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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】物品搬送車
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20231003BHJP
   B61B 3/02 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
B61B3/02 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021023358
(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公開番号】P2022125650
(43)【公開日】2022-08-29
【審査請求日】2023-01-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】冨田 大地
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-094263(JP,A)
【文献】特開2018-125411(JP,A)
【文献】特開2020-169090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
B65G 49/07
B61B 3/02
H01L 21/67-21/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する物品搬送車であって、
走行経路に沿って走行する走行体と、
前記走行体に連結され、前記物品を吊り下げた状態で保持する保持体と、
前記走行体に連結され、前記保持体に保持された前記物品を収容する収容部と、
上下方向に直交する方向に沿ういずれかの方向を対象方向として、前記収容部に収容された前記物品の前記対象方向の揺れを抑制する揺れ抑制機構と、を備え、
前記保持体は、本体部と、前記物品を保持する物品保持部と、前記物品保持部を前記本体部に対して前記上下方向に弾性支持する第1弾性支持部と、を備え、
前記揺れ抑制機構は、当接部と、前記収容部に連結されると共に前記当接部を支持する当接支持部と、前記収容部に収容された前記物品の側面に当接する当接位置と前記側面から離間する離間位置とに前記当接部の位置を変更する当接駆動部と、を備え、
前記当接支持部は、前記当接部を前記収容部に対して前記上下方向に弾性支持する第2弾性支持部を備え
前記収容部に収容された前記物品の下端が前記第1弾性支持部によって弾性移動可能な前記上下方向の範囲を第1弾性移動範囲とし、前記物品の前記側面に当接する前記当接部の上端が前記第2弾性支持部によって弾性移動可能な前記上下方向の範囲を第2弾性移動範囲として、
前記第1弾性移動範囲の上限位置が、前記第2弾性移動範囲の下限位置よりも下方に設定されている、物品搬送車。
【請求項2】
前記第1弾性支持部は第1弾性体を備え、
前記第2弾性支持部は第2弾性体を備え、
前記第2弾性体のばね定数は、前記第1弾性体のばね定数よりも低く設定されている、請求項1に記載の物品搬送車。
【請求項3】
前記当接支持部は、前記当接部を前記上下方向に貫通する貫通部を備え、
前記第2弾性支持部は、前記貫通部の周囲に配置されている、請求項1又は2に記載の物品搬送車。
【請求項4】
前記当接部は、円筒状の外周面を有する弾性部材により構成され、前記当接位置にある状態で前記外周面により前記物品の前記側面に当接し、
前記当接支持部は、前記当接部を前記上下方向に沿う軸心まわりに回転自在に支持している、請求項1からのいずれか一項に記載の物品搬送車。
【請求項5】
前記収容部に収容された前記物品の底部よりも下方に配置され、前記収容部に収容された前記物品の落下を規制する落下規制体と、
前記上下方向に沿う上下方向視で前記底部と重複する位置に突出した突出姿勢と前記底部と重複しない位置に退避した退避姿勢とに前記落下規制体の姿勢を変更する規制体駆動部と、を備え、
前記当接駆動部の駆動源が前記規制体駆動部の駆動源を兼ねている、請求項1からのいずれか一項に記載の物品搬送車。
【請求項6】
前記保持体は、前記物品保持部が前記第1弾性支持部によって前記本体部に対して前記弾性支持される弾性支持状態と、前記物品保持部が前記本体部に対して固定支持される固定支持状態と、に前記物品保持部の支持状態を変更する支持状態変更装置を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の物品搬送車。
【請求項7】
前記保持体は、前記物品保持部と一体的に前記上下方向に移動する可動支持部を備え、
前記第1弾性支持部は、コイルばねにより構成された第1弾性体と、前記可動支持部と前記第1弾性体の一端とを連結する第1連結部と、前記本体部と前記第1弾性体の他端とを連結する第2連結部と、を備え、
前記支持状態変更装置は、前記第1連結部と前記第2連結部との間隔を固定して前記第1弾性体の弾性変形を規制することで、前記物品保持部の支持状態を前記固定支持状態にする、請求項に記載の物品搬送車。
【請求項8】
前記支持状態変更装置は、前記可動支持部と前記本体部との前記上下方向の間に配置されると共に前記第1連結部と前記第2連結部との間隔を固定する固定部を備え、
前記固定部は、揺動部材と、前記可動支持部又は前記本体部に配置されると共に前記揺動部材の一部を揺動自在に支持する揺動支持部と、を備え、
前記固定支持状態では、前記揺動部材が、前記可動支持部又は前記本体部のうち前記揺動支持部が配置されていない側に接触し、前記弾性支持状態では、前記揺動部材による前記接触が解除される、請求項7に記載の物品搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する物品搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2006-298535号公報(特許文献1)には、昇降駆動部によって昇降される保持体に設けられた一対のチャック部により物品を保持し、保持した物品を各所へ搬送する物品搬送車が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された技術では、物品を保持する保持体に弾性体を設け、この弾性体を介して物品を支持することで、物品搬送車の振動が物品に直接的に伝達されることを抑制している。この技術では、特に、物品への上下方向の振動の伝達を緩和している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-298535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された物品搬送車では、保持体に保持された状態の物品の上下方向に直交する方向(例えば走行方向、以下「直交方向」と称する)の揺れを抑制することはできない。そこで、このような直交方向の揺れを小さく抑えるために、当該物品を直交方向から支持する機構を更に設けることが考えられる。このような機構を設けることにより、物品の揺れを少なく抑え、当該物品を安定して保持することが可能となる。しかしながら、物品を直交方向から支持することによって当該物品の上下方向の移動が規制されると、保持体が備える弾性体による、物品への上下方向の振動の伝達を緩和する機能が妨げられる。
【0006】
上記実状に鑑みて、物品を安定して保持できると共に、物品への上下方向の振動の伝達を緩和するという保持体の機能を適切に発揮することが可能な物品搬送車の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
物品を搬送する物品搬送車であって、
走行経路に沿って走行する走行体と、
前記走行体に連結され、前記物品を吊り下げた状態で保持する保持体と、
前記走行体に連結され、前記保持体に保持された前記物品を収容する収容部と、
上下方向に直交する方向に沿ういずれかの方向を対象方向として、前記収容部に収容された前記物品の前記対象方向の揺れを抑制する揺れ抑制機構と、を備え、
前記保持体は、本体部と、前記物品を保持する物品保持部と、前記物品保持部を前記本体部に対して前記上下方向に弾性支持する第1弾性支持部と、を備え、
前記揺れ抑制機構は、当接部と、前記収容部に連結されると共に前記当接部を支持する当接支持部と、前記収容部に収容された前記物品の側面に当接する当接位置と前記側面から離間する離間位置とに前記当接部の位置を変更する当接駆動部と、を備え、
前記当接支持部は、前記当接部を前記収容部に対して前記上下方向に弾性支持する第2弾性支持部を備え
前記収容部に収容された前記物品の下端が前記第1弾性支持部によって弾性移動可能な前記上下方向の範囲を第1弾性移動範囲とし、前記物品の前記側面に当接する前記当接部の上端が前記第2弾性支持部によって弾性移動可能な前記上下方向の範囲を第2弾性移動範囲として、
前記第1弾性移動範囲の上限位置が、前記第2弾性移動範囲の下限位置よりも下方に設定されている
【0008】
本構成によれば、保持体によって保持された物品の側面に対して揺れ抑制機構の当接部が当接することにより、物品の対象方向の揺れを少なく抑えることができる。そのため、物品を安定して保持することが可能となる。また、当接部を支持する当接支持部は、当接部を収容部に対して上下方向に弾性支持する第2弾性支持部を備えている。そのため、第1弾性支持部によって上下方向に弾性支持された物品保持部が上下方向に弾性移動した場合、すなわち、当該物品保持部に保持された物品が上下方向に弾性移動した場合に、この物品に当接する当接部も追従して上下方向に弾性移動することができる。従って、物品への上下方向の振動の伝達を緩和するという、保持体の第1弾性支持部の機能を適切に発揮することが可能となる。
また、本構成によれば、物品の下端の位置を、当接部の上端の位置よりも常に低くすることができるため、物品が当接部に乗り上げて揺れ抑制機構が適切に機能しなくなることを回避できる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】物品搬送車の正面図
図2】当接部が当接位置にある状態を示す要部平面図
図3】当接部が離間位置にある状態を示す要部平面図
図4】保持体の断面図
図5】物品保持部の固定支持状態および弾性支持状態を示す図
図6】当接支持部の構造を示す図
図7】物品と当接部との位置関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
物品搬送車は、物品を搬送する装置である。このような物品搬送車は、例えば半導体製造工場において用いることができ、搬送対象の物品として、半導体ウェハを収容するためのFOUP(Front Opening Unified Pod)やレチクルを収容するためのレチクルポッド等を例示することができる。以下、物品搬送車の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、物品搬送車100は、走行経路8に沿って走行する走行体1と、走行体1に連結され、物品9を吊り下げた状態で保持する保持体2と、走行体1に連結され、保持体2に保持された物品9を収容する収容部3と、を備えている。
【0013】
本実施形態では、走行経路8は、天井付近に設けられた走行レール80によって規定されている。すなわち本実施形態では、物品搬送車100は、いわゆる天井搬送車として構成されている。
【0014】
走行体1は、複数の走行車輪10と、複数の走行車輪10のうち少なくとも1つを駆動する走行駆動部10Mと、備えている。走行駆動部10Mは、モータと、走行車輪10を回転させるための機構と、を含んでいる。走行駆動部10Mが駆動対象の走行車輪10を回転駆動することにより、走行方向Lの推進力が走行体1に付与される。
【0015】
本実施形態では、物品搬送車100は、保持体2を昇降させる昇降装置4を備えており、走行レール80よりも下方に配置された移載対象箇所7との間で物品9を移載可能に構成されている。本例では、昇降装置4は、保持体2に連結された昇降ベルト40と、昇降ベルト40を巻き取り又は繰り出して保持体2を昇降させる昇降駆動部4Mと、を備えている。昇降駆動部4Mは、モータと、昇降ベルト40を巻き取り又は繰り出すための機構と、を含んでいる。
【0016】
昇降駆動部4Mは、保持体2を、走行用位置Prと移載用位置Ptとの間で昇降させる。走行用位置Prは、移載用位置Ptよりも上方に設定されており、保持体2が収容部3に収容される位置である。移載用位置Ptは、走行用位置Prよりも下方に設定されており、保持体2が上述の移載対象箇所7に対応する高さに配置される位置である。
【0017】
保持体2は、本体部20と、物品9を保持する物品保持部21と、を備えている。本体部20には、昇降ベルト40が連結されている。物品保持部21は、本体部20に設けられている。
【0018】
図4に示すように、本実施形態では、本体部20は、本体枠部201と当該本体枠部201に連結された本体底部202とを備えている。本体枠部201と本体底部202とによって、本体部20の内部に空間が形成されている。本体部20の内部には、各種装置が搭載されている。本例では、上述の物品保持部21は、本体部20の内部に搭載されている。
【0019】
図1及び図4に示すように、本実施形態では、物品保持部21は、物品9を把持する一対の把持爪210と、一対の把持爪210を駆動する把持駆動部210Mと、を備えている。本例では、本体底部202には、孔部202aが設けられている。一対の把持爪210は、孔部202aを上下方向に貫通して、本体底部202(本体部20)から下方に突出している。
【0020】
把持駆動部210Mは、物品9を把持可能な把持姿勢と、物品9の把持を解除する把持解除姿勢とに、一対の把持爪210を姿勢変更可能に構成されている。本例では、把持駆動部210Mは、モータと、一対の把持爪210を互いに接近離間させるための機構と、を備えている。把持駆動部210Mは、一対の把持爪210を互いに接近させることにより把持姿勢にし、一対の把持爪210を互いに離間させることにより把持解除姿勢にする。図1の実線及び図4は、一対の把持爪210が把持姿勢である状態を示している。また、図1の破線は、一対の把持爪210が把持解除姿勢である状態を示している。
【0021】
本実施形態では、物品9は、物品本体部90と、物品本体部90の上部から上方に突出する被保持部91と、を備えている。被保持部91は、フランジ状に形成されている。上述の物品保持部21は、一対の把持爪210によって物品9の被保持部91を把持することにより、物品9を保持するように構成されている。
【0022】
収容部3は、走行用位置Prに配置された保持体2によって保持された物品9を収容する。図示の例では、収容部3は、これら保持体2及び物品9に加えて、昇降駆動部4Mも収容している。なお、以下では、走行用位置Prに配置された保持体2によって保持されると共に収容部3に収容された物品9を、単に「収容物品9」と称する場合がある。
【0023】
本実施形態では、収容部3は、収容物品9を側方(水平方向)から覆う側方カバー部31と、収容物品9を上方から覆う上方カバー部32と、を備えている。図示の例では、一対の側方カバー部31と上方カバー部32とが連結して収容部3が構成されている。上方カバー部32における、走行経路8に沿う方向(走行方向L)の両端部のそれぞれから、側方カバー部31が下方に延在している。すなわち本例では、一対の側方カバー部31のそれぞれは、保持体2に保持された物品9を走行方向Lの両側から覆っている。
【0024】
上下方向に直交する方向に沿ういずれかの方向を対象方向Xとして、物品搬送車100は、収容部3に収容された物品9の対象方向Xの揺れを抑制する揺れ抑制機構5を備えている。本実施形態では、対象方向Xは、走行経路8に沿う方向に設定されており、走行方向Lに等しい。
【0025】
揺れ抑制機構5は、当接部50と、収容部3に連結されると共に当接部50を支持する当接支持部51と、を備えている。本実施形態では、揺れ抑制機構5は、保持体2に対して対象方向Xにおける両側のそれぞれに設けられている。換言すれば、一対の揺れ抑制機構5が、収容物品9に対して対象方向Xにおける両側に配置されている。本例では、収容部3における一対の側方カバー部31のそれぞれに、当接支持部51が連結されている。そして、一対の当接支持部51のそれぞれは、個別に当接部50を支持している。なお、一対の揺れ抑制機構5は、互いに同等の構造を備えている。
【0026】
図2及び図3に示すように、揺れ抑制機構5は、収容部3に収容された物品9の側面90Fに当接する当接位置Pc(図2参照)と物品9の側面90Fから離間する離間位置Pd(図3参照)とに当接部50の位置を変更する当接駆動部50Mを備えている。当接駆動部50Mは、少なくとも、当接部50の対象方向Xの位置を変更することで、当接位置Pcと離間位置Pdとの間で当接部50を移動させる。例えば、当接駆動部50Mは、当接部50を対象方向Xに沿って直動させることで当接部50の対象方向Xの位置を変更しても良いし、当接部50を規定の軸心まわりに揺動させることで当接部50の対象方向Xの位置を変更しても良い。なお、物品9の側面90Fは、物品9が保持体2に保持された状態において対象方向Xを向く面であり、本例では物品本体部90に形成されている。
【0027】
当接部50は、当接位置Pcにある状態で、物品9の側面90Fに対して対象方向Xから当接する。本例では、一対の揺れ抑制機構5のうち一方の揺れ抑制機構5の当接部50が、収容物品9における対象方向Xの一方側を向く側面90Fに当接し、他方の揺れ抑制機構5の当接部50が、収容物品9における対象方向Xの他方側を向く側面90Fに当接する。これにより、収容物品9を対象方向Xの両側から押さえて、収容物品9の対象方向Xの揺れを抑制することができる。
【0028】
本実施形態では、当接部50は、円筒状の外周面50Fを有する弾性部材により構成され、当接位置Pcにある状態で外周面50Fにより物品9の側面90Fに当接する。当接部50を構成する弾性部材としては、例えば、ゴムや、弾性を有する合成樹脂等を用いることができる。当接部50が円筒状の外周面50Fにより物品9の側面90Fに当接するように構成されていることで、物品9に対して湾曲面で当接することができ、物品9の傷つきやパーティクルの発生を抑制し易い。当接部50は、パーティクルの発生し難い部材により構成されると更に好ましい。
【0029】
本実施形態では、当接支持部51は、当接部50を上下方向に沿う軸心まわりに回転自在に支持している。これにより、物品9が上下方向視において対象方向Xに直交する方向(幅方向W)に揺れた場合であっても、そのような物品9の動きに追従して当接部50が回転することになる。従って、物品9と当接部50との摺動を少なく抑えることができ、当該摺動による物品9の傷つきやパーティクルの発生を抑制し易くなる。
【0030】
本実施形態では、当接支持部51は、アーム部510を備えている。アーム部510は、収容部3に連結されていると共に、当接部50を支持している。本例では、アーム部510は、その基端部において収容部3に連結され、その先端部において当接部50を支持している。アーム部510の基端部は、側方カバー部31に設けられた取付部材33に対して上下方向に沿う第1軸心Ax1まわりに回転可能に連結されている。アーム部510は、当接駆動部50Mによって、第1軸心Ax1を中心として旋回するように構成されている。
【0031】
また本実施形態では、当接支持部51は、当接部50を上下方向に貫通する貫通部511(図6参照)を備えている。なお、貫通部511の構成については後述する。
【0032】
図1図3に示すように、本実施形態では、物品搬送車100は、収容部3に収容された物品9の底部92よりも下方に配置され、収容部3に収容された物品9の落下を規制する落下規制体6と、落下規制体6の姿勢を変更する規制体駆動部6Mと、を備えている。なお、物品9の底部92は、物品本体部90の下端部に形成されている。
【0033】
本実施形態では、落下規制体6及び規制体駆動部6Mは、保持体2に対して対象方向Xにおける両側のそれぞれに設けられている。換言すれば、2組の落下規制体6及び規制体駆動部6Mが、収容物品9に対して対象方向Xの両側に配置されている。なお、2組の落下規制体6及び規制体駆動部6Mは、互いに同等の構造を備えている。
【0034】
本実施形態では、落下規制体6は、収容部3に連結されている。詳細には、落下規制体6は、側方カバー部31に設けられた取付部材33(図2及び図3参照)に連結されている。本例では、落下規制体6は、リンク機構により構成されており、規制部材60と、規制部材60に連結する第1リンク61及び第2リンク62と、を備えている。
【0035】
第1リンク61は、規制部材60に対して上下軸心まわりに回転可能に当該規制部材60に連結されている。第2リンク62は、規制部材60と第1リンク61との連結部に対して幅方向Wに離間した部分において、上下軸心まわりに回転可能に当該規制部材60に連結されている。第1リンク61における規制部材60との連結部分とは反対側の部分は、取付部材33に対して上下方向に沿う第1軸心Ax1まわりに回転可能に連結している。第2リンク62における規制部材60との連結部分とは反対側の部分は、取付部材33に対して上下方向に沿う第2軸心Ax2まわりに回転可能に連結している。
【0036】
図2及び図3に示すように、規制体駆動部6Mは、上下方向視で物品9の底部92と重複する位置に突出した突出姿勢Ap(図2参照)と物品9の底部92と重複しない位置に退避した退避姿勢Ae(図3参照)とに落下規制体6の姿勢を変更する。図示の例では、第1リンク61と取付部材33(収容部3)との連結部分に、規制体駆動部6Mが設けられている。規制体駆動部6Mは、第1リンク61を第1軸心Ax1まわりに旋回駆動するように構成されている。第1リンク61が第1軸心Ax1まわりに旋回することで、規制部材60が対象方向Xに移動すると共に規制部材60に連結された第2リンク62が第2軸心Ax2まわりに旋回する。これにより、規制体駆動部6Mは、落下規制体6の姿勢を突出姿勢Apと退避姿勢Aeとに変更することが可能となっている。このように、本例では、落下規制体6を構成する各部材が、各部材同士の連結部分において、上下方向に沿う軸心まわりに相互に回転するように構成されている。このため、各部材を水平方向に沿って動かすことができ、落下規制体6の動作範囲が上下方向に大きくならないようにすることができる。
【0037】
本実施形態では、当接駆動部50Mの駆動源が規制体駆動部6Mの駆動源を兼ねている。具体的には、当接駆動部50Mが備える駆動源としてのモータと、規制体駆動部6Mが備える駆動源としてのモータとが、共用されている。そして、このように共用される1個の駆動源が、当接駆動部50Mとして第1軸心Ax1まわりにアーム部510を旋回駆動し、規制体駆動部6Mとして同じ第1軸心Ax1まわりに第1リンク61を旋回駆動する。このような構成により、当接駆動部50M及び規制体駆動部6Mの構成の簡略化を図ることができ、また、駆動源を別々に設ける場合に比べて装置の小型化を図ることができる。
【0038】
ここで、物品搬送車100は、物品9への上下方向の振動の伝達を緩和する機能を備えている。詳細には、図4に示すように、保持体2は、物品保持部21を本体部20に対して上下方向に弾性支持する第1弾性支持部22を備えている。この第1弾性支持部22によって物品保持部21を弾性支持するため、物品保持部21によって保持された物品9への上下方向の振動の伝達を緩和することができる。本例では、保持体2は、複数の第1弾性支持部22を備えている。なお、図4には、2つの第1弾性支持部22を示している。
【0039】
本実施形態では、保持体2は、物品保持部21と一体的に上下方向に移動する可動支持部23を備えている。可動支持部23は、本体部20の内部において上下方向に移動自在に設けられており、物品保持部21に連結されている。なお図示は省略するが、保持体2が、可動支持部23が本体部20に対する移動を案内する案内部材を備えていると好適である。この案内部材としては、例えば、可動支持部23が上下方向に沿って直線的に移動するように案内する直動案内機構等を用いることができる。
【0040】
本実施形態では、第1弾性支持部22は、コイルバネにより構成された第1弾性体22Eと、可動支持部23と第1弾性体22Eの一端とを連結する第1連結部221と、本体部20(図示の例では本体底部202)と第1弾性体22Eの他端とを連結する第2連結部222と、を備えている。例えば、第1弾性体22Eは、圧縮コイルバネにより構成され、可動支持部23と本体底部202との上下方向の間隔を広げる方向に力を作用させるように設けられる。
【0041】
図5に示すように、本実施形態では、保持体2は、物品保持部21が第1弾性支持部22によって本体部20に対して弾性支持される弾性支持状態と、物品保持部21が本体部20に対して固定支持される固定支持状態と、に物品保持部21の支持状態を変更する支持状態変更装置24を備えている。
【0042】
支持状態変更装置24は、第1連結部221と第2連結部222との間隔を固定して第1弾性体22Eの弾性変形を規制することで、物品保持部21の支持状態を固定支持状態にする。本実施形態では、支持状態変更装置24は、第1連結部221と第2連結部222との間隔を固定する固定部240を備えている。支持状態変更装置24は、固定部240を固定状態と固定解除状態とに変更可能に構成されており、固定状態において上述の固定支持状態を実現し、固定解除状態において上述の弾性支持状態を実現する。
【0043】
本実施形態では、固定部240は、揺動体240aと、揺動体240aを揺動自在に支持する揺動支持部240bと、揺動体240aを揺動させる揺動駆動部240Mと、を備えている。揺動駆動部240Mは、例えばモータなどの駆動源を備えている。
【0044】
本実施形態では、揺動支持部240bは、水平方向に沿う揺動軸心Ax24まわりに揺動可能となるように揺動体240aを支持している。そして、揺動体240aに設けられた接触部240cが、可動支持部23において本体底部202側を向くように形成された接触面23Fに接触し、当該接触面23Fに沿って移動しつつ当該接触面23Fを本体底部202に対して接近及び離間させる方向に押し引きするように構成されている。本例では、接触部240cは、可動支持部23の接触面23Fに対して転動可能なローラとされている。ローラとしての接触部240cは、可動支持部23の接触面23Fを転動することにより当該接触面23Fに沿って移動する構成となっている。
【0045】
そして、支持状態変更装置24は、接触部240cが可動支持部23を本体底部202に対して離間させる方向に押した状態で揺動体240aの揺動を規制することで、固定部240を固定状態とし、第1連結部221と第2連結部222との間隔を固定する。これにより、支持状態変更装置24は、第1弾性体22Eの弾性変形を規制して、物品保持部21の支持状態を固定支持状態にする。なお、揺動体240aの揺動の規制は、揺動体240aの揺動をストッパ等によってロックすることや、揺動支持部240bにブレーキ機構を設けること等により実現しても良いし、或いは、揺動駆動部240Mの駆動源(モータ)の出力を制御することによって実現しても良い。
【0046】
支持状態変更装置24は、接触部240cが可動支持部23の接触面23Fから離れた状態とすることで、固定部240を固定解除状態とし、第1連結部221と第2連結部222との間隔の変動を許容する。これにより、支持状態変更装置24は、第1弾性体22Eの弾性変形を許容して、物品保持部21の支持状態を弾性支持状態にする。弾性支持状態では、第1連結部221と第2連結部222との間隔が変動した場合に、第1弾性体22Eは、可動支持部23の上下動に対応して伸縮する。これにより、可動支持部23と一体的に上下動する物品保持部21によって保持された物品9への、上下方向の振動の伝達を緩和することができる。
【0047】
また、この物品搬送車100では、物品保持部21によって保持された物品9の側面90Fに対して対象方向Xから当接する当接部50についても、物品9の側面90Fに当接した状態で上下方向に弾性移動可能となっている。以下、詳細に説明する。
【0048】
図6に示すように、当接支持部51は、当接部50を収容部3(図1等参照)に対して上下方向に弾性支持する第2弾性支持部512を備えている。上述のように本実施形態では、当接支持部51は、アーム部510と、アーム部510の先端部に設けられ、当接部50を上下方向に貫通する貫通部511と、を備えている。本例では、第2弾性支持部512は、貫通部511の周囲に配置されている。詳細には、当接部50の内部には、貫通部511の一部が配置される空間部501が形成されており、第2弾性支持部512は、この空間部501において貫通部511の周囲に配置されている。このように当接部50の内部に第2弾性支持部512を配置しているため、揺れ抑制機構5の小型化を図り易くなっている。
【0049】
本実施形態では、第2弾性支持部512は、第2弾性体512Eを備えている。本例では、第2弾性体512Eは、コイルバネとして構成されており、より具体的には圧縮コイルバネとして構成されている。
【0050】
本実施形態では、第2弾性支持部512は、第2弾性体512Eの一端と当接支持部51(本例では貫通部511)とを連結する第3連結部512aと、第2弾性体512Eの他端と当接部50とを連結する第4連結部512bと、を備えている。本実施形態では、第3連結部512aは、当接支持部51の貫通部511と一体的に形成されたフランジ状部分である。図示の例では、貫通部511がアーム部510に螺合されたボルトを用いて構成されており、当該ボルトの頭部が、第4連結部512bとなっている。第3連結部512aは、貫通部511に対して相対移動しない。一方、第4連結部512bは、貫通部511に対して上下方向に相対移動する状態で当接部50に連結されている。第3連結部512aと第4連結部512bとは、互いに上下方向に間隔を空けて配置されており、両者の間に第2弾性体512Eが設けられている。本例では、第3連結部512aと第4連結部512bとの間にコイルバネである第2弾性体512Eが挟まれて配置されている。
【0051】
第3連結部512aは、第2弾性体512Eの一端に対して下方から接触している。また、第4連結部512bは、当接部50における空間部501の上端に配置されており、空間部501において、当接部50の一部に対して下方から接触すると共に第2弾性体512Eの他端に対して上方から接触している。そして、第2弾性体512Eの付勢力によって、第4連結部512bが当接部50に押し付けられて係止されている。このような構成により、第4連結部512bは、当接部50によって上方から押されることにより第2弾性体512Eを縮ませ、当接部50による上方からの力が弱まると第2弾性体512Eによって上方に押されて当該第2弾性体512Eを伸ばす。すなわち、第2弾性体512Eは、当接部50の上下動に応じて伸縮する。そして、この当接部50の上下動は、当接部50が当接している物品9の上下方向の振動により引き起こされる。従って、この第2弾性支持部512は、物品保持部21に保持された物品9が上下方向に弾性移動した場合に、この物品9に当接している当接部50の上下方向の弾性移動も許容する。これにより、物品9への上下方向の振動の伝達を緩和するという、保持体2の第1弾性支持部22の機能を適切に発揮することが可能となっている。本実施形態では、第3連結部512a及び第4連結部512bにおける「連結」は、それぞれ、第2弾性体512Eの付勢力によって押し付けられて連結対象に係止されている状態を指している。なお、第3連結部512a及び第4連結部512bの一方又は双方について、溶接や嵌合等を用いて第2弾性体512Eを連結対象に一体的に連結した構成としても良い。
【0052】
本実施形態では、第2弾性体512Eのばね定数は、第1弾性体22Eのばね定数よりも低く設定されている。これにより、物品9及び物品保持部21に比べて、当接部50の方が上下方向に弾性移動し易い構成となっており、物品9の上下方向の弾性移動に対する当接部50の追従性を適切に確保することが可能となっている。従って、物品9への上下方向の振動の伝達を緩和するという第1弾性支持部22の機能を当接部50により妨げることを回避でき、当該第1弾性支持部22の機能をより適切に発揮することが可能となる。
【0053】
次に、収容物品9と、当接位置Pcにある当接部50との位置関係について説明する。
【0054】
図7に示すように、ここでは、収容部3に収容された物品9(収容物品9)の下端90Edが第1弾性支持部22によって弾性移動可能な上下方向の範囲を第1弾性移動範囲R1とし、物品9の側面90Fに当接する当接部50の上端50Euが第2弾性支持部512によって弾性移動可能な上下方向の範囲を第2弾性移動範囲R2とする。本実施形態では、第1弾性移動範囲R1の上限位置Eu1が、第2弾性移動範囲R2の下限位置Ed2よりも下方に設定されている。そして、当然に、第1弾性移動範囲R1の下限位置Ed1は、第2弾性移動範囲R2の上限位置Eu2よりも下方に設定されている。このような構成により、物品9の下端90Edの位置を、当接部50の上端50Euの位置よりも常に低くすることができる。従って、第1弾性支持部22による収容物品9の上下動、及び、第2弾性支持部512による当接部50の上下動を起因としては、物品9が当接部50に乗り上げることがない。そのため、物品9が当接部50に乗り上げて揺れ抑制機構5が適切に機能しなくなることを回避することができる。
【0055】
〔その他の実施形態〕
次に、物品搬送車のその他の実施形態について説明する。
【0056】
(1)上記の実施形態では、対象方向Xが、走行経路8に沿う方向に設定されており、走行方向Lに等しい例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、対象方向Xは、例えば、上下方向視で走行方向Lに直交する方向(幅方向W)に設定されていても良い。この場合、当接部50は、収容物品9に対して幅方向Wに配置され、収容物品9の幅方向Wの揺れを抑制するように構成される。
【0057】
(2)上記の実施形態では、当接部50が、円筒状の外周面50Fを有する弾性部材により構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、当接部50は、例えば、球状の外周面50Fまたは多角筒状の外周面50Fを有していても良い。また当接部50は、剛性部材により構成されていても良い。
【0058】
(3)上記の実施形態では、当接支持部51が、当接部50を上下方向に沿う軸心まわりに回転自在に支持している例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、当接支持部51は、当接部50を上下方向に沿う軸心まわりに回転させない状態で支持していても良い。
【0059】
(4)上記の実施形態では、当接支持部51が、収容部3における側方カバー部31に連結されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、当接支持部51は、収容部3における上方カバー部32に連結されていても良い。
【0060】
(5)上記の実施形態では、第1リンク61と取付部材33(収容部3)との連結部分に、規制体駆動部6Mが設けられている例について説明した。しかし、規制体駆動部6Mは、第2リンク62と取付部材33(収容部3)との連結部分にも設けられていても良い。
【0061】
(6)上記の実施形態では、落下規制体6が、リンク機構により構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、落下規制体6は、例えば、シリンダ等を用いて規制部材60を直動または揺動させるようにしても良い。
【0062】
(7)上記の実施形態では、当接駆動部50Mの駆動源が規制体駆動部6Mの駆動源を兼ねている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、当接駆動部50Mの駆動源と規制体駆動部6Mの駆動源とは、それぞれ独立して設けられていても良い。
【0063】
(8)上記の実施形態では、物品搬送車100が落下規制体6を備えている例について説明したが、物品搬送車100は、そのような落下規制体6を備えていなくても良い。
【0064】
(9)上記の実施形態では、第1弾性体22E及び第2弾性体512Eの双方が、コイルバネ、詳細には圧縮コイルバネにより構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1弾性体22E及び第2弾性体512Eの少なくとも一方は、引張コイルバネ、ねじりコイルバネ、或いは板バネ等の各種バネ、或いは、ゴムや合成樹脂等の他の弾性体により構成されていても良い。
【0065】
(10)上記の実施形態では、第2弾性体512Eのばね定数が、第1弾性体22Eのばね定数よりも低く設定されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第2弾性体512Eのばね定数は、第1弾性体22Eのばね定数と同等の値に設定されていても良いし、或いは、第1弾性体22Eのばね定数よりも高く設定されていても良い。
【0066】
(11)上記の実施形態では、支持状態変更装置24における接触部240cが、可動支持部23の接触面23Fに対して転動可能なローラとして構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば、接触部240cに対応する部分に直動ブロックが設けられると共に可動支持部23に直動レールが設けられ、揺動体240aの揺動に伴って直動ブロックが直動レール上を移動するように構成されていても良い。
【0067】
(12)上記の実施形態では、保持体2が、物品保持部21の支持状態を弾性支持状態と固定支持状態とに変更する支持状態変更装置24を備えている例について説明したが、保持体2は、そのような支持状態変更装置24を備えていなくても良い。
【0068】
(13)上記の実施形態では、物品搬送車100が、保持体2を昇降させるように構成されており、走行レール80よりも下方に配置された移載対象箇所7との間で物品9を移載可能に構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、物品搬送車100は、保持体2を昇降させる機能は備えていなくても良い。この場合、移載対象箇所7は、走行レール80と同等の高さにおいて走行レール80に対して水平方向に離間して配置され、物品搬送車100は、保持体2を水平方向に移動させることにより上記移載対象箇所7との間で物品9を移載するように構成されていても良い。
【0069】
(14)上記の実施形態では、物品搬送車100が、いわゆる天井搬送車として構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、物品搬送車100は、物品9を吊下げ支持した状態で搬送するものであれば良く、床面付近において物品9を搬送する搬送車として構成されていても良い。
【0070】
(15)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0071】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送車について説明する。
【0072】
物品を搬送する物品搬送車であって、
走行経路に沿って走行する走行体と、
前記走行体に連結され、前記物品を吊り下げた状態で保持する保持体と、
前記走行体に連結され、前記保持体に保持された前記物品を収容する収容部と、
上下方向に直交する方向に沿ういずれかの方向を対象方向として、前記収容部に収容された前記物品の前記対象方向の揺れを抑制する揺れ抑制機構と、を備え、
前記保持体は、本体部と、前記物品を保持する物品保持部と、前記物品保持部を前記本体部に対して前記上下方向に弾性支持する第1弾性支持部と、を備え、
前記揺れ抑制機構は、当接部と、前記収容部に連結されると共に前記当接部を支持する当接支持部と、前記収容部に収容された前記物品の側面に当接する当接位置と前記側面から離間する離間位置とに前記当接部の位置を変更する当接駆動部と、を備え、
前記当接支持部は、前記当接部を前記収容部に対して前記上下方向に弾性支持する第2弾性支持部を備えている。
【0073】
本構成によれば、保持体によって保持された物品の側面に対して揺れ抑制機構の当接部が当接することにより、物品の対象方向の揺れを少なく抑えることができる。そのため、物品を安定して保持することが可能となる。また、当接部を支持する当接支持部は、当接部を収容部に対して上下方向に弾性支持する第2弾性支持部を備えている。そのため、第1弾性支持部によって上下方向に弾性支持された物品保持部が上下方向に弾性移動した場合、すなわち、当該物品保持部に保持された物品が上下方向に弾性移動した場合に、この物品に当接する当接部も追従して上下方向に弾性移動することができる。従って、物品への上下方向の振動の伝達を緩和するという、保持体の第1弾性支持部の機能を適切に発揮することが可能となる。
【0074】
ここで、
前記収容部に収容された前記物品の下端が前記第1弾性支持部によって弾性移動可能な前記上下方向の範囲を第1弾性移動範囲とし、前記物品の前記側面に当接する前記当接部の上端が前記第2弾性支持部によって弾性移動可能な前記上下方向の範囲を第2弾性移動範囲として、
前記第1弾性移動範囲の上限位置が、前記第2弾性移動範囲の下限位置よりも下方に設定されている、と好適である。
【0075】
本構成によれば、物品の下端の位置を、当接部の上端の位置よりも常に低くすることができるため、物品が当接部に乗り上げて揺れ抑制機構が適切に機能しなくなることを回避できる。
【0076】
また、
前記第1弾性支持部は第1弾性体を備え、
前記第2弾性支持部は第2弾性体を備え、
前記第2弾性体のばね定数は、前記第1弾性体のばね定数よりも低く設定されている、と好適である。
【0077】
本構成によれば、物品及び物品保持部に比べて、当接部の方が上下方向に弾性移動し易くなる。従って、物品の上下方向の弾性移動に対する当接部の追従性を適切に確保することができる。これにより、物品への上下方向の振動の伝達を緩和するという第1弾性支持部の機能を当接部により妨げることを回避でき、当該第1弾性支持部の機能をより適切に発揮することが可能となる。
【0078】
また、
前記当接支持部は、前記当接部を前記上下方向に貫通する貫通部を備え、
前記第2弾性支持部は、前記貫通部の周囲に配置されている、と好適である。
【0079】
本構成によれば、第2弾性支持部を当接部の内部に配置することができるため、揺れ抑制機構の小型化を図り易い。
【0080】
また、
前記当接部は、円筒状の外周面を有する弾性部材により構成され、前記当接位置にある状態で前記外周面により前記物品の前記側面に当接し、
前記当接支持部は、前記当接部を前記上下方向に沿う軸心まわりに回転自在に支持している、と好適である。
【0081】
本構成によれば、物品と当接部との摺動を少なく抑えることができる。従って、当該摺動による物品の傷つきやパーティクルの発生を抑制し易い。
【0082】
また、
前記収容部に収容された前記物品の底部よりも下方に配置され、前記収容部に収容された前記物品の落下を規制する落下規制体と、
前記上下方向に沿う上下方向視で前記底部と重複する位置に突出した突出姿勢と前記底部と重複しない位置に退避した退避姿勢とに前記落下規制体の姿勢を変更する規制体駆動部と、を備え、
前記当接駆動部の駆動源が前記規制体駆動部の駆動源を兼ねている、と好適である。
【0083】
本構成によれば、落下規制体によって物品の落下を規制することができる。また、当接駆動部の駆動源が規制体駆動部の駆動源を兼ねているため、これら2つの駆動部の構成の簡略化を図り易い。
【0084】
また、
前記保持体は、前記物品保持部が前記第1弾性支持部によって前記本体部に対して前記弾性支持される弾性支持状態と、前記物品保持部が前記本体部に対して固定支持される固定支持状態と、に前記物品保持部の支持状態を変更する支持状態変更装置を備える、と好適である。
【0085】
本構成によれば、物品の上下方向の弾性移動を許容したい場合には、支持状態変更装置によって物品保持部の支持状態を弾性支持状態にすることができる。また、物品の上下方向の弾性移動を規制したい場合には、支持状態変更装置によって物品保持部の支持状態を固定支持状態にすることができる。従って本構成によれば、物品の搬送状況に応じて、物品の保持状態を適切に変更することができる。
【0086】
また、前記保持体が支持状態変更装置を備えた構成において、
前記保持体は、前記物品保持部と一体的に前記上下方向に移動する可動支持部を備え、
前記第1弾性支持部は、コイルばねにより構成された第1弾性体と、前記可動支持部と前記第1弾性体の一端とを連結する第1連結部と、前記本体部と前記第1弾性体の他端とを連結する第2連結部と、を備え、
前記支持状態変更装置は、前記第1連結部と前記第2連結部との間隔を固定して前記第1弾性体の弾性変形を規制することで、前記物品保持部の支持状態を前記固定支持状態にする、と好適である。
【0087】
本構成によれば、比較的簡易な構成で、物品保持部の支持状態を弾性支持状態と固定支持状態とに変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本開示に係る技術は、物品を搬送する物品搬送車に利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
100 :物品搬送車
1 :走行体
2 :保持体
20 :本体部
21 :物品保持部
22 :第1弾性支持部
221 :第1連結部
222 :第2連結部
22E :第1弾性体
23 :可動支持部
24 :支持状態変更装置
3 :収容部
5 :抑制機構
50 :当接部
50Eu :上端
50F :外周面
50M :当接駆動部
Pc :当接位置
Pd :離間位置
51 :当接支持部
511 :貫通部
512 :第2弾性支持部
512E :第2弾性体
6 :落下規制体
6M :規制体駆動部
Ae :退避姿勢
Ap :突出姿勢
8 :走行経路
9 :物品
90Ed :下端
90F :側面
92 :底部
R1 :第1弾性移動範囲
Eu1 :上限位置
R2 :第2弾性移動範囲
Ed2 :下限位置
X :対象方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7