(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】複合成形部品
(51)【国際特許分類】
B29C 33/12 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
B29C33/12
(21)【出願番号】P 2020134789
(22)【出願日】2020-08-07
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕信
(72)【発明者】
【氏名】金 京佑
(72)【発明者】
【氏名】小林 利成
(72)【発明者】
【氏名】寺坂 元寿
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-166977(JP,A)
【文献】特開2001-297671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側成形部と、
前記内側成形部を覆う外側成形部と、
を備え、
前記内側成形部に、前記内側成形部の表面に開口する回転止穴が形成され、
前記外側成形部に、前記外側成形部の表面から前記回転止穴に達する貫通孔が形成され、
前記回転止穴は、内周面と底面とによって囲まれる穴であり、
前記内周面の少なくとも一部は、非円形形状に形成されている、複合成形部品。
【請求項2】
請求項1に記載の複合成形部品であって、
前記貫通孔の少なくとも一部の内周面が、第1方向に沿って一方から他方に向うに連れて徐々に幅広となり、その途中で、他方に向うに連れて徐々に幅狭となる非円形形状に形成されている、複合成形部品。
【請求項3】
請求項2に記載の複合成形部品であって、
前記貫通孔の少なくとも一部の内周面が、前記第1方向における最大寸法が、前記第1方向に直交する第2方向における最大寸法よりも大きい形状に形成されている、複合成形部品。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の複合成形部品であって、
前記外側成形部は、一方向に長い長尺形状に形成され、
前記第1方向は、前記外側成形部の長手方向に沿った方向である、複合成形部品。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の複合成形部品であって、
前記回転止穴と前記貫通孔との境界の両側で、同じ内周面形状が連続している、複合成形部品。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の複合成形部品であって、
前記外側成形部の表面から前記内側成形部内に達する第1穴が形成され、
前記第1穴の反対側で、前記外側成形部の表面から前記内側成形部内に達する第2穴が形成され、
前記第1穴の奥側部分及び前記第2穴の奥側部分の少なくとも一方が、前記回転止穴である、複合成形部品。
【請求項7】
請求項6に記載の複合成形部品であって、
前記第1穴のうち前記内側成形部に形成された奥側部分及び前記第2穴の前記内側成形部に形成された奥側部分のうち、深さが深い方が、前記回転止穴である、複合成形部品。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の複合成形部品であって、
前記内側成形部によって覆われた電気部品をさらに備える複合成形部品。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の複合成形部品であって、
前記内周面の少なくとも一部は、ひし形形状、楕円形状又は滴形状である、複合成形部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合成形部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、絶縁性のホルダに電子部品および回路を配備し、電子部品および回路を弾性樹脂で被覆した後、前記ホルダを支持ピンで支えることで、射出成形の金型内での位置決めをし、これらを一体的に樹脂モールドしてケースを形成する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、金型内で、ホルダを位置決めするために、複数の支持ピンが用いられる。しかしながら、支持ピンを抜いた跡には、ホルダと外装ケースとの境界が現れるため、この境界部分が水の浸入路となる可能性がある。このため、支持ピンによる位置決め箇所をなるべく少なくすることが要請される。
【0005】
そこで、本開示は、内側成形部の周りに外側成形部を金型成形する際に、内側成形部を位置決めするための位置決めピンの数をなるべく減らせるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の複合成形部品は、内側成形部と、前記内側成形部を覆う外側成形部と、を備え、前記内側成形部に、前記内側成形部の表面に開口する回転止穴が形成され、前記外側成形部に、前記外側成形部の表面から前記回転止穴に達する貫通孔が形成され、前記回転止穴は、内周面と底面とによって囲まれる穴であり、前記内周面の少なくとも一部は、非円形形状に形成されている、複合成形部品である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、内側成形部の周りに外側成形部を金型成形する際に、内側成形部を位置決めするための位置決めピンの数をなるべく減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態に係る複合成形部品を示す斜視図である。
【
図2】
図2は実施形態に係る複合成形部品を示す斜視図である。
【
図4】
図4は複合成形部品における内側成形部を示す斜視図である。
【
図5】
図5は複合成形部品における内側成形部を示す斜視図である。
【
図6】
図6は内側成形部を位置決めピンによって位置決めした状態を示す説明図である。
【
図7】
図7は外側成形部を成形する金型内における溶融樹脂の状態を示す説明図である。
【
図8】
図8は変形例に係る回転止穴、貫通孔及び位置決めピンを示す説明図である。
【
図9】
図9は他の変形例に係る回転止穴、貫通孔及び位置決めピンを示す説明図である。
【
図10】
図10はさらに他の変形例に係る回転止穴、貫通孔及び位置決めピンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の複合成形部品は、次の通りである。
【0011】
(1)内側成形部と、前記内側成形部を覆う外側成形部と、を備え、前記内側成形部に、前記内側成形部の表面に開口する回転止穴が形成され、前記外側成形部に、前記外側成形部の表面から前記回転止穴に達する貫通孔が形成され、前記回転止穴は、内周面と底面とによって囲まれる穴であり、前記内周面の少なくとも一部は、非円形形状に形成されている、複合成形部品である。
【0012】
この複合成形部品によると、回転止穴の内周面の少なくとも一部は非円形形状であるため、位置決めピンが非円形内周面に嵌り込むことによって、内側成形部の回転止を行うことができる。これにより、内側成形部の周りに外側成形部を金型成形する際に、内側成形部を位置決めするための位置決めピンの数をなるべく減らすことができる。
【0013】
(2)(1)の複合成形部品であって、前記貫通孔の少なくとも一部の内周面が、第1方向に沿って一方から他方に向うに連れて徐々に幅広となり、その途中で、他方に向うに連れて徐々に幅狭となる非円形形状に形成されていてもよい。この場合、貫通孔は、外側成形部を金型成形する際に、位置決めピンの跡として残る部分である。このため、位置決めピンの少なくとも一部の外周面形状も、第1方向に沿って一方から他方に向うに連れて徐々に幅広となり、その途中で、他方に向うに連れて徐々に幅狭となる形状となる。外側成形部を金型成形する際に、溶融樹脂がその一方から他方に流れることで、溶融樹脂が位置決めピンの周りを円滑に流れることができる。
【0014】
(3)(2)の複合成形部品であって、前記貫通孔の少なくとも一部の内周面が、前記第1方向における最大寸法が、前記第1方向に直交する第2方向における最大寸法よりも大きい形状に形成されていてもよい。この場合、貫通孔は、外側成形部を金型成形する際に、位置決めピンの跡として残る部分である。このため、位置決めピンの少なくとも一部の外周面形状も、第1方向における最大寸法が、前記第1方向に直交する第2方向における最大寸法よりも大きい形状となる。この場合、外側成形部を金型成形する際に、溶融樹脂の流れに沿った方向における位置決めピンの投影面積を小さくして溶融樹脂が円滑に流れるようにすることができる。
【0015】
(4)(2)又は(3)の複合成形部品であって、前記外側成形部は、一方向に長い長尺形状に形成され、前記第1方向は、前記外側成形部の長手方向に沿った方向であってもよい。外側成形部が一方向に長い長尺形状である場合、外側成形部を形成するための溶融樹脂は、外側成形部の長手方向に沿って流れることが想定される。このため、外側成形部の長手方向に沿った第1方向に沿って流れる溶融樹脂は、位置決めピンの周りを円滑に流れることができる。
【0016】
(5)(1)から(4)のいずれか1つの複合成形部品であって、前記回転止穴と前記貫通孔との境界の両側で、同じ内周面形状が連続していてもよい。この場合、回転止穴と貫通孔との境界の両側で、同じ内周面形状が連続しているため、位置決めピンの形状を単純化できる。
【0017】
(6)(1)から(5)のいずれか1つの複合成形部品であって、前記外側成形部の表面から前記内側成形部内に達する第1穴が形成され、前記第1穴の反対側で、前記外側成形部の表面から前記内側成形部内に達する第2穴が形成され、前記第1穴の奥側部分及び前記第2穴の奥側部分の少なくとも一方が、前記回転止穴であってもよい。内側成形部のうち第1穴に対応する穴に第1位置決めピンが挿入され得る。内側成形部のうち第1穴とは反対側の第2穴に対応する穴に第2位置決めピンが挿入され得る。結果、第1穴及び第2穴との延在方向及びこれに直交する方向への位置決めがなされ得る。また、前記第1穴の奥側部分及び前記第2穴の奥側部分の少なくとも一方が、前記回転止穴であるため、前記第1穴の奥側部分及び前記第2穴の奥側部分の少なくとも一方を利用して、内側成形部を回転止した状態で位置決めすることができる。このため、少ない数の位置決めピンによって、内側成形部を位置決めできる。
【0018】
(7)(6)の複合成形部品であって、前記第1穴のうち前記内側成形部に形成された奥側部分及び前記第2穴の前記内側成形部に形成された奥側部分のうち、深さが深い方が、前記回転止穴であってもよい。この場合、深い回転止穴によって、内側成形部をより確実に回転止することができる。
【0019】
(8)(1)から(7)のいずれか1つの複合成形部品であって、前記内側成形部によって覆われた電気部品をさらに備えてもよい。この場合、内側成形部によって覆われた電気部品をより確実に止水することができる。
【0020】
(9)(1)から(8)のいずれか1つの複合成形部品であって、前記内周面の少なくとも一部は、ひし形形状、楕円形状又は滴形状であってもよい。これにより、内側成形部の回転止を行うことができる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の複合成形部品の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
[実施形態]
以下、実施形態に係る複合成形部品について説明する。
図1及び
図2は複合成形部品10を示す斜視図である。
図3は
図1のIII-III線断面図である。
図4及び
図5は複合成形部品における内側成形部30を示す斜視図である。
図1及び
図4は同じ方向からの斜視図である。
図2及び
図5は同じ方向からの斜視図である。
【0023】
複合成形部品10は、内側成形部30と、外側成形部40とを備える。外側成形部40は、内側成形部30を覆う部品である。内側成形部30が外側成形部40によって覆われることで、内側成形部30の内部の止水性が高められる。
【0024】
本実施形態では、複合成形部品10は、内側成形部30によって覆われた電気部品20を備える。内側成形部30は、電気部品20を覆う樹脂部分であり、外側成形部40は、電気部品20及び内側成形部30を覆う樹脂部分である。電気部品20が内側成形部30によって覆われ、さらに、外側成形部40によって覆われることで、電気部品20に対する止水性が向上する。例えば、電気部品20を位置決めピンで位置決めした状態で、内側成形部30を金型成形する。この後、内側成形部30を位置決めピンで位置決めした状態で、外側成形部40を金型成形することができる。これにより、外側成形部40内における内側成形部30の位置決め精度及び電気部品20の位置決め精度向上させつつ、電気部品20の周り全体を内側成形部30及び外側成形部40によって覆って、止水性を向上させることができる。
【0025】
外側成形部40を金型成形する際、内側成形部30は位置決めピンによって位置決めされる。外側成形部40を金型成形した後、位置決めピンを抜くと、外側成形部40の表面から内側成形部30に達するピン跡である孔が残る。ピン跡である孔の奥側に、内側成形部30と外側成形部40との境界が現れていると、その境界が水の浸入経路となり得る。このため、ピン跡である孔をなるべく少なくすることが要請される。本開示は、外側成形部40を金型成形する際に、なるべく少ない位置決めピンによって内側成形部30を位置決めできるようにする技術に関する。
【0026】
各部についてより具体的に説明する。
【0027】
電気部品20は、例えば、センサ素子20である。センサ素子20は、磁気、光、温度等の物理量或はそれらの変化量を検出する素子である。ここでは、センサ素子20が磁気センサであることを想定した説明がなされる。磁界は非磁性体である樹脂による影響を受け難い。このため、センサ素子20が磁気センサである場合、センサ素子20の周り全体が内側成形部30及び外側成形部40によって覆われていてもよい。
【0028】
センサ素子20は、素子本体部22と、リード部24とを備える。素子本体部22は、例えば,平たい直方体状に形成される。素子本体部22は、周辺環境、例えば、周辺磁界の大きさ、方向等に応じた信号を出力する。素子本体部22からリード部24が延び出ている。ここでは、2本のリード部24が平行姿勢で素子本体部22から延び出ている。ここでは、リード部24は金属等によって細長い板状に形成されている。素子本体部22における検出出力は、2本のリード部24を介して外部に出力される。
【0029】
センサ素子20の出力は、ケーブル60を介して伝送される。ケーブル60は、複数本(ここでは2本)の電線62と、外部被覆61とを備える。電線62は、芯線の周囲に被覆が形成された被覆電線である。外部被覆61は、2本の電線62を覆っている。ケーブル60の端部において外部被覆61が除去され、2本の電線62が露出している。2本の電線62の端部において被覆が除去され、芯線が露出している。2本の電線62の端部が2本のリード部24上に沿って配設され、それぞれの芯線がリード部24に電気的及び機械的に接続されている。ここでは、芯線はリード部24にはんだ付けされている。芯線とリード部24とは、溶接、圧着等によって電気的及び機械的に接続されてもよい。
【0030】
センサ素子20に接続される電線が、外部被覆等によって1つにまとめられていることは必須ではない。センサ素子に接続される電線は、個別に外側に引出されていてもよい。センサ素子に接続される電線の数は、当該センサ素子におけるリード部の数等によって増減されてもよい。センサ素子に電線が接続されていることは必須ではなく、他のFPC(Flexible printed circuit)等がセンサに接続されていてもよい。
【0031】
内側成形部30は、樹脂によって形成された部分である。内側成形部30は、例えば、ポリアミド樹脂、PE(ポリエチレン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等によって形成されていてもよい。
【0032】
より具体的には、内側成形部30は、センサ素子20をインサート部品として樹脂により金型成形された部分である。内側成形部30は、素子収容部35と、リード部収容部36とを備える。
【0033】
素子収容部35は、直方体状に形成されている。素子収容部35における一端部の一方主面寄りの位置に、センサ素子20の素子本体部22が収容されている。ここでは、素子収容部35の一端部の一方主面において、素子本体部22の一方主面が露出している。素子本体部22から延び出るリード部24は、素子収容部35内を通って、素子収容部35の他端側に向けて延びる。
【0034】
リード部収容部36は、素子収容部35の他端部に連なるように設けられている。リード部収容部36は、底板部37と、仕切部38とを含む。底板部37は、素子収容部35の他端部から延び出る板状に形成されている。2つのリード部24は、底板部37上に延び出て露出している。仕切部38は、底板部37の幅方向中間部において、2つのリード部24を仕切るように設けられている。
【0035】
センサ素子20をインサート部品として内側成形部30が金型成形される際には、センサ素子20のうちの上記露出部分が金型における金型面或は位置決め部分に接触された状態とされる。これにより、センサ素子20が金型内に位置決めされた状態で、内側成形部30が金型成形される。このため、センサ素子20は、内側成形部30に対して精度よく一定の位置に保持される。
【0036】
なお、上記芯線は、センサ素子20が内側成形部30にインサートされた状態でリード部24にはんだ付けされてもよい。芯線は、センサ素子20が内側成形部30にインサートされる前の状態で、リード部24にはんだ付けされてもよい。センサ素子20をインサート部品として内側成形部30が金型成形されることは必須ではない。内側成形部30がセンサ素子20を嵌め込み可能な形状に金型成形されており、これにセンサ素子20が嵌め込まれてもよい。つまり、内側成形部30は電気部品20を保持する部品であればよい。
【0037】
外側成形部40は、樹脂によって形成された部分である。外側成形部40は、内側成形部30と同様に、例えば、ポリアミド樹脂、PE(ポリエチレン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等によって形成されていてもよい。外側成形部40と内側成形部30とが同じ樹脂によって形成されることは必須ではない。外側成形部40と内側成形部30とが同じ樹脂で形成されていれば、両者の間での密着性が良好となる。
【0038】
外側成形部40は、内側成形部30を覆っている。外側成形部40は、内側成形部30の周囲の全体を覆っていてもよいし、外側成形部40の一部を覆っていてもよい。ここでは、外側成形部40は、内側成形部30のうち位置決めに利用した部分を除き、当該内側成形部30の周囲の全体を覆っている。つまり、内側成形部30及び外側成形部40のうちの少なくとも一方によって、センサ素子20の周り全体が覆われている。ここでは、外側成形部40の外形状は細長い直方体形状に形成されている。素子本体部22は、外側成形部40内における一端部寄りの部分に埋込まれた状態となっている。ケーブル60のうち外部被覆61の先端部は外側成形部40内における他端部寄りの部分に埋った状態となっている。ケーブル60のうち外部被覆61によって覆われた部分が外側成形部40の他端部から外側に向けて延び出ている。なお、外側成形部40の外形状が直方体であることは必須ではない。
【0039】
外側成形部40の外向き表面から内側成形部30内に達する第1穴51が形成されている。この第1穴51の反対側に、外側成形部40の外向き表面から内側成形部30内に達する第2穴52が形成されている。つまり、第1穴51の開口と第2穴52の開口とは互いに反対画を向いている。第1穴51の中心軸延長上に第2穴52が存在していてもよい。これにより、第1穴51に配置された位置決めピンと第2穴52に配置された位置決めピンとで、内側成形部30を挟むようにして安定して内側成形部30を位置決めすることができる。この観点からすると、第1穴51の中心軸延長線と第2穴52の中心軸延長線とが一致していてもよい。本実施形態では、第1穴51は、内側成形部30の周囲4側面のうちセンサ素子20が露出する側の面の内側に達するように形成されている。第2穴52は、内側成形部30の周囲4側面のうちセンサ素子20が露出する側の面とは反対側の面内部分に達するように形成されている。
【0040】
第1穴51及び第2穴52の形成位置は上記例に限られない。例えば、第1穴及び第2穴は、外側成形部40の外側面のうちセンサ素子20の幅方向外側の面(つまり2つのリード部24が並ぶ方向に沿って外側の面)から内側成形部30内に達するように形成されていてもよい。
【0041】
また、外側成形部40の外向き表面から内側成形部30内に達する別の穴が形成されていてもよい。複合成形部品10は、外側成形部40の外向き表面から内側成形部30内に達する穴として、上記第1穴51と第2穴52とのみ有していてもよい。
【0042】
第1穴51のうち内側成形部30に形成された奥側部分及び第2穴52のうち内側成形部30に形成された奥側部分の少なくとも一方が、回転止穴52aである。本実施形態では、第2穴52のうち内側成形部30に形成された奥側部分が回転止穴52aである例が説明される。しかしながら、第1穴51のうち内側成形部30に形成された奥側部分及び第2穴52のうち内側成形部30に形成された奥側部分の両方が回転止穴であってもよいし、第1穴51のうち内側成形部30に形成された奥側部分が回転止穴であってもよい。
【0043】
より具体的には、第2穴52のうち外側成形部40に形成された部分は貫通孔52bであり、第2穴52のうち内側成形部30の表面に開口し内側成形部30内に凹む部分が回転止穴52aである。
【0044】
回転止穴52aは、内周面52a1と底面52a2によって囲まれた有底穴である。回転止穴52aの中心軸に沿った方向において、内周面52a1の少なくとも一部は、非円形形状に形成されている。換言すれば、回転止穴52aのうちその中心軸方向に沿った少なくとも一部の横断面形状(中心軸に対して直交する方向における断面)が、非円形状に形成されている。非円形とは、円形でないこと、換言すれば、領域を規定する周囲の境界とその境界によって規定される内部領域の幾何中心との距離が一定では無く変化している形状であることを意味する。非円形の例は、楕円形、正方形、長方形、ひし形、星形、滴形状、鍵穴形状等である。回転止穴52aの内周面52a1のうち中心軸方向全体が非円形形状に形成されていてもよい。なお、回転止穴52aの内周面52a1のうちの一部、例えば、奥側部分のみが非円形形状に形成されていてもよい。
【0045】
本実施形態では、回転止穴52aの内周面52a1の全体は、非円形内周面に形成されている。より具体的には、回転止穴52aの内周面52a1は、一方の対角線が他方の対角線よりも長いひし形形状に形成されている。このひし形形状のうち長い方の対角線は、内側成形部30の長手方向に沿っており、短い方の対角線は内側成形部30の幅方向に沿っている。
【0046】
貫通孔52bは、外側成形部40の外向き表面から回転止穴52aに達している。つまり、外側成形部40に着目すると、貫通孔52bは、外側成形部40の外向き表面から内向き表面に向けて貫通している。
【0047】
貫通孔52bは、非円形孔状に形成されていてもよいし、円形孔状に形成されていてもよい。貫通孔52bの少なくとも一部の内周面は、第1方向F1に沿って一方から他方に向うに連れに徐々に幅広となり、その途中で、他方に向うに連れて徐々に幅狭となる非円形形状に形成されていてもよい。換言すれば、貫通孔52bの少なくとも一部の内周面は、第1方向F1に沿った中間部において最も幅広であり、その最も幅広部分から第1方向F1に沿って両側に向うに連れて徐々に幅狭になる形状に形成されていてもよい。かかる非円形形状は、例えば、楕円形、ひし形(1つの対角線を第1方向F1に沿って配置した場合)、滴形状(曲線を描く先端と鋭角となる後端とを結ぶ方向を第1方向F1に沿って配置した場合)等である。
【0048】
上記第1方向F1は、外側成形部40の長手方向と一致した方向であってもよい。外側成形部40の長手方向は、外側成形部40を金型成形する際に、溶融樹脂が流れる方向であってもよい。溶融樹脂が流れる第1方向F1を基準として、貫通孔52bの少なくとも一部の内周面形状が上記形状であれば、溶融樹脂が貫通孔52bに対応する部分に配置されている位置決めピンを避けてその長手方向後方側に円滑に流れ込むことができる。
【0049】
貫通孔52bの少なくとも一部の内周面は、第1方向F1における最大寸法L1が、第1方向F1に直交する第2方向F2における最大寸法L2よりも大きい形状に形成されていてもよい。換言すれば、貫通孔52bの少なくとも内周面を、第1方向F1に沿って見た場合の幅が、第1方向F1に対し直交する第2方向F2に沿った場合の幅が小さい。
【0050】
ここでの第1方向F1は、上記と同様に、外側成形部40の長手方向と一致した方向であってもよい。また、上記と同様に、外側成形部40の長手方向は、外側成形部40を金型成形する際に、溶融樹脂が流れる方向であってもよい。溶融樹脂が流れる第1方向F1を基準として、貫通孔52bの少なくとも一部の内周面形状が上記形状であれば、溶融樹脂が流れる方向において、貫通孔52bに対応する部分に配置されている位置決めピンの投影面積を小さくでき、溶融樹脂が位置決めピンを避けて円滑に流れることができる。かかる第1方向F1において長い形状は、例えば、楕円形(長軸方向を第1方向F1に沿って配置した場合)、対角線の長さが異なるひし形(長い方の対角線を第1方向F1に沿って配置した場合)、滴形状(曲線を描く先端と鋭角となる後端とを結ぶ方向を第1方向F1に沿って配置した場合)、長方形状(長辺の方向を第1方向F1に沿って配置した場合)等である。
【0051】
貫通孔52bの少なくとも一部の内周面は、第1方向F1に沿って一方から他方に向うに連れに徐々に幅広となり、その途中で、他方に向うに連れて徐々に幅狭となる非円形形状に形成され、かつ、第1方向F1における最大寸法L1が、第1方向F1に直交する第2方向F2における最大寸法L2よりも大きい形状に形成されていてもよい。例えば、貫通孔52bの少なくとも一部の内周面が、楕円形(長軸方向を第1方向F1に沿って配置した場合)、対角線の長さが異なるひし形(長い方の対角線を第1方向F1に沿って配置した場合)、滴形状(曲線を描く先端と鋭角となる後端とを結ぶ方向を第1方向F1に沿って配置した場合)等である。
【0052】
上記内周面形状は、貫通孔52bの長手方向における一部であってもよいし、全体であってもよい。
【0053】
上記回転止穴52aと貫通孔52bとは同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。例えば、回転止穴52aが非円形穴状に形成され、貫通孔52bは丸棒状に形成されていてもよい。本実施形態では、回転止穴52aと貫通孔52bとの境界(つまり、内側成形部30と外側成形部40との境界)の両側で、同じ内周面形状が連続している。ここでは、回転止穴52aと貫通孔52bとは同じ内周面形状に形成されている。このため、貫通孔52bから回転止穴52aにかけて配置されていた位置決めピンは、同じ外周面形状が連続する棒状に形成され得る。
【0054】
第1穴51のうち外側成形部40に形成された部分は貫通孔51bであり、第1穴51のうち内側成形部30の表面に開口し内側成形部30内に凹む部分が位置決め穴51aである。
【0055】
位置決め穴51aは、有底円形孔状に形成されている。位置決め穴51aは、上記回転止穴52aと同様に非円形状に形成されていてもよい。位置決め穴51aの深さd1は、回転止穴52aの深さd2よりも小さい(
図3参照)。つまり、第1穴51のうち内側成形部30に形成された奥側部分(位置決め穴51a)及び第2穴52のうち内側成形部30に形成された奥側部分(回転止穴52a)のうち、深い方が回転止穴とされている。本例は、2つの位置決め用の穴のうちの一方を非円形状に形成する場合、深い方の穴を非円形状に形成した例である。これにより、2つの位置決めピンのうち一方を非円形状とし、他方を加工が容易な円形状とすることができる。また、深い方の回転止穴52aにおいて、位置決めピンと回転止穴52aとの接触面積を大きくし、しっかりと回転止することができる。
【0056】
なお、回転止穴52a及び位置決め穴51aは、内側成形部30内の電気部品20に達し無い程度の深さに設定されている。
【0057】
貫通孔51bは、外側成形部40の外向き表面から位置決め穴51aに達している。つまり、外側成形部40に着目すると、貫通孔51bは、外側成形部40の外向き表面から内向き表面に向けて貫通している。
【0058】
貫通孔51bは、円形孔状に形成されていてもよいし、上記貫通孔52bと同様に非円形孔状に形成されていてもよい。ここでは、貫通孔51bは、円形孔状に形成されている。貫通孔51bは、位置決め穴51aの内周面と同様形状が連続する円形孔状に形成されていてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、内側成形部30は、外側成形部40側に突出する環状リブ部33、34を含む。環状リブ部33、34は、内側成形部30と外側成形部40との境界を伝って水が浸入することをより確実に抑制する役割を果たす部分である。
【0060】
ここでは、内側成形部30の表面のうち位置決め穴51aを囲む部分に環状リブ部33が形成される。また、内側成形部30の表面のうち回転止穴52aを囲む部分に環状リブ部34が形成される。位置決め穴51a及び回転止穴52aの少なくとも一方において、同心円状に複数の環状リブ部が設けられてもよい。
【0061】
ここでは、環状リブ部33、34は、円形突起状に形成されている。環状リブ部は、長円形状突起状或いは多角形突起状に形成されてもよい。環状リブ部33、34は、突出方向先端側に向う程細幅に形成されていることが好ましい。
【0062】
内側成形部30をインサート物として外側成形部40が金型成形される際、加熱によって溶融した樹脂が上記環状リブ部33、34、特に、その先端部を溶かす。これにより、内側成形部30のうち環状リブ部33、34の先端部と外側成形部40とが溶け合って一体となった部分が形成され易い。これにより、環状リブ部33、34が形成された部分、即ち、位置決め穴51a及び回転止穴52aの周囲において、内側成形部30と外側成形部40との境界がより有効に止水される。
【0063】
特に、環状リブ部33、34の先端部が細幅であれば、環状リブ部33、34の先端部が外側成形部40に溶け込み易い。よって、内側成形部30と外側成形部40との境界において、環状リブ部33、34に沿ってより完全な止水がなされる。かかる環状リブ部33、34は、メルトリブと呼ばれることもある。環状リブ部33、34と外側成形部40とが溶け合いやすいように、内側成形部30と外側成形部40とは同材料によって形成されることが好ましい。
【0064】
図6は内側成形部30を位置決めピン70、72によって位置決めした状態を示す説明図である。
図6において外側成形部40が二点鎖線で示される。
図7は外側成形部40を成形する金型80内における溶融樹脂の状態を示す説明図である。なお、
図6以下では、内側成形部30が簡略化して描かれている。
【0065】
内側成形部30をインサート物として外側成形部40を金型成形する際、金型80内において、位置決めピン70、72によって内側成形部30が位置決めされる。位置決めピン70は、位置決め穴51aに挿入される。位置決めピン70は、位置決め穴51aの内周面形状に対応する形状、ここでは、丸棒状に形成される。位置決めピン72は、回転止穴52aの内周面形状に対応する形状、ここでは、一方の対角線が他方の対角線よりも長いひし形断面を呈する棒状に形成される。
【0066】
位置決めピン72が金型80内の金型空間82において下方から突出して設けられる。位置決めピン70が金型空間82内において、上方から突出して設けられる。好ましくは、位置決めピン70と位置決めピン72とは対向する。
【0067】
位置決めピン72の先端部が回転止穴52aに嵌め込まれる。位置決めピン70の先端部が位置決め穴51aに嵌め込まれる。これにより、位置決めピン70、72の先端部の間に内側成形部30が挟込まれた状態となり、内側成形部30が上下方向において一定位置に位置決めされる。また、位置決めピン70、72の先端部が位置決め穴51a又は回転止穴52aに嵌まり込むため、位置決めピン70、72の延在方向に直交する方向において一定位置に内側成形部30が位置決めされる。さらに、非円形棒状である位置決めピン72が対応する非円形穴状である回転止穴52aに嵌まり込むため、位置決めピン70、72の軸周りに、内側成形部30が回転することが規制される。
【0068】
この状態で、金型空間82内に、外側成形部40を形成するための溶融樹脂が注入される。金型空間82は、外側成形部40の延在方向に沿って長い空間である。溶融樹脂を金型空間82内に注入するための注入口83は、金型空間82の延在方向において一端寄りの位置に設けられる。注入口83を介して注入された溶融樹脂は、金型空間82の延在方向に沿ってその他端側に向けて流れる。
【0069】
内側成形部30の外側であって金型空間82内には、上記位置決めピン70、72が存在している。このため、溶融樹脂が金型空間82内を流れる際、上記位置決めピン70、72の周りを通る。
【0070】
溶融樹脂が位置決めピン72に達する際において、位置決めピン72は第1方向F1に沿って一方から他方に向かうにつれて徐々に幅広となる形状に形成されているため、溶融樹脂が位置決めピン72の両側に分かれるように円滑に流れる。位置決めピン72が第1方向F1に沿って一方から他方に向かう途中から他方に向かうにつれて徐々に幅狭となる。このため、溶融樹脂は位置決めピン72の後ろに円滑に流れ込む。このため、溶融樹脂は、位置決めピン72の周りに円滑に回り込むことができ、溶融樹脂が金型空間82内、特に、位置決めピン72の周りに円滑に充填される。また、これにより、環状リブ部34をうまく溶かして外側成形部40に溶け込むことが期待でき、環状リブ部34による止水性向上を期待できる。
【0071】
また、溶融樹脂が流れ込む第1方向F1において、金型空間82における位置決めピン72の投影面積が小さいため、溶融樹脂が金型空間82を流れる際において、位置決めピン72による流れの抵抗を小さくできる。
【0072】
溶融樹脂が冷却されて固化した後、内側成形部30及び外側成形部40が金型80から取出されることで、複合成形部品10が製造される。複合成形部品10には、位置決めピン70の跡が第1穴51として形成され、位置決めピン72の跡が第2穴52として形成される。
【0073】
以上のように構成された複合成形部品10によると、回転止穴52aの内周面の少なくとも一部は非円形形状であるため、位置決めピン72が非円形内周面に嵌り込むことによって、内側成形部30の回転止めを行うことができる。これにより、内側成形部30の周りに外側成形部40を金型成形する際に、内側成形部30を位置決めするための位置決めピンの数をなるべく減らすことができる。位置決めピンの数を減らすことができれば、内側成形部30と外側成形部40との境界が外部空間に露出する箇所を減らすことができる。これにより、内側成形部30と外側成形部40との間に水が浸入する箇所を減らすことができ、内側成形部30内の止水性を高めることができる。
【0074】
また、貫通孔52bは位置決めピン72の跡として残る部分である。貫通孔52b、即ち、位置決めピン72が、第1方向F1に沿って一方から他方に向かうに連れて徐々に幅広となり、その途中で、他方に向かうにつれて徐々に幅狭となる形状であれば、溶融樹脂が位置決めピン72の周りを円滑に流れてその後方に回り込むことができる。これにより、溶融樹脂が外側成形部40を形成するための金型空間82内を円滑に充填される。また、回転止穴52aの周りの環状リブ部34を円滑に溶かして外側成形部40に溶かし込むことができ、この点からも止水性が向上する。
【0075】
また、貫通孔52b、即ち、位置決めピン72の第1方向F1における最大寸法L1が、第2方向F2における最大寸法L2よりも大きい形状であれば、溶融樹脂が流れる際において、位置決めピン72の投影面積が小さくなる。この点からも、溶融樹脂が位置決めピン72の周りを円滑に流れることができる。
【0076】
外側成形部40が一方向に長い形状である場合、外側成形部40を形成するための溶融樹脂は、その長手方向に沿って流れることが想定される。このため、第1方向F1が外側成形部40の長手方向に沿った方向であれば、溶融樹脂が位置決めピン72の周りを円滑に流れることができる。
【0077】
また、回転止穴52aと貫通孔52bとの境界で、同じ内周面形状が連続していれば、位置決めピン72のうち対応する部分も、同じ外周面形状が連続する形状とすることができる。これにより、位置決めピン72の形状を単純化でき、製造コスト低減、型抜きの容易性が可能となる。
【0078】
また、外側成形部40の表面から内側成形部30内に達する第1穴51が形成され、その反対側に、外側成形部40の表面から内側成形部30内に達する第2穴52が形成される。これにより、第1穴51及び第2穴52に挿入される位置決めピン70、72の軸方向及びこれに直交する方向において、内側成形部30の位置決めがなされる。また、第1穴51の奥側部分及び第2穴52の奥側部分の少なくとも一方が、回転止穴52aとされることで、少ない位置決めピン70、72によって、内側成形部30の回転止めがなされる。
【0079】
複合成形部品10の大きさ、形状複雑さ等に応じて、他の位置決めピンが設けられてもよい。
【0080】
また、下側の第2穴52の奥側部分が回転止穴52aであれば、内側成形部30を位置決めピン72に置くようにして、位置決めピン72の先端部を回転止穴52aに挿入するとよい。これにより、内側成形部30を金型80にセットする初期段階で、内側成形部30を所定の姿勢にセットできる。
【0081】
また、内側成形部30が電気部品20を覆っている場合、当該電気部品20が有効に止水される点で有効である。
【0082】
上記回転止穴52a及び貫通孔52b、さらに、それらの対応する部分に配置される位置決めピン72の変形例について説明する。
【0083】
図8に示すように、回転止穴52a、貫通孔52b及び位置決めピン72に対応する回転止穴152a、貫通孔152b及び位置決めピン172は、角部が丸められたひし形であってもよい。すなわち、ひし形には、角が尖っているひし形だけでは無く、角が丸められたひし形を含む。
【0084】
図9に示すように、回転止穴52a、貫通孔52b及び位置決めピン72に対応する回転止穴252a、貫通孔252b及び位置決めピン272は、楕円形状であってもよい。この場合、長軸方向が上記第1方向F1に沿うように設けられるとよい。
【0085】
また、
図10に示すように、回転止穴52a、貫通孔52b及び位置決めピン72に対応する回転止穴352a、貫通孔352b及び位置決めピン372は、滴形状であってもよい。滴形状とは、液体が滴り落ちるときの形状であり、一方側が半円弧状をなし他方側が尖る角をなす形状である。滴形状は、半円弧状の中央部から他方側の角に向かう方向の寸法が、当該方向に直交する方向よりも長くてもよい。また、その長手方向が第1方向F1に沿っていてもよい。
【0086】
これらの変形例によっても、位置決めピン172、272、372によって内側成形部30の回転止めを行うことができる。また、溶融樹脂が位置決めピン172、272、372の周りに円滑に流れ込むことができる。
【0087】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。例えば、上下の第1穴と第2穴52との両方が非円形回転穴とされ、それぞれが上記実施形態、変形例で示されたように、互いに異なる非円形回転穴に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0088】
10 複合成形部品
20 電気部品(センサ素子)
22 素子本体部
24 リード部
30 内側成形部
33、34 環状リブ部
35 素子収容部
36 リード部収容部
37 底板部
38 仕切部
40 外側成形部
51 第1穴
51a 位置決め穴
51b 貫通孔
52 第2穴
52a、152a、252a、352a 回転止穴
52a1 内周面
52a2 底面
52b、152b、252b、352b 貫通孔
60 ケーブル
61 外部被覆
62 電線
70、72、172、272、372 位置決めピン
80 金型
82 金型空間
83 注入口
F1 第1方向
F2 第2方向
L1、L2 最大寸法
d1、d2 深さ