(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】送風機能付き収納装置
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20231003BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B60R11/02 W
H05K7/20 H
(21)【出願番号】P 2021017865
(22)【出願日】2021-02-05
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真
(72)【発明者】
【氏名】向井 貴大
(72)【発明者】
【氏名】祖父江 弘
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-233797(JP,A)
【文献】実開平5-62333(JP,U)
【文献】特開2020-131841(JP,A)
【文献】特開2015-109763(JP,A)
【文献】特開2014-26341(JP,A)
【文献】特開2018-148723(JP,A)
【文献】中国実用新案第211744148(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/00
B60R 7/00,11/00
H02J 7/00
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部が形成され、携帯電子機器を収納する収納部と、
前記収納部の側面から前記収納部内へ突出するように配置され、前記収納部内に収納される前記携帯電子機器の側面又は上下面に接して該携帯電子機器を挟むように保持するサポート部と、
前記収納部内へ送風する送風部と、
を備える送風機能付き収納装置であって、
前記サポート部は、前記送風部が送り出した空気を前記収納部内へ導くための送風口を有する、送風機能付き収納装置。
【請求項2】
前記サポート部は、
上端に設けられた揺動中心となる回転軸部と、湾曲面状に形成されて前記送風口が設けられた外縁部と、を有し、前記収納部に揺動可能に軸支された本体部材と、
前記本体部材を前記回転軸部を揺動中心にして前記収納部の内方へ付勢する付勢力を発生する付勢部材と、
を有し、
前記送風部が送り出した空気は、前記送風口から前記収納部内の底面へ導かれる、請求項1に記載された送風機能付き収納装置。
【請求項3】
前記収納部は、前記本体部材の揺動位置にかかわらず前記送風口が該収納部内に連通するように形成されている、請求項2に記載された送風機能付き収納装置。
【請求項4】
前記送風口は、前記サポート部にスリット状に形成されている、請求項1乃至3の何れか一項に記載された送風機能付き収納装置。
【請求項5】
前記サポート部は、本体の下端部に設けられて前記収納部内の底面に向けて突出する突出部を有する、請求項1乃至4の何れか一項に記載された送風機能付き収納装置。
【請求項6】
前記送風口は、前記突出部にも設けられている、請求項5に記載された送風機能付き収納装置。
【請求項7】
前記送風部は、前記収納部に回転可能に支持される冷却ファンを有する、請求項1乃至6の何れか一項に記載された送風機能付き収納装置。
【請求項8】
前記収納部は、収納される前記携帯電子機器の背面又は表面が接し、斜め上方に向くように傾斜する傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記送風口から前記収納部内へ導かれた空気を水平方向に案内する案内溝を有する、請求項1乃至7の何れか一項に記載された送風機能付き収納装置。
【請求項9】
前記傾斜面の裏側に配置され、前記収納部内に収納される前記携帯電子機器を無線給電する無線給電部を備える、請求項8に記載された送風機能付き収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機能付き収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両などに搭載され、スマートフォンや携帯電話などの携帯電子機器を収納する収納装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載された収納装置は、携帯電子機器を収納する収納部と、その収納部内の収納空間を空冷する流体移送装置と、を備えている。この収納装置において、収納部の側壁には、収納部外の空気を収納部内に取り入れるキャビティが設けられている。このキャビティは、側壁のうち携帯電子機器の表面又は背面が接する側壁に設けられている。流体移送装置が作動すると、収納部外の空気がキャビティを介して収納部内に送り込まれる。このため、流体移送装置の作動により、収納部内に収納される携帯電子機器が充電時などに昇温するのを抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の収納装置において、キャビティを介して収納部内に送り込まれる空気は、その収納部内に収納された携帯電子機器の表面又は背面に対して直交する方向に進行する。このため、この収納装置では、空気が携帯電子機器の表面又は背面に当たった後、その暖められた空気が収納部内に滞留し易く、その携帯電子機器の空冷効率があまり良くない。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、収納部内に収納される携帯電子機器の空冷効率を向上させた送風機能付き収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、上面に開口部が形成され、携帯電子機器を収納する収納部と、前記収納部の側面から前記収納部内へ突出するように配置され、前記収納部内に収納される前記携帯電子機器の側面又は上下面に接して該携帯電子機器を挟むように保持するサポート部と、前記収納部内へ送風する送風部と、を備える送風機能付き収納装置であって、前記サポート部は、前記送風部が送り出した空気を前記収納部内へ導くための送風口を有する、送風機能付き収納装置である。
【0007】
この構成によれば、送風部からの空気を収納部内へ導く送風口が、収納部内に収納される携帯電子機器に接するサポート部に設けられる。このため、送風部から収納部内に導かれる空気が携帯電子機器の間近で収納部内へ送られ、その空気が直接に携帯電子機器に当たり易い。従って、収納部内に収納される携帯電子機器の空冷効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る送風機能付き収納装置が車両用内装部品に取り付けられた状態を表す斜視図である。
【
図2】実施形態の車両用内装部品に取り付けられた送風機能付き収納装置の側面図である。
【
図3】実施形態の車両用内装部品に取り付けられた送風機能付き収納装置の上面図である。
【
図4】実施形態の車両用内装部品に取り付けられた送風機能付き収納装置の下面図である。
【
図7】実施形態の送風機能付き収納装置の要部拡大図である。
【
図8】実施形態の車両用内装部品に取り付けられる送風機能付き収納装置の分解図である。
【
図9】実施形態の送風機能付き収納装置の収納部内にサイズが比較的小さな携帯電子機器が収納された際の
図3に示すIX-IX断面を表した図である。
【
図10】実施形態の送風機能付き収納装置の収納部内にサイズが比較的大きな携帯電子機器が収納された際の
図3に示すIX-IX断面を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を用いて、本発明に係る送風機能付き収納装置の具体的な実施形態を説明する。
【0010】
一実施形態の送風機能付き収納装置1は、車両に搭乗する乗員のスマートフォンや携帯電話などの携帯電子機器2を収納する装置である。以下、送風機能付き収納装置1を単に収納装置1と称す。収納装置1は、センタコンソールなどの車両用内装部品3に取り付けられている。尚、収納装置1は、携帯電子機器2を車両前後方向Xに沿った状態に配置して収納するものとする。また、適宜、車両前後方向Xに直交する二つの方向を車幅方向Y及び上下方向Zとそれぞれ称す。
【0011】
携帯電子機器2は、薄肉の四角板状に形成されている。携帯電子機器2の表示面である表面とその背面との間の厚さは、携帯電子機器2の上下面間の距離(すなわち、高さ)や左右側面間の距離(すなわち、幅)に比べて小さい。尚、携帯電子機器2の上下面及び左右側面は、車両を基準にした面のことではない。携帯電子機器2の上下面とは、携帯電子機器2の表示面に基準表示がなされた時に上辺をなす面及び下辺をなす面のことである。また、携帯電子機器2の左右側面又は側面とは、携帯電子機器2の表示面に基準表示がなされた時に左辺をなす面及び右辺をなす面のことである。
【0012】
また、車両用内装部品3は、箱状に形成されている。車両用内装部品3の上壁は、センタコンソールのアッパパネルを構成している。車両用内装部品3は、上面に携帯電子機器2を挿抜可能に設けられた開口3aを有している。
【0013】
収納装置1は、
図1~
図8に示す如く、収納部10と、サポート部20と、送風部30と、無線給電部40と、を備えている。
【0014】
収納部10は、携帯電子機器2を収納するボックス体である。収納部10は、略直方体形状の箱状に形成されている。収納部10は、底壁10bと、四つの側壁10sと、により形成されており、収納空間11を有している。収納空間11は、底壁10b及び四つの側壁10sに囲まれている。収納空間11は、上部の面積が下部の面積に比べて大きくなるように形成されている。
【0015】
四つの側壁10sは、車幅方向Yに互いに相対する二つの側壁(以下、左右側壁と称す。)10sL,10sRの離間距離が車両前後方向Xに互いに相対する二つの側壁10sF,10sB(以下、前後側壁と称す。)の離間距離に比して短くなるように形成されている。収納空間11は、車両前後方向Xに延びると共に上下方向Zに延びており、携帯電子機器2を車両前後方向Xに沿った状態でかつ縦置き状態で収納する。収納空間11は、所定サイズ内の携帯電子機器2を収納可能な大きさに形成されている。
【0016】
収納部10は、収納空間11における車両前後方向Xのうち前側下部が前方へ突出するように形成されている。後側壁10sBは、ほぼ上下方向Zに延びている一方、前側壁10sFは、上部から下部にかけて前方側に位置するように上下方向Zに対して傾斜している。
【0017】
収納部10は、収納空間11に収納される携帯電子機器2がその収納空間11内において所定姿勢状態で収まるように形成されている。具体的には、
図5及び
図6に示す如く、底壁10bは、収納空間11に収納された携帯電子機器2が下部から上部にかけて車幅方向Yの一方(例えば右方向)に傾くように水平に対して傾斜している。また、左右側壁10sL,10sRのうちの一方(例えば左側の側壁10sL)は、上下方向Zに延びる鉛直壁であるが、他方(例えば右側の側壁10sR)は、下部から上部にかけて車幅方向Yの一方(例えば右方向)に傾くように傾斜した傾斜壁である。以下適宜、鉛直壁である左右側壁10sL,10sRを鉛直側壁10s1と、傾斜壁である左右側壁10sL,10sRを傾斜側壁10s2と、それぞれ称す。
【0018】
収納部10は、斜め上方に向くように傾斜する傾斜面12を有している。傾斜面12は、傾斜側壁10s2の内面に形成されている。携帯電子機器2は、その底面又は側面が底壁10bに接しかつその背面又は表面が傾斜側壁10s2の内面である傾斜面12に接した姿勢状態で収納空間11に収納される。
【0019】
傾斜面12は、案内溝13を有している。案内溝13は、車両前後方向Xに沿って延在しており、上下方向Zに並んで複数本設けられている。案内溝13は、後述の如く収納部10内すなわち収納空間11へ導かれた空気を水平方向である車両前後方向Xに案内する溝であって、その空気の車両前後方向Xに沿った進行を促す。すなわち、案内溝13は、傾斜面12とその傾斜面12に接する携帯電子機器2との間に水平方向に延びる隙間を形成して、携帯電子機器2の空冷効率を上げる機能を有する。
【0020】
収納部10は、開口部14を有している。開口部14は、収納部10の上面に形成された開口である。開口部14は、長方形状に形成されており、収納対象である携帯電子機器2のサイズに合わせた大きさを有している。開口部14は、車両用内装部品3の開口3aに合わせた形状に形成されている。携帯電子機器2は、外部空間と収納空間11との間で開口部14を介して挿抜される。
【0021】
側壁10sには、取付部15が設けられている。取付部15は、収納部10本体を車両用内装部品3に取り付け固定する部位である。取付部15は、側壁10sの外面に例えば四箇所設けられている。収納部10は、取付部15にて車両用内装部品3にボルトなどで取り付け固定される。
【0022】
サポート部20は、収納部10内の収納空間11に収納される携帯電子機器2を保持する部位である。サポート部20は、一対設けられている。サポート部20は、その携帯電子機器2の表面及び背面とは異なる側面又は上下面に接してその携帯電子機器2を挟むように保持する。携帯電子機器2は、収納空間11に収納されたとき、一対のサポート部20に挟み込まれて保持される。
【0023】
収納部10の前後側壁10sF,10sBには、車両前後方向Xに貫通する貫通孔16f,16bが設けられている。貫通孔16f,16bはそれぞれ、上下方向Zへ比較的長い長方形状に形成されている。貫通孔16f,16bはそれぞれ、サポート部20のサイズに対応した大きさを有している。サポート部20は、前後側壁10sF,10sBそれぞれに対応して設けられ、その前後側壁10sF,10sBの内面から貫通孔16f,16bを通して収納部10内の収納空間11へ突出するように配置されている。以下、前側壁10sFに配置されたサポート部20を前側サポート部20fと、後側壁10sBに配置されたサポート部20を後側サポート部20bと、それぞれ称す。
【0024】
前側サポート部20fと後側サポート部20bとは、互いに対称な形状に形成されている。
図8に示す如く、前側サポート部20fは、本体部材21fと、付勢部材22fと、を有している。また、後側サポート部20bは、本体部材21bと、付勢部材22bと、を有している。
【0025】
前側サポート部20fにおいて、本体部材21fは、上下中央部が上部及び下部に対して車両前後方向Xのうちの後方すなわち収納空間11内方へ突出するように断面くノ字状に形成されている。本体部材21fの後方へ突出した上下中央部の先端部は、収納空間11に収納された携帯電子機器2に接してその携帯電子機器2を保持する。この先端部は、切欠部23fを有している。
【0026】
切欠部23fは、収納空間11に収納される携帯電子機器2がその収納空間11内で上記の所定姿勢状態で収まるのを促す形状に形成されている。具体的には、切欠部23fは、一対のサポート部20が収納空間11に収納される携帯電子機器2を挟み込んだ際にその携帯電子機器2を傾斜側壁10s2の傾斜面12に接する方向へ移動させる傾斜面をなしている。
【0027】
本体部材21fは、回転軸部24fと、外縁部25fと、突出部26fと、を有している。本体部材21fは、収納部10に揺動可能に支持されている。回転軸部24fは、本体部材21fの揺動中心となる軸体である。回転軸部24fは、本体部材21fの上部に設けられている。回転軸部24fは、収納部10の上部における貫通孔16f近傍に設けられた水平に延びる軸孔17fに挿通されている。本体部材21fは、回転軸部24fを揺動中心にして回転軸部24fよりも下部が貫通孔16fを通して車両前後方向Xに移動するように揺動する。尚、本体部材21fの揺動は、規制部材(図示せず)により所定範囲に規制されている。
【0028】
外縁部25fは、回転軸部24fを中心にしたときに周縁に位置する面状部位である。外縁部25fは、湾曲面状に形成されている。外縁部25fは、本体部材21fの下部に設けられている。外縁部25fは、本体部材21fが所定範囲内で揺動しても本体部材21fが収納部10の底壁10bに接触することがないように弧面をなしている。外縁部25fは、収納部10の底壁10bの内面に対面可能に形成されている。外縁部25fの弧面は、概して下方に向いており、その方向は、本体部材21fの揺動位置に応じて変化する。
【0029】
突出部26fは、収納部10内の底面すなわち底壁10bの内面に向けて爪状に突出する部位である。突出部26fは、携帯電子機器2以外の収納空間11に落下した小型の落下物がその収納空間11から貫通孔16fを通過して収納区間11外へ進入するのを抑制する機能を有している。突出部26fは、本体部材21fの下端部に設けられている。具体的には、突出部26fは、本体部材21fの下端部の前端に設けられ、外縁部25fが収納空間11に露出するように外縁部25fよりも車両前方側に配置されている。突出部26fは、本体部材21fの下端部から板状に延びている。
【0030】
サポート部20(具体的には、前側サポート部20f)は、送風口27を有している。送風口27は、送風部30が送り出した空気を収納部10内の収納空間11へ導くための導入口である。送風口27は、本体部材21fの外縁部25f及び突出部26fに設けられている。送風部30が送り出した空気は、送風口27から収納部10内の底壁10bの内面へ導かれる。送風口27は、外縁部25f及び突出部26fにスリット状に形成されている。送風口27は、複数のスリットがそれぞれ上下方向Zに延在して車幅方向Yに並ぶように形成されている。
【0031】
尚、外縁部25fに設けられた送風口27と突出部26fに設けられた送風口27とは、互いに一体化されてスリット状に形成されていてもよいし、それぞれ離間してスリット状に設けられていてもよい。また、突出部26fに設けられた送風口27は、櫛歯状に形成されていてもよい。
【0032】
収納部10は、上記の如く、収納空間11における車両前後方向Xのうち前側下部が前方へ突出するように形成されている。すなわち、収納部10は、前側サポート部20fの本体部材21fの揺動位置にかかわらず送風口27が収納空間11に露出して連通するように形成されている。底壁10bは、
図9及び
図10に示す如く、前側壁10sFとの接続部近傍が上下方向Zに湾曲するように形成されている。これは、送風口27から収納空間11に送り出された空気を、その底壁10bの湾曲面に当たって収納空間11の中心部へ流通し易くするためである。
【0033】
付勢部材22fは、本体部材21fを回転軸部24fを揺動中心にして収納空間11内方へ付勢する部材である。付勢部材22fは、例えば回転軸部24fに配置されるコイルスプリングである。付勢部材22fは、その一端が本体部材21fに支持されかつその他端が本体部材21fに支持された状態に取り付けられる。
【0034】
後側サポート部20bにおいて、本体部材21bは、上下中央部が上部及び下部に対して車両前後方向Xのうちの前方すなわち収納空間11内方へ突出するように断面くノ字状に形成されている。本体部材21bの前方へ突出した上下中央部の先端部は、収納空間11に収納された携帯電子機器2に接してその携帯電子機器2を保持する。この先端部は、切欠部23bを有している。
【0035】
切欠部23bは、収納空間11に収納される携帯電子機器2がその収納空間11内で上記の所定姿勢状態で収まるのを促す形状に形成されている。具体的には、切欠部23bは、一対のサポート部20が収納空間11に収納される携帯電子機器2を挟み込んだ際にその携帯電子機器2を傾斜側壁10s2の傾斜面12に接する方向へ移動させる傾斜面をなしている。
【0036】
本体部材21bは、回転軸部24bと、外縁部25bと、を有している。本体部材21bは、収納部10に揺動可能に支持されている。回転軸部24bは、本体部材21bの揺動中心となる軸体である。回転軸部24bは、本体部材21bの上部に設けられている。回転軸部24bは、収納部10の上部における貫通孔16b近傍に設けられた水平に延びる軸孔17bに挿通されている。本体部材21bは、回転軸部24bを揺動中心にして回転軸部24bよりも下部が貫通孔16bを通して車両前後方向Xに移動するように揺動する。尚、本体部材21bの揺動は、規制部材(図示せず)により所定範囲に規制されている。
【0037】
外縁部25bは、回転軸部24bを中心にしたときに周縁に位置する面状部位である。外縁部25bは、湾曲面状に形成されている。外縁部25bは、本体部材21bの下部に設けられている。外縁部25bは、本体部材21bが所定範囲内で揺動しても本体部材21bが収納部10の底壁10bに接触することがないように弧面をなしている。外縁部25bは、収納部10の底壁10bの内面に対面可能に形成されている。外縁部25bの弧面は、概して下方に向いており、その方向は、本体部材21bの揺動位置に応じて変化する。
【0038】
付勢部材22bは、本体部材21bを回転軸部24bを揺動中心にして収納空間11内方へ付勢する部材である。付勢部材22bは、例えば回転軸部24bに配置されるコイルスプリングである。付勢部材22bは、その一端が本体部材21bに支持されかつその他端が本体部材21bに支持された状態に取り付けられる。
【0039】
送風部30は、収納部10内の収納空間11へ空気を送り込んで送風する部位である。送風部30は、例えば、外部電源から電源供給されることにより作動する冷却ファン31を有している。送風部30は、収納部10の外側に配置されている。冷却ファン31は、収納空間11の内外の境界付近に配置されており、具体的には、前側壁10sFの貫通孔16fを塞ぐように送風口27の外側に配置されている。冷却ファン31は、前側壁10sFに回転可能に支持されている。送風部30は、冷却ファン31の作動により収納空間11外の空気を貫通孔16f及び前側サポート部20fの送風口27を通してその収納空間11へ送り込む。
【0040】
尚、送風部30は、冷却ファンと貫通孔16fとを繋ぐ筒状の導入路を有することとしてもよい。この場合、貫通孔16fには、冷却ファンからの空気が導入路を通じて供給されることとなる。
【0041】
無線給電部40は、収納部10内の収納空間11に収納された携帯電子機器2を無線給電する部位である。無線給電部40は、配線を介して外部電源に接続されている。無線給電部40は、例えば給電パッドを有している。無線給電部40は、収納部10の傾斜面12(すなわち、傾斜側壁10s2の内面)の裏側に配置されている。無線給電部40は、収納空間11に収納される対象の携帯電子機器2への給電効率がより良い位置に配置されており、給電パッドが傾斜側壁10s2の外面に接して傾斜側壁10s2を挟んで携帯電子機器2に背向するように取り付けられている。
【0042】
次に、収納装置1の動作について説明する。
収納装置1において、収納部10内の収納空間11に携帯電子機器2が収納されていない状態では、各サポート部20f,20bの本体部材21f,21bは、付勢部材22f,22bの付勢力により収納空間11内方へ付勢される。この際、一対のサポート部20の本体部材21f,21bにおける車両前後方向Xの離間距離は、その収納空間11において最小である。
【0043】
上記の状態から、対象サイズの携帯電子機器2が収納空間11に挿入されると、各サポート部20f,20bの本体部材21f,21bがその携帯電子機器2の側面又は上下面に接する。そして、その挿入が進行すると、その本体部材21f,21bが付勢部材22f,22bの付勢力に抗して収納空間11外方へ押圧されて揺動される。この各本体部材21f,21bの揺動量又は揺動角度は、その挿入された携帯電子機器2のサイズに応じたものとなる。このとき、収納空間11に挿入された携帯電子機器2は、一対のサポート部20f,20bに挟み込まれることでその収納空間11内に保持される。
【0044】
また、携帯電子機器2が収納空間11に挿入されると、その携帯電子機器2の挿入姿勢にかかわらず、その携帯電子機器2は、水平に対して傾斜する底壁10bの形状や切欠部23f,23bを有するサポート部20f,20bの形状により、その底面又は側面が底壁10bに接しかつその携帯電子機器2の背面又は表面が傾斜側壁10s2の傾斜面12に接するように姿勢変更される。すなわち、携帯電子機器2は、その底面又は側面が底壁10bに接しかつその携帯電子機器2の背面又は表面が傾斜側壁10s2の傾斜面12に接した姿勢状態で収納空間11に収納される。
【0045】
携帯電子機器2が収納空間11に収納されると、無線給電部40がその携帯電子機器2に対する無線給電を実行する。かかる無線給電が行われると、携帯電子機器2が充電される。この充電は、上記の如く携帯電子機器2の背面又は表面が傾斜側壁10s2の傾斜面12に接した状態で行われる。このため、携帯電子機器2を効率的に充電することができる。
【0046】
上記の如く携帯電子機器2が充電されると、その携帯電子機器2は発熱する。無線給電部40が無線給電を実行すると、送風部30が作動して収納空間11へ送風する。送風部30が作動すると、冷却ファン31が送り出した収納空間11外の空気が貫通孔16f及び送風口27を通して収納空間11内へ送り込まれる。
【0047】
送風口27は、収納部10内の収納空間11に収納される携帯電子機器2に接して挟み込む一対のサポート部20のうち前側サポート部20fに設けられている。このため、送風部30から収納空間11へ導かれる空気が携帯電子機器2の間近で収納空間11へ送られ、その空気が直接に携帯電子機器2に当たり易い。従って、収納区間11に収納される携帯電子機器2の空冷効率を上げることができる。また、冷却ファン31は、収納部10の前側壁10sFの貫通孔16fを塞ぐように配置されており、その前側壁10sFに回転可能に支持されている。このため、冷却ファン31の作動により収納空間11外から送風口27を介して収納空間11に送り込まれる空気の損失が少ない。従って、この点でも、収納区間11に収納される携帯電子機器2の空冷効率を上げることができる。
【0048】
また、送風部30から収納空間11へ送り込まれた空気は、収納部10の前側壁10sfの下部から底壁10bの内面に沿って車両後方へ進行する。このため、この空気は、収納空間11の下部において進行が妨げられることなく車両後方へ流通し、収納区間11に収納された携帯電子機器2の表面又は背面に沿って進行し易い。また、冷たい空気は下方に溜まり易いので、送風部30から収納空間11へ送り込まれた空気は、収納空間11の下部に溜まり易い。従って、収納空間11に収納される携帯電子機器2の発熱により熱せられた空気がその収納空間11に滞留するのを防ぎ、その携帯電子機器2の空冷効率を上げることができる。
【0049】
また、サポート部20は、収納空間11に挿入された携帯電子機器2のサイズに応じて本体部材21f,21bの揺動角度が変動するものである。このため、本体部材21fの外縁部25fに設けられた送風口27が向く方向は、本体部材21fの揺動角度に応じて変動する。送風口27は、
図9に示す如く、サイズが比較的小さい携帯電子機器2が収納空間11に挿入されたときは概して本体部材21fから後方遠方に向き、一方、
図10に示す如く、サイズが比較的大きい携帯電子機器2が収納空間11に挿入されたときは概して本体部材21fから後方近方に向き底壁10bの内面に垂直に近い状態に向く。
【0050】
底壁10bは、送風口27から収納空間11に送り出された空気が収納空間11の中心部へ流通し易くなるように、前側壁10sFとの接続部近傍が上下方向Zに湾曲するように形成されている。このため、収納空間11に収納される携帯電子機器2のサイズが大きいほど、送風口27から収納空間11に送り出された空気をその収納空間11の中心部へ流通させる勢いを上げることができる。従って、一般的には、携帯電子機器2は、サイズが大きいほど発熱量が大きいが、送風口27からの風量が同じであっても、携帯電子機器2のサイズが大きいときに空冷効率が低下するのを防止することができる。
【0051】
また、携帯電子機器2は、収納空間11に挿入された状態で付勢部材22f,22bの付勢力に抗してサポート部20f,20bの本体部材21f,21bを収納空間11外方へ押圧し、それら一対のサポート部20f,20bに挟み込まれる。このため、本体部材21f,21bによる収納空間11に収納される携帯電子機器2の保持が付勢部材22f,22bの付勢力により強固になるので、収納空間11に収納される携帯電子機器2にガタツキが生じ難く、送風口27から収納空間11に導かれる空気の向きの変動に起因した空冷効率の低下を抑えることができる。
【0052】
また、前側サポート部20fの送風口27は、スリット状に形成されている。この構造によれば、例えば収納空間11の底壁10bに対象の携帯電子機器2とは異なる物体が落下したときにも、その物体がその送風口27で本体部材21fに引っ掛かり易いので、その物体が収納空間11内からその送風口27を介してその送風口27の外方すなわち冷却ファン31側へ進入するのを抑えることができる。このため、送風口27の外方で異物やホコリが詰まるのを生じ難くすることができるので、送風機能の低下を抑えて空冷効率の低下を抑えることができると共に、送風口27の外方を掃除する頻度を抑えてメンテナンス性を向上させることができる。
【0053】
また、前側サポート部20fは、本体部材21fの下端部に設けられて収納部10の底壁10bの内面に向けて突出する突出部26fを有している。この構造によれば、突出部26fが存在しない構造と異なり、収納空間11の底壁10bに落下した物体がその突出部26fに引っ掛かり易いので、その物体が収納空間11内からその送風口27を介してその送風口27の外方すなわち冷却ファン31側へ進入するのを抑えることができる。このため、送風口27の外方で異物やホコリが詰まるのを生じ難くすることができるので、送風機能の低下を抑えて空冷効率の低下を抑えることができると共に、送風口27の外方を掃除する頻度を抑えてメンテナンス性を向上させることができる。
【0054】
また、上記の送風口27は、本体部材21fの外縁部25fだけでなく突出部26fにも設けられている。この構造によれば、突出部26fに送風口27が設けられていない構造に比べて、送風口27が設けられる領域を拡大することができる。このため、送風部30から収納空間11への空気の流通が突出部26fで妨げられるのを抑えることができ、空冷効率の低下を抑えることができる。
【0055】
また、上記の送風口27は、送風が収納部10内の底壁10bの内面へ向くように本体部材21fの下部に設けられた外縁部25f及び突出部26fに設けられている。この構造においては、収納空間11に携帯電子機器2が収納されていないときにも、送風口27が開口部14の上方から視認されることは困難である。このため、送風口27が視認されることに伴う見栄えの低下を抑えることができる。
【0056】
また、収納部10内の収納空間11は、上部の面積が下部の面積に比べて大きくなるように形成されている。すなわち、収納部10は、上面に開いた開口部14が底壁10bに比べて幅広になりかつ傾斜側壁10s2の傾斜面12が斜め上方に向くように形成されている。この構造によれば、収納部10の開口部14が大きく広がっているので、収納空間11内で携帯電子機器2の発熱により熱せられた空気を開口部14を介して収納空間11外方(上方)へ逃がし易くすることができる。
【0057】
また、傾斜面12は、収納空間11に収納される携帯電子機器2の背面又は表面が接する面である。この傾斜面12は、車両前後方向Xに沿って延在する案内溝13を有している。この構造によれば、携帯電子機器2が傾斜面12に接した状態でその携帯電子機器2と傾斜面12との間に車両前後方向Xに沿って延在する隙間が形成される。このため、送風部30から収納空間11に導入された空気を、傾斜面12に接する携帯電子機器2とその傾斜面12との間の隙間に進入させて、その携帯電子機器2と傾斜面12とが接する車両前後方向Xの領域に亘って流通させることができる。従って、携帯電子機器2と傾斜面12との間に熱が籠るのを防止することができ、これにより、収納区間11に収納される携帯電子機器2の空冷効率を上げることができる。
【0058】
このように、収納部10内の収納空間11に収納されて無線給電部40による無線給電により充電される携帯電子機器2を、送風部30からの送風により空冷することができる。このため、収納空間11に収納される携帯電子機器2の充電時に生じる発熱に起因した充電効率の低下を抑えることができ、収納空間11に収納される携帯電子機器を空冷しながら効率的に充電することができる。
【0059】
ところで、上記の実施形態においては、一対のサポート部20のうち前側サポート部20fのみに送風口27が設けられている。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、後側サポート部20bのみに送風口27が設けられることとしてもよいし、また、前側サポート部20f及び後側サポート部20bの双方にそれぞれ送風口27が設けられることとしてもよい。
【0060】
また、上記の実施形態においては、一対のサポート部20のうち前側サポート部20fに送風口27が設けられているが、後側サポート部20bには何ら開口が設けられていない。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、前側サポート部20fに収納空間11外の空気を収納空間11内へ導く送風口27が設けられると共に、後側サポート部20bに収納空間11内の空気を収納空間11外へ排出する排出口が設けられることとしてもよい。この変形形態の構成によれば、収納空間11の内外間の空気の交換効率を上げることができる。尚、この変形形態においては、送風部30の冷却ファン31が、収納部10の後側壁10sBの貫通孔16bを塞ぐように排出口の外側に配置されて、前側サポート部20fの送風口27を通して収納空間11へ空気を吸い込むこととしてもよい。
【0061】
また、上記の実施形態においては、一対のサポート部20が互いに車両前後方向Xに離間して配置されている。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、一対のサポート部20が互いに車幅方向Yに離間して配置されるものに適用することとしてもよい。
【0062】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1:送風機能付き収納装置、2:携帯電子機器、3:車両用内装部品、10:収納部、10b:底壁、10s:側壁、10sL,10sR:左右側壁、10sF,10sB:前後側壁、10s2:傾斜側壁、11:収納空間、12:傾斜面、13:案内溝、14:開口部、16f,16b:貫通孔、20:サポート部、20f:前側サポート部、20b:後側サポート部、21f,21b:本体部材、22f,22b:付勢部材、23f,23b:切欠部、24f,24b:回転軸部、25f,25b:外縁部、26f:突出部、27:送風口、30:送風部、31:冷却ファン、40:無線給電部。