(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】配車計画装置、配車計画システム、及び配車計画プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20231003BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20231003BHJP
G08G 1/137 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G08G1/123 A
B65G61/00 542
G08G1/137
(21)【出願番号】P 2020103870
(22)【出願日】2020-06-16
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昇治
(72)【発明者】
【氏名】荒木 将
(72)【発明者】
【氏名】栗栖 怜史
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-219845(JP,A)
【文献】特開2019-117595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/123
B65G 61/00
G08G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送対象の輸送元及び輸送先の各々の位置を含む輸送依頼情報を受け付ける受付部と、
前記輸送元から前記輸送先の位置までの複数の地域それぞれを走行する複数の車両の位置情報を含む車両情報を取得し、取得した位置情報
、前記受付部が受け付けた前記輸送依頼情報
、及び複数の地域それぞれが接するエリア内において前記輸送対象を前記エリアへ輸送してきた車両から前記輸送対象を前記エリアから当該エリアの外へ輸送する車両へ引き継ぐために要する引継時間に基づいて、予め定めた時刻範囲内に、
前記エリア内に車両が位置するように、配車計画を作成する作成部と、
を含む配車計画装置。
【請求項2】
前記車両はタクシーであり、
前記作成部は、輸送対象が人である場合は、前記タクシーが運行する輸送元の地域を越えて人を輸送し、当該タクシーが、輸送先から輸送元の地域に戻る場合は、輸送対象を物に限定して前記配車計画を作成する請求項1に記載の配車計画装置。
【請求項3】
前記作成部は、予め定めた前提条件に応じて輸送する車両とルートとを定めた複数の配送候補を導出し、予め定めた条件に基づいて、導出した複数の配送候補の中から配送候補を決定することにより配車計画を作成する請求項1又は請求項2に記載の配車計画装置。
【請求項4】
前記作成部は、前記予め定めた条件として、輸送効率及び輸送完了時間の少なくとも一方に基づいて、前記複数の配送候補の中から配送候補を決定する請求項3に記載の配車計画装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の配車計画装置と、
前記輸送依頼情報を生成して前記配車計画装置に送信するクライアント端末と、
車両に搭載され、前記車両情報を送信する機能、及び前記配車計画装置によって作成された配車計画を受信する機能を有する車両側端末と、
を含む配車計画システム。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1~4の何れか1項に記載の配車計画装置の各部として機能させるための配車計画プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の配車を計画する配車計画装置、配車計画システム、及び配車計画プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ネットスーパのウェブページにおいて商品検索の利便性を向上させることができる情報処理装置及びプログラムが提案されている。
【0003】
詳細には、検索開始指示受付手段が、入力欄に入力された語句を検索に用いる検索語句として確定し、検索開始指示を受付ける。また、商品名候補表示手段が、検索開始指示に先立って、商品マスタから、入力欄に入力されているテキストを商品情報の一部として有する商品の商品名を抽出し、検索処理を行う商品名の候補として、入力欄の下方に並べて表示する。また、検索語句受付手段が、商品名の候補から、検索を行う商品名の選択を受付ける。そして、検索手段が、検索語句受付手段が受付けた商品名候補により検索処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のようなネットスーパでは、商品が置いてある店舗に近い限られたエリアの利用者しか利用できない場合があった。また、運転ができない過疎地域の高齢者は買い物難民となってしまうという社会的な問題もある。さらには、配達物だけでなく、人の移動を考慮して、より広い範囲で人や物を運ぶためには改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、複数の地域を含むより広い範囲に渡って人や物を運ぶことが可能な配車計画装置、配車計画システム、及び配車計画プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の配車計画装置は、輸送対象の輸送元及び輸送先の各々の位置を含む輸送依頼情報を受け付ける受付部と、前記輸送元から前記輸送先の位置までの複数の地域それぞれを走行する複数の車両の位置情報を含む車両情報を取得し、取得した位置情報、前記受付部が受け付けた前記輸送依頼情報、及び複数の地域それぞれが接するエリア内において前記輸送対象を前記エリアへ輸送してきた車両から前記輸送対象を前記エリアから当該エリアの外へ輸送する車両へ引き継ぐために要する引継時間に基づいて、予め定めた時刻範囲内に、前記エリア内に車両が位置するように、配車計画を作成する作成部と、を含む。
【0008】
請求項1に記載の配車計画装置によれば、受付部では、輸送対象の輸送元及び輸送先の各々の位置を含む輸送依頼情報を受け付ける。
【0009】
そして、作成部では、輸送元から輸送先の位置までの複数の地域それぞれを走行する複数の車両の位置情報を含む車両情報が取得され、取得された位置情報、受付部が受け付けた輸送依頼情報、及び数の地域それぞれが接するエリア内において輸送対象をエリアへ輸送してきた車両から輸送対象をエリアから当該エリアの外へ輸送する車両へ引き継ぐために要する引継時間に基づいて、予め定めた時刻範囲内に、複数の地域それぞれが接するエリア内に車両が位置するように、配車計画が作成される。これにより、複数の地域の車両を連携させて貨客の輸送が可能となるので、複数の地域を含むより広い範囲に人や物を運ぶことが可能となる。
【0010】
なお、請求項2に記載の配車計画装置のように、前記車両はタクシーであり、前記作成部は、輸送対象が人である場合は、前記タクシーが運行する輸送元の地域を越えて人を輸送し、当該タクシーが、輸送先から輸送元の地域に戻る場合は、輸送対象を物に限定して前記配車計画を作成してもよい。これにより、地域毎に運行する地域が決まっているタクシーを利用して輸送することが可能となる。
【0011】
また、請求項3に記載の配車計画装置のように、前記作成部は、予め定めた前提条件に応じて輸送する車両とルートとを定めた複数の配送候補を導出し、予め定めた条件に基づいて、導出した複数の配送候補の中から配送候補を決定することにより配車計画を作成してもよい。この場合、請求項4に記載の配車計画装置のように、前記作成部は、前記予め定めた条件として、輸送効率及び輸送完了時間の少なくとも一方に基づいて、前記複数の配送候補の中から配送候補を決定してもよい。これにより、予め定めた条件に適した配車計画を作成することが可能となる。
【0012】
また、請求項5に記載の配車計画システムは、請求項1~4の何れか1項に記載の配車計画装置と、前記輸送依頼情報を生成して前記配車計画装置に送信するクライアント端末と、車両に搭載され、前記車両情報を送信する機能、及び前記配車計画装置によって作成された配車計画を受信する機能を有する車両側端末と、を含む。
【0013】
請求項5に記載の配車計画システムでは、クライアント端末によって輸送依頼情報を生成して前記配車計画装置に送信し、車両側端末から車両情報を配車計画装置に送信することにより、配車計画装置が上述のように配車計画を作成することができる。
【0014】
そして、車両側端末に配車計画装置が作成した配車計画を送信することにより、車両の運転者が配車計画に従って輸送対象を輸送することが可能となる。これにより、複数の地域の車両を連携させて貨客の輸送が可能となるので、複数の地域を含むより広い範囲に人や物を運ぶことが可能となる。
【0015】
なお、請求項6のように、コンピュータを、請求項1~4の何れか1項に記載の配車計画装置の各部として機能させるための配車計画プログラムとしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、複数の地域を含むより広い範囲に人や物を運ぶことが可能な配車計画装置、配車計画システム、及び配車計画プログラムを提供できる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る配車計画システムの概略構成を示す図である。
【
図2】配車計画サーバ、運行管理サーバ、クライアント端末、及び車両側端末の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る配車計画サーバの機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】運行エリアの一例を説明するためのA~E地域を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る配車計画システムの配車計画サーバで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】配車計画の一例の前提条件を説明するための図である。
【
図7】配車候補の基準計画案を説明するための図である。
【
図8】配車候補の第1案を説明するための図である。
【
図9】配車候補の第2案を説明するための図である。
【
図10】配車候補の第3案を説明するための図である。
【
図11】配車候補の第4案を説明するための図である。
【
図12】配車候補の計画基準案及び第1案~第4案の各配送候補の詳細を計算した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る配車計画システムの概略構成を示す図である。
【0019】
本実施形態に係る配車計画システム10は、
図1に示すように、配車計画装置としての配車計画サーバ12、運行管理サーバ14、クライアント端末18、及び車両側端末20を含み、各々が通信ネットワーク22に接続されている。
【0020】
配車計画サーバ12は、予め登録された利用者からの人や物を含む輸送対象を輸送するための配車依頼情報を受け付けて配車計画を作成し、配車する車両に対して、作成した配車計画を配信する処理等を行う。また、配車計画サーバ12は、配車に関する種々の情報を収集してデータベースとして蓄積して配車を管理する。蓄積する種々の情報の一例としては、例えば、利用者から収集した情報や、車両から収集した車両情報などを蓄積する。利用者から収集した情報の一例としては、利用者データ、利用目的、予約データ(輸送元となる配車地点、輸送先となる目的地点、配車希望日時等を含む)、キャンセル実績(キャンセル日時等)、アンケート結果(満足度)などがある。利用者から収集した情報は、これらの中から収集可能な情報を収集して蓄積する。また、車両から収集した情報の一例としては、配車指示受信時間、配車地点、目的地点、乗車日時(配車完了日時)、降車日時(到着日時)等の運行実績などがある。車両から収集した情報は、これらの中から収集可能な情報を収集して蓄積する。
【0021】
運行管理サーバ14は、タクシー26やバス28等を車両から収集可能な種々の車両情報を収集してデータベースとして蓄積して運行状況を管理する。車両から収集する種々の車両情報の一例としては、車両の位置情報、行き先情報、貨客積載状況の情報、運行対象の地域を表す地域情報、走行データ、運転操作データ、残エネルギーデータ、ドア等設備動作データ等がある。車両情報は、これらの中から車両から収集可能な情報を収集して蓄積する。
【0022】
クライアント端末18は、配車計画サーバ12にアクセスして、配車計画サービスが提供するサービスを受けるためのインタフェースとして機能する。具体的には、配車計画サーバ12に対して人や物の輸送の依頼等を行う。クライアント端末18は、利用者の操作によって輸送元及び輸送先の各々の位置を含む輸送依頼情報を生成して配車計画サーバ12に送信する。クライアント端末18は、例えば、
図1に示すように、パーソナルコンピュータ18aを適用してもよいし、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末18bを適用してもよいし、インターネットテレビ等を適用してもよい。携帯端末18bを適用する場合には、無線中継局24を介して通信ネットワーク22に接続される。
【0023】
車両側端末20は、タクシー26やバス28等の配車対象の車両に搭載され、運行管理サーバ14に車両の位置情報を含む車両情報を送信する機能や、配車計画サーバ12が作成した配車計画を受信する機能等を有する。車両側端末20は、例えば、
図1に示すように、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末20aを適用してもよいし、通話機能や情報を送受信する通信機能等を備えた専用の車載器20bを適用してもよい。専用の車載器20bとしては、例えば、DCM(Data Communication Module)と称される専用の車載器を適用してもよい。
【0024】
続いて、本実施形態に係る配車計画システム10における配車計画サーバ12、運行管理サーバ14、クライアント端末18、及び車両側端末20の電気系の要部構成について説明する。
【0025】
図2は、配車計画サーバ12、運行管理サーバ14、クライアント端末18、及び車両側端末20の電気系の要部構成を示すブロック図である。なお、配車計画サーバ12、運行管理サーバ14、クライアント端末18、及び車両側端末20は基本的には一般的なコンピュータの構成とされているので、ここでは配車計画サーバ12を代表して説明する。
【0026】
配車計画サーバ12は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)12A、ROM(Read Only Memory)12B、RAM(Random Access Memory)12C、ストレージ12D、操作部12E、表示部12F、及び通信I/F(インタフェース)部12Gを備えている。
【0027】
CPU12Aは、受付部及び作成部として機能する中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行することにより、装置の全体の動作を司る。ROM12Bは、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。RAM12Cは、CPU12Aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。ストレージ12Dは、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の各種記憶部により構成され、各種データやアプリケーション・プログラム等が記憶される。操作部12Eは、キーボードやマウス、タッチパネル等からなり、各種の情報を入力するために用いられる。表示部12Fは、各種の情報を表示するために用いられる。通信I/F部12Gは、LANや、WAN、インターネット等の各種ネットワーク等の通信ネットワーク22に接続可能され、当該通信ネットワーク22に接続された他の装置と各種データの送受信を行う。以上の配車計画サーバ12の各部はシステムバス12Hにより電気的に相互に接続されている。
【0028】
以上の構成により、配車計画サーバ12は、CPU12Aにより、ROM12B、RAM12C、及びストレージ12Dに対するアクセス、操作部12Eを介した各種データの取得、表示部12Fに対する各種情報の表示を各々実行する。また、配車計画サーバ12は、CPU12Aにより、通信I/F部12Gを介した通信データの送受信の制御を実行する。
【0029】
なお、クライアント端末18や車両側端末20については、
図2の点線で示すように、カメラ18I、20I、音声入出力部18J、20J、及び位置検出部18K、20K等を更に含んでもよい。
【0030】
カメラ18I、20Iは、静止画像や動画像を撮影することによって、動画像または静止画像を表す画像データを生成する。
【0031】
音声入出力部18J、20Jは、スピーカやヘッドフォン等から音声を出力し、マイク等により集音することにより音声を入力し、入力した音声を表す音声情報を生成する。
【0032】
位置検出部18K、20Kは、クライアント端末18や車両側端末20の現在の位置情報を検出する。例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信し、3つ以上のGPS衛星からの距離に基づいて、空間上の一点の位置を測位することにより、位置を検出する。
【0033】
続いて、CPU12AがROM12Bに記憶されたプログラムをRAM12Cに展開して実行することにより実行される機能の一例について説明する。
図3は、本実施形態に係る配車計画サーバ12の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0034】
配車計画サーバ12は、
図3に示すように、配車受付部30、車両情報収集部32、配車候補導出部34、配車計画決定部36、及び配車計画配信部38の機能を有する。なお、配車受付部30は受付部に対応し、配車候補導出部34及び配車計画決定部36は作成部に対応する。そして、配車計画サーバ12は、クライアント端末18から貨客の輸送依頼を表す配車依頼情報を受け付けて、出発地点から目的地点までの複数の地域それぞれを網羅する複数の車両のそれぞれの配車計画を作成して各車両の配信する処理を行う。これにより、複数の地域を含むより広い範囲で人や物を運ぶことが可能となる。なお、タクシー26や乗り合いのバス28等の車両の運行エリアが複数あり、一部は接している、または重複し、運行エリアが業者毎に定められているような場合は、貨客の引継ぎ等を考慮して運行計画を作成する。具体的には、買い物した商品を配達する場合、利用者が配達を依頼した配達物を保管している店舗から配達先までに、タクシー26やバス28の複数の運行エリアが存在する場合、予め定めた時間範囲内(例えば、16時~16時10分等)に、その部分エリアで商品を受け渡すように配車計画を作成する。例えば、タクシー26またはバス28の運行エリアが
図4に示すA~E地域毎に予め定められているような場合、各地域の接する部分エリアで商品を受け渡すように配車計画を作成する。なお、タクシー26の運行エリアについては、例えば、運行エリアを越えて往路は人を運び、復路は配達物を運ぶといったように、人流と物流を考慮して配車計画を決定してもよい。
【0035】
配車受付部30は、輸送元としての貨客の出発地点の位置、及び輸送先としての目的地点の位置を少なくとも含む配送依頼情報をクライアント端末18から受け付ける。すなわち、利用者がクライアント端末18を操作して入力された配送依頼情報を、通信ネットワーク22を介して受信することにより配送依頼情報を受け付ける。
【0036】
車両情報収集部32は、運行管理サーバ14を介して、予め登録された地域毎のタクシー会社やバス会社等の配車対象の車両の情報を収集する。すなわち、本実施形態では、運行管理サーバ14が配車対象の各車両の車両情報を収集し、車両情報収集部32は、運行管理サーバ14が収集した車両情報を取得する。車両情報としては、車両の位置情報、行き先情報、貨客積載状況の情報、運行対象の地域を表す地域情報等の情報を運行管理サーバ14から通信ネットワーク22を介して取得する。
【0037】
配車候補導出部34は、配車受付部30が受け付けた配送依頼情報、及び車両情報収集部32によって収集された車両情報に基づいて、車両とルートを定めた配車候補を導出する。例えば、配車候補導出部34は、配送依頼情報に含まれる出発地点から目的地点までの配送候補の車両と、配送候補のルートを全て配送候補として導出する。また、配送候補のそれぞれについて、走行距離や、完了時間などの配送候補を決定するための情報を導出する。なお、配車候補導出部34は、配送候補の車両としてタクシー26を適用する際には、輸送対象が物である場合は、輸送元の地域を越えて人を輸送し、当該タクシーが、輸送先から輸送元の地域に戻る場合は、輸送対象を物に限定して配車候補を導出してもよい。これにより、タクシー会社の運行エリアが決まっていても通常の業務と同様に人を運ぶことができると共に、物を広範囲に運ぶことが可能となる。
【0038】
配車計画決定部36は、配車候補導出部34が導出した配車候補の中から、配車計画を決定する。詳細には、予め定めた時間範囲内に、複数の地域それぞれが接する部分領域に車両が位置するように配車計画を決定する。具体的には、タクシー26やバス28等のように運行エリアが定められているような車両を配送候補に含める場合、予め定めた時間範囲内に、複数の地域それぞれが接する部分領域に車両が位置するように配車計画を決定する。配車計画決定部36は、配車候補導出部により複数の配車候補が導出された場合には、予め定めた条件を満たす配車候補を配車計画として決定する。
【0039】
配車計画配信部38は、配車計画決定部36が決定した配車計画に含まれるタクシー26やバス28等の車両の車両側端末20に対して配車計画を配信する。すなわち、配車対象の各車両に対して通信ネットワーク22を介して配車計画を送信する。配車計画の配信は、配車計画サーバ12から通信ネットワーク22を介して各車両に直接配信してもよいし、運行管理サーバ14を経由して各車両に配信してもよい。これにより、各車両の車両側端末20で配車計画を受信して、各車両の運転者により、配車計画に従った運行が可能となる。なお、運行管理サーバ14から各車両に配車計画を配信する場合は、通信ネットワーク22経由以外に、無線等を利用して運転者に通知する形態としてもよい。
【0040】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係る配車計画システム10の配車計画サーバ12で行われる具体的な処理について説明する。
図5は、本実施形態に係る配車計画システム10の配車計画サーバ12で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図5の処理は、例えば、予め定めた単位時間(例えば、1~3時間等)が経過する毎に実行する。
【0041】
ステップ100では、CPU12Aが、予め定めた単位時間内の配車依頼情報を取得してステップ102へ移行する。本実施形態では、配車計画サーバ12は、配車依頼情報を受け付ける毎に配車計画を作成するのではなく、予め定めた単位時間(例えば、1~3時間等)分の配車依頼を蓄積して単位時間毎の配車計画を作成するために、配車受付部30が、単位時間内の配車依頼を取得する。
【0042】
ステップ102では、CPU12Aが、現在の車両位置を含む車両情報を収集してステップ104へ移行する。すなわち、車両情報収集部32が、運行管理サーバ14を介して、予め登録された地域毎のタクシー会社やバス会社等の配車対象の車両情報を収集する。本実施形態では、車両情報収集部32は、運行管理サーバ14が収集した車両情報を取得する。
【0043】
ステップ104では、CPU12Aが、全ての配車候補を導出してステップ106へ移行する。すなわち、配車候補導出部34が、配車受付部30が受け付けた配送依頼情報、及び車両情報収集部32によって収集された車両情報に基づいて、配車候補を導出する。例えば、配車候補導出部34は、配送依頼情報に含まれる出発地点から目的地点までの配送候補の車両と、配送候補のルートを全て配送候補として導出する。また、配送候補のそれぞれについて、走行距離や、完了時間などの配送候補を決定するための情報についても導出する。なお、配送候補の車両としてタクシー26を適用して配車候補導出部34が配送候補を導出する際には、タクシーが運行する輸送元の地域を越えて人を輸送し、当該タクシーが、輸送先から輸送元の地域に戻る場合は、輸送対象を物に限定して配車候補を導出するようにしてもよい。これにより、タクシー会社の運行エリアが決まっていても通常の業務と同様に人を運ぶことができると共に、物を広範囲に運ぶことが可能となる。
【0044】
ステップ106では、CPU12Aが、配車候補導出部34によって導出された配車候補の中から配車計画を決定してステップ108へ移行する。すなわち、配車計画決定部36が、配車候補導出部34が導出した配車候補の中から、配車候補を決定することにより配車計画を決定する。例えば、配車候補のうちタクシー26やバス28等のように運行エリアが存在する場合は、予め定めた時間範囲内に、複数の地域それぞれが接する部分領域に車両が位置するように配車計画を作成する。また、配車計画決定部36は、配車候補導出部により複数の配車候補が導出された場合には、予め定めた条件を満たす配車候補を配車計画として決定する。予め定めた条件は、配達時間が最短時間、配達距離が最短距離、配車台数が最小台数等を適用してもよい。
【0045】
ステップ108では、CPU12Aが、対応車両に配車計画を配信して一連の処理を終了する。すなわち、配車計画配信部38が、配車計画決定部36が決定した配車計画に含まれるタクシー26やバス28等の車両の車両側端末20に対して配車計画を配信する。これにより、各車両の車両側端末20で配車計画を受信して、各車両の運転者により、配車計画に従った運行が可能となる。これにより、複数の地域の車両を連携させて輸送することが可能となるので、広い範囲で人や物を運ぶことが可能となる。
【0046】
なお、
図5の処理では、配車計画サーバ12は、予め定めた単位時間毎の配車依頼に対して配車計画を作成する例を説明したが、これに限るものではない。例えば、配車計画サーバ12が配車依頼情報を受け付ける毎に配車計画を作成する形態としてもよい。
【0047】
次に、本実施形態に係る配車計画システム10の配車計画サーバ12が行う配車計画について、一例を挙げて具体的に説明する。
図6は、配車計画の一例の前提条件を説明するための図である。
【0048】
例えば、
図6に示すように、A~E地域を配車計画の対象として、商品を店舗から配達する場合について説明する。
図6の例では、D地域の星印を、配送を開始する配送ポイントとし、C~E地域が接する部分エリア、及びA~C地域が接する部分エリアをそれぞれ受渡ポイント1、受渡ポイント2とする。
【0049】
配車計画サーバ12は、基本的には、A~E地域のそれぞれの地域の時間当たりの配達依頼分に合わせて配車を計画する。
【0050】
また、輸送する荷物の量はD地域>C地域>A地域、B地域、E地域となるため、輸送量に合わせて、D地域の区間ではC地域、E地域の車両を追加配車し、C地域の区間は、A地域、B地域の区間の車両を追加配車する、といった調整を行う。これにより、輸送量の増減に柔軟に対応することができる。なお、出発地点以外の地域の車両を追加配車する場合は、各地域が接する部分エリアとしての受渡ポイントに予め定めた時刻範囲に位置するように、配車する車両の調整及び配送ポイントからの配送開始時間の調整を含めて調整する。
【0051】
さらに、商品の配達を受け付ける際に、各地域の配達予約可能時間を調整することで、引継ぎ待ち時間を最適化できる。配達予測可能時間は、例えば、配車依頼情報を受け付ける際に、利用者に対して、地域毎の配達予約可能時間を提示することにより調整し、提示した配達予約可能時間より短い時間の配達依頼の受付を禁止する。例えば、
図6の例であれば、D地域→E地域、C地域→A地域、B地域という順が成立するように、各地域の配達予約可能時間を調整することで、各受渡ポイントでの引き継ぎでの待ち時間を少なくすることができる。
【0052】
ここで、A地域は4件の依頼、B地域は3件の依頼、C地域は3件の依頼、D地域は5件の依頼、E地域は2件の依頼があったとする。また、前提条件として、距離(区間主線路)は、D区間の距離を1として、A区間は2、B区間は1.5、C区間は1.5、E区間は2.5とする。また、車両数は、利用可能台数を5台とし、1台当たりの最大輸送量は4席または8個口(2個口/1席)とする。また、1距離当たりの走行時間は30とし、1個口当たりの配達時間(走行から渡すまでの時間)は10とし、1個口当たりの受渡・引継時間は1とする。
【0053】
また、利用制約として、利用者には配達依頼時に5台の車両を稼動可能な配達可能時間帯を通知し、配達可能時間帯以外の配達は受け付けないものとする。
【0054】
このような予め定めた前提条件及び利用制約に応じて、配車計画サーバ12の配車候補導出部34が、輸送する車両とルートとを定めた複数の配車候補を導出する。
【0055】
具体的には、配車候補導出部34が、まず、配車候補の基準となる計画基準案として、受渡を行わず、かつ1車両で複数区間を配達しない配達計画を作成する。
図7は、配車候補の基準計画案を説明するための図である。
【0056】
計画基準案では、D地域、C地域、A地域の順に配送する車両を1号車とし、1号車は配送ポイントで4個口を搭載してA地域で4個口を配達する。
【0057】
また、D地域、C地域、B地域の順に配送する車両を2号車とし、2号車は配送ポイントで3個口を搭載してB地域で3個口を配達する。
【0058】
また、D地域、C地域の順に配送する車両を3号車とし、3号車は配送ポイントで3個口を搭載してC地域で3個口を配達する。
【0059】
また、D地域を配送する車両を4号車とし、4号車は配送ポイントで5個口を搭載してD地域で5個口を配達する。
【0060】
そして、D地域、E地域の順に配送する車両を5号車とし、5号車は配送ポイントで2個口を搭載してE地域で2個口を配達する。
【0061】
次に、配車候補導出部34が、配車候補の第1案として、まずは区間内だけの輸送を行い、受渡ポイントで受渡を行う配車を計画する。
図8は、配車候補の第1案を説明するための図である。
【0062】
第1案では、A地域を配送する車両を1号車とし、B地域を配送する車両を2号車とし、C地域を配送する車両を3号車とし、D地域を配送する車両を4号車とし、E地域を配送する車両を5号車とする。
【0063】
1号車は、受渡ポイント2で3号車から4個口を引き継いでA地域で4個口を配達する。2号車は、受渡ポイント2で3号車から3個口を引き継いでB地域で3個口を配達する。3号車は、受渡ポイント1で4号車から10個口を引き継いでC地域で3個口を配達しながら、受渡ポイント2へ移動して、1号車に4個口、2号車に3個口を受け渡す。4号車は、配送ポイントで17個口を搭載し、D地域で5個口を配達しながら受渡ポイント1へ移動して、3号車に10個口、5号車に2個口を受け渡す。5号車は、受渡ポイント1で4号車から2個口を引き継いでE地域で2個口を配達する。
【0064】
第1案では、D地域の輸送合計が17となり、17/8>2台となることから、この計画は不成立と分かる。また、輸送分担の合計量よりD地域の区間では3台以上での走行が、C地域の区間では2台以上での走行が必須と分かる。
【0065】
次に、配車候補導出部34が、配車候補の第2案として、第1案におけるD地域の隣接区間であるE地域の区間とC地域の区間の車両に、4号車の輸送分担を分配し、3号車の輸送分担もC地域の隣接区間のB地域の車両に分配する配車を計画する。
図9は、配車候補の第2案を説明するための図である。また、第2案では、隣接区間が複数の場合、全ての隣接区間で同様の分配を行う。但し、最大輸送量を超える場合は除外する。
図9のケースでは2号車に分配した例を示す。
【0066】
第2案では、A地域を配送する車両を1号車とし、C地域、B地域の順に配送する車両を2号車とし、D地域、C地域の順に配送する車両を3号車とし、D地域を配送する車両を4号車とし、D地域、E地域の順に配送する車両を5号車とする。
【0067】
1号車は、受渡ポイント2で3号車から4個口を引き継いでA地域で4個口を配達する。2号車は、受渡ポイント1で5号車から3個口を引き継いでB地域で3個口を配達する。3号車は、配送ポイントで7個口を搭載し、C地域で3個口を配達しながら受渡ポイント1へ移動して、1号車に4個口を受け渡す。4号車は、配送ポイントで5個口を搭載してD地域で5個口を配達する。5号車は、配送ポイントで5個口を搭載して受渡ポイントへ移動して1号車に4個口を受け渡して、その後、E地域で2個口を配達する。
【0068】
次に、配車候補導出部34が、配車候補の第3案として、第2案と同様に、第1案におけるD地域の隣接区間であるE地域の区間とC地域の区間の車両に、4号車の輸送分担を分配し、3号車の輸送分担もC地域の隣接区間のA地域の車両に分配する配車を計画する。
図10は、配車候補の第3案を説明するための図である。
【0069】
第3案では、C地域、A地域の順に配送する車両を1号車とし、B地域を配送する車両を2号車とし、D地域、C地域の順に配送する車両を3号車とし、D地域を配送する車両を4号車とし、D地域、E地域の順に配送する車両を5号車とする。
【0070】
1号車は、受渡ポイント1で5号車から4個口を引き継いでA地域で4個口を配達する。2号車は、受渡ポイント2で3号車から3個口を引き継いでB地域で3個口を配達する。3号車は、配送ポイントで6個口を搭載し、C地域で3個口を配達しながら受渡ポイント2へ移動して2号車に3個口を受け渡す。4号車は、配送ポイントで5個口を搭載してD地域で5個口を配達する。5号車は、配送ポイントで5個口を搭載して受渡ポイントへ移動して1号車に4個口を受け渡して、その後、E地域で2個口を配達する。
【0071】
次に、配車候補導出部34が、配車候補の第4案として、A-E地域の全区間を少なくとも1回は通過し、受渡が1回も発生せず、各車両への分配結果が最大輸送量を超えず、かつ重複区間(C、D)のみの配達車両がない場合、があれば計画を立てる。
図11は、配車候補の第4案を説明するための図である。なお、
図11は一例であり、担当区間合計が最小となり、かつ最終配達完了時間の最大が最短となる配達分担である。
【0072】
1号車は、配送ポイントで7個口を搭載して、D地域で5個口を配達し、E地域で2個口を配達する。2号車は、配送ポイントで4個口を搭載してA地域で4個口を配達する。3号車は、配送ポイントで6個口を搭載してC地域で3個口を配達し、B地域で3個口を配達する。
【0073】
続いて、上述した前提条件に基づいて、配車候補導出部34が、配送候補のそれぞれについて、走行距離や、完了時間などの配送候補を決定するための情報を導出する。一例として、計画基準案及び第1~第4案の各配送候補の詳細を計算した結果を
図12に示す。
図12は、配車候補の計画基準案及び第1案~第4案の各配送候補の詳細を計算した結果を示す図である。
【0074】
図12では、車両No.、計画ルート、通過受渡ポイント、走行距離、走行時間、配達分担、配達効率、輸送分担、走行開始ポイント、運行開始時間、最終配達完了時間を計算結果として示す。なお、配達分担は、A~Eの各地域の区間での配達量を示し、合計、時間、及び担当区間を示す。また、配達効率は、距離当たりの配達量を示し、計画案の評価指標の1つとする。また、輸送分担は、A~Eの各地域の受渡分を含めた輸送量を示し、合計、空席数、受渡回数、受渡個口、引継時間、及び成立の有無を示す。
【0075】
詳細には、
図12に示すように、基準計画案の1号車は、計画ルートがD→C→A、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、2、走行距離が4.5、走行時間が135、配達分担は、A地域が4で合計4、時間が40、担当区間が1となる。輸送分担は、A地域の4で合計が4、空席数が2、受渡回数が0、受渡個口が0、受渡時間が0、引継回数が0、引継個口が0、引継時間が0で成立する。運行開始ポイントはD、運行開始時間は0、最終配達完了時間は175となる。
【0076】
基準計画案の2号車は、計画ルートがD→C→B、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、2、走行距離が4、走行時間が120、配達分担は、B地域が3で合計3、時間が30、担当区間が1となる。輸送分担は、B地域の3で合計が3、空席数が2、受渡回数が0、受渡個口が0、受渡時間が0、引継回数が0、引継個口が0、引継時間が0で成立する。運行開始ポイントはD、運行開始時間は0、最終配達完了時間は150となる。
【0077】
基準計画案の3号車は、計画ルートがD→C、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、2、走行距離が2.5、走行時間が75、配達分担は、C地域が3で合計3、時間が30、担当区間が1となる。輸送分担は、C地域の3で合計が3、空席数が2、受渡回数が0、受渡個口が0、受渡時間が0、引継回数が0、引継個口が0、引継時間が0で成立する。運行開始ポイントはD、運行開始時間は0、最終配達完了時間は105となる。
【0078】
基準計画案の4号車は、計画ルートがD、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、走行距離が1、走行時間が30、配達分担は、D地域が5で合計5、時間が50、担当区間が1となる。輸送分担は、D地域の5で合計が5、空席数が1、受渡回数が0、受渡個口が0、受渡時間が0、引継回数が0、引継個口が0、引継時間が0で成立する。運行開始ポイントはD、運行開始時間は0、最終配達完了時間は80となる。
【0079】
基準計画案の5号車は、計画ルートがD→E、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、走行距離が3.5、走行時間が105、配達分担は、E地域が2で合計2、時間が20、担当区間が1となる。輸送分担は、E地域の2で合計が2、空席数が3、受渡回数が0、受渡個口が0、受渡時間が0、引継回数が0、引継個口が0、引継時間が0で成立する。運行開始ポイントはD、運行開始時間は0、最終配達完了時間は125となる。
【0080】
そして、基準計画案では、
図12に示すように、車両の合計が5台必要で、走行距離の合計が15.5、走行時間の合計が465、配達分担のAの合計が4、Bの合計が3、Cの合計が3、Dの合計が5、Eの合計が2となり、配達分担の全合計が17、時間の全合計が170、担当区間の合計が5となり、配達効率が1.10となる。また、輸送分担のAの合計が4、Bの合計が3、Cの合計が3、Dの合計が5、Eの合計が2となり、輸送分担の全合計が17となる。また、輸送分担の空席数の合計が10、受渡回数の合計が0、受渡個口の合計が0、受渡時間の合計が0、引継回数の合計が0、引継個口の合計が0、引継時間の合計が0で成立し、最終配達完了時間は最大が175となる。
【0081】
第1案の1号車は、計画ルートがA、通過受渡ポイントが受渡ポイント2、走行距離が2、走行時間が60、配達分担は、A地域が4で合計4、時間が40、担当区間が1となる。輸送分担は、A地域の4で合計が4、受渡回数が0、受渡個口が0、受渡時間が0、引継回数が1、引継個口が4、引継時間が4で成立する。運行開始ポイントは受渡ポイント2、運行開始時間は174、最終配達完了時間は274となる。
【0082】
第1案の2号車は、計画ルートがB、通過受渡ポイントが受渡ポイント2、走行距離が1.5、走行時間が45、配達分担は、B地域が3で合計3、時間が30、担当区間が1となる。輸送分担は、B地域の3で合計が3、受渡回数が0、受渡個口が0、受渡時間が0、引継回数が1、引継個口が3、引継時間が3で成立する。運行開始ポイントは受渡ポイント2、運行開始時間は174、最終配達完了時間は249となる。
【0083】
第1案の3号車は、計画ルートがC、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、2、走行距離が1.5、走行時間が45、配達分担は、C地域が3で合計3、時間が30、担当区間が1となる。輸送分担は、A地域が4、B地域が3、C地域が3で合計が10、受渡回数が2、受渡個口が7、受渡時間が7、引継回数が1、引継個口が10、引継時間が10で不成立となる。運行開始ポイントは受渡ポイント1、運行開始時間は92、最終配達完了時間は174となる。
【0084】
第1案の4号車は、計画ルートがD、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、走行距離が1、走行時間が30、配達分担は、D地域が5で合計5、時間が50、担当区間が1となる。輸送分担は、A地域が4、B地域が3、C地域が3、D地域が5、E地域が2で合計が17、受渡回数が2、受渡個口が12、受渡時間が12、引継回数が0、引継個口が0、引継時間が0で不成立となる。運行開始ポイントはD、運行開始時間は0、最終配達完了時間は92となる。
【0085】
第1案の5号車は、計画ルートがE、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、走行距離が2.5、走行時間が75、配達分担は、E地域が2で合計2、時間が20、担当区間が1となる。輸送分担は、E地域が2で合計が2、受渡回数が0、受渡個口が0、受渡時間が0、引継回数が1、引継個口が2、引継時間が2で成立する。運行開始ポイントは受渡ポイント1、運行開始時間は92、最終配達完了時間は187となる。
【0086】
そして、第1案では、
図12に示すように、車両の合計が5台必要で、走行距離の合計が8.5、走行時間の合計が255、配達分担のAの合計が4、Bの合計が3、Cの合計が3、Dの合計が5、Eの合計が2となり、配達分担の全合計が17、時間の全合計が170、担当区間の合計が5となり、配達効率が2.00となる。また、輸送分担のAの合計が12、Bの合計が9、Cの合計が6、Dの合計が5、Eの合計が4となり、輸送分担の全合計が36となる。また、輸送分担の受渡回数の合計が4、受渡個口の合計が19、受渡時間の合計が19、引継回数の合計が4、引継個口の合計が19、引継時間の合計が19で不成立となり、第1案は不成立となる。
【0087】
また、第2案の1号車は、計画ルートがA、通過受渡ポイントが受渡ポイント2、走行距離が2、走行時間が60、配達分担は、A地域が4で合計4、時間が40、担当区間が1となる。輸送分担は、A地域の4で合計が4、空席数が2、受渡回数が0、受渡個口が0、受渡時間が0、引継回数が1、引継個口が4、引継時間が4で成立する。運行開始ポイントは受渡ポイント2、運行開始時間は79、最終配達完了時間は179となる。
【0088】
第2案の2号車は、計画ルートがC→B、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、走行距離が3、走行時間が90、配達分担は、B地域が3で合計3、時間が30、担当区間が1となる。輸送分担は、B地域の3で合計が3、空席数が2、受渡回数が0、受渡個口が0、受渡時間が0、引継回数が1、引継個口が3、引継時間が3で成立する。運行開始ポイントは受渡ポイント1、運行開始時間は33、最終配達完了時間は153となる。
【0089】
第2案の3号車は、計画ルートがD→C、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、2、走行距離が2.5、走行時間が75、配達分担は、C地域が3で合計3、時間が30、担当区間が1となる。輸送分担は、A地域が4、C地域の3で合計が7、空席数が0、受渡回数が1、受渡個口が4、受渡時間が4、引継回数が0、引継個口が0、引継時間が0で成立する。運行開始ポイントはD、運行開始時間は0、最終配達完了時間は109となる。
【0090】
第2案の4号車は、計画ルートがD、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、走行距離が1、走行時間が30、配達分担は、D地域が5で合計5、時間が50、担当区間が1となる。輸送分担は、D地域が5で合計が5、空席数が1、受渡回数が0、受渡個口が0、受渡時間が0、引継回数が0、引継個口が0、引継時間が0で成立する。運行開始ポイントはD、運行開始時間は0、最終配達完了時間は80となる。
【0091】
第2案の5号車は、計画ルートがD→E、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、走行距離が3.5、走行時間が105、配達分担は、E地域が2で合計2、時間が20、担当区間が1となる。輸送分担は、B地域が3、E地域が2で合計が5、空席数が1、受渡回数が1、受渡個口が3、受渡時間が3、引継回数が0、引継個口が0、引継時間が0で成立する。運行開始ポイントはD、運行開始時間は0、最終配達完了時間は128となる。
【0092】
そして、第2案では、
図12に示すように、車両の合計が5台必要で、走行距離の合計が12、走行時間の合計が360、配達分担のAの合計が4、Bの合計が3、Cの合計が3、Dの合計が5、Eの合計が2となり、配達分担の全合計が17、時間の全合計が170、担当区間の合計が5となり、配達効率が1.42となる。また、輸送分担のAの合計が8、Bの合計が6、Cの合計が3、Dの合計が5、Eの合計が2となり、輸送分担の全合計が24となる。また、輸送分担の空席数の合計が6、受渡回数の合計が2、受渡個口の合計が7、受渡時間の合計が7、引継回数の合計が2、引継個口の合計が7、引継時間の合計が7で成立し、最終配達完了時間は最大が179となる。
【0093】
また、第3案の1号車は、計画ルートがC→A、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、2、走行距離が3.5、走行時間が105、配達分担は、A地域が4で合計4、時間が40、担当区間が1となる。輸送分担は、A地域の4で合計が4、空席数が2、受渡回数が0、受渡個口が0、受渡時間が0、引継回数が1、引継個口が4、引継時間が4で成立する。運行開始ポイントは受渡ポイント1、運行開始時間は34、最終配達完了時間は179となる。
【0094】
第3案の2号車は、計画ルートがB、通過受渡ポイントが受渡ポイント2、走行距離が1.5、走行時間が45、配達分担は、B地域が3で合計3、時間が30、担当区間が1となる。輸送分担は、B地域の3で合計が3、空席数が2、受渡回数が0、受渡個口が0、受渡時間が0、引継回数が1、引継個口が3、引継時間が3で成立する。運行開始ポイントは受渡ポイント2、運行開始時間は108、最終配達完了時間は183となる。
【0095】
第3案の3号車は、計画ルートがD→C、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、2、走行距離が2.5、走行時間が75、配達分担は、C地域が3で合計3、時間が30、担当区間が1となる。輸送分担は、B地域の3とC地域の3で合計が6、空席数が1、受渡回数が1、受渡個口が3、受渡時間が3、引継回数が0、引継個口が0、引継時間が0で成立する。運行開始ポイントはD、運行開始時間は0、最終配達完了時間は108となる。
【0096】
第3案の4号車は、計画ルートがD、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、走行距離が1、走行時間が30、配達分担は、D地域が5で合計5、時間が50、担当区間が1となる。輸送分担は、D地域の5で合計が5、空席数が1、受渡回数が0、受渡個口が0、受渡時間が0、引継回数が0、引継個口が0、引継時間が0で成立する。運行開始ポイントはD、運行開始時間は0、最終配達完了時間は80となる。
【0097】
第3案の5号車は、計画ルートがD→E、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、走行距離が3.5、走行時間が105、配達分担は、E地域が2で合計2、時間が20、担当区間が1となる。輸送分担は、A地域の4とE地域の2で合計が6、空席数が1、受渡回数が1、受渡個口が4、受渡時間が4、引継回数が0、引継個口が0、引継時間が0で成立する。運行開始ポイントはD、運行開始時間は0、最終配達完了時間は129となる。
【0098】
そして、第3案では、
図12に示すように、車両の合計が5台必要で、走行距離の合計が12、走行時間の合計が360、配達分担のAの合計が4、Bの合計が3、Cの合計が3、Dの合計が5、Eの合計が2となり、配達分担の全合計が17、時間の全合計が170、担当区間の合計が5となり、配達効率が1.42となる。また、輸送分担のAの合計が8、Bの合計が6、Cの合計が3、Dの合計が5、Eの合計が2となり、輸送分担の全合計が24となる。また、輸送分担の空席数の合計が7、受渡回数の合計が2、受渡個口の合計が7、受渡時間の合計が7、引継回数の合計が2、引継個口の合計が7、引継時間の合計が7で成立し、最終配達完了時間は最大が183となる。
また、第4案の1号車は、計画ルートがD→E、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、走行距離が3.5、走行時間が105、配達分担は、D地域の5とE地域の2で合計7、時間が70、担当区間が2となる。輸送分担は、D地域の5とE地域の2で合計が7、空席数が0、受渡回数が0、受渡個口が0、受渡時間が0、引継回数が0、引継個口が0、引継時間が0で成立する。運行開始ポイントはD、運行開始時間は0、最終配達完了時間は175となる。
【0099】
第4案の2号車は、計画ルートがD→C→A、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、2、走行距離が4.5、走行時間が135、配達分担は、A地域の4で合計4、時間が40、担当区間が1となる。輸送分担は、A地域の4で合計が4、空席数が2、受渡回数が0、受渡個口が0、受渡時間が0、引継回数が0、引継個口が0、引継時間が0で成立する。運行開始ポイントはD、運行開始時間は0、最終配達完了時間は175となる。
【0100】
第4案の3号車は、計画ルートがD→C→B、通過受渡ポイントが受渡ポイント1、2、走行距離が4、走行時間が120、配達分担は、B地域の3とC地域の3で合計6、時間が60、担当区間が2となる。輸送分担は、B地域の3とC地域の3で合計が6、空席数が1、受渡回数が0、受渡個口が0、受渡時間が0、引継回数が0、引継個口が0、引継時間が0で成立する。運行開始ポイントはD、運行開始時間は0、最終配達完了時間は180となる。
【0101】
そして、第4案では、
図12に示すように、車両の合計が3台必要で、走行距離の合計が12、走行時間の合計が360、配達分担のAの合計が4、Bの合計が3、Cの合計が3、Dの合計が5、Eの合計が2となり、配達分担の全合計が17、時間の全合計が170、担当区間の合計が5となり、配達効率が1.42となる。また、輸送分担のAの合計が4、Bの合計が3、Cの合計が3、Dの合計が5、Eの合計が2となり、輸送分担の全合計が17となる。また、輸送分担の空席数の合計が11、受渡回数の合計が0、受渡個口の合計が0、受渡時間の合計が0、引継回数の合計が0、引継個口の合計が0、引継時間の合計が0で成立し、最終配達完了時間は最大が180となる。
このように計算された配送候補を決定するための情報から、配車計画決定部36が、計画基準案及び第1~第4案の複数の配車候補から、予め定めた条件に基づいて配車候補を決定する。これにより、予め定めた条件に適した配車計画を作成することが可能となる。例えば、配車計画決定部36は、予め定めた条件として、輸送効率としての配達効率及び輸送完了時間としての配達完了時間の少なくとも一方に基づいて配車計画とする配車候補を決定する。例えば、配達効率が最も高い配車候補を決定し、配達効率が同一の配送候補が複数ある場合は、配達完了時間が最短の配送候補を決定する。或いは、配達完了時間が最短の配車候補を決定し、同一の配達完了時間が複数ある場合は、配達効率が最も高い配送候補を決定して配車計画を作成してもよい。なお、輸送効率及び輸送完了時間以外の条件を予め定めた条件として適用してもよい。例えば、輸送する時間帯などの条件を更に考慮して配送候補を決定して配車計画を作成してもよい。
【0102】
計画基準案及び第1~第4案のように複数の配車候補から配車計画を選択する方法の一例としては、計画基準案に対して配達効率が上がっている案を選択する。計画基準案よりも配達効率が上がっている案がなければ、計画基準案を選択する。
【0103】
また、人を運ぶ人流の乗車予約がある場合は、予約条件に該当する案を選択し、予約条件に該当する案が複数ある場合は、完了時間が最短となる案を選択する。
【0104】
また、乗車予約の予約条件に該当する案がなければ第4案を選択して、空き車両を人流用に配車する。
【0105】
なお、上記実施形態では、配車計画サーバ12と運行管理サーバ14を別々のサーバとして説明したが、これに限るものではなく、配車計画サーバ12に運行管理サーバ14の機能を含む形態としてもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、配車計画の対象の車両として、タクシー26やバス28を一例として挙げたが、これに限るものではない。例えば、予め登録した運送会社の車両や予め登録した一般の車両などでもよい。
【0107】
また、上記の各実施形態における配車計画サーバ12の各部で行われる処理は、プログラムを実行することにより行われるソフトウエア処理として説明したが、これに限るものではない。例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウエアで行う処理としてもよい。或いは、ソフトウエア及びハードウエアの双方を組み合わせた処理としてもよい。また、ソフトウエアの処理とした場合には、プログラムを各種記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0108】
さらに、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。例えば、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0109】
10 配車計画システム
12 配車計画サーバ
14 運行管理サーバ
18 クライアント端末
20 車両側端末
30 配車受付部(受付部)
32 車両情報収集部
34 配車候補導出部(作成部)
36 配車計画決定部(作成部)
38 配車計画配信部