(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20231003BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
A63B69/00 C
A63B71/06 Z
(21)【出願番号】P 2022012591
(22)【出願日】2022-01-31
【審査請求日】2022-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 令奈
(72)【発明者】
【氏名】山本 太
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-201905(JP,A)
【文献】特開2020-96753(JP,A)
【文献】再公表特許第2019/049216(JP,A1)
【文献】特開2004-646(JP,A)
【文献】特開昭61-238260(JP,A)
【文献】特開2018-38455(JP,A)
【文献】特開2018-173737(JP,A)
【文献】特開2019-208690(JP,A)
【文献】特開2014-173862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00-71/16
A63B 1/00-26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
対象が第1の運動を行っているときの前記対象の第1運動状態を評価する第1イベントを実行させ、
前記対象が前記第1イベントにおける評価を受けたかを判別させ、
前記対象が前記第1イベントにおける評価を受けたと判別したことを少なくとも条件として、前記対象が第2の運動を行っているときの前記対象の運動状態であって前記第1運動状態とは異なる第2運動状態を評価する第2イベントを実行さ
せ、
前記対象は、互いに異なる複数の対象であり、
前記第1イベントでは、前記第1の運動を行っている前記複数の対象の各々の前記第1運動状態を相対的に評価し、
前記第2イベントでは、前記第2の運動を行っている前記複数の対象の各々の前記第2運動状態を相対的に評価する、
情報処理方法。
【請求項2】
前記コンピュータに、前記第1イベントにおける評価結果に基づいて、互いに異なる運動状態を評価する複数のイベントから前記第2イベントを選択させる、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記コンピュータに、
前記第1イベントを実行させることによって、前記対象が身体にセンサを装着した状態で前記第1の運動を行っているときに前記センサで検出された第1運動指標を取得させ、
取得された前記第1運動指標に基づいて、前記第1運動状態を評価させ、
前記第2イベントを実行させることによって、前記対象が身体に前記センサを装着した状態で前記第2の運動を行っているときに前記センサで検出された第2運動指標を取得させ、取得された前記第2運動指標に基づいて、前記第2運動状態を評価させる、
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記第1イベントは定期的又は不定期的に実行される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記第1の運動及び前記第2の運動は、互いに同じ或る運動であり、
前記第1運動状態及び前記第2運動状態は、前記第1運動状態に係る条件及び前記第2運動状態に係る条件が互いにトレードオフの関係となるような運動状態である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記第1運動状態は、前記或る運動による前記対象の身体への負担を表す運動状態である、
請求項5に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記或る運動は、歩行又は走行であり、
前記第1運動状態又は前記第2運動状態は、前記対象の動作の左右対称性、前記対象の姿勢、及び前記対象の接地状態の少なくとも1つを含む、
請求項5又は6に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記第1運動状態又は前記第2運動状態は、運動指標に基づいて導出され、前記運動指標は、前記歩行又は前記走行を行っている前記対象のピッチ、ストライド、接地時間、接地時間率、前記対象の身体における上下動、左右動、前後動、力積、前記対象の骨盤の各軸における回転角度、沈み込み、推進の大きさ、推進の方向、推進のタイミング、ブレーキの大きさ、ブレーキの方向、遊脚の振り戻し時間、振出し時間、乗り込み時間、及び、スティフネスの少なくとも1つを含む、
請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記第1の運動及び前記第2の運動は、互いに同じ或る運動であり、
前記コンピュータに、
前記第1イベントを実行させる前に、前記或る運動を行っている前記対象の前記第1運動状態及び前記第2運動状態を含む互いに異なる複数の運動状態を総合的に評価する工程を実行させ、
前記対象が前記工程における評価を受けたかを判別させ、
前記対象が前記工程における評価を受けたと判別したことを少なくとも条件として、前記第1イベントを実行させる、
請求項1から8のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記コンピュータに、
前記対象が前記第2イベントにおける評価を受けたかを判別させ、
前記対象が前記第2イベントにおける評価を受けたと判別したことを少なくとも条件として、前記工程を実行させる、
請求項9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記コンピュータに、前記第1イベント及び前記第2イベントの少なくとも一方を、オンライン又は仮想空間にて実行させる、
請求項1から10のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータに、
対象が第1の運動を行っているときの前記対象の第1運動状態を評価する第1イベントを実行させ、
前記対象が前記第1イベントにおける評価を受けたかを判別させ、
前記対象が前記第1イベントにおける評価を受けたと判別したことを少なくとも条件として、前記対象が第2の運動を行っているときの前記対象の運動状態であって前記第1運動状態とは異なる第2運動状態を評価する第2イベントを実行さ
せ、
前記対象は、互いに異なる複数の対象であり、
前記第1イベントでは、前記第1の運動を行っている前記複数の対象の各々の前記第1運動状態を相対的に評価し、
前記第2イベントでは、前記第2の運動を行っている前記複数の対象の各々の前記第2運動状態を相対的に評価する、
プログラム。
【請求項13】
対象が第1の運動を行っているときの前記対象の第1運動状態を評価する第1イベントを実行し、
前記対象が前記第1イベントにおける評価を受けたかを判別し、
前記対象が前記第1イベントにおける評価を受けたと判別したことを少なくとも条件として、前記対象が第2の運動を行っているときの前記対象の運動状態であって前記第1運動状態とは異なる第2運動状態を評価する第2イベントを実行
し、
前記対象は、互いに異なる複数の対象であり、
前記第1イベントでは、前記第1の運動を行っている前記複数の対象の各々の前記第1運動状態を相対的に評価し、
前記第2イベントでは、前記第2の運動を行っている前記複数の対象の各々の前記第2運動状態を相対的に評価する、
コンピュータを備える情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、プログラム及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者等の対象に装着されて用いられる装着型機器により対象の運動状態を検出し、検出された運動状態の解析結果に基づいて運動状態の評価を行う技術がある。例えば、特許文献1には、或る運動を行った対象の運動状態の解析結果に基づいて、当該或る運動のフォームに係るアドバイスを対象に提示する技術が開示されている。また、特許文献1には、上記の或る運動を行った複数の対象の運動状態の解析結果に基づいて、複数の対象における各対象の順位を導出して提示する技術が開示されている。対象は、これらのアドバイスや順位を参考に運動状態を改善することで、運動に係るスキルを向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、単に運動に係る1つ運動状態についての評価を行うのみでは、運動によって向上するスキルに偏りが生じ、運動に係るスキルを総合的に向上させることが困難であるという課題がある。
【0005】
この発明の目的は、対象の運動に係るスキルを効率的かつ総合的に向上させることができる情報処理方法、プログラム及び情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理方法は、
コンピュータに、
対象が第1の運動を行っているときの前記対象の第1運動状態を評価する第1イベントを実行させ、
前記対象が前記第1イベントにおける評価を受けたかを判別させ、
前記対象が前記第1イベントにおける評価を受けたと判別したことを少なくとも条件として、前記対象が第2の運動を行っているときの前記対象の運動状態であって前記第1運動状態とは異なる第2運動状態を評価する第2イベントを実行させ、
前記対象は、互いに異なる複数の対象であり、
前記第1イベントでは、前記第1の運動を行っている前記複数の対象の各々の前記第1運動状態を相対的に評価し、
前記第2イベントでは、前記第2の運動を行っている前記複数の対象の各々の前記第2運動状態を相対的に評価する。
【0007】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、
コンピュータに、
対象が第1の運動を行っているときの前記対象の第1運動状態を評価する第1イベントを実行させ、
前記対象が前記第1イベントにおける評価を受けたかを判別させ、
前記対象が前記第1イベントにおける評価を受けたと判別したことを少なくとも条件として、前記対象が第2の運動を行っているときの前記対象の運動状態であって前記第1運動状態とは異なる第2運動状態を評価する第2イベントを実行させ、
前記対象は、互いに異なる複数の対象であり、
前記第1イベントでは、前記第1の運動を行っている前記複数の対象の各々の前記第1運動状態を相対的に評価し、
前記第2イベントでは、前記第2の運動を行っている前記複数の対象の各々の前記第2運動状態を相対的に評価する。
【0008】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理システムは、
対象が第1の運動を行っているときの前記対象の第1運動状態を評価する第1イベントを実行し、
前記対象が前記第1イベントにおける評価を受けたかを判別し、
前記対象が前記第1イベントにおける評価を受けたと判別したことを少なくとも条件として、前記対象が第2の運動を行っているときの前記対象の運動状態であって前記第1運動状態とは異なる第2運動状態を評価する第2イベントを実行し、
前記対象は、互いに異なる複数の対象であり、
前記第1イベントでは、前記第1の運動を行っている前記複数の対象の各々の前記第1運動状態を相対的に評価し、
前記第2イベントでは、前記第2の運動を行っている前記複数の対象の各々の前記第2運動状態を相対的に評価する、
コンピュータを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、対象の運動に係るスキルを効率的かつ総合的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】端末装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】装着型装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】イベントリストデータの内容例を示す図である。
【
図6】イベント管理データの内容例を示す図である。
【
図8】イベントトレーニング実行処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図9】サーバのCPUによるイベント実行処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図10】端末装置のCPUによるイベント実行処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図11】装着型装置のCPUによるイベント実行処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図12】変形例1に係るイベントリストデータの内容例を示す図である。
【
図13】変形例1に係るイベントトレーニング実行処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図14】変形例2に係るイベントリストデータの内容例を示す図である。
【
図15】変形例3に係るイベントリストデータの内容例を示す図である。
【
図16】変形例4に係るイベントリストデータの内容例を示す図である。
【
図17】変形例5に係るイベントリストデータの内容例を示す図である。
【
図18】変形例6に係るイベントトレーニング実行処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
<運動支援システムの構成及び動作の概要>
図1は、本実施形態の運動支援システム1を示す図である。
運動支援システム1(情報処理システム)は、サーバ10(情報処理装置)と、複数の端末装置20と、複数の装着型装置30(センサ)とを備える。複数の端末装置20は、ネットワークNを介してサーバ10に接続されており、サーバ10との間でデータの送受信が可能である。ネットワークNは、例えばインターネットであるが、これに限定されない。端末装置20とサーバ10との間の通信経路には、無線による通信経路が含まれていてもよい。
【0013】
運動支援システム1のユーザ(対象)は、少なくとも1つの端末装置20と、少なくとも1つの装着型装置30とを使用する。運動支援システム1は、ユーザに対し、複数のイベントから構成されるイベントトレーニングを提供する。イベントトレーニングでは、複数のイベントの各々において指定された運動を行うことで、運動に係るスキルを効率的かつ総合的に向上させることができるようになっている。運動支援システム1は、イベントトレーニングを構成する複数のイベントの各々において、ユーザの運動状態を評価する。詳しくは、各イベントでは、ユーザが身体に装着して用いる装着型装置30により、運動を行っているユーザの移動速度や移動距離といった実施状況や体の動きを表す運動指標が取得され、当該運動指標が端末装置20を経由してサーバ10に送信され、サーバ10において、運動指標に基づいてユーザの運動状態の評価が導出される。運動状態の評価結果は、サーバ10から端末装置20に送信されて、ユーザに提示される。このように、イベントトレーニングを構成する各イベントは、オンラインで(本実施形態では、ネットワークNを介して)実行される。
【0014】
イベントトレーニングを構成する複数のイベントのうちの最初のイベント(第1イベント)では、ユーザが第1の運動を行っているときのユーザの第1運動状態が評価され、上記の最初のイベントの後に実行される少なくとも1つのイベント(第2イベント)では、ユーザが第2の運動を行っているときのユーザの運動状態であって、第1運動状態とは異なる第2運動状態が評価される。第1の運動及び第2の運動は、例えば歩行又は走行である。本実施形態では、第1の運動及び第2の運動がいずれもランニング(走行)である場合を例に挙げて説明する。なお、第1の運動及び第2の運動は、互いに異なる運動であってもよい。また、運動が歩行又は走行である場合の、評価の対象となる運動状態は、例えば、ユーザの動作の左右対称性、ユーザの姿勢、及びユーザの接地状態に関連する事項の少なくとも1つを含む。ここで、接地とは、ユーザの足(足の裏)が地面に接することをいう。
【0015】
本実施形態の運動支援システム1は、異なる複数のユーザが使用する複数の端末装置20及び複数の装着型装置30を備える。イベントトレーニングを構成する複数のイベントの各々には、これらの複数のユーザのうちの少なくとも一部であって2人以上のユーザ(以下、「参加ユーザ」と記す)が参加し、各イベントでは、参加ユーザの運動状態が相対的に評価される。本実施形態では、各イベントにおいて、参加ユーザの運動状態の評価値に基づいて参加ユーザのランキングが生成され、各ユーザには、運動状態の評価結果として、ランキングにおける順位が提示される。詳しくは、複数のイベントのうちの或るイベント(第1イベント)では、第1の運動を行っている参加ユーザの各々の第1運動状態が相対的に評価されて順位が提示され、上記の或るイベントとは異なる少なくとも1つのイベント(第2イベント)では、第2の運動を行っている参加ユーザの各々の第2運動状態が相対的に評価されて順位が提示される。ユーザは、イベントトレーニングを構成する複数のイベントの各々において、順位が高くなるように(評価指標となる運動状態の評価値が高くなるように)ランニングを行うことで、ランニングに係るスキルを効率的かつ総合的に高めることができる。また、ユーザは、各イベントにおいて、2回以上のランニングを行って、そのそれぞれについて順位を確認することもできる。これにより、順位の変動を参考にして自身の走り方を改善することができる。
【0016】
装着型装置30は、ユーザの身体(例えば、腰部)に装着されて用いられるウェアラブル端末である。装着型装置30は、自装置の動きを検出するセンサ部34(
図4参照)を備え、センサ部34の検出結果に基づいて、装着型装置30を装着したユーザの体の動きに係る種々の運動指標の指標値を導出する。また、装着型装置30は、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部35(
図4参照)を備え、位置情報取得部35が取得した位置情報に基づいて、装着型装置30を装着したユーザの移動距離や移動速度などを導出する。装着型装置30は、無線通信(例えば、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信)により端末装置20との間でデータの送受信が可能であり、ユーザの運動指標、移動距離及び移動速度などに係るデータを端末装置20に送信する。
【0017】
端末装置20は、ユーザにより主に携帯されて用いられる機器であり、例えばスマートフォンである。端末装置20には、ユーザの運動を支援するサービスをユーザに提供するためのアプリケーションプログラム(以下、「運動アプリ231」(
図3参照)と記す)がインストールされている。端末装置20は、運動アプリ231が実行されている状態において(すなわち、運動アプリ231上で)、運動に係る運動指標のデータを装着型装置30から受信し、当該運動指標に係る情報や、当該運動指標から導出される運動状態に係る情報を表示部24(
図3参照)に表示する。また、端末装置20は、受信した運動指標のデータをサーバ10に送信し、サーバ10による運動状態の評価結果(例えば、上述のランキングにおける順位)のデータを受信して表示部24に表示する。
なお、端末装置20はスマートフォンに限られず、スマートウォッチなどの、ユーザの身体に装着して用いる機器であってもよい。また、端末装置20は、運動時にユーザが携帯可能な機器に限られず、運動後にサーバ10及び装着型装置30との間で情報の送受信が行われるものであってもよい。例えば、端末装置20は、タブレット型端末やノートPCなどであってもよく、デスクトップPCといった据置型端末であってもよい。
【0018】
サーバ10は、端末装置20からユーザの運動に係る運動指標のデータを受信して記録する。また、サーバ10は、記録された情報に基づいてユーザの運動状態の評価(例えば、上述のランキングにおける順位)を導出し、評価結果のデータを端末装置20に送信する。なお、端末装置20はサーバ10とは物理的に同一のもので構成されてもよい。
【0019】
<サーバの構成>
図2は、サーバ10の機能構成を示すブロック図である。
サーバ10は、CPU11(Central Processing Unit)と、RAM12(Random Access Memory)と、記憶部13と、通信部14と、バス15などを備える。サーバ10の各部は、バス15を介して接続されている。なお、サーバ10は、サーバ10の管理者により使用される操作部や表示部などをさらに備えていてもよい。
【0020】
CPU11は、記憶部13に記憶されているプログラム131を読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、サーバ10の各部の動作を制御するプロセッサである。本実施形態では、CPU11が「コンピュータ」(又は、「処理部」)に相当する。なお、「コンピュータ」は、複数のプロセッサ(例えば複数のCPU)を有していてもよく、本実施形態のCPU11が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合には、複数のプロセッサが「コンピュータ」に相当する。この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
【0021】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0022】
記憶部13は、コンピュータとしてのCPU11により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、プログラム131及び各種データを記憶する。記憶部13は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。プログラム131は、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部13に格納されている。記憶部13には、イベントリストデータ132、イベント管理データ133、及びランキングデータ134などが記憶されている。イベントリストデータ132、イベント管理データ133、及びランキングデータ134は、上述のイベントトレーニングが実行される際に用いられるデータであり、その具体的な内容については後述する。
【0023】
通信部14は、予め定められた通信規格に従った通信動作を行う。通信部14は、この通信動作により、ネットワークNを介して端末装置20との間でデータの送受信を行う。
【0024】
<端末装置の構成>
図3は、端末装置20の機能構成を示すブロック図である。
端末装置20は、CPU21と、RAM22と、記憶部23と、表示部24と、操作部25と、通信部26と、バス27などを備える。端末装置20の各部は、バス27を介して接続されている。
【0025】
CPU21は、記憶部23に記憶されている運動アプリ231等のプログラムを読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、端末装置20の各部の動作を制御するプロセッサである。なお、端末装置20は、複数のプロセッサ(例えば複数のCPU)を有していてもよく、本実施形態のCPU21が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
【0026】
RAM22は、CPU21に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0027】
記憶部23は、コンピュータとしてのCPU21により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、運動アプリ231等のプログラム及び各種データを記憶する。記憶部23は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。プログラムは、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部23に格納されている。
【0028】
表示部24は、CPU21による制御下で、運動アプリ231の操作画面、及び上述のイベントの実行状況やランキングにおける順位などの各種情報を表示する。表示部24としては、例えば、ドットマトリクス方式で表示を行う液晶表示装置を用いることができるが、これに限られない。
【0029】
操作部25は、ユーザの入力操作を受け付けて、入力操作に応じた入力信号をCPU21に出力する。操作部25は、表示部24の表示画面に重ねられて設けられたタッチパネルを備え、このタッチパネルによりユーザの指などの接触を入力操作として検知する。また、操作部25は、タッチパネルとともに、又はタッチパネルに代えて、ハードウェアボタンを備えていてもよく、このハードウェアボタンにより入力操作を受け付け可能であってもよい。
【0030】
通信部26は、予め定められた通信規格に従った通信動作を行う。通信部26は、この通信動作により、ネットワークNを介してサーバ10との間でデータの送受信を行う。また、通信部26は、装着型装置30との間で無線通信(本実施形態では、近距離無線通信としてのブルートゥース)によるデータの送受信を行う。
【0031】
<装着型装置の構成>
図4は、装着型装置30の機能構成を示すブロック図である。
装着型装置30は、CPU31と、RAM32と、記憶部33と、センサ部34と、位置情報取得部35と、通信部36と、バス37などを備える。装着型装置30の各部は、バス37を介して接続されている。
【0032】
CPU31は、記憶部33に記憶されているプログラム331を読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、装着型装置30の各部の動作を制御するプロセッサである。なお、装着型装置30は、複数のプロセッサ(例えば複数のCPU)を有していてもよく、本実施形態のCPU31が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
【0033】
RAM32は、CPU31に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0034】
記憶部33は、コンピュータとしてのCPU31により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、プログラム331及び各種データを記憶する。記憶部33は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。プログラム331は、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部33に格納されている。
【0035】
センサ部34は、装着型装置30の運動状態を検出するためのセンサとして、例えば、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ、及び3軸地磁気センサを備える。3軸加速度センサは、ユーザの運動に応じて装着型装置30に加わる各軸方向の加速度を所定のサンプリング周波数で検出し、検出結果として加速度データをCPU31に出力する。3軸ジャイロセンサは、ユーザの運動に応じて装着型装置30に加わる各軸回りの角速度を所定のサンプリング周波数で検出し、検出結果として角速度データをCPU31に出力する。3軸地磁気センサは、装着型装置30を通る地磁気の大きさを所定のサンプリング周波数で検出し、検出結果として地磁気データをCPU31に出力する。3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ及び3軸地磁気センサから出力されるデータは、互いに直交する3軸についての各信号成分を含む。センサ部34は、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ及び3軸地磁気センサから出力されたアナログ信号をそれぞれ増幅する図示略のアンプと、増幅されたアナログ信号をデジタルデータに変換してCPU31に出力する図示略のADコンバータとを備える。なお、センサ部34は、装着型装置30の運動状態を検出可能なものであればよく、3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ、及び3軸地磁気センサを備えた構成に限られない。
【0036】
位置情報取得部35は、GPS(Global Positioning System)等の全地球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の測位衛星からの送信電波を受信及び復号して現在位置を算出する。位置情報取得部35は、CPU31による制御下で現在位置を算出し、結果をCPU31に出力する。
なお、位置情報取得部35による現在位置の算出方法は、測位衛星からの送信電波を用いる方法に限られず、例えば所定位置に設置されたビーコンからの信号に基づいてビーコンとの位置関係を特定する方法などであってもよい。
なお、位置情報取得部35と同様の機能を有する位置情報取得部を端末装置20に設けてもよく、この端末装置20がユーザに携帯されて用いられている場合には、端末装置20の位置情報取得部が現在位置を算出してもよい。
【0037】
通信部36は、予め定められた通信規格に従った通信動作を行う。通信部36は、この通信動作により、端末装置20との間で無線通信(本実施形態では、近距離無線通信としてのブルートゥース)によるデータの送受信を行う。
【0038】
装着型装置30は、上述の構成の他に、例えばユーザによる運動の開始及び終了の指示(申告)を受け付けるための操作部などを備えていてもよい。
【0039】
<運動支援システムの動作>
次に、運動支援システム1の動作について、イベントトレーニングの実行に係る動作を中心に説明する。
運動支援システム1では、端末装置20の運動アプリ231上で、ユーザからイベントトレーニングへの参加要求がなされると、イベントトレーニングに組み込む複数のイベントが選択されて、イベントリストデータ132が生成される。
【0040】
図5は、イベントリストデータ132の内容例を示す図である。
イベントリストデータ132の1つのデータ行は、イベントトレーニングを構成する1つのイベントに対応する。イベントリストデータ132は、「イベントNo.」、「イベントID」及び「評価対象の運動状態」のデータ項目を有する。このうち「評価対象の運動状態」のデータ項目は、さらに「運動状態の種別」、「距離」及び「ペースP」のサブデータ項目を有する。
【0041】
「イベントNo.」は、イベントトレーニングにおいてそのデータ行のイベントを実行する順番を表す。
図5に例示するイベントリストデータ132では、「イベントNo.」が「1」から「7」までの計7つのイベントによりイベントトレーニングが構成されている。
「イベントID」は、各イベントに割り振られた固有の符号であり、後述するイベント管理データ133の「イベントID」における符号と共通のものが用いられる。
【0042】
「評価対象の運動状態」は、そのデータ行のイベントにおいて評価対象となる運動状態の条件を表す(以下では、「評価対象の運動条件」を「評価条件」とも記す)。
詳しくは、「評価対象の運動状態」のうちの「運動状態の種別」は、そのイベントにおいて評価対象となる運動状態の種別を表す。
図5に例示するイベントリストデータ132では、「イベントNo.」が「1」から「7」までのイベントにおいて、それぞれ「左右対称性」、「姿勢の安定性」、「負担の少ない接地」、「スムーズな重心移動」、「全身の連動性」、「動きの力強さ」及び「ランニングエコノミー」が運動状態として設定されている。
「評価対象の運動状態」のうちの「距離」は、評価の対象となるランニングの距離の設定を表す。
図5に示す例では、各イベントにおいて距離は設定されておらず、任意となっている。「距離」のサブデータ項目において距離が設定されている場合には、設定された距離を走ったときの運動状態が評価の対象となり、走った距離が設定された距離未満である場合の運動状態は評価の対象とならない。
「評価対象の運動状態」のうちの「ペースP」は、評価の対象となるランニングのペースの範囲の設定を表す。
図5に示す例では、各イベントにおいてペースは設定されておらず、任意となっている。「ペースP」のサブデータ項目においてペースが設定されている場合には、平均ペースが指定範囲内に入っているランニングにおける運動状態が評価の対象となり、平均ペースが指定範囲内に入っていないランニングにおける運動状態は評価の対象とならない。ここで、平均ペースは、ランニングの開始から終了までの経過時間(min)を、移動距離(km)で除した値である。なお、言うまでもないがペースは速度で代用することも可能である。
【0043】
イベントリストデータ132は、イベントトレーニングを構成する複数のイベントのうち最初のイベント(第1イベント)における評価対象の運動状態(第1運動状態。
図5の例では「左右対称性」)と、当該最初のイベントの後に行われる少なくとも1つの他のイベント(第2イベント)における評価対象の運動状態(第2運動状態。例えば、
図5における2番目のイベントが「第2イベント」である場合には「姿勢の安定性」)とが互いに異なるように、複数のイベントが選択される。
ここで、2つのイベントにおいて評価対象の運動状態が互いに異なるとは、イベントリストデータ132における「運動状態の種別」、「距離」及び「ペースP」のサブデータ項目の組み合わせが互いに異なることをいう。よって、2つのイベントにおいて、「運動状態の種別」の内容が同一であっても、「距離」及び「ペースP」のうち少なくとも一方の内容が互いに異なる場合には、評価対象の運動状態が互いに異なるものとする。
【0044】
ここで、評価対象の運動状態、及び当該運動状態の評価に用いられる運動指標について説明する。
本実施形態で評価対象となる運動状態には、「左右対称性」、「姿勢の安定性」、「負担の少ない接地」、「スムーズな重心移動」、「全身の連動性」、「動きの力強さ」、及び「ランニングエコノミー」がある。このうち「左右対称性」は「対象の動作の左右対称性」に相当し、「姿勢の安定性」、「スムーズな重心移動」、「動きの力強さ」は「対象の姿勢」に相当し、「負担の少ない接地」は「対象の接地状態」に相当し、「ランニングエコノミー」は「対象の動作の左右対称性」、「対象の姿勢」及び「対象の接地状態」に相当する。
【0045】
また、これらの運動状態の評価に用いられる運動指標には、「ピッチ」、「ストライド」、「ストライド身長比」、「接地時間」、「接地時間率」、「初期接地位置」、「着地衝撃」、「足首の回旋方向」、「足首の回旋角度」、「足首の回旋角速度」、「膝の回旋方向」、「膝の回旋角度」、「膝の回旋角速度」、「上下動」、「上下動身長比」、「沈み込み」、「左右動」、「左右方向衝撃」、「前後動」、「力積」、「推進の大きさ」、「推進の方向」、「推進のタイミング」、「ブレーキの大きさ」、「ブレーキの方向」、「遊脚の振り戻し時間」、「遊脚の振出し時間」、「乗り込み時間」、「体幹の後傾」、「体幹の前傾」、「骨盤の左右傾き」、「骨盤の引き上げ」、「骨盤の回転」、「骨盤の各軸における回転角度」、「骨盤回転タイミング」、「蹴りだし時間」、「蹴りだし加速度」、「減速量」、「スティフネス」、「腕振りの大きさ」、「腕振りの方向」、「腕振りのタイミング」、「頭部の傾き」、「頭部の左右動」及び「頭部の前後動」などがあげられる。
【0046】
以下に、評価対象となる各運動状態について説明する。
「左右対称性」は、身体の左右で特徴に差がなく、左右に均整の取れた走りができているかを表し、ユーザの身体への負担を表す運動状態の1つである。「左右対称性」は、例えば、運動指標のうちの「ピッチ」、「ストライド」、「スティフネス」、「左右方向衝撃」、及び「左右動」など主に左右脚ごとに算出される項目、左右腕毎に算出される項目の少なくとも1つ、もしくは複数にわたる運動状態に基づいて周知の所定のアルゴリズムにより導出される。
「姿勢の安定性」は、骨盤の不安定な動きがないかを表し、ユーザの身体(筋や関節)への負担を表す運動状態の1つである。「姿勢の安定性」は、例えば、運動指標のうちの「体幹の後傾」、「骨盤の左右傾き」、及び「左右方向衝撃」の少なくとも1つ基づいて周知の所定のアルゴリズムにより導出される。
「負担の少ない接地」は、足の接地に伴う衝撃による負担を抑えるために、脚や腰にかかる力を小さく保てているかを表し、ユーザの身体への負担を表す運動状態の1つである。「負担の少ない接地」は、例えば、運動指標のうちの「着地衝撃」、「初期接地位置」、「上下動」、「沈み込み」、「蹴りだし加速度」、「接地時間」、「接地時間率」、及び「乗り込み時間」の少なくとも1つ基づいて所定のアルゴリズムにより導出される。
「スムーズな重心移動」は、効率よく前に進むために、左右ブレやブレーキを小さく抑えられているかを表し、効率的な重心移動に関わる運動状態の1つである。「スムーズな重心移動」は、例えば、運動指標のうちの「減速量」、「左右方向衝撃」、「乗り込み時間」、「左右動」、「ブレーキの大きさ」、及び「ブレーキの方向」の少なくとも1つ基づいて周知の所定のアルゴリズムにより導出される。
「全身の連動性」は、身体の各部位をバランスよく使うための動きができているかを表し、パフォーマンス向上に繋がる重要な動きを表す運動状態の1つである。「全身の連動性」は、例えば、運動指標のうちの「沈み込み」、「骨盤回転タイミング」、「蹴りだし時間」、「遊脚の振り戻し時間」、「遊脚の振出し時間」、及び「乗り込み時間」の少なくとも1つに基づいて周知の所定のアルゴリズムにより導出される。
「動きの力強さ」は、ストライドを伸ばして力強い走りをするための動きができているかを表し、パフォーマンス向上に繋がる重要な動きを表す運動状態の1つである。「動きの力強さ」は、例えば、運動指標のうちの「ストライド身長比」、「骨盤の引き上げ」、「骨盤の回転(骨盤の各軸における回転角度)」、「遊脚の振り戻し時間」、及び「遊脚の振出し時間」の少なくとも1つ基づいて所定のアルゴリズムにより導出される。
「ランニングエコノミー」は、いかに無駄な動きなく走速度を獲得できるかを表し、パフォーマンス向上と身体負荷低減につながる重要な運動状態の1つである。「ランニングエコノミー」は、例えば、運動指標のうち「ピッチ」、「ストライド身長比」、「上下動身長比」、「ブレーキの大きさ」及び「力積」の少なくとも1つ基づいて周知の所定のアルゴリズムにより導出される。
評価対象となる上記の運動状態の評価値は、例えば、最低点から最高点まで(たとえば0点から100点まで」の点数域内の点数により表される。
評価対象の運動状態として、上記の運動状態を総合した「総合スコア」が用いられてもよい。「総合スコア」は、上記の運動状態の点数を単に平均したものであってもよいし、各運動状態の点数を所定の重み付けで加算する方法等により導出したものであってもよい。
なお、上記は評価対象となる運動状態の一例であり、これらに限られない。
【0047】
以下に、運動状態の評価に用いられる各運動指標について説明する。これらの運動指標の値は、装着型装置30のセンサ部34による検出結果を各種公知の加工方法で加工することにより導出される。
「ピッチ」は、1分間あたりの歩数である。また、同じペースにおいては数値が大きいほど、小刻みなリズムで走っていることを表し、足の回転が速いことを意味する。
「ストライド」は、接地から次の接地までの1歩で進む距離である。数値が大きいほど、1歩あたりの進む距離が大きいことを表す。「ストライド」は、走行速度を重視する場合においては一般的には大きいとよい運動指標であるが、大きすぎるストライドは接地期における衝撃やブレーキが大きくなり、からだへの負担が大きくなることも知られておりランニングの目的やスキルにより目指す値や最適範囲が異なる指標である。
「ストライド身長比」は、ストライドを身長比で示した数値である。身長比を用いることで、脚長がストライドの大きさに与える影響を抑えることができ、他者との比較が容易となる利点がある。
「接地時間」は、接地してから蹴り出して足が地面から離れるまでの時間である。
「接地時間率」は、接地時間を、1周期(或る脚の接地から次の接地までの時間)における割合で示した値である。
「初期接地位置」は、接地した際に足の裏のどの部分が初期にコンタクトしたかを示したもので、つま先、かかと、足裏全体に大別され、衝撃の吸収度合いや筋肉や腱、関節への負担、地面反力の利活用度が異なるとされている。
「着地衝撃」は、接地の直後に身体にかかる衝撃の大きさである。一般的に、数値が大きいほど脚や膝、身体への負担が大きいことを表す。「着地衝撃」は、小さいとよい運動指標である。
「足首の回旋方向」、「足首の回旋角度」、「足首の回旋角速度」は離地から接地までの期間において、進行方向に対して足の親指側から入るか、小指側から入るかの回旋動作における、それぞれの方向、回旋動作の角度、角速度を示すもので、過度な回旋動作は関節部への負担が大きいとされている。
「膝の回旋方向」、「膝の回旋角度」、「膝の回旋角速度」は、それぞれ、膝の回旋動作の方向、回旋動作の角度、角速度を表す。
「上下動」は、1周期における身体重心もしくは腰の位置の最高点と最低点との差の大きさを表す。数値が大きいほど、大きく沈み、跳ねるような走りになっていることを表す。一般的には値が小さいと身体重心の移動が効率的であるとされる運動指標であるが、「沈み込み」が過度に大きい場合にも値が小さくなり、滞空期におけるストライドへの寄与が期待できないため走行速度を大きくしづらくなる。
「上下動身長比」は、上下動を身長比で示した数値である。身長比を用いることで、身体の大きさに与える影響を抑えることができ、他者との比較が容易となる利点がある。
「沈み込み」は、接地時点から、主に膝が屈曲し身体重心もしくは腰の位置が最も下がる時点までの高さの変動幅を表す。数値が大きいほど深く沈み込んでいることを表し、身長を100%とした比率で表されてもよい。接地期において必要以上に深く沈みこんだ場合には遊脚期においてその分身体重心を持ち上げる動作が必要となり、これは推進に寄与しない動きであることから「沈み込み」は、一般的には小さいとよい運動指標である。一方で、過度に小さい場合には骨盤や膝、足首の屈曲がなされていないことから身体への負担が各関節での吸収を得ることが出来ないため身体への負担は大きくなる。
「左右動」は、1周期における身体重心もしくは腰の位置の左右方向についての振れ幅の大きさを表す。
「左右方向衝撃」は、身体の左右方向にかかる衝撃の大きさを表す。一般的に、数値が大きいほど、左右方向の不安定性が大きい走りになっていることを表す。「左右方向衝撃」は、小さいとよい運動指標である。
「前後動」は、1周期における身体重心もしくは腰の位置の前後方向についての振れ幅の大きさを表す。
「力積」は、センサ部34の加速度センサの検出値を1周期に亘って積分した値により、走行の力学的効率を指標化したものである。例えば、個人間において同じ走行速度を維持する際には力積が小さいほうが効率的な身体動作による走行速度を得ることが出来ていることを示す。
「推進の大きさ」は、接地期間における加速度センサの検出値のうち前方に向く成分を1周期に亘って積分した値により、前方への推進力を指標化したものである。
「推進の方向」は、蹴り出しによる推進力が向く方向であり、例えば接地期間のうち加速度が推進方向成分を有している期間における、加速度ベクトルの平均の方向である。
「推進のタイミング」は、接地後に加速度がブレーキ方向から推進方向に切り替わるタイミングである。
「ブレーキの大きさ」は、接地期間における加速度センサの検出値のうち後方に向く成分を1周期に亘って積分した値により、後方へのブレーキ力の大きさを指標化したものである。
「ブレーキの方向」は、接地期間におけるブレーキ力が向く方向であり、例えば接地期間のうち加速度がブレーキ方向成分を有している期間における、加速度ベクトルの平均の方向である。
「遊脚の振り戻し時間」は、遊脚期(接地していない期間)にある足(遊脚)が後方へ振り戻される期間の長さを表す。
「遊脚の振出し時間」は、遊脚期にある足が前方へ振り出される期間の長さを表す。
「乗り込み時間」は、接地してから接地足に重心が乗るまでの期間の長さを表す。接地のタイミングと、上記の「推進のタイミング」(加速度がブレーキ方向から推進方向に切り替わったタイミング)との間の期間の時間として算出することができる。
「体幹の後傾」は、接地中に骨盤を中心とした体幹が進行方向に対して逆方向へのけぞるような動きを表し、数値が大きいほど、体幹の姿勢が不安定になっていることを表す。「体幹の後傾」は、小さいとよいとされる運動指標である。
「体幹の前傾」は接地中に骨盤を中心とした体幹が進行方向に対して順方向に傾く動きを表し、適度な数値であると接地期における身体の重心移動がスムーズに行われることと相関する運動指標である。
「骨盤の左右傾き」は、接地した際に接地している脚と反対側の骨盤が傾いて下がる動きを表す。また、数値が大きいほど、接地中の骨盤が不安定な姿勢になっていることを表す。「骨盤の左右傾き」は、小さいとよい運動指標である。
「骨盤の引き上げ」は、接地から蹴りだしにかけて、遊脚側に下がった骨盤を引き戻す動きを表す。
「骨盤の回転」は、骨盤をローテーションさせる動きを表す。また、数値が大きいほど、骨盤を大きく回した力強い走りになっていることを表す。「骨盤の回転」は、大きいとよい運動指標である。
「骨盤の各軸における回転角度」は、骨盤のヨー、ロール及びピッチングに相当する各回転角度を表す。
「骨盤回転タイミング」は、接地の瞬間と、骨盤を回転させるタイミングのギャップを表す。
「蹴りだし時間」は、接地後に身体が沈み込んでから足が離れるまでの時間である。数値が大きいほど、1歩ごとのキックに時間がかかった走りになっていることを表す。「蹴りだし時間」は、小さいとよい運動指標である。
「蹴りだし加速度」は、地面を蹴りだす加速度の大きさである。一般的に、数値が大きいほど、強い力で地面をキックしていることを表す。「蹴りだし加速度」は、同じ走行速度を維持するという条件下においては小さいとよい運動指標である。
「減速量」は、接地後のブレーキの大きさを表す。一般的に、数値が大きいほど、1歩ごとのブレーキが大きい走りになっていることを表す。「減速量」は、小さいとよい運動指標である。
「スティフネス」は、脚全体を「バネ」と見立てたときのバネの硬さを表す。一般的に、数値が大きいほど、接地後の沈み込みが小さく、短い接地時間で地面を蹴り出す「硬いバネ」のような走りになっていることを表す。
「腕振りの大きさ」は、歩行もしくは走行動作の1周期における肩を中心とした腕の回転角度範囲の大きさを表す。
「腕振りの方向」は、歩行もしくは走行動作の1周期において腕を前から後ろもしくは後ろから前へ振る際に進行方向に対してのなす角で表される。
「腕振りのタイミング」は歩行もしくは走行動作の1周期において腕を前から後ろ、もしくは後ろから前へ切り替わる時間をもとに、脚が接地する時間的タイミングのずれが一定であるかを示す。
「頭部の傾き」は、歩行もしくは走行動作の1周期における頭部の軸(例えば、首及び頭頂部を通る軸)の平均方向の、鉛直方向との偏差の大きさを表す。
「頭部の左右動」は、1周期における頭部の位置の左右方向についての振れ幅の大きさを表す。
「頭部の前後動」は、1周期における頭部の位置の前後方向についての振れ幅の大きさを表す。
なお、上記は運動指標の一例であり、指標名が異なっていても実態としては同意の定義であったり、指標名が同じであっても定義が異なる場合も多く、これらに限られない。また、いずれかの運動指標そのものを評価対象の運動状態としてもよい。
【0048】
図5のイベントリストデータ132に登録されるイベント(イベントトレーニングに組み込まれるイベント)は、運動支援システム1がイベント管理データ133において管理している全てのイベントの中から選択される。
【0049】
図6は、イベント管理データ133の内容例を示す図である。
イベント管理データ133には、運動支援システム1において実行されている複数のイベントに係る情報が記録されている。イベント管理データ133には、過去に実行されて現在は実行されていないイベントや、未だ実行されていないイベントに係る情報が含まれていてもよい。イベント管理データ133の1つのデータ行は、1つのイベントに対応する。イベント管理データ133は、「イベントID」、「評価対象の運動状態」、及び「参加ユーザ」データ項目を有する。このうち「評価対象の運動状態」のデータ項目は、さらに「運動状態の種別」、「距離」及び「ペース」のサブデータ項目を有する。
【0050】
「イベントID」は、各イベントに割り振られた固有の符号である。
「評価対象の運動状態」に含まれる「運動状態の種別」、「距離」及び「ペース」の各サブデータ項目が表す内容は、
図5のイベント管理データ133におけるサブデータ項目と同一である。
「参加ユーザ」は、そのデータ行のイベントに登録されている(参加している)ユーザのユーザIDを表す。本実施形態では、各イベントにおいて、必ずしも全ての参加ユーザが一斉に登録されるわけではなく、また、全ての参加ユーザが一斉に登録を解除されるわけではない。イベントリストデータ132に従って、或るイベントに参加することとなったユーザは、その時点で当該或るイベントに参加し、そのユーザについてのイベントにおける運動状態の評価が完了した時点で登録を解除される。すなわち、イベントへの参加時点、及びイベントの終了時点は、通常、ユーザごとに異なる。よって、イベントへの参加ユーザの数は、必ずしも一定でなく、随時変化してもよい。
ただし、或るイベントに、全ての参加ユーザが同時に登録されてもよいし、全ての参加ユーザの登録が同時に解除されてもよい。言い換えると、或るイベントの全ての参加ユーザについて、イベントへの参加時点、及びイベントの終了時点が同一であってもよい。また、この参加ユーザの全員が、同一のイベントトレーニングの全てのイベントに参加することとしてもよい。
【0051】
図5に示すイベントリストデータ132における各イベントは、
図6に示すイベント管理データ133から、所定の規則に従って選択される。
図5に示す例では、複数のイベントにおける評価対象の運動状態が、「1.ユーザの身体への負担を表す運動状態」(「左右対称性」、「姿勢の安定性」、「負担の少ない接地」)、「2.効率的な重心移動に関わる運動状態」(「スムーズな重心移動」)、「3.パフォーマンス向上に繋がる重要な動きを表す運動状態」(「全身の連動性」、「動きの力強さ」、「ランニングエコノミー」)の順となるように選択されている。特に、イベントリストデータ132における先頭のイベント(第1イベント)における評価対象の運動状態が、運動によるユーザの身体への負担を表す運動状態となっている。なお、「ランニングエコノミー」は、身体の負荷の低減にも繋がる運動状態であるため、「1.ユーザの身体への負担を表す運動状態」に含めてもよい。すなわち、「ランニングエコノミー」を評価対象の運動状態とするイベントを、「スムーズな重心移動」を評価対象とするイベントよりも前に実行してもよい。
このような順でイベントを行うことで、身体への負担を軽減するスキルを優先して向上させることができるため、体の負担が少なく、怪我をしにくい状態で残りのイベントを行うことができる。また、結果的にイベント期間を長くすることが可能となるため、効果的に運動に係るスキルを向上させることができる。
【0052】
図5に示すイベントリストデータ132が生成されると、当該イベントリストデータ132の「イベントNo.」に示されている順序でイベント(ここでは、7つのイベント)が順番に実行される。各イベントでは、当該イベントの評価対象の運動状態(評価条件)が端末装置20を介してユーザに提示され、ユーザは、装着型装置30を装着した状態で、評価条件に合う運動を行う。運動中に装着型装置30により取得された運動指標は、端末装置20を経由してサーバ10に送信される。運動が終了すると、サーバ10において、ユーザの運動状態の評価値(スコア)が導出される。また、当該イベントの全ての参加ユーザの評価値に基づいて、参加ユーザのランキングデータ134が生成される。
【0053】
図7は、ランキングデータ134の内容例を示す図である。
ランキングデータ134には、対応するイベントにおける参加ユーザの、運動状態の評価値に基づくランキングの情報が記録されている。ランキングデータ134は、イベント管理データ133において管理されているイベントごとに生成される。また、ランキングデータ134は、例えば、対応するイベントのいずれかの参加ユーザの評価値が生成又は更新されたタイミングで更新される。ランキングデータ134は、「順位」、「ユーザID」及び「運動状態の評価値」のデータ項目を有する。
「順位」は、そのデータ行のユーザの、参加ユーザ中の順位を表す。
「ユーザID」は、各ユーザに割り振られた固有の符号であり、
図6のイベント管理データ133における「参加ユーザ」に用いられているものと同一の符号が用いられる。
「運動状態の評価値」は、そのデータ行のユーザが行った運動における運動指標に基づいて導出された、評価対象の運動状態の評価値を表す。ランキングデータ134は、この評価値が降順となるように参加ユーザがソートされたものである。
【0054】
ランキングデータ134が生成されると、ユーザに対して端末装置20を介してランキングにおける順位が提示される。例えば、
図7におけるユーザIDが「U0001」のユーザに対しては、順位が「121位」であることが提示される。順位の提示は、例えば、端末装置20の表示部24における画面表示、及び、端末装置20に設けられた図示しない音声出力部による音声の出力、の少なくとも一方により行われる。
【0055】
各イベントにおいて、或るユーザが、少なくとも1回、運動状態の評価を受けた場合(すなわち、ランキングにおける順位が導出された場合)には、そのイベントについてのイベント終了可能条件が満たされ、当該ユーザは、イベントトレーニングのイベントリストにおける次のイベントに進むことができる。なお、イベント終了可能条件には、少なくとも1回、運動状態の評価を受けること以外の追加の条件が含まれていてもよい。追加の条件としては、例えば、イベントの開始から所定期間が経過したこと、又は、運動状態の評価が所定の基準以上となったこと(ランキングにおける順位が或る基準順位以上となったこと)などが挙げられる。イベント終了可能条件に含める追加の条件は、イベントごとに、あるいはユーザごとに別個に定められてもよい。
【0056】
あるいは、イベント終了可能条件が満たされたときに次のイベントに進むか否かを、ユーザが決定できるようになっていてもよい。また、次のイベントに進まない場合に、再度、評価条件に沿った運動を行って(以下、運動の「リトライ」と記す)、運動状態の評価を受けることが可能であってもよい。運動のリトライを行うたびに、最新の運動の運動状態に応じた順位が導出されてユーザに提示される。
イベントリストデータ132に含まれる全てのイベントが終了すると、イベントトレーニングが終了する。
【0057】
<イベントトレーニングの実行に係る処理>
次に、上述のイベントトレーニングを実行するためにサーバ10のCPU11、端末装置20のCPU21、及び装着型装置30のCPU31が行う処理の制御手順について、
図8~
図11のフローチャートを参照して説明する。
【0058】
図8は、イベントトレーニング実行処理の制御手順を示すフローチャートである。
イベントトレーニング実行処理は、サーバ10のCPU11により実行される。
【0059】
イベントトレーニング実行処理が開始されると、CPU11は、端末装置20から、ユーザによるイベントトレーニングへの参加要求が送信されたか否かを判別する(ステップS101)。イベントトレーニングへの参加要求は、例えば、端末装置20の運動アプリ231上でユーザがイベントトレーニングへの参加を要求するための所定の操作を行った場合に端末装置20からサーバ10に送信される。イベントトレーニングへの参加要求が送信されていないと判別された場合には(ステップS101で“NO”)、CPU11は、再度ステップS101の処理を実行する。
【0060】
イベントトレーニングへの参加要求が送信されたと判別された場合には(ステップS101で“YES”)、CPU11は、イベント管理データ133において管理されているイベントから、イベントトレーニングに組み込むイベントを選択して、イベントリストデータ132を生成する(ステップS102)。また、CPU11は、変数Nに、生成したイベントリストデータ132におけるイベント数を代入し、変数nに「1」を代入する(ステップS103)。
【0061】
CPU11は、イベントリストデータ132を参照して、n番目のイベントの評価条件(
図5のイベントリストデータ132における「運動状態の種別」、「距離」、及び「ペースP」の設定)を取得する(ステップS104)。また、CPU11は、n番目のイベントについて、後述するイベント実行処理を実行する(ステップS105)。
【0062】
イベント実行処理が終了すると、CPU11は、変数nの値が変数Nの値未満であるか否かを判別する(ステップS106)。変数nの値が変数Nの値未満であると判別された場合には(ステップS106で“YES”)、CPU11は、変数nに「n+1」を代入し(ステップS107)、処理をステップS104に戻して次のイベントに関する処理を実行する。
変数nの値が変数Nの値に一致していると判別された場合には(ステップS106で“NO”)、CPU11は、イベントトレーニング実行処理を終了させる。
【0063】
図9は、サーバ10のCPU11によるイベント実行処理の制御手順を示すフローチャートである。
イベント実行処理が呼び出されると、CPU11は、n番目のイベントについて、参加ユーザのリストにユーザを登録する(ステップS201)。すなわち、CPU11は、n番目のイベントについて、イベント管理データ133における「参加ユーザ」のデータ項目に、ユーザのユーザIDを登録する。また、CPU11は、
図8のステップS104において取得したn番目のイベントの評価条件に係るデータを、端末装置20に送信する(ステップS202)。
【0064】
CPU11は、ユーザの運動が終了して、端末装置20から当該運動に係る運動指標、移動距離及びペースのデータを受信したか否かを判別する(ステップS203)。なお、実行中のイベントにおいて、評価条件として距離が設定されていない場合には、移動距離のデータの受信に係る判別は省略することができる。また、実行中のイベントにおいて、評価条件としてペースが設定されていない場合には、ペースのデータの受信に係る判別は省略することができる。運動指標、移動距離及びペースのデータを受信していないと判別された場合には(ステップS203で“NO”)、CPU11は、再度ステップS203の処理を実行する。
【0065】
運動指標、移動距離及びペースのデータを受信したと判別された場合には(ステップS203で“YES”)、CPU11は、ユーザが行った運動の距離及びペースが、イベントにおいて設定されている評価条件を満たすか否かを判別する(ステップS204)。なお、当該イベントにおいて距離及びペースが任意となっている場合には、CPU11は、ステップS204を省略して、処理をステップS205に移行させる。
【0066】
ユーザが行った運動の距離及びペースが、イベントにおいて設定されている評価条件を満たすと判別された場合には(ステップS204で“YES”)、CPU11は、受信した運動指標のデータに基づいて、評価対象の運動状態の評価値を導出する(ステップS205)。また、CPU11は、イベント管理データ133において当該イベントに登録されている全参加ユーザの最新の運動状態の評価値を取得し、参加ユーザを評価値が降順となるようにソートしてランキングデータ134を生成する(ステップS206)。また、CPU11は、ランキングデータ134におけるユーザの順位を示すデータを端末装置20に送信する(ステップS207)。
【0067】
ステップS207が終了した場合、又は、ステップS204において、ユーザが行った運動の距離及びペースが、イベントにおいて設定されている評価条件を満たさないと判別された場合には(ステップS204で“NO”)、CPU11は、実行中の、現在のnに対応するイベントにおいて、ユーザが少なくとも1回、運動状態の評価を受けたか否か(前記イベント終了可能条件を満たすか否か)を判別する(ステップS208)。なお、イベント終了可能条件に、少なくとも1回、運動状態の評価を受けること以外の追加の条件が含まれている場合には、CPU11は、このステップS208において、これらの追加の条件を含めたイベント終了可能条件を満たすか否かを判別する。ユーザが運動状態の評価を1回も受けていない(イベント終了可能条件が満たされていない)と判別された場合には(ステップS208で“NO”)、CPU21は、処理をステップS203に戻す。
【0068】
ユーザが少なくとも1回、運動状態の評価を受けた(イベント終了可能条件を満たす)と判別された場合には(ステップS208で“YES”)、CPU11は、端末装置20から、運動のリトライ要求が送信されたか否かを判別する(ステップS209)。運動のリトライ要求が送信されたと判別された場合には(ステップS209で“YES”)、CPU11は、処理をステップS203に戻す。運動のリトライ要求が送信されず、次のイベントに進むことが決定されたと判別された場合には(ステップS209で“NO”)、CPU11は、n番目のイベントについて、参加ユーザのリストからユーザを削除する(ステップS210)。すなわち、CPU11は、n番目のイベントについて、イベント管理データ133における「参加ユーザ」のデータ項目からユーザのユーザIDを削除する。
ステップS210の処理が終了すると、CPU11は、イベント実行処理を終了させて、処理をイベントトレーニング実行処理のステップS106に移行させる。
【0069】
図10は、端末装置20のCPU21によるイベント実行処理の制御手順を示すフローチャートである。
図10のイベント実行処理は、
図9に示すサーバ10のCPU11によるイベント実行処理と並行して実行される。
【0070】
イベント実行処理が開始されると、CPU21は、
図9のステップS202においてサーバ10から送信された、イベントの評価条件に係るデータを受信し、当該イベントの評価条件を表示部24に表示させる(ステップS301)。
【0071】
CPU21は、ユーザによる運動が開始されたか否かを判別する(ステップS302)。運動が開始されたことは、例えば端末装置20の運動アプリ231上で、運動を開始することを表す所定の操作がユーザによりなされたことに基づいて判別されてもよいし、運動の開始を検出した装着型装置30からの通知を受信したことに基づいて判別されてもよい。運動が開始されていないと判別された場合には(ステップS302で“NO”)、CPU21は、再度ステップS302の処理を実行する。
【0072】
運動が開始されたと判別された場合には(ステップS302で“YES”)、CPU21は、装着型装置30から送信された、運動指標、移動距離及びペースのデータの受信を開始する(ステップS303)。なお、移動距離及びペースのデータを装着型装置30から受信する態様に変えて、装着型装置30から現在位置に係るデータを受信し、現在位置の推移に基づいてCPU21が移動距離及びペースを導出する態様としてもよい。以降、CPU21は、運動が終了するまでに装着型装置30から受信した運動指標、移動距離及びペースのデータをRAM22又は記憶部23に逐次記憶させて蓄積する。
【0073】
CPU21は、ユーザによる運動が完了したか否かを判別する(ステップS304)。運動が完了したことは、例えば端末装置20の運動アプリ231上で、運動が完了したことを表す所定の操作がユーザによりなされたことに基づいて判別されてもよいし、運動の完了を検出した装着型装置30からの通知を受信したことに基づいて判別されてもよい。運動が完了していないと判別された場合には(ステップS304で“NO”)、CPU21は、運動指標のデータの受信を継続しつつ、再度ステップS304の処理を実行する。
【0074】
運動が完了したと判別された場合には(ステップS304で“YES”)、CPU21は、当該運動について装着型装置30から受信した運動指標、移動距離及びペースのデータをサーバ10に送信する(ステップS305)。
【0075】
CPU21は、
図9のステップS207においてサーバ10から送信された、ランキングデータ134におけるユーザの順位を示すデータを受信し、当該順位を表示部24に表示させる(ステップS306)。
【0076】
CPU21は、ユーザが少なくとも1回、運動状態の評価を受けたか否か(前記イベント終了可能条件を満たすか否か)を判別する(ステップS307)。ここでは、CPU21は、ユーザが少なくとも1回、運動状態の評価を受けたか否か(イベント終了可能条件を満たすか否か)を独自に判別してもよいし、サーバ10から、ユーザが少なくとも1回、運動状態の評価を受けたこと(イベント終了可能条件が満たされたこと)を示す通知を受信したか否かに基づいて判別してもよい。ユーザが運動状態の評価を1回も受けていない(イベント終了可能条件が満たされていない)と判別された場合には(ステップS307で“NO”)、CPU21は、処理をステップS302に戻す。
【0077】
ユーザが少なくとも1回、運動状態の評価を受けた(イベント終了可能条件を満たす)と判別された場合には(ステップS307で“YES”)、CPU21は、ユーザによる運動のリトライ要否を選択する操作を受け付ける(ステップS308)。例えば、CPU21は、運動アプリ231上で、運動のリトライを行うか否かを問い合わせるダイアログ画面を表示部24に表示させる。CPU21は、運動のリトライ要求がなされたか否かを判別し(ステップS309)、リトライ要求がなされたと判別された場合には(ステップS309で“YES”)、リトライを要求する信号をサーバ10に送信して(ステップS310)、処理をステップS302に戻す。
運動のリトライ要求がなされず、次のイベントに進むことが決定されたと判別された場合には(ステップS309で“NO”)、CPU21は、イベント実行処理を終了させる。
【0078】
図11は、装着型装置30のCPU31によるイベント実行処理の制御手順を示すフローチャートである。
図11のイベント実行処理は、
図10に示す端末装置20のCPU21によるイベント実行処理と並行して実行される。
【0079】
イベント実行処理が開始されると、CPU31は、ユーザによる運動が開始されたか否かを判別する(ステップS401)。運動が開始されたことは、例えば、装着型装置30に設けられた図示しない操作部に対して、運動の開始を指示(申告)する操作がなされたことに基づいて判別されてもよいし、運動の開始を検出した端末装置20からの通知を受信したことに基づいて判別されてもよい。運動が開始されていないと判別された場合には(ステップS401で“NO”)、CPU31は、再度ステップS401の処理を実行する。
【0080】
運動が開始されたと判別された場合には(ステップS401で“YES”)、CPU31は、センサ部34による検出、及び位置情報取得部35による現在位置の取得を開始させる(ステップS402)。
【0081】
CPU31は、所定のタイミングで、センサ部34の検出結果に基づいて運動指標のデータを生成し、位置情報取得部35が取得した現在位置の推移に基づいて移動距離及びペースのデータを生成する(ステップS403)。また、CPU31は、生成した運動指標、移動距離及びペースのデータを端末装置20に送信する(ステップS404)。
【0082】
CPU31は、ユーザによる運動が完了したか否かを判別する(ステップS405)。運動が完了したことは、例えば、上述の操作部に対して、運動の完了を指示(申告)する操作がなされたことに基づいて判別されてもよいし、運動の完了を検出した端末装置20からの通知を受信したことに基づいて判別されてもよい。運動が完了していないと判別された場合には(ステップS405で“NO”)、CPU31は、処理をステップS403に戻し、運動指標、移動距離及びペースのデータの生成及び送信を継続する。
【0083】
運動が完了したと判別された場合には(ステップS405で“YES”)、CPU31は、次の運動が行われるか否かを判別する(ステップS406)。例えば、CPU31は、運動のリトライ要求がなされたことを示す通知を端末装置20から受信した場合に、次の運動が行われると判別する。CPU31は、次の運動が行われると判別された場合には(ステップS406で“YES”)、処理をステップS401に戻し、次の運動が行われないと判別された場合には(ステップS406で“NO”)、イベント実行処理を終了させる。
【0084】
<変形例>
次に、上記実施形態の変形例について説明する。各変形例では、上記実施形態との相違点について説明し、上記実施形態と共通する点については説明を省略する。
【0085】
(変形例1)
本変形例は、イベントトレーニングに、運動状態の総合スコアを評価するイベントを組み込む点で上記実施形態と異なる。
【0086】
図12は、変形例1に係るイベントリストデータ132の内容例を示す図である。
図12に示すイベントリストデータ132には、
図5に示すイベントリストデータ132と同一のイベントが含まれており、かつ、
図5における先頭のイベント(「イベントID」が「I010」であるイベント:第1イベント)の前に、「評価対象の運動状態」の「運動状態の種別」が「総合スコア」であるイベント(イベントID:「I001」。以下、「総合評価イベント」と記す)が設けられている。また、
図12に示すイベントリストデータ132では、
図5に示すイベントリストデータ132における最後のイベント(「イベントID」が「I159」であるイベント)の後にも、総合評価イベントが設けられている。以下では、総合評価イベント以外のイベントの各々を「通常イベント」と記す。
【0087】
総合評価イベントでは、イベントトレーニングに含まれる複数の通常イベントにおける評価対象の運動状態(
図12に示す例では、「左右対称性」、「姿勢の安定性」、「負担の少ない接地」、「スムーズな重心移動」、「全身の連動性」、「動きの力強さ」、及び「ランニングエコノミー」)が総合的に評価される。総合評価イベントは、複数の通常イベントのうち先頭のイベント(第1イベント)における評価対象の運動状態と、複数の通常イベントのうち先頭以外のいずれかのイベント(第2イベント)における評価対象の運動状態と、を含む互いに異なる複数の運動状態を総合的に評価する工程に相当する。なお、総合評価イベントにおいて総合的に評価される運動状態は、イベントトレーニングに含まれる複数の通常イベントのうち一部のイベントにおける評価対象の運動状態であってもよい。また、総合評価イベントにおいて総合的に評価される運動状態には、イベントトレーニングに含まれる複数の通常イベントにおいて評価対象となっていない運動状態を含めてもよい。
【0088】
図13は、変形例1に係るイベントトレーニング実行処理の制御手順を示すフローチャートである。
図13のフローチャートは、
図8のイベントトレーニング実行処理のステップS103~S107を本変形例の内容に変更した上で、
図8とは異なる観点で表したものに相当する。
図13のステップS501、S502の処理内容は、それぞれ
図8のステップS101、S102の処理内容と同一である。
【0089】
ステップS502においてイベントリストデータ132が生成されると、CPU11は、最初の総合評価イベントを開始させる(ステップS503)。また、CPU11は、最初の総合評価イベントにおいてユーザが運動状態の評価を受けたか否かを判別し、総合評価イベントにおいて評価を受けていないと判別された場合には(ステップS504で“NO”)、再度ステップS504の処理を実行する。ユーザが総合評価イベントにおいて評価を受けたと判別された場合には(ステップS504で“YES”)、CPU11は、通常イベントを開始させる(ステップS505)。このように、最初に総合評価イベントにおいて運動状態を総合的に評価することで、ユーザは、イベントトレーニングの開始時点における総合的なスキルの状態を把握することができる。
【0090】
CPU11は、全ての通常イベント(第2イベントを含む)においてユーザが運動状態の評価を受けたか否かを判別し(ステップS506)、いずれかの通常イベントにおいて評価を受けていないと判別された場合には(ステップS506で“NO”)、再度ステップS506の処理を実行する。ユーザが全ての通常イベントにおいて評価を受けたと判別された場合には(ステップS506で“YES”)、CPU11は、最後の総合評価イベントを実行する(ステップS507)。ステップS507の処理が終了すると、CPU11は、イベントトレーニング実行処理を終了させる。このように、最後の総合評価イベントにおいて運動状態を再度総合的に評価することで、ユーザは、最初の総合評価イベントにおける評価との比較により、イベントトレーニングを通じてユーザの総合的な運動スキルがどの程度向上したかを把握することができる。
【0091】
(変形例2)
本変形例では、イベントトレーニングにおいて、評価対象の運動状態に係る条件がトレードオフの関係となるようなイベントを交互に組み込む点で、上記実施形態と異なる。本変形例は、変形例1と組み合わせてもよい。
【0092】
図14は、変形例2に係るイベントリストデータ132の内容例を示す図である。
図14に示すように、本変形例のイベントトレーニングは4つのイベントから構成されており、これらの4つのイベントにおける評価対象の運動状態は、実行順に「姿勢の安定性」、「動きの力強さ」、「負担の少ない接地」、「動きの力強さ」となっている。本変形例では、1番目のイベントが第1イベントに相当し、2番目のイベントが第2イベントに相当する。
【0093】
1番目のイベントの「姿勢の安定性」、及び3番目のイベントの「負担の少ない接地」は、「効率的で、無理なく走り続けられるために重要な動きに係る運動状態」との条件(以下、「条件A」と記す)を満たす。
また、2番目及び4番目のイベントの「動きの力強さ」は、「速い走行速度を獲得するために重要な動きに係る運動状態」との条件(以下、「条件B」と記す)を満たす。
【0094】
ここで、条件A及び条件Bは、互いにトレードオフの関係にある。詳しくは、条件Aを満たす運動指標は、当該運動指標の評価値を向上させる体の動きにより、条件Bを満たす運動指標の評価値が向上しにくい(又は低下しやすい)運動指標であり、反対に、条件Bを満たす運動指標は、当該運動指標の評価値を向上させる体の動きにより、条件Aを満たす運動指標の評価値が向上しにくい(又は低下しやすい)運動指標である。
【0095】
条件Aを満たす運動指標の評価値と、条件Bを満たす運動指標の評価値とを一度に向上させることは、通常、容易でないが、本変形例のように、評価対象の運動状態に係る条件がトレードオフの関係となるようなイベントを交互に組み込むことで、これらの運動指標の評価値が自然に向上するように、運動に係るスキルを効率的かつ総合的に向上させることができる。
【0096】
なお、トレードオフの関係となるような運動状態に係る条件は、上記の条件A及び条件Bに限られず、例えば、「短距離をより短時間で走るために重要な動きに係る運動状態」との条件と、「長距離をより短時間で走るために重要な動きに係る運動状態」との条件などが用いられてもよい。
【0097】
(変形例3)
本変形例では、イベントにおける評価条件として、ランニングのペースの範囲が設定されている点で、上記実施形態と異なる。本変形例は、変形例1及び2の少なくとも一方と組み合わせてもよい。
【0098】
図15は、変形例3に係るイベントリストデータ132の内容例を示す図である。
図15に示すように、本変形例のイベントトレーニングは、いずれも総合スコアを評価対象とする4つの総合評価イベントから構成されている。また、1番目のイベントでは、ペースP(min/km)が8<P≦10を満たすことが条件とされ、2番目のイベントでは、ペースPが6<P≦8を満たすことが条件とされ、3番目のイベントでは、ペースPが5<P≦6を満たすことが条件とされ、4番目のイベントでは、ペースPが4<P≦5を満たすことが条件とされている。本変形例では、或るランニング(運動)における平均ペースが、評価条件に設定されたペースの範囲内である場合で走行した場合にのみ、当該ランニングにおける運動状態が評価されて順位が導出される。
【0099】
図15に示す例では、イベントごとに、ペースの設定が段階的に速くなっている。ランニングのフォームの改善は、遅いペース(低い速度域)で実施することが有効であるので、
図15のように、まず遅いペースのイベントにおいてフォームの改善を図り、徐々にペースの速いイベントを行うことで、より速いペースでも改善したフォームを維持できるようにすることができる。
なお、本変形例のイベントトレーニングに組み込むイベントの少なくとも一部を、通常イベントとしてもよい。
【0100】
(変形例4)
本変形例では、イベントにおける評価条件として、ランニングの距離が設定されている点で、上記実施形態と異なる。本変形例は、変形例1~3のうちの少なくとも1つと組み合わせてもよい。
【0101】
図16は、変形例4に係るイベントリストデータ132の内容例を示す図である。
図16に示すように、本変形例のイベントトレーニングは、いずれも総合スコアを評価対象とする4つの総合評価イベントから構成されている。また、1番目のイベントでは、距離の条件が5kmに設定され、2番目のイベントでは、距離の条件が10kmに設定され、3番目のイベントでは、距離の条件が5kmに設定され、4番目のイベントでは、距離の条件が15kmに設定されている。本変形例では、或るランニング(運動)において、評価条件に設定された距離を走行した場合にのみ、当該ランニングにおける運動状態が評価されて順位が導出される。
【0102】
このように、
図16に示す例では、ランニングの距離を短距離(5km以下)に設定したイベントと、長距離(10km以上)に設定したイベントとが交互に実行される。これによれば、短距離のイベント及び長距離のイベントの各々において、それぞれ距離に応じた速度域にけるフォームの問題点を見出して改善することができる。また、短距離のイベント及び長距離のイベントを交互に実行することで、短距離のランニングのフォームと、長距離のランニングのフォームとを総合的に改善することができる。また、
図16に示す例では、長距離のイベントのみに着目すると、後に行われるイベントほど設定距離が長くなっている。このように長距離のイベントにおける距離を徐々に長くしていくことで、より長い距離を走ったときのフォームを自然に改善することができる。
【0103】
なお、各イベントにおける運動指標の評価値に基づく順位の導出に加えて(又は代えて)、1つの短距離のイベントにおける運動状態の評価値と、次に行われる1つの長距離のイベントにおける運動状態の評価値との差分が小さいほど高順位となるようにランキングを生成して順位を導出してもよい。これによれば、距離の変化によるフォームの乱れが小さくなるようにユーザに意識させることができる。
なお、本変形例のイベントトレーニングに組み込むイベントの少なくとも一部を、通常イベントとしてもよい。
【0104】
(変形例5)
本変形例では、イベントにおける評価条件において、走路の傾斜が指定される点で、上記実施形態と異なる。本変形例は、変形例1~4の少なくとも1つと組み合わせてもよい。
【0105】
図17は、変形例5に係るイベントリストデータ132の内容例を示す図である。
図17に示すように、本変形例のイベントリストデータ132では、各イベントにおける評価条件として、「運動状態の種別」、「距離」及び「ペースP」に加えて、走路の傾斜(登り又は下り)を指定する「傾斜指定」が含まれている。
図17に示す例では、1番目のイベントにおいて、登りの走路を走ったときの「動きの力強さ」が評価対象の運動状態とされている。また、3番目のイベントにおいて、下りの走路を走ったときの「スムーズな重心移動」が評価対象の運動状態とされている。また、2番目及び4番目のイベントは、総合評価イベントとされている。
【0106】
ランニングを行った走路の傾斜の有無、及び傾斜方向(登り又は下り)は、例えば、装着型装置30に高度計を設け、当該高度計により検出された高度の変化に基づいて判別することができる。あるいは、ランニング中の現在位置の推移から、地図データ上で走路を特定し、当該走路に沿った高度の変化を地図データから導出して判別してもよい。
【0107】
走路の傾斜を指定することで、当該傾斜の方向に応じて、特定の運動状態に係るスキルを向上させやすくすることができる。例えば、登りの走路でランニングを行うことで、「力強い動き」の運動状態に係るスキルを向上させやすくすることができる。また、下りの走路でランニングを行うことで、「スムーズな重心移動」の運動状態に係るスキルを向上させやすくすることができる。また、登り又は下りのイベントの次に総合評価イベントを実行して総合的な運動状態を評価することで、登り又は下りのイベントにおけるスキルの向上の程度を確認することができる。
【0108】
(変形例6)
上記実施形態では、イベントトレーニングへの参加要求がなされると、
図5に示すイベントリストデータ132が生成されて、イベントトレーニングを構成する複数のイベントが決められたが、本変形例では、これに代えて、イベントトレーニングの或るイベントにおける評価の結果に基づいて、以降に実行するイベントの内容(評価条件)を異ならせる。これにより、ユーザの運動に係るスキルの状態に応じて、効果的にスキルが向上するように、イベントトレーニングの内容を柔軟に変更することができる。本変形例は、変形例1~5の少なくとも1つと組み合わせてもよい。以下、本変形例におけるイベントトレーニングの実行方法について、
図18のフローチャートを参照して説明する。
【0109】
図18は、変形例6に係るイベントトレーニング実行処理の制御手順を示すフローチャートである。
イベントトレーニング実行処理が開始されると、CPU11は、端末装置20から、ユーザによるイベントトレーニングへの参加要求が送信されたか否かを判別する(ステップS601)。ステップS601の処理の内容は、
図8のステップS101と同一である。
【0110】
イベントトレーニングへの参加要求が送信されたと判別された場合には(ステップS601で“YES”)、CPU11は、所定の規則に従って、イベント管理データ133のイベントの中から最初に行うイベントを決定し、当該イベントにおける評価条件を取得する(ステップS602)。なお、最初に必ず総合評価イベントを実行することとしてもよい。
【0111】
CPU11は、決定したイベントについて、上述したイベント実行処理を実行する(ステップS603)。
【0112】
CPU11は、イベントトレーニングの開始後に2以上のイベントを実行済であるか否かを判別する(ステップS604)。2以上のイベントを実行済であると判別された場合には(ステップS604で“YES”)、CPU11は、次のイベントを実行するか否かを判別する(ステップS605)。例えば、CPU11は、ユーザから、次のイベントの実行する指示する操作がなされた場合に、次のイベントを実行すると判別してもよい。また、CPU11は、予め定められた数のイベントを既に実行済である場合に、次のイベントを実行しないと判別してもよい。また、CPU11は、ユーザから、イベントトレーニングの終了を指示する操作がなされた場合に、次のイベントを実行しないと判別してもよい。
【0113】
次のイベントを実行すると判別された場合(ステップS605で“YES”)、又は、ステップS604において未だ2以上のイベントを実行していないと判別された場合には(ステップS604で“NO”)、CPU11は、完了したイベントにおける運動状態の評価結果に基づいて、イベント管理データ133に含まれる複数のイベントの中から次に実行するイベントを選択し、選択したイベントの評価条件を取得する(ステップS606)。次に行うイベントの選択方法は、特には限られないが、一例を挙げると、完了したイベントの評価結果に基づいて、ユーザが不得意とする運動状態を特定し、当該運動状態を評価対象とするイベントを次に行うイベントとして選択してもよい。ステップS606の処理が終了すると、CPU11は、処理をステップS603に戻し、選択したイベントについてイベント実行処理を実行する。
【0114】
次のイベントを実行しないと判別された場合には(ステップS605で“NO”)、CPU11は、イベントトレーニング実行処理を終了させる。
【0115】
(変形例7)
上記実施形態では、複数のユーザの運動状態を相対的に評価する場合を例示したが、運動状態の評価方法は相対評価に限られず、或るユーザの運動状態の評価値に基づく絶対評価であってもよい。例えば、或るユーザが使用する1つの端末装置20及び1つの装着型装置30により運動支援システム1を構成し、このうちの端末装置20が、装着型装置30により取得された運動指標に基づいてユーザの運動状態の絶対的な評価を行ってもよい。この場合には、端末装置20のCPU21が「コンピュータ」に相当する。また、この場合に実行される複数のイベントの各々の参加ユーザは、端末装置20及び装着型装置30を使用する1人のユーザとなる。複数のイベントの各々における評価項目の設定方法は、上記実施形態及び変形例1~6と同様とすることができる。
【0116】
また、端末装置20がセンサ部を有する場合には、運動支援システム1において装着型装置30を省略し、端末装置20のみから運動支援システム1を構成してもよい。この場合には、ユーザの運動の運動指標を端末装置20が取得し、端末装置20のCPU21が、当該運動指標に基づいて運動状態を評価する。
【0117】
また、上記実施形態において端末装置20が実行していた機能を装着型装置30が実行可能である場合には、運動支援システム1において端末装置20を省略し、装着型装置30のみから運動支援システム1を構成してもよい。この場合には、ユーザの運動の運動指標を装着型装置30が取得し、装着型装置30のCPU31が、当該運動指標に基づいて運動状態を評価する。また、装着型装置30のCPU31が「コンピュータ」に相当する。
【0118】
(変形例8)
上記実施形態では、ユーザの要求に応じて、イベントトレーニング(すなわち、当該イベントトレーニングの最初のイベントである第1イベント)が不定期的に実行される例を用いて説明したが、これに限られず、イベントトレーニング(第1イベント)が定期的に、例えば予め定められた頻度で実行されてもよい。本変形例は、変形例1~7のうちの少なくとも1つと組み合わせてもよい。
【0119】
(変形例9)
運動状態の評価は、参加ユーザの運動状態のランキングにおける順位に限られない。例えば、運動状態の評価は、参加ユーザの運動状態のランキングにおける各ユーザの位置を割合で表したもの(例えば、最上位を100%、最下位を0%としたパーセンテージ)であってもよい。また、運動状態の評価値そのものを、運動状態の評価としてユーザに提示してもよい。本変形例は、変形例1~8のうちの少なくとも1つと組み合わせてもよい。
【0120】
(変形例10)
イベントトレーニングの各イベントにおいて、参加ユーザ同士で、イベントに係る情報を共有可能とされていてもよい。例えば、ウェブサイトやSNS等の情報共有手段を用意し、当該情報共有手段において任意の参加ユーザが書込みを行うことが可能とし、当該情報共有手段に書き込まれた情報を他の参加ユーザが閲覧できるようにしてもよい。また、このような情報共有手段をイベントごとに設けてもよい。これによれば、特定の運動状態が評価されるイベントにおいて、各ユーザが何を意識することで評価が上昇したか、といった、スキルの向上に有用な情報を共有することができる。これにより、トレーニングのモチベーションを高めることができるとともに、より効果的にスキルを向上させることができる。本変形例は、変形例1~9のうちの少なくとも1つと組み合わせてもよい。
【0121】
(変形例11)
装着型装置30の装着部位は腰に限られない。例えば、装着型装置30は、ユーザの手首に装着されて用いられるリスト型端末であってもよい。ここで、腰部に装着する装着型装置30と、手首に装着する装着型装置30とでは、取得可能な運動指標が互いに異なる場合がある。このため、ユーザが装着している装着型装置30の、装着部位に応じた種別によって、当該ユーザが参加するイベントを定めてもよい。すなわち、ユーザが装着している装着型装置30の検出結果に基づいて評価可能な運動状態を特定し、当該運動状態を評価対象とするイベントを、ユーザが参加するイベントとして選択してもよい。例えば、手首に装着する装着型装置30を用いている場合には、装着型装置30の検出結果から、運動状態としての「腕の振りの大きさ」を評価可能であるため、「腕の振りの大きさ」の運動状態が評価項目となっているイベントが選択されてもよい。本変形例は、変形例1~10のうちの少なくとも1つと組み合わせてもよい。腰または手首に装着する以外の部位としては、足首や膝、頭部などが選択可能である。
【0122】
(変形例12)
イベントトレーニングを構成する複数のイベントのうちの少なくとも1つは、仮想空間にて実行されてもよい。例えば、ユーザは、トレッドミルなどのマシンを用いてランニングを行い、端末装置20の表示部24、ユーザが装着するヘッドマウントディスプレイの表示部、又はマシンに備え付けられている表示部などに、マシン上でのランニングの状態(距離及び速度等)に応じて、仮想空間内の走路を走っているユーザの視点の画像を表示させる。仮想空間内の走路には、他の参加ユーザのランニングの状態に応じて、当該走路を走っている他の参加ユーザの仮想の画像を表示させてもよい。本変形例は、変形例1~11のうちの少なくとも1つと組み合わせてもよい。
【0123】
<効果>
以上のように、本実施形態に係る情報処理方法は、コンピュータとしてのCPU11に、対象としてのユーザがランニング(第1の運動)を行っているときのユーザの第1運動状態を評価する第1イベントを実行させ(
図8のステップS105(1回目))、ユーザが第1イベントにおける評価を受けたかを判別させ(
図9のステップS208)、ユーザが第1イベントにおける評価を受けたと判別したことを少なくとも条件として、ユーザがランニング(第2の運動)を行っているときのユーザの運動状態であって第1運動状態とは異なる第2運動状態を評価する第2イベントを実行させる(
図8のステップS107を経た後のステップS105)。このように、ユーザが第1イベントにおける評価を受けたと判別されたことを少なくとも条件として第2イベントを実行することで、イベント開催者が意図した順番で少なくとも2つのイベントを実行することができる。また、ユーザは、これらの少なくとも2つのイベントにおいて、互いに異なる運動状態の評価を受けることができる。よって、これらの評価を参考にして多角的に運動の動作(ランニングのフォーム等)を改善することができるため、運動に係るスキルを効率的かつ総合的に向上させることができる。
【0124】
また、変形例6に係る情報処理装置方法は、CPU11に、第1イベントにおける評価結果に基づいて、互いに異なる運動状態を評価する複数のイベントから第2イベントを選択させる(
図18のステップS606)。これにより、ユーザの運動に係るスキルの状態に応じて、効果的にスキルが向上するように、第2イベントの内容を柔軟に変更することができる。
【0125】
また、情報処理方法は、CPU11に、第1イベントを実行させることによって、ユーザが身体に装着型装置30を装着した状態で第1の運動を行っているときに装着型装置30で検出された第1運動指標を取得させ(
図9のステップS203)、取得された第1運動指標に基づいて、第1運動状態を評価させる(
図9のステップS205、S206)。また、情報処理方法は、CPU11に、第2イベントを実行させることによって、ユーザが身体に装着型装置30を装着した状態で第2の運動を行っているときに装着型装置30で検出された第2運動指標を取得させ(
図9のステップS203)、取得された第2運動指標に基づいて、第2運動状態を評価させる(
図9のステップS205、S206)。このように、ユーザが装着する装着型装置30により取得可能な運動指標に基づいて運動状態を評価する方法によれば、大掛かりな装置を用いることなく運動状態の評価を行うことができる。また、ユーザの実際の体の動きに応じて運動状態を正確に評価することができる。
【0126】
また、変形例8に記載したように、第1イベントは定期的又は不定期的に実行されてもよい。第1イベントを含むイベントトレーニングを定期的に行うことで、継続的に運動に係るスキルを向上させることができる。また、トレーニングを習慣付けることができる。一方、第1イベントを含むイベントトレーニングを不定期的に行うことが可能な態様とすることで、ユーザにとって都合のよい時期を選んでトレーニングを行うことができる。
【0127】
また、対象は、互いに異なる複数のユーザを含む参加ユーザであり、第1イベントでは、第1の運動を行っている参加ユーザの各々の第1運動状態を相対的に評価し、第2イベントでは、第2の運動を行っている参加ユーザの各々の第2運動状態を相対的に評価する。これにより、ユーザは、他の参加ユーザとの対比で自身のスキルの状態を直感的に把握することができる。また、他の参加ユーザとの競争の要素が付加されるため、運動に対するモチベーションを高めることができる。
【0128】
また、変形例2において、第1の運動及び第2の運動はランニング(互いに同じ或る運動)であり、第1運動状態及び第2運動状態は、第1運動状態に係る条件及び第2運動状態に係る条件が互いにトレードオフの関係となるような運動状態である。これにより、一度に評価値を向上させることが容易でない2つの運動状態について、評価値が自然に向上するように、運動に係るスキルを効率的かつ総合的に向上させることができる。
【0129】
また、第1運動状態は、ランニングによるユーザの身体への負担を表す運動状態である。これにより、身体への負担を軽減するスキルを優先して向上させることができるため、体の負担が少なく、怪我をしにくい状態で残りのイベントを行うことができる。また、結果的にイベント期間を長くすることが可能なため、効果的に運動に係るスキルを向上させることができる。
【0130】
また、第1運動状態又は第2運動状態は、ユーザの動作の左右対称性、ユーザの姿勢、及びユーザの接地状態の少なくとも1つを含む。これにより、ランニングにおいて特に重要なスキルを効率的かつ総合的に向上させることができる。
【0131】
また、第1運動状態又は第2運動状態は、運動指標に基づいて導出され、運動指標は、ランニングを行っているユーザのピッチ、ストライド、接地時間、接地時間率、ユーザの身体における上下動、左右動、前後動、力積、ユーザの骨盤の各軸における回転角度、沈み込み、推進の大きさ、推進の方向、推進のタイミング、ブレーキの大きさ、ブレーキの方向、遊脚の振り戻し時間、遊脚の振出し時間、乗り込み時間、及び、スティフネスの少なくとも1つを含む。これらの運動指標は、ユーザが装着する装着型装置30のセンサ部34の検出結果に基づいて導出可能であるため、大掛かりな装置を用いることなく、運動指標の導出、及び運動状態の評価を行うことができる。
【0132】
また、変形例1において、第1の運動及び第2の運動は、ランニング(互いに同じ或る運動)であり、CPU11に、第1イベントを実行させる前に、或る運動を行っているユーザの第1運動状態及び第2運動状態を含む互いに異なる複数の運動状態を総合的に評価する総合評価イベントを実行させ、ユーザが総合評価イベントにおける評価を受けたかを判別させ、ユーザが総合評価イベントにおける評価を受けたと判別したことを少なくとも条件として、第1イベントを実行させる。このように、最初に総合評価イベントにおいて運動状態を総合的に評価することで、ユーザは、イベントトレーニングの開始時点における総合的なスキルの状態を把握することができる。
【0133】
また、変形例1においては、CPU11に、ユーザが第2イベントにおける評価を受けたかを判別させ、ユーザが第2イベントにおける評価を受けたと判別したことを少なくとも条件として、総合評価イベントを実行させる。これにより、ユーザは、最初の総合評価イベントにおける評価との比較により、第1イベント及び第2イベントを通じてユーザの総合的な運動スキルがどの程度向上したかを把握することができる。
【0134】
また、情報処理方法は、CPU11に、第1イベント及び第2イベントの少なくとも一方を、オンライン又は仮想空間(変形例12)にて実行させる。イベントをオンラインにて実行することで、ユーザは、任意の位置でイベントに参加することができ、実際には一緒に走行していない他の参加ユーザとの相対評価を受けることができる。また、イベントを仮想空間にて実行することで、実際に走路を走らなくても、あたかも走路を走っているかのような感覚でトレーニングを行うことができる。これにより、運動に対するモチベーションを高めることができる。
【0135】
また、本実施形態に係るプログラム131は、コンピュータとしてのCPU11に、対象としてのユーザが第1の運動を行っているときのユーザの第1運動状態を評価する第1イベントを実行させ(
図8のステップS105(1回目))、ユーザが第1イベントにおける評価を受けたかを判別させ(
図9のステップS208)、ユーザが第1イベントにおける評価を受けたと判別したことを少なくとも条件として、ユーザが第2の運動を行っているときのユーザの運動状態であって第1運動状態とは異なる第2運動状態を評価する第2イベントを実行させる(
図8のステップS107を経た後のステップS105)。このように、ユーザが第1イベントにおける評価を受けたと判別されたことを少なくとも条件として第2イベントを実行することで、イベント開催者が意図した順番で少なくとも2つのイベントを実行することができる。また、ユーザは、これらの少なくとも2つのイベントにおいて、互いに異なる運動状態の評価を受けることができる。よって、これらの評価を参考にして多角的に運動の動作(ランニングのフォーム等)を改善することができるため、運動に係るスキルを効率的かつ総合的に向上させることができる。
【0136】
また、本実施形態に係る情報処理システムとしての運動支援システム1は、コンピュータとしてのCPU11を備え、当該CPU11は、対象としてのユーザが第1の運動を行っているときのユーザの第1運動状態を評価する第1イベントを実行し(
図8のステップS105(1回目))、ユーザが第1イベントにおける評価を受けたかを判別し(
図9のステップS208)、ユーザが第1イベントにおける評価を受けたと判別したことを少なくとも条件として、ユーザが第2の運動を行っているときのユーザの運動状態であって第1運動状態とは異なる第2運動状態を評価する第2イベントを実行する(
図8のステップS107を経た後のステップS105)。このように、ユーザが第1イベントにおける評価を受けたと判別されたことを少なくとも条件として第2イベントを実行することで、イベント開催者が意図した順番で少なくとも2つのイベントを実行することができる。また、ユーザは、これらの少なくとも2つのイベントにおいて、互いに異なる運動状態の評価を受けることができる。よって、これらの評価を参考にして多角的に運動の動作(ランニングのフォーム等)を改善することができるため、運動に係るスキルを効率的かつ総合的に向上させることができる。
【0137】
<その他>
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る情報処理方法、プログラム及び情報処理システムの一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態において、情報処理装置としてのサーバ10が行っていた処理を、いずれかの端末装置20が実行してもよい。この場合には、端末装置20のCPU21が「コンピュータ」に相当する。また、上記実施形態において、情報処理装置としてのサーバ10が行っていた処理を、いずれかの装着型装置30が実行してもよい。この場合には、装着型装置30のCPU31が「コンピュータ」に相当する。
【0138】
また、端末装置20及び装着型装置30を統合してもよい。例えば、端末装置20がセンサ部を有する場合には、ユーザの運動による体の動きを端末装置20により検出し、装着型装置30を省略してもよい。この場合には、運動支援システム1は、サーバ10と、複数の端末装置20とから構成される。また、上記実施形態において端末装置20が実行していた機能を装着型装置30が実行可能である場合には、端末装置20を省略してもよい。この場合には、運動支援システム1は、サーバ10と、複数の装着型装置30とから構成される。
【0139】
また、装着型装置30のCPU31が、センサ部34の検出結果に基づいて運動指標を導出する例を用いて説明したが、これに限られない。例えば、センサ部34の検出結果を端末装置20に送信し、端末装置20のCPU21が運動指標を導出してもよいし、センサ部34の検出結果をサーバ10に送信し、サーバ10のCPU11が運動指標を導出してもよい。
【0140】
また、サーバ10のCPU11が、受信した運動指標に基づいて運動状態の評価値を導出する例を用いて説明したが、これに限られない。例えば、端末装置20のCPU21が、装着型装置30から受信した運動指標に基づいて運動状態の評価値を導出し、導出結果をサーバ10に送信してもよい。また、装着型装置30のCPU31が、運動指標に基づいて運動状態の評価値を導出してもよく、この評価結果が端末装置20を介してサーバ10に、又は、端末装置20を介さずサーバ10に直接、送信されてもよい。
【0141】
また、対象としてのユーザが行う第1の運動及び第2の運動としてランニング(走行)及び歩行を例示したが、これに限られず、例えば自転車での走行などであってもよい。また、第1の運動及び第2の運動は、必ずしも移動を伴う運動に限られず、体操や筋力トレーニングなどであってもよい。
【0142】
また、運動状態の評価を行う対象は、運動を行うことが可能であればよく、人に限られない。例えば、運動状態の評価を行う対象は、動物やロボットなどであってもよい。
【0143】
また、以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として記憶部13、23、33を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、HDD、SSD、フラッシュメモリ、CD-ROM等の情報記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0144】
また、上記実施形態におけるサーバ10、端末装置20及び装着型装置30の構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0145】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
コンピュータに、
対象が第1の運動を行っているときの前記対象の第1運動状態を評価する第1イベントを実行させ、
前記対象が前記第1イベントにおける評価を受けたかを判別させ、
前記対象が前記第1イベントにおける評価を受けたと判別したことを少なくとも条件として、前記対象が第2の運動を行っているときの前記対象の運動状態であって前記第1運動状態とは異なる第2運動状態を評価する第2イベントを実行させる、
情報処理方法。
<請求項2>
前記コンピュータに、前記第1イベントにおける評価結果に基づいて、互いに異なる運動状態を評価する複数のイベントから前記第2イベントを選択させる、
請求項1に記載の情報処理方法。
<請求項3>
前記コンピュータに、
前記第1イベントを実行させることによって、前記対象が身体にセンサを装着した状態で前記第1の運動を行っているときに前記センサで検出された第1運動指標を取得させ、取得された前記第1運動指標に基づいて、前記第1運動状態を評価させ、
前記第2イベントを実行させることによって、前記対象が身体に前記センサを装着した状態で前記第2の運動を行っているときに前記センサで検出された第2運動指標を取得させ、取得された前記第2運動指標に基づいて、前記第2運動状態を評価させる、
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
<請求項4>
前記第1イベントは定期的又は不定期的に実行される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
<請求項5>
前記対象は、互いに異なる複数の対象であり、
前記第1イベントでは、前記第1の運動を行っている前記複数の対象の各々の前記第1運動状態を相対的に評価し、
前記第2イベントでは、前記第2の運動を行っている前記複数の対象の各々の前記第2運動状態を相対的に評価する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
<請求項6>
前記第1の運動及び前記第2の運動は、互いに同じ或る運動であり、
前記第1運動状態及び前記第2運動状態は、前記第1運動状態に係る条件及び前記第2運動状態に係る条件が互いにトレードオフの関係となるような運動状態である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理方法。
<請求項7>
前記第1運動状態は、前記或る運動による前記対象の身体への負担を表す運動状態である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理方法。
<請求項8>
前記或る運動は、歩行又は走行であり、
前記第1運動状態又は前記第2運動状態は、前記対象の動作の左右対称性、前記対象の姿勢、及び前記対象の接地状態の少なくとも1つを含む、
請求項6又は7に記載の情報処理方法。
<請求項9>
前記第1運動状態又は前記第2運動状態は、運動指標に基づいて導出され、前記運動指標は、前記歩行又は前記走行を行っている前記対象のピッチ、ストライド、接地時間、接地時間率、前記対象の身体における上下動、左右動、前後動、力積、前記対象の骨盤の各軸における回転角度、沈み込み、推進の大きさ、推進の方向、推進のタイミング、ブレーキの大きさ、ブレーキの方向、遊脚の振り戻し時間、振出し時間、乗り込み時間、及び、スティフネスの少なくとも1つを含む、
請求項8に記載の情報処理方法。
<請求項10>
前記第1の運動及び前記第2の運動は、互いに同じ或る運動であり、
前記コンピュータに、
前記第1イベントを実行させる前に、前記或る運動を行っている前記対象の前記第1運動状態及び前記第2運動状態を含む互いに異なる複数の運動状態を総合的に評価する工程を実行させ、
前記対象が前記工程における評価を受けたかを判別させ、
前記対象が前記工程における評価を受けたと判別したことを少なくとも条件として、前記第1イベントを実行させる、
請求項1から9のいずれか1項に記載の情報処理方法。
<請求項11>
前記コンピュータに、
前記対象が前記第2イベントにおける評価を受けたかを判別させ、
前記対象が前記第2イベントにおける評価を受けたと判別したことを少なくとも条件として、前記工程を実行させる、
請求項10に記載の情報処理方法。
<請求項12>
前記コンピュータに、前記第1イベント及び前記第2イベントの少なくとも一方を、オンライン又は仮想空間にて実行させる、請求項1から11のいずれか1項に記載の情報処理方法。
<請求項13>
コンピュータに、
対象が第1の運動を行っているときの前記対象の第1運動状態を評価する第1イベントを実行させ、
前記対象が前記第1イベントにおける評価を受けたかを判別させ、
前記対象が前記第1イベントにおける評価を受けたと判別したことを少なくとも条件として、前記対象が第2の運動を行っているときの前記対象の運動状態であって前記第1運動状態とは異なる第2運動状態を評価する第2イベントを実行させる、
プログラム。
<請求項14>
対象が第1の運動を行っているときの前記対象の第1運動状態を評価する第1イベントを実行し、
前記対象が前記第1イベントにおける評価を受けたかを判別し、
前記対象が前記第1イベントにおける評価を受けたと判別したことを少なくとも条件として、前記対象が第2の運動を行っているときの前記対象の運動状態であって前記第1運動状態とは異なる第2運動状態を評価する第2イベントを実行する、
コンピュータを備える情報処理システム。
【符号の説明】
【0146】
1 運動支援システム(情報処理システム)
10 サーバ
11 CPU(コンピュータ)
12 RAM
13 記憶部
131 プログラム
132 イベントリストデータ
133 イベント管理データ
134 ランキングデータ
14 通信部
15 バス
20 端末装置
21 CPU
22 RAM
23 記憶部
231 運動アプリ
24 表示部
25 操作部
26 通信部
27 バス
30 装着型装置
31 CPU
32 RAM
33 記憶部
331 プログラム
34 センサ部
35 位置情報取得部
36 通信部
37 バス
N ネットワーク