IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-金めっき膜の形成方法 図1
  • 特許-金めっき膜の形成方法 図2
  • 特許-金めっき膜の形成方法 図3
  • 特許-金めっき膜の形成方法 図4
  • 特許-金めっき膜の形成方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】金めっき膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 18/42 20060101AFI20231003BHJP
   H05K 1/03 20060101ALN20231003BHJP
【FI】
C23C18/42
H05K1/03 610B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020202953
(22)【出願日】2020-12-07
(65)【公開番号】P2022090514
(43)【公開日】2022-06-17
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 正明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐規
(72)【発明者】
【氏名】東小薗 創真
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-155671(JP,A)
【文献】特開平06-228761(JP,A)
【文献】実開平04-118456(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 18/16,18/31,18/42
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基材上に置換型無電解めっき法により金めっき膜を連続的に形成する方法であって、
無電解金めっき液を含む多孔質膜を基材の表面に接触させる工程、及び
前記接触させる工程後の金めっき膜が形成された基材を回収する工程を含み、
前記接触させる工程及び回収する工程を繰り返し実施する方法であり、
前記無電解金めっき液が、亜硫酸金塩を少なくとも含有し、
前記接触させる工程の後、且つ回収する工程の前、及び回収する工程の後且つ接触させる工程の前の少なくとも一方において、多孔質膜の表面に残留する無電解金めっき液を洗浄する工程を有し、
前記接触させる工程後、前記洗浄する工程の前の多孔質膜の表面に残留する無電解金めっき液の亜硫酸イオン濃度に対する硫酸イオン濃度(硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度)が16.0以下であ
前記無電解金めっき液は、該無電解金めっき液を収容するめっき液室から供給され、前記基材はめっき液室に収容されていない、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金めっき膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、めっき液中の金属イオンを還元してめっきする方法は、外部からの電流を用いる電気めっき法と、外部からの電気を用いない無電解めっき法に大別される。後者の無電解めっき法は、さらに、(1)被めっき物の溶解に伴って遊離する電子によって溶液中の金属イオンが還元されて被めっき物上に析出する置換型無電解めっき法と、(2)溶液中に含まれる還元剤が酸化される際に遊離する電子によって溶液中の金属イオンが金属皮膜として析出する自己触媒的な還元型無電解めっき法に大別される。無電解めっき法は複雑な形状面にも均一な析出が可能であり、多くの分野で広く利用されている。
【0003】
置換型無電解めっきは、めっき液中の金属と下地金属のイオン化傾向の差を利用して金属めっき膜を形成する。例えば、金めっき法において、めっき液に下地金属が形成された基板を浸漬すると、イオン化傾向が大きい下地金属がイオンになってめっき液中に溶解し、めっき液中の金イオンが金属として下地金属上に析出して金めっき膜を形成する。
【0004】
例えば、特許文献1は、無電解金めっき浴を開示している。特許文献1は、非シアン化金塩、錯化剤及び還元剤を含有する無電解金メッキ浴に、シアン化物又はその錯塩をKCNとして0.1ng/L~1g/L添加してなり、pHが3.0~9.5であることを特徴とする無電解金めっき浴を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-020874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らが、置換型無電解めっき法について様々な検討を行った結果、多孔質膜を用いて金めっき膜を形成する際に、多孔質膜に金微粒子が詰まる場合があることを見出した。
【0007】
そこで、本開示の目的は、多孔質膜に金微粒子が詰まることを抑制することが可能な、金めっき膜の形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、めっき後の多孔質膜の表面に残留する無電解金めっき液の亜硫酸イオン濃度に対する硫酸イオン濃度を制御することにより、多孔質膜に金微粒子が詰まることを抑制することができることを見出し、本開示に至った。
【0009】
本実施形態の態様例は、以下の通りに記載される。
【0010】
(1) 基材上に置換型無電解めっき法により金めっき膜を形成する方法であって、
無電解金めっき液を含む多孔質膜を前記基材の表面に接触させる工程を含み、
前記無電解金めっき液が、亜硫酸金塩を少なくとも含有し、
前記接触させる工程後の多孔質膜の表面に残留する無電解金めっき液の亜硫酸イオン濃度に対する硫酸イオン濃度(硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度)が16.0以下である、方法。
(2) 複数の基材上に置換型無電解めっき法により金めっき膜を連続的に形成する方法であって、
無電解金めっき液を含む多孔質膜を基材の表面に接触させる工程、及び
前記接触させる工程後の金めっき膜が形成された基材を回収する工程を含み、
前記接触させる工程及び回収する工程を繰り返し実施する方法であり、
前記無電解金めっき液が、亜硫酸金塩を少なくとも含有し、
前記接触させる工程の後、且つ回収する工程の前、及び回収する工程の後且つ接触させる工程の前の少なくとも一方において、多孔質膜の表面に残留する無電解金めっき液を洗浄する工程を有し、
前記接触させる工程後の多孔質膜の表面に残留する無電解金めっき液の亜硫酸イオン濃度に対する硫酸イオン濃度(硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度)が16.0以下である、方法。
(3) 前記基材が、ニッケル又はニッケル合金である、(1)又は(2)に記載の方法。
(4) 前記無電解金めっき液は、該無電解金めっき液を収容するめっき液室から供給される、(1)~(3)のいずれか1つに記載の方法。
(5) 前記めっき液室は、前記多孔質膜に接して配置されている、(4)に記載の方法。
(6) 基材に置換型無電解めっき法により金めっき膜を形成するための成膜装置であって、
多孔質膜と、
前記多孔質膜に接して配置された、無電解金めっき液を収容するめっき液室と、
前記めっき液室と前記基材とを相対的に押圧することにより、前記多孔質膜と前記基材とを接触させる押圧手段と、
前記多孔質膜を洗浄する洗浄手段と、
を備える、成膜装置。
【発明の効果】
【0011】
本開示により、無電解めっき法において、多孔質膜に金微粒子が詰まることを抑制することが可能な、金めっき膜の形成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の一態様における成膜時の状態を説明するための模式的断面図である。
図2図1に示す本実施形態の一態様における洗浄時の状態を説明するための模式的断面図である。
図3】本実施形態の一態様における成膜時及び洗浄時の状態を説明するための模式的断面図である。
図4図3に示す本実施形態の一態様における成膜及び洗浄後を説明するための模式的断面図である。
図5】初期値、実施例、比較例の硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度及び実施例、比較例の多孔質膜の変色の有無を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態の一態様(態様1)は、基材上に置換型無電解めっき法により金めっき膜を形成する方法であって、無電解金めっき液を含む多孔質膜を前記基材の表面に接触させる工程を含み、前記無電解金めっき液が、亜硫酸金塩を少なくとも含有し、前記接触させる工程後の多孔質膜の表面に残留する無電解金めっき液の亜硫酸イオン濃度に対する硫酸イオン濃度(硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度)が16.0以下である、方法である。
【0014】
本実施形態によれば、多孔質膜に金微粒子が詰まることを抑制することができる。この理由を本発明者らは以下のように推測した。本実施形態に係る方法(めっき膜の製造方法)では、多孔質膜と基材とを接触させることにより、基材上で金イオンが還元されて被めっき物である基材上に析出する。この反応はAu(SO 3-+e→Au+2(SO2-で表すことができる。この時に、副反応として亜硫酸金塩の酸化分解反応が起こると考えられる。この副反応は3Au(SO 3-+3O→2Au+Au3++6(SO2-で表すことができる。この副反応により錯化効果が減少し、無電解金めっき液中でAuが異常析出すると考えられる。この異常析出したAuは、必ずしも基材上に析出せず、少なくとも一部は基材と多孔質膜との界面に存在する無電解金めっき液中に存在し、それが多孔質膜の空孔において蓄積することにより、多孔質膜に金微粒子が詰まると考えられる。前記副反応では、Auの異常析出と共に、硫酸イオンも生成する。このため、硫酸イオンの濃度を制御することにより、間接的にAuの異常析出を制御することが可能であり、多孔質膜に金微粒子が詰まることを抑制することができると本発明者らは推測した。本発明者らの検討によると、硫酸イオンの濃度は、亜硫酸イオン濃度に対する濃度、すなわち、硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度として制御することが、効果的であることが見出された。
【0015】
本実施形態の別の一態様(態様2)は、複数の基材上に置換型無電解めっき法により金めっき膜を連続的に形成する方法であって、無電解金めっき液を含む多孔質膜を基材の表面に接触させる工程、及び前記接触させる工程後の金めっき膜が形成された基材を回収する工程を含み、前記接触させる工程及び回収する工程を繰り返し実施する方法であり、前記無電解金めっき液が、亜硫酸金塩を少なくとも含有し、前記接触させる工程の後、且つ回収する工程の前、及び回収する工程の後且つ接触させる工程の前の少なくとも一方において、多孔質膜の表面に残留する無電解金めっき液を洗浄する工程を有し、前記接触させる工程後の多孔質膜の表面に残留する無電解金めっき液の亜硫酸イオン濃度に対する硫酸イオン濃度(硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度)が16.0以下である、方法である。なお、複数の基材上に連続的に金メッキ膜を形成するために、態様1に対して、回収する工程、洗浄する工程を追加したものが、態様2である。すなわち、態様2は態様1の下位概念であるといえる。
【0016】
本発明者らの検討によると、多孔質膜に金微粒子が詰まる確率は、接触させる工程を複数回繰り返した際に顕著に上昇することを見出した。これは上述の異常析出が、めっき膜の形成を繰り返すことにより、累積的に発生するためであると本発明者らは推測した。本発明者らの検討により、硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度を制御するために、多孔質膜の表面に残留する無電解金めっき液を洗浄する工程を設けることが効果的であることが見出された。本実施形態によれば、多孔質膜に金微粒子が詰まるのを抑制することにより、正常な成膜ができなくなる可能性を低減することができる。
【0017】
以下、本実施形態について、詳細に説明する。
【0018】
(無電解金めっき液)
本実施形態で使用する無電解金めっき液は、亜硫酸金塩を少なくとも含有する無電解金めっき液である。無電解金めっき液は、亜硫酸金塩以外に、例えば、錯化剤を含み、必要に応じて添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、pH緩衝剤又は安定剤等が挙げられる。無電解金めっき液は市販のものを用いてもよい。
【0019】
無電解金めっき液は、亜硫酸金塩を少なくとも含有し、通常はさらに錯化剤を含有し、必要に応じて添加剤を含んでもよい。
【0020】
亜硫酸金塩としては、例えば、亜硫酸金アンモニウム、亜硫酸金カリウム、亜硫酸金ナトリウム等を挙げることができる。
【0021】
無電解金めっき液中の亜硫酸金塩の含有量は、金として0.5g/L以上2.5g/L以下の範囲であることが好ましく、1.0g/L以上2.0g/L以下の範囲であることがより好ましい。これらの数値範囲の上限値及び下限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。金の含有量が0.5g/L以上である場合、金の析出反応を向上することができる。また、金の含有量が2.5g/L以下である場合、めっき液の安定性を向上することができる。
【0022】
錯化剤は、金イオン(Au)を安定的に錯体化し、Auの不均化反応(前述の酸化分解反応)(3Au→Au3++2Au)の発生を低下させ、その結果、液の安定性を向上するという効果を奏する。錯化剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
錯化剤としては、例えば、シアン系錯化剤又は非シアン系錯化剤が挙げられる。シアン系錯化剤としては、例えば、シアン化ナトリウム又はシアン化カリウム等が挙げられる。非シアン系錯化剤としては、例えば、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、チオリンゴ酸塩、チオシアン酸塩、メルカプトコハク酸、メルカプト酢酸、2-メルカプトプロピオン酸、2-アミノエタンチオール、2-メルカプトエタノール、グルコースシステイン、1-チオグリセロール、メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム、N-アセチルメチオニン、チオサリチル酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ピロリン酸等が挙げられる。錯化剤としては、取扱い、環境及び毒性の観点から、非シアン系錯化剤を用いることが好ましく、非シアン系錯化剤の中でも亜硫酸塩を用いることが好ましい。
【0024】
無電解金めっき液中の錯化剤の含有量は、1g/L以上200g/L以下であることが好ましく、20g/L以上50g/L以下であることがより好ましい。これらの数値範囲の上限値及び下限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。錯化剤の含有量が1g/L以上である場合、金錯化力が高くなり、めっき液の安定性を向上することができる。錯化剤の含有量が200g/L以下である場合、めっき液中の再結晶の生成を抑制することができる。
【0025】
無電解金めっき液は、必要に応じて添加剤を含み得る。添加剤としては、例えば、pH緩衝剤又は安定剤等が挙げられる。
【0026】
pH緩衝剤は、析出速度を所望の値に調整することができ、また、めっき液のpHを一定に保つことができる。pH緩衝剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。pH緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、硼酸塩、又はクエン酸塩等が挙げられる。
【0027】
無電解金めっき液のpHは、5.0以上8.0以下であることが好ましく、6.0以上7.8以下であることがより好ましく、6.8以上7.5以下であることが特に好ましい。これらの数値範囲の上限値及び下限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。pHが5.0以上である場合は、めっき液の安定性が向上する傾向にある。pHが8.0以下である場合、下地金属としての基材の腐食を抑制できる。pHは、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化アンモニウム等の添加により調整することができる。
【0028】
安定剤は、めっき液の安定性を向上することができる。安定剤としては、例えば、チアゾール化合物、ビピリジル化合物、又はフェナントロリン化合物等が挙げられる。
【0029】
無電解金めっき液としては、市販のものを用いてもよい。市販品としては、例えば、エピタスTDS-25、TDS-20(上村工業株式会社)、又はフラッシュゴールド(奥野製薬工業社製)等が挙げられる。
【0030】
(多孔質膜)
本実施形態で使用する多孔質膜は、前述の無電解金めっき液を含有することができればよく、特に制限はない。多孔質膜としては、セパレータのようにフィルム状のものであってもよく、不織布のように繊維から形成されていてもよい。
【0031】
多孔質部材膜は、内部に多数の気孔(特に、開気孔)を有する多孔質構造(組織)を持つ膜である。多孔質膜としては、例えば、スポンジ状の網目状骨格を有する発泡体、粒子同士を結合した粒子集合体、織編布や不織布に代表される繊維集合体が挙げられる。
【0032】
多孔質膜の材質としては、樹脂、金属、ガラス、セラミックス等が挙げられるが、樹脂が好ましい。樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
【0033】
多孔質膜としては、市販のものを用いてもよい。市販品としては、例えば、「ポアフロン(登録商標)メンブレン」等が挙げられる。
【0034】
多孔質膜の平均細孔径は例えば0.05μm以上100μm以下であり、0.1μm以上80μm以下であることが好ましい。これらの数値範囲の上限値及び下限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。平均細孔径が前記範囲内にあると、多孔質膜に十分な量の無電解金めっき液を含浸させることができる。
【0035】
多孔質膜の膜厚は、10μm以上200μm以下であることが好ましく、20μm以上160μm以下であることがより好ましい。これらの数値範囲の上限値及び下限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。固体電解質膜の膜厚が10μm以上であると、固体電解質膜が破れ難く、耐久性に優れる。固体電解質膜の膜厚が200μm以下であると、無電解金めっき液が固体電解質膜を通過させるのに必要な圧力を低減することができる。
【0036】
一実施形態として、多孔質膜としてはイオン交換官能基を有していてもよい。イオン交換官能基としては、金属イオンを補足できるアニオン性基、アニオンを補足できるカチオン性基等があげられるが、アニオン性基を有することが好ましい。
【0037】
アニオン性基は、特に限定するものではないが、例えば、スルホン酸基、チオスルホン酸基(-SH)、カルボキシ基、リン酸基、ホスホン酸基、ヒドロキシ基、シアノ基及びチオシアノ基から選択される少なくとも1種である。
【0038】
(基材)
本実施形態で使用する基材は、被めっき物であり、特に制限されるものではない。基材は、通常は金属で構成されている。基材を構成する金属としては、金よりイオン化傾向が大きい金属であれば特に制限されるものではなく、例えば、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム又はこれらの少なくとも2種を含む合金であり得る。一実施形態において、基材はニッケル又はニッケル合金である。基材がニッケル又はニッケル合金である場合、置換型無電解めっき法により金めっきを容易に形成することができる。なお、基材には金属以外の成分が存在していてもよい。例えば、基材がニッケルである場合には、リン(P)を含んでいてもよい。一実施形態において、基材は、別の基材上に金属をめっきしたものであってもよい。例えば基材としては、銅等の別の基材に、無電解Ni-Pめっきを行ったものでもよい。
【0039】
基材は、任意の形状を有することができる。基材の形状は、例えば、平板状若しくは曲板状のような板状物、棒状物、又は球状物等が挙げられる。また、被めっき物は、溝、穴等の微細な加工が施されたものであってもよく、例えば、プリント配線基板、ITO基板、セラミックICパッケージ基板等の電子工業用部品の配線であってもよい。基材は、樹脂製品、ガラス製品、セラミックス部品、又は金属部品等の製品上に形成されためっき膜であってもよい。
【0040】
(接触工程)
本実施形態の金めっき膜の形成する方法では、無電解金めっき液を含む多孔質膜を基材の表面に接触させる工程を含む。該工程を接触工程とも記す。
接触工程では、基材上に金を析出させることにより、基材上に金めっき膜を形成する。
接触工程は、例えば、以下の成膜装置を用いて、以下の方法で実施することができる。
【0041】
本実施形態に用いる成膜装置は、基材に置換型無電解めっき法により金めっき膜を形成するための成膜装置であって、多孔質膜と、前記多孔質膜に接して配置された、無電解金めっき液を収容するめっき液室と、前記めっき液室と前記基材とを相対的に押圧することにより、前記多孔質膜と前記基材とを接触させる押圧手段とを備える成膜装置である。押圧する際の加圧力としては特に制限はなく、例えば0.05MPa以上5MPa以下であり、0.1MPa以上1MPa以下であることが好ましい。これらの数値範囲の上限値及び下限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。また、本実施形態に用いる成膜装置は、前記多孔質膜を洗浄する洗浄手段を備えることが好ましい。
【0042】
成膜装置は、押圧手段により多孔質膜を基材に押圧することにより、無電解金めっき液を多孔質膜を通して基材に供給することができる。そして、基材の金属がイオンになって無電解金めっき液中に溶解し、無電解金めっき液由来の金イオンが還元されて基材の表面に析出し、金めっき膜が形成される。
【0043】
また、本実施形態に係る金めっき膜の形成方法は、少量の金めっき液の使用で金めっき膜を形成できるという効果も奏する。すなわち、従来の無電解金めっき法では、一般に、被めっき物を金めっき液中に浸漬することにより、被めっき物上に金めっき膜を形成する。被めっき物を金めっき液中に浸漬するためには、比較的大量の金めっき液を使用する必要がある。一方、本実施形態に係る金めっき膜の形成方法における金めっき液の使用量は、実質的には多孔質膜に含浸させる量だけであるため、従来の基材を浸漬させるのに使用する量よりも少ない。そのため、本実施形態に係る方法は、少量の金めっき液の使用で金めっき膜を形成できる。
【0044】
本実施形態に係る金めっき膜の形成方法は、前記接触させる工程後の多孔質膜の表面に残留する無電解金めっき液の亜硫酸イオン濃度に対する硫酸イオン濃度(硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度)が16.0以下であり、14.0以下であることが好ましく、13.0以下であることがより好ましく、12.0以下であることが特に好ましく、11.0以下であることが最も好ましい。その下限としては特に制限はないが、例えば0.5以上、1.0以上が挙げられる。本実施形態に係る金めっき膜の形成方法は、硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度を16.0以下にすることにより多孔質膜に金微粒子が詰まることを抑制することができる。
【0045】
無電解金めっきにおけるめっき温度(めっき液室の温度)は、例えば、50℃以上95℃以下であり、好ましくは60℃以上90℃以下である。これらの数値範囲の上限値及び下限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。めっき温度が50℃以上である場合、金めっき膜の析出速度を向上することができる。また、めっき温度が95℃以下である場合、めっき液中の成分の分解を抑制することができる。
【0046】
めっき時間は、めっき温度にも依るが、例えば、1~60分間である。
【0047】
(回収工程)
本実施形態の一態様である金めっき膜を連続的に形成する方法では、接触させる工程後の金めっき膜が形成された基材を回収する工程を含む。該工程を回収工程とも記す。回収する方法としては、特に制限なく、接触工程により、金めっき膜が形成された基材を回収できればよい。
【0048】
本実施形態の一態様である金めっき膜を連続的に形成する方法は、接触工程及び回収工程を繰り返し行うことにより、複数の基材上に金めっき膜を連続的に形成することができる。なお、接触工程及び回収工程を行い、次の接触工程を行う際には、基板を取り換えることにより、複数の基材上に金めっき膜を連続的に形成することができる。
【0049】
(洗浄工程)
本実施形態の一態様である金めっき膜を連続的に形成する方法では、接触させる工程の後、且つ回収する工程の前、及び回収する工程の後且つ接触させる工程の前の少なくとも一方において、多孔質膜の表面に残留する無電解金めっき液を洗浄する工程を含む。該工程を洗浄工程とも記す。
【0050】
本発明者らの検討によると、洗浄工程を設けることにより、接触させる工程後の多孔質膜の表面に残留する無電解金めっき液の亜硫酸イオン濃度に対する硫酸イオン濃度(硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度)の上昇を抑制することができ、効率的に接触工程及び回収工程を繰り返すことができる。このため、洗浄工程を設けることにより、一度又は数度の接触工程を行う毎に多孔質膜を交換する場合と比べて、生産性を向上させること、及びコストを低減することができる。
【0051】
洗浄工程は、接触工程の後、回収工程の前に行ってもよく、回収工程の後、接触工程の前に行ってもよい。接触工程の後、回収工程の前に行う場合には、金めっき膜が形成された基材の表面に残留する無電解金めっき液を同時に洗浄してもよい。
【0052】
洗浄工程は、接触工程を一度行う毎に行ってもよく、接触工程を複数回行った後に行ってもよいが、接触工程を一度行う毎に行うことが好ましい。
【0053】
洗浄は、通常は、液体、例えば、水、又はアルコール等を用いて行うことができ、水が好ましい。水としては精製された水(純水)、例えばイオン交換水、蒸留水等を用いることが好ましい。
【0054】
洗浄に用いる液体の温度としては、通常は、10~90℃、好ましくは15~50℃である。これらの数値範囲の上限値及び下限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。前記範囲では、コストと洗浄力とのバランスに優れるため好ましい。
【0055】
金めっき膜を連続的に形成すると、硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度が上昇するが、洗浄工程を設けることにより、洗浄工程を行わない場合と比べて、上昇を抑制することができる。なお、本発明者らの検討によると、洗浄工程を行うことにより、硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度の上昇が緩やかになるが、繰り返し接触工程、回収工程、洗浄工程を行う場合には上昇を完全に抑制することは困難であり、徐々に硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度が上昇する場合があることを見出した。また、硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度が所定の値(16.0)以下であれば、濃度が上がっても、多孔質膜に金微粒子が詰まることはないが、所定の値を上回ると多孔質膜に金微粒子が詰まり、多孔質膜の変色が観察されることを見出した。よって、硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度が所定の値に達するか、所定の値に近づいた時点で、多孔質膜を取り換える等の処置を行うことにより、好適に金めっき膜の形成を行い続けることができる。
【0056】
洗浄方法としては特に制限はなく、例えば、シャワーヘッドを用いて、多孔質膜の表面に残留する無電解金めっき液を洗い流すことにより行ってもよく、洗浄浴や洗浄漕を設け、多孔質膜(例えば、めっき液室に設置して配置された多孔質膜)を、洗浄浴や洗浄漕に浸漬することにより行ってもよい。
【0057】
以下、本実施形態の一態様を、成膜装置の構成例と共に説明する。図1は、成膜装置1の成膜時の状態を説明するための断面模式図である。本実施形態に用いる成膜装置1は、置換型無電解めっき法により金めっき膜を形成する装置であり、無電解金めっき液2に由来する金イオンを還元することで金を基材3上に析出させることにより、金めっき膜を被めっき物である基材3の表面に形成する。
【0058】
成膜装置1は、多孔質膜4と、多孔質膜4に接して配置された、無電解金めっき液2を収容するめっき液室5と、めっき液室5と基材3とを相対的に押圧することにより、多孔質膜4と基材3とを接触させる押圧手段(不図示)とを備える。めっき液室5は、ハウジング6により形成されている。多孔質膜4は、ハウジング6の開口端に取り付けられ、ハウジング6と共に無電解金めっき液2をめっき液室5内に収容している。すなわち、ハウジング6は、無電解金めっき液2を収容するめっき液室5を有し、めっき液室5の基材3側に開口部を有している。多孔質膜4は、ハウジング6の開口部を封止するようにハウジング6に取り付けられている。また、成膜装置1は、基材を載置する載置台7を備えていてもよい。また、成膜装置1には、ハウジング6の上部に、バネ等の緩衝部材(不図示)を介して押圧手段(不図示)が設けられている。押圧手段は、例えば、油圧式又は空気式のシリンダであり得る。これにより、多孔質膜4を基材3の表面に押圧し、金めっき膜を形成することができる。また、緩衝部材(不図示)により、多孔質膜4を基材3の表面に緩やかに押圧することができる。成膜装置1は、多孔質膜の表面に残留する無電解金めっき液を洗浄するためのシャワーヘッド8が設けられている。シャワーヘッド8を介して水等の液体を多孔質膜にかけることにより、多孔質膜の表面に残留する無電解金めっき液を洗浄することができる。なお、成膜装置1は、陽極等の電極が不要である。
【0059】
図2に、成膜装置1の洗浄時の状態を説明するための断面模式図を示す。図2は接触工程の後、めっき液室5が上方に移動し、回収工程が行われた後に、洗浄工程が行われる場合を示す断面模式図である。洗浄工程では、残留する無電解金めっき液10が洗浄されるが、残留する無電解金めっき液10は、多孔質膜4の表面以外、例えば載置台7にも残留している場合があるが、これらも洗浄されることが好ましい。洗浄はシャワーヘッド8を介して液体9を多孔質膜4等にかけることにより行われる。図2における矢印11は、洗浄時の液体9及び残留する無電解金めっき液10の流れ方向を意味する。
【0060】
以下、本実施形態の別の一態様を、成膜装置の構成例と共に説明する。図3に記載の成膜装置は、無電解金めっき液2、多孔質膜4、めっき液室5、ハウジング6を有するヘッド部が2つ存在する。なお、ヘッドの数は複数あればよく、3つ以上存在してもよい。図3は、成膜装置1の1つのヘッド(図3左側のヘッド)が成膜時の状態であり、他方のヘッド(図3右側のヘッド)が洗浄時の状態を説明するための断面模式図である。本実施形態に用いる成膜装置1は、置換型無電解めっき法により金めっき膜を形成する装置であり、無電解金めっき液2に由来する金イオンを還元することで金を基材3上に析出させることにより、金めっき膜を被めっき物である基材3の表面に形成する。また、本実施形態に用いる成膜装置1は、複数のヘッドを有し、あるヘッドを用いて成膜を行う際に、別のヘッドを構成する多孔質膜に対して洗浄を行うことができる。すなわち、本実施形態では、2つのヘッドを用いて、接触工程と、洗浄工程とが同時に行うことができる。また、2つのヘッドは、連結部12によって連結されている。なお、ある実施態様においては連結部12を有していなくてもよい。連結部12を有さない場合には、成膜装置は、通常各ヘッドを独立して移動できるよう構成される。
【0061】
成膜装置1は、多孔質膜4と、多孔質膜4に接して配置された、無電解金めっき液2を収容するめっき液室5と、めっき液室5と基材3とを相対的に押圧すること、すなわち1つのヘッド(図3左側のヘッド)と基材3とを相対的に押圧することにより、多孔質膜4と基材3とを接触させる押圧手段(不図示)とを備える。また、成膜装置1は、1つのヘッドを構成する多孔質膜4が基材3と接触している際に、他方のヘッド(図3右側のヘッド)を構成する多孔質膜4が液体13に浸漬され洗浄されている。
【0062】
また、成膜装置1は、基材を載置する載置台(不図示)を備えていてもよい。また、成膜装置1には、連結部12の上部に、バネ等の緩衝部材(不図示)を介して押圧手段(不図示)が設けられている。押圧手段は、例えば、油圧式又は空気式のシリンダであり得る。これにより、多孔質膜4を基材3の表面に押圧し、金めっき膜を形成することができる。また、緩衝部材(不図示)により、多孔質膜4を基材3の表面に緩やかに押圧することができる。なお、成膜装置1は、陽極等の電極が不要である。
【0063】
図3における接触工程及び洗浄工程終了後、連結部12を上方に移動させることにより2つのヘッドを上方に移動し、回収工程を行うことができる。回収工程の前後いずれかにおいて、連結部12を、略鉛直軸回りに180°回転させたものが図4である。すなわち、図4における右側のヘッドが、図3にける左側のヘッドであり、図4における左側のヘッドが、図3における右側のヘッドである。図4では、右側のヘッドが有する多孔質膜4の表面に、残留する無電解金めっき液10が存在する。一方、左側のヘッドの下方には、基材が存在せず、次の接触工程の前に、基材設置予定部14に基材が設置される。基材をセットした後、連結部12を下方に移動させることにより、図3の状態とすることができ、次の接触工程及び洗浄工程を行うことができる。
【実施例
【0064】
以下、実施例を挙げて本実施形態を説明するが、本開示はこれらの例によって限定されるものではない。
【0065】
(基材)
基材として、無電解Ni-PめっきCuブロックを使用した。なお、Cuブロックを構成するNi-P膜が金めっきされる対象、すなわち被めっき物である。
【0066】
(金めっき液)
無電解金めっき液として、金めっき液(亜硫酸置換金めっき液、エピタス(登録商標)TDS-25、上村工業株式会社製)を用いた。該金めっき液は、金塩として亜硫酸金ナトリウム、錯化剤として亜硫酸ナトリウム及びEDTA塩、pH緩衝剤としてリン酸塩を含む。金めっき液のpHは7.3とし、金濃度は1.5g/Lとした。なお、金めっき液の一部を採取し、1000倍に希釈した後、シリンジろ過を行い、イオンクロマトグラフ(日本ダイオネクス株式会社製、ICS-5000)を用いて、亜硫酸イオン(SO 2-)及び硫酸イオン(SO 2-)のイオン濃度[μS]を求め、硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度を算出した。この値を初期値とした。
【0067】
[実施例1]
(めっき膜の形成)
無電解めっきは、図1に示す構成を有し、且つ多孔質膜4として住友電工製WPW-045-80(孔径0.45μm、厚さ80μm)を備える成膜装置1を使用して行った。
【0068】
まず、めっき液室5に上記金めっき液を充填し、金めっき液を多孔質膜4に含浸させた。金めっき液の温度は80℃に設定した。次に、押圧手段により多孔質膜4をNi-P膜に加圧して接触させ、Ni-P膜上に金めっき膜を形成した。成膜面積は18×35mm、加圧力は0.3kNとし、成膜時間は10分とした。
【0069】
(硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度)
めっき後の多孔質膜の表面に残留する金めっき液の一部をスポイトで回収した。なお、回収した金めっき液を、1000倍に希釈した後、シリンジろ過を行い、イオンクロマトグラフ(日本ダイオネクス株式会社製、ICS-5000)を用いて、亜硫酸イオン及び硫酸イオンのイオン濃度[μS]を求め、硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度を算出した。
【0070】
(回収及び洗浄)
金めっきされた基材を回収し、シャワーヘッド8から多孔質膜4に純水をかけ、洗浄した。
【0071】
実施例1では、多孔質膜4に変色が観察されず、多孔質膜に金微粒子が詰まっていなかった。
【0072】
[実施例2~4、比較例1]
実施例1において、一度目のめっき膜の形成、基材の回収、多孔質膜の洗浄を行った後に、実施例1と同様の方法で、新たな基材を用いためっき膜の形成、基材の回収、多孔質膜の洗浄を繰り返し行った。なお、めっき膜の形成は毎回新しい基材を用いた。
【0073】
合計で、2回(実施例2)、20回(実施例3)、40回(実施例4)、80回(比較例1)のめっき膜の形成を行った時点で、めっき後の多孔質膜の表面に残留する金めっき液の一部をスポイトで回収し、硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度を求め、実施例2、3、4、比較例1とした。
【0074】
実施例2、3、4の時点では、多孔質膜4に変色が観察されず、多孔質膜に金微粒子が詰まっていなかった。一方、比較例1の時点では、多孔質膜4に変色が観察され、多孔質膜に金微粒子が詰まっていた。
【0075】
[比較例2]
多孔質膜の洗浄を行わない以外は、実施例1と同様な方法で、めっき膜の形成を行い、基材の回収を行い、新たな基材を用いためっき膜の形成、基材の回収を繰り返し行った。
【0076】
合計で、10回のめっき膜の形成を行った時点で、めっき後の多孔質膜の表面に残留する金めっき液の一部をスポイトで回収し、硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度を求めた。
【0077】
実施例、比較例の結果を表1及び図5にまとめる。
【0078】
【表1】
【0079】
実施例、比較例より、硫酸イオン濃度/亜硫酸イオン濃度)が16.0以下であることにより、多孔質膜の着色がなく、多孔質膜に金微粒子が詰まることを抑制することが可能であることが確認された。
【0080】
以上、本実施形態を詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本開示に含まれるものである。
図1
図2
図3
図4
図5