(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】ダイレクトドライブモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/10 20060101AFI20231003BHJP
H02K 11/225 20160101ALI20231003BHJP
【FI】
H02K5/10 Z
H02K11/225
(21)【出願番号】P 2019204432
(22)【出願日】2019-11-12
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 正幸
(72)【発明者】
【氏名】樋口 英也
(72)【発明者】
【氏名】福山 健一
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-025709(JP,A)
【文献】特開2019-161682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/10
H02K 11/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと前記ステータに対して回転軸を中心として回転可能なロータとを有するモータ部と、
前記ステータが固定されるステータハウジングと前記ロータが固定されるロータハウジングとを有するハウジングと、
前記ステータハウジングに前記ロータハウジングを回転自在に支持する軸受と、
前記モータ部の回転状態を検出すると共に前記ハウジングの内方に配置される回転検出器と、
前記回転検出器を前記ハウジングの外方側から覆った状態で設けられたカバー部材と、
を備え、
前記モータ部、前記ステータハウジング、前記ロータハウジング、及び前記カバー部材が前記回転軸を中心とする環状部材に構成されることにより前記回転軸の軸方向に貫通する中空穴が設けられ、
前記カバー部材は、前記回転軸の軸方向に直交する径方向に延びる平板状の第1部位と、前記第1部位の前記径方向の内側端で屈曲して前記軸方向に沿って前記
ロータハウジングの
軸方向端部に向けて延びる筒状の第2部位と、を有
し、
当該第2部位における軸方向端部は、前記ロータハウジングの前記軸方向端部と対向して配置され、前記第2部位の前記軸方向端部は、前記ステータハウジングの軸方向端面に対して前記軸方向の内側に離隔しているダイレクトドライブモータ。
【請求項2】
前記ロータハウジングは、前記ステータハウジングに対して前記軸受を挟んで前記軸方向の一方側に設けられ、
前記ロータハウジングの前記軸方向端部は、前記ロータハウジングにおける径方向の内側に位置し前記軸方向に延びる側壁部の軸方向の他方側の端部であり、
前記ステータハウジングに対して回転可能な回転部分は、前記ロータハウジングと当該ロータハウジングに固定される
前記回転検出器とを含み、
前記回転部分は、前記カバー部材の前記第2部位に対して軸方向の一方側に配置されている
請求項1に記載のダイレクトドライブモータ。
【請求項3】
ステータと前記ステータに対して回転軸を中心として回転可能なロータとを有するモータ部と、
前記ステータが固定されるステータハウジングと前記ロータが固定されるロータハウジングとを有するハウジングと、
前記ステータハウジングに前記ロータハウジングを回転自在に支持する軸受と、
前記モータ部の回転状態を検出すると共に前記ハウジングの内方に配置される回転検出器と、
前記回転検出器を前記ハウジングの外方側から覆った状態で設けられたカバー部材と、
を備え、
前記モータ部、前記ステータハウジング、前記ロータハウジング、及び前記カバー部材が前記回転軸を中心とする環状部材に構成されることにより前記回転軸の軸方向に貫通する中空穴が設けられ、
前記カバー部材は、前記回転軸の軸方向に直交する径方向に延びる平板状の第1部位と、前記第1部位の前記径方向の内側端で屈曲して前記軸方向に沿って前記ハウジングの端部に向けて延びる筒状の第2部位と、を有し、
前記ロータハウジングは、前記ステータハウジングに対して前記軸受を挟んで前記軸方向の一方側に設けられ、
前記ハウジングの前記端部は、前記ロータハウジングにおける径方向の内側に位置し前記軸方向に延びる側壁部の軸方向の他方側の端部であり、
前記ステータハウジングに対して回転可能な回転部分は、前記ロータハウジングと当該ロータハウジングに固定される前記回転検出器とを含み、
前記回転部分は、前記カバー部材の前記第2部位に対して軸方向の一方側に配置され、
前記カバー部材の前記第2部位における径方向の内側端は、前記側壁部の径方向の内側端よりも径方向の内側に配置されているダイレクトドライブモータ。
【請求項4】
ステータと前記ステータに対して回転軸を中心として回転可能なロータとを有するモータ部と、
前記ステータが固定されるステータハウジングと前記ロータが固定されるロータハウジングとを有するハウジングと、
前記ステータハウジングに前記ロータハウジングを回転自在に支持する軸受と、
前記モータ部の回転状態を検出すると共に前記ハウジングの内方に配置される回転検出器と、
前記回転検出器を前記ハウジングの外方側から覆った状態で前記ステータハウジングに固定されるカバー部材と、
を備え、
前記モータ部、前記ステータハウジング、前記ロータハウジング、及び前記カバー部材が前記回転軸を中心とする環状部材に構成されることにより前記回転軸の軸方向に貫通する中空穴が設けられ、
前記ハウジングにおける径方向の内側の端部は、前記ロータハウジングに含まれ且つ軸方向に延びる側壁部であり、当該側壁部は、前記カバー部材に対して軸方向の一方側に位置し、
前記カバー部材は、前記ステータハウジングから径方向の内側に延びる平板状の第1部位と、前記第1部位の径方向の内側端で軸方向の一方側に屈曲して前記側壁部の軸方向の他端部に向けて延びる筒状の第2部位と、を有し、当該第2部位における径方向の内側端は、前記側壁部の径方向の内側端よりも径方向の内側に配置されているダイレクトドライブモータ。
【請求項5】
前記カバー部材の前記第2部位は、前記径方向の内側に行くにつれて前記軸方向に延びると共に前記回転軸に向かって凸の湾曲面を有する
請求項1
から4のいずれか1項に記載のダイレクトドライブモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイレクトドライブモータに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイレクトドライブモータは、減速機構を介さずに、発生した動力を対象物にダイレクトに伝達する。ダイレクトドライブモータは、動力を発生するモータ部と、モータ部の回転を検出する回転センサ(回転検出器)と、モータ部及び回転センサを保持するハウジングと、を備えている。モータ部は、コイル及びそのコイルを支持するステータコアを含むステータと、永久磁石を含むロータとを有する。コイルはリード線と接続され、リード線はコネクタを介して電力供給部と接続される。回転センサがハウジング(カバー部材)で覆われたモータの一例が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダイレクトドライブモータは、検査装置や工作機械等の幅広い用途に用いられるため、回転軸の軸方向に貫通する中空穴が設けられた環状構造のタイプも必要とされる場合がある。この環状構造のダイレクトドライブモータにおいて、ハウジングの内方に埃等の異物の侵入を抑制することが求められている。しかしながら、特許文献1に記載の電動機では、回転軸の軸方向に貫通する中空穴が設けられていない構造となっている。
【0005】
本発明の態様は、回転軸の軸方向に貫通する中空穴が設けられた環状構造のダイレクトドライブモータにおいて、ハウジングの内方に埃等の異物の侵入を抑制することができるダイレクトドライブモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、ステータと前記ステータに対して回転軸を中心として回転可能なロータとを有するモータ部と、前記ステータが固定されるステータハウジングと前記ロータが固定されるロータハウジングとを有するハウジングと、前記ステータハウジングに前記ロータハウジングを回転自在に支持する軸受と、前記モータ部の回転状態を検出すると共に前記ハウジングの内方に配置される回転検出器と、前記回転検出器を前記ハウジングの外方側から覆った状態で設けられたカバー部材と、を備え、前記モータ部、前記ステータハウジング、前記ロータハウジング、及び前記カバー部材が前記回転軸を中心とする環状部材に構成されることにより前記回転軸の軸方向に貫通する中空穴が設けられ、前記カバー部材は、前記径方向に延びる平板状の第1部位と、前記第1部位の前記径方向の内側端で屈曲して前記軸方向に沿って前記ハウジングの端部に向けて延びる筒状の第2部位と、を有するダイレクトドライブモータを提供する。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、カバー部材は、第1部位の径方向の内側端で屈曲して軸方向に沿ってハウジングの端部に向けて延びる筒状の第2部位を有する。従って、第2部位とハウジングの端部との間に設けられる間隙は、第1部位から軸方向に離隔して配置されるため、間隙から埃等の異物が入りにくくなる効果がある。特に、軸方向を垂直方向に沿うようにダイレクトドライブモータを配置した場合、前記間隙と第1部位との軸方向の距離が小さいと、上方向に立ち上る埃等の異物が前記間隙からハウジングの内方に侵入しやすくなる。しかし、本発明では、当該間隙が第1部位よりも上側に離隔して配置されるため、当該間隙から埃等の異物が侵入しにくくなる。
【0008】
本発明の第2の態様は、第1の態様のダイレクトドライブモータにおいて、前記カバー部材の前記第2部位は、前記径方向の内側に行くにつれて前記軸方向に延びると共に前記回転軸に向かって凸の湾曲面を有してもよい。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、埃等の異物の進行方向が、軸方向と径方向との双方に交差する傾斜方向となる場合、当該異物を第2部位で効率的に跳ね返すことで、埃等の異物が前記間隙からハウジングの内方に更に侵入しにくくなる。
【0010】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様のダイレクトドライブモータにおいて、前記ロータハウジングは、前記ステータハウジングに対して前記軸受を挟んで前記軸方向の一方側に設けられ、前記ハウジングの前記端部は、前記ロータハウジングにおける径方向の内側に位置し前記軸方向に延びる側壁部の軸方向の他方側の端部であり、前記ステータハウジングに対して回転可能な回転部分は、前記ロータハウジングと当該ロータハウジングに固定される回転検出器とを含み、前記回転部分は、前記カバー部材の前記第2部位に対して軸方向の一方側に配置されていてもよい。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、ダイレクトドライブモータにおいて、回転検出器を含む回転部分が軸方向の一方側に寄る。このため、当該回転部分の軸方向の長さが短くなり、前記回転部分の重量が減少する。従って、当該回転部分の慣性モーメント(イナーシャ量)が減少し、回転部分の加減速が向上し、ワーク(対象物)の位置決め時間を短縮できるという効果がある。更に、回転部分の体積も減少し、ダイレクトドライブモータ全体のコンパクト化を図ることができる。また、ダイレクトドライブモータの回転部分が軸方向の一方側に寄ることで、当該回転部分と静止部分とが軸方向に離隔して配置される。従って、回転部分と静止部分との干渉(接触)を抑制することができる。
【0012】
本発明の第4の態様は、第3の態様のダイレクトドライブモータにおいて、前記カバー部材の前記第2部位における径方向の内側端は、前記側壁部の径方向の内側端よりも径方向の内側に配置されていてもよい。
【0013】
本発明の第4の態様によれば、パイプ及び配線を有する配線ユニットを用いて、ダイレクトドライブモータに設けられた中空穴に配線を通す際、第2カバーの第2部位における径方向の内側でパイプを位置決めすることができるため、中空穴に配線を通す作業を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の態様によれば、カバー部材とハウジングの端部との間に設けられる間隙から埃等の異物が入りにくいダイレクトドライブモータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るダイレクトドライブモータの全体構成の一例を概略的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1のダイレクトドライブモータの一部を拡大した断面図である。
【
図6】
図6は、ステータを構成するステータコアの内周コアを示す平面図である。
【
図7】
図7は、ステータを構成するステータコアの外周コアを示す平面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係るダイレクトドライブモータの一部を拡大した断面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係るダイレクトドライブモータの全体構成の一例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0017】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。
【0018】
図1は、第1実施形態に係るダイレクトドライブモータ1の全体構成の一例を概略的に示す断面図である。
図2は、
図1のダイレクトドライブモータ1の一部を拡大した断面図である。
図3は、
図1に示すステータ21の平面図である。
図4は、
図3に示すステータ21の正面図である。
図5は、第2カバー8を示す平面図である。
図6は、ステータ21を構成するステータコア25の内周コア251を示す平面図である。
図7は、ステータ21を構成するステータコア25の外周コア252を示す平面図である。
【0019】
図1に示すダイレクトドライブモータ1は、減速機構を介さずに、発生した動力を対象物にダイレクトに伝達する。ダイレクトドライブモータ1は、例えば、搬送装置のアームを駆動する駆動源として使用されるサーボモータを含む。また、その他にも、ダイレクトドライブモータ1は、例えば、検査装置、工作機械、及び半導体製造装置等にも用いられる。
【0020】
第1実施形態において、
図1,2に示すように、ダイレクトドライブモータ1は、対象物を回転させるための動力を発生するモータ部2と、モータ部2の回転状態を検出する回転検出器3と、モータ部2及び回転検出器3を保持するハウジング4と、モータ部2と接続されるリード線10と、ハウジング4に設けられ、リード線10を引き出すコネクタ30とを備えている。なお、図示はしていないが、コネクタ30から引き出されたリード線10は、ダイレクトドライブモータ1を制御する制御装置に接続される。また、リード線10は、小径の第1リード線10Aと大径の第2リード線10Bとを含む。なお、ダイレクトドライブモータ1は、被取付部材90の取付面90aの上に載置され、取付面90aに固定されている。
【0021】
モータ部2は、ステータ21と、ステータ21に対して回転可能なロータ22とを有する。ロータ22は、回転軸AXを中心に回転する。なお、以下において、回転軸AXに沿った方向を「軸方向」または「上下方向」と称し、回転軸AXに直交する方向を「径方向」と称する。また、「軸方向の一方側」を「上下方向の上側」と称し、「軸方向の他方側」を「上下方向の下側」と称する。
【0022】
本実施形態によるダイレクトドライブモータ1は、インナーロータ型である。ステータ21は、ロータ22の径方向の外側(外周側)に配置される。換言すると、ステータ21と回転軸AXとの径方向に沿った距離は、ロータ22と回転軸AXとの径方向に沿った距離よりも大きく設定されている。
【0023】
コイル26は、集中巻された巻線14とボビン28とを含む。すなわち、巻線14がボビン28に集中巻されてコイル26が構成され、このコイル26がティース23に支持される。なお、1つのティース23に1つのコイル26が支持されると共に、1つのボビン28に1つのコイル26が配置される。ここで、集中巻とは、1つのティース23に巻線を多回数巻いたもの、すなわち、1つのティース23に1相分の巻線を巻き付けるものをいう。
【0024】
ロータ22は、回転軸AXの周囲において、周方向に沿って等間隔で複数配置された永久磁石13を含む。ロータ22は、後述する第2支持部材12に複数個の永久磁石13が組み付けられて構成される。ステータ21とロータ22とは、径方向に間隔をおいた状態で対向して配置される。
【0025】
また、ダイレクトドライブモータ1は、回転検出器3を有する。回転検出器3は、モータ部2の回転状態を検出する。本実施形態において、回転検出器3は、アブソリュート方式のレゾルバを含み、モータ部2のロータ22の回転状態を検出する。回転検出器3は、ロータ22の回転速度、回転方向、及び回転角度の少なくとも1つを検出する。なお、回転検出器3は、アブソリュート方式のレゾルバのみならず、インクリメンタル方式のレゾルバを含んでもよい。
【0026】
ハウジング4は、モータ部2及び回転検出器3を保持する。本実施形態において、ハウジング4は、ステータハウジング4A及びロータハウジング4Bを含む。ステータハウジング4Aは、第1ハウジング41及び第1支持部材11(支持部材)を含む。ロータハウジング4Bは、第2ハウジング42及び第2支持部材12を含む。本実施形態において、第1ハウジング41、第1支持部材11、第2ハウジング42、及び第2支持部材12は、それぞれ、円筒状の部材(環状の部材)である。第1ハウジング41と第1支持部材11(支持部材)とが、例えばボルト55等で結合されてステータハウジング4Aを構成する。また、回転検出器3、軸受5、ロータ22の永久磁石13及びステータ21が、軸方向に直交する同一面内であって、かつロータ22の回転軸AXに対して径方向の外側に向かって順に並ぶように、ハウジング4は、環状のステータ21と環状の軸受5とを部材の一方面側(軸方向の一方側、上側)に径方向の間隔をあけて保持している。
【0027】
第1ハウジング41は、底壁412及び側壁411を有する。底壁412は、径方向に延びる。底壁412には、軸方向の一方側(上側)に突き出る第1突出部413と第2突出部415とが設けられている。ボビン28の幅方向(回転軸AXに直交する方向)の両端部には、ボビン28の径方向(回転軸AXの軸方向、上下方向)に延びるフランジ部281が左右一対に設けられている。第1突出部413がフランジ部281に当接することにより、ボビン28が幅方向に位置決めされる。第2突出部415は、底壁412の径方向の内側(内周側)の端部から上側に突出している。また、第1突出部413と第2突出部415との間には、底壁412を軸方向(上下方向)に貫通する雌ねじ孔414が設けられている。
【0028】
第1支持部材11は、径方向の外側(外周側)に設けられた外周側突出部111と、径方向の内側(内周側)に設けられた内周側突出部112と、下方に延びる脚部113とを有する。脚部113には、ボルト55を介して底壁412の第2突出部415が締結されている。
【0029】
第2ハウジング42は、径方向の内側の端部に配置されて軸方向に延びる側壁部422と、側壁部422の上端から径方向の外側に延びる上壁部421と、を有する。側壁部422は、円筒状に構成されるため、ダイレクトドライブモータ1には、軸方向に延びる中空穴60が設けられる。中空穴60の中心軸は、回転軸AXと一致する。このように、ダイレクトドライブモータ1は、回転軸AXの軸方向に貫通する中空穴60が設けられた環状構造に構成されている。上壁部421の径方向の外側端部には、第2支持部材12にボルト54を介して締結される保持部426が設けられている。保持部426の径方向の内側には、軸方向の他方側(下側)に膨出する膨出部423が設けられている。膨出部423の下面424のうち、径方向の外側には、下方に突き出る凸部425が設けられている。凸部425は、断面形状が台形状に形成されている。膨出部423の上面423aは、保持部426の上面426aよりも、距離D6だけ軸方向の他方側(下側)に凹んでいる。また、上壁部421のうち、膨出部423の径方向の内側に位置する上面421aは、保持部426の上面426aよりも、距離D7だけ軸方向の他方側(下側)に凹んでいる。
【0030】
また、第2ハウジング42と第2支持部材12とでロータハウジング4Bを構成する。ステータハウジング4Aの中心軸と、ロータハウジング4Bの中心軸と、ロータ22の回転軸AXとは、一致する。なお、ロータハウジング4B(第2ハウジング42及び第2支持部材12)と永久磁石13とを併せて中空回転部材とも称する。中空回転部材の回転中心の中心軸は、回転軸AXと一致する。
【0031】
ステータ21は、ステータハウジング4Aを構成する第1ハウジング41とボルト53を介して締結される。ロータ22は、前述したように、ロータハウジング4Bを構成する第2支持部材12に複数個の永久磁石13が組み付けられて構成される。第2支持部材12は、軸方向に延びる周壁部121と、周壁部121の端部から径方向の内側へ向けて延びるフランジ壁部122と、を有する。
【0032】
ステータハウジング4Aとロータハウジング4Bとの間に軸受5が配置される。軸受5は、静止輪5Aと、回転輪5Bと、静止輪5Aと回転輪5Bとの間に配置される転動体5Cとを有する。
【0033】
静止輪5Aは、第1ハウジング41の第2突出部415と第1支持部材11の外周側突出部111とで軸方向(上下方向)に挟持されることにより、ステータハウジング4Aに固定される。回転輪5Bは、第2ハウジング42の凸部425と第2支持部材12のフランジ壁部122とで軸方向に挟持されることにより、ロータハウジング4Bに固定される。軸受5により、ロータハウジング4Bは、ステータハウジング4Aに対して、回転軸AXを中心に回転可能に支持される。なお、本実施形態では、軸受5は、転動体5Cとして円筒形のクロスローラを用いたクロスローラ軸受である。クロスローラ軸受は、クロスローラと静止輪5A及び回転輪5Bとが線接触するため、大きな荷重に耐え得るという利点がある。また、隣り合うクロスローラで回転軸が互いに90°傾斜しているため、いずれの方向に対する荷重にも強く、高い剛性を保つことができる。
【0034】
ダイレクトドライブモータ1では、モータ部2、軸受5、及び回転検出器3は、回転軸AXに直交する径方向に沿って配置される。具体的には、回転軸AXに近い方から、回転検出器3、軸受5、モータ部2、の順に並んで配置される。回転検出器3は、第2ハウジング42の側壁部422と第1支持部材11との間に配置される。具体的には、回転検出器3は、第1支持部材11に支持されたレゾルバステータ32と、第2ハウジング42の側壁部422に支持されたレゾルバロータ31と、を有する。
【0035】
レゾルバステータ32は、軸方向(上下方向)の上側に配置された第1レゾルバステータ321と、下側に配置された第2レゾルバステータ322と、を有する。第1レゾルバステータ321は、積層鋼板3211と、積層鋼板3211に取り付けられたコイル3212と、間座3213と、ボルト3214と、を含む。ボルト3214によって、積層鋼板3211及び間座3213を第1支持部材11の内周側突出部112に固定している。積層鋼板3211に対向する脚部113の内周側には、嵌めあい面113aが設けられる。積層鋼板3211の外周端部は、嵌めあい面113aとの嵌め合い(インロー結合)によって位置決めされる。
【0036】
第2レゾルバステータ322は、積層鋼板3221と、積層鋼板3221に取り付けられたコイル3222と、間座3223と、ボルト3224と、を含む。ボルト3224によって、積層鋼板3211を間座3223に固定している。積層鋼板3221に対向する脚部113の内周側には、嵌めあい面113bが設けられる。積層鋼板3221の外周端部は、嵌めあい面113bとの嵌め合い(インロー結合)によって位置決めされる。
【0037】
レゾルバロータ31は、軸方向(上下方向)の上側に配置された第1レゾルバロータ311と、下側に配置された第2レゾルバロータ312と、を有する。第1レゾルバロータ311は、積層鋼板3111と、間座3112と、ボルト3113と、を含む。ボルト3113によって、積層鋼板3111及び間座3112を第2ハウジング42の側壁部422に固定している。積層鋼板3111に対向する側壁部422の外周側には、嵌めあい面422cが設けられる。積層鋼板3111の外周端部は、嵌めあい面422cとの嵌め合い(インロー結合)によって位置決めされる。
【0038】
第2レゾルバロータ312は、積層鋼板3121と、間座3122と、ボルト3123と、を含む。ボルト3123によって、積層鋼板3121を間座3122に固定している。積層鋼板3121に対向する側壁部422の外周側には、嵌めあい面422dが設けられる。積層鋼板3121の外周端部は、嵌めあい面422dとの嵌め合い(インロー結合)によって位置決めされる。
【0039】
積層鋼板3111と積層鋼板3211とは、軸方向(上下方向)の高さ位置が略同一であり、径方向に対向して配置される。積層鋼板3121と積層鋼板3221とは、軸方向(上下方向)の高さ位置が略同一であり、径方向に対向して配置される。ボルト3123及びボルト3224の下端は、それぞれ軸方向に沿った高さ位置が略同一に設定されている。
【0040】
軸受5は、第1支持部材11と第2支持部材12との間に配置される。モータ部2においては、ステータ21の径方向外側にステータコア25の外周コア252が位置し、外周コア252が第1ハウジング41にボルト53を介して固定される。また、ロータ22を構成する永久磁石13が第2支持部材12に保持される。このような構成とすることで、モータ部2、軸受5、及び回転検出器3を径方向に並べて配置することができ、ダイレクトドライブモータ1の軸方向の寸法、つまり、軸方向の高さの増大が抑制される。
【0041】
ダイレクトドライブモータ1には、ステータ21の軸方向の一端部(上端部)からの異物の侵入を防ぐために第1カバー6を設けている。また、回転検出器3の軸方向の他端部(下端部)からの異物の侵入を防ぐために第2カバー8(カバー部材)を設けている。
【0042】
第1カバー6は、ステータ21の上側を覆う上壁部601と、ステータ21の側方側を覆う側壁部602と、を有する。上壁部601は径方向に沿って延び、側壁部602は軸方向(上下方向)に沿って延びている。上壁部601における径方向内側の内周端601aは、保持部426の側面に近接して配置されている。側壁部602の下端602aは、側壁411の上端に近接して配置されている。第1カバー6及びステータ21は、ボルト53を介して第1ハウジング41に締結されている。
【0043】
底壁412における径方向内側には、径方向外側の底面412aよりも距離D1だけ上側の高さ位置となる凹部416が設けられている。すなわち、凹部416の上底面416aと底面412aとは、軸方向に沿って距離D1だけ離隔している。
【0044】
図5に示すように、第2カバー8(カバー部材)は、全体的に円環状に形成されている。具体的には、
図2,5に示すように、第2カバー8は、径方向外側端807から径方向の内側端805(屈曲点)まで径方向に沿って平坦状に延びる第1部位801と、径方向の内側端805から上端808まで断面円弧状に湾曲して延びる第2部位802と、を有する。すなわち、第2カバー8の第2部位802は、径方向の内側に行くにつれて軸方向の一方側(上側)に延びると共に回転軸AXに向かって凸の湾曲面を有する。また、第2部位802は、回転軸AXを中心とした筒状に形成され、第1部位801の径方向の内側端805で屈曲して軸方向に沿ってハウジング4の端部(側壁部422の下端422a)に向けて延びる。換言すると、第2カバー8の上端808は、側壁部422の下端422aと近接して配置されている。側壁部422の下端422aは、ボルト3123の下端よりも上側に配置される。側壁部422の下端422aの軸方向の高さ位置は、積層鋼板3121の下端と略同一である。
【0045】
第2部位802における径方向の内側端803は、側壁部422の径方向の内側端422bよりも径方向の外側に配置されている。第1部位801には、ボルト50が貫通する貫通孔804が設けられている。ボルト50は、頭部51と、頭部51から軸方向に延びるねじ部52と、を有する。第2カバー8の板厚tは、距離D1よりも小さい。よって、第1部位801の下面は、底面412aから軸方向(上下方向)に沿って距離D2だけ上側に配置されている。換言すると、第1部位801の下面は、
図2の二点鎖線で示す被取付部材90の取付面90aから軸方向(上下方向)に沿って距離D2だけ上側に配置されている。また、第2カバー8の上端808は、底面412a(取付面90a)から軸方向(上下方向)に沿って距離D3だけ上側に配置されている。側壁部422の下端422aと第2カバー8の上端808とは、軸方向(上下方向)に沿って距離D4だけ離隔している。換言すれば、下端422aと上端808との間には、上下方向に沿って距離D4の間隙G(開口部)が設けられている。側壁部422の下端422aは、底面412aから距離D5だけ上側に配置されている。第2部位802の軸方向に沿った高さは距離D8である。距離D8は、板厚tの2倍以上である。第2カバー8は、例えば金属板で構成される。
【0046】
次に、第2カバー8の成形方法を簡単に説明する。まず、円盤状に形成された平板の金属板に円形の下穴を打ち抜く第1の工程と、前記下穴の直径より大きな直径のパンチを前記下穴に押し込んで前記下穴を拡大することによってフランジを成形する第2の工程と、を有する。このフランジは、第2部位802である。これにより、中空穴60が設けられた第2カバー8を成形することができる。
【0047】
第2カバー8を第1ハウジング41に取り付ける手順を説明する。
まず、第2カバー8の貫通孔804を第1ハウジング41の雌ねじ孔414に位置合わせすると共に、第1部位801を凹部416の上底面416aに当接させる。次に、ボルト50のねじ部52を、貫通孔804から挿入して雌ねじ孔414に締結させる。これにより、第2カバー8を第1ハウジング41に取り付けることができる。
【0048】
このように、ダイレクトドライブモータ1は、ステータ21に対してロータ22が回転することにより、ステータハウジング4Aに対してロータハウジング4Bが回転軸AXを中心に回転する。また、ロータハウジング4Bには、対象物であるワーク(不図示)が支持される。このため、モータ部2の作動によりロータハウジング4Bが回転すると、ロータハウジング4Bとともにワークが回転する。このように、ロータハウジング4Bは、モータ部2の作動により回転軸AXを中心に回転する出力軸として機能する。
【0049】
ところで、前記したダイレクトドライブモータ1は、前述したように、搬送装置、検査装置、工作機械、及び半導体製造装置等にも用いられることを想定したものであり、高い外部荷重を受けることが考えられる。このため、ハウジング4、第1カバー6、第2カバー8を金属製の構造部材としている。
【0050】
図1,3,4に示すように、ステータ21は、ステータコア25と、ステータコア25に支持されるコイル26とを有する。コイル26は、複数のティース23のそれぞれに支持される。ステータコア25は、内周コア251と外周コア252とを有する。
【0051】
図6に示すように、内周コア251は、複数のティース23と複数のティース23を連結するヨーク24とを有する。内周コア251は、回転軸AXの周囲に周方向に沿って配置される複数のティース23と、複数のティース23を連結するヨーク24とを有する。それぞれのティース23は、ヨーク24から回転軸AXの径方向の外側に向かって突出している。ティース23は、回転軸AXの周囲において周方向に沿って等間隔で複数配置される。周方向に隣接するティース23の間には、それぞれスロット27が形成される。
【0052】
図7に示すように、外周コア252は、内周コア251の外径よりも大きい内径を有する環状の部材である。内周コア251と外周コア252とは固定される。すなわち、複数のコイル26がそれぞれ各ティース23に支持された後、内周コア251と外周コア252とが接続される。
【0053】
なお、本実施形態では、内周コア251にティース23を設けたが、外周コア252にティース23を設けてもよい。また、前述したロータ22、軸受5の転動体5C、ロータハウジング4B及び回転検出器3のレゾルバロータ31は、回転部分に含まれる。即ち、これらのロータ22、転動体5C、ロータハウジング4B及びレゾルバロータ31は、ステータハウジング4Aを含む静止部分に対して回転可能である。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によれば、第2カバー(カバー部材)8は、第1部位801の径方向の内側端805で屈曲して軸方向に沿って側壁部422の下端422a(ハウジング4の端部)に向けて延びる筒状の第2部位802と、を有する。換言すれば、第2部位802の上端808は、側壁部422の下端422aの近傍まで延びている。従って、第2部位802と側壁部422の下端422aとの間に設けられる間隙Gは、第1部位801から軸方向に離隔して配置される。このため、間隙Gから埃等の異物が入りにくくなる効果がある。特に、軸方向を垂直方向に沿うようにダイレクトドライブモータ1を配置した場合、前記間隙Gと第1部位801との軸方向(上下方向)の距離が小さいと、上方向に立ち上る埃等の異物が間隙Gからハウジング4の内方に侵入しやすくなる。しかし、本実施形態では、側壁部422の下端422aと第2部位802の上端808との間隙Gが第1部位801よりも上側に離隔して配置されるため、間隙Gから埃等の異物が侵入しにくくなる。
【0055】
また、本実施形態によれば、第2部位802は、径方向の内側に行くにつれて軸方向に延びると共に回転軸AXに向かって凸の湾曲面を有する。従って、前述した埃等の異物の進行方向が、軸方向と径方向との双方に交差する傾斜方向(
図2における矢印Pの方向)となる場合、当該異物を効率的に跳ね返すことで、埃等の異物が間隙Gからハウジング4の内方に更に侵入しにくくなる。
【0056】
また、本実施形態によれば、側壁部422の下端422a(側壁部422の軸方向の他方側の端部)は、ステータハウジング4Aの底面412a(軸方向の前記他方側の端部)よりも上側(前記一方側)に配置される。また、ステータハウジング4Aに対して回転可能な回転部分は、ロータハウジング4Bとロータハウジング4Bに固定されるレゾルバロータ31(回転検出器3)とを含み、前記回転部分は、第2カバー8(カバー部材)の第2部位802に対して上側(軸方向の一方側)に配置されている。
【0057】
このように、ダイレクトドライブモータ1の回転部分が軸方向の一方側に寄って配置されているため、当該回転部分の重量が減少する。従って、回転部分の慣性モーメント(イナーシャ量)が減少するため、回転部分の加減速が向上し、ワーク(対象物)の位置決め時間を短縮できるという効果がある。更に、回転部分の体積も減少し、ダイレクトドライブモータ1全体のコンパクト化を図ることができる。
【0058】
なお、側壁部422の下端422aは、ボルト3123の下端よりも上側に配置され、側壁部422の軸方向長さが短くなっているため、回転部分の慣性モーメント(イナーシャ量)がより減少する。
【0059】
また、ダイレクトドライブモータ1の回転部分が軸方向の一方側に寄って配置されることで、静止部分であるステータハウジング4Aの底面412aと当該回転部分とが軸方向に離隔して配置される。従って、回転部分と静止部分との干渉(接触)を抑制することができる。
【0060】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。ただし、第1実施形態と同一構成の部位には、同一符号を付けて、説明を省略する。
【0061】
図8は、第2実施形態に係るダイレクトドライブモータ1Aの一部を拡大した断面図である。
図9は、
図8のIX-IX線による断面図である。
【0062】
図8に示すように、本実施形態のダイレクトドライブモータ1Aでは、第2カバー8Aの第2部位802Aが第1実施形態に係る第2カバー8の第2部位802よりも径方向の内側に配置されている。第2カバー8Aの第2部位802Aにおける径方向の内側端803Aは、側壁部422の径方向の内側端422bよりも径方向の内側に配置されている。換言すると、第2部位802Aにおける径方向の外側端(第1部位801Aの径方向の内側端805A)と、第2部位802Aの径方向の内側端803Aと、の径方向に沿った範囲内に、側壁部422の径方向の内側端422bが配置されている。
【0063】
第2カバー8A(カバー部材)は、径方向外側端807Aから径方向の内側端805A(屈曲点)まで径方向に沿って平坦状に延びる第1部位801Aと、径方向の内側端805Aから上端808Aまで断面円弧状に湾曲して延びる第2部位802Aと、を有する。すなわち、第2カバー8Aの第2部位802Aは、径方向の内側に行くにつれて軸方向の一方側(上側)に延びると共に回転軸AXに向かって凸の湾曲面を有する。また、第2部位802Aは、回転軸AXを中心とした筒状に形成され、第1部位801Aの径方向の内側端805Aで屈曲して軸方向に沿ってハウジング4の端部(側壁部422の下端422a)に向けて延びる。第2部位802Aにおける径方向の内側端803Aは、側壁部422の径方向の内側端422bよりも径方向の内側に配置されている。具体的には、径方向の内側端803Aと側壁部422の径方向の内側端422bとは、径方向に沿って距離D10だけ離隔している。第2カバー8Aは、例えば金属板で構成される。
【0064】
また、
図8,9に示すように、本実施形態では、中空穴60に配線ユニット7を配置する際に、第2カバー8Aが配線ユニット7のガイドとなる。以下、具体的に説明する。
【0065】
配線ユニット7は、円筒状のパイプ701と、パイプ701の内方に収容された複数の配線702と、を有する。パイプ701の外径は、第2カバー8Aの径方向の内側端803Aの内径とほぼ同一である。従って、パイプ701の外周面が、第2カバー8Aの第2部位802Aに当接することにより、パイプ701が径方向に位置決めされる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によれば、第2カバー8A(カバー部材)の第2部位802Aにおける径方向の内側端803Aは、側壁部422の径方向の内側端422bよりも径方向の内側に配置されている。よって、前述したように、中空穴60に配線ユニット7を配置する際、第2カバー8Aの第2部位802Aにおける径方向の内側(内周側)でパイプ701を位置決めすることができる。これにより、中空穴60に配線を通す作業を効率的に行うことができる。
【0067】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。ただし、第1及び第2実施形態と同一構成の部位には、同一符号を付けて、説明を省略する。
【0068】
図10は、第3実施形態に係るダイレクトドライブモータ1Bの全体構成の一例を概略的に示す断面図である。
【0069】
図10に示すように、本実施形態のダイレクトドライブモータ1Bは、第2カバー8Bを有する。第2カバー8Bにおける第2部位802Bは、第1実施形態及び第2実施形態の第2部位802,802Aよりも径方向外側に配置される。即ち、第2部位802Bは、側壁部422よりも径方向外側に配置される。側壁部422の下端422aと第2カバー8Bの上端808とは、軸方向(上下方向)に沿って距離D4だけ離隔している。換言すれば、下端422aと上端808との間には、上下方向に沿って距離D4の間隙G(開口部)が設けられている。
【0070】
被取付部材90は、板状部材であり、上面が取付面90aである。取付面90aの上にダイレクトドライブモータ1Bが当接した状態で固定されている。被取付部材90においては、中空穴60に対応する部位に、厚さ方向(上下方向、軸方向)に貫通する貫通孔90bが設けられている。貫通孔90bには、筒状部材91が挿入及び保持されている。筒状部材91は、フランジ部911と、円筒部912と、を有する。円筒部912は、厚さ方向(上下方向、軸方向)に延びる。フランジ部911は、円筒部912の上端から径方向に広がる。フランジ部911は、ボルト913,914によって被取付部材90に締結される。フランジ部911とボルト913,914の頭部とが取付面90aよりも上側に突出する。ここで、第2カバー8Bにおける第2部位802Bは、フランジ部911の外周縁及びボルト913,914の頭部よりも径方向の外側に位置する。側壁部422の下端422aは、ボルト913,914の頭部よりも上側に位置する。
【0071】
以上説明したように、被取付部材90における中空穴60に対応する部位に、フランジ部911やボルト913,914の頭部等の凸部が設けられる場合、側壁部422の下端422aが当該凸部から離隔して配置される。従って、側壁部422が回転しても凸部に接触することが抑制される。
【0072】
また、ダイレクトドライブモータ1Bを被取付部材90に取り付ける際に金属粉等が巻き上がった場合でも、下端422aと上端808との間の間隙G(開口部)から金属粉等が侵入することが抑制される。
【0073】
以上、実施形態を説明したが、前述した内容により実施形態が限定されるものではない。例えば、実施形態のダイレクトドライブモータ1,1A,1Bは、インナーロータ型としたが、アウターロータ型としてもよいことは勿論である。また、本実施形態では、単一の軸受5を備える構成を説明しているが、複数の軸受を組み合わせて使用する構成(軸受と軸受の間に間座を設けるような場合も含む)でも同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0074】
1,1A,1B ダイレクトドライブモータ
2 モータ部
3 回転検出器
4 ハウジング
5 軸受
4A ステータハウジング
4B ロータハウジング
8,8A,8B 第2カバー(カバー部材)
11 第1支持部材(支持部材)
21 ステータ
22 ロータ
422 側壁部
801,801A 第1部位
802,802A,802B 第2部位
805,805A 径方向の内側端
AX 回転軸