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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】洗車機
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
B60S3/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020182926
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022073133
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤井 宏和
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-152315(JP,A)
【文献】特開2003-212097(JP,A)
【文献】特開2002-029394(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0055350(KR,A)
【文献】欧州特許出願公開第02077211(EP,A1)
【文献】特開昭51-020477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄車両に対して前後方向に相対移動する洗車機本体と、
前記洗車機本体に配され、前記被洗浄車両のタイヤにタイヤコーティング剤を吹き付ける吹付部と、を有し、
前記吹付部は、前記タイヤのN箇所(Nは2以上の整数)に前記タイヤコーティング剤を塗布可能であり、
前記吹付部は、前記タイヤの中心軸に沿う方向に延びる回転軸を中心として第1方向および前記第1方向と逆向きの第2方向にそれぞれ(360/N)度で回転し、前記第1方向に回転するときと前記第2方向に回転するときとで、前記タイヤの異なる箇所に前記タイヤコーティング剤を吹き付ける洗車機。
【請求項2】
前記吹付部は、前記タイヤコーティング剤を噴出する第1ノズルおよび第2ノズルを有し、
前記第1ノズルおよび前記第2ノズルは、前記回転軸を中心に回転対称となる位置に配され、
前記吹付部が前記第1方向に180度回転するとき、前記第1ノズルが前記タイヤコーティング剤を噴出し、前記第2方向に180度回転するとき、前記第2ノズルが前記タイヤコーティングを噴出する請求項1に記載の洗車機。
【請求項3】
前記第1ノズルおよび前記第2ノズルは、先端部側が前記回転軸に接近するように傾斜している請求項に記載の洗車機。
【請求項4】
前記第1ノズルおよび前記第2ノズルは、先端部側が前記回転軸を中心とする周方向の同じ方向に向くように傾斜している請求項に記載の洗車機。
【請求項5】
前記タイヤの所定の位置に前記タイヤコーティング剤が吹き付けられるように、前記吹付部を移動させる移動部を有する請求項1から請求項4のいずれかに記載の洗車機。
【請求項6】
前記移動部は、前記吹付部の回転軸が前記タイヤの中心軸に接近するように前記吹付部を上下方向に移動させる請求項に記載の洗車機。
【請求項7】
前記移動部は、前記吹付部と前記タイヤとが所定の間隔をあけて前記回転軸方向に対向するように、前記吹付部を前記回転軸に沿う方向に移動させる請求項または請求項に記載の洗車機
【請求項8】
前記移動部は、前記吹付部を前記被洗浄車両に接近した下部位置と前記被洗浄車両から離れた上部位置との間を往復移動させる請求項に記載の洗車機。
【請求項9】
前記洗車機本体に配されて左右方向に移動可能なサイド送風ノズルをさらに有し、
前記移動部は、前記サイド送風ノズルに取付られている請求項から請求項のいずれかに記載の洗車機。
【請求項10】
前記サイド送風ノズルの左右方向の移動と、前記移動部による前記吹付部の移動とは、それぞれ独立して行われる請求項に記載の洗車機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被洗浄車両のタイヤにコーティング処理を行う洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の洗車機は特許文献1に開示される。洗車機は、自動車のタイヤ部へ洗浄水を高圧噴射するタイヤ洗浄装置を備えている。タイヤ洗浄装置は、異なる高さに配された複数のノズルで構成され、各ノズルを適宜切り替えて噴射して、タイヤの洗浄を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-59816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の洗車機のタイヤ洗浄装置は、複数のノズルを切り替えてタイヤのサイズに合わせて洗浄水を吹き付けている。しかしながら、タイヤのサイズに合わせてノズルを用意する場合、ノズルの数が多くなるとともに、配管が複雑になり、洗車機が大型化する。
【0005】
本発明は、大型化を抑制しつつ、被洗浄車両のタイヤに効率よくタイヤコーティングを行うことができる洗車機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の洗車機は、被洗浄車両に対して前後方向に相対移動する洗車機本体と、前記洗車機本体に配され、前記被洗浄車両のタイヤにタイヤコーティング剤を吹き付ける吹付部と、を有する。前記吹付部は、前記タイヤのN箇所(Nは2以上の整数)に前記タイヤコーティング剤を塗布可能である、前記吹付部は、前記タイヤの中心軸に沿う方向に延びる回転軸を中心として第1方向および前記第1方向と逆向きの第2方向にそれぞれ(360/N)度で回転し、前記第1方向に回転するときと前記第2方向に回転するときとで、前記タイヤの異なる箇所に前記タイヤコーティング剤を吹き付ける。
【0007】
この構成によると、吹付部の回転軸周りに往復回転するときに、タイヤの異なる領域にタイヤコーティング剤を塗布する構成である。そのため、タイヤに過不足なくタイヤコーティング剤を塗布することができる。また、タイヤコーティング剤を噴出させるために必要な圧縮空気の同時供給量を抑えることができる。これにより、圧縮空気の最大供給量を抑えることができ、小型の圧縮機でも効果的にタイヤコーティング剤をタイヤに吹き付けることができ、洗車機大型化を抑制できる。
【0008】
上記構成の洗車機において、前記吹付部は、前記タイヤコーティング剤を噴出する第1ノズルおよび第2ノズルを有し、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルは、前記回転軸を中心に回転対称となる位置に配され、前記吹付部が前記第1方向に180度回転するとき、前記第1ノズルが前記タイヤコーティング剤を噴出し、前記第2方向に180度回転するとき、前記第2ノズルが前記タイヤコーティングを噴出する。これにより、タイヤコーティング剤を片方ずつノズルから交互に噴出するため、単位時間当たりのタイヤコーティング剤の噴出に必要な圧縮空気の量を抑えることができ、洗車機大型化を抑制できる。
【0009】
上記構成の洗車機において、前記タイヤの所定の位置に前記タイヤコーティング剤が吹き付けられるように、前記吹付部を移動させる移動部を有する。この構成によると、適切な位置からタイヤコーティング剤を噴出するため、タイヤコーティング剤がタイヤ以外に吹き付けられたり、タイヤに当たって飛び散ったりして、タイヤ以外の部分(例えば、ボディ)に付着することを抑制できる。
【0010】
上記構成の洗車機において、前記移動部は、前記吹付部の回転軸が前記タイヤの中心軸に接近するように前記吹付部を上下方向に移動させる。また、前記移動部は、前記吹付部と前記タイヤとが所定の間隔をあけて前記回転軸方向に対向するように、前記吹付部を前記回転軸に沿う方向に移動させる。このように構成することで、異なる大きさのタイヤに対応することが可能である。また、被洗浄車両の側面と吹付部との距離を常に一定に保つことができるため、タイヤにタイヤコーティング剤を略均一に吹き付けることができる。
【0011】
上記構成の洗車機において、前記移動部は、前記吹付部を前記被洗浄車両に接近した下部位置と前記被洗浄車両から離れた上部位置との間を往復移動させてもよい。
【0012】
上記構成の洗車機において、前記洗車機本体に配されて左右方向に移動可能なサイド送風ノズルをさらに有し、前記移動部は、前記サイド送風ノズルに取付られていてもよい。
【0013】
上記構成の洗車機において、前記サイド送風ノズルの左右方向の移動と、前記移動部による前記吹付部の移動とは、それぞれ独立して行われてもよい。
【0014】
上記構成の洗車機において、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルは、先端部側が前記回転軸に接近するように傾斜していてもよい。前記第1ノズルおよび前記第2ノズルは、先端部側が前記回転軸を中心とする周方向の同じ方向に向くように傾斜していてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、大型化を抑制しつつ、被洗浄車両のタイヤに効率よくタイヤコーティングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明にかかる洗車機の側面図である。
図2図1に示す洗車機の正面図である。
図3】吹付部の近傍を拡大した側面図である。
図4】吹付部の正面図である。
図5】異なる大きさの被洗浄車両とタイヤの位置を示す図である。
図6】第1ノズルからのタイヤコーティング剤が吹き付けられている状態を示す図である。
図7】第2ノズルからのタイヤコーティング剤が吹き付けられている状態を示す図である。
図8】洗車機の第1往路工程を示す側面図である。
図9】洗車機の第1復路工程の途中を示す側面図である。
図10】第2往路工程および第2復路工程の途中の被洗浄車両の前輪にタイヤコーティング処理を行っている状態の洗車機を示す側面図である。
図11】第2往路工程および第2復路工程の途中の被洗浄車両の後輪にタイヤコーティング処理を行っている状態の洗車機を示す側面図である。
図12】洗車機の第3往路工程の途中を示す側面図である。
図13】洗車機の第4往路工程の途中を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明にかかる洗車機100を示す側面である。図2図1に示す洗車機100の正面図である。洗車機100は、洗車機本体10と、レール60とを備える。洗車機本体10は、左右の対向する2つのスタンド部10dと、スタンド部10dの上端を連結する天井部10cと、を有した門型に形成される。
【0018】
レール60は、地面G上に左右一対設けられ、スタンド部10dの底面に設けられた車輪10eがレール60上に配される。これにより、洗車機本体10はレール60上に立設され、走行モータ(不図示)の駆動によりレール60上を走行して被洗浄車両CAに対して前後方向に移動する。
【0019】
洗車機本体10に対する進入経路に沿って配されるリモートパネルRpを有する。リモートパネルRpは複数のボタンを有し、洗車条件を設定する。また、洗車機本体10の一方のスタンド部10dの入口面10a側の面には、操作パネルCpが配される。操作パネルCpはリモートパネルRpと同様、洗車条件を設定できる。
【0020】
リモートパネルRpおよび操作パネルCpで設定できる洗車条件としては、例えば、シャンプー、ワックス掛け、撥水コート等を挙げることができる。また、高級なシャンプー、高級なワックス、高級な撥水コート、特殊なコート等を含んでいてよい。
【0021】
洗車機本体10には、被洗浄車両CA上に周どうしてブラッシングする複数の回転ブラシが設けられる。回転ブラシには、トップブラシ31と、サイドブラシ32と、タイヤブラシ33と、が含まれる。
【0022】
トップブラシ31は、天井部10cに昇降可能に設けられて左右方向に配した回転軸で回転し、被洗浄車両CAの上面を洗浄する。サイドブラシ32は、両スタンド部10dの出口面10b側にそれぞれ左右方向に進退可能に設けられて上下方向に配した回転軸で回転し、被洗浄車両CAの前面、両側面および後面を洗浄する。
【0023】
タイヤブラシ33は両スタンド部10dの下部にそれぞれ左右方向に進退可能に設けられ、被洗浄車両CAのタイヤTyの外面を洗浄する。タイヤブラシ33はサイドブラシ32よりも洗車機本体10の入口面10a側に配される。なお、タイヤブラシ33に替えてまたはタイヤブラシ33に加えて、被洗浄車両CAの下部を洗浄するロッカーブラシを備えてもよい。
【0024】
洗車機本体10には気流を発生するブロア20が配される。ブロア20には被洗浄車両CAに向けて空気流を送出する複数の送風ノズルが接続される。送風ノズルはトップ送風ノズル21及びサイド送風ノズル22を含む。
【0025】
トップ送風ノズル21は天井部10cに昇降可能に設けられる。トップ送風ノズル21は、被洗浄車両CAの上面及び後面に沿って移動して送風により上面及び後面を乾燥させる。サイド送風ノズル22は両スタンド部10dに左右方向に進退可能に設けられる。サイド送風ノズル22は、送風により被洗浄車両CAの側面を乾燥させる。このとき、サイド送風ノズル22からの送風は、被洗浄車両CAのタイヤTyにも吹き付けられ、タイヤTyも乾燥させる。サイド送風ノズル22は、左右方向に3段階4ポジションで移動可能である。しかしながら、移動の段階は、3段階に限定されず、これ以上でも以下でもよい。また、無段階で移動可能であってもよい。
【0026】
洗車機本体10の両スタンド部10dのトップブラシ31よりも入口面10a側には、車形センサSrが設けられている。車形センサSrは光電センサ、超音波センサ等から成り、洗車機本体10に進入する被洗浄車両CAを側面投影した車両形状を検知する。なお、車形センサSrは、車両形状を検知するとともに、タイヤTyの大きさを検知する。
【0027】
スタンド部10dには洗剤やコーティング剤等の各種液剤を貯液した複数の貯液タンク(不図示)を収納するタンク収納部50が配される。タンク収納部50の上方には市水及び各貯液タンクからの液剤を分配する分配配管部51が設けられる。分配配管部51には洗剤ノズル11、水ノズル12、13、15がそれぞれ電磁弁(不図示)を介して導出される。
【0028】
洗剤ノズル11は天井部10cの左右方向の複数箇所に設けられるとともに、図示しないが、両スタンド部10dに設けられる。また、洗剤ノズル11は入口面10aとトップブラシ31との間に配され、洗剤の水溶液を噴射する。
【0029】
水ノズル12、13、15は天井部10cの左右方向の複数箇所に設けられるとともに、図示しないが、両スタンド部10dに設けられる。水ノズル12は洗剤ノズル11と入口面10aとの間に配される。水ノズル13はトップブラシ31と出口面10bとの間に配される。水ノズル15は水ノズル13と出口面10bとの間に配される。
【0030】
水ノズル12、13、15は被洗浄車両CAに対して市水から成る洗浄水を噴射する。水ノズル12、13、15により被洗浄車両CAの水洗いによる洗浄を行うとともに、水洗による洗剤のすすぎを行う。本実施形態の洗車機100では、車両の洗剤および市水による洗浄を行う構成を示しているが、コーティング剤を噴射して、被洗浄車両CAの表面のコーティングを行う構成であってもよい。この場合、水ノズル12、13、15は、コーティング剤の水洗によるすすぎを行う。
【0031】
洗車機100には、被洗浄車両CAのタイヤTyの外側面にタイヤコーティング処理を行う吹付部40を有する。図3は、吹付部40の近傍を拡大した正面図である。図4は、吹付部40の近傍を拡大した側面図である。吹付部40は、サイド送風ノズル22に取り付けられる。吹付部40は、第1ノズル41と、第2ノズル42と、回転台座部43と、回転アクチュエータ44と、移動部45と、を有する。
【0032】
回転台座部43は、サイド送風ノズル22よりも入口面10a側に取り付けられる。回転台座部43は、被洗浄車両CAの中心軸Axに沿う方向に延びる、回転軸Bx周りに回転可能に配される。なお、回転軸Bxが中心軸Ax1に沿って延びるとは、回転軸Bxが中心軸Ax1と一致する場合を含み、第1ノズル41および第2ノズル42から噴出されたタイヤコーティング剤を確実にタイヤに付着できる範囲でずれている場合を含む。
【0033】
回転台座部43には、タイヤTyの外側面と対向するように第1ノズル41および第2ノズル42が配される。図3図4に示すように、第1ノズル41および第2ノズル42は、回転軸Bxを挟んで反対側で、回転軸Bxから等距離の位置、すなわち、正対した位置に配される。
【0034】
第1ノズル41および第2ノズル42は、分配配管部51に接続されており、タンク収納部50に収容されているタイヤコーティング剤貯液タンク(不図示)に接続される。また、第1ノズル41および第2ノズル42には、圧縮空気が供給されており、タイヤコーティング剤は圧縮空気と同時に噴出されることで、霧状または泡状になる。
【0035】
第1ノズル41および第2ノズル42は同じ形状を有し、回転軸Bxを中心に回転対称に配される。図4に示すように、第1ノズル41および第2ノズル42は、タイヤTyに接近するにつれて回転軸Bxに接近するように傾斜している。
【0036】
また、図3に示すように、回転軸Bx方向から見て、第1ノズル41および第2ノズル42は、第1方向Rt1に向かって傾斜している。傾斜方向は、逆、すなわち、第2方向Rt2に向かって傾斜していてもよい。
【0037】
入口面10a側から見たとき、第1ノズル41から噴出されるタイヤコーティング剤は、タイヤTyの外側面の回転軸Bxを挟んだ反対側に吹き付けられる。同様に、第2ノズル42から噴出されるタイヤコーティング剤は、タイヤTyの外側面の回転軸Bxを挟んだ反対側に吹き付けられる。そのため、第1ノズル41および第2ノズル42それぞれの先端からタイヤコーティング剤が吹き付けられる面までの長さが長くなる。
【0038】
これにより、第1ノズル41および第2ノズル42から噴出されたタイヤコーティングは、十分に発泡した状態または十分に霧化された状態でタイヤTyの外側面に吹き付けられる。そのため、吹き付けられたタイヤコーティング剤は、タイヤTyの外側面から流れにくい。これにより、タイヤコーティング剤をタイヤTyの外側面に付着させておくことができる。
【0039】
第1ノズル41および第2ノズル42の先端からタイヤTyの外側面のタイヤコーティング剤が付着する面までの長さを長くすることで、タイヤTyに衝突するときのタイヤコーティング剤の流速が低下する。そのため、タイヤTyの外側面に吹き付けられたタイヤコーティング剤が飛び跳ねにくく、被洗浄車両CAのボディ、ホイル、ブレーキ、タイヤハウスへのタイヤコーティング剤の付着を抑制できる。
【0040】
回転アクチュエータ44は、回転台座部43を、回転軸Bx周りの両方向に回転する。なお、回転台座部43の回転方向は、回転台座部43の上部が入口面10a側に向かう方向を第1方向Rt1、出口面10b側に向かう方向を第2方向Rt2とする。つまり、第1方向Rt1と第2方向Rt2とは、回転軸Bx周りの周方向であって、互いに逆向きである。回転アクチュエータ44は、空気圧で回転駆動される構成を採用しているが、これに限定されない。例えば、電動モータを用いた構成であってもよい。
【0041】
移動部45によって、回転台座部43は被洗浄車両CAに接近した下部位置と被洗浄車両CAから離れた上部位置との間を往復移動する。つまり、移動部45による回転台座部43の移動方向は、地面Gに対して一定の角度をなしている。移動部45による回転台座部43の移動方向の地面Gに対する角度は、別の角度であってもよく、調整可能であってもよい。
【0042】
そして、移動部45は、上部位置と下部位置とで保持可能である。つまり、移動部45は、回転台座部43を2ポジションのいずれかに移動させ、その位置で固定する。しかしながら、これに限定されず、回転台座部43を移動の途中の所定の位置で停止させて、その位置で安定して保持できる構成の移動部45を採用してもよい。
【0043】
なお、移動部45として、例えば、空気圧で伸縮する空圧シリンダを採用できるが、これに限定されず、回転台座部43を上述の方向に往復移動させることができる構成を広く採用できる。移動部45によって回転台座部43は上下方向の移動に伴って左右方向に移動される。なお、移動部45は、回転台座部43を上下方向および左右方向にそれぞれ独立して移動させる構成であってもよい。
【0044】
吹付部40は、サイド送風ノズル22の移動によって、左右方向に3段階4ポジションに移動可能であるとともに、移動部45によって2ポジションに移動可能である。つまり、吹付部40は、高さおよび左右方向が異なる8ポジションに移動可能である。サイド送風ノズル22および移動部45の少なくとも一方の移動可能なポジションを変更することで、吹付部40がとりうるポジションも変更可能である。
【0045】
なお、サイド送風ノズル22の左右方向の移動と、移動部45の上下方向の移動は、互いに独立して行われる。そのため、吹付部40を、左右方向および上下方向に独立して移動させることができる。これにより、例えば、4つの角部がすべて90度のときに最下点となり、左右方向に移動した分、上下方向にも連動して移動する平行四辺形状のリンク枠を用いたリンク機構を用いて吹付部40を移動させた場合と比べて、吹付部40の取りうるポジションの自由度が高くなる。
【0046】
これにより、吹付部40は、タイヤコーティング剤をタイヤTyの所定の位置に正確に吹き付けることができる。ここで、タイヤTyの所定の位置とはタイヤホイルを除くタイヤTyの外側面である。すなわち、吹付部40は、タイヤTyの所定の位置に正確に吹き付けるため、タイヤTyにタイヤコーティング処理を行うとき、被洗浄車両CAのボディ、ホイル、ブレーキ、タイヤハウスにタイヤコーティング剤の付着を抑制できる。
【0047】
また、移動部45として、吹付部40の回転軸BxがタイヤTyの中心軸Axに接近するように上方から下方に移動させる構成を挙げているが、下方から上方に接近できるようにしてもよい。このようにすることで、もし吹付部40の回転軸Bxが中心軸Axから下方向にずれたとしても、被洗浄車両CAのボディにタイヤコーティング剤が付着することを抑制できる。
【0048】
洗車機100は、異なる大きさの被洗浄車両CAの洗浄が可能である。図5は、異なる大きさの被洗浄車両とタイヤの位置を示す図である。通常、大型の被洗浄車両CA1には、大径タイヤTy1が装着される。また、小型の被洗浄車両CA2には、小径タイヤTy2を有する。
【0049】
図5に示すように、大型の被洗浄車両CA1は、小型の被洗浄車両CA2に比べて横幅が広い。そのため、洗車機100にかけたとき、大径タイヤTy1の外側面は、小径タイヤTy2の外側面より、スタンド部10dの近くに配される。また、大径タイヤTy1の中心軸Ax1は、小径タイヤTy2の中心軸Ax2よりも上方にある。
【0050】
そのため、移動部45にて回転台座部43を上方かつスタンド部10dに近づく方向に移動させることで、第1ノズル41および第2ノズル42を大径タイヤTy1の外側面に対向させるとともに、回転台座部43の回転軸Bxが大径タイヤTy1の中心軸Ax1に沿って延びる。これにより、大径タイヤTy1の所定の位置にタイヤコーティング剤を吹き付けるタイヤコーティング処理が実行可能となる。
【0051】
同様に、移動部45にて回転台座部43を下方かつスタンド部10dから離れる方向に移動させることで、第1ノズル41および第2ノズル42を小径タイヤTy2の外側面に対向させるとともに、回転台座部43の回転軸Bxが小径タイヤTy2の中心軸Ax2沿って延びる。これにより、小径タイヤTy2の所定の位置にタイヤコーティング剤を吹き付けるタイヤコーティング処理が実行可能となる。
【0052】
また、大型の被洗浄車両CA1と、小型の被洗浄車両CA2との間の大きさの被洗浄車両の洗浄を行う場合、回転台座部43を移動部45による移動の途中で停止させることで、大型の被洗浄車両CA1および小型の被洗浄車両CA2と同様にタイヤコーティング処理が実行可能となる。
【0053】
また、被洗浄車両CAの洗車機100に対する左右方向の位置が、予め想定している位置からずれる場合がある。この場合、タイヤTyの左右方向の位置も予め決められた位置からずれる。このような場合において、第1ノズル41および第2ノズル42とタイヤTyの外側面との間隔は、サイド送風ノズル22の移動によって調整することが可能である。このような構成とすることで、被洗浄車両CAの左右方向の位置がずれた場合や、予め想定している大きさよりも大きいまたは小さいタイヤTyを装着している被洗浄車両CAのタイヤTyへのタイヤコーティング処理も正確に行うことができる。
【0054】
なお、吹付部40は、洗車を行うときに被洗浄車両CAと干渉しないニュートラル位置に配される。ニュートラル位置としては、特に限定しないが、例えば、想定している最小径のタイヤにタイヤコーティング処理を行う位置と、最大径のタイヤにタイヤコーティング処理を行う位置との間の位置としている。これにより、吹付部40の移動量を少なくすることができ、タイヤコーティング処理における吹付部40の移動時間を短くできる。そのため、タイヤコーティング処理に要する時間を短くすることができる。
【0055】
次に、吹付部40による、タイヤTyに対するタイヤコーティング処理について説明する。図6は、第1ノズル41からのタイヤコーティング剤が吹き付けられている状態を示す図である。図7は第2ノズル42からのタイヤコーティング剤が吹き付けられている状態を示す図である。なお、図6図7では、タイヤコーティング剤CLとし、タイヤコーティング剤CLとして説明する。
【0056】
図6図7に示すように、吹付部40では、第1ノズル41および第2ノズル42が周方向に180度の間隔をあけて配されている。第1ノズル41と第2ノズル42が鉛直方向に並ぶとともに、第1ノズル41が第2ノズル42の下方に配された状態を回転初期位置とする。また、第1ノズル41および第2ノズル42から噴出されるタイヤコーティング剤CLのタイヤTyと接触する部分を吹付領域Spとする。
【0057】
吹付部40、回転初期位置から第1方向Rt1に180度回転した反転位置まで回転する間、第1ノズル41からタイヤコーティング剤CLを噴出する。これにより、タイヤTyのタイヤコーティング剤CLが吹き付けられている吹付領域Spは、タイヤTyの入口面10a側上部の第1吹付領域Sp1から、タイヤTyに入口面10a側を通過して、タイヤTyの出口面10b側下部の第2吹付領域Sp2まで移動する(図6参照)。
【0058】
また、吹付部40は、反転位置から第2方向Rt2に初期位置まで回転する間、第2ノズル42からタイヤコーティング剤CLを噴出する。これにより、タイヤTyのタイヤコーティング剤CLが吹き付けられている吹付領域Spは、タイヤTyの入口面10a側上部の第1吹付領域Sp1から、タイヤTyに出口面10b側を通過して、タイヤTyの出口面10b側下部の第2吹付領域Sp2まで移動する(図7参照)。
【0059】
このようにすることで、タイヤTyの外側面の全周に渡って、正確にタイヤコーティング剤CLを塗布することが可能である。そして、第1ノズル41および第2ノズル42が交互に動作するため、同時に供給される圧縮空気の量を減らすことができる。そのため、単位時間当たりの圧縮空気の必要量を減らすことができるので、圧縮空気を発生する圧縮機を小型化でき、洗車機100自体を小型化することができる。また、圧縮機による圧縮空気の最大吐出量を抑えることができ、エネルギ消費を減らすことができる。
【0060】
上記構成の洗車機100において、ユーザが運転して被洗浄車両CAをリモートパネルRpの面前で停車させ、被洗浄車両CAの洗車条件の設定を被洗浄車両CA内から行う。洗車条件を設定した後、ユーザは所定の洗浄開始位置まで被洗浄車両CAを移動させる。
【0061】
リモートパネルRpの操作により、ユーザは、水洗いコース、シャンプーコース、タイヤコーティングコースを選択することができる。水洗いコースは回転ブラシを回転して水ノズル12、13、15から市水の洗浄水を噴射し、被洗浄車両CAを水洗いする。シャンプーコースは回転ブラシを回転して洗剤ノズル11から洗剤を含む洗浄水を噴射し、被洗浄車両CAを洗浄する。この時、水ノズル12、13から市水の洗浄水を噴射して被洗浄車両CAの予備洗浄及び洗剤のすすぎが行われる。タイヤコーティングコースはシャンプーコースと同様に被洗浄車両CAを洗浄した後、被洗浄車両CAのタイヤTyの外側面にタイヤコーティング剤を塗布する。
【0062】
図8図13はタイヤコーティングコースの洗車状態を示す側面図である。なお、図8図13において、洗車機本体10の移動方向を矢印で示し、移動中の方向を実線で示す。また、同じ動作状態で、停止後移動する場合や現在の移動方向と逆方向に移動する場合、その移動方向については、点線で示している。
【0063】
タイヤコーティングコースを選択して洗車が開始されると、図8に示すように洗車機本体10が被洗浄車両CAの後方(矢印E1)に所定の走行速度(例えば、5m/min)で移動して第1往路工程が行われる。第1往路工程では車形センサSrにより被洗浄車両CAの形状およびタイヤTyの大きさを検出しながら、各回転ブラシが回転して被洗浄車両CAの前後面及び上面が洗浄される。
【0064】
この時、トップブラシ31に先行する洗剤ノズル11から洗剤の洗浄水S2が噴射される。また、洗剤ノズル11に先行する水ノズル12から市水の洗浄水S1が噴射される。これにより、洗浄水S1により濡れた被洗浄車両CAの車体面にトップブラシ31及びサイドブラシ32が摺動し、洗剤を含む洗浄水S2による洗浄が行われる。また、タイヤTyおよびホイルの外側面をタイヤブラシ33が摺動し、タイヤTyおよびホイルが洗剤を含む洗浄水S2による洗浄が行われる。
【0065】
また、第1往路工程では、トップブラシ31、サイドブラシ32およびタイヤブラシ33に後行する水ノズル13、15から市水の洗浄水S1が噴射される。これにより、被洗浄車両CAの車両面を洗浄した洗剤の一部が洗い流される。
【0066】
被洗浄車両CAの後面まで洗浄が終了すると、図9に示すように洗車機本体10反転して被洗浄車両CAの前方(矢印E2)に移動する第1復路工程が行われる。第1復路工程では回転ブラシが回転しながら水ノズル12、13、15から市水の洗浄水S1が噴射される。これにより、洗浄水S1で被洗浄車両CAの車両面を水洗いして洗剤を洗い流す、すすぎ洗浄が行われる。第1往路工程および第1復路工程が洗浄工程である。
【0067】
被洗浄車両CAの前面まで洗浄が終了すると第1復路工程が終了し、回転ブラシの回転が停止される。そして、洗車機本体10が反転して被洗浄車両CAの後方(矢印E1)に移動する第2往路工程が行われる。
【0068】
図10に示すように、第2往路工程において、洗車機本体10は、被洗浄車両CAの前輪Wh1のタイヤTyにコーティング処理が可能な位置まで移動し、停止する。なお、前輪Wh1のタイヤTyにコーティング処理が可能な位置とは、例えば、前輪Wh1のタイヤTyの中心軸Axの前後方向の位置と、吹付部40の前後方向の位置が重なった位置を挙げることができるが、これに限定されない。吹付部40が移動範囲において、前輪Wh1のタイヤTyと一定の間隔をあけて対向できる位置を広く採用できる。
【0069】
そして、必要に応じてサイド送風ノズル22を左右に移動させるとともに、移動部45により回転台座部43を移動する。これにより、吹付部40が、回転軸Bxが前輪Wh1のタイヤTyの中心軸Axに沿って延びる位置に配される。そして、第1ノズル41および第2ノズル42は前輪Wh1のタイヤTyと一定の間隔をあけて対向する(図5参照)。
【0070】
回転アクチュエータ44で回転台座部43を第1方向Rt1に回転させるとともに第1ノズル41からタイヤコーティング剤を前輪Wh1のタイヤTyの外側面に吹き付ける。回転台座部43が180度回転した後、回転台座部43を第2方向Rt2に反転させるとともに第2ノズル42からタイヤコーティング剤を前輪Wh1のタイヤTyの外側面に吹き付ける。これにより、前輪Wh1のタイヤTyの外側面の全周にタイヤコーティング剤が吹き付けられる。
【0071】
前輪Wh1のタイヤTyのコーティングが終了した後、第1ノズル41および第2ノズル42からのタイヤコーティング剤の噴出を停止する。そして、洗車機本体10は、被洗浄車両CAの後方への移動を再開する。洗車機本体10が移動するときに、第1ノズル41および第2ノズル42が被洗浄車両CAと干渉するあるいは干渉する可能性がある場合、サイド送風ノズル22および移動部45の少なくとも一方を動作させて、吹付部40を被洗浄車両CAから離間させる。洗車機本体10が移動するとき、常に、吹付部40を被洗浄車両CAから離間させる、例えば、ニュートラル位置に移動させてもよい。
【0072】
図11に示すように、第2往路工程において、洗車機本体10が、被洗浄車両CAの後輪Wh2のタイヤTyにコーティング処理が可能な位置に移動し、停止する。なお、後輪Wh2のタイヤTyにコーティング処理が可能な位置は、前輪Wh1のタイヤTyにコーティング処理が可能な位置と同様に設定される。
【0073】
そして、上述の前輪Wh1のタイヤTyのコーティング処理時と同様の動作で後輪Wh2のタイヤTyにタイヤコーティング工程を実行する。後輪Wh2のタイヤTyのタイヤコーティング処理が終了した後、第1ノズル41および第2ノズル42からのタイヤコーティング剤の噴出を停止し、必要に応じて吹付部40を移動させる。そして、洗車機本体10は、被洗浄車両CAの後方に移動する。洗車機本体10が被洗浄車両CAの後面よりも後方に移動したとき、第2往路工程が終了する。
【0074】
その後、洗車機本体10が反転して被洗浄車両CAの前方(矢印E2)に移動する第2復路工程が行われる。第2復路工程では、洗車機本体10は、後輪Wh2のタイヤTyにタイヤコーティング処理が可能な位置まで移動し、停止する(図11参照)。そして、上述と同様の手順で、洗車機本体10は、被洗浄車両CAの後輪Wh2のタイヤTyに対して、タイヤコーティング処理を行う。後輪Wh2へのタイヤコーティング処理の終了後、洗車機本体10は、被洗浄車両CAの前方への移動を再開する。
【0075】
その後、洗車機本体10は、前輪Wh1のタイヤTyへのタイヤコーティング処理が可能な位置まで移動し、停止する(図10参照)。そして、上述と同様の手順で、洗車機本体10は、被洗浄車両CAの前輪Wh1のタイヤTyに対して、タイヤコーティング処理を行う。前輪Wh1へのタイヤコーティング処理の終了後、洗車機本体10は、被洗浄車両CAの前方への移動を再開する。洗車機本体10が被洗浄車両CAの前面よりも前方に移動したとき、第2復路工程が終了する。
【0076】
第2往路工程および第2復路工程が、タイヤコーティング工程である。洗車機本体10のタイヤコーティングコースでは、前後の車輪のタイヤTyのそれぞれに、2回ずつ、タイヤコーティング処理が実行される。なお、洗車機本体10は、第2往路工程の最後に、被洗浄車両CAの後面よりも後方に移動しているが、これに限定されない。例えば、後輪Wh2のタイヤTyのタイヤコーティング処理が終了して一定時間経過後、再度、後輪Wh2のタイヤTyのタイヤコーティング処理を行った後、洗車機本体10を被洗浄車両CAの前方に移動させる第2復路工程を行ってもよい。また、本実施形態では、第2復路工程でも、Tyタイヤコーティング剤の吹き付けを行っているが、これに限定されず、洗浄水を吹き付けてタイヤTyのすすぎを行ってもよい。この場合も、第2復路工程は、タイヤコーティング工程である。なお、タイヤTyにタイヤコーティング剤を吹き付ける前に、タイヤTyに空気流を吹き付けてタイヤTyを乾燥させる部分乾燥工程を含んでいてもよい。
【0077】
第2復路工程が終了した後、図12に示すように、洗車機本体10が反転して被洗浄車両CAの後方(矢印E1)に移動する第3往路工程が行われる。第3往路工程では、水ノズル12、13、15から市水の洗浄水S1が噴射される。これにより、タイヤコーティング剤をなじませるためのリンス処理が行われる。なお、このとき、被洗浄車両CAの上面および側面にも洗浄水S1を噴射して、残った洗剤および被洗浄車両CAの車両面に付着したタイヤコーティング剤を洗い流す。
【0078】
なお、第3往路工程で、被洗浄車両CAの後面まで到達した洗車機本体10が反転して被洗浄車両CAの前方(矢印E2)に移動する第3復路工程が行われる。このとき、第3復路工程では、第3往路工程と同様、水ノズル12、13、15から市水の洗浄水S1が噴射される。なお、第3往路工程から第3復路工程に切り替わるとき、水ノズル12、13、15からの洗浄水S1の噴射を停止してもよい。第3復路工程および第3往路工程は、例えば、被洗浄車両CAの車体面に付着した不要なタイヤコーティング剤、タイヤTyに付着した過剰なタイヤコーティング剤等を洗い流すタイヤコーティング剤すすぎ洗浄工程である。
【0079】
第3復路工程が終了した後、図12に示すように、洗車機本体10が反転して被洗浄車両CAの後方(矢印E1)に移動する第4往路工程が行われる。第4往路工程では、トップ送風ノズル21およびサイド送風ノズル22から空気流K1を送出し、被洗浄車両CAを乾燥させる。つまり、第2往路工程は、乾燥工程を形成する。第4往路工程では、タイヤTyの外側面に吹き付けたタイヤコーティング剤も乾燥させる。これにより、タイヤコーティング剤をタイヤTyの外側面に安定して定着させることができる。
【0080】
以上示したとおり、洗車機100では、被洗浄車両CAのタイヤTyを洗浄した後、タイヤTyの外側面にタイヤコーティング剤を塗布する。そして、タイヤコーティング剤が塗布されたタイヤTyの外側面に空気流を吹き付けて乾燥させることで、タイヤコーティング剤をタイヤTyの外側面に定着させる。これにより、洗車機100による被洗浄車両CAの洗車時に、タイヤTyの外側面のタイヤコーティング処理を行うことが可能である。
【0081】
なお、本実施形態の吹付部40では、第1ノズル41および第2ノズル42からタイヤコーティング剤を噴出させている。このとき、タイヤコーティング剤がタイヤTyの外側面以外の部分に付着することを抑制するため、タイヤコーティング剤の吹付方向を制御する案内部材が取り付けられていてもよい。これにより、被洗浄車両CAのボディ、ホイル、ブレーキ等にタイヤコーティング剤が付着することを抑制できる。なお、案内部材としては、第1ノズル41および第2ノズルの42よりも回転軸Bx側、つまり、径方向内側に配置される。
【0082】
本実施形態の洗車機100において、吹付部40は、第1ノズル41および第2ノズル42がそれぞれ、1つずつ備えた構成であるが、これに限定されない。例えば、第1ノズル41および第2ノズル42の少なくとも一方が、複数個あってもよい。この場合、全てのノズルが、回転軸を中心に周方向に等間隔となるように回転台座部43に配される。そして、ノズルの総数をN本(N>2)とすると、回転台座部43は、第1方向Rt1に(360/N)回転し、同時にすべての第1ノズルがタイヤコーティング剤を噴出する。その後、第2方向Rt2にも(360/N)回転し、同時に第2ノズルがタイヤコーティング剤を噴出する。このようにすることで、タイヤの外側面の全周に過不足なくタイヤコーティング剤を塗布することができる。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明によると、被洗浄車両の洗車を行う洗車機に利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
100 洗車機
10 洗車機本体
10a 入口面
10b 出口面
10c 天井部
10d スタンド部
11 洗剤ノズル
12 水ノズル
13 水ノズル
15 水ノズル
20 ブロア
21 トップ送風ノズル
22 サイド送風ノズル
31 トップブラシ
32 サイドブラシ
33 タイヤブラシ
40 吹付部
41 第1ノズル
42 第2ノズル
43 回転台座部
44 回転アクチュエータ
45 移動部
50 タンク収納部
51 分配配管部
60 レール
Ax1 中心軸
Ax2 中心軸
Bx 回転軸
CA 被洗浄車両
CA1 被洗浄車両
CA2 被洗浄車両
Cp 操作パネル
G 地面
K1 空気流
Rp リモートパネル
Rt1 第1方向
Rt2 第2方向
S1 洗浄水
S2 洗浄水
Sr 車形センサ
Ty タイヤ
Ty1 大径タイヤ
Ty2 小径タイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13