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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】切換スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/30 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
H01H13/30
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020124721
(22)【出願日】2020-07-21
(65)【公開番号】P2022021238
(43)【公開日】2022-02-02
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 芳弘
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-010057(JP,U)
【文献】特開平06-325660(JP,A)
【文献】特開平10-112239(JP,A)
【文献】特開2008-066082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に第1固定接点が取り付けられ、基端部に常閉の第1外部接続端子が形成された第1固定端子板と、
先端部に第2固定接点が取り付けられ、基端部に常開の第2外部接続端子が形成された第2固定端子板と、
先端部に上部がU字形となる支持枠が取り付けられ、基端部に共通外部接続端子が形成された共通固定端子板と、
前記第1固定接点と前記第2固定接点とを上下に所定間隔をあけて対向配置し、前記第1固定端子板、前記第2固定端子板及び前記共通固定端子板を取り付けた絶縁基台と、
先端部に前記第1固定接点及び前記第2固定接点に当接可能な可動接点を形成し、基端部に前記支持枠に当接して回動支点となる接触子支点部が形成された可動接触子と、
先端部を前記絶縁基台上に設けた支持体に当接して回動支点となる操作支点部が形成され、基端部に外部から操作される操作片が設けられ、先端部と基端部との間が前記支持枠内で回動自在に支持される操作レバーと、
前記可動接触子の先端側と前記操作レバーの基端側とを接続する引張ばねと、
を備え、
前記操作レバーの操作片を上下方向に回動操作することにより、前記可動接触子が前記接触子支点部を支点に反転駆動し、前記引張ばねによるスナップアクション機構により前記可動接点と前記第1固定接点との接触と、前記可動接点と前記第2固定接点との接触とを交互に切り換え、
前記操作レバーには、前記操作レバーの下降に伴って前記可動接触子の下降をアシストする突起が設けられることを特徴とする切換スイッチ。
【請求項2】
前記接触子支点部は、前記支持枠に対して回動可能に結合され、
前記操作支点部は、前記支持体に対して回動可能に結合されることを特徴とする請求項1に記載の切換スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引張ばねを用いて可動接点をスナップアクションさせるC接点構造における常閉の固定接点と可動接点とが溶着している場合であっても、簡易な構成で溶着接点の開路を可能にする切換スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の切換スイッチは、図6に示すように、固定部材として、常閉の第1固定端子板1、常開の第2固定端子板2及び共通固定端子板3を備えている。常閉の第1固定端子板1には、先端部に第1固定接点1aが取り付けられ、基端部に一体的に第1外部接続端子1bが形成されている。また、常開の第2固定端子板2にも、先端部に第2固定接点2aが取り付けられ、常閉の第1固定端子板1の第1固定接点1aの下方に所定間隔をおいて対向配置されている。そして、基端部に、第2外部接続端子2bが一体に形成されている。さらに、共通固定端子板3には、先端部に可動接触子6及び操作レバー7等の可動部材を支持するためのU字形の支持枠3aが形成されるとともに基端部に共通外部接続端子3bが一体に形成されている。これらの第1固定端子板1、第2固定端子板2及び共通固定端子板3は、中間部が共通の絶縁樹脂により形成された絶縁基台4に埋め込まれ、これを貫通して固定支持される。
【0003】
可動部材となる可動接触子6には、先端に双頭の可動接点6a,6bが取り付けられるとともに、基端部に支持枠3aに当接されて可動接触子6の回動支点となる接触子支点部106cが形成される。もう一つの可動部材である操作レバー7には、先端部に絶縁基台4に設けられた操作レバー7を支持する支持体5に当接して回動支点となる操作支点部107aが形成され、基端部に外部から操作される操作片7bが設けられている。そして、この操作レバー7は共通固定端子板3に形成された支持枠3aにより支持され、これにより上限の位置が制限される。
【0004】
そして、可動接触子6と操作レバー7とは、可動接触子6の先端側と操作レバー7の基端側とを接続する引張ばね8によって連繋されている。
【0005】
このように構成された切換スイッチ110は、操作レバー7の操作片7bが上方にある状態では、引張ばね8が、可動接触子6の先端部及び操作レバー7の基端部を上方に引っ張るため可動接触子6は第1固定接点1a側に回動され、可動接点6aが第1固定接点1aに当接する。これにより、共通固定端子板3と第1固定端子板1との間の回路が閉じられる。
【0006】
操作片7bを押し下げて操作レバー7を、操作支点部107aを支点にして時計方向に回動させると、引張ばね8の中心線が接触子支点部106cより下方に移動したところで、この引張ばね8の作用力の方向が反転し、可動接触子6が急激に下方へ引っ張られて、可動接点6bが第2固定端子板2の第2固定接点2aに閉じられ、共通固定端子板3を第2固定端子板2に切換接続する。なお、上記の切換スイッチは、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-66082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、引張ばね8を用いて可動接点6a,6bをスナップアクションさせるC接点構造では、常閉の第1固定接点と可動接点6aとを切り離して回路を切断しようとする場合、この接点が溶着していると、操作レバー7を時計回りに動作させても、引張ばね8が伸びるのみで、可動接触子6は動かず、第1固定接点と可動接点6aとを切り離すことができない。すなわち、第1固定接点と可動接点6aとが溶着している場合、常閉の接点を開にすることができないという課題があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、引張ばねを用いて可動接点をスナップアクションさせるC接点構造における常閉の固定接点と可動接点とが溶着している場合であっても、簡易な構成で溶着接点の開路を可能にする切換スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、先端部に第1固定接点が取り付けられ、基端部に常閉の第1外部接続端子が形成された第1固定端子板と、先端部に第2固定接点が取り付けられ、基端部に常開の第2外部接続端子が形成された第2固定端子板と、先端部に上部がU字形となる支持枠が取り付けられ、基端部に共通外部接続端子が形成された共通固定端子板と、前記第1固定接点と前記第2固定接点とを上下に所定間隔をあけて対向配置し、前記第1固定端子板、前記第2固定端子板及び前記共通固定端子板を取り付けた絶縁基台と、先端部に前記第1固定接点及び前記第2固定接点に当接可能な可動接点を形成し、基端部に前記支持枠に当接して回動支点となる接触子支点部が形成された可動接触子と、先端部を前記絶縁基台上に設けた支持体に当接して回動支点となる操作支点部が形成され、基端部に外部から操作される操作片が設けられ、先端部と基端部との間が前記支持枠内で回動自在に支持される操作レバーと、前記可動接触子の先端側と前記操作レバーの基端側とを接続する引張ばねと、を備え、前記操作レバーの操作片を上下方向に回動操作することにより、前記可動接触子が前記接触子支点部を支点に反転駆動し、前記引張ばねによるスナップアクション機構により前記可動接点と前記第1固定接点との接触と、前記可動接点と前記第2固定接点との接触とを交互に切り換え、前記操作レバーには、前記操作レバーの下降に伴って前記可動接触子の下降をアシストする突起が設けられることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記接触子支点部は、前記支持枠に対して回動可能に結合され、前記操作支点部は、前記支持体に対して回動可能に結合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、引張ばねを用いて可動接点をスナップアクションさせるC接点構造における常閉の固定接点と可動接点とが溶着している場合であっても、簡易な構成で溶着接点の開路を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態である切換スイッチの外観構成を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示した切換スイッチの構成を示す右側面図である。
図3図3は、操作レバーの操作片を下方に押し込む前の切換スイッチの状態を示す図である。
図4図4は、可動接触子の反転時の状態を示す図である。
図5図5は、可動接触子の反転後の状態を示す図である。
図6図6は、従来の切換スイッチの外観構成を示す斜視図である。
図7図7は、切換スイッチを組み込んだ操作スイッチの概要構成を示す一部破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0015】
<全体構成>
図1は、本発明の実施の形態である切換スイッチ10の外観構成を示す斜視図である。また、図2は、図1に示した切換スイッチ10の構成を示す右側面図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、切換スイッチ10は、第1固定端子板1、第2固定端子板2及び共通固定端子板3を有する。第1固定端子板1は、先端部に第1固定接点1aが取り付けられ、基端部に常閉の第1外部接続端子1bが形成される。また、第2固定端子板2は、先端部に第2固定接点2aが取り付けられ、基端部に常開の第2外部接続端子2bが形成される。また、共通固定端子板3は、先端部に上部がU字形となる支持枠3aが取り付けられ、基端部に共通外部接続端子3bが形成される。
【0017】
第1固定端子板1、第2固定端子板2及び共通固定端子板3の各中間部は、絶縁樹脂で形成された絶縁基台4によって支持される。すなわち、絶縁基台4は、第1固定接点1a、第2固定接点2a及び支持枠3aを上部(+Z方向)に露出させ、第1外部接続端子1b、第2外部接続端子2b及び共通外部接続端子3bを下部(-Z方向)に露出させて支持する。そして、絶縁基台4は、第1固定接点1aと第2固定接点2aとを上下方向(Z方向)に所定間隔dをあけて対向配置し、第1固定端子板1、第2固定端子板2及び共通固定端子板3を取り付けて支持する。
【0018】
また、切換スイッチ10は、可動接触子6、操作レバー7及び引張ばね8を有する。可動接触子6は、先端部に第1固定接点1a及び第2固定接点2aにそれぞれ当接可能な可動接点6a,6bを形成し、基端部に支持枠3aに当接して回動支点となる接触子支点部6cが形成される。
【0019】
操作レバー7は、先端部を絶縁基台4上に設けた支持体5に当接して回動支点となる操作支点部7aが形成され、基端部に外部から操作される操作片7bが設けられ、先端部と基端部との間が支持枠3a内で回動自在に支持される。引張ばね8は、可動接触子6の先端側と操作レバー7の基端側とを接続する。
【0020】
なお、切換スイッチ10は、引張ばね8を用いて可動接点6a,6bをスナップアクションさせるC接点構造である。C接点の端子は、可動接点6a,6bをもつ可動接触子6に接続される共通(COM:コモン)端子である共通固定端子板3である。常閉(NC:ノーマルクローズ)端子は、第1固定接点1aをもつ第1固定端子板1であり、常開(NO:ノーマルオープン)端子は、第2固定接点2aをもつ第2固定端子板2である。
【0021】
<スナップアクション機構>
図3は、操作レバー7の操作片7bを下方に押し込む前の切換スイッチ10の状態を示す図である。また、図4は、可動接触子6の反転時の状態を示す図である。さらに、図5は、可動接触子6の反転後の状態を示す図である。
【0022】
図3に示すように、操作レバー7の操作片7bを下方(-Z方向:方向A)に押し込む前、可動接触子6の先端部の可動接点6aは、引張ばね8の中心線Cが接触子支点部6cの回動支点の上部(+Z方向)に位置する。この場合、引張ばね8の引っ張りにより可動接点6aは、第1固定接点1aへの接触が維持された常閉状態となっている。
【0023】
図4に示すように、操作片7bがさらに下方に押し込まれ、引張ばね8の中心線Cが接触子支点部6cの回動支点を通過する際、引張ばね8の作用力の方向が反転し、可動接触子6が急激に下方(-Z方向:方向B)に引っ張る、スナップアクションが生じる。
【0024】
そして、図5に示すように、可動接点6bは、第2固定接点2aへの接触が維持された状態となる。この状態では、引張ばね8の中心線Cは接触子支点部6cの回動支点の下部(-Z方向)に位置する。
【0025】
なお、図5に示した状態において操作片7bを上方(+Z方向)に戻すと、図3の状態に復帰するスナップアクションが生じる。操作レバー7は、支持枠3aの上端部において内側に向けて突出したストッパ3dによって、上方への動作が規制され、絶縁基台4に形成されたストッパ4aによって、下方への動作が規制される。なお、操作レバー7の下方への規制は、ストッパ4aと同様に、支持枠3aに形成してもよい。
【0026】
<開路アシスト構造>
ここで、操作レバー7には、操作レバー7の下降に伴って可動接触子6の下降をアシストする突起7cが設けられる。図4に示すように、突起7cは、可動接触子6を反転させる際、可動接触子6の凸部6dに係合し、可動接触子6を下方に押し下げ、可動接触子6の下方への移動をアシストする。
【0027】
これにより、常閉の第1固定接点1aと可動接点6aとが溶着している場合、引張ばね8の引張力のみでは、第1固定接点1aと可動接点6aとが引き離されず、開路できない場合が発生するが、この場合であっても、突起7cが強制的に可動接触子6を引き下げて溶着した接点を引き剥がす方向に作用するため、確実に開路することができる。
【0028】
<接触子支点部及び操作支点部>
また、接触子支点部6cは、支持枠3aに対して回動可能に結合され、操作支点部7aは、支持体5に対して回動可能に結合されている。すなわち、接触子支点部6cは、支持枠3aに形成された回動支点の支点受け部3cに対して回動可能に結合され、可動接触子6が支点受け部3cから外れないようにしている。また、操作支点部7aである回動軸は、支持体5の支点受け部5aに対して回動可能に結合され、操作支点部7aが支点受け部5aから外れないようにしている。
【0029】
これにより、常閉の第1固定接点1aと可動接点6aとが溶着している場合、引張ばね8の引張力のみでは、第1固定接点1aと可動接点6aとが引き離されず、引張ばね8が破断してしまう場合があるが、この場合であっても、可動接触子6及び操作レバー7はそれぞれ回動支点から外れないため、操作レバー7に設けられた突起7cが強制的に可動接触子6を引き下げて溶着した接点を引き剥がす方向に作用するため、確実に開路することができる。
【0030】
上記の接触子支点部6cと支点受け部3cとの結合は、接触子支点部6cが支点受け部3cから外れなければよく、また、操作支点部7aと支点受け部5aとの結合は、操作支点部7aが支点受け部5aから外れなければよく、それぞれ例えばヒンジ構造によって結合してもよい。
【0031】
ここで、図6に示した従来の切換スイッチ110では、突起7cが設けられていない。また、従来の切換スイッチ110では、接触子支点部106cが支持枠3aの支点受け部103cに突き立てられた当接をしているとともに、操作支点部107aが支持体5の支点受け部105aに突き立てられた当接をしている。したがって、常閉の第1固定接点1aと可動接点6aとの開路時に、引張バネ8が破断した場合、可動接触子6は支持枠3aから外れ、操作レバー7も支持体5から外れてしまうため、溶着した接点を引き剥がして開路することができなかった。
【0032】
なお、図7は、上記の切換スイッチ10を組み込んだ操作スイッチ11の概要構成を示す一部破断図である。図7に示すように、切換スイッチ10は、押圧などの操作を行って回路切換を行う操作スイッチ11内に設けられる。操作スイッチ11は、操作レバー7に係合して操作レバー7を動作させ、切換スイッチ10による開路などの回路切換を行わせる。
【0033】
また、上記の実施の形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 第1固定端子板
1a 第1固定接点
1b 第1外部接続端子
2 第2固定端子板
2a 第2固定接点
2b 第2外部接続端子
3 共通固定端子板
3a 支持枠
3b 共通外部接続端子
3c,5a,103c,105a 支点受け部
3d,4a ストッパ
4 絶縁基台
5 支持体
6 可動接触子
6a,6b 可動接点
6c,106c 接触子支点部
6d 凸部
7 操作レバー
7a,107a 操作支点部
7b 操作片
7c 突起
8 引張バネ
10,110 切換スイッチ
11 操作スイッチ
C 中心線
d 所定間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7