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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】コネクタユニット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/514 20060101AFI20231003BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
H01R13/514
H01R13/639 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020099366
(22)【出願日】2020-06-08
(65)【公開番号】P2021193649
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】魏 綾那
(72)【発明者】
【氏名】野崎 新史
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-252067(JP,A)
【文献】特表2007-533115(JP,A)
【文献】特開2006-294386(JP,A)
【文献】特開2017-45540(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014012038(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/533
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結された複数のサブコネクタを備えるコネクタユニットであって、
前記サブコネクタは、
端子と、
開口部を有して前記端子を収容するロアハウジングと、
前記ロアハウジングに組み付けられて前記開口部を塞ぐアッパカバーとを備え、
前記アッパカバーが、前記開口部の全体を塞ぐ本閉塞位置と、前記本閉塞位置からずれた仮閉塞位置との間でスライド移動可能となっているとともに、前記仮閉塞位置と、前記開口部を開放する開放位置との間で回動可能となっており、
前記ロアハウジングおよび前記アッパカバーのうち一方が、前記アッパカバーが前記仮閉塞位置にあるときに、前記アッパカバーの前記開放位置への回動を許容する回動許容部と、前記アッパカバーが前記本閉塞位置にあるときに、前記アッパカバーの前記開放位置への回動を規制する回動規制部とを備え、
前記複数のサブコネクタのうち一のサブコネクタが、他のサブコネクタに係合することで前記一のサブコネクタを前記他のサブコネクタに離間不能に保持するとともに、前記他のサブコネクタに備えられる前記アッパカバーの前記本閉塞位置から前記仮閉塞位置へのスライド移動を規制する移動規制部を備える、コネクタユニット。
【請求項2】
前記アッパカバーおよび前記ロアハウジングの一方は軸部を有し、他方は前記軸部を受け入れる軸孔を有し、
前記軸孔の一部が、前記アッパカバーが前記仮閉塞位置にあるときに前記軸部を回転可能に収容する前記回動許容部となっており、前記軸孔の他の一部が、前記アッパカバーが本閉塞位置にあるときに前記軸部を回転を規制しつつ収容する前記回動規制部となっており、
前記一のサブコネクタの前記移動規制部が、前記他のサブコネクタの前記回動許容部に収容される、請求項1に記載のコネクタユニット。
【請求項3】
前記他のサブコネクタに組み付けられるロック部材をさらに備え、
前記ロック部材が、
相手部材と係合するロック部を備え、前記ロック部の相手部材への係合を解除する解除方向に撓み可能なロックアームと、
前記ロックアームに連なり、前記他のサブコネクタに備えられる前記移動規制部に係合して前記ロックアームの前記解除方向と反対方向への撓みを規制する撓み規制部と、を備える、請求項1または請求項2に記載のコネクタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、コネクタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
端子を保持するベース部(ロアハウジング)と、このベース部に組み付けられて端子を覆うカバーとを備えるコネクタが知られている。カバーは、ベース部に対して、開状態と閉状態との間で回動可能に組み付けられている。カバーが開状態にあるときは、ベース部の内部に収容されている端子が露出される。カバーが閉状態にあるときは、端子がカバーにより覆われる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-192636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなコネクタの複数を連結してひとまとまりのコネクタユニットとして使用したいという要望がある。このような場合、コネクタユニットの他の部材への組み付け作業中や、使用中において、何らかの要因でカバーに予期しない力が加えられ、カバーが開状態となってしまうと、組み付け作業や使用に支障をきたすおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示されるコネクタユニットは、連結された複数のサブコネクタを備えるコネクタユニットであって、前記サブコネクタは、端子と、開口部を有して前記端子を収容するロアハウジングと、前記ロアハウジングに組み付けられて前記開口部を塞ぐアッパカバーとを備え、前記アッパカバーが、前記開口部の全体を塞ぐ本閉塞位置と、前記本閉塞位置からずれた仮閉塞位置との間でスライド移動可能となっているとともに、前記仮閉塞位置と、前記開口部を開放する開放位置との間で回動可能となっており、前記ロアハウジングおよび前記アッパカバーのうち一方が、前記アッパカバーが前記仮閉塞位置にあるときに、前記アッパカバーの前記開放位置への回動を許容する回動許容部と、前記アッパカバーが前記本閉塞位置にあるときに、前記アッパカバーの前記開放位置への回動を規制する回動規制部とを備え、前記複数のサブコネクタのうち一のサブコネクタが、他のサブコネクタに係合することで前記一のサブコネクタを前記他のサブコネクタに離間不能に保持するとともに、前記他のサブコネクタに備えられる前記アッパカバーの前記本閉塞位置から前記仮閉塞位置へのスライド移動を規制する移動規制部を備える。
【発明の効果】
【0006】
本明細書によって開示されるコネクタユニットによれば、簡素な構成で、アッパカバーが開状態となることを規制でき、組み付け作業や使用に支障をきたすことを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態のコネクタユニットの斜視図である。
図2図2は、実施形態のサブコネクタの斜視図である。
図3図3は、実施形態のサブコネクタの平面図である。
図4図4は、図3のA-A線断面図である。
図5図5は、実施形態のサブコネクタの側面図である。
図6図6は、アッパカバーが仮閉塞位置にある状態のサブコネクタの側面図である。
図7図7は、アッパカバーが仮閉塞位置にある状態のサブコネクタを、図3のA-A線と同位置で切断して示す断面図である。
図8図8は、アッパカバーが開放位置にある状態のサブコネクタの側面図である。
図9図9は、アッパカバーが開放位置にある状態のサブコネクタを、図3のA-A線と同位置で切断して示す断面図である。
図10図10は、実施形態のロアハウジングの斜視図である。
図11図11は、実施形態のアッパカバーの斜視図である。
図12図12は、実施形態のアッパカバーの側面図である。
図13図13は、実施形態において、スライド部材が仮係止位置にある状態のジョイント端子の斜視図である。
図14図14は、実施形態において、スライド部材が仮係止位置にある状態のジョイント端子の側面図である。
図15図15は、実施形態において、内部にジョイント端子が収容されたロアハウジングを、図3のA-A線と同位置で切断して示す断面図である。
図16図16は、実施形態のコネクタユニットの背面図である。
図17図17は、実施形態のコネクタユニットの側面図である。
図18図18は、実施形態のコネクタユニットが相手部材と嵌合された状態を、図3のA-A線と同位置で切断して示す断面図である。
図19図19は、変形例のコネクタユニットの斜視図である。
図20図20は、変形例において、アッパカバーが開放位置にある状態のサブコネクタの斜視図である。
図21図21は、変形例において、アッパカバーが本閉塞位置にある状態のサブコネクタを、図3のA-A線と同位置で切断して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態の概要]
(1)本明細書によって開示されるコネクタユニットは、連結された複数のサブコネクタを備えるコネクタユニットであって、前記サブコネクタは、端子と、開口部を有して前記端子を収容するロアハウジングと、前記ロアハウジングに組み付けられて前記開口部を塞ぐアッパカバーとを備え、前記アッパカバーが、前記開口部の全体を塞ぐ本閉塞位置と、前記本閉塞位置からずれた仮閉塞位置との間でスライド移動可能となっているとともに、前記仮閉塞位置と、前記開口部を開放する開放位置との間で回動可能となっており、前記ロアハウジングおよび前記アッパカバーのうち一方が、前記アッパカバーが前記仮閉塞位置にあるときに、前記アッパカバーの前記開放位置への回動を許容する回動許容部と、前記アッパカバーが前記本閉塞位置にあるときに、前記アッパカバーの前記開放位置への回動を規制する回動規制部とを備え、前記複数のサブコネクタのうち一のサブコネクタが、他のサブコネクタに係合することで前記一のサブコネクタを前記他のサブコネクタに離間不能に保持するとともに、前記他のサブコネクタに備えられる前記アッパカバーの前記本閉塞位置から前記仮閉塞位置へのスライド移動を規制する移動規制部を備える。
【0009】
上記の構成によれば、一のサブコネクタの移動規制部によって、他のサブコネクタのアッパカバーの本閉塞位置から仮閉塞位置へのスライド移動が規制される。アッパカバーが本閉塞位置にある状態では、開放位置への回動が規制されているので、コネクタユニットの他の部材への組み付け作業中や、使用中において、アッパカバーが開状態となり、組み付け作業や使用に支障をきたすことが回避される。また、移動規制部が、一のサブコネクタを他のサブコネクタに保持する機能と、アッパカバーの移動を規制する機能とを兼ね備えているので、構成が簡素化される。
【0010】
(2)前記アッパカバーおよび前記ロアハウジングの一方は軸部を有し、他方は前記軸部を受け入れる軸孔を有し、前記軸孔の一部が、前記アッパカバーが前記仮閉塞位置にあるときに前記軸部を回転可能に収容する前記回動許容部となっており、前記軸孔の他の一部が、前記アッパカバーが本閉塞位置にあるときに前記軸部を回転を規制しつつ収容する前記回動規制部となっており、前記一のサブコネクタの前記移動規制部が、前記他のサブコネクタの前記回動許容部に収容されていても構わない。
【0011】
このような構成によれば、軸孔を回動許容部および回動規制部として利用できるので、アッパカバーの回動規制のための構成を別途設ける必要がなく、構成が簡素化される。
【0012】
(3)上記のコネクタユニットが、前記他のサブコネクタに組み付けられるロック部材をさらに備え、前記ロック部材が、相手部材と係合するロック部を備え、前記ロック部の相手部材への係合を解除する解除方向に撓み可能なロックアームと、前記ロックアームに連なり、前記他のサブコネクタに備えられる前記移動規制部に係合して前記ロックアームの前記解除方向と反対方向への撓みを規制する撓み規制部と、を備えていても構わない。
【0013】
上記の構成によれば、移動規制部をロックアームの撓み規制にも利用することができるので、サブコネクタに、ロックアームの撓み規制のための構成を別途設ける必要がなく、構成が簡素化される。
【0014】
[実施形態の詳細]
本明細書によって開示される技術の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0015】
<実施形態>
実施形態を、図1から図18を参照しつつ説明する。本実施形態のコネクタユニット1は、図1に示すように、積み重ねられた複数(本実施形態では5つ)のサブコネクタ10と、これら複数のサブコネクタ10のうち端に位置するサブコネクタ10に組み付けられるロック部材100とを備える。このコネクタユニット1は、図18に示すように、相手部材110のフード部111に収容される。
【0016】
[サブコネクタ10の全体構成]
本実施形態のサブコネクタ10は、ジョイント端子80(端子の一例)を備えるジョイントコネクタである。このサブコネクタ10は、図2および図4に示すように、ジョイント端子80と、ジョイント端子80に接続される複数の電線70と、開口部25を有してジョイント端子80を収容するロアハウジング20と、ロアハウジング20に組み付けられて開口部25を塞ぐアッパカバー40とを備える。アッパカバー40は、開口部25の全体を塞ぐ本閉塞位置(図2から図5に示す位置)と、本閉塞位置からずれた仮閉塞位置(図6および図7に示す位置)との間でスライド移動可能となっているとともに、仮閉塞位置と、開口部25を開放する開放位置(図8および図9に示す位置)との間で回動可能となっている。以下の説明では、各サブコネクタ10を区別する場合には、サブコネクタ10の符号に添え字A、Bを付し、区別せずに総称する場合には、符号に添え字を付さないものとする。
【0017】
[ロアハウジング20]
ロアハウジング20は、合成樹脂製であって、図10に示すように、開口部25を有する矩形の箱状をなしている。このロアハウジング20は、細長い長方形状の底壁21と、底壁21の一対の長辺から垂直に立ち上がる一対の内側壁22と、底壁21の一方の短辺から垂直に立ち上がり、一対の内側壁22間を繋ぐ前壁23と、底壁21の他方の短辺から垂直に立ち上がり、一対の内側壁22間を繋ぐ内後壁24とを備えている。ロアハウジング20の内部には、底壁21から立ち上がる複数の隔壁26が配されている。複数の隔壁26は、一対の内側壁22と平行に配されている。隣り合う隔壁26間の空間、および隔壁26と内側壁22との間の空間は、それぞれキャビティ27となっており、隔壁26と前壁23との間の空間は、連結部収容部28となっている。内後壁24は、図4に示すように、複数のキャビティ27にそれぞれ連通する複数の第1電線挿通孔29を有している。各内側壁22の一部分は、内後壁24から、前壁23と反対側、および底壁21と反対側に延長された延設部22Aとなっている。
【0018】
ロアハウジング20は、さらに、アッパカバー40を組み付けるための一対の軸部31と、電線70を案内するためのロアガイド部32と、アッパカバー40を本閉塞位置または仮閉塞位置に保持するための一対の閉塞突起34と、アッパカバー40のスライド移動を案内するための一対のスライドガイド35とを備えている。
【0019】
各軸部31は、図10に示すように、全体として円柱状をなし、延設部22Aから外側に向かって突出している。軸部31の外周面は、互いに平行な第1平面31Aと第2平面31Bとを有している。第1平面31Aは、図6に示すように、軸部31のうち突出端に隣接する部分を切り欠くことによって形成される切断面のうち、底壁21と平行な平面である。第2平面31Bは、図10に示すように、軸部31のうち内側壁22に隣接する部分を切り欠くことによって形成される切断面のうち、底壁21と平行な平面である。第1平面31Aは、軸部31の外周面において底壁21側に配され、第2平面31Bは、その反対側に配されている。
【0020】
ロアガイド部32は、図10に示すように、一対の延設部22A間を繋ぐ壁であって、図4に示すように、内後壁24からアーチ状に延びる弧状壁部32Aと、この弧状壁部32Aから延び、底壁21と平行な平板状の平板部32Bとを備えている。このロアハウジング20は、図4および図10に示すように、複数の第1電線挿通溝33を有している。各第1電線挿通溝33は、ロアガイド部32の内面に配置され、ハーフパイプ状の溝壁によって規定される溝であって、内後壁24との接続部分から平板部32Bの延出端まで延び、一端が各第1電線挿通孔29に連なっている。
【0021】
各スライドガイド35は、図10に示すように、各内側壁22から外側に向かって突出する細長い突条であって、前壁23に隣接して配され、開口部25の開口縁に沿って延びている。スライドガイド35のうち、前壁23に隣接する半分は、内側壁22からの突出量が相対的に大きな肉厚部35Aとなっており、残り半分は、内側壁22からの突出量が肉薄部35Bよりも小さい肉薄部35Bとなっている。
【0022】
各閉塞突起34は、図10に示すように、各内側壁22から外側に向かって突出する突起である。
【0023】
[アッパカバー40]
アッパカバー40は、合成樹脂製であって、図11に示すように、細長い長方形状をなし、ロアハウジング20の開口部25を塞ぐ天壁41と、天壁41の一対の長辺から垂直に延び、内側壁22の外側に配される一対の外側壁42と、天壁41の一方の短辺から垂直に延び、一対の外側壁42間を繋ぐ外後壁43と、一対の外側壁42からそれぞれ延びる一対の固定部44と、同じく一対の外側壁42からそれぞれ延びる一対の移動規制部45とを備える。固定部44および移動規制部45は、一のサブコネクタ10を他のサブコネクタ10に対して離間不能に保持する。
【0024】
2つの固定部44は、図11に示すように、互いに向かい合って配置されている。各固定部44は、外側壁42から延びる固定片44Aと、この固定片44Aから内側に突出する円柱状の固定突部44Bとを備えている。固定片44Aは、外側壁42よりも厚みの小さい板片状をなしている。固定片44Aの外面は外側壁42の外面と面一となっている。
【0025】
2つの移動規制部45は、図11に示すように、互いに向かい合って配置されている。各移動規制部45は、外側壁42から延びる規制片45Aと、この規制片45Aから内側に突出する規制突部45Bとを備えている。規制片45Aは、外側壁42よりも厚みの小さい板片状をなしており、固定片44Aとは長さおよび幅が異なっている。規制片45Aの外面は外側壁42の外面と面一となっている。規制突部45Bは、固定突部44Bよりも一回り小さな円柱状をなしている。
【0026】
各外側壁42は、図11に示すように、固定溝46と、固定凹部47と、規制溝48と、進入溝49と、軸孔51とを備えている。
【0027】
固定溝46は、図12に示すように、外側壁42の外面に配置され、外側壁42の外面と平行な第1溝底面46Aと、第1溝底面46Aと外側壁42の外面とを繋ぐ第1溝側面46Bとで規定される溝である。この固定溝46は、天壁41側に開口し、外側壁42の延出端に向かって延びており、他のサブコネクタ10の固定片44Aを受け入れ可能となっている。固定溝46は、固定片44Aがちょうど嵌まり合う幅、深さおよび奥行きを有している。固定凹部47は、固定溝46の奥端部に配され、第1溝底面46Aから凹む凹部であって、他のサブコネクタ10の固定突部44Bを受け入れ可能となっている。
【0028】
規制溝48は、図12に示すように、外側壁42の外面に配置され、外側壁42の外面と平行な第2溝底面48Aと、第2溝底面48Aと外側壁42の外面とを繋ぐ第2溝側面48Bとを備え、他のサブコネクタ10の規制片45Aを受け入れ可能となっている。この規制溝48は、規制片45Aよりも広い幅を有し、規制片45Aがちょうど嵌まり合う深さおよび奥行きを有している。
【0029】
進入溝49は、図11に示すように、外側壁42の内面に配置され、外側壁42の内面と平行な第3溝底面49Aと、第3溝底面49Aと外側壁42の内面とを繋ぐ第3溝側面49Bとで規定される溝である。この進入溝49は、外側壁42の延設端に開口し、天壁41に向かって延びており、アッパカバー40がロアハウジング20に組み付けられる際に、軸部31の進入を許容する。進入溝49は、規制溝48と同等の幅を有しており、進入溝49の奥端部は、規制溝48の奥端部のちょうど裏側に位置している。
【0030】
軸孔51は、図11および図12に示すように、規制溝48および進入溝49の奥端部に配され、外側壁42を貫通する孔である。より具体的には、軸孔51は、第2溝底面48Aと第3溝底面49Aとの間を貫通している。図12に示すように、軸孔51は、天壁41と平行な方向に延びる細長い孔であって、軸孔51のうち外後壁43側の部分は、回動規制部51Bとなっており、残りの部分は、回動許容部51Aとなっている。
【0031】
回動許容部51Aは、軸部31の外周面に沿うC字の円弧形状を有する第1内周面52Aによって規定される孔部である。アッパカバー40が開放位置および仮閉塞位置にあるときには、図6および図8に示すように、軸部31が、回動許容部51Aの内部に回転可能に収容される。回動規制部51Bは、図12に示すように、第1内周面52Aの一端から延び、天壁41に平行な第2内周面52Bと、第1内周面52Aの他端から延び、天壁41に平行な第3内周面52Cと、第2内周面52Bと第3内周面52Cとをつなぐアーチ状の第4内周面52Dとによって規定される孔部である。アッパカバー40が本閉塞位置にある状態では、図5に示すように、軸部31が回動規制部51Bに収容され、第1平面31Aが第2内周面52Bに沿って配され、第2平面31Bが第3内周面52Cに沿って配される。軸部31が回転しようとすると、第2内周面52Bが第1平面31Aに、第3内周面52Cが第2平面31Bに、それぞれ干渉することにより、軸部31のそれ以上の回転が規制される。
【0032】
各外側壁42は、さらに、スライドガイド35を受け入れるスライド溝53と、閉塞突起34を受け入れる仮閉塞凹部54と本閉塞凹部55とを有している。スライド溝53は、図11に示すように、外側壁42の内面に配置される溝であって、外後壁43と反対側に開口し、天壁41に沿って延びている。スライド溝53と、外側壁42の延出端との間の部分は、図11に示すように、アッパロック部56とされており、このアッパロック部56には、外側壁42の内面から凹み、アッパカバー40が仮閉塞位置にあるときに閉塞突起34を受け入れる仮閉塞凹部54が配されている。また、外側壁42において、仮閉塞凹部54よりも外後壁43に近接した位置には、アッパカバー40が本閉塞位置にあるときに閉塞突起34を受け入れる本閉塞凹部55が配されている。
【0033】
天壁41は、電線導出口57を備えている。電線導出口57は、電線70をサブコネクタ10の外部に導出するための貫通孔であって、図2および図3に示すように、外後壁43に隣接して配置されている。この電線導出口57は、内部にロアガイド部32を受け入れ可能となっている。
【0034】
アッパカバー40は、さらに、アッパガイド部58を備えている。アッパガイド部58は、図4および図11に示すように、ブロック状をなし、外後壁43から内側に突出している。このアッパガイド部58は、アッパカバー40が本閉塞位置にあるときにロアガイド部32の内面と対向し、弧状壁部32Aの内面および内後壁24と対向する外面を有し、この外面には、複数の第2電線挿通溝59が配されている。各第2電線挿通溝59は、ハーフパイプ状の溝壁によって規定される溝である。各第2電線挿通溝59は、各第1電線挿通溝33に連なっている。
【0035】
[電線70]
各電線70は、図4に示すように、導電性を有する芯線71と、絶縁性を有し、芯線71を被覆する絶縁被覆72とを備えている。電線70の端末部においては、絶縁被覆72が皮剥きされて、芯線71が露出している。芯線71は、1本の金属線からなっていてもよく、複数の金属細線が撚り合わされてなる撚線であってもよい。芯線71を構成する金属は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。絶縁被覆72は、合成樹脂からなる。なお、図面の見易さを考慮し、図4図7図9図15および図18を除く図面では、電線70を省略して示している。
【0036】
[ジョイント端子80]
ジョイント端子80は、プレス加工、切削加工、鋳造等、公知の手法により所定の形状に形成される。ジョイント端子80を構成する金属は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態にかかるジョイント端子80は、銅、又は銅合金からなる。ジョイント端子80の表面にはめっき層が形成されていてもよい。めっき層を構成する金属は、スズ、ニッケル、銀等必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態にかかるジョイント端子80にはスズめっきが施されている。
【0037】
このジョイント端子80は、図13および図14に示すように、複数の端子本体81と、複数の端子本体81のそれぞれから延びる複数の中間部87と、中間部87を介して複数の端子本体81を繋ぐ連結部88と、複数の端子本体81にそれぞれ組み付けられる複数のスライド部材91とを備えている。
【0038】
各端子本体81は、図15に示すように、角筒状をなす筒部82と、板状をなし、筒部82から延びる上側挟持部83および下側挟持部84を備えている。上側挟持部83と下側挟持部84とは、筒部82の一端(図15の左端)から延び、互いに対向して配されている。上側挟持部83からは、上側挟持突起85が下側挟持部84に向かって突出している。下側挟持部84からは、下側挟持突起86が上側挟持部83に向かって突出している。上側挟持突起85と下側挟持突起86とは、互いにずれた位置に設けられている。
【0039】
図13および図14に示すように、各端子本体81の一端からは、中間部87が延びており、この中間部87の延出端は、連結部88に接続されている。連結部88は、図13に示すように、板状をなし、山形に屈曲した複数の折り曲げ部88Aを備えている。
【0040】
各スライド部材91は、図13図14および図15に示すように、端子本体81よりも一回り大きな角筒状をなしており、端子本体81を囲んで配される。このスライド部材91は、端子本体81の一部のみを覆う仮係止位置(図15の位置)と、端子本体81の全体を覆う本係止位置(図4の位置)との間でスライド移動可能となっている。スライド部材91の一端には、スライド部材91を端子本体81に対してスライド移動させるための治具Jを受ける治具受部92が突設されている。
【0041】
スライド部材91は、図15に示すように、互いに対向して配される上壁93と下壁94とを備えている。上壁93の一部は、下壁94に向かって膨出する上側加圧部93Aとなっている。下壁94の一部は、上壁93に向かって膨出する下側加圧部94Aとなっている。スライド部材91が本係止位置にあるときには、上側加圧部93Aが上側挟持部83を押圧し、下側加圧部94Aが下側挟持部84を押圧することによって、上側挟持部83と下側挟持部84とが互いに近づくように変形し、芯線71を上側挟持突起85と下側挟持突起86との間で挟み込む。
【0042】
[ロック部材100]
ロック部材100は、図1および図16に示すように、主壁101と、この主壁101から延びる一対の脚部102と、同じく主壁101から延びるロックアーム103と、ロックアーム103に連なる撓み規制部104とを備えている。
【0043】
主壁101は、底壁21の約半分の長さを有する長方形状をなしている。一対の脚部102は、主壁101の一対の長辺から垂直に延びている。2つの脚部102は、互いに対向して配されている。各脚部102は、図17に示すように、固定溝105および固定凹部106を有し、サブコネクタ10の固定部44と係合可能となっている。固定溝105および固定凹部106は、アッパカバー40が有する固定溝46および固定凹部47と同様の形状を有する。固定溝105は、脚部102の延出端に開口し、主壁101に向かって延びている。
【0044】
ロックアーム103は、主壁101から延びる板ばね状のアーム本体103Aと、アーム本体103Aから突出するロック突起103B(ロック部の一例)とを備えている。ロック部材100がサブコネクタ10に組み付けられた状態では、ロックアーム103はサブコネクタ10に近づく方向に撓み可能となっており、ロック突起103Bは、サブコネクタ10とは反対側に突出している。
【0045】
撓み規制部104は、連結柱104Aと、干渉部104Bとを備えている。干渉部104Bは、細長い板状をなし、ロックアーム103の延び方向と交差方向に延びている。連結柱104Aは、ロックアーム103と干渉部104Bとを接続している。
【0046】
[サブコネクタ10の組み立て工程]
次に、上記の構成のサブコネクタ10を組み立てる工程の一例について説明する。
【0047】
まず、ジョイント端子80が組み立てられる。端子本体81にスライド部材91が組み付けられ、仮係止位置に保持される(図14参照)。これによりジョイント端子80の組み立てが完了する。
【0048】
次に、ジョイント端子80がロアハウジング20の内部に収容される。1つのキャビティ27の内部に、端子本体81と、端子本体81に組み付けられたスライド部材91と、端子本体81に連なる中間部87との1組が収容される。連結部収容部28に連結部88が収容される。
【0049】
次に、電線70がジョイント端子80に接続される。各電線70の端末部が各第1電線挿通孔29からロアハウジング20の内部に挿入される(図15参照)。電線70は、キャビティ27内に進入し、芯線71がスライド部材91の内部に進入して上側挟持部83と下側挟持部84との間の空間内に到達する。次に、治具受部92が治具Jにより押圧されることにより、スライド部材91が仮係止位置から本係止位置にスライド移動される。スライド部材91が本係止位置に保持されると、上側加圧部93Aが上側挟持部83を押圧し、下側加圧部94Aが下側挟持部84を押圧する。これにより、上側挟持部83と下側挟持部84とが互いに近づくように変形し、芯線71が上側挟持突起85と下側挟持突起86との間で屈曲されながら挟み付けられる(図9参照)。このようにして、電線70のジョイント端子80への組み付けが完了する。
【0050】
次に、アッパカバー40がロアハウジング20に組み付けられる(図8および図9参照)。まず、ロアハウジング20から導出された電線70が、電線導出口57に通される。次に、軸孔51内に軸部31が嵌められる。この段階では、図8および図9に示すように、アッパカバー40はロアハウジング20に対して角度をなす開放位置にある。軸部31は、回動許容部51A内に回転可能に収容され、アッパカバー40のロアハウジング20に対する回動が許容されている。
【0051】
次に、軸部31を回転軸として、アッパカバー40が開放位置から仮閉塞位置まで回動される(図6および図7参照)。アッパカバー40が仮閉塞位置に達すると、スライドガイド35の肉薄部35Bがアッパロック部56を乗り越えてスライド溝53に進入する。また、閉塞突起34が仮閉塞凹部54に収容される。これらにより、アッパカバー40が仮閉塞位置に保持される。アッパカバー40が仮閉塞位置にある状態では、ロアハウジング20の前壁23側の一部がアッパカバー40から飛び出した状態となっている。ロアハウジング20の開口部25は、前壁23側の一部を除いた大部分がアッパカバー40により塞がれている。
【0052】
次に、アッパカバー40が仮閉塞位置から本閉塞位置までスライド移動される(図4および図5参照)。スライドガイド35の肉厚部35Aがスライド溝53に進入することによって、アッパカバー40のスライド移動が案内される。また、軸部31が回動許容部51Aから回動規制部51Bに移動する。アッパカバー40が本閉塞位置に達すると、閉塞突起34が本閉塞凹部55に収容される。これにより、アッパカバー40が本閉塞位置に保持される。
【0053】
アッパカバー40が本閉塞位置にある状態では、図5に示すように、ロアハウジング20の全体がアッパカバー40の内部に収容され、ロアハウジング20の開口部25の全体がアッパカバー40により塞がれている。これにより、ジョイント端子80の全体がアッパカバー40に覆われた状態となっている。図4に示すように、ロアガイド部32とアッパガイド部58とが対向して配され、各第1電線挿通溝33と対応する各第2電線挿通溝59とが合わさって、第2電線挿通孔61が形成されている。複数の第2電線挿通孔61のそれぞれは、複数の第1電線挿通孔29のそれぞれと連通している。各第2電線挿通孔61の内部に各電線70が挿通され、これにより、電線70が、ロアガイド部32のアーチ形状に対応する屈曲状態に保持されている。軸部31は、図5に示すように、回動規制部51Bの内部に保持されており、第1平面31Aが第2内周面52Bに、第2平面31Bが第3内周面52Cに、それぞれ当接することにより、軸部31の回転が規制されている。これにより、アッパカバー40の回動が規制される。アッパカバー40に備えられる固定部44と移動規制部45とは、ロアハウジング20の底壁21に対して垂直に突出した状態となっている。
【0054】
[コネクタユニット1の組み立て工程]
次に、上記の構成のサブコネクタ10の複数とロック部材100とを組み付けてコネクタユニット1を組み立てる工程の一例を説明する。
【0055】
まず、一のサブコネクタ10Aが他のサブコネクタ10Bに組み付けられる(図1図17参照)。サブコネクタ10Aの底壁21とサブコネクタ10Bの天壁41とが対向するようにして、2つのサブコネクタ10A、10Bが重ねられる。サブコネクタ10Aがサブコネクタ10Bに向かって押圧されると、サブコネクタ10Aの固定部44がサブコネクタ10Bの固定溝46に進入する。固定突部44Bが第1溝底面46Aに乗り上げることで、2つの固定部44が拡開変形する。また、サブコネクタ10Aの移動規制部45がサブコネクタ10Bの規制溝48に進入する。規制突部45Bが第2溝底面48Aに乗り上げることで、2つの移動規制部45が拡開変形する。サブコネクタ10Bがサブコネクタ10Aに対して正規の組み付け位置に達すると、固定突部44Bが固定凹部47に嵌まり込み、固定片44Aが弾性復帰して固定溝46に収容される。また、規制突部45Bが軸孔51の回動許容部51Aに嵌まり込み、規制片45Aが弾性復帰して規制溝48に収容される。これにより、2つのサブコネクタ10A、10Bが互いに離間不能に保持される。
【0056】
2つのサブコネクタ10A、10Bが組み付けられた状態では、サブコネクタ10Bの回動許容部51Aにサブコネクタ10Aの規制突部45Bが嵌まり込んでいることにより、サブコネクタ10Bの軸部31が回動規制部51Bから回動許容部51Aに移動することが規制されている。このため、サブコネクタ10Bのアッパカバー40が本閉塞位置から仮閉塞位置に移動することも規制されている。これにより、サブコネクタ10Bのアッパカバー40が開放位置に回動してしまうことも規制される。
【0057】
同様にして、残りのサブコネクタ10が順次組み付けられ、5つのサブコネクタ10の積層体が得られる。一番端に位置するサブコネクタ10Bに備えられる固定部44と移動規制部45とは、他のサブコネクタ10と係合していないフリーな状態となっている。
【0058】
次に、一番端(図1および図17の上端)に位置するサブコネクタ10Bに、ロック部材100が組み付けられる。ロック部材100は、主壁101が前壁23側に位置し、ロックアーム103が内後壁24側に位置する向きで、サブコネクタ10Bに組み付けられる。サブコネクタ10Bに向かってロック部材100が押圧されると、サブコネクタ10Bの固定部44がロック部材100の固定溝105に進入し、2つの固定部44が拡開変形する。ロック部材100がサブコネクタ10Bに対して正規の組み付け位置に達すると、固定突部44Bが固定凹部106に嵌まり込み、固定片44Aが弾性復帰して固定溝105に収容される。これにより、ロック部材100がサブコネクタ10Bに対して離間不能に保持される。以上のようにして、コネクタユニット1の組み立てが完了する。
【0059】
ロック部材100がサブコネクタ10Bに組み付けられた状態では、図17に示すように、主壁101およびロックアーム103がサブコネクタ10Bの底壁21に対して平行に、間隔を空けて配されている。アーム本体103Aは、2つの規制突部45Bの間を通過可能な幅を有しており、ロックアーム103のサブコネクタ10Bに近づく方向(図16の下方向;解除方向)への撓みは許容されている。干渉部104Bは、図16に示すように、2つの規制突部45Bの間を通過不能な長さを有している。干渉部104Bの一端が、サブコネクタ10Bの一方の規制突部45Bと底壁21との間に入り込み、干渉部104Bの他端が、他方の規制突部45Bと底壁21との間に入り込んでいる。ロックアーム103がサブコネクタ10Bから離れる方向(図16の上方向;解除方向と反対方向)に撓もうとすると、干渉部104Bが規制突部45Bに干渉してそれ以上のロックアーム103の撓みが規制される。
【0060】
[コネクタユニット1と相手部材110との嵌合]
コネクタユニット1と嵌合される相手部材110は、図18に示すように、コネクタユニット1を内部に収容可能なフード部111を備えている。このフード部111は、内側に突出してロック突起103Bに係合するロック受部112を備えている。コネクタユニット1を相手部材110と嵌合させる際には、コネクタユニット1を前壁23側からフード部111の内部に進入させる。すると、ロック突起103Bがロック受部112に乗り上げて、ロックアーム103がサブコネクタ10に近づく方向(解除方向)に撓み変形する。コネクタユニット1が正規の嵌合位置に達すると、ロック突起103Bがロック受部112を乗り越えてロックアーム103が弾性復帰し、ロック突起103Bがロック受部112に係合することで、コネクタユニット1がフード部111に対して離間不能に保持される。
【0061】
[コネクタユニット1のメンテナンス]
コネクタユニット1のメンテナンスの際には、まず、ロックアーム103が解除方向に押圧され、ロック突起103Bとロック受部112との係合が解除される。この状態で、コネクタユニット1が相手部材110から取り外される。次に、サブコネクタ10Bの固定部44と移動規制部45とがそれぞれ拡開変形され、ロック部材100がサブコネクタ10Bから分離される。次いで、サブコネクタ10Aの固定部44と移動規制部45とがそれぞれ拡開変形され、サブコネクタ10Bがサブコネクタ10Aから分離される。同様にして、他のサブコネクタ10が順次分離される。分離後の各サブコネクタ10は、軸部31が回動規制部51Bから回動許容部51Aに移動することが許容された状態となっている。
【0062】
次に、各サブコネクタ10について、アッパカバー40が本閉塞位置から仮閉塞位置まで移動される。これにより、軸部31が回動許容部51Aに移動し、アッパカバー40の回動が許容される。次に、アッパカバー40が仮閉塞位置から開放位置まで回動される。これにより、ロアハウジング20の開口部25が解放され、ジョイント端子80のロアハウジング20からの取り出しが可能となる。
【0063】
[作用効果]
以上のように本実施形態によれば、コネクタユニット1は、連結された複数のサブコネクタ10を備える。サブコネクタ10は、ジョイント端子80と、開口部25を有してジョイント端子80を収容するロアハウジング20と、ロアハウジング20に組み付けられて開口部25を塞ぐアッパカバー40とを備える。アッパカバー40は、開口部25の全体を塞ぐ本閉塞位置と、本閉塞位置からずれた仮閉塞位置との間でスライド移動可能となっているとともに、仮閉塞位置と、開口部25を開放する開放位置との間で回動可能となっている。ロアハウジング20およびアッパカバー40のうち一方が、アッパカバー40が仮閉塞位置にあるときに、アッパカバー40の開放位置への回動を許容する回動許容部51Aと、アッパカバー40が本閉塞位置にあるときに、アッパカバー40の開放位置への回動を規制する回動規制部51Bを備えている。複数のサブコネクタ10のうち一のサブコネクタ10Aが、他のサブコネクタ10Bに係合することで一のサブコネクタ10Aを他のサブコネクタ10Bに離間不能に保持するとともに、他のサブコネクタ10Bに備えられるアッパカバー40の本閉塞位置から仮閉塞位置へのスライド移動を規制する移動規制部45を備える。
【0064】
上記の構成によれば、一のサブコネクタ10Aの移動規制部45によって、他のサブコネクタ10Bのアッパカバー40の本閉塞位置から仮閉塞位置へのスライド移動が規制される。アッパカバー40が本閉塞位置にある状態では、開放位置への回動が規制されているので、コネクタユニット1の他の部材への組み付け作業中や、使用中において、アッパカバー40が開状態となり、組み付け作業や使用に支障をきたすことが回避される。また、移動規制部45が、一のサブコネクタ10Aを他のサブコネクタ10Bに保持する機能と、アッパカバー40の移動を規制する機能とを兼ね備えているので、構成が簡素化される。
【0065】
また、ロアハウジング20は軸部31を有し、アッパカバー40は軸部31を受け入れる軸孔51を有し、軸孔51の一部が、アッパカバー40が仮閉塞位置にあるときに軸部31を回転可能に収容する回動許容部51Aとなっており、軸孔51の他の一部が、アッパカバー40が本閉塞位置にあるときに軸部31を回転を規制しつつ収容する回動規制部51Bとなっており、一のサブコネクタ10Aにおける移動規制部45の規制突部45Bが、他のサブコネクタ10Bの回動許容部51Aに収容される。
【0066】
このような構成によれば、軸孔51を回動許容部51Aおよび回動規制部51Bとして利用できるので、アッパカバー40の回動規制のための構成を別途設ける必要がなく、構成が簡素化される。
【0067】
加えて、コネクタユニット1が、他のサブコネクタ10Bに組み付けられるロック部材100をさらに備える。ロック部材100が、相手部材110と係合するロック突起103Bを備え、ロック突起103Bの相手部材110への係合を解除する解除方向に撓み可能なロックアーム103と、ロックアーム103に連なり、他のサブコネクタ10Bに備えられる移動規制部45に係合してロックアーム103の解除方向と反対方向への撓みを規制する撓み規制部104と、を備える。
【0068】
上記の構成によれば、移動規制部45を、ロックアーム103の撓み規制にも利用することができるので、サブコネクタ10に、ロックアーム103の撓み規制のための構成を別途設ける必要がなく、構成が簡素化される。
【0069】
<変形例>
本変形例のコネクタユニット120は、サブコネクタ130がジョイント端子80に代えて複数の雌端子135(端子の一例)を備える点で、上記実施形態と異なる。
【0070】
コネクタユニット120は、図19に示すように、積み重ねられた複数のサブコネクタ130と、これら複数のサブコネクタ130のうち端に位置するサブコネクタ130に組み付けられるロック部材100とを備える。サブコネクタ130は、図20および図21に示すように、複数の雌端子135と、これらの雌端子135にそれぞれ接続される複数の電線70と、開口部25を有して雌端子135を収容するロアハウジング131と、ロアハウジング131に組み付けられて開口部25を塞ぐアッパカバー134とを備える。
【0071】
各雌端子135は、図21に示すように、相手側である雄端子のタブを内部に収容可能な角筒状の端子接続部136と、この端子接続部136に連なる端子本体81と、端子本体81に組み付けられるスライド部材91とを備えている。端子本体81およびスライド部材91の構成は実施形態と同様である。
【0072】
その他の構成は、ロアハウジング131の前壁132が雄端子のタブを挿通するための端子挿通孔133を有している等の細部を除き、実施形態と同様であるので、同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。本変形例においても、実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0073】
このように、サブコネクタ130に備えられる端子は、雌端子135であっても構わない。あるいは、雄端子など、他の種類の端子であっても構わない。
【0074】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、一対の移動規制部45の他に、一対の固定部44によっても一のサブコネクタ10が他のサブコネクタ10に保持されていたが、移動規制部のみによって一のサブコネクタ10が他のサブコネクタ10に保持されていても構わない。あるいは、固定部44が2対以上あっても構わない。
(2)上記実施形態では、ロアハウジング20が軸部31を有し、アッパカバー40が軸孔51を有していたが、アッパカバー40が軸部31を有し、ロアハウジング20が軸孔51を有していても構わない。
(3)上記実施形態では、アッパカバー40が移動規制部45を備えていたが、ロアハウジング20が移動規制部45を備えていても構わない。
【符号の説明】
【0075】
1、120:コネクタユニット
10、130:サブコネクタ
10A:一のサブコネクタ
10B:他のサブコネクタ
20、131:ロアハウジング
21:底壁
22:内側壁
22A:延設部
23、132:前壁
24:内後壁
25:開口部
26:隔壁
27:キャビティ
28:連結部収容部
29:第1電線挿通孔
31:軸部
31A:第1平面
31B:第2平面
32:ロアガイド部
32A:弧状壁部
32B:平板部
33:第1電線挿通溝
34:閉塞突起
35:スライドガイド
35A:肉厚部
35B:肉薄部
40、134:アッパカバー
41:天壁
42:外側壁
43:外後壁
44:固定部
44A:固定片
44B:固定突部
45:移動規制部
45A:規制片
45B:規制突部
46:固定溝
46A:第1溝底面
46B:第1溝側面
47:固定凹部
48:規制溝
48A:第2溝底面
48B:第2溝側面
49:進入溝
49A:第3溝底面
49B:第3溝側面
51:軸孔
51A:回動許容部
51B:回動規制部
52A:第1内周面
52B:第2内周面
52C:第3内周面
52D:第4内周面
53:スライド溝
54:仮閉塞凹部
55:本閉塞凹部
56:アッパロック部
57:電線導出口
58:アッパガイド部
59:第2電線挿通溝
61:第2電線挿通孔
70:電線
71:芯線
72:絶縁被覆
80:ジョイント端子(端子)
81:端子本体
82:筒部
83:上側挟持部
84:下側挟持部
85:上側挟持突起
86:下側挟持突起
87:中間部
88:連結部
88A:折り曲げ部
91:スライド部材
92:治具受部
93:上壁
93A:上側加圧部
94:下壁
94A:下側加圧部
100:ロック部材
101:主壁
102:脚部
103:ロックアーム
103A:アーム本体
103B:ロック突起(ロック部)
104:撓み規制部
104A:連結柱
104B:干渉部
105:固定溝
106:固定凹部
110:相手部材
111:フード部
112:ロック受部
133:端子挿通孔
135:雌端子(端子)
136:端子接続部
J:治具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21