(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】配線部材
(51)【国際特許分類】
H01B 7/08 20060101AFI20231003BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20231003BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
H01B7/08
H02G3/04
H01B7/00 306
(21)【出願番号】P 2019210363
(22)【出願日】2019-11-21
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】荒井 健太
(72)【発明者】
【氏名】江端 大輔
(72)【発明者】
【氏名】工藤 隆祐
(72)【発明者】
【氏名】水下 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】西村 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中野 悠
(72)【発明者】
【氏名】水野 芳正
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/122431(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/098657(WO,A1)
【文献】特開2015-053262(JP,A)
【文献】実開平02-017879(JP,U)
【文献】特開2013-145672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/08
H02G 3/04
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状伝送部材と、
前記線状伝送部材のうち長手方向に沿った第1区間が固定された第1シートと、
前記線状伝送部材のうち長手方向に沿った第2区間が固定された第2シートと、
を備え、
前記第1シートと前記第2シートとは分離しており、
前記線状伝送部材のうち前記第1区間と前記第2区間との間の中間区間に折曲げ跡が形成されており、
前記線状伝送部材のうち前記中間区間における長手方向に沿った全体にわたって、前記第1シート及び前記第2シートの少なくとも一方に覆われている、配線部材。
【請求項2】
線状伝送部材と、
前記線状伝送部材のうち長手方向に沿った第1区間が固定された第1シートと、
前記線状伝送部材のうち長手方向に沿った第2区間が固定された第2シートと、
を備え、
前記第1シートと前記第2シートとは分離しており、
前記線状伝送部材のうち前記第1区間と前記第2区間との間の中間区間に折曲げ跡が形成されており、
前記中間区間に前記線状伝送部材が複数設けられ、
各線状伝送部材は、伝送線本体及び被覆層を有し、
前記複数の線状伝送部材に前記折曲げ跡が形成され、
前記複数の折曲げ跡が1つの方向に並んでおり、
前記中間区間において前記複数の線状伝送部材が並行しており、
前記複数の折曲げ跡が、前記複数の線状伝送部材が並ぶ方向と交差する方向に並んでいる、配線部材。
【請求項3】
請求項2に記載の配線部材であって、
前記第1シートと前記第2シートとが前記線状伝送部材の長手方向に沿って離れて設けられている、配線部材。
【請求項4】
請求項3に記載の配線部材であって、
前記中間区間に前記線状伝送部材が前記折曲げ跡が形成された範囲よりも広い範囲にわたって曲がる経路曲げ部が設けられている、配線部材。
【請求項5】
請求項4に記載の配線部材であって、
前記経路曲げ部は、前記第1シート及び前記第2シートが同一平面に広がる平面的経路曲げ部である、配線部材。
【請求項6】
請求項4に記載の配線部材であって、
前記経路曲げ部は、前記第1シート及び前記第2シートが異なる平面に広がる立体的経路曲げ部である、配線部材。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の配線部材であって、
前記第1シートから前記線状伝送部材が延び出る第1方向と前記第2シートから前記線状伝送部材が延び出る第2方向とが平行であり、前記第1方向及び前記第2方向が前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向にずれている、配線部材。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の配線部材であって、
前記線状伝送部材のうち前記中間区間における前記折曲げ跡の両側部分が同一直線状に延びる、配線部材。
【請求項9】
請求項1に記載の配線部材であって、
前記中間区間に前記線状伝送部材が複数設けられ、
前記複数の線状伝送部材に前記折曲げ跡が形成され、
前記複数の折曲げ跡が1つの方向に並んでいる、配線部材。
【請求項10】
請求項9に記載の配線部材であって、
前記中間区間において前記複数の線状伝送部材が並行しており、
前記複数の折曲げ跡が、前記複数の線状伝送部材が並ぶ方向と平行な方向に並んでいる、配線部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、シート状に形成された機能性外装部材に電線が溶着されたワイヤーハーネスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたワイヤーハーネスは、搬送時などに折り曲げられることがある。ワイヤーハーネスが一定位置で折り曲げられることが望まれている。
【0005】
そこで、配線部材が一定位置で折り曲げられやすくなる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の配線部材は、線状伝送部材と、前記線状伝送部材のうち長手方向に沿った第1区間が固定された第1シートと、前記線状伝送部材のうち長手方向に沿った第2区間が固定された第2シートと、を備え、前記第1シートと前記第2シートとは分離しており、前記線状伝送部材のうち前記第1区間と前記第2区間との間の中間区間に折曲げ跡が形成されている、配線部材である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、配線部材が一定位置で折り曲げられやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態1にかかる配線部材を示す概略平面図である。
【
図3】
図3は実施形態1にかかる配線部材が折り曲げられる様子を示す説明図である。
【
図4】
図4は折り畳まれた配線部材を示す側面図である。
【
図5】
図5は実施形態2にかかる配線部材を示す概略平面図である。
【
図6】
図6は実施形態2にかかる配線部材が折り曲げられる様子を示す説明図である。
【
図7】
図7は実施形態3にかかる配線部材を示す概略平面図である。
【
図8】
図8は実施形態3にかかる配線部材が折り曲げられる様子を示す説明図である。
【
図9】
図9は実施形態4にかかる配線部材を示す概略平面図である。
【
図10】
図10は実施形態4にかかる配線部材を示す概略側面図である。
【
図11】
図11は実施形態5にかかる配線部材を示す概略側面図である。
【
図13】
図13は実施形態6にかかる配線部材を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の配線部材は、次の通りである。
【0011】
(1)線状伝送部材と、前記線状伝送部材のうち長手方向に沿った第1区間が固定された第1シートと、前記線状伝送部材のうち長手方向に沿った第2区間が固定された第2シートと、を備え、前記第1シートと前記第2シートとは分離しており、前記線状伝送部材のうち前記第1区間と前記第2区間との間の中間区間に折曲げ跡が形成されている、配線部材である。線状伝送部材のうち折曲げ跡が形成された中間区間では、第1シート及び第2シートのいずれにも固定されていない。このため、中間区間が折曲げ時の目安として活用されることによって、配線部材が一定位置で折り曲げられやすい。また配線部材のうち中間区間の領域は第1区間の領域及び第2区間の領域と比べて剛性が低くなりやすい。このため、折曲げ時に中間区間の領域に応力が集中しやすくなることによって、配線部材が一定位置で折り曲げられやすい。
【0012】
(2)前記第1シートと前記第2シートとが前記線状伝送部材の長手方向に沿って離れて設けられていてもよい。これにより、線状伝送部材が第1シート及び第2シートに分けて固定されやすい。また配線部材が折曲げられる目安となる中間区間が作業者によって見つけられやすい。
【0013】
(3)前記線状伝送部材のうち前記中間区間における長手方向に沿った全体にわたって、前記第1シート及び前記第2シートの少なくとも一方に覆われていてもよい。これにより、線状伝送部材が中間区間において第1シート及び第2シートの少なくとも一方によって保護される。
【0014】
(4)前記中間区間に前記線状伝送部材が前記折曲げ跡が形成された範囲よりも広い範囲にわたって曲がる経路曲げ部が設けられていてもよい。これにより、中間区間が経路曲げ部としても用いられる。
【0015】
(5)前記経路曲げ部は、前記第1シート及び前記第2シートが同一平面に広がる平面的経路曲げ部であってもよい。これにより、中間区間が平面的経路曲げ部としても用いられる。
【0016】
(6)前記経路曲げ部は、前記第1シート及び前記第2シートが異なる平面に広がる立体的経路曲げ部であっていてもよい。これにより、中間区間が立体的経路曲げ部としても用いられる。
【0017】
(7)前記第1シートから前記線状伝送部材が延び出る第1方向と前記第2シートから前記線状伝送部材が延び出る第2方向とが平行であり、前記第1方向及び前記第2方向が前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向にずれていてもよい。これにより、例えば、線状伝送部材が1つの方向に沿って延びる際、配線部材が障害物を避けるように配置されることができる。
【0018】
(8)前記線状伝送部材のうち前記中間区間における前記折曲げ跡の両側部分が同一直線状に延びていてもよい。これにより、線状伝送部材が直線状に配置される区間において配線部材が折り曲げられる。
【0019】
(9)前記中間区間に前記線状伝送部材が複数設けられ、前記複数の線状伝送部材に前記折曲げ跡が形成され、前記複数の折曲げ跡が1つの方向に並んでいてもよい。これにより、複数の線状伝送部材が並行する区間において配線部材が折り曲げられる。
【0020】
(10)前記中間区間において前記複数の線状伝送部材が並行しており、前記複数の折曲げ跡が、前記複数の線状伝送部材が並ぶ方向と平行な方向に並んでいてもよい。これにより、複数の線状伝送部材が長手方向に90度の角度で折り曲げられる。
【0021】
(11)前記中間区間において前記複数の線状伝送部材が並行しており、前記複数の折曲げ跡が、前記複数の線状伝送部材が並ぶ方向と交差する方向に並んでいてもよい。これにより、複数の線状伝送部材が長手方向と90度未満の角度で折り曲げられる。
【0022】
(12)また、本開示の配線部材は、線状伝送部材と、前記線状伝送部材のうち長手方向に沿った第1区間が固定された第1シートと、前記線状伝送部材のうち長手方向に沿った第2区間が固定された第2シートと、を備え、前記第1シートと前記第2シートとは分離しており、前記線状伝送部材は、前記第1区間と前記第2区間との間の中間区間において折返されている、配線部材である。線状伝送部材は中間区間において、第1シート及び第2シートのいずれにも固定されていない。このため、中間区間が折曲げ時の目安として活用されることによって、配線部材が一定位置で折曲げられやすい。また中間区間は第1区間及び第2区間と比べて剛性が低くなりやすい。このため、折曲げ時に中間区間に応力が集中しやすくなることによって、配線部材が一定位置で折り曲げられやすい。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線部材の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0024】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる配線部材について説明する。
図1は実施形態1にかかる配線部材10を示す概略平面図である。
図2は
図1の領域Aの拡大図である。
図3は実施形態1にかかる配線部材10が折り曲げられる様子を示す説明図である。
図4は折り畳まれた配線部材10を示す側面図である。以下では、
図4に示すような折り畳み形態の配線部材10について、
図2に示すような展開された形態の配線部材10と区別が必要な場合、配線部材10Fのように符号Fが付されることがある。
【0025】
配線部材10は、線状伝送部材20と固定シート30とを備える。線状伝送部材20は固定シート30に固定されている。配線部材10は例えば車両に搭載される。配線部材10は車両において配置対象80に配置される。かかる配置対象80は例えば、車両におけるボディフレーム、ボディパネル、内装パネルなどである。配置対象80は配置面を含む。例えば配置面上に固定シート30が広がった状態で配線部材10が配置対象80に配置される。線状伝送部材20のうち固定シート30に固定されている部分は、配置経路に沿って延びた状態に保たれる。これにより、配線部材10が配置対象80に簡易に配置される。
【0026】
線状伝送部材20は少なくとも1本含まれる。ここでは複数の線状伝送部材20が含まれる。各線状伝送部材20は、電気又は光等を伝送する線状の部材である。固定シート30は、全体として扁平な形状に形成されている。複数の線状伝送部材20が固定シート30に固定されることによって、配線部材10が扁平な形態に保たれる。
図2に示す例では、1つの固定シート30に同じ径、構造の線状伝送部材20が複数配設されている。もっとも、複数の線状伝送部材20の径、構造等は適宜設定されていればよく、径、構造等の異なる線状伝送部材20が同じ固定シート30に配設されていてもよい。
【0027】
複数の線状伝送部材20は、車両における部品同士を接続する部材であることが想定される。線状伝送部材20の端部には、例えばコネクタCが設けられる。このコネクタCが相手側部品に設けられたコネクタと接続されることで、線状伝送部材20が相手側部品に接続される。つまり、本配線部材10は、車両等において各種部品同士を電気的に(或は光通信可能に)接続する配線部材10として用いられる。コネクタCは、固定シート30に固定されていてもよい。
【0028】
複数の線状伝送部材20の経路は、接続先となる部品の位置等に応じて設定される。複数の線状伝送部材20が固定シート30に固定されることによって、複数の線状伝送部材20がそれぞれの接続先となる部品の位置等に応じた配線経路に沿った状態に保たれる。複数の線状伝送部材20は、幹線から枝線が分岐する態様で、固定シート30に固定されていてもよい。固定シート30も幹線が固定される部分から枝線が固定される部分が分岐する形状に形成されていてもよい。ここでは複数の線状伝送部材20は固定シート30上で分岐している。
【0029】
例えば線状伝送部材20は、伝送線本体と被覆層とを含む。伝送線本体は、電気又は光等を伝送する。被覆層は伝送線本体を覆う。例えば、線状伝送部材20は、芯線と芯線の周囲の被覆層とを有する一般電線であってもよいし、シールド線、ツイスト線、エナメル線、ニクロム線、光ファイバ等であってもよい。線状伝送部材20は、裸電線など被覆層を含まないものであってもよい。
【0030】
電気を伝送する線状伝送部材20としては、各種信号線、各種電力線であってもよい。電気を伝送する線状伝送部材20の一部等は、信号又は電力を空間に対して送る又は空間から受けるアンテナ、コイル等として用いられてもよい。
【0031】
また、線状伝送部材20は、単一の線状物であってもよいし、複数の線状物の複合物(ツイスト線、複数の線状物を集合させてこれをシースで覆ったケーブル等)であってもよい。
【0032】
固定シート30の一方主面上に、線状伝送部材20が固定される。線状伝送部材20は、固定シート30に固定されればよく、固定シート30に対する線状伝送部材20の固定構造は特に限定されない。かかる固定態様としては、接触部位固定であってもよいし、非接触部位固定であってもよいし、両者が併用されていてもよい。ここで接触部位固定とは、線状伝送部材20と固定シート30とが接触する部分がくっついて固定されているものである。また、非接触部位固定とは、接触部位固定でない固定態様であり、例えば、縫糸、カバー、粘着テープなどが、線状伝送部材20を固定シート30に向けて押え込んだり、線状伝送部材20と固定シート30とを挟み込んだりして、その状態に維持するものである。以下では、線状伝送部材20と固定シート30とが、接触部位固定の状態にあるものとして説明する。
【0033】
係る接触部位固定の態様として、接触部位間接固定であってもよいし、接触部位直接固定であってもよいし、異なる領域で両者が併用されていてもよい。ここで接触部位間接固定とは、線状伝送部材20と固定シート30とが、その間に設けられた接着剤、粘着剤、両面粘着テープなどを介して間接的にくっついて固定されているものである。また接触部位直接固定とは、線状伝送部材20と固定シート30とが別に設けられた接着剤等を介さずに直接くっついて固定されているものである。接触部位直接固定では、例えば線状伝送部材20と固定シート30とのうち少なくとも一方に含まれる樹脂が溶かされることによってくっついて固定されることが考えられる。
【0034】
係る接触部位直接固定の状態が形成されるに当たり、樹脂は、例えば、熱によって溶かされることも考えられるし、溶剤によって溶かされることも考えられる。つまり、接触部位直接固定の状態としては、熱による接触部位直接固定の状態であってもよいし、溶剤による接触部位直接固定の状態であってもよい。好ましくは、熱による接触部位直接固定の状態であるとよい。
【0035】
このとき接触部位直接固定の状態を形成する手段は特に限定されるものではなく、溶着、融着、溶接等の公知の手段を用いることができる。例えば、溶着によって熱による接触部位直接固定の状態を形成する場合、超音波溶着、加熱加圧溶着、熱風溶着、高周波溶着など種々の溶着手段を採用することができる。またこれらの手段によって接触部位直接固定の状態が形成されると、線状伝送部材20と固定シート30とは、その手段による接触部位直接固定の状態とされる。具体的には、例えば、超音波溶着によって接触部位直接固定の状態が形成されると、線状伝送部材20と固定シート30とは、超音波溶着による接触部位直接固定の状態とされる。
【0036】
以下では、線状伝送部材20と固定シート30とが、接触部位直接固定の状態にあるものとして説明する。
【0037】
固定シート30は、1層構造を有していてもよい。固定シート30が1層構造を有する場合、かかる1層は線状伝送部材20が固定される固定層である。固定シート30は、樹脂シートであってもよい。例えば、固定シート30は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂によって形成されていてもよい。固定シート30は一様充実断面を有するシートであってもよい。また、固定シート30は、編布、織布又は不織布等の繊維材であることも考えられる。また、固定シート30は、発泡シート等であることも考えられる。また、固定シート30は、金属シートであってもよい。
【0038】
固定シート30は、複数層構造を有していてもよい。固定シート30が複数層構造を有する場合、固定層をなすシートは上記1層構造で説明された各種シートが採用される。また固定層をなさないシートは、上記1層構造で説明された各種シートのほか、線状伝送部材20の固定に向かないシートが採用されてもよい。例えば固定シート30は積層された第1層及び第2層を含む。
【0039】
第1層は固定層である。第1層は、線状伝送部材20を固定シート30に固定できるものであれば特に限定されずに使用することができるが、例えば第1層は樹脂が一様に詰まった一様充実断面を有する樹脂層でもよい。第1層により線状伝送部材20が固定されている。第1層の材料となる樹脂は例えば被覆層と同じ樹脂である。第1層の一方の表面が固定シート30の一方主面とされる。
【0040】
第2層は保護などの機能を追加又は強化するための層である。例えば第2層は繊維材層である。第2層の一方の表面が固定シート30の他方主面とされる。第1層及び第2層は、例えば、接着又は融着により固定される。
【0041】
固定シート30は柔らかい部材であってもよい。例えば、第1層が軟質PVCなど軟質な樹脂を材料とする一様充実断面を有する樹脂層であり、第2層がPETを材料とする不織布であるなどして、固定シート30が柔らかい部材とされる。例えば、固定シート30は線状伝送部材20の曲げに追従可能な可撓性を有してもよい。つまり配線部材10は厚み方向への曲げ(折目が固定シート30の主面に沿うような曲げ)が可能とされてもよい。固定シート30は、配線部材10が持ち上げられた状態で、平面を維持できる程度の剛性を有していてもよい。
【0042】
複数の線状伝送部材20それぞれは、長手方向に沿って間隔をあけた複数箇所で固定シート30に固定されている。
図2において線状伝送部材20と固定シート30との固定箇所FPが二点鎖線によって示されている。複数の線状伝送部材20それぞれは、長手方向に沿って全体に一連に固定シート30に固定されていてもよい。
【0043】
ここでは固定シート30として第1シート32及び第2シート34が設けられている。第1シート32と第2シート34とは分離している。第1シート32と第2シート34とが分離しているとは、第1シート32と第2シート34とがつながっておらず、別体であることを言う。第1シート32と第2シート34とは分離していることによって、相互に異なる態様で動くことができる。第1シート32と第2シート34とは分離していることによって、いずれか一方のみが取り払われることができる。ここでは第1シート32及び第2シート34は同じ種類のシートであることが想定されている。もっとも、第1シート32及び第2シート34は異なる種類のシートであってもよい。
【0044】
第1シート32と第2シート34とは、重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。第1シート32と第2シート34とは、接していてもよいし、接していなくてもよい。
図2に示す例では、第1シート32と第2シート34とが線状伝送部材20の長手方向に沿って離れて設けられている。線状伝送部材20の長手方向に沿った第1シート32と第2シート34との間隔は特に限定されるものではない。例えば、
図2に示すように、中間区間S3に後述する経路曲げ部12が設けられる場合、当該経路曲げ部12が第1シート32及び第2シート34に達しないように、第1シート32と第2シート34との間隔が設定されてもよい。
【0045】
線状伝送部材20のうち長手方向に沿った第1区間S1が第1シート32に固定されている。線状伝送部材20のうち長手方向に沿った第2区間S2が第2シート34に固定されている。線状伝送部材20のうち第1区間S1と第2区間S2との間の区間は中間区間S3である。中間区間S3に折曲げ跡FTが形成されている。
【0046】
第1区間S1は、線状伝送部材20のうち第1シート32に固定された一端から他端までの区間である。なお
図2に示す例では、線状伝送部材20のうち第1シート32の端縁に重なる部分は第1シート32に固定されていない。線状伝送部材20のうち第1シート32の端縁に重なる部分であって、第1シート32に固定されていない部分は第1区間S1に含まれない。
【0047】
第2区間S2は、線状伝送部材20のうち第2シート34に固定された一端から他端までの区間である。なお
図2に示す例では、線状伝送部材20のうち第2シート34の端縁に重なる部分は第2シート34に固定されている。この場合、線状伝送部材20のうち第2シート34の端縁に重なる部分であって、第2シート34に固定されている部分は第2区間S2に含まれる。
【0048】
中間区間S3は第1区間S1と第2区間S2との間の区間である。なお
図2に示すように、線状伝送部材20のうち第1シート32の端縁に重なる部分であって、第1シート32に固定されていない部分は中間区間S3に含まれる。線状伝送部材20のうち第2シート34の端縁に重なる部分であって、第2シート34に固定されている部分は中間区間S3に含まれない。
【0049】
なお、線状伝送部材20のうち第1シート32の端縁に重なる部分は第1シート32に固定されていてもよい。この場合、線状伝送部材20のうち第1シート32の端縁に重なる部分は中間区間S3に含まれず、第1区間S1に含まれる。また、線状伝送部材20のうち第2シート34の端縁に重なる部分は第2シート34に固定されていなくてもよい。この場合、線状伝送部材20のうち第2シート34の端縁に重なる部分であって、第2シート34に固定されていない部分は第2区間S2に含まれず、中間区間S3に含まれる。
【0050】
線状伝送部材20は例えば
図3に示すように折曲げ基準線Lの部分で折り曲げられる。線状伝送部材20が折り曲げられた配線部材10Fは
図4に示すような折り畳まれた状態となることがある。例えば配線部材10が搬送される際の荷姿形態が、折り畳み形態の配線部材10Fであり得る。折曲げ跡FTは、車両への組付時などに折り畳み形態の配線部材10Fが展開されて配線部材10とされた際に、線状伝送部材20のうち折り曲げられていた部分に残る痕跡である。
【0051】
例えば線状伝送部材20の伝送線本体及び被覆層の少なくとも一方において、折目として残る部分が折曲げ跡FTである。例えば、被覆層には折目としてしわが形成されうる。しわは折目に沿って延びるように形成される。従って、しわは線状伝送部材20の長手方向と交差する方向に延びるように形成される。また例えば、線状伝送部材20に折曲げ跡FTとして曲げ癖が残っていてもよい。つまり、折曲げ跡FTが形成された部分において線状伝送部材20がわずかに曲がっていてもよい。
【0052】
図2に示すように中間区間S3において複数の線状伝送部材20が設けられる場合、複数の線状伝送部材20それぞれに折曲げ跡FTが形成される。つまり配線部材10に複数の折曲げ跡FTが形成される。この複数の折曲げ跡FTは、配線部材10の折曲げに対応する形状を有する。例えば、複数の折曲げ跡FTは1つの方向(折目)に沿って並ぶ。折曲げ跡FTとしてしわが形成される場合、複数の線状伝送部材20それぞれに形成されるしわは同じ方向に沿って延びる。
【0053】
ここでは中間区間S3において複数の線状伝送部材20が並行している。この際、複数の折曲げ跡FTは複数の線状伝送部材20の並列方向に平行な方向に並んでいる。複数の線状伝送部材20の並列方向とは、複数の線状伝送部材20が直線状に延びる部分では、複数の線状伝送部材20の長手方向に直交する方向である。複数の線状伝送部材20が曲がっている部分では、複数の線状伝送部材20の並列方向は曲率中心に対する径方向である。
【0054】
中間区間S3に経路曲げ部12が設けられている。経路曲げ部12は、線状伝送部材20が折曲げ跡FTが形成された範囲よりも広い範囲にわたって曲がる部分である。経路曲げ部12は、折曲げ跡FTにかかる曲げとは異なる態様で曲げられる部分である。
図2に示す例では経路曲げ部12は、平面的経路曲げ部である。平面的経路曲げ部は、第1シート32及び第2シート34が同一平面に広がるように線状伝送部材20が曲がっている部分である。つまり第1シート32及び第2シート34が同じ配置面に配置される。平面的経路曲げ部では、線状伝送部材20が折曲げ跡FTに係る曲げ方向とは異なる方向に曲がる。平面的経路曲げ部では、線状伝送部材20の周方向に沿って折曲げ跡FTが形成された部分とは異なる部分で曲がる。
【0055】
経路曲げ部12では線状伝送部材20が一回のみ曲がっている。つまり1つの線状伝送部材20の1つの中間区間S3に曲げ部が1つのみ設けられる。経路曲げ部12では線状伝送部材20が90度曲がっている。第1シート32から線状伝送部材20が延び出る方向を第1方向とする。第2シート34から線状伝送部材20が延び出る方向を第2方向とする。第1方向と第2方向とが直交している。経路曲げ部12において、線状伝送部材20がこれ以外の角度で曲がっていてもよい。
【0056】
経路曲げ部12において線状伝送部材20が複数回曲がっていてもよい。つまり1つの線状伝送部材20の1つの中間区間S3に曲げ部が複数設けられていてもよい。この場合、1つの線状伝送部材20の1つの中間区間S3におけるすべての曲げ部において線状伝送部材20が幅方向(並列方向)一方側を内向きとして曲がっていてもよい。また1つの線状伝送部材20の1つの中間区間S3において、線状伝送部材20が幅方向(並列方向)一方側を内向きとして曲がる曲げ部と、幅方向(並列方向)他方側を内向きとして曲がる曲げ部とが混在していてもよい。
【0057】
中間区間S3において複数の線状伝送部材20の長さ寸法が異なる。より詳細には、経路曲げ部12において、複数の線状伝送部材20の曲率中心は同じである。このため、中間区間S3において曲率中心に近い線状伝送部材20(内側の線状伝送部材20)の長さ寸法が曲率中心から遠い線状伝送部材20(外側の線状伝送部材20)の長さ寸法よりも短くなる。
【0058】
以上のように構成された配線部材10によると、線状伝送部材20のうち折曲げ跡FTが形成された中間区間S3では、第1シート32及び第2シート34のいずれにも固定されていない。このため、中間区間S3が折曲げ時の目安として活用されることによって、配線部材10が一定位置で折り曲げられやすい。また配線部材10のうち中間区間S3の領域は第1区間S1の領域及び第2区間S2の領域と比べて剛性が低くなりやすい。このため、折曲げ時に中間区間S3の領域に応力が集中しやすくなることによって、配線部材10が一定位置で折り曲げられやすい。
【0059】
また第1シート32と第2シート34とが線状伝送部材20の長手方向に沿って離れて設けられているため、線状伝送部材20が第1シート32及び第2シート34に分けて固定されやすい。また配線部材10が折曲げられる目安となる中間区間S3が作業者によって見つけられやすい。
【0060】
また中間区間S3に経路曲げ部12が設けられているため、中間区間S3が経路曲げ部12としても用いられる。経路曲げ部12が、平面的経路曲げ部であるため、中間区間S3が平面的経路曲げ部としても用いられる。
【0061】
また複数の折曲げ跡FTが1つの方向に並んでいる。これにより、複数の線状伝送部材20が並行する区間において配線部材10が折り曲げられる。
【0062】
また複数の折曲げ跡FTが、複数の線状伝送部材20が並ぶ方向と平行な方向に並んでいる。これにより、複数の線状伝送部材20が長手方向に90度の角度で折り曲げられる。本例では、経路曲げ部12において線状伝送部材20が1回曲がっており、かつ、複数の線状伝送部材20が曲げ部の中央又は中央に近い位置において長手方向と90度の角度で折り曲げられる。これにより、
図3に示すように、配線部材10のうち曲げ部の両隣の部分(第1区間S1の領域のうち中間区間よりの部分と第2区間S2の領域のうち中間区間よりの部分)が重ねられ、配線部材10がコンパクトになり得る。
【0063】
[実施形態2]
実施形態2にかかる配線部材について説明する。
図5は実施形態2にかかる配線部材110を示す概略平面図である。
図6は実施形態2にかかる配線部材110が折り曲げられる様子を示す説明図である。なお、本実施形態の説明において、これまで説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。以下の各実施形態の説明においても同様である。
【0064】
配線部材110において経路曲げ部112の形状が上記配線部材10における経路曲げ部12の形状と異なる。経路曲げ部112では、線状伝送部材20が2回曲がっている。2つの曲げ部のうち一方では、線状伝送部材20が幅方向(並列方向)一方側を内向きとして曲がっている。2つの曲げ部のうち他方では、線状伝送部材20が幅方向(並列方向)他方側を内向きとして曲がっている。経路曲げ部112は、平面的経路曲げ部である点では、経路曲げ部12と同じである。
【0065】
配線部材110において第1方向(第1シート32から線状伝送部材20が延び出る方向)と第2方向(第2シート34から線状伝送部材20が延び出る方向)とが平行である。第1方向及び第2方向が、第1方向及び第2方向に直交する方向にずれている。配線部材110では、第1方向及び第2方向が、幅方向にずれている。ここでは2つの曲げ部の角度が同じであるため、第1方向と第2方向とが平行となっている。この際、経路曲げ部112が平面的経路曲げ部であるため、第1方向及び第2方向が、幅方向にずれている。
【0066】
このような配線部材110によると、例えば、線状伝送部材20が1つの方向に沿って延びる際、
図5に示すように、配線部材110が障害物OBを避けるように配置されることができる。
【0067】
また本例では複数の折曲げ跡FTは複数の線状伝送部材20が並ぶ方向と交差する方向に並んでいる。これにより、
図6に示すように、複数の線状伝送部材20が長手方向と90度未満の角度で延びる折曲げ基準線L周りに折り曲げられる。本例のように、経路曲げ部12において、線状伝送部材20が複数回曲がっている場合、複数の線状伝送部材20が長手方向と90度未満の角度で延びる折曲げ基準線L周りに折り曲げられることによって、複数の線状伝送部材20が長手方向と90度の角度で延びる仮想線周りに折り曲げられる場合と比べて、配線部材110Fがコンパクトになり得る。
【0068】
[実施形態3]
実施形態3にかかる配線部材について説明する。
図7は実施形態3にかかる配線部材210を示す概略平面図である。
図8は実施形態3にかかる配線部材210が折り曲げられる様子を示す説明図である。
【0069】
配線部材210は、中間区間S3に経路曲げ部12、112が設けられていない点で上記配線部材10、110とは異なる。線状伝送部材20のうち中間区間S3における折曲げ跡FTの両側部分が同一直線状に延びる。これにより、線状伝送部材20が直線状に配置される区間において配線部材210が折り曲げられる。
【0070】
配線部材210において、第1シート32と第2シート34とが線状伝送部材20の長手方向に沿って離れて設けられている。このとき第1シート32と第2シート34との間隔は例えば1ミリメートル以上としても良い。例えば作業者が配線部材210を折り畳む際、中間区間S3を認識しやすくなる点で好ましい。また第1シート32と第2シート34との間隔は例えば150ミリメートル以下としても良い。線状伝送部材20を第1シート32及び第2シート34によって保護できる観点で好ましい。
【0071】
第1シート32と第2シート34との間隔として、例えば第1シート32において最も中間区間S3よりの固定箇所FPとその隣の固定箇所FPとの間隔、又は第2シート34において最も中間区間S3よりの固定箇所FPとその隣の固定箇所FPとの間隔が採用されてもよい。
【0072】
配線部材210において複数の折曲げ跡FTが、複数の線状伝送部材20が並ぶ方向と平行な方向に並んでいる。これにより、複数の線状伝送部材20が長手方向に90度の角度で延びる折曲げ基準線L周りに折り曲げられる。本例のように、配線部材210に経路曲げ部が設けられていない場合、複数の線状伝送部材20が長手方向と90度の角度で延びる折曲げ基準線L周りに折り曲げられることによって、
図8に示すように、曲げ部の両側部分が重ねられ、配線部材210Fがコンパクトになり得る。
【0073】
[実施形態4]
実施形態4にかかる配線部材について説明する。
図9は実施形態4にかかる配線部材310を示す概略平面図である。
図10は実施形態4にかかる配線部材310を示す概略側面図である。
【0074】
配線部材310は、中間区間S3に経路曲げ部12、112が設けられていない点で上記配線部材210と同じである。配線部材310は、線状伝送部材20のうち中間区間S3における長手方向に沿った全体にわたって、第1シート32及び第2シート34の少なくとも一方に覆われている点で、上記配線部材210とは異なる。
【0075】
ここでは第1シート32と第2シート34とが線状伝送部材20の長手方向に沿って接している。つまり本例では、線状伝送部材20の長手方向に沿って、第1シート32の端縁と第2シート34の端縁とが接している。第1シート32及び第2シート34は、1つのシートが長手方向に沿った中間部において切断されたように配置されている。
【0076】
このような配線部材310によると、線状伝送部材20が中間区間S3において第1シート32及び第2シート34の少なくとも一方によって保護される。これにより、中間区間S3において線状伝送部材20が傷つきにくくなる。
【0077】
[実施形態5]
実施形態5にかかる配線部材について説明する。
図11は実施形態5にかかる配線部材410を示す概略側面図である。
図12は折り曲げられた配線部材410Fを示す側面図である。
【0078】
配線部材410は、線状伝送部材20のうち中間区間S3における長手方向に沿った全体にわたって、第1シート32及び第2シート34の少なくとも一方に覆われている点で、上記配線部材310と同じである。配線部材410は、線状伝送部材20の長手方向に沿って、第1シート32の一部と第2シート34の一部とが重なっている点で、上記配線部材310とは異なる。
【0079】
この配線部材410が折り畳まれると、
図12に示す折り畳み形態の配線部材410Fとなる。この際、線状伝送部材20の中間区間S3の長さ寸法よりも中間区間S3に位置する第1シート32の長さ寸法及び第2シート34の長さ寸法の和の方が大きい。このため、配線部材410Fにおいても、線状伝送部材20が中間区間S3において第1シート32及び第2シート34の少なくとも一方に覆われた状態となりやすい。
【0080】
このような配線部材410によると、線状伝送部材20が中間区間S3において第1シート32及び第2シート34の少なくとも一方によって保護される。これにより、中間区間S3において線状伝送部材20が傷つきにくくなる。さらに配線部材410によると、折り畳み形態の配線部材410Fにおいても、線状伝送部材20が中間区間S3において第1シート32及び第2シート34の少なくとも一方に覆われる範囲が大きくなる。これにより、折り畳み形態の配線部材410Fにおいても、中間区間S3において線状伝送部材20が傷つきにくくなる。
【0081】
[実施形態6]
実施形態6にかかる配線部材について説明する。
図13は実施形態6にかかる配線部材510を示す概略側面図である。
【0082】
配線部材510は、中間区間S3に経路曲げ部が設けられている点で、上記配線部材10、110と同じである。配線部材510は、経路曲げ部512の形状の点で上記配線部材10、110とは異なる。
【0083】
経路曲げ部512は、立体的経路曲げ部である。立体的経路曲げ部は、第1シート32及び第2シート34が異なる平面に広がるように線状伝送部材20が曲がっている部分である。これにより、中間区間S3が立体的経路曲げ部としても用いられる。
【0084】
配線部材510では、配線部材110と同様に、第1方向(第1シート32から線状伝送部材が延び出る方向)と第2方向(第2シート34から線状伝送部材が延び出る方向)とが平行である。また、第1方向及び第2方向が第1方向及び第2方向に直交する方向にずれている。これにより、例えば、線状伝送部材20が1つの方向に沿って延びる際、配線部材510が障害物OBを避けるように配置されることができる。
【0085】
配線部材510では、第1方向と第2方向とが厚み方向にずれている。これにより、配線部材510は高低差がある部分に配置されることができる。具体的には、上記障害物OBとして例えば配置面における高低差が想定される。すなわち
図13に示す例では、配置対象580が高低差を有する第1配置面582及び第2配置面584を含む。第1配置面582及び第2配置面584は平坦である。配線部材510における第1シート32が第1配置面582に広がるように配置され、第2シート34が第2配置面584に広がるように配置される。そして配線部材510における中間区間S3において第1配置面582と第2配置面584との高低差を越えている。
【0086】
立体的経路曲げ部としては上記以外のものであってもよい。例えば、配置対象が相互に交わる第1配置面及び第2配置面を含む。このとき、第1配置面上に第1シート32が広がると共に、第2配置面上に第2シート34が広がるように、配線部材が配置対象に配置されてもよい。このとき線状伝送部材20が配線部材の厚み方向に1回曲がっていてもよい。また線状伝送部材20がねじれるように複数回曲がっていてもよい。
【0087】
[付記]
折り畳み形態の配線部材10F、110F、210F、410Fのように線状伝送部材20が折り返された配線部材が本開示の配線部材としてとらえられてもよい。線状伝送部材20が折り返された配線部材とは、線状伝送部材20のうち曲げ部の両隣の部分が重なる固定シート30の厚み方向に重なるような配線部材である。つまり配線部材は、線状伝送部材20と、前記線状伝送部材20のうち長手方向に沿った第1区間S1が固定された第1シート32と、前記線状伝送部材20のうち長手方向に沿った第2区間S2が固定された第2シート34と、を備え、前記第1シート32と前記第2シート34とは分離しており、前記線状伝送部材20は、前記第1区間S1と前記第2区間S2との間の中間区間S3において折返されている、配線部材であってもよい。
【0088】
なおこのような配線部材は荷姿形態のものであってもよいし、車両に配設された形態の物であってもよい。このような配線部材によっても、線状伝送部材20は中間区間S3において、第1シート32及び第2シート34のいずれにも固定されていない。このため、中間区間S3が折曲げ時の目安として活用されることによって、配線部材10が一定位置で折曲げられやすい。また中間区間S3は第1区間S1及び第2区間S2と比べて剛性が低くなりやすい。このため、折曲げ時に中間区間S3に応力が集中しやすくなることによって、配線部材が一定位置で折り曲げられやすい。
【0089】
このほか、経路曲げ部12、112、512が設けられた配線部材10、110、510は、配線部材10、110、510と配置対象80、580とを備える配線部材の配置構造としてとらえられてもよい。
【0090】
[変形例]
各配線部材においてカバーシートが設けられていてもよい。カバーシートは、固定シート30とは反対側から線状伝送部材20を覆うものであってもよい。カバーシートは固定シート30のうち線状伝送部材20が固定される面とは反対側の面に設けられるものであってもよい。カバーシートは固定シート30に固定されると良い。カバーシートと固定シート30とは融着又は接着により固定されていると良い。このときカバーシートは線状伝送部材に融着又は接着されないと良い。カバーシートは第1シート32に固定される第1カバーシートと第2シート34に固定される第2カバーシートとを含むものであってもよい。1つのカバーシートが第1シート32及び第2シート34に跨って配置されていてもよい。
【0091】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0092】
10、110、210、310、410、510 配線部材
10F、110F、210F、410F 配線部材(折り畳み形態)
12、112、512 経路曲げ部
20 線状伝送部材
30 固定シート
32 第1シート
34 第2シート
80、580 配置対象
582 第1配置面
584 第2配置面
C コネクタ
FP 固定箇所
FT 折曲げ跡
L 折曲げ基準線
OB 障害物
S1 第1区間
S2 第2区間
S3 中間区間