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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】タイヤ管理システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
B65G1/137 G
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020152805
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022047082
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松野 来
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3166598(JP,U)
【文献】特開2000-062920(JP,A)
【文献】特開2007-254040(JP,A)
【文献】特開平11-106012(JP,A)
【文献】国際公開第2017/022657(WO,A1)
【文献】特開平10-310208(JP,A)
【文献】特表2020-507538(JP,A)
【文献】特開2003-118813(JP,A)
【文献】Bandenpallet.nl Voor de jaarlijkse autobandenwissel,[online],2018年11月23日,[2023年4月21日検索],インターネット,<URL:https://web.archive.org/web/20181123100531/http://bandenpallet.nl/nl/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 - 1/20
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つのタイヤセットを保管可能な保管スペースが複数設けられた倉庫における前記タイヤセットの保管状況を管理する管理装置と、
前記タイヤセットを出庫または入庫する作業者が使用する作業者端末と、
前記保管スペースそれぞれに設けられ、ONされた際に、視覚的または聴覚的な変化を発生させることで、前記作業者を対応する前記保管スペースに注目させる報知器と、
を備え、前記管理装置は、前記タイヤセットの出庫または入庫の作業を行う際、出庫または入庫の作業の対象となる前記保管スペースの前記倉庫内での住所を前記作業者端末に表示させるとともに、対象となる前記保管スペースに設けられた報知器をONし、
さらに、
前記タイヤセットを構成する4つのタイヤが、上下に重なった状態で載置されるパレットと、
底面に車輪を有する台車であって、前記パレットごと前記4つのタイヤが載置され、緊縛固定される台車と、
を備え、
前記タイヤセットは、前記パレットに載置された状態で、前記保管スペースに保管され、
前記タイヤセットは、前記パレットごと、前記台車に載置され、かつ、緊縛固定された状態で運搬車両へ荷積みされ、運搬される、
ことを特徴とするタイヤ管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のタイヤ管理システムであって、
前記管理装置は、対象となる前記保管スペースから前記タイヤセットが取り出される、または、対象となる前記保管スペースに前記タイヤセットが収容されれば、前記保管スペースに設けられた報知器をOFFする、ことを特徴とするタイヤ管理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のタイヤ管理システムであって、さらに、
前記保管スペースそれぞれに設けられ、前記保管スペースにおける前記タイヤセットの有無を検知するタイヤセンサを備え、
前記管理装置は、前記タイヤセンサでの検知結果に基づいて、前記タイヤセットの出庫および入庫の作業の進捗を管理する、ことを特徴とするタイヤ管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載のタイヤ管理システムであって、
前記管理装置は、出庫および入庫の作業の対象となっていない前記保管スペースに設けられた前記タイヤセンサにおいて、前記タイヤセットの有無の検知結果の切り替わりが発生した場合、アラームを出力する、ことを特徴とするタイヤ管理システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のタイヤ管理システムであって、さらに、
前記保管スペースそれぞれに設けられ、前記保管スペースに保管された前記タイヤセットに付された識別子を読み込み、読み込み結果を前記管理装置に送信する、識別子リーダを備える、ことを特徴とするタイヤ管理システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のタイヤ管理システムであって、
前記管理装置は、外部から送信される前記タイヤセットの受け取り予約または預け入れ予約を記録した予約データベースと、前記倉庫における前記タイヤセットの配置を記録した倉庫データベースと、を有しており、
前記管理装置は、前記作業者端末から作業開始指示を受けた場合に、前記予約データベースおよび前記倉庫データベースに基づいて、出庫および入庫する前記タイヤセットの前記倉庫内での所在を特定する、
ことを特徴とするタイヤ管理システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のタイヤ管理システムであって、
前記管理装置は、前記作業者端末に、前記保管スペースの配置をイメージしたレイアウト画像を表示させ、
前記レイアウト画像は、前記保管スペースに対応するセルが、前記保管スペースの現実のレイアウトに対応する配置で、二次元的に並んだ画像であり、
前記セルには、前記保管スペースの住所を示す数値が付されるとともに、対応する前記保管スペースの状態および作業内容に応じて異なる色が付されている、
ことを特徴とするタイヤ管理システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のタイヤ管理システムであって、
複数の前記保管スペースは、前記倉庫内において、垂直方向に2段以上重なって並んでおり、
前記管理装置は、前記タイヤセットのサイズに応じて、前記タイヤセットを保管する前記保管スペースの段数を決定しており
1段目の前記保管スペースに保管される前記タイヤセットは、前記台車から取り外されることなく、前記台車に固定された状態のまま、前記保管スペースに保管される、
ことを特徴とするタイヤ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、顧客から預かって倉庫内で一時保管するタイヤセットを管理するタイヤ管理システムを開示する。
【背景技術】
【0002】
自動車では、より安全で快適な走行を可能にするために、季節等に応じて、タイヤを交換することがある。例えば、春季から秋季にかけては、標準タイヤを使用し、冬季には積雪道路用のタイヤに交換する。交換のため、自動車から取り外された4つのタイヤ(以下「タイヤセット」と呼ぶ)は、次に使用するタイミングまで保管する必要があるが、ユーザによってはタイヤの保管スペースを確保することが困難な場合がある。そこで、自動車から取り外されたタイヤセットを、次に必要となるタイミングまで、預かって保管するタイヤ預かりサービスが知られている。かかるタイヤ預かりサービスでは、専用の倉庫内に、複数のタイヤセットを保管する。
【0003】
こうした倉庫内でのタイヤセットの保管状況を管理するために、タイヤセットの識別情報と、当該タイヤセットが収容される倉庫内での住所と、を紐づけて管理するタイヤ管理システムがある。一つのタイヤセットを倉庫から出庫する必要がある場合、タイヤ管理システムは、当該タイヤセットの倉庫内での住所を特定し、作業者に通知する。作業者は、通知された住所まで移動し、当該タイヤセットを発見し、出庫する。また、一つのタイヤセットを倉庫に入庫する必要がある場合、タイヤ管理システムは、当該タイヤセットを収容すべき倉庫内での住所を特定し、作業者に通知する。作業者は、通知された住所まで当該タイヤセットを搬送し、指定された住所に当該タイヤセットを収容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-250162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、通常、倉庫は、広大であることが多く、タイヤ管理システムから通知された住所だけを頼りにタイヤセットの保管場所を探した場合、時間がかかったり、間違いが生じたりしていた。
【0006】
ここで、特許文献1には、倉庫内における在庫状況を効率よく管理するための管理システムが開示されている。この管理システムでは、倉庫内の在庫品の保管場所を、当該保管場所の在庫品の段積み数に応じて色分け表示された平面図状のロケーション画像に変換して、表示する。かかる特許文献1の技術を、タイヤ預かりサービスに適用し、タイヤセットの位置を平面図状のロケーション画像として表示すれば、作業者は、タイヤセットの位置を視覚的に認識でき、タイヤセットを発見するための作業者の負担をある程度、軽減できる。
【0007】
しかし、特許文献1の技術の場合、作業者は、必要な在庫品を発見するために、表示装置に表示されたロケーション画像と、倉庫の現実のレイアウトと、を見比べる必要があった。そのため、特許文献1の技術でも、タイヤセットを発見するための作業者の負担を大幅に低減することは難しかった。特に、表示装置が特定の位置に固定されている場合、作業者は、頭の中に記憶したロケーション画像と、倉庫の現実のレイアウトと、を比較しながら探す必要があり、間違いも発生しやすかった。
【0008】
そこで、本明細書では、タイヤセットの出庫または入庫の作業を、より正確かつ簡易化できるタイヤ管理システムを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で開示するタイヤ管理システムは、一つのタイヤセットを保管可能な保管スペースが複数設けられた倉庫における前記タイヤセットの保管状況を管理する管理装置と、前記タイヤセットを出庫または入庫する作業者が使用する作業者端末と、前記保管スペースそれぞれに設けられ、ONされた際に、視覚的または聴覚的な変化を発生させることで、前記作業者を対応する前記保管スペースに注目させる報知器と、を備え、前記管理装置は、前記タイヤセットの出庫または入庫の作業を行う際、出庫または入庫の作業の対象となる前記保管スペースの前記倉庫内での住所を前記作業者端末に表示させるとともに、対象となる前記保管スペースに設けられた報知器をONする、ことを特徴とする。
【0010】
対象となる保管スペースの報知器をONすることで、作業者は、表示器に表示されたレイアウト図と現実のレイアウトとを比較しなくても、対象となる保管スペースを容易に発見できる。その結果、タイヤセットの出庫または入庫の作業を、より正確かつ簡易化できる。
【0011】
この場合、前記管理装置は、対象となる前記保管スペースから前記タイヤセットが取り出される、または、対象となる前記保管スペースに前記タイヤセットが収容されれば、前記保管スペースに設けられた報知器をOFFしてもよい。
【0012】
かかる構成とすることで、作業が完了した保管スペースと、作業完了前の保管スペースと、が明確に区別できる。そして、これにより、作業者が、不必要な作業を無駄に行うことを効果的に防止できる。
【0013】
さらに、前記保管スペースそれぞれに設けられ、前記保管スペースにおける前記タイヤセットの有無を検知するタイヤセンサを備え、前記管理装置は、前記タイヤセンサでの検知結果に基づいて、前記タイヤセットの出庫および入庫の作業の進捗を管理してもよい。
【0014】
かかる構成とすることで、管理装置において、出庫および入庫の作業の進捗を、正確かつ迅速に把握できる。
【0015】
また、前記管理装置は、出庫および入庫の作業の対象となっていない前記保管スペースに設けられた前記タイヤセンサにおいて、前記タイヤセットの有無の検知結果の切り替わりが発生した場合、アラームを出力してもよい。
【0016】
かかる構成とすることで、タイヤセットの取り間違いを効果的に防止できる。
【0017】
さらに、前記保管スペースそれぞれに設けられ、前記保管スペースに保管された前記タイヤセットに付された識別子を読み込み、読み込み結果を前記管理装置に送信する、識別子リーダを備えてもよい。
【0018】
かかる構成とすることで、タイヤセットの取り間違いを効果的に防止できる。
【0019】
また、前記管理装置は、外部から送信される前記タイヤセットの受け取り予約または預け入れ予約を記録した予約データベースと、前記倉庫における前記タイヤセットの配置を記録した倉庫データベースと、を有しており、前記管理装置は、前記作業者端末から作業開始指示を受けた場合に、前記予約データベースおよび前記倉庫データベースに基づいて、出庫および入庫する前記タイヤセットの前記倉庫内での所在を特定してもよい。
【0020】
かかる構成とすることで、作業者は、必要な作業内容を、簡易かつ正確に特定できる。
【0021】
また、さらに、前記タイヤセットを構成する4つのタイヤが、上下に重なった状態で載置されるパレットと、底面に車輪を有する台車であって、前記パレットごと前記4つのタイヤが載置され、固定される台車と、を備え、前記タイヤセットは、前記パレットに載置された状態で、前記保管スペースに保管され、前記台車に載置かつ固定された状態で移送されてもよい。
【0022】
移送の際、タイヤセットを、台車に載置することで、タイヤセットを容易に移送できる。また、タイヤセットを、台車に固定することで、タイヤセットを構成する4つのタイヤが分離することが防止でき、一つのタイヤセットのタイヤが、他のタイヤセットに混入することを防止できる。また、タイヤセットをパレットに載置することで、タイヤセットを構成する4つのタイヤを積み重ねた状態を維持したまま、タイヤセットを、保管スペースに出し入れできる。
【0023】
また、複数の前記保管スペースは、前記倉庫内において、垂直方向に2段以上重なって並んでおり、前記管理装置は、前記タイヤセットのサイズに応じて、前記タイヤセットを保管する前記保管スペースの段数を決定してもよい。
【0024】
かかる構成とすることで、作業の対象のタイヤセットをより迅速に発見できる。
【発明の効果】
【0025】
本明細書で開示する技術によれば、タイヤセットの出庫または入庫の作業を、より正確かつ簡易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】タイヤ管理システムが利用されるタイヤ預かりサービスの概要を示すイメージ図である。
図2】タイヤ管理システムの制御系の構成を示すブロック図である。
図3】倉庫の模式図である。
図4】タイヤセットの保管の様子を示すイメージ図である。
図5A】パレットの斜視図である。
図5B】台車の斜視図である。
図6】識別タグの一例を示す図である。
図7】予約DBの一例を示す図である。
図8】倉庫DBの一例を示す図である。
図9】予約カレンダーの一例を示す図である。
図10】配達スケジュールの一例を示す図である。
図11】作業確認画面の一例を示す図である。
図12】マップ表示画面の一例を示す図である。
図13】タイヤセットの取り出しおよび収容作業における管理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図14】タイヤ預かりサービス全体の流れを示す図である。
図15】タイヤ預かりサービス全体の流れを示す図である。
図16】他のタイヤ管理システムの制御系の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照してタイヤ管理システム10の構成について説明する。図1は、タイヤ管理システム10が利用されるタイヤ預かりサービスの概要を示すイメージ図である。
【0028】
安全で快適な走行のために、自動車のタイヤは、季節などにより交換される。例えば、自動車のタイヤは、春季から秋季の間は、標準的なタイヤが使用され、冬季になれば、積雪路面用のタイヤに交換される。タイヤ預かりサービスは、自動車から取り外された4つのタイヤ、すなわちタイヤセット100を顧客110から預かり、倉庫14内に保管するサービスである。
【0029】
かかるサービスにおいて、タイヤ交換作業は、特定の店舗120が請け負う。そのため、顧客110は、店舗120にタイヤ交換を依頼する。タイヤ交換の依頼を受けた場合、店舗120は、倉庫14に預けている顧客110のタイヤセット100の受け取りをタイヤ管理システム10に依頼する。タイヤ管理システム10は、倉庫14に保管されている顧客110のタイヤセット100を特定する。特定されたタイヤセット100は、倉庫14から出庫され、店舗120に配達される。
【0030】
店舗120は、受け取ったタイヤセット100を用いて、タイヤ交換を実施する。タイヤ交換の後、店舗120は、自動車から取り外されたタイヤセット100の預け入れを、タイヤ管理システム10に依頼する。この依頼により、自動車から取り外されたタイヤセット100は、倉庫14に配達される。また、タイヤ管理システム10は、当該タイヤセット100の倉庫14内での保管位置を特定したうえで、配達されたタイヤセット100を、特定された保管位置に保管する。
【0031】
ここで、タイヤ管理システム10は、図1に示すように、複数のタイヤセット100が保管される倉庫14と、当該倉庫14に設けられた作業者端末16と、倉庫14におけるタイヤセット100の保管状況を管理する管理装置12と、を有している。このタイヤ管理システム10の構成について図2図3を参照してより詳細に説明する。図2は、タイヤ管理システム10の制御系の構成を示すブロック図であり、図3は、倉庫14の模式図である。
【0032】
タイヤ管理システム10は、管理装置12と、作業者端末16と、報知器22と、タイヤセンサ24と、を有している。管理装置12は、倉庫14におけるタイヤセット100の保管状況を管理するとともに、必要に応じて、各種スケジュールや作業目録を生成する。この管理装置12は、物理的には、プロセッサ12aとメモリ12bと通信I/F12cとを有したコンピュータである。この「コンピュータ」には、コンピュータシステムを一つの集積回路に組み込んだマイクロコントローラも含まれる。また、プロセッサ12aとは、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。また、以下に述べるプロセッサ12aの動作は、1つのプロセッサによって成されるのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサの協働により成されるものであってもよい。同様に、メモリ12bも、物理的に一つの要素である必要はなく、物理的に離れた位置に存在する複数のメモリで構成されてもよい。また、メモリ12bは、半導体メモリ(例えばRAM、ROM、ソリッドステートドライブ等)および磁気ディスク(例えば、ハードディスクドライブ等)の少なくとも一つを含んでもよい。通信I/F12cは、管理装置12の外部に設けられた機器との間で情報を授受する。具体的には、管理装置12は、通信I/F12cを介して、受付端末122(図1参照)から、タイヤセット100の受け取り予約および預け入れ予約を受信する。また、管理装置12は、通信I/F12cを介して作業者端末16、保管スペース20の報知器22およびタイヤセンサ24と通信する。
【0033】
作業者端末16は、倉庫14内に設置され、作業者が使用可能な情報端末である。作業者は、この作業者端末16を操作して、後述する配達スケジュール46および作業目録を取得し、これらに従い、各種作業を行う。この作業者端末16は、物理的には、プロセッサ16aと、メモリ16bと、通信I/F16cと、表示器16dと、入力装置16eと、を有したコンピュータである。ここで、以下に述べるプロセッサ16aの動作は、1つのプロセッサによって成されるのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成されるものであってもよい。同様にメモリ16bも、物理的に一つの要素である必要はなく、物理的に離れた位置に存在する複数のメモリで構成されてもよい。また、メモリ16bは、半導体メモリ(例えばRAM、ROM、ソリッドステートドライブ等)および磁気ディスク(例えば、ハードディスクドライブ等)の少なくとも一つを含んでもよい。通信I/F16cは、作業者端末16の外部に設けられた機器、例えば、管理装置12との間で情報を授受する。
【0034】
表示器16dは、各種情報を表示するもので、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成される。入力装置16eは、作業者の操作入力を受け付けるもので、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイク、ジョイスティックの少なくとも一つを含む。本例では、表示器16dは、倉庫14内の所定位置に設置され、入力装置16eは、表示器16dの近傍に配置されている。ただし、こうした表示器16dおよび入力装置16eは、作業者が、持ち運び可能な可搬型としてもよい。また、作業者が複数人、存在する場合、当該複数の作業者が並行して表示器16dを閲覧したり入力装置16eを操作したりできるように、表示器16dおよび入力装置は16eは、作業者一人につき一つずつ、設けてもよい。なお、図1図2では、作業者端末16を、管理装置12と異なる装置として図示しているが、作業者端末16は、管理装置12と同一のコンピュータであってもよい。
【0035】
後述するように、倉庫14には、複数の保管スペース20が設けられており、一つの保管スペース20には、一つのタイヤセット100が収容される。各保管スペース20には、報知器22およびタイヤセンサ24が設けられている。報知器22は、保管スペース20の位置を作業者に報知する。タイヤセンサ24は、保管スペース20におけるタイヤセット100の有無を検知する。この報知器22およびタイヤセンサ24の具体的な構成は、後述する。こうした報知器22およびタイヤセンサ24は、いずれも、管理装置12に直接、または、データ中継器を介して間接的に接続される。管理装置12は、タイヤセット100の出庫または入庫の作業状況に応じて、対応する報知器22をONする。また、管理装置12は、タイヤセンサ24での検知結果を受信し、これにより、出庫および入庫作業の進捗を判断する。
【0036】
次に、倉庫14におけるタイヤセット100の保管の様子について図3を参照して説明する。図3に示すように、倉庫14には、複数の棚15が設けられており、各棚15は、複数の保管スペース20を有する。一つの保管スペース20には、一つのタイヤセット100が収容される。保管スペース20は、図3に示すように、水平方向および垂直方向の2方向にマトリックス状に並んでいる。本例では、保管スペース20は、垂直方向に、3段重なっている。
【0037】
各保管スペース20には、住所が付与されている。管理装置12は、この保管スペース20の住所と、当該保管スペース20に保管されるタイヤセット100と、を対応付けて記憶している。また、各保管スペース20には、住所プレート26と、報知器22と、タイヤセンサ24と、が設けられている。住所プレート26は、対応する保管スペース20の住所が記載されたプレートで、外部から視認しやすい箇所に配置されている。
【0038】
報知器22は、ONされることで、視覚的または聴覚的な変化を発生させ、これにより当該報知器22が設けられた保管スペース20に作業者を注目させるものである。かかる報知器22は、例えば、ランプやディスプレイ、スピーカー、ブザー等で構成される。本例では、報知器22として、ONされることで点灯し、OFFされることで消灯するランプを採用している。後に詳説するように、管理装置12は、タイヤセット100の出庫作業の際、当該出庫対象のタイヤセット100に対応する報知器22をONする。これにより、作業者は、出庫対象のタイヤセット100の位置を容易に認識できる。
【0039】
タイヤセンサ24は、保管スペース20におけるタイヤセット100の有無を検知するセンサである。かかるタイヤセンサ24は、例えば、物体の重量を検知する重量センサや、物体との接触の有無を検知する接触センサ、物体の有無を光学的に検知する光学式物体センサ、超音波により物体の有無を検知する超音波センサ等で構成される。ところで、こうしたセンサを利用して物体の有無を検知する際、当該物体のサイズや形状、重量のばらつきが大きいと、センサの位置や感度の設定が難しくなり、物体の有無を正確に検知できない。しかし、本例では、センサでの検知対象は、タイヤセット100だけであり、そのサイズ、形状、重量のばらつきは、一定の範囲に収まっている。したがって、本例によれば、センサの位置や感度を特別に調整しなくても、タイヤセット100の有無を容易に検知できる。なお、以下では、タイヤセンサ24で、タイヤセット100の存在が検知された状態を「存在状態」と呼び、タイヤセット100の存在が検知されない状態を「不在状態」と呼ぶ。
【0040】
管理装置12は、このタイヤセンサ24での検知結果に基づいて、タイヤセット100の出庫および入庫の作業の進捗を判断する。具体的には、存在状態から不在状態に切り替わった場合、管理装置12は、対応する保管スペース20からタイヤセット100が取り出されたと判断する。また、不在状態から存在状態に切り替わった場合、管理装置12は、対応する保管スペース20に、タイヤセット100が収容されたと判断する。
【0041】
ここで、図3では、タイヤセット100は、保管スペース20に直接載置しているように図示しているが、実際には、タイヤセット100は、パレット30に載置した状態で保管スペース20に収容され、台車32に載置して移送される。これについて、図4図5A図5Bを参照して説明する。図4は、タイヤセット100の保管の様子を示すイメージ図である。また、図5Aは、タイヤセット100の保管に利用されるパレット30の斜視図であり、図5Bは、タイヤセット100の移送に利用される台車32の斜視図である。
【0042】
図4に示すように、タイヤセット100を構成する四つのタイヤは、上下に重ねた状態でパレット30に載置された状態で、保管スペース20に収容される。パレット30は、図5Aに示すように、タイヤが載置されるベースプレート30aと、当該ベースプレート30aの四隅から下方に突出する脚部30bと、を有する。脚部30bの高さは、後述するリフター34のフォーク34aの厚みより大きくなっている。そのため、パレット30を所定の床面に載置した際、ベースプレート30aと床面との間には、フォーク34aを差し込み可能な隙間が形成される。そして、かかるパレット30にタイヤセット100を載置することで、タイヤセット100の保管スペース20への収容および保管スペース20からの取り出しを、リフター34を用いて行うことができる。
【0043】
リフター34は、物品を昇降する際に用いられる機器である。このリフター34は、その上面に物品を載置可能であり、駆動源(例えばモータや油圧シリンダ等)で昇降するフォーク34aを有している。2段目以上の保管スペース20にタイヤセット100を収容する際、あるいは、当該保管スペース20からタイヤセット100を取り出す際、作業者は、リフター34のフォーク34aに、パレット30ごとタイヤセット100を載置し、タイヤセット100を昇降させる。このように、タイヤセット100の収容および取り出しを、リフター34を利用して行うことで、作業者の負担を大幅に軽減できる。
【0044】
保管スペース20から取り出されたタイヤセット100は、パレット30ごと台車32に載置され、当該台車32により移送される。台車32は、図5Bに示すように、ベースプレート32aと、当該ベースプレート32aの底面に取り付けられたキャスター32b,32cと、タイヤセット100を台車32に固定する固定ベルト32dと、を有している。なお、キャスターは、ベースプレート32aの四隅に配置された自在キャスター32bと、ベースプレート32aの中央にプレート32eを介して取り付けられた固定キャスター32cと、に大別される。固定ベルト32dは、ベースプレート32aの底面から左右両側に延びており、ベースプレート32aに載置されたタイヤセット100を緊縛固定する。
【0045】
ここで、タイヤセット100は、保管スペース20から取り出された後は、店舗120まで輸送される。すなわち、タイヤセット100は、保管スペース20から運搬車両へ移送され、運搬車両へ荷積みされ、運搬車両により店舗120へ輸送され、運搬車両から荷下ろしされ、運搬車両から作業場所まで移送される。タイヤセット100を預け入れる際には、これとは逆の流れとなる。このように、保管スペース20から、店舗120の作業場所までの移送中、タイヤセット100は、台車32に固定された状態を維持する。かかる構成とすることで、タイヤセット100の移送を容易に行うことができる。また、タイヤセット100を構成する四つのタイヤの分離が確実に防止されるため、一つのタイヤセット100のタイヤが、別のタイヤセット100に混ざるといった問題を効果的に防止できる。なお、1段目の保管スペース20に保管されるタイヤセット100は、リフター34を利用する必要がないため、図4に示すように、台車32から取り外されることなく、台車32に固定された状態のまま、保管スペース20に保管される。
【0046】
なお、タイヤセット100の保管位置は、管理装置12により決定されるが、管理装置12は、タイヤセット100の保管位置を、店舗120およびタイヤサイズの少なくとも一方に基づいて決定してもよい。例えば、後述する図12の例では、タイヤセット100は、当該タイヤセット100の預け入れを予約した店舗120ごとに分けて保管されている。かかる構成とすることで、作業者は、出庫または入庫するタイヤセット100の位置を迅速に把握できる。また、上述した通り、本例では、保管スペース20は上下に三段並んでいる。管理装置12は、タイヤセット100のサイズに応じて、当該タイヤセット100を保管する保管スペース20の段数を決定してもよい。例えば、第一範囲に属するサイズのタイヤセット100は、一段目の保管スペース20に保管し、第一範囲よりも小さい第二範囲に属するサイズのタイヤセット100は、二段目の保管スペース20に保管し、第二範囲よりも小さい第三範囲に属するサイズのタイヤセット100は、三段目の保管スペース20に保管してもよい。ここで、大サイズのタイヤセット100は、重量が大きいため、リフター34を用いたとしても、その取り出しにおける作業者の負担が大きかった。かかる大サイズのタイヤセット100を一段目の保管スペース20に保管することで、大サイズのタイヤセット100の取り出しの負担を軽減できる。また、大サイズのタイヤセット100を一段目、中サイズのタイヤセット100を二段目、小サイズのタイヤセット100を三段目に振り分けることで保管スペースの高さを低くすることができ、取り出しの負担軽減と、保管スペースの効率が向上する。
【0047】
ところで、上述したとおり、本例では、タイヤセット100を構成する四つのタイヤは、互いに上下に重ねた状態を維持したまま取り扱われ、他のタイヤセット100に誤混入する恐れは少ない。しかし、万一に備え、図4に示すように、各タイヤには、当該タイヤの識別情報を記載した識別タグ28が貼付されている。
【0048】
図6は、この識別タグ28の一例を示す図である。識別タグ28は、例えば、防水シートで構成され、粘着テープ等でタイヤに貼付される。本例における識別タグ28は、顧客110それぞれに対応して設けられている。この識別タグ28の表面28aには、顧客110が所有する夏用のタイヤセット100に関する情報が、裏面28bには、顧客110が所有する冬用のタイヤセット100に関する情報が、それぞれ記載されている。タイヤセット100に関する情報としては、少なくとも、顧客110のIDと、当該タイヤセット100が収容される保管スペース20の住所と、が含まれる。図6の例では、さらに、タイヤセット100の種別(すなわち、夏タイヤまたは冬タイヤ)、タイヤセット100の交換作業を行う店舗120の名称、タイヤセット100のサイズ、タイヤセット100の製造メーカが、識別タグ28に記載されている。店舗120の作業者は、顧客110の自動車からタイヤを取り外した場合、当該タイヤに、この識別タグ28を貼付したうえで、当該タイヤを倉庫14に送る。倉庫14の作業者は、出庫または入庫の作業の際、必要に応じて、この識別タグ28を視認して、各タイヤセット100を識別する。
【0049】
次に、こうしたタイヤセット100の管理の形態について説明する。タイヤセット100の管理のために、管理装置12のメモリ12bには、予約DB40と、倉庫DB42と、が記憶されている。
【0050】
図7は、予約DB40の一例を示す図である。店舗120は、必要に応じて、倉庫14に保管しているタイヤセット100の受け取りや、顧客110から預かったタイヤセット100の倉庫14への預け入れを、管理装置12に予約する。予約DB40は、こうした受け取り予約および預け入れ予約を記録したデータである。本例において、予約DB40は、受け取り予約を記録した受け取り予約データ40aと、預け入れ予約を記録した預け入れ予約データ40bと、を有している。受け取り予約データ40aおよび預け入れ予約データ40bは、いずれも、各予約ごとに、対応する日付、顧客ID、店舗名、および、タイヤ情報、を含む。ここで、日付は、タイヤセット100を店舗120で受け取る日付、または、預け入れるタイヤセット100を店舗120から発送する日付である。顧客IDは、受け取る、または、預け入れるタイヤセット100を所有する顧客110の識別コードである。店舗名は、予約を行った店舗120の名称である。タイヤ情報は、受け取る、または、預け入れるタイヤセット100の情報、例えば、タイヤサイズや製造メーカ名等である。管理装置12は、店舗120から、受け取り予約および預け入れ予約を受け付ける度に、当該予約DB40を更新する。
【0051】
図8は、倉庫DB42の一例を示す図である。倉庫DB42は、保管スペース20の住所と、当該保管スペース20に保管されているタイヤセット100の情報と、を対応付けて記録したものである。図8の例では、倉庫DB42は、住所と、状態と、顧客IDと、タイヤ情報と、を含む。ここで、「状態」とは、保管スペース20の現在の状態を示すもので、「保管状態」と「空き状態」と「予約状態」と、の中から選択される。保管状態は、保管スペース20にタイヤセット100が収容されている状態であり、空き状態は、保管スペース20に収容される予定のタイヤセット100が無い状態である。予約状態は、現在、保管スペース20にタイヤセット100が収容されていないものの、近い将来に、当該保管スペース20に収容されるタイヤセット100が確定している状態である。例えば、預け入れ予約を受け付けた場合、当該預け入れ予約に対応する保管スペース20は、「予約状態」になる。顧客IDは、保管スペース20に収容されている、または、収容予定のタイヤセット100を所有する顧客110の識別コードである。空き状態の場合、顧客IDには、Nullが記録される。タイヤ情報は、保管スペース20に収容されている、または、収容予定のタイヤセット100の情報、例えば、タイヤサイズや製造メーカ等である。空き状態の場合、タイヤ情報には、Nullが記録される。
【0052】
管理装置12は、こうした予約DB40および倉庫DB42を参照して、タイヤセット100の保管状況を管理する。具体的に説明すると、店舗120のスタッフは、タイヤセット100の受け取りや預け入れが必要になった場合、受付端末122を操作して、管理装置12に、予約を申し込む。この予約の際、受付端末122の表示画面には、図9に示すような、予約カレンダー44が表示される。予約カレンダー44は、受け取り予約および預け入れ予約の受付可否を、日付ごとに、かつ、店舗ごとに、示すカレンダーである。図9の例において、バツ印は、予約が受け付けできないことを示している。こうした予約カレンダー44は、受付端末122からのリクエストを受けて、管理装置12において生成される。すなわち、管理装置12は、予約DB40を参照して、現在の予約状況を確認し、予約カレンダー44を生成する。
【0053】
店舗120のスタッフは、この予約カレンダー44を参照して、タイヤセット100の受け取りまたは預け入れの予約を行う。申請された予約の情報は、受付端末122を介して、管理装置12に送られる。管理装置12は、受信した予約情報に基づいて、予約DB40を更新する。
【0054】
また、管理装置12は、作業者端末16を介して、作業者から要求があった場合、予約DB40に基づいて、配達スケジュール46を生成する。図10は、配達スケジュール46の一例を示す図である。配達スケジュール46は、店舗120から預かるタイヤセット100の個数、および、店舗120が受け取るタイヤセット100の個数を、日付ごと、かつ、店舗120ごとに記録したものである。運搬車両の運転手は、この配達スケジュール46に従い、各店舗を巡回し、必要なタイヤセット100の集荷、および、配達を行う。
【0055】
また、管理装置12は、作業者端末16を介して、作業者から、作業開始指示を受けた場合、予約DB40および倉庫DB42を参照して、作業目録を生成する。作業目録は、出庫および入庫するタイヤセット100の識別情報と、その倉庫内での所在と、を含むデータである。作業目録の内容は、作業者端末16に表示される。本例では、作業目録の内容は、作業確認画面48およびマップ表示画面50の二つの画面に分けて表示される。
【0056】
図11は、作業確認画面48の一例を示す図である。作業確認画面48は、作業日入力欄48a、総数表示欄48b、リスト表示欄48c、および、マップ表示ボタン48dを有している。作業日入力欄48aには、作業日が入力可能であり、作業日を入力することで、作業開始指示が管理装置12に送信される。総数表示欄48bには、入力された作業日に、出庫するタイヤセット100の総数、および、入庫するタイヤセット100の総数が、それぞれ、表示される。なお、以下では、出庫するタイヤセット100を「出庫セット100a」と呼び、入庫するタイヤセット100を「入庫セット100b」と呼ぶ。
【0057】
リスト表示欄48cには、出庫セット100aおよび入庫セット100bのリストが表示される。このリストでは、各タイヤセット100を所有する顧客110のIDと、タイヤセット100の倉庫内での住所と、が対応付けられている。マップ表示ボタン48dは、操作することで、表示器16dでの表示が、マップ表示画面50に切り替わる。
【0058】
図12は、マップ表示画面50の一例を示す図である。マップ表示画面50は、マップ表示欄50aと、確認画面表示ボタン50bと、を有している。確認画面表示ボタン50bは、操作されることで、表示器16dでの表示が、作業確認画面48に切り替わる。
【0059】
マップ表示欄50aには、保管スペース20の配置をイメージしたレイアウト画像が表示される。より具体的には、レイアウト画像では、保管スペース20に対応するセル51が、保管スペース20の現実のレイアウトに対応する配置で、二次元的に並んでいる。また、各セル51には、保管スペース20の住所を示す数値が付されている。さらに、各セル51には、対応する保管スペース20の状態および作業内容に応じて異なる色が付されている。図12の例では、グレーハッチングは、出庫セット100aが収容された保管スペース20を、斜めハッチングは、入庫セット100bが収容される保管スペース20を、黒塗りは、空き状態の保管スペース20を、クロスハッチングは、予約状態の保管スペース20を、それぞれ示している。表示器16dに、こうしたレイアウト画像を表示することで、作業者は、倉庫14内における出庫セット100aおよび入庫セット100bの位置を、視覚的に把握することができる。
【0060】
ただし、こうしたレイアウト画像を用いた場合でも、作業者は、作業対象の保管スペース20を発見するにあたって、表示されているレイアウトと、倉庫14の現実のレイアウトと、を比較し、確認する必要があり、時間がかかっていた。また、レイアウト画像が表示される表示器16dが特定の位置に固定されている場合、作業者は、頭に記憶したレイアウト画像と、現実のレイアウトと、を比較しながら探すことになるため、保管スペース20の選択間違いが発生するおそれもあった。
【0061】
そこで、本例では、作業者が、作業対象の保管スペース20をより迅速に発見するために、保管スペース20に報知器22を設けている。また、保管スペース20の選択間違いをより確実に防止するために、保管スペース20にタイヤセンサ24を設けている。以下、これについて詳説する。
【0062】
管理装置12は、作業者から作業開始指示を受けた場合、上述した作業目録の表示と並行して、出庫セット100aが収容されている保管スペース20の報知器22をONする。出庫セット100aが複数存在する場合には、これらに対応する複数の報知器22を全てONする。本例では、報知器22は、ランプであるため、管理装置12は、出庫セット100aに対応するランプを点灯させる。これにより、作業者は、レイアウト画像と現実のレイアウトとを比較しなくても、ランプの点灯状態を確認することで、出庫セット100aが保管されている保管スペース20を特定できる。その結果、作業者が出庫セット100aの発見に要する時間を大幅に低減できる。
【0063】
作業者が出庫セット100aを保管スペース20から取り出すと、タイヤセンサ24での検知結果が、「存在状態」から「不在状態」に切り替わる。管理装置12は、この切り替わりが発生すれば、対応する保管スペース20から出庫セット100aが取り出されたと判断し、当該保管スペース20に設けられた報知器22をOFFにする。また、管理装置12は、当該保管スペース20の状態が、「保管状態」から「空き状態」または「予約状態」になるように、倉庫DB42を更新する。
【0064】
このように、保管スペース20に、タイヤセット100の有無を検知するタイヤセンサ24を設けることで、タイヤセット100の保管スペース20からの取り出し作業の進捗を管理装置12が把握することができる。そして、これにより、倉庫DB42を、常に、正確な状態に保つことができる。
【0065】
また、本例では、保管スペース20から出庫セット100aが取り出されれば、報知器22をOFFしている。かかる構成とすることで、各作業者が、他の作業者による作業結果を、把握でき、無駄に保管スペース20を探すことを防止できる。例えば、報知器22が無く、作業目録に基づいて出庫セット100aを探す場合において、作業者が複数、いる場合を考える。この場合、一人の作業者が、ある出庫セット100aを発見し、取り出したものの、他の作業者は、そのことを知らず、当該出庫セット100aを探し続ける恐れがあった。一方、本例のように、出庫セット100aが取り出された際に対応する報知器22をOFFする構成とした場合、一人の作業者が発見して、出庫作業が完了した出庫セット100aを、別の作業者が無駄に探し続けることが無くなる。
【0066】
なお、入庫セット100bが収容される保管スペース20は、当該入庫セット100bが収容されるまでは、空いており、その存在が、分かりやすい。そのため、本例では、入庫セット100bに対応する報知器22は、ONしない。一方で、管理装置12は、タイヤセンサ24の検知結果に基づいて、入庫セット100bが対応する保管スペース20に収容されたか否かを監視し、収容された場合には、倉庫DB42を更新する。
【0067】
図13は、タイヤセット100の取り出しおよび収容作業における管理装置12の処理の流れを示すフローチャートである。図13に示すように、管理装置12は、作業者から作業開始指示が入力されれば(S10でYes)、作業目録を生成する(S12)。この作業目録は、上述した通り、予約DB40および倉庫DB42に基づいて生成される。続いて、管理装置12は、作業目録を反映した作業リストおよびレイアウト画像を、作業者端末16の表示器16dに表示させる(S14)。作業者は、この作業リストおよびレイアウト画像を参照して、作業の対象となる保管スペース20のおおよその位置や、出庫または入庫されるタイヤセット100の大まかな情報を把握する。
【0068】
続いて、管理装置12は、出庫セット100aに対応する報知器22を全てONする(S16)。これにより、作業者は、出庫セット100aの位置を正確に記憶していなくても、出庫セット100aの現実の位置を容易に把握できる。
【0069】
その後、管理装置12は、各保管スペース20に設けられたタイヤセンサ24の検知結果に基づいて、タイヤセット100の取り出し作業、および、収容作業の進捗を監視する(S18,S22)。具体的には、管理装置12は、出庫セット100aが取り出されたか否かを確認する(S18)。すなわち、管理装置12は、出庫セット100aが収容されている保管スペース20に設けられたタイヤセンサ24が、存在状態から不在状態に切り替わったか否かを確認する。出庫セット100aの取り出しが検知された場合(S18でYes)、管理装置12は、取り出された保管スペース20の報知器22をOFFにするとともに、当該保管スペース20の状態が「空き状態」または「予約状態」になるように倉庫DB42を更新する(S20)。
【0070】
また、管理装置12は、入庫セット100bが保管スペース20に収容されたか否かを確認する(S22)。すなわち、管理装置12は、入庫セット100bを収容すべき保管スペース20に設けられたタイヤセンサ24が、不在状態から存在状態に切り替わったか否かを確認する。入庫セット100bの収容が検知された場合(S22でYes)、管理装置12は、当該保管スペース20の状態が「保管状態」になるように倉庫DB42を更新する(S24)。
【0071】
次に、管理装置12は、予定されていた作業が完了したか否かを確認する(S26)。作業が完了していない場合(S26でNo)、管理装置12はステップS18からステップS26を繰り返す。一方、全ての出庫セット100aが取り出され、全ての入庫セット100bが収容された場合(S26でYes)、一連の処理は終了となる。
【0072】
次に、タイヤ預かりサービス全体の流れについて図14図15を参照して簡単に説明する。タイヤ預かりサービスでは、最初に、顧客110が、店舗120に対してタイヤ交換の依頼を行う(S30)。店舗120は、タイヤ交換の作業日を決定し、顧客110に回答する(S32)。また、店舗120は、タイヤ交換の作業日までに、顧客110のタイヤセット100が受け取れるように、受け取り予約を管理装置12に出力する(S34)。管理装置12は、この受け取り予約を反映するように、予約DB40を更新する(S36)。なお、ここでは、受け取り予約のみを行っているが、受け取り予約と同時に、車両から取り外したタイヤセット100を預け入れるための預け入れ予約を行ってもよい。
【0073】
倉庫14の作業者は、作業開始指示として、作業日付を作業者端末16に入力する(S38)。管理装置12は、作業開始指示を受けて、作業目録および配達スケジュール46を生成するとともに、出庫セット100aに対応する報知器22をONする(S40)。作業者は、作業目録および報知器22を頼りに出庫セット100aの位置まで移動し、出庫セット100aを保管スペース20から取り出す(S42)。このとき、必要であれば、リフター34を利用する。管理装置12は、出庫セット100aの取り出しを検知すれば、これを反映するべく、倉庫DB42を更新する(S44)。
【0074】
取り出された出庫セット100aは、台車32に載置され、固定される。作業者は、出庫セット100aを、台車32を利用して運搬車両まで移送する。続いて、作業者は、出庫セット100aを台車32に固定した状態のまま、運搬車両に荷積みする(S46)。この荷積みの際にも、リフター34を利用してもよい。運搬車両の運転手は、管理装置12で生成された配達スケジュール46に従い、出庫セット100aを店舗120まで配達する(S48)。店舗120に到着すれば、出庫セット100aは、リフター34を利用して荷下ろしされる(S50)。この時点で、出庫セット100aは、台車32に固定された状態のままである。店舗120のスタッフは、台車32を利用して、出庫セット100aをタイヤ交換の作業場まで移送する。
【0075】
一方、顧客110は、交換作業日になれば、車両とともに店舗120に来店する(S52)。この状態になれば、店舗120のスタッフは、タイヤ交換を実施する(S54)。タイヤ交換が完了すれば、店舗120のスタッフは、顧客110の自動車から取り外したタイヤセット(すなわち入庫セット100b)の倉庫14への預け入れの予約を行う(S56)。管理装置12は、この預入予約を反映するように、予約DB40を更新する(S58)。
【0076】
入庫セット100bの配達日に、作業開始指示が入力されれば、管理装置12は作業目録および配達スケジュール46を生成する(S60,S62)。運搬車両の運転士は、配達スケジュール46に従い、店舗120に向かう(S64)。そして、店舗120において、入庫セット100bを荷積みする(S66)。このとき、入庫セット100bは台車32に載置され固定されている。また、荷積みに際しては、リフター34が利用される。
【0077】
運搬車両が、倉庫14に到着すれば、入庫セット100bがリフター34を利用して荷卸しされる(S68)。作業者は、荷卸しされた入庫セット100bを、台車32を利用して、対象となる保管スペース20まで移送する。そして、作業者は、入庫セット100bを当該保管スペース20に収容する(S70)。管理装置12は、入庫セット100bが保管スペース20に収容されれば、これを反映するように倉庫DB42を更新する(S72)。
【0078】
以上の説明から明らかなとおり、本例のタイヤ管理システム10によれば、出庫作業の際、出庫セット100aに対応する報知器22がONされる。これにより、作業者は、出庫セット100aの位置を迅速かつ正確に把握することができるため、出庫作業に要する時間を短縮できる。また、本例では、タイヤセット100の保管スペース20からの取り出し、および、保管スペース20への収容を、タイヤセンサ24により自動的に判別している。その結果、本例では、タイヤセット100の取り間違いを効果的に防止できる。さらに、本例では、タイヤセット100の保管および移送に、パレット30や台車32、リフター34を利用している。これにより、作業者の負担をより軽減できる。
【0079】
なお、これまで説明した構成は一例であり、少なくとも、タイヤセット100の出庫または入庫の作業を行う際、出庫または入庫の作業の対象となる保管スペース20の倉庫内での住所を作業者端末16に表示させるとともに、対象となる保管スペース20に設けられた報知器22をONするのであれば、その他の構成は変更されてもよい。例えば、上述の説明では、タイヤセット100の取り出しおよび収容を、タイヤセンサ24により自動的に判別しているが、こうしたタイヤセンサ24は、設けられなくてもよい。この場合、作業者は作業者端末16を操作して、タイヤセット100の取り出しおよび収容が完了したことを管理装置12に通知する。
【0080】
また、上述の説明では、出庫セット100aに対応する報知器22のみをONしているが、出庫セット100aに加えて、または、替えて、入庫セット100bに対応する報知器22をONしてもよい。これにより、入庫セット100bを間違った保管スペース20に収容する誤作業を効果的に防止できる。また、本例では、タイヤセット100をパレット30に載置した状態で保管し、タイヤセット100を、このパレット30ごと台車32に固定した状態で、移送および運搬している。しかし、こうしたパレット30や台車32を使用しなくてもよい。
【0081】
また、別の形態として、図16に示すように、各保管スペース20に、識別子リーダ60を設けるとともに、タイヤセット100に当該識別子リーダ60で読み込み可能な識別子62を付与してもよい。識別子62は、タイヤセット100の識別情報を識別子リーダ60で読み取れるのであれば、その形態は特に限定されない。したがって、識別子62は、例えば、バーコードでもよいし、文字列を記載したタグでもよいし、識別情報を記録したICタグでもよい。また、識別子リーダ60は、バーコードを読み取るバーコードリーダでもよいし、文字列を光学的に読み取って認識するOCR装置でもよいし、ICタグに記録された情報を読み取るICリーダでもよい。識別子リーダ60は、タイヤセット100が保管スペース20に収容された際に、当該タイヤセット100の識別子62が読み取られる位置に配置される。例えば、識別子62が、最上部のタイヤのホイール部分に貼付された二次元バーコードである場合、識別子リーダ60であるバーコードリーダは、保管スペース20の天面であって、ホイール部分に対向する位置に設置されればよい。
【0082】
識別子リーダ60は、読み込んだ識別情報を管理装置12に送信する。管理装置12は、得られた識別情報に基づいて、タイヤセット100の収容状況を把握する。このように、タイヤセット100の識別子62を自動的に読み取る識別子リーダ60を設けることで、タイヤセット100の取り間違いをより確実に防止できる。
【0083】
また、別の形態として、管理装置12は、図13のステップS16~ステップS26の処理と並行して、誤作業の有無をモニタリングし、誤作業が発生した場合にアラームを出力してもよい。誤作業とは、出庫や入庫が予定されていない対象外の保管スペース20からタイヤセット100を取り出すこと、および、対象外の保管スペース20にタイヤセット100を収容することを意味する。
【0084】
具体的には、管理装置12は、対象外の保管スペース20に設けられたタイヤセンサ24が、存在状態から不在状態に、または、不在状態から存在状態に切り替わった場合、誤作業が発生したと判断する。この場合、管理装置12は、誤作業が行われたことを示すアラームを出力する。アラームは、作業者の注意を喚起できるものであれば、その形態は、特に限定されない。したがって、アラームは、倉庫14内に出力されるアラーム音でもよいし、作業者端末16に何らかのメッセージを出力するのでもよい。また、図16に示すように、各保管スペース20に警報器64を設け、当該警報器64によりアラームを出力してもよい。例えば、各保管スペース20に警報器64として機能するブザーを設け、当該ブザーによりアラームを出力してもよい。また、別の形態として、報知器22を警報器64として流用してもよい。この場合、報知器22の動作態様を、報知器として機能させる場合と、警報器として機能させる場合と、で変えればよい。例えば、作業対象の保管スペース20を報知する場合には、報知器22であるランプを連続点灯させ、誤作業が発生した場合には、報知器22であるランプを、点滅点灯させればよい。このように、誤作業の有無を監視し、誤作業が発生した場合にアラームを出力することで、タイヤセット100の取り違いをより確実に防止できる。
【符号の説明】
【0085】
10 タイヤ管理システム、12 管理装置、14 倉庫、15 棚、16 作業者端末、20 保管スペース、22 報知器、24 タイヤセンサ、26 住所プレート、28 識別タグ、30 パレット、32 台車、34 リフター、40 予約DB、42 倉庫DB、44 予約カレンダー、46 配達スケジュール、48 作業確認画面、50 マップ表示画面、60 識別子リーダ、62 識別子、64 警報器、100 タイヤセット、110 顧客、120 店舗、122 受付端末。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16