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特許7359174測定データ記録装置、生成装置、システム、装置、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】測定データ記録装置、生成装置、システム、装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
G05B23/02 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021032089
(22)【出願日】2021-03-01
(65)【公開番号】P2022133158
(43)【公開日】2022-09-13
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】都筑 純
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-46873(JP,A)
【文献】特表2020-535569(JP,A)
【文献】特開2018-97616(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143118(WO,A1)
【文献】特開2010-122912(JP,A)
【文献】特開2009-157787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00 -23/02
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の状態についての時系列の測定データを記録する測定データ記録装置から、前記測定データを取得する取得部と、
測定データから前記対象の状態の良否を判定する判定モデルを、取得した時系列の測定データを用いて生成する生成部と、
前記判定モデルを前記測定データ記録装置に送信する送信部と、
を備え
前記時系列の測定データは、前記対象で繰り返される処理が実行される毎の、当該処理中の測定データであり、
前記生成部は、
時系列の測定データを含む学習データを用いた学習処理によって前記判定モデルを生成する学習処理部と、
測定データの種類ごとに、動的時間伸縮法により、前記取得部によって取得された一の時系列の測定データに対して、他の時系列の測定データの時間幅を揃え、前記一の時系列の測定データの各点に対して前記他の時系列の測定データの各点の距離が最短となるDTWパスを決定する処理を行った場合での、前記一の時系列の測定データおよび当該他の時系列の測定データの間のDTW距離を示すパラメータと、当該他の時系列の測定データに含まれる各点の測定データのうち、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされた測定データの個数を示すパラメータと、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされなかった測定データの個数を示すパラメータとのうち、少なくとも1つのパラメータを算出するDTW処理部と、
を有し、
前記学習処理部は、前記少なくとも1つのパラメータを含む学習データを用いて前記判定モデルを生成し、
前記一の時系列の測定データは、前記取得部によって取得された複数の時系列の測定データのうち、先頭から末尾までの時間幅が中央値である時系列の測定データ、または、他の時系列の測定データに対するDTW距離の総和が最小である時系列の測定データである、生成装置。
【請求項2】
前記生成部は、測定データの種類ごとに、動的時間伸縮法により、前記取得部によって取得された一の時系列の測定データに対して、他の時系列の測定データの時間幅を揃え、前記一の時系列の測定データの各点に対して前記他の時系列の測定データの各点の距離が最短となるDTWパスを決定する処理を行った場合での、当該他の時系列の測定データに含まれる各点の測定データのうち、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされた測定データの個数を示すパラメータまたは、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされなかった測定データの個数を示すパラメータのうち、少なくとも1つのパラメータを算出する、請求項1に記載の生成装置。
【請求項3】
前記対象の状態が良好ではないことを示すラベルが付された時系列の測定データ、または、前記対象の状態が良好ではないと前記判定モデル若しくはオペレータにより判定された場合に測定された時系列の測定データの少なくとも一方を含む、複数の時系列の測定データをクラスタ解析する解析部と、
一の時系列の測定データが前記判定モデルに入力されて前記対象の状態が良好ではないと判定されることに応じて、当該一の時系列の測定データが分類されるべきクラスタを特定する特定部と、
を備える、請求項1または2に記載の生成装置。
【請求項4】
対象の状態についての時系列の測定データを記録する測定データ記録装置から、前記測定データを取得する取得部と、
測定データから前記対象の状態の良否を判定する判定モデルを、取得した時系列の測定データを用いて生成する生成部と、
前記判定モデルを前記測定データ記録装置に送信する送信部と、
を備え
前記時系列の測定データは、前記対象で繰り返される処理が実行される毎の、当該処理中の測定データであり、
前記生成部は、
測定データの種類ごとに、前記取得部によって取得された複数の時系列の測定データに対する統計処理によって、前記処理内での経過時間ごとの測定データの許容範囲を前記判定モデルとして生成する統計処理部と、
測定データの種類ごとに、動的時間伸縮法により、前記取得部によって取得された一の時系列の測定データに対して、他の時系列の測定データの時間幅を揃え、前記一の時系列の測定データに対する前記他の時系列の測定データの波形の違いを最小化するDTW処理部と、
を有し、
前記統計処理部は、前記DTW処理部によって処理された複数の時系列の測定データに対して統計処理を行い、
前記一の時系列の測定データは、前記取得部によって取得された複数の時系列の測定データのうち、先頭から末尾までの時間幅が中央値である時系列の測定データ、または、他の時系列の測定データに対するDTW距離の総和が最小である時系列の測定データである、生成装置。
【請求項5】
前記生成部により生成された前記判定モデルを暗号化する暗号化部を備え、
前記送信部は、暗号化された前記判定モデルを前記測定データ記録装置に送信する、請求項1から4の何れか一項に記載の生成装置。
【請求項6】
前記送信部は、前記判定モデルの正当性を示す情報を当該判定モデルと共に前記測定データ記録装置に送信する、請求項1から5の何れか一項に記載の生成装置。
【請求項7】
前記生成部により生成された前記判定モデルを、前記測定データ記録装置において実行される処理のコードに変換する変換部を備え、
前記送信部は、前記変換部により変換された前記判定モデルを前記測定データ記録装置に送信する、請求項1から6の何れか一項に記載の生成装置。
【請求項8】
対象の状態を測定した時系列の測定データを取得する取得部と、
取得した測定データを記録する記録部と、
請求項1から7の何れか一項に記載の生成装置に対して、前記記録部に記録された測定データを送信する測定データ送信部と、
前記生成装置が生成した前記判定モデルを受信するモデル受信部と、
受信した前記判定モデルに対して、新たに取得された測定データを入力し、当該判定モデルから出力される判定結果を取得して前記対象の状態の良否を判定する判定部と、
を備える測定データ記録装置。
【請求項9】
暗号化されて前記モデル受信部に受信された前記判定モデルを復号化する復号化部を備える、請求項に記載の測定データ記録装置。
【請求項10】
前記モデル受信部は、前記判定モデルの正当性を示す情報を当該判定モデルと共に受信したことに応じて当該判定モデルを前記判定部から利用可能とする、請求項8または9に記載の測定データ記録装置。
【請求項11】
前記判定部は、前記判定モデルを用いて、新たに取得させた時系列の測定データから、当該時系列の測定データが測定されたときの前記対象の状態の良否を判定する、請求項8から10の何れか一項に記載の測定データ記録装置。
【請求項12】
前記判定部は、前記判定モデルにおける判定閾値と、測定データの測定値に応じた値を入力したことに応じて前記判定モデルから取得される、前記対象の状態を示す指標値との差分を用いて判定を行い、判定結果と、少なくとも直近の前記差分とを出力する、請求項8から11の何れか一項に記載の測定データ記録装置。
【請求項13】
前記判定部は、前記判定モデルを用いて、測定データが新たに取得される都度、当該測定データが測定されたときの前記対象の状態の良否を判定する、請求項8から10の何れか一項に記載の測定データ記録装置。
【請求項14】
請求項1からの何れか一項に記載の生成装置と、
請求項8から13の何れか一項に記載の測定データ記録装置とを備えるシステム。
【請求項15】
対象の状態についての時系列の測定データを記録する測定データ記録装置から、前記測定データを取得する取得段階と、
測定データから前記対象の状態の良否を判定する判定モデルを、取得した時系列の測定データを用いて生成する生成段階と、
前記判定モデルを前記測定データ記録装置に送信する送信段階と、
を備え
前記時系列の測定データは、前記対象で繰り返される処理が実行される毎の、当該処理中の測定データであり、
前記生成段階は、
時系列の測定データを含む学習データを用いた学習処理によって前記判定モデルを生成する学習処理段階と、

測定データの種類ごとに、動的時間伸縮法により、前記取得段階によって取得された一の時系列の測定データに対して、他の時系列の測定データの時間幅を揃え、前記一の時系列の測定データの各点に対して前記他の時系列の測定データの各点の距離が最短となるDTWパスを決定する処理を行った場合での、前記一の時系列の測定データおよび当該他の時系列の測定データの間のDTW距離を示すパラメータと、当該他の時系列の測定データに含まれる各点の測定データのうち、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされた測定データの個数を示すパラメータと、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされなかった測定データの個数を示すパラメータとのうち、少なくとも1つのパラメータを算出するDTW処理段階と、
を有し、
前記学習処理段階では、前記少なくとも1つのパラメータを含む学習データを用いて前記判定モデルを生成し、
前記一の時系列の測定データは、前記取得段階によって取得された複数の時系列の測定データのうち、先頭から末尾までの時間幅が中央値である時系列の測定データ、または、他の時系列の測定データに対するDTW距離の総和が最小である時系列の測定データである方法。
【請求項16】
対象の状態についての時系列の測定データを記録する測定データ記録装置から、前記測定データを取得する取得段階と、
測定データから前記対象の状態の良否を判定する判定モデルを、取得した時系列の測定データを用いて生成する生成段階と、
前記判定モデルを前記測定データ記録装置に送信する送信段階と、
を備え
前記時系列の測定データは、前記対象で繰り返される処理が実行される毎の、当該処理中の測定データであり、
前記生成段階は、
測定データの種類ごとに、前記取得段階によって取得された複数の時系列の測定データに対する統計処理によって、前記処理内での経過時間ごとの測定データの許容範囲を前記判定モデルとして生成する統計処理段階と、
測定データの種類ごとに、動的時間伸縮法により、前記取得段階によって取得された一の時系列の測定データに対して、他の時系列の測定データの時間幅を揃え、前記一の時系列の測定データに対する前記他の時系列の測定データの波形の違いを最小化するDTW処理段階と、
を有し、
前記統計処理段階では、前記DTW処理段階によって処理された複数の時系列の測定データに対して統計処理を行い、
前記一の時系列の測定データは、前記取得段階によって取得された複数の時系列の測定データのうち、先頭から末尾までの時間幅が中央値である時系列の測定データ、または、他の時系列の測定データに対するDTW距離の総和が最小である時系列の測定データである方法。
【請求項17】
コンピュータを、
対象の状態についての時系列の測定データを記録する測定データ記録装置から、前記測定データを取得する取得部と、
測定データから前記対象の状態の良否を判定する判定モデルを、取得した時系列の測定データを用いて生成する生成部と、
前記判定モデルを前記測定データ記録装置に送信する送信部
として機能させ
前記時系列の測定データは、前記対象で繰り返される処理が実行される毎の、当該処理中の測定データであり、
前記生成部は、
時系列の測定データを含む学習データを用いた学習処理によって前記判定モデルを生成する学習処理部と、

測定データの種類ごとに、動的時間伸縮法により、前記取得部によって取得された一の時系列の測定データに対して、他の時系列の測定データの時間幅を揃え、前記一の時系列の測定データの各点に対して前記他の時系列の測定データの各点の距離が最短となるDTWパスを決定する処理を行った場合での、前記一の時系列の測定データおよび当該他の時系列の測定データの間のDTW距離を示すパラメータと、当該他の時系列の測定データに含まれる各点の測定データのうち、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされた測定データの個数を示すパラメータと、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされなかった測定データの個数を示すパラメータとのうち、少なくとも1つのパラメータを算出するDTW処理部と、
を有し、
前記学習処理部は、前記少なくとも1つのパラメータを含む学習データを用いて前記判定モデルを生成し、
前記一の時系列の測定データは、前記取得部によって取得された複数の時系列の測定データのうち、先頭から末尾までの時間幅が中央値である時系列の測定データ、または、他の時系列の測定データに対するDTW距離の総和が最小である時系列の測定データであるプログラム。
【請求項18】
コンピュータを、
対象の状態についての時系列の測定データを記録する測定データ記録装置から、前記測定データを取得する取得部と、
測定データから前記対象の状態の良否を判定する判定モデルを、取得した時系列の測定データを用いて生成する生成部と、
前記判定モデルを前記測定データ記録装置に送信する送信部
として機能させ
前記時系列の測定データは、前記対象で繰り返される処理が実行される毎の、当該処理中の測定データであり、
前記生成部は、
測定データの種類ごとに、前記取得部によって取得された複数の時系列の測定データに対する統計処理によって、前記処理内での経過時間ごとの測定データの許容範囲を前記判定モデルとして生成する統計処理部と、
測定データの種類ごとに、動的時間伸縮法により、前記取得部によって取得された一の時系列の測定データに対して、他の時系列の測定データの時間幅を揃え、前記一の時系列の測定データに対する前記他の時系列の測定データの波形の違いを最小化するDTW処理部と、
を有し、
前記統計処理部は、前記DTW処理部によって処理された複数の時系列の測定データに対して統計処理を行い、
前記一の時系列の測定データは、前記取得部によって取得された複数の時系列の測定データのうち、先頭から末尾までの時間幅が中央値である時系列の測定データ、または、他の時系列の測定データに対するDTW距離の総和が最小である時系列の測定データであるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定データ記録装置、生成装置、システム、装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1等には、「生成した前記学習モデルを用いて…測定されうる測定値を少なくとも1個以上含む予測値を算出する」と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2019-124596号公報
[特許文献2] 特開2011-8735号公報
[特許文献3] 特開平7-280603号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、測定データ記録装置が提供される。測定データ記録装置は、対象の状態を測定した時系列の測定データを取得する取得部を備えてよい。測定データ記録装置は、取得した測定データを記録する記録部を供えてよい。測定データ記録装置は、対象の状態の良否を判定する判定モデルを生成する生成装置に対して、記録部に記録された測定データを送信する測定データ送信部を備えてよい。測定データ記録装置は、生成装置が生成した判定モデルを受信するモデル受信部を供えてよい。測定データ記録装置は、受信した判定モデルを用いて、新たに取得された測定データから対象の状態の良否を判定する判定部を備えてよい。
【0004】
測定データ記録装置は、暗号化されてモデル受信部に受信された判定モデルを復号化する復号化部を備えてよい。
【0005】
モデル受信部は、判定モデルの正当性を示す情報を当該判定モデルと共に受信したことに応じて当該判定モデルを判定部から利用可能としてよい。
【0006】
判定部は、判定モデルを用いて、新たに取得させた時系列の測定データから、当該時系列の測定データが測定されたときの対象の状態の良否を判定してよい。
【0007】
判定部は、判定モデルにおける判定閾値と、測定データの測定値に応じた値を入力したことに応じて判定モデルから取得される、対象の状態を示す指標値との差分を用いて判定を行い、判定結果と、少なくとも直近の差分とを出力してよい。
【0008】
判定部は、判定モデルを用いて、測定データが新たに取得される都度、当該測定データが測定されたときの対象の状態の良否を判定してよい。
【0009】
本発明の第2の態様においては、生成装置が提供される。生成装置は、対象の状態についての時系列の測定データを記録する測定データ記録装置から、測定データを取得する取得部を備えてよい。生成装置は、測定データから対象の状態の良否を判定する判定モデルを、取得した時系列の測定データを用いて生成する生成部を備えてよい。生成装置は、判定モデルを測定データ記録装置に送信する送信部を備えてよい。
【0010】
生成装置は、生成部により生成された判定モデルを暗号化する暗号化部を備えてよい。送信部は、暗号化された判定モデルを測定データ記録装置に送信してよい。
【0011】
送信部は、判定モデルの正当性を示す情報を当該判定モデルと共に測定データ記録装置に送信してよい。
【0012】
生成装置は、生成部により生成された判定モデルを、測定データ記録装置において実行される処理のコードに変換する変換部を備えてよい。送信部は、変換部により変換された判定モデルを測定データ記録装置に送信してよい。
【0013】
生成部は、時系列の測定データを含む学習データを用いた学習処理によって判定モデルを生成する学習処理部を有してよい。
【0014】
時系列の測定データは、対象で繰り返される処理が実行される毎の、当該処理中の測定データであってよい。生成部は、測定データの種類ごとに、取得部によって取得された一の時系列の測定データに対して、他の時系列の測定データの時間幅を揃え、一の時系列の測定データの各点に対して他の時系列の測定データの各点の距離が最短となるDTWパスを決定する処理を行った場合での、一の時系列の測定データおよび当該他の時系列の測定データの間のDTW距離を示すパラメータと、当該他の時系列の測定データに含まれる各点の測定データのうち、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされた測定データの個数を示すパラメータと、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされなかった測定データの個数を示すパラメータとのうち、少なくとも1つのパラメータを算出するDTW処理部を有してよい。学習処理部は、少なくとも1つのパラメータを含む学習データを用いて判定モデルを生成してよい。
【0015】
生成装置は、対象の状態が良好ではない場合に測定された複数の時系列の測定データをクラスタ解析する解析部を備えてよい。生成装置は、一の時系列の測定データが判定モデルに入力されて対象の状態が良好ではないと判定されることに応じて、当該一の時系列の測定データが分類されるべきクラスタを特定する特定部を備えてよい。
【0016】
時系列の測定データは、対象で繰り返される処理が実行される毎の、当該処理中の測定データであってよい。生成部は、測定データの種類ごとに、取得部によって取得された複数の時系列の測定データに対する統計処理によって、処理内での経過時間ごとの測定データの許容範囲を判定モデルとして生成する統計処理部を有してよい。
【0017】
生成部は、測定データの種類ごとに、動的時間伸縮法により、取得部によって取得された一の時系列の測定データに対して、他の時系列の測定データの時間幅を揃え、一の時系列の測定データに対する他の時系列の測定データの波形の違いを最小化するDTW処理部を有してよい。統計処理部は、DTW処理部によって処理された複数の時系列の測定データに対して統計処理を行ってよい。
【0018】
本発明の第3の態様においては、システムが提供される。システムは、第1の態様の測定データ記録装置を備えてよい。システムは、第2の態様の生成装置を備えてよい。
【0019】
本発明の第4の態様においては、装置が提供される。装置は、対象の状態についての時系列の測定データを記録する測定データ記録装置から、測定データを取得する取得部を備えてよい。装置は、時系列の測定データを含む学習データを用いた学習処理によって、測定データから対象の状態の良否を判定する判定モデルを生成する学習処理部を備えてよい。装置は、対象の状態が良好ではない場合に測定された複数の時系列の測定データをクラスタ解析する解析部を備えてよい。装置は、一の時系列の測定データが判定モデルに入力されて対象の状態が良好ではないと判定されることに応じて、当該一の時系列の測定データが分類されるべきクラスタを特定する特定部を備えてよい。
【0020】
本発明の第5の態様においては、方法が提供される。方法は、対象の状態を測定した時系列の測定データを取得する取得段階を備えてよい。方法は、取得した測定データを記録する記録段階を備えてよい。方法は、対象の状態の良否を判定する判定モデルを生成する生成装置に対して、記録段階で記録された測定データを送信する測定データ送信段階を備えてよい。方法は、生成装置が生成した判定モデルを受信するモデル受信段階を備えてよい。方法は、受信した判定モデルを用いて、新たに取得された測定データから対象の状態の良否を判定する判定段階を備えてよい。
【0021】
本発明の第6の態様においては、方法が提供される。方法は、対象の状態についての時系列の測定データを記録する測定データ記録装置から、測定データを取得する取得段階を備えてよい。方法は、測定データから対象の状態の良否を判定する判定モデルを、取得した時系列の測定データを用いて生成する生成段階を備えてよい。方法は、判定モデルを測定データ記録装置に送信する送信段階を備えてよい。
【0022】
本発明の第7の態様においては、方法が提供される。方法は、対象の状態についての時系列の測定データを記録する測定データ記録装置から、測定データを取得する取得段階を備えてよい。方法は、時系列の測定データを含む学習データを用いた学習処理によって、測定データから対象の状態の良否を判定する判定モデルを生成する学習処理段階を備えてよい。方法は、対象の状態が良好ではない場合に測定された複数の時系列の測定データをクラスタ解析する解析段階を備えてよい。方法は、一の時系列の測定データが判定モデルに入力されて対象の状態が良好ではないと判定されることに応じて、当該一の時系列の測定データが分類されるべきクラスタを特定する特定段階を備えてよい。
【0023】
本発明の第8の態様においては、プログラムが提供される。プログラムは、コンピュータを、対象の状態を測定した時系列の測定データを取得する取得部として機能させてよい。プログラムは、コンピュータを、取得した測定データを記録する記録部として機能させてよい。プログラムは、コンピュータを、対象の状態の良否を判定する判定モデルを生成する生成装置に対して、記録部に記録された測定データを送信する測定データ送信部として機能させてよい。プログラムは、コンピュータを、生成装置が生成した判定モデルを受信するモデル受信部として機能させてよい。プログラムは、コンピュータを、受信した判定モデルを用いて、新たに取得された測定データから対象の状態の良否を判定する判定部として機能させてよい。
【0024】
本発明の第9の態様においては、プログラムが提供される。プログラムは、コンピュータを、対象の状態についての時系列の測定データを記録する測定データ記録装置から、測定データを取得する取得部として機能させてよい。プログラムは、コンピュータを、測定データから対象の状態の良否を判定する判定モデルを、取得した時系列の測定データを用いて生成する生成部として機能させてよい。プログラムは、コンピュータを、判定モデルを測定データ記録装置に送信する送信部として機能させてよい。
【0025】
本発明の第10の態様においては、プログラムが提供される。プログラムは、コンピュータを、対象の状態についての時系列の測定データを記録する測定データ記録装置から、測定データを取得する取得部として機能させてよい。プログラムは、コンピュータを、時系列の測定データを含む学習データを用いた学習処理によって、測定データから対象の状態の良否を判定する判定モデルを生成する学習処理部として機能させてよい。プログラムは、コンピュータを、対象の状態が良好ではない場合に測定された複数の時系列の測定データをクラスタ解析する解析部として機能させてよい。プログラムは、コンピュータを、一の時系列の測定データが判定モデルに入力されて対象の状態が良好ではないと判定されることに応じて、当該一の時系列の測定データが分類されるべきクラスタを特定する特定部として機能させてよい。
【0026】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態に係るシステム1を示す。
図2】システム1の動作を示す。
図3】ヘルスインデックスの推移を示す。
図4】第2実施形態に係るシステム1Aを示す。
図5】クラスタリングされたバッチファイル430の分布図である。
図6】生成装置5Aによって出力される画面の例を示す
図7】生成装置5Aによって出力される画面の他の例を示す。
図8】第3実施形態に係るシステム1Bを示す。
図9】アラームプロファイルを示す。
図10】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0029】
[1.第1実施形態]
[1.1.システム1の構成]
図1は、第1実施形態に係るシステム1を示す。システム1は、対象の状態監視を支援するものであり、対象の一例としての設備2と、測定データ記録装置4と、生成装置5とを備える。
【0030】
[1.1-1.設備2]
設備2は、1または複数のセンサ20が設けられたものである。設備2には、複数の機器21が更に設けられてもよい。
【0031】
例えば設備2は、プラントでもよいし、複数の機器21を複合させた複合装置でもよい。プラントとしては、化学やバイオ等の工業プラントの他、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、上下水やダム等を管理制御するプラント等が挙げられる。
【0032】
[1.1-1-1.機器21]
各機器21は、器具、機械または装置であり、例えば、設備2のプロセスにおける圧力、温度、pH、速度、流量などの少なくとも1つの物理量を制御するバルブ、ポンプ、ヒータ、ファン、モータ、スイッチ等のアクチュエータであってよい。各機器21は互いに異種でもよいし、少なくとも一部の2以上の機器21が同種でもよい。本実施形態では一例として、機器21は外部から有線または無線で制御されるが、手動で制御されてもよい。
【0033】
[1.1-1-2.センサ20]
各センサ20は、設備2の状態の測定を行う。センサ20は、圧力、温度、pH、速度、流量などの少なくとも1つの物理量を測定してよい。また、センサ20は、設備2の収量や、混入する不純物の割合、各機器21の運転状況などの測定を行ってもよい。各センサ20は互いに異種でもよいし、少なくとも一部の2以上のセンサ20が同種でもよい。各センサ20は、測定データを測定データ記録装置4に供給してよい。
【0034】
なお、センサ20と、測定データ記録装置4との間の通信は、例えばISA(International Society of Automation:国際計測制御学会)の無線通信プロトコルで行われてよく、一例としてISA100、HART(Highway Addressable Remote Transducer)(登録商標)、BRAIN(登録商標)、FOUNDATION Fieldbus、PROFIBUS等で行われてよい。
【0035】
[1.1-2.測定データ記録装置4]
測定データ記録装置4は、各センサ20による測定データを記録する。測定データ記録装置4は、取得部40と、測定データ記録部41と、記憶部43と、通信部45と、DTW処理部46と、判定部48とを有する。
【0036】
[1.1-2-1.取得部40]
取得部40は、設備2の状態を測定した時系列の測定データを取得する。取得部40は、各センサ20から測定データを逐次取得してよい。取得部40は、複数の種類(チャネルとも称する)の測定データを取得してよい。測定データのチャネルは、本実施形態では一例としてセンサ20毎に異なってよいが、対象とする物理量によって異なってもよい。取得部40は、取得した測定データを測定データ記録部41に供給してよい。
【0037】
[1.1-2-2.測定データ記録部41]
測定データ記録部41は、取得部40が取得した測定データを記録する。測定データ記録部41は、測定データを記憶部43に記録してよい。
【0038】
測定データ記録部41は、測定データを時系列順に記録してよい。例えば、測定データ記録部41は、設備2において繰り返し実行される処理(バッチ処理とも称する)が行われる毎に時系列の測定データを単一のファイル(バッチファイル430とも称する)に纏めて記録してよい。各バッチファイル430には、バッチ処理中にチャネルごとの時系列の測定データ(バッチデータとも称する)が複数格納されてよい。測定データ記録部41は、トリガ信号が入力されることに応じて、取得部40から供給されていた測定データをファイル化して記録してよい。
【0039】
ここで、バッチ処理は、例えばタイヤなどの製品の製造処理であってもよいし、レトルト食品や炉などの加熱処理であってもよい。また、トリガ信号は、設備2においてバッチ処理が終了したことに応じて測定データ記録装置4に供給されてよく、設備2の機器21やセンサ20から供給されてもよいし、外部から(一例としてオペレータから)供給されてもよい。
【0040】
測定データ記録部41は、測定データやバッチデータに測定時間と、測定したセンサ20の識別情報とを付加して記憶部43に記録してよい。測定データの測定時間は、当該測定データが測定された時間であってよく、バッチ処理内での測定タイミングを示してよい。本実施形態では一例として、測定時間は、バッチ処理の開始時間からの経過時間を示してよい。測定データの測定時間は、取得部40による測定データの取得時間であってもよい。なお、測定時間およびセンサ20の識別情報は、センサ20から供給される測定データに予め付加されていてもよい。
【0041】
また、測定データ記録部41は、オペレータ等による外部からの操作に応じ、測定データやバッチデータ、バッチファイル430に種々の情報をさらに付加してよい。付加される情報は、一例として、測定データが示す物理量の種類(一例として摂氏温度)や単位(一例として℃)、設備2における各種の設定内容や制御条件、アラーム発生の有無や発生タイミングなどであってよい。
【0042】
[1.1-2-3.記憶部43]
記憶部43は、種々の情報を記憶する。例えば、記憶部43は、測定データ記録部41から供給される測定データ(本実施形態では一例として、バッチ処理の実行中に各センサ20により測定された時系列の測定データを纏めたバッチファイル430)と、後述の生成装置5から供給される判定モデル431とを記憶してよい。なお、判定モデル431は、通信部45を介して生成装置5から測定データ記録装置4に供給されることに応じて記憶部43に記憶されてよい。
【0043】
[1.1-2-3-1.判定モデル431]
判定モデル431は、測定データから設備2の状態の良否を判定する。判定モデル431は、測定データが入力されることに応じて、状態が良好であるか不良であるかの判定結果を出力してよい。本実施形態においては一例として、判定モデル431は、バッチファイル430内に含まれる時系列の測定データ(つまりバッチデータ)から良否判定を行ってよい。
【0044】
判定モデル431は、測定データの測定値に応じた値を変数とする関数式であってよい。一例として、判定モデル431の関数式は次の式(1)や式(2)であってよい。
f(x)=A×X+B×X+C×X+D×X…(1)
f(x)=(A×X+B×X)/C×X…(2)
【0045】
ここで、式中の「A」,「B」,…は係数であり、「4.3」や「3.5」などの具体的な数値を示してよい。また、式中の「X」,「X」,…は測定データの測定値に応じた値であり、センサ毎や測定時間毎の測定データの測定値そのものであってもよいし、バッチデータに含まれる測定値の平均や分散であってもよいし、後述のDTW処理部46によって算出されるパラメータであってもよい。
【0046】
このような測定データの測定値に応じて判定モデル431(本実施形態では一例として関数式)から取得される値は、設備2の状態を示す指標値(状態指標値とも称する)の一例であってよい。判定モデル431は、状態指標値と、判定閾値との差分(ヘルスインデックスとも称する)に応じた判定結果を出力してよい。本実施形態においては一例として、判定モデル431はゼロを判定閾値として用い、ヘルスインデックスが正の値となることに応じて状態が良好である旨の判定結果を出力してよい。
【0047】
なお、記憶部43に記憶される判定モデル431は、測定データ記録装置4において実行可能な処理のコードで示されてよい。本実施形態では一例として、判定モデル431はC言語で示されているが、Basicなど他の言語で示されてもよい。
【0048】
[1.1-2-4.通信部45]
通信部45は、生成装置5との間で通信を行う。通信部45は、無線通信を行ってもよいし、有線通信を行ってもよい。通信部45は、中継機器(一例としてスマートフォンなどのモバイル端末や、据え置きのゲートウェイ装置)を介して通信を行ってもよい。通信部45は、測定データ送信部451、モデル受信部452および復号化部453を有する。
【0049】
[1.1-2-4-1.測定データ送信部451]
測定データ送信部451は、記憶部43に記録された測定データを生成装置5に送信する。測定データ送信部451は、測定データをバッチファイル430として送信してもよい。
【0050】
[1.1-2-4-2.モデル受信部452]
モデル受信部452は、生成装置5が生成した判定モデル431を受信する。モデル受信部452は、判定モデル431の正当性を示す情報を当該判定モデル431と共に受信したことに応じて当該判定モデル431を判定部48から利用可能としてよい。例えば、モデル受信部452は、正当性を示す情報を判定モデル431と共に受信したことに応じて、当該判定モデル431を記憶部43に供給してよい。但し、モデル受信部452は、正当性を示す情報を受信したか否かに関わらずに判定モデル431を記憶部43に記憶させ、正当性を示す情報を受信したことに応じて当該判定モデル431を判定部48からアクセス可能に設定してもよい。正当性を示す情報は、電子署名であってもよいし、通信パケットの先頭に付されるヘッダ情報であってもよい。
【0051】
なお、本実施形態では一例として、モデル受信部452は、暗号化された判定モデル431を受信する。そのため、モデル受信部452は、受信した判定モデル431を、復号化部453を介して記憶部43に供給してよい。
【0052】
[1.1-2-4-3.復号化部453]
復号化部453は、暗号化されてモデル受信部452に受信された判定モデル431を復号化する。復号化部453は、生成装置5で行われる暗号化のキーと対応する復号キーを用いて復号化を行ってよい。復号化部453は、復号化された判定モデル431を記憶部43に供給してよい。
【0053】
[1.1-2-5.DTW処理部46]
DTW処理部46は、時系列の測定データ(つまりバッチデータ)に対してDTW処理を行う。DTW処理は、測定データのチャネルごとに、一の時系列の測定データ(基準バッチデータとも称する)に対して、他の時系列の測定データ(対象バッチデータとも称する)の時間幅を揃え、一の時系列の測定データの各点に対して他の時系列の測定データの各点の距離が最小となるDTWパスを決定する処理であってよい。これに加え、または、これに代えて、DTW処理は、基準バッチデータに対して対象バッチデータの時間幅を揃え、基準バッチデータに対する対象バッチデータの波形の違いを最小化する処理であってよい。
【0054】
ここで、対象バッチデータは、最新のバッチファイル430に含まれるバッチデータであってよい。基準バッチデータは、設備2が良好な状態でのバッチデータの中から選択されてよく、一例として、オペレータにより選択されたバッチデータであってもよいし、複数のバッチデータのうち、先頭から末尾までの時間幅が中央値のバッチデータであってもよいし、複数のバッチデータのうち、他のバッチデータとのDTW距離の総和が最も小さいバッチデータであってもよい。測定データのチャネルが複数ある場合、別言すれば各バッチファイル430に複数のバッチデータが含まれる場合には、チャネルごとの基準バッチデータは、同一のバッチファイル430に含まれるバッチデータであってよい。
【0055】
DTW処理部46は、トリガ信号が入力されることに応じて、記憶部43から基準バッチデータと、対象バッチデータとを読み出してDTW処理を行ってよい。DTW処理部46は、基準バッチデータに対して波形の違いが最小化された対象バッチデータ(DTW処理が行われた対象バッチデータとも称する)を判定部48に供給してよい。また、DTW処理部46は、DTW処理によって算出される少なくとも1つのパラメータをさらに判定部48に供給してよい。
【0056】
DTW処理部46が算出するパラメータは、基準バッチデータと、対象バッチデータとの間のDTW距離であってよい。これに加えて、または、これに代えて、DTW処理部46が算出するパラメータは、対象バッチデータに含まれる各点の測定データのうち、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされた測定データの個数であってよい。これに加えて、または、これに代えて、DTW処理部46が算出するパラメータは、対象バッチデータに含まれる各点の測定データのうち、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされなかった測定データの個数であってよい。測定データが時間軸方向にシフトされるとは、本実施形態では一例として、測定タイミングを示す測定時間が後にずらされることであるが、これに加えて、または、これに代えて、測定タイミングを示す測定時間が前にずらされることであってもよい。
【0057】
[1.1-2-6.判定部48]
判定部48は、記憶部43内の判定モデル431を用いて、新たに取得された測定データから設備2の状態の良否を判定する。判定部48は、新たに取得された時系列の測定データ、つまり対象バッチデータから、当該対象バッチデータが測定されたときの設備2の状態の良否を判定してよい。例えば、判定部48は、DTW処理部46によってDTW処理が行われたバッチデータから判定を行ってよい。また、判定部48は、最新のバッチファイル430内の各バッチデータから判定を行ってよく、バッチデータ内の各測定データに応じた値(測定値そのものや、バッチデータに含まれる測定値の平均や分散、DTW処理部46によって算出されるパラメータ)から判定を行ってよい。例えば、判定部48は、判定モデル431における判定閾値と、各測定データの測定値に応じて判定モデル431から取得される状態指標値との差分であるヘルスインデックスを用いて判定を行ってよく、本実施形態では一例としてヘルスインデックスが正の場合に設備2の状態を良好、ヘルスインデックスが負の場合に状態を不良と判定してよい。なお、バッチデータに含まれる測定値の平均や分散が判定に用いられる場合には、判定部48がこれらを算出してよい。
【0058】
判定部48は、判定結果を出力してよい。また、判定部48は、少なくとも直近の1つのヘルスインデックスを出力してよい。一例として、判定部48は、直近の1回のバッチ処理、或いは直近の2回のバッチ処理のそれぞれについてヘルスインデックスを出力してもよいし、これに加えて4回前に行われたバッチ処理についてさらにヘルスインデックスを出力してもよい。直近の2回のバッチ処理とは、最後に行われたバッチ処理と、最後よりも1回前に行われたバッチ処理とであってよい。
【0059】
[1.1-3.生成装置5]
生成装置5は、判定モデル431を生成する。生成装置5は、通信部51と、記憶部52と、生成部53とを有する。なお、生成装置5は、1または複数のコンピュータであってよく、PCなどで構成されてもよいし、クラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
【0060】
[1.1-3-1.通信部51]
通信部51は、測定データ記録装置4との間で通信を行う。通信部51は、無線通信を行ってもよいし、有線通信を行ってもよい。通信部51は、取得部510と、変換部511と、暗号化部512と、送信部513とを有する。
【0061】
[1.1-3-1-1.取得部510]
取得部510は、測定データ記録装置4から測定データを取得する。取得部510は、取得した測定データを記憶部52に供給してよい。
【0062】
[1.1-3-1-2.変換部511]
変換部511は、後述の生成部53により生成された判定モデル431を、測定データ記録装置4において実行される処理のコード(本実施形態では一例としてC言語のコード)に変換する。変換部511は、変換後の判定モデル431を暗号化部512に供給してよい。
【0063】
[1.1-3-1-3.暗号化部512]
暗号化部512は、判定モデル431を暗号化する。本実施形態では一例として、暗号化部512は、変換部511によってコード化された判定モデル431を暗号化してよい。暗号化部512は、暗号化した判定モデル431を送信部513に供給してよい。
【0064】
[1.1-3-1-4.送信部513]
送信部513は、判定モデル431を測定データ記録装置4に送信する。送信部513は、変換部511により変換された判定モデル431を送信してよい。送信部513は、暗号化部512により暗号化された判定モデル431を送信してよい。
【0065】
また、送信部513は、判定モデル431の正当性を示す情報を当該判定モデル431と共に送信してよい。送信部513は、正当性を示す電子署名や、通信パケットのヘッダ情報を、判定モデル431と共に送信してよい。
【0066】
[1.1-3-2.記憶部52]
記憶部52は、種々の情報を記憶する。例えば、記憶部52は、取得部510から供給される測定データと、生成部53から供給される判定モデル431とを記憶してよい。
【0067】
記憶部52は、測定データをバッチファイル430として記憶してよい。記憶部52に記憶される測定データには、当該測定データが測定されたときの設備2の状態の良否を示すラベルが付加されてよい。このラベルは、図示しない入力部を介してオペレータにより設定されてもよいし、アラーム発生の有無を示す情報として測定データ記録装置4の測定データ記録部41によって予め付加されていてもよい。
【0068】
記憶部52に記憶される判定モデル431は、測定データ記録装置4において実行可能な処理のコードで示されなくてよく、生成装置5において実行可能な処理のコードで示されてよい。
【0069】
[1.1-3-3.生成部53]
生成部53は、取得部510が取得した時系列の測定データを用いて判定モデル431を生成する。生成部53は、DTW処理部531と、学習処理部532とを有する。
【0070】
[1.1-3-3-1.DTW処理部531]
DTW処理部531は、時系列の測定データ(つまりバッチデータ)に対してDTW処理を行う。DTW処理部531は、測定データのチャネルごとに、記憶部52から読み出した基準バッチデータとしての一の時系列の測定データに対して、対象バッチデータとしての他の時系列の測定データの時間幅を揃え、基準バッチデータの各点に対して対象バッチデータの各点の距離が最小となるDTWパスを決定する処理を行って、少なくとも1つのパラメータを算出してよい。また、DTW処理部531は、基準バッチデータに対して対象バッチデータの時間幅を揃え、基準バッチデータに対する対象バッチデータの波形の違いを最小化する処理を行ってよい。
【0071】
DTW処理部531は、バッチファイル430ごとに、DTW処理が行われた複数のバッチデータと、算出したパラメータとを学習処理部532に供給してよい。DTW処理部531によって算出されるパラメータは、測定データ記録装置4のDTW処理部46によって算出されるパラメータと同種のパラメータ(本実施形態では一例としてDTW距離や、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされた測定データの個数、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされなかった測定データの個数)であってよい。
【0072】
ここで、基準バッチデータは、設備2が良好な状態でのバッチデータの中から選択されてよく、一例として、オペレータにより選択されたバッチデータであってもよいし、複数のバッチデータのうち、先頭から末尾までの時間幅が中央値のバッチデータであってもよいし、複数のバッチデータのうち、他のバッチデータとのDTW距離の総和が最も小さいバッチデータであってもよい。測定データ記録装置4のDTW処理部46により用いられる基準バッチデータと、生成装置5のDTW処理部531により用いられる基準バッチデータとは、同じであってもよいし、異なってもよい。測定データのチャネルが複数ある場合、別言すれば各バッチファイル430に複数のバッチデータが含まれる場合には、チャネルごとの基準バッチデータは、同一のバッチファイルに含まれるバッチデータであってよい。対象バッチデータは、設備2が良好な状態での時系列の測定データであってもよいし、設備2の状態が不良の場合の時系列の測定データであってもよい。
【0073】
[1.1-3-3-2.学習処理部532]
学習処理部532は、時系列の測定データ(つまりバッチデータ)を含む学習データを用いた学習処理によって判定モデル431を生成する。学習データに含まれる測定データには、設備2の状態の良否を示すラベルが付加されていてよい。また、学習データには、測定データのチャネルごとに、時系列の測定データの平均や分散、DTW処理部531で算出されたパラメータ(本実施形態では一例としてDTW距離や、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされた測定データの個数、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされなかった測定データの個数)が含まれてよい。学習データに測定データの平均や分散が含まれる場合には、学習処理部532がこれらを算出して学習データに含めてよい。学習処理部532は、生成した判定モデル431を記憶部52に供給して記憶させると共に、通信部51の変換部511に供給してよい。
【0074】
以上のシステム1における測定データ記録装置4によれば、設備2の状態の良否を判定する判定モデル431を生成する生成装置5に対して測定データを送信し、生成装置5から受信した判定モデル431を用いて、新たに取得された測定データから設備2の状態の良否を判定する。従って、測定データ記録装置4で判定モデル431を生成することなく、生成済みの判定モデル431を用いて設備2の状態の良否を判定することができる。
【0075】
また、暗号化された判定モデル431を復号化するので、測定データ記録装置4が受信する判定モデル431の内容が変更されてしまうのを防止することができる。従って、悪意を持つ第三者によって変更された判定モデル431が判定部48で使用されるのを防止することができる。
【0076】
また、判定モデル431の正当性を示す情報が判定モデル431と共に受信されたことに応じて当該判定モデル431を判定部48から利用可能とするので、悪意を持つ第三者によって生成された判定モデル431が判定部48で使用されるのを防止することができる。
【0077】
また、新たに取得された時系列の測定データから、当該時系列の測定データが測定されたときの設備2の状態の良否を判定するので、一時点の測定データに基づいて判定を行う場合と比較して、設備2の状態を正確に判定することができる。
【0078】
また、判定モデル431における判定閾値と、設備2の状態指標値との差分であるヘルスインデックスを用いて判定が行われ、判定結果と少なくとも直近のヘルスインデックスとが出力されるので、将来の設備2の状態を正確に予測することができる。
【0079】
また、システム1における生成装置5によれば、測定データ記録装置4から測定データを取得して判定モデル431を生成し、測定データ記録装置4に送信する。従って、測定データ記録装置4で判定モデル431を生成させることなく、生成済みの判定モデル431を用いて設備2の状態の良否を判定させることができる。
【0080】
また、暗号化された判定モデル431を送信するので、測定データ記録装置4に受信されるまでに判定モデル431の内容が変更されてしまうのを防止することができる。従って、悪意を持つ第三者によって変更された判定モデル431が判定部48で使用されるのを防止することができる。
【0081】
また、判定モデル431の正当性を示す情報を判定モデル431と共に送信するので、悪意を持つ第三者によって生成された判定モデル431が判定部48で使用されるのを防止することができる。
【0082】
また、生成された判定モデル431を測定データ記録装置4で実行可能な処理のコードに変換して送信するので、測定データ記録装置4の側での判定モデル431のコード化を省くことができる。
【0083】
また、時系列の測定データを含む学習データを用いた学習処理によって判定モデル431を生成するので、一時点の測定データを学習データに用いる場合と比較して、設備2の状態を正確に判定可能な判定モデル431を生成することができる。
【0084】
また、DTW距離を示すパラメータと、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされた測定データの個数を示すパラメータと、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされなかった測定データの個数を示すパラメータとのうち少なくとも1つのパラメータが判定モデル431の生成に用いられる。従って、時系列の測定データに含まれる各時点の測定データや、それらの平均、分散のみを用いて判定モデル431を生成する場合と異なり、各測定データの測定時点のずれを考慮に入れて判定モデル431を生成することができるため、判定モデル431の判定精度を高めることができる。
【0085】
[1.2.システム1の動作]
図2は、システム1の動作を示す。システム1の測定データ記録装置4および生成装置5は、ステップS11~S31の処理を行うことにより判定モデル431を生成して設備2の状態の良否を判定する。なお、この動作は、設備2の起動に伴って開始してよい。
【0086】
ステップS11において測定データ記録装置4の取得部40は、各センサ20から設備2の状態を測定した時系列の測定データを取得する。
【0087】
ステップS13において測定データ記録部41は、取得部40が取得した測定データを記憶部43に記録する。測定データ記録部41は、設備2でバッチ処理が行われる毎に測定データのバッチファイル430を記憶部43に記憶させてよい。
【0088】
ステップS15において、測定データ送信部451は、記憶部43に記録された測定データを生成装置5に送信する。本実施形態においては一例として測定データ送信部451は、オペレータ等による外部からの操作に応じて測定データのバッチファイル430をそれぞれ送信するが、バッチファイル430が作成される毎に送信してもよいし、定期的に作成済みのバッチファイル430を送信してもよい。これにより、ステップS17において、生成装置5の取得部510は、測定データ記録装置4から測定データを取得する。取得部510は、取得した測定データを記憶部52に供給してよい。
【0089】
ステップS19において、生成部53は、取得した時系列の測定データを用いて判定モデル431を生成する。本実施形態においては一例として、生成部53は、オペレータ等による外部からの操作に応じて判定モデル431の生成を行うが、記憶部52に記憶されたバッチファイル430が基準数に達したことに応じて判定モデル431を生成してもよい。
【0090】
判定モデル431の生成において、生成部53のDTW処理部531は、測定データのチャネルごとに、動的時間伸縮法により、記憶部52から読み出した基準バッチデータとしての一の時系列の測定データに対して、対象バッチデータとしての他の時系列の測定データの波形の違いを最小化する処理を行って、DTW距離や、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされた測定データの個数、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされなかった測定データの個数を算出してよい。
【0091】
また、学習処理部532は、時系列の測定データ(つまりバッチデータ)を含む学習データを用いた学習処理によって判定モデル431を生成してよい。学習データに含まれる測定データには、設備2の状態の良否を示すラベルが付加されていてよい。学習データには、測定データのチャネルごとに、時系列の測定データの平均や分散、DTW処理部で算出されたパラメータが含まれてよい。
【0092】
学習処理部532は、判定モデル431となる少なくとも1つの関数式(一例として上述の式(1),(2))を予め記憶してよく、当該関数式の係数を学習処理によりチューニングして判定モデル431を生成してよい。例えば、学習処理部532は、各バッチファイル430内の測定データの測定値に応じた値を判定モデル431の関数式に入力した場合の式の値および判定閾値の差分と、当該バッチファイル430の測定データに付加されたラベルで示される設備2の良否状態との相関が高まるように、関係式の係数をチューニングしてよい。
【0093】
なお、測定データの測定値に応じた値とは、測定データの測定値そのものであってもよいし、バッチデータに含まれる各測定データの測定値の平均や分散であってもよいし、DTW処理部531によって算出されるパラメータであってもよい。学習処理部532が複数の関数式を記憶する場合には、チューニングの対象とする関数式を自動で選択してもよいし、オペレータ等による外部からの操作に応じて選択してもよい。
【0094】
判定モデル431が生成されたら、ステップS21において、送信部513は、判定モデル431を測定データ記録装置4に送信する。本実施形態においては一例として、送信部513は、変換部511により測定データ記録装置4で実行可能なコードに変換され、かつ、暗号化部512により暗号化された判定モデル431を、正当性を示す情報(一例として電子署名や、通信パケットの先頭に付されるヘッダ情報)と共に送信してよい。
【0095】
ステップS23において測定データ記録装置4のモデル受信部452は、生成装置5が生成した判定モデル431を受信する。モデル受信部452は、判定モデル431の正当性を示す情報を当該判定モデル431と共に受信したことに応じて当該判定モデル431を、復号化部453で復号化させてから記憶部43に記憶させ、判定部48から利用可能としてよい。
【0096】
ステップS25において取得部40は時系列の測定データを新たに取得し、ステップS27において測定データ記録部41は、取得した測定データを記憶部43に記録する。測定データ記録部41は、設備2でバッチ処理が行われる毎に測定データのバッチファイル430を記憶部43に記憶させてよい。
【0097】
ステップS29において判定部48は、受信した判定モデル431を用いて、新たに取得された測定データのバッチファイル430から設備2の状態の良否を判定する。判定部48は、DTW処理部46によってDTW処理が行われたバッチファイル430内の各バッチデータから判定を行ってよい。本実施形態では一例として、判定部48は、ヘルスインデックスを用いて判定を行ってよい。
【0098】
そして、ステップS31において判定部48は、判定結果と、少なくとも直近のヘルスインデックスとを出力する。判定部48は、直近の複数のヘルスインデックスの推移を出力してよい。ステップS31の処理が終了したら、測定データ記録装置4は処理を上述のステップS25に移行してよい。直近の複数のヘルスインデックスとは、現時点に近い順の複数のヘルスインデックスであってよい。
【0099】
[1.3.ヘルスインデックスの推移]
図3は、ヘルスインデックスの推移を示す。図中の縦軸はヘルスインデックスを示し、横軸はバッチ処理を繰り返し実行した場合の経過時間、またはバッチ処理の回数を示す。また、実線のプロットは測定データに応じたヘルスインデックスを示し、破線のプロットは、次回のバッチ処理を行う場合にオペレータによって予測されるヘルスインデックスを示す。このように、ヘルスインデックスの推移によって、設備2の良否を予測することが可能となる。
【0100】
[1.4.変形例]
なお、上記の第1実施形態においては、測定データ記録装置4のモデル受信部452は、生成装置5から判定モデル431を受信することとして説明したが、判定モデル431の内容を示すパラメータを受信してもよい。例えば、測定データ記録装置4の記憶部43には、係数が代入可能とされた関数式が複数記憶されてよく、モデル受信部452は、これらの関数式の何れかの式番号と、当該式番号の関数式における各係数の値とを生成装置5から受信してよい。この場合には、測定データ記録装置4が、これらのパラメータに従って判定モデル431を記憶部43内で生成してよい。
【0101】
また、モデル受信部452は、測定データ記録装置4で実行可能な処理のコードで示された判定モデル431を受信することとして説明したが、実行可能な処理のコードで示されていない判定モデル431を受信してもよい。この場合には、測定データ記録装置4は、図示しないコンパイラを用いて判定モデル431を実行可能に変換して記憶部43に記憶させてよい。
【0102】
また、測定データ記録装置4は記憶部43内に判定モデル431を有することとして説明したが、判定モデル431を有しなくてもよい。この場合には、生成装置5は生成後の判定モデル431を測定データ記録装置4に外部接続された外部記憶装置に記憶させ、測定データ記録装置4の判定部48は、当該外部記憶装置内の判定モデル431を用いて判定を行ってよい。
【0103】
[2.第2実施形態]
図4は、第2実施形態に係るシステム1Aを示す。システム1Aは、測定データ記録装置4Aと、生成装置5Aとを備える。なお、本実施形態に係るシステム1Aにおいて、図1に示されたシステム1の構成と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。
【0104】
[2.1.測定データ記録装置4A]
測定データ記録装置4Aは、測定データのバッチファイル430を通信部45から生成装置5に送信する。
【0105】
[2.2.生成装置5A]
生成装置5Aは、生成部53Aと、判定部48Aと、分類部58Aとを有する。
【0106】
[2.2-1.生成部53A]
生成部53Aは、DTW処理部531Aを有する。DTW処理部531Aは、判定モデル431の生成前には、第1実施形態におけるDTW処理部531と同様の処理を行う。
【0107】
また、DTW処理部531Aは、判定モデル431の生成後には、新たに取得された時系列の測定データ(つまりバッチデータ)に対してもDTW処理を行う。例えば、DTW処理部531は、オペレータ等の外部からの操作に応じて、測定データのチャネルごとに、記憶部52から基準バッチデータと、対象バッチデータとを読み出してDTW処理を行ってよい。判定モデル431の生成前の基準バッチデータと、判定モデル431の生成後の基準バッチデータとは、同じであってもよいし、異なってもよい。対象バッチデータは、最新のバッチファイル430に含まれるバッチデータであってよい。
【0108】
DTW処理部531は、判定モデル431の生成後にDTW処理が行われた対象バッチデータを判定部48Aに供給してよい。また、DTW処理部531は、DTW処理によって算出される少なくとも1つのパラメータをさらに判定部48Aに供給してよい。
【0109】
[2.2-2.判定部48A]
判定部48Aは、実施形態における測定データ記録装置4の判定部48Aと同様の処理を行う。これに加えて、判定部48Aは、設備2の状態が不良である、つまり良好ではないと判定した場合に、その判定結果と、バッチファイル430とを分類部58に供給してよい。
【0110】
[2.2-3.分類部58A]
分類部58Aは、設備2の不良状態を分類する。分類部58Aは、解析部581と、設定部582と、特定部583とを有する。
【0111】
[2.2-3-1.解析部581]
解析部581は、設備2の状態が良好ではない場合に測定された複数の時系列の測定データをクラスタ解析する。
【0112】
解析部581は、記憶部52に記憶された複数のバッチファイル430のうち、設備2の状態が良好ではなかったときに測定されたバッチファイル430をクラスタ解析してよい。設備2の状態が良好ではなかったときに測定されたバッチファイル430とは、設備2の状態が良好ではなかったことを示すラベルが付された測定データを含むバッチファイル430であってもよいし、オペレータや判定部48Aにより設備2の状態が不良であると判定されたときに測定された測定データのバッチファイル430であってもよい。
【0113】
解析部581は、複数のバッチファイル430をクラスタ解析して、バッチファイル430を分類したクラスタを複数生成してよい。解析部581は、生成したクラスタごとに、そのクラスタに属するバッチファイル430の識別情報(バッチファイルIDとも称する)を設定部582に供給してよい。
【0114】
[2.2-3-2.設定部582]
設定部582は、オペレータ等による外部からの操作に基づいて、解析部581により分類された測定データのクラスタに対して識別情報(クラスタIDとも称する)を設定する。設定部582は、解析部581から供給されるクラスタ毎のバッチファイル430のバッチファイルIDと、そのクラスタのクラスタIDとを対応付けて記憶部52に記憶させてよい。
【0115】
クラスタIDは、設備2の不良状態の類型を示してよく、本実施形態では一例として、設備2の状態を悪化させている要因や、不良状態の名称を示すようにオペレータにより設定されてよい。
【0116】
なお、クラスタIDは、解析部581によるクラスタの生成後にオペレータによって設定されてもよいし、クラスタの生成前にオペレータによって設定されてもよい。クラスタの生成前にクラスタIDが設定される場合には、分類前のバッチファイル430の少なくとも1つに対してオペレータによって設定されたクラスタIDが、当該バッチファイル430を含むクラスタに対して設定されてよい。
【0117】
[2.2-3-3.特定部583]
特定部583は、一の時系列の測定データが判定モデル431に入力されて設備2の状態が不良であると判定されることに応じて、当該一の時系列の測定データが分類されるべきクラスタを特定する。本実施形態では一例として、特定部583は、クラスタ毎にバッチファイル430内の測定データの分布範囲を予め記憶してよく、新たなバッチファイル430のバッチデータが判定モデル431に入力されて設備2の状態が不良であると判定された場合に、当該バッチファイル430の測定データが、何れのクラスタの測定データの分布範囲に含まれるかに基づいて、当該バッチファイル430が含まれるべきクラスタを特定してよい。これに代えて、特定部583は、解析部581に改めてクラスタ解析を行わせて当該バッチファイル430が分類されたクラスタを特定してもよい。
【0118】
特定部583は、特定したクラスタに含まれる各バッチファイル430の内容や分布図を出力してもよいし、特定したクラスタに設定されたクラスタIDを出力してもよい。特定部583は、特定したクラスタに含まれるバッチファイル430の分布図を出力して表示させる場合には、当該クラスタを識別可能に表示させつつ、他のクラスタに含まれるバッチファイル430の分布も併せて表示させてよい。また、特定部583は、各クラスタに対応付けてクラスタIDを表示させてよい。これにより、クラスタ毎にクラスタIDとバッチファイル430の分布とが表示される。なお、クラスタIDが未設定の場合には、クラスタIDの表示領域が空欄で表示されてよく、当該空欄内にオペレータがクラスタIDを入力することに応じて、設定部582によりクラスタIDが設定されてよい。
【0119】
以上のシステム1Aの生成装置5Aによれば、一の時系列の測定データが判定モデル431に入力されて設備2の状態が不良であると判定されることに応じて、当該一の時系列の測定データが分類されるべきクラスタが特定される。従って、時系列の測定データから状態が良好でないと判定された場合に、その不良の傾向や要因、不良状態の名称を特定することができる。
【0120】
また、特定されたクラスタに設定された識別情報(本実施形態では一例として不良の要因や不良状態の名称を示すクラスタID)が出力されるので、不良状態の名称や、その要因を容易に特定することができる。
【0121】
[2.3.バッチファイルの分布図]
図5は、クラスタリングされたバッチファイル430の分布図である。この図では、各バッチファイル430がプロットとして示されており、クラスタに対し、「温度異常」、「圧力異常」および「ガス漏れ」というクラスタIDが設定されている。いずれかのクラスタが特定部583により特定された場合には、当該クラスタの表示色が他のクラスタと変更されるなどにより、クラスタが識別表示されてよい。
【0122】
[2.4.出力画面の例]
図6は、生成装置5Aによって出力される画面の例を示す。生成装置5Aは、バッチファイル430の判定結果として、設備2の状態の良否「NG」と、バッチファイル430から算出されたヘルスインデックス「-0.246」と、判定部48Aによる判定時刻と、バッチファイル430が分類されるべきクラスタのクラスタID(本図では異常要因)「ガス漏れ」などを出力してよい。
【0123】
図7は、生成装置5Aによって出力される画面の他の例を示す。生成装置5Aは、バッチファイル430ごとに判定結果やヘルスインデックス、バッチファイル430が分類されるべきクラスタのクラスタID(本図では異常要因)などを出力してよい。なお、この図では、各バッチファイル430の情報が判定部48Aによる判定順で表示されている。
【0124】
[2.5.変形例]
なお、上記の第2実施形態においては、生成装置5Aが状態の良否を判定することとして説明したが、上述の第1実施形態と同様にして、測定データ記録装置4Aが判定モデル431を用いて状態の良否を判定してもよい。この場合には、測定データ記録装置4Aにおいて状態が不良と判定されたことに応じて、生成装置5Aによって不良状態のクラスタIDを特定してもよい。
【0125】
また、生成装置5Aが不良状態のクラスタIDを特定することとして説明したが、測定データ記録装置4Aが不良状態のクラスタIDを特定してもよい。この場合には、測定データ記録装置4Aは、特定部583を有してもよいし、分類部58Aを有してもよい。
【0126】
また、生成装置5Aが設定部582を有することとして説明したが、設定部582を有しないこととしてもよい。この場合には、特定部583は、特定したクラスタに含まれる各バッチファイル430の内容や分布図を出力してよい。この場合には、出力されるバッチファイル430の内容から、不良状態の名称や、不良の要因、傾向を特定することができる。
【0127】
[3.第3実施形態]
図8は、第3実施形態に係るシステム1Bを示す。システム1Bは、測定データ記録装置4Bと、生成装置5Bとを備える。なお、本実施形態に係るシステム1Bにおいて、図1に示されたシステム1の構成と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。
【0128】
[3.1.測定データ記録装置4B]
測定データ記録装置4Bは、記憶部43Bと、判定部48Bとを有する。
【0129】
[3.1-1.記憶部43B]
記憶部43Bは、判定モデル431Bを記憶する。
【0130】
判定モデル431Bは、測定データから設備2の状態の良否を判定する。判定モデル431は、測定データが入力されることに応じて、良否の判定結果を出力してよい。本実施形態においては一例として、判定モデル431は、任意の測定時間に測定された測定データ(一例として直近で測定された測定データ)から良否判定を行ってよい。
【0131】
判定モデル431Bは、設備2で行われる処理(本実施形態では一例としてバッチ処理)内での経過時間ごとの測定データの許容範囲(アラームプロファイルとも称する)を示してよい。判定モデル431Bは、測定データのチャネルごとに、処理の経過時間それぞれでの測定値の許容範囲を示してよい。測定データの許容範囲は、上限値および下限値の少なくとも一方を有してよい。
【0132】
[3.1-2.判定部48B]
判定部48Bは、判定モデル431Bを用いて、測定データが取得される都度、当該測定データが測定されたときの設備2の状態の良否を判定する。判定部48Bは、設備2で行われる処理の開始以後に取得部40から逐次、測定データを取得して、設備2で行われる処理の開始から当該測定データの測定までの経過時間を算出してよい。
【0133】
判定部48Bは、経過時間ごとの許容範囲の上下限値である判定閾値と、測定データの測定値を比較して判定を行ってよい。判定部48Bは、比較結果により測定データが許容範囲内であると示されれば状態を良好と判定し、許容範囲外であると示されれば状態を不良と判定してよい。判定部48Bは、判定結果を出力してよい。
【0134】
[3.2.生成装置5B]
生成装置5Bは、記憶部52Bと、生成部53Bとを有する。
【0135】
[3.2-1.記憶部52B]
記憶部52Bは、判定モデル431Bを記憶する。記憶部52Bに記憶される判定モデル431Bは、測定データ記録装置4Bにおいて実行可能な処理のコードで示されなくてよく、生成装置5Bにおいて実行可能な処理のコードで示されてよい。
【0136】
[3.2-2.生成部53B]
生成部53Bは、取得部510が取得した時系列の測定データを用いて判定モデル431Bを生成する。生成部53Bは、DTW処理部531Bと、統計処理部533Bとを有する。
【0137】
[3.2-2-1.DTW処理部531B]
DTW処理部531Bは、実施形態のDTW処理部531と同様に、測定データのチャネルごとに、バッチデータに対してDTW処理を行う。DTW処理部531は、基準バッチデータに測定時間を揃えたバッチデータを統計処理部533に供給してよい。なお、DTW処理部531Bは、DTW処理によってDTW距離や、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされた測定データの個数、DTWパスにおいて時間軸方向にシフトされなかった測定データの個数を算出して統計処理部533Bに供給しなくてもよい。
【0138】
[3.2-2-2.統計処理部533B]
統計処理部533Bは、測定データのチャネルごとに、取得部510によって取得された複数のバッチデータに対する統計処理によって、バッチ処理内での経過時間ごとの測定データの許容範囲、つまりアラームプロファイルを判定モデル431Bとして生成する。統計処理部533Bは、DTW処理部531Bによって処理された複数のバッチデータに対して統計処理を行ってよい。統計処理部533Bは、測定データの各チャネルについて、測定時間ごとに統計処理を行って許容範囲の上限値や下限値を決定してよい。
【0139】
例えば、統計処理部533Bは、設備2の状態が良好であったときに測定された測定データから、各測定時間の測定データを抽出し、全ての測定値が許容範囲に含まれるように経過時間ごとの上限値や下限値を決定してよい。
【0140】
また、統計処理部533Bは、設備2の状態が良好であったときに測定された測定データから、各測定時間の測定データを抽出して測定値の分布を正規分布とみなし、当該分布の1σ区間や2σ区間、3σ区間に収まる測定値が許容範囲に含まれるように経過時間ごとの上限値や下限値を決定してもよい。なお、σは測定値の標準偏差である。
【0141】
また、統計処理部533Bは、設備2の状態が良好であったときに測定された測定データから、各測定時間の測定データを抽出して測定値の平均および分散を算出し、算出結果に基づいて上限値および下限値を決定してもよい。この場合には、統計処理部533Bは、平均値が上下限値の中間値となり、かつ、分散が大きいほど上下限値の幅が大きく、分散が小さいほど上下限値の幅が小さくなるように、上限値および下限値を決定してよい。
【0142】
統計処理部533Bは、生成した判定モデル431Bを記憶部52Bに供給して記憶させると共に、通信部51を介して測定データ記録装置4Bに供給してよい。
【0143】
以上のシステム1Bにおける測定データ記録装置4Bによれば、判定モデル431Bを用いて、測定データが取得される都度、当該測定データが測定されたときの設備2の状態の良否が判定される。従って、測定データが揃うまで待機することなく、逐次、判定結果を得ることができる。
【0144】
また、システム1Bにおける生成装置5Bによれば、種類別の複数の時系列の測定データに対する統計処理によって、設備2で行われる処理内での経過時間ごとの測定データの許容範囲が判定モデル431として生成されるので、測定データが取得される都度、当該測定データが測定されたときの設備2の状態の良否を判定可能な判定モデル431を生成することができる。
【0145】
また、DTW処理部531によって処理された複数の時系列の測定データに対して統計処理が行われるので、測定時間を揃えて統計処理の効率を高めることができる。
【0146】
[3.3.アラームプロファイルの例]
図9は、アラームプロファイルを示す。図中の横軸はバッチ処理における経過時間を示し、縦軸は測定値を示す。判定モデル431Bで示されるアラームプロファイルは、バッチ処理における経過時間ごとの測定データの上限値および下限値を有してよい。なお、図中では、測定値が上限値を超えたことに応じて、設備2の状態が不良であると判定されている。
【0147】
[4.変形例]
なお、上記の第1および第3の実施形態においては、生成装置5,5Bが判定モデル431および判定モデル431Bの何れか一方を生成することとして説明したが、両方を生成してもよい。この場合には、測定データ記録装置4,4Bが両方の判定モデル431,431Bを用いて設備2の状態の判定を行ってもよい。
【0148】
また、上記の第1から第3の実施形態においては、対象を設備2として説明したが、他の客体であってもよい。例えば、対象は、設備2で製造される製品であってもよいし、生体などの自然物であってもよいし、天候や地形などの自然環境であってもよいし、化学反応や生化学反応などの自然現象であってもよい。
【0149】
また、本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0150】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0151】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0152】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0153】
図10は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0154】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0155】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0156】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0157】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0158】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0159】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0160】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0161】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0162】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0163】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0164】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0165】
1 システム
2 設備
4 測定データ記録装置
5 生成装置
20 センサ
21 機器
40 取得部
41 測定データ記録部
43 記憶部
45 通信部
46 DTW処理部
48 判定部
51 通信部
52 記憶部
53 生成部
58 分類部
430 バッチファイル
431 判定モデル
451 測定データ送信部
452 モデル受信部
453 復号化部
510 取得部
511 変換部
512 暗号化部
513 送信部
531 DTW処理部
532 学習処理部
533B 統計処理部
581 解析部
582 設定部
583 特定部
2200 コンピュータ
2201 DVD-ROM
2210 ホストコントローラ
2212 CPU
2214 RAM
2216 グラフィックコントローラ
2218 ディスプレイデバイス
2220 入/出力コントローラ
2222 通信インタフェース
2224 ハードディスクドライブ
2226 DVD-ROMドライブ
2230 ROM
2240 入/出力チップ
2242 キーボード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10