(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】制御装置、画像形成システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20231003BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B41J2/165 207
B41J2/01 201
B41J2/01 305
(21)【出願番号】P 2019173133
(22)【出願日】2019-09-24
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松居 高行
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-034471(JP,A)
【文献】特開2015-202618(JP,A)
【文献】特開2010-089464(JP,A)
【文献】特開2019-104214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続媒体を該連続媒体の長手方向である第1方向に搬送する搬送装置と、前記連続媒体の幅方向である第2方向に沿って配置され、搬送される該連続媒体にインクを吐出可能な複数のノズルと、を制御するプロセッサを有し、前記プロセッサは、
前記複数のノズルのうち、ユーザにより指定された画像を前記連続媒体に形成する際にインクを吐出する2つの第1ノズルに前記第2方向において挟まれた、インクを吐出しない1以上の第2ノズルを
、前記画像を前記連続媒体に形成させる指示を受付けたときに、該画像を示す画像データ、前記連続媒体の前記第1方向に搬送された距離、及び、前記複数のノズルの前記第2方向における位置、に応じて特定し、
前記複数のノズルをそれぞれパージさせる指示を受付けたときに、前記第2ノズルのパージを抑制する
制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記連続媒体の形状を特定し、特定した前記連続媒体の形状、及び、該連続媒体の搬送された距離、に応じたタイミングで、前記第2ノズルのパージを抑制する
請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
連続媒体を該連続媒体の長手方向である第1方向に搬送する搬送装置と、前記連続媒体の幅方向である第2方向に沿って配置され、搬送される該連続媒体にインクを吐出可能な複数のノズルと、を制御するプロセッサを有し、前記プロセッサは、
前記複数のノズルのうち、ユーザにより指定された画像を前記連続媒体に形成する際にインクを吐出する2つの第1ノズルに前記第2方向において挟まれた、インクを吐出しない1以上の第2ノズルを
、前記画像を前記連続媒体に形成させる指示を受付けたときに、該連続媒体の種類を示す種類情報を該指示から抽出して、該種類情報に基づいて特定し、
前記複数のノズルをそれぞれパージさせる指示を受付けたときに、前記第2ノズルのパージを抑制する
制御装置。
【請求項4】
連続媒体を該連続媒体の長手方向である第1方向に搬送する搬送装置と、前記連続媒体の幅方向である第2方向に沿って配置され、搬送される該連続媒体にインクを吐出可能な複数のノズルと、を制御するプロセッサを有し、前記プロセッサは、
前記連続媒体の種類を示す種類情報を取得し、前記複数のノズルのうち、ユーザにより指定された画像を前記連続媒体に形成する際にインクを吐出する2つの第1ノズルに前記第2方向において挟まれた、インクを吐出しない1以上の第2ノズルを
、前記種類情報に基づいて特定し、
前記複数のノズルをそれぞれパージさせる指示を受付けたときに、前記第2ノズルのパージを抑制する
制御装置。
【請求項5】
連続媒体を該連続媒体の長手方向である第1方向に搬送する搬送装置と、前記連続媒体の幅方向である第2方向に沿って配置され、搬送される該連続媒体にインクを吐出可能な複数のノズルと、を制御するプロセッサを有し、前記プロセッサは、
前記複数のノズルのうち、ユーザにより指定された画像を前記連続媒体に形成する際にインクを吐出する2つの第1ノズルに前記第2方向において挟まれた、インクを吐出しない1以上の第2ノズル
の指定を受付け、該第2ノズルを
、前記指定に基づいて特定し、
前記複数のノズルをそれぞれパージさせる指示を受付けたときに、前記第2ノズルのパージを抑制する
制御装置。
【請求項6】
連続媒体を該連続媒体の長手方向である第1方向に搬送する搬送装置と、前記連続媒体の幅方向である第2方向に沿って配置され、搬送される該連続媒体にインクを吐出可能な複数のノズルと、を制御するプロセッサを有し、前記プロセッサは、
前記搬送装置により搬送される前記連続媒体の形状を計測する計測装置を制御し、
前記複数のノズルのうち、ユーザにより指定された画像を前記連続媒体に形成する際にインクを吐出する2つの第1ノズルに前記第2方向において挟まれた、インクを吐出しない1以上の第2ノズルを
、前記計測装置により計測された前記形状に基づいて特定し、
前記複数のノズルをそれぞれパージさせる指示を受付けたときに、前記第2ノズルのパージを抑制する
制御装置。
【請求項7】
連続媒体を該連続媒体の長手方向である第1方向に搬送する搬送装置と、前記連続媒体の幅方向である第2方向に沿って配置され、搬送される該連続媒体にインクを吐出可能な複数のノズルと、を制御するプロセッサを有し、前記プロセッサは、
前記複数のノズルのうち、ユーザにより指定された画像を前記連続媒体に形成する際にインクを吐出する2つの第1ノズルに前記第2方向において挟まれた、インクを吐出しない1以上の第2ノズルを特定し、
前記複数のノズルをそれぞれパージさせる指示を受付けたときに、
前記連続媒体の形状を特定し、特定した前記連続媒体の形状、及び、該連続媒体の搬送された距離、に応じたタイミングで、前記第2ノズルのパージを抑制する
制御装置。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか1項に記載の制御装置と、
前記制御装置により制御される前記搬送装置と、
前記制御装置により制御される前記複数のノズルと、
を有する画像形成システム。
【請求項9】
連続媒体を該連続媒体の長手方向である第1方向に搬送する搬送装置と、前記連続媒体
の幅方向である第2方向に沿って配置され、搬送される該連続媒体にインクを吐出可能な複数のノズルと、を制御するプロセッサに、
前記複数のノズルのうち、ユーザにより指定された画像を前記連続媒体に形成する際にインクを吐出する2つの第1ノズルに前記第2方向において挟まれた、インクを吐出しない1以上の第2ノズルを
、前記画像を前記連続媒体に形成させる指示を受付けたときに、該画像を示す画像データ、前記連続媒体の前記第1方向に搬送された距離、及び、前記複数のノズルの前記第2方向における位置、に応じて特定するステップと、
前記複数のノズルをそれぞれパージさせる指示を受付けたときに、前記第2ノズルのパージを抑制するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、画像形成システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、ノズル詰まり防止のために、例えばノズル内部に保持されているインクを吐出させる、「パージ」や「フラッシング」等と呼ばれる工程が必要になる。特許文献1には、フラッシング等を含むクリーニング工程を行うべきノズルを検出するためのテストパターンを印刷する領域として、印刷媒体上に無印字領域を検出するインクジェットプリンタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インクジェットプリンタは、例えば、搬送方向に沿って連続的に穴が開けられた連続用紙の媒体上にパージをすると、この穴をインクが通過して装置内を汚し、用紙の裏も汚すことになる。インクジェットプリンタを制御して、幅方向に沿って配置された複数のノズルのうち、幅方向における端部のノズルからのパージを抑制することは可能である。この制御は、例えば穴が用紙の幅方向における端部のみに開けられている場合に有効である。しかし、用紙の幅方向における両端部に印刷領域があり、穴がその中央に開けられている場合には、上述の制御は有効でない。
【0005】
本願発明の目的の一つは、幅方向における両端部に画像を形成する領域があり、その中央に穴等が開けられた媒体を使う場合に、その媒体を搬送する搬送装置やその媒体に画像を形成する画像形成装置等、装置内を汚さずにノズルをパージすること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る制御装置は、連続媒体を該連続媒体の長手方向である第1方向に搬送する搬送装置と、前記連続媒体の幅方向である第2方向に沿って配置され、搬送される該連続媒体にインクを吐出可能な複数のノズルと、を制御するプロセッサを有し、前記プロセッサは、前記複数のノズルのうち、ユーザにより指定された画像を前記連続媒体に形成する際にインクを吐出する2つの第1ノズルに前記第2方向において挟まれた、インクを吐出しない1以上の第2ノズルを、前記画像を前記連続媒体に形成させる指示を受付けたときに、該画像を示す画像データ、前記連続媒体の前記第1方向に搬送された距離、及び、前記複数のノズルの前記第2方向における位置、に応じて特定し、前記複数のノズルをそれぞれパージさせる指示を受付けたときに、前記第2ノズルのパージを抑制する制御装置である。
【0007】
本発明の請求項2に係る制御装置は、請求項1に記載の態様において、前記プロセッサは、前記連続媒体の形状を特定し、特定した前記連続媒体の形状、及び、該連続媒体の搬送された距離、に応じたタイミングで、前記第2ノズルのパージを抑制する制御装置である。
【0008】
本発明の請求項3に係る制御装置は、連続媒体を該連続媒体の長手方向である第1方向に搬送する搬送装置と、前記連続媒体の幅方向である第2方向に沿って配置され、搬送される該連続媒体にインクを吐出可能な複数のノズルと、を制御するプロセッサを有し、前記プロセッサは、前記複数のノズルのうち、ユーザにより指定された画像を前記連続媒体に形成する際にインクを吐出する2つの第1ノズルに前記第2方向において挟まれた、インクを吐出しない1以上の第2ノズルを、前記画像を前記連続媒体に形成させる指示を受付けたときに、該連続媒体の種類を示す種類情報を該指示から抽出して、該種類情報に基づいて特定し、前記複数のノズルをそれぞれパージさせる指示を受付けたときに、前記第2ノズルのパージを抑制する制御装置である。
【0009】
本発明の請求項4に係る制御装置は、連続媒体を該連続媒体の長手方向である第1方向に搬送する搬送装置と、前記連続媒体の幅方向である第2方向に沿って配置され、搬送される該連続媒体にインクを吐出可能な複数のノズルと、を制御するプロセッサを有し、前記プロセッサは、前記連続媒体の種類を示す種類情報を取得し、前記複数のノズルのうち、ユーザにより指定された画像を前記連続媒体に形成する際にインクを吐出する2つの第1ノズルに前記第2方向において挟まれた、インクを吐出しない1以上の第2ノズルを、前記種類情報に基づいて特定し、前記複数のノズルをそれぞれパージさせる指示を受付けたときに、前記第2ノズルのパージを抑制する制御装置である。
【0010】
本発明の請求項5に係る制御装置は、連続媒体を該連続媒体の長手方向である第1方向に搬送する搬送装置と、前記連続媒体の幅方向である第2方向に沿って配置され、搬送される該連続媒体にインクを吐出可能な複数のノズルと、を制御するプロセッサを有し、前記プロセッサは、前記複数のノズルのうち、ユーザにより指定された画像を前記連続媒体に形成する際にインクを吐出する2つの第1ノズルに前記第2方向において挟まれた、インクを吐出しない1以上の第2ノズルの指定を受付け、該第2ノズルを、前記指定に基づいて特定し、前記複数のノズルをそれぞれパージさせる指示を受付けたときに、前記第2ノズルのパージを抑制する制御装置である。
【0011】
本発明の請求項6に係る制御装置は、連続媒体を該連続媒体の長手方向である第1方向に搬送する搬送装置と、前記連続媒体の幅方向である第2方向に沿って配置され、搬送される該連続媒体にインクを吐出可能な複数のノズルと、を制御するプロセッサを有し、前記プロセッサは、前記搬送装置により搬送される前記連続媒体の形状を計測する計測装置を制御し、前記複数のノズルのうち、ユーザにより指定された画像を前記連続媒体に形成する際にインクを吐出する2つの第1ノズルに前記第2方向において挟まれた、インクを吐出しない1以上の第2ノズルを、前記計測装置により計測された前記形状に基づいて特定し、前記複数のノズルをそれぞれパージさせる指示を受付けたときに、前記第2ノズルのパージを抑制する制御装置である。
【0012】
本発明の請求項7に係る制御装置は、連続媒体を該連続媒体の長手方向である第1方向に搬送する搬送装置と、前記連続媒体の幅方向である第2方向に沿って配置され、搬送される該連続媒体にインクを吐出可能な複数のノズルと、を制御するプロセッサを有し、前記プロセッサは、前記複数のノズルのうち、ユーザにより指定された画像を前記連続媒体に形成する際にインクを吐出する2つの第1ノズルに前記第2方向において挟まれた、インクを吐出しない1以上の第2ノズルを特定し、前記複数のノズルをそれぞれパージさせる指示を受付けたときに、前記連続媒体の形状を特定し、特定した前記連続媒体の形状、及び、該連続媒体の搬送された距離、に応じたタイミングで、前記第2ノズルのパージを抑制する制御装置である。
【0014】
本発明の請求項8に係る画像形成システムは、請求項1から7のいずれか1項に記載の制御装置と、前記制御装置により制御される前記搬送装置と、前記制御装置により制御される前記複数のノズルと、を有する画像形成システムである。
【0015】
本発明の請求項9に係るプログラムは、連続媒体を該連続媒体の長手方向である第1方向に搬送する搬送装置と、前記連続媒体の幅方向である第2方向に沿って配置され、搬送される該連続媒体にインクを吐出可能な複数のノズルと、を制御するプロセッサに、前記複数のノズルのうち、ユーザにより指定された画像を前記連続媒体に形成する際にインクを吐出する2つの第1ノズルに前記第2方向において挟まれた、インクを吐出しない1以上の第2ノズルを、前記画像を前記連続媒体に形成させる指示を受付けたときに、該画像を示す画像データ、前記連続媒体の前記第1方向に搬送された距離、及び、前記複数のノズルの前記第2方向における位置、に応じて特定するステップと、前記複数のノズルをそれぞれパージさせる指示を受付けたときに、前記第2ノズルのパージを抑制するステップと、を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、8、9に係る発明によれば、幅方向における両端部に画像を形成する領域があり、その中央に穴等が開けられた媒体を使う場合に、装置内を汚さずにノズルをパージすることができる。
また、同発明によれば、画像を形成させる指示が装置内を汚さないものであれば、装置内を汚さずにノズルをパージすることができる。
また、同発明によれば、形成させる指示を受付けた画像と、連続媒体が第1方向に搬送された距離と、によりパージが抑制されるべき第2ノズルの第2方向における位置
が決まる。
請求項3に係る発明によれば、画像を形成させる指示から抽出される連続媒体の種類から、パージが抑制されるべき第2ノズルが決まる。
請求項4に係る発明によれば、例えば、搬送装置等から取得した連続媒体の種類を示す種類情報により、パージが抑制されるべき第2ノズルが決まる。
請求項5に係る発明によれば、例えば、ユーザや搬送装置等から直接、パージが抑制されるべき第2ノズルの指定が受付けられる。
請求項6に係る発明によれば、パージに用いる連続媒体の実際の形状に応じて、パージが抑制されるべき第2ノズルが決まる。
請求項2、7に係る発明によれば、連続媒体の形状と、その連続媒体が第1方向に搬送された距離と、によりパージが抑制されるべき第2ノズルが決まる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】画像形成システム9の全体構成の一例を示す図。
【
図3】搬送装置2、及び画像形成装置3の構成を示す図。
【
図5】吐出ヘッド31におけるノズル311の配置を示す図。
【
図7】制御装置1における動作の流れの一例を示すフロー図。
【
図8】プロセッサ111が抑制ノズルを特定する動作の流れの例を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
<画像形成システムの構成>
図1は、画像形成システム9の全体構成の一例を示す図である。画像形成システム9は、制御装置1と、搬送装置2と、画像形成装置3と、を有する。制御装置1は、搬送装置2、及び画像形成装置3のそれぞれに通信可能に接続され、これらを制御する。
【0019】
搬送装置2は、媒体を搬送する装置である。
図1に示す搬送装置2は、連続媒体を搬送する。連続媒体とは、複数の媒体が長手方向に連続して繋げられた媒体である。搬送装置2は、この長手方向である第1方向にこの連続媒体を搬送する。連続媒体は、媒体どうしの境界に、例えばミシン目や折り目等の区切りが設けられている。この連続媒体は、決められた幅と、複数枚に相当する長さと、を有し、長手方向に決められた間隔で上述した区切りを設けて作られる。ユーザは、この区切りに沿って連続媒体を切断することで、例えば、この連続媒体から媒体を一枚ずつ切り離す。なお、連続媒体は、複数の媒体を長手方向に接着して作られてもよい。
【0020】
画像形成装置3は、インクを吐出可能な複数のノズルを備えた、いわゆるインクジェットプリンタである。
図1に示す画像形成装置3は、制御装置1から受付けた指示に沿って、搬送装置2により搬送される連続媒体にインクを吐出して画像を形成する。また、画像形成装置3は、制御装置1から受付けた指示に沿って上述したノズルをパージする。ここで「パージ」とは、ノズル内に保持されているインクを吐出させて、ノズル内で乾燥・凝固したインクや、ノズル内に発生した気泡等を除去する処理をいう。
【0021】
すなわち、この画像形成システム9は、制御装置と、制御装置により制御される搬送装置と、制御装置により制御される複数のノズルと、を有する画像形成システムの一例である。なお、画像形成システム9が有する制御装置1、搬送装置2、及び画像形成装置3のそれぞれの数は
図1に示すものに限られず1つであってもよいし複数であってもよい。
【0022】
<制御装置の構成>
図1に示す制御装置1は、例えば、パーソナルコンピューター、スマートフォン、スレートPC、タブレットPC等と呼ばれる情報処理装置である。この制御装置1は、
図1に示す通り、制御部11、記憶部12、通信部13、操作部14、及び表示部15を有する。これらの構成は、例えばバスで、互いに通信可能に接続されている。
【0023】
図1に示す制御部11は、プロセッサ111、及びメモリ112を有する。また、制御部11は、ROM(Read Only Memory)を有してもよい。プロセッサ111は、ROMや記憶部12に記憶されているコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)をメモリ112に読み出して実行することにより制御装置1の各部を制御する。プロセッサ111は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。また、メモリ112は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0024】
通信部13は、有線又は無線により搬送装置2、及び画像形成装置3のそれぞれに接続する通信回路である。制御部11は、通信部13を介して搬送装置2、及び画像形成装置3のそれぞれに制御信号を送り、これら各装置を制御する。
【0025】
なお、搬送装置2、及び画像形成装置3のそれぞれは、制御装置1のバスに直接、接続されていてもよい。この場合、制御装置1は、通信部13を有しなくてもよく、搬送装置2、及び画像形成装置3は、それぞれ自装置を制御するプロセッサを有しなくてもよい。この場合、制御装置1は、例えば印刷装置に内蔵されたコントローラである。
【0026】
また、制御装置1は、搬送装置2、及び画像形成装置3のそれぞれと、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、又はこれらの組合せ等で構成される通信回線を介して、接続してもよい。この場合、通信部13は、この通信回線と接続されていればよい。
【0027】
操作部14は、各種の指示をするための操作ボタン、キーボード、タッチパネル、マウス等の操作子を備えており、操作を受付けてその操作内容に応じた信号を制御部11に送る。この操作は、例えば、キーボードに対する押下やタッチパネルに対するジェスチャー等である。
【0028】
表示部15は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有しており、制御部11の制御の下、画像を表示する。表示画面の上には、操作部14の透明のタッチパネルが重ねて配置されてもよい。なお、制御装置1は、操作部14及び表示部15を有しなくてもよい。
【0029】
記憶部12は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等の記憶手段であり、制御部11のプロセッサ111に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する。
【0030】
また、記憶部12は、媒体DB121を記憶する。
図2は、媒体DB121の例を示す図である。
図2に示す媒体DB121は、連続媒体の種類と、後述する画像形成装置3に含まれるノズル311のうち、その種類の連続媒体に対してパージを抑制するべきノズル(以下、抑制ノズルという)と、を対応付けて記憶するデータベースである。
【0031】
図2に示す媒体DB121は、媒体リスト1211と、抑制ノズル表1212と、を有する。媒体リスト1211は、連続媒体の種類を示す種類情報である媒体IDを記憶したリストである。抑制ノズル表1212は、媒体リスト1211に記憶されている媒体IDごとにそれぞれ設けられた表であり、タイミングと、抑制ノズルIDと、を対応付けている。
【0032】
抑制ノズル表1212におけるこのタイミングは、対応する媒体IDで示される種類の連続媒体が搬送された距離に対応するタイミングである。このタイミングは、例えば、等速で搬送される連続媒体の長手方向に、決められた間隔で上述したミシン目等の区切りが設けられている場合、この間隔に相当する周期における位相で表される。
【0033】
抑制ノズル表1212におけるこの抑制ノズルIDは、対応するタイミングにパージをするべきでない抑制ノズルを識別するための識別情報である。
【0034】
例えば、
図2に示す媒体DB121によれば、画像形成システム9は、媒体ID「P01」で識別される種類の連続媒体に対して、タイミング「t2」で示すタイミングに、抑制ノズルID「N32」、「N62」で識別されるノズルからのパージを抑制すべきであることが分かる。
【0035】
なお、抑制ノズル表1212は、タイミングのフィールドを有しなくてもよい。この場合、媒体DB121は、媒体IDに対応する抑制ノズルIDを抑制ノズル表1212に記憶すればよい。
【0036】
<搬送装置及び画像形成装置の構成>
以下、図において、各構成が配置される空間をxyz右手系座標空間として表す。また、図に示す座標記号のうち、円の中に点を描いた記号は、紙面奥側から手前側に向かう矢印を表し、円の中に交差する2本の線を描いた記号は、紙面手前側から奥側に向かう矢印を表す。空間においてx軸に沿う方向をx軸方向という。また、x軸方向のうち、x成分が増加する方向を+x方向といい、x成分が減少する方向を-x方向という。y、z成分についても、上記の定義に沿ってy軸方向、+y方向、-y方向、z軸方向、+z方向、-z方向をそれぞれ定義する。
【0037】
図3は、搬送装置2、及び画像形成装置3の構成を示す図である。
図3には、搬送装置2、及び画像形成装置3を+x方向に沿って見た様子が示されている。
【0038】
図3に示す搬送装置2は、搬送ベルト20、駆動ロール21、従動ロール22、及び収容器23を含む。
図3に示す画像形成装置3は、吐出ヘッド31、支持部材32、及び案内部材33を含む。
【0039】
収容器23は、区切りに沿って折り畳まれた状態の連続媒体Pを収容する。収容器23は、例えば、構造上の制約等により、収容可能な連続媒体Pの種類が予め決められている。収容器23に備えられたチップ231は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等のメモリを有しており、このメモリには、収容器23に収容する連続媒体Pの種類を示す媒体IDが記憶されている。チップ231は、制御装置1に媒体IDを供給する。
【0040】
搬送ベルト20は、駆動ロール21、及び従動ロール22に架け渡された無端ベルトである。駆動ロール21は、図示しないモータ等により駆動力を与えられて
図3における反時計回りに回転し、搬送ベルト20を周回させる。
図3に示す2つの従動ロール22は、搬送ベルト20の周回に伴って回転する。搬送ベルト20の外周面は、連続媒体Pを載せて搬送方向D1(すなわち、上述した第1方向)に搬送する。
図3において第1方向は、+y方向である。そして、
図3に示すこの搬送装置2は、連続媒体をこの連続媒体の長手方向である第1方向に搬送する搬送装置の一例である。
【0041】
上述した連続媒体Pは、搬送装置2によって搬送方向D1に搬送させられ、画像形成装置3の案内部材33と、支持部材32と、に挟まれた空間を通過する。この空間を通過するとき、
図3に示す連続媒体Pは、xy平面に沿った姿勢となる。
【0042】
支持部材32は、通過する連続媒体Pのおもて面に対向して配置され、複数の吐出ヘッド31を支持する。吐出ヘッド31は、図示しないタンクから供給される液状のインクを、静電方式、ピエゾ方式、膜沸騰方式等により連続媒体Pのおもて面に向けて吐出して画像を形成する部材である。つまり、連続媒体Pのおもて面は、連続媒体Pにおいて画像が形成される面であり、
図3において、上述した空間を通過する連続媒体Pの+z方向の面である。
【0043】
案内部材33は、通過する連続媒体Pの裏面に対向して配置され、吐出ヘッド31から吐出するインクを連続媒体Pがおもて面で受け止めるときに、その連続媒体Pを裏面から支える。連続媒体Pの裏面とは、上述したおもて面の反対側の面であり、
図3において、上述した空間を通過する連続媒体Pの-z方向の面である。
【0044】
なお、
図3に示した吐出ヘッド31、支持部材32、及び案内部材33の組は、吐出ヘッド31から吐出されるインクの色ごとに設けられていてもよい。この場合、上述した組は、例えば、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、及びK(黒)の各色に応じてそれぞれ設けられ、搬送方向D1に沿って並べられていればよい。
【0045】
図4は、吐出ヘッド31の配置を示す図である。
図4には、連続媒体P、支持部材32、及びこの支持部材32により支持される5つの吐出ヘッド31を、-z方向に沿って見た様子が示されている。
図4に示す通り、5つの吐出ヘッド31は、支持部材32により支持され、搬送方向D1において前列、後列となる2列に、交互に並べられている。
【0046】
また、連続媒体Pは、搬送方向D1に沿って一列に並んだスプロケット穴Hが、その搬送方向D1の決められた間隔ごとに開けられている。スプロケット穴Hの列は、連続媒体Pの幅方向D2(以下、第2方向ともいう)における中央に位置している。
図4において第2方向は、+x方向である。連続媒体Pにおいて、スプロケット穴Hの列の幅方向D2における両側には、いずれも画像が形成される領域が存在する。
【0047】
ここで、スプロケット穴Hに対向する位置に配置されたノズル311をパージすると、そのノズル311から吐出されたインクはスプロケット穴Hを通過して連続媒体Pを裏面にある案内部材33に付着する。その結果、案内部材33に付着したインクは、連続媒体Pの裏面を汚し、さらに搬送装置2を汚すこととなる。
【0048】
なお、上述した連続媒体Pに設けられたスプロケット穴Hは、それに対向する位置に配置されたノズル311がパージされると、連続媒体Pや搬送装置2等を汚す可能性がある構成の一例である。この「汚す可能性がある構成」は、スプロケット穴Hに限られない。この構成は、例えば、連続媒体Pのおもて面で搬送装置2のロールやベルト等と接触して連続媒体Pを搬送方向D1に搬送する接触面であってもよい。また、この構成は、連続媒体Pに予め貼付された、インクを弾いて定着させない素材でできたシール等であってもよい。
【0049】
図5は、吐出ヘッド31におけるノズル311の配置を示す図である。
図5に示す通り、1つの吐出ヘッド31には25個のノズル311が設けられている。これらのノズル311は、搬送方向D1における2箇所に、幅方向D2に沿ってそれぞれ並べられている。すなわち、
図5に示すノズル311は、11個のノズル311からなる前列と、12個のノズル311からなる後列と、の2列に配置されている。前列とは、搬送方向D1における上流側の列であり、後列とはその下流側の列である。
【0050】
これらのノズル311は、交互に並べられている。この配置により、例えば、前列において隣り合うノズル311bと、ノズル311dと、の幅方向D2における隙間には、後列のノズル311cが通過する。このため、連続媒体Pのおもて面は、搬送方向D1に搬送されて吐出ヘッド31に対向する空間を通過する際に、幅方向D2におけるどの位置においてもいずれかのノズル311と対向する。
【0051】
なお、吐出ヘッド31に設けられた複数のノズル311の配置は、上述した配置に限られない。これら複数のノズル311は、連続媒体Pの幅方向D2のいずれの箇所においても途切れないように配置され、その連続媒体Pにインクを吐出可能であればよい。すなわち、
図5に示す複数のノズル311は、連続媒体の幅方向である第2方向に沿って配置され、搬送されるその連続媒体にインクを吐出可能な複数のノズルの一例である。
【0052】
また、
図4に示す通り、幅方向D2に隣り合う2つの吐出ヘッド31は、幅方向D2における端部が、搬送方向D1から見て互いに重なり合うように配置されている。この配置により、搬送方向D1に搬送される連続媒体Pのおもて面のうち、幅方向D2に沿って隣り合う2つの吐出ヘッド31に挟まれた箇所を通過する領域には、それら2つの吐出ヘッド31のいずれかに設けられたノズル311が対向する。つまり、これらの配置は、連続媒体Pのおもて面にインクが吐出可能でない領域を生じさせない。
【0053】
なお、搬送装置2及び画像形成装置3は、上述した構成以外の構成を含んでいてもよい。搬送装置2は、例えば、制御装置1から受信した制御信号に基づいて自装置を制御するプロセッサを有してもよく、画像形成装置3を通過した後の連続媒体Pを搬送方向D1に搬送する搬送ベルトや駆動ロール等を有してもよい。また、搬送装置2は、画像形成装置3を通過した後の連続媒体Pを乾燥させるための構成を有してもよいし、乾燥させた後でその連続媒体Pを折り畳んで収容する構成を有してもよい。
【0054】
また、画像形成装置3は、例えば、制御装置1から受信した制御信号に基づいて自装置を制御するプロセッサを有してもよい。
【0055】
<画像処理装置の機能的構成>
図6は、制御装置1の機能的構成の一例を示す図である。なお、
図6において制御部11のメモリ112と、制御部11の境界線と、が省かれている。また、
図6において、制御装置1の構成のうち、通信部13、表示部15は省かれている。
【0056】
制御部11のプロセッサ111は、記憶部12に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、受付部1111、取得部1112、搬送制御部1113、特定部1114、及び抑制部1115、として機能する。
【0057】
受付部1111は、操作部14を介してユーザから各種の指示を受付ける。ユーザから受付ける指示は、ユーザが指定する画像を連続媒体Pに形成する指示や、連続媒体Pを用いて画像形成装置3に備えられた複数のノズル311をそれぞれパージさせる指示等である。
【0058】
取得部1112は、搬送装置2から、この搬送装置2により搬送される連続媒体Pの種類を示す種類情報を取得する。
図6に示す取得部1112は、例えば、搬送装置2が備える上述したチップ231(
図3参照)から媒体IDを取得する。この媒体IDは、搬送装置2の収容器23に収容されている連続媒体Pの種類を示す種類情報である。すなわち、取得部1112として機能するプロセッサ111は、連続媒体の種類を示す種類情報を取得するプロセッサの一例である。
【0059】
搬送制御部1113は、搬送装置2を制御して、決められた速度で連続媒体Pを搬送させる。
【0060】
特定部1114は、画像形成装置3の吐出ヘッド31に設けられた複数のノズル311のうち、抑制ノズルを特定する。特定部1114は、以下の(方法A)、(方法B)のいずれかの方法により、抑制ノズルを特定する。
【0061】
(方法A)画像形成の指示の内容を用いた方法
ユーザにより連続媒体P上への形成が指示される画像は、この連続媒体Pに応じたものであるという推定に基づく方法である。連続媒体Pを使って画像を形成しようとするユーザは、連続媒体Pのどこにスプロケット穴Hが設けられているのか、通常、あらかじめ把握しているものである。
したがって、制御装置1は、ユーザにより連続媒体Pに対して形成が指示された画像に基づいて、その連続媒体Pを用いたパージにおける、上述した抑制ノズルを特定することが可能である。ユーザから指示された画像は、連続媒体Pのスプロケット穴Hを避けた画像であると推定できるからである。
【0062】
プロセッサ111は、指示された画像に対し、分解・重畳等の各種の処理をして、この画像の内容を解析し、その結果から抑制ノズルを特定する。プロセッサ111は、例えば、指示された画像を形成する際に、インクを吐出する2つのノズル311(第1ノズルともいう)によって
図5に示す幅方向D2において挟まれたノズル311であって、インクを吐出しないノズル311(第2ノズルともいう)を、抑制ノズルとして特定する。
【0063】
例えば、指示された画像を形成する際に、制御装置1は、ノズル311a、ノズル311d、及びノズル311eからインクを吐出させ、ノズル311b、及びノズル311cからは一度もインクを吐出させないとする。この場合、プロセッサ111は、ノズル311a、ノズル311d、及びノズル311eを第1ノズルとして特定する。そして、プロセッサ111は、第1ノズルであるノズル311aと、ノズル311dとに、幅方向D2において挟まれた、ノズル311b、及びノズル311cを第2ノズル、すなわち、抑制ノズルとして特定する。
【0064】
すなわち、このプロセッサ111は、画像を連続媒体に形成させる指示を受付け、この指示の内容に基づいて第2ノズルを特定するプロセッサの一例である。そして、このプロセッサ111は、複数のノズルのうち、ユーザにより指定された画像を連続媒体に形成する際にインクを吐出する2つの第1ノズルに第2方向において挟まれた、インクを吐出しない1以上の第2ノズルを特定するプロセッサの一例である。
【0065】
なお、画像形成装置3は、ノズル311にそれぞれ繋げられているタンク(図示せず)に収容されているインクの残量を検知するセンサを有してもよい。この場合、プロセッサ111は、画像形成装置3が実際に画像を形成させる前後で、このセンサがそれぞれ検知したインクの残量の情報を取得し、それら残量の差分を算出して、抑制ノズルを特定してもよい。このプロセッサ111は、例えば、上述した残量の差分が0であったノズル311を抑制ノズルとして特定する。
【0066】
また、上述の推定を確実なものにするために、以下のような方法をとってもよい。例えば、制御装置1の記憶部12は、連続媒体Pに設けられたスプロケット穴Hの位置を、その連続媒体Pの種類ごとに記憶している。制御部11のプロセッサ111は、記憶部12からそれぞれの連続媒体Pに設けられたスプロケット穴Hの位置を示す位置情報を読み出して、連続媒体Pの種類ごとに、その種類の連続媒体Pに形成することを許可する画像群を、記憶部12から抽出する。連続媒体Pに形成を許可する画像は、その連続媒体Pに設けられたスプロケット穴Hを避けてインクが吐出されるものが抽出される。そして、ユーザは、連続媒体P上に形成を指示する画像を、この連続媒体Pに形成することが許可された画像群の中から選んで指定する。
【0067】
(方法B)媒体IDを用いた方法
制御装置1は、搬送装置2から取得した種類情報を用いて上述した抑制ノズルを特定してもよい。この場合、制御装置1の制御部11が有するプロセッサ111は、上述した取得部1112として機能し、チップ231から媒体IDを取得する。そして、プロセッサ111は、記憶部12に記憶された媒体DB121を読み出して、この取得した媒体IDに対応する抑制ノズル表1212を媒体DB121から抽出し、これに記憶された抑制ノズルIDによって抑制ノズルを特定すればよい。
【0068】
すなわち、この場合、このプロセッサ111は、連続媒体の種類を示す種類情報を取得し、この種類情報に基づいて第2ノズルを特定するプロセッサの一例である。
【0069】
抑制部1115は、受付部1111がユーザからノズル311をそれぞれパージさせる指示を受付けたときに、画像形成装置3に制御信号を送って、複数のノズル311のそれぞれをパージさせるとともに、特定部1114により特定された抑制ノズルのパージを抑制する。すなわち、抑制部1115として機能するこのプロセッサ111は、複数のノズルをそれぞれパージさせる指示を受付けたときに、第2ノズルのパージを抑制するプロセッサの一例である。
【0070】
<画像処理装置の動作>
図7は、制御装置1における動作の流れの一例を示すフロー図である。制御装置1の制御部11が有するプロセッサ111は、操作部14からユーザの指示を受付ける(ステップS101)。プロセッサ111は、受付けた指示が画像形成の指示であるか否かを判断し(ステップS102)、この指示が画像形成の指示であると判断する場合(ステップS102;YES)、この指示に沿って連続媒体Pに画像を形成する(ステップS103)。そして、プロセッサ111は、このステップS103の後、処理をステップS101に戻す。
【0071】
一方、受付けた指示が画像形成の指示ではないと判断する場合(ステップS102;NO)、プロセッサ111は、この指示が画像形成装置3に設けられた複数のノズル311をパージさせる指示であるか否かを判断する(ステップS104)。
【0072】
受付けた指示が複数のノズル311をパージさせる指示でないと判断する場合(ステップS104;NO)、プロセッサ111は、指示された処理を実行して(ステップS105)、処理をステップS101に戻す。
【0073】
一方、受付けた指示が複数のノズル311をパージさせる指示であると判断する場合(ステップS104;YES)、プロセッサ111は、複数のノズル311の中から、上述した抑制ノズルを特定する(ステップS200)。そして、プロセッサ111は、特定した抑制ノズルのパージを抑制するとともに、この抑制ノズルを除くノズル311をパージして(ステップS106)、処理をステップS101に戻す。
【0074】
図8は、プロセッサ111が抑制ノズルを特定する動作の流れの例を示すフロー図である。
図8(a)に示す動作をする場合、プロセッサ111は、ユーザが形成することを指示した画像を示す画像データを特定する(ステップS201)。
【0075】
そして、プロセッサ111は、この画像データが示す画像を、連続媒体Pの幅方向D2に沿って並んだ、一画素分の長さを持つ複数の画像に分解し、この複数の画像を重畳した重畳画像を生成する(ステップS202)。
【0076】
プロセッサ111は、生成したこの幅方向D2に沿って画素が並んだ重畳画像において、インクが吐出されることを示す2つの画素に挟まれた画素であって、インクが吐出されないことを示す1以上の画素を特定する。そしてプロセッサ111は、特定したこの画素に対応する幅方向D2の位置に配置されたノズル311を、抑制ノズルとして特定する(ステップS203)。
【0077】
また、
図8(b)に示す動作をする場合、プロセッサ111は、搬送装置2の収容器23に備えられたチップ231から、連続媒体Pの種類を示す媒体IDを取得する(ステップS211)。そして、プロセッサ111は、記憶部12から読み出した媒体DB121を検索して(ステップS212)、取得した媒体IDに対応する抑制ノズルIDを特定する(ステップS213)。
【0078】
以上、説明したいずれかの動作により、プロセッサ111は、抑制ノズルを特定し、特定したその抑制ノズルからのパージを抑制するとともに、それ以外のノズル311のパージを画像形成装置3に行わせる。その結果、幅方向における両端部に画像を形成する領域があり、その中央に穴等が開けられた媒体を使う場合に、画像形成システム9は、その媒体を搬送する搬送装置2やその媒体に画像を形成する画像形成装置3を汚さずにノズル311をパージする。
【0079】
<変形例>
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例は、組合されてもよい。
【0080】
<1>
上述した実施形態において、プロセッサ111は、搬送装置2から連続媒体Pの種類を示す種類情報を取得していたが、搬送装置2ではない構成から種類情報を取得してもよい。例えば、プロセッサ111は、ユーザから受付けた、画像を連続媒体Pに形成させる指示から、上述した種類情報を抽出して取得してもよい。この場合、ユーザが操作部14を介してプロセッサ111に伝える「画像を形成する指示」は、その内容にメタデータとして連続媒体Pの媒体IDを含んでいる。プロセッサ111は、受付けた上述の指示のメタデータから媒体IDを抽出し、媒体DB121を参照して抑制ノズルを特定すればよい。
【0081】
この場合、このプロセッサ111は、画像を連続媒体に形成させる指示を受付けたときに、この連続媒体の種類を示す種類情報をこの指示から抽出して、この種類情報に基づいて第2ノズルを特定するプロセッサの一例である。
【0082】
なお、プロセッサ111は、ユーザから受付けたパージの指示から、上述した種類情報を抽出して取得してもよい。この場合、複数のノズル311をパージさせる指示は、そのパージに用いる連続媒体Pの種類を示す媒体IDを含んでいればよい。
【0083】
<2>
上述した実施形態において、プロセッサ111は、ユーザから、画像を形成する指示や、ノズル311をパージさせる指示を受付ける受付部1111として機能していた。しかし、この受付部1111は、ユーザから抑制ノズルの指定を受付けてもよい。
【0084】
この場合、プロセッサ111は、ユーザから受付けた指定に基づいて、抑制ノズルを特定する特定部1114として機能してもよい。例えば、プロセッサ111は、表示部15を制御して、ユーザの指示に含まれる、形成が指示された(形成する予定の)画像や、連続媒体Pの形状等を表示部15の液晶ディスプレイに表示する。そして、プロセッサ111は、操作部14のタッチパネルから、抑制ノズルの、画像又は連続媒体Pにおける位置の情報を受付ければよい。この場合、ユーザは、液晶ディスプレイに表示された画像や連続媒体Pの形状を認識して、それらを手がかりに、抑制ノズルの位置を指等で触れて示せばよい。また、ユーザは、操作部14のキーボード等を用いて、抑制ノズルの識別情報(上述した抑制ノズルID)を入力してもよい。
【0085】
つまり、この場合、プロセッサ111は、ユーザにより指定された位置や識別情報から、抑制ノズルを特定すればよい。すなわち、このプロセッサ111は、第2ノズルの指定を受付け、この指定に基づいて第2ノズルを特定するプロセッサの一例である。
【0086】
なお、ユーザにより指定された位置や識別情報から特定した抑制ノズルについて、プロセッサ111は、例えば、パージの際等に、この抑制ノズルの位置を表示部15により表示して、ユーザに確認するように促してもよい。この確認は、この方法で特定した抑制ノズルと、他の方法で特定した抑制ノズルと、が異なる場合に、ユーザに促されてもよい。
【0087】
すなわち、ユーザにより指定された抑制ノズルが、搬送装置2のチップ231から取得した媒体IDに基づいて推定される抑制ノズルと異なる場合、プロセッサ111は、ユーザに媒体IDと、その媒体IDに対応する抑制ノズルの位置と、ユーザが指定した抑制ノズルの位置と、をそれぞれ表示部15に表示する。そして、プロセッサ111は、表示部15に、「指定されたノズルのパージを本当に抑制しますか?」といった文章を表示させて、ユーザに確認を促すとよい。
【0088】
<3>
上述した実施形態において、プロセッサ111は、媒体DB121から、媒体IDに対応付けられた抑制ノズルIDを特定していたが、搬送される連続媒体Pの形状を直接に計測する構成を有してもよい。
【0089】
例えば、画像形成システム9は、
図1に破線で示す計測装置4を有してもよい。この計測装置4は、搬送装置2により搬送される連続媒体Pの形状を計測する装置である。この計測装置4は、通信部13を介して制御装置1と通信可能に接続しており、プロセッサ111によって、制御される。
【0090】
この計測装置4は、
図3に破線で示す通り、搬送装置2により画像形成装置3へ搬送される途中の連続媒体Pに沿って配置されている。そしてこの計測装置4は、例えば、連続媒体Pに向けて照射した光の反射光を受光することで、連続媒体Pの形状を計測する。計測装置4が計測した内容には、連続媒体Pに設けられたスプロケット穴Hの位置を示す位置情報が含まれている。
【0091】
制御装置1は、計測装置4から、計測して連続媒体Pの形状の情報を取得する。そして、制御装置1は、取得したこの情報に基づいて、抑制ノズルを特定する。例えば、プロセッサ111は、取得した連続媒体Pの形状の情報から、この連続媒体Pにおけるスプロケット穴Hの位置を特定し、これに対向する位置に配置されたノズル311を抑制ノズルとして特定してもよい。
【0092】
すなわち、この場合、このプロセッサ111は、搬送装置により搬送される連続媒体の形状を計測する計測装置を制御するプロセッサの一例である。そして、特定部1114として機能するこのプロセッサ111は、計測装置により計測された形状に基づいて第2ノズルを特定するプロセッサの一例である。
【0093】
なお、計測装置4の配置は
図3に示すものに限られない。計測装置4は、例えば、画像形成装置3により画像が形成された後の連続媒体Pに沿って配置されていてもよい。この配置により、計測装置4は、連続媒体Pの形状に加えて、連続媒体Pに形成された画像を計測する。
【0094】
<4>
上述した実施形態において、プロセッサ111は、連続媒体Pの搬送方向D1における位置に関わらず抑制ノズルを特定していたが、搬送装置2に搬送させる連続媒体Pの位置に応じて、異なる抑制ノズルを特定してもよい。
【0095】
例えば、
図4に示した通り、連続媒体Pの搬送方向D1の位置によっては、スプロケット穴Hがない箇所もある。このスプロケット穴Hがない箇所には、インクをパージしても、そのインクは、連続媒体Pの裏側に通過することがないから、搬送装置2等を汚すことがない。
【0096】
例えば、上述した計測装置4は、連続媒体Pの形状を計測することにより、
図4に示したスプロケット穴H、ミシン目等の区切りL、又は区切りLごとに描画された区切りマークMの位置を特定する。プロセッサ111は、計測装置4が特定したこれらの位置を取得することにより、搬送装置2が搬送している連続媒体Pの現在の位置を把握して、この連続媒体Pを実際に搬送させた距離を特定してもよい。
【0097】
また、プロセッサ111は、搬送装置2を制御する搬送制御部1113として機能するため、搬送装置2に対して連続媒体Pを搬送するよう指示した距離に基づいて、連続媒体Pの現在の位置を把握してもよい。つまり、プロセッサ111は、計測装置4から情報を取得することで搬送装置2が実際に連続媒体Pを搬送した距離は把握しなくても、搬送装置2に連続媒体Pの搬送を指示した距離を把握していればよい。
【0098】
プロセッサ111は、受付部1111として機能するため、ユーザにより形成が指示された画像を示す画像データを把握している。そして、プロセッサ111は、上述した通り、連続媒体Pを搬送方向D1に搬送した距離を把握している。
【0099】
したがって、プロセッサ111は、ユーザにより形成させる指示がなされた画像を示す画像データと、連続媒体Pを搬送方向D1に搬送した距離と、に応じて、その時点における抑制ノズルを特定してもよい。
【0100】
このプロセッサ111は、画像を連続媒体に形成させる指示を受付けたときに、この画像を示す画像データ、連続媒体の第1方向に搬送された距離、及び、複数のノズルの第2方向における位置、に応じて第2ノズルを特定するプロセッサの一例である。
【0101】
<5>
上述した実施形態において、プロセッサ111は、チップ231から取得した媒体IDに対応する抑制ノズルIDによって抑制ノズルを特定し、この抑制ノズルのパージを抑制していた。しかし、プロセッサ111は、例えば、連続媒体Pの形状、及び、連続媒体Pの搬送された距離、に応じたタイミングで、特定部1114において特定された抑制ノズルのパージを抑制してもよい。
【0102】
プロセッサ111は、例えば、ユーザが画像を形成するよう指示した連続媒体Pの種類や、計測装置4で計測された連続媒体Pの形状から、この連続媒体Pに開けられたスプロケット穴Hの位置を特定する。また、プロセッサ111は、搬送装置2に送った制御信号や、計測装置4から取得した区切りマークMの位置の情報等に基づいて、連続媒体Pの搬送された距離を特定する。そして、プロセッサ111は、特定したその距離を搬送された連続媒体Pのスプロケット穴Hに、抑制ノズルが対向しているか否かを判断する。
【0103】
プロセッサ111は、抑制ノズルがスプロケット穴Hに対向していると判断する場合に、抑制ノズルのパージを抑制し、対向していないと判断する場合に、抑制ノズルのパージを許可すればよい。
【0104】
すなわち、抑制部1115として機能するこのプロセッサ111は、連続媒体の形状を特定し、特定したこの連続媒体の形状、及び、この連続媒体の搬送された距離、に応じたタイミングで、第2ノズルのパージを抑制するプロセッサの一例である。
【0105】
<6>
上述した実施形態において、制御装置1は、プロセッサ111、メモリ112を有して各部を制御する制御部11を有していたが、制御装置1を制御する制御手段は他の構成であってもよい。例えば、制御装置1は、CPU以外にも各種のプロセッサ等を有してもよい。
【0106】
ここでプロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば上述したCPU等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0107】
上記各実施形態におけるプロセッサ111の動作は、1つのプロセッサ111によって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0108】
<7>
上述した制御装置1の制御部11によって実行されるこのプログラムは、連続媒体をこの連続媒体の長手方向である第1方向に搬送する搬送装置と、連続媒体の幅方向である第2方向に沿って配置され、搬送されるこの連続媒体にインクを吐出可能な複数のノズルと、を制御するプロセッサに、これらの複数のノズルのうち、ユーザにより指定された画像を連続媒体に形成する際にインクを吐出する2つの第1ノズルに第2方向において挟まれた、インクを吐出しない1以上の第2ノズルを特定するステップと、これらの複数のノズルをそれぞれパージさせる指示を受付けたときに、第2ノズルのパージを抑制するステップと、を実行させるプログラムの一例である。このプログラムは、磁気テープ及び磁気ディスク等の磁気記録媒体、光ディスク等の光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリ等の、コンピュータ装置が読取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムは、インターネット等の通信回線経由でダウンロードされてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1…制御装置、11…制御部、111…プロセッサ、1111…受付部、1112…取得部、1113…搬送制御部、1114…特定部、1115…抑制部、112…メモリ、12…記憶部、121…媒体DB、1211…媒体リスト、1212…抑制ノズル表、13…通信部、14…操作部、15…表示部、2…搬送装置、20…搬送ベルト、21…駆動ロール、22…従動ロール、23…収容器、231…チップ、3…画像形成装置、31…吐出ヘッド、311、311a、311b、311c、311d、311e…ノズル、32…支持部材、33…案内部材、4…計測装置、9…画像形成システム、D1…搬送方向(第1方向)、D2…幅方向(第2方向)、H…スプロケット穴、L…区切り、M…区切りマーク。