置31は、旋回用センサ27、伸縮用センサ28および起伏用センサ29に接続され、旋回台7の旋回位置、ブーム長さ、起伏角度等の姿勢情報および荷物Wの重量を取得することができる。
【0047】
制御装置31は、旋回操作具18、起伏操作具19、伸縮操作具20、メインドラム操作具21mおよびサブドラム操作具21sの操作量に基づいて各操作具に対応した制御信号を生成する。
【0048】
このように構成されるクレーン1は、車両2を走行させることで任意の位置にクレーン装置6を移動させることができる。また、クレーン1は、起伏操作具19の操作によって起伏用油圧シリンダ12でブーム9を任意の起伏角度に起立させて、伸縮操作具20の操作によってブーム9を任意のブーム長さに延伸させたりすることでクレーン装置6の揚程や作業半径を拡大することができる。また、クレーン1は、サブドラム操作具21s等によって荷物Wを吊り上げて、旋回操作具18の操作によって旋回台7を旋回させることで荷物Wを搬送することができる。
【0049】
次に、
図3および
図4を用いて、渦電流ダンパである揺動抑制装置41について、詳細に説明する。
図3は、揺動抑制装置41の概略構成図である。
図4は、
図3のIV-IV線断面図である。
図3および
図4に示すように、揺動抑制装置41は、支持部材42、回転板43、および、磁石44を有する。なお、
図3では、ブーム9が延びる方向を示すためにブーム9を模式的に示している。また、
図4では、ブーム9の記載を省略している。
【0050】
支持部材42は、電気伝導体からなり、一対の矩形状の平板部材である第1支持部材42aおよび第2支持部材42bを有する。第1支持部材42aおよび第2支持部材42bは、互いに対向するように配置されている。以降の説明では、第1支持部材42aと第2支持部材42bとが互いに対向する側の面を、内面と呼ぶ。
【0051】
第1支持部材42aおよび第2支持部材42bは、それぞれ、長手方向の一端側に固定部45を有する。第1支持部材42aおよび第2支持部材42bは、固定部45でブーム9の先端部に回転不能に固定されている。よって、ブーム9が起伏しても、支持部材42の長手方向とブーム9が延びる方向とがなす角度は一定である一方、支持部材42の長手方向と鉛直方向がなす角度は、ブームの起伏に応じて変動する。
【0052】
第1支持部材42aおよび第2支持部材42bの長手方向の他端側には、第1支持部材42aと第2支持部材42bとを接続するように軸42cが固定されている。軸42cには、回転板43が回転可能に接続されている。
【0053】
回転板43は、電気伝導体からなる円板状の部材である。本実施形態では、回転板43は、一様の厚みを有する。
【0054】
回転板43は、支持部材42の軸42cに、回転面の中央を回転中心Pとして、回転自在に接続されている。すなわち、回転板43の回転中心Pから、回転板43の外周までの距離は、周方向にわたって同一である。よって、回転板43が回転すると、支持部材42の内面側において、軸42cの接続部を中心とした一定の範囲が回転板43と対向する。
【0055】
回転板43には、測定機器を取り付けるための取付部である機器取付部43aが設けられている。機器取付部43aは、回転中心Pからの距離が異なる位置に、複数設けられている。これにより、回転板43の径方向の任意の位置に測定機器を取り付けることができる。本実施形態では、回転板43の径方向最も外側に位置する機器取付部43aに、吊り荷カメラ9bが取り付けられている。なお、吊り荷カメラ9b等の測定機器は、任意の機器取付部に取り付けることができる。これにより、外力による揺動の周波数と測定機器の振子運動の周波数とをずらすことができる。よって、共振による揺動を防止することができる。
【0056】
回転板43は、軸42cを回転中心として回転する。なお、回転板43は、例えば、図示しないベアリングを介して軸42cに回転自在に支持されている。これにより、回転板43が回転するときに、回転板43と軸42cとの間には摩擦による抵抗力がほとんど生じない。
【0057】
磁石44は、本実施形態では、永久磁石である。磁石44は、第1支持部材42aの内面および第2支持部材42bの内面における、回転板43と対向する前記一定の範囲内に接続されている。本実施形態では、磁石44は、2個の第1支持部材側磁石44a、および、2個の第2支持部材側磁石44bを有する。第1支持部材側磁石44aは、第1支持部材42aの前記一定の範囲内における所定の位置に接続されている。第2支持部材側磁石44b、第2支持部材42bの内面における、2個の第1支持部材側磁石44aとそれぞれ対向する位置に接続されている。
【0058】
磁石44は、いずれも回転板43が回転しても、回転板43とは接触しないように支持部材42に接続されている。
【0059】
上述の構成を有する揺動抑制装置41では、支持部材42に設けられた磁石44と回転板43とは接触しないため、磁石44と回転板43との間には摩擦による抵抗力が生じていない。したがって、回転板43は、吊り荷カメラ9bの重力によって、回転中心Pに対して吊り荷カメラ9bが鉛直真下に位置する位置まで回転して停止する。
【0060】
すなわち、ブーム9の起伏にともなって、支持部材42が鉛直方向に対して回転しても、吊り荷カメラ9bに作用する重力によって、吊り荷カメラ9bが常に所定の位置に位置するよう回転板43が回転する。以降の説明においては、抵抗がない状態で、吊り荷カメラ9bが重力によって移動して停止する位置を吊り荷カメラ9bの初期位置と呼ぶ。本実施形態において、吊り荷カメラ9bの初期位置は、鉛直下方向である。
【0061】
一方、上述の構成を有する揺動抑制装置41では、第1支持部材側磁石44aと第2支持部材側磁石44bの間に磁気による磁束が生じている。また、揺動抑制装置41は、回転板43が回転すると、磁石44の磁束によって、回転板43の表面には渦電流が発生する。これにより、回転板43の表面には、回転板43の回転に対する抵抗力が生じる。以下、回転板43が磁束内を回転することで発生する渦電流により回転板43の表面に生じる抵抗力を、単に、抵抗力Rと呼ぶ。
【0062】
抵抗力Rは、回転板43の回転速度が速くなるにつれて大きくなる。したがって、抵抗力Rは、吊り荷カメラ9bが重力等によって比較的低速で初期位置に移動することを妨げない。一方、抵抗力Rは、吊り荷カメラ9bがブーム9の振動や風などの外力などによって高速に動かされるほど大きな抵抗力となる。
【0063】
揺動抑制装置41は、ブーム9が起伏されると、ブーム9と一体に起伏される。揺動抑制装置41の支持部材42は、ブーム9の起伏に応じて鉛直方向に対する角度が変動する。一方、揺動抑制装置41の回転板43は、吊り荷カメラ9bに作用する重力によって吊り荷カメラ9bが鉛直下方向に位置するように回転される。回転板43の回転速度は、ブーム9の起伏速度に等しい。この際、回転板43には、回転板43の回転を妨げない程度の大きさの抵抗力Rが生じる。従って、揺動抑制装置41は、ブームの起伏時において、回転板43の回転により吊り荷カメラ9bの向きを鉛直下方向に維持する。
【0064】
揺動抑制装置41の支持部材42は、ブーム9が風等によって起伏方向に振動すると、ブーム9と一体に振動する。揺動抑制装置41の回転板43は、吊り荷カメラ9bの慣性によって吊り荷カメラ9bがその位置を維持するように回転される。回転板43の回転速度は、ブーム9の振動速度に等しい。この際、回転板43には、回転板43の回転を妨げる程度の大きさの抵抗力Rが生じる。従って、揺動抑制装置41は、ブームの振動時において、回転板43の回転が抑制されることにより支持部材42に対する吊り荷カメラ9bの相対的位置を維持する。
【0065】
これにより、吊り荷カメラ9bが、ブーム9の振動や風などの外力を受けても、吊り荷カメラ9bを支持する回転板43の回転は抑制される。したがって、上述の構成を有する揺動抑制装置41によって、回転板43の機器取付部43aに取り付けられた吊り荷カメラ9bの揺動を抑制することができる。
【0066】
以上の構成により、揺動抑制装置41は、ブーム9が起伏しても吊り荷カメラ9bを初期位置に位置づけることができるとともに、吊り荷カメラ9bが取り付けられている回転板43の揺動を抑制することができる。よって、クレーン1は、常に鉛直下方向のぶれの少ない映像を取得することができる。
【0067】
(実施形態2)
次に、
図5を用いて、本発明の実施形態2に係るクレーン1について説明する。本実施形態では、クレーン1が有する揺動抑制装置141では、回転板143に生じる抵抗力Rを調整することができる。以下の説明では、実施形態1と同様の構成については、実施形態1と同一の符号を付して、説明を省略する。
【0068】
回転板の回転に対する抵抗力Rは、回転板143の厚みによって、異なる。例えば、回転板143の回転に対する抵抗力Rは、磁石と、回転板143との距離が小さいほど大きくなる。また、抵抗力Rは、抵抗力Rが発生している位置における回転板143の厚みが大きいほど大きくなる。
【0069】
図5に示すように揺動抑制装置141は、支持部材42、回転板143、および、磁石44を有する。回転板143には、吊り荷カメラ9bが固定されている。支持部材42は、ブーム9の先端部に回転不能に固定されている。揺動抑制装置141の回転板143は、例えば、ブーム9が最も起立したときに吊り荷カメラ9bが鉛直下方向に位置する状態で、磁石44と対向する部分を中心とする所定の中心角度の範囲の厚みが、他の部分の厚みよりも大きい。また、回転板143の厚みが大きい部分は、磁石44との距離が他の部分よりも小さい。これにより、回転板143の厚みが大きい部分には、他の部分よりも大きい抵抗力Rが生じる。つまり、つまり、揺動抑制装置141は、任意の回転角度における任意の中心角度の範囲の抵抗力Rを大きくすることができる。
【0070】
一方、支持部材42は、上述のように、ブーム9に固定されているため、回転板143に抵抗力Rが生じる位置は、ブーム9の起伏角度に応じて決定される。
【0071】
本実施形態では、上述の構成により、ブーム9が最も起立したときの回転板143に生じる抵抗力Rが、最も大きくなる。よって、ブーム9が最も起立したときの吊り荷カメラ9bの揺動を最も抑制することができる。
【0072】
図5は、揺動抑制装置141とブーム9との関係を示す図である。
図5(A)は、ブーム9が最も倒伏しているときの図である。
図5(B)は、ブーム9が少し起立しているときの図である。
図5(C)は、ブーム9が最も起立しているときの図である。
図5では、説明のため、回転板143の厚みが他の部分よりも大きい部分にハッチングを施している。
【0073】
図5に示すように、回転板143は、機器取付部143aに取り付けられた吊荷カメラ9aが初期位置に位置するように回転する。すなわち、ブーム9の起伏角度に応じて、回転板143が支持部材42と対向する部分は、クレーン1の構成に基づいて決定される。よって、
図5(C)に示すように、ブーム9が最も起立しているときに回転板143が支持部材42と対向する部分も、クレーン1の構成に基づいて決定される。したがって、前記部分における回転板143の厚みを大きくすることで、揺動抑制装置141では、ブーム9が最も起立したときの回転板143に生じる抵抗力Rを最も大きくすることができる。
【0074】
したがって、上述の構成により、回転板143の厚みを全体として小さくする一方、起伏角度が最も大きいときの磁石44が対向する回転板143の位置の厚みを大きくすることで、揺動抑制装置141の重量が大きくなることを抑制しつつ、任意の起伏角度で抵抗力Rを増大させることができる。
【0075】
(実施形態2の変形例)
また、回転板143に生じる抵抗力Rを調整する別の例として、揺動抑制装置141の回転板143に、孔を設けることもできる。
【0076】
図6は、回転板143に孔143bを設けた場合の揺動抑制装置141の一例を示す図である。
図6では、ブーム9が最も倒伏したときの支持部材42の位置を実線で示し、ブーム9が最も起伏したときの支持部材42の位置を一点鎖線で示している。
図6に示すように、揺動抑制装置141では、ブーム9が最も倒伏した状態から起伏した状態に至る際に通過する回転板143の位置に、孔143bが3つ設けられている。なお、
図6では、説明のため、孔143bにハッチングを施している。
【0077】
回転板に生じる抵抗力Rは、渦電流が発生する位置における回転板143の面積によって異なる。回転板143に孔143bを設けることで、前記面積を小さくすることができる。すなわち、孔143bを設けることで、孔143bが設けられた部分における抵抗力Rを小さくすることができる。
【0078】
これにより、揺動抑制装置141は、ブーム9の起伏操作にともなって、例えば、吊り荷カメラ9bが初期位置に移動する際に渦電流によって回転板に生じる抵抗力Rを小さくすることができる。つまり、揺動抑制装置141は、回転板143の任意の回転角度における所定の中心角度の範囲の抵抗力Rを小さくすることができる。また、揺動抑制装置141の回転板143は、吊り荷カメラ9bが振動し易い回転角度において渦電流が発生する位置に孔143bが存在しないように形成されている。つまり、揺動抑制装置141は、吊り荷カメラ9bが振動し易い状態における回転板143の回転角度における所定の中心角度の範囲の抵抗力Rを小さくさせないことができる。
【0079】
よって、揺動抑制装置141は、吊り荷カメラ9bを初期位置に容易に移動させることができる一方、ブーム9が最も起立したときの吊り荷カメラ9bの揺動を抑制することができる。
【0080】
なお、本実施形態では、回転板143において、吊り荷カメラ9bが取り付けられている位置と回転中心Pとを結ぶ直線に対して、一方側に、厚みの大きい部分を設けたり、孔を設けたりしている。これにより、回転板143の前記一方側の重量と、他方側の重力とは相違させることができる。これにより、吊り荷カメラ9bの初期位置は、鉛直真下に対して一方側に位置させることができる。すなわち、上述の構成により、吊り荷カメラ9bの初期位置を鉛直下方向以外の所望の位置に設定することもできる。
【0081】
また、本実施形態では、一例として、回転板143の一部の厚みを異ならせる構成、および、孔を設ける構成を示したが、回転板の形状等によって抵抗力Rを異ならせることができれば、他の構成であってもよい。例えば、回転板に切り欠きを設ける構成や、回転板を真円以外の形状にする構成であってもよい。
【0082】
(実施形態3)
次に、
図7および
図8を用いて、本発明の実施形態3に係るクレーン1について説明する。本実施形態では、クレーン1が有する揺動抑制装置241の構成が、実施形態1の構成とは異なる。以下の説明では、実施形態1と同様の構成については、実施形態1と同一の符号を付して、説明を省略する。
【0083】
図7および
図8に示すように、揺動抑制装置241は、支持部材242、回転板243、および、磁石244を有する。
【0084】
支持部材242は、電気伝導体からなり、支持部材42と同様に、一対の矩形状の平板部材である第1支持部材242aおよび第2支持部材242bを有する。また、支持部材242には、実施形態1の支持部材42と同様に、第1支持部材242aと第2支持部材242bとを接続するように軸242cが固定されている。軸242cには、回転板243が回転可能に接続されている。
【0085】
回転板243には、測定機器を取り付けるための取付部である機器取付部243aが設けられている。回転板243のその他の構成は、実施形態1の回転板43と同様であるため、回転板243の詳細な説明を省略する。
【0086】
磁石244は、実施形態1と同様、永久磁石である。磁石244は、回転板243の回転面上に接続されている。本実施形態では、回転板243は、第1支持部材242aと対向する回転面上において、周方向にわたって7つの第1支持部材側磁石244aが接続されている。また、回転板243は、第2支持部材242bと対向する回転面上において、周方向にわたって7つの第2支持部材側磁石244bが接続されている。
【0087】
磁石244は、いずれも回転板243が回転しても、支持部材242とは接触しないように回転板243に接続されている。
【0088】
上述の構成を有する揺動抑制装置241では、支持部材242と回転板243に設けられた磁石244とは接触しないため、支持部材242と磁石244との間には摩擦による抵抗力が生じていない。したがって、揺動抑制装置241では、実施形態1と同様、吊り荷カメラ9bが初期位置に移動して停止する。
【0089】
一方、上述の構成を有する揺動抑制装置241では、第1支持部材側磁石244aと第1支持部材242aとの間、および2支持部材側磁石244bと第2支持部材242bとの間に磁気による磁束が生じている。また、揺動抑制装置241では、回転板243が回転すると、磁石244の磁束によって、支持部材242の表面には渦電流が発生する。これにより、支持部材242の表面には、回転板243の回転に対する抵抗力Rが生じる。よって、回転板243の機器取付部243aに取り付けられた吊り荷カメラ9bの揺動を抑制することができる。
【0090】
したがって、揺動抑制装置241は、ブーム9が起伏しても吊り荷カメラ9bを初期位置に維持することができるとともに、吊り荷カメラ9bが取り付けられている回転板243の揺動を抑制することができる。よって、クレーン1は、常に所定の方向のぶれの少ない映像Gを取得することができる。
【0091】
(その他の実施形態)
前記各実施形態では、揺動抑制装置41、141、241の支持部材42、242は、ブーム9の先端部に回転不能に固定されている。これにより、ブーム9の起伏角度に応じて、支持部材42、242の長手方向と鉛直方向がなす角度は変更される。しかしながら、支持部材は、ブームの起伏と連動して鉛直下方向に向くよう駆動される構成でもよい。
【0092】
この構成により、回転体の回転中心に対して鉛直方向の上側部分が、ブームの起伏角度に関わらず、常に支持部材と対向する。このため、例えば、揺動抑制装置は、所定の中心角度の範囲の厚みが、他の部分の厚みよりも大きい回転板を用いることができる。前記回転板を用いることにより、揺動抑制装置は、ブームの起伏角度に関わらず、回転板の回転角度に基づいて抵抗力Rを生じさせることができる。これにより、揺動抑制装置は、吊り荷カメラ9bの揺動をより確実に抑制することができる。
【0093】
前記各実施形態では、揺動抑制装置41、141、241の機器取付部43a、143a、243aには、吊り荷カメラ9bが取り付けられている。しかしながら、機器取付部には、センサなど他の計測機器が取り付けられてもよい。
【0094】
前記各実施形態では、揺動抑制装置41、141、241の磁石44、244は、永久磁石である。しかしながら、磁石は、電磁石であってもよい。この場合、前記電磁石には、電圧および電流を供給可能であって、前記電磁石に供給される電圧および電流を変更することができる構成でもよい。この場合、渦電流ダンパによる回転板の回転に対する抵抗力を任意に変動させることができる。よって、前記回転板の回転を抑制する必要がないときは、渦電流ダンパによる回転に対する抵抗力を小さくすることができる一方、前記回転板の回転を確実に抑制したいときには、渦電流ダンパによる回転に対する抵抗力を大きくすることができる。
【0095】
前記実施形態1では、揺動抑制装置41は、一方向に並んだ機器取付部43aを複数有する。また、前記実施形態2、3では、揺動抑制装置141、241は、機器取付部143a、243aを1つ有する。しかしながら、揺動抑制装置は、機器取付部を1つ以上有する構成であればよい。
【0096】
前記実施形態1、2では、揺動抑制装置41、141は、磁石44を4つ有する。しかしながら、揺動抑制装置は、磁石を3つ以下または5つ以上有する構成でもよい。前記実施形態3では、揺動抑制装置241は、磁石244を14個有する。しかしながら、揺動抑制装置は、磁石を13個以下または15個以上有してもよい。
【0097】
前記実施形態1、2では、揺動抑制装置41では、支持部材42に磁石44が接続されている。しかしながら、支持部材の一部が磁石で構成されていてもよい。また、前記実施形態3では、揺動抑制装置241では、回転板243に磁石244が接続されている。しかしながら、回転板の一部または全部が磁石で構成されていてもよい。
【0098】
前記各実施形態において、揺動抑制装置41、141、241は、クレーン1に備えられている。しかしながら、揺動抑制装置は、高所作業車等の作業車両に備えられてもよい。
【0099】
上述の実施形態は、代表的な形態を示したに過ぎず、一実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0100】
1 クレーン(作業車両)
2 車両
6 クレーン装置
7 旋回台
9 ブーム
9b 吊り荷カメラ(計測機器)
41、141、241 揺動抑制装置(渦電流ダンパ)
42、242 支持部材
43、143、243 回転板
43a、143a、243a 機器取付部(取付部)
44、244 磁石
44a、244a 第1支持部材側磁石
44b、244b 第2支持部材側磁石
45 固定部