(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】情報通信装置、情報通信方法及び情報通信プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/06 20220101AFI20231003BHJP
【FI】
H04L67/06
(21)【出願番号】P 2020004650
(22)【出願日】2020-01-15
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】谷井 智郎
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-353247(JP,A)
【文献】特開2006-067368(JP,A)
【文献】特開2005-117417(JP,A)
【文献】特開2008-246775(JP,A)
【文献】特開2012-104075(JP,A)
【文献】特開2007-188448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のファイル情報を蓄積する情報蓄積手段と、
他の情報通信装置からのリクエストを受信する受信手段と、
上記リクエストに基づいて対応するファイル情報を読み出し、所定のアーカイブフォーマットでアーカイブ化し、これにより得たアーカイブ化データを生成するアーカイブ化実行手段と、
上記アーカイブ化実行手段で生成された上記アーカイブ化データを、上記リクエストに対するレスポンスのボディ部に記述して、上記レスポンスを作成するレスポンス作成手段と、
上記レスポンスを要求元の上記他の情報通信装置に送信する送信手段と
を備えることを特徴とする情報通信装置。
【請求項2】
上記ファイル情報が、ネットワーク上のトラフィック情報であり、上記アーカイブフォーマットがZIPフォーマットであることを特徴とする請求項1に記載の情報通信装置。
【請求項3】
情報通信装置における情報通信方法であって、
情報蓄積手段が、複数のファイル情報を蓄積し、
受信手段が、他の情報通信装置からのリクエストを受信し、
アーカイブ化実行手段が、上記リクエストに基づいて対応するファイル情報を読み出し、所定のアーカイブフォーマットでアーカイブ化し、これにより得たアーカイブ化データを生成し、
レスポンス作成手段が、上記アーカイブ化実行手段で生成された上記アーカイブ化データを、上記リクエストに対するレスポンスのボディ部に記述して、上記レスポンスを作成し、
送信手段が、上記レスポンスを要求元の上記他の情報通信装置に送信する
ことを特徴とする情報通信方法。
【請求項4】
複数のファイル情報を蓄積する情報蓄積手段を備える情報通信装置に搭載されたコンピュータを、
他の情報通信装置からのリクエストを受信する受信手段と、
上記リクエストに基づいて対応するファイル情報を読み出し、所定のアーカイブフォーマットでアーカイブ化し、これにより得たアーカイブ化データを生成するアーカイブ化実行手段と、
上記アーカイブ化実行手段で生成された上記アーカイブ化データを、上記リクエストに対するレスポンスのボディ部に記述して、上記レスポンスを作成するレスポンス作成手段と、
上記レスポンスを要求元の上記他の情報通信装置に送信する送信手段と
して機能させることを特徴とする情報通信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報通信装置、情報通信方法及び情報通信プログラムに関し、例えば、大量のトラフィック情報を、要求元の他の通信装置に送信する情報通信装置に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク上には膨大な通信データが流れ、大量のトラフィックが発生している。ネットワークの通信品質の劣化等を回避するため、ネットワークの状況を逐次監視して通信制御等を行なう必要性がある。その際、トラフィックの発生要因を把握することが重要となり、例えば、通信データが流れたネットワークのエリア、時間帯、ユーザ端末種別、アプリケーションなどを特定して通信量を把握することが有効である。
【0003】
ネットワーク上には膨大なパケットが流れ、大量のトラフィックが発生している。トラフィックの解析や分別等を行なうために、ゲートウェイやルータ等と接続しているDPI(Deep Packet Inspection)装置はトラフィックを検査している。また、トラフィック情報蓄積装置は、DPI装置から大容量のトラフィック情報(トラフィックレポートとも呼ぶ。)を周期的に収集して内部ストレージに蓄積する。
【0004】
また、トラフィック情報を参照しようとするトラフィック参照装置は、トラフィック情報蓄積装置に対して、所望のトラフィック情報について参照リクエストを送信し、これを受けたトラフィック情報蓄積装置は、対応するトラフィック情報に関する大量の複数のファイルを、1つのファイル(zipファイル)にアーカイブ化し、その1つにまとめたzipファイルをトラフィック情報参照装置に送信している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年は、参照要求されたトラフィック情報をリアルタイムで送信することが求められている。しかし、上述した従来技術は、複数のファイルを1つにまとめてzipファイルを作成しており、そのファイル作成の時間がかかってしまう。
【0007】
また、従来は、圧縮率0でzipコマンドを実行しているため、zipファイルを作成してしまうと、ストレージの容量を圧迫してしまう。さらに、受信側機器の仕様上、圧縮率0としてファイルアーカイブ化を実施しているが、アーカイブ化するファイルはgzipで圧縮したファイルであり、圧縮してもサイズにほとんど影響がないため、ストレージの容量を圧迫してしまう。
【0008】
さらに、zipファイルの作成・削除をHTTPレスポンス毎に実施するため、機器のI/O性能の影響を受けてしまう。
【0009】
そこで、本発明は、リアルタイム性のある大量のトラフィック情報を蓄積する記憶部(ストレージ)の容量を圧迫せず、アーカイブ化した情報を送信することができる情報通信装置、情報通信方法及び情報通信プログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するために、第1の本発明の情報通信装置は、複数のファイル情報を蓄積する情報蓄積手段と、他の情報通信装置からのリクエストを受信する受信手段と、リクエストに基づいて対応するファイル情報を読み出し、所定のアーカイブフォーマットでアーカイブ化し、これにより得たアーカイブ化データを生成するアーカイブ化実行手段と、アーカイブ化実行手段で生成されたアーカイブ化データを、リクエストに対するレスポンスのボディ部に記述して、レスポンスを作成するレスポンス作成手段と、レスポンスを要求元の他の情報通信装置に送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
第2の本発明の情報通信方法は、情報通信装置における情報通信方法であって、情報蓄積手段が、複数のファイル情報を蓄積し、受信手段が、他の情報通信装置からのリクエストを受信し、アーカイブ化実行手段が、リクエストに基づいて対応するファイル情報を読み出し、所定のアーカイブフォーマットでアーカイブ化し、これにより得たアーカイブ化データを生成し、レスポンス作成手段が、アーカイブ化実行手段で生成されたアーカイブ化データを、リクエストに対するレスポンスのボディ部に記述して、レスポンスを作成し、送信手段が、レスポンスを要求元の他の情報通信装置に送信することを特徴とする。
【0012】
第3の本発明の情報通信プログラムは、複数のファイル情報を蓄積する情報蓄積手段を備える情報通信装置に搭載されたコンピュータを、他の情報通信装置からのリクエストを受信する受信手段と、リクエストに基づいて対応するファイル情報を読み出し、所定のアーカイブフォーマットでアーカイブ化し、これにより得たアーカイブ化データを生成するアーカイブ化実行手段と、アーカイブ化実行手段で生成されたアーカイブ化データを、リクエストに対するレスポンスのボディ部に記述して、レスポンスを作成するレスポンス作成手段と、レスポンスを要求元の他の情報通信装置に送信する送信手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、リアルタイム性のある大量のトラフィック情報を蓄積する記憶部(ストレージ)の容量を圧迫せず、アーカイブ化した情報を送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る情報通信システムの全体構成を示す全体構成図である。
【
図2】実施形態に係る解析情報収集装置の内部構成を示す内部構成図である。
【
図3】実施形態に係る解析情報参照装置の内部構成を示す内部構成図である。
【
図4】実施形態に係る解析情報収集装置における情報送信処理の動作を示すフローチャートである。
【
図5】実施形態に係る解析情報収集装置における情報送信処理の動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(A)主たる実施形態
以下では、本発明に係る情報通信装置、情報通信方法及び情報通信プログラムの実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(A-1)実施形態の構成
[全体構成]
図1は、実施形態に係る情報通信システムの全体構成を示す全体構成図である。
【0017】
図1において、実施形態に係る情報通信システム10は、解析情報収集装置1、解析情報参照装置2、解析装置3(3-1、3-2)を有する。
【0018】
解析装置3-1及び3-2は、ネットワークNW上を流れる通信データ(パケット)のトラフィック情報を解析するものである。例えば、解析装置3-1及び3-2は、ネットワークNW上のゲートウェイやルータ等のネットワーク機器と接続しており、ネットワーク機器から収集したトラフィック情報を解析する。より具体的には、解析装置3-1及び3-2は、DPI(Deep Packet Inspection)機能を有しており、パケットのヘッダ情報に含まれている送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、TCPポート番号、プロトコル、データ種別、通信時刻等を含む情報を逐次解析し、これら解析結果をトラフィック情報として保持する。解析装置3-1及び3-2は、解析情報収集装置1からリクエストされた特定のトラフィック情報を読み出し、そのトラフィック情報を解析情報収集装置1に送信する。なお、この実施形態では、2台の解析装置3-1及び3-2を例示するが、解析装置3の数は限定されない。
【0019】
解析情報収集装置1は、解析装置3-1及び3-2から解析結果としてのトラフィック情報を周期的に収集して、内部ストレージにトラフィック情報を蓄積するものである。解析情報収集装置1と解析装置3-1及び3-2とは、例えばHTTPを用いた伝送方式を適用でき、解析情報収集装置1が、周期的に、解析装置3-1及び3-2に対して、所望のトラフィック情報を指定した収集リクエストを送信する。そして、収集リクエストを受信した解析装置3-1及び3-2が、収集リクエストで指定されたトラフィック情報を含む収集レスポンスを解析情報収集装置1に返信する。これにより、解析情報収集装置1は、所望のトラフィック情報を収集して蓄積(保持)することができる。
【0020】
より具体的には、所定の収集期間(例えば、5分、1時間、24時間など)毎に、それまでに解析装置3-1及び3-2が獲得している特定の時間帯の特定のトラフィック情報を、解析情報収集装置1は解析装置3-1及び3-2にリクエストして収集する。このようなトラフィック情報の収集を、所定の収集期間毎に周期的に繰り返し行うことにより、解析情報収集装置1は、例えば1時間分、1日分等の特定のトラフィック情報を収集することができる。ネットワークNW上には膨大な通信データが流れており、大量のトラフィック情報が発生している。したがって、解析情報収集装置1は、リアルタイムのトラフィック情報を蓄積することが要求されると共に、大量のトラフィック情報を蓄積するため、解析情報収集装置1には大容量のストレージ(記憶部)を備えることが望まれる。
【0021】
また、解析情報収集装置1は、解析情報参照装置2からリクエストされた特定のトラフィック情報をストレージ(記憶部)から読み出し、そのトラフィック情報を含む情報を、要求元の解析情報参照装置2に送信する。
【0022】
ここで、解析情報収集装置1と解析情報参照装置2とは、例えばHTTPを用いた伝送方式を適用しており、解析情報参照装置2が、解析情報収集装置1に対して参照リクエスト(HTTPリクエスト)を送信し、参照リクエストで要求された特定のトラフィック情報を、ストレージ(記憶部)から読み出す。
【0023】
このとき、解析情報収集装置1は、ストレージから読み出した複数のトラフィック情報を、所定のアーカイブフォーマットでまとめてアーカイブ化し、これにより得たアーカイブ化データを、HTTPレスポンスのボディ部に記述する。そして、解析情報収集装置1は、ボディ部にアーカイブ化データを記述したHTTPレスポンスを参照レスポンスとして、要求元の解析情報参照装置2に送信する。
【0024】
ここで、所定のアーカイブフォーマットとは、複数のトラフィック情報をまとめて取り扱うためのフォーマットであり、複数のトラフィック情報を格納可能な構造を有する。所定のアーカイブフォーマットとしては、例えばZIPフォーマットを適用できる。
【0025】
解析情報参照装置2は、解析情報収集装置1から取得したトラフィック情報を参照して、詳細な解析や分析を行なうものである。解析情報参照装置2は、解析情報収集装置1に対して、所望のトラフィック情報を指定した参照リクエストを送信する。そして、参照リクエストを受信した解析情報収集装置2が、収集リクエストで指定されたトラフィック情報を含む情報を解析情報参照装置2に返信する。
【0026】
[解析情報収集装置]
図2は、実施形態に係る解析情報収集装置1の内部構成を示す内部構成図である。
【0027】
図2において、実施形態に係る解析情報収集装置1は、通信部11、制御部12、記憶部13を有する。
図2では、解析情報収集装置1において、解析情報参照装置2との間で情報の授受を行なう側の構成を示しており、通信部11、制御部12、記憶部13を有する構成を情報送信装置50とも呼ぶ。
【0028】
記憶部13は、解析装置3-1及び3-2から収集したトラフィック情報を蓄積する記憶領域(ストレージ)である。トラフィック情報は、解析装置3-1及び3-2から収集した情報である。例えば、トラフィック情報は、ネットワークNWを流れた通信データのヘッダ情報に含まれている情報を解析・分析した情報であって、当該通信データの送信元及び宛先のIPアドレス、通信ポート番号、通信プロトコル、通信種別、送信元及び宛先のMACアドレス、通信量等を含む情報である。より具体的には、トラフィック情報は、上述した通信データのヘッダ情報に基づいて解析・分析された情報であって、エンドユーザ単位又はISP(Internet Service Provider)単位の通信量等を含む。
【0029】
通信部11は、解析情報参照装置2との間の通信インタフェースである。通信部11は、解析情報参照装置2から参照リクエスト(HTTPリクエスト)を受信して、受信した参照リクエストを制御部12に与える受信部111と、制御部12により生成された参照レスポンス(HTTPレスポンス)を、参照リクエストの要求先の解析情報参照装置2に送信する送信部112とを有する。
【0030】
制御部12は、解析情報収集装置1の各種処理を司るものである。制御部12のハードウェア(図示しない)は、例えば、CPU、ROM、RAM、EEPROM等を有する演算処理装置であり、CPUが、ROMに格納される処理プログラム(例えば情報通信プログラム等)を実行することにより、各種処理が実現できる。なお、情報通信プログラムがインストールされることにより、システムが構築されるようにしてもよく、その場合でも、情報通信プログラムは、コンピュータを、
図2の制御部12のブロック図で示した処理として機能させるものとして表すことができる。
【0031】
制御部12は、参照リクエスト取得部121、対象指定部122、アーカイブ実行部123、参照レスポンス作成部124を有する。
【0032】
参照リクエスト取得部121は、受信部111により受信された参照リクエストを取得し、その参照リクエストを解析する。そして、参照リクエスト取得部121は、参照リクエストの解析結果を対象指定部122に与える。参照リクエストには、例えば、解析情報参照装置2が要求する解析情報(トラフィック情報)を指定する情報が含まれている。その指定する情報は、様々であるが、例えば、特定のネットワークエリアを指定して、その特定ネットワークエリアのトラフィック情報としてもよいし、又例えば、特定の時間帯に発生したトラフィックのトラフィック情報としてもよい。また例えば、特定のアプリケーション毎のトラフィック情報等としてもよい。換言すると、参照リクエストには、ネットワークNWにおいて発生したトラフィックを、例えば、場所的な要因、時間的な要因、通信種別等の内容の要因等のいずれか又はそれらを組み合わせた対象指定情報が含まれる。
【0033】
対象指定部122は、参照リクエスト取得部121からの参照リクエストで指定されている対象指定情報に基づいて、記憶部13から対象指定情報に対応するトラフィック情報を検索する。
【0034】
アーカイブ化実行部123は、対象指定部122により検索された複数のトラフィック情報に対して、圧縮率0[%]でzipコマンドを実行して、アーカイブ化する。そして、アーカイブ化実行部123は、圧縮率0[%]でzipコマンドの実行で得られたzipデータを参照レスポンス作成部124に与える。
【0035】
圧縮率0[%]でzipコマンドを実行している理由は、解析情報参照装置2側の受信部211の仕様上そのようにしている。また、解析情報参照装置2に正確なデータを与えることが求められるため、ある圧縮率の値(圧縮率0以外の値)でzipコマンドを実行して送信することで、トラフィック情報のデータ値が正確でなくなる可能性があるからである。もちろん、データの正確性に影響を及ぼす可能性はあるが、通信量を減らす必要性がある場合には、圧縮率の値は「0[%]」に限定されず、圧縮率0[%]以外の値であってもよい。なお、このとき、各zipデータについては、ストレージとしての記憶部13以外の一時記憶部(
図5の記憶部125)に一時的に記憶させてもよい。
【0036】
参照レスポンス作成部124は、参照リクエストに対する参照レスポンスを作成して、送信部112を通じて要求元の解析情報参照装置2に送信するものである。ここで、参照レスポンス作成部124は、アーカイブ化実行部123により、複数のトラフィック情報を圧縮率0[%]でzipコマンドを実行して得られたzipデータを、HTTPレスポンス(参照レスポンス)のボディ部に1行ずつ記述して、参照レスポンスを作成する。
【0037】
ここで、従来は、圧縮率0[%]でzipコマンドを実行して、複数のトラフィック情報(つまり、膨大なトラフィック情報)のそれぞれを用いて、zipファイルを作成して、複数のトラフィック情報のzipファイルをHTTPレスポンスに添付して、要求元の解析情報参照装置2に送信している。しかし、解析情報参照装置2が要求するトラフィック情報の容量は大容量であり、圧縮率0[%]でzipコマンドを実行してzipファイルを作成しても、圧縮しても容量にほとんど影響がないため、zipファイルの容量も大きく、しかも、HTTPレスポンスに添付するために、作成した複数のトラフィック情報のそれぞれの各zipファイルを記憶部(ストレージ)13に記憶する必要がある。そうすると、記憶部13(ストレージ)の容量を圧迫することになる。また、複数のトラフィック情報(膨大なトラフィック情報)のそれぞれを用いて、zipファイルを作成しているので、zipファイルを作成するための時間がかかってしまう。さらに、zipファイルを添付したHTTPレスポンスを、要求元の解析情報参照装置2に返信した後、HTTPレスポンス毎に、記憶部(ストレージ)13に記憶させた各zipファイルを削除する必要がある。
【0038】
そこで、この実施形態では、上述したように、アーカイブ化実行部123は、トラフィック情報についてzipファイルを作成するのではなく、圧縮率0[%]のzipコマンドの実行で得られたzipデータを参照レスポンス作成部124に渡し、参照レスポンス作成部124が、HTTPレスポンスのボディ部に、各zipデータを記述することとしている。このようにすることで、zipファイルを記憶する必要がなくなるので、解析装置3-1及び3-2からリアルタイム性のある大量のトラフィック情報を蓄積していく記憶部(ストレージ)13の容量を圧迫することはなくなる。さらに、HTTPレスポンス毎に、zipファイルの作成や削除をする必要がなくなるので、zipファイルの作成や削除に係る時間も不要となり、効率的な処理を実施できる。
【0039】
[解析情報参照装置]
図3は、実施形態に係る解析情報参照装置2の内部構成を示す内部構成図である。
【0040】
図3において、実施形態に係る解析情報参照装置2は、通信部21、制御部22、記憶部23を有する。
図3では、解析情報参照装置2において、解析情報収集装置1との間で情報の授受を行なう側の構成を示しており、通信部21、制御部22、記憶部23を有する構成を情報受信装置60とも呼ぶ。
【0041】
記憶部23は、解析情報収集装置1から取得したトラフィック情報を記憶する記憶領域である。
【0042】
通信部21は、解析情報収集装置1との間の通信インタフェースである。通信部21は、解析情報収集装置1に対して参照リクエスト(HTTPリクエスト)を送信する送信部212と、解析情報収集装置1から参照レスポンス(HTTPレスポンス)を受信する受信部211とを有する。
【0043】
制御部22は、解析情報参照装置2の各種処理を司るものである。制御部22のハードウェア(図示しない)は、例えば、CPU、ROM、RAM、EEPROM等を有する演算処理装置であり、CPUが、ROMに格納される処理プログラム(例えば情報通信プログラム等)を実行することにより、各種処理が実現できる。なお、情報通信プログラムがインストールされることにより、システムが構築されるようにしてもよく、その場合でも、情報通信プログラムは、コンピュータを、
図3の制御部22のブロック図で示した処理として機能させるものとして表すことができる。
【0044】
制御部22は、参照レスポンス取得部221、アーカイブ化データ解析部222、参照リクエスト作成部223を有する。
【0045】
参照リクエスト作成部223は、所望のトラフィック情報を取得・参照するために、参照リクエスト(HTTPリクエスト)を作成して、送信部212を通じて、参照リクエストを解析情報収集装置1に送信する。
【0046】
参照レスポンス取得部221は、受信部211により受信された参照レスポンスを取得し、その参照レスポンスを解析して、当該参照レスポンスをアーカイブ化データ解析部222に与える。
【0047】
アーカイブ化データ解析部222は、参照レスポンス取得部221からの参照レスポンスのボディ部に記述されているアーカイブ化データとしてのzipデータを解凍(展開)して、これにより得られたトラフィック情報を記憶部23に記憶させる。
【0048】
(A-2)実施形態の動作
次に、実施形態に係る解析情報収集装置1における情報送信処理の動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0049】
図4は、実施形態に係る解析情報収集装置1における情報送信処理の動作を示すフローチャートである。
図5は、実施形態に係る解析情報収集装置1における情報送信処理の動作を説明する説明図である。
【0050】
まず、解析情報収集装置1において、解析情報参照装置2から参照リクエストが受信部111に受信されると(S11)、参照リクエスト取得部121が、参照リクエストを解析する。指定対象部122は、参照リクエストに基づいて、解析情報参照装置2が要求しているトラフィック情報の種別を示す指定情報を特定する。そして、指定対象部122は、上述した指定情報に基づいて、記憶部13から、アーカイブ化の対象ファイル(トラフィック情報)を指定する(S12)。
【0051】
アーカイブ化実行部123は、アーカイブ化の対象ファイル(トラフィック情報)のそれぞれを、圧縮率0[%]でzipコマンドを実行して、各zipデータを得る(S13、
図5参照)。
【0052】
参照レスポンス作成部124は、参照リクエストに対する参照レスポンスを作成する。このとき、参照レスポンス作成部124は、HTTPレスポンスのヘッダ情報を作成し、さらに参照レスポンス作成部124がHTTPレスポンスのボディ部を作成する際に、アーカイブ化実行部123により作成されたzipデータを、1行ずつボディ部に記述する(S14、
図5参照)。より具体的には、HTTPレスポンスのヘッダ情報には、HTTPリクエストに対するレスポンスであるため「Status:200」とし、zipコマンドの実行によるアーカイブ化データが含まれていることを示すため「Content-Type:Application/zip」を記述し、そのボディ部に、各対象ファイル(トラフィック情報)のzipデータを記述していく。
【0053】
そして、送信部112が、参照レスポンス作成部124により作成された参照レスポンスを、要求元の解析情報参照装置2に送信する(S15)。
【0054】
(A-3)実施形態の効果
以上のように、この実施形態によれば、従来のようにzipファイルを作成しないので、リアルタイム性のある大量のトラフィック情報を蓄積していく記憶部(ストレージ)の容量を圧迫することはなくなる。
【0055】
また、この実施形態によれば、大量のトラフィック情報のそれぞれについてzipファイルを作成するために時間を要していたが、zipファイルを作成しないので、そのファイル作成時間を短縮できる。
【0056】
また、従来は、HTTPレスポンス毎に、zipファイルの作成や削除をする必要があったので、通信部のI/Oの性能に影響を受けていたが、この実施形態によれば、zipファイルの作成や削除に係る時間も不要となり、I/0性能の影響を受けず、効率的な処理を実施できる。
【符号の説明】
【0057】
10…情報通信システム、1…解析情報収集装置、11…通信部、12…制御部、13…記憶部、121…参照リクエスト取得部、122…対象指定部、123…アーカイブ実行部、124…参照レスポンス作成部、2…解析情報参照装置、21…通信部、22…制御部、221…参照レスポンス取得部、222…アーカイブ化データ解析部、223…参照リクエスト作成部、23…記憶部、3(3-1、3-2)…解析装置。