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  • 特許-車両のコネクタ固定構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】車両のコネクタ固定構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/46 20060101AFI20231003BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
H01R13/46 304B
B60R16/02 621C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022019267
(22)【出願日】2022-02-10
(65)【公開番号】P2023116896
(43)【公開日】2023-08-23
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】北川 涼太
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-004471(JP,U)
【文献】特開2002-015789(JP,A)
【文献】実開昭60-099787(JP,U)
【文献】独国実用新案第202004015082(DE,U1)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0045060(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/533
H01R 13/74
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1本体部の底部から突出する樹脂製の第1クリップ部と、前記底部に長手方向に沿って設けられ前記第1クリップ部を支持する第1レール部と、を有する第1コネクタと、
第2本体部が前記第1コネクタの前記第1本体部と接続可能な第2コネクタであって、前記第2本体部の底部から突出する樹脂製の第2クリップ部と、短手方向における幅が前記第1レール部の幅よりも大きく前記第2クリップ部を支持する第2レール部と、を有する第2コネクタと、
前記第1コネクタを固定するためのブラケットと、を備え、
前記ブラケットは、
前記第1コネクタの前記第1クリップ部が挿通する孔部が形成された載置面と、
前記載置面において前記孔部の両側に配置され、間隔が前記第1レール部の前記短手方向の幅よりも大きく、かつ前記第2レール部の前記短手方向の幅よりも小さい一対の突出部と、
を有する、車両のコネクタ固定構造。
【請求項2】
前記第1クリップ部は、軸部と、前記軸部の軸方向において所定間隔で設けられ前記軸部から半径方向の外方へ突出する複数の突起とを有し、
前記ブラケットは、前記載置面とは反対側に位置し、前記第1クリップ部の先端側の前記突起が係止している係止面とを有する、
請求項1に記載の車両のコネクタ固定構造。
【請求項3】
前記第2クリップ部は、軸部と、前記軸部の軸方向において所定間隔で設けられ前記軸部から半径方向の外方へ突出する複数の突起とを有し、
前記突出部の上面と、前記載置面とは反対側に位置する係止面との間の距離は、前記第2クリップ部の前記軸部の根元から先端の前記突起までの距離よりも大きい、
請求項1又は2に記載の車両のコネクタ固定構造。
【請求項4】
前記第1クリップ部は、前記第1コネクタの長手方向において所定間隔で複数設けられ、
前記第2クリップ部は、前記第2コネクタの長手方向において前記所定間隔で複数設けられ、
前記ブラケットの前記孔部は、前記載置面において前記所定間隔で複数形成され、
前記突出部は、複数の前記孔部の両側に配置されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の車両のコネクタ固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のコネクタ固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両では、例えば、制御装置に連結されている装置側ハーネスのコネクタ(第1コネクタと呼ぶ)と、センサに連結されているセンサ側ハーネスのコネクタ(第2コネクタと呼ぶ)とを連結することで、センサと制御装置を電気的に接続している。第1コネクタと第2コネクタのうちの片方(ここでは、第1コネクタ)は、ブラケットに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-30831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、部品の共通化等の観点から、第1コネクタ及び第2コネクタには、ブラケットに係止可能なクリップ部が設けられている。この場合、第2コネクタにもクリップ部が設けられているため、第1コネクタの代わりに第2コネクタを誤ってブラケットに固定するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、誤ったコネクタがブラケットに固定されることを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様においては、第1本体部の底部から突出する樹脂製の第1クリップ部と、前記底部に長手方向に沿って設けられ前記第1クリップ部を支持する第1レール部と、を有する第1コネクタと、第2本体部が前記第1コネクタの前記第1本体部と接続可能な第2コネクタであって、前記第2本体部の底部から突出する樹脂製の第2クリップ部と、短手方向における幅が前記第1レール部の幅よりも大きく前記第2クリップ部を支持する第2レール部と、を有する第2コネクタと、前記第1コネクタを固定するためのブラケットと、を備え、前記ブラケットは、前記第1コネクタの前記第1クリップ部が挿通する孔部が形成された載置面と、前記載置面において前記孔部の両側に配置され、間隔が前記第1レール部の前記短手方向の幅よりも大きく、かつ前記第2レール部の前記短手方向の幅よりも小さい一対の突出部と、を有する、車両のコネクタ固定構造を提供する。
【0007】
また、前記第1クリップ部は、軸部と、前記軸部の軸方向において所定間隔で設けられ前記軸部から半径方向の外方へ突出する複数の突起とを有し、前記ブラケットは、前記載置面とは反対側に位置し、前記第1クリップ部の先端側の前記突起が係止している係止面とを有することとしてもよい。
【0008】
また、前記第2クリップ部は、軸部と、前記軸部の軸方向において所定間隔で設けられ前記軸部から半径方向の外方へ突出する複数の突起とを有し、前記突出部の上面と、前記載置面とは反対側に位置する係止面との間の距離は、前記第2クリップ部の前記軸部の根元から先端の前記突起までの距離よりも大きいこととしてもよい。
【0009】
また、前記第1クリップ部は、前記第1コネクタの長手方向において所定間隔で複数設けられ、前記第2クリップ部は、前記第2コネクタの長手方向において前記所定間隔で複数設けられ、前記ブラケットの前記孔部は、前記載置面において前記所定間隔で複数形成され、前記突出部は、複数の前記孔部の両側に配置されていることとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、誤ったコネクタがブラケットに固定されることを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一の実施形態に係る車両のコネクタ固定構造の概要を説明するための模式図である。
図2】メスコネクタ10及びオスコネクタ20の構成を説明するための模式図である。
図3】ブラケット70を平面視した模式図である。
図4】メスコネクタ10及びオスコネクタ20と、突出部74の関係を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<コネクタ固定構造の概要>
一の実施形態に係る車両のコネクタ固定構造について、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、一の実施形態に係る車両のコネクタ固定構造の概要を説明するための模式図である。車両では、例えば制御装置とセンサを電気的接続するために、制御装置に接続されているハーネスのコネクタと、センサに接続されたハーネスのコネクタとを連結させている。
【0014】
本実施形態では、図1に示すように、一対のコネクタであるメスコネクタ10とオスコネクタ20を例に挙げて説明する。メスコネクタ10が第1コネクタに該当し、オスコネクタ20が第2コネクタに該当する。
【0015】
メスコネクタ10は、一例として、DCU(Dosing Control Unit)に接続されたワイヤハーネス50の先端に取り付けられている。メスコネクタ10は、後述するクリップ部16(図2)によってブラケット70に固定されている。
【0016】
オスコネクタ20は、メスコネクタ10との間で着脱可能に連結されるコネクタである。オスコネクタ20は、一例として、SCR(Selective Catalytic Reduction)の温度センサに接続されたワイヤハーネス60の先端に取り付けられている。なお、オスコネクタ20は、メスコネクタ10とは異なり、ブラケット70には固定されない。
【0017】
ブラケット70は、メスコネクタ10の下方に配置されている。ブラケット70には、メスコネクタ10とオスコネクタ20のうちメスコネクタ10のクリップ部16が固定される。なお、詳細は後述するが、ブラケット70には、オスコネクタ20のクリップ部26が誤ってブラケット70に固定されることを防止するための構造が採用されている。
【0018】
<メスコネクタ及びオスコネクタの構成>
メスコネクタ10及びオスコネクタ20の構成について、図2を参照しながら説明する。
【0019】
図2は、メスコネクタ10及びオスコネクタ20の構成を説明するための模式図である。
メスコネクタ10は、図2(a)に示すように、本体部12と、レール部14と、クリップ部16を有する。本実施形態では、本体部12が第1本体部に該当し、レール部14が第1レール部に該当し、クリップ部16が第1クリップ部に該当する。
【0020】
本体部12は、メスコネクタ10の主たる部分であり、ワイヤハーネス50(図1)の先端に位置している。本体部12の中央には、オスコネクタ20と接続可能な接続部13が形成されている。接続部13は、例えば凸形状となっている。
【0021】
レール部14は、本体部12の底部に長手方向に沿って設けられている。レール部14は、クリップ部16を支持する。具体的には、レール部14は、クリップ部16の上部を支持している。レール部14は、クリップ部16がスライドしながら着脱可能な構成となっている。
【0022】
クリップ部16は、本体部12の底部(具体的には、レール部14)から突出する。クリップ部16は、メスコネクタ10の長手方向において所定間隔で複数設けられている。ここでは、図1に示すように、2つのクリップ部16が、メスコネクタ10に設けられている。ただし、これに限定されず、メスコネクタ10には一つのクリップ部16のみ設けられていてもよい。
【0023】
クリップ部16は、樹脂製であり、軸部17と複数の突起18を有する。軸部17は、レール部14に直交している。複数の突起18は、軸部17の軸方向において所定間隔で設けられている。複数の突起18の各々は、軸部17から半径方向の外方へ突出している。突起18は、例えば円錐状に形成されており、変形可能である。
【0024】
オスコネクタ20は、メスコネクタ10と同様な構成であり、図2(b)に示すように、本体部22と、レール部24と、クリップ部26を有する。本実施形態では、本体部22が第2本体部に該当し、レール部24が第2レール部に該当し、クリップ部26が第2クリップ部に該当する。
【0025】
本体部22は、オスコネクタ20の主たる部分であり、ワイヤハーネス60(図1)の先端に位置している。本体部22の中央には、メスコネクタ10の接続部13と接続可能な接続部23が形成されている。接続部23は、例えば凹形状となっている。
【0026】
レール部24は、本体部22の底部に長手方向に沿って設けられている。レール部24は、クリップ部26を支持する。具体的には、レール部24は、クリップ部26の上部を支持している。レール部24は、クリップ部26がスライドしながら着脱可能な構成となっている。
【0027】
レール部24の短手方向の幅は、メスコネクタ10のレール部14の短手方向の幅と異なる。具体的には、レール部24の短手方向の幅L2は、メスコネクタ10のレール部14の短手方向の幅L1よりも大きい。
【0028】
クリップ部26は、本体部22の底部(具体的には、レール部24)から突出する。クリップ部26は、オスコネクタ20の長手方向において所定間隔で複数設けられている。ここでは、図1に示すように、2つのクリップ部26が、オスコネクタ20に設けられている。ただし、これに限定されず、オスコネクタ20には一つのクリップ部26のみ設けられていてもよい。
【0029】
クリップ部26は、樹脂製であり、軸部27と複数の突起28を有する。軸部27は、レール部24に直交している。複数の突起28は、軸部27の軸方向において所定間隔で設けられている。複数の突起28の各々は、軸部27から半径方向の外方へ突出している。
【0030】
なお、クリップ部26は、ブラケット70以外の部材にも固定されない。オスコネクタ20は車両の他の部分にも使用可能に共通部品化されており、他の部分でクリップ部26が係止されることがあるため、オスコネクタ20のクリップ部26が除去されていない。
【0031】
<ブラケットの構成>
図1及び図3を参照しながら、メスコネクタ10を固定するブラケット70の構成について説明する。
【0032】
図3は、ブラケット70を平面視した模式図である。ブラケット70は、ここでは所定厚さの板金である。ブラケット70は、載置面71と、係止面72(図1参照)と、孔部73と、突出部74を有する。
【0033】
載置面71は、固定されるメスコネクタ10が載置される面である。メスコネクタ10がブラケット70に固定された状態では、メスコネクタ10のレール部14が載置面71に接している。
【0034】
係止面72は、図1に示すように、ブラケット70において載置面71とは反対側に位置する係止面である。係止面72には、クリップ部16の先端側の突起18が係止される。突起18が係止面72に係止していることで、メスコネクタ10がブラケット70に固定された状態となる。
【0035】
孔部73は、メスコネクタ10のクリップ部16が挿通できるように、載置面71に形成されている。孔部73は、ブラケット70を貫通する貫通孔であり、載置面71から係止面72に亘って形成されている。クリップ部16の突起18は、変形しながら孔部73を挿通し、孔部73を抜けた後に形状を復元して係止面72に係止される。孔部73は、載置面71において所定間隔で複数形成されている。ここでは、孔部73は2つ形成されている。ただし、これに限定されず、孔部73は一つであってもよい。
【0036】
突出部74は、図1に示すように、載置面71から突出するように形成されている。突出部74は、載置面71において孔部73の両側に一対配置されている。ここでは、突出部74は、複数の孔部73(具体的には、2つの孔部73)の両側に配置されている。突出部74は、ここでは金属製であり、載置面71に溶接で固定されている。ただし、これに限定されず、突出部74は、例えば樹脂製であってもよい。
【0037】
一対の突出部74は、メスコネクタ10を固定できる一方で、オスコネクタ20を固定できないように、設けられている。本実施形態では、一対の突出部74の間隔L3が、メスコネクタ10のレール部14が載置面71を接することができる一方で、オスコネクタ20のレール部24が載置面71に接することができないように、設定されている。具体的には、一対の突出部74の間隔L3は、メスコネクタ10のレール部14の短手方向の幅L1(図2(a))よりも大きい一方で、オスコネクタ20のレール部24の短手方向の幅L2(図2(b))よりも小さい。これにより、オスコネクタ20を誤ってブラケット70に固定しようとしても、オスコネクタ20は、突出部74と干渉し載置面71に接することができない。
【0038】
図4は、一対の突出部74の構成を説明するための模式図である。一対の突出部74は、所定の厚さに設定されている。具体的には、突出部74の上面74aと係止面72の間の距離L5が、オスコネクタ20のクリップ部26の軸部27の根元から先端の突起28まで距離L4(図2(b))よりも大きくなるように、一対の突出部74の厚さが設定されている。このため、誤ってオスコネクタ20のクリップ部26が孔部73に挿入される際には、図4(a)に示すようにレール部24と突出部74が干渉するため、クリップ部26の突起28が係止面72に係止しない。このため、オスコネクタ20がブラケット70に固定されることを防止できる。一方で、メスコネクタ10のクリップ部16を孔部73に挿入される際には、レール部14と突出部74が干渉せず、図4(b)に示すようにクリップ部16の突起18が係止面72に係止するため、メスコネクタ10がブラケット70に固定される。
【0039】
メスコネクタ10をブラケット70に固定する作業は、以下の流れで行われる。まず、オスコネクタ20をブラケット70の近傍に位置するようにワイヤハーネス60を配策する。次に、メスコネクタ10をオスコネクタ20に近接するようにワイヤハーネス50を配策する。次に、メスコネクタ10とオスコネクタ20を連結する。次に、オスコネクタ20と連結されたメスコネクタ10のクリップ部16をブラケット70の孔部73に挿通し、突起18を係止面72に係止させる。これにより、オスコネクタ20と連結した状態のメスコネクタ10がブラケット70に固定される。
【0040】
<本実施形態における効果>
上述した実施形態のコネクタ固定構造においては、ブラケット70は、メスコネクタ10のクリップ部16が挿通する孔部73が形成された載置面71を有する。更に、ブラケット70は、載置面71において孔部73の両側に配置され、間隔がメスコネクタ10のレール部14の短手方向の幅よりも大きく、かつオスコネクタ20のレール部24の短手方向の幅よりも小さい一対の突出部74を有する。
上記の一対の突出部74を設けることで、オスコネクタ20のクリップ部26を誤って孔部73に挿入しようとする際には、オスコネクタ20のレール部24が突出部74と干渉するので、オスコネクタ20のクリップ部26がブラケット70に固定されることを防止できる。一方で、メスコネクタ10のクリップ部16を孔部73に挿入しようとする際には、メスコネクタ10のレール部14が突出部74と干渉しないため、メスコネクタ10のクリップ部16をブラケット70に固定できる。
【0041】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0042】
10 メスコネクタ
12 本体部
14 レール部
16 クリップ部
20 オスコネクタ
22 本体部
24 レール部
26 クリップ部
70 ブラケット
71 載置面
72 係止面
73 孔部
74 突出部
図1
図2
図3
図4