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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】光学的情報読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
G06K7/10 416
G06K7/10 376
G06K7/10 420
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019229893
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2020198076
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2018242074
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019102836
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 賢了
(72)【発明者】
【氏名】鴻巣 光司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 謙太朗
【審査官】土谷 慎吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-033787(JP,A)
【文献】特開平07-282175(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0278569(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00- 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報コードに向けて照明光を出射する照明部と、
前記照明部の出射側に配置される第1偏光部と、
前記情報コードからの反射光を受光する受光部と、
前記受光部の受光側に配置される第2偏光部と、
前記受光部による受光結果に応じて前記情報コードを読取る読取部と、
を備え、
前記第1偏光部は、前記照明光が所定の偏光方向に偏光されるように構成され、
前記第2偏光部は、前記反射光が前記所定の偏光方向と異なる方向に偏光される状態と前記反射光が偏光されずに通過する状態とのいずれかに切り替え可能な切替偏光部として構成されることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記第1偏光部は、前記照明光を拡散する拡散部と、前記拡散部にて拡散された光のうち前記所定の偏光方向の光を透過し残りを前記拡散部に向けて反射する反射偏光部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記受光部は、受光センサと、前記受光センサの受光面に像を結像させるための結像レンズとを備え、
前記結像レンズは、前記受光センサに結像される入射光線の最大角が前記受光センサに結像される射出光線の最大角に対して大きくなるように形成され、
前記第2偏光部は、前記結像レンズと前記受光センサとの間に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
情報コードに向けて照明光を出射する照明部と、
前記照明部の出射側に配置される第1偏光部と、
前記情報コードからの反射光を受光する受光部と、
前記受光部の受光側に配置される第2偏光部と、
前記受光部による受光結果に応じて前記情報コードを読取る読取部と、
を備え、
前記第1偏光部は、前記照明光が第1の偏光方向に偏光される状態と前記照明光が第2の偏光方向に偏光される状態とのいずれかに切り替え可能な切替偏光部として構成され、
前記第2偏光部は、前記反射光が前記第2の偏光方向に偏光されるように構成されることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記切替偏光部は、液晶及び偏光板により構成されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
前記液晶は、液晶層と、前記液晶層を介して対向しラビング方向が互いに90°異なる一対の配向膜とを備え、
前記配向膜は、ラビング方向が前記受光部における受光面の外縁の一辺に対して傾くように配置されることを特徴とする請求項5に記載の光学的情報読取装置。
【請求項7】
前記液晶は、スペーサが含有される液晶層を備え、
前記液晶層は、前記受光部の受光範囲となる領域での前記スペーサの含有率が、前記受光範囲と異なる範囲となる領域での前記スペーサの含有率よりも低くなるように形成されることを特徴とする請求項5又は6に記載の光学的情報読取装置。
【請求項8】
前記切替偏光部の切り替えを制御する制御部と、
前記切替偏光部での切り替えの完了を検知する検知部と、
を備え、
前記受光部は、前記検知部による検知結果に応じて、前記切替偏光部での切り替えの完了後に、露光を開始することを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項9】
前記受光部から取り込まれた撮像画像が順次記憶される記憶部を備え、
前記読取部は、前記記憶部に前記撮像画像が記憶されるごとに、当該撮像画像に対して前記情報コードを解読して読取るための解読処理を行うことを特徴とする請求項8に記載の光学的情報読取装置。
【請求項10】
前記制御部は、予め決められた切替頻度に応じて前記切替偏光部での切り替えを行うことを特徴とする請求項8又は9に記載の光学的情報読取装置。
【請求項11】
前記切替偏光部により切り替えられる一方の状態にて前記受光部から取り込まれた撮像画像に対する前記読取部の解読結果と、前記切替偏光部により切り替えられる他方の状態にて前記受光部から取り込まれた撮像画像に対する前記読取部の解読結果との比較結果に応じて、前記切替偏光部での切替頻度を設定する設定部を備え、
前記制御部は、前記設定部により設定された前記切替頻度に応じて前記切替偏光部での切り替えを行うことを特徴とする請求項8又は9に記載の光学的情報読取装置。
【請求項12】
前記設定部は、前記切替偏光部により切り替えられる一方の状態にて前記受光部に関する露光条件を変化させるごとに得られる前記読取部の解読結果と、前記切替偏光部により切り替えられる他方の状態にて前記露光条件を変化させるごとに得られる前記読取部の解読結果との比較結果に応じて、前記切替偏光部での切替頻度と前記露光条件とを設定することを特徴とする請求項11に記載の光学的情報読取装置。
【請求項13】
前記照明部は、前記照明光を出射する光源と、前記光源からの前記照明光を集光する集光素子とを備え、
前記第1偏光部は、前記光源と前記集光素子との間に配置されることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、照明部から照明光が照射された状態で情報コードからの反射光を受光部にて受光することで当該情報コードを読み取る際、情報コードが表示された表示面での鏡面反射の影響を抑制するために、偏光フィルタが採用されている。すなわち、鏡面反射による光が反射時における偏光を保持することから、照明部の出射側に位置する偏光フィルタの偏光方向と受光部の受光側に位置する偏光フィルタの偏光方向とを90°異ならせることで、鏡面反射の影響を抑制することができる。その一方で、鋳物等の表面には微細な凹凸が存在することから全体が鏡面反射を起こすため、このような凹凸面に形成される情報コード(例えば、鋳肌にダイレクトマーキングによって形成される情報コード)では、鏡面反射を起こさないコード部分とのコントラストが生まれることで、デコード可能な画像が得られます。そうすると、上述のような凹凸面に形成される情報コードを読み取る際に、上述のように構成される2つの偏光フィルタを介していると、コード部分とのコントラストが失われてしまい、デコード可能な画像が得られないという問題がある。
【0003】
このような問題に関して、情報コードの読み取りに適した照明光の照射状態を実現するための技術として、例えば、下記特許文献1に開示される光学的情報読取装置が知られている。この光学的情報読取装置では、4つの発光素子の出射方向に窓部が配置されており、この窓部のうち、2つの発光素子の光が射出する部分には偏光フィルタが設けられ、残りの2つの発光素子の光が射出する部分には偏光フィルタが設けられないようになっている。また、窓部のうち、撮像素子の光学系に光が入射する部分には、上述した偏光フィルタに対して偏光方向が90°異なる偏光フィルタが設けられている。このような構成により、鏡面反射の影響を抑制すべき情報コード等を読み取る場合には、出射方向に偏光フィルタが設けられた両発光素子を発光させ、凹凸面に形成された情報コード等を読み取る場合には、出射方向に偏光フィルタが設けられていない両発光素子を発光させることで、その情報コードの読み取りに適した照射状態に切り替えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-033787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1のような構成では、偏光フィルタが設けられる照明部(発光素子)と偏光フィルタが設けられない照明部との2種類の照明部を用意する必要がある。このため、情報コードを読み取る際には、2種類の照明部のいずれか一方しか利用できないので、情報コードの読み取りに必要な照明光の光量(照度)を確保するために、各照明部が大型化することとなる。そうすると、光学系の小型化、すなわち、光学的情報読取装置の小型化が困難になってしまうという問題が生じてしまう。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、複数種類の照明部を採用することなく、情報コードの読み取りに適した偏光の状態に切り替え可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の光学的情報読取装置(10)は、
情報コード(C)に向けて照明光を出射する照明部(31,31a)と、
前記照明部の出射側に配置される第1偏光部(41,41a)と、
前記情報コードからの反射光を受光する受光部(32)と、
前記受光部の受光側に配置される第2偏光部(42)と、
前記受光部による受光結果に応じて前記情報コードを読取る読取部(21)と、
を備え、
前記第1偏光部は、前記照明光が所定の偏光方向に偏光されるように構成され、
前記第2偏光部は、前記反射光が前記所定の偏光方向と異なる方向に偏光される状態と前記反射光が偏光されずに通過する状態とのいずれかに切り替え可能な切替偏光部として構成されることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の光学的情報読取装置(10)は、
情報コード(C)に向けて照明光を出射する照明部(31,31a)と、
前記照明部の出射側に配置される第1偏光部(41,41a)と、
前記情報コードからの反射光を受光する受光部(32)と、
前記受光部の受光側に配置される第2偏光部(42)と、
前記受光部による受光結果に応じて前記情報コードを読取る読取部(21)と、
を備え、
前記第1偏光部は、前記照明光が第1の偏光方向に偏光される状態と前記照明光が第2の偏光方向に偏光される状態とのいずれかに切り替え可能な切替偏光部として構成され、
前記第2偏光部は、前記反射光が前記第2の偏光方向に偏光されるように構成されることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、照明部の出射側に配置される第1偏光部は、照明光が所定の偏光方向に偏光されるように構成される。そして、受光部の受光側に配置される第2偏光部は、情報コードからの反射光が上記所定の偏光方向と異なる方向に偏光される状態(以下、偏光状態ともいう)と反射光が偏光されずに通過する状態(以下、通過状態ともいう)とのいずれかに切り替え可能な切替偏光部として構成される。
【0010】
これにより、切替偏光部を偏光状態に切り替えることで、第1偏光部の偏光方向と第2偏光部の偏光方向とが異なる方向となることから、情報コードからの反射光を受光する際に、照明部からの照明光に起因する鏡面反射の影響を抑制することできる。一方、切替偏光部を通過状態に切り替えることで、第2偏光部にて偏光されなくなることから、凹凸面に形成された情報コード等を読み取る場合でも、コード部分とのコントラストが失われることもない。したがって、複数種類の照明部を採用することなく、情報コードの読み取りに適した偏光の状態に切り替えることができる。
【0011】
請求項2の発明では、第1偏光部は、照明光を拡散する拡散部と、拡散部にて拡散された光のうち上記所定の偏光方向の光を透過し残りを拡散部に向けて反射する反射偏光部とを備えるように構成される。これにより、反射偏光部にて反射された光が拡散部にて再度拡散された際に、上記所定の偏光方向となった一部の光が反射偏光部を透過するため、第1偏光部での偏光による光量の低下が抑制されるので、情報コードの読み取りに必要な照明光の光量を容易に確保することができる。
【0012】
請求項3の発明では、受光部は、受光センサと、受光センサの受光面に像を結像させるための結像レンズとを備える。そして、結像レンズは、受光センサに結像される入射光線の最大角が受光センサに結像される射出光線の最大角に対して大きくなるように形成され、第2偏光部は、結像レンズと受光センサとの間に配置される。
【0013】
撮像範囲を広げるために、受光センサに結像される入射光線の最大角が受光センサに結像される射出光線の最大角に対して大きくなる結像レンズ、すなわち、広角レンズを採用することができる。この場合、結像レンズの入射側に切替偏光部として機能する第2偏光部が配置されていると、切替偏光部に入射する光線の角度が大きくなるため、例えば、切替偏光部として液晶等を採用する場合には、撮像範囲における周辺部分の鏡面反射カット効果が弱くなってしまう。そこで、第2偏光部(切替偏光部)を結像レンズ(広角レンズ)と受光センサとの間に配置することで、第2偏光部(切替偏光部)が結像レンズの入射側に配置される場合と比較して、切替偏光部に入射する光線の角度が小さくなるので、画角を広くするための広角レンズを結像レンズとして採用する場合であっても、撮像範囲全体で鏡面反射カット効果を得ることができる。
【0014】
請求項4の発明では、照明部の出射側に配置される第1偏光部は、照明光が第1の偏光方向に偏光される状態(以下、第1偏光状態ともいう)と照明光が第2の偏光方向に偏光される状態(以下、第2偏光状態ともいう)とのいずれかに切り替え可能な切替偏光部として構成される。そして、受光部の受光側に配置される第2偏光部は、情報コードからの反射光が上記第2の偏光方向に偏光されるように構成される。
【0015】
これにより、切替偏光部を第1偏光状態に切り替えることで、第1偏光部の偏光方向と第2偏光部の偏光方向とが異なる方向となることから、情報コードからの反射光を受光する際に、照明部からの照明光に起因する鏡面反射の影響を抑制することできる。一方、切替偏光部を第2偏光状態に切り替えることで、第1偏光部の偏光方向と第2偏光部の偏光方向とが同じ方向となることから、既に偏光されている反射光が第2偏光部にて偏光されなくなり、凹凸面に形成された情報コード等を読み取る場合でも、コード部分とのコントラストが失われることもない。したがって、複数種類の照明部を採用することなく、情報コードの読み取りに適した偏光の状態に切り替えることができる。
【0016】
請求項5の発明では、切替偏光部は、液晶及び偏光板により構成される。液晶は、入射する光を、偏光方向が例えば90°変わるように出射する状態と、偏光方向が変わることなくそのまま出射する状態とに切り替える機能を有している。このため、通常のTN型液晶から1枚の偏光板を除くように構成される液晶及び偏光板の組み合わせによって、切替偏光部として偏光方向を切り替え可能な構成を安価に実現することができる。
【0017】
請求項6の発明では、液晶は、液晶層と、液晶層を介して対向しラビング方向が互いに90°異なる一対の配向膜とを備え、配向膜は、ラビング方向が受光部における受光面の外縁の一辺に対して傾くように形成される。
【0018】
通常、矩形状に形成される配向膜は、そのラビング方向が当該配向膜の外縁の一辺に対して平行(直交)となるように形成されており、このような配向膜を2枚利用して偏光された光を受光する際、ラビング方向に対して45°程度傾いた方向での端部のコントラストが低くなることが知られている。このため、上記配向膜を有する液晶を、受光面が矩形状に形成される受光部に対して、配向膜の外縁と受光面の外縁とが平行となるように配置すると、矩形状となる受光範囲のうち上記ラビング方向に対して45°程度傾いた方向となる隅部近傍がコントラストの低い範囲となり、読取成功率の低下を招く可能性がある。
【0019】
そこで、ラビング方向が受光部における受光面の外縁の一辺に対して傾くように配向膜を配置することで、コントラストが低くなる範囲を上記45°程度傾いた方向から異なる方向に変えることができる。このため、コントラストが低くなる範囲が矩形状の受光範囲から外れやすくなり、上記コントラストの低下に起因する読取成功率の低下を抑制することができる。
【0020】
請求項7の発明では、液晶は、スペーサが含有される液晶層を備え、この液晶層は、受光部の受光範囲となる領域でのスペーサの含有率が、受光範囲と異なる範囲となる領域でのスペーサの含有率よりも低くなるように形成される。これにより、光軸上での液晶と受光部との距離が近くなるように配置される場合でも、スペーサが撮像され難くなり、液晶層内のスペーサに起因する撮像画像の質の低下を抑制することができる。
【0021】
請求項8の発明では、切替偏光部の切り替えを制御する制御部と、切替偏光部での切り替えの完了を検知する検知部と、を備え、受光部は、検知部による検知結果に応じて、切替偏光部での切り替えの完了後に、露光を開始する。これにより、確実に切替偏光部での切り替えが完了した後に受光部による露光が開始されるため、切替偏光部での切り替え中の画像が撮像されることもないので、読み取りに適した画像を撮像することができる。
【0022】
請求項9の発明では、受光部から取り込まれた撮像画像が順次記憶される記憶部を備え、読取部は、記憶部に撮像画像が記憶されるごとに、当該撮像画像に対して情報コードを解読して読取るための解読処理を行う。これにより、切替偏光部での切り替え中であっても、既に撮像された撮像画像に対して解読処理を行うことができ、切替偏光部での切り替えの完了後に解読処理を開始する場合と比較して、処理効率を向上させることができる。
【0023】
請求項10の発明では、制御部は、予め決められた切替頻度に応じて切替偏光部での切り替えを行うため、鏡面反射の影響を抑制すべき情報コード等や凹凸面に形成された情報コード等が読取対象として混在するような場合でも、情報コードの読み取りを円滑に行うことができる。
【0024】
請求項11の発明では、切替偏光部により切り替えられる一方の状態(偏光状態,第1偏光状態)にて受光部から取り込まれた撮像画像に対する読取部の解読結果と、切替偏光部により切り替えられる他方の状態(通過状態,第2偏光状態)にて受光部から取り込まれた撮像画像に対する読取部の解読結果との比較結果に応じて、切替偏光部での切替頻度が設定部により設定され、この設定された切替頻度に応じて切替偏光部での切り替えが制御部により行われる。これにより、鏡面反射の影響を抑制すべき情報コード等や凹凸面に形成された情報コード等が読取対象として混在するような場合でも、その混在状況に応じた切替頻度を設定することができる。このため、情報コードの読み取りが成功しやすくなり、読取処理に関する時間を短縮することができる。
【0025】
請求項12の発明では、切替偏光部により切り替えられる一方の状態(偏光状態,第1偏光状態)にて露光条件を変化させるごとに得られる読取部の解読結果と、切替偏光部により切り替えられる他方の状態(通過状態,第2偏光状態)にて露光条件を変化させるごとに得られる読取部の解読結果との比較結果に応じて、切替偏光部での切替頻度と露光条件とが設定部により設定される。これにより、露光条件をも加味して切替頻度を設定できるので、情報コードの読み取りがさらに成功しやすくなり、読取処理に関する時間をより一層短縮することができる。
【0026】
請求項13の発明では、照明部は、照明光を出射する光源と、光源からの照明光を集光する集光素子とを備え、第1偏光部は、光源と集光素子との間に配置される。光源から遠ざかるほど照明光が広がるため、集光素子の出射側に第1偏光部が配置される場合と比較して、照明光が第1偏光部に入射する面積、すなわち、第1偏光部にて照明光を偏光すべき面積が小さくなり、第1偏光部の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態に係る光学的情報読取装置の構成を概略的に例示するブロック図である。
図2図1の光学系の構成を説明する説明図である。
図3図2の第2偏光部の概略構成を示す平面図である。
図4図3の第2偏光部のX-X断面を概略的に示す断面概略図である。
図5】第3実施形態に係る光学的情報読取装置に採用される第2偏光部を説明する説明図である。
図6図5に対してラビング方向が外縁の一辺に対して平行(直交)となる従来の配向膜が採用された偏光部を説明する説明図である。
図7図5の液晶が採用された第2偏光部を介した受光範囲を説明する説明図である。
図8図6の液晶が採用された偏光部を介した受光範囲を説明する説明図である。
図9】第4実施形態において制御部にてなされる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
図10】偏光状態にて1つの撮像画像が取り込まれた後に通過状態にて1つの撮像画像が取り込まれる処理が繰り返されるように切替頻度が設定された際の読取処理の流れを説明するタイミングチャートである。
図11】第5実施形態において制御部にてなされる切替頻度等設定処理の流れを例示するフローチャートである。
図12図12(A)は、各切替状態及び各露光条件ごとの読取成功率を示す説明図であり、図12(B)は、図12(A)から求められる切替頻度を示す説明図であり、図12(C)は、図12(B)等に基づいて設定される読取条件テーブルを説明する説明図である。
図13図13(A)は、図12(A)と異なる条件として、各切替状態及び各露光条件ごとの読取成功率を示す説明図であり、図13(B)は、図13(A)から求められる切替頻度を示す説明図であり、図13(C)は、図13(B)等に基づいて設定される読取条件テーブルを説明する説明図である。
図14】偏光状態にて3つの撮像画像が取り込まれた後に通過状態にて2つの撮像画像が取り込まれる処理が繰り返されるように切替頻度が設定された際の読取処理の流れを説明するタイミングチャートである。
図15】第6実施形態に係る光学的情報読取装置に採用される第1偏光部を説明する説明図である。
図16】第7実施形態に係る光学的情報読取装置に採用される照明部と第1偏光部との配置関係を説明する説明図である。
図17】第8実施形態に係る光学的情報読取装置の外観を示す説明図であり、図17(A)はケースの第1面から見た状態を示し、図17(B)はケースの第2面から見た状態を示す。
図18図17の光学的情報読取装置が搬送ライン上に設置された状態を説明する説明図である。
図19】第9実施形態に係る光学的情報読取装置の受光光学系の構成を概略的に例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1実施形態]
以下、本発明を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す光学的情報読取装置10は、バーコードやQRコード(登録商標)等の情報コードや文字情報等の光学的情報を読み取る読取装置として構成されており、図示しないケースによって外郭が構成され、このケース内に各種電子部品が収容された構成をなしている。
【0029】
光学的情報読取装置10のケース内には、光学的情報読取装置10全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、記憶部22とともに情報処理装置を構成している。制御部21は、後述する光学系30の受光センサ32によって撮像された情報コードの撮像画像を利用して行う読取処理により、情報コードに記録されたデータを所定の解読方法で解読するように構成されている。記憶部22は、例えば半導体メモリであって、読取処理等を実行するための所定のプログラム等が制御部21により実行可能に予め格納されている。なお、制御部21は、受光センサ32による受光結果に応じて情報コードを読取る「読取部」の一例に相当し得る。
【0030】
また、光学的情報読取装置10は、操作部23、表示部24、発光部25、通信インタフェース26等を備えている。操作部23は、ケースの外面等に設けられる1または複数のキーを備えており、使用者のキー操作に応じて制御部21に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部21は、操作部23から操作信号を受けたとき、その操作信号に応じた動作を行うように構成されている。表示部24は、液晶等から構成されており、制御部21により制御されて、情報コードの読み取り結果等を画面表示するように構成されている。発光部25は、例えばLEDであって、制御部21からの信号に応じて点灯等するように構成されている。通信インタフェース26は、上位機器などの外部機器との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。
【0031】
また、光学的情報読取装置10は、制御部21により制御されて、情報コード等を光学的に読み取るための光学系30を備えており、この光学系30は、図2に示すように、投光光学系30aと、受光光学系30bとに分かれている。投光光学系30aは、情報コードに向けて照明光を出射する照明部31と、照明部31の出射側に配置される第1偏光部41とを備えている。照明部31は、LED等の光源や照明レンズ等を有するように構成され、ケースに形成される読取口(図示略)を介して受光光学系30bによる撮像範囲に対して照明光を照射するように回路基板20aに実装されている。
【0032】
第1偏光部41は、いわゆる偏光板であって、照明部31から入射する照明光が、所定の偏光方向に常時偏光された状態で、読取口を介して撮像範囲に向けて照射されるように構成されている。
【0033】
受光光学系30bは、受光センサ32、結像レンズ33、第2偏光部42などによって構成されている。受光センサ32は、例えば、C-MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を二次元に配列したエリアセンサとして構成されるものであり、矩形状の受光領域として受光面32aを有するように構成されている。この受光センサ32は、結像レンズ33を介して入射する光を受光面32aにて受光可能に回路基板20bに実装されている。なお、受光センサ32は、「受光部」の一例に相当し得る。
【0034】
結像レンズ33は、読取口を介してケース内部に入射する光を集光して受光センサ32の受光面32aに像を結像可能な結像光学系として機能するものであり、回路基板20bに組み付けられたホルダ34に固定されることで受光センサ32等に対する位置決めがなされている。本実施形態では、照明部31から第1偏光部41を介して照射された照明光が情報コードCやこの情報コードCが付された物品等Rにて反射するようになっており(図1参照)、この反射光を第2偏光部42を介した状態で結像レンズ33で集光し、受光センサ32の受光面32aにコード像を結像させている。
【0035】
第2偏光部42は、図2に示すように、結像レンズ33の入射側(受光センサ32の受光側)に配置されている。この第2偏光部42は、読取口を介した情報コードからの反射光が第1偏光部41の偏光方向と異なる方向に偏光される偏光状態と、反射光が偏光されずに通過する通過状態とのいずれかに切り替え可能に構成されている。なお、本実施形態では、第2偏光部42は、「切替偏光部」の一例に相当し得る。
【0036】
具体的には、第2偏光部42は、図3及び図4に示すように、矩形状の液晶50及び偏光板60を備えるように構成されている。液晶50は、スペーサ54が含有される液晶層51と、シール材55によってシールされた液晶層51を介して対向する一対の矩形状の配向膜52a,52bと、両面から保護するためのガラス基板53a,53bとを積層するようにして構成されている。
【0037】
液晶層51は、受光センサ32の撮像範囲(受光範囲)となる中央領域(図3の符号S参照)でのスペーサ54の含有率が、撮像範囲と異なる範囲となる周囲領域でのスペーサ54の含有率よりも低くなるように形成される。例えば、スペーサ54の散布時に上記中央領域に対してマスクすることで、スペーサ54の含有率が低くなる領域を形成することができる。また、一対の配向膜52a,52bは、ラビング方向が互いに90°異なるように配置されている。
【0038】
液晶50は、制御部21によって電圧の印加状態が制御されるように構成されている。このため、液晶50は、制御部21による制御に応じて、電圧が印加されないことから入射光を偏光方向が90°変わるように出射する状態と、電圧が印加されることで入射光を偏光方向が変わることなくそのまま出射する状態とに切り替えるように機能する。
【0039】
偏光板60は、液晶50を介して入射する入射光が、第1偏光部41の偏光方向に対して異なる方向に常時偏光された状態で、結像レンズ33に向けて出射するように構成されている。
【0040】
すなわち、第2偏光部42は、TN型液晶から入射側の1枚の偏光板を除くように、液晶50及び偏光板60の組み合わせによって構成される。
【0041】
このように構成される第2偏光部42では、液晶50に電圧が印加される場合には、情報コード等からの反射光が液晶50からその偏光方向を変えることなく偏光板60に入射する。この場合には、液晶50から出射した反射光の偏光方向と偏光板60による偏光方向とが90°異なる方向になるため、反射光が第1偏光部41の偏光方向と異なる方向に偏光される偏光状態となる。その一方で、液晶50に電圧が印加されない場合には、情報コード等からの反射光が液晶50からその偏光方向を90°変えるようにして偏光板60に入射する。この場合には、液晶50から出射した反射光の偏光方向と偏光板60による偏光方向とが同じ方向になるため、既に偏光されている反射光が偏光されずに通過する通過状態となる。すなわち、第2偏光部42は、制御部21による液晶50の電圧制御に応じて、上記反射光が第1偏光部41の偏光方向と異なる方向に偏光される偏光状態と、上記反射光が偏光されずに通過する通過状態とのいずれかに切り替え可能に切替偏光部として構成される。このため、制御部21は、第2偏光部42における偏光状態及び通過状態の切り替えを制御するように機能する。
【0042】
このように構成される光学的情報読取装置10では、情報コードを読み取る際に制御部21にてなされる読取処理において、鏡面反射の影響を抑制すべき情報コードを読み取る際には、第2偏光部42を偏光状態に切り替え、凹凸面に形成された情報コード等を読み取る際には、第2偏光部42を通過状態に切り替えることができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、照明部31の出射側に配置される第1偏光部41は、照明光が所定の偏光方向に偏光されるように構成される。そして、受光センサ32の受光側に配置される第2偏光部42は、情報コードからの反射光が上記所定の偏光方向と異なる方向に偏光される偏光状態と既に偏光された反射光が偏光されずに通過する通過状態とのいずれかに切り替え可能な切替偏光部として構成される。
【0044】
これにより、第2偏光部42を偏光状態に切り替えることで、第1偏光部41の偏光方向と第2偏光部42の偏光方向とが異なる方向となることから、情報コードからの反射光を受光する際に、照明部31からの照明光に起因する鏡面反射の影響を抑制することできる。一方、第2偏光部42を通過状態に切り替えることで、既に偏光された反射光が第2偏光部42にて偏光されなくなることから、凹凸面に形成された情報コード等を読み取る場合でも、コード部分とのコントラストが失われることもない。したがって、複数種類の照明部を採用することなく、情報コードの読み取りに適した偏光の状態に切り替えることができる。
【0045】
そして、第2偏光部42を切替偏光部として構成することにより、以下の様な効果を奏する。
照明部31の出射側に配置される第1偏光部41を切替偏光部として構成すると、照明部31の数を増やすほど第1偏光部41の数も増え、部品点数が増加する可能性がある。このため、受光センサ32の受光側に配置される第2偏光部42において偏光状態と通過状態との切り替えを可能とすることで、光量確保等のために照明部31の数を増やす場合であっても、第2偏光部42の数を増やす必要もなく、部品点数の増加を抑制することができる。
【0046】
特に、第2偏光部42は、液晶50及び偏光板60により切替偏光部として構成される。液晶50は、入射する光を、偏光方向が90°変わるように出射する状態と、偏光方向が変わることなくそのまま出射する状態とに切り替える機能を有しているため、通常のTN型液晶から1枚の偏光板を除くように構成される液晶50及び偏光板60の組み合わせによって、偏光状態及び通過状態の切り替えを実施可能な構成を安価に実現することができる。
【0047】
さらに、スペーサ54が含有される液晶層51は、受光センサ32の撮像範囲となる中央領域Sでのスペーサ54の含有率が、受光範囲と異なる範囲となる周囲領域でのスペーサ54の含有率よりも低くなるように形成される。これにより、光軸上での液晶50と受光センサ32との距離が近くなるように配置される場合でも、スペーサ54が撮像され難くなり、液晶層51内のスペーサ54に起因する撮像画像の質の低下を抑制することができる。
【0048】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、第1偏光部41が切替偏光部として構成され、第2偏光部42が偏光板として構成される点が、上記第1実施形態と主に異なる。
【0049】
具体的には、照明部31の出射側に配置される第1偏光部41は、照明光が第1の偏光方向に偏光される第1偏光状態と照明光が第2の偏光方向(例えば、第1の偏光方向に対して90°異なる方向)に偏光される第2偏光状態とのいずれかに切り替え可能な切替偏光部として構成される。このため、本実施形態では、第1偏光部41は、液晶50と偏光板60とを備え、偏光板60が入射側となるように構成される。そして、受光センサ32の受光側に配置される第2偏光部42は、偏光板60と偏光方向が90°異なる偏光板として、情報コードからの反射光が上記第2の偏光方向に常時偏光されるように構成される。
【0050】
このようにしても、第1偏光部41を第1偏光状態に切り替えることで、第1偏光部41の偏光方向と第2偏光部42の偏光方向とが異なる方向となることから、情報コードからの反射光を受光する際に、照明部31からの照明光に起因する鏡面反射の影響を抑制することできる。一方、第1偏光部41を第2偏光状態に切り替えることで、第1偏光部41の偏光方向と第2偏光部42の偏光方向とが同じ方向となることから、既に偏光されている反射光が第2偏光部42にて偏光されなくなり、凹凸面に形成された情報コード等を読み取る場合でも、コード部分とのコントラストが失われることもない。したがって、複数種類の照明部を採用することなく、情報コードの読み取りに適した偏光の状態に切り替えることができる。
【0051】
そして、第1偏光部41を切替偏光部として構成することにより、以下の様な効果を奏する。
受光センサ32の受光側に配置される第2偏光部42を切替偏光部として構成すると、受光センサ32を含めた結像系の性能(例えば、センサ画素数や結像レンズの分解能等)によっては、光軸上での第2偏光部42と受光センサ32との距離が近いために、第2偏光部42の欠陥(例えば、ゴミの付着、ガラスのキズ、欠けなど)等に起因して、撮像画像の質が低下する場合がある。このため、照明部31の出射側に配置される第1偏光部41を第1偏光状態及び第2偏光状態を切り替え可能な切替偏光部として構成することで、光軸上での第1偏光部41と受光センサ32との距離を離すことができ、第1偏光部41の欠陥等に起因する撮像画像の質の低下を抑制することができる。
【0052】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る光学的情報読取装置について、図5図8を参照して説明する。
本第3実施形態では、一対の配向膜のラビング方向が上記第1実施形態における一対の配向膜のラビング方向と異なるように液晶が構成される点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
本実施形態では、第2偏光部42において、上述した液晶50に代えて、液晶50aが採用されている。この液晶50aに採用される一対の配向膜52c,52dは、図5に示すように、そのラビング方向が、当該配向膜52c,52dの外縁の一辺に対して傾くように形成されている。なお、図5及び図6では、説明の便宜上、一部の液晶分子を誇張して図示するとともに、簡素化して図示する配向膜や偏光板、受光センサを除き、一部の部品の図示を省略している。
【0054】
このように、ラビング方向を配向膜の外縁の一辺に対して傾けることによる効果について、図面を参照して説明する。
通常、矩形状に形成される配向膜は、図6に示す配向膜52a,52bのように、そのラビング方向が当該配向膜の外縁の一辺に対して平行(直交)となるように形成されている。このような配向膜52a,52bを2枚利用して偏光された光を受光する際、ラビング方向に対して45°程度傾いた方向での端部のコントラストが低くなることが知られている。
【0055】
このため、図6に示すような配向方向の配向膜52a,52bを有する液晶50を、受光面32aが矩形状に形成される受光センサ32に対して、配向膜52a,52bの外縁と受光面32aの外縁とが平行となるように配置すると、受光センサ32では、図8に示すような受光範囲となる。すなわち、矩形状となる受光範囲(図8の符号L参照)のうち上記ラビング方向に対して45°程度傾いた方向となる隅部近傍がコントラストの低い範囲(図8の符号N参照)となり、読取成功率の低下を招く可能性がある。
【0056】
そこで、本実施形態では、図5に示す一対の配向膜52c,52dのように、ラビング方向が当該配向膜52c,52dの外縁の一辺に対して傾くように形成される。本実施形態では、配向膜52c,52dは、そのラビング方向が外縁の一辺に対して、例えば45°程度傾くように形成されている。すなわち、配向膜52c,52dに沿う平面と受光面32aとが平行であって、液晶50aを受光センサ32に対して配向膜52c,52dの外縁と受光面32aの外縁とが平行となるように配置することで、ラビング方向が受光センサ32における受光面32aの外縁の一辺に対して傾くように配向膜52c,52dが配置される。
【0057】
これにより、コントラストが低くなる範囲Nを上記45°程度傾いた方向から異なる方向に変えることができる。このため、コントラストが低くなる範囲Nが矩形状の受光範囲Lから外れやすくなり、上記コントラストの低下に起因する読取成功率の低下を抑制することができる。
【0058】
例えば、上述したように、ラビング方向が外縁の一辺に対して、45°程度傾くように形成されていると、図7に示す受光範囲Lのように、コントラストが低くなる範囲Nを当該受光範囲Lから外すことができる。なお、配向膜52c,52dは、そのラビング方向が外縁の一辺に対して、45°程度傾くように形成されることに限らず、ラビング方向が受光センサ32における受光面32aの外縁の一辺に対して傾くように配置される構成であれば、例えば、30°程度傾くように形成されてもよいし、60°程度傾くように形成されてもよい。
【0059】
なお、一対の配向膜のラビング方向が当該配向膜の外縁の一辺に対して傾くように形成される本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0060】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第4実施形態では、偏光状態と通過状態との切り替え(切替状態)を制御しつつ情報コードを撮像する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0061】
本実施形態では、鏡面反射の影響を抑制すべき情報コード等や凹凸面に形成された情報コード等が読取対象として混在していることを前提に、情報コードを光学的に読み取る際に制御部21にてなされる読取処理では、予め決められた切替頻度に応じて第2偏光部42での切り替えを行う。
【0062】
以下、本実施形態において、制御部21にてなされる読取処理について、図9に示すフローチャートを参照して詳述する。
操作部23に対する所定の操作に応じて制御部21により読取処理が開始されると、図9のステップS101に示す初期設定処理がなされる。この処理では、第2偏光部42での切替頻度や露光条件等が、予め決められた読取条件テーブルに基づいて設定される。ここで、本実施形態では、切替頻度は、偏光状態にて撮像画像を取り込む回数と通過状態にて撮像画像を取り込む回数との比に応じて設定される。以下の説明では、読取処理開始時には、液晶50に電圧が印加されることで第2偏光部42が偏光状態になっており、偏光状態にて2つの撮像画像が取り込まれた後に通過状態にて1つの撮像画像が取り込まれる処理が繰り返されるように、切替頻度が予め決められる場合について詳述する。また、受光センサ32等に関する露光条件は、偏光状態と通過状態とで異なり、それぞれに適した条件に予め設定されている。
【0063】
上述のように切替頻度等が設定されると、制御部21による指示に応じて、予め設定された露光条件にて受光センサ32による露光が開始される(S103)。そして、この露光が完了すると(S105でYes)、ステップS107の判定処理にて、第2偏光部42での切り替えを実施するか否かについて判定される。ここで、上記切替頻度に応じて切り替え実施不要と判断される場合には、上記ステップS107にてNoと判定されて、記憶部22に対して露光が完了した受光センサ32からの撮像画像の取り込みが開始される(S109)。そして、この取り込みが完了すると(S111でYes)、再度露光が開始される(S103)。
【0064】
そして、露光が完了すると(S105でYes)、上記切替頻度に応じて第2偏光部42での切り替えを実施する場合には、ステップS107にてYesと判定される。この場合には、露光が完了した受光センサ32からの撮像画像の取り込みが開始されるとともに(S113)、第2偏光部42での切り替えが開始される(S115)。偏光状態から通過状態への切り替えを開始する場合には、液晶50への電圧の印加が停止される。
【0065】
続いて、ステップS117の判定処理にて、記憶部22への撮像画像の取り込み及び第2偏光部42の切り替えがともに完了しているか否かについて判定され、記憶部22への撮像画像の取り込み及び第2偏光部42の切り替えがともに完了するまでNoとの判定が繰り返される。なお、上記ステップS117において第2偏光部42の切り替えの完了を検知する制御部21は、「検知部」の一例に相当し得る。
【0066】
そして、記憶部22への撮像画像の取り込み及び第2偏光部42の切り替えがともに完了すると(S117でYes)、切り替え後の状態に適した露光条件に変更され(S119)、再度露光が開始される(S103)。偏光状態から通過状態に切り替えられている場合には、通過状態に適した露光条件に変更されて、再度露光が開始される。
【0067】
そして、上述のように、露光が完了することで記憶部22への撮像画像の取り込みと第2偏光部42の切り替えとが行われる処理が繰り返される間、取り込みが完了することで記憶部22に用意される画像バッファに撮像画像が順次記憶されるごとに、制御部21により当該撮像画像に対して情報コードをデコード(解読)するための解読処理がなされる。
【0068】
ここで、切替頻度が設定される他の場合の例として、偏光状態にて1つの撮像画像が取り込まれた後に通過状態にて1つの撮像画像が取り込まれる処理が繰り返されるように切替頻度が設定された際の読取処理の流れを、図10に示すタイミングチャートを参照して具体的に説明する。
【0069】
図10に示すように、最初に偏光状態になるとともに、その偏光状態に適した露光条件(露光条件A)に設定された状態で、受光センサ32による露光が開始される。そして、露光が完了すると(図10のt11参照)、露光が完了した受光センサ32からの撮像画像の取り込みが開始されるとともに、偏光状態から通過状態への切り替えが開始される。そして、取り込みが完了することで撮像画像が記憶部22にて用意された画像バッファ1に記憶されると(図10のt12参照)、切り替え完了を待つことなく、記憶された撮像画像に対して解読処理が開始される。本実施形態では、撮像画像は、解読処理が完了するまで画像バッファに記憶されて保持され、解読処理が完了することで消去される。
【0070】
そして、偏光状態から通過状態への切り替えが完了すると(図10のt13参照)、その切り替えられた通過状態に適した露光条件(露光条件B)に設定された状態で、受光センサ32による露光が開始される。そして、露光が完了すると(図10のt14参照)、露光が完了した受光センサ32からの撮像画像の取り込みが開始されるとともに、通過状態から偏光状態への切り替えが開始される。なお、露光開始時に解読処理が完了していない場合には、図10に示すように、この露光により取り込まれる撮像画像は、記憶部22にて用意された画像バッファ2に記憶される。その後、切り替えが完了しても取り込みが完了していない場合には(図10のt15参照)、露光が開始されず、切り替えの完了後に取り込みも完了することで(図10のt16参照)、記憶された撮像画像に対して解読処理が開始されるとともに、露光が開始される。
【0071】
そして、露光完了後に撮像画像の取り込みが完了しても先に開始した解読処理が完了していない場合には(図10のt17参照)、その取り込み完了した撮像画像に対する解読処理が、先の解読処理が完了するまで待機状態となる。そして、先の解読処理が完了する前に取り込み完了した撮像画像は、記憶部22にて個別に用意される画像バッファに順次記憶される。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、制御部21は、第2偏光部42の切り替えを制御し、読取処理において、第2偏光部42での切り替えの完了を検知する検知部として機能する。受光センサ32は、検知部による検知結果に応じるように制御部21により制御されて、第2偏光部42での切り替えの完了後に(S117でYes)、露光を開始する。
【0073】
これにより、確実に第2偏光部42での切り替えが完了した後に受光センサ32による露光が開始されるため、第2偏光部42での切り替え中の画像が撮像されることもないので、読み取りに適した画像を撮像することができる。
【0074】
特に、本実施形態では、受光センサ32から取り込まれた撮像画像が画像バッファとして順次記憶される記憶部22を備え、記憶部22に撮像画像が記憶されるごとに、当該撮像画像に対して情報コードを解読するための解読処理がなされる。これにより、第2偏光部42での切り替え中であっても、既に撮像された撮像画像に対して解読処理を行うことができ、第2偏光部42での切り替えの完了後に解読処理を開始する場合と比較して、処理効率を向上させることができる。
【0075】
さらに、本実施形態では、制御部21は、予め決められた切替頻度に応じて第2偏光部42での切り替えを行うため、鏡面反射の影響を抑制すべき情報コード等や凹凸面に形成された情報コード等が読取対象として混在するような場合でも、情報コードの読み取りを円滑に行うことができる。
【0076】
なお、第1偏光部41が切替偏光部として機能する上記第2実施形態にてなされる読取処理においても、予め決められた切替頻度等に応じて第1偏光部41での切り替えを行うようにしてもよい。
【0077】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第5実施形態では、解読処理での解読結果を利用して切替偏光部での切替頻度等を設定する点が、上記第4実施形態と主に異なる。したがって、第4実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0078】
本実施形態では、制御部21にてなされる切替頻度等設定処理において、第2偏光部42により切り替えられる偏光状態にて受光センサ32から取り込まれた撮像画像に対する解読処理の解読結果と、通過状態にて受光センサ32から取り込まれた撮像画像に対する解読処理の解読結果との比較結果に応じて、第2偏光部42での切替頻度や露光条件等が設定される。
【0079】
具体的には、例えば、複数の物品にそれぞれ付された情報コードを順次読み取る際、これら複数の物品の中から1つの物品を抽出して、この抽出した物品に付される情報コードを偏光状態及び通過状態にてそれぞれ露光条件等を変えて読取テストを行う。そして、その読取テストの読取結果に応じて、上記複数の物品に付された情報コードの読み取りに適した切替頻度や露光条件等を設定する。なお、切替頻度等設定処理を行う制御部21は、切替偏光部での切替頻度を設定する「設定部」の一例に相当し得る。
【0080】
以下、本実施形態において、制御部21にてなされる切替頻度等設定処理について、図11に示すフローチャートを参照して詳述する。
操作部23に対する所定の操作に応じて制御部21により切替頻度等設定処理が開始されると、図11のステップS201に示す仮設定処理がなされる。この処理では、読取テスト用に予め用意された複数パターンの第2偏光部42での切替状態(偏光状態,通過状態)や露光条件等が読み出され、最初の切替状態及び露光条件に仮設定される。
【0081】
そして、読取テスト用の切替状態と露光条件との最初の設定が完了すると、情報コードを読み取る処理を所定回数繰り返す読取テストが実施される(S203)。そして、読取テスト用として読み出された全ての切替状態及び露光条件の組み合わせが実施されていない場合には(S205でNo)、次の切替状態及び露光条件に設定が変更されて(S207)、上記読取テストが再度実施される(S203)。
【0082】
そして、読取テスト用として読み出された全ての切替状態及び露光条件の組み合わせについて読取テストが実施されると(S205でYes)、読取テストの比較結果に応じて切替頻度及び露光条件が決定される(S209)。
【0083】
具体的には、例えば、図12(A)に例示するように、偏光状態及び通過状態のそれぞれについて4種類の露光条件A~Dにて読取テストを実施した結果の読取成功率が得られている場合、読取成功率が最も高くなる露光条件をそれぞれ選択し、この選択された露光条件での読取成功率の比に応じて切替頻度が設定される。図12(A)の例では、偏光状態では露光条件Aでの読取成功率が90%で最も高く、通過状態では露光条件Bでの読取成功率が90%で最も高いので、図12(B)に例示するように、偏光状態かつ露光条件Aが1、通過状態かつ露光条件Bが1となる比率の切替頻度が設定される。なお、最も高くなる読取成功率が所定の閾値(例えば、60%)未満となる場合には、その切替状態を選択せずに、読取成功率が所定の閾値以上となる他方の切替状態のみを選択するようにしてもよい。
【0084】
そして、読取成功率が高くなるほど先に選択されるように、読取条件テーブルが設定される。図12(B)の例では、読取成功率が同じになっているため、例えば、図12(C)に例示するように、偏光状態が優先して先に選択されるように、読取条件テーブルを設定することができる。
【0085】
図12(C)に示すような切替状態や露光条件が切替頻度として設定された読取条件テーブルに基づいて上記読取処理がなされることで、例えば、図10に示すタイミングチャートのような流れとなる。
【0086】
また、別の例として、例えば、図13(A)に例示するように、偏光状態及び通過状態のそれぞれについて4種類の露光条件A~Dにて読取テストを実施した結果の読取成功率が得られている場合、偏光状態では露光条件Cでの読取成功率が90%で最も高く、通過状態では露光条件Bでの読取成功率が60%で最も高いので、図13(B)に例示するように、偏光状態かつ露光条件Cが3、通過状態かつ露光条件Bが2となる比率の切替頻度が設定される。そして、図13(C)に例示するように、読取成功率が高くなる偏光状態が優先して先に選択されるように、読取条件テーブルが設定される。
【0087】
ここで、上述のように切替頻度等が設定された際の読取処理の流れを、図14に示すタイミングチャートを参照して具体的に説明する。
図14に示すように、最初に偏光状態になるとともに、その偏光状態に適した露光条件(露光条件C)に設定された状態で、受光センサ32による1回目の露光が開始される。その後、この露光が完了すると、露光が完了した受光センサ32からの撮像画像の取り込みが開始される。なお、上述のように設定された読取条件テーブルに基づき切り替え不要であるため、切り替えが開始されることもない。
【0088】
そして、取り込みが完了することで撮像画像が記憶部22にて用意された画像バッファ1に記憶されると(図14のt21参照)、記憶された撮像画像に対して解読処理が開始されるとともに、偏光状態及び露光条件Cでの2回目の露光が開始される。その後、この露光が完了し、撮像画像の取り込みが完了して画像バッファ2に記憶された際に上記解読処理が完了していない場合には(図14のt22参照)、解読待機状態となるとともに、偏光状態及び露光条件Cでの3回目の露光が開始される。
【0089】
その後、この露光が完了すると(図14のt23参照)、偏光状態から通過状態への切り替えが開始されるとともに、露光が完了した受光センサ32からの撮像画像の取り込みが開始される。そして、偏光状態から通過状態への切り替えが完了するとともに撮像画像の取り込みが完了することで(図14のt24参照)、通過状態及び露光条件Bでの1回目の露光が開始される。その後、この露光が完了すると、露光が完了した受光センサ32からの撮像画像の取り込みが開始される。なお、上述のように設定された読取条件テーブルに基づき切り替え不要であるため、切り替えが開始されることもない。
【0090】
そして、取り込みが完了することで撮像画像が記憶部22にて用意された画像バッファ1に記憶されると(図14のt25参照)、通過状態及び露光条件Bでの2回目の露光が開始される。また、先の解読処理が完了していない場合には、解読待機状態となり、先の解読処理が完了することで、画像バッファに記憶された撮像画像に対して解読処理が開始される。
【0091】
その後、2回目の露光が完了すると(図14のt26参照)、通過状態から偏光状態への切り替えが開始されるとともに、露光が完了した受光センサ32からの撮像画像の取り込みが開始される。そして、通過状態から偏光状態への切り替えが完了するとともに撮像画像の取り込みが完了することで(図14のt27参照)、偏光状態及び露光条件Cでの1回目の露光が開始される。
【0092】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、第2偏光部42により切り替えられる偏光状態にて取り込まれた撮像画像に対する解読処理での解読結果と、通過状態にて取り込まれた撮像画像に対する解読処理の解読結果との比較結果に応じて、第2偏光部42での切替頻度が制御部21にてなされる切替頻度等設定処理により設定され、この設定された切替頻度に応じて第2偏光部42での切り替えが制御部21により行われる。
【0093】
これにより、鏡面反射の影響を抑制すべき情報コード等や凹凸面に形成された情報コード等が読取対象として混在するような場合でも、その混在状況に応じた切替頻度を設定することができる。このため、情報コードの読み取りが成功しやすくなり、読取処理に関する時間を短縮することができる。
【0094】
特に、本実施形態では、第2偏光部42により切り替えられる偏光状態にて露光条件を変化させるごとに得られる解読処理の解読結果と、通過状態にて露光条件を変化させるごとに得られる解読処理の解読結果との比較結果に応じて、第2偏光部42での切替頻度と露光条件とが制御部21にてなされる切替頻度等設定処理により設定される。これにより、露光条件をも加味して切替頻度を設定できるので、情報コードの読み取りがさらに成功しやすくなり、読取処理に関する時間をより一層短縮することができる。
【0095】
なお、第1偏光部41が切替偏光部として機能する上記第2実施形態において、第1偏光部41により切り替えられる第1偏光状態にて受光センサ32から取り込まれた撮像画像に対する解読処理の解読結果と、第2偏光状態にて受光センサ32から取り込まれた撮像画像に対する解読処理の解読結果との比較結果に応じて、第1偏光部41での切替頻度や露光条件等が設定されてもよい。
【0096】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第6実施形態では、第1偏光部での偏光による光量の低下を抑制するための構成を採用する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0097】
本実施形態では、第1偏光部での偏光による光量の低下を抑制するため、上述した第1偏光部41に代えて、図15に示す第1偏光部41aが採用されている。この第1偏光部41aは、入射した照明光の大部分を上記所定の偏光方向に揃えて出射させるため、照明部31からの照明光を拡散(散乱)する拡散部43と、反射偏光部44とを備えるように構成されている。反射偏光部44は、例えば、スリーエム社製の商品名「DBEF」であって、拡散部43にて拡散された光(ランダム偏光、無偏光)のうち上記所定の偏光方向の光(例えば、S偏光)を透過し、残りの光(例えば、P偏光など)を拡散部43に向けて反射するように構成されている。
【0098】
このように構成されることで、照明部31から第1偏光部41に入射した照明光が拡散部43にて拡散され、この拡散された光のうち上記所定の偏光方向に偏光された光が反射偏光部44を透過し、残りが拡散部43にて再度拡散される。そして、再度拡散された光のうち上記所定の偏光方向に偏光された光が反射偏光部44を透過し、残りが拡散部43にて再度拡散される。すなわち、第1偏光部41aでは、照明光の大部分が上記所定の偏光方向に揃えられるように、拡散と透過/反射とが繰り返される。
【0099】
このように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、反射偏光部44にて反射された光が拡散部43にて再度拡散された際に、上記所定の偏光方向となった一部の光が反射偏光部44を透過するため、第1偏光部41aでの偏光による光量の低下が抑制されるので、情報コードの読み取りに必要な照明光の光量を容易に確保することができる。
【0100】
なお、入射した照明光の大部分を上記所定の偏光方向に揃えて出射させるための構成として、上述のように反射偏光部44を採用することに限らず、他の偏光構成、例えば、カラーリンクジャパン社製の「PG-PCS」を採用してもよい。
【0101】
また、本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。
【0102】
[第7実施形態]
次に、第7実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第7実施形態では、照明部及び第1偏光部の配置構成が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0103】
本実施形態では、上述した照明部31に代えて、図16に示す照明部31aが採用されている。この照明部31aは、照明光を出射するLED等の光源31bと、光源31bからの照明光を集光する集光素子として照明レンズ31cとを備えており、光源31bと照明レンズ31cとの間に第1偏光部41が介在するように配置されている。すなわち、第1偏光部41は、光源31bと照明レンズ31cとの間に配置されている。特に、本実施形態では、第1偏光部41は、光源31bと照明レンズ31cとの間であって、照明レンズ31cよりも光源31bに近くなるように配置されている。
【0104】
光源31bから遠ざかるほど光源31bから出射された照明光が広がるため、照明レンズ31cの出射側に第1偏光部41が配置される場合と比較して、照明光が第1偏光部41に入射する面積、すなわち、第1偏光部41にて照明光を偏光すべき面積が小さくなり、第1偏光部41の小型化を図ることができる。さらに、照明レンズ31cの出射側に第1偏光部41が配置される場合と比較して、照明レンズ31cを光源31bから遠ざけることができるために、照明レンズ31cによる集光効果が高まるので、情報コードの読み取りに必要な照明光の光量を容易に確保することができる。
【0105】
なお、第1偏光部を光源と照明レンズ(集光素子)との間に配置する本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。特に、上記第6実施形態のように、偏光効率を向上させるために反射偏光部等を採用する構成では、第1偏光部から出射する光が拡散しやすくなるため、第1偏光部を光源と照明レンズとの間に配置することで、情報コードに照射される照明光を効果的に集光することができる。
【0106】
[第8実施形態]
次に、第8実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第8実施形態では、上述のように構成される光学的情報読取装置を用いて情報コードを読み取る際の読取成功率をユーザに報知する点が、上記第1実施形態等と主に異なる。
【0107】
本実施形態に係る光学的情報読取装置10は、据え置き型の読取装置であって、図17(A)(B)に示すように、箱状のケース11によって外郭が構成され、このケース11の内部に制御部21や光学系30の少なくとも一部が収容されている。ケース11の第1面11aの中央には、表示部24の表示画面24aが配置されており、第1面11aに連なる第2面11bの中央には、情報コードCからの反射光を取り込む読取口12が配置されている。
【0108】
第1面11aには、表示画面24aを介して対向するように一対の発光部25が設けられており、両発光部25は、それぞれ第1面11aと第2面11bとの双方が連なる面側からでも視認できるように配置されている。本実施形態では、両発光部25は、制御部21により制御されて、青、緑、赤など複数色発光可能に構成されている。また、第1面11aにおける表示画面24aの第2面11b側には、操作部23を構成する2つの押しボタン型のスイッチが配置されている。
【0109】
第2面11bには、読取口12を介して対向するように一対の照明窓13a,13bが設けられている。本実施形態では、照明部31は照明窓を介して照明光を照射するように構成されており、それぞれの照明窓13a,13bごとに1または2以上の照明部31が設置されている。特に、本実施形態では、制御部21により制御されて、照明窓13aを介して照射される照明光の照射状態や照明窓13bを介して照射される照明光の照射状態を個別に制御可能に構成されている。
【0110】
また、本実施形態では、制御部21により制御されて、予め設定された音声やアラーム音等の各種通知音を放音するスピーカが設けられており、このスピーカの放音孔14が照明窓13bの近傍に配置されている。
【0111】
このように構成される光学的情報読取装置10は、図18に示すように、情報コードCが付された搬送物品Rが順次搬送される搬送ライン上であって、第2面11bが下方の搬送ラインに向くとともに第1面11aがユーザ側に向くように配置されている。そして、制御部21にてなされる撮像した情報コードCの読取処理により得られた読取結果等が通信インタフェース26を介して上位機器に送信される。
【0112】
次に、本実施形態の特徴的構成について説明する。
本実施形態では、ダイレクトマーキング(DPM)によって、搬送物品Rの表示面(印字面)に設けられる凹凸パターンを利用して形成された情報コードCを読取対象としている。このように形成される情報コードCでは、一定の読取成功率を確保するために、露光条件や偏光の有無、鏡面反射の有無、各照明部31による照射状態などの各種のパラメータをその情報コードCにあわせて調整する必要がある。また、一定の読取成功率を確保するように初期設定を行ったとしても、以降の運用時における環境変化等に起因する情報コードの変化などのために、ユーザが気づかないうちに読取成功率が徐々に低下してしまう場合がある。読取成功率を数値化して表示画面に表示する方法も考えられるが、装置の設置環境等によっては表示画面が視認困難な場合もある。
【0113】
そこで、本実施形態では、制御部21にてなされる読取率報知処理により、算出される読取成功率に応じた報知を行うことで、この報知を受けたユーザは、現在の光学的情報読取装置10での読取成功率のレベルを容易に認識することができる。ここで、読取成功率は、例えば、同じ情報コードに対して所定時間、読取処理を繰り返した際の読取成功回数に応じて算出することができる。
【0114】
特に、本実施形態では、一対の発光部25の発光状態を利用して読取成功率に応じた報知を行う。具体的には、例えば、読取成功率がHighレベル(例えば、90%以上)であれば、両発光部25が青色にて発光し、読取成功率がLoレベル(例えば、90%未満)であれば、両発光部25が赤色にて発光することで、両発光部25の発光状態を見たユーザは、現在の光学的情報読取装置10での読取成功率のレベルを容易に認識することができる。
【0115】
このように、発光部25の発光状態に応じて読取成功率のレベルを容易に認識できるので、初期設定時において、露光条件や偏光の有無、鏡面反射の有無、各照明部31による照射状態などの各種のパラメータをその情報コードCの読み取りに適した状態に容易に調整することができる。さらに、初期設定後の運用時においても、読取成功率が低下した場合には発光部25の発光状態が変化するため、その読取成功率の低下を容易に認識することができる。
【0116】
なお、より詳細に読取成功率のレベルを報知するため、例えば、読取成功率がHighレベル(例えば、95%以上)であれば、両発光部25が青色にて発光し、読取成功率がMidレベル(例えば、50%以上95%未満)であれば、両発光部25が緑色にて発光し、読取成功率がLoレベル(例えば、50%未満)であれば、両発光部25が赤色にて発光するようにしてもよい。また、上述のように3種類の発光状態で3種類の読取成功率のレベルを報知することに限らず、4種類以上の発光状態(点滅状態等も含む)で4種類以上の読取成功率のレベルを報知してもよい。また、一対の発光部25の発光状態を利用して上記報知を行うことに限らず、ケース11に設けられる他の発光部の発光状態等を利用して上記報知を行ってもよい。また、読取成功率を算出している状態では、両発光部25が非発光状態になってもよい。また、読取成功率がLoレベルでは上記非発光状態になってもよい。
【0117】
また、読取成功率のレベルと発光部25の発光状態との関係を、表示部24の表示画面24aや上位機器の表示画面等に表示してもよい。その際、表示画面がカラーであれば表示される色で上記関係を示すことができ、表示画面がモノクロであれば表示される文字で上記関係を示すことができる。
【0118】
また、ブザーとして機能するスピーカによって放音孔14を介して間欠的に放音されるビープ音の間隔に応じて、読取成功率のレベルを報知してもよい。また、読取成功率のレベルに応じてビープ音の周波数を変化させてもよい。例えば、読取成功率のレベルが高くなるほど、ビープ音の周波数を短くする(音を高くする)ことで、読取成功率のレベルを報知してもよい。また、読取成功率のレベルや具体的な読取成功率の数値を音声で知らせてもよい。
【0119】
また、読取成功率のレベルと発光部25の発光状態との関係は、ユーザによる所定の操作や設定用の情報コードの読み取り等に応じて、変更可能であってもよい。同様に、読取成功率のレベルとビープ音等との関係は、ユーザによる所定の操作や設定用の情報コードの読み取り等に応じて、変更可能であってもよい。
【0120】
なお、読取成功率のレベルを報知する本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0121】
[第9実施形態]
次に、第9実施形態に係る光学的情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第9実施形態では、広角レンズとして構成される結像レンズと受光センサとの間に第2偏光部を配置する点が、上記第1実施形態等と主に異なる。
【0122】
本実施形態では、受光光学系30bに代えて、図19に示す受光光学系30cが採用されている。この受光光学系30cは、受光光学系30bに対して、結像レンズ33に代えて結像レンズ33cを備えるように構成されている。
【0123】
結像レンズ33cは、撮像範囲を広げるために、図19に示すように、受光センサ32に結像される入射光線の最大角θ1が受光センサ32に結像される射出光線の最大角θ2に対して大きくなるレンズとして形成されている。
【0124】
結像レンズ33cの入射側に切替偏光部として機能する第2偏光部42が配置されていると、切替偏光部に入射する光線の角度が大きくなるため、例えば、切替偏光部として上述した液晶50等を採用する場合には、撮像範囲における周辺部分の鏡面反射カット効果が弱くなってしまう。
【0125】
そこで、本実施形態では、受光光学系30cは、図19に示すように、第2偏光部42が受光センサ32と結像レンズ33cとの間に配置されるように構成される。これにより、第2偏光部42が結像レンズ33cの入射側(図19の上側)に配置される場合と比較して、切替偏光部に入射する光線の角度が小さくなるので、画角を広くするための広角レンズを結像レンズ33cとして採用する場合であっても、撮像範囲全体で鏡面反射カット効果を得ることができる。
【0126】
なお、本発明は上記各実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)上記第1実施形態等では、第2偏光部42を、液晶50及び偏光板60により構成することに限らず、反射光が第1偏光部41と異なる方向に偏光される偏光状態と反射光が偏光されずに通過する通過状態とのいずれかに切り替え可能な他の切替偏光部により構成されてもよい。
【0127】
(2)上記第2実施形態等では、第1偏光部41を、液晶50及び偏光板60により構成することに限らず、照明光が第1の偏光方向に偏光される第1偏光状態と照明光が第2の偏光方向に偏光される第2偏光状態とのいずれかに切り替え可能な他の切替偏光部により構成されてもよい。
【0128】
(3)本発明は、情報コードや文字情報等の光学的情報を読み取る光学的情報読取機能を有する光学的情報読取装置10に適用されることに限らず、他の機能、例えば、無線タグなどを読み書きする無線タグ通信機能を更に有する光学的情報読取装置に適用されてもよい。また、本発明は、携帯型の光学的情報読取装置に適用されてもよいし、据え置き型の光学的情報読取装置に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0129】
10…光学的情報読取装置
21…制御部(読取部,検知部,設定部)
30…光学系
31,31a…照明部
32…受光センサ(受光部)
41,41a…第1偏光部
42…第2偏光部
50…液晶
51…液晶層
52,52b…配向膜
54…スペーサ
60…偏光板
C…情報コード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
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