(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20231003BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20231003BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20231003BHJP
G05D 1/10 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01G7/00 603
G05D1/02 H
G05D1/10
(21)【出願番号】P 2020072320
(22)【出願日】2020-04-14
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】京近 渉
(72)【発明者】
【氏名】松尾 莉歩
(72)【発明者】
【氏名】宮原 謙太
(72)【発明者】
【氏名】柿原 良太郎
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-125245(JP,A)
【文献】特開2017-068869(JP,A)
【文献】特開2018-046787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
A01G 7/00
G05D 1/02
G05D 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサと、サーバ装置と、ユーザ端末と、作業装置と、を備える情報処理システムであって、
前記センサは、農場内の各領域において栽培されている農作物の状態を検出し、
前記サーバ装置は、
前記センサからの出力に基づいて、前記農作物の状態に関する状態情報を取得することと、前記状態情報に基づいて生成される情報であって、前記ユーザ端末に送信するための第1情報を生成することと、前記農場において所定の作業を行わせるための作業指令を前記作業装置に対して送信することと、を実行する制御部を有し、
前記ユーザ端末は、前記サーバ装置から受信した前記第1情報をユーザに通知するとともに、該第1情報が通知された該ユーザによって入力された、前記農場において前記作業装置に前記所定の作業を行わせる範囲である作業範囲に関する第2情報を、前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置の前記制御部は、前記ユーザ端末から送信された前記第2情報に基づいて、前記作業装置に対して前記作業指令を送信
し、
前記センサは、前記農作物を撮影可能に構成された撮像装置であって、前記農作物を撮影することで前記農作物の状態を検出し、
前記サーバ装置の前記制御部は、前記状態情報として前記農作物の画像情報を取得し、該画像情報を含んだ前記第1情報を生成し、
前記ユーザ端末は、
通知された前記第1情報に含まれる前記画像情報を前記ユーザに表示し、
表示された前記画像情報において、前記作業範囲として任意の範囲の選択を前記ユーザから受け付け、且つ
選択された前記任意の範囲を示す情報を含む前記第2情報を前記サーバ装置に送信する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記所定の作業は、前記農作物の収穫であり、
前記サーバ装置の前記制御部は、前記作業指令として、前記農作物の収穫を行わせるた
めの指令を前記作業装置に送信する、
請求項
1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記センサは、一又は複数の飛行移動体それぞれに設けられた、一又は複数の移動型の撮像装置である、
請求項
1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記センサは、前記農場に設けられた、一又は複数の固定型の撮像装置である、
請求項
1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記作業装置は、外部からの指令に基づいて自律移動を行う、一又は複数の自律移動体である、
請求項1から請求項
4の何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記サーバ装置の前記制御部は、前記状態情報に基づいて、前記作業装置に前記農作物の収穫を行わせる対象範囲の提案に関する提案情報を生成し、前記第1情報として、該提案情報を更に含んだ情報を生成する、
請求項
2に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記サーバ装置の前記制御部は、前記農場を含んだ地域における天気予報に関する第3情報を更に取得し、該第3情報に基づいて前記提案情報を生成する、
請求項
6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記サーバ装置の前記制御部は、前記ユーザによって予め定められた所定の収穫条件に基づいて、前記提案情報を生成する、
請求項
6又は請求項
7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
農場内の各領域において栽培されている農作物の状態を検出可能なセンサからの出力に基づいて、前記農作物の状態に関する状態情報を取得することと、
前記状態情報に基づいて生成される情報であって、ユーザ端末に送信するための第1情報を生成することと、
前記第1情報を前記ユーザ端末に送信することと、
前記ユーザ端末を介して前記第1情報が通知されたユーザによって該ユーザ端末に入力された、前記農場において作業装置に所定の作業を行わせる範囲である作業範囲に関する第2情報を取得することと、
前記第2情報に基づいて、前記作業装置に対して、前記農場において前記所定の作業を行わせるための作業指令を送信することと、
を実行する制御部を備え、
前記センサは、前記農作物を撮影可能に構成された撮像装置であって、前記農作物を撮影することで前記農作物の状態を検出する撮像装置であり、
前記制御部は、
前記状態情報として前記農作物の画像情報を取得し、該画像情報を含んだ前記第1情報を生成し、
通知された前記第1情報に含まれる前記画像情報を前記ユーザに表示し、且つ表示された前記画像情報において前記作業範囲として任意の範囲の選択を前記ユーザから受け付ける前記ユーザ端末から、選択された前記任意の範囲を示す情報を含む前記第2情報を取得する、
情報処理装置。
【請求項10】
前記所定の作業は、前記農作物の収穫であり、
前記作業指令として、前記農作物の収穫を行わせるための指令を前記作業装置に送信する、
請求項
9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記センサは、一又は複数の飛行移動体それぞれに設けられた、一又は複数の移動型の撮像装置である、
請求項
9又は10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記センサは、前記農場に設けられた、一又は複数の固定型の撮像装置である、
請求項
9又は10に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記作業装置は、外部からの指令に基づいて自律移動を行う、一又は複数の自律移動体である、
請求項
9から請求項
12の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記状態情報に基づいて、前記作業装置に前記農作物の収穫を行わせる対象範囲の提案に関する提案情報を生成し、前記第1情報として、該提案情報を更に含んだ情報を生成する、
請求項
10に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記農場を含んだ地域における天気予報に関する第3情報を更に取得し、該第3情報に基づいて前記提案情報を生成する、
請求項
14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記ユーザによって予め定められた所定の収穫条件に基づいて、前記提案情報を生成する、
請求項
14又は請求項
15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
農場において作業装置に所定の作業を行わせるための作業指令を前記作業装置に対して送信するサーバ装置と通信を行うユーザ端末を制御するコンピュータに情報処理方法を実行させるプログラムであって、
前記情報処理方法は、
前記農場内の各領域において栽培されている農作物の状態に関する状態情報に基づいて生成された第1情報を前記サーバ装置から受信することと、
前記第1情報をユーザに通知することと、
前記第1情報が通知された前記ユーザによって入力された、前記農場において前記作業装置に所定の作業を行わせる範囲である作業範囲に関する第2情報を取得することと、
前記第2情報を前記サーバ装置に送信することと、
を含
み、
前記第1情報は、前記状態情報として前記農作物の画像情報を含み、
通知された前記第1情報に含まれる前記画像情報を前記ユーザに表示し、
表示された前記画像情報において、前記作業範囲として任意の範囲の選択を前記ユーザから受け付け、且つ
選択された前記任意の範囲を示す情報を含む前記第2情報を前記サーバ装置に送信する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、移動式ロボットを用いて自律的な農業を実施するためのシステムに関する技術が開示されている。この技術によれば、定置式ロボットシステムが、作物を監視するためのセンサモジュールから収集されたセンサデータに基づいて、農業ポッドを搬送するための命令のセットを生成する。そして、この命令のセットに従って、移動式ロボットが農業ポッドを搬送する。また、特許文献2には、農場をグリッド状の想定線で細分化して、その想定線に基づいて所番地を設定し、各所番地に設置された栽培管理用通信機器を遠隔制御管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-068800号公報
【文献】特開2017-023021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、農作物の生産ユーザが行う農作業について、ユーザの利便性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の情報処理システムは、センサと、サーバ装置と、ユーザ端末と、作業装置と、を備える情報処理システムであって、前記センサは、農場内の各領域において栽培されている農作物の状態を検出し、前記サーバ装置は、前記センサからの出力に基づいて、前記農作物の状態に関する状態情報を取得することと、前記状態情報に基づいて生成される情報であって、前記ユーザ端末に送信するための第1情報を生成することと、前記農場において所定の作業を行わせるための作業指令を前記作業装置に対して送信することと、を実行する制御部を有し、前記ユーザ端末は、前記サーバ装置から受信した前記第1情報をユーザに通知するとともに、該第1情報が通知された該ユーザによって入力された、前記農場において前記作業装置に前記所定の作業を行わせる範囲である作業範囲に関する第2情報を、前記サーバ装置に送信し、前記サーバ装置の前記制御部は、前記ユーザ端末から送信された前記第2情報に基づいて、前記作業装置に対して前記作業指令を送信する。
【0006】
また、本開示は、情報処理装置の側面から捉えることができる。すなわち、本開示の情報処理装置は、農場内の各領域において栽培されている農作物の状態を検出可能なセンサからの出力に基づいて、前記農作物の状態に関する状態情報を取得することと、前記状態情報に基づいて生成される情報であって、ユーザ端末に送信するための第1情報を生成することと、前記第1情報を前記ユーザ端末に送信することと、前記ユーザ端末を介して前記第1情報が通知されたユーザによって該ユーザ端末に入力された、前記農場において作業装置に所定の作業を行わせる範囲である作業範囲に関する第2情報を取得することと、前記第2情報に基づいて、前記作業装置に対して、前記農場において前記所定の作業を行わせるための作業指令を送信することと、を実行する制御部を備える。
【0007】
また、本開示は、プログラムの側面から捉えることができる。すなわち、本開示のプログラムは、農場において作業装置に所定の作業を行わせるための作業指令を前記作業装置
に対して送信するサーバ装置と通信を行うユーザ端末を制御するコンピュータに情報処理方法を実行させるプログラムであって、前記情報処理方法は、前記農場内の各領域において栽培されている農作物の状態に関する状態情報に基づいて生成された第1情報を前記サーバ装置から受信することと、前記第1情報をユーザに通知することと、前記第1情報が通知された前記ユーザによって入力された、前記農場において前記作業装置に所定の作業を行わせる範囲である作業範囲に関する第2情報を取得することと、前記第2情報を前記サーバ装置に送信することと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、農作物の生産ユーザが行う農作業について、ユーザの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態における情報処理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態における情報処理システムの構成要素をより詳細に示した図である。
【
図3】サーバの制御部が有する生成部によって生成される第1情報を説明するための図である。
【
図4】サーバの制御部が有する第2取得部によって取得される第2情報を説明するための第1の図である。
【
図5】サーバの制御部が有する第2取得部によって取得される第2情報を説明するための第2の図である。
【
図6】サーバの制御部が有する第2取得部によって取得される第2情報を説明するための第3の図である。
【
図7】第1実施形態における情報処理システムの動作の流れを例示する図である。
【
図8】第1実施形態において、生産ユーザへの第1情報に関する通知画面を例示する図である。
【
図9】第2情報の取得に関する処理画面を例示する図である。
【
図10】第2実施形態における情報処理システムの構成要素をより詳細に示した図である。
【
図11】第2実施形態において、生産ユーザへの第1情報に関する通知画面を例示する第1の図である。
【
図12】第2実施形態において、生産ユーザへの第1情報に関する通知画面を例示する第2の図である。
【
図13】第3実施形態における情報処理システムの概略構成を示す図である。
【
図14】第3実施形態における情報処理システムの構成要素をより詳細に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の情報処理システムにおいて、センサは、農場内の各領域において栽培されている農作物の状態を検出する。ここで、農作物の状態とは、ユーザが、農作物に対して所定の作業を行うか否かを判断するために把握すべき状態であってもよい。例えば、農作物の状態は、農作物の大きさや色といった農作物の外観の状態や、農作物に対する水、肥料、薬剤等の散布状態である。そして、サーバ装置の制御部は、センサからの出力に基づいて、農作物の状態に関する状態情報を取得する。例えば、センサによって農作物の外観の状態が画像として撮像された場合、制御部は、センサからの出力に基づいて、農作物の画像情報を取得する。そして、制御部は、ユーザ端末に送信するための第1情報を生成する。ここで、第1情報は、取得した状態情報に基づいて生成される情報であって、例えば、状態情報に所定の情報を組み合わせることで生成される。そして、制御部は、生成した第1情報をユーザ端末に送信する。
【0011】
ユーザ端末は、サーバ装置から受信した第1情報をユーザに通知する。ここで、サーバ装置の制御部によって画像情報を含んだ第1情報が生成された場合、ユーザ端末は、例えば、該ユーザ端末の入出力部に画像情報を含んだ第1情報を表示させることで、第1情報をユーザに通知してもよい。ユーザ端末によって第1情報がユーザに通知されると、ユーザによるユーザ端末への第2情報の入力が促される。そして、ユーザ端末は、第1情報が通知されたユーザによって入力された第2情報をサーバ装置に送信する。なお、第2情報は、農場において作業装置に所定の作業を行わせる範囲である作業範囲に関する情報である。ここで、所定の作業とは、例えば、農場における農作物の収穫作業や、農作物に対する水、肥料、薬剤等の散布作業である。このように、本開示の情報処理システムでは、ユーザによって作業範囲が定められる。そして、このような作業範囲に関する第2情報を取得したサーバ装置の制御部は、該第2情報に基づいて、農場において所定の作業を行わせるための作業指令を作業装置に対して送信する。そうすると、この作業指令を受信した作業装置によって、ユーザが定めた作業範囲において、所定の作業が行われることになる。
【0012】
以上に述べた情報処理システムによれば、ユーザは、センサからの出力に基づいて取得された農作物の状態情報を含んだ第1情報に基づいて、該ユーザ自身で農場において作業装置に所定の作業を行わせる作業範囲を判断して、サーバ装置を介して作業装置を遠隔で操作することができる。これにより、農作物の生産ユーザが行う農作業について、ユーザの利便性を高めることができる。
【0013】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0014】
<第1実施形態>
第1実施形態における情報処理システムの概要について、
図1を参照しながら説明する。本実施形態に係る情報処理システムは、農場50内の各領域において栽培されている農作物(以下、単に「農作物」と称する場合もある。)の状態をセンシングするセンサを備えた無人飛行機100と、農作物を収穫する無人トラクタ200と、サーバ300と、農作物の生産ユーザ10が有するユーザ端末400と、を含んで構成される。ここで、本実施形態における無人飛行機100は、複数のローターを備えたマルチコプターであって、いわゆるドローンであるが、これに限定する意図はなく、農場50の上空を移動できるものであれば、その種類は問わない。また、本実施形態における無人トラクタ200は、農作物を収穫することができるものであれば、その種類は問わない。
【0015】
無人飛行機100は、上記のセンサとして、農場50内の各領域において栽培されている農作物を撮影可能なカメラ110を備える。ここで、カメラ110は、例えば、Charged-Coupled Devices(CCD)、Metal-oxide-semiconductor(MOS)あるいはComplementary Metal-Oxide-Semiconductor(CMOS)等のイメージセンサを用いた撮像装置で
あって、農作物を撮影することで該農作物の状態を検出することができる。なお、この場合、無人飛行機100に備えられたカメラ110が、本開示に係るセンサに相当する。また、無人飛行機100には、農作物を撮影可能な移動型の撮像装置として、一つのカメラ110が設けられてもよいし、複数のカメラ110が設けられてもよい。
【0016】
サーバ300は、無人飛行機100と通信可能に構成されており、無人飛行機100に備えられたカメラ110からの出力を無人飛行機100との通信により取得することで、農作物の状態に関する画像情報(静止画情報または動画情報)を取得することができる。つまり、サーバ300は、カメラ110からの出力に基づいて、農作物の状態に関する状態情報である画像情報を取得する。そして、サーバ300は、取得した農作物の画像情報を含んだ第1情報を生成する。ここで、サーバ300は、ユーザ端末400とも通信可能
に構成されており、生成した第1情報をユーザ端末400に送信し、この情報を受信したユーザ端末400が、該第1情報を生産ユーザ10に通知する。そうすると、第1情報が通知された生産ユーザ10は、該第1情報に基づいて、農場50における農作物の収穫範囲を決めることができる。詳しくは、生産ユーザ10は、ユーザ端末400に、農場50において無人トラクタ200に農作物の収穫を行わせる範囲である作業範囲に関する第2情報を入力することができる。ここで、本実施形態では、農場50は、複数の栽培区画(栽培区画50a~50i)を有する。この場合、生産ユーザ10は、複数の栽培区画(栽培区画50a~50i)のうちの所定の栽培区画(例えば、栽培区画50a、50d、および50g)を上記の作業範囲として、該作業範囲に関する第2情報を入力することができる。そして、生産ユーザ10によって第2情報が入力されたユーザ端末400は、該第2情報をサーバ300に送信する。
【0017】
また、サーバ300は、無人トラクタ200と通信可能に構成されている。そして、サーバ300は、ユーザ端末400から送信された第2情報に基づいて、無人トラクタ200に対して、農場50において農作物の収穫を行わせるための作業指令を送信する。そうすると、上記の作業指令を受信した無人トラクタ200が、生産ユーザ10によって定められた作業範囲において、農作物の収穫を行う。つまり、生産ユーザ10は、無人飛行機100のカメラ110を用いて取得された農場50の監視情報に基づいて、該ユーザ自身で農作物の収穫を行う作業範囲を判断して、サーバ300を介して無人トラクタ200を遠隔で操作していることになる。
【0018】
次に、
図2に基づいて、主にサーバ300の構成要素の詳細な説明を行う。
図2は、第1実施形態における、情報処理システムに含まれるサーバ300の構成要素をより詳細に示すとともに、サーバ300と通信を行う、無人飛行機100、無人トラクタ200、およびユーザ端末400の構成要素を示した図である。
【0019】
サーバ300は、汎用のコンピュータにより構成してもよい。すなわち、サーバ300は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリ、あるいは、CDやDVDのようなディスク記録媒体であってもよい。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納されている。サーバ300は、機能部として通信部301、記憶部302、制御部303を有しており、補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各機能部等が制御されることによって、各機能部における所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0020】
ここで、通信部301は、サーバ300をネットワークに接続するための通信インタフェースである。通信部301は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。サーバ300は、通信部301を介して、無人飛行機100、無人トラクタ200、およびユーザ端末400やその他の外部装置と通信可能に接続される。
【0021】
記憶部302は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部303によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部303において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。更に、記憶部302は、無人飛行機100やユーザ端末400等から送信されたデータを記憶する。サーバ300は、通信部301を介してこれらデータを取得する。そして、記憶部302には、例えば
、カメラ110からの出力に基づいて取得された農作物の画像情報や、ユーザ端末400から送信された第2情報が記憶される。
【0022】
制御部303は、サーバ300が行う制御を司る機能部である。制御部303は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。制御部303は、更に、第1取得部3031と、生成部3032と、第2取得部3033と、指令部3034と、の4つの機能部を有して構成される。各機能部は、記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0023】
第1取得部3031は、農作物を撮影することで該農作物の状態を検出したカメラ110からの出力を無人飛行機100との通信により取得することで、農作物の状態に関する状態情報である画像情報(静止画情報または動画情報)を取得する。この画像情報には、例えば、農作物の大きさや色といった農作物の外観の状態に関する情報が含まれている。そして、第1取得部3031は、取得した画像情報をサーバ300の記憶部302に記憶させる。
【0024】
ここで、本実施形態における無人飛行機100は、外部からの指令に基づいて自律移動を行う自律型の飛行移動体である。この場合、無人飛行機100は、機体センサ101、位置情報取得部102、通信部103、記憶部104、制御部105を含んで構成される。機体センサ101は、機体の状態をセンシングしたり機体周辺をセンシングしたりする手段である。機体の状態をセンシングするための機体センサ101として、加速度センサ、速度センサ、方位角センサが挙げられる。機体周辺をセンシングするための機体センサ101として、飛行用のステレオカメラ、レーザスキャナ、LIDAR、レーダなどが挙げられる。機体センサ101が取得した情報は、制御部105に送信される。位置情報取得部102は、無人飛行機100の現在位置を取得する手段であり、典型的には、GPS衛星信号を受信して位置情報を求めるGPS(Global Positioning System)装置である
。GPS装置から得られる位置情報は、緯度・経度・高度を表す。位置情報取得部102は、無人飛行機100の現在位置を取得可能であれば、GPS以外のGNSS(Global Navigation Satellite System)による測位装置でもよく、基地局測位による測位装置でもよい。通信部103は、無人飛行機100をネットワークに接続するための通信インタフェースであり、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。記憶部104は、サーバ300の記憶部302と同様に主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成され、記憶部104には、無人飛行機100の機体情報が登録される。なお、このような機体情報の登録は、所定のアプリによって事前に行われる。制御部105は、無人飛行機100の自律移動の制御を行うコンピュータである。制御部105は、例えば、マイクロプロセッサと、プログラムを格納したメモリとから構成され、マイクロプロセッサがプログラムを実行することにより機能する。なお、機能の一部または全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA
(Field Programmable Gate Array)などの論理回路によって実現されてもよい。
【0025】
そして、このような無人飛行機100において、制御部105は、外部からの運行計画と、機体センサ101によって取得した機体の状態や機体周辺の状況と、位置情報取得部102によって取得した機体の位置情報と、に基づいて、無人飛行機100の飛行を制御する。なお、運行計画とは、無人飛行機100が飛行する経路と、その経路の一部において無人飛行機100が行うべき処理を規定したデータである。本実施形態では、無人飛行機100が飛行する経路に農場50の上空を飛行する経路が含まれ、農場50の上空において、該農場50内の各領域で栽培されている農作物が撮影されるようにカメラ110が制御される。ただし、無人飛行機100をこのような自律移動体に限定する意図はなく、無人飛行機100は、所定のユーザによって操作されてもよい。
【0026】
生成部3032は、第1取得部3031によって取得され記憶部302に記憶された画像情報に基づいて、農作物の画像情報を含んだ第1情報を生成する。そして、生成部3032は、生成した第1情報をユーザ端末400に送信する。そうすると、ユーザ端末400によって、第1情報が生産ユーザ10に通知される。
【0027】
ここで、
図3は、生成部3032によって生成される第1情報を説明するための図である。本実施形態では、
図3に示すように、農作物の画像情報に農場50の栽培区画を表す情報が重ねられて第1情報が生成される。なお、サーバ300の記憶部302には、予め、農場50内の各領域を表す画像情報と、農場50内の各領域に対応する栽培区画を表す情報と、が紐付けられて記憶されている。そのため、生成部3032は、農作物の画像情報に農場50の栽培区画を表す情報を重ねて第1情報を生成することができる。また、無人飛行機100のカメラ110によって、農場50における栽培区画ごとに農作物の状態が検出される場合、カメラ110からの出力に基づいて取得される画像情報には、農場50における栽培区画ごとの農作物の画像情報が含まれることになる。この場合、生成部3032は、農場50における栽培区画ごとの農作物の画像情報にその栽培区画を表す情報を重ねて第1情報を生成することができる。
【0028】
なお、本実施形態におけるユーザ端末400は、上記の
図2に示したように、機能部として通信部401、入出力部402、記憶部403、位置検出部404を有している。通信部401は、ユーザ端末400をネットワークに接続するための通信インタフェースであり、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。入出力部402は、通信部401を介して外部から送信されてきた情報等を表示させたり、通信部401を介して外部に情報を送信する際に当該情報を入力したりするための機能部であり、例えば、ディスプレイ装置やタッチパネルを有して構成される。記憶部403は、サーバ300の記憶部302と同様に主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成され、記憶部403には、ユーザ端末400を有する生産ユーザ10のユーザ情報が記憶される。なお、このユーザ情報は、所定のアプリによって事前に登録される。位置検出部404は、ユーザ端末400の位置を検出するための機能部であり、例えばGPS装置を有して形成される。
【0029】
そして、
図2に戻って、第2取得部3033は、生産ユーザ10によってユーザ端末400に入力された、農場50において無人トラクタ200に農作物の収穫を行わせる範囲である作業範囲(以下、単に「作業範囲」と称する場合もある。)に関する第2情報を取得する。第2取得部3033は、ユーザ端末400から送信された第2情報を、通信部301を介して受信することで、該第2情報を取得する。そして、第2取得部3033は、取得した第2情報をサーバ300の記憶部302に記憶させる。
【0030】
ここで、
図4は、第2取得部3033によって取得される第2情報を説明するための第1の図である。第1情報が通知された生産ユーザ10は、上記の
図3に示した複数の栽培区画(栽培区画50a~50i)のうちの所定の栽培区画を作業範囲として、該作業範囲に関する第2情報を入力することができる。
図4によると、栽培区画50a、50d、および50gが、作業範囲として生産ユーザ10によって選択されている。この場合、
図4に示すような情報、つまり、農場50における各栽培区画に対する、生産ユーザ10による作業範囲としての選択や非選択を含む情報が、第2情報となる。
【0031】
また、
図5は、第2取得部3033によって取得される第2情報を説明するための第2の図である。
図5によると、農場50の栽培区画を表す情報が重ねて表示された農作物の画像情報において、栽培区画50a、50d、および50gが、作業範囲として生産ユーザ10によって選択されている。第2情報は、このように、農作物の画像情報に対して、生産ユーザ10によって作業範囲として選択された栽培区画を表す情報が追加されたもの
であってもよい。
【0032】
なお、本実施形態では、予め定められた複数の栽培区画を有する農場50を例にして説明しているが、農場50において、栽培区画は定められていなくてもよい。この場合、生産ユーザ10は、農作物の画像情報における任意の範囲を作業範囲として選択してもよい。
図6は、第2取得部3033によって取得される第2情報を説明するための第3の図である。
図6によると、農作物の画像情報において、農場50内の任意の領域が生産ユーザ10によって選択されていることがわかる。第2情報は、このように、農作物の画像情報に対して、生産ユーザ10によって作業範囲として選択された農場50内の任意の領域を表す情報が追加されたものであってもよい。
【0033】
そして、
図2に戻って、指令部3034は、第2取得部3033によって取得され記憶部302に記憶された第2情報に基づいて、農場50において農作物の収穫を行わせるための作業指令を無人トラクタ200に対して送信する。そうすると、この作業指令を受信した無人トラクタ200が、生産ユーザ10によって定められた作業範囲において、農作物の収穫を行う。なお、この場合、無人トラクタ200が本開示に係る作業装置に相当する。また、農場50において農作物の収穫を行う無人トラクタは、一台の無人トラクタ200であってもよいし、複数台の無人トラクタ200であってもよい。
【0034】
ここで、本実施形態における無人トラクタ200は、外部からの指令に基づいて自律移動を行う自律移動体である。この場合、無人トラクタ200は、車両センサ201、位置情報取得部202、通信部203、記憶部204、制御部205を含んで構成される。車両センサ201は、車両の状態をセンシングしたり車両周辺をセンシングしたりする手段である。車両の状態をセンシングするための車両センサ201として、加速度センサ、速度センサ、方位角センサが挙げられる。車両周辺をセンシングするための車両センサ201として、走行用のステレオカメラ、レーザスキャナ、LIDAR、レーダなどが挙げられる。車両センサ201が取得した情報は、制御部205に送信される。位置情報取得部202は、無人トラクタ200の現在位置を取得する手段であり、典型的には、GPS衛星信号を受信して位置情報を求めるGPS(Global Positioning System)装置である。
GPS装置から得られる位置情報は、緯度・経度・高度を表す。位置情報取得部202は、無人トラクタ200の現在位置を取得可能であれば、GPS以外のGNSS(Global Navigation Satellite System)による測位装置でもよく、基地局測位による測位装置でもよい。通信部203は、無人トラクタ200をネットワークに接続するための通信インタフェースであり、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。記憶部204は、サーバ300の記憶部302と同様に主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成され、記憶部204には、無人トラクタ200の車両情報が登録される。なお、このような車両情報の登録は、所定のアプリによって事前に行われる。制御部205は、無人トラクタ200の自律移動の制御を行うコンピュータである。制御部205は、例えば、マイクロプロセッサと、プログラムを格納したメモリとから構成され、マイクロプロセッサがプログラムを実行することにより機能する。なお、機能の一部または全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やF
PGA(Field Programmable Gate Array)などの論理回路によって実現されてもよい。
【0035】
そして、このような無人トラクタ200において、制御部205は、外部からの運行計画と、車両センサ201によって取得した車両の状態や車両周辺の状況と、位置情報取得部202によって取得した車両の位置情報と、に基づいて、無人トラクタ200の走行を制御する。なお、運行計画とは、無人トラクタ200が走行する経路と、その経路の一部において無人トラクタ200が行うべき処理を規定したデータである。ここで、本実施形態では、サーバ300から送信される上記の作業指令に、無人トラクタ200に対する運行計画が含まれる。詳しくは、農場50における上記の作業範囲において、無人トラクタ
200が農作物の収穫を行うことができるように、運行計画における無人トラクタ200が走行する経路が定められる。そして、運行計画には、上記の走行経路の一部である作業範囲において無人トラクタ200に備えられた収穫機械206を起動させる処理が規定される。
【0036】
なお、制御部303が、第1取得部3031、生成部3032、第2取得部3033、および指令部3034の処理を実行することで、本開示に係る制御部として機能する。
【0037】
ここで、本実施形態における情報処理システムの動作の流れについて説明する。
図7は、本実施形態における情報処理システムの動作の流れを例示する図である。
図7では、情報処理システムにおける各構成要素間の動作の流れ、および各構成要素が実行する処理を説明する。
【0038】
本実施形態では、先ず、無人飛行機100によって、農場50内の各領域において栽培されている農作物の状態が検出され、その出力データがサーバ300に送信される。無人飛行機100は、該無人飛行機100に備えられたカメラ110を用いて農作物を撮影することで、該農作物の状態を検出する(S101)。言い換えれば、本開示に係るセンサに相当するカメラ110が、農作物の状態を検出する。そして、無人飛行機100は、カメラ110からの出力データをサーバ300に送信する(S102)。
【0039】
次に、サーバ300によって、農作物の画像情報に基づいて第1情報が生成される。サーバ300は、無人飛行機100から送信された上記の出力データを、通信部301を介して受信することで、農作物の状態に関する状態情報である画像情報(静止画情報または動画情報)を取得する(S103)。そして、サーバ300は、取得した画像情報に基づいて、該画像情報を含んだ第1情報を生成する(S104)。なお、サーバ300は、例えば、上記の
図3に示したように、農作物の画像情報に農場50の栽培区画を表す情報を重ねて第1情報を生成することができる。そして、サーバ300は、生成した第1情報をユーザ端末400に送信する(S105)。
【0040】
次に、ユーザ端末400によって第1情報が生産ユーザ10に通知され、該生産ユーザ10によってユーザ端末400に第2情報が入力される。ユーザ端末400は、サーバ300から送信された第1情報を、通信部401を介して受信することで、第1情報を取得する(S106)。そして、ユーザ端末400は、取得した第1情報を生産ユーザ10に通知する(S107)。これについて、
図8に基づいて説明する。
図8は、第1実施形態において、生産ユーザ10への第1情報に関する通知画面を例示する図である。
図8に例示する通知画面SC1は、第1情報を生産ユーザ10に通知するための画面であって、生産ユーザ10が有するユーザ端末400の入出力部402に表示される。通知画面SC1には、ユーザ情報SC11(ID、氏名)、位置情報SC12、および第1情報SC13が示される。そして、ユーザ情報SC11には、ユーザ端末400の記憶部403に記憶された生産ユーザ10のユーザ情報が示される。また、位置情報SC12には、農場50の位置情報が示される。また、第1情報SC13には、サーバ300から送信された第1情報が示される。ユーザ端末400は、このような通知画面を入出力部402に表示させることで、取得した第1情報を生産ユーザ10に通知する。
【0041】
そして、
図7に戻って、ユーザ端末400は、第1情報が通知された生産ユーザ10によって入力された、農場50において無人トラクタ200に農作物の収穫を行わせる範囲である作業範囲に関する第2情報を取得する(S108)。これについて、
図9に基づいて説明する。
図9は、第2情報の取得に関する処理画面を例示する図である。
図9に例示する処理画面SC2は、生産ユーザ10から第2情報を取得するための画面であって、生産ユーザ10が有するユーザ端末400の入出力部402に表示される。処理画面SC2
には、生産ユーザ10に対するメッセージ情報SC21、および第1情報SC13が示される。そうすると、上述したように、生産ユーザ10は、農場50の栽培区画を表す情報が重ねて表示された農作物の画像情報(第1情報SC13)において、所定の栽培区画を作業範囲として選択することができる。そして、
図7に戻って、ユーザ端末400は、生産ユーザ10によって入力された作業範囲に関する第2情報をサーバ300に送信する(S109)。
【0042】
次に、サーバ300によって、第2情報に基づいて作業指令が生成され、該作業指令が無人トラクタ200に送信される。サーバ300は、ユーザ端末400から送信された第2情報を、通信部301を介して受信することで、第2情報を取得する(S110)。そして、サーバ300は、取得した第2情報に基づいて、農場50において無人トラクタ200に農作物の収穫を行わせるための作業指令を生成する(S111)。なお、上述したように、サーバ300は、無人トラクタ200に対する運行計画を含んだ上記の作業指令を生成することができる。そして、サーバ300は、生成した作業指令を無人トラクタ200に送信する(S112)。
【0043】
次に、無人トラクタ200は、サーバ300から送信された作業指令を受信する(S113)。そして、作業指令を受信した無人トラクタ200は、生産ユーザ10によって定められた作業範囲において、農作物の収穫を行う。
【0044】
以上に述べた情報処理システムの動作によれば、生産ユーザ10は、無人飛行機100のカメラ110を用いて取得された農作物の画像情報に基づいて、該ユーザ自身で農作物の収穫を行う作業範囲を判断して、サーバ300を介して無人トラクタ200を遠隔で操作することができる。これにより、農作物の生産ユーザが行う農作業について、ユーザの利便性を高めることができる。
【0045】
なお、農作物の状態について、無人飛行機100に備えられたカメラ110による検出に代えて、農場50に設けられたカメラ120によって農作物の状態が検出されてもよい。この場合、農場50に設けられたカメラ120が本発明に係るセンサに相当し、農場50には、農作物を撮影可能な固定型の撮像装置として、一つのカメラ120が設けられてもよいし、複数のカメラ120が設けられてもよい。
【0046】
また、上述したサーバ300の機能をユーザ端末400が有していてもよい。この場合、無人飛行機100、および無人トラクタ200は、ユーザ端末400と通信を行う。
【0047】
<第2実施形態>
第2実施形態について、
図10~
図12に基づいて説明する。
図10は、第2実施形態における、情報処理システムに含まれるサーバ300の構成要素をより詳細に示すとともに、サーバ300と通信を行う、無人飛行機100、無人トラクタ200、およびユーザ端末400の構成要素を示した図である。
【0048】
本実施形態では、サーバ300の記憶部302に、カメラ110からの出力に基づいて取得された農作物の画像情報や、ユーザ端末400から送信された第2情報に加えて、農作物の収穫条件が記憶される。この収穫条件は、農場50内の各領域において栽培されている農作物の収穫時期の判断に用いられる情報であって、生産ユーザ10によって予め登録される。そして、サーバ300の制御部303が有する生成部3032は、第1取得部3031によって取得され記憶部302に記憶された画像情報と、記憶部302に記憶された収穫条件と、に基づいて、農場50において無人トラクタ200に農作物の収穫を行わせる対象範囲の提案に関する提案情報を生成し、第1情報として、農作物の画像情報と該提案情報とを含んだ情報を生成する。これについて、以下に説明する。
【0049】
上述したように、画像情報には、例えば、農作物の大きさや色といった農作物の外観の状態に関する情報が含まれる。そして、生産ユーザ10は、このような画像情報に基づいて、農作物の収穫時期を判断することができる。本実施形態では、農作物の外観の状態に基づいて定められる該農作物の収穫条件が、生産ユーザ10によってサーバ300の記憶部302に予め登録される。詳しくは、生産ユーザ10は、農作物の収穫条件として、例えば、農作物の大きさが所定の大きさ以上であることや、農作物の色が所定の色であることを定めて、サーバ300の記憶部302に予め登録する。また、生産ユーザ10は、日ごとの農作物の必要収穫量を定めて、それを農作物の収穫条件として、サーバ300の記憶部302に予め登録してもよい。
【0050】
そうすると、本実施形態における生成部3032は、第1取得部3031によって取得され記憶部302に記憶された画像情報と、記憶部302に記憶された収穫条件と、を照合することで、農場50内の各領域において栽培されている農作物のうち収穫条件を満たす農作物を判定する。そして、生成部3032は、農場50において上記の収穫条件を満たす農作物が含まれている領域を、無人トラクタ200に農作物の収穫を行わせる対象範囲として、該対象範囲の提案に関する提案情報を生成する。そして、生成部3032は、農作物の画像情報と、このようにして生成した提案情報と、を含んだ第1情報を生成し、生成した第1情報をユーザ端末400に送信する。そうすると、ユーザ端末400によって、第1情報が生産ユーザ10に通知される。
【0051】
ここで、
図11は、第2実施形態において、生産ユーザ10への第1情報に関する通知画面を例示する第1の図である。
図11に例示する通知画面SC3は、上記の提案情報を含んだ第1情報を生産ユーザ10に通知するための画面であって、生産ユーザ10が有するユーザ端末400の入出力部402に表示される。通知画面SC3には、ユーザ情報SC11(ID、氏名)、位置情報SC12、第1情報SC13、および提案情報SC31が示される。提案情報SC31には、無人トラクタ200に農作物の収穫を行わせる対象範囲の提案に関するメッセージ情報が示される。ユーザ端末400は、このような通知画面を入出力部402に表示させることで、取得した第1情報を生産ユーザ10に通知する。
【0052】
そして、ユーザ端末400は、第1情報が通知された生産ユーザ10によって入力された、農場50において無人トラクタ200に農作物の収穫を行わせる範囲である作業範囲に関する第2情報を取得する。このとき、例えば、上記の
図9に示した第2情報の取得に関する処理画面における、農場50の栽培区画を表す情報が重ねて表示された農作物の画像情報において、生産ユーザ10によって、所定の栽培区画が作業範囲として選択されることで、第2情報が入力されることになる。
【0053】
なお、本実施形態における生成部3032は、過去に生産ユーザ10によって入力された第2情報を学習することで、上記の提案情報を生成してもよい。生産ユーザ10は、農作物の画像情報に基づいて農作物の収穫時期を判断することで、ユーザ端末400に第2情報を入力する。そのため、生産ユーザ10が第2情報として入力した作業範囲に含まれる農作物は、収穫期にあると言える。そうすると、生成部3032は、過去に生産ユーザ10が第2情報として入力した作業範囲に含まれる農作物の外観の状態を学習することで、農作物の収穫条件を生成することができる。この場合、生成部3032は、第1取得部3031によって取得され記憶部302に記憶された画像情報と、学習によって生成された収穫条件と、に基づいて、提案情報を生成してもよい。
【0054】
また、本実施形態における生成部3032は、農場50を含んだ地域における天気予報に関する第3情報を更に取得し、第1取得部3031によって取得され記憶部302に記
憶された画像情報と、記憶部302に記憶された収穫条件と、該第3情報と、に基づいて、提案情報を生成してもよい。これについて、
図12に基づいて説明する。
図12は、第2実施形態において、生産ユーザ10への第1情報に関する通知画面を例示する第2の図である。
図12に例示する通知画面SC4は、上記の提案情報を含んだ第1情報を生産ユーザ10に通知するための画面であって、生産ユーザ10が有するユーザ端末400の入出力部402に表示される。通知画面SC4には、ユーザ情報SC11(ID、氏名)、位置情報SC12、第1情報SC13、および提案情報SC41が示される。提案情報SC41には、無人トラクタ200に農作物の収穫を行わせる対象範囲の提案に関するメッセージ情報が示される。
図12は、農場50を含んだ地域における明日の天気予報が雨であることが第3情報として取得された例であって、この場合、生成部3032は、明日の天気が農作物の収穫に適していないと判定して、本日に無人トラクタ200に農作物の収穫を行わせる対象範囲を、収穫条件を満たす農作物が含まれている領域よりも広く設定して、該対象範囲の提案に関する提案情報を生成する。また、生成部3032は、明日の天気が農作物の収穫に適していると判定した場合には、本日に無人トラクタ200に農作物の収穫を行わせる対象範囲を、収穫条件を満たす農作物が含まれている領域よりも狭く設定して、該対象範囲の提案に関する提案情報を生成してもよい。
【0055】
以上に述べた情報処理システムによれば、生産ユーザ10は、無人飛行機100のカメラ110を用いて取得された農作物の画像情報と、サーバ300によって生成された提案情報と、に基づいて、該ユーザ自身で農作物の収穫を行う作業範囲を判断して、サーバ300を介して無人トラクタ200を遠隔で操作することができる。これにより、農作物の生産ユーザが行う農作業について、ユーザの利便性を高めることができる。
【0056】
<第3実施形態>
第3実施形態について、
図13および
図14に基づいて説明する。
図13は、第3実施形態における情報処理システムの概略構成を示す図である。
図14は、第3実施形態における、情報処理システムに含まれるサーバ300の構成要素をより詳細に示すとともに、サーバ300と通信を行う、収集装置130、無人トラクタ200、およびユーザ端末400の構成要素を示した図である。
【0057】
上述した第1実施形態では、サーバ300が、農場50における農作物の状態に関する状態情報として該農作物の画像情報を取得し、生産ユーザ10によって入力された第2情報に基づいて、農作物の収穫を行わせるための作業指令を無人トラクタ200に送信する例について説明した。これに対して、本実施形態では、サーバ300が、状態情報として、農作物に対する水、肥料、薬剤等の散布状態を表す環境情報を取得し、生産ユーザ10によって入力された第2情報に基づいて、農作物にこれらを散布するための作業指令を無人トラクタ200に送信する例について説明する。
【0058】
ここで、本実施形態における収集装置130は、
図13に示すように、農場50に設けられたセンサ群140に含まれる各センサの検出データを収集する装置である。収集装置130による各センサからのデータ収集は、各センサにおいて一時的に記憶されていたデータを一定周期で収集するようにしてもよく、各センサからプッシュ型で送信されてくる検出データを都度、収集するようにしてもよい。
【0059】
そして、本実施形態におけるセンサ群140は、農作物に対する水、肥料、薬剤等の散布状態を検出する環境センサを含む。なお、環境センサによる農作物に対する水、肥料、薬剤等の散布状態の検出については、既存の技術により実現可能である。また、環境センサは、農場50内の任意の位置に設けることができる。
【0060】
また、
図14に示すように、サーバ300は、収集装置130と通信可能に構成されて
おり、収集装置130によって収集されたセンサ群140の検出データを収集装置130との通信により取得することで、農作物の状態に関する環境情報を取得することができる。つまり、サーバ300は、センサ群140からの出力に基づいて、農作物の状態に関する環境情報を取得する。
【0061】
そして、サーバ300の制御部303が有する第1取得部3031は、農作物に対する水、肥料、薬剤等の散布状態を検出したセンサ群140からの出力を収集装置130との通信により取得することで、農作物の状態情報として、農作物に対する水、肥料、薬剤等の散布状態を表す環境情報を取得する。そして、第1取得部3031は、取得した環境情報をサーバ300の記憶部302に記憶させる。
【0062】
生成部3032は、第1取得部3031によって取得され記憶部302に記憶された環境情報に基づいて、農作物の環境情報を含んだ第1情報を生成する。そして、生成部3032は、生成した第1情報をユーザ端末400に送信する。そうすると、ユーザ端末400によって、第1情報が生産ユーザ10に通知される。ここで、生成部3032は、例えば、農作物の環境情報に農場50の栽培区画を表す情報を重ねて第1情報を生成することができる。
【0063】
第2取得部3033は、生産ユーザ10によってユーザ端末400に入力された、農場50において無人トラクタ200に農作物に対する水、肥料、薬剤等の散布を行わせる範囲である作業範囲に関する第2情報を取得する。そして、第2取得部3033は、取得した第2情報をサーバ300の記憶部302に記憶させる。
【0064】
指令部3034は、第2取得部3033によって取得され記憶部302に記憶された第2情報に基づいて、農場50において農作物に対する水、肥料、薬剤等の散布を行わせるための作業指令を無人トラクタ200に対して送信する。そうすると、この作業指令を受信した無人トラクタ200が、生産ユーザ10によって定められた作業範囲において、農作物に対する水、肥料、薬剤等の散布を行う。なお、無人トラクタ200は、外部からの指令に基づいて自律移動を行う自律移動体であって、上述したように、無人トラクタ200の制御部205が、外部からの運行計画と、車両センサ201によって取得した車両の状態や車両周辺の状況と、位置情報取得部202によって取得した車両の位置情報と、に基づいて、無人トラクタ200の走行を制御する。そして、無人トラクタ200の走行経路の一部である作業範囲において、無人トラクタ200に備えられた散布機械207が起動する。
【0065】
以上に述べた情報処理システムによれば、生産ユーザ10は、センサ群140を用いて取得された農作物の環境情報に基づいて、該ユーザ自身で農作物に対する水、肥料、薬剤等の散布を行う作業範囲を判断して、サーバ300を介して無人トラクタ200を遠隔で操作することができる。これにより、農作物の生産ユーザが行う農作業について、ユーザの利便性を高めることができる。
【0066】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0067】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。例えば、第1取得部3031および生成部3032をサーバ300とは別の演算処理装置に形成してもよい。このとき当該別の演算処理装置はサーバ300と好適に協働可能に構成される。また、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装
置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0068】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0069】
10・・・生産ユーザ
50・・・農場
100・・・無人飛行機
110・・・カメラ
130・・・収集装置
140・・・センサ群
200・・・無人トラクタ
300・・・サーバ
301・・・通信部
302・・・記憶部
303・・・制御部
400・・・ユーザ端末