(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】カラオケ装置
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20231003BHJP
G06F 9/445 20180101ALI20231003BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
G06F9/445
(21)【出願番号】P 2021059133
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157118
【氏名又は名称】南 義明
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 亮
(72)【発明者】
【氏名】瀧尻 豊
(72)【発明者】
【氏名】二村 湧斗
(72)【発明者】
【氏名】西尾 哲司
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-190340(JP,A)
【文献】特開平04-332038(JP,A)
【文献】特開平05-181648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
G06F 9/44-9/445
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と、複数の制御部を備えたカラオケ装置であって、
記憶部は、複数のアプリケーションプログラムを記憶し、
各アプリケーションプログラムは、動作環境、及び、実行対象となる制御部に対応付けられ、
各制御部は、
共通の表示装置に表示する画像を形成し、
開始指示されたアプリケーションに対応する制御部で当該アプリケーションを実行するとともに、開始指示されたアプリケーションプログラムの動作環境が、現在、実行している動作環境と異なる場合、動作環境を当該アプリケーションプログラムの動作環境に変更した後、開始指示されたアプリケーションプログラムを実行
し、
動作環境の変更対象である第1制御部において動作環境を変更する期間、第1制御部とは異なる第2制御部において表示装置に表示する画像を形成する
カラオケ装置。
【請求項2】
動作環境の変更対象である第1制御部において動作環境を変更する期間、
第1制御部と異なる
第2制御部において第1制御部で開始されるアプリケーションプログラムに関する事前処理を実行し、第1制御部における動作環境の変更後、事前処理で得られた情報を第1制御部に送信する
請求項
1に記載のカラオケ装置。
【請求項3】
同時に実行するアプリケーションプログラムの組み合わせを規定した組み合わせモードが規定され、
各制御部は、組み合わせモードに基づいて、各制御部で実行するアプリケーションプログラムを実行する
請求項
1または請求項
2の何れか1項に記載のカラオケ装置。
【請求項4】
アプリケーションプログラムの実行中、制御部での負荷を判定し、当該アプリケーションの実行対象となる制御部を決定する
請求項
1から請求項
3の何れか1項に記載のカラオケ装置。
【請求項5】
制御部の各動作環境は、オペレーティングシステムが異なり、
各制御部は、動作環境を変更する際、再起動を実行した後、新たな動作環境に変更する
請求項1から請求項
4の何れか1項に記載のカラオケ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲を再生可能なカラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、伴奏に合わせて歌唱を楽しむカラオケが社交の場等で行われている。現在、カラオケ装置は、楽曲の演奏を行うのみならず、歌詞表示、歌唱採点等、多機能化が進んでいる。また、カラオケのみならず、映画、ライブ映像等、各種コンテンツの視聴を行うタイプもみられる。
【0003】
このように多機能化が進むカラオケ装置において、特許文献1には、ソフトウェア音源とハードウェア音源とを用いたカラオケ装置において、楽曲の再生中にCPUの性能不足によって、楽曲の再生が滑らかに行えないことを避けることのできるカラオケ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のカラオケ装置は、楽曲再生時の音質向上等を図るため、楽曲再生をハードウェア音源、もしくは、ソフトウェア音源に分けたものである。現在、カラオケ装置の多機能化は、楽曲再生機能のみならず、コンテンツ視聴等、他の機能に及ぶところである。
【0006】
このような他の機能は、既に既存のアプリケーションプログラムによって実現されている場合がある。このような場合、カラオケ装置のオペレーティングシステムと、アプリケーションプログラムのオペレーティングシステムが異なる場合、新たにアプリケーションプログラムを開発、もしくは、修正する必要がある。
【0007】
また、カラオケ装置で実行するアプリケーションプログラムの負荷が、処理部の能力を超える場合、アプリケーションプログラムが実行できない、あるいは、実行に支障が生じることが考えられる。逆に、処理部の能力がアプリケーションプログラムの負荷を上回る場合、処理部に対し不相応な処理能力が割り当てられることになる。
【0008】
本発明は、このような事情を鑑みたものであって、1つにはアプリケーションプログラムに応じて処理部のオペレーティングシステム(動作モード)を切り替えることを1つの目的としている。また、実行対象となるアプリケーションプログラムに応じた処理能力を有する処理部で当該アプリケーションプログラムを実行することを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのため、本発明に係るカラオケ装置は、記憶部と、複数の制御部を備えたカラオケ装置であって、記憶部は、複数のアプリケーションプログラムを記憶し、各アプリケーションプログラムは、動作環境、及び、実行対象となる制御部に対応付けられ、各制御部は、共通の表示装置に表示する画像を形成し、開始指示されたアプリケーションに対応する制御部で当該アプリケーションを実行するとともに、開始指示されたアプリケーションプログラムの動作環境が、現在、実行している動作環境と異なる場合、動作環境を当該アプリケーションプログラムの動作環境に変更した後、開始指示されたアプリケーションプログラムを実行し、動作環境の変更対象である第1制御部において動作環境を変更する期間、第1制御部とは異なる第2制御部において表示装置に表示する画像を形成する。
【0013】
さらに、本発明に係るカラオケ装置は、動作環境の変更対象である第1制御部において動作環境を変更する期間、第1制御部と異なる第2制御部において第1制御部で開始されるアプリケーションプログラムに関する事前処理を実行し、第1制御部における動作環境の変更後、事前処理で得られた情報を第1制御部に送信する。
【0014】
さらに、本発明に係るカラオケ装置は、同時に実行するアプリケーションプログラムの組み合わせを規定した組み合わせモードが規定され、各制御部は、組み合わせモードに基づいて、各制御部で実行するアプリケーションプログラムを実行する。
【0015】
さらに、本発明に係るカラオケ装置は、アプリケーションプログラムの実行中、制御部での負荷を判定し、当該アプリケーションの実行対象となる制御部を決定する。
【0016】
さらに、本発明に係るカラオケ装置は、制御部の各動作環境は、オペレーティングシステムが異なり、各制御部は、動作環境を変更する際、再起動を実行した後、新たな動作環境に変更する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るカラオケ装置によれば、実行対象となるアプリケーションプログラムに応じた動作環境で当該アプリケーションプログラムを実行する、もしくは、実行対象となるアプリケーションプログラムに応じた制御部で当該アプリケーションプログラムを実行することで、アプリケーションの動作環境に汎用性を持たせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態のカラオケシステムの構成を示す図
【
図2】本実施形態のカラオケ装置における各種モードを示す図
【
図3】本実施形態のカラオケ装置で使用する制御ファイルの構成を示す図
【
図4】本実施形態の各種動作状態におけるアプリ起動状況を示す図
【
図5】本実施形態の各種動作状態におけるアプリ起動状況を示す図
【
図6】本実施形態のアプリ変更時におけるモード切り替えを説明するための図
【
図7】本実施形態のカラオケ装置におけるメイン処理を示すフロー図
【
図8】本実施形態の第1切替処理(演出特化モードへの切り替え)を示すフロー図
【
図9】本実施形態の第1切替処理(通常モードへの切り替え)を示すフロー図
【
図11】他の実施形態の各種モードを説明するための図
【
図12】他の実施形態の各種動作状態におけるアプリ起動状況を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本実施形態のカラオケシステムの構成を示す図である。本実施形態におけるカラオケシステムは、カラオケ装置2と、リモコン装置1を含んで構成されている。カラオケ装置2とリモコン装置1は、LAN100及びアクセスポイント130を利用してネットワークを形成するように通信接続されている。
【0020】
楽曲の演奏を行うカラオケ装置2は、メインSoC31a(「第1制御部」に相当)、サブSoC31b(「第2制御部」に相当)を有している。ここで、SoC(System on a Chip)は、CPU、メモリ等、カラオケ装置2を制御するために必要な機能を統合したチップである。なお、第1制御部、第2制御部としては、SoCの形態ではなく、CPU、メモリ等、複数のパーツで実現する形態であってもよい。
【0021】
メインSoC31a、サブSoC31bには、インターフェイス33を介して各種構成が接続されている。また、メインSoC31a、サブSoC31bは、このインターフェイス33を介して互いに通信を行うことも可能である。本実施形態では、インターフェイス33に、ミキシングアンプ34、ハードディスク35、赤外線通信部36、無線LAN通信部37、LAN通信部38、操作部39が接続されている。
【0022】
ミキシングアンプ34は、メインSoC31a、あるいは、サブSoC31bで再生された楽曲、及び、マイクロホン43a、43bから入力される音声をミキシングして、スピーカー42に出力する。なお、ミキシングアンプ34では、再生された楽曲、音声に対してエコー等の効果を付与する機能を持たせることとしてもよい。
【0023】
ハードディスク35は、カラオケ装置2の記憶部として機能し、各種情報、あるいは、カラオケ装置2で実行可能なアプリケーションプログラムを複数記憶する。なお、本明細書では、アプリケーションプログラムのことを「アプリ」と略することがある。
【0024】
赤外線通信部36、無線LAN通信部37、LAN通信部38は、カラオケ装置2の通信手段として機能し、外部の各種構成と通信を行うことが可能である。本実施形態では、赤外線通信部36を使用して、リモコン装置1と通信を行い、リモコン装置1からの楽曲指定等を受信することとしている。また、LAN通信部38を使用して、LAN100に有線接続を行い、ネットワークに参加することとしている。また、有線LANが使用できない場合には、無線LAN通信部37を使用したネットワーク接続することも可能となっている。
【0025】
操作部39は、ユーザからの各種入力を受け付けることが可能である。操作部39による操作入力は、メインSoC31a、あるいは、サブSoc31bの各種処理に使用される。本実施形態のメインSoC31a、サブSoc31bは、映像出力機能を備えており、それぞれの映像出力端子は、HDMI切替器32(映像切替部)に接続されている。HDMI切替器32は、メインSoc31a、あるいは、サブSoc31bの映像をモニタ41に出力する。HDMI切替器32の切替制御は、メインSoC31a、あるいは、サブSoCによる制御によって行われる。
【0026】
このような構成にてカラオケ装置2は、各種処理を実行することとなるが、カラオケ装置2の主な機能として、楽曲予約処理、楽曲再生処理などを実行可能としている。楽曲予約処理は、ユーザからの指定に基づいて楽曲を指定、予約するための処理であってリモコン装置1と連携して実行される。リモコン装置1の選曲処理で形成された予約情報は、カラオケ装置2に送信される。カラオケ装置2は、受信した予約情報を予約テーブルに登録する。楽曲再生処理は、予約された楽曲を再生させる処理であって、楽曲演奏処理と歌詞表示処理とが同期して実行される処理である。
【0027】
楽曲演奏処理は、楽曲情報に含まれる演奏情報に基づき、メインSoC31a、あるいは、サブSoC31bに演奏を実行させる処理である。演奏された楽曲は、ミキシングアンプにて、マイクロホン43a、43bから入力される音声とミキシングされ、スピーカー42から放音される。歌詞表示処理は、楽曲情報に含まれる歌詞情報をモニタ41に表示させることで歌唱補助を行う処理である。この歌詞表示処理で表示される歌詞に、背景映像を重畳させて表示させる背景映像表示処理を実行することとしてもよい。
【0028】
一方、リモコン装置1は、ユーザからの指示に基づいて楽曲を検索し、再生指示のあった楽曲について予約情報をカラオケ装置2に送信する選曲処理を実行可能としている。また、リモコン装置1は、カラオケ装置2あるいはインターネット上に接続されたサーバー装置5から各種情報を受信し、各種処理を実行することが可能である。本実施形態では、ユーザから各種指示を受け付けるユーザインターフェイスとして、操作部17と、タッチパネルモニタ11を備えている。タッチパネルモニタ11は、表示部11aとタッチパネル11bを有して構成され、表示部11aに各種インターフェイスを表示するとともに、ユーザからのタッチ入力を受付可能としている。
【0029】
さらにリモコン装置1は、選曲処理に必要とされるデータベース、各種プログラム、並びに、プログラム実行に伴って発生する各種情報を記憶する記憶部として、メモリ14、そして、これら構成を統括して制御するためのリモコン側制御部を備えて構成される。リモコン側制御部には、CPU15、タッチパネルモニタ11に対して表示する映像を形成する映像制御部13、表示する映像情報を一時的に蓄えるビデオRAM12、タッチパネルモニタ11あるいは操作部17からの入力を解釈してCPU15に伝える操作処理部18が含まれている。
【0030】
リモコン装置1は、無線LAN通信部16によって、アクセスポイント130と無線接続されることで、LAN100によって構成されるネットワークに接続される。なお、各リモコン装置1は、特定のカラオケ装置2に対して事前に対応付けされている。リモコン装置1から出力される各種命令は、対応付けされたカラオケ装置2にて受信されることとなる。また、リモコン装置1は、赤外線通信部19を備えており、カラオケ装置2側の赤外線通信部36に対して、楽曲予約時の予約情報等を送信することが可能となっている。
【0031】
このようなリモコン装置1の構成により、ユーザからの各種入力をタッチパネルモニタ11、あるいは、操作部17から受付けるとともに、映像情報をタッチパネルモニタ11の表示により各種情報を提供することで、カラオケ装置2に対して出力する予約情報を送信する選曲処理など、各種処理を行うことが可能となっている。
【0032】
図1で説明したようにカラオケ装置2は、制御部として、メインSoC31aとサブSoC31bを有して構成されている。本実施形態では、メインSoC31aで起動するOS(Operating System)を、第1OS(本実施形態では、Linux(登録商標))、第2OS(本実施形態では、Android(登録商標) OS)の何れかに切り替えて使用することが可能となっている。また、本実施形態では、サブSoC31bは、切り替えを行うことなく、常時、第2OSで使用することとしている。なお、本実施形態では、アプリに対応付けられたOSを動作環境としているが、OSのみならず、アプリが動作可能な動作環境であれば、適宜変更することが可能である。
【0033】
本実施形態において、第1OSとなるLinux(登録商標)は、カラオケ装置2において、長年にわたって、使用されているOSであって、古くからカラオケ装置2のために作成されたアプリが存在している。一方、第2OSとなるAndoroid(登録商標)は、近年、利用開始されたOSではあるものの、スマートフォン等の流通に伴い、数多くのアプリが開発、使用されている。本実施形態では、両OSでの特性を活かすため、使用するアプリに応じて切り替えて使用することとしている。具体的には、Linux(登録商標)環境で作成した過去の遺産的なアプリの利用、及び、Android(登録商標)OS環境下において開発された多数のアプリの利用を両立させることが可能となる。
【0034】
図2は、本実施形態のカラオケ装置2における各種モードを示す図である。本実施形態では、
図2(A)に示される通常モードと、
図2(B)に示される演出特化モードを切り替えて使用することが可能である。これらの切り替えは、使用するアプリ等、カラオケ装置2の各種動作状態に応じて切り替えられる。
なお、本実施形態では、メインSoC31aの処理能力は、サブSoC31bの処理能力よりも大きいものとしている。
図2、
図4、
図5においては、図面上、メインSoC31a、サブSoC31bの占有面積を処理能力に見立て、メインSoC31aの専有面積は、サブSoCよりも大きくしている。
【0035】
図2(A)に示される通常モードでは、メインSoC31aを第1OSの起動状態とし、サブSoc31bを第2OSの起動状態としている。
図2(B)に示される演出特化モードでは、メインSoC31、サブSoc31b、共に第2OSの起動状態としている。なお、通常モード、演出特化モードの両モードにおいて、HDMI切替器32は、動作しているアプリの状況映像出力の状況によって適宜切り替えられる。
【0036】
図3は、本実施形態のカラオケ装置2で使用する制御ファイルの構成を示す図である。制御ファイルは、各動作状態について、対応するモードが規定されている。「カラオケ」の動作状態においては「通常モード」が使用される。また、「アプリA」の動作状態においては、「演出特化モード」が使用される。そして、「アプリB」の動作状態においては、「通常モード」、「演出特化モード」のどちらでも使用することが可能である。
【0037】
次に、本実施形態の各動作状態について説明する。
図4(A)は、「カラオケ」の動作状態におけるアプリの起動状況を示した図である。「カラオケ」の動作状態では、通常モード、すなわち、メインSoC31aでは第1OSが起動され、サブSoC31bでは、第2OSが起動された状態となる。そして、メインSoC31aでは、第1OS上、第1カラオケアプリが起動される。第1カラオケアプリは、カラオケ演奏、カラオケ祭典といった機能が実行される。一方、サブSoC31bでは、第2OS上、第2カラオケアプリが起動される。第2カラオケアプリでは、テロップ(歌詞表示)、背景映像の表示、あるいは、効果音、照明制御等、カラオケ演出といった機能が実行される。
【0038】
このように、「カラオケ」の動作状態では、メインSoC31a、サブSoC31bの両方において、アプリが実行されることになる。特に、メインSoC31aでは、第1OSを使用することで、第1カラオケアプリのような、古くから開発、使用されているレガシーソフトを使用することが可能となる。一方、サブSoC31bでは、第2OSを使用することで、第2カラオケアプリのように、近年開発されたアプリを使用することが可能となる。このように、「カラオケ」の動作状態では、2つのOSを使用して、両OSのメリットを生かしたアプリを同時に使用することが可能となっている。
【0039】
また、「カラオケ」の動作状態では、HDMI切替器32は、サブSoC31b側に切り替えられた状態となり、サブSoC31bからの映像出力がモニタ41に出力表示される。HDMI切替器32の切り替えは、映像を出力するアプリ(この場合、第2カラオケアプリ)によって切り替えが行われる。
【0040】
図4(B)は、「アプリA」の動作状態における起動状態を示した図である。
図3の制御ファイルで説明したように、「アプリA」の動作状態では、演出特化モード、すなわち、メインSoC31a、サブSoC31bの両方で第2OSが起動した状態となる。そして、アプリAは、メインSoC31aで起動される。アプリAは、処理能力の低いサブSoC31bでは、処理が困難であることを理由として、演出特化モードを利用するものである。また、「アプリA」の動作状態では、HDMI切替器32は、メインSoC31a側に切り替えられた状態となる。この切替制御は、アプリAによって実行される。
【0041】
図5(C1)、
図5(C2)は、どちらも「アプリB」の動作状態における起動状態を示した図である。
図3の制御ファイルで説明したように、「アプリB」の動作状態では、通常モード、演出特化モードの両モードを使用することが可能である。
図5(C1)は、通常モードにおいてアプリBを起動した状態である。アプリBは、第2OS上で起動するソフトであるため、第2OSが起動しているサブSoC31bで起動する。そして、HDMI切替器32は、アプリBの制御によって、サブSoC31b側に切り替えられる。
【0042】
一方、
図5(C2)は、演出特化モードにおいてアプリBを起動した状態である。アプリBは、第2OS上で起動するソフトであるため、メインSoC31a、サブSoC31bのどちらでも起動することが可能である。
図5(C2)は、メインSoC31a側で起動している状態が示されている。HDMI切替器32は、アプリBの制御によって、アプリBが起動している側(
図5(C2)の場合、メインSoC31a側)に切り替えられる。
【0043】
このように、本実施形態のカラオケシステムでは、2つのSoC、及び、2つのOSを切り替え制御することで、使用するアプリに応じた適切な制御を行うことが可能となっている。なお、本実施形態では、2つのSoCを使用する形態としているが、1つのSoCを使用する形態であってもよい。その場合、1つのSoCにおいて、使用するアプリに応じてOSが切り替えられることになる。
【0044】
次に、本実施形態のカラオケシステムにおける制御について、説明する。本実施形態では、3つの動作状態が切り替え制御されることになる。
図6は、本実施形態のアプリ変更時におけるモード切り替えを説明するための図である。動作状態の変更は、
図6(A)~
図6(C)の3種類に分けられる。
図6(A)は、モード切替無しの場合、
図6(B)は、演出特化モードへの切り替えの場合、
図6(C)は、通常モードへの切り替えの場合が示されている。なお、
図6中、アプリBの動作状態については、通常モード、演出特化モードの両方を使用することが可能であるため、括弧付きで、もう一つの取り得るモードを記載している。
【0045】
図7は、本実施形態のカラオケ装置におけるメイン処理を示すフロー図である。メイン処理は、カラオケ装置において動作状態を切り替える処理であり、本実施形態では、ユーザによる操作等によって、「カラオケ」、「アプリA」、「アプリB」何れかの動作状態への切替指示が発せられた場合に開始される。
【0046】
メイン処理が開始されると、サブSoC31bは、制御ファイルの読み出しを行う(S101)。そして、現在の動作状態と、変更後の動作状態に基づき、
図6(A)に示されるモード切替無し、
図6(B)に示される演出特化モードへの切り替え、
図6(C)の中将モードへの切り替えであるかを判断する。また、サブSoCは、アプリ画面がモニタ41に表示されるまでの期間は、待機画面、アプリ起動画面等を表示出力する。
【0047】
モード切り替え無しの場合(S102:No、S103:No)、起動するアプリは、メインSoC31aであるか否かを判断する。例えば、動作状態「カラオケ」から動作状態「アプリB」に切り替える場合、「アプリB」は、サブSoC31bでのみ起動可能であるため、S104の判定結果は、Noとなる。この場合、サブSoC31bでアプリBが起動される(S107)。その際、モニタ41には、サブSoC31bからアプリ画面が表示出力される。
【0048】
また、本実施形態では、アプリの起動時、負荷監視処理(S400)を実行している。この負荷監視処理(S400)によって、制御ファイルを適応的に更新している。
図10は、本実施形態の負荷監視処理(S400)を示す図である。負荷監視料理が開始されると、サブSoC31bは、SoC31b内のCPU使用率、メモリ使用率、GPU使用率、IO使用率の監視(S401)を行い、これらに基づき負荷判定処理(S402)を実行する。
【0049】
この負荷判定処理(S402)では、現在、アプリが使用しているSoCでの負荷が判定される。そして、判定された負荷に基づき、制御ファイルの更新が必要であるか否かが判定される(S403)。例えば、本実施形態では、アプリBは演出特化モード、通常モードのどちらでも使用可能なことが制御ファイルに規定されている。しかしながら、アプリBの負荷が大きくなり、サブSoC31bでの処理が困難と判断された場合、演出特化モードでのみ使用可能と判定されることになる。この判定結果に基づき、制御ファイルの更新が実行される(S404)。
【0050】
このように、本実施形態では、実際のアプリの負荷を判定し、制御ファイルを書き換えることで、次回以降、アプリに適したモードを使用することが可能となっている。
【0051】
図7のメイン処理に戻り、アプリ起動がメインSoC31aである場合(S104)について説明を行う。この場合、サブSoC31bは、メインSoC31aに対して、アプリ起動指示を出力する(S105)。アプリ起動指示を受けたメインSoC31aでは、指示されたアプリの起動を行う(S108)。アプリ起動後、モニタ41には、メインSoC31aから表示出力されるアプリ画面に切り替えられる。なお、アプリ起動後においては、
図10で説明した負荷監視処理(S400)が実行される。
【0052】
一方、メイン処理において、演出特化モードへの切り替えであることが判定された場合(S102:Yes)、第1切替処理(S200)が実行される。
図8は、本実施形態の第1切替処理(S200)を示すフロー図である。第1切替処理では、まず、サブSoC31bにおいて、起動対象となるアプリ起動画面が表示開始される(S201)。
図6(B)に示されるように、演出特化モードの切り替えは、通常モードから行われることになる。すなわち、
図2(A)に示される通常モードの状態から、
図2(B)に示される演出特化モードの状態への切り替えであって、メインSoC31aが第1OSから第2OSへと切り替えられる。
【0053】
サブSoC31bは、メインSoC31aに対してOS切替指示(S202)を出力する(S202)。OS切替指示を受けたメインSoC31aは、OS切替処理(S209)、すなわち、第1OSから第2OSへの切替を開始する。メインSoC31aにおいて、OSの切り替えが実行される期間において、サブSoC31bでは、アプリ事前処理(S203)を実行する。アプリ事前処理(S203)とは、メインSoC31aで実行されるアプリで必要とされる情報の演算等を行う処理である。アプリ事前処理(S203)の結果は、メインSoC31aにおけるアプリの起動後、サブSoC31bからメインSoC31aに受け渡される。
【0054】
サブSoC31bは、メインSoC31aとの間で状態取得を行い、メインSoC31aにおいてOSの切り替えが完了したか否かを判定するOS切替判定処理(S204)を実行する。OSの切替が完了したと判定された場合(S205:Yes)、サブSoC31bは、メインSoC31aにアプリ起動指示を出力する(S206)。アプリ起動指示を受けたメインSoC31aでは、指示されたアプリの起動を行う(S210)。アプリ起動後、メインSoC31aは、アプリ画面の出力を開始する(S211)。また、サブSoC31bは、アプリ事前処理(S203)の結果をメインSoC31aに送信する。そして、HDMI切替器32に対し、画面表示をサブSoC31bからメインSoC31aに切り替えることで、モニタ41にはアプリ画面が表示出力される。
【0055】
また、メイン処理において、通常モードへの切り替えであることが判定された場合(SS103:Yes)、第2切替処理(S300)が実行される。
図9は、本実施形態の第2切替処理(S300)を示すフロー図である。第2切替処理では、
図6(C)に示されるように、通常モードへの切り替えは、演出特化モードから行われることになる。すなわち、
図2(B)に示される演出特化モードの状態から、
図2(A)に示される通常モードの状態への切り替えであって、メインSoC31aが第2OSから第1OSへと切り替えられる。
【0056】
この第2切替処理(S300)は、OSの切り替えが、第2OSから第1OSに切り替える点、及び、「カラオケ」の動作状態へのみ切り替える点で第1OS切替処理(S200)と異なっている。「カラオケ」の動作状態では、メインSoC31a、サブSoC31bの両方でアプリが実行されることになる。
【0057】
まず、サブSoC31bにおいて、起動対象となるアプリ起動画面が表示開始される(S301)。次に、サブSoC31bは、メインSoC31aに対してOS切替指示(S302)を出力する(S302)。OS切替指示を受けたメインSoC31aは、OS切替処理(S309)、すなわち、第2OSから第1OSへの切替を開始する。メインSoC31aにおいて、OSの切り替えが実行される期間において、サブSoC31bでは、アプリ事前処理(S303)を実行する。
【0058】
サブSoC31bは、メインSoC31aとの間で状態取得を行い、メインSoC31aにおいてOSの切り替えが完了したか否かを判定するOS切替判定処理(S304)を実行する。OSの切替が完了したと判定された場合(S305:Yes)、サブSoC31bは、メインSoC31aにアプリ起動指示を出力する(S306)。アプリ起動指示を受けたメインSoC31aでは、指示されたアプリの起動を行う(S310)。本実施形態では、第1カラオケアプリの起動が行われることになる。
【0059】
アプリ起動後、メインSoC31aは、アプリ画面の出力を開始する(S311)。また、サブSoC31bは、アプリ事前処理(S303)の結果をメインSoC31aに送信する(S307)。そして、サブSoC31b側で実行されるアプリ(本実施形態では、第2カラオケアプリ)の起動処理を実行する(S308)。
【0060】
以上、本実施形態では、アプリに対応したOSに切り替えた上で、アプリを実行することで、アプリに応じた動作環境でアプリを実行動作させることが可能となる。また、2つのSoCを使用することで、一方のSoCにおいて、OSの切り替え期間中、他方のSoCにおいて、アプリ事前処理や、画面表示を行うことが可能となっている。
【0061】
上述した実施形態では、2つのモード(通常モード、演出特化モード)を使用した形態を採用しているが、モードを増やす形態も可能である。
図11は、他の実施形態の各種モードを説明するための図であって、メインSoC31a、サブSoC31b、2つのSoCを使用した場合の変形例である。この変形例では、前述の実施形態で使用した
図2(A)に示される通常モード、
図2(B)に示される演出特化モードに加え、後述の
図12(C)に示される演出強化モード、
図12(D)に示される演奏特化モードを使用している。
【0062】
図12(C)に示される演出強化モードでは、メインSoC31aを第2OS、サブSoC31bを第1OSに割り当てている。そして、
図12(D)に示される演奏特化モードでは、メインSoC31a、サブSoC31bの両方に第1OSを割り当てている。各モードの切り替えは、
図11に示されるように、矢印の先端と後端で示されるモード間で行われる。このように、各モードの切り替えを行うことで、少なくとも一方のSoCにおいてOSを維持することが可能となる。したがって、OSを維持している側のSoCにて、モニタ41の表示出力、あるいは、アプリ事前処理を実行することが可能となる。
【0063】
図12は、他の実施形態の各種動作状態におけるアプリ起動状況を説明するための図である。
図4、
図5を使用して、
図2(A)に示される通常モード、
図2(B)に示される演出特化モードの動作状態を説明したが、変形例における新たなモードである
図12(C)に示される演出強化モード、
図12(D)に示される演奏特化モードの動作状態の例を説明する。
【0064】
図12(C)は、演出強化モードにおけるアプリの動作状況を示した図である。この例は、前述の「カラオケ」の動作状態とは異なる「第2カラオケ」の動作状態となっている。「第2カラオケ」の動作状態では、
図12(C)に示される演出強化モード、すなわち、メインSoC31aでは第2OSが起動され、サブSoC31bでは、第1OSが起動された状態となる。そして、メインSoC31aでは、第2OS上、第3カラオケアプリが起動される。第3カラオケアプリは、テロップ(歌詞表示)、背景映像の表示、効果音、照明制御等、カラオケ演出といった機能が実行される。一方、サブSoC31bでは、第1OS上、第3カラオケアプリが起動される。第3カラオケアプリでは、カラオケ演奏、カラオケ採点といった機能が実行される。
【0065】
図12(D)は、演奏特化モードにおけるアプリの動作状況を示した図である。この例は、「第3カラオケ」の動作状態に相当している。「第3カラオケ」の動作状態では、
図12(D)に示される演出強化モード、すなわち、メインSoC31a、サブSoC31b共に第1OSが起動された状態となる。そして、メインSoC31aでは、第1OS上、第5カラオケアプリが起動される。第5カラオケアプリは、カラオケ演奏のみが実行されることになる。一方、サブSoC31bでは、第1OS上、第6カラオケアプリが起動される。第6カラオケアプリでは、テロップ、背景映像の表示、カラオケ演出、カラオケ採点といった機能が実行される。
【0066】
このように、変形例では、更なるモードを付加することで、多様な状況に合った動作状態を実現することが可能となる。
【0067】
以上、本実施形態のカラオケ装置2について説明したが、本発明に係るカラオケ装置によれば、実行対象となるアプリ(アプリケーションプログラム)に応じた動作環境で当該アプリケーションプログラムを実行することが可能となる。また、実行対象となるアプリ(アプリケーションプログラム)に応じた制御部で当該アプリケーションプログラムを実行することで、アプリ(アプリケーション)の動作環境に汎用性を持たせることが可能となる。
【0068】
なお、本発明は必ずしもカラオケ装置に限られるものでは無く、リモコン装置1、あるいは、ユーザが所持するスマートフォン、あるいは家庭に設置されるパーソナルコンピュータや、ゲーム機等、各種情報処理装置で実現することとしてもよい。あるいは、このような各種情報処理装置で実行されるプログラムについても本発明の範疇に属する。
【符号の説明】
【0069】
1:リモコン装置 19:赤外線通信部
2:カラオケ装置 32:HDMI切替器
5:サーバー装置 33:インターフェイス
11:タッチパネルモニタ 34:ミキシングアンプ
11a:表示部 35:ハードディスク
11b:タッチパネル 36:赤外線通信部
12:ビデオRAM 37:無線LAN通信部
13:映像制御部 38:LAN通信部
14:メモリ 39:操作部
15:CPU 41:モニタ
16:無線LAN通信部 42:スピーカー
17:操作部 43a、43b:マイクロホン
18:操作処理部 130:アクセスポイント