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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】乾燥調製設備の管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20120101AFI20231003BHJP
   B02B 5/02 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G06Q50/02
B02B5/02 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021213079
(22)【出願日】2021-12-27
(62)【分割の表示】P 2021023364の分割
【原出願日】2017-08-10
(65)【公開番号】P2022036166
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森本 英嗣
(72)【発明者】
【氏名】高橋 努
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-066293(JP,A)
【文献】国際公開第2016/035149(WO,A1)
【文献】特開2010-084952(JP,A)
【文献】特開2017-134653(JP,A)
【文献】特開2005-305345(JP,A)
【文献】特開2016-105031(JP,A)
【文献】特開2015-099435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B02B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物を乾燥する乾燥機(K)と、乾燥機(K)で乾燥した穀物を籾摺選別する籾摺選別機(4)と、籾摺選別機(4)で籾摺選別された仕上穀物を設定量ずつ計量する計量器(7)を備え、乾燥機(K)の運転情報と、籾摺選別機(4)の運転情報と、計量器(7)の運転情報のそれぞれを管理用端末(T)に送信可能に構成し、
乾燥機(K)と、籾摺選別機(4)と、計量器(7)の各装置毎の運転時間と、該各装置毎の運転時間を足し合わせた総運転時間を示すグラフを管理用端末(T)に表示し、
乾燥機(K)に収容された穀物が複数の圃場で収穫された穀物である場合は、総運転時間及び前記各装置毎の運転時間を、前記乾燥機(K)内で測定された圃場毎の穀物量で按分したグラフを管理用端末(T)に表示し
乾燥機(K)と、籾摺選別機(4)と、計量器(7)の各装置毎の運転時間を足し合わせた総運転時間を示すグラフ及び籾摺・計量された総玄米量を示す表を一体に管理用端末(T)に表示することを特徴とする乾燥調製設備の管理システム。
【請求項2】
圃場(A)の穀物の乾燥機(K)への張り込みが終了した時点の重量計(32)又は穀物の体積を検出するセンサにより測定した穀物重量の値を記憶し、次いで、圃場(B)の穀物の前記乾燥機(K)への張り込みが終了した時点の穀物重量の値を記憶し、そして、圃場(A)と圃場(B)それぞれの穀物重量の値を管理用端末(T)に送信し、管理用端末(T)では、圃場(A)と圃場(B)それぞれの穀物重量の比に基づき按分することを特徴とする請求項1記載の乾燥調製設備の管理システム。
【請求項3】
穀物重量で按分されて表示された前記各装置毎の運転時間を示すグラフ及び乾燥運転で使用された燃料の量、計量器(7)で計量された仕上穀物の重量を示す表を管理用端末(T)に表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乾燥調製設備の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫した穀物を乾燥調製処理する乾燥調製設備に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥機・籾摺機・計量器等を備え、各装置の運転情報を管理用の端末で管理する乾燥調製設備に関して、各装置の運転開始時間や作業終了時間を管理する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-65814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乾燥調製設備の管理者が、乾燥調製作業を終えた後で、各装置における運転情報を把握したいという要望がある。
【0005】
本発明は、このような運転情報について、簡易な方法で管理者に提供できることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、
請求項1記載の発明は、
穀物を乾燥する乾燥機(K)と、乾燥機(K)で乾燥した穀物を籾摺選別する籾摺選別機(4)と、籾摺選別機(4)で籾摺選別された仕上穀物を設定量ずつ計量する計量器(7)を備え、乾燥機(K)の運転情報と、籾摺選別機(4)の運転情報と、計量器(7)の運転情報のそれぞれを管理用端末(T)に送信可能に構成し、
乾燥機(K)と、籾摺選別機(4)と、計量器(7)の各装置毎の運転時間と、該各装置毎の運転時間を足し合わせた総運転時間を示すグラフを管理用端末(T)に表示し、
乾燥機(K)に収容された穀物が複数の圃場で収穫された穀物である場合は、総運転時間及び前記各装置毎の運転時間を、前記乾燥機(K)内で測定された圃場毎の穀物量で按分したグラフを管理用端末(T)に表示し
乾燥機(K)と、籾摺選別機(4)と、計量器(7)の各装置毎の運転時間を足し合わせた総運転時間を示すグラフ及び籾摺・計量された総玄米量を示す表を一体に管理用端末(T)に表示することを特徴とする乾燥調製設備の管理システムとする。
【0007】
請求項2記載の発明は、
圃場(A)の穀物の乾燥機(K)への張り込みが終了した時点の重量計(32)又は穀物の体積を検出するセンサにより測定した穀物重量の値を記憶し、次いで、圃場(B)の穀物の前記乾燥機(K)への張り込みが終了した時点の穀物重量の値を記憶し、そして、圃場(A)と圃場(B)それぞれの穀物重量の値を管理用端末(T)に送信し、管理用端末(T)では、圃場(A)と圃場(B)それぞれの穀物重量の比に基づき按分することを特徴とする請求項1記載の乾燥調製設備の管理システム。
【0008】
請求項3記載の発明は、
穀物重量で按分されて表示された前記各装置毎の運転時間を示すグラフ及び乾燥運転で使用された燃料の量、計量器(7)で計量された仕上穀物の重量を示す表を管理用端末(T)に表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乾燥調製設備の管理システムとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、簡易な方法で、運転終了後の運転情報を把握することができ、次回の運転の計画を立てやすくすることができる乾燥調製設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】乾燥調製設備の全体図
図2】乾燥調製設備の運転情報を示す図
図3】乾燥調製設備の各種運転情報を示す図
図4】籾摺選別機の内部を説明する図
図5】穀物乾燥機の外観図
図6】米選機の内部を説明する図
図7】制御ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態の乾燥調製設備について、以下説明する。
【0012】
図1に示すように、収穫した穀物を投入する荷受けホッパ1と、穀物を搬送する昇降機やフライトコンベアからなる搬送機2と、複数の穀物乾燥機K(K1~K4)と、穀物乾燥機Kから排出された穀物(籾)を一時貯留する穀物貯留タンク3と、穀物貯留タンク3から供給される穀物を籾摺選別する籾摺選別機4と、籾摺選別機4から排出された仕上穀物(玄米)から屑米を選別する米選機5と、米選機5で選別された仕上穀物を貯留する仕上穀物貯留タンク6と、仕上穀物貯留タンク6から設定量毎の仕上穀物を計量して袋hに袋詰めするための計量器7を備えている。
【0013】
穀物乾燥機Kの制御部40と、籾摺選別機4の制御部41と、米選機5の制御部42と、計量器7の制御部43は、管理用端末Tと通信接続する構成とし、管理用端末Tの画面に各装置の運転情報が表示される構成である。
【0014】
図5は穀物乾燥機Kの外観図を示している。穀物を収容する箱体10と、乾燥速度や目標水分値を設定する操作盤11と、搬送中の穀物からサンプルを採取して水分値を検出する水分計12を設けている。また、熱風を生成する燃焼バーナ9に供給する燃料を収容する燃料タンク13を備え、燃料タンク13から供給する燃料量を検出する燃料流量計14を設けている。また、乾燥機内部の穀物を搬送する乾燥機メインモータ26と、乾燥機メインモータ26の使用電力量を検出する乾燥機用電力計27を備えている。乾燥機電力計27は熱風を機外に排出する排風ファン28を駆動する排風ファンモータ(図示せず)の電力量をも検出しても良い。
【0015】
図4は籾摺選別機4の内部を説明する図を示している。
【0016】
籾摺りする籾摺ロール15と、籾殻を風選する風選部16と、籾と玄米を選別する揺動選別板17と、揺動選別板17の玄米層を仕切って取り出すための玄米仕切板18と、籾摺選別機4を駆動する籾摺機メインモータ19を備えている。玄米仕切板18の仕切り位置を検出する仕切板位置検出センサ25を備えている。玄米仕切板18の位置により、仕上玄米として籾摺選別機4から排出される玄米量が変わるため、仕切板位置検出センサ位置25で検出される玄米仕切板18の位置情報は、いわゆる籾摺選別機4の選別能率を判断する尺度となる。また、籾摺機メインモータ19の電力量を検出する籾摺機用電力計30を設けている。
【0017】
図7は米選機5の内部を説明する図を示している。
【0018】
米選機5は、籾摺選別機4から排出された仕上穀物である玄米が流入する流入口20と、玄米を揚穀する揚穀ラセン21と、揚穀ラセン21で揚穀する玄米から屑米を選別する選別網22と、玄米を排出する玄米排出口23と、米選機5を駆動する米選機メインモータ24を設けている。米選機メインモータ24の使用電力量を検出する米選機用電力計31を設けている。
【0019】
次に、収穫した籾を穀物乾燥機Kで乾燥し、籾摺選別機4で籾摺選別して玄米とし、計量器7で玄米を設定量毎に袋詰めする計量選別に至る作業工程について説明する。
【0020】
圃場Aと圃場Bから収穫した籾を穀物乾燥機K1に張り込む。穀物乾燥機K1にはロードセル等の重量計32を備えており、張込穀物の重量を測定する。
【0021】
穀物乾燥機K1で目標水分値まで乾燥すると乾燥運転を終了する。そして、乾燥終了時の籾の重量と乾燥運転時間の情報を管理用端末Tに送信する。
【0022】
乾燥運転を終了した籾を穀物貯留タンク3に供給して一時貯留し、順次、籾摺選別機4に供給して籾摺選別が行われる。籾摺選別機4で籾摺選別された玄米が米選機5を通過して玄米に混じる屑米を選別して仕上穀物貯留タンク6に貯留される。仕上穀物貯留タンク6から計量器7により所定量の玄米が玄米袋h(1袋30kg)に収容され、オペレータは袋詰め作業を行う。
【0023】
籾摺選別機4に要した籾摺選別作業時間及び計量器7による玄米袋詰め作業に要した時間を管理用端末Tに送信する。また、合わせて、計量器7で計量された玄米量の情報を管理用端末Tに送信する。
【0024】
図2の(イ)は、穀物乾燥機K1に張り込まれた穀物の乾燥運転時間と、籾摺選別運転時間と、計量運転時間の各作業工程に要した時間を足し合わせた総運転時間を管理用端末Tの画面に示す棒グラフである。すなわち、棒の長さが時間の長さを示している。また、棒グラフの側方には、穀物乾燥機K1の重量計32で測定した籾の総重量と、計量器7で測定した玄米の総重量が表示されている。
【0025】
図2の(ロ)は、総運転時間及び各作業工程に要した運転時間を圃場Aと圃場Bそれぞれの広さで按分したことを画面に示す図である。
【0026】
図2の(ハ)は、籾の総重量と玄米の総重量を圃場Aと圃場Bそれぞれの広さで按分した表を表示しており、さらに、玄米量から換算される販売金額と、販売金額から燃料費及び電力量費を差し引いた利益を表示している。
【0027】
燃料については、燃料流量計14の検出データから検出し、予め設定している燃料の単価から換算される。電力量については、穀物乾燥機Kのメインモータモータ26や籾摺選別機4のメインモータ19等に設ける電力計(27,30)の検出データから換算する。電力量の単価は燃料の単価と同様、予め設定しておく。そして、販売金額から燃料及び電力の料金を差し引いた金額を利益として表示する。それにより、管理者は圃場毎に得られる利益の概算を把握することができる。
【0028】
図3は、穀物乾燥機K2に圃場Cと圃場Dと圃場Eの穀物を張り込んだ場合の、穀物の乾燥運転時間、籾摺選別運転時間と、計量運転時間の各作業工程に要した運転時間を足し合わせた総運転時間を示す棒グラフである。そして、総運転時間及び各作業工程に要した運転時間を圃場Cと圃場Dと圃場Eそれぞれの広さで按分したことを示す図である。考え方は図2と同様である。
【0029】
図2図3についての効果を説明する。
【0030】
総運転時間を圃場の広さで按分することで、目安となる圃場毎の作業時間を簡易に換算できる。また、目安となる圃場毎の仕上玄米量や販売金額や費用や利益を簡易に換算して把握することができる。
【0031】
また、穀物乾燥機K1と穀物乾燥機K2の運転時間を対比することで、各作業工程の能率の状況を把握することが可能となる。例えば、籾摺選別機4の作業工程が通常よりも長いと判断した場合に、そのときの仕切板位置検出センサ25による玄米仕切板17の位置情報から選別能率の検証を行うことが可能となる。また、穀物乾燥機Kの作業時間が長い場合には、乾燥速度の設定の検証を行うことができる。
【0032】
図3は、穀物乾燥機K1の穀物を計量器で計量した総仕上玄米量を圃場A及び圃場Bの広さで按分したものである。これにより、簡易な方法で圃場A及び圃場Bの玄米量を換算することができる。
【0033】
なお、図2及び図3の表に記載する「販売金額」・「燃料」・「電力」・「利益」の金額は、試験等に基づく厳密な数値ではなく、一例を示している。
【0034】
また、本実施例の計量器7は仕上穀物貯留タンク6側に設けている構成であるが、米選機5に計量器を設けるいわゆる計量選別機を用いても良い。
【0035】
本実施の形態の一例として、例えば、乾燥運転が終了した時点の穀物(籾)の重量を測定し、予測される仕上玄米の量を換算し、計量器7で使用される袋hの枚数を換算して表示することで、管理者は前もって袋hを準備することができる。また、前記予測される仕上玄米の量から、籾摺選別機4による運転時間が終了近くになることを検出して、管理用端末Tにその旨を表示することができる。ここで、籾摺選別機4による運転時間が終了近くになることとは、例えば、穀物乾燥機Kから穀物を排出時に、穀物乾燥機K内の穀物の有無を検出するセンサ(本実施例では水分計12)が穀物無しを検出すると予想される少し前のタイミング等がある。
【0036】
なお、図2図3による圃場別の按分については、圃場の広さ以外に、穀物乾燥機Kの重量計32で測定した穀物の重量に基づいて按分しても良い。この場合の圃場毎の穀物の重量の測定については、例えば、圃場Aの穀物の穀物乾燥機K1への張り込みが終了した時点の重量計32で測定した穀物重量の値を記憶し、次いで、圃場Bの穀物の穀物乾燥機K1への張り込みが終了した時点の穀物重量の値を記憶する。そして、圃場Aと圃場Bそれぞれの穀物重量の値を管理用端末Tに送信し、管理用端末Tでは、圃場Aと圃場Bそれぞれの穀物重量の比に基づき按分する。本実施の形態では、圃場Aの穀物の張込が終了した後で、管理者が管理用端末Tに手動で張込が終了した穀物を圃場Aと入力する。そして、次に、圃場Bの穀物の張込が終了した後で、管理者が管理用端末Tに手動で張込が終了した穀物を圃場Bと入力する。
【0037】
この実施例によると、圃場で収穫されて穀物乾燥機に張り込まれた実際の穀物の重量に基づいて按分することができる。
【0038】
なお、穀物重量以外に、穀物の体積を検出するセンサを用いて、圃場Aと圃場Bの張込時の体積(嵩)による按分する構成としても良い。
【符号の説明】
【0039】
4 籾摺選別機
5 米選機
7 計量器
K 乾燥機
T 管理用端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7