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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20231003BHJP
   H01M 8/04014 20160101ALI20231003BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/04014
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019229976
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2021099903
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼島 裕也
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-247574(JP,A)
【文献】特開2014-000833(JP,A)
【文献】特開2009-151973(JP,A)
【文献】特開平11-149932(JP,A)
【文献】特開2012-218510(JP,A)
【文献】特開2005-216852(JP,A)
【文献】特開2010-218802(JP,A)
【文献】特開2009-123586(JP,A)
【文献】特開2004-127666(JP,A)
【文献】特開2012-025294(JP,A)
【文献】特開2010-277697(JP,A)
【文献】特開2012-043679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 50/70 - 50/75
H01M 8/04 - 8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の燃料電池セルが積層されて設けられた燃料電池スタックと、
この燃料電池スタックに冷却用の空気を導入させるファンと、
前記燃料電池スタックから反応用ガスを排出するアノード排ガス用配管と、
前記燃料電池スタックから反応用空気を排出するカソード排ガス用配管と、
前記ファンの排出側に配置されて、前記アノード排ガス用配管からの前記反応用ガスを、前記ファンからの前記空気及び前記カソード排ガス用配管からの前記反応用空気により希釈する希釈装置と、を有する燃料電池システムであって、
前記アノード排ガス用配管及び前記カソード排ガス用配管は、それぞれの一端が前記燃料電池スタックの底面に接続され、それぞれの他端が前記希釈装置の側面下部に接続されて、それぞれが水平方向に配置され、
前記希釈装置に導かれた前記反応用ガス及び前記反応用空気に含まれる生成水を排水する排水口が、前記希釈装置の底面に設けられて構成されたことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記燃料電池スタックへ反応用ガスを供給するアノード供給ガス用配管と、前記燃料電池スタックへ反応用空気を供給するカソード供給ガス用配管とを備え、これらのアノード供給ガス用配管及びカソード供給ガス用配管が、前記燃料電池スタックの底面に接続されて構成されたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記カソード排ガス用配管には、反応用空気の排出量を調整するカソード排気バルブが設けられ、このカソード排気バルブは、燃料電池スタックの高さ方向中央位置に配置されたファンの下方に位置づけられて構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記カソード排ガス用配管は、燃料電池スタックへの取付部が金属または樹脂にて構成され、希釈装置への取付部を少なくとも含む部分が、前記燃料電池スタックへの前記取付部よりも剛性が低い材質にて構成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記アノード排ガス用配管からの反応用ガスと前記カソード排ガス用配管からの反応用空気とが希釈装置内で衝突するように、前記アノード排ガス用配管と前記カソード排ガス用配管は、それぞれの軸線の延長線が交差するように前記希釈装置の側面下部に接続され、
希釈装置の底面に設けられる排水口は、前記反応用ガスと前記反応用空気との衝突領域から前記カソード排ガス用配管の前記希釈装置への接続位置までの範囲に設けられたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記希釈装置の幅方向に対向する側面間寸法が、燃料電池スタックの幅方向に対向する側面間寸法の範囲内に収まり、前記希釈装置の天面位置が、前記燃料電池スタックの天面位置よりも低く設定されて構成されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生成水の排水機能を備えた燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料と空気中の酸素とを反応させて発電する燃料電池と、この燃料電池からの排気を導いて燃料電池から離れた箇所へ排出する排気ダクトとを有し、排気ダクトの下部に、排気ダクト内で凝縮した水(生成水)を排水する水抜き孔が設けられた燃料電池装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-73620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述の水抜き孔が、燃料電池及びその吸気口の上方または同一高さに設けられているため、この生成水を水抜き孔から、重力を利用して容易に排水することができないという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、高さ方向のコンパクト化を図りつつ、重力を利用して生成水を容易に排水できる燃料電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る燃料電池システムは、複数の燃料電池セルが積層されて設けられた燃料電池スタックと、この燃料電池スタックに冷却用の空気を導入させるファンと、前記燃料電池スタックから反応用ガスを排出するアノード排ガス用配管と、前記燃料電池スタックから反応用空気を排出するカソード排ガス用配管と、前記ファンの排出側に配置されて、前記アノード排ガス用配管からの前記反応用ガスを、前記ファンからの前記空気及び前記カソード排ガス用配管からの前記反応用空気により希釈する希釈装置と、を有する燃料電池システムであって、前記アノード排ガス用配管及び前記カソード排ガス用配管は、それぞれの一端が前記燃料電池スタックの底面に接続され、それぞれの他端が前記希釈装置の側面下部に接続されて、それぞれが水平方向に配置され、前記希釈装置に導かれた前記反応用ガス及び前記反応用空気に含まれる生成水を排水する排水口が、前記希釈装置の底面に設けられて構成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、燃料電池スタックの底面に接続されたアノード排ガス用配管及びカソード排ガス用配管が水平方向に配置され、更に希釈装置の側面下部に接続されたので、これらの配管が希釈装置の底面よりも下方へ突出することを抑制できる。このため、燃料電池システムの高さ方向のコンパクト化を実現できる。
【0008】
また、生成水を含む反応用ガス、反応用空気をそれぞれ排出するアノード排ガス用配管、カソード排ガス用配管が水平方向に配置されて希釈装置の側面下部に接続され、この希釈装置の底面に排水口が設けられたので、生成水が両排ガス用配管に滞留することがなく、重力を利用して生成水を、両排ガス用配管を経て排水口から容易に排水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る燃料電池システムの一実施形態を斜め上方から目視して示す斜視図。
図2図1の燃料電池システムを示す側面図。
図3図1の燃料電池システムを底面側から目視して示す斜視図。
図4図1の希釈装置の底面を示す底面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る燃料電池システムの一実施形態を斜め上方から目視して示す斜視図である。この図1に示す燃料電池システム10は、ファン12による冷却風を用いて冷却させる空冷式の燃料電池スタック11を備え、図2に示すように燃料電池スタック11、ダクト13、ファン12及び希釈装置14が、ファン12の回転軸Oの方向に沿って順次に隣接配置されて構成される。
【0011】
燃料電池スタック11は、高さ方向に離れて配置された一対のエンドプレート18、19、20間に複数の燃料電池セル17が積層されて構成される。各燃料電池セル17は、反応用ガス(アノードガス)としての例えば水素ガスと、反応用空気(カソードガス)中の酸素とを化学反応させて電気を発生し、更に水を生成する。
【0012】
ファン12は、ダクト13を介して燃料電池スタック11に接続され、吸込み負圧を発生することで、燃料電池スタック11内に冷却用の空気(冷却風)を、図2の矢印Aに示すように吸引して導入させる。この冷却用の空気により燃料電池スタック11内の燃料電池セル17が冷却される。また、ファン12は、その回転軸Oが燃料電池スタック11の高さ方向の中央位置と略一致するように配置されている。
【0013】
図3に示すように、燃料電池スタック11の底面(エンドプレート)18にアノード供給ガス用配管21の他端21B、カソード供給ガス用配管22の他端22B、アノード排ガス用配管23の一端23A、カソード排ガス用配管24の一端24Aがそれぞれ接続される。
【0014】
アノード供給ガス用配管21は、燃料電池スタック11へ反応用ガス(アノードガス)としての例えば水素ガスを供給するものであり、一端21A側に図示しないガスタンク(例えば水素ガスタンク)が接続される。このアノード供給ガス用配管21には、一端21A側からインジェクタバルブ25、インレットバルブ26が設けられている。インジェクタバルブ25は、反応用ガス(アノードガス)の圧力調整用であり、ファン12の下方に位置付けられて、このファン12に取り付けられる。また、インレットバルブ26は、燃料電池スタック11の底面 (エンドプレート) 18に設置され、開弁または閉弁により反応用ガス(アノードガス)の燃料電池スタック11への供給または供給停止を行う。
【0015】
カソード供給ガス用配管22は、燃料電池スタック11へ反応用空気(カソードガス)を供給するものであり、一端22Aが開放端として設けられる。カソード供給ガス用配管22には、一端22Aから大気が導入される。
【0016】
アノード排ガス用配管23は、燃料電池スタック11から未反応の反応用ガス(アノードオフガス)としての水素ガスを排出するものであり、他端23Bが、希釈装置14における燃料電池スタック11に対向する側面27の下部(下部側面27A)に接続される。下部側面27Aは、側面27に対し燃料電池スタック11と反対側に窪んで設けられる。このアノード排ガス用配管23は、一端23Aから他端23Bへ向かって水平方向、または一端23Aから他端23Bへ向かって下方へ傾斜して配置される。このアノード排ガス用配管23は、剛性の高い例えば金属あるいは樹脂にて構成されている。
【0017】
また、アノード排ガス用配管23にはアノード排気バルブ28が設けられる。このアノード排気バルブ28は、反応用ガス(アノードオフガス)の排出量を調整するものであり、燃料電池スタック11の底面(エンドプレート)18に設置される。
【0018】
カソード排ガス用配管24は、図1図3に示すように、反応用ガス(アノードガス)と反応した後の余剰の反応用空気(カソードオフガス)を燃料電池スタック11から排出するものである。このカソード排ガス用配管24の他端24Bは、希釈装置14における幅方向に相対する両側面29のうちの一方の下部(下部側面29A)に接続される。この下部側面29Aは、側面29に対して希釈装置14の幅方向内側に窪んで設けられる。また、カソード排ガス用配管24は、一端24Aから他端24Bへ向かって水平方向に、または一端24Aから他端24Bへ向かって下方へ傾斜して配置される。
【0019】
図1及び図2に示すように、カソード排ガス用配管24にはカソード排気バルブ30が設けられる。このカソード排気バルブ30は、反応用ガス(カソードオフガス)の排出量を調整するものである。ファン12が燃料電池スタック11に対する冷却性能を満たすものであれば小型化が可能であることから、高さ方向(燃料電池セル17の積層方向)の寸法が比較的大きなカソード排気バルブ30は、ファン12の下方に位置付けられて、このファン12に取り付けられる。
【0020】
また、カソード排ガス用配管24は、燃料電池スタック11の底面(エンドプレート)18への取付部31(一端24Aを含む)が、剛性の高い金属または樹脂にて構成される。一方、カソード排ガス用配管24における希釈装置14の下部側面29Aへの取付部32(他端24Bを含む)は、取付部31よりも剛性の低い材質、例えばゴムまたは樹脂にて構成される。なお、カソード排ガス用配管24は、取付部31とカソード排気バルブ30との間の部分も、取付部31よりも剛性の低い材質で構成されてもよい。
【0021】
カソード排ガス用配管24の取付部31は、剛性の高い金属等で構成されることで、剛性の低いゴム等の場合に比べて曲げ半径を小さく設定して湾曲させることが可能になり、燃料電池スタック11の高さ方向下方への飛び出し量が抑制される。また、カソード排ガス用配管24の取付部32が剛性の低いゴム等で構成されることで、カソード排ガス用配管24の組み付け時の公差の吸収が可能になる。
【0022】
図1及び図2に示すように、前記希釈装置14は、ファン12の回転軸Oの方向に沿って、ファン12の排出側に隣接して配置される。この希釈装置14は、アノード排ガス用配管23からの未反応の反応用ガス(カソードオフガス)としての水素ガスを、ファン12からの排出空気(排気)の一部と、カソード排ガス用配管24からの余剰の反応用空気(カソードオフガス)とにより混合して希釈するものである。なお、希釈装置14には、ファン12からの排出空気の大部分を排出するための排風口34が設けられている。
【0023】
希釈装置14の幅方向に相対する両側面29間の寸法Nは、燃料電池スタック11の幅方向に相対する両側面(エンドプレート)19間の寸法Mの範囲に収まるように構成される。更に、希釈装置14の凹凸形状の天面33の最上位置は、燃料電池スタック11の平坦面形状の天面(エンドプレート)20の位置よりも低く設定される。
【0024】
図3及び図4に示すように、前述の如く、アノード排ガス用配管23は、その他端23Bが希釈装置14の燃料電池スタック11に対向する側面27の下部(下部側面27A)に接続され、カソード排ガス用配管24は、その他端24Bが希釈装置14における幅方向に相対する両側面29のうちの一方の下部(下部側面29A)に接続される。
【0025】
更に、これらのアノード排ガス用配管23とカソード排ガス用配管24は、他端23Aを通り希釈装置14内へ延びるアノード排ガス用配管23の中心線の延長線35と、他端24Bを通り希釈装置14内へ延びるカソード排ガス用配管24の中心線の延長線36とが希釈装置14内で交差するように、希釈装置14に接続される。これにより、アノード排ガス用配管23から希釈装置14内に導入される反応用ガス(アノードオフガス)と、カソード排ガス用配管24から希釈装置14内に導入される反応用空気(カソードオフガス)とが衝突して混合するよう設けられる。図4に、反応用ガス(アノードオフガス)と反応用空気(カソードオフガス)との衝突領域Sを示す。
【0026】
また、アノード排ガス用配管23から希釈装置14内に導入される反応用ガス(アノードオフガス)とカソード排ガス用配管24から希釈装置14内に導入される反応用空気(カソードオフガス)には、燃料電池スタック11にて生成された生成水が含まれ、この生成水が希釈装置14内に溜まる。このため、希釈装置14には、底面40の略最下位置に、生成水を排水する排水口41が設けられる。図2中の符号42は、排水口41から排水される生成水を示す。
【0027】
排水口41は、希釈装置14における反応用ガス(アノードオフガス)と反応用空気(カソードオフガス)との衝突領域Sからカソード排ガス用配管24の希釈装置14への接続位置(つまりカソード排ガス用配管24の他端24B)までの希釈装置14の幅方向に沿う範囲Jに設けられる。具体的には、排水口41は、希釈装置14に対するアノード排ガス用配管23とカソード排ガス用配管24のそれぞれの接続位置(他端23B、他端24B)間における希釈装置14の幅方向に沿う範囲Tに設けられる。
【0028】
カソード排ガス用配管24からの反応用空気(カソードオフガス)の流量がアノード排ガス用配管23からの反応用ガス(アノードオフガス)の流量よりも大きいことから、上記位置に排水口41が設けられることで、アノード排ガス用配管23から希釈装置14内に導入された反応用ガス(アノードオフガス)が、希釈される前に排水口41から排出されることが防止される。
【0029】
以上のように構成されたことから、本実施形態によれば、次の効果(1)~(8)を奏する。
(1)図2及び図3に示すように、燃料電池スタック11の底面(エンドプレート)18に接続されたアノード排ガス用配管23、カソード排ガス用配管24が水平方向に配置され、更に希釈装置14の下部側面27A、下部側面29Aにそれぞれ接続されたので、これらの配管23、24が希釈装置14の底面40よりも下方へ突出することを抑制できる。このため、燃料電池システム10の高さ方向のコンパクト化を実現できる。
【0030】
(2)生成水を含む未反応の反応用ガス(アノードオフガス)、余剰の反応用空気(カソードオフガス)をそれぞれ排出するアノード排ガス用配管23、カソード排ガス用配管24が水平方向に配置されて希釈装置14の下部側面27A、下部側面29Aにそれぞれ接続され、この希釈装置14の底面40に排水口41が設けられている。このため、生成水がアノード排ガス用配管23及びカソード排ガス用配管24に滞留することがなく、重力を利用して生成水を、両排ガス用配管23、24を経て排水口41から容易に排水することができる。
【0031】
(3)図3に示すように、燃料電池スタック11の底面(エンドプレート)18にアノード供給ガス用配管21の他端21B、カソード供給ガス用配管22の他端22B、アノード排ガス用配管23の一端23A及びカソード排ガス用配管24の一端24Aがそれぞれ接続されて集約されている。このため、これらの配管21、22、23及び24が、燃料電池スタック11の天面(エンドプレート)20と底面(エンドプレート)18にそれぞれ分散して配置される場合に比べ、燃料電池システム10の高さを抑制でき、燃料電池システム10のコンパクト化を促進できる。
【0032】
(4)図2に示すように、カソード排ガス用配管24に配置されたカソード排気バルブ30が、ファン12の下方に位置付けられている。このカソード排気バルブ30は、高さ方向の寸法が比較的大きなものであるが、小型化が可能なファン12の下方に位置づけられることで、このカソード排気バルブ30を備えるカソード排ガス用配管24の下方への飛び出し量を抑制できる。この結果、燃料電池システム10のコンパクト化を一層促進できる。
【0033】
(5)カソード排ガス用配管24においては、燃料電池スタック11の底面(エンドプレート)18への取付部31が剛性の高い例えば金属にて構成され、希釈装置14の下部側面29Aへの取付部32が剛性の低い例えばゴムにて構成されている。これにより、カソード排ガス用配管24の取付部31は、曲げ半径を小さく設定できるので、カソード排ガス用配管24の下方への飛び出し量を抑制して、燃料電池システム10のコンパクト化に寄与できる。また、カソード排ガス用配管24の燃料電池スタック11への取付部31の剛性が高いことで、カソード排ガス用配管24がカソード排気バルブ30の重さによって下方へ垂れ下がることを抑制でき、カソード排ガス用配管24に生成水が滞留することを防止できる。
【0034】
更に、カソード排ガス用配管24の希釈装置14への取付部32が、剛性の低い例えばゴム製であることで、カソード排ガス用配管24の組付時の公差を吸収でき、カソード排ガス用配管24の組付性を向上させることができる。
【0035】
(6)図4に示すように、アノード排ガス用配管23とカソード排ガス用配管24は、それらの中心線の延長線35、36が希釈装置14内で交差するように接続されている。このため、アノード排ガス用配管23から希釈装置14内に導入される反応用ガス(アノードオフガス)と、カソード排ガス用配管24から希釈装置14内に導入される反応用空気(カソードオフガス)とを希釈装置14内で衝突させることができる。この結果、希釈装置14による反応用ガス(アノードガス)の希釈効果を向上させることができるので、希釈装置14を小型化できる。
【0036】
(7)希釈装置14の底面40に設けられた排水口41が、希釈装置14内での反応用ガス(アノードオフガス)と反応用空気(カソードオフガス)との衝突領域Sからカソード排ガス用配管24の希釈装置14への接続位置(他端24B位置)までの希釈装置14の幅方向に沿う範囲Jに設定されている。カソード排ガス用配管24から希釈装置14内に導入される反応用空気(カソードオフガス)の流量が、アノード排ガス用配管23から希釈装置14内に導入される反応用ガス(アノードオフガス)の流量よりも大きなことから、排水口41が上述の位置に設定されることで、この排水口41から反応用ガス(アノードオフガス)が希釈されずに排出されてしまう事態を防止できる。
【0037】
(8)図1に示すように、希釈装置14の幅方向に相対する両側面29間の寸法Nが、燃料電池スタック11の幅方向に相対する側面(エンドプレート)19間の寸法Mの範囲に収まり、更に、希釈装置14の天面33の最上位置が、燃料電池スタック11の天面(エンドプレート)20の位置よりも低く設定されている。これらの観点からも燃料電池システム10のコンパクト化を実現でき、更に、燃料電池スタック11の天面(エンドプレート)20よりも上方に他の部品を容易にレイアウトすることができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
10…燃料電池システム、11…燃料電池スタック、12…ファン、14…希釈装置、17…燃料電池セル、18…底面(エンドプレート)、19…側面(エンドプレート)、20…天面(エンドプレート)、21…アノード供給ガス用配管、22…カソード供給ガス用配管、23…アノード排ガス用配管、24…カソード排ガス用配管、21A、22A、23A、24A…一端、21B、22B、23B、24B…他端、27、29…側面、27A、29A…下部側面、30…カソード排気バルブ、31、32…取付部、33…天面、35、36…延長線、40…底面、41…排水口、M、N…寸法、J、T…範囲、S…衝突領域
図1
図2
図3
図4