(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-02
(45)【発行日】2023-10-11
(54)【発明の名称】通信装置のためのコンピュータプログラム及び通信装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20231003BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G06F3/12 356
G06F3/12 308
G06F3/12 392
G06F3/12 336
H04N1/00 127B
H04N1/00 350
(21)【出願番号】P 2022031936
(22)【出願日】2022-03-02
(62)【分割の表示】P 2018060026の分割
【原出願日】2018-03-27
【審査請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曽根 竜彦
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-174958(JP,A)
【文献】特開2015-138387(JP,A)
【文献】特開2017-037484(JP,A)
【文献】特開2018-027667(JP,A)
【文献】特開2018-045421(JP,A)
【文献】特開2017-027619(JP,A)
【文献】特開2017-167911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09 - 3/12
B41J 5/00 - 5/52
B41J 21/00 -21/18
B41J 29/00 -29/70
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00 -21/02
G03G 21/14
G06F 3/01
G06F 3/048- 3/0489
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記通信装置は、
表示部と、
無線インタフェースと、
コンピュータと、
前記コンピュータによって実行されるOS(Operation Systemの略)プログラムと、
を備え、
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、
前
記無線インタフェースを介した無線通信を
外部装置と実行することをユーザに選択させるための選択画像と、複数個の項目画像と、を含む特定画面を前記表示部に表示させる表示制御部と、
前記特定画面に含まれる前記選択画像が前記ユーザによって選択される第1の場合に、前記無線通信を前記
外部装置と実行するためのトリガ指示を前記OSプログラムに供給する供給部であって、
前記トリガ指示は、前記OSプログラムに、前記無線通信を前記
外部装置と実行するのに必要な所定動作を前記ユーザに促すための第1の画像を前記表示部に表示させるための指示を含み、
前記第1の画像は、前記特定画面に含まれる前記複数個の項目画像のうちの少なくとも一部の項目画像が表示されなくなるように表示される、前記供給部と、
前記第1の場合に、前記少なくとも一部の項目画像に関係する対象情報を出力する出力制御部と、
として機能させる、コンピュータプログラム。
【請求項2】
前記トリガ指示は、前記OSプログラムに、前記無線通信に関するモードを無効化状態から有効化状態に変更するための変更指示を前
記無線インタフェースに供給させるための指示を含む、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記出力制御部は、前記対象情報を示す第2の画像を前記表示部に表示させる、請求項1又は2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記出力制御部は、前記第1の画像が表示される領域に重複しないように前記第2の画像を前記表示部に表示させる、請求項3に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記外部装置は、特定の画像処理を実行可能であり、
前記対象情報は、前記特定の画像処理によって処理されるべき画像のプレビュー画像を含む、請求項3又は4に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記OSプログラムは、前記無線通信が前記
外部装置と実行される第2の場合に、前記第1の画像の表示を中止し、
前記出力制御部は、前記第2の場合に、前記第2の画像の表示を中止する、請求項3から5のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記OSプログラムは、前記無線通信の実行のキャンセルが前記ユーザによって指示される第3の場合に、前記第1の画像の表示を中止し、
前記出力制御部は、前記第3の場合に、前記第2の画像の表示を中止する、請求項3から6のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記外部装置は、特定の画像処理を実行可能であり、
前記対象情報は、前記特定の画像処理において利用されるべき画像処理設定を示す設定情報を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
前
記無線インタフェースは、NFC(Near Field Communicationの略)方式に従った無線通信を実行するためのインタフェースである、請求項1から8のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
通信装置であって、
表示部と、
無線インタフェースと、
前
記無線インタフェースを介した無線通信を
外部装置と実行することをユーザに選択させるための選択画像と、複数個の項目画像と、を含む特定画面を前記表示部に表示させる表示制御部と、
前記特定画面に含まれる前記選択画像がユーザによって選択される第1の場合に、前記無線通信を前記
外部装置と実行するためのトリガ指示を前記通信装置のOS(Operation Systemの略)プログラムに供給する供給部であって、
前記トリガ指示は、前記OSプログラムに、前記無線通信を前記
外部装置と実行するのに必要な所定動作を前記ユーザに促すための第1の画像を前記表示部に表示させるための指示を含み、
前記第1の画像は、前記特定画面に含まれる前記複数個の項目画像のうちの少なくとも一部の項目画像が表示されなくなるように表示される、前記供給部と、
前記第1の場合に、前記少なくとも一部の項目画像に関係する対象情報を出力する出力制御部と、
を備える、通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、外部装置と通信可能な通信装置に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、MFP(Multi-Function Peripheralの略)と通信可能な携帯型通信端末装置が開示されている。当該端末装置は、用紙種、用紙幅等の設定項目等と、NFC通信の準備が整ったことをユーザに通知するメッセージと、を含む画面を表示する。当該画面では、設定項目等が表示される領域とメッセージが表示される領域とが異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-27619号公報
【文献】特開2017-167911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、例えば、或る画像が表示されている状態で他の画像が表示される際に、当該或る画像の少なくとも一部が表示されなくなるように当該他の画像が表示される構成(例えば当該或る画像の前面に当該他の画像が表示される構成)は想定されていない。このような構成では、ユーザは、当該或る画像の少なくとも一部を認識することができない。本明細書では、互いに異なる画像が表示される際のユーザの利便性を向上させることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、通信装置のためのコンピュータプログラムを開示する。前記通信装置は、表示部と、無線インタフェースと、コンピュータと、前記コンピュータによって実行されるOS(Operation Systemの略)プログラムと、を備え、前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、前記無線インタフェースを介した無線通信を外部装置と実行することをユーザに選択させるための選択画像と、複数個の項目画像と、を含む特定画面を前記表示部に表示させる表示制御部と、前記特定画面に含まれる前記選択画像が前記ユーザによって選択される第1の場合に、前記無線通信を前記外部装置と実行するためのトリガ指示を前記OSプログラムに供給する供給部であって、前記トリガ指示は、前記OSプログラムに、前記無線通信を前記外部装置と実行するのに必要な所定動作を前記ユーザに促すための第1の画像を前記表示部に表示させるための指示を含み、前記第1の画像は、前記特定画面に含まれる前記複数個の項目画像のうちの少なくとも一部の項目画像が表示されなくなるように表示される、前記供給部と、前記特定画面が前記表示部に表示された後の前記第1の場合に、前記少なくとも一部の項目画像に関係する対象情報を出力する出力制御部と、として機能させてもよい。
【0006】
上記の構成によると、OSプログラムは、特定画面に含まれる複数個の項目画像のうちの少なくとも一部の項目画像が表示されなくなるように第1の画像を表示する。このような状況において、通信装置は、当該少なくとも一部の項目画像に関係する対象情報を出力する。これにより、ユーザは、当該少なくとも一部の項目画像が表示されなくなっても、当該少なくとも一部の項目画像に関係する対象情報を認識することができる。このため、ユーザの利便性が向上する。
【0007】
上記のコンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能記録媒体、及び、通信装置そのものも、新規で有用である。また、上記の通信装置と外部装置とを備える通信システムも、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】印刷スキャンアプリ処理のフローチャートを示す。
【
図9】印刷が実行されるケースA1のシーケンス図を示す。
【
図11】印刷が実行されないケースA2のシーケンス図を示す。
【
図12】スキャンが実行されるケースBのシーケンス図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(通信システム2の構成;
図1)
図1に示すように、通信システム2は、携帯端末10と、多機能機(以下では「MFP(Multi-Function Peripheralの略)」と呼ぶ)100と、を備える。携帯端末10及びMFP100は、Wi-Fi方式に従った無線通信であるWi-Fi通信、及び、NFC(Near Field Communicationの略)方式に従った無線通信であるNFC通信を相互に実行可能である。
【0010】
(携帯端末10の構成)
携帯端末10は、例えば、携帯電話、スマートフォン、PDA、ノートPC、タブレットPC、携帯型音楽再生装置、携帯型動画再生装置等の可搬型の通信装置である。携帯端末10は、操作部12と、表示部14と、スピーカ16と、Wi-Fiインタフェース(以下ではインタフェースを「I/F」と記載する)30と、NFCI/F32と、制御部40と、を備える。
【0011】
操作部12は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示を携帯端末10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。表示部14は、いわゆるタッチパネル(即ち操作部)としても機能する。スピーカ16は、音声データを出力する。
【0012】
Wi-FiI/F30は、Wi-Fi方式に従ったWi-Fi通信を実行するためのI/Fである。Wi-Fi方式は、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略)の802.11の規格、及び、それに準ずる規格(例えば、802.11a、11b、11g、11n、11ac等)に基づく無線通信方式である。
【0013】
NFCI/F32は、NFC方式に従ったNFC通信を実行するためのI/Fである。NFC方式は、例えば、ISO/IEC14443、15693、18092などの国際標準規格に基づく無線通信方式である。なお、NFC通信を実行するためのI/Fの種類として、NFCフォーラムデバイス(NFC Forum Device)と呼ばれるI/Fと、NFCフォーラムタグと呼ばれるI/Fと、が知られている。NFCI/F32は、NFCフォーラムデバイスであり、P2P(Peer To Peerの略)モード、R/W(Reader/Writerの略)モード、及び、CE(Card Emulationの略)モードのいずれかで選択的に動作可能である。
【0014】
Wi-FiI/F30とNFCI/F32との相違点を説明しておく。Wi-FiI/F30を介したWi-Fi通信の通信速度(例えば最大の通信速度が600Mbps)は、NFCI/F32を介したNFC通信の通信速度(例えば最大の通信速度が424Kbps)よりも速い。また、Wi-FiI/F30を介したWi-Fi通信における搬送波の周波数(例えば2.4GHz帯又は5.0GHz帯)は、NFCI/F32を介したNFC通信における搬送波の周波数(例えば13.56MHz帯)とは異なる。また、Wi-FiI/F30を介したWi-Fi通信を実行可能な最大の距離(例えば最大で約100m)は、NFCI/F32を介したNFC通信を実行可能な最大の距離(例えば最大で約10cm)よりも大きい。
【0015】
制御部40は、CPU42と、メモリ44と、を備える。メモリ44は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。CPU42は、メモリ44に格納されている各プログラム46、48に従って、様々な処理を実行する。OS(Operation Systemの略)プログラム46は、携帯端末10の種々の基本的な動作を制御するためのプログラムであり、本実施例では、iOS(登録商標)である状況を想定している。印刷スキャンアプリ48は、MFP100のベンダによって提供されるアプリケーションであり、例えば、インターネット上のサーバから携帯端末10にインストールされる。印刷スキャンアプリ48は、携帯端末10とMFP100との間にWi-Fi接続を確立させたり、携帯端末10とMFP100との間でWi-Fi接続を利用して対象データ(例えば印刷データ、スキャンデータ)の通信を実行させたりするためのアプリケーションである。
【0016】
(MFP100の構成)
MFP100は、印刷機能及びスキャン機能を含む多機能を実行可能な周辺装置(例えば携帯端末10の周辺装置)である。MFP100には、MFP100を識別する情報であるデバイス名「DDD1」が割り当てられている。MFP100は、操作部112と、表示部114と、印刷実行部116と、スキャン実行部118と、Wi-FiI/F130と、NFCI/F132と、制御部140と、を備える。
【0017】
操作部112は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部112を操作することによって、様々な指示をMFP100に入力することができる。表示部114は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。表示部114は、いわゆるタッチパネル(即ち操作部)としても機能する。印刷実行部116は、インクジェット式、レーザ方式等の印刷機構である。スキャン実行部118は、CCD、CIS等のスキャン機構である。
【0018】
Wi-FiI/F130及びNFCI/F132は、それぞれ、携帯端末10のWi-FiI/F30及びNFCI/F32と同様である。ただし、Wi-FiI/F130は、特に、Wi-Fi Allianceによって策定されたWFD(Wi-Fi Direct(登録商標)の略)方式をサポートしている。WFD方式は、Wi-Fi Allianceによって作成された規格書「Wi-Fi Peer-to-Peer (P2P) Technical Specification Version1.5」に記述されている無線通信方式である。なお、変形例では、NFCI/F132は、NFCフォーラムタグであってもよい。
【0019】
制御部140は、CPU142と、メモリ144と、を備える。CPU142は、メモリ144に格納されているプログラム146に従って、様々な処理を実行する。メモリ144は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。
【0020】
(印刷スキャンアプリ処理;
図2)
続いて、
図2を参照して、携帯端末10のCPU42が印刷スキャンアプリ48に従って実行する処理について説明する。印刷スキャンアプリ48を起動させるための操作がユーザによって実行される場合に、
図2の処理が開始される。
図2の処理が開始される時点において、携帯端末10のNFCI/F32のいずれのモード(即ち、P2Pモード、R/Wモード、CEモード)も無効化状態である。無効化状態は、NFC通信を実行不可能な状態であり、例えば、NFCI/F32に対する電力供給が実行されていない状態である。なお、以下では、説明の便宜上、CPU42を主体として記載せずに、CPU42が印刷スキャンアプリ48に従って実行する処理の主体、CPU42がOSプログラム46に従って実行する処理の主体を、それぞれ、「アプリ48」、「OS46」と記載する。
【0021】
S10において、アプリ48は、デバイス選択画面D1を表示部14に表示させる。
図5(A)に示されるように、デバイス選択画面D1は、印刷又はスキャンを実行すべきデバイスを選択することをユーザに指示するメッセージと、デバイス選択欄と、を含む。アプリ48は、ユーザによってデバイス選択欄のプルダウンボタンが操作されると、携帯端末10とのWi-Fi接続を確立可能な装置のデバイス名(デバイス名「DDD1」等)と、NFC通信を意味する文字列「NFC」と、を示すプルダウンメニューPd1を表示部14に表示させる。ユーザは、プルダウンメニューPd1に表示される複数の情報から1個の情報を選択するデバイス選択操作を実行することができる。
【0022】
S12において、アプリ48は、デバイス選択操作が実行されることを監視する。アプリ48は、デバイス選択操作が実行されると(S12でYES)、S14に進む。以下では、デバイス選択操作において、文字列「NFC」が選択される場合を例として説明を続ける。
【0023】
S14において、アプリ48は、機能選択画面D2を表示部14に表示させる。
図5(B)に示されるように、機能選択画面D2は、印刷機能及びスキャン機能に対応する2個のボタンと、S12で選択された文字列「NFC」と、を含む。
【0024】
S20及びS30において、アプリ48は、機能選択画面D2上の印刷ボタン及びスキャンボタンのどちらかが選択されることを監視する。アプリ48は、印刷ボタンがユーザによって選択されると、S20でYESと判断し、S22において、印刷処理(
図3参照)を実行する。一方、アプリ48は、スキャンボタンがユーザによって選択されると、S30でYESと判断し、S32において、スキャン処理(
図4参照)を実行する。S22又はS32が終了すると、
図2の処理が終了する。なお、
図7(A)及び(B)は、スキャンボタンが選択されるまでの各画面を示す。
【0025】
(印刷処理;
図3)
続いて、
図3を参照して、
図2のS22で実行される印刷処理の内容を説明する。S50において、アプリ48は、ファイル選択画面D3を表示部14に表示させる。
図5(C)に示されるように、ファイル選択画面D3は、メモリ44に記憶されている複数個のファイルの複数個のファイル名を示す複数個のファイル選択ボタンF1~F4を含む。
【0026】
S52において、アプリ48は、ファイル選択操作が実行されることを監視する。ファイル選択操作は、ファイル選択画面D3上の複数個のファイル選択ボタンF1~F4のうちの1個のファイル選択ボタンを選択する操作である。アプリ48は、ファイル選択操作が実行されると、S52でYESと判断し、S54に進む。以下では、ファイル選択ボタンF1が選択される場合を例として説明を続ける。
【0027】
S54において、アプリ48は、印刷プレビュー画面D4を表示部14に表示させる。
図5(D)に示されるように、印刷プレビュー画面D4は、S52で選択されたファイルによって表わされる印刷プレビュー画像Pv1と、NFCボタンと、設定ボタンと、を含む。
【0028】
印刷プレビュー画像Pv1は、アプリ48に予め設定されているデフォルトの印刷設定に適合する画像である。ユーザは、印刷プレビュー画像Pv1を見ることによって、どのような態様で画像が印刷されるのかを知ることができる。NFCボタンは、NFCI/F32のR/Wモードを無効化状態から有効化状態に変更するためのボタンである。有効化状態は、R/Wモードに従ったNFC通信を実行可能な状態であり、例えば、NFCI/F32に対する電力供給が実行されている状態である。設定ボタンは、印刷設定を実行するためのボタンである。
【0029】
S60において、アプリ48は、印刷プレビュー画面D4内の設定ボタンが操作されることを監視する。アプリ48は、設定ボタンが選択されると、S60でYESと判断し、S62に進む。
【0030】
S62において、アプリ48は、印刷設定画面D5を表示部14に表示させる。
図5(E)に示されるように、印刷設定画面D5は、印刷用紙のサイズを設定するためのサイズ設定欄と、両面印刷を実行するのか否かを設定するための両面印刷設定欄と、印刷用紙の種類を設定するための用紙設定欄と、印刷画質のモードを設定するためのモード設定欄と、OKボタンと、を含む。ユーザは、印刷設定画面D5において、印刷設定を変更することができる。
【0031】
S64において、アプリ48は、印刷設定画面D5内のOKボタンが操作されることを監視する。アプリ48は、OKボタンが選択されると、S64でYESと判断し、S54において、印刷プレビュー画面D4を表示部14に再び表示させる。ここで、アプリ48は、OKボタンが選択される際に印刷設定画面D5上に表示されている印刷設定(即ちユーザによって指定された印刷設定)に適合する印刷プレビュー画像Pv1を含む印刷プレビュー画面D4を表示させる。
【0032】
また、アプリ48は、S60の監視と並行して、S78において、印刷プレビュー画面D4内のNFCボタンが操作されることを監視する。アプリ48は、NFCボタンが選択されると、S78でYESと判断し、S80に進む。
【0033】
アプリ48は、S80において、印刷プレビュー画面D4の前面に対象情報画像P2(
図6参照)を表示させる。
図6に示されるように、対象情報画像P2は、NFCボタンが選択される際に印刷プレビュー画面D4に表示されている印刷プレビュー画像Pv1が縮小された縮小画像と、NFCボタンが選択される際の印刷設定を示す印刷設定画像と、を含む。
【0034】
S82において、アプリ48は、トリガ指示をOS46に供給する。トリガ指示は、OS46に以下の(1)及び(2)を要求するための指示である。(1)NFC画像P1(
図6参照)を表示部14に表示する。(2)R/Wモードを無効化状態から有効化状態に変更するためのR/WモードON指示をNFCI/F32に供給する。
【0035】
OS46は、トリガ指示を取得することに応じて、NFC画像P1を表示部14に表示させる。
図6に示されるように、NFC画像P1は、NFC通信を実行可能であることをユーザに通知するためのメッセージと、携帯端末10をMFPに近づけることをユーザに促すためのメッセージと、キャンセルボタンと、を含む。NFC画像P1は、所定の幅及び所定の高さを有する矩形状を有する。そして、NFC画像P1は、表示部14内の所定の基準位置に表示される。特に、NFC画像P1は、印刷プレビュー画面D4の前面に表示される。従って、本実施例では、印刷プレビュー画面D4内のNFCボタン、設定ボタン、及び、印刷プレビュー画像Pv1の一部が表示されなくなるように、NFC画像P1が表示される。このため、ユーザは、NFCボタン、設定ボタン、及び、印刷プレビュー画像Pv1の一部を認識することができなくなる。
【0036】
上述したように、アプリ48は、S80において、縮小画像と、印刷設定画像と、を含む対象情報画像P2を表示させる。従って、対象情報画像P2は、OS46によってNFC画像P1が表示されることに起因して表示されなくなる印刷プレビュー画像Pv1に関係する情報(即ち縮小画像)と、OS46によってNFC画像P1が表示されることに起因して表示されなくなる設定ボタンに関係する情報(即ち印刷設定)と、を表わす画像である。このため、ユーザは、対象情報画像P2を見ることによって、OS46によってNFC画像P1が表示されることに起因して表示されなくなる画像に関係する情報を認識することができる。
【0037】
また、OS46によってNFC画像P1が表示されると、CPU42がOS46の制御下となることに起因して、アプリ48が対象情報画像P2を表示させることができなくなる可能性がある。このような可能性に鑑みて、本実施例では、アプリ48は、NFCボタンが操作される場合(S78でYES)に、NFC画像P1が表示される前に(即ちトリガ指示をOS46に供給する前に)、対象情報画像P2を表示させる(S80)。このため、アプリ48は、OS46によってNFC画像P1が表示される前に、対象情報画像P2を適切に表示させることができる。なお、変形例では、アプリ48は、S82の処理を実行した後にS80の処理を実行してもよい。
【0038】
また、アプリ48は、NFC画像P1が表示される領域(即ち、上述の基準位置、幅及び高さ)を予め記憶している。そして、アプリ48は、NFC画像P1が表示される領域に重複しないように対象情報画像P2を表示させる。従って、ユーザは、NFC画像P1と対象情報画像P2との双方を適切に認識することができる。なお、アプリ48は、本実施例では、印刷プレビュー画面D4を表示部14から消すことなく、印刷プレビュー画面D4の前面に対象情報画像P2を表示させるが、変形例では、印刷プレビュー画面D4に代えて(即ち印刷プレビュー画面D4を消して)、対象情報画像P2を表示させてもよい。
【0039】
また、OS46は、アプリ48からトリガ指示を取得すると、NFCI/F32のR/Wモードを有効化状態に変更するためのR/WモードON指示をNFCI/F32に供給する。この結果、NFCI/F32のR/Wモードが無効化状態から有効化状態に変更される。
【0040】
S84において、アプリ48は、OS46からキャンセル情報を取得することを監視する。キャンセル情報は、NFC画像P1内のキャンセルボタンが操作されたことを示す情報である。アプリ48は、OS46からキャンセル情報を取得すると(S84でYES)、S86及びS88をスキップしてS90に進む。
【0041】
また、アプリ48は、S84の監視と並行して、S86において、OS46から確立情報を取得することを監視する。確立情報は、MFP(例えばMFP100)とのWi-Fi接続が確立されたことを示す情報である。トリガ指示がOS46に供給された後に、携帯端末10とMFP100との間の距離がNFC通信を実行可能な最大の距離(例えば10cm)よりも短くなると、携帯端末10とMFP100との間にNFC接続が確立される。この場合、NFCI/F32は、R/WモードのうちのReaderモードで動作して、MFP100から無線設定情報を読み出す(即ち受信する)。そして、OS46は、NFCI/F32から無線設定情報を取得する。無線設定情報は、WFD方式のG/O(Group Ownerの略)として動作しているMFP100とのWi-Fi無続を確立するための情報であり、MFP100によって形成される無線ネットワークのSSID(Service Set Identifierの略)、パスワード等を含む。そして、OS46は、無線設定情報を含む接続指示をWi-FiI/F30に供給する。これにより、Wi-FiI/F30は、無線設定情報を利用して、MFP100とのWi-Fi接続を確立し、MFP100がG/Oとして動作する無線ネットワークに子局として参加する。この場合、OS46は、Wi-FiI/F30からWi-Fi接続が確立されたことを示す確立情報を取得し、確立情報をアプリ48に供給する。アプリ48は、OS46から確立情報を取得すると(S86でYES)、S88に進む。
【0042】
S88において、アプリ48は、S52で選択されたファイルを変換してMFP100が解釈可能なデータ形式を有する印刷データを生成し、Wi-FiI/F30を介して(即ちWi-Fi接続を利用して)、当該印刷データと印刷設定とを含む印刷実行要求をMFP100に送信する。このように、アプリ48は、NFC通信よりも通信速度が速いWi-Fi通信を利用して印刷実行要求をMFP100に送信するので、印刷実行要求をMFP100に迅速に送信することができる。
【0043】
S90において、アプリ48は、終了指示をOS46に供給する。終了指示は、OS46に、以下の(1)及び(2)を要求するための指示である。(1)NFC画像P1の表示を中止する。(2)R/Wモードを有効化状態から無効化状態に変更するためのR/WモードOFF指示をNFCI/F32に供給する。OS46は、アプリ48から終了指示を取得すると、NFC画像P1の表示を中止し、R/Wモードを有効化状態から無効化状態に変更するためのR/WモードOFF指示をNFCI/F32に供給する。
【0044】
S92において、アプリ48は、OS46から終了情報を取得することを監視する。終了情報は、終了指示をOS46に供給することに応じてOS46から取得される情報であって、OS46がNFC画像P1の表示を中止したことを示す情報である。
【0045】
アプリ48は、終了情報をOS46から取得すると(S92でYES)、S94において、対象情報画像P2の表示を中止する。また、アプリ48は、印刷プレビュー画面D4の表示も中止する。
【0046】
(スキャン処理;
図4)
続いて、
図4を参照して、
図2のS32で実行されるスキャン処理の内容を説明する。S100において、アプリ48は、スキャン設定画面D15を表示部14に表示させる。
図7(C)に示されるように、スキャン設定画面D15は、MFP100がスキャンすべき原稿のサイズを選択するサイズ設定欄と、当該原稿の両面スキャンを実行させるのか否かを設定するための両面スキャン設定欄と、当該原稿のスキャン解像度を設定するための解像度設定欄と、NFCボタンと、を含む。ユーザは、スキャン設定画面D15において、スキャン設定を変更することができる。
【0047】
S102は、
図3のS78と同様である。S104において、アプリ48は、スキャン設定画面D15の前面に対象情報画像P3(
図8参照)を表示させる。
図8に示されるように、対象情報画像P3は、NFCボタンが選択される際のスキャン設定(即ち、サイズ設定、両面スキャン設定、及び、解像度設定)を示すスキャン設定画像を含む。
【0048】
S106は、
図3のS82と同様である。OS46は、アプリ48からトリガ指示を取得することに応じて、NFC画像P1を表示部14に表示させる。
図8に示されるように、NFC画像P1は、スキャン設定画面D15の前面に表示される。従って、本実施例では、スキャン設定画面D15内のNFCボタン、及び、解像度設定欄の一部が表示されなくなるように、NFC画像P1が表示される。このため、ユーザは、NFCボタン及び解像度設定欄の一部を認識することができなくなる。
【0049】
上述したように、アプリ48は、S104において、スキャン設定画像を含む対象情報画像P3を表示させる。従って、対象情報画像P3は、OS46によってNFC画像P1が表示されることに起因して表示されなくなる解像度設定欄に関係する情報(即ち解像度設定)を表わす画像である。このため、ユーザは、対象情報画像P3を見ることによって、OS46によってNFC画像P1が表示されることに起因して表示されなくなる画像に関係する情報を認識することができる。また、アプリ48は、上述した印刷処理と同様に、NFCボタンが操作される場合(S102でYES)に、NFC画像P1が表示される前に(即ちトリガ指示をOS46に供給する前に)、対象情報画像P3を表示させる(S104)。このため、アプリ48は、OS46によってNFC画像P1が表示される前に、対象情報画像P3を適切に表示させることができる。また、アプリ48は、NFC画像P1が表示される領域に重複しないように対象情報画像P3を表示させる。従って、ユーザは、NFC画像P1と対象情報画像P3との双方を適切に認識することができる。
【0050】
また、OS46は、アプリ48からトリガ指示を取得すると、NFCI/F32のR/Wモードを有効化状態に変更するためのR/WモードON指示をNFCI/F32に供給する。この結果、NFCI/F32のR/Wモードが無効化状態から有効化状態に変更される。
【0051】
S108及びS110は、
図3のS84及びS86と同様である。アプリ48は、OS46から確立情報を取得すると(S110でYES)、S112において、Wi-FiI/F30を介して、スキャン設定を含むスキャン実行要求をMFP100に送信する。この結果、MFP100において、スキャン設定に従った原稿のスキャンが実行され、スキャンデータが生成される。そして、アプリ48は、Wi-FiI/F30を介して、MFP100からスキャンデータを受信する。S114~S118は、
図3のS90~S94と同様である。S118が終了すると、
図4の処理が終了する。
【0052】
(具体的なケース)
続いて、
図9~
図12を参照して、
図2~
図4の各処理によって実現される具体的なケースについて説明する。各ケースの初期状態では、MFP100は、WFD方式のG/Oとして動作しており、無線設定情報を記憶している。また、携帯端末10のNFCI/F32のP2Pモード、R/Wモード、及び、CEモードは、いずれも無効化状態である。
【0053】
(ケースA1;
図9、
図10)
まず、
図9及び
図10を参照して、ケースA1について説明する。本ケースは、MFP100に印刷を実行させるケースである。
図9のT10において、アプリ48を起動させるための操作がユーザによって実行される。この場合、T12において、アプリ48は、デバイス選択画面D1(
図5(A)参照)を表示する(
図2のS10)。
【0054】
アプリ48は、T14において、文字列「NFC」を選択するデバイス選択操作を受け付けると(S12でYES)、T16において、機能選択画面D2(
図5(B)参照)を表示する(S14)。次いで、アプリ48は、T18において、印刷ボタンの選択を受け付けると(S20でYES)、T20において、ファイル選択画面D3(
図5(C)参照)を表示する(
図3のS50)。次いで、アプリ48は、T22において、ファイル選択ボタンF1の選択を受け付けると(S52でYES)、T24において、印刷プレビュー画面D4(
図5(D)参照)を表示する(S54)。
【0055】
その後、アプリ48は、T40において、設定ボタンの選択を受け付けると(S60でYES)、T42において、印刷設定画面D5(
図5(E)参照)を表示する(S62)。アプリ48は、T44において、印刷設定操作を受け付け、T46において、OKボタンの操作を受け付けると(S64でYES)、T48において、印刷プレビュー画面D4(
図5(D)参照)を再び表示する(S54)。
【0056】
アプリ48は、T50において、NFCボタンの選択を受け付けると(S78でYES)、T62において、対象情報画像P2(
図6参照)を表示部14に表示する(S80)。そして、アプリ48は、T64において、トリガ指示をOS46に供給する(S82)。
【0057】
OS46は、T64において、アプリ48からトリガ指示を取得すると、T66において、R/WモードON指示をNFCI/F32に供給する。また、OS46は、T68において、NFC画像P1(
図6参照)を表示する。
【0058】
NFCI/F32は、T68において、OS46からR/WモードON指示を取得すると、T70において、R/Wモードを無効化状態から有効化状態に変更し、T72において、ポーリング信号の送信を開始する。その後、ユーザが携帯端末10をMFP100に近づけると、MFP100によってポーリング信号が受信され、T80において、携帯端末10とMFP100との間にNFC接続が確立される。この場合、NFCI/F32は、T82において、NFC接続を利用して、MFP100から無線設定情報を受信し、T84において、無線設定情報をOS46に供給する。
【0059】
OS46は、T84において、NFCI/F32から無線設定情報を取得すると、T86において、無線設定情報を含む接続指示をWi-FiI/F30に供給する。この場合、Wi-FiI/F30は、T88において、MFP100のWi-FiI/F130とのWi-Fi接続を確立し、T90において、確立情報をOS46に供給する。
【0060】
アプリ48は、
図10のT92において、OS46から確立情報を取得すると(S86でYES)、T100において、印刷データを生成し、T102において、印刷データと印刷設定とを含む印刷実行要求をWi-FiI/F30に供給する(S88)。この結果、Wi-FiI/F30は、T104において、印刷実行要求をMFP100に送信する。
【0061】
MFP100は、T104において、携帯端末10から印刷実行要求を受信すると、T106において、印刷実行要求内の印刷データと印刷設定とを印刷実行部116に供給して、当該印刷データによって表わされる画像の印刷を印刷実行部116に実行させる。
【0062】
アプリ48は、T110において、終了指示をOS46に供給する(S90)。この場合、OS46は、T112において、R/WモードOFF指示をNFCI/F32に供給する。また、OS46は、T114において、NFC画像P1の表示を中止する。NFCI/F32は、T112において、OS46からR/WモードOFF指示を取得すると、T116において、R/Wモードを有効化状態から無効化状態に変更し、ポーリング信号の送信を停止する。
【0063】
OS46は、T114においてNFC画像P1の表示を中止すると、T118において、終了情報をアプリ48に供給する。この場合、アプリ48は、T120において、対象情報画像P2の表示を中止する(S94)。
【0064】
(ケースA1の効果)
印刷プレビュー画面D4内のNFCボタンが選択される場合、OS46は、印刷プレビュー画面D4の前面にNFC画像P1を表示する。NFC画像P1の表示はOS46によって制御されるため、アプリ48は、NFC画像P1の表示位置等を制御することができない。このような状況では、アプリ48によって表示されていた印刷プレビュー画面D4内のNFCボタン、設定ボタン、及び、印刷プレビュー画像Pv1の一部がNFC画像P1と重複する(
図6参照)ので、ユーザは、これらの情報を認識することができなくなる。そこで、本実施例では、アプリ48は、印刷プレビュー画面D4の前面に対象情報画像P2を表示する(T62)。このように、アプリ48は、NFC画像P1が表示されることに起因して表示されなくなる画像(即ち、設定ボタン、印刷プレビュー画像Pv1)に関係する情報(即ち、縮小画像、印刷設定画像)を印刷プレビュー画面D4の前面に新たに表示するため、ユーザは、OS46によってNFC画像P1が表示された場合であっても、これらの情報を認識することができる。このため、ユーザの利便性が向上する。
【0065】
また、NFC通信が実行されることに応じて(T80)、OS46はNFC画像P1の表示を中止し(T114)、アプリ48は対象情報画像P2の表示を中止する(T120)。このように、ユーザが携帯端末10をMFP100に近づければ(即ち、携帯端末10とMFP100との間のNFC通信が実行されれば)、自動的に各画像P1、P2の表示が中止される。このために、ユーザは、各画像P1、P2の表示を中止するための操作を実行しなくてもよい。このため、ユーザの利便性が向上する。
【0066】
(ケースA2;
図11)
続いて、
図11を参照して、ケースA2について説明する。本ケースは、MFP100に印刷を実行させないケースである。即ち、本ケースでは、携帯端末10とMFP100との間のNFC通信の実行がユーザによってキャンセルされる。まず、
図11に示されるように、アプリ48は、
図9のT10~T48と同様の処理を実行する。
【0067】
T150~T164は、
図9のT50~T64と同様である。即ち、アプリ48は、T162において、対象情報画像P2(
図6参照)を表示部14に表示すると(
図3のS80)、T164において、トリガ指示をOS64に供給する(S82)。T166~T172は、
図9のT66~T72と同様である。即ち、OS46は、T164において、アプリ48からトリガ指示を取得すると、T168において、NFC画像P1(
図6参照)を表示する。
【0068】
その後、OS46は、T174において、キャンセルボタンの選択を受け付けると、T176において、キャンセル情報をアプリ48に供給する。アプリ48は、T176において、OS46からキャンセル情報を取得すると(S84でYES)、T178において、終了指示をOS46に供給する(S90)。T180~T188は、
図10のT112~120と同様である。
【0069】
(ケースA2の効果)
本ケースでは、印刷プレビュー画面D4内のNFCボタンが選択される場合(T150)に、アプリ48は、対象情報画像P2を表示する(T162)。ユーザは、対象情報画像P2に含まれる印刷設定等を確認しながら、MFP100に印刷処理を実行させるのか否かを決定することができる。そして、ユーザによってキャンセルボタンが選択されることに応じて(T174)、OS46はNFC画像P1の表示を中止し(T182)、アプリ48は対象情報画像P2の表示を中止する(T188)。このように、ユーザがNFC画像P1の表示を中止するためのキャンセルボタンの操作を実行すれば、対象情報画像P2の表示が自動的に中止される。ユーザは、キャンセルボタンの操作に加えて、対象情報画像P2の表示を中止するための操作を実行せずに済む。このため、ユーザの利便性が向上する。
【0070】
(ケースB;
図12)
続いて、
図12を参照して、ケースBについて説明する。本ケースは、MFP100にスキャンを実行させるケースである。T210~T216は、
図9のT10~T16と同様である。アプリ48は、T218において、スキャンボタンの操作を受け付けると(
図2のS30でYES)、T220において、スキャン設定画面D15(
図7(C)参照)を表示する(
図4のS100)。その後、アプリ48は、T240において、スキャン設定操作を受け付ける。そして、アプリ48は、T250において、NFCボタンの選択を受け付けると(S102でYES)、T264において、対象情報画像P3(
図8参照)を表示し(S104)、T265において、トリガ指示をOS46に供給する(S106)。T266~T290は、
図9のT66~T90と同様である。
【0071】
アプリ48は、T292において、OS46から確立情報を取得すると(S110でYES)、T300において、スキャン設定を含むスキャン実行要求をWi-FiI/F30に供給する。この結果、Wi-FiI/F30は、T302において、スキャン実行要求をMFP100に送信する(S112)。
【0072】
MFP100は、T302において、携帯端末10からスキャン実行要求を受信すると、T304において、スキャン実行要求内のスキャン設定に従って、MFP100にセットされている原稿のスキャンをスキャン実行部118に実行させ、T306において、スキャンデータを携帯端末10に送信する。
【0073】
アプリ48は、T308において、Wi-FiI/F30を介して、MFP100からスキャンデータを受信する。T310~T318は、
図10のT110~T118と同様である。アプリ48は、T318において、OS46から終了情報を取得すると(S116でYES)、T320において、対象情報画像P3の表示を中止する(S118)。
【0074】
(ケースBの効果)
スキャン設定画面D15内のNFCボタンが選択される場合、OS46は、スキャン設定画面D15の前面にNFC画像P1を表示する。上述したように、NFC画像P1の表示はOS46によって制御されるため、アプリ48は、NFC画像P1の表示位置等を制御することができない。このような状況では、アプリ48によって表示されていたスキャン設定画面D15内の解像度設定欄の一部がNFC画像P1と重複し(
図8参照)、ユーザは、解像度設定を視認することができなくなる。そこで、本実施例では、アプリ48は、スキャン設定画面D15の前面に対象情報画像P3を表示する(T264)。このように、アプリ48は、NFC画像P1が表示されることに起因して表示されなくなる画像(即ち、解像度設定欄)に関係する情報(即ち、スキャン設定画像)をスキャン設定画面D15の前面に新たに表示するため、ユーザは、OS46によってNFC画像P1が表示された場合であっても、これらの情報を認識することができる。このため、ユーザの利便性が向上する。
【0075】
(対応関係)
携帯端末10、MFP100が、それぞれ、「通信装置」、「外部装置」の一例である。表示部14、NFCI/F32が、それぞれ、「表示部」、「無線インタフェース」の一例である。
図5(D)の印刷プレビュー画面D4、及び、
図7(C)のスキャン設定画面D15が、「特定画面」の一例である。印刷プレビュー画面D4内のNFCボタン、及び、スキャン設定画面D15内のNFCボタンが、「選択画像」の一例である。印刷プレビュー画面D4内の印刷プレビュー画像Pv1、設定ボタン、及び、スキャン設定画面D15内の解像度設定欄が、「少なくとも一部の項目画像」の一例である。
図9のT50、
図11のT150、及び、
図12のT250の処理が、「第1の場合」の一例である。携帯端末10をMFP100に近づけることが、「所定動作」の一例である。
図6及び
図8のNFC画像P1が、「第1の画像」の一例である。
図6の対象情報画像P2及び
図8の対象情報画像P3が、「第2の画像」の一例である。
図6の対象情報画像P2内の印刷プレビュー画像Pv1の縮小画像及び印刷設定画像、及び、
図8の対象情報画像P3内のスキャン設定画像が、「対象情報」の一例である。R/Wモードが、「無線通信に関するモード」の一例である。R/WモードON指示が、「変更指示」の一例である。印刷処理及びスキャン処理が、「特定の画像処理」の一例である。印刷設定画像及びスキャン設定画像が、「設定情報」の一例である。
図9のT80及び
図12のT280の処理が、「第2の場合」の一例である。
図11のT174の処理が、「第3の場合」の一例である。
【0076】
図3のS54及び
図4のS100が、「表示制御部」によって実行される処理の一例である。
図3のS82及びS4のS106が、「供給部」によって実行される処理の一例である。
図3のS80及び
図4のS104が、「出力制御部」によって実行される処理の一例である。
【0077】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲の記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0078】
(変形例1)上記の実施例では、アプリ48は、NFCボタンが選択される場合(
図3のS78でYES、
図4のS102でYES)に、対象情報画像P2、P3を表示部14に表示させたが、対象情報画像P2、P3の表示に代えて、印刷設定及びスキャン設定を音声データに変換し、音声データをメッセージ(例えば「印刷用紙はA4サイズです」等)としてスピーカ16から出力してもよい。即ち、「出力制御部」は、第2の画像を表示部に表示させなくてもよい。
【0079】
(変形例2)アプリ48は、対象情報画像P2の表示に代えて、印刷プレビュー画面D4をキャプチャすることによって得られるビットマップ形式の画像であるスクリーンショット画像を取得し、NFC画像P1に重複しないように、当該スクリーンショット画像が縮小された画像を表示してもよい。また、本変形例では、スクリーンショット画像が縮小された画像が、「第2の画像」の一例である。
【0080】
(変形例3)上記の実施例では、印刷プレビュー画面D4の前面にNFC画像P1が表示される(
図9のT68、
図11のT168)と、印刷プレビュー画面D4内の印刷プレビュー画像Pv1の半分程度の領域が表示されなくなる。そこで、アプリ48は、対象情報画像P2の表示に代えて、以下の構成を採用してもよい。アプリ48は、表示部14の全領域のうち、NFC画像P1よりも上方に位置する部分領域の中心位置を特定し、さらに、印刷プレビュー画面D4内の印刷プレビュー画像Pv1の中心位置を特定する。そして、アプリ48は、部分領域の中心位置と印刷プレビュー画像Pv1の中心位置とが一致するように、印刷プレビュー画面D4を上方にスライドさせる。この構成によると、NFC画像P1が表示されても、印刷プレビュー画像Pv1のほぼ全体を表示させることができる。本変形例では、印刷プレビュー画面D4をスライドさせることが、「対象情報を出力する」の一例である。
【0081】
(変形例4)NFCI/F32のR/Wモードは、常時、有効化状態であってもよい。この場合、OS46に、R/Wモードを無効化状態から有効化状態に変更するためのR/WモードON指示をNFCI/F32に供給させずに済む。即ち、「トリガ指示」は、変更指示を無線インタフェースに供給させるための指示を含んでいなくてもよい。
【0082】
(変形例5)対象情報画像P2は、NFC画像P1が表示される領域に重複して(即ち、NFC画像P1の前面に)表示されてもよい。即ち、「出力制御部」は、第1の画像が表示される領域に重複するように第2の画像を表示させてもよい。
【0083】
(変形例6)携帯端末10とMFP100との間のNFC通信が実行される場合(
図9のT80)に、アプリ48は、対象情報画像P2の表示を中止しなくてもよい。この場合、アプリ48は、対象情報画像P2の表示を中止するための操作をユーザから受け付けた場合に、対象情報画像P2の表示を中止してもよい。また、NFC画像P1内のキャンセルボタンがユーザによって操作される場合(
図11のT174)に、アプリ48は、対象情報画像P2の表示を中止しなくてもよい。この場合、この場合、アプリ48は、対象情報画像P2の表示を中止するための操作をユーザから受け付けた場合に、対象情報画像P2の表示を中止してもよい。即ち、「出力制御部」は、第2の場合又は第3の場合に、第2の画像の表示を中止しなくてもよい。
【0084】
(変形例7)対象情報画像P2は、印刷設定画像を含まず、印刷プレビュー画像Pv1の縮小画像のみを含んでもよい。即ち、「対象情報」は、設定情報を含んでいなくてもよい。一般的に言うと、「対象情報」は、第1の画像が表示されることに起因して表示されなくなる項目画像に関する情報であれば、どのような種類の情報であってもよい。このような「項目画像」は、例えば、通信装置に関する情報(例えば、通信装置のIPアドレス、通信装置のユーザ情報等)を示す画像、外部装置の情報を示す画像等を含む。
【0085】
(変形例8)「外部装置」は、MFP100に限られず、スキャナ、プリンタ、FAX装置、PC、サーバ等であってもよい。「外部装置」がFAX装置である場合には、FAX送信の対象の画像のプレビュー画像、FAXの送信先を示す宛先等を示す情報を「対象情報」の一例とすることができる。
【0086】
(変形例9)「無線インタフェース」は、NFCI/F32に限られず、BT(Bluetooth(登録商標)の略)通信、赤外線通信等を実行するためのインタフェースであってもよい。
【0087】
(変形例10)上記の実施例では、制御部40によって実行される各処理がソフトウェア(即ち、OSプログラム46、印刷スキャンアプリ48)によって実現されるが、これらの各処理のうちの少なくとも一つが論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0088】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0089】
2:通信システム、10:携帯端末、12:操作部、14:表示部、16:スピーカ、40:制御部、42:CPU、44:メモリ、46:OSプログラム、48:印刷スキャンアプリ、100:MFP、112:操作部、114:表示部、116:印刷実行部、118:スキャン実行部、140:制御部、142:CPU、144:メモリ、146:プログラム