(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 75/62 20060101AFI20231003BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B65D75/62 A
B65D33/00 C
(21)【出願番号】P 2019234326
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢島 俊輔
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-238047(JP,A)
【文献】特開2015-160646(JP,A)
【文献】特開2019-001523(JP,A)
【文献】特開2019-001524(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0074333(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00-79/02
B65D 30/00-33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを重ね合せ、少なくとも3つの端縁をシールして収容部を形成した矩形の包装袋であって、
前記収容部上において、重ね合わされた前記フィルムの一方の強度を線状に弱化させた第1の弱化線、および重ね合わされた前記フィルムの他方の強度を線状に弱化させた第2の弱化線と、
前記3つの端縁のうちの1つである第1の端縁に形成された、前記収容部を開封する際に前記フィルムを破断させるきっかけとなるノッチとを有し、
前記第1の弱化線は、
前記第1の端縁の延伸方向に直交し、前記第1の端縁から前記第1の端縁に対向する第2の端縁へ向かう第1の方向において前記第1の端縁から第1の距離だけ離れた位置にある一端、および前記第1の方向において前記一端から第2の距離だけ離れるとともに、前記第1の方向に直交する第2の方向において前記一端から所定の距離だけ離れた位置にある他端をつなぐ、前記第1の端縁側に突出する弧状の第1の曲線部と、
前記第1の曲線部の他端から、前記第1の方向に延伸する第1の直線部とを含み、
前記第2の弱化線は、
前記第1の方向において、前記第1の端縁から前記第1の距離だけ離れた位置にある一端、および前記第1の方向において前記一端から前記第2の距離だけ離れるとともに、前記第2の方向とは反対の方向において前記一端から所定の距離だけ離れた位置にある他端とをつなぐ、前記第1の端縁側に突出する弧状の第2の曲線部と、
前記第2の曲線部の他端から、前記第1の方向に延伸する第2の直線部とを含み、
前記第1の曲線部および前記第2の曲線部は、重ね合わされた前記フィルムの平面視において、互いに交差するとともに、それぞれ、前記ノッチから前記第1の方向へ向かって延伸する直線と交差し、
前記第1の直線部と前記第2の直線部とは、前記第2の方向において第3の距離だけ離れていて、
前記第1の距離が、1mmより大きく15mmより小さく、
前記第2の距離が、1mmより大きく20mmより小さく、
前記第3の距離が、1mmより大きく15mmより小さい、
包装袋。
【請求項2】
前記第1の曲線部と前記第2の曲線部との交点は、前記ノッチから前記第1の方向へ向かって延伸する直線上に位置する、
請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記第1の曲線部および前記第2の曲線部はいずれも、曲率が連続的に変化し、他端における接線の方向が前記第1の方向である、
請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記第1の方向における幅が45mm以上である、
請求項1~3のいずれかに記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1枚の矩形状の積層フィルムを2つ折りにして、合わせた端縁をシールして収容部を形成した三方シール袋や、1組の矩形状の積層フィルムを互いに重ね合せた後、端縁をシールして収容部を形成した四方シール袋等の包装袋が知られている。
【0003】
特許文献1は、切目線(弱化線)が設けられた2枚の矩形状の積層体の内層どうしを重ね合わせて、四周端縁でヒートシールした四方シール袋(包装袋)を開示している。一方の積層体の切目線は、積層体の幅方向の一端から他端まで形成され、一端と他端との間に、一端側の一点から分岐して他端側の一点に収斂する上側に膨れる円弧状の切目線と下側に膨れる円弧状の切目線とを備えている。また、他方の積層体の切目線は、積層体の幅方向の一端から他端まで、一方の積層体の上側に膨れる円弧状の切目線と下側に膨れる円弧状の切目線との間と対応する位置に形成されている。そして、いずれの切目線も、一端と他端とのそれぞれに、切目線の引裂き(破断)の開始を容易にするために、端部から内方に向かう3本の切目線が1本に収斂する収斂状切目線を備える。
【0004】
特許文献1の四方シール袋によれば、使用者は、収斂状切目線をきっかけにして、各積層体を切目線に沿って引裂くことができる。とくに、一方の積層体の切目線が円弧状の切目線を備えるため、引裂きにより形成された2枚の積層体の切断面の間には、四方シール袋の高さ方向において段差が生じ、使用者はこの段差を利用して2枚の積層体を互いに引き離すことができる。この結果、使用者は、引裂きにより形成された開口を大きく開くことができるため、内容物を容易に取り出すことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の四方シール袋は、収斂状切目線を備えるため、収斂状切目線周辺の端部における強度の確保が困難であったり、切目線を、シールを跨ぐように形成しているためシールをした際に積層体にクラックが発生したりするといった課題があり、弱化線を形成する位置には改善の余地があった。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、端部における強度を確保しながら、弱化線に沿って破断を進行させることで開口部に確実に段差を形成して、容易に内容物を取り出すことが可能な包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一局面は、フィルムを重ね合せ、少なくとも3つの端縁をシールして収容部を形成した矩形の包装袋であって、収容部上において、重ね合わされたフィルムの一方の強度を線状に弱化させた第1の弱化線、および重ね合わされたフィルムの他方の強度を線状に弱化させた第2の弱化線と、3つの端縁のうちの1つである第1の端縁に形成された、収容部を開封する際にフィルムを破断させるきっかけとなるノッチとを有し、第1の弱化線は、第1の端縁の延伸方向に直交し、第1の端縁から第1の端縁に対向する第2の端縁へ向かう第1の方向において第1の端縁から第1の距離だけ離れた位置にある一端、および第1の方向において一端から第2の距離だけ離れるとともに、第1の方向に直交する第2の方向において一端から所定の距離だけ離れた位置にある他端をつなぐ、第1の端縁側に突出する弧状の第1の曲線部と、第1の曲線部の他端から、第1の方向に延伸する第1の直線部とを含み、第2の弱化線は、第1の方向において、第1の端縁から第1の距離だけ離れた位置にある一端、および第1の方向において一端から第2の距離だけ離れるとともに、第2の方向とは反対の方向において一端から所定の距離だけ離れた位置にある他端とをつなぐ、第1の端縁側に突出する弧状の第2の曲線部と、第2の曲線部の他端から、第1の方向に延伸する第2の直線部とを含み、第1の曲線部および第2の曲線部は、重ね合わされたフィルムの平面視において、互いに交差するとともに、それぞれ、ノッチから第1の方向へ向かって延伸する直線と交差し、第1の直線部と第2の直線部とは、第2の方向において第3の距離だけ離れていて、第1の距離が、1mmより大きく15mmより小さく、第2の距離が、1mmより大きく20mmより小さく、第3の距離が、1mmより大きく15mmより小さい、包装袋である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、端部における強度を確保しながら、破断を確実に弱化線に沿って進行させることで開口部に段差を形成して、容易に内容物を取り出すことが可能な包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装袋の平面図および側面図
【
図3】本発明の一実施形態に係る包装袋の使用方法を説明する平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る包装袋について、図を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る包装袋100の平面図及び側面図であり、
図2は、
図1において点線で囲んだA部の拡大図であり、
図3は、包装袋100の使用方法を説明する平面図である。
【0013】
包装袋100は、2枚の矩形状のフィルム10を重ね合せ、4つの端縁71~74を所定幅にわたってシールして形成したシール部である端縁71~74により囲まれた収容部30を備える四方シール包装袋である。包装袋100は、収容部30上において、重ね合わされた2枚のフィルム10の強度を線状に弱化させた第1の弱化線41および第2の弱化線42と、端縁71に形成された、収容部30を開封する際にフィルム10を破断させるきっかけとなる第1のノッチ51とを備える。第1のノッチ51をきっかけにしてフィルム10を少なくとも部分的に破断して包装袋100に開口を形成することで、収容部30に収容された内容物を取り出すことができる。
【0014】
なお、以下では、第1のノッチ51が形成された端縁を第1の端縁71、第1の端縁71に対向する端縁を第2の端縁72、第1の端縁71に隣接する端縁のうち第1のノッチ51に近い側の端縁を第3の端縁73、第3の端縁73に対向する端縁を第4の端縁74と呼ぶ。また、便宜上、
図1に矢印で示すように、第1の端縁71の延伸方向に直交して第2の端縁72へ向かう方向を第1の方向と定義し、第1の方向に直交し、第3の端縁73から第4の端縁74へ向かう方向を第2の方向と定義する。
【0015】
(フィルム)
フィルム10は、矩形状に形成され、端縁をシールすることにより収容部30を有する包装袋100とするためのフィルム材である。フィルム10には、端縁71~74をヒートシール等によりシールするために、最内層にシーラント層を備える2層以上の多層フィルムを好適に用いることができる。フィルム10を構成する層の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アルミニウム(AL)、セロファン、ポリエチレン(PE)、透明蒸着PET、低吸着シーラント(ヒートシール性を有するPET(HS-PET)、環状ポリオレフィン、EVOHシーラント等)等を用いることができ、多層フィルムの場合は、これらを適宜組み合せて用いることができる。フィルム10の、第1の方向における幅は、人間の手により後述する段差を好適に形成するためには45mm以上であることが好ましい。
【0016】
フィルム10の層構成は、一例として、包装袋100を形成した際の最外層から最内層の順に、PET(12μm)/AL(7~20μm)/HS-PET(20~50μm)、PET(12μm)/AL(7~20μm)/PE(10~30μm)/PCO(10~30μm)、セロファン/AL(7~20μm)/HS-PET(20~50μm)、セロファン/AL(7~20μm)/PE(10~30μm)/PCO(10~30μm)、PET(12μm)/AL(7~20μm)/PE(20~50μm)、PET(12μm)/PE(10~30μm)/AL(7~20μm)/PE(10~40μm)、セロファン/PE(10~30μm)/AL(7μm)/PE(10~40μm)、などを採用することができる。以上の例の場合、第1の弱化線41および第2の弱化線42は、最外層に形成することができる。
【0017】
(ノッチ)
第1のノッチ51は、包装袋100の第1の端縁71に形成される切り込みである。包装袋100の使用者は、収容部30の開封に際して、第1のノッチ51をきっかけにしてフィルム10の破断を開始することができる。第1のノッチ51は、対向する第2の端縁72に向かって、第1の端縁71を所定長さにわたって直線状に切り込んで形成される。第1のノッチ51の形状は、フィルム10の破断のきっかけとなるものであれば直線状に限定されず、三角形、五角形等の切り欠き形状を採用することができる。
【0018】
(弱化線)
第1の弱化線41および第2の弱化線42は、重ね合わされた2枚のフィルム10のそれぞれに所定の位置関係で、強度を線状に弱化させて形成される。詳細は後述するが、第1のノッチ51をきっかけにして発生させた破断を、第1の弱化線41および第2の弱化線42上を進行させることによって、包装袋100を開封することができる。第1の弱化線41は、第1の曲線部41aと第1の直線部41bとを含む。また、第2の弱化線42は、第2の曲線部42aと第2の直線部42bとを含む。第1の弱化線41は、
図1の平面図の紙面手前側に形成されており、第2の弱化線42は、
図1の平面図の紙面奥側に形成されている。
【0019】
第1の曲線部41aは、第1の方向において、第1の端縁71から第1の距離a離れた位置にある一端41a’と、第1の方向において一端から第2の距離b離れるとともに、第2の方向において一端から所定の距離だけ離れた位置にある他端41a’’とをつなぎ、第1の端縁71側に突出する弧状の曲線である。また、第1の直線部41bは、第1の曲線部41aの他端41a’’から、第1の方向に所定の長さ延伸する直線である。
【0020】
第2の曲線部42aは、第1の方向において、第1の端縁71から第1の距離a離れた位置にある一端42a’と、第1の方向において一端から第2の距離b離れるとともに、第2の方向とは反対の方向において一端から所定の距離だけ離れた位置にある他端42a’’とをつなぎ、第1の端縁71側に突出する弧状の曲線である。また、第2の直線部42bは、第2の曲線部42aの他端42a’’から、第1の方向に所定の長さ延伸する直線である。
【0021】
第1の曲線部41aおよび第2の曲線部42aは、重ね合わされたフィルム10の平面視において、互いに交差するとともに、それぞれ、第1のノッチ51から第1の方向へ向かって延伸する仮想的な直線80と交差するように形成される。また、第1の直線部41bと第2の直線部42bとは、第2の方向において第3の距離c離れるように形成される。
【0022】
第1の弱化線41および第2の弱化線42は、第1の距離aが1mmより大きく15mmより小さく、第2の距離bが1mmより大きく20mmより小さく、第3の距離cが1mmより大きく15mmより小さくなる位置に形成される。
【0023】
詳細は後述するが、第1の曲線部41aと第2の曲線部42aとは、第1の曲線部41aと第2の曲線部42aとの交点が、第1のノッチ51から第1の方向へ向かって延伸する直線80上に位置することが好ましい。また、第1の曲線部41aおよび第2の曲線部42aはいずれも、曲率が連続的に変化し、他端41a’’、42a’’における接線の方向が第1の方向であることが好ましい。
【0024】
第1の弱化線41および第2の弱化線42は、一例としてフィルム10に断続的な線状の切れ目(ハーフカット)を形成することにより得られる。破断を容易にするために、フィルム10が積層フィルムである場合には、切れ目がアルミニウム層を除くカット性を有しない延伸基材層に設けられていることが好ましい。第1の弱化線41および第2の弱化線42は、トムソン刃やレザー刃等の刃型、炭酸ガスレーザーなどの周知の方法で形成することができる。
【0025】
(弱化線の機能)
第1の弱化線41および第2の弱化線42を備えた包装袋100では、第1のノッチ51に力を加えることで、第1のノッチ51をきっかけにして破断を第1の端縁71に発生させることができる。破断は、フィルム10を直線80に沿ってせん断する力を包装袋100に加えることで、第1の端縁71から第1の方向に向かって進む。そして、破断が第1の端縁71から所定の距離進むことで少なくとも第1の曲線部41aおよび第2の曲線部42aのいずれかに到達することができる。
【0026】
さらに包装袋100に力を加え続けることにより、破断は、
図3に黒色の矢印で示すように、第1の曲線部41aに沿って他端41a’’まで進み、その後、第1の直線部41bに沿って第2の端縁72側の端部まで達することができる。同様に、第2の曲線部42aに到達した破断は、第2の曲線部42aに沿って他端42a’’まで進んだ後、第2の直線部42bに沿って進んで第2の端縁72側の端部に達することができる。
【0027】
この結果、
図3に示すように、第1の弱化線41および第2の弱化線42の切断面により囲まれた開口が、包装袋100に形成される。上述のように、第1の直線部41bと第2の直線部42bとは第3の距離c離れて形成されているため、平面視において、それぞれの切断面の間には第2の方向に所定の幅Wの段差(間隔)が形成される。この段差により、2枚のフィルム10を互いに引き離して形成された開口を大きく開くことができる、内容物を容易に取り出すことができる。
【0028】
とくに、第1の距離aが1mmより大きいため、第1の弱化線41および第2の弱化線42により、第1の端縁71の強度が低下することを防止できるとともに、ヒートシールを用いてシール部20を形成する際に、収容部30のシール部20側端部に発生する引張応力により弱化線が部分的に破断して微小なクラックが発生することを防止できる。また、第1の距離aが15mmより小さいため、第1のノッチ51をきっかけにして発生した破断を速やかに第1の曲線部41aおよび第2の曲線部42aに到達させることができる。
【0029】
また、第2の距離bが1mmより大きいため、第1の曲線部41aおよび第2の曲線部42aが第1の方向に対して急激に変化することで、破断が第1の弱化線41および第2の弱化線42からそれることを防止できる。さらに、第2の距離bが20mmより小さいため、第1の方向にわたって段差の幅Wが大きい領域を広く確保することができる。
【0030】
また、第3の距離cが1mmより大きいため、開封により形成される段差の幅Wを人間の手により2枚のフィルム10を互いに引き離すことが容易な大きさとすることができる。さらに、第3の距離cが15mmより小さいため、段差の幅Wが大きくなり過ぎて破断の進行に大きな力が必要となることを防止できる。
【0031】
また、第1の曲線部41aおよび第2の曲線部42aが、フィルム10の平面視において互いに交差するとともに、それぞれ直線80と交差するように形成されているため、ノッチ51をきっかけとして発生した破断が、速やかに第1の曲線部41aおよび第2の曲線部42aの少なくともいずれかに到達することができる。
【0032】
また、第1の曲線部41aおよび第2の曲線部42aがいずれも、第1の端縁71側に突出する弧状の曲線であるため、破断は第1の曲線部41aおよび第2の曲線部42aのそれぞれから、第1の直線部41bおよび第2の直線部42bへスムーズに進むことができ、第1の弱化線41および第2の弱化線42からそれてしまうことを抑制できる。
【0033】
また、第1の曲線部41aと第2の曲線部42aとの交点が直線80上に位置するように形成されることにより、破断が、第1の曲線部41aと第2の曲線部42aとに同時に到達できるため、スムーズに破断を進行させることができる。
【0034】
また、第1の曲線部41aおよび第2の曲線部42aはいずれも、曲率が連続的に変化し、それぞれの他端41a’’、42a’’における接線の方向が第1の方向であることが好ましい。これにより、第1の曲線部41aおよび第2の曲線部42aに沿って進んだ破断はそれぞれ、スムーズに第1の直線部41bおよび第2の直線部42bに進むことができる。
【0035】
以上説明したように、包装袋100によれば、ノッチ51をきっかけとして発生した破断が、確実に第1の弱化線41および第2の弱化線42に到達して、第1の弱化線41および第2の弱化線42に沿ってスムーズに進むことができるため、所望の位置に段差を備える開口を容易に形成することができる。
【0036】
(変形例)
次に変形例に係る包装袋101、包装袋100との相違点を中心に説明する。
図4は、包装袋101の平面図である。なお、以下では、実施形態と同一または対応する構成には、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0037】
包装袋101と包装袋100との相違点は、包装袋101の、第1の弱化線41および第2の弱化線42がそれぞれ、第1の直線部41bおよび第2の直線部42bそれぞれの第2の端縁72側の端部に、さらに第1の曲線部41aおよび第2の曲線部42aを備える点、
【0038】
包装袋101は、第1の弱化線41および第2の弱化線42がいずれも、2つの第1の曲線部41aおよび第2の曲線部42aを備えるため、第3の端縁73側から破断を生じさせた場合でも、破断を第1の弱化線41および第2の弱化線42に沿って進めて、段差を備えた開口を形成することができる。なお、破断を生じさせるきっかけとなる第2のノッチ52(不図示)が、第3の端縁73の直線80上に形成されてもよい。
【0039】
なお、以上では四方シール袋を例に説明したが、包装袋100、101は少なくとも3つの端縁をシールして収容部を形成した矩形の包装袋であれば四方シール袋に限定されない。包装袋100、101は、例えば、1枚の矩形状の積層フィルムを2つ折りにして、合わせた端縁をシールした三方シール袋を用いてもよい。また、1枚の矩形状の積層フィルムを2つ折りにして、4つの端縁とした四方シール袋を用いてもよい。
【0040】
また、包装袋100、101は、開封時に形成される段差が、破断により分離された第3の端縁73側のフィルム10の移動を阻害する場合がある。具体的には、
図1、
図3に示した包装袋100、101であれば、第3の端縁73が紙面奥側に行くように力が加えられると、紙面手前側のフィルム10の、平面視において第1の弱化線41と第2の弱化線42とに挟まれた部分が紙面奥側のフィルム10の第1の弱化線41と第2の弱化線42とに挟まれた部分に接触をして、移動が阻害される。このため、包装袋100、101は、第3の端縁73が手前側に来て、第4の端縁74が紙面奥側に行くように力を加えられることが好ましく、このように、フィルム10の引裂き方向を指示する開封ガイドを、使用者が視認しやすいフィルム10の表面に付してもよい。
【実施例】
【0041】
実施例及び比較例に係る包装袋として
図1に示した第1の実施形態に係る包装袋を製造し、開封性についての評価を行った。製造した包装袋の第1の方向における幅は190mmであり、第1の弱化線および第2の弱化線は出力30Wの炭酸ガスレーザーを用いて形成した。
【0042】
製造した包装袋を、第1のノッチをきっかけとして、第3の端縁73が紙面奥側に行くように力を加えて開封した際の開封性および段差の有無について評価した。表1に、実施例1~20および比較例1~10に係る各包装袋の第1の距離a、第2の距離b、第3の距離c、および評価結果(開封性、段差の大きさ、クラックの発生、総合評価)を示した。
【0043】
「開封性」の項目は、破断が第1の弱化線および第2の弱化線のいずれからも、それることなく進んで好適に開封ができた場合を「++」で示し、破断が部分的に第1の弱化線および第2の弱化線のいずれかから、わずかにそれたものの開封ができた場合を「+」で示し、破断が第1の弱化線および第2の弱化線のいずれかから大きくそれて、開封ができなかった場合を「-」で示した。
【0044】
「開口の開けやすさ」の項目は、フィルムを破断した結果形成された段差を利用した開口の開けやすさにより次のように評価した。すなわち、人間の手により容易に開口を開くことができた場合「++」で示し、人間の手により開口を開くことができた場合「+」で示し、人間の手により開口を開くことが困難である場合「-」で示した。
【0045】
「クラックの発生」の項目は、シール部を形成した際に、第1の弱化線および第2の弱化線の第1の端縁側の一端におけるクラック発生の有無により次のように評価した。すなわち、クラックが発生した場合を「+」で示し、クラックが発生しなかった場合を「-」で示した。
【0046】
「総合評価」の項目は、「開封性」、「段差の大きさ」、および「クラックの発生」のいずれかに「-」の評価がある場合を、全体として好適でない包装袋と評価して「-」で示し、それ以外の場合を、好適な包装袋と評価して「+」で示した。
【0047】
【0048】
実施例1~20に係る包装袋においては、製造に際してクラックが発生しないこと、開封ができること、および段差を利用して好適に開口を開くことができることが確認できた。
【0049】
比較例1、5、8に係る包装袋においては、第1の距離aが1mmと小さいため、シール部を形成した際に、第1の弱化線および第2の弱化線の第1の端縁側の端部においてクラックが発生した。
【0050】
比較例2、9に係る包装袋においては、第1の距離aが15mmと大きいため、破断が第1の弱化線および第2の弱化線に到達できずに、好適に開封をすることができなかった。
【0051】
比較例3、5、8に係る包装袋においては、第2の距離bが1mmと小さいため、破断が第1の曲線部および第2の曲線部に沿って進むことができずに、第1の弱化線および第2の弱化線からはずれて、好適に開封をすることができなかった。
【0052】
比較例4、10に係る包装袋においては、幅Wの最大値が大きな段差を形成できたものの、第2の距離bが20mmと大きいため、第1の方向において段差が形成される領域が狭く、開口を開くことが困難であった。
【0053】
比較例6に係る包装袋においては、第3の距離cが1mmと小さいため、段差の幅Wが小さく、開口を開くことが困難であった。
【0054】
比較例7に係る包装袋においては、第3の距離cが15mmと大きいため、破断の進行に大きな力が必要となり、好適に開封をすることができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、薬物を経皮投与するテープ材や貼付剤のようなシート状の内容物の包装に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0056】
100、101 包装袋
10 フィルム
20 シール部
30 収容部
41 第1の弱化線
42 第2の弱化線
51 第1のノッチ
52 第2のノッチ
61 仮想的な第1の直線
62 仮想的な第2の直線
71 第1の端縁
72 第2の端縁
73 第3の端縁
74 第4の端縁
80 ノッチから延伸する直線