IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水ハウス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-清掃用具 図1
  • 特許-清掃用具 図2
  • 特許-清掃用具 図3
  • 特許-清掃用具 図4
  • 特許-清掃用具 図5
  • 特許-清掃用具 図6
  • 特許-清掃用具 図7
  • 特許-清掃用具 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】清掃用具
(51)【国際特許分類】
   B08B 1/00 20060101AFI20231003BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B08B1/00
B08B3/04 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020014711
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021121413
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】緒方 義克
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-300895(JP,A)
【文献】特開平10-088654(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1265222(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 1/00-17/08
A46D 1/00-99/00
A61C 17/22-17/40
B08B 1/00-13/00
E03F 5/04-5/06
E04C 2/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライダおよび支持台を備えた溝蓋の清掃用具であって、
上記溝蓋は、
平板形状の本体と、
上記本体の上面から上方へ突出して当該上面に沿った延出方向へ延びており、当該延出方向と直交する縦断面がT字形状の複数の第1突起と、
上記本体の下面から下方へ突出して上記延出方向へ延びており、当該延出方向と直交する縦断面がI字形状の第2突起と、を備えており、
上記支持台は、
上記延出方向の一方端において開口しており、当該開口から上記第2突起が挿入可能に当該延出方向へ延びるスリットを有する複数の支持板と、
上記複数の支持板の上面に積層された複数の第1清掃部材と、
上記スリットの他方端を閉止するストッパと、を備えており、
上記スライダは、
上記溝蓋の上記複数の第1突起の間に上記延出方向に沿って挿入可能であり、上記延出方向と直交し且つ上記本体の上面と平行な離間方向の寸法が、上記複数の第1突起が当該離間方向に離れる最小寸法より大きい複数の短冊板と、
上記短冊板のそれぞれの上面から上方に突出する平板であり、それぞれの上記離間方向における寸法が上記最小寸法よりも小さい複数の第3突起と、
上記複数の短冊板の下面に積層された複数の第2清掃部材と、
上記第1突起が挿入可能な隙間を空けて上記複数の短冊板が並んだ状態で、上記複数の第3突起の突出端を連結する連結部材と、を備える清掃用具。
【請求項2】
上記支持板の上記スリットの開口の少なくとも一つにおいて、当該開口へ向かってスリットの幅が次第に大きくなる請求項1に記載の清掃用具。
【請求項3】
上記短冊板の長手方向の少なくとも一端部は、幅が次第に小さくなるテーパ形状である請求項1または2に記載の清掃用具。
【請求項4】
上記スライダは、把持部を更に備える請求項1から3のいずれかに記載の清掃用具。
【請求項5】
上記第1清掃部材および上記第2清掃部材は、液体を保持可能な吸水性を有する請求項1から4のいずれかに記載の清掃用具。
【請求項6】
上記支持台は、上方が開口した箱形状の貯水槽の側壁に載置可能な脚部を更に備えている請求項1から5のいずれかに記載の清掃用具。
【請求項7】
上記脚部は、上記貯水槽に側壁に当接することによって、上記スリットが延びる方向の少なくとも一方へ、上記貯水槽に対して上記支持台が移動することを規制する請求項6に記載の清掃用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溝蓋の清掃用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、排水溝を塞ぐ溝蓋の清掃用具が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-259703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物のバルコニー用の溝蓋に関しては、デザイン的な要素を高めるため、複雑な形状を有しているものがある。その結果、溝蓋の清掃はより煩わしい作業となっている。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複雑な形状の溝蓋を清掃可能な清掃用具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明の一形態は、スライダおよび支持台を備えた溝蓋の清掃用具である。上記溝蓋は、平板形状の本体と、第1突起と、第2突起と、を備える。上記第1突起は、上記本体の上面から上方へ突出して当該上面に沿った延出方向へ延びている。上記第1突起において、当該延出方向と直交する縦断面はT字形状である。上記第2突起は、上記本体の下面から下方へ突出して上記延出方向へ延びている。上記第2突起において、当該延出方向と直交する縦断面は、I字形状である。上記支持台は、複数の支持板と、複数の第1清掃部材と、ストッパと、を備える。上記複数の支持板は、上記延出方向の一方端において開口しており、当該開口から上記第2突起が挿入可能に当該延出方向へ延びるスリットを有する。上記複数の第1清掃部材は、上記複数の支持板の上面に積層されている。上記ストッパは、上記スリットの他方端を閉止する。上記スライダは、複数の短冊板と、複数の第2清掃部材と、連結部材と、を備える。上記複数の短冊板は、上記溝蓋の上記複数の第1突起の間に上記延出方向に沿って挿入可能である。上記複数の短冊板において、上記延出方向と直交し且つ上記本体の上面と平行な離間方向の寸法は、上記複数の第1突起が当該離間方向に離れる最小寸法より大きい。上記複数の第2清掃部材は、上記複数の短冊板の下面に積層される。上記連結部材は、上記第1突起が挿入可能な隙間を空けて上記複数の短冊板が並んだ状態で、上記複数の短冊板を連結する。
【0007】
上記構成によれば、複数の支持板が有するスリットの一方端側から、溝蓋の複数の第2突起が挿入される。その後、溝蓋は、ストッパに突き当たるまでスライドされる。これにより、複数の第1清掃部材により溝蓋の下面側が清掃される。また、支持台上に溝蓋が載置された状態で、スライダが有する複数の短冊板が、溝蓋の複数の第1突起間に挿入される。その後、スライダは、上面に沿ってスライドさせられる。これにより、複数の第2清掃部材により溝蓋の上面側が清掃される。
【0008】
(2) 上記支持板の上記スリットの開口の少なくとも一つにおいて、当該開口へ向かってスリットの幅が次第に大きくなる。上記構成によれば、スリットの一方端側から、溝蓋の複数の第2突起を挿入し易い。
【0009】
(3) 上記短冊板の長手方向の少なくとも一端部は、幅が次第に小さくなるテーパ形状である。上記構成によれば、複数の短冊板を、溝蓋の複数の第1突起間に挿入し易い。
【0010】
(4) 上記スライダは、把持部を更に備える。上記構成によれば、作業者は、スライダを溝蓋に対してスライドさせやすい。
【0011】
(5) 上記第1清掃部材および上記第2清掃部材は、液体を保持可能な吸水性を有する。上記構成によれば、溝蓋に付着している汚れを除去し易い。
【0012】
(6) 上記支持台は、上方が開口した箱形状の貯水槽の側壁に載置可能な脚部を更に備えている。上記構成によれば、支持台を貯水槽に載置して清掃作業を行うことができる。
【0013】
(7) 上記脚部は、上記貯水槽に側壁に当接することによって、上記スリットが延びる方向の少なくとも一方へ、上記貯水槽に対して上記支持台が移動することを規制する。上記構成によれば、作業者が清掃作業をし易い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複雑な形状の溝蓋を清掃可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】溝蓋100の上面側を示す斜視図である。
図2図1の溝蓋100の下面側を示す斜視図である。
図3】清掃用具10のスライダ200を示す斜視図である。
図4】清掃用具10の支持台300の上面側を示す斜視図である。
図5図4の支持台300の下面側を示す斜視図である。
図6図4に示すストッパ350の移動機構370の構成を示す模式図である。
図7】清掃用具10の貯水槽400を示す斜視図である。
図8】清掃用具10の使用法を示す模式図であり、(A)は、貯水槽400に載置された支持台300を示し、(B)は、2つの溝蓋100を支持する支持台300を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の清掃用具10(図3図8を参照)について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0017】
各図には、矢印X,Y,Zが示されている。矢印Xは、清掃用具10を用いて溝蓋100(図1および図2を参照)を作業者が清掃する時の前後方向を示す。矢印Y,Zは、清掃時の左右方向および上下方向をそれぞれ示す。以下、清掃時の前後方向、左右方向および上下方向を、前後方向X、左右方向Yおよび上下方向Zとも称する。前後方向X、左右方向Yおよび上下方向Zは互いに直交する。また、前後方向X、左右方向Yおよび上下方向Zにおける清掃用具10および溝蓋100の寸法を、長さ、幅および高さとも称する。
【0018】
[溝蓋100]
図1および図2において、溝蓋100は、建物のバルコニー等に設けられた排水溝(図示せず)を覆う。溝蓋100は、アルミ等の金属材料、または樹脂材料から構成され、本体110と、複数の第1突起120と、第2突起130と、を備えている。
【0019】
[本体110]
本体110は、上方から見て矩形形状を有する。本体110の長さはL11(図1図2参照)であり、本体110の幅はW11(図2参照)である。また、本体110は、上下方向Zに薄い平板であり、上面111および下面112を有する。
【0020】
[第1突起120]
図1において、複数の第1突起120は、デザイン的な要素を高めることを主目的として、本体110に設けられている。図1の例では、第1突起120の個数は6である。各第1突起120は、上面111から上方に突出する。各第1突起120の突出量は、H11である。突出量H11は、上面111と、各第1突起120の上端との間の上下方向Zにおける距離である。各第1突起120は、上面111の後端から、上面111に沿う前後方向Xに延びて上面111の前端に至る。前後方向Xは、延出方向の一例である。各第1突起120は、前後方向Xに直交する縦断面においてT字形状を有する。
【0021】
各第1突起120は、具体的には、第1部分121と、第2部分122とを有している。なお、各図では、1つの第1突起120の第1部分および第2部分だけに、参照符号「121」および「122」を付している。
【0022】
第1部分121は、上面111から上方に突出する。各第1部分121の突出量はH12である。突出量H12は、上面111と、各第1部分121の上端との間の上下方向Zにおける距離である。第1部分121は、左右方向Yに薄い平板で、左方および右方から見た時に矩形形状を有する。第1部分121の幅は、第1部分121の後端から前端にわたって、概ね一定のW12である。第1部分121は、左右方向Yに薄く且つ上面111の後端から前端に至る。
【0023】
第2部分122は、第1部分121の突出端(すなわち、上端)と繋がっている。第2部分122は、上下方向Zに薄い平板形状で、第1部分121から左方および右方に突出している。第2部分122は、上方から見た時に矩形形状を有する。第2部分122は、第1部分121の後端から前端に至る。第2部分122の上面および下面は、突出量H11,H12の分だけ、上面111から上方に離れている。また、第2部分122の幅は、幅W12よりも大きい。
【0024】
複数の第1突起120は、左右方向Yに間隔をあけて上面111において並んでいる。詳細には、隣り合う2つの第1部分121の間隔はG11であり、隣り合う2つの第2部分122の間隔はG12である。なお、各間隔G11は、互いに等間隔である。各間隔G12は、互いに等間隔である。間隔G12は、間隔G11よりも小さく、隣り合う2つの第1突起120が左右方向Yに離れる最小寸法の一例である。
【0025】
上面111と、隣り合う第1突起120とは、前後方向Xに延びる空間123を区画する。各空間123の前端および後端は、前方および後方に向かって開放された開口になっている。各空間123の前端および後端には、後述の短冊板210(図3参照)が挿入可能である。短冊板210は、空間123内で上面111上をスライド可能である。
【0026】
[第2突起130]
図2において、複数の第2突起130は、溝蓋100の上面111側を人が踏んだ際の補強材である。図2の例では、第2突起130の個数は3である。各第2突起130は、本体110の下面112から下方に突出する。各第2突起130の突出端は、下面112から上下方向Zにおいて距離H13だけ離れている。各第2突起130は、下面112の後端から、下面112に沿う前後方向X(すなわち、延出方向)に沿って延びて、下面112の前端に至る。各第2突起130は、左右方向Yに薄い平板であり、前後方向Xに直交する縦断面においてI字形状を有する。各第2突起130の幅は、各第2突起130の後端から前端に渡り概ね一定のW13である。
【0027】
各第2突起130は、下面112において左右方向Yに間隔をあけて並んでいる。ここで、3つの第2突起130において、右端、中央および左端の第2突起130を、第2突起130A,130B,130Cともそれぞれ称する。第2突起130Aと、第2突起130Bとの間隔はG15である。第2突起130Bと、第2突起130Cとの間隔はG14である。間隔G15は間隔G14よりも大きい。また、第2突起130Aは、間隔G14に相当する距離だけ、下面112の右端から離れている。
【0028】
[清掃用具10]
上記の通り、溝蓋100は、複雑な形状を有しているため、溝蓋100の清掃作業は煩わしい。そのため、溝蓋100は、図3図7に示すような清掃用具10を用いて清掃される。清掃用具10は、スライダ200(図3参照)と、支持台300(図4図6参照)と、貯水槽400(図7参照)と、を備えている。
【0029】
[スライダ200]
スライダ200は、溝蓋100の上面111(図1参照)側を清掃するための器具であって、図3に示すように、複数の短冊板210と、複数の第2清掃部材220と、複数の連結部材230と、把持部240と、を備える。短冊板210および第2清掃部材220の各個数は7である。
【0030】
[短冊板210]
各短冊板210は、前後方向Xに長く且つ上下方向Zに薄い平板である。各短冊板210の長さはL21である。各短冊板210の幅は、前側の先端部211を除いて、W21である。先端部211は、上下方向Zから見てテーパ状になっている。すなわち、先端部211の幅は、前端側ほど後端側よりも次第に狭くなる。
【0031】
各短冊板210は、上面212と、下面213と、を有する。各上面212からは、第3突起214が上方に延出する。第3突起214は、左右方向Yに薄く、且つ前後方向Xに長い平板である。第3突起214の幅は、W22である。左右方向Yは離間方向の一例である。幅W22は間隔G12(図1参照)よりも小さい。第3突起214は、上面212における後端寄りの位置と、前端寄りの位置との間で、前後方向Xに沿って延びている。なお、参照符号「211」~「214」は、左端の短冊板210だけに付されている。
【0032】
[第2清掃部材220]
複数の第2清掃部材220は、複数の短冊板210に対応している。具体的には、各短冊板210の下面213には、第2清掃部材220が1つずつ積層されている。各第2清掃部材220は、水等の液体を保持可能な吸水性を有する材料で構成される。この種の材料としてはフェルトが挙げられる。各第2清掃部材220は、上下方向Zに薄く、且つ下方から見て各下面213と一致する形状を有する。
【0033】
各第2清掃部材220の下面と、短冊板210の上面212とは、上下方向Zにおいて距離H21だけ離れている。各第2清掃部材220の下面と、第3突起214の突出端とは、上下方向Zにおいて距離H22だけ離れている。距離H21は、距離H12(図1参照)より短く、距離H22は、距離H11(図1参照)よりも長い。これにより、各短冊板210は、溝蓋100の後方から、空間123(図1図2参照)に前後方向Xに沿って挿入可能となる。
【0034】
[連結部材230]
複数の連結部材230は、前側の連結部材230Aと、後ろ側の連結部材230Bとを含む。連結部材230A,230Bの各々は、左右方向Yに長く、且つ上下方向Zに薄い平板である。ここで、各短冊板210は、各々の先端部211が前方を向いた状態で、先端部211を除く部分が左右方向Yに間隔G21だけあけて並んでいる。間隔G21は、幅W12(図1参照)よりも僅かに広い。この状態で、連結部材230Aは、各第3突起214の突出端における前端付近で、第3突起214の突出端に溶接等の接合手法により接合される。連結部材230Bは、各第3突起214の後端付近の位置で、第3突起214の突出端に接合される。これにより、各短冊板210は、連結部材230A,230Bにより連結される。
【0035】
[把持部240]
把持部240は、作業者が握りやすい形状、例えば直方体形状を有している。把持部240は、2つの支持部材231A,231Bを介して連結部材230A,230Bに取り付けられる。
【0036】
[支持台300]
図4および図5において、支持台300は、スライダ200により清掃される溝蓋100(図1図2参照)を支持するとともに、溝蓋100の下面112側を清掃する器具である。支持台300は、複数のベース板310と、複数の支持板320と、複数の第1清掃部材330と、シャシ340と、ストッパ350と、2つの脚部360A,360Bと、を備えている。ベース板310、支持板320および第1清掃部材330の各々の個数は3である。なお、シャシ340およびストッパ350は、図4では隠れており、図5に示される。
【0037】
[ベース板310]
複数のベース板310は、金属製であり、ベース板310A~310Cを含む。ベース板310A~310Cは、左右方向Yにおいて右から順番に並んでいる。各ベース板310は、前後方向Xに長く、且つ上下方向Zに薄い板状形状を有する。各ベース板310の長さはL31である。長さL31は、溝蓋100の長さL11(図1図2参照)の2倍よりも長い。ベース板310A,310Cの幅はW31であり、ベース板310Bの幅はW32である。幅W31は、間隔G14(図2参照)よりも僅かに小さく、幅W32は、間隔G15(図2参照)よりも僅かに小さく、且つ幅W31よりも大きい。
【0038】
[支持板320,第1清掃部材330]
複数の支持板320および複数の第1清掃部材330は、複数のベース板310に対応している。詳細には、複数の支持板320は、支持板320A~320Cを含み、複数の第1清掃部材330は、第1清掃部材330A~330Cを含む。ベース板310A~310Cの上面には、支持板320A~320Cがそれぞれ積層されている。支持板320A~320Cの上面には、第1清掃部材330A~330Cがそれぞれ積層されている。各支持板320A~320Cおよび第1清掃部材330A~330Cは、上方から見て、ベース板310A~310Cと一致する形状をそれぞれ有する。各支持板320は、木製である。各第1清掃部材330は、第2清掃部材220と同様の吸水性材料で構成される。
【0039】
各ベース板310の下面と、各第1清掃部材330の上面とは、上下方向Zにおいて距離H31(図4参照)だけ離れている。距離H31は、距離H13(図2参照)よりも長い。
【0040】
[シャシ340]
図5において、シャシ340は、上下方向Zに薄く且つ前後方向Xに長い概ね直方体形状である。シャシ340は、下壁341と、側壁342A,342Bと、を有している。シャシ340(すなわち、下壁341)の幅H33は、ベース板310Bの幅W32よりも広い。シャシ340(すなわち、下壁341)の長さは、長さL31よりも短く、且つ後述の距離H41(図7参照)よりも長い。
【0041】
ここで、ベース板310A,310B、およびベース板310B,310Cの各々は、間隔G31をあけて左右方向Yにおいて並んでいる。間隔G31は、幅W13(図2参照)よりも僅かに広い。この状態で、シャシ340は、各ベース板310の下面において後端から前方に離れた位置で、各ベース板310の下面にねじ等の結合手法により結合される。なお、シャシ340の前端の前後方向Xにおける位置は、各ベース板310の前端のそれと概ね揃っている。
【0042】
上記のように、各支持板320は、シャシ340を介して連結されるとともに、支持板320A,320Bの間、および支持板320B,320Cの間には、前後方向Xに延びるスリット321A,321Bが形成される。なお、以下では、スリット321A,321Bを包括してスリット321と記載する場合がある。各スリット321の後端は、後方に向かって開放された開口となっている。後端は、延出方向の一方端の一例である。各スリット321には、溝蓋100の第2突起130(図2参照)が挿入可能である。また、第2突起130を挿入し易くするため、ベース板310Bの後端部は、上下方向Zから見てテーパ形状に加工される。ベース板310A,310Cの後端部には、上下方向Zから見て、ベース板310Bから離れるように勾配がつけられている。換言すると、各スリット321の後端部の幅は、後端に近くなるにつれて次第に大きくなっている。
【0043】
側壁342A,342Bは、下壁341の左右端部から上方に、距離H32だけ延びている。また、側壁342A,342Bは、左右方向Yにおいて幅H33の分だけ互いに離間している。換言すると、シャシ340の前端は、前方に向かって開放された開口になっている。なお、開口は、図5においてはストッパ350により塞がれている。
【0044】
[ストッパ350]
図5図6において、ストッパ350は、金属製であり、シャシ340の前端に配置されている。ストッパ350は、シャシ340の前端に沿って下位置P31および上位置P32の間で上下動可能である(図6参照)。上位置P32は、各スリット321の前端を閉止する位置である。上位置P32では、ストッパ350の上端は、支持台300上の溝蓋100の下端よりも上方に位置する。下位置P31は、各スリット321の前端を閉止しない位置である。
【0045】
[脚部360A,360B]
図5において、脚部360A,360Bは、所謂L型アングルと同様の部材である。脚部360Aは、シャシ340の下壁341において前端寄りの位置で、下方に突出するように下壁341にねじ等の締結部材を用いて取り付けられる。脚部360Bは、下壁341における後端付近の位置で下方に突出するように下壁341に締結部材で取り付けられる。脚部360Aの前面と、脚部360Bの後面との距離L32は、後述の距離H41(図7参照)よりも僅かに短い。
【0046】
[移動機構370]
図5に示すように、シャシ340および脚部360Aには、ストッパ350を上下動させるための移動機構370が設けられている。移動機構370に関連して、図5に示すように、脚部360Aにおいて左右方向Yの中央に近い位置にはスリット361が形成されている。スリット361は、脚部360Aの前端部における下端付近の位置から上下方向Zに沿って延び、脚部360Aの前端部における上端に至る(図5図6参照)。スリット361はさらに、脚部360Aの上端部における前端から、前後方向Xに沿って延び、脚部360Aの上端部における後端付近の位置に至る(図6参照)。
【0047】
シャシ340の下壁341には、移動機構370に関連して、スリット344が形成されている。スリット344は、スリット361の幅と概ね同じ幅を有する。スリット344は、下壁341の前端付近の位置から、スリット361の後端の位置まで、前後方向Xに沿って直線的に延びている。また、スリット344の後方寄りの部分は、スリット361と重なり合っている(図6参照)。
【0048】
図6は、移動機構370の詳細な構成を示す模式図である。図6(A),(C)は、仮想面F1(図5参照)で切断した脚部360A、シャシ340および移動機構370を左方から見た時の図である。仮想面F1は、前後方向Xおよび上下方向Zに平行で、スリット344,361を通る仮想的な面である。図6(B),(D)は、移動機構370を左方から見た時の図である。なお、図6(B),(D)には、脚部360Aおよびシャシ340の断面も示されている。以下、図6も参照して、移動機構370について詳説する。
【0049】
図6において、移動機構370は、金属製であり、2個一対の支持部材351A,351Bと、シャフト352と、アーム部材353と、当接部材354と、を備えている。なお、支持部材351Aは、図6(B),(D)に、支持部材351Bは、図6(A),(C)に示される。
【0050】
支持部材351A,351Bの各々は、シャシ340内において下壁341に固定される。支持部材351A,351Bは、シャシ340の前端から後方に離れた位置で、下壁341の上面から上方に延びる。支持部材351A,351Bは、前後方向Xおよび上下方向Zに拡がる板状形状を有している。支持部材351A,351Bは、仮想面F1(図5参照)を挟んで左右方向Yに互いに離れている。
【0051】
支持部材351A,351Bには、左右方向Yにおいて互いに対向する位置に貫通孔が形成されている。支持部材351A,351Bの貫通孔は、支持部材351A,351Bを左右方向Yに貫通する。
【0052】
シャフト352は、左右方向Yに延びる棒状形状を有する。シャフト352の左右方向Yにおける一方端部および他方端部は、支持部材351A,351Bの貫通孔にそれぞれ挿通される。また、シャフト352は、回動および/または上下動するように支持部材351A,351Bに支持される。なお、シャフト352の一方の先端には、シャフト352が支持部材351Aから抜けないようにストッパ352Aが設けられている(図6(B),(D)参照)。また、シャフト352の他方の先端には、シャフト352が支持部材351Bから抜けないように、ストッパ352Aと同様のストッパ(図示せず)が設けられている。
【0053】
アーム部材353は、湾曲した板状の部材であり、前後方向Xに長い形状を有している。アーム部材353の前端部および後端部は、ストッパ350の後端部側、およびシャフト352の上端部に溶接等の接合手法によりそれぞれ接合される。すなわち、アーム部材353は、ストッパ350およびシャフト352を機械的に接続する(図6(A),(C)参照)。
【0054】
当接部材354は、アーム部材353の下面に、溶接等の接合手法により接合される。当接部材354は、アーム部材353の下面において左右方向Yの中央付近の位置から下方に延びる。当接部材354は、前後方向Xおよび上下方向Zに拡がる板状形状を有している。当接部材354の延出端は、シャフト352の回動および/または上下動により、突出位置P11および非突出位置P12の間で移動可能である。突出位置P11で、当接部材354において脚部360Aよりも前方の部分は、シャシ340の下壁341からわずかに下方に僅かに突出する。非突出位置P12で、当接部材354において脚部360Aよりも前方の部分は、上下方向Zにおいて下壁341の下面と概ね同じ位置になる。
【0055】
上記の移動機構により、ストッパ350は、当接部材354に連動し、当接部材354に上下方向Zの力を加えることで、下位置P31(図6(A),(C)を参照)および上位置P32(図6(B),(D)を参照)の間で移動可能となる。詳細には、当接部材354が突出位置P11にあるとき、ストッパ350は下位置P31に位置し、当接部材354が非突出位置P12にあるとき、ストッパ350は上位置P32に位置する。
【0056】
[貯水槽400]
図7において、貯水槽400は、水を貯えるために上方が開口した箱形状を有する。具体的には、貯水槽400は、底壁410および4つの側壁420A~420Dを備える。底壁410の形状は、上方から見て概ね矩形である。側壁420A~420Dは、底壁410の前後両端および左右両端から上方に延出して、貯水のための空間430を区画する。側壁420A,420Cは、前後方向Xにおいて対向する。側壁420A,420Cの上端は、距離H41だけ互いに離間する。
【0057】
[清掃用具10の使用方法(溝蓋100の清掃作業)]
作業者は、図8(A)に示すように、水を張った貯水槽400を準備する。作業者は、支持台300の脚部360A,360Bを貯水槽400の側壁420A,420Cの上端に載置する。この時、支持台300の当接部材354(図5図6参照)が側壁420Aの上端に当接し、当接部材354には上向きの力が加わる。これによって、ストッパ350は、上位置P32にいちぎめられ、各スリット321(図4図5参照)の前端を閉止する。
【0058】
作業者は、支持台300を側壁420A,420C間に架け渡す。この時、脚部360Bの後面は、側壁420Aの前面に当接するか、側壁420Aの僅かに前方に位置する。脚部360Aの前面は、側壁420Cの後面に当接するか、側壁420Cの僅かに後方に位置する。これにより、支持台300に前後方向Xの力が加わっても、支持台300は貯水槽400に対して前後方向Xに大きく位置ずれしない。すなわち、脚部360A,360Bは、支持台300の前後方向Xへの移動を規制する。
【0059】
作業者は、支持台300の各第1清掃部材330に水を含ませ、清掃対象である2つの溝蓋100に水を掛ける。作業者は、貯水槽400上の支持台300におけるスリット321A,321Bの後端側に、清掃対象である1つ目の溝蓋100の第2突起130B,130Cの前端を挿入する。作業者は、第2突起130B,130Cが、上位置P32にあるストッパ350に突き当たるまで、溝蓋100を支持台300上で前方にスライドさせる。この間、支持台300の各第1清掃部材330は、溝蓋100の下面112に付着する汚れを除去する。
【0060】
作業者は、図8(B)に示すように、清掃対象である2つ目の溝蓋100を、1つ目と同様に支持台300に挿入する。その後、作業者は、2つ目の溝蓋100の第2突起130B,130Cが、1つ目の溝蓋100に突き当たるまで、2つ目の溝蓋100を支持台300上で前方にスライドさせる。これにより、2つ目の溝蓋100の下面112から汚れが除去される。
【0061】
作業者は、スライダ200の第2清掃部材220に水を含ませる。なお、図8(B)には、1つの第2清掃部材にのみ参照符号「220」が付されている。その後、作業者は、スライダ200の把持部240を手で持って、支持台300において後方に位置する溝蓋100(すなわち、2つ目の溝蓋100)の各空間123の後端に、スライダ200の各短冊板210の先端部211を挿入する。なお、図8(B)には、1つの空間、短冊板および先端にのみ参照符号「123」,「210」,「211」が付されている。作業者は、スライダ200の各短冊板210が、前方の溝蓋100の各空間123の前端から抜け出すまで、スライダ200をスライドさせる。この間、スライダ200の各第2清掃部材220は、溝蓋100の上面111に付着する汚れを除去する。その後、作業者は、支持台300から2つの溝蓋100を取り外す。このとき、作業者は、支持台300上で2つの溝蓋100を後方にスライドさせることで、支持台300から2つの溝蓋100を取り外すことができる。他にも、次の方法で、支持台300から溝蓋100を取り外すことが可能である。例えば、作業者は、支持台300を貯水槽400から持ち上げた後、上位置P32にあるストッパ350を下位置P31に手で移動させる。これにより、各スリット321(図4図5参照)の前端が開放される。その後、作業者は、支持台300上で2つの溝蓋100を前方にスライドさせることで、支持台300の前側から溝蓋100を取り外す。
【0062】
[清掃用具10の効果]
清掃用具10によれば、上記構造を有する支持台300およびスライダ200により、複雑な形状を有する溝蓋100を清掃可能となる。
【0063】
また、支持台300の各スリット321の後端部の幅が後端になる程大きくなるため、溝蓋100を支持台300にセットし易い。
【0064】
また、スライダ200において各短冊板210の先端部211が尖っているため、短冊板210を溝蓋100の空間123に挿入し易い。
【0065】
また、把持部240により、作業者は、スライダ200を溝蓋100上でスライドさせ易い。
【0066】
また、第1清掃部材330および第2清掃部材220が吸水性材料で構成されるため、溝蓋100の汚れを除去し易い。
【0067】
また、支持台300が脚部360A,360Bを備えるため、清掃作業がし易い。
【0068】
[清掃用具10の変形例]
実施形態では、ストッパ350は、移動機構370により下位置P31および上位置P32間で上下動していた。しかし、これに限らず、ストッパ350は、各スリット321の前端を閉止する位置でシャシ340に固定されてもよい。
【0069】
実施形態では、各間隔G11は互いに等間隔で、各間隔G12は互い等間隔であった。しかし、これに限らず、各間隔G11は互いに不等間隔で、各間隔G12は互い不等間隔でもよい。
【符号の説明】
【0070】
100・・・溝蓋
110・・・本体
111・・・上面
112・・・下面
120・・・第1突起
130・・・第2突起
10・・・清掃用具
200・・・スライダ
210・・・短冊板
212・・・上面
213・・・下面
220・・・第2清掃部材
230,230A,230B・・・連結部材
240・・・把持部
300・・・支持台
310,310A~310C・・・ベース板
320,320A~320C・・・支持板
321,321A,321B・・・スリット
330,330A~330C・・・第1清掃部材
340・・・シャシ
350・・・ストッパ
360A,360B・・・脚部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8