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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】供給システム、産業車両及び供給機
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/02 20060101AFI20231003BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20231003BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20231003BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20231003BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20231003BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20231003BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20231003BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20231003BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20231003BHJP
   H01M 10/6569 20140101ALI20231003BHJP
   B66F 9/075 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B60K11/02
B60K1/04 Z
H01M10/48 301
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/633
H01M10/6556
H01M10/6568
H01M10/6563
H01M10/6569
B66F9/075 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020155520
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2022049353
(43)【公開日】2022-03-29
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】松久 朋弘
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-299009(JP,A)
【文献】特開2013-241084(JP,A)
【文献】特開2013-99024(JP,A)
【文献】特開2010-52894(JP,A)
【文献】特開2010-268683(JP,A)
【文献】米国特許第10259333(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/02
B60K 1/04
H01M 10/48
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/633
H01M 10/6556
H01M 10/6568
H01M 10/6563
H01M 10/6569
B66F 9/075
B60L 53/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業車両と、
前記産業車両の外部に設けられ前記産業車両に接続する供給部と、
前記産業車両の外部に設けられる第1冷却源と、
前記産業車両の外部に設けられる第2冷却源と、
を備え、
前記産業車両は、
蓄電装置と、
前記蓄電装置を冷却するための第1冷却媒体を流通させる媒体流路と、
を有し、
前記供給部は、
前記蓄電装置に電力を供給する充電部と、
前記媒体流路に前記第1冷却媒体を供給する冷却部と、
を有し、
前記第1冷却源は、圧縮エアである前記第1冷却媒体を前記冷却部に供給する圧縮エアタンクであり、
前記冷却部は、前記第1冷却源から供給された前記第1冷却媒体を前記媒体流路に供給し、
前記第2冷却源は、工場用水である第2冷却媒体を前記冷却部に供給する工場用水貯留槽であり、
前記冷却部は、前記第2冷却源から供給された前記第2冷却媒体により前記第1冷却媒体を冷却する熱交換器を有し、前記媒体流路と前記熱交換器との間で前記第1冷却媒体を循環させる、
供給システム。
【請求項2】
前記媒体流路は、
外部媒体が流通可能な第1流路と、
前記冷却部から前記第1冷却媒体が流通可能な第2流路と、
前記第1流路と前記第2流路と接続し、前記蓄電装置を冷却するために設けられる第3流路と、
前記第1流路、前記第2流路及び前記第3流路のそれぞれと接続し、前記外部媒体又は前記第1冷却媒体のいずれか一方の媒体が前記第3流路に流通するように切り替える切替弁とを含む、請求項1に記載の供給システム。
【請求項3】
前記産業車両は、前記蓄電装置の温度を測定する温度測定部と、前記温度測定部及び前記切替弁に接続し前記温度測定部により測定された前記蓄電装置の温度に基づいて前記切替弁の切り替えを制御する制御部と、を有する、請求項2に記載の供給システム。
【請求項4】
蓄電装置と、前記蓄電装置を冷却するための第1冷却媒体を流通させる媒体流路とを有する産業車両と、前記産業車両の外部に設けられる圧縮エアタンクである第1冷却源と、前記産業車両の外部に設けられる第2冷却源とに接続可能な供給機であって、
前記蓄電装置に電力を供給する充電部と、
前記第1冷却源から供給された圧縮エアである前記第1冷却媒体を前記媒体流路に供給する冷却部と、
前記充電部と前記蓄電装置とを電気的に接続させると共に、前記第1冷却媒体が流通可能なように前記冷却部と前記媒体流路とを接続させ、前記産業車両に対して着脱可能な入力部と、
を備え
前記第2冷却源は、工場用水である第2冷却媒体を前記冷却部に供給する工場用水貯留槽であり、
前記冷却部は、前記第2冷却源から供給された前記第2冷却媒体により前記第1冷却媒体を冷却する熱交換器を有し、前記媒体流路と前記熱交換器との間で前記第1冷却媒体を循環させる、
供給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給システム、産業車両及び供給機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バッテリを冷却可能な産業車両が知られている。特許文献1には、空調装置とバッテリとがダクト等によって接続されたフォークリフトが開示されている。空調装置から供給された冷気によってバッテリが冷却される。なお、特許文献1では、当該バッテリは、リチウムイオンバッテリ等の二次電池であってよいと開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-52894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両のバッテリ(二次電池)に対して急速充電を行うと、発熱量が大きくバッテリの温度が高温になることが一般的に知られている。バッテリが高温の状態で充電又は放電を行うとバッテリの使用に耐える期間が短くなるおそれがあるため、バッテリに対して急速充電を行う場合にはバッテリを適切に冷却することが求められていた。一般的な車両のバッテリの冷却方法の一例として、特許文献1に記載されているようなバッテリを冷却するための空調装置を車両に設ける方法が挙げられる。
【0005】
ここで、バッテリを冷却するため、特許文献1のように冷気を生成して冷気を供給する冷却装置(空調装置)を産業車両に設けたとしても、当該冷却装置が効果的に使用されるのはバッテリの急速充電時のみであり、当該冷却装置により産業車両の重量及び電力消費が増大する。よって、冷却装置を搭載していない産業車両の方が冷却装置を搭載した産業車両に比べて産業車両の運用の面において効率がよくなりうるため、産業車両のバッテリの冷却システムにおいては改善の余地がある。特に、産業車両に冷却された流体を生成する冷却装置を設けることなく急速充電時の温度上昇を緩和することができるシステムが求められていた。
【0006】
本発明は、産業車両に冷却された流体を生成する冷却装置を設けることなく急速充電時の温度上昇を緩和することができる供給システム、産業車両及び供給機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る供給システムは、産業車両と、産業車両の外部に設けられ産業車両に接続する供給部と、を備え、産業車両は、蓄電装置と、蓄電装置を冷却するための第1冷却媒体を流通させる媒体流路と、を有し、供給部は、蓄電装置に電力を供給する充電部と、媒体流路に第1冷却媒体を供給する冷却部と、を有する。
【0008】
この供給システムでは、供給部の充電部が産業車両の蓄電装置に電力を供給すると共に、供給部の冷却部が産業車両の媒体流路に第1冷却媒体を供給させる。これにより、媒体流路は、蓄電装置を冷却させることのできる第1冷却媒体を流通させることができ、蓄電装置の温度を低下させることができる。したがって、産業車両に冷却された流体を生成する冷却装置を設けることなく急速充電時の温度上昇を緩和することができる。
【0009】
一実施形態に係る供給システムにおいては、媒体流路は、外部媒体が流通可能な第1流路と、冷却部から第1冷却媒体が流通可能な第2流路と、第1流路と第2流路と接続し、蓄電装置を冷却するために設けられる第3流路と、第1流路、第2流路及び第3流路のそれぞれと接続し、外部媒体又は第1冷却媒体のいずれか一方の媒体が第3流路に流通するように切り替える切替弁とを含んでもよい。この場合、切替弁が切り替わることにより第3流路に外部媒体又は第1冷却媒体のいずれか一方が流通する。このため、例えば、蓄電装置における熱交換に寄与する度合いが高い適切な媒体を第3流路に流通させることができる。また、切替弁により第3流路内に流通させる媒体を外部媒体から第1冷却媒体に切り替えた後、第1冷却媒体を第3流路内に流し続けることで、外部媒体の温度の影響を抑制した上で第1冷却媒体の温度による冷却効果を蓄電装置に十分に与えることができる。したがって、切替弁を適切に切り替えることで、蓄電装置における熱交換に適切な媒体を第3流路に流通させることができる。
【0010】
一実施形態に係る供給システムにおいては、産業車両は、蓄電装置の温度を測定する温度測定部と、温度測定部及び切替弁に接続し温度測定部により測定された蓄電装置の温度に基づいて切替弁の切り替えを制御する制御部と、を有してもよい。この場合、切替弁は蓄電装置の温度に基づいて切り替わるため、例えば、外部媒体又は第1冷却媒体のうち適切な媒体を第3流路に流通させることができる。したがって、制御部が蓄電装置の温度に基づいて切替弁を適切に切り替えることで、蓄電装置における熱交換に適切な媒体を第3流路に流通させることができる。
【0011】
一実施形態に係る供給システムにおいては、産業車両の外部において第1冷却媒体を冷却部に供給する第1冷却源を備え、冷却部は、第1冷却源から供給された第1冷却媒体を媒体流路に供給してもよい。この場合、冷却部を介して第1冷却源からの第1冷却媒体を媒体流路に供給することができる。したがって、蓄電装置における冷却性能を適切に確保することができる。
【0012】
一実施形態に係る供給システムにおいては、産業車両の外部において第2冷却媒体を冷却部に供給する第2冷却源を備え、冷却部は、第2冷却源から供給された第2冷却媒体により第1冷却媒体を冷却する熱交換器を有し、媒体流路と熱交換器との間で第1冷却媒体を循環させてもよい。この場合、第1冷却媒体は、媒体流路と熱交換器とを循環するように流通する。第1冷却媒体は、熱交換器において第2冷却媒体と熱交換することにより温度が低下する。したがって、第1冷却媒体は、熱交換器において適切に温度を低下させた状態で産業車両に供給されるため、蓄電装置に対する冷却性能を確保することができる。
【0013】
本発明の他の側面に係る産業車両は、蓄電装置と、蓄電装置を冷却するための第1冷却媒体を流通させる媒体流路と、を備え、媒体流路は、少なくとも蓄電装置に電力を供給するときに第1冷却媒体を流通させる。
【0014】
この産業車両によれば、上述の供給システムと同様な作用・効果を得ることができる。
【0015】
本発明の他の側面に係る供給機は、蓄電装置と、蓄電装置を冷却するための第1冷却媒体を流通させる媒体流路とを有する産業車両に接続可能な供給機であって、蓄電装置に電力を供給する充電部と、第1冷却媒体を媒体流路に供給する冷却部と、充電部と蓄電装置とを電気的に接続させると共に、第1冷却媒体が流通可能なように冷却部と媒体流路とを接続させ、産業車両に対して着脱可能な入力部と、を備える。
【0016】
この供給機によれば、上述の供給システムと同様な作用・効果を得ることができる。
【0017】
一実施形態に係る供給機において、第1冷却媒体は、圧縮エアであってもよい。例えば、多くの産業車両が稼働する工場には圧縮エアタンクが配備されている。この場合、冷却部は、例えば、当該圧縮エアタンクから供給された圧縮エアを第1冷却媒体として媒体流路に供給することができる。よって、産業車両の稼働環境における既存のインフラを有効活用し、蓄電装置を適切に冷却させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、産業車両に冷却された流体を生成する冷却装置を設けることなく急速充電時の温度上昇を緩和することができる供給システム、産業車両及び供給機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る供給システムの産業車両を示す側面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る供給システムを示すブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る供給システムの処理内容を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2実施形態に係る供給システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る供給システムの好適な第1実施形態及び第2実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
[第1実施形態]
第1実施形態の産業車両及び供給機を含む供給システムについて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る供給システムの産業車両を示す側面図である。図1において、産業車両1は、フォークリフトである。なお、産業車両1は、フォークリフトに限定されず、トーイングカー等を含んでもよい。産業車両1は、車体フレーム2と、この車体フレーム2の前部に配置されたマスト3とを備えている。マスト3は、車体フレーム2に傾動可能に支持された左右1対のアウターマスト3aと、これらのアウターマスト3aの内側に配置され、アウターマスト3aに対して昇降可能なインナーマスト3bとからなっている。
【0022】
マスト3の後側には、昇降用油圧シリンダとしてのリフトシリンダ4が配置されている。リフトシリンダ4のピストンロッド4pの先端部は、インナーマスト3bの上部に連結されている。
【0023】
インナーマスト3bには、リフトブラケット5が昇降可能に支持されている。リフトブラケット5には、荷物を積載するフォーク6が取り付けられている。フォーク6は、リフトシリンダ4によって昇降される昇降物として構成される。インナーマスト3bの上部にはチェーンホイール7が設けられ、チェーンホイール7にはチェーン8が掛装されている。チェーン8の一端部はリフトシリンダ4に連結され、チェーン8の他端部はリフトブラケット5に連結されている。リフトシリンダ4を伸縮させると、チェーン8を介してフォーク6がリフトブラケット5と共に昇降する。リフトシリンダ4は、例えば、不図示の電動機(荷役モータ)により駆動する油圧ポンプから作動油が供給されることで作動する。当該電動機は、バッテリパック20内の蓄電装置21からの電力により作動する。
【0024】
車体フレーム2の左右両側には、傾動用油圧シリンダとしてのティルトシリンダ9がそれぞれ支持されている。ティルトシリンダ9のピストンロッド9pの先端部は、アウターマスト3aの高さ方向ほぼ中央部に回動可能に連結されている。ティルトシリンダ9を伸縮させると、マスト3が傾動する。ティルトシリンダ9は、リフトシリンダ4と同様に、例えば、不図示の電動機により駆動する油圧ポンプから作動油が供給されて作動する。
【0025】
車体フレーム2の上部には、運転室10が設けられている。運転室10とは、運転者が産業車両1の操舵、マスト3の傾動、フォーク6の昇降等を制御するために設けられた空間である。例えば、運転室10の左右両側は、運転者が容易に乗降可能なように開放されている。すなわち、運転室10の内部の空間と、運転室10の外部の空間とは連続しており、他の構成物により仕切られていない。
【0026】
本実施形態では、運転室10は、運転室10に乗り込む運転者に対して冷房機能を提供する大規模な冷却装置(空調装置)を備えていない。冷房機能とは、冷却された流体を生成し、かつ、当該流体を供給する機能を指す。冷却装置における冷却された流体を生成する機能とは、例えば、冷媒等により流体を冷却させて冷却装置外の流体(外気など)より低い温度にする機能を指す。冷却された流体は、例えば、冷気又は冷却された液体を含む。冷却装置における冷却された流体を生成する機能には、例えば、流体を単に冷却対象に供給する機能、冷却対象の周囲の流体を移動させる機能、および冷却対象の周囲の流体を循環させるだけの機能は含まれない。例えば、当該冷却装置には、外気を供給し、冷却対象の周囲の気体を移動させる冷却ファン等の装置は含まれない。
【0027】
仮に運転室に冷却装置を設けた場合であっても、運転室が外部の空間に向けて開放されていることから、冷却された流体が産業車両の外部に流出してしまい、産業車両の運転室に対する冷却の効果が小さい。このため、本実施形態の産業車両1の運転室10には、冷却された流体を生成する冷却装置が設けられていない。産業車両1は、運転室10に限らず、産業車両1の各部において当該各部を冷却させるために冷却された流体を生成する冷却装置を備えていない。
【0028】
したがって、産業車両1は、バッテリパック20の蓄電装置21を冷却させるための冷却された流体を生成する冷却装置を備えていない。すなわち、産業車両1は、車両に設けられた冷却された流体を生成する冷却装置を利用してバッテリパック20の蓄電装置21を冷却させることはできない。産業車両1のうち高温になり得る蓄電装置21は、後述の供給部30(供給機の一例)が作動することで冷却されるため、産業車両1に冷却装置が積載されずとも産業車両1は適切に稼働することができる。
【0029】
運転室10の前部には、リフトシリンダ4を作動させてフォーク6を昇降させるためのリフト操作レバー11と、ティルトシリンダ9を作動させてマスト3を傾動させるためのティルト操作レバー12とが設けられている。
【0030】
また、運転室10の前部には、操舵を行うためのステアリング13が設けられている。ステアリング13は、油圧式のパワーステアリングであり、パワーステアリング(PS)用油圧シリンダとしてのPSシリンダにより運転者の操舵をアシストすることが可能である。ステアリング13は、例えば、不図示の電動機(パワーステアリングモータ)により作動する。当該パワーステアリングモータは、バッテリパック20内の蓄電装置21からの電力により作動する。運転室10には、特に図示はしないが、産業車両1の走行方向(前進/後進/ニュートラル)を切り換えるためのディレクションスイッチが設けられている。産業車両1は、不図示の電動機(走行用モータ)により駆動輪が駆動されて走行する。
【0031】
図2は、本発明の第1実施形態に係る供給システムを示すブロック図である。本実施形態の供給システム100は、産業車両1と、供給部30(供給機の一例)と、第1冷却源40とを備える。供給システム100において、供給部30は、産業車両1の蓄電装置21に対して急速充電を行うと共に蓄電装置21を冷却する機能を有する。
【0032】
産業車両1は、バッテリパック20を備える。バッテリパック20は、例えば、筐体である。バッテリパック20は、蓄電装置21と、第1熱交換器22と、温度測定部23と、接続部24と、制御部25とを備える。制御部25は、産業車両1の内部であって、バッテリパック20の外部に設けられてもよい。バッテリパック20は、第1冷却媒体が流通する媒体流路M20と、第1三方弁27(切替弁の一例)と、ファン26,28とを備える。
【0033】
媒体流路M20は、第1流路M21と、第2流路M22と、第3流路M23とを有する。第1流路M21は、産業車両1の外部から産業車両1の内部に供給される外部媒体が流通可能な流路である。第1流路M21の一端は、例えば、産業車両1の外部に突出している。外部媒体は、例えば、産業車両1の外部の気体(外気)である。第2流路M22は、後述の冷却部33から第1冷却媒体が流通可能な流路である。第1冷却媒体は、例えば、外部媒体より温度の低い気体又は液体である。第1冷却媒体は、例えば工場設備内にある圧縮エアである。
【0034】
第3流路M23は、第1流路M21と第2流路M22と接続し、蓄電装置21を冷却するために設けられる。第3流路M23は、その一端において第1三方弁27を介して第1流路M21と第2流路M22と接続している。第3流路M23の他端は、例えば、産業車両1の外部に突出している。第3流路M23の一部は、第1熱交換器22に配置される。
【0035】
第1三方弁27は、第1流路M21、第2流路M22及び第3流路M23とそれぞれ接続し、外部媒体又は第1冷却媒体のいずれか一方の媒体が第3流路M23に流通するように切り替える。第1三方弁27は、第1流路M21、第2流路M22及び第3流路M23の分岐点に設けられる。第1三方弁27は、制御部25の制御に基づいて弁の開閉を行う。
【0036】
第1三方弁27は、第1流路M21から第3流路M23に向けて外部媒体を流通させる場合には、第1流路M21と第3流路M23とが連通すると共に、第2流路M22と第3流路M23とが連通しないように弁を開閉させる。第1三方弁27は、第2流路M22から第3流路M23に向けて第1冷却媒体を流通させる場合には、第2流路M22と第3流路M23とが連通すると共に、第1流路M21と第3流路M23とが連通しないように弁を開閉させる。なお、第1三方弁27は、上記の機能を有していれば三方弁に限られず、他の弁であってもよい。
【0037】
ファン26は、第1流路M21に設けられる。ファン26は、回転することで外部から第1流路M21内に外部媒体を流入させる。ファン28は、第3流路M23に設けられる。ファン28は、回転することで第1熱交換器22を通過した外部媒体又は第1冷却媒体を第3流路M23内から流出させる。なお、産業車両1は、ファン28のみを備えればよく、ファン26を備えていなくてもよい。
【0038】
蓄電装置21は、充電及び放電が可能な二次電池である。蓄電装置21は、例えば、リチウムイオンバッテリである。蓄電装置21は、産業車両1の各部の動力源である。蓄電装置21は、例えば、不図示の電動機に向けて放電することによって、図1に示すリフトシリンダ4、ティルトシリンダ9又はステアリング13を作動させる。蓄電装置21は、不図示の電動機と電気的に接続されている。
【0039】
第1熱交換器22は、産業車両1の外部から供給される外部媒体又は第1冷却媒体と蓄電装置21とを熱交換させる。第1熱交換器22は、例えば、蓄電装置21に隣接している。第1熱交換器22は、例えば、第3流路M23を蓄電装置21に隣接して配置させる。第3流路M23を流通する外部媒体の温度、又は第3流路M23を流通する第1冷却媒体の温度は、蓄電装置21の温度より低い。第1熱交換器22に配置された第3流路M23内を流通する外部媒体又は第1冷却媒体は、蓄電装置21と熱交換することで蓄電装置21を冷却する。蓄電装置21と熱交換することで第1熱交換器22に流入するときより温度が上昇した外部媒体又は第1冷却媒体は、第3流路M23を流通し、第1熱交換器22の外部に流通する。
【0040】
温度測定部23は、蓄電装置21の温度を測定する。温度測定部23は、例えば温度センサである。温度測定部23は、蓄電装置21に接続される。温度測定部23は、制御部25と通信可能に接続する。温度測定部23は、例えば、制御部25の制御に基づいて蓄電装置21の温度を測定する。
【0041】
接続部24は、バッテリパック20において供給部30と接続する部分である。接続部24は、例えば、アウトレットである。接続部24は、例えば、直方体状を呈する。接続部24の少なくとも1つの外面24aは、バッテリパック20から外部に露出している。接続部24は、電気ケーブルE20を介して蓄電装置21と接続している。接続部24は、制御ケーブルC20を介して制御部25と接続している。接続部24には、流体カプラが設けられている。接続部24は、第2流路M22と接続している。第2流路M22の一端は、接続部24内の流体カプラと接続している。電気ケーブルE20、制御ケーブルC20及び第2流路M22の各端部は、接続部24の外面24aにおいて後述の供給部30のケーブル及び流路とそれぞれ接続可能に露出している。
【0042】
制御部25は、バッテリパック20の充電及び冷却に関する処理を制御する。制御部25は、プロセッサ、メモリ及びストレージ等を備え、一般的なコンピュータとして構成されている。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)などの演算器である。メモリは、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体である。制御部25は、例えば、産業車両1の状態をモニタリングする。制御ケーブルC20を通じて、制御部25は、供給部30と接続しているか否かを認識する。詳しくは後述する。制御部25は、蓄電装置21、温度測定部23、ファン26,28及び第1三方弁27と通信可能に接続する。
【0043】
制御部25は、蓄電装置21の状態に関する情報である蓄電情報を蓄電装置21から取得する。蓄電情報は、例えば、充電可能な電力容量を含む。充電可能な電力容量とは、蓄電装置21の全体の電力容量(放電容量)から蓄電装置21の残量(電池残量)を引いた値である。蓄電情報は、充電可能な電力容量を含まず、蓄電装置21の全体の電力容量、及び蓄電装置21の残量を含んでいてもよい。この場合、制御部25は、充電可能な電力容量を算出してもよい。
【0044】
制御部25は、温度測定部23に対して蓄電装置21の温度を測定するように指示する信号を送信する。温度測定部23は、当該信号を受信した場合に当該信号が示す指示に基づいて温度を測定する。制御部25は、温度測定部23により測定された蓄電装置21の温度を取得する。
【0045】
制御部25は、取得された蓄電装置21の温度に基づいて、蓄電装置21の温度に関する情報である温度情報を生成する。温度情報は、例えば、蓄電装置21の温度と、蓄電装置21の温度上昇率と、蓄電装置21が作動可能な下限温度及び上限温度とを含む。下限温度は、例えば、10℃以下の温度に設定される。温度上昇率は、例えば、単位時間あたりの変化した温度として算出される。上限温度は、例えば、40℃以上の温度に設定される。制御部25は、例えば、所定の時間ごとに温度測定部23に対して蓄電装置21の温度を測定するように指示する信号を送信する。
【0046】
制御部25は、第1三方弁27の開閉を制御する。制御部25は、第1三方弁27に対して外部媒体又は第1冷却媒体のいずれか一方の媒体が第3流路M23に流通するように切り替えるよう指示する信号を送信する。第1三方弁27は、当該信号を受信した場合に当該信号が示す指示に基づいて弁の開閉を行う。制御部25は、第1三方弁27から弁の開閉状態に関する情報である第1開閉情報を取得する。第1開閉情報は、例えば、第1三方弁27の弁の切り替えが完了したか否かに関する情報、又は、第3流路M23に対して第1流路M21又は第2流路M22のいずれが連通しているかを示す情報を含む。
【0047】
制御部25は、第1開閉情報に基づき、ファン26,28の回転を制御する。制御部25は、第1流路M21と第3流路M23とが連通している場合、ファン26,28を回転させる。制御部25は、第2流路M22と第3流路M23とが連通している場合、ファン26,28の回転を停止させる。
【0048】
制御部25は、接続部24を介して供給部30と共に蓄電装置21の充電及び放電を制御する。制御部25は、制御ケーブルC20を介して供給部30に産業車両1の状態に関する情報である車両情報を表す信号を送信する。車両情報は、例えば、蓄電情報、温度情報、及び第1開閉情報を含む。車両情報は、例えば、運転者等により入力された計画情報を含む。計画情報は、産業車両1の稼働までに蓄電装置21に対して充電を実行可能な時間である予定時間を含む。
【0049】
供給部30は、産業車両1のバッテリパック20に含まれる蓄電装置21に対して電力を供給すると共に、媒体流路M20に対して第1冷却媒体を供給する。供給部30は、充電器31と、充電プラグ35(入力部の一例)とを備える。充電器31は、充電プラグ35と接続し、電力及び第1冷却媒体を充電プラグ35に供給可能な機器である。充電器31は、例えば、各構成要素を筐体に収容することによって構成される。充電器31は、充電部32と、冷却部33と、供給制御部34とを有する。なお、充電部32、冷却部33及び供給制御部34の少なくとも1つは、充電器31の外部に配置されていてもよい。例えば、供給制御部34は、複数の充電器31を制御してもよい。
【0050】
充電部32は、産業車両1の蓄電装置21に電力を供給する。充電部32は、供給制御部34の指示に基づいて、蓄電装置21に電力を供給する。充電部32は、例えば、充電器31の外部の電源から電力を供給してもよい。充電部32は、例えば、不図示のAC/DC変換器を備える。充電部32は、AC/DC変換器により電源の交流電力を直流電力に変換して送電する。充電部32は、供給制御部34の制御に応じて蓄電装置21に供給する電力値を変更することができる。充電部32は、蓄電装置21において短時間で充電を完了させる場合には大電力を供給する急速充電を実施する。充電部32は、蓄電装置21の温度上昇を抑えると共に、短時間で充電を完了させなくともよい場合には小電力を供給する通常充電を実施する。
【0051】
冷却部33は、第1冷却媒体を第2流路M22に供給する。冷却部33は、供給部30の外部に設けられた第1冷却源40と接続する。例えば、冷却部33は、供給制御部34の指示に基づいて、第1冷却源40から第1冷却媒体を取得し、第2流路M22に供給する。第1冷却源40は、例えば、圧縮エアタンクである。冷却部33は、供給制御部34の制御に応じて第2流路M22に供給する第1冷却媒体の流量を変更することができる。充電部32が蓄電装置21に対して急速充電を実施している場合、冷却部33は、第1冷却媒体の流量を大きくする大規模冷却を実施する。充電部32が蓄電装置21に対して通常充電を実施している場合、冷却部33は、第1冷却媒体の流量を小さくする小規模冷却を実施するか、第1冷却媒体の供給を停止するかのいずれかの処理を実施する。
【0052】
充電器31の供給制御部34の説明の前に充電プラグ35の説明を行う。充電プラグ35は、蓄電装置21の充電時に、産業車両1のバッテリパック20の接続部24に着脱可能に装着される。充電プラグ35は、例えば、インレットである。充電プラグ35は、例えば、充電器31の外部に設けられ、充電器31と接続されている。充電プラグ35は、電気ケーブルE30を介して充電器31の充電部32と接続している。充電プラグ35は、制御ケーブルC30を介して充電器31の供給制御部34と接続している。充電プラグ35は、第1冷媒流路M31を介して充電器31の冷却部33と接続している。充電プラグ35には、流体カプラが設けられている。充電プラグ35は、第1冷媒流路M31の一端と流体カプラを介して接続している。
【0053】
充電プラグ35において、電気ケーブルE30、制御ケーブルC30及び第1冷媒流路M31の各端部は、接続部24の電気ケーブルE20、制御ケーブルC20及び第2流路M22の各端部とそれぞれ接続可能に露出している。充電プラグ35が接続部24に装着された場合、電気ケーブルE20及び電気ケーブルE30を介してバッテリパック20の蓄電装置21と供給部30の充電部32とが電気的に接続される。充電プラグ35が接続部24に装着された場合、冷却部33と第2流路M22とが第1冷媒流路M31及び流体カプラを介して第1冷却媒体を流通可能に接続される。充電プラグ35が接続部24に装着された場合、制御ケーブルC20及び制御ケーブルC30を介してバッテリパック20の制御部25と供給部30の供給制御部34とが通信可能に接続される。
【0054】
再び充電器31の説明に戻る。供給制御部34は、制御部25から取得された車両情報に基づいて、充電部32及び冷却部33を制御する。供給制御部34は、充電器31内において充電部32及び冷却部33と接続する。供給制御部34は、制御部25と同様、一般的なコンピュータとして構成されている。供給制御部34は、上述のように充電プラグ35が接続部24に装着された場合、制御ケーブルC20及び制御ケーブルC30を介してバッテリパック20の制御部25と通信可能に接続される。
【0055】
供給制御部34が、充電プラグ35が接続部24に接続されたことを示す信号を制御部25に送信し、制御部25から当該信号を受信したことを示す信号を受信した場合に、充電プラグ35とバッテリパック20(接続部24)とが接続されたと判定する。供給制御部34が制御部25からの信号を受信できない場合、充電プラグ35とバッテリパック20(接続部24)とが接続されていないと判定する。なお、制御部25が、充電プラグ35が接続部24に接続されたことを示す信号を供給制御部34に送信し、供給制御部34から当該信号を受信したことを示す信号を受信した場合に、充電プラグ35とバッテリパック20とが接続されたと判定してもよい。供給制御部34において充電プラグ35とバッテリパック20とが接続されたと判定された場合、供給制御部34は、制御部25から車両情報を取得する。
【0056】
供給制御部34は、車両情報に基づいて、充電部32における蓄電装置21への送電を制御する。供給制御部34は、充電部32に対して電気ケーブルE20及び電気ケーブルE30を介して蓄電装置21に送電するよう制御する。供給制御部34は、例えば、車両情報に含まれる蓄電情報及び計画情報に基づいて、充電部32から供給される電力値を制御する。
【0057】
例えば、蓄電情報において充電可能な電力容量が所定の電力閾値より大きい場合、又は、計画情報において予定時間が所定の時間閾値未満の場合、供給制御部34は、充電部32に急速充電を実施させる。蓄電情報において充電可能な電力容量が電力閾値より小さい場合、又は、計画情報において予定時間が所定の時間閾値以上の場合、供給制御部34は、充電部32に通常充電を実施させる。時間閾値は、例えば、充電部32が通常充電を実施した場合に蓄電装置21が充電完了するまでの時間である。供給制御部34は、例えば、上記の判定の前に、車両情報に基づき、時間閾値を算出する。供給制御部34は、充電部32が急速充電又は通常充電のいずれを実施させているかの情報である充電種類情報を取得する。
【0058】
供給制御部34は、車両情報及び充電種類情報に基づいて、冷却部33から供給される第1冷却媒体の流量を制御する。供給制御部34は、例えば、車両情報に含まれる温度情報及び第1開閉情報に基づいて当該流量の制御を行う。供給制御部34は、冷却部33に対して第1冷却源40から第1冷却媒体を取得するように制御すると共に、第1冷媒流路M31を介して第2流路M22に第1冷却媒体を供給するよう制御する。例えば、冷却部33が第1冷却源40から第1冷却媒体を取得した場合、供給制御部34は、冷却部33から第1冷却媒体を取得したことを示す信号である第1冷却信号を受信する。
【0059】
例えば、充電種類情報が示す情報が急速充電であり、かつ、温度情報において蓄電装置21の温度上昇率が所定の閾値より大きく、かつ、第1開閉情報において第2流路M22と第3流路M23とが連通している場合、供給制御部34は、第1冷却信号の受信後、冷却部33において第1冷却媒体を所定の流量だけ第2流路M22に供給する。供給制御部34は、蓄電装置21の温度が下限温度より大きいことを、冷却部33において第1冷却媒体を所定の流量だけ第2流路M22に供給するときの条件に加えてもよい。また、蓄電装置21の温度と外部媒体の温度との差が所定の閾値より小さいことを、冷却部33において第1冷却媒体を所定の流量だけ第2流路M22に供給するときの条件に加えてもよい。さらに、充電種類情報が示す情報が通常充電であっても、供給制御部34は、冷却部33において第1冷却媒体を所定の流量だけ第2流路M22に供給してもよい。
【0060】
例えば、温度情報において蓄電装置21の温度上昇率が閾値以下の場合、蓄電装置21の温度が下限温度以下である場合、又は第1開閉情報において第1流路M21と第3流路M23とが連通している場合、供給制御部34は、冷却部33において第2流路M22に供給する第1冷却媒体の流量を0にし、第1冷却媒体の供給を停止する。
【0061】
次に、供給システム100を利用して、産業車両1の蓄電装置21に対して充電及び冷却を実施する供給方法について説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係る供給システムの処理内容を示すフローチャートである。例えば、図3に示される供給方法のフローチャートは、産業車両1の蓄電情報において充電可能な電力容量があり、接続部24と充電プラグ35とが接続された場合に開始される。なお、接続部24と充電プラグ35とが接続されていない場合、例えば、制御部25及び供給制御部34は、外部媒体を第3流路M23に流通させることで蓄電装置21を冷却する。
【0062】
供給方法では、まず、供給制御部34において、車両情報が取得される(ステップS11)。供給制御部34は、制御ケーブルC20及び制御ケーブルC30を介して、制御部25から車両情報を取得する。
【0063】
続いて、供給制御部34において、充電部32に急速充電を実施させるかが判定される(ステップS13)。蓄電情報において充電可能な電力容量が所定の電力閾値より大きい場合、又は、計画情報において予定時間が所定の時間閾値未満の場合、供給制御部34は、充電部32に急速充電を実施させると判定する(ステップS13:YES)。この場合、後述の上昇率判定処理(ステップS15)に移行する。蓄電情報において充電可能な電力容量が電力閾値より小さい場合、又は、計画情報において予定時間が所定の時間閾値以上の場合、供給制御部34は、充電部32に急速充電を実施させず、通常充電を実施させる(ステップS13:NO)。この場合、後述の第1三方弁制御処理(ステップS19)に移行する。
【0064】
続いて、急速充電判定処理(ステップS13)において急速充電を実施させると判定した場合(ステップS13:YES)、供給制御部34において、蓄電装置21の温度上昇率が所定の閾値より大きいか否かが判定される(ステップS15)。供給制御部34において、温度情報に基づいて蓄電装置21の温度上昇率が所定の閾値より大きいと判定された場合(ステップS15:YES)、下限温度判定処理(ステップS17)に移行する。供給制御部34において、温度情報に基づいて蓄電装置21の温度上昇率が所定の閾値以下と判定された場合(ステップS15:NO)、第1三方弁制御処理(ステップS19)に移行する。
【0065】
続いて、上昇率判定処理(ステップS15)において蓄電装置21の温度上昇率が所定の閾値より大きいと判定した場合(ステップS15:YES)、供給制御部34において、蓄電装置21の温度が下限温度より大きいか否かが判定される(ステップS17)。供給制御部34において、温度情報に基づいて蓄電装置21の温度が下限温度より大きいと判定された場合(ステップS17:YES)、第2三方弁制御処理(ステップS23)に移行する。供給制御部34において、温度情報に基づいて蓄電装置21の温度が下限温度以下と判定された場合(ステップS17:NO)、第1三方弁制御処理(ステップS19)に移行する。
【0066】
続いて、急速充電判定処理(ステップS13)において急速充電を実施しない場合(ステップS13:NO)、上昇率判定処理(ステップS15)において蓄電装置21の温度上昇率が所定の閾値以下である場合(ステップS15:NO)、及び下限温度判定処理(S17)において蓄電装置21の温度が下限温度以下である場合(ステップS17:NO)、制御部25及び供給制御部34によって第1三方弁27の開閉の制御が行われる(ステップS19)。供給制御部34は、第1流路M21と第3流路M23とを連通させるように制御部25に指示する信号を制御部25に送信する。
【0067】
信号を受信した制御部25は、第1三方弁27の開閉を制御する。これにより、第1流路M21と第3流路M23とが連通する。制御部25は、第2流路M22と第3流路M23との空間が連通しないように第1三方弁27の開閉を制御する。制御部25は、第1三方弁27から第1流路M21と第3流路M23とが連通したことを示す第1開閉情報を取得する。なお、供給制御部34が取得処理(ステップS11)において取得した第1開閉情報において、既に第1流路M21と第3流路M23とが連通している場合、供給制御部34は、第1三方弁制御処理(ステップS19)を実行しなくてもよい。
【0068】
続いて、制御部25が第1開閉情報により第1流路M21と第3流路M23とが連通していると認識した後、供給制御部34の制御によって通常充電として充電部32から蓄電装置21に電力が供給され、制御部25の制御によって第1流路M21から第3流路M23に向けて外部媒体が流通される(ステップS21)。制御部25がファン26を回転させることで、外部媒体は産業車両1の外部から流入する。ファン26,28が回転することで、外部媒体は第1流路M21から第3流路M23に向けて流通する。第3流路M23に流入した外部媒体は、第1熱交換器22を流通するため、第1熱交換器22において蓄電装置21と熱交換を行う。ファン28が回転することで、外部媒体は、第3流路M23を流通し、第3流路M23の端部から産業車両1の外部に排出される。
【0069】
続いて、急速充電判定処理(ステップS13)において急速充電を実施する場合(ステップS13:YES)、上昇率判定処理(ステップS15)において蓄電装置21の温度上昇率が所定の閾値より大きい場合(ステップS15:YES)、及び下限温度判定処理(S17)において蓄電装置21の温度が下限温度より大きい場合(ステップS17:YES)、制御部25及び供給制御部34によって第1三方弁27の開閉の制御が行われる(ステップS23)。供給制御部34は、第2流路M22と第3流路M23とを連通させるように制御部25に指示する信号を制御部25に送信する。
【0070】
信号を受信した制御部25は、第1三方弁27の開閉を制御する。これにより、第2流路M22と第3流路M23とが連通する。制御部25は、第1流路M21と第3流路M23との空間が連通しないように第1三方弁27の開閉を制御する。制御部25は、第1三方弁27から第2流路M22と第3流路M23とが連通したことを示す第1開閉情報を取得する。なお、供給制御部34が取得処理(ステップS11)において取得した第1開閉情報において、既に第2流路M22と第3流路M23とが連通している場合、供給制御部34は、第2三方弁制御処理(ステップS23)を実行しなくてもよい。
【0071】
続いて、制御部25が第1開閉情報により第2流路M22と第3流路M23とが連通していると認識した後、供給制御部34の制御によって急速充電として充電部32から蓄電装置21に電力が供給され、冷却部33及び供給制御部34によってバッテリパック20に向けて第1冷却媒体を流通させる(ステップS25)。供給制御部34は、冷却部33が第1冷却源40から第1冷却媒体を取得するように冷却部33を制御する。供給制御部34は、冷却部33から第1冷却信号を受信した場合、供給制御部34は、冷却部33によって第1冷媒流路M31から第2流路M22及び第3流路M23に向けて第1冷却媒体を流通させる。第3流路M23に流入した第1冷却媒体は、第1熱交換器22を流通するため、第1熱交換器22において蓄電装置21と熱交換を行う。例えば、制御部25がファン28を回転させることで、第1冷却媒体は、第1熱交換器22及び第3流路M23を流通し、第3流路M23の端部から産業車両1の外部に排出される。
【0072】
続いて、供給制御部34によって外部媒体流通処理(ステップS21)又は冷却媒体流通処理(ステップS25)が実行された後、所定の時間後、充電が完了したか否かを判定する(ステップS27)。供給制御部34は、制御部25を介して車両情報を取得する。車両情報に含まれる蓄電情報のうち、充電可能な電力容量が0又は所定の閾値未満である場合に、供給制御部34は、産業車両1の蓄電装置21の充電が完了したと判定する。供給制御部34において充電が完了したと判定されない場合(ステップS27:NO)、供給制御部34は再び取得処理(S11)から一連の処理を実行する。
【0073】
供給制御部34において充電が完了したと判定された場合(ステップS27:YES)、供給制御部34は、充電器31による蓄電装置21に対する充電処理及び冷却処理を終了する。供給制御部34は、例えば、充電部32による蓄電装置21への電力の供給を停止させる。供給制御部34は、例えば、冷却部33による第1冷却源40からの第1冷却媒体の取得を停止させる。以上の供給方法の各処理により、供給システム100は、産業車両1の蓄電装置21に対して適切に充電処理及び冷却処理を実施することができる。
【0074】
以上のように、本実施形態の供給システム100、産業車両1及び供給部30は、産業車両1に冷却された流体を生成する冷却装置を設けることなく急速充電時の温度上昇を緩和することができる。供給システム100では、供給部30の充電部32が産業車両1の蓄電装置21に電力を供給すると共に、供給部30の冷却部33が産業車両1の媒体流路M20に第1冷却媒体を供給させる。これにより、媒体流路M20は、蓄電装置21を冷却させることのできる第1冷却媒体を第1熱交換器22に流通させることができ、蓄電装置21の温度を低下させることができる。
【0075】
また、第1三方弁27が切り替わることにより第3流路M23に外部媒体又は第1冷却媒体のいずれか一方が流通する。このため、例えば、蓄電装置21における熱交換に寄与する度合いが高い適切な媒体を第3流路M23に流通させることができる。第1三方弁27により第3流路M23内に流通させる媒体を外部媒体から第1冷却媒体に切り替えた後、第1冷却媒体を第3流路M23内に流し続けることで、外部媒体の温度の影響を抑制した上で第1冷却媒体の温度による冷却効果を蓄電装置21に十分に与えることができる。したがって、第1三方弁27を適切に切り替えることで、蓄電装置21における熱交換に適切な媒体を第3流路M23に流通させることができる。
【0076】
また、第1三方弁27は蓄電装置21の温度に基づいて切り替わるため、例えば、外部媒体又は第1冷却媒体のうち、適切な媒体を第3流路M23に流通させることができる。したがって、制御部25が蓄電装置21の温度に基づいて第1三方弁27を適切に切り替えることで、第1熱交換器22における熱交換に適切な媒体を第3流路M23に流通させることができる。
【0077】
冷却部33は、第1冷却源40から供給された第1冷却媒体を媒体流路M20に供給することができる。この場合、供給制御部34は、冷却部33を介して第1冷却源40からの第1冷却媒体を媒体流路M20に供給することができる。また、冷却部33は、外部媒体より低温の第1冷却媒体を第1冷却源40から取得することができる。したがって、蓄電装置21における冷却性能を適切に確保することができる。
【0078】
一般に、バッテリパックの蓄電装置の冷却方法として、車両の運転室内に対して冷却された流体を生成し当該流体を供給する冷却装置(空調装置)を利用して、冷却装置から供給される当該流体をバッテリ周辺に流通させる方法が一例として挙げられる。ここで、多くの産業車両のうちの一例である産業車両1は、一般的な車両と異なり運転室10が外部に向かって開放されている。このため、仮に冷却された流体を生成する冷却装置が当該産業車両に設けられた場合であっても、冷却された流体が産業車両の外部に流出してしまい、産業車両の運転室に対する冷却の効果が小さい。したがって、本実施形態の産業車両1では、運転室10に対する冷却された流体を生成する冷却装置が搭載されていない。このため、当該一般的な冷却方法を適用することが難しい。
【0079】
仮に、バッテリパックの蓄電装置を冷却させるために産業車両に冷却された流体を生成する冷却装置が設けられたとしても、当該冷却装置が効果的に使用されるのは蓄電装置の急速充電時のみであり、当該冷却装置により産業車両の重量及び電力消費が増大しうる。よって、当該冷却装置を搭載していない産業車両の方が、当該冷却装置を搭載した産業車両に比べて産業車両の運用の面において効率がよくなりうるため、産業車両のバッテリの冷却システムにおいては改善の余地がある。特に、産業車両に冷却された流体を生成する冷却装置を設けることなく急速充電時の温度上昇を緩和することができるシステムが求められていた。ここで、本実施形態の産業車両1は、冷却された流体を生成する冷却装置を備えることなく、供給システム100及び供給部30により急速充電時の温度上昇を緩和することができる。
【0080】
また、複数の産業車両1の蓄電装置21に対して充電処理及び冷却処理を行うとき、各産業車両に設けられた冷却された流体を生成する冷却装置により冷却する場合に比べて、供給部30が冷却部33を備えることによって、充電処理中に当該冷却装置によって各蓄電装置21の電力が消費されることが抑えられるため、効率的に各蓄電装置21に電力を供給することができる。
【0081】
また、外部媒体が第3流路M23を流通し、第1熱交換器22の内部に流入することが可能であるため、外部媒体と蓄電装置21とは、直接熱交換することができる。蓄電装置と熱交換するための所定の媒体が流通する流路と外部媒体が流通する流路とが第3流路M23のように共通化されておらず、異なる2つの流路間で当該所定の媒体と外部媒体とが熱交換する場合と比べて、本実施形態のバッテリパック20では、流路の配置を簡素化することができ、設置に係るコストを抑えることができる。
【0082】
また、産業車両1の車両情報に基づいて、外部媒体又は第1冷却媒体のいずれかの媒体による蓄電装置21の冷却処理を選択することができるので、エネルギー効率のよい充電処理及び冷却処理を実行することができる。
【0083】
また、多くの産業車両1が稼働する環境は、例えば、工場である。供給システム100は、多くの工場にインフラとして配備されている圧縮エアタンクを第1冷却源40として用いることができる。冷却部33は、第1冷却源40から供給された圧縮エアを第1冷却媒体として媒体流路M20に供給することができる。したがって、供給システム100は、産業車両1の稼働環境における既存のインフラを有効活用し、蓄電装置21を適切に冷却させることができる。
【0084】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る供給システムについて説明する。第2実施形態に係る供給システムは、第1実施形態に係る供給システム100とは異なる流路、冷却部、冷却源を備えている。第1実施形態に記載された名称に第1実施形態に記載の同一の数字が振られている構成は、第2実施形態においても第1実施形態と同一の構成及び機能を有する。第1実施形態に記載された名称に第1実施形態に記載の同一の数字が付され、新たに符号が付された構成は、第2実施形態において第1実施形態と同一の構成及び機能を一部有する。以降の説明では、第1実施形態と重複する説明を適宜省略する。
【0085】
図4は、本発明の第2実施形態に係る供給システムを示すブロック図である。図4に示すように、本実施形態の供給システム100Aは、産業車両1Aと、供給部30A(供給機の一例)と、第2冷却源50とを備える。供給システム100Aにおいて、供給部30Aは、産業車両1の蓄電装置21に対して急速充電を行うと共に蓄電装置21を冷却する機能を有する。
【0086】
産業車両1Aは、バッテリパック20Aを備える。バッテリパック20Aは、蓄電装置21と、第1熱交換器22と、温度測定部23と、接続部24Aと、制御部25Aとを備える。バッテリパック20Aは、第1冷却媒体が流通する媒体流路M20と、第1三方弁27(切替弁の一例)と、第2三方弁29と、ファン26,28Aとを備える。
【0087】
媒体流路M20は、第1流路M21と、第2流路M22と、第3流路M23と、第4流路M24と、第5流路M25とを有する。第2流路M22は、後述の冷却部33Aから第1冷却媒体が流通可能な流路である。
【0088】
第3流路M23の一端は、第1三方弁27を介して第1流路M21と第2流路M22と接続している。第3流路M23の他端は、第2三方弁29を介して第4流路M24と第5流路M25と接続している。第3流路M23は、蓄電装置21を冷却するために設けられる。第3流路M23の一部は、第1熱交換器22に配置される。
【0089】
第4流路M24は、第2三方弁29から外部媒体が流通可能な流路である。第4流路M24の一端は、例えば、産業車両1の外部に突出している。第5流路M25は、第2三方弁29から後述の冷却部33Aに向けて第1冷却媒体が流通可能な流路である。第1三方弁27及び第2三方弁29の開閉によって、第2流路M22、第3流路M23、第5流路M25及び後述の供給部30Aの内部の流路は、第1熱交換器22と冷却部33Aとの間で閉じた流路を形成することができる。
【0090】
第2三方弁29は、第3流路M23、第4流路M24及び第5流路M25とそれぞれ接続し、第3流路M23に流通する媒体に応じて第4流路M24又は第5流路M25のいずれかの流路と第3流路M23とが連通するように切り替える。第2三方弁29は、第3流路M23、第4流路M24及び第5流路M25の分岐点に設けられる。第2三方弁29は、制御部25の制御に基づいて弁の開閉を行う。
【0091】
第2三方弁29は、第3流路M23から第4流路M24に向けて外部媒体を流通させる場合には、第3流路M23と第4流路M24とが連通すると共に、第3流路M23と第5流路M25とが連通しないように弁を開閉させる。第2三方弁29は、第3流路M23から第5流路M25に向けて第1冷却媒体を流通させる場合には、第3流路M23と第5流路M25とが連通すると共に、第3流路M23内と第5流路M25とが連通しないように弁を開閉させる。
【0092】
第2流路M22及び第5流路M25は、それぞれ接続部24Aと接続している。第5流路M25の一端は、接続部24内の流体カプラと接続している。電気ケーブルE20、制御ケーブルC20、第2流路M22及び第5流路M25の各端部は、接続部24の外面24aにおいて供給部30Aのケーブル及び流路とそれぞれ接続可能に露出している。
【0093】
制御部25は、蓄電装置21、温度測定部23、ファン26,28A、第1三方弁27及び第2三方弁29と通信可能に接続する。制御部25は、第2三方弁29の開閉を制御する。制御部25は、第3流路M23に流通する媒体に応じて第4流路M24又は第5流路M25のいずれかの流路と第3流路M23とが連通するように切り替えるよう指示する信号を送信する。第2三方弁29は、当該信号を受信した場合に当該信号が示す指示に基づいて弁の開閉を行う。
【0094】
制御部25は、第2三方弁29から弁の開閉状態に関する情報である第2開閉情報を取得する。第2開閉情報は、例えば、第2三方弁29の弁の切り替えが完了したか否かに関する情報、又は、第3流路M23に対して第4流路M24又は第5流路M25のいずれが連通しているかを示す情報を含む。
【0095】
制御部25は、第2開閉情報に基づき、ファン28Aの回転を制御する。ファン28Aは、第4流路M24に設けられる。ファン28Aは、回転することで第1熱交換器22を通過した外部媒体を第3流路M23の内部及び第4流路M24の内部から流出させる。制御部25は、第3流路M23と第4流路M24とが連通している場合、ファン28Aを回転させる。制御部25は、第3流路M23と第5流路M25とが連通している場合、ファン28Aの回転を停止させる。
【0096】
供給部30Aは、産業車両1のバッテリパック20Aに含まれる蓄電装置21に対して電力を供給すると共に、蓄電装置21に対して第1冷却媒体を供給する。充電プラグ35は、第1冷媒流路M31及び第2冷媒流路M32を介して冷却部33Aと接続している。充電プラグ35Aは、第1冷媒流路M31の一端、及び第2冷媒流路M32の一端と流体カプラを介して接続している。充電プラグ35Aが接続部24に接続されたとき、第2冷媒流路M32は、第5流路M25と流体カプラを介して接続する。
【0097】
冷却部33Aは、ポンプ機能を有する。第2三方弁29の切り替えにより第3流路M23と第5流路M25とが連通する場合、第1冷却媒体は、第3流路M23から第5流路M25へ流入する。第1冷却媒体は、第5流路M25を流通し、第2冷媒流路M32に流入する。
【0098】
冷却部33Aは、第2冷却源50から供給された第2冷却媒体により第1冷却媒体を冷却する第2熱交換器36(熱交換器の一例)を有する。第2冷却媒体は、例えば、外部媒体及び第1冷却媒体より温度の低い気体又は液体である。第2冷却媒体は、例えば工場用水である。第2冷却源50は、例えば、工場用水貯留槽である。第2冷却源50は、例えば、外部の水源であってもよい。第2冷媒流路M32の一部は、第2熱交換器36の内部に設けられる。
【0099】
第2熱交換器36は、産業車両1の外部に設けられた第2冷却源50から供給される第2冷却媒体と、蓄電装置21と熱交換することで温度が上昇した第1冷却媒体とを熱交換させる。第2熱交換器36は、供給流路L50により第2冷却源50と接続している。供給流路L50は、その一部が第2熱交換器36の内部を通るように設けられる。供給流路L50の一端は第2冷却源50に接続され、供給流路L50の他端は供給部30Aの外部に設けられる。第2冷却媒体は、第2冷却源50から供給流路L50を流通し、第2熱交換器36の内部を流通して供給部30Aの外部にて排出される。
【0100】
第2熱交換器36において、例えば、第2冷媒流路M32と供給流路L50とは互いに隣接している。第2熱交換器36に配置された第2冷媒流路M32内を流通する第1冷却媒体は、供給流路L50を流通する第2冷却媒体と熱交換することで冷却される。第2冷却媒体と熱交換することにより温度が下降した第1冷却媒体は、第2冷媒流路M32と連通している第1冷媒流路M31の内部を再び流通し、第2流路M22に流入する。
【0101】
例えば、冷却部33Aは、第2冷媒流路M32から第2熱交換器36に戻ってきて、第1冷媒流路M31、第2冷媒流路M32、第2流路M22、第3流路M23及び第5流路M25により形成された閉じた流路に閾値以上の流量の第1冷却媒体が充填された場合、冷却部33Aは、第1冷媒流路M31を介して第2流路M22に流通する第1冷却媒体の供給を停止する。冷却部33Aは、例えば、第1実施形態の第1冷却源40と同様の冷却源に接続され、予め上記の流路に第1冷却媒体を充填していてもよい。
【0102】
供給制御部34は、車両情報及び充電種類情報に基づいて、冷却部33Aから第3流路M23に供給される第1冷却媒体の流量、及び第2冷却媒体の流量を制御する。供給制御部34は、例えば、車両情報に含まれる温度情報、第1開閉情報及び第2開閉情報に基づいて当該流量の制御を行う。供給制御部34は、冷却部33Aに対して第2冷却源50から第2冷却媒体を取得するように制御すると共に、第1冷媒流路M31を介して第2流路M22に第1冷却媒体を供給するよう制御する。例えば、冷却部33Aが第2冷却源50から第2冷却媒体を供給流路L50に流通させた場合、供給制御部34は、冷却部33Aが第2冷却源50から第2冷却媒体を取得したことを示す信号である第2冷却信号を受信する。
【0103】
例えば、充電種類情報が示す情報が急速充電であり、かつ、温度情報において蓄電装置21の温度上昇率が所定の閾値より大きく、かつ、開閉情報において第2流路M22と第3流路M23とが連通している場合、かつ、開閉情報において第3流路M23と第5流路M25とが連通している場合、供給制御部34は、第2冷却信号を受信した後、冷却部33Aにおいて第1冷却媒体を所定の流量だけ第1冷媒流路M31に供給する。第1冷媒流路M31、第2冷媒流路M32、第2流路M22、第3流路M23及び第5流路M25により形成された閉じた流路に閾値以上の流量の第1冷却媒体が充填された場合、冷却部33Aは、第1冷媒流路M31を介して第2流路M22に流通する第1冷却媒体の供給を停止する。当該供給の停止以降、上記の条件に合致した場合、冷却部33Aは、第1冷媒流路M31、第2流路M22、第3流路M23、第5流路M25、第2冷媒流路M32の順に各流路内において第1冷却媒体を循環させる。
【0104】
例えば、温度情報において蓄電装置21の温度上昇率が閾値以下の場合、蓄電装置21の温度が下限温度以下である場合、又は、第1開閉情報において第1流路M21と第3流路M23とが連通している場合、供給制御部34は、冷却部33Aにおいて第2流路M22に供給する第1冷却媒体の流量を0にし、第1冷却媒体の供給及び循環を停止する。また、第2開閉情報において第3流路M23と第4流路M24とが連通している場合、供給制御部34は、冷却部33Aにおいて第2流路M22に供給する第1冷却媒体の流量を0にし、第1冷却媒体の供給及び循環を停止する。上記の各条件のいずれかに合致した場合、供給制御部34は、冷却部33Aにおいて第2冷却源50から取得する第2冷却媒体の流量を0にし、第2冷却媒体の供給を停止する。
【0105】
次に、供給システム100Aを利用して、産業車両1の蓄電装置21に対して充電及び冷却を実施する供給方法について説明する。図3は、本発明の第2実施形態に係る供給システムの処理内容を示すフローチャートである。図3に示される第1実施形態に係る供給システムの処理内容を示すフローチャートと同一の処理は説明を適宜省略する。
【0106】
第2実施形態では、第1三方弁制御処理(ステップS19)の第1三方弁27の制御に代わり、制御部25及び供給制御部34によって第1三方弁27及び第2三方弁29の開閉の制御が行われる(ステップS19A)。第2実施形態では、外部媒体流通処理(ステップS21)の代わりに、制御部25が第1開閉情報及び第2開閉情報により第1流路M21、第3流路M23及び第4流路M24が連通していると認識した後、制御部25によって第1流路M21から外部媒体が流通される(ステップS21A)。
【0107】
第2実施形態では、第2三方弁制御処理(ステップS23)の第1三方弁27の制御に代わり、制御部25及び供給制御部34によって第1三方弁27及び第2三方弁29の開閉の制御が行われる(ステップS23A)。第2実施形態では、冷却媒体流通処理(ステップS25)の代わりに、制御部25が第1開閉情報及び第2開閉情報により第2流路M22、第3流路M23及び第5流路M25が連通していると認識した後、冷却部33A及び供給制御部34によってバッテリパック20に向けて第1冷却媒体を流通させる(ステップS25A)。
【0108】
以上のように、本実施形態の供給システム100A、産業車両1A及び供給部30Aは、第1実施形態の供給システム100と同様の作用・効果を得ることができる。また、供給システム100Aにおいては、産業車両1Aの外部において第2冷却媒体を冷却部33Aに供給する第2冷却源50を備え、冷却部33Aは、第2冷却源から供給された第2冷却媒体により第1冷却媒体を冷却する第2熱交換器36を有し、媒体流路M20と第2熱交換器36との間で第1冷却媒体を循環させている。この場合、第1冷却媒体は、媒体流路M20と第2熱交換器36とを循環するように流通する。第1冷却媒体は、第2熱交換器36において第2冷却媒体と熱交換することにより温度が低下する。したがって、第1冷却媒体は、第2熱交換器36において適切に温度を低下させた状態で産業車両1Aに供給されるため、蓄電装置21に対する冷却性能を確保することができる。なお、供給システム100A、産業車両1A及び供給部30Aは、通常充電時にも利用することができるため、産業車両1Aに冷却された流体を生成する冷却装置を設けることなく通常充電時の温度上昇を緩和することもできる。
【0109】
また、多くの産業車両1Aが稼働するのは工場である。供給システム100Aは、工場にインフラとして配備されている工場用水を第2冷却源50として用いることができる。このとき、供給システム100Aは、産業車両1Aの稼働環境における既存のインフラを用いて蓄電装置21を適切に冷却させることができる。
【0110】
[変形例]
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。例えば、供給システム100,100Aは、外部媒体及び第1冷却媒体の温度を測定する温度センサを有していてもよい。供給システム100,100Aは、第1冷却媒体の温度が外部媒体の温度より所定の温度だけ低い場合に第3流路M23に第1冷却媒体を流通させるようにしてもよい。例えば、蓄電装置21と第1熱交換器22とは隣接していなくてもよい。この場合、蓄電装置21と第1熱交換器22との間を循環するように媒体を流通させることができる循環流路とポンプとが設けられてもよい。
【0111】
また、バッテリパック20には、制御部25が設けられなくてもよい。このとき、供給部30が産業車両1に接続されることで、供給制御部34が制御ケーブルC20,C30を介して蓄電装置21、温度測定部23、ファン26及び第1三方弁27と通信可能に接続する。供給制御部34は、蓄電装置21、温度測定部23、ファン26及び第1三方弁27を直接制御してもよく、各部から車両情報を直接取得してもよい。この場合、バッテリパック20に制御部25を設ける必要がないため、バッテリパック20内の配置を簡素化することができ、設置に係るコストを抑えることができる。
【0112】
第1三方弁27及び第2三方弁29の少なくとも一方は、制御部25又は供給制御部34により制御されなくてもよい。この場合、第1三方弁27及び第2三方弁29の少なくとも一方は、バッテリパック20の外部から当該三方弁を手動で操作可能なようにバッテリパック20外に露出していてもよい。
【0113】
供給方法において、急速充電判定処理(ステップS13)は行われなくてもよい。このとき、通常充電の場合であっても、例えば蓄電装置21の温度に基づいて、第1三方弁制御処理(ステップS19,S19A)及び外部媒体流通処理(ステップS21,S21A)を実行せず、第1冷却媒体を第3流路M23に流通させることができる。このとき、供給システム100、産業車両1及び供給部30は、通常充電時にも利用することができるため、産業車両1に冷却された流体を生成する冷却装置を設けることなく通常充電時の温度上昇を緩和することもできる。また、急速充電判定処理(ステップS13)が実行されない場合、急速充電の場合であっても、例えば、第2三方弁制御処理(ステップS23,S23A)及び冷却媒体流通処理(ステップS25,S25A)を実施せず、外部媒体を第3流路M23に流通させてもよい。
【0114】
また、上昇率判定処理(ステップS15)及び下限温度判定処理(ステップS17)の少なくとも一方の処理を実行しなくてもよい。上昇率判定処理(ステップS15)及び下限温度判定処理(ステップS17)の両方の処理を実行しない場合、例えば、接続部24と供給部30とが接続した後、第2三方弁制御処理(ステップS23,S23A)から処理を開始させてもよい。また、充電完了判定処理(ステップS27)を実行しなくてもよい。例えば、外部媒体流通処理(ステップS21,S21A)又は冷却媒体流通処理(ステップS25,S25A)を所定の時間だけ実行した場合に供給方法を終了してもよい。なお、急速充電判定処理(ステップS13)、上昇率判定処理(ステップS15)、下限温度判定処理(ステップS17)及び充電完了判定処理(ステップS27)を実行しない場合、取得処理(ステップS11)を実行しなくてもよい。
【0115】
第2実施形態において、第2三方弁開閉処理(ステップS21A)を実行する前に、第2冷却媒体の温度が外部媒体の温度より小さいことを、冷却部33Aにおいて第1冷却媒体を所定の流量だけ第2流路M22に供給するときの判定条件に加えてもよい。このとき、第2冷却媒体の温度が外部媒体の温度に比べて十分に低くなかった場合、第1冷却媒体の温度を十分に低下させることができない状態となることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0116】
1,1A…産業車両、4…リフトシリンダ、9…ティルトシリンダ、10…運転室、13…ステアリング、20,20A…バッテリパック、21…蓄電装置、22…第1熱交換器、23…温度測定部、24,24A…接続部、25,25A…制御部、26…ファン、27…第1三方弁、28,28A…ファン、29…第2三方弁、30,30A…供給部、31…充電器、32…充電部、33,33A…冷却部、34…供給制御部、35,35A…充電プラグ、36…第2熱交換器、40…第1冷却源、50…第2冷却源、100,100A…供給システム、C20,C30…制御ケーブル、E20,E30…電気ケーブル、L50…供給流路、M20…媒体流路、M21…第1流路、M22…第2流路、M23…第3流路、M24…第4流路、M25…第5流路、M31…第1冷媒流路、M32…第2冷媒流路。
図1
図2
図3
図4